JP2021079546A - 繊維強化樹脂成形体および繊維強化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形体および繊維強化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】衝撃が加わった際に、長いストロークに亘って高い荷重で破壊することで、より大きな衝撃エネルギーを吸収できる繊維強化樹脂成形体およびそのような繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供する。【解決手段】繊維強化樹脂成形体100は、炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層60と、構造タンパク質繊維を主材料とする織布30が織布30の引張伸度と等しいか又は織布30の引張伸度より大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シート50に内在された織布層40と、が積層され密着してなる。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化樹脂成形体および繊維強化樹脂成形体の製造方法に関する。
特許文献1に示されるように、アラミド繊維および炭素繊維を含む強化繊維と、熱可塑性樹脂を含むマトリックス樹脂と、バインダー成分とを含む繊維強化プラスチック成形体用基材が知られている。この繊維強化プラスチック成形体用基材が150〜600℃(熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上)の温度で加熱加圧成形されることで、繊維強化プラスチック成形体が成形される。
特開2016−020421号公報
上記特許文献1に記載の成形体は、優れた曲げ強度を有し得るが、靭性に乏しく、脆性破壊しやすい傾向にある。本発明は、衝撃が加わった際に、長いストロークに亘って高い荷重で破壊することで、より大きな衝撃エネルギーを吸収できる繊維強化樹脂成形体およびそのような繊維強化樹脂成形体の製造方法を提供する。
本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1] 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、構造タンパク質繊維を主材料とする織布が上記織布の引張伸度と等しいか又は上記織布の引張伸度より大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シートに内在された織布層と、が積層され密着してなる繊維強化樹脂成形体。
[2] 上記基材樹脂がビニルエステル樹脂である、[1]に記載の繊維強化樹脂成形体。
[3] 上記合成樹脂フィルム/シートが熱可塑性ポリウレタンからなる、[1]または[2]に記載の繊維強化樹脂成形体。
[4] 構造タンパク質繊維がクモ糸フィブロインである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形体。
[5] 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、構造タンパク質繊維を主材料とする織布が上記織布の引張伸度と等しいか又は上記織布の引張伸度より大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シートに内在された織布層と、を積層して積層体を得る工程と、上記積層体を加熱および加圧する工程と、を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法。
[6] 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、合成樹脂フィルム/シートと、構造タンパク質繊維を主材料とする織布であって上記合成樹脂フィルム/シートの引張伸度と等しいか又は上記合成樹脂フィルム/シートの引張伸度より小さい引張伸度を有する織布と、をこの順に積層して積層体を得る工程と、上記積層体を加熱および加圧する工程と、を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法。
[7] 上記基材樹脂がビニルエステル樹脂である、[5]または[6]に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
[8] 上記合成樹脂フィルム/シートが熱可塑性ポリウレタンからなる、[5]〜[7]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
[9] 構造タンパク質繊維がクモ糸フィブロインである、[5]〜[8]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
本発明によれば、繊維強化樹脂成形体は、衝撃が加わった際に、長いストロークに亘って高い荷重で破壊する。したがって、繊維強化樹脂成形体がより大きな衝撃エネルギーを吸収できる。
本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂成形体を示す断面図である。 構造タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す図である。 実施例に係る繊維強化樹脂成形体を作製するための熱プレス機を概略的に示す図である。 実施例1および比較例1における衝撃試験の結果を示す図である。 実施例2および比較例2における衝撃試験の結果を示す図である。 実施例3,4および比較例3における衝撃試験の結果を示す図である。 実施例3,4および比較例3における衝撃試験の結果を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
[繊維強化樹脂成形体]
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形体は、炭素繊維を含む基材樹脂層と、織布を内在した合成樹脂フィルム/シートである織布層と、が積層され密着してなる。図1に示されるように、繊維強化樹脂成形体100は、例えば、炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層60と、構造タンパク質を主材料とする織布30が合成樹脂フィルム50に内在された織布層40と、が交互に積層され、密着してなる構造を有する。基材樹脂層60および織布層40は、加熱および加圧されることで、互いに密着している。基材樹脂層60および織布層40が必ずしも交互に積層されている必要はなく、いずれかの層が連続して積層されていてもよい。
基材樹脂層60の基材樹脂(マトリックス樹脂)としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン等が挙げられる。基材樹脂は、ビニルエステル樹脂であることが好ましい。炭素繊維の繊維長は特に限定されない。炭素繊維は、いわゆる長繊維(例えば繊維長50mmを超える繊維)であってもよく、短繊維(例えば繊維長50mm以下の繊維)であってもよく、連続繊維であってもよい。炭素繊維は、短繊維であることが好ましい。基材樹脂層60には、炭素繊維以外に、充填材、硬化剤、低収縮化剤、内部離型剤が混合されてもよい。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水素化アルミニウム、硫酸バリウム、クレイ、マイカ等が挙げられる。基材樹脂層60は、CF−SMC(Carbon fiber Sheet Molding Compound)であることが好ましい。
