しかし、プローブ・チップをDUT上に半田付けするのは、厄介なことがある場合がある。例えば、半田付けには、熱く、多くの場合大きな半田ごてチップが必要である。半田を溶かすのに必要な高温は、無鉛半田については、通常、華氏700度(セ氏370度)を超え、また、半田付け処理の間に、プローブ・チップか又はDUTのいずれかが部分的に燃えるか又は焦げる傾向にある。半田ごてチップの大きさは、多くの場合、DUT上の所望の試験ポイント(ブラインド・ビアなど)よりも大きく、半田ごてからの高熱を所望の試験ポイントだけに加えるのが困難であるために、この温度の問題は悪化することになる。プローブ・チップとDUTの間にワイヤを半田付けすることもあるが、このワイヤは、電気的特性を最適化するために、可能な限り短くする必要がある。しかし、従来の半田付け手法を利用する場合、ワイヤが短くなるほど、取り付け処理で半田付けするのが困難になる。そして、これら問題は、現在では1セント銅貨よりも大幅に小さい印刷回路基板を含む、かつてないほど小型化しているDUTの形状によって、悪化している。
開示されるシステム及び方法の実施形態は、従来技術における、これら及び他の課題を解決しようとするものである。
開示技術の説明に役立つ実施例を以下に提示する。この技術の実施形態は、以下で説明する複数の実施例の1つ以上、又は、任意の組み合わせとしても良い。
実施例1としては、導電性素子を有する試験プローブ・チップを、電気接続ポイントを有する被試験デバイス(DUT)に導電させて接着する方法があり、DUTの電気接続ポイントに近接させて試験プローブ・チップの導電性素子を位置決めする処理と、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に紫外線硬化型導電性接着剤を吐出し、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤で導電性素子の少なくとも一部分とDUTの電気接続ポイントの少なくとも一部分とを連続的に覆う処理と、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する処理とがある。
実施例2としては、実施例1の方法があり、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てる工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てる処理を有し、紫外線光は、365ナノ・メータと460ナノ・メータの間の波長を有している。
実施例3としては、実施例1〜2のいずれかの方法があり、このとき、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を接着する工程は、更に、熱源からの熱を、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有している。
実施例4としては、実施例3の方法があり、このとき、熱源からの熱を、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加える工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって、熱源からの熱を、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有し、上記熱は、セ氏200度未満の温度を有している。
実施例5としては、実施例1〜4のいずれかの方法があり、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程の間に、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理を更に有している。
実施例6としては、実施例1〜5のいずれかの方法があり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、z軸導電紫外線硬化型接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例7としては、実施例1〜6のいずれかの方法があり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、約50,000センチポイズと約75,000センチポイズの間の粘度がある紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例8としては、実施例1〜7のいずれかの方法があり、このとき、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、DUTの非金属領域の少なくとも一部分も連続的に覆っており、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する工程は、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を、導電性素子、DUTの電気接続ポイント及びDUTの非金属領域に接着する処理である。
実施例9としては、実施例1〜8のいずれかの方法があり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例10としては、DUTの電気接続ポイントに近接させて試験プローブ・チップの導電性素子を位置決めする処理と、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に紫外線硬化型導電性接着剤を吐出し、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤で導電性素子の少なくとも一部分とDUTの電気接続ポイントの少なくとも一部分とを連続的に覆う処理と、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する処理とを具える処理によって、電気接続ポイントを有する被試験デバイス(DUT)に導電して接着される導電性素子を有する試験プローブ・チップがある。
実施例11としては、DUTに接着される実施例10の試験プローブ・チップがあり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、z軸導電紫外線硬化型接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理を有する。
実施例12としては、DUTに接着される実施例10〜11のいずれかの試験プローブ・チップがあり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理を有する。
実施例13としては、DUTに接着される実施例10〜12のいずれかの試験プローブ・チップがあり、このとき、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、DUTの非金属領域の少なくとも一部分も連続的に覆っており、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する工程は、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を、導電性素子、DUTの電気接続ポイント及びDUTの非金属領域に接着する処理である。
実施例14としては、DUTに接着される実施例10〜13のいずれかの試験プローブ・チップがあり、このとき、上記処理が、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程の間に、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理を更に具えている。
実施例15としては、DUTに接着される実施例10〜14のいずれかの試験プローブ・チップがあり、このとき、紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、約50,000センチポイズと約75,000センチポイズの間の粘度がある紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理を有する。
