JP2023071319A - 電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラム - Google Patents
電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】電力系統において不平衡事故が発生した場合においても、連系点に所望の電力量の無効電力を供給することができる電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラムを提供することである。【解決手段】実施形態の電力変換装置は、電力変換器と、制御装置と、電圧検出器と、電流検出器と、を持つ。電力変換器は、連系する電力系統との連系点に対して無効電力を供給する、または無効電力を消費する。制御装置は、電力変換器の制御を行う。電圧検出器は、電力変換器の交流側に設置され、連系点における交流電圧を検出する。電流検出器は、電力変換器の交流側に設置され、連系点における交流電流を検出する。制御装置は、交流電圧に基づいて正相交流電圧と逆相交流電圧を検出し、正相交流電圧および逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値および無効電力指令値とに基づいて、正相交流電流および逆相交流電流の出力を制御する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラムに関する。
近年、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が拡大している。再生可能エネルギーによる電力供給では、電力系統の電圧が不安定になることが懸念される。このため、電力系統の安定的な運用をするために、静止型無効電力補償装置(STATic synchronous COMpensator:STATCOM)の需要が拡大している。STATCOMは、自励式の変換装置を用いて無効電力を補償するものである。STATCOMは、例えば、変電所に設置される送変電・配電システムなどに導入され、常時運転されている。STATCOMは、通常の運用において連系点の無効電力を制御することによって、系統電圧の安定化に貢献している。
STATCOMには、例えば、落雷などによる系統事故が発生した場合でも、電力系統の運転を継続し、連系点の電圧低下を抑制するように無効電流を制御することが求められる。つまり、STATCOMには、電力系統に悪影響を与える要因に対しての耐性(ロバスト性)を向上させることが求められる。
STATCOMは、電力系統に発生した系統事故が、電圧の低下量が三相で同等な平衡事故である場合には、三相ともに定格の正相電流に制御することによって、連系点に一定の無効電力量を供給することができる。しかしながら、電力系統に発生した事故が、電圧の低下量が三相で異なる(相ごとに異なる)不平衡事故である場合、例えSTATCOMが正相の無効電流を流すように制御したとしても、流した無効電流が不平衡電圧によって脈動してしまい、所望の無効電力量を供給することができないこともある。
本発明が解決しようとする課題は、電力系統において不平衡事故が発生した場合においても、連系点に所望の電力量の無効電力を供給することができる電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラムを提供することである。
実施形態の電力変換装置は、電力変換器と、制御装置と、電圧検出器と、電流検出器と、を持つ。電力変換器は、連系する電力系統との連系点に対して無効電力を供給する、または前記無効電力を消費する。制御装置は、前記電力変換器の制御を行う。電圧検出器は、前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電圧を検出する。電流検出器は、前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電流を検出する。前記制御装置は、前記交流電圧に基づいて正相交流電圧と逆相交流電圧を検出し、前記正相交流電圧および前記逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値および無効電力指令値とに基づいて、正相交流電流および逆相交流電流の出力を制御する。
以下、実施形態の電力変換装置、電力変換装置の制御方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
[電力変換装置の構成]
図1は、実施形態に係る電力変換装置の構成の一例を示す図である。図1には、電力系統2に対して並列に設置(接続)され、電力系統2に出力(供給)する無効電力を補償(調整)することによって電力系統2の交流電力の安定化を図る電力変換装置1の一例を示している。電力系統2は、例えば、交流電源や交流負荷などの三相の交流系統である。電力変換装置1は、例えば、静止型無効電力補償装置(STATic synchronous COMpensator:STATCOM)である。以下の説明においては、電力変換装置1と電力系統2との接続箇所を連系点という。さらに、以下の説明においては、特に明言しない場合には、三相のそれぞれの相を区別しないものとする。電力変換装置1は、例えば、電力変換器10と、制御装置20と、電圧検出器30と、電流検出器40と、を備える。
図1は、実施形態に係る電力変換装置の構成の一例を示す図である。図1には、電力系統2に対して並列に設置(接続)され、電力系統2に出力(供給)する無効電力を補償(調整)することによって電力系統2の交流電力の安定化を図る電力変換装置1の一例を示している。電力系統2は、例えば、交流電源や交流負荷などの三相の交流系統である。電力変換装置1は、例えば、静止型無効電力補償装置(STATic synchronous COMpensator:STATCOM)である。以下の説明においては、電力変換装置1と電力系統2との接続箇所を連系点という。さらに、以下の説明においては、特に明言しない場合には、三相のそれぞれの相を区別しないものとする。電力変換装置1は、例えば、電力変換器10と、制御装置20と、電圧検出器30と、電流検出器40と、を備える。
電力変換器10は、制御装置20からの制御に応じて、連系点に交流電力(無効電力)を供給する、または連系点の無効電力を消費することによって、電力系統2における系統電圧の安定化を図る。電力変換器10は、例えば、変圧器11と、変換器12と、を備える。変圧器11および変換器12は、一般的な構成である。変換器12は、例えば、交流電力と直流電力とを相互に変換するモジュラー・マルチレベル変換器(Modular Multilevel Converter:MMC)であってもよい。変換器12には、交流電力に変換する対象の直流電力を供給するための直流電源(不図示)が接続されている。
図2は、電力変換器10の構成の一例を示す図である。図2の(a)に示した電力変換器10aは、一般的な三相変換器を適用した構成である。電力変換器10aは、例えば、変圧器11aと、一つの変換器12と、を備える。変圧器11aは、例えば、三相変圧器である。変圧器11aは、例えば、三相のそれぞれの相ごとに対応した三つの単相変圧器のそれぞれが接続された構成であってもよい。変換器12は、例えば、変換器ユニットで構成された三相変換器である。変換器12の交流側端子は、変圧器11aに接続される。電力変換器10aは、交流側に配置された変圧器11aから、制御装置20からの制御に応じた変換器12からの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。図2の(b)に示した電力変換器10bは、多重型の変圧器を適用した構成である。電力変換器10bは、例えば、変圧器11bと、複数の変換器12(変換器12-1~12-n(nは、自然数))と、を備える。電力変換器10bは、電力変換器10aにおける変圧器11aを多重型変圧器である変圧器11bに代えた構成である。これに伴って、電力変換器10bでは、電力変換器10aが備える変換器12と同じ三相変換器を複数(少なくとも二つ)備える構成となっている。それぞれの変換器12の交流側端子は、変圧器11bに接続される。電力変換器10bでは、複数の変換器12の交流側の出力を多重化することによって、交流側に配置された変圧器11bから交流側に出力する交流電圧の電圧レベルを多レベル化することができる。