合成樹脂フィルム50は、合成樹脂シートであってもよい。合成樹脂フィルムおよび合成樹脂シートでは、厚みが異なる。合成樹脂フィルムは、たとえば所定の厚み(たとえば0.2〜0.25mm)よりも薄い板状であり、合成樹脂シートは、たとえば所定の厚み(たとえば0.2〜0.25mm)よりも厚い薄板状である。合成樹脂フィルム/シートは、熱可塑性ポリウレタン(Termoplastic Polyurethane;TPU)からなることが好ましい。合成樹脂フィルム/シートには、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマーや、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、アミド系の熱可塑性エラストマー等が用いられてもよい。
合成樹脂フィルム50の引張伸度は、織布30の引張伸度と等しいか、又は織布30の引張伸度よりも大きい引張伸度を有する。引張伸度とは、フィルムまたはシートの一端が固定され、そのフィルムまたはシートの他端が引っ張られて切断した時の伸び率(%)である。フィルムまたはシートが切断した時の荷重は、引張強度と呼ばれる。引張伸度は、この引張強度に相当する荷重がフィルムまたはシートに作用した時のフィルムまたはシートの伸び率(%)である。
基材樹脂層60および織布層40のそれぞれの厚みは、適宜に設定され得る。基材樹脂層60の厚みと織布層40の厚みとが等しくてもよいし、基材樹脂層60が織布層40より厚くてもよい。基材樹脂層60と織布層40との積層体からなる繊維強化樹脂成形体100は、例えば衝撃吸収部材(構造部材)として適当な形状に成形されて、例えば車両等の移動体に適用される。繊維強化樹脂成形体100は、公知の成形方法によって成形され得る。成形された状態において、基材樹脂層60と織布層40とが積層された断面が露出してもよい。なお、繊維強化樹脂成形体100の用途は、車両等の移動体に限定されない。
織布30が合成樹脂フィルム50に内在されるとは、合成樹脂フィルム50の厚みの範囲内に織布30が存在することを意味する。言い換えれば、織布30に、合成樹脂フィルム50の材料である合成樹脂が含浸している。合成樹脂フィルム/シートの厚みの範囲内に織布が収まっていてもよく、合成樹脂フィルム/シートの表面に織布が露出してもよい。
[構造タンパク質]
構造タンパク質とは、生体構造を構築する役割を有するタンパク質であり、酵素、ホルモン、抗体等の機能タンパク質とは異なる。構造タンパク質としては、天然に存在するフィブロイン、コラ−ゲン、レシリン、エラスチン及びケラチン等の天然型構造タンパク質を挙げることができる。天然に存在するフィブロインとして、昆虫及びクモ類が産生するフィブロインが知られている。
本実施形態に係る構造タンパク質は、クモ糸フィブロインであることが好ましい。クモ糸フィブロインには、天然クモ糸フィブロイン、及び天然クモ糸フィブロインに由来する改変フィブロインが含まれる。天然クモ糸フィブロインとしては、例えば、クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。「改変フィブロイン」とは、天然由来のフィブロインとは異なるアミノ酸配列を有するフィブロインを意味する。
昆虫が産生するフィブロインとしては、例えば、ボンビックス・モリ(Bombyx mori)、クワコ(Bombyx mandarina)、天蚕(Antheraea yamamai)、柞蚕(Anteraea pernyi)、楓蚕(Eriogyna pyretorum)、蓖蚕(Pilosamia Cynthia ricini)、樗蚕(Samia cynthia)、栗虫(Caligura japonica)、チュッサー蚕(Antheraea mylitta)、ムガ蚕(Antheraea assama)等のカイコが産生する絹タンパク質、スズメバチ(Vespa simillima xanthoptera)の幼虫が吐出するホーネットシルクタンパク質が挙げられる。
昆虫が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、カイコ・フィブロインL鎖(GenBankアクセッション番号M76430(塩基配列)、AAA27840.1(アミノ酸配列))が挙げられる。
クモには最大7種類の絹糸腺が存在し、それぞれ性質の異なるフィブロイン(スパイダーシルクタンパク質)を産生する。スパイダーシルクタンパク質は、その源泉の器官にしたがって、高い靭性を有する大瓶状スパイダータンパク質(major ampullate spider protein、MaSp)、高度な伸長力を有する小瓶状スパイダータンパク質(minor ampullate spider protein、MiSp)、並びに鞭状(flagelliform(Flag))、管状(tubuliform)、集合(aggregate)、ブドウ状(aciniform)及びナシ状(pyriform)の各スパイダーシルクタンパク質と命名されている。
クモ類が産生するフィブロインとしては、例えば、オニグモ、ニワオニグモ、アカオニグモ、アオオニグモ及びマメオニグモ等のオニグモ属(Araneus属)に属するクモ、ヤマシロオニグモ、イエオニグモ、ドヨウオニグモ及びサツマノミダマシ等のヒメオニグモ属(Neoscona属)に属するクモ、コオニグモモドキ等のコオニグモモドキ属(Pronus属)に属するクモ、トリノフンダマシ及びオオトリノフンダマシ等のトリノフンダマシ属(Cyrtarachne属)に属するクモ、トゲグモ及びチブサトゲグモ等のトゲグモ属(Gasteracantha属)に属するクモ、マメイタイセキグモ及びムツトゲイセキグモ等のイセキグモ属(Ordgarius属)に属するクモ、コガネグモ、コガタコガネグモ及びナガコガネグモ等のコガネグモ属(Argiope属)に属するクモ、キジロオヒキグモ等のオヒキグモ属(Arachnura属)に属するクモ、ハツリグモ等のハツリグモ属(Acusilas属)に属するクモ、スズミグモ、キヌアミグモ及びハラビロスズミグモ等のスズミグモ属(Cytophora属)に属するクモ、ゲホウグモ等のゲホウグモ属(Poltys属)に属するクモ、ゴミグモ、ヨツデゴミグモ、マルゴミグモ及びカラスゴミグモ等のゴミグモ属(Cyclosa属)に属するクモ、及びヤマトカナエグモ等のカナエグモ属(Chorizopes属)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質、並びにアシナガグモ、ヤサガタアシナガグモ、ハラビロアシダカグモ及びウロコアシナガグモ等のアシナガグモ属(Tetragnatha属)に属するクモ、オオシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ及びコシロカネグモ等のシロカネグモ属(Leucauge属)に属するクモ、ジョロウグモ及びオオジョロウグモ等のジョロウグモ属(Nephila属)に属するクモ、キンヨウグモ等のアズミグモ属(Menosira属)に属するクモ、ヒメアシナガグモ等のヒメアシナガグモ属(Dyschiriognatha属)に属するクモ、クロゴケグモ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ及びジュウサンボシゴケグモ等のゴケグモ属(Latrodectus属)に属するクモ、及びユープロステノプス属(Euprosthenops属)に属するクモ等のアシナガグモ科(Tetragnathidae科)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。スパイダーシルクタンパク質としては、例えば、MaSp(MaSp1及びMaSp2)、ADF(ADF3及びADF4)等の牽引糸タンパク質、MiSp(MiSp1及びMiSp2)等が挙げられる。
