JP2021077788A - 光電変換素子 - Google Patents

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辰哉 百瀬
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Abstract

【課題】光電変換素子としての高い性能を維持しつつ、上記光電変換素子の短絡やリークを低減し、歩留りを高くする手段を提供することを課題とする。また、高い変換効率を示す光電変換素子を提供することを課題とする。【解決手段】 第一電極と第二電極から構成される一対の電極と、前記一対の電極間にペロブスカイト型化合物を含有する活性層と、前記活性層と前記第二電極との間に第一のバッファ層と第二のバッファ層とを備える光電変換素子であって、前記第二のバッファ層は、前記第一のバッファ層、前記活性層及び前記第二電極に接触しているものである、光電変換素子により解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子では、一対の電極の間に、活性層、及びバッファ層等が配置されている。この活性層において、有機無機ハイブリット半導体材料を用いることが、高効率性のために注目を浴びており、特に、ハライドペロブスカイト系化合物を用いることが検討されている。しかしながら、このようなハライドペロブスカイト系化合物は、均一でスムーズな膜を得ることが難しく、このようなペロブスカイト膜を用いると高い素子効率を得られないといった課題があった。
このような問題を解決するため、非特許文献1では塗布法を用いた成膜方法においてペロブスカイト前駆体溶液をスピンコートする際に乾燥の途中で貧溶媒を滴下することで、従来に比べ均一で表面凹凸の少ない膜を得ている。
しかしながら、非特許文献1の方法は、貧溶媒を滴下するプロセスウィンドウが数秒と短く、また光電変換物質の前駆体組成や溶媒が変わるたびに貧溶媒を滴下するタイミングを最適化しなければならないといった課題がある。さらに、この方法で表面の均一性は改善されるが、ある程度の凹凸が残ってしまうのは避けられず、また部分的に塗布欠陥が形成してしまう場合もありこれらは歩留りを下げる原因となる。ペロブスカイトの上層に成膜するバッファ層を塗布で成膜する場合はバッファ層をある程度厚くし、ペロブスカイト層と第二電極が直接接触することを避け、短絡やリークを防ぐ必要があった。特にエネルギーハーベスティング用途で重要な低照度での発電特性においては太陽電池用途ではあまり気にならないような微小なリークであっても発電特性に大きな悪影響を及ぼしてしまうため大きな問題になる。
一方、バッファ層を蒸着で成膜する場合においては塗布法に比べバッファ層がコンフォーマルに成膜され、ペロブスカイトの表面を覆いやすいため、バッファ層の膜厚を薄くしてもペロブスカイトと第二電極の接触を防ぐことができることが期待される。
N.J.JEON, et.al.,Nat. Mater.,13,897-903(2014).
P.Liu, et.al., Appl.,Phys.Lett.,106,193903(2015).
蒸着で成膜可能なホール取出し層としては有機太陽電池でよく使われるMoOが挙げられる。しかしながら、非特許文献2にあるようにペロブスカイトとMoOは反応してしまうために、光電変換素子としては好ましくない界面を形成することが知られていた。 本発明は光電変換素子としての高い性能を維持しつつ、上記光電変換素子の短絡やリークを低減し、歩留りを高くする手段を提供する。また、高い変換効率を示す光電変換素子を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進め、第一のバッファ層と第二電極の界面に第二のバッファ層を有し、第二のバッファ層が特定層と接触することで、素子の短絡やリークが抑制され、高い変換効率を示す光電変換素子として機能させ得ることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下のものを含む。
[1]第一電極と第二電極から構成される一対の電極と、
前記一対の電極間にペロブスカイト型化合物を含有する活性層と、
前記活性層と前記第二電極との間に第一のバッファ層と第二のバッファ層とを備える光電変換素子であって、
前記第二のバッファ層は、前記第一のバッファ層、前記活性層及び前記第二電極に接触しているものである、光電変換素子
[2]前記第二のバッファ層がドライプロセスにより成膜されたものである、[1]に記載の光電変換素子。
[3]前記第一のバッファ層がホール輸送層である、[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4]前記第二のバッファ層が金属酸化物である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の、光電変換素子。
[5]前記第二のバッファ層が酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステンからなる群より選択される少なくとも1つを含む、[1]〜[4]のいずれか1に記載の光電変換素子。
本発明により、ペロブスカイト型化合物の短絡やリークを低減し、歩留りが高く性能の高い太陽電池を得ることができる。
