JP2021077705A - エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法及びエピタキシャルシリコンウェーハ - Google Patents

エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法及びエピタキシャルシリコンウェーハ Download PDF

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Abstract

【課題】エピタキシャルシリコンウェーハに設けられたイオン注入層によるパッシベーション効果を評価することのできる評価方法を提供する。
【解決手段】本発明によるエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法は、シリコンウェーハ上のシリコンエピタキシャル層の表面にシリコン酸化膜を形成する第1工程と、前記シリコンエピタキシャル層と前記シリコン酸化膜との界面に欠陥を形成する第2工程と、前記第2工程の後、シリコンウェーハに設けられたイオン注入層から前記イオン注入された元素を脱離させるための熱処理を行う第3工程と、前記第3工程の後、前記界面の界面準位密度DitをC−V法により求める第4工程と、前記第4工程により求めた界面準位密度Ditに基づいて、前記エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果を評価する第5工程と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果の評価方法及びエピタキシャルシリコンウェーハに関する。
シリコンウェーハ上に単結晶シリコンからなるシリコンエピタキシャル層を形成したエピタキシャルシリコンウェーハは、固体撮像素子などの各種半導体デバイスを作製する際の半導体基板として用いられており、様々な観点から開発が進められている。半導体デバイスの微細化や高性能化が進む近年では、半導体デバイス特性のさらなる改善のために、エピタキシャルシリコンウェーハのエピタキシャル層などに生じる欠陥を低減する技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、エピタキシャルシリコンウェーハの、エピタキシャル層直下のシリコンウェーハ表面部に、高濃度の水素イオン注入層が設けられたエピタキシャルシリコンウェーハが開示されている。特許文献1の半導体エピタキシャルウェーハは、半導体ウェーハ表面部に水素の高濃度領域が形成されているため、デバイス形成工程を模擬した熱処理を行うと、エピタキシャル層の結晶性が改善する。特許文献1において、半導体ウェーハの表層部に高濃度に存在していた水素がエピタキシャル層中の点欠陥をパッシベーションするからであると考えられている。
特開2016−51729号公報
エピタキシャルシリコンウェーハを半導体基板に用いて半導体デバイスを作製するときには、エピタキシャル層の表面の一部にシリコン酸化膜を設けることが一般的である。このエピタキシャル層と、シリコン酸化膜との界面(以下、「酸化膜界面」と略記することがある。)には、シリコン原子と酸素原子とでの未結合手となるダングリングボンドが存在する。このダングリングボンドは半導体デバイスの電気特性を悪化させる原因として知られており、ダングリングボンドは半導体デバイスにおけるリーク電流の原因となるし、CMOSイメージセンサでは暗電流の増加につながる。
特許文献1に記載の実験事実によれば、エピタキシャル層直下に設けられた水素イオン注入層における水素は熱処理によって脱離しつつ、エピタキシャル層中の点欠陥をパッシベーション(不動態化)すると考えられる。当該水素イオン注入層における水素は、エピタキシャル層中の点欠陥に加えて、酸化膜界面におけるダングリングボンドをパッシベーションして界面準位欠陥密度を低減することが期待できる。しかしながら、水素イオン注入層から脱離した水素が界面準位を実際にパッシベーションしているかを評価する手法はこれまでのところ確立されておらず、界面準位へのパッシベーション効果は実証されていない。また、この問題は、界面準位への、水素以外の元素がイオン注入されたイオン注入層からの脱離元素によるパッシペーション効果についても当てはまる。
こうして、パッシベーション効果を有すると期待されるイオン注入層を備えるエピタキシャルシリコンウェーハであっても、パッシベーション効果を十分に有するかどうかを確実に評価できる方法を確立する必要があると、本発明者らは課題認識した。また、当該評価方法を確立することができれば、パッシベーション効果を十分に有するエピタキシャルシリコンウェーハを提供することも可能となる。