クモ類が産生するフィブロインのより具体的な例としては、例えば、fibroin−3(adf−3)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47010(アミノ酸配列)、U47855(塩基配列))、fibroin−4(adf−4)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47011(アミノ酸配列)、U47856(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 1[Nephila clavipes由来](GenBankアクセッション番号AAC04504(アミノ酸配列)、U37520(塩基配列))、major angu11ate spidroin 1[Latrodectus hesperus由来](GenBankアクセッション番号ABR68856(アミノ酸配列)、EF595246(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 2[Nephila clavata由来](GenBankアクセッション番号AAL32472(アミノ酸配列)、AF441245(塩基配列))、major anpullate spidroin 1[Euprosthenops australis由来](GenBankアクセッション番号CAJ00428(アミノ酸配列)、AJ973155(塩基配列))、及びmajor ampullate spidroin 2[Euprosthenops australis](GenBankアクセッション番号CAM32249.1(アミノ酸配列)、AM490169(塩基配列))、minor ampullate silk protein 1[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14589.1(アミノ酸配列))、minor ampullate silk protein 2[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14591.1(アミノ酸配列))、minor ampullate spidroin−like protein[Nephilengys cruentata](GenBankアクセッション番号ABR37278.1(アミノ酸配列)等が挙げられる。
天然由来のフィブロインのより具体的な例としては、更に、NCBI GenBankに配列情報が登録されているフィブロインを挙げることができる。例えば、NCBI GenBankに登録されている配列情報のうちDIVISIONとしてINVを含む配列の中から、DEFINITIONにspidroin、ampullate、fibroin、「silk及びpolypeptide」、又は「silk及びprotein」がキーワードとして記載されている配列、CDSから特定のproductの文字列、SOURCEからTISSUE TYPEに特定の文字列の記載された配列を抽出することにより確認することができる。
構造タンパク質は、上記天然型構造タンパク質に由来するポリペプチド、すなわち組換えポリペプチドであってもよい。例えば、組換えフィブロインは、いくつかの異種タンパク質生産系で産生されており、その製造方法として、トランスジェニック・ヤギ、トランスジェニック・カイコ、又は組換え植物若しくは哺乳類細胞が利用されている。
組換えフィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のフィブロインの遺伝子配列から(A)モチーフをコードする配列の1又は複数を欠失させることにより得ることができる。また、例えば、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のフィブロインのアミノ酸配列から(A)モチーフが欠失したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。アミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、部分特異的突然変異誘発法等の当業者に周知の方法により行うことができる。具体的には、Nucleic Acid Res.10,6487(1982)、Methods in Enzymology,100,448(1983)等の文献に記載されている方法に準じて行うことができる。
大吐糸管しおり糸タンパク質の組換えポリペプチドは、例えば、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式1中、(A)モチーフは4〜20アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示し、かつ(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数が80%以上である。REPは10〜200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。mは8〜300の整数を示す。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)として表すことができる。具体的には配列番号12で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質をあげることができる。
コラーゲンの組換えポリペプチドとして、例えば、式2:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式2中、oは5〜300の整数を示す。REP2は、Gly一X一Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号13で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenbankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
