JP2021078328A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、軽負荷状態や無負荷状態であっても安定して運転を継続することができる電力変換装置を提供することを目的とする。【解決手段】電力変換装置1は、直列接続された電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni,及び交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnを有する下アーム31Un,31Vn,31Wnと、交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnに直列接続された交流リアクトル312Up,312Vp,312Wp及び交流リアクトル312Up,312Vp,312Wpに直列接続された電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiを有する上アーム31Up,31Vp,31Wpとをそれぞれ有する複数のレグ31U,31V,31Wと、複数のレグ31U,31V,31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、有効電力及び無効電力の少なくとも一方を供給する電力変換装置に関する。
電力系統の品質維持のため、無効電力を補償する電力変換装置が運用されている。このような電力変換装置の大容量化が望まれている。自己消弧形の半導体スイッチ素子を用いることによって小型化を図りつつ、大容量化を実現することができる電力変換方式として、モジュラーマルチレベルカスケード変換器の実用化が進められている(例えば、特許文献1及び2並びに非特許文献1)。
特開2012−44839号公報 特開2017−143626号公報
H.アカギ(H.Akagi)著、「(Multilevel Converters: Fundamental Circuits and Systems)」,(米国),米国電気電子学会誌(Proceedings of the IEEE),pp2048−2065,Volume:105,Issue:11,Nov.2017
本発明の目的は、軽負荷状態や無負荷状態であっても安定して運転を継続することができる電力変換装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様による電力変換装置は、直列接続された第一電力変換回路セル及び第一コイルを有する第一アームと、前記第一コイルに直列接続された第二コイル及び前記第二コイルに直列接続された第二電力変換回路セルを有する第二アームとをそれぞれ有する複数のレグと、前記複数のレグの両端の間を接続して設けられた導電部材とを備え、前記第一電力変換回路セル及び前記第二電力変換回路セルは、直列接続された2個の半導体スイッチと、前記2個の半導体スイッチに並列接続された蓄電素子とを有する。
本発明の一態様によれば、軽負荷状態や無負荷状態であっても安定して運転を継続することができる。
本発明の第1実施形態による電力変換装置の概略構成を示す回路ブロック図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置に備えられた複数のレグのそれぞれに設けられた電力変換回路セルの概略構成を示す回路図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置の概略構成を示す簡易ブロック図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置に設けられた電流抑制部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置に設けられたアーム電圧指令値生成部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第2実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置に設けられた電流抑制部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第3実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置に設けられた電流抑制部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4実施形態による電力変換装置に備えられた制御装置に設けられた電流抑制部の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第5実施形態による電力変換装置に備えられた複数のレグのそれぞれに設けられた電力変換回路セルの概略構成を示す回路図である。
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態による電力変換装置について図1から図6を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置について、電力系統向けの自励式静止形無効電力補償装置((Static Var Compensator:STATCOM)の用途を想定した場合の二重スターブリッジセル型(Double Star Bridge Cells:DSBC)の三相モジュラーマルチレベル変換器(以下、「モジュラーマルチレベル変換器」を「MMCC」と略記する場合がある)を例にとって説明する。
(電力制御システム)
本実施形態による電力変換装置が用いられる電力制御システムについて図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による電力変換装置1が用いられる電力制御システムPSの概略構成を示す回路ブロック図である。
図1に示すように、電力制御システムPSは、三相電力系統2と、三相電力系統2から供給される電力を電源として動作する負荷装置(不図示)と、三相電力系統2に連系する電力変換装置1とを備えている。三相電力系統2は、三相の交流電力を生成する三相交流電源21と、三相交流電源21で生成された電力が供給されるケーブル22とを有している。三相交流電源21は、U相の交流電力を供給するU相交流電源211と、V相交流電力を供給するV相交流電源212と、W相交流電力を供給するW相交流電源213とを有している。ケーブル22は、U相交流電源で生成されたU相の交流電力が供給されるU相ケーブル221と、V相交流電源212で生成されたV相の交流電力が供給されるV相ケーブル222と、W相交流電源213で生成されたW相の交流電力が供給されるW相ケーブル223とを有している。
(電力変換装置)
次に、電力制御システムPSに設けられた電力変換装置の構成について図1を用い説明する。
図1に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、三相電力系統2に連系された主回路部3と、主回路部3を制御する制御装置5(詳細は後述する)とを備えている。主回路部3は、下アーム(第一アームの一例)31Un,31Vn,31Wn及び上アーム(第二アームの一例)31Up,31Vp,31Wpを有するU相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31W(複数のレグの一例)を備えている。このように、電力変換装置1は、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wを用いた三相電圧形電力変換器である。
U相レグ31Uは、下アーム31Un及び上アーム31Upを有している。V相レグ31Vは、下アーム31Vn及び上アーム31Vpを有している。W相レグ31Wは、下アーム31Wn及び上アーム31Wpを有している。U相レグ31Uは、下アーム31Unと上アームUpとの接続部に設けられた端子31Utを介して三相電力系統2のU相ケーブル221に接続されている。V相レグ31Vは、下アーム31Vnと上アームVpとの接続部に設けられた端子31Vtを介して三相電力系統2のV相ケーブル222に接続されている。W相レグ31Wは、下アーム31Wnと上アームWpとの接続部に設けられた端子31Wtを介して三相電力系統2のW相ケーブル223に接続されている。
図1に示すように、U相レグ31Uに設けられた下アーム31Unは、直列接続された電力変換回路セル311Un1,・・・,311Unx(第一電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Un(第一コイルの一例)を有している。ここで、xは、下アーム31Unに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。U相レグ31Uに設けられた上アーム31Upは、直列接続された電力変換回路セル311Up1,・・・,311Upx(第二電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Up(第二コイルの一例)を有している。ここで、xは、上アーム31Upに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。
V相レグ31Vに設けられた下アーム31Vnは、直列接続された電力変換回路セル311Vn1,・・・,311Vnx(第一電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Vn(第一コイルの一例)を有している。ここで、xは、下アーム31Vnに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。V相レグ31Vに設けられた上アーム31Vpは、直列接続された電力変換回路セル311Vp1,・・・,311Vpx(第二電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Vp(第二コイルの一例)を有している。ここで、xは、上アーム31Vpに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。
W相レグ31Wに設けられた下アーム31Wnは、直列接続された電力変換回路セル311Wn1,・・・,311Wnx(第一電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Wn(第一コイルの一例)を有している。ここで、xは、下アーム31Wnに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。W相レグ31Wに設けられた上アーム31Wpは、直列接続された電力変換回路セル311Wp1,・・・,311Wpx(第二電力変換回路セルの一例)及び交流リアクトル312Wp(第二コイルの一例)を有している。ここで、xは、上アーム31Wpに設けられた電力変換回路セルの個数を示している。
図1に示すように、電力変換装置1に備えられた主回路部3は、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32を有している。導電部材32は、例えばU相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wが同一の回路基板上に設けられている場合は、例えば当該回路基板上に形成された配線パターンで構成される。また、導電部材32は、例えばU相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wが異なる回路基板上に設けられている場合は、例えば当該回路基板の間を接続する配線ケーブルで構成される。
図1に示すように、U相レグ31Uに設けられた下アーム31Unにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Un1,・・・,311Unxのうちの電力変換回路セル311Un1が交流リアクトル312Unに接続されている。U相レグ31Uに設けられた上アーム31Upにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Up1,・・・,311Upxのうちの電力変換回路セル311Up1が交流リアクトル312Upに接続されている。交流リアクトル312Un及び交流リアクトル312Upの接続部が端子31Utに接続されている。交流リアクトル312Un及び交流リアクトル312Upの接続部が端子31Utを介して三相電力系統2のU相ケーブル221に接続されている。
下アーム31Unに設けられた電力変換回路セル311Unx及び上アーム31Upに設けられた電力変換回路セル311UpがU相レグ31Uの両端に配置されている。電力変換回路セル311Unxは、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Up1は、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Unx及び電力変換回路セル311Up1は、導電部材32を介して接続されている。
図1に示すように、V相レグ31Vに設けられた下アーム31Vnにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Vn1,・・・,311Vnxのうちの電力変換回路セル311Vn1が交流リアクトル312Vnに接続されている。V相レグ31Vに設けられた上アーム31Vpにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Vp1,・・・,311Vpxのうちの電力変換回路セル311Vp1が交流リアクトル312Vpに接続されている。交流リアクトル312Vn及び交流リアクトル312Vpの接続部が端子31Vtに接続されている。交流リアクトル312Vn及び交流リアクトル312Vpの接続部が端子31Vtを介して三相電力系統2のV相ケーブル222に接続されている。
下アーム31Vnに設けられた電力変換回路セル311Vnx及び上アーム31Vpに設けられた電力変換回路セル311VpがV相レグ31Vの両端に配置されている。電力変換回路セル311Vnxは、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Vp1は、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Vnx及び電力変換回路セル311Vp1は、導電部材32を介して接続されている。
