JP2021078482A - ヤーコンの加工物を有効成分として含有する制御性t細胞の増加促進用組成物 - Google Patents

ヤーコンの加工物を有効成分として含有する制御性t細胞の増加促進用組成物 Download PDF

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邦彦 西野
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聖司 山崎
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聖司 山崎
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義晴 佐々木
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Abstract

【課題】免疫系を制御するための新たな組成物の提供。【解決手段】ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、制御性T細胞の増加促進用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ヤーコンの加工物を有効成分としてを含有する、制御性T細胞の増加促進用組成物に関する。また、本発明はヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症抑制用組成物に関する。
腸内には多種多様な細菌が共生しており、その多くは大腸に生息し、食物繊維の分解、栄養素の産生、免疫系の調節にかかわっている。腸内の免疫系はユニークで、摂取した食物や常在する腸内細菌など、本来異物であるものを排除しない免疫寛容という免疫抑制作用が働いている。免疫寛容では制御性T細胞が重要な役割を担っており、異物の排除機能を持つエフェクターT細胞の働きを抑え、食物アレルギーや炎症の原因となる過剰な免疫応答が起こらないように調節している。最近の研究において、制御性T細胞の発生は腸内細菌により誘導されることが明らかとなってきている(非特許文献1、2)。そこで腸内細菌を増やして腸管免疫を調節する試みのひとつとして、腸内細菌の栄養源であるプレバイオティクスを摂取する試みが注目されている。
プレバイオティクスは、大腸の特定の細菌を増殖させることなどにより、宿主に有益に働く食品成分である。代表的なプレバイオティクスとしては、オリゴ糖などが挙げられる。しかしながら腸管免疫の調節のためのプレバイオティクスはこれまでに報告がない。
Furusawa Y. et al., Nature, 504, 446―450 (2013) Arpaia N. et al., Nature, 504, 451―455 (2013)
本発明の課題は、免疫系を制御するための新たな組成物、を提供することにある。
本発明者らは、マウスにヤーコン由来試料を摂取させたところ、該試料を摂取させなかったマウスに比べて、脾臓および腸間膜リンパ節における制御性T細胞の割合が有意に増加したことを見出した。また、ヤーコン由来試料を摂取させたマウスでは、摂取させなかったマウスに比べて、炎症性サイトカインの発現が有意に減少し、免疫チェックポイント分子の発現が有意に増加したことを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
〔1〕ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、制御性T細胞の増加促進用組成物。
〔2〕前記ヤーコンの加工物がヤーコンの塊根の加工物である、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記加工物が粉砕物、抽出液、搾汁液または乾燥粉末である、〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記組成物が食品組成物である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔5〕前記組成物が医薬である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔6〕〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症抑制用組成物。
〔7〕前記炎症抑制が腸管における炎症抑制である、〔6〕に記載の組成物。
〔8〕前記炎症抑制が炎症性サイトカイン発現抑制および/または免疫チェックポイント分子発現促進である、〔6〕または〔7〕に記載の組成物。
〔9〕前記組成物が食品組成物である、〔6〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔10〕前記組成物が医薬である、〔6〕〜〔8〕のいずれか1つに記載の組成物。
〔11〕〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載のヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症性疾患の予防または治療用組成物。