図3は、変換器12の構成の一例を示す図である。図3の(a)に示した変換器12aは、三つのレグ121(レグ121-1~121-3)と、一つの直流コンデンサ122と、を備える。レグ121は、少なくとも二つの以上の自己消弧型の半導体スイッチング素子を備える。半導体スイッチング素子は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。半導体スイッチング素子は、制御装置20からの制御(スイッチング制御)に応じて動作(スイッチング動作)する。変換器12aでは、それぞれのレグ121の直流側端子が互いに並列に接続され、それぞれのレグ121の交流側端子から各相の相電圧が出力される。変換器12aでは、直流コンデンサ122の両端は、それぞれのレグ121の対応する直流側端子に接続されている。この構成により、変換器12aでは、それぞれのレグ121が出力する相電圧の電圧レベルが、2レベルとなる。図3の(b)に示した変換器12bは、三つのレグ123(レグ123-1~123-3)と、二つの直流コンデンサ122(直流コンデンサ122-1および直流コンデンサ122-2)と、を備える。レグ123は、中性点端子を有する構成である。レグ123は、少なくとも二つ以上の自己消弧型の半導体スイッチング素子と、半導体スイッチング素子の中点に接続され、中性点を構成するための半導体スイッチング素子もしくはダイオードとを備える。レグ123が備える半導体スイッチング素子も、レグ121が備える半導体スイッチング素子と同様に、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。レグ123が備える半導体スイッチング素子も、制御装置20からのスイッチング制御に応じてスイッチング動作する。変換器12bでも、変換器12aと同様に、それぞれのレグ123の直流側端子が互いに並列に接続され、それぞれのレグ123の交流側端子から各相の相電圧が出力される。変換器12aでは、直流コンデンサ122-1の一端が、それぞれのレグ123の対応する一方の直流側端子に接続され、直流コンデンサ122-2の一端が、それぞれのレグ123の対応する他方の直流側端子に接続されている。直流コンデンサ122-1と直流コンデンサ122-2とのそれぞれ他端は、互いに接続され、さらにそれぞれのレグ123の中性点端子に接続されている。この構成により、変換器12bでは、それぞれのレグ123が出力する相電圧の電圧レベルは、3レベルとなる。
図1に戻り、電圧検出器30は、連系点の交流電圧Vacを検出する。電圧検出器30は、電力変換器10の連系点側(交流側)に配置され、配置された位置で交流電圧Vacを検出する。電圧検出器30は、各相の交流電圧Vacを検出する。電圧検出器30は、検出した各相の交流電圧Vacの検出値を制御装置20に出力する。
電流検出器40は、電力変換器10から連系点に流れる交流電流Iacを検出する。電流検出器40は、電力変換器10の連系点側(交流側)に配置され、配置された位置で交流電流Iacを検出する。電流検出器40は、検出した交流電流Iacの検出値を制御装置20に出力する。
制御装置20は、電力変換器10の定格値や、入力された設定値、電圧検出器30が検出した交流電圧Vac、電流検出器40が検出した交流電流Iacに基づいて、電力変換器10の動作を制御する。つまり、制御装置20は、電力変換器10が備える変換器12内のスイッチング素子のスイッチング制御を行う。制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで電力変換器10の動作を制御する。制御装置20は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。制御装置20は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め制御装置20あるいは電力変換装置1が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が制御装置20あるいは電力変換装置1が備えるドライブ装置に装着されることで制御装置20あるいは電力変換装置1が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
制御装置20は、電力変換器10の動作を制御することによって、電力変換器10に、電力系統2との連系点に無効電力を出力(供給)させる。より具体的には、制御装置20は、電力変換器10の定格値や、入力された設定値に基づいて、電力変換器10の動作を制御する制御信号を生成する。電力変換器10の定格値は、例えば、電力変換器10が連系点に出力(供給)する交流電圧の電圧値や、交流電流の上限値あるいは下限値(以下、「交流電流上下限値Ilim」という)である。交流電流上下限値Ilimは、電力系統2を運用する電力会社などの上位の制御装置から入力(設定)されてもよい。制御装置20には、設定値として、例えば、電力変換器10に出力させる無効電力の指令値(以下、「無効電力指令値Q*」という)などが、電力系統2を運用する電力会社などの上位の制御装置から入力(設定)される。制御装置20に設定される設定値は、無効電圧の指令値や無効電流の指令値であってもよい。さらに、制御装置20に設定される設定値は、連系点の交流電圧の指令値(交流電圧指令値)であってもよい。制御装置20は、設定された無効電力指令値Q*に応じた無効電力を連系点に供給するための制御信号を生成する。制御装置20は、生成した制御信号を電力変換器10に出力することにより、電力変換器10に無効電力を出力(供給)させる。制御装置20が生成して電力変換器10に出力する制御信号は、例えば、電力変換器10が備える変換器12に所望の正相の変換器交流電流Iccを流させるために、変換器12が備えるスイッチング素子の動作をスイッチング制御するためのスイッチングパルス信号である。正相とは、例えば、電力系統2が、第1相(A相)、第2相(B相)、および第3相(C相)の三相である場合、変換器交流電流Iccに応じて連系点に供給される交流電力における交流電圧の相順が、A相、B相、C相の順番に位相が120°ずつずらされて供給されることである。制御装置20は、三相ともに同様の変換器交流電流Iccを流させる制御信号を生成して電力変換器10に出力する。より具体的には、制御装置20は、変換器交流電流Iccが設定された無効電力指令値Q*に追従するような制御信号を生成して、電力変換器10に出力する。これにより、電力変換装置1では、通常の運用において、無効電力を連系点に出力(供給)することができる。
制御装置20は、例えば、落雷などによって電力系統2に系統事故が発生した場合にも、電力変換器10の動作を制御して連系点に無効電力を出力(供給)させ、連系点における交流電圧の低下を抑制する。これにより、電力変換装置1では、通常の運用時のみならず、電力系統2に系統事故が発生した場合においても、無効電力を調整することができ、電力系統2の運用を継続させることができる。このため、電力変換装置1は、電力系統2において発生した系統事故を検出する機能(以下、「事故検出機能」という)を備えている。事故検出機能は、制御装置20が備える機能であってもよい。
ところで、電力系統2において発生する系統事故には、交流電圧の低下量が三相で同等な平衡事故である場合と、交流電圧の低下量が三相で異なる(相ごとに異なる)不平衡事故である場合とがある。系統事故が平衡事故である場合、制御装置20は、電力変換装置1における通常の運用時とは異なる電流値ではあるものの、三相ともに同じ電流値の正相の変換器交流電流Iccを電力変換器10が備える変換器12に流させるための制御信号を電力変換器10に出力することにより、平衡事故に対応する無効電力を電力変換器10から連系点に出力(供給)させることができる。つまり、制御装置20は、電力変換装置1における通常の運用時と同様に、三相ともに同様の変換器交流電流Iccを流させるように電力変換器10の動作を制御することにより、発生した平衡事故に対応する無効電力を調整し、電力系統2の運用を継続させることができる。