レシリンの組換えポリペプチドとして、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、pは4〜300の整数を示す。REP3はSer一J一J一Tyr一Gly一U−Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号14で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号14で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenbankのアクセッション番号NP 611157、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThrをSerに置換し、かつ95残基目のAsnをAspに置換した配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号17で示されるアミノ酸配列(タグ配列)が付加されたものである。
エラスチンの組換えポリペプチドとして、例えば、NCBIのGenbankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号15で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号15で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenbankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
ケラチンの組換えポリペプチドとして、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。具体的には、配列番号16で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenbankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含むタンパク質を挙げることができる。
組換えポリペプチドは、(i)配列番号2、配列番号4若しくは配列番号10で示されるアミノ酸配列、又は(ii)配列番号2、配列番号4若しくは配列番号10で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換えフィブロインであってもよい。
(i)配列番号2、配列番号4若しくは配列番号10で示されるアミノ酸配列を含む、組換えフィブロインについて説明する。配列番号2で示されるアミノ酸配列は、天然由来のフィブロインに相当する配列番号1で示されるアミノ酸配列(天然由来のフィブロインに相当)から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)nモチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ−REP]を1つ挿入したものである。配列番号4で示されるアミノ酸配列は、配列番号2で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号10で示されるアミノ酸配列は、配列番号4で示されるアミノ酸配列の各(A)nモチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号4の分子量とほぼ同じとなるようにN末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。なお、配列番号3で示されるアミノ酸配列は、配列番号1で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。
(ii)配列番号2、配列番号4若しくは配列番号10で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換えフィブロインについて説明する。(ii)組換えフィブロインは、配列番号2、配列番号4又は配列番号10で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(ii)組換えフィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
上述の組換えフィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、組換えフィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列として、例えば、他の分子との特異的親和性(結合性、アフィニティ)を利用したアフィニティタグを挙げることができる。アフィニティタグの具体例として、ヒスチジンタグ(Hisタグ)を挙げることができる。Hisタグは、ヒスチジン残基が4から10個程度並んだ短いペプチドで、ニッケル等の金属イオンと特異的に結合する性質があるため、金属キレートクロマトグラフィー(chelating metal chromatography)による組換えフィブロインの単離に利用することができる。タグ配列の具体例として、例えば、配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含むアミノ酸配列)が挙げられる。
また、グルタチオンに特異的に結合するグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースに特異的に結合するマルトース結合タンパク質(MBP)等のタグ配列を利用することもできる。
さらに、抗原抗体反応を利用した「エピトープタグ」を利用することもできる。抗原性を示すペプチド(エピトープ)をタグ配列として付加することにより、当該エピトープに対する抗体を結合させることができる。エピトープタグとして、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのペプチド配列)タグ、mycタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。エピトープタグを利用することにより、高い特異性で容易に組換えフィブロインを精製することができる。
さらにタグ配列を特定のプロテアーゼで切り離せるようにしたものも使用することができる。当該タグ配列を介して吸着したタンパク質をプロテアーゼ処理することにより、タグ配列を切り離した組換えフィブロインを回収することもできる。
タグ配列を含む組換えフィブロインのより具体的な例として、(iii)配列番号7、配列番号9若しくは配列番号11で示されるアミノ酸配列、又は(iv)配列番号7、配列番号9若しくは配列番号11で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換えフィブロインを挙げることができる。
組換えポリペプチドは、(iii)配列番号7、配列番号9又は配列番号11で示されるアミノ酸配列、又は(iv)配列番号7、配列番号9又は配列番号11で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換えフィブロインであってもよい。
配列番号6、7、8、9及び11で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1、2、3、4及び10で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含む)を付加したものである。(iv)組換えフィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ−REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