〔12〕前記組成物が食品組成物である、〔11〕に記載の組成物。
〔13〕前記組成物が医薬である、〔11〕に記載の組成物。
ヤーコン由来試料を摂取することにより、制御性T細胞を増加させることができる。また、ヤーコン由来試料を摂取することにより、炎症性サイトカインの発現を抑制し、免疫チェックポイント分子の発現を促進できる。
図1は、コントロール群とヤーコン投与群において、脾臓と腸管膜リンパ節における制御性T細胞の割合を比較したFACSのデータ及びグラフである。 図2は、コントロール群とヤーコン投与群について、空腸における種々のサイトカイン、免疫チェックポイントタンパク質の発現量を表したグラフである。 図3は、コントロール群とヤーコン投与群について、回腸における種々のサイトカイン、免疫チェックポイントタンパク質の発現量を表したグラフである。 図4は、コントロール群とヤーコン投与群について、近位大腸における種々のサイトカインの発現量を表したグラフである。
本発明は、ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、制御性T細胞の増加促進用組成物(以下、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物)を提供する。
本明細書においてヤーコン(Smallanthus sonchifolius)とは、南米アンデス高地原産であり、キク科キク亜科メナモミ属に属する多年草植物を指す。本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物に用いるヤーコンは、通常入手可能なものであれば、品種、系統は特に限定されないが、例えば、品種としては「サラダオトメ(ヤーコン農林1号)」、「サラダオカメ(ヤーコン農林2号)」、「アンデスの雪(ヤーコン農林3号)」など、系統としては「ボリビア」、「ペルーA」、「白井」、「優1」、「優2」、「ペルー1」、「ペルー3」、「ペルー4」、「CIP205002」、「CIP205004」、「CIP205009」、「CIP205028」、「CIP205029」などが挙げられる。「サラダオトメ(ヤーコン農林1号)」、「サラダオカメ(ヤーコン農林2号)」、「アンデスの雪(ヤーコン農林3号)」は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構より入手できる。また、「CIP205002」、「CIP205004」、「CIP205009」、「CIP205028」、「CIP205029」は、国際じゃがいもセンター(International Potato Center)より入手できる。
本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物は、ヤーコンの加工物を有効成分として含有する。ヤーコンの植物体は、地上部(塊茎、茎、葉、花、種子など)と地下部(塊根、塊根内部、塊根皮など)で構成される。本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物に含有されるヤーコンは、地上部、地下部またはその両方のどの部位であってもよいが、ヤーコンの塊根は、糖、ポリフェノール、水溶性食物繊維などが多く含まれており、これらが制御性T細胞の増加のための有効成分となりうる。従って、ヤーコンの加工物はヤーコンの地下部の加工物、好ましくはヤーコンの塊根の加工物を含有する。ヤーコンの塊根に含まれる糖としては、例えば、フラクトオリゴ糖、グルコース、フルクトース、スクロースなどが挙げられる。ヤーコンの塊根に含まれるポリフェノールとしては、例えば、クロロゲン酸、3,5-ジ-O-カフェオイルキナ酸、2,4-ジ-O-カフェオイルアルトラル酸、3,5-ジ-O-カフェオイルアルトラル酸、2,5-ジ-O-カフェオイルアルトラル酸、2,3,5-トリ-O-カフェオイルアルトラル酸、2,4,5-トリ-O-カフェオイルアルトラル酸、4-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸、4,5-ジ-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸、4,5-ジ-O-カフェオイル-2,7-アンヒドロ-D-glycero-β-D-galacto-オクト-2-ウロピラノソン酸メチルなどが挙げられる。ヤーコンの塊根に含まれる水溶性食物繊維としては、イヌリン、難溶性デキストリン、β-グルカンやペクチンなどが挙げられる。
本明細書において、ヤーコンの加工物はヤーコンを加工して得られた試料を指す。ここで加工とは、ヤーコンに含有される上記の有効成分を抽出可能な処理であれば特に制限されるものではないが、例えば、粉砕処理、抽出処理、搾汁処理またはそれらの処理の組み合わせを含むものであってよい。
粉砕処理の方法としては、特に限定されないが、食品、医薬品等に使用可能な常法によって抽出すれば良い。例えば、ヤーコンを摩擦により破砕しても、剪断応力の働きにより破砕してもよい。例えば、包丁、ハンドミキサーまたはコミトロール(登録商標)等を適宜組み合わせて機械的剪断処理する方法等を採用することができる。また、ヤーコンを粉砕処理する前処理として、予め乾燥処理または凍結乾燥処理してもよい。