一方、系統事故が不平衡事故である場合、制御装置20は、正相に加えて逆相も考慮した変換器交流電流Iccを電力変換器10が備える変換器12に流させるための制御信号を電力変換器10に出力する。逆相とは、例えば、A相、C相、B相などのように、交流電圧の相順が、正相とは異なる順番で供給されることである。
系統事故が不平衡事故である場合、制御装置20は、電圧検出器30により出力された交流電圧Vacの検出値、および電流検出器40により出力された交流電流Iacの検出値に基づいて、連系点における正相の交流電圧の成分(以下、「正相交流電圧Vp」という)と、逆相の交流電圧の成分(以下、「逆相交流電圧Vn」という)を検出する。以下の説明においては、制御装置20が正相交流電圧Vpや逆相交流電圧Vnを検出する機能を、「正相逆相電圧検出機能」という。この正相逆相電圧検出機能では、例えば、交流電圧Vacを正相d-q変換することによって、連系点の交流電圧における2倍の周波数の脈動を除去した結果を正相交流電圧Vpとして検出する。同様に、正相逆相電圧検出機能では、例えば、交流電圧Vacを逆相d-q変換することによって、連系点の交流電圧における2倍の周波数の脈動を除去した結果を逆相交流電圧Vnとして検出する。
そして、制御装置20は、設定された無効電力指令値Q*と、検出した正相交流電圧Vpおよび逆相交流電圧Vnとに基づいて、電力変換器10から連系点に正相の交流電流を流させるための電流指令値(以下、「正相電流指令値Ip*」という)と、逆相の交流電流を流させるための電流指令値(以下、「逆相電流指令値In*」という)とを算出する。制御装置20は、電力変換器10から連系点に流される交流電流Iacの正相成分(以下、「正相交流電流Ip」という)が、算出した正相電流指令値Ip*に追従し、交流電流Iacの逆相成分(以下、「逆相交流電流In」という)が、算出した逆相電流指令値In*に追従するような制御信号を生成して、電力変換器10に出力する。言い換えれば、制御装置20は、正相交流電流Ipだけではなく、逆相交流電流Inを重畳した交流電流を無効電流として流させるような制御信号を生成して、電力変換器10に出力する。以下の説明においては、制御装置20において行う、正相交流電流Ipと逆相交流電流Inとのそれぞれを、算出した正相電流指令値Ip*と逆相電流指令値In*とのそれぞれに追従させる制御を「正相逆相電流制御」という。
制御装置20は、正相逆相電流制御による電力変換器10の制御方法を切り替えることによって、電力系統2において発生した不平衡事故に応じた無効電力を、電力変換器10から連系点に出力(供給)させることができる。つまり、制御装置20は、不平衡事故の発生時における無効電力の供給方法を切り替える複数のモード(電流制御モード)を備える。制御装置20における電流制御モードの切り替えは、例えば、モード切り替え信号(以下、「切り替え信号Mode」という)によって行われる。切り替え信号Modeは、電力系統2を運用する電力会社や上位の制御装置によって決定された無効電力の供給方法に基づいて、例えば、上位の制御装置から制御装置20に入力(設定)される。例えば、それぞれの電流制御モードに対応する番号を切り替え信号Modeに割り当てておき、上位の制御装置が、割り当てた番号を切り替え信号Modeとして制御装置20に入力することにより、制御装置20は、入力された番号に応じた電流制御モードでの正相逆相電流制御を実行する。制御装置20が電流制御モードに応じて切り替える無効電力の供給方法については後述する。
[正相逆相電流制御の処理]
図4は、制御装置20における正相逆相電流制御の処理の一例を示すフローチャートである。図4には、制御装置20が、正相逆相電流制御において正相電流指令値Ip*と逆相電流指令値In*を算出する際に実行する処理の流れの一例を示している。本フローチャートの処理は、電力変換装置1が動作している間、繰り返し実行されるものであってもよい。以下の説明においては、電力変換器10における交流電流上下限値Ilimが予め定められており、無効電力指令値Q*と切り替え信号Modeとが制御装置20に入力(設定)されているものとする。さらに、以下の説明においては、制御装置20が、電圧検出器30が検出した交流電圧Vacおよび電流検出器40が検出した交流電流Iacのそれぞれを取得し、取得した交流電圧Vacおよび交流電流Iacに基づく正相逆相電圧検出機能が終了している、つまり、正相交流電圧Vpと逆相交流電圧Vnとのそれぞれの検出が完了しているものとする。
図4は、制御装置20における正相逆相電流制御の処理の一例を示すフローチャートである。図4には、制御装置20が、正相逆相電流制御において正相電流指令値Ip*と逆相電流指令値In*を算出する際に実行する処理の流れの一例を示している。本フローチャートの処理は、電力変換装置1が動作している間、繰り返し実行されるものであってもよい。以下の説明においては、電力変換器10における交流電流上下限値Ilimが予め定められており、無効電力指令値Q*と切り替え信号Modeとが制御装置20に入力(設定)されているものとする。さらに、以下の説明においては、制御装置20が、電圧検出器30が検出した交流電圧Vacおよび電流検出器40が検出した交流電流Iacのそれぞれを取得し、取得した交流電圧Vacおよび交流電流Iacに基づく正相逆相電圧検出機能が終了している、つまり、正相交流電圧Vpと逆相交流電圧Vnとのそれぞれの検出が完了しているものとする。
制御装置20は、正相逆相電流制御を開始すると、まず、切り替え信号Modeが表す電流制御モードと、正相交流電圧Vpおよび逆相交流電圧Vnとのそれぞれに基づいて、入力されている切り替え信号Modeに応じた無効電力制限値Qlimを算出する(ステップS1)。このとき、制御装置20は、交流電流Iacが交流電流上下限値Ilimを超過することがないような、無効電力制限値Qlimを算出する。
制御装置20は、算出した無効電力制限値Qlimと、入力された無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|とを比較し、無効電力制限値Qlimが無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、無効電力制限値Qlimが無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|以上である場合、制御装置20は、交流電流上下限値Ilimを考慮した無効電力を電力変換器10に出力させるための指令値(以下、「無効電力制限指令値Qlim*」という)を、無効電力指令値Q*に決定する(ステップS3-1)。そして、制御装置20は、無効電力制限指令値Qlim*の値として、無効電力指令値Q*の値を代入する。
一方、ステップS2において、無効電力制限値Qlimが無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|以上ではない場合(つまり、無効電力制限値Qlimが無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|よりも小さい場合)、制御装置20は、無効電力制限指令値Qlim*を、無効電力制限値Qlimに決定する(ステップS3-2)。そして、制御装置20は、無効電力制限指令値Qlim*の値として、無効電力制限値Qlimの値を代入する。
制御装置20は、切り替え信号Modeが表す電流制御モードと、無効電力制限指令値Qlim*と、正相交流電圧Vpおよび逆相交流電圧Vnとのそれぞれに基づいて、正相電流指令値Ip*および逆相電流指令値In*を算出する(ステップS4-1)。ところで、正相電流指令値Ip*は、電力変換器10から連系点に流させる正相の交流電流の振幅を表す指令値であり、逆相電流指令値In*は、電力変換器10から連系点に流させる逆相の交流電流の振幅を表す指令値である。
さらに、制御装置20は、切り替え信号Modeが表す電流制御モードと、無効電力制限指令値Qlim*と、正相交流電圧Vpおよび逆相交流電圧Vnとのそれぞれに基づいて、電力変換器10から連系点に流させる正相の交流電流の位相の指令値(以下、「正相電流位相指令値Φp*」という)、および電力変換器10から連系点に流させる逆相の交流電流の位相の指令値(以下、「逆相電流位相指令値Φn*」という)を算出する(ステップS4-2)。