構造タンパク質は、組換えポリペプチドを含むことが好ましい。構造タンパク質として組換えポリペプチドを含むことにより、得られるモールド成形体の曲げ弾性率、曲げ強度及び硬度を所望の数値に調整することが可能である。
[構造タンパク質を発現する組換え細胞]
組換えポリペプチドの製造方法について、以下に詳述する。目的とする組換えポリペプチドは、例えば、構造タンパク質をコードする遺伝子配列と、当該遺伝子配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列とを有する発現ベクターで形質転換された宿主により、当該遺伝子を発現させることにより生産することができる。
目的とする組換えポリペプチドをコードする遺伝子の製造方法は特に制限されない。例えば、天然の構造タンパク質をコードする遺伝子を利用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などで増幅しクローニングする方法、又は、化学的な合成によって、遺伝子を製造することができる。遺伝子の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどより入手した構造タンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)などで自動合成したオリゴヌクレオチドをPCRなどで連結する方法によって遺伝子を化学的に合成することができる。この際に、タンパク質の精製や確認を容易にするため、上記のアミノ酸配列のN末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したポリペプチドをコードする遺伝子を合成してもよい。
調節配列は、宿主における組換えタンパク質の発現を制御する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。プロモーターとして、宿主細胞中で機能し、目的とするタンパク質を発現誘導可能な誘導性プロモーターを用いても良い。誘導性プロモーターは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因により、転写を制御できるプロモーターである。
発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主の染色体中への組込みが可能で、目的とする組換えポリペプチドをコードする遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に用いられる。
宿主として、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。
原核生物の好ましい例として、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する細菌を挙げることができる。
目的とする組換えポリペプチドをコードする遺伝子を導入するベクターとしては、例えば、pBTrp2(ベーリンガーマンハイム社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold、pUB110、pNCO2(特開2002−238569号公報)等を挙げることができる。
真核生物の宿主としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス属、ピキア属、シゾサッカロマイセス属等に属する酵母を挙げることができる。糸状真菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ(Trichoderma)属等に属する糸状真菌を挙げることができる。
ベクターとしては、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)等を挙げることができる。
上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110 (1972)〕、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、コンピテント法等を挙げることができる。
発現ベクターで形質転換された宿主による遺伝子の発現方法としては、直接発現のほか、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。
目的とする組換えポリペプチドは、例えば、本発明に係る発現ベクターで形質転換された宿主を培養培地中で培養し、培養培地中に当該タンパク質を生成蓄積させ、該培養培地から採取することにより製造することができる。本発明に係る宿主を培養培地中で培養する方法は、宿主の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
本発明に係る宿主が、大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、本発明に係る宿主の培養培地として、該宿主が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、該宿主の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、上記形質転換微生物が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物を用いることができる。
無機塩類としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15〜40℃である。培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0〜9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
また、培養中必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
本発明に係る組換えポリペプチドは、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法で単離及び精製することができる。例えば、当該組換えポリペプチドが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、宿主細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液に懸濁した後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等により宿主細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法、すなわち、溶媒抽出法、硫酸アンモニウム等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HPA−75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S−Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の方法を単独又は組み合わせて使用し、精製標品を得ることができる。