図1に示すように、W相レグ31Wに設けられた下アーム31Wnにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Wn1,・・・,311Wnxのうちの電力変換回路セル311Wn1が交流リアクトル312Wnに接続されている。W相レグ31Wに設けられた上アーム31Wpにおいて、直列接続された電力変換回路セル311Wp1,・・・,311Wpxのうちの電力変換回路セル311Wp1が交流リアクトル312Wpに接続されている。交流リアクトル312Wn及び交流リアクトル312Wpの接続部が端子31Wtに接続されている。交流リアクトル312Wn及び交流リアクトル312Wpの接続部が端子31Wtを介して三相電力系統2のW相ケーブル223に接続されている。
下アーム31Wnに設けられた電力変換回路セル311Wnx及び上アーム31Wpに設けられた電力変換回路セル311WpがW相レグ31Wの両端に配置されている。電力変換回路セル311Wnxは、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Wp1は、電力変換回路セル(不図示)と接続されていない側の端部で導電部材32に接続されている。電力変換回路セル311Wnx及び電力変換回路セル311Wp1は、導電部材32を介して接続されている。
下アーム31Un、下アーム31Vn及び下アーム31Wnは、スター結線(Y結線)され、上アーム31Up、上アーム31Up及び上アーム31Wpは、スター結線(Y結線)されている。このため、主回路部3は、ダブルスター結線構造を有している。導電部材32は、下アーム31Un、下アーム31Vn及び下アーム31Wnの中性点と、上アーム31Up、上アーム31Vp及び上アーム31Wpの中性点とを接続している。
(電力変換回路セル)
次に、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wにそれぞれ設けられた電力変換回路セルの具体的な構成について図1を参照しつつ図2を用いて説明する。U相レグ31Uの下アーム31Un及び上アーム31Up、V相レグ31Vの下アーム31Vn及び上アーム31Vp並びにW相レグ31Wの下アーム31Wn及び上アーム31Wpのそれぞれに設けられた電力変換回路セルは、互いに同様の構成を有している。そこで、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wのそれぞれに設けられた電力変換回路セルの具体的な構成について、下アーム31Un及び上アーム31Upに設けられた電力変換回路セルを例にとって説明する。
図2は、U相レグ31Uの下アーム31Unに設けられた電力変換回路セル311Un1,・・・,311Unxのうちの電力変換回路セル311Uni(iは1〜xまでの自然数)及びU相レグ31Uの上アーム31Upに設けられた電力変換回路セル311Up1,・・・,311Upxのうちの電力変換回路セル311Upi(iは1〜xまでの自然数)の回路構成の一例を示す図である。
図2に示すように、電力変換回路セル311Uniは、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbと、直列に接続された複数(本実施形態では2個)の半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdを有している。半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbと、半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdとは、並列に接続されている。さらに、電力変換回路セル311Uniは、半導体モジュールMa,Mb及び半導体モジュールMc,Mdに並列に接続されたコンデンサC1を有している。本実施形態では、電力変換回路セル311Uniに設けられた蓄電素子は、コンデンサC1を有している。
半導体モジュールMaは、半導体スイッチQaと、半導体スイッチQaに逆並列接続された還流用ダイオードDaとを有している。半導体モジュールMbは、半導体スイッチQbと、半導体スイッチQbに逆並列接続された還流用ダイオードDbとを有している。半導体モジュールMcは、半導体スイッチQcと、半導体スイッチQcに逆並列接続された還流用ダイオードDcとを有している。半導体モジュールMdは、半導体スイッチQdと、半導体スイッチQdに逆並列接続された還流用ダイオードDdとを有している。
したがって、電力変換回路セル311Uniは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。さらに、電力変換回路セル311Uniは、直列接続された2個の半導体スイッチQc,Qcを有している。2個の半導体スイッチQc,Qcは、2個の半導体スイッチQa,Qb及びコンデンサC1に並列に接続されている。
本実施形態では、半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdは、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)で構成されている。半導体スイッチQaのコレクタ端子は、還流用ダイオードDaのカソード端子、半導体スイッチQcのコレクタ端子及び還流用ダイオードDcのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQaのエミッタ端子は、還流用ダイオードDaのアノード端子、半導体スイッチQbのコレクタ端子及び還流用ダイオードDbのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQaのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQaのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUni_aが入力され、半導体スイッチQaのオン/オフが制御される。
半導体スイッチQbのエミッタ端子は、半導体スイッチQdのエミッタ端子及び還流用ダイオードDdのアノード端子に接続されている。半導体スイッチQbのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQbのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUni_bが入力され、半導体スイッチQbのオン/オフが制御される。
半導体スイッチQcのエミッタ端子は、還流用ダイオードDcのアノード端子、半導体スイッチQdのコレクタ端子及び還流用ダイオードDdのカソード端子に接続されている。半導体スイッチQcのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQbのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUni_cが入力され、半導体スイッチQcのオン/オフが制御される。
半導体スイッチQdのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQdのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUni_dが入力され、半導体スイッチQdのオン/オフが制御される。
コンデンサC1の一方の電極は、半導体スイッチQaのコレクタ端子、還流用ダイオードDaのカソード端子、半導体スイッチQcのコレクタ端子及び還流用ダイオードDcのカソード端子に接続されている。コンデンサC1の他方の電極は、半導体スイッチQbのエミッタ端子、還流用ダイオードDbのアノード端子、半導体スイッチQdのエミッタ端子及び還流用ダイオードDdのアノード端子に接続されている。
半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbの接続部は、電力変換回路セル311Uniの端子T1に接続されている。半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdの接続部は、電力変換回路セル311Uniの端子T2に接続されている。電力変換回路セル311Uni(i=2,3,・・・,x−1)の端子T1は、電力変換回路セル311Uni−1(i=2,3,・・・,x−1)の端子T2に接続されている。電力変換回路セル311Uni(i=1,2,・・・,x−1)の端子T2は、電力変換回路セル311Uni+1(i=1,2,・・・,x−1)の端子T1に接続されている。電力変換回路セル311Un1の端子T1は、交流リアクトル312Unの一端子に接続されている。電力変換回路セル311Unxの端子T2は、導電部材32、V相レグ31Vの下アーム31Vnに設けられた電力変換回路セル311Vnx(図1参照)の端子T2(不図示)及びW相レグ31Wの下アーム31Wnに設けられた電力変換回路セル311Wnx(図1参照)の端子T2(不図示)に接続されている。
端子T1及び端子T2の電位差である電圧vUniは、端子T1の電位の方が端子T2の電位よりも高い場合を正の電圧とし、端子T1の電位の方が端子T2の電位よりも低い場合を負の電圧とする。
電力変換回路セル311Uniは、コンデンサC1の両電極間の電圧を検出する電圧検出部313を有している。電圧検出部313は、制御装置5に接続されている。電圧検出部313は、検出した電圧vc_Uniを制御装置5に出力するように構成されている。電圧vc_Uniは、半導体モジュールMa,Mcに接続された一方の電極の電位の方が半導体モジュールMb,Mdに接続された他方の電極の電位よりも高い場合を正の電圧とし、当該一方の電極の電位の方が当該他方の電極の電位よりも低い場合を負の電圧とする。
図2に示すように、電力変換回路セル311Upiは、電力変換回路セル311Uniと同様の構成を有している。このため、電力変換回路セル311Upiに関し、電力変換回路セル311Uniと同様の作用・機能を有する構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
したがって、電力変換回路セル311Upiは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。さらに、電力変換回路セル311Upiは、直列接続された2個の半導体スイッチQc,Qcを有している。2個の半導体スイッチQc,Qcは、2個の半導体スイッチQa,Qb及びコンデンサC1に並列に接続されている。本実施形態では、電力変換回路セル311Upiに設けられた蓄電素子は、コンデンサC1を有している。
半導体スイッチQaのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQaのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUpi_aが入力され、半導体スイッチQdのオン/オフが制御される。半導体スイッチQbのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQbのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUpi_bが入力され、半導体スイッチQbのオン/オフが制御される。半導体スイッチQcのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQcのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUpi_cが入力され、半導体スイッチQdのオン/オフが制御される。半導体スイッチQdのゲート端子は、制御装置5に接続されている。これにより、半導体スイッチQdのゲート端子には制御装置5から出力されるゲートパルス信号SUpi_dが入力され、半導体スイッチQdのオン/オフが制御される。
電力変換回路セル311Upiに設けられた半導体モジュールMa及び半導体モジュールMbの接続部は、電力変換回路セル311Upiの端子T1に接続されている。電力変換回路セル311Upiに設けられた半導体モジュールMc及び半導体モジュールMdの接続部は、電力変換回路セル311Upiの端子T2に接続されている。電力変換回路セル311Upi(i=2,3,・・・,x−1)の端子T1は、電力変換回路セル311Upi−1(i=2,3,・・・,x−1)の端子T2に接続されている。電力変換回路セル311Upi(i=1,2,・・・,x−1)の端子T2は、電力変換回路セル311Upi+1(i=1,2,・・・,x−1)の端子T1に接続されている。電力変換回路セル311Upxの端子T2は、交流リアクトル312Upの他端子に接続されている。なお、交流リアクトル312Upの一端子は、交流リアクトル312Unの他端子に接続されている。電力変換回路セル311Up1の端子T1は、導電部材32、V相レグ31Vの上アーム31Vpに設けられた電力変換回路セル311Vp1(図1参照)の端子T1(不図示)及びW相レグ31Wの上アーム31Wpに設けられた電力変換回路セル311Wp1(図1参照)の端子T1(不図示)に接続されている。
電力変換回路セル311Upiの端子T1及び端子T2の電位差である電圧vUpiは、端子T1の電位の方が端子T2の電位よりも高い場合を正の電圧とし、端子T1の電位の方が端子T2の電位よりも低い場合を負の電圧とする。
電力変換回路セル311Upiに設けられた電圧検出部313は、検出した電圧vc_Upiを制御装置5に出力するように構成されている。電圧vc_Upiは、半導体モジュールMa,Mcに接続された一方の電極の電位の方が半導体モジュールMb,Mdに接続された他方の電極の電位よりも高い場合を正の電圧とし、当該一方の電極の電位の方が当該他方の電極の電位よりも低い場合を負の電圧とする。
本実施形態において、各アームに設けられる電力変換回路セルの直列数は、電力変換装置1の装置仕様の1つである最大出力電圧に応じて決定される。したがって、電力変換装置1は、アームごとに電力変換回路セルを1個又は複数個(2個以上)有していてもよい。また、本実施形態では、電力変換回路セルは、2レベル型のフルブリッジ変換器セルの回路構成を有しているが、両極性の電圧を出力可能であれば他の型(例えば中性点クランプ3レベル型のフルブリッジ変換器セル等)でもよい。
(制御装置)