このようにして制御装置20は、設定された無効電力指令値Q*と、電圧検出器30が検出した交流電圧Vacおよび電流検出器40が検出した交流電流Iacのそれぞれから検出した正相交流電圧Vpと逆相交流電圧Vnとに基づいて、電力変換器10から連系点に流させる交流電流の指令値(正相電流指令値Ip*、正相電流位相指令値Φp*、逆相電流指令値In*、および逆相電流位相指令値Φn*)を算出する。そして、制御装置20は、算出したそれぞれの交流電流の指令値を用いて、電力変換器10に出力する制御信号を生成し、電力変換器10の動作を制御する。
例えば、制御装置20は、変換器12に正相の変換器交流電流Icc(以下、「正相電流Icp」という)を流させるための正相電流指令値Icp*を下式(1)によって算出し、変換器12に逆相の変換器交流電流Icc(以下、「逆相電流Icn」という)を流させるための逆相電流指令値Icn*を下式(2)によって算出する。そして、制御装置20は、正相電流Icpが、算出した正相電流指令値Icp*に追従し、逆相電流Icnが、算出した逆相電流指令値Icn*に追従するような制御信号(スイッチングパルス信号)を生成して、変換器12に出力する。
Icp*=Ip*×sin(ωt+Φp*) ・・・(1)
Icn*=In*×sin(ωt+Φn*) ・・・(2)
例えば、制御装置20は、変換器12に変換器交流電流Iccを流させるための電流指令値Ic*を下式(3)によって算出し、変換器交流電流Iccが、算出した電流指令値Ic*に追従するような制御信号(スイッチングパルス信号)を生成して、変換器12に出力してもよい。
Ic*=Ip*×sin(ωt+Φp*)+In*×sin(ωt+Φn*)
・・・(3)
・・・(3)
制御装置20における変換器12の制御方法としては、例えば、P(比例:Proportional)制御、I(積分:Integral)制御、およびD(微分:Differential)制御を組み合わせたPID制御や、フィードバック制御、P(比例)制御とR(共振:Resonance)制御とを組み合わせたPR制御、繰返し制御などの制御方法を適用することができる。
このようにして制御装置20は、入力(設定)された切り替え信号Modeに対応する正相および逆相の変換器交流電流Iccを変換器12に流させるための正相電流指令値Icp*および逆相電流指令値Icn*を算出して変換器12を制御することにより、電力変換器10に、電流制御モードに応じた無効電力を連系点に出力(供給)させる。
[第1の電流制御モード]
ここで、電流制御モードに応じて連系点に出力(供給)させる無効電力の供給方法の一例について説明する。図5は、制御装置20において第1の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第1の電流制御モードは、無効電力の脈動を抑制する制御モードである。図5に示した連系点の波形の一例は、三相(A相、B相、C相)のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図5には、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図5の中段に示した連系点における各相の交流電流の波形は、制御装置20が動作を制御することによって電力変換器10から連系点に流させた正相交流電流Ipと逆相交流電流Inとが重畳された交流電流の波形である。図5には、下段に、制御装置20が算出する無効電力制限値Qlimと、制御装置20により制御された連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図5の上段に示した交流電圧の波形、および図5の中段に示した交流電流の波形に対応付けて示している。図5において横軸は、時間tである。
ここで、電流制御モードに応じて連系点に出力(供給)させる無効電力の供給方法の一例について説明する。図5は、制御装置20において第1の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第1の電流制御モードは、無効電力の脈動を抑制する制御モードである。図5に示した連系点の波形の一例は、三相(A相、B相、C相)のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図5には、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図5の中段に示した連系点における各相の交流電流の波形は、制御装置20が動作を制御することによって電力変換器10から連系点に流させた正相交流電流Ipと逆相交流電流Inとが重畳された交流電流の波形である。図5には、下段に、制御装置20が算出する無効電力制限値Qlimと、制御装置20により制御された連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図5の上段に示した交流電圧の波形、および図5の中段に示した交流電流の波形に対応付けて示している。図5において横軸は、時間tである。
B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故の場合、図5の上段に示すように、連系点における交流電圧は、A相の交流電圧の成分(A相交流電圧Va)に対して、B相の交流電圧の成分(B相交流電圧Vb)とC相の交流電圧の成分(C相交流電圧Vc)とのそれぞれが低くなっている。このため、制御装置20は、ステップS1において交流電流Iacが交流電流上下限値Ilimを超過することがないような無効電力制限値Qlimを算出すると、ステップS2において無効電力制限値Qlimが無効電力指令値Q*の絶対値|Q*|以上であると判定し、ステップS3-1において、無効電力指令値Q*の値を無効電力制限指令値Qlim*の値として代入(Qlim*=Q*)する。
そして、制御装置20は、ステップS4-1およびステップS4-2において、電力変換器10から連系点に流させる交流電流の正相電流指令値Ip*、正相電流位相指令値Φp*、逆相電流指令値In*、および逆相電流位相指令値Φn*を算出し、制御信号を生成して電力変換器10の動作を制御する。このとき、第1の電流制御モードでは、無効電力が一定となるように制御する。これにより、連系点における交流電流は、図5の中段に示すように、不平衡の状態となる。より具体的には、連系点における交流電流は、A相の交流電流の成分(A相交流電流Ia)の振幅が、交流電流上下限値Ilimにおける上限値(+Ilim)および下限値(-Ilim)の間の全体の幅となり、B相の交流電流の成分(B相交流電流Ib)とC相の交流電流の成分(C相交流電流Ic)とのそれぞれの振幅は、上限値(+Ilim)および下限値(-Ilim)の間の全体の幅よりも狭くなる。
これにより、制御装置20における第1の電流制御モードの正相逆相電流制御では、図5の下段に示すように、連系点における無効電力Qが無効電力制限値Qlimと一致するように制御される。つまり、無効電力Qは、無効電力制限値Qlimと同様に、脈動が抑えられて、ほぼ一定の電力量に制御される。一方、制御装置20における第1の電流制御モードの正相逆相電流制御において有効電力Pは、電力量の平均値(時間平均値)をゼロとしつつ、連系点における交流電圧の2倍の周波数で脈動する。
[第2の電流制御モード]
図6は、制御装置20において第2の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第2の電流制御モードは、有効電力の脈動を抑制する制御モードである。図6に示した連系点の波形の一例も、図5に示した連系点の波形の一例と同様に、A相、B相、C相の三相のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図6にも、図5と同様に、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図6にも、図5と同様に、下段に、無効電力制限値Qlimと、連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図6の上段および図6の中段に示した交流電圧および交流電流の波形に対応付けて示している。図6においても、横軸は時間tである。