また、組換えポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分として組換えポリペプチドの不溶体を回収する。回収した組換えポリペプチドの不溶体は蛋白質変性剤で可溶化することができる。該操作の後、上記と同様の単離精製法により組換えポリペプチドの精製標品を得ることができる。
組換えポリペプチドが細胞外に分泌された場合には、培養上清から組換えポリペプチドを回収することができる。すなわち、培養物を遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
[構造タンパク質繊維]
構造タンパク質繊維は、上述したタンパク質を紡糸したものである。構造タンパク質繊維は、天然クモ糸タンパク質に由来するポリペプチド(改変クモ糸タンパク質)を紡糸したものであることが好ましい。構造タンパク質繊維は、公知の紡糸方法によって製造することができる。すなわち、例えば、構造タンパク質繊維を製造する際には、まず、上述した方法に準じて製造したクモ糸フィブロインをジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はヘキサフルオロイソプロノール(HFIP)等の溶媒に、溶解促進剤としての無機塩と共に添加し、溶解してドープ液を作製する。次いで、このドープ液を用いて、湿式紡糸、乾式紡糸又は乾湿式紡糸等の公知の紡糸方法により紡糸して、目的とする構造タンパク質繊維を得ることができる。
図2は、構造タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を示す概略図である。図2に示す紡糸装置10は、乾湿式紡糸用の紡糸装置の一例であり、押出し装置1と、凝固浴槽20と、洗浄浴槽21と、乾燥装置4とを、上流側から順に有している。
押出し装置1は貯槽7を有しており、ここにドープ液(紡糸原液)6が貯留される。凝固浴槽20に凝固液11(例えば、メタノール)が貯留される。ドープ液6は、貯槽7の下端部に取り付けられたギヤポンプ8により、凝固液11との間にエアギャップ19を開けて設けられたノズル9から押し出される。押し出されたドープ液6は、エアギャップ19を経て凝固液11内に供給される。凝固液11内でドープ液6から溶媒が除去されてタンパク質が凝固する。凝固したタンパク質は、洗浄浴槽21に導かれ、洗浄浴槽21内の洗浄液12により洗浄された後、洗浄浴槽21内に設置された第一ニップローラ13と第二ニップローラ14により、乾燥装置4へと送られる。このとき、例えば、第二ニップローラ14の回転速度を第一ニップローラ13の回転速度よりも速く設定すると、回転速度比に応じた倍率で延伸された構造タンパク質繊維36が得られる。洗浄液12中で延伸された構造タンパク質繊維は、洗浄浴槽21内を離脱してから、乾燥装置4内を通過する際に乾燥され、その後、ワインダーにて巻き取られる。このようにして、構造タンパク質繊維が、紡糸装置10により、最終的にワインダーに巻き取られた巻回物5として得られる。なお、18a〜18gは糸ガイドである。
凝固液11としては、脱溶媒できる溶液であればよく、例えば、メタノール、エタノール及び2−プロパノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、並びにアセトン等を挙げることができる。凝固液11は、適宜水を含んでいてもよい。凝固液11の温度は、0〜30℃であることが好ましい。凝固したタンパク質が凝固液11中を通過する距離(実質的には、糸ガイド18aから糸ガイド18bまでの距離)は、脱溶媒が効率的に行える長さがあればよく、例えば、200〜500mmである。凝固液11中での滞留時間は、例えば、0.01〜3分であってよく、0.05〜0.15分であることが好ましい。また、凝固液11中で延伸(前延伸)をしてもよい。
なお、構造タンパク質繊維を得る際に洗浄浴槽21内で実施される延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中等で行う、いわゆる湿熱延伸であってもよい。この湿熱延伸の温度としては、例えば、50〜90℃であってよく、75〜85℃が好ましい。湿熱延伸では、未延伸糸(又は前延伸糸)を、例えば、1倍〜10倍延伸することができ、2〜8倍延伸することが好ましい。
最終的な延伸倍率は、その下限値が、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、好ましくは、1倍超、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上、7倍以上、8倍以上、9倍以上のうちのいずれかであり、上限値が、好ましくは40倍以下、30倍以下、20倍以下、15倍以下、14倍以下、13倍以下、12倍以下、11倍以下、10倍以下である。
[織布]
構造タンパク質繊維を含む布の製造に用いられる構造タンパク質繊維は、短繊維であってもよいし、長繊維であってもよい。構造タンパク質繊維は、単独で使用されてもよく、又は他の繊維と組み合わされて使用されてもよい。すなわち、布を製造する際には、材料糸として、構造タンパク質繊維のみからなる単独糸と、構造タンパク質繊維と他の繊維とを組み合わせてなる複合糸とが、それぞれ単独で用いられてもよい。あるいは、材料糸として、それらの単独糸および複合糸が組み合わされて用いられてもよい。単独糸には、撚糸、無撚糸等が含まれる。単独糸は好ましくは撚糸である。撚糸は、Z撚りであってもよく、S撚りの撚糸であってもよい。複合糸には、例えば、混紡糸、混繊糸、カバーリング糸等が含まれ得る。
他の繊維とは、構造タンパク質を含まない繊維等をいう。他の繊維としては、例えば、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、キュプラ、レーヨン等の再生繊維、綿、麻等の天然繊維が挙げられる。他の繊維と組み合わせて使用する場合には、構造タンパク質繊維を含む織布全量を基準として、構造タンパク質繊維の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上である。
織布の織構造は、例えば平織、綾織、朱子織等であってもよい。使用される糸の種類は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。織布30の目付は、特に限定されないが、例えば10〜500g/mであってよい。
構造タンパク質繊維から織布を作製する方法としては、公知の方法を利用することができる。構造タンパク質繊維から織布を作製する方法は、特に制限されない。織布は、公知の織機によって作製され得る。
[繊維強化樹脂成形体の製造方法]
繊維強化樹脂成形体の製造方法について説明する。まず、例えば炭素繊維の短繊維とビニルエステル樹脂等の基材樹脂とを含む基材樹脂層を用意する。例えば、基材樹脂層は、CF−SMC基材である。また、例えば構造タンパク質繊維からなる織布と、この織布の引張伸度と等しいか又はこの織布の引張伸度よりも大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シートを用意する。織布として、例えば、綾織の織構造を有するシルクテキスタイル、または、綾織の織構造を有するクモ糸テキスタイルが用いられる。合成樹脂フィルム/シートが熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性合成樹脂からなる場合、織布と合成樹脂フィルム/シートとを重ね(積層し)、その状態で加熱および加圧を行う。この加熱及び加圧には、例えば熱プレス機を用いることができる。これにより、熱可塑性合成樹脂を織布に含浸させ、織布層を得る。この合成樹脂フィルム/シートは、繊維強化樹脂成形体における応力緩和層である。