一実施形態としての光電変換素子を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池を模式的に表す断面図である。 一実施形態としての太陽電池モジュールを模式的に表す断面図である。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定はされない。
[光電変換素子]
本実施形態に係る光電変換素子は、第一電極と第二電極から構成される一対の電極と、一対の電極間にあるペロブスカイト化合物を含有する活性層と、一対の電極の一方と活性層との間にある第一のバッファ層及び第二のバッファ層と、を備える。この第二のバッファ層は、活性層と第一のバッファ層と第二電極とに接触している。なお、本発明において接触とは各層の一部が接触していればよく、各層の一部分が断続的に接触していてもよい。
なお、本発明に係る光電変換素子は上記以外の構成要素を備えていてもよく、同じ機能を有する層などを複数有していてもよく、複数の光電変換素子が積層されたタンデム型となっていてもよい。
図1は、本発明に係る光電変換素子の一実施形態を模式的に表す断面図である。図1に示される光電変換素子は、一般的な薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子であるが、本発明に係る光電変換素子が図1に示されるものに限られるわけではない。本発明の一実施形態に係る光電変換素子100は、基材108、第一電極101、バッファ層102、活性層103、第一のバッファ層105、第二のバッファ層106、及び第二電極107がこの順に形成された層構造を有する。図1に示すように、光電変換素子100が、基材108上に各層が積層された構造を有する場合、基材108に近い電極を第一電極101と、基材108から遠い電極を第二電極107と、それぞれ呼ぶことができる。なお、必ずしもバッファ層102を設ける必要はない。
また、光電変換素子100がその他の層をさらに有していてもよい。その他の層としては、第一電極101又は第二電極107の仕事関数を調整する仕事関数チューニング層や、絶縁体層等が挙げられる。
(1.活性層103)
活性層103は光電変換が行われる層である。光電変換素子100が光を受けると、光が活性層103に吸収されてキャリアが発生し、発生したキャリアは第一電極101及び第二電極107から取り出される。
活性層103はペロブスカイト化合物を含有する層である。このような活性層103を有する太陽電池はペロブスカイト太陽電池として知られている。ペロブスカイト半導体においては、ペロブスカイト構造を有するペロブスカイト化合物が結晶を形成している。このような結晶においては励起子結合エネルギーが小さく、正孔及び電子の拡散距離が長いため、効率のよい電荷分離が起こる。
ペロブスカイト化合物とは、ペロブスカイト構造を有する半導体化合物のことを指す。ペロブスカイト化合物としては、特段の制限はないが、例えば、GALASSO et al. Structure and Properties of Inorganic Solids, Chapter 7 - Perovskite type and related structuresで挙げられているものから選ぶことができる。例えば、ペロブスカイト化合物としては、一般式AMXで表されるもの又は一般式AMXで表されるものが挙げられる。ここで、Mは2価のカチオンを、Aは1価のカチオンを、Xは1価のアニオンを指す。ペロブスカイト化合物としては、半導体デバイスの種類に応じて適切なものを選択することができる。ペロブスカイト化合物としては、1.0eV以上3.5eV以下のエネルギーバンドギャップを有する半導体化合物を用いることが好ましい。
1価のカチオンAに特段の制限はないが、上記Galassoの著書に記載されているものを用いることができる。より具体的な例としては、周期表第1族及び第13族〜第16族元素を含むカチオンが挙げられる。これらの中でも、セシウムイオン、ルビジウムイオン、置換基を有していてもよいアンモニウムイオン(アミジニウムイオンを含む)、置換基を有していてもよいホスホニウムイオン、又は置換基を有していてもよいアミジニウムイオンが好ましい。
置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの例としては、1級アンモニウムイオン又は2級アンモニウムイオンが挙げられる。置換基にも特段の制限はない。置換基を有していてもよいアンモニウムイオンの具体例としては、アルキルアンモニウムイオン、アリールアンモニウムイオン、アミジニウムイオン、又はグアニジウムイオン等が挙げられる。特に、立体障害を避けるために、3次元の結晶構造となるモノアルキルアンモニウムイオンが好ましく、安定性向上の観点からは、一つ以上のフッ素基を置換したアルキルアンモニウムイオンを用いることが好ましい。また、カチオンAとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。
1価のカチオンAの具体例としては、メチルアンモニウムイオン、モノフッ化メチルアンモニウムイオン、ジフッ化メチルアンモニウムイオン、トリフッ化メチルアンモニウムイオン、エチルアンモニウムイオン、イソプロピルアンモニウムイオン、n−プロピルアンモニウムイオン、イソブチルアンモニウムイオン、n−ブチルアンモニウムイオン、t−ブチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、ジエチルアンモニウムイオン、フェニルアンモニウムイオン、ベンジルアンモニウムイオン、フェネチルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、アセトアミジニウムイオン又はイミダゾリウムイオン等が挙げられる。