抽出処理の方法としては、特に限定されないが、食品、医薬品等に使用可能な溶媒を用いて常法によって抽出すれば良い。例えば、ヤーコンに粉砕処理をして得られる粉砕試料に対して1〜50倍、好ましくは10〜30倍量の水又は含水有機溶媒を加え、1〜24時間程度、室温〜使用溶媒の沸点の範囲で浸漬または加熱抽出処理を行うことができる。必要に応じて、酵素処理や加圧下に抽出処理を行ってもよい。この酵素処理は、好ましくはセルラーゼ、アミラーゼ、又はプロテアーゼによる処理であっても良い。また、これらの抽出処理は、1回のみ行っても良いし、2回以上行っても良い。
水による抽出は、上記のヤーコンの粉砕試料に水を加え、必要により加温して所定の温度下で行うことができる。水を加えて抽出を行う場合、抽出温度は5〜100℃が好ましく、30〜100℃がより好ましい。温度が低すぎるとヤーコンに含まれる有効成分が抽出されにくく、高すぎると有効成分が分解する可能性がある。
また、含水有機溶媒による抽出は、上記のヤーコンの粉砕試料に含水有機溶媒を加え、必要により加温して所定の温度下で行うことができる。含水有機溶媒に用いる有機溶媒としては、例えば、低級アルコール(メタノール、エタノール等)、酢酸エチル、アセトン、クロロホルム、n-ヘキサン等、好ましくは、エタノールが挙げられる。含水有機溶媒を加えて抽出を行う場合、抽出温度は、有機溶媒の種類によって異なるが、例えば含水エタノールを用いる場合には、5〜70℃が好ましく、30〜70℃がより好ましい。水による抽出と同様、温度が低すぎるとヤーコンに含まれる有効成分が抽出されにくく、高すぎると有効成分が分解する可能性がある。抽出処理に用いられる含水有機溶媒の溶媒含量としては、100%(v/v)以下であることが好ましく、5〜70%(v/v)であることがより好ましく、20〜50%(v/v)が最も好ましい。特に、エタノール濃度が、好ましくは5〜70%(v/v)、より好ましくは20〜50%(v/v)の含水エタノールを用いて抽出を行うことがより好ましい。以上の通り、溶媒中にヤーコンに含有される有効成分を抽出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって、抽出液を得ることができる。
搾汁処理の方法としては、ヤーコン又はヤーコンの粉砕試料をそのまま圧搾することによって行うことができる。溶媒中にヤーコンの有効成分を圧搾させた後、ろ過して圧搾残渣を除くことによって、搾汁液を得ることができる。
さらに、高濃度のヤーコンの有効成分を含有する抽出液又は搾汁液を得るため、当業者が通常用いる方法により、濃縮しても良いし、分画しても良いし、精製しても良い。また、得られた抽出液又は搾汁液を、凍結乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などの手段によって、乾燥粉末化してもよい。
以上の通りに加工処理することによって、ヤーコンから、ヤーコンの粉砕物、抽出液、搾汁液または乾燥粉末を得ることができる。
後述する実施例の通り、制御性T細胞の数はヤーコン由来試料を摂取することにより有意に増加することが分かった。従って、ヤーコンの加工物は、制御性T細胞の増加を促進するための有効成分として本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物に含有される。
本明細書において、制御性T細胞とは、CD4+Foxp3+T細胞を指す。制御性T細胞は、自己に対する免疫応答(自己免疫疾患)、炎症性疾患、アレルギー疾患を引き起こす過剰な免疫応答を抑制し、それらの疾患を回避する「免疫寛容」に重要な役割を果たしている。健康人の場合にはCD4+T細胞のなかに、制御性T細胞は約5%を占めている。
本明細書において、制御性T細胞の増加の促進とは、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物を摂取した対象において、摂取前に比べて制御性T細胞の数を増加させることを指す。また、制御性T細胞の数の増加とは、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物の投与前に比べて、制御性T細胞の数を1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上またはそれ以上増加させることを指す。制御性T細胞の数の増加は、いずれの組織で確認されてもよく、例えば、脳、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、腸管、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋、リンパ節などで増加してもよく、特に脾臓、リンパ節における増加が挙げられる。
本明細書において、対象とはヒト、又はマウス、モルモット、チンパンジ−、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウシ若しくはウマなどの動物であり、好ましくはヒトである。