次に、電力変換装置1に備えられて半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを制御する制御装置(制御部の一例)5について、図1及び図2を参照しつつ図3から図6を用いて説明する。制御装置5を説明するに当たって、電力変換装置1の各部の電圧及び電流を定義する。図3は、電力変換装置1に備えられた主回路部3が簡易等価回路で図示されるとともに、各部の電圧及び電流を示している。また、図3では、制御装置5の図示が省略されている。以下の説明では、簡単化のため、半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを制御するゲートパルス信号を生成するためのパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)によって発生する高調波の影響は無視する。また、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wのそれぞれに設けられた下アーム31Un,31Vn,31Wn及び上アーム31Up,31Vp,31Wpは、指令値どおりの電圧成分及び電流成分のみを出力すると仮定する。
図3に示すように、三相電力系統2に関する系統電圧及び出力電流を以下のとおりとする。各相の出力電流の極性は、三相電力系統2から電力変換装置1に向かって流れる電流を正とし、電力変換装置1から三相電力系統2に向かって流れる電流を負とする。
:U相交流電源211が出力する系統電圧
:V相交流電源212が出力する系統電圧
:W相交流電源213が出力する系統電圧
:U相交流電源211から主回路部3に流入する出力電流
:V相交流電源212から主回路部3に流入する出力電流
:W相交流電源213から主回路部3に流入する出力電流
U相レグ31Uに設けられた下アーム(以下、「U相の下アーム」と称する場合がある)31Un及び上アーム(以下、「U相の上アーム」と称する場合がある)31Upのそれぞれの両端電圧(出力電圧)を以下のとおりとする。また、V相レグ31Vに設けられた下アーム(以下、「V相の下アーム」と称する場合がある)31Vn及び上アーム(以下、「V相の上アーム」と称する場合がある)31Vpのそれぞれの両端電圧(出力電圧)を以下のとおりとする。さらに、W相レグ31Wに設けられた下アーム(以下、「W相の下アーム」と称する場合がある)31Wn及び上アーム(以下、「W相の上アーム」と称する場合がある)31Wpのそれぞれの両端電圧(出力電圧)を以下のとおりとする。
Un:U相の下アーム31Unの両端電圧
Up:U相の上アーム31Upの両端電圧
Vn:V相の下アーム31Vnの両端電圧
Vp:V相の上アーム31Vpの両端電圧
Wn:W相の下アーム31Wnの両端電圧
Wp:V相の上アーム31Vpの両端電圧
U相の下アーム31Un、U相の上アーム31Up、V相の下アーム31Vn、V相の上アーム31Vp、W相の下アーム31Wn及びW相の上アーム31Wpのそれぞれの一端子から他端子に流れる出力電流を以下のとおりとする。各アームの出力電流の極性は、電力変換回路セルの端子T2から端子T1(図2参照)に向かって流れる電流を正とし、端子T1から端子T1に向かって流れる電流を負とする。
Un:U相の下アーム31Unの出力電流
Up:U相の上アーム31Upの出力電流
Vn:V相の下アーム31Vnの出力電流
Vp:V相の上アーム31Vpの出力電流
Wn:W相の下アーム31Wnの出力電流
Wp:V相の上アーム31Vpの出力電流
U相レグ31U、V相レグ31V、W相レグ31Wのそれぞれを循環する循環電流を以下のとおりとする。各レグにおける循環電流の極性は、下アームから上アームに向かって流れる電流を正とし、上アームから下アームに向かって流れる電流を負とする。
cir_u:U相レグ31Uを循環する循環電流
cir_v:V相レグ31Vを循環する循環電流
cir_w:W相レグ31Wを循環する循環電流
導電部材32を循環する循環電流と、導電部材32の電位と接地電位との電位差である零相電圧を以下のとおりとする。導電部材32における循環電流の極性は、上アームの中性点から下アームの中性点に向かって流れる電流を正とし、下アームの中性点から上アームの中性点に向かって流れる電流を負とする。
cir:導電部材32の循環電流
:導電部材32の零相電圧
各アームの電力変換回路セルに設けられたコンデンサC1の電圧平均値は、以下のとおりとする。なお、各電圧平均値における「i」は、1からxまでの自然数である。
C_Un:U相レグ31Uの下アーム31Unにおけるコンデンサの電圧平均値
C_Up:U相レグ31Uの上アーム31Upにおけるコンデンサの電圧平均値
C_Vn:V相レグ31Vの下アーム31Vnにおけるコンデンサの電圧平均値
C_Vp:V相レグ31Vの上アーム31Vpにおけるコンデンサの電圧平均値
C_Wn:W相レグ31Wの下アーム31Wnにおけるコンデンサの電圧平均値
C_Wp:W相レグ31Wの上アーム31Wpにおけるコンデンサの電圧平均値
図1に示すように、これらの電圧及び電流のうち、系統電圧v,v,vは電圧検出部(不図示)、出力電流i,i,i及び出力電流iUn,iUp,iVn,iVp,iWn,iWpは電流検出部(不図示)で検出されて制御装置5に入力されるようになっている。さらに、電力変換回路セル311Uni,311Upi,311Vni,311Vpi,311Wni,311Wpiのそれぞれに設けられたコンデンサC1の電圧VC_Uni,VC_Unp,VC_Vni,VC_Vnp,VC_Wni,VC_Wpiは、電圧検出部313(図2参照)で検出されて制御装置5に入力されるようになっている。制御装置5は、主回路部3から入力されるこれらの電流及び電圧に基づいてアーム間の電力が平衡になるように半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを制御するように構成されている。
具体的には、図4に示すように、制御装置5は、導電部材32(図4では不図示、図1参照)に流れる電流を調整して下アーム31Un,31Vn,31Wnの電力と上アーム31Up,31Vp,31Wpの電力との平衡(バランス)が維持されるように制御するアーム間電力平衡化制御部(電力平衡化制御部の一例)5aを有している。また、制御装置5は、U相レグ31Uの下アーム31Un及び上アーム31Upの両端電圧の電圧指令値Vu_acr_ref、V相レグ31Vの下アーム31Vn及び上アーム31Vpの両端電圧の電圧指令値Vv_acr_ref、並びにW相レグ31Wの下アーム31Wn及び上アーム31Wpの両端電圧の電圧指令値Vw_acr_ref、を生成する電流調整部5bを有している。また、制御装置5は、ゲートパルス信号を生成するゲートパルス信号生成部5cを有している。また、制御装置5は、キャリア波を生成するキャリア波生成部5dを有している。
アーム間電力平衡化制御部5aは、U相レグ31Uの下アームUnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Upに設けられたコンデンサC1の電圧の平衡(バランス)、V相レグ31Vの下アーム31Vnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Vpに設けられたコンデンサC1の電圧の平衡(バランス)、並びにW相レグ31Wの下アーム31Wnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Wpに設けられたコンデンサC1の電圧の平衡(バランス)が維持されるように制御するコンデンサ電圧平衡化制御部(電圧平衡化制御部の一例)51を有している。
アーム間電力平衡化制御部5aは、U相レグ31Uの下アームUnの両端電圧vUn及び上アーム31Upの両端電圧vUp、V相レグ31Vの下アームVnの両端電圧vVn及び上アーム31Vpの両端電圧vVp、並びにW相レグ31Wの下アームWnの両端電圧vWn及び上アーム31Wpの両端電圧vWpのそれぞれの指令値を生成するアーム電圧指令値生成部52を有している。
コンデンサ電圧平衡化制御部51は、U相レグ31Uの下アームUnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Upに設けられたコンデンサC1の電圧の差分、V相レグ31Vの下アーム31Vnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Vpに設けられたコンデンサC1の電圧の差分、並びにW相レグ31Wの下アーム31Wnに設けられたコンデンサC1の電圧及び上アーム31Wpに設けられたコンデンサC1の電圧の差分を検出するコンデンサ電圧差分検出部(差分検出部の一例)511を有している。また、コンデンサ電圧平衡化制御部51は、導電部材32に流れる電流を調整してコンデンサ電圧差分検出部511で検出された差分を抑制する電流抑制部(抑制部の一例)512を有している。
アーム間電力平衡化制御部5a、電流調整部5b、ゲートパルス信号生成部5c及びキャリア波生成部5dなどの詳細については後述する。
次に、制御装置5に設けられたアーム間電力平衡化制御部5aの機能について、まず、数式によって説明し、次いで当該機能が発揮される構成をブロック図を用いて説明する。
ここで、一例としてU相の下アーム31Unに着目する。U相の下アーム31Unの両端電圧vUnは、交流リアクトル312Unの両端電圧をvL_Unとすると、以下の式(1)によって定義することができる。
Figure 2021078328
また、U相の下アームのコンデンサC1の電圧平均値vc_Upは、以下の式(2)によって定義することができる。
Figure 2021078328
式(1)及び式(2)中の「i」は自然数である。また、U相の上アーム31Up、V相の下アーム31Vn及び上アーム31Vp並びにW相の下アーム31Wn及び上アーム31Wpの両端電圧vUp,vVn,vVp,vWn,vWpは、式(1)と同様に定義できる。また、U相の上アーム31Up、V相の下アーム31Vn及び上アーム31Vp並びにW相の下アーム31Wn及び上アーム31WpのコンデンサC1の電圧平均値vC_Up,vC_Vn,vC_Vp,vC_Wn,vC_Wpは、式(1)と同様に定義できる。
導電部材32に流れる循環電流icirは、以下の式(3)のよって定義することができる。
cir=icir_u+icir_v+icir_w ・・・(3)
U相の下アーム31UnにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Unと、U相の上アーム31UpにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Upとの上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UYは、以下の式(4)のよって定義することができる。また、V相の下アームVnにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Vnと、V相レグ31Vの上アーム31VpにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Vpとの上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_VYは、以下の式(5)によって定義することができる。さらに、W相レグ31Wの下アーム31WnにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Wnと、W相レグ31Wの上アーム31WpにおけるコンデンサC1の電圧平均値vC_Wpは、以下の式(6)によって定義することができる。
ΔvC_UY=−vC_Up+vC_Un ・・・(4)
ΔvC_VY=−vC_Vp+vC_Vn ・・・(5)
ΔvC_WY=−vC_Wp+vC_Wn ・・・(6)
式(4)から式(5)に示す上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYは、3相2相座標変換をすることによって、便宜的に式(7)に示すように、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βY,ΔvC_0Yと表記することができる。
Figure 2021078328
電力変換装置1では、三相平衡電力を出力している条件において理想的には、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βY,ΔvC_0Yはゼロとなる。しかしながら、電力変換装置1の実用上、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βY,ΔvC_0Yは、電力変換装置1に用いられる部品の特性のばらつき等が影響してゼロにならずにアンバランスが生じてしまう。したがって、電力変換装置1は、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑える必要がある。なお、当該所定の範囲内は例えば、コンデンサC1の両電極間の電圧vc_Uni,vc_Upi,vc_Vni,vc_Vpi,vc_Wni,vc_Wpi,の絶対最大定格の1%から2%の範囲内である。
そこで、本実施形態による電力変換装置1は、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wの両端を互いに接続して回路パスとして機能する導電部材32に流れる循環電流icirを活用するように構成されている。これにより、電力変換装置1は、三相電力系統2との間でやり取りする電力が少ない軽負荷状態や当該電力がない無負荷状態であっても、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。その結果、電力変換装置1は、負荷状態によらず安定して運転を継続することができる。
表1は、U相の下アーム31Un及び上アーム31Up、V相の下アーム31Vn及び上アーム31Vp並びにW相の下アーム31Wn及び上アーム31Wpが出力可能な両端電圧(出力電圧)、出力電流及び出力電力を示す一覧表である。
Figure 2021078328
表1において、各アームが出力可能な出力電力は、以下のとおりとする。
Un:U相の下アーム31Unの出力電力
Up:U相の上アーム31Upの出力電力
Vn:V相の下アーム31Vnの出力電力
Vp:V相の上アーム31Vpの出力電力
Wn:W相の下アーム31Wnの出力電力
Wp:V相の上アーム31Vpの出力電力