続いて、基材樹脂層であるCF−SMC基材と織布層とを積層し、積層体を得る。積層体における基材樹脂層と織布層の各枚数は、適宜に設定され得る。1枚ずつの基材樹脂層と織布層とが積層されてもよいし、複数枚ずつの基材樹脂層と織布層とが積層されてもよい。この積層体を積層方向の両側から熱プレス(加熱および加圧)することで、基材樹脂層と織布層とを密着させ、繊維強化樹脂成形体を製造することができる。このとき、合成樹脂フィルム/シートと熱プレス機との間に、繊維強化樹脂成形体を熱プレス機から容易に剥離させるための離型紙を介在させてもよい。
この加熱加圧工程における加熱は、80〜200℃で行うことが好ましく、100〜180℃がより好ましく、120〜150℃が更に好ましい。加圧は、5MPa以上で行うことが好ましく、10MPa以上がより好ましく、15MPa以上が更に好ましい。また、所定の加熱加圧条件に達した後、その条件での処理を続ける時間(保温条件)は、0〜100分が好ましく、1〜50分がより好ましく、3〜10分が更に好ましい。
製造方法は上記方法に限らず、材料に合わせた既存の加工方法が用いられてもよい。合成樹脂フィルム/シートは、必ずしも予め織布に含浸させる必要はなく、基材樹脂層、合成樹脂フィルム/シート、織布の順に積層した積層体を熱プレスし、繊維強化樹脂成形体を製造してもよい。すなわち、まず、炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、合成樹脂フィルム/シートと、構造タンパク質繊維を主材料とする織布であって合成樹脂フィルム/シートの引張伸度と等しいか又は合成樹脂フィルム/シートの引張伸度より小さい引張伸度を有する織布と、をこの順に積層して積層体を得て、その後に、積層体を加熱および加圧してもよい。その場合の加熱加圧工程における各条件は、上記と同様である。
(製造例1:成形体前駆体の製造)
〔(1)改変クモ糸フィブロイン(構造タンパク質)の製造〕
(改変クモ糸フィブロインをコードする核酸の合成、及び発現ベクターの構築)
配列番号12で示されるアミノ酸配列を有する改変クモ糸フィブロイン(PRT799)を設計した。
配列番号12で示されるアミノ酸配列は、配列番号9で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたアミノ酸配列に対し、N末端に配列番号5で示されるアミノ酸配列(Hisタグを含む)を付加したものである。
設計した改変クモ糸フィブロインをコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト、終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。この核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、タンパク質発現ベクターpET−22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。
(改変クモ糸フィブロインの発現)
得られたpET−22b(+)発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。当該形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表1)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
Figure 2021079546
当該シード培養液を500mlの生産培地(下記表2)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持した。
Figure 2021079546
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、Yeast Extract 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持しながら、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、目的とする改変フィブロインを発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS−PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とする改変フィブロインに相当するサイズのバンドの出現により、目的とする改変クモ糸フィブロインの発現を確認した。
(改変クモ糸フィブロインの精製)
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris−HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8M グアニジン塩酸塩、10mM リン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris−HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収した。回収した凝集タンパク質から凍結乾燥機で水分を除き、目的とする改変フィブロインの凍結乾燥粉末(構造タンパク質粉末)を得た。
得られた凍結乾燥粉末における目的とする改変クモ糸フィブロインの精製度は、粉末のポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果をTotallab(nonlinear dynamics ltd.)を用いて画像解析することにより確認した。その結果、いずれの改変クモ糸フィブロインも精製度は約85%であった。
〔(2)改変クモ糸フィブロイン繊維(構造タンパク質繊維)の製造〕
(ドープ液の調製)
ジメチルスルホキシド(DMSO)に、上述のクモ糸フィブロイン(PRT799)を濃度24質量%となるよう添加した後、溶解促進剤としてLiClを濃度4.0質量%となるように添加した。その後、シェーカーを使用して、クモ糸フィブロインを3時間かけて溶解させ、DMSO溶液を得た。得られたDMSO溶液中のゴミと泡を取り除き、ドープ液とした。ドープ液の溶液粘度は90℃において5000cP(センチポアズ)であった。
(紡糸)
上記のようにして得られたドープ液と公知の乾湿式紡糸装置とを用いて乾湿式紡糸を行って、クモ糸フィブロインからなるモノフィラメントを得た。なお、ここでは、乾湿式紡糸を下記の条件で行った。
凝固液(メタノール)の温度:5〜10℃
延伸倍率:6倍
乾燥温度:80℃
(実施例1,2)
実施例1として、上記で得た構造タンパク質繊維を用いて作製した織布(クモ糸テキスタイル。織構造:綾織、目付:230g/m、引張伸度:40.5%)を用いた。実施例2として、シルク(碓氷製糸株式会社製、製品名:春麗鐘月、糸番手:27中16片)を用いて作製した織布(シルクテキスタイル。織構造:綾織、目付:250g/m、引張伸度:28.9%)を用いた。いずれの実施例でも、基材樹脂層として、炭素繊維の短繊維(1インチ)をビニルエステル樹脂に分散させたCF−SMC基材(引張伸度:1.6%)を用いた。CF−SMC基材における炭素繊維の含有量は50質量%であった。いずれの実施例でも、合成樹脂フィルム/シートとして、ホットメルト(BASF社製、製品名:エラストラン、品番:ET580、材質:熱可塑性ポリウレタン)を用いた。以下、合成樹脂フィルム/シートを応力緩和層と称する。