図6は、制御装置20において第2の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第2の電流制御モードは、有効電力の脈動を抑制する制御モードである。図6に示した連系点の波形の一例も、図5に示した連系点の波形の一例と同様に、A相、B相、C相の三相のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図6にも、図5と同様に、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図6にも、図5と同様に、下段に、無効電力制限値Qlimと、連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図6の上段および図6の中段に示した交流電圧および交流電流の波形に対応付けて示している。図6においても、横軸は時間tである。
図6の上段に示した、連系点における交流電圧(A相交流電圧Va、B相交流電圧Vb、およびC相交流電圧Vc)は、図5の上段に示した交流電圧と同様である。つまり、A相交流電圧Vaに対して、B相交流電圧VbとC相交流電圧Vcとのそれぞれが低くなっている。このため、制御装置20は、第2の電流制御モードでも、第1の電流制御モードと同様に、ステップS3-1において、無効電力指令値Q*の値を無効電力制限指令値Qlim*の値として代入(Qlim*=Q*)する。
そして、制御装置20は、第1の電流制御モードと同様に、ステップS4-1およびステップS4-2において、正相電流指令値Ip*、正相電流位相指令値Φp*、逆相電流指令値In*、および逆相電流位相指令値Φn*を算出し、制御信号を生成して電力変換器10の動作を制御する。このとき、第2の電流制御モードでは、有効電力が一定となるように制御する。これにより、第2の電流制御モードでも、第1の電流制御モードと同様に、連系点における交流電流は不平衡の状態となる。ただし、第2の電流制御モードでは、図6の中段に示すように、連系点におけるA相交流電流Iaの振幅が、交流電流上下限値Ilimにおける上限値(+Ilim)および下限値(-Ilim)の間の全体の幅よりも狭くなり、B相交流電流IbとC相交流電流Icとのそれぞれの振幅は、上限値(+Ilim)および下限値(-Ilim)の間の全体の幅となる。
これにより、制御装置20における第2の電流制御モードの正相逆相電流制御では、図6の下段に示すように、連系点における有効電力Pが略ゼロに制御される。つまり、有効電力Pは、脈動が抑えられて、ほぼゼロで一定の電力量に制御される。一方、制御装置20における第2の電流制御モードの正相逆相電流制御において無効電力Qは、電力量の平均値(時間平均値)を無効電力制限値Qlimと同様としつつ、連系点における交流電圧の2倍の周波数で脈動する。
[第3の電流制御モード]
図7は、制御装置20において第3の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第3の電流制御モードは、三相ともに交流電流が平衡となるように制御する制御モードである。図7に示した連系点の波形の一例も、図5や図6に示した連系点の波形の一例と同様に、A相、B相、C相の三相のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図7にも、図5や図6と同様に、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図7にも、図5や図6と同様に、下段に、無効電力制限値Qlimと、連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図7の上段および図7の中段に示した交流電圧および交流電流の波形に対応付けて示している。図7においても、横軸は時間tである。
図7は、制御装置20において第3の電流制御モードで正相逆相電流制御を実行した場合の連系点の波形の一例を示す概略波形図である。第3の電流制御モードは、三相ともに交流電流が平衡となるように制御する制御モードである。図7に示した連系点の波形の一例も、図5や図6に示した連系点の波形の一例と同様に、A相、B相、C相の三相のうち、B相とC相とに系統事故が発生した不平衡事故を仮定した場合の一例である。図7にも、図5や図6と同様に、上段に連系点における各相の交流電圧の波形の一例を示し、中段に連系点における各相の交流電流の波形の一例を示している。図7にも、図5や図6と同様に、下段に、無効電力制限値Qlimと、連系点の無効電力Qと、連系点の有効電力Pとの変化の一例を、図7の上段および図7の中段に示した交流電圧および交流電流の波形に対応付けて示している。図7においても、横軸は時間tである。
図7の上段に示した、連系点における交流電圧(A相交流電圧Va、B相交流電圧Vb、およびC相交流電圧Vc)は、図5や図6の上段に示した交流電圧と同様である。つまり、A相交流電圧Vaに対して、B相交流電圧VbとC相交流電圧Vcとのそれぞれが低くなっている。このため、制御装置20は、第3の電流制御モードでも、第1の電流制御モードや第2の電流制御モードと同様に、ステップS3-1において、無効電力指令値Q*の値を無効電力制限指令値Qlim*の値として代入(Qlim*=Q*)する。
そして、制御装置20は、第1の電流制御モードや第2の電流制御モードと同様に、ステップS4-1およびステップS4-2において、正相電流指令値Ip*、正相電流位相指令値Φp*、逆相電流指令値In*、および逆相電流位相指令値Φn*を算出し、制御信号を生成して電力変換器10の動作を制御する。このとき、第3の電流制御モードでは、三相の電流値が平衡するように制御する。これにより、第3の電流制御モードでは、第1の電流制御モードや第2の電流制御モードと異なり、連系点における交流電流は、図7の中段に示すように、三相の全てが平衡の状態(三相平衡状態)となる。より具体的には、第3の電流制御モードでは、連系点におけるA相交流電流Ia、B相交流電流Ib、およびC相交流電流Icの全ての振幅が、交流電流上下限値Ilimにおける上限値(+Ilim)および下限値(-Ilim)の間の全体の幅となる。
これにより、制御装置20における第3の電流制御モードの正相逆相電流制御では、図7の下段に示すように、連系点における有効電力Pは、電力量の平均値(時間平均値)をゼロとしつつ、連系点における交流電圧の2倍の周波数で脈動する。さらに、制御装置20における第3の電流制御モードの正相逆相電流制御において無効電力Qは、電力量の平均値(時間平均値)を無効電力制限値Qlimと同様としつつ、連系点における交流電圧の2倍の周波数で脈動する。
ところで、第3の電流制御モードは、系統事故が平衡事故である場合における正相逆相電流制御と等価な制御を行う制御モードでもある。このため、電力変換装置1では、系統事故が平衡事故である場合において無効電力を連系点に出力(供給)するように電力変換器10を制御する処理を、第3の電流制御モードによる正相逆相電流制御と共通にしてもよいし、第3の電流制御モードの代わりとして、系統事故が平衡事故である場合の制御を行うようにしてもよい。
このような構成および処理によって、電力変換装置1では、制御装置20が、電力変換器10の定格値(無効電力制限値Qlim)や、入力された設定値(無効電力指令値Q*)に基づいて、電力変換器10の動作を制御することにより、無効電力を連系点に出力(供給)することができる。しかも、電力変換装置1では、電力系統2において系統事故が発生した場合でも、制御装置20が、電圧検出器30が検出した交流電圧Vacと、電流検出器40が検出した交流電流Iacとに基づいて、正相逆相電流制御を行うことができる。言い換えれば、電力変換装置1では、制御装置20が、正相の無効電流だけではなく、逆相の無効電流を重畳した無効電流を流させるように制御する。これにより、電力変換装置1では、通常の運用時のみならず、電力系統2に系統事故(平衡事故および不平衡事故)が発生した場合においても、無効電力を調整することができ、電力系統2の運用を継続させることができる。さらに、電力変換装置1では、不平衡事故が発生した場合における正相逆相電流制御を、切り替え信号Modeに応じて切り替えることができる。これにより、電力変換装置1では、発生した不平衡事故に好適な制御方法で電力変換器10の動作を制御し、連系点に出力(供給)する無効電力の電力量(無効電力量)を、無効電力指令値Q*により指令された通りの所望の電力量に制御することがきる。