そこで本発明は、エピタキシャルシリコンウェーハに設けられたイオン注入層による界面準位へのパッシベーション効果を評価することのできる評価方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、界面準位へのパッシベーション効果を十分に有するエピタキシャルシリコンウェーハを提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した。本発明者らはまず、デバイス形成工程を模して、エピタキシャル層の上にシリコン酸化膜を形成して、C−V(Capacitance-Voltage)法を用いて酸化膜界面の界面準位密度Ditを求めることにより、イオン注入層によるパッシベーション効果を評価しようと試みた。デバイス形成工程を模擬した注入元素を脱離させる熱処理を行えば、イオン注入層から酸化膜界面がパッシベーションされ、当該熱処理の前後で界面準位密度Ditの低減が観察されると、本発明者らは期待したためである。しかしながらこの場合、熱処理の前後で、酸化膜界面における界面準位密度Ditの有意な変動を観察することはできなかった。この原因を本発明者らは鋭意検討したところ、エピタキシャル層の上にシリコン酸化膜を単に形成しただけでは界面準位が十分に形成されず、パッシベーション効果を評価するには形成される界面準位密度Ditの大きさが不十分であったからだと考えた。そこで本発明者らは、酸化膜界面の界面準位を酸化膜形成直後よりも意図的に顕在化させるため欠陥形成処理を行うことを着想した。そして、この欠陥形成処理を行うことにより、イオン注入層によるパッシベーション効果を評価できることを本発明者らは実験的に確認し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
(1)エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法であって、
前記エピタキシャルシリコンウェーハは、シリコンウェーハと、前記シリコンウェーハの表面部にパッシベーション効果を有する元素がイオン注入されたイオン注入層と、前記表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層と、を備え、
前記シリコンエピタキシャル層の表面にシリコン酸化膜を形成する第1工程と、
前記シリコンエピタキシャル層と前記シリコン酸化膜との界面に欠陥を形成する第2工程と、
前記第2工程の後、前記イオン注入層から前記イオン注入された元素を脱離させる熱処理を行う第3工程と、
前記第3工程の後、前記界面の界面準位密度DitをC−V法により求める第4工程と、
前記第4工程により求めた界面準位密度Ditに基づいて、前記エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果を評価する第5工程と、
を含むことを特徴とする、エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
(2)前記第5工程において、前記第4工程で求めた前記界面準位密度Ditと、あらかじめ求めた閾値との対比により前記パッシベーション効果を評価する、前記(1)に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
(3)前記第5工程において、前記第4工程で求めた前記界面準位密度Ditと、前記イオン注入層の形成条件が異なる以外は同種のエピタキシャルシリコンウェーハにおける界面準位密度Ditの値との対比に基づいて前記パッシベーション効果を評価する、前記(1)に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
(4)前記第2工程において、電子線照射により前記欠陥を形成する、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
(5)前記電子線照射を加速電圧50keV以上2000keV以下、吸収線量800kGray以上6000kGray以下の照射条件で行う前記(4)に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
(6)シリコンウェーハと、前記シリコンウェーハの表面部にパッシベーション効果を有するイオンが注入されてなるイオン注入層と、前記表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層と、を備えたエピタキシャルシリコンウェーハであって、
前記シリコンエピタキシャル層の表面に酸化膜を形成し、次いで電子線照射を行い、その後前記イオン注入された元素を脱離させるための熱処理を行った後の、前記シリコンエピタキシャル層と酸化膜との界面において、C−V法により得られる界面準位密度Ditが2.0×1010/eVcm以下であることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハ。
本発明によれば、エピタキシャルシリコンウェーハに設けられたイオン注入層による界面準位へのパッシベーション効果を評価することのできる評価方法を提供することができる。さらに本発明によれば、界面準位へのパッシベーション効果を十分に有するエピタキシャルシリコンウェーハを提供することができる。
本発明の一実施形態に従う評価方法に適用可能なエピタキシャルシリコンウェーハの模式断面図である。 本発明の一実施形態に従う評価方法を説明する模式断面図である。 本発明の一実施形態に従うエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を説明する模式断面図である。 実験例1において求めた界面準位密度Dit分布である。 実験例1において求めた界面準位密度Ditを比較したグラフである。 実験例2において求めた界面準位密度Ditを比較したグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、図1〜図3では説明の便宜上、実際の厚さの割合とは異なり、シリコンウェーハ100に対して他の構成の縦横比を誇張して示す。
(エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果の評価方法)