U相の下アーム31Unの出力電力pUnと、U相の上アーム31Upの出力電力pUpとの出力電力差p_UY、V相の下アーム31Vnの出力電力pVnと、V相の上アーム31Vpの出力電力pVpとの出力電力差p_VY及びWU相の下アーム31Wnの出力電力pWnと、W相の上アーム31Wpの出力電力pWpとの出力電力差をp_WYは、以下の式(8)によって定義できる。
Figure 2021078328
上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYの値がゼロになるように、式(8)の右辺の第1項及び第2項の出力電力pUn,pUp,pVn,pVp,pWn,pWpの電力値を調整することにより、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βY,ΔvC_0Yをバランスさせることが可能である。式(8)の右辺の第1項は、U相の系統電圧v及びU相レグ31Uの循環電流icir_u、V相の系統電圧v及びV相レグ31Vの循環電流icir_v並びにW相の系統電圧v及びW相レグ31Wの循環電流icir_wのそれぞれによって発生する瞬時電力を示している。第2項は、零相電圧v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wによって発生する瞬時電力を示している。
コンデンサ電圧平衡化制御部51は、式(8)に基づいて、上下アーム間の電力バランスを制御するようになっている。すなわち、コンデンサ電圧平衡化制御部51は、少なくとも循環電流icir_u,icir_v,icir_wを調整することによって、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βY,ΔvC_0Yをバランスさせて上下アーム間の電力バランスを制御するようになっている。
ここで、U相の上下アームの出力電力差p_UY、V相の上下アームの出力電力差p_VY及びW相の上下アームの出力電力差をp_WYは、3相2相座標変換をすることによって、便宜的に式(9)に示すように、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βY,p_0Yと表記することができる。
Figure 2021078328
本実施形態による電力変換装置1の制御装置5に設けられたコンデンサ電圧平衡化制御部51は、式(8)の右辺の第1項に示す系統電圧v,v,v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wによって発生する瞬時電力を調整することによって、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑える(すなわちバランスさせる)ように構成されている。電力変換装置1は、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることによって、上下アーム間の電力バランスを制御することができる。
本実施形態では一例として、三相電力系統2の系統電圧v,v,vに対して逆相となる循環電流icir_u,icir_v,icir_wの循環電流成分を用いる。系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値をそれぞれVS_pとし、角周波数をωとすると、系統電圧v,v,vは、以下の式(10)によって定義することができる。
Figure 2021078328
電力変換装置1に注入する逆相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの実効値をそれぞれIcir_nとし、系統電圧v,v,vに対する当該逆相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの位相差をΦcir_nとすると、逆相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wは、式(11)によって定義することができる。
Figure 2021078328
式(10)及び式(11)を式(9)に代入すると、式(12)に示すように、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βYが定まる。
Figure 2021078328
式(12)に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、循環電流icir_u,icir_v,icir_wを制御して位相差Φcir_nを変更し、無効電力を制御して系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値VS_pを変更することによって、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βY、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。
次に、本実施形態による電力変換装置1に備えられた制御装置5の制御ブロックについて、図4から図6を用いて説明する。
図4に示すように、アーム間電力平衡化制御部5aのコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられたコンデンサ電圧差分検出部511には、U相の下アーム31Unの電力変換回路セル311Uni(iは1〜xまでの自然数)のそれぞれに設けられた電圧検出部313(図2参照)で検出された電圧vc_Uniが入力される。また、コンデンサ電圧差分検出部511には、U相の上アーム31Upの電力変換回路セル311Upi(iは1〜xまでの自然数)のそれぞれに設けられた電圧検出部313(図2参照)で検出された電圧vc_Upiが入力される。また、コンデンサ電圧差分検出部511には、V相の下アーム31Vnの電力変換回路セル311Vni及び上アーム31Vpに設けられた電力変換回路セル311Vpi(iは1〜xまでの自然数)のそれぞれに設けられた電圧検出部313で検出された電圧vc_Vni,vc_Vpiが入力される。さらに、コンデンサ電圧差分検出部511には、W相の下アーム31Wnの電力変換回路セル311Wni及び上アーム31Wpに設けられた電力変換回路セル311Wpi(iは1〜xまでの自然数)のそれぞれに設けられた電圧検出部313で検出された電圧vc_Wni,vc_Wpiが入力される。
これにより、コンデンサ電圧差分検出部511は、下アーム31Unに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Uni及び上アーム31Upに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Upiの差分を検出する。また、コンデンサ電圧差分検出部511は、下アーム31Vnに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Vni及び上アーム31Vpに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Vpiの差分を検出する。さらに、コンデンサ電圧差分検出部511は、下アーム31Wnに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Wni及び上アーム31Upに設けられたコンデンサC1の電圧vc_Wpiの差分を検出する。より具体的には、コンデンサ電圧差分検出部511は、電圧検出部313から入力される電圧vc_Uni,vc_Upi,vc_Vni,vc_Vpi,vc_Wni,vc_Wpiを用いて、式(2)から式(7)に基づく演算を実行し、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βYを算出し、算出したコンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βYを電流抑制部512に出力するように構成されている。
図5に示すように、コンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられた電流抑制部512は、コンデンサ電圧差分検出部511(図4参照)から出力されたコンデンサ電圧差分値ΔvC_αYが入力される低域通過フィルタ(Low Pass Filter:LPF)512aを有している。また、電流抑制部512は、コンデンサ電圧差分検出部511から出力されたコンデンサ電圧差分値ΔvC_αYが入力される低域通過フィルタ512fを有している。電圧検出部313が検出する電圧vc_Uni,vc_Upi,vc_Vni,vc_Vpi,vc_Wni,vc_Wpiには、U相交流電源211、V相交流電源212及びW相交流電源213(図1参照)からそれぞれ出力される交流電源の周波数の2倍成分の脈動が重畳されている。このため、電力変換装置1は、当該脈動が上下アームのコンデンサ電圧の平衡化制御に影響を与えないように、当該脈動を減衰させる目的で低域通過フィルタ512a,512fが設けられている。
電流抑制部512は、低域通過フィルタ512aを通過してコンデンサ電圧差分値ΔvC_αYから高周波の脈動が除去されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_αYの極性を反転させた信号が入力される加算部512bを有している。加算部512bには、0ボルトの電圧(例えばグランドと同電位の電圧)も入力されるように構成されている。加算部512bは、0ボルトの直流信号と極性反転されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_αYの信号とを加算、すなわち0ボルトの直流信号からコンデンサ電圧差分値ΔVC_αYの信号を減算した信号を出力するように構成されている。
電流抑制部512は、加算部512bに接続されたPI制御部512cを有している。PI制御部512cは、加算部512bから入力される信号に比例積分制御を施すように構成されている。PI制御部512cにおいて施される比例演算には、加算部512bでの加算結果の単位を電圧から電力に変換するパラメータが含まれている。これにより、PI制御部512cは、上下アーム間の出力電力差p_αYの指令値である上下アーム間の出力電力差指令値PYα_refを出力することができる。
電流抑制部512は、低域通過フィルタ512fを通過してコンデンサ電圧差分値ΔvC_βYから高周波の脈動が除去されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_βYの極性を反転させた信号が入力される加算部512gを有している。加算部512gには、0ボルトの電圧(例えばグランドと同電位の電圧)も入力されるように構成されている。加算部512gは、0ボルトの直流信号と極性反転されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_βYの信号とを加算、すなわち0ボルトの直流信号からコンデンサ電圧差分値ΔVC_βYの信号を減算した信号を出力するように構成されている。
電流抑制部512は、加算部512gに接続されたPI制御部512hを有している。PI制御部512hは、加算部512gから入力される信号に比例積分制御を施すように構成されている。PI制御部512hにおいて施される比例演算には、加算部512gでの加算結果の単位を電圧から電力に変換するパラメータが含まれている。これにより、PI制御部512hは、上下アーム間の出力電力差p_βYの指令値である上下アーム間の出力電力差指令値PYβ_refを出力することができる。
図5に示すように、電流抑制部512は、PI制御部512cから出力される上下アーム間の出力電力差指令値PYα_refと、PI制御部512hから出力される上下アーム間の出力電力差指令値PYβ_refとが入力されて上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの振幅を演算する振幅演算部512dを有している。振幅演算部512dは、上下アーム間の出力電力差指令値PYα_refの自乗と上下アーム間の出力電力差指令値PYβ_refの自乗との和の平方根によって上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの振幅を算出する。
電流抑制部512は、振幅演算部512dから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの振幅の値を系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値であって3相2相変換座標変換後の実効値√2VS_pで除算する除算部512eを有している。除算部512eは、振幅演算部512dから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refを実効値√2VS_pで除算することによって、逆相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの実効値Icir_nを算出することができる。実効値√2VS_pは、系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値である。このため、電流抑制部512は、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wが接続される三相電力系統2の電圧を用いて導電部材32に流れる循環電流icir_u,icir_v,icir_wを調整するように構成されている。
電流抑制部512は、低域通過フィルタ512aから出力されるコンデンサ電圧差分値ΔVC_αYと、低域通過フィルタ512fから出力されるコンデンサ電圧差分値ΔVC_βYとが入力されて上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの位相差φcir_nを演算する位相差演算部512iを有している。位相差演算部512iは、コンデンサ電圧差分値ΔVC_αYに対するコンデンサ電圧差分値ΔVC_βYの比を演算する演算部512i−1を有している。位相差演算部512iは、演算部512i−1から入力される演算結果の正接(タンジェント)の逆関数(アークタンジェント)を演算して上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの位相差φcir_nを算出する算出部512i−2を有している。