電力変換装置1では、電圧検出器30が連系点に近い位置に配置され、連系点に供給される交流電圧Vacを検出する構成を示した。しかし、電圧検出器30は、電力変換器10が備える変圧器11の二次側の位置に配置されてもよい。つまり、制御装置20は、交流電圧Vacの代わりに、変圧器11の二次側の交流電圧を用いて、正相逆相電流制御を行うようにしてもよい。
上述した電流制御モード(第1の電流制御モード、第2の電流制御モード、第3の電流制御モード)における無効電力の供給方法では、三相(A相、B相、C相)のうち、B相とC相とに不平衡事故が発生した場合について説明したが、電力系統2に発生する系統事故は、B相とC相とに発生するとは限らない。例えば、A相とB相や、A相とC相、A相のみ、B相のみ、C相のみに系統事故が発生したことにより不平衡事故となることも考えられる。この場合の正相逆相電流制御は、上述した正相逆相電流制御と等価なものになるようにすればよい。
[電力変換器の別の構成]
電力変換装置1では、電力変換器10の構成として、図2や図3(変換器12)のような構成を示した。しかし、上述したように、電力変換器10が備える変圧器11および変換器12は、一般的な構成である。つまり、電力変換器10の構成としては、種々の構成が考えられる。以下に、電力変換器10の別の構成の一例について説明する。図8~図10は、電力変換器10の別の構成の一例を示す図である。
電力変換装置1では、電力変換器10の構成として、図2や図3(変換器12)のような構成を示した。しかし、上述したように、電力変換器10が備える変圧器11および変換器12は、一般的な構成である。つまり、電力変換器10の構成としては、種々の構成が考えられる。以下に、電力変換器10の別の構成の一例について説明する。図8~図10は、電力変換器10の別の構成の一例を示す図である。
図8の(a)に示した電力変換器10cは、変換器12としてモジュラー・マルチレベル変換器(MMC)を適用した構成である。電力変換器10cは、例えば、変圧器11aと、変換器12cと、を備える。変換器12cは、スター結線形のMMCである。電力変換器10cは、電力変換器10a(図2参照)において変換器ユニットで構成された変換器12を変換器12cに代えた構成である。従って、電力変換器10cが備える変圧器11aは、電力変換器10aと同様に、三つの単相変圧器のそれぞれが接続された構成であってもよい。変換器12cは、例えば、三つのアーム124(アーム124-1~124-3)と、それぞれのアーム124に直列に接続された三つのバッファリアクトル(図ではBR)126(バッファリアクトル126-1~126-3)と、を備える。バッファリアクトル126は、アーム124に流れる電流の変化を抑制するためのインピーダンス素子である。それぞれのアーム124は、三相のそれぞれの相に対応する。アーム124は、例えば、複数のセル125(セル125-1~セル125-n(nは、自然数))が直列に接続されている構成である。つまり、アーム124は、複数段(n段)のセル125で構成されている。セル125のそれぞれは、小容量の変換器である。セル125は、少なくとも二つの以上の半導体スイッチング素子と、コンデンサ(直流コンデンサ)と、を備える。セル125が備える半導体スイッチング素子も、電力変換器10aや電力変換器10b(図2参照)において変換器12が備えるレグ、つまり、図3に示した変換器12a内のレグ121や変換器12b内のレグ123が備える半導体スイッチング素子と同様に、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。変換器12cでは、それぞれのアーム124が、スター結線されている。変換器12cにおける各相の交流側端子は、変圧器11aに接続される。電力変換器10cは、交流側に配置された変圧器11aから、制御装置20からの制御に応じた変換器12cからの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。
図8の(b)に示した電力変換器10dも、変換器12としてMMCを適用した構成である。電力変換器10dは、例えば、変圧器11aと、変換器12dと、を備える。変換器12dは、デルタ結線形のMMCである。電力変換器10dは、電力変換器10a(図2参照)において変換器ユニットで構成された変換器12を変換器12dに代えた構成である。従って、電力変換器10dが備える変圧器11aも、電力変換器10aや電力変換器10cと同様に、三つの単相変圧器のそれぞれが接続された構成であってもよい。変換器12dは、例えば、三相のそれぞれの相に対応する三つのアーム124(アーム124-1~124-3)と、それぞれのアーム124に直列に接続された三つのバッファリアクトル126(バッファリアクトル126-1~126-3)と、を備える。変換器12dでは、アーム124とバッファリアクトル126との直列回路が、デルタ結線されている。変換器12dにおける各相の交流側端子も、変圧器11aに接続される。電力変換器10dは、交流側に配置された変圧器11aから、制御装置20からの制御に応じた変換器12dからの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。
図9に示した電力変換器10eは、単相変圧器を適用した構成である。電力変換器10eは、例えば、変圧器11cと、変換器12eと、を備える。変圧器11cは、例えば、三つの単相変圧器のそれぞれが接続された構成、もしくは三巻線変圧器の構成である。変換器12eは、例えば、三つのアーム124(アーム124-1~124-3)を備える。それぞれのアーム124は、各相に対応する。それぞれのアーム124の両端は、変圧器11cにおける対応する相の変換器側端子に接続される。電力変換器10eは、交流側に配置された変圧器11cから、制御装置20からの制御に応じた変換器12eからの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。
図10の(a)に示した電力変換器10fも、変換器12としてMMCを適用した構成である。電力変換器10fは、例えば、変圧器11aと、変換器12fと、を備える。変換器12fは、ダブルスター形のMMCである。電力変換器10fは、電力変換器10a(図2参照)において変換器ユニットで構成された変換器12を変換器12fに代えた構成である。従って、電力変換器10fが備える変圧器11aも、電力変換器10aと同様に、三つの単相変圧器のそれぞれが接続された構成であってもよい。変換器12fは、例えば、六つのアーム124(アーム124-U-1~124-U-3、およびアーム124-D-1~124-D-3)と、六つのバッファリアクトル126(バッファリアクトル126-U-1~126-U-3、およびバッファリアクトル126-D-1~126-D-3)と、直流回路127とを備える。バッファリアクトル126のそれぞれは、対応するアーム124に直列に接続されている。変換器12fは、直流回路127を備えることによって、交直変換を必要する直流送電などの用途で用いられる構成となっている。変換器12fでは、例えば、アーム124-Uとバッファリアクトル126-Uとの直列回路が上側用(正極用)の構成であり、アーム124-Dとバッファリアクトル126-Dとの直列回路が下側用(負極用)の構成である。変換器12fでは、上側用の直列回路においてバッファリアクトル126-Uが接続されていない側のアーム124-Uの一端(直流側端子)がスター結線され、下側用の直列回路においてバッファリアクトル126-Dが接続されていない側のアーム124-Dの一端(直流側端子)がスター結線されることによって、ダブルスター形を構成している。変換器12fでは、上側用の直列回路のスター結線の接続点と、下側用の直列回路のスター結線の接続点とのそれぞれが、直流回路127に接続されている。変換器12fでは、上側用の直列回路と下側用の直列回路との接続点、つまり、バッファリアクトル126-Uとバッファリアクトル126-Dとの接続点が、各相の交流側端子である。変換器12fでは、上側用の直列回路と下側用の直列回路との一組が、一つのレグであり、それぞれのレグが、三相のそれぞれの相に対応する。変換器12fにおける各相の交流側端子は、変圧器11aに接続される。電力変換器10fは、交流側に配置された変圧器11aから、制御装置20からの制御に応じた変換器12fからの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。