図1、図2を参照しつつ、本発明の一実施形態に従うエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法を説明する。この評価方法を適用するエピタキシャルシリコンウェーハ100は、シリコンウェーハ110と、シリコンウェーハ110の表面部にパッシベーション効果を有する元素がイオン注入されたイオン注入層118と、この表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層120と、を備える。そして、シリコンエピタキシャル層120の表面120Aにシリコン酸化膜3Aを形成する第1工程(S110)と、シリコンエピタキシャル層120とシリコン酸化膜3Aとの界面に欠陥121を形成する第2工程(S120)と、第2工程の後、イオン注入層118からイオン注入された元素を脱離させる熱処理を行う第3工程(S130)と、第3工程の後、この界面の界面準位密度DitをC−V法により求める第4工程(S140)と、第4工程により求めた界面準位密度Ditに基づいて、エピタキシャルシリコンウェーハ100のパッシベーション効果を評価する第5工程と、を含む。
−評価対象のエピタキシャルシリコンウェーハ−
各工程の詳細な説明に先立ち、図1を参照して、本評価方法において評価対象となるエピタキシャルシリコンウェーハ100を簡潔に説明する。エピタキシャルシリコンウェーハ100には、酸化膜界面に対するパッシベーション効果を有する元素がイオン注入されたイオン注入層118が設けられている。パッシベーション効果を有する元素の代表例は水素(H)である。しかしながら、イオン注入層118は水素以外の元素がイオン注入によって形成されてもよい。フッ素(F)、窒素(N)などもパッシベーション効果を有しうるため、これら元素がイオン注入されたエピタキシャルシリコンウェーハに本評価方法を適用することによって、パッシベーション効果の有無及びその程度を評価することも好ましい。エピタキシャルシリコンウェーハ100の具体的態様については後述する。
<第1工程>
第1工程(S110)において、シリコンエピタキシャル層120の表面120Aにシリコン酸化膜3Aを形成する。シリコン酸化膜3Aは一般的な手法により形成することができ、熱酸化法、プラズマCVDなどを適用することができる。形成するシリコン酸化膜3Aの膜厚は特に制限されないが、第4工程(S140)における界面準位密度Ditの測定時にシリコン酸化膜3Aを利用することを考慮すると、例えば10nm以上50nm以下とすればよい。
<第2工程>
次に、第2工程(S120)において、シリコンエピタキシャル層120とシリコン酸化膜3Aとの界面(表面120Aの位置に対応する)に欠陥121を形成する。例えば、電子線5をシリコン酸化膜3Aが設けられた側から照射することによって、欠陥121を形成することができる。シリコン単結晶に高エネルギーの電子線5を照射すると、電子の運動エネルギーは、結晶中において電離、励起、制動放射などによって大部分が失われるものの、一部分は原子変位など格子欠陥の生成に費やされる。したがって、電子線照射によって酸化膜界面において格子欠陥等の欠陥が形成され、界面準位密度Ditがシリコン酸化膜3Aの形成直後から大幅に増大する。欠陥121を確実に形成するためには、加速電圧50〜2000keV、吸収線量800〜6000kGrayの電子線5を照射することが好ましい。このような電子線照射装置として、(株)NHVコーポレーション社製スキャン方式電子線照射装置、浜松ホトニクス社製EB−ENGINE装置などが挙げられる。なお、本工程は酸化膜界面に欠陥を形成できる手法であれば電子線照射以外の手法を適用でき、例えばガンマ線照射によって欠陥121を形成してもよい。
<第3工程>
第2工程(S120)の後、第3工程(S130)ではイオン注入層118からイオン注入された元素を脱離させる熱処理を行う。本工程による熱処理は、半導体デバイスプロセスを模擬した熱処理とすればよく、特に制限されない。例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で、400℃以上1100℃以下、5分以上3時間以下、電子線照射後のエピタキシャルシリコンウェーハ100を保持すればよい。パッシベーション効果をより確実に評価するためには、熱処理温度を600℃以上とすることがより好ましい。
<第4工程>
次に、第3工程(S130)の後、第4工程(S140)では酸化膜界面の界面準位密度DitをC−V法により求める。本工程はエピタキシャルシリコンウェーハ100にMOS構造を形成するなどした後、C−V法を適用すればよい。C−V法はQSCV法、高周波CV法など任意である。CV法による測定を行うためのMOS構造の一例を図2のS140に示した。例えば、シリコン酸化膜3Aを一部残存させつつ、シリコンエピタキシャル層表面を露出させるようエッチングしてシリコン酸化膜3Bを形成した後、アルミニウム等の電極7、8をシリコン酸化膜3B上及び露出したシリコンエピタキシャル層120上それぞれに形成すればMOS構造を形成することができる。
次いで、シリコン酸化膜3Bを絶縁層として用いて電圧を印加し、キャパシタンスの変化を測定する。酸化膜界面に存在するキャパシタンスは第2工程(S120)において形成された欠陥121の界面準位密度Ditによって変化する。C−V測定から得られるキャパシタンスは絶縁膜のキャパシタンス、絶縁膜直下の半導体層(シリコンエピタキシャル層120)のキャパシタンス及び前記界面準位密度Ditによって変化するキャパシタンスが組み合わせられることによって決定される。絶縁膜のキャパシタンスは測定面積、膜厚によって決定され、半導体層のキャパシタンスはドーピング濃度によって決定される固有値であるため、測定されるC−V特性から酸化膜界面における界面準位密度Ditを求めることができる。