実施例16としては、試験プローブ・チップを被試験デバイス(DUT)に導電させて接着する方法があり、DUTの電気接続ポイントに近接させて導電性素子の第1部分を位置決めする処理と、導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を吐出し、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤で導電性素子の第1部分の少なくとも一部分とDUTの電気接続ポイントの少なくとも一部分とを連続的に覆う処理と、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に紫外線光源からの紫外線光を当てることによって、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントに接着する処理と、試験プローブ・チップの接続ポイントに近接させて導電性素子の第2部分を位置決めする処理と、導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を吐出し、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤で導電性素子の第2部分の少なくとも一部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントの少なくとも一部分とを連続的に覆う処理と、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に紫外線光源からの紫外線光を当てることによって、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントに接着する処理とを具えている。
実施例17としては、実施例16の方法があり、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てる工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって紫外線光源からの紫外線光を吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てる処理を有し、紫外線光は、365ナノ・メータと460ナノ・メータの間の波長を有している。
実施例18としては、実施例16〜17のいずれかの方法があり、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てる工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって紫外線光源からの紫外線光を吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てる処理を有し、紫外線光は、365ナノ・メータと460ナノ・メータの間の波長を有している。
実施例19としては、実施例16〜18のいずれかの方法があり、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を接着する工程は、更に、熱源からの熱を、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有している。
実施例20としては、実施例19の方法があり、このとき、熱源からの熱を、第1量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加える工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって、熱源からの熱を、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有し、上記熱は、セ氏200度未満の温度を有している。
実施例21としては、実施例16〜20のいずれかの方法があり、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を接着する工程は、更に、熱源からの熱を、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有している。
実施例22としては、実施例21の方法があり、このとき、熱源からの熱を、第2量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加える工程は、25秒から35秒の間の時間にわたって、熱源からの熱を、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に加える処理を有し、上記熱は、セ氏200度未満の温度を有している。
実施例23としては、実施例16〜22のいずれかの方法があり、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程の間に、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子の第1部分及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理を更に有している。
実施例24としては、実施例16〜23のいずれかの方法があり、このとき、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程の間に、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子の第2部分及び試験プローブ・チップの電気接続ポイントに圧力を加える処理を更に有している。
実施例25としては、実施例16〜24のいずれかの方法があり、このとき、第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、第1量のz軸導電紫外線硬化型接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例26としては、実施例16〜25のいずれかの方法があり、このとき、第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、第2量のz軸導電紫外線硬化型接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例27としては、実施例16〜26のいずれかの方法があり、このとき、第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、約50,000センチポイズと約75,000センチポイズの間の粘度がある第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例28としては、実施例16〜27のいずれかの方法があり、このとき、第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、約50,000センチポイズと約75,000センチポイズの間の粘度がある第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例29としては、実施例16〜28のいずれかの方法があり、このとき、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤は、DUTの非金属領域の少なくとも一部分も連続的に覆っており、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分及びDUTの電気接続ポイントに接着する工程は、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を、導電性素子の第1部分、DUTの電気接続ポイント及びDUTの非金属領域に接着する処理である。
実施例30としては、実施例16〜29のいずれかの方法があり、このとき、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤は、試験プローブ・チップの非金属領域の少なくとも一部分も連続的に覆っており、このとき、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分及び試験プローブ・チップの電気接続ポイントに接着する工程は、紫外線光源からの紫外線光を吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を、導電性素子の第2部分、試験プローブ・チップの電気接続ポイント及び試験プローブ・チップの非金属領域に接着する処理である。
実施例31としては、実施例16〜30のいずれかの方法があり、このとき、第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、第1量のアクリル系紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例32としては、実施例16〜31のいずれかの方法があり、このとき、第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する工程は、第2量のアクリル系紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に吐出する処理である。