本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物は、食品組成物(以下、本発明の制御性T細胞の増加促進用食品組成物)として使用することができる。本発明の制御性T細胞の増加促進用食品組成物は、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物等、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定するものではない。具体例としては、サプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等)、飲料(炭酸飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等)、菓子(グミ、ゼリー、ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー、キャラメル、和菓子、スナック菓子等)、即席食品類(即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ、みそ汁類、フリーズドライ食品等)、油、油脂食品(マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、マーガリン等)、小麦粉製品(パン、パスタ、麺、ケーキミックス、パン粉等)、調味料(ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、つゆ類等)、畜産加工品(畜肉ハム、ソーセージ等)が挙げられる。
本発明の制御性T細胞の増加促進用食品組成物は、必要に応じて乳酸菌、ポリサッカライドAなどの多糖類、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、若しくはビタミンEなどのビタミン類、n-3系脂肪酸、又は、亜鉛若しくはマグネシウムなどの微量元素などの免疫抑制作用を有する成分を含んでもよい。
本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物はまた、医薬(以下、本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬)として使用することができる。本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬の剤形は経口剤であれば特に限定されるものではなく、例えば、粉剤、錠剤、顆粒剤、被覆錠剤、散剤、若しくはカプセル剤などの固形製剤、又は液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤などの液体製剤とすることができる。
本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬は、賦形剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、希釈剤、保存剤、安定化剤、矯味剤、保湿剤、防腐剤、又は酸化防止剤等を用いて、常法に従って上記の製剤を調製することができる。
本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬の投与量は、対象の年齢及び体重、症状、投与時間、剤型等に依存して適宜決定できる。例えば、本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬を経口投与する場合、有効成分であるヤーコンの加工物の総量として、成人1日当たり0.1〜10,000mg/kg体重、好ましくは5〜500mg/kg体重の範囲で、一日1回もしくは数回(2〜5回)に分けて投与することができる。
本発明はまた、ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症抑制用組成物(以下、本発明の炎症抑制用組成物)を提供する。本発明の炎症抑制用組成物に有効成分として含有されるヤーコンの加工物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物に有効成分として含有されるヤーコンの加工物と同様であってよい。
後述する実施例の通り、ヤーコン由来試料を摂取することにより、炎症性サイトカインの発現は有意に減少し、免疫チェックポイント分子の発現は有意に増加することが分かった。従って、ヤーコンの加工物は、炎症を抑制するための有効成分として本発明の炎症抑制用組成物に含有される。
本発明の炎症抑制用組成物によって抑制される炎症は、いずれの組織で生じる炎症であってもよく、例えば、脳、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、腸管、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋などで生じる炎症が挙げられるが、特に腸管における炎症であることが好ましい。腸管としては、小腸(十二指腸、空腸、回腸)と大腸(近位、遠位)が挙げられ、空腸、回腸および近位大腸が好ましく挙げられる。また、炎症は急性炎症であっても慢性炎症であってもよい。