電流抑制部512は、除算部512eから出力される実効値Icir_nと、位相差演算部512iの算出部512i−2から出力される位相差φcir_nとが入力される循環電流指令値演算部512jを有している。循環電流指令値演算部512jは、式(11)で表される演算を実行するように構成されている。循環電流指令値演算部512jに入力される実効値Icir_nは、上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refに基づいている。また、本実施形態では、三相電力系統2の系統電圧v,v,vに対して逆相となる循環電流icir_u,icir_v,icir_wの循環電流成分を用いるようになっている。このため、循環電流指令値演算部512jは、逆相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの指令値である循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refを算出して出力することができる。循環電流指令値演算部512jから出力される循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refは、アーム電圧指令値生成部52(図4参照)に入力される。
図6は、アーム間電力平衡化制御部5aに設けられたアーム電圧指令値生成部52の概略構成の一例を示すブロック図である。図6では、理解を容易にするため、アーム電圧指令値生成部52に接続されたコンデンサ電圧平衡化制御部51、電流調整部5b及びゲートパルス信号生成部5c並びにゲートパルス信号生成部5cに接続されたキャリア波生成部5dが併せて図示されている。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52は、コンデンサ電圧平衡化制御部51から入力されるU相の下アーム31Unの出力電流iUn及びU相の上アーム31Upの出力電流iUpのそれぞれの電流信号を加算する加算部521uを有している。また、アーム電圧指令値生成部52は、加算部521uから出力される加算信号を2分の1に減算する減算部522uを有している。アーム電圧指令値生成部52は、加算部521u及び減算部522uによって、現時点でU相レグ31Uを循環する循環電流icir_uを算出することができる。
アーム電圧指令値生成部52は、減算部522uから出力される循環電流icir_uと、コンデンサ電圧平衡化制御部51の電流抑制部512に設けられた循環電流指令値演算部512j(図5参照)から入力される循環電流指令値icir_u_refの極性を反転させた信号とが入力される加算部523uを有している。加算部523uは、循環電流icir_uの電流信号と極性を反転させた循環電流指令値icir_u_refの信号を加算、すなわち循環電流icir_uの電流信号から循環電流指令値icir_u_refの信号を減算する。
アーム電圧指令値生成部52は、加算部523uに接続されたP制御部524uを有している。P制御部524uは、加算部523uから入力される信号に比例制御を施すように構成されている。P制御部524uにおいて施される比例演算には、加算部523uでの加算結果の単位を電流から電圧に変換するパラメータが含まれている。これにより、P制御部524uは、電流調整部5bで生成されるアーム電圧指令値vu_acr_refを補正するためのアーム電圧指令補正値vU_cir_refを生成することができる。アーム電圧指令値vu_acr_refは、三相電力系統2のU相交流電源211とU相レグ31Uとの間で入流出させる無効電圧の指令値である。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52に接続された電流調整部5bは、例えばACR(Auto Current Regulator)で構成されている。電流調整部5bには、電力変換装置1に設けられた電圧検出部(不図示)で検出された系統電圧v,v,vが入力される。また、電流調整部5bには、電力変換装置1に設けられた電流検出部(不図示)で検出された三相電力系統2から主回路部3に流入する出力電流i,i,iが入力される。さらに、電流調整部5bには、出力電流i,i,iの指令値である出力電流指令値iu_ref,iv_ref,iw_refが入力される。電流調整部5bは、入力される系統電圧v,v,v、出力電流i,i,i及び出力電流指令値iu_ref,iv_ref,iw_refに基づいて、アーム電圧指令値vu_acr_ref,vv_acr_ref,vw_acr_refを生成するように構成されている。アーム電圧指令値vv_acr_refは、三相電力系統2のV相交流電源212とV相レグ31Vとの間で入流出させる無効電圧の指令値である。アーム電圧指令値vw_acr_refは、三相電力系統2のW相交流電源213とW相レグ31Wとの間で入流出させる無効電圧の指令値である。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52は、P制御部524uから出力されるアーム電圧指令補正値vU_cir_refが入力される第一加算部525u及び第二加算部526uを有している。第一加算部525uには、電流調整部5bから出力されるU相レグ31Uのアーム電圧指令値vu_acr_refの極性を反転させた信号も入力される。第二加算部526uには、電流調整部5bから出力されるU相レグ31Uのアーム電圧指令値vu_acr_refの極性を反転させない信号も入力される。
第一加算部525uは、U相レグ31Uのアーム電圧指令値vu_acr_refの極性を反転させた信号にアーム電圧指令補正値vU_cir_refの信号を加算する。これにより、第一加算部525uは、アーム電圧指令値vu_acr_refの極性を反転させた信号をアーム電圧指令補正値vU_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、U相の上アーム31Upのアーム電圧指令値vUp_refを生成する。第二加算部526uは、U相レグ31Uのアーム電圧指令値vu_acr_refの信号にアーム電圧指令補正値vU_cir_refの信号を加算する。これにより、第二加算部526uは、アーム電圧指令値vu_acr_refの信号をアーム電圧指令補正値vU_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、U相の下アーム31Unのアーム電圧指令値vUn_refを生成する。第一加算部525uで生成されたアーム電圧指令値vUp_ref及び第二加算部526uで生成されたアーム電圧指令値vUn_refは、ゲートパルス信号生成部5cに入力される。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52は、コンデンサ電圧平衡化制御部51から入力されるV相の下アーム31Vnの出力電流iVn及びV相の上アーム31Vpの出力電流iVpのそれぞれの電流信号を加算する加算部521vを有している。また、アーム電圧指令値生成部52は、加算部521vから出力される加算信号を2分の1に減算する減算部522vを有している。アーム電圧指令値生成部52は、加算部521v及び減算部522vによって、現時点でV相レグ31Vを循環する循環電流icir_vを算出することができる。
アーム電圧指令値生成部52は、減算部522vから出力される循環電流icir_vと、コンデンサ電圧平衡化制御部51の電流抑制部512に設けられた循環電流指令値演算部512j(図5参照)から入力される循環電流指令値icir_v_refの極性を反転させた信号とが入力される加算部523vを有している。加算部523vは、循環電流icir_vの電流信号と極性を反転させた循環電流指令値icir_v_refの信号を加算、すなわち循環電流icir_vの電流信号から循環電流指令値icir_v_refの信号を減算する。
アーム電圧指令値生成部52は、加算部523vに接続されたP制御部524vを有している。P制御部524vは、加算部523vから入力される信号に比例制御を施すように構成されている。P制御部524vにおいて施される比例演算には、加算部523vでの加算結果の単位を電流から電圧に変換するパラメータが含まれている。これにより、P制御部524vは、電流調整部5bで生成されるアーム電圧指令値vv_acr_refを補正するためのアーム電圧指令補正値vV_cir_refを生成することができる。
アーム電圧指令値生成部52は、P制御部524vから出力されるアーム電圧指令補正値vV_cir_refが入力される第一加算部525v及び第二加算部526vを有している。第一加算部525vには、電流調整部5bから出力されるV相レグ31Vのアーム電圧指令値vv_acr_refの極性を反転させた信号も入力される。第二加算部526vには、電流調整部5bから出力されるV相レグ31Vのアーム電圧指令値vv_acr_refの極性を反転させない信号も入力される。
第一加算部525vは、V相レグ31Vのアーム電圧指令値vv_acr_refの極性を反転させた信号にアーム電圧指令補正値vV_cir_refの信号を加算する。これにより、第一加算部525vは、アーム電圧指令値vv_acr_refの極性を反転させた信号をアーム電圧指令補正値vV_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、V相の上アーム31Vpのアーム電圧指令値vVp_refを生成する。第二加算部526vは、V相レグ31Vのアーム電圧指令値vv_acr_refの信号にアーム電圧指令補正値vV_cir_refの信号を加算する。これにより、第二加算部526vは、アーム電圧指令値vv_acr_refの信号をアーム電圧指令補正値vV_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、V相の下アーム31Vnのアーム電圧指令値vVn_refを生成する。第一加算部525vで生成されたアーム電圧指令値vVp_ref及び第二加算部526vで生成されたアーム電圧指令値vVn_refは、ゲートパルス信号生成部5cに入力される。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52は、コンデンサ電圧平衡化制御部51から入力されるW相の下アーム31Wnの出力電流iWn及びW相の上アーム31Wpの出力電流iWpのそれぞれの電流信号を加算する加算部521wを有している。また、アーム電圧指令値生成部52は、加算部521wから出力される加算信号を2分の1に減算する減算部522wを有している。アーム電圧指令値生成部52は、加算部521w及び減算部522wによって、現時点でW相レグ31Wを循環する循環電流icir_wを算出することができる。
アーム電圧指令値生成部52は、減算部522wから出力される循環電流icir_wと、コンデンサ電圧平衡化制御部51の電流抑制部512に設けられた循環電流指令値演算部512j(図5参照)から入力される循環電流指令値icir_w_refの極性を反転させた信号とが入力される加算部523wを有している。加算部523wは、循環電流icir_wの電流信号と極性を反転させた循環電流指令値icir_w_refの信号を加算、すなわち循環電流icir_wの電流信号から循環電流指令値icir_w_refの信号を減算する。
アーム電圧指令値生成部52は、加算部523wに接続されたP制御部524wを有している。P制御部524wは、加算部523wから入力される信号に比例制御を施すように構成されている。P制御部524wにおいて施される比例演算には、加算部523wでの加算結果の単位を電流から電圧に変換するパラメータが含まれている。これにより、P制御部524wは、電流調整部5bで生成されるアーム電圧指令値vw_acr_refを補正するためのアーム電圧指令補正値vW_cir_refを生成することができる。
アーム電圧指令値生成部52は、P制御部524wから出力されるアーム電圧指令補正値vW_cir_refが入力される第一加算部525w及び第二加算部526wを有している。第一加算部525wには、電流調整部5bから出力されるW相レグ31Wのアーム電圧指令値vw_acr_refの極性を反転させた信号も入力される。第二加算部526wには、電流調整部5bから出力されるW相レグ31Wのアーム電圧指令値vw_acr_refの極性を反転させない信号も入力される。
第一加算部525wは、W相レグ31Wのアーム電圧指令値vw_acr_refの極性を反転させた信号にアーム電圧指令補正値vW_cir_refの信号を加算する。これにより、第一加算部525wは、アーム電圧指令値vw_acr_refの極性を反転させた信号をアーム電圧指令補正値vW_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、W相の上アーム31Wpのアーム電圧指令値vWp_refを生成する。第二加算部526wは、W相レグ31Wのアーム電圧指令値vw_acr_refの信号にアーム電圧指令補正値vW_cir_refの信号を加算する。これにより、第二加算部526wは、アーム電圧指令値vw_acr_refの信号をアーム電圧指令補正値vW_cir_ref分だけ正側に電圧シフトした、W相の下アーム31Wnのアーム電圧指令値vWn_refを生成する。第一加算部525wで生成されたアーム電圧指令値vWp_ref及び第二加算部526wで生成されたアーム電圧指令値vWn_refは、ゲートパルス信号生成部5cに入力される。
図6に示すように、アーム電圧指令値生成部52は、キャリア波生成部5dを有している。キャリア波生成部5dは、U相レグ31Uのためのキャリア波SCui、V相レグ31Vのためのキャリア波SCvi及びW相レグ31Wようのキャリア波SCwiを生成してゲートパルス信号生成部5cに出力する。キャリア波SCui、キャリア波SCvi及びキャリア波SCwiは、相間においては同位相であり、相内では位相が1/(x+1)度ずつずらされている。
ゲートパルス信号生成部5cは、第一加算部525uから入力されるアーム電圧指令値vup_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCuiに基づいて、U相レグ31Uの上アーム31Upに設けられた電力変換回路セル311Upi(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SUpi_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SUpi_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SUpi_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SUpi_dを生成する。