実施例33としては、試験測定装置と、導電性素子を有する試験プローブ・チップとを具える試験システムがあり、導電性素子は、被試験デバイス(DUT)の電気接続ポイントに近接させて試験プローブ・チップの導電性素子を位置決めする処理と、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に紫外線硬化型導電性接着剤を吐出し、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤で導電性素子の少なくとも一部分とDUTの電気接続ポイントの少なくとも一部分とを連続的に覆う処理と、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する処理とを有する処理によって、電気接続ポイントを有する被試験デバイス(DUT)に導電して接着される。
実施例34としては、実施例33の試験システムがあり、このとき、試験測定装置は、オシロスコープである。
本願で説明するように、本発明の実施形態は、試験エンジニアのようなユーザが、導電性紫外線硬化型導電性接着剤を用いて、被試験デバイス(DUT)の試験ポイントに試験プローブを一時的に直接取り付けるのに有益である。本開示で使用されるように、この用語「紫外線硬化型導電性接着剤」には、紫外線硬化型エポキシが含まれる。既存の接続技術は、DUTからの信号にアクセスするのに、典型的には、半田を利用してプローブを一時的に取り付けるか、又は、ブラウジング式のプローブのように圧力での接触を利用する。説明する実施形態は、半田付け技術とは対照的に、従来の半田付け技術で必要となる高熱と高い技術が不要で、より素早く、そして、より簡単な取り付けシステムを提供する。
図1は、開示技術の実施形態による紫外線硬化型導電性接着剤を用いる方法を示すフローチャートである。図1に示されるように、導電性素子を被試験デバイス(DUT)へ結合する方法100には、DUTの電気接続ポイントに近接させて導電性素子を位置決めする処理101と、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間に紫外線硬化型導電性接着剤を吐出する処理102と、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てる処理103によって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着する処理(bonding)とがある。
導電性素子は、例えば、ばね、パッド、ビア、トレース、ピン、コネクタ・コンタクト、ワイヤその他の導電性接触ポイントであっても良い。好ましくは、導電性素子は、試験プローブ・チップに結合されるか、又は、試験プローブ・チップの一部である。
本開示で用いられるように、「DUTの電気接続ポイントに近接させて導電性素子を位置決めする」とは、紫外線硬化型導電性接着剤が、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間の電気的接続を形成できるように導電性素子を位置決めすることを意味する。言い換えると、導電性素子が、DUTの電気接続ポイントに触れているということであっても良い。又は、もし触れていないのなら、紫外線硬化型導電性接着剤が電気的及び構造的に導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間の距離を埋めることができるように、導電性素子が、DUTの電気接続ポイントの十分に近くにあることであっても良い。その近さが十分に近いかを判断するために、オペレータは、紫外線硬化型導電性接着剤が硬化したら、例えば、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間の電気的連続性試験を行っても良い。
紫外線硬化型導電性接着剤は、例えば、米国コロラド州ブリッケンリッジのエレクロニック・マテリアル社(Electronic Materials Incorporated)が夫々供給するEMCAST401型又はEMCAST501型導電性エポキシでも良い。紫外線硬化型導電性接着剤は、また、z軸導電紫外線硬化型材料であっても良い。z軸導電紫外線硬化型材料は、好ましくは、全方向でメカ的に結合していても、交差軸(x及びy)方向には電気的に結合しないという、圧力垂直導電性結合コンポーネントを有している。こうしたz軸導電材料によれば、目標としない電気信号へのクロス接続を排除して、接触ポイントのぴったりした整合、選択的な垂直導電が可能になる。そこで、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤は、パナコル・エロソル社(Panacol-Elosol GmbH)が供給するELECOLIT(登録商標)3065型異方導電性接着剤(anisotropically conductive adhesive)であっても良い。
実施形態では、導電性素子若しくはDUT上の電気接続ポイント又はこれらの両方は、スズ、鉛はんだ、無鉛はんだ、金、銀、銅を含んでいても良い。従来の接着剤又はエポキシは、これら材料、特に、金、銀及び銅にくっつかないことがある。よって、こうした実施形態では、紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤である。
好ましくは、紫外線硬化型導電性接着剤は、約15,000センチポイズと約75,000センチポイズの間の粘度がある。紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、充填材料の約75%の割合で、導電性充填剤として銀を利用する。
好ましくは、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、少なくとも導電性素子の一部分及び少なくともDUTの電気接続ポイントの一部分を連続的に覆っている。上述のように、紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間の距離を電気的及び構造的に埋めることになるでしょう。よって、「連続的に覆っている」という意味における「連続的」とは、この開示では、空間的に連続を意味する。
従って、吐出される紫外線硬化型導電性接着剤の量は、少なくとも導電性素子の一部分及び少なくともDUTの電気接続ポイントの一部分を連続的に覆うのに、少なくとも必要な量である。その量が十分が判断するのに、オペレータは、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤が硬化したら、導電性素子とDUTの電気接続ポイントとの間の電気的連続性試験を行っても良い。
実施形態では、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、また、DUTの非金属領域の少なくとも一部分を連続的に覆っていても良い。この非金属領域は、パナソニック株式会社が供給するFR4(Flame Retardant Type 4)のMEGTRON(登録商標)のラミネート(薄板)、ロジャーズ社(Rogers Corporation)が供給するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のラミネート、その他の印刷回路基板に利用される回路基板材料であっても良い。上述のように、DUTは、印刷回路基板であるか、又は、印刷回路基板を含んでいても良い。例としては、図2及び5A〜5Cに示されるDUT回路基板214がある。典型的には、電気接続ポイントは、非金属領域に埋め込まれるか、又は、非金属領域から広がっている。こうした実施形態では、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、紫外線光源からの紫外線光(UV-light)を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てることによって、導電性素子、DUTの電気接続ポイント及びDUTの非金属領域に接着(bond:接合)される。対照的に、従来の半田は、特定の金属面にのみくっつく。吐出された紫外線硬化型導電性接着剤をDUTの非金属領域に接着することは、印刷回路基板アセンブリのパッド、トレース、レッグ(leg:回路の枝部分、支脈)のようなDUTの電気接続ポイントが剥がれるリスクを低減するのに役立つ。