実施例1および2において、熱プレス機を用いて、200mm×200mmの上記織布に応力緩和層を含浸させた。Vf(繊維体積含有率)は40〜45%であった。含浸条件は、温度:130℃、圧力:0.5MPa、時間:3分であった。
続いて、図3に示されるように、応力緩和層を含浸させた織布をCF−SMC基材に積層し、この積層体80を熱プレス機200(300mm×300mm)内にセットした。このとき、応力緩和層が熱プレス機200に付着してしまうことを防止するため、実験試料と熱プレス機200との間に離型紙70を介在させた。熱プレス機200を用いて積層体80を加熱および加圧し、繊維強化樹脂成形体を成形した。なお、CF−SMC基材の投入量を、実験試料が266gになるように調整した。CF−SMC基材単体で成形すると、2mm厚で266gになる。総重量で実験試料を管理した。成形条件(加熱加圧条件)は、温度:150℃、圧力:18.7MPa、時間:3分とした。
(比較例1,2)
比較例1として、実施例1と同じ織布を用いた。比較例2として、実施例2と同じ織布を用いた。いずれの比較例でも、CF−SMC基材と200mm×200mmの上記織布とを重ね、実施例と同じ300mm×300mmの熱プレス機を用いて成形した。なお、CF−SMC基材の投入量を、実験試料が266gになるように調整した。実施例と同様に、総重量で実験試料を管理した。成形条件(加熱加圧条件)は、温度:150℃、圧力:18.7MPa、時間:3分とした。
実施例1および2、比較例1および2のそれぞれについて、落錘衝撃試験を行った。落錘型衝撃試験機(インストロン)を使用し、治具を用いて固定した試料に、錘の落下(落錘)による衝撃を与え、耐衝撃性を評価した。試験条件は、印加エネルギー:50J、雰囲気温度:23℃とした。サンプル寸法は100mm×100mm、インパクターヘッド径は20mmφ、治具の貫通穴径は75mmφであった。試料は、4方向2点ずつ、計8点におけるボルト締めにより固定した。なお、治具と台は万力で固定した。
(試験結果;試料の重量を一定にした場合)
試験結果を図4および図5に示す。図4に示されるように、実施例1は、比較例1に比して、衝撃が加わった際に、長いストロークに亘って高い荷重で破壊することが確認された。図5に示されるように、実施例2は、比較例2に比して、衝撃が加わった際に、長いストロークに亘って高い荷重で破壊することが確認された。各試験における衝撃吸収エネルギーを数値で比較すると、次に示される結果が得られた。
実施例1:18.80J
実施例2:26.82J
比較例1:16.07J
比較例2:16.65J
(実施例3,4および比較例3)
上記実施例1,2および比較例1、2では、実験試料の重量を合わせたが、基材樹脂層(CF−SMC)の板厚を1.1mmとし、この基材樹脂層に、実施例1に用いた織布1枚を同じく実施例1に用いた合成樹脂フィルム/シート2枚で挟んだもの(板厚0.6mm)を積層して実施例1と同様の加熱加圧成形を行い、実施例3,4とした。実施例3と4は同じ物だが、落錘衝撃試験の際の衝撃入力方向が異なる。織布層側に衝撃を入力させたものを実施例3、基材樹脂側に衝撃を入力させたものを実施例4とした(図6参照)。板厚1.1mmの基材樹脂層そのものを比較例3とした。これらの実施例3,4および比較例3につき、実施例1,2および比較例1,2と同様に落錘衝撃試験行った。
(試験結果;基材樹脂層の板厚を一定にした場合)
試験結果を図6および図7に示す。図6に示されるように、CF−SMC基材の下面にクモ糸テキスタイルTPUを配置することで、破断エネルギーが向上することが確認された。図7に示されるように、CF−SMC基材およびクモ糸テキスタイルTPUの複合化により、CF−SMC基材単体に比して、破断ポイントが遅延すること確認された(図7に示される比較例3の破断ポイントPaと実施例4の破断ポイントPb参照)。各試験における衝撃吸収エネルギーを数値で比較すると、次に示される結果が得られた。
実施例3:6.89J
実施例4:7.45J
比較例3:5.60J
30…織布、40…織布層、50…合成樹脂フィルム/シート、60…基材樹脂層、100…繊維強化樹脂成形体。

Claims (9)

  1. 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、
    構造タンパク質繊維を主材料とする織布が前記織布の引張伸度と等しいか又は前記織布の引張伸度より大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シートに内在された織布層と、が積層され密着してなる繊維強化樹脂成形体。
  2. 前記基材樹脂がビニルエステル樹脂である、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形体。
  3. 前記合成樹脂フィルム/シートが熱可塑性ポリウレタンからなる、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形体。
  4. 構造タンパク質繊維がクモ糸フィブロインである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形体。
  5. 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、構造タンパク質繊維を主材料とする織布が前記織布の引張伸度と等しいか又は前記織布の引張伸度より大きい引張伸度を有する合成樹脂フィルム/シートに内在された織布層と、を積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体を加熱および加圧する工程と、を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  6. 炭素繊維と基材樹脂とを含む基材樹脂層と、合成樹脂フィルム/シートと、構造タンパク質繊維を主材料とする織布であって前記合成樹脂フィルム/シートの引張伸度と等しいか又は前記合成樹脂フィルム/シートの引張伸度より小さい引張伸度を有する織布と、をこの順に積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体を加熱および加圧する工程と、を含む繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  7. 前記基材樹脂がビニルエステル樹脂である、請求項5または6に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  8. 前記合成樹脂フィルム/シートが熱可塑性ポリウレタンからなる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
  9. 構造タンパク質繊維がクモ糸フィブロインである、請求項5〜8のいずれか一項に記載の繊維強化樹脂成形体の製造方法。
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