本発明の炎症抑制用組成物によって発現が抑制される炎症性サイトカインは、炎症反応を惹起するサイトカインであれば特に制限されるものではないが、例えば、IL-1β、IL-6、IL-12p40、IL-17a、IL-23p19、IFNγ、TNFαなどが挙げられ、その中でも、IL-1β、IL-23p19、IFNγ、TNFαなどが好ましく挙げられる。また、炎症性サイトカインの発現の抑制とは、本発明の炎症抑制用組成物の投与前に比べて、炎症性サイトカインの発現量を5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上抑制することを指す。
また、本発明の炎症抑制用組成物によって発現が促進される免疫チェックポイント分子は、T細胞膜上に発現し、リガンド分子が結合することでT細胞の活性を抑制する分子であれば特に制限されるものではないが、例えば、CTLA-4、PD-1、Tim-3、BTLA、LAG-3などが挙げられその中でも、CTLA-4、PD-1、Tim-3などが好ましく挙げられる。また、免疫チェックポイント分子の発現の促進とは、本発明の炎症抑制用組成物の投与前に比べて、免疫チェックポイント分子の発現量を5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、100%以上増加させることを指す。
本発明の炎症抑制用組成物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物と同様、食品組成物(以下、本発明の炎症抑制用食品組成物)として使用することができる。本発明の炎症抑制用食品組成物の形態は、本発明の制御性T細胞の増加促進用食品組成物の形態と同様であってよい。
また、本発明の炎症抑制用組成物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物と同様、医薬(以下、本発明の炎症抑制用医薬)として使用することができる。本発明の炎症抑制用医薬の剤形、投与量等は、本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬の剤形、投与量等と同様であってよい。
本発明はまた、ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症性疾患の予防または治療用組成物(以下、本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物)を提供する。本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物に有効成分として含有されるヤーコンの加工物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物または本発明の炎症抑制用組成物に有効成分として含有されるヤーコンの加工物と同様であってよい。
本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物によって予防または治療される炎症性疾患としては、本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物によって抑制される炎症に起因する疾患であれば特に制限されないが、例えば、腎炎(糸球体腎炎、IgA腎症、糖尿病性腎症等)、歯周病(歯肉炎、歯周囲炎等)、肝炎(アルコール性肝炎、非アルコール性肝炎等)、肝硬変、喘息、気管支炎、遅延型アレルギー、急性呼吸窮迫症候群、全身性エリテマトーデス、クローン病、アトピー性皮膚炎、肺炎、関節炎(慢性リウマチ様関節炎等)、慢性潰瘍性大腸炎、慢性気管支炎、膀胱炎、慢性骨髄炎、逆流性食道炎、胆管炎、慢性胆嚢炎、胃炎、慢性子宮頚部炎などが挙げられる。
本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物または本発明の炎症抑制用組成物と同様、食品組成物(以下、本発明の炎症性疾患の予防または治療用食品組成物)として使用することができる。本発明の炎症性疾患の予防または治療用食品組成物の形態は、本発明の制御性T細胞の増加促進用食品組成物または本発明の炎症抑制用食品組成物の形態と同様であってよい。
また、本発明の炎症性疾患の予防または治療用組成物は、本発明の制御性T細胞の増加促進用組成物または本発明の炎症抑制用組成物と同様、医薬(以下、本発明の炎症性疾患の予防または治療用医薬)として使用することができる。本発明の炎症性疾患の予防または治療用医薬の剤形、投与量等は、本発明の制御性T細胞の増加促進用医薬または本発明の炎症抑制用医薬の剤形、投与量等と同様であってよい。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実験に用いるヤーコン試料として、株式会社ファイン社で加工された粉末状のヤーコンを使用した。この粉末状のヤーコンは、ヤーコン塊根の抽出液を乾燥した粉末(50%+デキストリン50%からなり、以下ヤーコンパウダーと称する。