例えばQS(Quasi Static)C−V法を用いれば、界面準位密度Ditを下記式(1)から求めることができる。
Figure 2021077705
式(1)中、qは素電荷を、Clfは測定容量を、Coxはゲート酸化膜容量を、Cは半導体の算出容量(空乏層容量と反転層容量の和に相当)をそれぞれ表す。
<第5工程>
そして、第5工程(S150)では、上記第4工程(S140)により求めた界面準位密度Ditに基づいて、エピタキシャルシリコンウェーハ100のパッシベーション効果を評価する。
<<第1態様>>
例えば、第4工程(S140)で求めた界面準位密度Ditと、あらかじめ求めた閾値との対比によりパッシベーション効果を評価することができる。求めた界面準位密度Ditが当該閾値を下回る値であれば、イオン注入層118からのパッシベーション効果は十分であるといえる。なお、イオン注入層を形成しないエピタキシャルシリコンウェーハであっても、前述の第3工程における熱処理によって界面準位はある程度低減する。そのため、イオン注入を行っていないエピタキシャルシリコンウェーハにおける熱処理後の界面準位密度Ditに基づき、上記閾値を定める。こうした閾値として例えば、Dit2.0×1010/eVcmを採用することができる。
<<第2態様>>
また、評価対象となるエピタキシャルシリコンウェーハ100におけるイオン注入層118の形成条件が異なる以外は同種のエピタキシャルシリコンウェーハ(以下、「対比ウェーハ」)を用意し、対比ウェーハから得られる界面準位密度Ditとの対比に基づいても本第5工程(S150)を行うことができる。対比ウェーハの界面準位密度Ditに対して、エピタキシャルシリコンウェーハ100の界面準位密度Ditがより小さい値になっていれば、エピタキシャルシリコンウェーハ100は対比ウェーハよりも優れたパッシベーション効果を有すると判断できる。なお、本第5工程とは別に、対比ウェーハに対して前述した第1工程〜第4工程と同様にすれば、対比ウェーハの界面準位密度Ditを求めることができる。また、ここでいう「イオン注入層の形成条件が異なる」とは、イオン種、加速電圧、ドーズ量、ビーム電流値などを変動させる場合の他、イオン注入層を形成しない場合も含む。対比ウェーハとして、イオン注入層を形成しないウェーハ(以下、「基準ウェーハ」と称する。)を用いることも好ましい。
酸化膜界面の界面準位は、熱処理によってある程度回復してしまうものの、本実施形態では第3工程(S130)における熱処理に先立ち、第2工程(S120)において酸化膜界面に十分な欠陥121を形成する。したがって、これまで説明してきた第1工程〜第5工程を経ることにより、酸化膜界面における熱処理に伴う回復効果を超えた界面準位密度Ditの低減を確認できるため、エピタキシャルシリコンウェーハ100に設けられたイオン注入層118のパッシベーション効果を評価することができる。
以下、本発明の一実施形態に従う評価方法に適用可能な評価対象のエピタキシャルシリコンウェーハの具体的態様を、図1を参照して説明する。
<<シリコンウェーハ>>
シリコンウェーハ100としては、例えば、表面にエピタキシャル層を有しないバルクの単結晶シリコンウェーハが挙げられる。また、より高いゲッタリング能力を得るために、シリコンウェーハ100に炭素及び/又は窒素を添加してもよい。さらに、シリコンウェーハに任意のドーパントを所定濃度添加して、いわゆるn+型もしくはp+型、またはn−型もしくはp−型の基板としてもよい。
また、シリコンウェーハ100としては、バルクの単結晶シリコンウェーハ表面にシリコンエピタキシャル層(図示せず)が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハをベース基板として用いてもよい。ベース基板のシリコンエピタキシャル層は、CVD法により一般的な条件で形成することができる。ベース基板のシリコンエピタキシャル層は、厚さが0.1〜10μmの範囲内とすることが好ましく、0.2〜5μmの範囲内とすることがより好ましい。
<<イオン注入層>>
イオン注入層118は、パッシベーション効果を有する元素をイオン注入することによって、シリコンウェーハ100の表面部に形成することができる。このような元素として、前述の水素、フッ素などを例示できる。パッシベーション効果を有する元素として水素を採用する場合を例に説明すると、イオン注入層118は、水素のモノマーイオン(シングルイオン)を注入したり、水素を構成元素に含むクラスターイオンを注入したりすることによって形成することができる。このようなクラスターイオンとして、水素及び炭素を構成元素に含むクラスターイオンを好適に挙げることができる。なお、本明細書における「クラスターイオン」とは、電子衝撃法により、ガス状分子に電子を衝突させてガス状分子の結合を解離させることで種々の原子数の原子集合体とし、フラグメントを起こさせて当該原子集合体をイオン化させ、イオン化された種々の原子数の原子集合体の質量分離を行って、特定の質量数のイオン化された原子集合体を抽出して得られるものである。