2価のカチオンMにも特段の制限はないが、2価の金属カチオン又は半金属カチオンであることが好ましい。具体的な例としては周期表第14族元素のカチオンが挙げられ、より具体的な例としては、鉛カチオン(Pb2+)、スズカチオン(Sn2+)、ゲルマニウムカチオン(Ge2+)が挙げられる。また、カチオンMとして2種類以上のカチオンの組み合わせを用いることもできる。なお、安定な光電変換素子を得る観点からは、鉛カチオン又は鉛カチオンを含む2種以上のカチオンを用いることが特に好ましい。
1価のアニオンXの例としては、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、ホウ酸イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、クエン酸イオン、硫黄イオン、テルルイオン、チオシアン酸イオン、チタン酸イオン、ジルコン酸イオン、2,4−ペンタンジオナトイオン又はケイフッ素イオン等が挙げられる。バンドギャップを調整するためには、Xは1種類のアニオンであってもよいし、2種類以上のアニオンの組み合わせであってもよい。なかでも、Xとしてはハロゲン化物イオン、又はハロゲン化物イオンとその他のアニオンとの組み合わせを用いることが好ましい。ハロゲン化物イオンXの例としては、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオン等が挙げられる。
ペロブスカイト化合物の好ましい例としては、ハライド系ペロブスカイト化合物が挙げられる。ペロブスカイト化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CHNHSnI、CHNHSnBr、CHNHSnCl、CHNHPbI(3−x)Clx、CHNHPbI(3−x)Br、CHNHPbBr(3−x)Cl、CH3NHPb(1−y)SnyI、CHNHPb(1−y)SnBr、CHNHPb(1−y)SnCl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Cl、CHNHPb(1−y)Sn(3−x)Br及びCHNHPb(1−y)SnyBr(3−x)Cl、並びに、上記の化合物においてCHNHの代わりにCFH2NH3、CFHNH、CFNH、NHCH=NH、Csを用いたものやそれらを混合した組成等が挙げられる。なお、xは0以上3以下、yは0以上1以下の任意の値を示す。
活性層103は、2種類以上のペロブスカイト化合物を含有していてもよい。例えば、A、B及びXのうちの少なくとも1つが異なる2種類以上のペロブスカイト化合物が活性層103に含まれていてもよい。
活性層103に含まれるペロブスカイト化合物の量は、良好な半導体特性が得られるように、好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上限に特に制限はない。
活性層103の厚さに特段の制限はない。太陽電池やフォトディテクターとして用いる場合には、より多くの光を吸収できる点で、活性層103の厚さは、好ましくは5nm以上、さらに好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、特に好ましくは120nm以上である。一方で、直列抵抗が下がる点で、活性層103の厚さは、好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下である。X線やγ線のような放射光の検出に用いる場合には活性層103の厚さは、好ましくは10μm以上、特に好ましくは20μm以上、さらに好ましくは100μm以上である。一方で生成した電荷を効率よく収集するために活性層103の厚さは10mm以下が好ましく、5mm以下がさらに好ましく、1.5mm以下がさらに好ましい。
活性層103の形成方法は特に限定されず、任意の方法を用いることができる。具体例としては、塗布法及び蒸着法(又は共蒸着法)が挙げられる。簡易に活性層103を形成できる点で、塗布法を用いることは好ましい。
ペロブスカイト化合物を含有する活性層103の作製方法の例としては、例えば、ペロブスカイト化合物又はその前駆体を含有する塗布液を塗布することにより半導体層を形成する方法が挙げられる。ペロブスカイト化合物前駆体とは、塗布液を塗布した後にペロブスカイト化合物へと変換可能な材料のことを指す。具体的な例としては、加熱することによりペロブスカイト化合物へと変換可能なペロブスカイト化合物前駆体がある。例えば、塗布液を塗布することにより得られた膜を加熱することにより、ペロブスカイト化合物前駆体をペロブスカイト化合物へと変換し、ペロブスカイト化合物を含有する半導体層を形成することができる。ペロブスカイト化合物前駆体の具体例としては、加熱により下記(1)で表されるペロブスカイト化合物へと変換可能である、下記式(2)で表される化合物及び/又は下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
一例としては、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物と、溶媒と、を含有する塗布液を作製し、この塗布液を塗布する方法が挙げられる。このような塗布液は、化合物を溶液中で加熱攪拌することにより作製することができる。この方法によれば、下記式(1)で表される化合物を含有する活性層103を作製することができる。