紫外線光源は、例としては、コンシューマ用紫外線ペンライト又は研究室用の紫外線スポット・ランプのような、手持ちの電池式発光ダイオード(LED)でも良い。例示的な実施形態では、紫外線光は、約365ナノ・メータから約460ナノ・メータの間の波長を有していても良く、また、紫外線光源からの紫外線光は、約25秒から約35秒の間の時間にわたって吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てられても良い。オペレータは、例えば、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を視覚的に検査することによって、紫外線光が十分な期間当てられたか否か判断しても良い。例えば、硬化していない紫外線硬化型導電性接着剤は、光沢のある白っぽい外観であることがある一方、硬化した紫外線硬化型導電性接着剤は、くすんだ灰色の外観であることがある。別の例としては、オペレータは、タイマ又は紫外線光源に接続された光密度計(light-density meter)を参照することで、紫外線光が十分な期間当てられたか否か判断しても良い。光密度計は、紫外線硬化型導電性接着剤中の燐光性材料の色のシフトを求めることができる。
図2は、本開示技術の実施形態による、紫外線硬化型導電性接着剤を使用するための例示的なセットアップ(設定、配置)を示す。図2に示すように、試験プローブ201をDUT202に取り付けるのに紫外線硬化型導電性接着剤を使用するためのセットアップには、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤203の小さな1滴をDUT202の試験ポイント204上に配置することと、試験プローブ201の入力ワイヤ、ばねワイヤ又はプローブ・チップ205を接着剤203中に配置することと、紫外線硬化型導電性接着剤203を硬化させるのに、紫外線光源206からの紫外線光を当て、また、オプションで熱源213からの熱を加えるか又はオプションで圧力を加え、これによって、入力ワイヤ、ばねワイヤ又はプローブ・チップ205を試験ポイント204へ接着することと、試験プローブ201及びDUT202の間に電気的接続を生じさせることとがあっても良い。試験ポイント204は、DUT202上のパッド、ビア、トレース、ピン、コネクタ・コンタクト、ワイヤその他の導電性接触ポイントであっても良い。上述のように、DUT202は、印刷回路基板であるか、又は、印刷回路基板を含んでいても良い。
図1に戻ると、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を接着(接合)する工程には、また、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するために、導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理104があって良い。好ましくは、この圧力は、紫外線光源からの紫外線光を吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に当てる処理103の間に加えられる。
図3A及び3Bは、紫外線硬化型導電性接着剤を硬化させる工程の間に圧力を加える例示的な処理を示す。図3Bは、DUT202の上面と、プローブ・チップ205の下面(ここで「上面」及び「下面」は、図3Aを基準にしている)を図式的に示し、DUT202上の複数の試験ポイント204と、プローブ・チップ205の下面上の対応するポイント207の代表的な位置を示している。DUT202の各試験ポイント204と、プローブ・チップ205の各試験ポイント207は、パッド、ビア、トレース、コネクタ・コンタクト、ワイヤその他の導電性接触ポイントであっても良い。上述のように、DUT202の試験ポイント204は、DUTの非金属領域202中に埋め込まれていても良いし、又は、DUTの非金属領域202から広がっていても良い。同様に、プローブ・チップ205の試験ポイント207は、プローブ・チップ205の非金属領域中に埋め込まれていても良いし、又は、プローブ・チップ205の非金属領域から広がっていても良い。
図3Aに示すように、紫外線硬化型導電性接着剤を硬化させるのに、紫外線光を与えながら圧力を加えるため、塗布器(applicator:アプリケータ)209が、紫外線光源206と円錐(cone)チップ210を有していても良い。紫外線光源206は、円錐チップ210を通して紫外線光を光らせても良く、また、円錐チップ210は、プローブ・チップ205と接触しながら、紫外線硬化型導電性接着剤をプローブ・チップ205とDUT202の間で圧縮させる。円錐チップ210は、紫外線光を通過させる材料から形成される。円錐チップ210は、例えば、ケマーズ社(The Chemours Company FC, LLC)より、テフロン(登録商標)の名前で供給される製品のようなフッ素化エチレンプロピレン(FEP)又はケマーズ社によりテフロン(登録商標)の名前で供給されるPTFEから形成されても良い。プローブ・チップ205は、紫外線光源206からの紫外線光がプローブ・チップ205を通過してDUT202の試験ポイント204及びプローブ・チップ205の試験ポイント207を照らすことができるように、透明又は半透明材料から形成されても良い。従って、塗布器209は、紫外線光を当てて紫外線硬化型導電性接着剤を硬化させつつ、DUT202の試験ポイント204とプローブ・チップ205の試験ポイント207が硬化していく接着剤中にあるときに、円錐チップ210の物理的な接触によってプローブ・チップ205に圧力も与えることができる。紫外線硬化型導電性接着剤は、任意の適切なやり方で塗布できるが、図3Aは、紫外線硬化型導電性接着剤が、注入器208によってDUT202の試験ポイント204及びプローブ・チップ205の試験ポイント207に塗布されるところを示している。
図3A及び3Bに示される実現形態は、紫外線硬化型導電性接着剤がz軸導電性紫外線材料である実施形態について特に有用である。例えば、DUT上の試験ポイントと、プローブ・チップ下面の対応するポイントは、他の望ましくないポイントの隣か又は直ぐ近くのことがある。しかし、z軸導電性紫外線材料は、1つの軸(DUT上の試験ポイントと、プローブ・チップ上の対応するポイントとの間の軸)についてだけ伝導が可能なので、隣接する望ましくないポイントへの短絡を減少又は防止する。
図1に戻ると、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を接着する工程には、また、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、熱源からの熱を加える処理105があって良い。好ましくは、この熱は、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程103の後に加えられる。熱源213(図2参照)は、例えば、従来からある工芸用又は趣味用のヒート・ガン(熱線銃)でも良い。例示的な実施形態では、この熱は、セ氏約200度(華氏約390度)未満の温度で良く、また、この熱は、約25秒から約35秒の間の時間について、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に加えられても良い。好ましくは、この熱は、約30秒にわたって、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤の温度をセ氏約100度(華氏約210度)まで上昇させるように加えられても良い。セ氏約200度(華氏約390度)より高い温度は、もしその熱が約60秒以下の典型的な硬化時間よりも実質的に長い期間にわたって加えられると、FR4の回路基板のような一般的な回路基板を有するDUTを熱的に劣化させることがある。
従って、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、(a)熱又は圧力は加を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当てることによってか、(b)圧力を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当て、次いで、熱源からの熱を加えることによってか、又は(c)熱を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当てるのと同時に圧力を加えることによって、導電性素子及びDUTの電気接続ポイントに接着されても良い。