シリコンウェーハに、例えば炭素と水素からなるクラスターイオンを照射する場合、クラスターイオンは、シリコンウェーハに照射されるとそのエネルギーで瞬間的に1350〜1400℃程度の高温状態となり、シリコンが融解する。その後、シリコンは急速に冷却され、シリコンウェーハ中の表面近傍に炭素および水素が固溶し、改質層が形成される。本明細書における「改質層」とは、照射するイオンの構成元素がシリコンウェーハ表層部の結晶の格子間位置または置換位置に固溶した層を意味する。SIMSによるシリコンウェーハの深さ方向における炭素の濃度プロファイルは、クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズに依存するが、モノマーイオンの場合に比べてシャープになり、照射された炭素の局所的に存在する領域(すなわち、改質層)の厚みは、概ね500nm以下(例えば50〜400nm程度)となる。この改質層がゲッタリングサイトとなる。
−注入条件−
モノマーイオンの加速電圧は、一般的に200〜500keV/atomとし、その範囲で適宜設定すればよい。また、モノマーイオンのドーズ量も特に限定されないが、例えば1×1013〜1×1016atoms/cmとすることができる。クラスター照射条件としては、クラスターイオンの構成元素、クラスターイオンのドーズ量、クラスターサイズ、クラスターイオンの加速電圧、およびビーム電流値等が挙げられる。クラスターイオンの構成元素は炭素及び水素を含むものとすることが好ましい。例えばシクロヘキサン(C12)を材料ガスとすれば、炭素および水素からなるクラスターイオンを生成することができる。また、炭素源化合物として特にピレン(C1610)、ジベンジル(C1414)などから生成したクラスターC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いることが好ましい。小サイズのクラスターイオンビームを制御し易いためである。また、炭素はイオン注入層に強力なゲッタリング能力を付与できる点でも好ましい。
クラスターサイズは2〜100個、好ましくは60個以下、より好ましくは50個以下で適宜設定することができる。本明細書において「クラスターサイズ」とは、1つのクラスターを構成する原子または分子の個数を意味する。後述する実験例では、クラスターサイズ8個のCを用いた。クラスターサイズの調整は、ノズルから噴出されるガスのガス圧力および真空容器の圧力、イオン化する際のフィラメントへ印加する電圧などを調整することにより行うことができる。なお、クラスターサイズは、四重極高周波電界による質量分析またはタイムオブフライト質量分析によりクラスター個数分布を求め、クラスター個数の平均値をとることにより求めることができる。
クラスターイオンのドーズ量は、イオン照射時間を制御することにより調整することができる。クラスターイオンのドーズ量は特に限定されず、概ね1×1014Cluster/cm以上1×1016Cluster/cm以下の範囲内とすることができる。
クラスターイオンの加速電圧は、クラスターイオンとしてC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いる場合、炭素1原子あたりで0keV/atom超え50keV/atom以下とし、好ましくは、40keV/atom以下とすることができる。
ビーム電流値は概ね0.3mA以上3.0mA以下とすることができる。
<<シリコンエピタキシャル層>>
イオン注入層118上に形成するシリコンエピタキシャル層120は、一般的な条件により形成することができる。まず、シリコンウェーハ100をエピタキシャル成長装置内に投入し、水素ベーク処理を行う。水素ベーク処理の一般的な条件は、エピタキシャル成長装置内を水素雰囲気とし、600℃以上900℃以下の炉内温度でシリコンウェーハ100を炉内に投入し、1℃/秒以上15℃/秒以下の昇温レートで1100℃以上1200℃以下の温度範囲にまで昇温させ、その温度で30秒以上1分以下の間保持するものである。この水素ベーク処理は、ウェーハ表面に形成された自然酸化膜をシリコンエピタキシャル層120の成長前に除去することである。引き続き、例えば水素をキャリアガスとして、ジクロロシラン、トリクロロシランなどのソースガスをチャンバー内に導入し、使用するソースガスによっても成長温度は異なるが、概ね1000〜1200℃の範囲の温度でCVD法によりシリコンウェーハ100上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させることができる。シリコンエピタキシャル層120の厚さは特に限定さないが、1〜15μm程度とすることができる。
(エピタキシャルシリコンウェーハ)
続いて、本発明の一実施形態に従うエピタキシャルシリコンウェーハについて、図3を参照して説明する。図3の工程S230を参照すると、エピタキシャルシリコンウェーハ200は、シリコンウェーハ210と、シリコンウェーハ210の表面部にパッシベーション効果を有するイオンが注入されてなるイオン注入層218と、この表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層220と、を備える。そして、シリコンエピタキシャル層220の表面に酸化膜を形成し、次いで電子線照射を行い、その後、イオン注入層218においてイオン注入された元素を脱離させるための熱処理を行った後の、シリコンエピタキシャル層220と酸化膜との界面において、C−V法により得られる界面準位密度Ditが2.0×1010/eVcm以下である。界面準位密度Ditを得るための具体的な手法は、上述した評価方法の実施形態における第1工程〜第4工程と同様であり、重複説明を省略する。本実施形態に従うエピタキシャルシリコンウェーハ200は、従来技術では実現することのできなかった高いパッシベーション効果を有する。なお、上記界面準位密度Ditを求める際の評価条件は後述の実験例2で行った実験条件に準拠する。