AMX ・・・(1)
AX ・・・(2)
MX ・・・(3)
A、M及びXの定義は上述の通りである。AXの具体例としてはハロゲン化アルキルアンモニウム塩が挙げられ、MXの具体例としては金属ハロゲン化物が挙げられる。AX及びMXは、ベロブスカイト半導体化合物AMXの前駆体である。
別の例としては、上記式(2)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液と、上記式(3)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液と、をそれぞれ調製して塗布する方法が挙げられる。例えば、まず、上記式(3)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布することにより式(3)で表される化合物の層を形成する。その上に、上記式(2)で表される化合物と溶媒とを含有する塗布液を塗布することにより、下記式(1)で表される化合物を含有する活性層103を作製することができる。各塗布液を塗布した後には、加熱を行うことにより、層を乾燥させたり、あるいは貧溶媒を滴下するなどしてペロブスカイト半導体化合物の結晶化を制御したりすることができる。加熱は、例えば、40℃以上350℃以下で行うことができる。
溶媒としては、Brandrup,J.ら編「Polymer Handbook, 4th Ed.」に記載の溶解度パラメータ(SP値)が、9以上であるものが好ましく、10以上であるものが特に好ましい。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。なお、混合溶媒を用いる場合も、混合溶媒のうち少なくとも1種の溶媒の溶解度パラメータは10以上であることが好ましい。
(2.第一電極101,第二電極107)
電極は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって、一対の第一電極101及び第二電極107としては、正孔の捕集に適したアノードと、電子の捕集に適したカソードとを用いることが好ましい。第一電極101及び第二電極107は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透光性ある電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、より多くの光が透明電極を透過して活性層103に到達するために好ましい。光の透過率は、分光光度計(例えば、日立ハイテク社製U−4100)で測定できる。
第一電極101と第二電極107とのうち一方はカソードであり、他方はアノードである。一実施形態において、第一電極101はカソードであり、この場合バッファ層102は電子輸送層、バッファ層105は正孔輸送層、第二電極107はアノードである。このような光電変換素子は、ペロブスカイト太陽電池においては順型光電変換素子と呼ばれる。また、一実施形態において、第一電極101はアノードであり、この場合バッファ層102は正孔輸送層、バッファ層105は電子輸送層、第二電極107はカソードである。このような光電変換素子は、ペロブスカイト太陽電池においては逆型光電変換素子と呼ばれる。
アノード及びカソードの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の部材及びその製造方法を使用することができる。
(3.バッファ層102,第一のバッファ層105,第二のバッファ層106)
バッファ層は通常、電子取り出し層と正孔取り出し層とに分類することができる。上述の通り、光電変換素子100が順型構成を有する一実施形態においてバッファ層102は電子取り出し層であり、第一のバッファ層105及び第二のバッファ層106は正孔取り出し層である。また、光電変換素子100が逆型構成を有する一実施形態においてバッファ層102は正孔取り出し層であり、第一のバッファ層105及び第二のバッファ層106は電子取り出し層である。本実施形態において、第二のバッファ層106は、活性層と第一のバッファ層105と第二電極107とに接触している。
本実施形態のように、第一のバッファ層及び第二のバッファ層が本発明に係る形態を有することにより、光電変換素子100の光電変換効率が向上するか、又はリークや短絡が減少し歩留りが向上する。これは第一のバッファ層が活性層を覆いきれないために有する微小なピンホールや塗布欠陥に対し、第二のバッファ層が存在することで整流性を持たせることができ、漏れ電流を抑制できること、活性層に含まれるハロゲンと電極材料との反応を抑制できることなどが理由として挙げられる。
第一のバッファ層の膜厚は10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上がより好ましい。一方で、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下がより好ましい。第一のバッファ層の膜厚が上記範囲であることで光電変換効率が向上する傾向にある。