図4は、本開示技術の実施形態による紫外線硬化型導電性接着剤を用いる方法を示すフローチャートである。図4に示されるように、試験プローブ・チップの電気接続ポイントと被試験デバイス(DUT)の電気接続ポイントとの間に導電性素子を接着する方法400には、DUTの電気接続ポイントに近接させて導電性素子の第1部分を位置決めする処理401と、導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を吐出する処理402と、第1量の紫外線硬化型導電性接着剤に紫外線光源からの紫外線光を当てる処理403によって、吐出された第1量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントに接着する処理と、試験プローブ・チップの接続ポイントに近接させて導電性素子の第2部分を位置決めする処理406と、導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を吐出する処理407と、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤に紫外線光源からの紫外線光を当てる処理408によって、吐出された第2量の紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントに接着する処理とがあっても良い。
紫外線硬化型導電性接着剤の第1量と、紫外線硬化型導電性接着剤の第2量とは、同じ量の紫外線硬化型導電性接着剤でも良いし、又は、これらが異なる量でも良い。
吐出された紫外線硬化型導電性接着剤の第1量を導電性素子の第1部分に接着する工程は、また、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程403の間に、第1量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子の第1部分及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理404を含んでいても良い。同様に、第2量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分に接着する工程は、また、紫外線光源からの紫外線光を当てる工程408の間に、第2量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮するように、導電性素子の第2部分及びDUTの電気接続ポイントに圧力を加える処理409を含んでいても良い。
吐出された紫外線硬化型導電性接着剤の第1量を導電性素子の第1部分に接着する工程は、また、第1量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、熱源からの熱を加える処理405を含んでいても良い。同様に、第2量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を導電性素子の第2部分に接着する工程は、また、第2量の吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、熱源からの熱を加える処理410を含んでいても良い。
図4の方法400における処理と材料は、図2及び4に関して図示及び説明したセットアップとオプションも含めて、図1の方法100における同様の処理と材料に関して上述したようなものである。導電性素子の第1部分は、例えば、導電性ワイヤの第1端部としても良いことに注意されたい。更に、導電性素子の第2部分は、例えば、導電性ワイヤの第2端部であって、これは、導電性ワイヤの第1端部の反対側であっても良いことにも注意されたい。
本開示で使用されているように、「DUTの電気接続ポイントに近接させて導電性素子の第1部分を位置決めすること」は、紫外線硬化型導電性接着剤が導電性素子の第1部分とDUTの電気接続ポイントとの間に電気的接続を形成できるように導電性素子の第1部分を位置決めすることを意味する。言い換えると、導電性素子の第1部分が、DUTの電気接続ポイントに触っていても良い。又は、もし触っていないなら、紫外線硬化型導電性接着剤が、導電性素子の第1部分及びDUTの電気接続ポイントの間の距離を電気的及び構造的に埋めることができるように、導電性素子の第1部分がDUTの電気接続ポイントの十分に近くにあっても良い。その近さが十分に近いか否か判断するために、オペレータは、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤が硬化したら、導電性素子の第1部分及びDUTの電気接続ポイントとの間の電気的連続性試験を実施しても良い。
同様に、本開示で使用されているように、「試験プローブ・チップの電気接続ポイントに近接させて導電性素子の第2部分を位置決めすること」は、紫外線硬化型導電性接着剤が導電性素子の第2部分と試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間に電気的接続を形成できるように導電性素子の第2部分を位置決めすることを意味する。言い換えると、導電性素子の第2部分が、試験プローブ・チップの電気接続ポイントに触っていても良い。又は、もし触っていないなら、紫外線硬化型導電性接着剤が、導電性素子の第2部分及び試験プローブ・チップの電気接続ポイントの間の距離を電気的及び構造的に埋めることができるように、導電性素子の第2部分が試験プローブ・チップの電気接続ポイントの十分に近くにあっても良い。その近さが十分に近いか否か判断するために、オペレータは、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤が硬化したら、導電性素子の第2部分及び試験プローブ・チップの電気接続ポイントとの間の電気的連続性試験を実施しても良い。
好ましくは、紫外線硬化型導電性接着剤の吐出された第1量は、導電性素子の第1部分の少なくとも一部分及びDUTの電気接続ポイントの少なくとも一部分を連続的に覆っている。好ましくは、紫外線硬化型導電性接着剤の吐出された第2量は、導電性素子の第2部分の少なくとも一部分及び試験プローブ・チップの電気接続ポイントの少なくとも一部分を連続的に覆っている。先の図1に関しては、従って、「連続的に覆っている」という意味での「連続的」は、本開示では、空間的に連続を意味する。
よって、図4の方法400に関しては、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、適用できる場合には、(a)熱又は圧力を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当てることによってか、(b)圧力を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当て、次いで、熱源からの熱を加えることによってか、又は(c)熱を加えることなく、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に、紫外線光源からの紫外線光を当てるのと同時に圧力を加えることによって、導電性素子とDUT又は試験プローブ・チップの電気接続ポイントとに接着されても良い。
図5A〜5Cは、本開示技術の実施形態による、紫外線硬化型導電性接着剤を使用するための例示的なセットアップ(設定、配置)を示す。図5A〜5Cに示されるように、試験プローブ201をDUT202に取り付けるのに紫外線硬化型導電性接着剤を使用するためのセットアップには、例えば、紫外線硬化型導電性接着剤203の1滴をDUT202の試験ポイント204上に配置することと、試験プローブ201の入力ワイヤ又はプローブ・チップ205の遠位端211を接着剤203中に配置することと、紫外線硬化型導電性接着剤203を硬化させるのに、光源206からの光を当て、また、場合によっては、圧力又は熱を加え、これによって、入力ワイヤ又はプローブ・チップ205の遠位端211を試験ポイント204へ接着することと、試験プローブ201及びDUT202の間に電気的接続を生じさせることとがあっても良い。
対応するやり方で、入力ワイヤ又はプローブ・チップ205の近位端212が、試験プローブ201の試験ポイント207によって、試験プローブ201に接着されても良い。
DUT202の各試験ポイント204及びプローブ・チップ205の各試験ポイント207は、パッド、ビア(via)、トレース、ピン、コネクタ・コンタクト、ワイヤその他の導電性接触ポイントであっても良い。上述のように、DUT202の試験ポイント204は、DUTの非金属領域202中に埋め込まれていても良いし、又は、DUTの非金属領域202から広がっていても良い。同様に、プローブ・チップ205の試験ポイント207は、プローブ・チップ205中に埋め込まれていても良いし、又は、プローブ・チップ205から広がっていても良い。
図5は、紫外線硬化型導電性接着剤が注入器208によって塗布されることを示しているが、紫外線硬化型導電性接着剤は、任意の適切なやり方で塗布されても良い。