図10の(b)に示した電力変換器10gも、変換器12としてMMCを適用した構成である。電力変換器10gは、例えば、変圧器11cと、変換器12gと、を備える。変換器12gも、ダブルスター形のMMCである。電力変換器10gは、電力変換器10e(図9参照)が備える変換器12eを変換器12gに代えた構成である。変換器12gは、例えば、上側用の三つのアーム124(アーム124-U-1~124-U-3)と、下側用の三つのアーム124(アーム124-D-1~124-D-3)と、直流回路127と、を備える。変換器12gも、電力変換器10fが備える変換器12fと同様に、直流回路127を備えることによって、交直変換を必要する直流送電などの用途で用いられる構成である。変換器12gでは、上側用のアーム124-Uの一端(直流側端子)がスター結線され、下側用のアーム124-Dの一端(直流側端子)がスター結線されることによって、ダブルスター形を構成している。変換器12gでも、上側用の直列回路のスター結線の接続点と、下側用の直列回路のスター結線の接続点とのそれぞれが、直流回路127に接続されている。変換器12gでは、上側用のアーム124-Uの他端(交流側端子)と、下側用のアーム124-Dの他端(交流側端子)とのそれぞれが、変圧器11cにおける対応する相の変換器側端子に接続されている。変換器12gでは、上側用のアーム124-Uと下側用のアーム124-Dとの組が、三相のそれぞれの相に対応する。電力変換器10gは、交流側に配置された変圧器11aから、制御装置20からの制御に応じた変換器12gからの交流電圧を出力することにより、制御装置20からの制御に応じた交流電流を流す。
図11は、変換器12が備えるセル125の構成の一例を示す図である。図11の(a)に示したセル125aは、ハーフブリッジを適用した構成である。セル125aは、例えば、二つの半導体スイッチ部128(半導体スイッチ部128-1および半導体スイッチ部128-2)と、一つの直流コンデンサ122と、を備える。半導体スイッチ部128は、例えば、半導体スイッチング素子であってもよいし、半導体スイッチング素子とダイオードとが互いに並列に接続された構成であってもよい。セル125aでは、半導体スイッチ部128-1と半導体スイッチ部128-2とが直列に接続され、その両端に直流コンデンサ122が接続されている。セル125aでは、半導体スイッチ部128-1と半導体スイッチ部128-2の接続点と、半導体スイッチ部128-2の一端とのそれぞれが、出力端子である。つまり、セル125aでは、二つの半導体スイッチ部128が接続された直列回路の中点と一端とのそれぞれが、出力端子である。この構成により、セル125aでは、正極あるいは負極の片極性で、電圧レベルが2レベルの出力電圧が、出力端子から出力される。
図11の(b)に示したセル125bは、フルブリッジを適用した構成である。セル125bは、例えば、四つの半導体スイッチ部128(半導体スイッチ部128-1~128-4)と、一つの直流コンデンサ122と、を備える。セル125bでは、半導体スイッチ部128-1と半導体スイッチ部128-2とが直列に接続された直列回路と、半導体スイッチ部128-3と半導体スイッチ部128-4とが直列に接続された直列回路とが並列に接続され、それぞれの直列回路の両端に直流コンデンサ122が接続されている。セル125bでは、半導体スイッチ部128-1と半導体スイッチ部128-2とが接続された直列回路の中点と、半導体スイッチ部128-3と半導体スイッチ部128-4とが接続された直列回路の中点とのそれぞれが、出力端子である。この構成により、セル125bでは、正極と負極との両極性で、電圧レベルが3レベルの出力電圧が、出力端子から出力される。
電力変換装置1では、これらの構成の電力変換器10であっても、制御装置20は、電力変換器10の動作を制御することによって、正相逆相電流制御を行うことができる。この場合における制御装置20の正相逆相電流制御は、上述した正相逆相電流制御と等価なものになるようにすればよい。これにより、電力変換装置1では、構成が異なる電力変換器10を備える場合であっても同様に、通常の運用時のみならず、電力系統2に系統事故(平衡事故および不平衡事故)が発生した場合でも、発生した不平衡事故に好適な制御方法で無効電力を調整することができ、電力系統2の運用を継続させることができる。
上記に述べたとおり、実施形態の電力変換装置では、制御装置が、電力変換器の定格値(無効電力制限値)や、入力された設定値(無効電力指令値)に基づいて、電力変換器の動作を制御する。このとき、実施形態の電力変換装置では、制御装置が、電圧検出器が検出した連系点の交流電圧と、電流検出器が検出した連系点の交流電流とに基づいて、無効電力を連系点に出力(供給)するための正相逆相電流制御を行う。これにより、実施形態の電力変換装置では、通常の運用時のみならず、連系点に接続されている電力系統に系統事故(平衡事故および不平衡事故)が発生した場合においても、連系点に出力(供給)する無効電力の電力量(無効電力量)を、無効電力指令値により指令された通りの所望の電力量に調整(補償)することができる。さらに、実施形態の電力変換装置では、制御装置が、正相逆相電流制御による電力変換器の制御方法を切り替える。これにより、実施形態の電力変換装置では、電力変換装置が接続された電力系統において発生した系統事故に好適な制御方法で電力変換器の動作を制御し、所望の電力量の無効電力を連系点に出力(供給)することができる。このことにより、実施形態の電力変換装置では、系統事故が発生した際の電力系統の運用の継続性能を向上させることができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、連系する電力系統(2)との連系点に対して無効電力(Q)を供給する、または無効電力を消費する電力変換器(10)と、電力変換器の制御を行う制御装置(20)と、電力変換器の交流側に設置され、連系点における交流電圧(Vac)を検出する電圧検出器(30)と、電力変換器の交流側に設置され、連系点における交流電流(Iac)を検出する電流検出器(40)と、を備え、制御装置は、交流電圧に基づいて正相交流電圧(Vp)と逆相交流電圧(Vn)を検出し、正相交流電圧および逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値(Ilim)および無効電力指令値(Q*)とに基づいて、正相交流電流(Ip)および逆相交流電流(In)の出力を制御することにより、電力系統において不平衡事故が発生した場合においても、連系点に所望の電力量の無効電力を供給することができる電力変換装置を実現することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1・・・電力変換装置、2・・・電力系統、10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g・・・電力変換器、11,11a,11b,11c・・・変圧器、12,12-1,12-n,12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g・・・変換器、121,121-1,121-2,121-3,123-1,123-2,123-3・・・レグ、122,122-1,122-2・・・直流コンデンサ、124,124-1,124-2,124-3,124-U,124-U-1,124-U-2,124-U-3,124-D,124-D-1,124-D-2,124-D-3・・・アーム、125,125-1,125-n,125a,125b・・・セル、126,126-1,126-2,126-3,126-U,126-U-1,126-U-2,126-U-3,126-D,126-D-1,126-D-2,126-D-3・・・バッファリアクトル、127・・・直流回路、128,128-1,128-2,128-3,128-4・・・半導体スイッチ部、20・・・制御装置、30・・・電圧検出器、40・・・電流検出器