本発明においては活性層表面の平均面からの高さの最大値Spよりも第一のバッファ層膜厚が小さい。こうすることで第二のバッファ層が、第一のバッファ層、活性層及び第二電極へ接触させることができる。ここで、第一のバッファ層の膜厚は活性層の平均面から第一のバッファ層の平均面までの長さを指す。なお、活性層表面の平均面や最大高さSpは原子間力顕微鏡や表面形状測定装置、レーザー顕微鏡等を用いて測定することができる。活性層表面の平均面は測定した高さ情報の平均値を意味する。
なかでも、第二のバッファ層はドライプロセスであることがより好ましい。その理由は下地の凹凸になっている塗布欠陥に対し、コンフォーマルな面を形成しやすいためである。これにより第一のバッファ層が有する微小なピンホールや塗布欠陥を覆いやすくすることができる。ドライプロセスの成膜方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、ALD法などを用いることができる。
第一のバッファ層のプロセスは特に限定されないが、第二のバッファ層がドライプロセスである場合は、塗布により形成された場合において、ピンホール、ツブ、ムラといった欠陥が生じやすいため、特に本発明の効果が得やすく好ましい。
ピンホールや塗布欠陥を覆いやすくする観点から本発明に係る第二のバッファ層の膜厚は3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。また、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下がより好ましい。第二のバッファ層の膜厚が上記範囲であることで、光電変換効率が向上する傾向にある。
活性層表面の最も高い点から低い点までの距離を表した最大高さSzが150nm以上であることが本発明の効果を得やすく、200nm以上がより効果が得やすく、300nm以上がさらに効果を得やすい。
以下、電子輸送材料及び正孔輸送層材料について説明する。本発明に係るバッファ層102及び第一のバッファ層105及び第二のバッファ層106は、例えば、以下に記載された又はその他の電子輸送層材料又は正孔輸送材料である半導体化合物を含んでいる。
正孔輸送層の材料に特に限定は無く、活性層103からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。正孔輸送層の材料の別の例としては、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
例えば、無機化合物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化鉄、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物が挙げられる。また、有機化合物としては、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及びヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー(例えば、PEDOT:PSS又はドーピングされたP3HT)、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、ナフィオン、又はリチウムドーピングされたspiro−OMeTADが挙げられる。
正孔輸送層の全体の膜厚に特に限定はないが、好ましくは0.5nm以上である。一方、好ましくは400nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層の膜厚が0.5nm以上であることでバッファ材料としての機能をよく果たすことになり、正孔取り出し層の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔輸送層の形成方法に制限はない。昇華性を有する化合物を用いる場合は真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、溶媒に可溶な化合物を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法、ダイコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等の湿式成膜法により形成することができる。
電子輸送層の材料に特に限定は無く、活性層103からカソードへの電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の無機化合物、有機化合物、又は有機無機ペロブスカイト化合物が挙げられる。
例えば、無機化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウム等のアルカリ金属の塩、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化インジウム、又は酸化スズ等の金属酸化物が挙げられる。有機化合物としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、フラーレン化合物、ペリレンジイミド化合物、ナフタレンジイミド化合物、又はホスフィンオキシド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族元素と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