吐出された紫外線硬化型導電性接着剤がDUTの非金属領域に接着される実施形態では、紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤である。また、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤を圧縮する圧力を加えない実施形態(例えば、図1の工程104が欠けている実施形態と、図4の工程404及び409が欠けている実施形態)では、紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤である。加えて、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤に圧力も熱を加えない実施形態(例えば、図1の工程104及び105が欠けている実施形態と、図4の工程404、405、409及び410が欠けている実施形態)では、紫外線硬化型導電性接着剤は、好ましくは、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤である。好ましくは、アクリル系紫外線硬化型導電性接着剤は、付加的に熱伝導性もある導電性微粒子を含むフリーラジカル紫外線反応性アクリレートである。
このように、従来の半田付けは、DUTが非常に小さい場合、試験プローブその他の電子コンポーネントをDUTの試験ポイントに接着するのには、効果的な方法ではない。即ち、熱を伴うので、伝統的な半田付け手法は、半田ごてに近すぎる電子コンポーネントを損傷する傾向があり、半田の接触点と電子コンポーネントの間の距離を必要とする。しかし、この距離と、半田滴(solder blob)自身の形状が可変であることは、標準的な校正と、デジタル信号処理(DSP)技術では修正が困難な予測不可能な寄生(parasitics)を加える。
だが、本開示で説明された実施形態は、以下の効果のいくつか又は全てを与える。(a)華氏700度の半田ごてを必要としない。(b)従来の半田付け技術に比較して、紫外線硬化型導電性接着剤は、使用が比較的短時間である。(c)紫外線硬化型導電性接着剤は、FR4及び他の回路基板材料に接着する。(d)清浄が簡単:硬化させる前に、紫外線硬化型導電性接着剤は、イソプロピル・アルコール及び綿棒を用いて拭き取りできる。(e)ユーザは、DUT試験ポイントのコンタクト上ではなく、近くにプローブ・チップを配置でき、接着剤でコンタクトへつなげることができる。(f)簡単に除去/手直し:硬化後、接着剤は、DUTを保全しつつ、熱又は一般的な溶剤で除去できる。(g)接続が繰り返し可能:紫外線硬化型接着剤は、同じ試験ポイントに上手に再塗布できる。
図5A〜5Cの試験プローブ201のような試験プローブの最適な電気特性のためには、特に、試験プローブ201が高周波数信号を測定するのに使用される場合では、DUT上の試験ポイント204と、試験プローブ201上の試験ポイント207との間の電気長を最小化する、即ち、ワイヤ又はプローブ・チップ205の長さを最小化するのが望ましい。上述のように、従来の半田付け取り付け技術に必要な熱と技能では、実際上、ワイヤ205の長さを比較的長くせざるを得ない傾向にあり、このために、試験プローブ201の性能に悪い影響を与えることになる。対照的に、本開示技術の実施形態によれば、ワイヤ205の長さを比較的短くでき、このために、試験プローブの性能が改善される。更には、実施形態によっては、ワイヤ又はプローブ・チップ205が、図2に示す試験プローブ201におけるように、試験プローブ201に一体化され、試験プローブ201の一部として製造される。これら実施形態では、ワイヤ又はプローブ・チップ205は、一貫した既知の長さで製造でき、製造時において、プローブ・チップ205の遠位端211に至るまで、試験プローブ201全体について校正を実施できる。この程度の校正であれば、DUTに対する試験プローブ201の電気的負荷を修正及び除去するのにDSP技術を利用でき、ユーザは、被測定信号をより正確に測定できる。
更に、試験プローブ201が、DUT上の電気接続ポイント104、204の可能な限り近くに抵抗性又はインピーダンス要素(element:成分、素子)を有する場合にも、試験プローブ201の電気特性は改善される。例えば、図に示す試験プローブ201は、プローブ・チップ205の遠位端に、一般的な小さな抵抗器がある。しかし、本開示のいくつかの実施形態では、紫外線硬化型導電性接着剤が、抵抗性調合剤(resistive formulation)である。即ち、いくつかの実施形態では、紫外線硬化型導電性接着剤は、一部分だけが導電で、接着剤の吐出された量全体について測定すると、抵抗又はインピーダンスを示す。こうした抵抗性調合剤は、例えば、導電性充填要素として銀と炭素を混ぜたものでも良く、これら材料の相対的な割合が、接着剤の単位量当たりの抵抗の量を制御する。よって、これら実施形態では、プローブ・チップ205の遠位端における一般的な抵抗器を無くてしても良く、吐出された紫外線硬化型導電性接着剤自身が試験プローブ201の抵抗性素子として機能し、これによって、紫外線硬化型導電性接着剤がDUT上の電気接続ポイント104、204に直接触れるので、試験プローブ201の電気的性能が更に改善される。
バック・ドリルされたビアのアプリケーション:
プリント回路基板(PCB)のビア(VIA)は、ある1つの層上のトレースを、1つ以上の別の層上のトレースに接続する構造体である。PCB上の試験ポイントとしてビアを使用することは、今日では一般的な方法である。ビアがPCBの全ての層を通って伸びている場合、ビアは、通常、PCBの表面層のパッドに接続される。こうした場合、オシロスコープなどの試験測定装置のユーザは、プローブなどの測定アクセサリのコンタクト・ピンを表面層パッドに簡単に接触させたり、電気的に接続したりして、PCB中の関心のあるビアによって伝送される目的の信号を取得及び測定できる。
しかし、一部のPCBの一部のビアについては、プローブが接続されることがある表面層パッドがない場合がある。例えば、ビアがPCBの全ての層を通って伸びていない場合、ビアは、ブラインド・ビア又は埋め込みビアとして分類されることがある。図6は、ブラインド610ビア及び埋め込み620ビアの断面の例を示す。例示的なブラインド・ビア610のようなブラインド・ビアは、PCB600aの外側の1つの層(例示的な層602など)のみと相互接続することを除けば、典型的には、正に普通のビアのように、プリント基板(PCB)600aの層を通る銅メッキの穴であるが、PCB600aの全ての層を端から端まで通っては行かない。例示的な埋め込みビア620のような埋め込みビアは、PCB600b中の銅メッキの穴であり、PCB600bの1つ以上の内部の層(例示的な層606及び608など)を相互接続するが、例示的な層612のような外部の層は接続せず、従って、穴620は、完全に内部にあるか又はPCB600b内に埋もれている。PCBの外部表面を見ても、埋め込みビアは、通常、見ることができない。
図7は、信号をプロービングする目的で、ブラインド・ビア又は埋め込みビア(例示的なブラインド・ビア710など)にアクセスするために、PCB700をバック・ドリルする(back-drill:後から穴を開ける)工程を図示する。一部のブラインド・ビアと全ての埋め込みビアは、プロービングが困難である。ブラインド・ビアは、回路基板中の深くにあるために、プロービングが困難なことがある。ブラインド・ビアは、例示的なビア710の表面層パッド712のような表面層パッドを有するが、しばしば、BGA730のようなコンポーネントが、このパッドにマウントされるであろうし、そのために、プロービングするのに、このパッドへの物理的なアクセスをブロックする。これらの場合、ブラインド・ビア710は、ビア710にアクセスする穴750を形成するために、ドリル740を用いて、バック・ドリル(back-drill:後から穴が開ける)されても良い。埋め込みビアは、最終製品でのプロービングには、通常、使用されないが、製品開発中は、信号の予期せぬ問題を解決する必要があるため、埋め込みビアは、プロービングの目的で、埋め込みビアにアクセスするために、バック・ドリルされる。いずれの場合も、PCB700の次の層を突破することなく、ビア710の端部714でドリル740を正確に停止するのは難しい。
本開示技術の実施形態としては、大まかに言えば、ブラインド・ビア又はバック・ドリルされた埋め込みビアへのプローブのアクセスを可能にするUV硬化型導電性接着剤を付けるための送達方法がある。本開示技術の一つの目的は、硬化する前の湿った形態の接着剤の潜在的なウィッキング(wicking)を最小限に抑えることである。本開示技術のもう一つの目標は、プロービング装置に乗り込むクロストークと過渡信号を最小限に抑えることである。