エピタキシャルシリコンウェーハ200の製造方法の一例を、図3を参照して説明する。なお、図1と重複する構成については数字三桁のうち、下二桁を参照し、重複する説明を省略する。この製造方法は、シリコンウェーハ210の表面210Aから水素を構成元素に含むクラスターイオン230を注入し、イオン注入層218を形成する工程(S210、S220参照)と、イオン注入層218上にシリコンエピタキシャル層220を形成する工程(S230参照)と、を含む。各工程の条件は、エピタキシャルシリコンウェーハ100を得るための製造条件の一例として説明したクラスターイオン照射条件の中から、ドーズ量、クラスター種、加速電圧、ビーム電流値等の照射条件や、シリコネピタキシャル層の成長条件を適宜選定し、選定したクラスターイオン照射条件から得られる界面準位密度Ditの値との相関を予め求めておくことにより、本実施形態に係るエピタキシャルシリコンウェーハ200を製造することができる。特に、イオン注入層218を形成する工程におけるクラスターイオンのドーズ量及びビーム電流値を適正範囲にすることが望ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実験例1:評価方法)
<評価ウェーハ>
CZ結晶から得たp型シリコンウェーハ(厚さ:300μm、ドーパント種類:ボロン、抵抗率:10Ω・cm)を用意した。次に、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、2−メチルペンタンから生成したCのクラスターイオンを、クラスタードーズ量:3.3×1014Cluster/cm(炭素ドーズ量:1.0×1015atoms/cm、水素ドーズ量2.0×1015atoms/cm)、加速電圧:80keV、ビーム電流値:850μAの条件でシリコンウェーハ表面に注入し、シリコンウェーハの表面部にイオン注入層を形成した。
次に、このシリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)内に搬送し、装置内で1120℃の温度で30秒の水素ベーク処理を施した。その後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガスとして1150℃でCVD法により、シリコンウェーハ上に厚さ10.0μmのシリコンエピタキシャル層(ドーパント:P、抵抗率:約50Ω・cm)を成長させ、評価ウェーハを作製した。
<基準ウェーハ>
クラスターイオン注入を行わず、イオン注入層を形成しなかった以外は上記評価ウェーハと同様にして、基準ウェーハを作製した。
<界面準位密度Ditの評価実験>
こうして得た評価ウェーハ及び基準ウェーハのそれぞれに対し、以下の手順により界面準位密度Ditを求める実験を行った。
−酸化膜の形成−
評価ウェーハ及び基準ウェーハのそれぞれに対し、酸素を97vol%含み、残部が窒素である酸化性雰囲気下で900℃、100分の熱処理を行うことで、各エピタキシャル層の表面に25nmのシリコン酸化膜(以下、「酸化膜」と略記する。)をそれぞれ形成した。
−電子線照射−
次に、電子線照射装置(NHVコーポレーション社製、型番:スキャン方式電子線照射装置(EPS−800kV機))を用いて、加速電圧800keV、吸収線量2000kGrayの条件で、上記酸化膜の上から照射し、各ウェーハの酸化膜界面に欠陥を形成した。
−熱処理−
さらに、上記電子線照射をした各ウェーハに対して、イオン注入層における水素を脱離させるため、窒素雰囲気で500℃及び700℃のそれぞれの温度で30分の熱処理を施した。
−MOS構造の作製−
次に、各ウェーハに対し、図2の工程S140と同様に酸化膜を一部除去しつつ、アルミの電極端子を酸化膜上及びシリコンエピタキシャル層上に形成した。
−C−V測定−
そして、電極端子を形成した各ウェーハのそれぞれにおいて、QSCV法による測定を行い、上記式(1)に従い、界面準位密度Ditを求めた。
各ウェーハから得られた界面準位密度Dit分布を図4に示す。なお、各ウェーハに対して電子線を照射した直後の状態から得られる界面準位密度Dit分布及び熱処理条件を500℃から700℃に変えた場合と、参考として評価ウェーハの電子線照射前の界面準位密度Dit分布も、図4に併せて示す。さらに、電子線照射前後の評価ウェーハの界面準位密度Dit、電子線照射後、500℃熱処理後の評価ウェーハ及び基準ウェーハの界面準位密度Ditのそれぞれの値(界面準位密度Dit分布における最小値)を図5に示す。