Claims (15)
- 連系する電力系統との連系点に対して無効電力を供給する、または前記無効電力を消費する電力変換器と、
前記電力変換器の制御を行う制御装置と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電圧を検出する電圧検出器と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電流を検出する電流検出器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記交流電圧に基づいて正相交流電圧と逆相交流電圧を検出し、
前記正相交流電圧および前記逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値および無効電力指令値とに基づいて、正相交流電流および逆相交流電流の出力を制御する、
電力変換装置。 - 前記制御装置は、前記連系点における前記無効電力が前記無効電力指令値と一致するように、前記正相交流電流および前記逆相交流電流の出力を制御する、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記制御装置は、前記連系点における有効電力を略ゼロにするように、前記正相交流電流および前記逆相交流電流の出力を制御する、
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記制御装置は、前記逆相交流電流をゼロとし、かつ前記正相交流電流のみを出力するように、前記正相交流電流および前記逆相交流電流の出力を制御する、
請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。 - 前記制御装置は、入力された切り替え信号に応じて、前記正相交流電流および前記逆相交流電流を出力する制御方法を切り替える、
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記制御装置は、
前記電力系統において発生した系統事故を検出した場合に、前記正相交流電流および前記逆相交流電流の出力を制御し、
前記系統事故を検出していない場合には、前記交流電圧が交流電圧指令値に追従するように前記連系点における交流電流を制御する、
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、
前記交流側に配置される変圧器と、
交流側端子が前記変圧器に接続される一つの変換器ユニットと、
を備える請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、
前記交流側に配置される多重型の変圧器と、
交流側端子が前記変圧器に接続される少なくとも二つ以上の変換器ユニットと、
を備える請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記変換器ユニットは、
少なくとも二つ以上の自己消弧型の半導体スイッチング素子を備える三つのレグと、
直流コンデンサと、
を備え、
前記レグのそれぞれの直流側端子が互いに並列に接続され、
前記直流コンデンサの両端はそれぞれの前記レグの対応する前記直流側端子に接続され、
前記電力変換器は、
それぞれの前記レグの交流側端子が前記変圧器に接続される、
請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。 - 前記変換器ユニットは、
少なくとも二つ以上の自己消弧型の半導体スイッチング素子と、前記半導体スイッチング素子の中点に接続され、中性点を構成するための半導体スイッチング素子もしくはダイオードとを備える三つのレグと、
二つの直流コンデンサと、
を備え、
前記レグのそれぞれの直流側端子が互いに並列に接続され、
前記レグの中性点端子が互いに並列に接続され、
それぞれの前記直流コンデンサの一端は異なる前記レグの対応する一方の前記直流側端子に接続され、
前記直流コンデンサの他端はそれぞれの前記レグの前記中性点端子に接続され、
前記電力変換器は、
それぞれの前記レグの交流側端子が前記変圧器に接続される、
請求項7または請求項8に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、
前記交流側に配置される変圧器と、
少なくとも一端が前記変圧器に接続される三つのアームと、
を備え、
それぞれの前記アームは、少なくとも二つ以上の半導体スイッチング素子とコンデンサとを備えるセルが、直列に複数接続される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、
前記交流側に配置される変圧器と、
交流側端子が前記変圧器に接続され、直流側端子が互いに並列に接続された三つのレグと、
両端がそれぞれの前記レグの対応する前記直流側端子に接続される直流回路と、
を備え、
それぞれの前記レグは、
少なくとも二つ以上の半導体スイッチング素子とコンデンサとを備えるセルが直列に複数接続されたアームと、インピーダンス素子とが直列に接続された二つの直列回路を備え、
前記直列回路において、前記アームが備える複数の前記セルのうち、前記インピーダンス素子が接続されていない側の前記セルの一端が前記直流側端子であり、それぞれの前記直列回路が備える前記インピーダンス素子が互いに接続された接続点が前記交流側端子であり、
それぞれの前記交流側端子が前記変圧器に接続される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、
前記交流側に配置される変圧器と、
少なくとも一端が前記変圧器に接続される六つのアームと、
両端がそれぞれの前記アームの対応する他端に接続される直流回路と、
を備え、
それぞれの前記アームは、
少なくとも二つ以上の半導体スイッチング素子とコンデンサとを備えるセルが、直列に複数接続され、
それぞれの前記一端が前記変圧器に接続される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 連系する電力系統との連系点に対して無効電力を供給する、または前記無効電力を消費する電力変換器と、
前記電力変換器の制御を行う制御装置と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電圧を検出する電圧検出器と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電流を検出する電流検出器と、を備える電力変換装置の制御方法であって、
前記制御装置のコンピュータが、
前記交流電圧に基づいて正相交流電圧と逆相交流電圧を検出し、
前記正相交流電圧および前記逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値および無効電力指令値とに基づいて、正相交流電流および逆相交流電流の出力を制御する、
電力変換装置の制御方法。 - 連系する電力系統との連系点に対して無効電力を供給する、または前記無効電力を消費する電力変換器と、
前記電力変換器の制御を行う制御装置と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電圧を検出する電圧検出器と、
前記電力変換器の交流側に設置され、前記連系点における交流電流を検出する電流検出器と、を備える電力変換装置を制御させるプログラムであって、
前記制御装置のコンピュータに、
前記交流電圧に基づいて正相交流電圧と逆相交流電圧を検出させ、
前記正相交流電圧および前記逆相交流電圧と、予め定められた交流電流上下限値および無効電力指令値とに基づいて、正相交流電流および逆相交流電流の出力を制御させる、
プログラム。
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