開示技術の態様には、PCB700中のバック・ドリルされたビア750のような穴の中へUV硬化型導電性接着剤を送達するためのプロセスがある。図8A及び8Bは、このような処理の例800を例示し、以下を含む。工程810では、ある量のUV硬化型導電性接着剤812を穴750の中へ吐出する。工程820では、導電性部材822(例えば、ワイヤ、ピン等)を上記穴750に挿入する。工程830では、UV光源832と、オプションで熱源(図示せず)とを使用して、接着剤812を硬化させ、穴750内に導電性部材822を固定し、PCB700の表面でプローブするようにするか、又は、オプションで、工程840で、はんだ付けプローブ(SIA)842を導電性部材822に取り付けるようにするかのいずれかとする。いくつかの実施形態では、導電性部材822が、はんだ付けプローブ842用プローブ・チップの一部を含む。
図9は、PCB901中の穴902に収まる導電性ピン910を含む開示技術の別の態様を示す。このピンは、尖端部(point:ポイント)911よりも大きなヘッド912を有して、階段状になっていても良い。尖端部911は、穴902に挿入され、穴902の底部に吐出されたUV硬化型導電性接着剤920によって、目的のビア/トレース903に導電的に結合される。大型ヘッド912は、接触(コンタクト)領域を提供し、ユーザは、これを、テクトロニクス社製P7700シリーズのプローブ・ブラウザ・チップのようなブラウザ型プローブ930を用いて信号をプローブするのに利用できる。この大型ヘッドは、PCB901の表面を越えて伸びていても良い。大型ヘッド912は、PCB901の穴902よりも大きな直径を有していても良い。いくつかの実施形態では、大型ヘッド912は、ピン910と試験測定装置(図示せず)との間の直接の電気的接続を可能にする正方形ピンなどの一体型標準コネクタを含んでいても良い。いくつかの実施形態では、ピン910は、ユーザがこのPCB試験ポイントのプロービングを終了したときにヘッド912を取り外す(また、ピン・ヘッド912によって作成される余分な電気長も取り除く)ことを可能にする分離機構913を有していても良い。ヘッド912を断ち切った後、穴902を従来型の非導電性エポキシで満たして、穴902を閉じても良い。
開示技術の他の態様には、バック・ドリルされた穴が、意図しないトレース又は伝送ラインに誤って侵入した場合の解決策が含まれる。例えば、バック・ドリルされた穴の直径が大きくなりすぎた場合には、目的のビアの位置を囲む他のトレースに意図せずに接触する可能性がある。このような状況では、もし穴が導電性接着剤で満たされると、導電性接着剤は、これらの他のトレースと、プローブしようとする目的のトレース/ビアとを、不必要に相互接続してしまう。
これらの状況に対する解決策として、図10は、非導電性薄壁半透明チューブ1010を用いる開示技術の別の実施形態を示し、これは、PCB1001内の穴1002への密接クリアランス・フィット(close clearance fit)である。密接クリアランス・フィットは、チューブ1010の外径がバック・ドリルされた穴1002の直径とほぼ同じであることを意味する。このような密接クリアランス・フィットは、管1010をまっすぐに、そして、穴1002の側面に密接した状態に保持する。チューブ1010は、吐出された導電性接着剤1020が、開けられた穴1002内の他の層/トレース1004に接着剤1020が接触することなく、目的のトレース/ビアに向かって行く流路を提供する。チューブ1010は、非導電性であるため、導電性接着剤1020と穴1002の壁(他のトレース1004と接触していることがある)との間に電気的に絶縁性の障壁を形成する。チューブ1010の開口部1012は、目的のトレース/ビア1003の信号を穴1002の外へ、そして、例えば、取り付けられたプローブ・チップへと送り出すためのワイヤ、ピン、又は他の導電性部材1022(図11参照)を、吐出された導電性接着剤1020に挿入するための直接の経路を提供する。チューブ1010の壁面は、半透明であるため、導電性部材1022がチューブ1010に挿入された場合でも、UV光源1032(図11参照)から、吐出された導電性接着剤1020へとUV光を伝送させる光パイプとして機能する。これにより、吐出されたUV硬化型導電性接着剤1020は、導電性部材1022がチューブ中に挿入された場合でも、効率よく硬化できる。好ましい例示的な実施形態では、チューブ1010は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(商業的には、テフロン(登録商標)として知られる)又はナイロンから形成されても良く、これら両方は、良好な電気絶縁性、及び望ましい透過性を提供する。いくつかの実施形態では、導電性部材1022が、プローブ・チップの一部分からなる。
チューブ1010が、穴の中の所定の位置に配置されると、ユーザは、UV硬化型導電性接着剤容器/ディスペンサ(吐出装置)1030の小さな針、例えば、注射器を、チューブ1010を通して挿入し、必要な適切な量の接着剤1020を吐出できる。未硬化の接着剤1020が所定の位置に吐出された後、ユーザは、導電性部材1022(ワイヤ、ピン等)をチューブ1010に挿入し、次いで接着剤1020を硬化させることができる。これにより、ユーザは、硬化前の接着剤の流れをコントロールしやすくなり、特に、バック・ドリルされたビアの場合では、電気的な問題を引き起こす可能性のある露出層に対する接着剤のウィッキング(wicking)を減らすことが容易になる。接着剤1020が硬化して穴1002内に導電性部材1022が固定されたら、目的のビア中の目的の信号をプローブするために、プローブ・チップ又はプローブを導電性部材に取り付けても良い。
UV硬化型接着剤の容器/ディスペンサ(吐出装置)の製造業者の中には、ディスペンサの端部にナイロン・チューブを使用するものもある。ディスペンサの先端部(チップ)のサイズを適切に選択すると、いくつかの実施形態では、ディスペンサの先端部自体がチューブ1010を形成できる。ナイロン・チップを使用すると、ナイロンは、PCB1001の表面と同じ高さでカットするのにも十分に柔らかく、被測定信号に悪影響を及ぼすことなく、硬化後に所定の位置に残すことができるという利点を提供できる。図11は、このような実施形態を示す。
図12は、穴に挿入された導電性部材が、ワイヤ・リード(wire leads)を有する抵抗器1212である例示的な実施形態を示す。この手法は、お客様が測定に特定の抵抗を必要とする場合に、SIAチップと組み合わせて使用できる。いくつかの実施形態では、抵抗器1212が、プローブ・チップの一部分からなる。
開示技術の他の態様としては、PCB上のビアのような被試験デバイス上の試験ポイントに、ワイヤ又はプローブ・チップを取り付けるためのUV硬化型導電性接着剤を使用するための完全な解決策をユーザに提供するアイテムのキットがある。これらのキットには、開示技術による、ある量の包装された(パックになった)UV硬化型導電性接着剤、UV光源、吐出チップ(dispensing tips)やピンが含まれる。
一部のPCB設計では、PCBの高速電気性能を向上させるために、ビアをバック・ドリルする必要がある。ビアを作成する最も一般的で最も安価な方法は、PCBの全ての層を通して穴を開け、金属で穴の内側をめっきすることで、全ての層の穴に触れる全てのトレースが電気的に接続されるようにするものがある。しかし、複数のトレースが接触するビアにおいて、これらの層を越えた穴の金属めっきの存在は、伝送線路スタブに相当し、これは、ビアで接続されたトレースに沿った高速信号の伝搬に干渉する。これらのスタブを軽減するために、一部のPCB製造プロセスにおいて、ビアを「バック・ドリル(back-drilled:後からドリルで穴を開ける)」することができる。バック・ドリル工程では、ビアよりわずかに大きな直径を有するドリルを、途中の深さまで挿入し、スタブを形成するめっきの不要部分を除去するのに使用される。次いで、バック・ドリルされた穴は、通常、機械的シールを形成するために、非導電性エポキシで満たされる。
バック・ドリル処理は、ビア経由で送られる信号に対して、はるかにクリーンな伝送線環境を提供するが、完成したPCBの評価やデバッグのための潜在的なプローブ・ポイントとしてのビアの使用を排除する。実際、クリティカルな高速信号ラインは、あるBGA(ボール・グリッド・アレイ)パッケージの下から、バック・ドリルされたビアと内層トレースを通って、別のBGAパッケージの下へと送られ、信号へのプローブのアクセスは、全く無いままとなることがある。
信号にアクセスするために、ビアのバック・ドリル部分にプローブ・チップを置くことを期待して、仮に非導電性エポキシを取り除いたとしても、挿入されたプローブ・チップは、ちょうどドリルを使っていないビアのように、伝送線スタブになって、プローブされる信号を乱し、スタブと同様の望ましくない信号の影響を生み出すであろう。