電子輸送層の形成方法に特に制限はない。昇華性を有する化合物を材料として用いる場合は、真空蒸着法等の乾式成膜法により形成することができる。また、溶媒に可溶な化合物を材料として用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法、ダイコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等の湿式成膜法により形成することができる。
電子輸送層の全体の膜厚に特に限定はないが、好ましくは0.5nm以上、さらに好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、特に好ましくは10nm以上である。一方、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは700nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは200nm以下である。電子輸送層の膜厚が上記の範囲内にあることで、均一な塗布が容易となり、電子取り出し機能もよく発揮されうる。
本実施形態において、緻密な膜ができやすいことから、第二のバッファ層が無機化合物であることが好ましく、さらに金属酸化物であることが好ましい。また、金属酸化物の中でも、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステンからなる群より選択される少なくとも1つであることが、仕事関数が大きく、第一のバッファ層に用いられるホール輸送性材料とエネルギー準位のアライメントを取りやすいためにより好ましい。
(4.基材108)
光電変換素子100は、通常は支持体となる基材108を有する。もっとも、本発明に係る光電変換素子は基材108を有さなくてもよい。基材108の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されず、例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の材料を使用することができる。
(5.光電変換素子の作製方法)
上述の方法に従って、光電変換素子100を構成する各層を形成することにより、光電変換素子100を作製することができる。例えば、基材108の上に、下部電極101、バッファ層102、活性層103、第一のバッファ層105、第二のバッファ層106及び上部電極107をこの順に順次積層することにより、光電変換素子100を製造することができる。この場合、支持体となる基材108は形成される各層より厚くてもよい。例えば、基材108の厚さは200nm以上であってもよく、好ましくは500nm以上である。また、耐久性を向上させるため、光電変換素子100をさらに封止してもよい。例えば、上部電極107にさらに封止板を積層し、基材108と封止板とを接着剤で固定することにより、光電変換素子100を封止することができる。
光電変換素子100を構成する各層の形成方法に特段の制限はなく、シートツゥーシート(万葉)方式、又はロールツゥーロール方式で形成することができる。なお、ロールツゥーロール方式とは、ロール状に巻かれたフレキシブルな基材を繰り出して、間欠的、或いは連続的に搬送しながら、巻き取りロールにより巻き取られるまでの間に加工を行う方式である。ロールツゥーロール方式によれば、kmオーダの長尺基板を一括処理することが可能であるため、ロールツゥーロール方式はシートツゥーシート方式に比べて量産化に適している。一方、ロールツゥーロール方式で各層を成膜しようとすると、その構造上、成膜面とロールとが接触することにより膜に傷がついたり、部分的に剥がれてしまったりする場合があるが、欠陥による短絡やリークを抑制できる点で本発明の効果をより得やすい。
ロールツゥーロール方式に用いることのできるロールの大きさは、ロールツゥーロール方式の製造装置で扱える限り特に限定されないが、外径の上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは1m以下である。一方、下限は好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上である。ロール芯の外径の上限は、好ましくは4m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは0.5m以下である。一方、下限は好ましくは1cm以上、さらに好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、特に好ましくは20cm以上である。これらの径が上記上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは各工程で成膜される層が曲げ応力により破壊される可能性が低くなる点で好ましい。ロールの幅の下限は、好ましくは5cm以上、さらに好ましくは10cm以上、より好ましくは20cm以上である。一方、上限は、好ましくは5m以下、さらに好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下である。幅が上限以下であることはロールの取り扱い性が高い点で好ましく、下限以上であることは光電変換素子100の大きさの自由度が高くなるため好ましい。
また、上部電極107を積層した後に、光電変換素子100に対してアニーリング処理工程を行うことができる。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、光電変換素子100の各層間の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上しうる。アニーリング処理工程においては、異なる温度を用いた段階的な加熱を行ってもよい。
アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、構成材料の熱酸化を防ぐ上でも、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。加熱方法としては、ホットプレート等の熱源に光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に光電変換素子を入れてもよいし、赤外光を用いて加熱してもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
(6.光電変換特性)
光電変換素子100の光電変換特性は次のようにして求めることができる。光電変換素子100にソーラシミュレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
光電変換素子100の光電変換効率は、特段の制限はないが、好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。また、光電変換素子100のフィルファクターは、特段の制限はないが、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
(7.太陽電池)
本実施形態に係る光電変換素子100は、太陽電池、なかでも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましい。図2は本発明の一実施形態に係る太陽電池の構成を模式的に表す断面図であり、図2には本発明の一実施形態に係る太陽電池である薄膜太陽電池が示されている。図2に表すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10と、をこの順に備える。本実施形態に係る薄膜太陽電池14は、太陽電池素子6として、本実施形態に係る光電変換素子を有している。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図2中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、薄膜太陽電池14は、これらの構成部材を全て有する必要はなく、必要な構成部材を任意に選択することができる。
薄膜太陽電池を構成するこれらの構成部材及びその製造方法について特段の制限はなく、周知技術を用いることができる。例えば、国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等の公知文献に記載の技術を使用することができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。例えば、一実施形態に係る太陽電池は、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池として用いることができる。
本発明に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14はそのまま用いてもよいし、太陽電池モジュールの構成要素として用いられてもよい。例えば、図3に示すように、本実施形態に係る太陽電池、特には上述した薄膜太陽電池14を基材12上に備える太陽電池モジュール13を作製し、この太陽電池モジュール13を使用場所に設置して用いることができる。基材12としては周知技術を用いることができ、例えば、基材12の材料としては国際公開第2013/171517号、国際公開第2013/180230号又は特開2012−191194号公報等に記載の材料を用いることができる。例えば、基材12として建材用板材を使用する場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けることにより、太陽電池モジュール13として、建物の外壁用太陽電池パネルを作製することができる。
以下に、実施例により本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例には限定されない。
[塗布液の調製]
(電子輸送層用塗布液の調製)
酸化スズ(IV)15質量%水分散液(Alfa Aesar社製)に超純水を加えることにより、7.5質量%の酸化スズ水分散液を作製した。
(活性層用塗布液の調製)
ヨウ化鉛(II)をバイアル瓶に量りとりグローブボックスに導入した。ヨウ化鉛(II)の濃度が1.3mol/Lとなるように溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを加え、その後、100℃で1時間加熱撹拌することで活性層用塗布液1を作製した。
次に、別のバイアル瓶にホルムアミジンヨウ化水素酸塩(FAI)、メチルアミン臭化水素酸塩(MABr)、及びメチルアミン塩化水素酸塩(MACl)を10:1:1の質量比となるよう量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒としてイソプロピルアルコールを加えることにより、FAI、MAbr、及びMAClの合計濃度が0.49mol/Lである活性層用塗布液2を調製した。
(正孔輸送層用塗布液の調製)
64mgのポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン]と、7.2mgの4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(TPFB,TCI社製)とをバイアル瓶に量りとり、グローブボックスに導入した。そこへ溶媒として1.6mLのオルトジクロロベンゼンを加えた。次に、得られた混合液を150℃で1時間加熱撹拌することにより、正孔輸送層用塗布液を調製した。
[実施例1]
(光電変換素子の作製)
パターニングされた酸化インジウムスズ(ITO)透明導電膜を備えるガラス基板(ジオマテック社製)に対して、超純水を用いた超音波洗浄、窒素ブローによる乾燥、及びUV−オゾン処理を行った。
次に、上記のように調製した電子輸送層用塗布液を、室温で、上記の基板上に2000rpmの速度でスピンコートすることにより、厚さ約35nmの電子輸送層を形成した。その後、基板をホットプレート上150℃で10分間加熱した。
次に、基板をグローブボックスに導入し、100℃に加熱した活性層用塗布液1を電子輸送層上に150μL滴下し、2000rpmの速度でスピンコートした。次に、基板をホットプレート上100℃で10分間加熱アニールすることにより、ヨウ化鉛層を形成した。次に、基板が室温に戻った後、ヨウ化鉛層上に活性層塗布液2(120μL)を2000rpmの速度でスピンコートし、150℃で20分間加熱することにより、有機無機ペロブスカイトの活性層(厚さ650nm)を形成した。
次に、基板が室温に戻った後、活性層上に、正孔輸送層塗布液(200μL)を1500rpmの速度でスピンコートし、さらにホットプレート上90℃で5分間加熱することで、正孔輸送層(170nm)を形成した。
次に、正孔輸送層上に、抵抗加熱型真空蒸着法により厚さ約10nmのMoO、次いで約30nmのIZO及び約100nmの銀を蒸着させ、上部電極を形成した。以上のようにして、光電変換素子を作製した。
[比較例1]
正孔輸送層及びMoO層を成膜しなかったことを除き、実施例1と同様の方法を用いて光電変換素子を作製した。
[比較例2]
正孔輸送層を成膜しなかったことを除き、実施例1と同様の方法を用いて光電変換素子を作製した。
[比較例3]
MoO層を成膜しなかったことを除き、実施例1と同様の方法を用いて光電変換素子を作製した。
[光電変換素子の評価]
実施例1及び比較例1で得られた光電変換素子のそれぞれに4mm角のメタルマスクを付け、ITO電極と銀電極との間における電流−電圧特性を測定した。測定にはソースメーター(ケイスレー社製,2400型)を用い、照射光源としては疑似太陽光光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレーターを用いた。これらの測定結果から、それぞれの光電変換素子の初期変換効率PCE(%)を算出した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2021077788
表1に示すように、第二のバッファ層が第一のバッファ層とペロブスカイト層と上部電極とに接している実施例1では17%を超える高い変換効率を示し、漏れ電流の指標である並列抵抗は大きいことが示された。
一方、比較例1のようにペロブスカイト層と上部電極層が直接接触しているため素子が短絡し、整流性を有さなくなった。比較例2では並列抵抗は高く、整流性を有しているものの、既報の通り、光電変換層と第二のバッファ層に用いたMoO3の接続が悪く変換効率は極めて低くなった。また、比較例3では素子の一部が第一のバッファ層で覆われていないためにやや並列抵抗が小さい値となっており、結果として変換効率は14%以下と低くなった。
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池モジュール
14 薄膜太陽電池
100 光電変換素子
101 下部電極
102 バッファ層
103 活性層
105 第一のバッファ層
106 第二のバッファ層
107 上部電極
108 基材

Claims (5)

  1. 第一電極と第二電極から構成される一対の電極と、
    前記一対の電極間にペロブスカイト型化合物を含有する活性層と、
    前記活性層と前記第二電極との間に第一のバッファ層と第二のバッファ層とを備える光電変換素子であって、
    前記第二のバッファ層は、前記第一のバッファ層、前記活性層及び前記第二電極に接触しているものである、光電変換素子。
  2. 前記第二のバッファ層がドライプロセスにより成膜されたものである、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記第一のバッファ層がホール輸送層である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記第二のバッファ層が金属酸化物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、光電変換素子。
  5. 前記第二のバッファ層が酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステンからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
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