以上の実験結果から、以下の実験事実が確認された。まず、基準ウェーハでも界面準位密度Ditは低減するため、熱処理によってシリコンダングリングボンドは一部終端されたと考えられる。一方、評価ウェーハでは、基準ウェーハと比べて、熱処理後の界面準位密度Ditのさらなる低下が確認された。また、700℃での熱処理後において、基準ウェーハは500℃での熱処理後よりも界面準位密度Ditが増加することがわかった。一方、評価ウェーハでは700℃での熱処理後に界面準位密度Ditが500℃での熱処理後の場合よりも、さらに減少した。この理由は、窒素100%雰囲気設定の条件で熱処理を行った場合でも、熱処理炉内には水素元素(例えばわずかに残存する水分由来、熱処理炉ウェーハ投入時の空気の流入由来等)は存在していると考えられる。そのため、その水素が500℃熱処理時にシリコン酸化膜界面に到達し一部を終端したものと考えられる。しかしながら、700℃の熱処理を行うと、従来からシリコン酸化膜界面においてSi−H結合が切れることが報告されており、シリコン酸化膜でのシリコンダングリングボンドの終端が500℃の熱処理の場合よりも起きなかったために界面準位密度Ditが増加したと考える。一方で、評価ウェーハではイオン注入層から700℃熱処理中も水素が継続して供給される状態であることから、700℃においてSi−H結合が切れる解離反応よりも、水素が過剰に供給されることによるダングリングボンドの最終的に終端する反応の方が多かったものと考えられる。これらの結果から、評価ウェーハではイオン注入層からの水素脱離によって、電子線照射により形成されたシリコンダングリングボンド(界面準位)が十分にパッシベーションされたと判断することができる。したがって、本評価方法により、エピタキシャルシリコンウェーハに設けられたイオン注入層による、酸化膜界面での界面準位へのパッシベーション効果を評価することが可能となった。
(実験例2:エピタキシャルシリコンウェーハ)
<試料作製>
<<試料11>>
実験例1で用いたのと同様のp型シリコンウェーハ(厚さ:300μm、ドーパント種類:ボロン、抵抗率:10Ω・cm)を用意した。このシリコンウェーハにクラスターイオンを注入することなく、実験例1と同様の条件でシリコンウェーハ上に厚さ10.0μmのシリコンエピタキシャル層(ドーパント:ボロン、抵抗率:約50Ω・cm)を成長させ、試料11に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
<<試料12〜試料16>>
試料11ではクラスターイオンを注入しなかったが、試料12〜試料16では実験例1と同様に2-メチルペンタンから生成したCのクラスターイオンを加速電圧:80keV、ビーム電流値:850μAの条件でシリコンウェーハ表面に注入してから、シリコンエピタキシャル層を形成した。ただし、クラスターイオンのドーズ量を下記表1のとおりとした。試料14は上記実験例1における評価ウェーハの作製条件と同条件である。
<<試料21〜試料26>>
試料12〜試料16ではクラスターイオンのビーム電流値をそれぞれ850μAとしていたところ、これを1700μAに変えた以外は、試料12〜試料16と同条件でエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。また、試料11と同条件で作製したエピタキシャルシリコンウェーハを説明の便宜状、試料21と称して、下記表1に本実験例2で作製した試料を記載する。
Figure 2021077705
<界面準位密度Ditの評価実験>
上記試料11〜16、21〜26のそれぞれに対し、実験例1と同様にしてエピタキシャル層の表面に酸化膜を形成し、次いで電子線を照射した。さらに、実験例1において700℃の熱処理を行った場合と同様の熱処理を施し、MOS構造を作製し、その後C−V測定により各試料の界面準位密度Ditを求めた。各ウェーハから得られた界面準位密度分布における最小値のうち、イオン注入時の電流値が850μAで、炭素原子あたりのドーズ量が1.0×1015atoms/cm以下の範囲の実験結果を図6のグラフに示す。また、下記評価基準にて分類した結果を、上記表1に併せて示す。
○:熱処理後の界面準位密度Ditが2.0×1010/eVcm以下である。
×:熱処理後の界面準位密度Ditが2.0×1010/eVcm超である。
<評価結果及び考察>
上記表1より、まず、ビーム電流値を850μAとした試料11〜16では、ドーズ量を「注入なし」(試料11)から1.0×1015atoms/cm(試料14)にまで増加させていくにつれて、界面準位密度Ditが低減することが確認される。しかしながら、さらにドーズ量を3.0×1015atoms/cmにまで増加させていくと、逆に界面準位密度Ditが増大していくことが確認される。また、ビーム電流値を1700μAとした試料21〜26についても、同様の傾向が確認される。しかしながら、同じドーズ量であっても、ビーム電流値が異なる試料13及び試料23と、試料15及び試料25とでは、界面準位密度Ditの低減効果が正反対である。
この結果を考察する。まず、シリコンエピタキシャル層と酸化膜とでの酸化膜界面では下記化学式(I)、(II)に示す反応が起きることが知られている。式(I)は、酸化膜界面において、Siダングリングボンドが水素と結合してSi−H結合を生成する反応である。式(II)は、生成されたSi−H結合に別のHが反応して水素分子(H)が生成され、Siダングリングボンドが再生成する反応である。
Figure 2021077705
試料13と試料14とで界面準位密度Ditの評価結果を対比すると、試料14では水素の注入ドーズ量が十分となり、式(I)の反応によって注入された水素が酸化膜界面の欠陥をパッシベーションする。その結果、熱処理後の界面準位密度Ditが試料14では十分に低減した。一方、試料15と試料16とで界面準位密度Ditを対比すると、試料16では水素の注入ドーズ量が過剰であるために式(II)の反応が促進されたと考えられる。こうした理由により、試料16では、熱処理後の界面準位密度Ditが試料15よりも増大したと考えられる。試料22と試料23とでの対比及び試料24と試料25とでの対比においても、同様の理由が当てはまる。