このジレンマに対する1つの解決策は、非導電性エポキシではなく、上記で説明したように、UV硬化型接着剤の抵抗性製剤でバック・ドリルされたビアを充填することである。UV硬化型抵抗性接着剤は、ハイブリッド回路又はPCBの内側層に抵抗を形成するために使用される抵抗性ペーストと本質的に類似のものであって良い。ほとんどの高速プローブは、チップのスタブ効果を最小限に抑えるという明確な目的のために、可能な限りプローブ・チップの近くに直列抵抗器を有している。開示技術の実施形態は、直列チップ抵抗(例えば、抵抗器1212)を、プローブ・チップと一体化するときに、プローブにではなくて、直接、バック・ドリルされたビア中に、効果的に配置するのに、UV硬化型抵抗性接着剤を使用することを含む。よって、UV硬化型抵抗性接着剤は、プローブ・チップの抵抗器、そのものとしてに加えて、目的のビアとプローブの間の電気機械的接続としての両方として機能する。よって、ユーザは、プローブ・チップを、バック・ドリルされたビアの端部の抵抗性エポキシに配置することで、プローブ中の抵抗自身に導電性スタブが出てくる場合よりも、被試験信号への影響を小さくできる。
ビアの抵抗の値は、プローブの高周波利得に直接影響を与えるため、被試験信号を適切に測定するには、抵抗値がわかっているか、又は、求めておく必要がある。抵抗値は、バック・ドリルの直径と深さ、そして、おそらく接着剤の抵抗率の違いにより、ビア毎に又はPCB毎に変化する可能性がある。従って、この環境で動作して意味のあるプローブとしては、信号源(ソース)のインピーダンス(ここでは、抵抗性エポキシ・プラグと直列のDUT信号のインピーダンスの組み合わせ)を測定し、プローブの負荷を駆動するこの信号源インピーダンスの影響を補償できる、何らかの形のディエンベッド機能を有している必要がある。
この手法では、ビアのバック・ドリルされた部分に接触しているか又は近い別の層のトレースから、ビアのプローブ抵抗へ、そしてプローブへの直接的な接続や容量的な結合に、実際的な制限がある。プロービングの対象となる全てのバック・ドリルされたビアの周辺のトレース排除(keep-out)領域や接地シールド構造は、これらの懸念を最小限に抑える上で有益である。
封止されたコンポーネント・アプリケーション
テクトロニクス社から入手可能なIsoVu(登録商標)アイソレーション・プローブの製品群のような試験測定プローブは、プリント基板(PCB)上のコンポーネントのピンをプローブし、プローブされたコンポーネントからの目的の信号を、オシロスコープなどの試験測定装置に送り、表示及び分析するのに利用できる。特に、例えば、IsoVuプローブは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、炭化ケイ素(Silicon Carbide:SiC)又は窒化ガリウム(GaN)デバイスのようなパワー・デバイスを流れる電流を測定するのに利用されても良い。このようなデバイスは、PCB上に実装され、リード又はレッグ(legs)としても知られる3つのピンを有する場合が多く、これらをプローブすることができる。
回路及びPCBの構造を評価する設計及びデバッグ段階の間、これらMOSFETデバイスのようなコンポーネント(部品)は、通常、空気に対してオープンのままにされるので、従来のプロービング技術を使用できる。しかし、デバッグ段階が完了して設計が十分に進み、生産段階に入ると、製造元は、多くの場合、封止(encapsulation)プロセスを使って、これらのデバイスをパッケージに入れる。封止には、一般に、非導電性液体エポキシ又は樹脂をデバイスの周囲に注ぐ処理がある。次いで、封止材(encapsulant)は、空気、湿度その他の環境要因に対して、コンポーネントを密封(シール)するために硬化する。封止が完了すると、このプロセスにより、プローブできなくなる。
しかし、開示技術の別の態様では、凝固した封止材を通して被測定デバイスに電気的に接続するのに、あるプロセスを利用できる。大まかに言うと、開示技術の実施形態によれば、封止材を通る穴を形成することにより、UV硬化性導電性接着剤を使ってデバイスとの電気的接触を確立できる。電気的接触が確立されると、封止された試験ポイントから信号を取り込むことができる。
図13は、被試験デバイス上の封止された試験ポイントから信号を取り込むための方法1300の例示的な実施形態を示す。
1301では、試験ポイントを囲む封止材に穴が形成される。穴は、物理的にドリルで穴を開ける、レーザーで穴を開ける、化学的処理など、を含む任意の適切な技術を使用して形成されても良い。穴は、プロービングが必要なデバイスのレッグ、ピン、リード、レッグ、はんだボール、パッド、スルーホール、ビア、その他の試験ポイントに接触するように、封止材を適切な位置と深さで通って形成する必要がある。いくつかの実施形態では、穴は、試験ポイントの表面に対して実質的に直角に形成され、試験ポイントに良好な導電性を提供する。
1302では、ある量のUV硬化型導電性接着剤が、形成された穴に送達(deliver)される。UV硬化型導電性接着剤は、試験ポイントに接触するように穴に送達される必要がある。いくつかの実施形態では、接着剤が試験ポイントとコンタクトを形成するような量の接着剤を含むチューブを穴に挿入することによって、接着剤が穴に送達される。いくつかの実施形態では、接着剤は、硬化前は液体であり、チューブは、通常、両端が開いているので、接着剤は、穴に挿入中にチューブ中にとどまるのに十分な粘性を有する必要があるが、一方で、チューブが穴の底に達したら、試験ポイント上に広がって、試験ポイントを物理的に良く覆うように依然として十分に流れる必要がある。いくつかの実施形態では、注射器型装置を用いてチューブに接着剤を引き込むことによって、チューブの一端部を、最初に、ある量の接着剤で満たしても良い。別の実施形態では、チューブが、接着剤用のディスペンサ(吐出)装置の取り外し可能な部分であっても良い。即ち、UV硬化型接着剤ディスペンサが、使い捨ての(single-use:1回だけ使用の)又は取り外し可能な先端部(チップ)を有していても良い。ユーザは、先端部にあらかじめ設定された量を吐出し、その後、チューブとして機能する先端部を取り外すことができる。更に別の実施形態では、チューブは、所定量の接着剤をあらかじめ充填してユーザに供給されても良い。このようなチューブは、ユーザへ出荷中に接着剤が漏れないように、端部キャップを装備していても良い。ユーザは、使用する準備をする直前に、チューブから一方又は両方の端部キャップを取り外しても良い。そのようなチューブは、キットとして供給されても良く、このキットは、複数のチューブを含んでいても良い。これら複数のチューブは、異なるサイズの穴で使用するように、異なる直径であっても良い。また、これら複数のチューブは、上記で説明したように、バルク抵抗率の異なる製剤のようなUV硬化性接着剤の異なる製剤を含むこともできる。
1303では、UV光源からUV光を照射し、穴に送達された接着剤を硬化させる。いくつかの実施形態では、UV光は、半透明の壁を有するチューブを用いて照射され、上記半透明の壁が、穴の中の試験ポイントにおいて、UV光がUV硬化性接着剤に到達し、硬化性接着剤を硬化させるためのUV光パイプを形成する。好ましい実施形態では、穴にUV硬化性接着剤を届けるために使用されるチューブは、UV光が照射されて通過するチューブと同じである。
1304では、硬化させる接着剤と、例えば、オシロスコープなどの試験測定装置との間に導電性エレメント(conductive element)が接続される。いくつかの実施形態では、導電性エレメントは、接着剤にUV光を照射する前に、穴に送達された接着剤中に配置され、接着剤が硬化したときに、導電性エレメントが物理的に所定の位置に固定されるようにする。いくつかの実施形態では、導電性エレメントは、ワイヤ、抵抗性素子、又は、プローブ若しくはプローブ・チップの一部であっても良い。いくつかの実施形態では、UV硬化型導電性接着剤は、上述のように、接着剤自体がプローブの直列チップ抵抗を形成するように、抵抗性製剤を有していても良い。いくつかの実施形態では、導電性エレメントは、上述したピンと同様に、穴の外へ出っ張ってプロービング面を形成できるヘッドを有するピンであっても良い。そして、プローブは、このプロービング面と試験装置との間で結合されても良い。いくつかの実施形態では、導電性エレメントに、コネクタが含まれていても良い。そして、ケーブルが、このコネクタと試験装置との間に接続されても良い。
1305では、試験ポイントの電気信号を、接続された試験測定装置を用いて取得しても良い。例えば、この試験装置は、試験ポイントを流れる電流を測定するために使用されても良い。
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様の状況においても利用できる。
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法の全てのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴の全てが要求されるわけではない。