実験にはBALB/cのオスマウスとメスマウスを各々10匹ずつ、合計20匹を用いた。4週齢のマウスを標準飼料と蒸留水で飼育した。1週間の予備飼育後の5週齢のマウスに、ヤーコン含有試料水又は通常の滅菌蒸留水を与えて8週間(13週齢になるまで)飼育した。ヤーコン含有試料水として、蒸留水にヤーコンパウダーを1.0%の濃度で溶かしたものを用いた。オスマウスとメスマウスを2群に分け、ヤーコン含有試料水を与えたヤーコン群(n=10/オス5匹、メス5匹)と、滅菌蒸留水を与えたコントロール群(n=10/オス5匹、メス5匹)を設定した。
マウスの飼育は、おがくずを敷いたプラスチック製のケージで、室温22〜23℃、湿度40〜60%、12時間の明暗サイクルの空調室で行った。飼料及び飲料水は自由摂取させた。実験開始時及び実験飼育期間中の1週間に1度、体重、餌摂取量、及び飲料量を測定した。
体重変化量および餌摂取量は、ヤーコン群およびコントロール群間で差が無かった。飲料量に関しては、1週間あたりの平均摂取量はヤーコン群の方が多かた。マウスが13週齢に達しときに、FACS(fluorescence-activated cell sorting)による制御性T細胞の定量を行うために、脾臓と腸間膜リンパ節を摘出した。さらにヘマトキシリン・エオジン(HE)染色による組織観察とサイトカインの遺伝子発現量を定量するために空腸、回腸及び大腸(近位)を摘出した。
FACSを用いた解析により、組織から単離した細胞におけるCD4+Foxp3+細胞(制御性T細胞)の割合を検討した。脾臓(SP)から単離した細胞における制御性T細胞の割合は、ヤーコン群の任意に選択した1マウスでは5.66%であり、コントロール群の任意に選択した1マウスでは4.44%であった。また、コントロール群全体に比べてヤーコン群全体では制御性T細胞の割合は有意に増加した(図1上段)。また、腸間膜リンパ節(MLN)から単離した細胞における制御性T細胞の割合は、ヤーコン群の上記選択した1マウスでは10.9%であり、コントロール群の上記選択した1マウスでは6.14%であった。また、コントロール群全体に比べてヤーコン群全体では制御性T細胞の割合は有意に増加した(図1下段)。
組織観察においては、ヤーコン群とコントロール群間に差はなく、ヤーコンに含まれる多量の食物繊維による組織損傷は観察されなかった。さらに空腸、回腸、大腸(近位)における各種の炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-12p40、IL-17a、IL-23p19、IFNγ、TNFα)、抗炎症性サイトカイン(IL-10)および免疫チェックポイント分子(CTLA-4、PD-1、Tim-3)の遺伝子発現量を示す。空腸の結果を図2に、回腸における結果を図3に、大腸(近位)における結果を図4に、それぞれ示す。図2〜図4において縦軸はハウスキーピング遺伝子発現量に対する各サイトカインおよび免疫チェックポイント分子の遺伝子発現量をパーセンテージで示したものである。ヤーコン群において、測定した炎症性サイトカインが有意な減少または減少する傾向を示した。また、ヤーコン群において、免疫チェックポイント分子が有意な増加または増加する傾向を示した(図2〜図4)。
本発明の組成物を摂取することにより、制御性T細胞を増加させることができる。また、本発明の組成物を摂取することにより、炎症性サイトカインの発現を抑制し、免疫チェックポイント分子の発現を促進できる。よって本発明の組成物は自己免疫疾患やアレルギーを抑制するのに極めて有用である。

Claims (13)

  1. ヤーコンの加工物を有効成分として含有する、制御性T細胞の増加促進用組成物。
  2. 前記ヤーコンの加工物がヤーコンの塊根の加工物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記加工物が粉砕物、抽出液、搾汁液または乾燥粉末である、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記組成物が食品組成物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記組成物が医薬である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症抑制用組成物。
  7. 前記炎症抑制が腸管における炎症抑制である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記炎症抑制が炎症性サイトカイン発現抑制および/または免疫チェックポイント分子発現促進である、請求項6または7に記載の組成物。
  9. 前記組成物が食品組成物である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  10. 前記組成物が医薬である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のヤーコンの加工物を有効成分として含有する、炎症性疾患の予防または治療用組成物。
  12. 前記組成物が食品組成物である、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記組成物が医薬である、請求項11に記載の組成物。
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