次に、注入ドーズ量は同じであるものの、ビーム電流値の異なる試料13と試料23とでの結果と、試料15と試料25とでの結果が異なる理由を検討する。注入ドーズ量が同じであっても、ビーム電流値が増加すると、単位時間あたりにシリコンウェーハに衝突するイオン数が増加することになる。したがって、ビーム電流値が大きいと、クラスターイオン注入によって形成される改質層に与えるダメージが増大することになる。そのため、ビーム電流値が大きい場合の方が、改質層における水素捕獲サイトの生成が多くなり、その結果、ビーム電流値が大きい方が、酸化膜界面における欠陥をパッシベーションする水素(以下、「欠陥パッシベーション水素」という)が増大すると考えられる。
実験結果に照らしてみると、低ドーズ量(5.0×1014atoms/cm)の場合において、欠陥パッシベーション水素が試料23に比べて少ない試料13では上記式(I)の反応が乏しかったといえる。一方、試料23では上記式(I)の反応が十分であったため、試料23の界面準位密度Ditは十分に低減した。反対に、高ドーズ量(2.0×1015atoms/cm)の場合において、欠陥パッシベーション水素が過剰な試料25では上記式(II)の反応が促進されてSiダングリングボンドが再生成し、界面準位密度Ditが増大してしまったといえる。一方、欠陥パッシベーション水素が試料25に比べて少ない試料15では上記式(II)の反応が優勢となることはなく、熱処理後の界面準位密度Ditは十分に低かった。
本実験例2より、熱処理後に界面準位密度Ditを2.0×1010/eVcm以下とできる界面準位へのパッシベーション効果が十分なエピタキシャルシリコンウェーハを作製するためには、クラスターイオンのドーズ量及びビーム電流値の組み合わせを適正範囲とする必要があることが確認された。
本発明によれば、エピタキシャルシリコンウェーハに設けられたイオン注入層による界面準位へのパッシベーション効果を評価することのできる評価方法を提供することができる。さらに本発明によれば、界面準位へのパッシベーション効果を十分に有するエピタキシャルシリコンウェーハを提供することができる。
100 エピタキシャルシリコンウェーハ
110 シリコンウェーハ
118 イオン注入層
120 シリコンエピタキシャル層
121 欠陥
3A シリコン酸化膜
3B シリコン酸化膜
5 電子線
7 電極
8 電極

Claims (6)

  1. エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法であって、
    前記エピタキシャルシリコンウェーハは、シリコンウェーハと、前記シリコンウェーハの表面部にパッシベーション効果を有する元素がイオン注入されたイオン注入層と、前記表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層と、を備え、
    前記シリコンエピタキシャル層の表面にシリコン酸化膜を形成する第1工程と、
    前記シリコンエピタキシャル層と前記シリコン酸化膜との界面に欠陥を形成する第2工程と、
    前記第2工程の後、前記イオン注入層から前記イオン注入された元素を脱離させる熱処理を行う第3工程と、
    前記第3工程の後、前記界面の界面準位密度DitをC−V法により求める第4工程と、
    前記第4工程により求めた界面準位密度Ditに基づいて、前記エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果を評価する第5工程と、
    を含むことを特徴とする、エピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
  2. 前記第5工程において、前記第4工程で求めた前記界面準位密度Ditと、あらかじめ求めた閾値との対比により前記パッシベーション効果を評価する、請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
  3. 前記第5工程において、前記第4工程で求めた前記界面準位密度Ditと、前記イオン注入層の形成条件が異なる以外は同種のエピタキシャルシリコンウェーハにおける界面準位密度Ditの値との対比に基づいて前記パッシベーション効果を評価する、請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
  4. 前記第2工程において、電子線照射により前記欠陥を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
  5. 前記電子線照射を加速電圧50keV以上2000keV以下、吸収線量800kGray以上6000kGray以下の照射条件で行う、請求項4に記載のエピタキシャルシリコンウェーハのパッシベーション効果評価方法。
  6. シリコンウェーハと、前記シリコンウェーハの表面部にパッシベーション効果を有するイオンが注入されてなるイオン注入層と、前記表面部の上に設けられたシリコンエピタキシャル層と、を備えたエピタキシャルシリコンウェーハであって、
    前記シリコンエピタキシャル層の表面に酸化膜を形成し、次いで電子線照射を行い、その後前記イオン注入された元素を脱離させるための熱処理を行った後の、前記シリコンエピタキシャル層と酸化膜との界面において、C−V法により得られる界面準位密度Ditが2.0×1010/eVcm以下であることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハ。
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