ゲートパルス信号生成部5cは、第二加算部526uから入力されるアーム電圧指令値vun_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCuiに基づいて、U相レグ31Uの下アーム31Unに設けられた電力変換回路セル311Uni(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SUni_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SUni_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SUni_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SUni_dを生成する。
ゲートパルス信号生成部5cは、第一加算部525vから入力されるアーム電圧指令値vvp_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCviに基づいて、V相レグ31Vの上アーム31Vpに設けられた電力変換回路セル311Vpi(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SVpi_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SVpi_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SVpi_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SVpi_dを生成する。
ゲートパルス信号生成部5cは、第二加算部526vから入力されるアーム電圧指令値vvn_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCviに基づいて、V相レグ31Vの下アーム31Vnに設けられた電力変換回路セル311Vni(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SVni_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SVni_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SVni_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SVni_dを生成する。
ゲートパルス信号生成部5cは、第一加算部525wから入力されるアーム電圧指令値vwp_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCwiに基づいて、W相レグ31Wの上アーム31Wpに設けられた電力変換回路セル311Wpi(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SWpi_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SWpi_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SWpi_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SWpi_dを生成する。
ゲートパルス信号生成部5cは、第二加算部526wから入力されるアーム電圧指令値vWn_ref及びキャリア波生成部5dから入力されるキャリア波SCwiに基づいて、W相レグ31Wの下アーム31Wnに設けられた電力変換回路セル311Wni(iは1からxまでの自然数)のそれぞれに設けられた半導体スイッチQaを制御するためのゲートパルス信号SWni_a、半導体スイッチQbを制御するためのゲートパルス信号SWni_b、半導体スイッチQcを制御するためのゲートパルス信号SWni_c及び半導体スイッチQdを制御するためのゲートパルス信号SWni_dを生成する。
このように、ゲートパルス信号SUni_a〜SUni_d,SUpi_a〜SUpi_d,SVni_a〜SVni_d,SVpi_a〜SVpi_d,SWni_a〜SWni_d,SWpi_a〜SWpi_dは、上下アーム間の出力電力差(すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値)を抑制するためのアーム電圧指令値vUn_ref,vUp_ref,vVn_ref,vVp_ref,vWn_ref,vWp_refに基づいて生成されている。このため、U相の下アーム31Un及び上アーム31Up、V相の下アーム31Vn及び上アームVp並びにW相の下アーム31Wu及び上アームWpのそれぞれに設けられた半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdがゲートパルス信号SUni_a〜SUni_d,SUpi_a〜SUpi_d,SVni_a〜SVni_d,SVpi_a〜SVpi_d,SWni_a〜SWni_d,SWpi_a〜SWpi_dによってオン/オフ動作することにより、上下アーム間の出力電力差(すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値)が抑制される。その結果、電力変換装置1は、軽負荷状態や無負荷状態であっても安定して運転を継続することができる。
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置は、直列接続された電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnを有する下アーム31Un,31Vn,31Wnと、交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnに直列接続された交流リアクトル312Up,312Vp,312Wp及び交流リアクトル312Up,312Vp,312Wpに直列接続された電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiを有する上アーム31Up,31Vp,31Wpとをそれぞれ有する複数のレグ31U,31V,31Wと、複数のレグ31U,31V,31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32とを備え、電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。
このような構成を備える電力変換装置は、軽負荷状態や無負荷状態であっても安定して運転を継続することができる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態による電力変換装置について図7を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と同様に、上述の式(8)の右辺の第2項に示す零相電圧v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wによって発生する瞬時電力を調整することによって、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑える(すなわちバランスさせる)ように構成されている点に特徴を有している。また、本実施形態による電力変換装置は、電流抑制部の構成を除いて、上記第1実施形態による電力変換装置1と同様の構成を有している。以下、本実施形態による電力変換装置の説明において、図1から図3、図4及び図6を参照するとともに、上記第1実施形態による電力変換装置1と同様の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施形態では一例として、互いに同じ周波数成分(本例では直流)の、零相電圧v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wを用いる。本実施形態では、零相電圧vは、定格系統電圧をVS_ratedとおき、定数をαとおくと、以下の(13)にて定義することができる。定数αは、U相の下アーム31Un及び上アーム31Up、V相の下アーム31Vn及び上アームVp並びにW相の下アーム31Wu及び上アームWpが出力可能な、系統電圧v,v,vに対するマージンであり、例えば0.05である。
=α×VS_rated ・・・(13)
U相レグ31の循環電流icir_u、V相レグ31Vの循環電流icir_v及びW相レグWの循環電流icir_wは、振幅をIcir_dcとおき、位相差をΦcir_dcとおくと、以下の式(14)として定義することができる。
Figure 2021078328
式(13)及び式(14)を式(9)に代入すると、式(15)に示すように、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βYが定まる。
Figure 2021078328
式(15)に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、零相電圧vを制御して定格系統電圧VS_ratedを変更し、循環電流icir_u,icir_v,icir_wを制御して位相差Φcir_dcを変更することによって、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βY、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。
本実施形態による電力変換装置1は、制御装置5のアーム間電力平衡化制御部5aのコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられた電流抑制部512(図4参照)に代えて、図7に示す電流抑制部513を備えている。
本実施形態による電力変換装置1は、式(15)に基づいて、上下アーム間の出力電力差p_αY,p_βYを抑制、すなわち平衡化を図るように構成されている。このため、図7に示すように、本実施形態における電流抑制部513は、振幅演算部512dから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refの振幅の値を、零相電圧v(すなわち定格系統電圧VS_rated及び定数αを乗算した値)を√2倍した値で除算する除算部513eを有している。除算部513eは、振幅演算部512dから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refを零相電圧vで除算することによって、正相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの振幅Icir_dcを算出することができる。このように、電流抑制部513は、導電部材32の零相電圧vを用いて導電部材23に流れる循環電流icir_u,icir_v,icir_wを調整するように構成されている。
電流抑制部513は、除算部512eから出力される振幅Icir_dcの値と、位相差演算部512iの算出部512i−2から出力される位相差φcir_dcとが入力される循環電流指令値演算部513jを有している。位相差φcir_dcを算出する位相差演算部512iは、上記第1実施形態における位相差演算部512iと同様の構成を有しているため、説明は省略する。循環電流指令値演算部513jは、式(14)で表される演算を実行するように構成されている。循環電流指令値演算部513jに入力される振幅Icir_dcの値は、上下アーム間の出力電力差指令値PYα_ref,PYβ_refに基づいている。また、本実施形態では、三相電力系統2の系統電圧v,v,vに対して正相となる循環電流icir_u,icir_v,icir_wの循環電流成分を用いるようになっている。このため、循環電流指令値演算部513jは、正相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの指令値である循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refを算出して出力することができる。循環電流指令値演算部512jから出力される循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refは、アーム電圧指令値生成部52に入力される(図4参照)。
本実施形態における制御装置5は、除算部513e及び循環電流指令値演算部513j以外の構成は、上記第1実施形態における制御装置5と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置は、直列接続された電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnを有する下アーム31Un,31Vn,31Wnと、交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnに直列接続された交流リアクトル312Up,312Vp,312Wp及び交流リアクトル312Up,312Vp,312Wpに直列接続された電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiを有する上アーム31Up,31Vp,31Wpとをそれぞれ有する複数のレグ31U,31V,31Wと、複数のレグ31U,31V,31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32とを備え、電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。
このような構成を備える本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態による電力変換装置は、導電部材32に流れる循環電流Icir(換言すると循環電流icir_u,icir_v,icir_w)を調整して上下アーム間のコンデンサの電圧の差分(コンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WY)を抑制する電流抑制部513を備えている。電流抑制部513は、導電部材32の電圧である零相電圧vを用いて導電部材32に流れる循環電流を調整するように構成されている。
このような構成を備える本実施形態による電力変換装置は、上下アーム間の出力電力差、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値を所定の範囲内に抑えるために、三相電力系統2に出力する出力電流及び出力電圧に依存しない。このため、本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と比較して、三相電力系統2との間でやり取りする電力が少ない軽負荷状態や当該電力がない無負荷状態であってもより安定して運転を継続することができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態による電力変換装置について図8を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と同様に、上述の式(8)の右辺の第1項に示す系統電圧v,v,v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wによって発生する瞬時電力を調整することによって、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑える(すなわちバランスさせる)ように構成されている点に特徴を有している。また、本実施形態による電力変換装置は、電流抑制部の構成を除いて、上記第1実施形態による電力変換装置1と同様の構成を有している。以下、本実施形態による電力変換装置の説明において、図1から図3、図4及び図6を参照するとともに、上記第1実施形態による電力変換装置1と同様の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施形態では一例として、三相電力系統2の系統電圧v,v,vと同じ周波数の正相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wが電力変換装置1に注入される。系統電圧v,v,vは、上述の式(10)によって定義することができる。また、循環電流icir_u,icir_v,icir_wの実効値をそれぞれIcir_pとし、角周波数をωとすると、循環電流icir_u,icir_v,icir_wは、以下の式(16)によって定義することができる。
Figure 2021078328
式(10)及び式(16)を式(9)に代入すると、式(17)に示すように、上下アーム間の出力電力差p_0Yが定まる。
_0Y=√3×VS_p×Icir_p ・・・(17)
式(17)に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、循環電流icir_u,icir_v,icir_wを制御して位相差Φcir_dcを変更することによって、上下アーム間の出力電力差p_0Y、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。
本実施形態による電力変換装置1は、制御装置5のアーム間電力平衡化制御部5aのコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられた電流抑制部512(図4参照)に代えて、図8に示す電流抑制部513を備えている。また、本実施形態におけるコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられたコンデンサ電圧差分検出部511は、コンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βYに代えて、コンデンサ電圧差分値ΔvC_0Yを電流抑制部513に出力するように構成されている。
図7に示すように、コンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられた電流抑制部514は、コンデンサ電圧差分検出部511(図4参照)から出力されたコンデンサ電圧差分値ΔvC_0Yが入力される低域通過フィルタ(Low Pass Filter:LPF)514aを有している。低域通過フィルタ514aは、電圧検出部313(図2参照)が検出する電圧vc_Uni,vc_Upi,vc_Vni,vc_Vpi,vc_Wni,vc_Wpiに重畳される、U相交流電源211、V相交流電源212及びW相交流電源213(図1参照)からそれぞれ出力される交流電源の周波数の2倍成分の脈動を減衰させるために設けられている。
電流抑制部514は、低域通過フィルタ514aを通過してコンデンサ電圧差分値ΔvC_0Yから高周波の脈動が除去されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_0Yの極性を反転させた信号が入力される加算部514bを有している。加算部514bには、0ボルトの電圧(例えばグランドと同電位の電圧)も入力されるように構成されている。加算部514bは、0ボルトの直流信号と極性反転されたコンデンサ電圧差分値ΔVC_0Yの信号とを加算、すなわち0ボルトの直流信号からコンデンサ電圧差分値ΔVC_0Yの信号を減算した信号を出力するように構成されている。
電流抑制部514は、加算部514bに接続されたPI制御部514cを有している。PI制御部514cは、加算部514bから入力される信号に比例積分制御を施すように構成されている。PI制御部514cにおいて施される比例演算には、加算部514bでの加算結果の単位を電圧から電力に変換するパラメータが含まれている。これにより、PI制御部514cは、上下アーム間の出力電力差p_0Yの指令値である上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refを出力することができる。
電流抑制部514は、PI制御部514cから出力される上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refを系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値であって3相2相変換座標変換後の実効値√3VS_pで除算する除算部514dを有している。除算部514dは、PI制御部514cから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refを実効値√3VS_pで除算することによって、正相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの実効値Icir_pを算出することができる。実効値√3VS_pは、系統電圧v,v,vの線間電圧の実効値である。このため、電流抑制部514は、U相レグ31U、V相レグ31V及びW相レグ31Wが接続される三相電力系統2の電圧を用いて導電部材32に流れる循環電流icir_u,icir_v,icir_wを調整するように構成されている。
電流抑制部514は、除算部514dから出力される実効値Icir_pが入力される循環電流指令値演算部514eを有している。循環電流指令値演算部514eは、式(16)で表される演算を実行するように構成されている。循環電流指令値演算部514eに入力される実効値Icir_pは、上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refに基づいている。また、本実施形態では、三相電力系統2の系統電圧v,v,vに対して正相となる循環電流icir_u,icir_v,icir_wの循環電流成分を用いるようになっている。このため、循環電流指令値演算部514eは、正相の循環電流icir_u,icir_v,icir_wの指令値である循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refを算出して出力することができる。循環電流指令値演算部514eから出力される循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refは、アーム電圧指令値生成部52(図4参照)に入力される。
本実施形態における制御装置5は、コンデンサ電圧差分検出部511及び電流抑制部514以外の構成は、上記第1実施形態における制御装置5と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置は、直列接続された電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnを有する下アーム31Un,31Vn,31Wnと、交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnに直列接続された交流リアクトル312Up,312Vp,312Wp及び交流リアクトル312Up,312Vp,312Wpに直列接続された電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiを有する上アーム31Up,31Vp,31Wpとをそれぞれ有する複数のレグ31U,31V,31Wと、複数のレグ31U,31V,31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32とを備え、電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。
このような構成を備える本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と同様の効果を奏することができる。
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態による電力変換装置について図9を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置は、上記第2実施形態による電力変換装置と同様に、上述の式(8)の右辺の第2項に示す零相電圧v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wによって発生する瞬時電力を調整することによって、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑える(すなわちバランスさせる)ように構成されている点に特徴を有している。また、本実施形態による電力変換装置は、電流抑制部の構成を除いて、上記第1実施形態による電力変換装置と同様の構成を有している。以下、本実施形態による電力変換装置の説明において、図1から図3、図4及び図6を参照するとともに、上記第1実施形態から上記第3実施形態による電力変換装置1と同様の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施形態では一例として、互いに同じ周波数成分(本例では直流)の、零相電圧v及び循環電流icir_u,icir_v,icir_wを用いる。本実施形態では、上記第2実施形態と同様に、零相電圧vは、上述の式(13)にて定義される。
U相レグ31の循環電流icir_u、V相レグ31Vの循環電流icir_v及びW相レグWの循環電流icir_wは、振幅をIcir_0_dcとおくと、以下の式(18)として定義することができる。
Figure 2021078328
式(13)及び式(18)を式(9)に代入すると、式(19)に示すように、上下アーム間の出力電力差p_0Yが定まる。
_0Y=(2/√3)×α×VS_rated ×Icir_0_dc ・・・(19)
式(19)に示すように、本実施形態による電力変換装置1は、零相電圧vを制御して定格系統電圧VS_ratedを変更し、循環電流icir_u,icir_v,icir_wを制御して振幅Icir_0_dcを変更することによって、上下アーム間の出力電力差p_0Y、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。
本実施形態による電力変換装置1は、制御装置5のアーム間電力平衡化制御部5aのコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられた電流抑制部512(図4参照)に代えて、図9に示す電流抑制部515を備えている。また、本実施形態におけるコンデンサ電圧平衡化制御部51に設けられたコンデンサ電圧差分検出部511は、コンデンサ電圧差分値ΔvC_αY,ΔvC_βYに代えて、コンデンサ電圧差分値ΔvC_0Yを電流抑制部513に出力するように構成されている。
図9に示すように、本実施形態における電流抑制部515は、低域通過フィルタ514a、加算部514b及びPI制御部514cを有している。電流抑制部515に設けられた低域通過フィルタ514a、加算部514b及びPI制御部514cは、上記第3実施形態における電流抑制部514に設けられた低域通過フィルタ514a、加算部514b及びPI制御部514cと同様の構成を有し、同様の機能を発揮するため、説明は省略する。
電流抑制部514は、PI制御部514cから出力される上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refを、「(2/√3)×α×VS_rated」で求められる値で除算する除算部515dを有している。除算部515dは、PI制御部514cから出力された上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refを「(2/√3)×α×VS_rated」で求められる値で除算することによって、循環電流icir_u,icir_v,icir_wの振幅を合計した振幅Icir_dcを算出することができる。このように、電流抑制部514は、導電部材32の零相電圧v(より具体的には零相電圧vに基づく「(2/√3)×α×VS_rated」で求められる値)を用いて導電部材23に流れる循環電流icir_u,icir_v,icir_wを調整するように構成されている。
電流抑制部514は、除算部515dから出力される振幅Icir_0_dcの値が入力される循環電流指令値演算部515eを有している。循環電流指令値演算部515eは、式(18)で表される演算を実行するように構成されている。循環電流指令値演算部515eに入力される振幅Icir_0_dcの値は、上下アーム間の出力電力差指令値PY0_refに基づいている。また、除算部515dにおいて、零相電圧vの定格系統電圧VS_rated及び定数αに基づく「(2/√3)×α×VS_rated」で求められる値が用いるようになっている。このため、循環電流指令値演算部515eは、循環電流icir_u,icir_v,icir_wの指令値である循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refを算出して出力することができる。循環電流指令値演算部515eから出力される循環電流指令値icir_u_ref,icir_v_ref,icir_w_refは、アーム電圧指令値生成部52(図4参照)に入力される。
本実施形態における制御装置5は、除算部514d及び循環電流指令値演算部514e以外の構成は、上記第3実施形態における制御装置5と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態による電力変換装置は、直列接続された電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnを有する下アーム31Un,31Vn,31Wnと、交流リアクトル312Un,312Vn,312Wnに直列接続された交流リアクトル312Up,312Vp,312Wp及び交流リアクトル312Up,312Vp,312Wpに直列接続された電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiを有する上アーム31Up,31Vp,31Wpとをそれぞれ有する複数のレグ31U,31V,31Wと、複数のレグ31U,31V,31Wの両端の間を接続して設けられた導電部材32とを備え、電力変換回路セル311Uni,311Vni,311Wni及び電力変換回路セル311Upi,311Vpi,311Wpiは、直列接続された2個の半導体スイッチQa,Qbと、2個の半導体スイッチQa,Qbに並列接続されたコンデンサC1とを有している。
このような構成を備える本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態による電力変換装置と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態による電力変換装置は、導電部材32に流れる循環電流Icir(換言すると循環電流icir_u,icir_v,icir_w)を調整して上下アーム間のコンデンサの電圧の差分(コンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WY)を抑制する電流抑制部514を備えている。電流抑制部514は、導電部材32の電圧である零相電圧vを用いて導電部材32に流れる循環電流を調整するように構成されている。
このような構成を備える本実施形態による電力変換装置は、上下アーム間の出力電力差、すなわち上下アーム間のコンデンサ電圧差分値を所定の範囲内に抑えるために、三相電力系統2に出力する出力電流及び出力電圧に依存しない。このため、本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態及び上記第3実施形態による電力変換装置と比較して、三相電力系統2との間でやり取りする電力が少ない軽負荷状態や当該電力がない無負荷状態であってもより安定して運転を継続することができる。
〔第5実施形態〕
本発明の第5実施形態による電力変換装置について図10を用いて説明する。本実施形態による電力変換装置は、蓄電素子として設けられた二次電池の残容量を制御して上下アーム間の出力電力差を所定の範囲内に抑える点に特徴を有している。本実施形態による電力変換装置は、電力変換回路セルの構成が異なる点を除いて、上記第1実施形態による電力変換装置と同様の概略構成を有している。以下、本実施形態による電力変換装置の説明において、図1を参照するとともに、上記第1実施形態による電力変換装置1と同様の作用・機能を奏する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
図10に示すように、U相レグ31Uの下アーム31Unの電力変換回路セル311Uni(iは1〜xまでの自然数)に設けられた蓄電素子は、コンデンサC2と、コンデンサC2に並列に接続された二次電池314とを有している。また、電力変換回路セル311Uniは、二次電池314の残容量(State−Of−Charge:SOC)を検出する電池管理システム(Battery Management System:BMS)315を有している。電池管理システム315は、制御装置5に接続されている。電池管理システム315が検出する二次電池314の残容量の情報は、制御装置5に送信される。
同様に、U相レグ31Uの上アーム31Upの電力変換回路セル311Upi(iは1〜xまでの自然数)に設けられた蓄電素子は、コンデンサC2と、コンデンサC2に並列に接続された二次電池314とを有している。また、電力変換回路セル311Upiは、二次電池314の残容量を検出する電池管理システム315を有している。電池管理システム315は、制御装置5に接続されている。電池管理システム315が検出する二次電池314の残容量の情報は、制御装置5に送信される。
図示は省略するが、V相レグ31Uの下アーム31Vn及び上アーム31Vp並びにW相レグ31Wの下アーム31Wn及び上アーム31Wpのそれぞれに設けられた電力変換回路セルも同様に、コンデンサC2、コンデンサC2に並列に接続された二次電池314及び二次電池314の残容量を検出する電池管理システム315を有している。
コンデンサC2の両電極間の電圧は、二次電池314の両端電圧により定まる。このため、本実施形態による電力変換装置は、コンデンサC2の両電極間の直流電圧を制御装置5に出力する必要はない。本実施形態による電力変換装置は、コンデンサC2の両電極間の直流電圧の代わりに、電池管理システム315が検出する二次電池314の残容量の情報を制御装置5に送信するように構成されている。制御装置5は、電池管理システム315から入力される電力変換回路セルの二次電池314の残容量の差分を抑制することができるように構成されている。
制御装置5に設けられたコンデンサ電圧差分検出部(差分検出部の一例)は、U相の下アーム31Uniに設けられた二次電池314の残容量及びU相の上アーム31Upiに設けられた二次電池314の残容量の差分を検出するように構成されている。また、当該コンデンサ電圧差分検出部は、V相の下アーム31Vniに設けられた二次電池314の残容量及びV相の上アーム31Vpiに設けられた二次電池314の残容量の差分を検出するように構成されている。さらに、当該コンデンサ電圧差分検出部は、W相の下アーム31Wniに設けられた二次電池314の残容量及びW相の上アーム31Wpiに設けられた二次電池314の残容量の差分を検出するように構成されている。
当該コンデンサ電圧差分検出部は、検出する二次電池314の残容量を電圧に変換することが可能に構成されている。当該コンデンサ電圧差分検出部は、変換した電圧を用いて、上記第1実施形態から第4実施形態による電力変換装置に設けられたコンデンサ電圧差分検出部511と同様の動作が可能になる。これにより、本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態から第4実施形態による電力変換装置のいずれかと同様の動作により、上下アーム間のコンデンサ電圧差分値ΔvC_UY,ΔvC_VY,ΔvC_WYを所定の範囲内に抑えることができる。
その結果、本実施形態による電力変換装置は、上記第1実施形態から第4実施形態による電力変換装置と同様の効果が得られる。さらに、本実施形態による電力変換装置は、コンデンサC2と並列に二次電池314を有することにより、サージ電圧をコンデンサC2で抑制するとともに、より長時間にわたって有効電力を補償することが可能である。
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
上記第1実施形態から上記第5実施形態による電力変換装置1は、4個の半導体スイッチを有する複数の電力変換回路セルを備えているが、本発明はこれに限られない。例えば、電力変換装置は、直列接続された2個の半導体スイッチを有する複数の電力変換回路セルを有していても同様の効果が得られる。
上記第1実施形態から上記第5実施形態による電力変換装置1は、IGBTで構成された半導体スイッチQa,Qb,Qc,Qdを有しているが、本発明はこれに限られない。電力変換装置1は、例えば、ゲートターンオフサイリスタ(Gate Turn−Off thyristor:GTO)、集積化ゲート転流型サイリスタ(Integrated Gate Commutated Turn−off thyristor:GCT)、又はMOS型電界効果トランジスタ(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)などで構成された半導体スイッチを有していてもよい。
上記第1実施形態から上記第4実施形態による電力変換装置は、コンデンサC1の容量を、上下アーム間の電力を平衡化するために必要な容量よりも大きく設計してもよい。この場合、電力変換装置は、例えば、電力系統が瞬間的に停電した場合でも、電力系統の負荷に短時間、有効電力を供給することができる。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
1 電力変換装置
2 三相電力系統
3 主回路部
5 制御装置
5a アーム間電力平衡化制御部
5b 電流調整部
5c ゲートパルス信号生成部
5d キャリア波生成部
21 三相交流電源
22 ケーブル
31U U相レグ
31Un,31Vn,31Wn 下アーム
31Up,31Vp,31Wp 上アーム
31Ut,31Vt,31Wt,T1,T2 端子
31V V相レグ
31w W相レグ
31W W相レグ
32 導電部材
51 コンデンサ電圧平衡化制御部
52 アーム電圧指令値生成部
211 U相交流電源
212 V相交流電源
213 W相交流電源
221 U相ケーブル
222 V相ケーブル
223 W相ケーブル
311Un1,311Uni,311Uni−1,311Unx,311Up,311Up1,311Upi,311Upi−1,311Upx,311Vn1,311Vni,311Vnx,311Vp,311Vp1,311Vpi,311Wn1,311Wni,311Wnx,311Wp,311Wp1,311Wpi 電力変換回路セル
312Un,312Up,312Vn,312Vp,312Wn,312Wp 交流リアクトル
313 電圧検出部
314 二次電池
315 電池管理システム
511 コンデンサ電圧差分検出部
512 電流抑制部
512,513,514,515 電流抑制部
512a,512f,514a 低域通過フィルタ
512b、512g 加算部
512c、512h,514c,524u,524v,524w P制御部
512d 振幅演算部
512e,513e,514d,515d 除算部
512i 位相差演算部
512i−1 演算部
512i−2 算出部
512j,513j,514e,515e 循環電流指令値演算部
514b,521u,521v,521w,523u,523v,523w 加算部
522u,522v,522w 減算部
525u,525v,525w 第一加算部
526u,526v,526w 第二加算部
C1,C2 コンデンサ
Da,Db,Dc,Dd 還流用ダイオード
Ma,Mb,Mc,Md 半導体モジュール
PS 電力制御システム
Qa,Qb,Qc,Qd 半導体スイッチ

Claims (9)

  1. 直列接続された第一電力変換回路セル及び第一コイルを有する第一アームと、前記第一コイルに直列接続された第二コイル及び前記第二コイルに直列接続された第二電力変換回路セルを有する第二アームとをそれぞれ有する複数のレグと、
    前記複数のレグの両端の間を接続して設けられた導電部材と
    を備え、
    前記第一電力変換回路セル及び前記第二電力変換回路セルは、直列接続された2個の半導体スイッチと、前記2個の半導体スイッチに並列接続された蓄電素子とを有する
    電力変換装置。
  2. 前記半導体スイッチを制御する制御部を備え、
    前記制御部は、前記導電部材に流れる電流を調整して前記第一アームの電力と前記第二アームの電力との平衡が維持されるように制御する電力平衡化制御部を有する
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記電力平衡化制御部は、前記第一アームに設けられた前記蓄電素子の電圧及び前記第二アームに設けられた前記蓄電素子の電圧の平衡が維持されるように制御する電圧平衡化制御部を有する
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記電圧平衡化制御部は、
    前記第一アームに設けられた前記蓄電素子の電圧及び前記第二アームに設けられた前記蓄電素子の電圧の差分を検出する差分検出部と、
    前記導電部材に流れる電流を調整して前記差分を抑制する抑制部と
    を有する
    請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記抑制部は、前記複数のレグが接続される電力系統の電圧を用いて前記導電部材に流れる電流を調整する
    請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記抑制部は、前記導電部材の電圧を用いて該導電部材に流れる電流を調整する
    請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記蓄電素子は、コンデンサを有する
    請求項4から6までのいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記差分検出部は、前記第一アームに設けられた前記コンデンサの電圧及び前記第二アームに設けられた前記コンデンサの電圧の差分を検出する
    請求項7に記載の電力変換装置。
  9. 前記蓄電素子は、前記コンデンサに並列に接続された二次電池を有し、
    前記差分検出部は、前記第一アームに設けられた前記二次電池の残容量及び前記第二アームに設けられた前記二次電池の残容量の差分を検出する
    請求項7に記載の電力変換装置。
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