JP2021076193A - ダンパー - Google Patents

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Ryo Ito
亮 伊東
片山 洋
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洋一 鬼塚
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Abstract

【課題】制振対象の構造物に対するダンパー機能の喪失時においても、剛な支持部材として機能して構造物の耐震性を確保できること。【解決手段】作動流体14が内包されるシリンダ11と、このシリンダ内に摺動可能に収容されてシリンダ内の作動流体が内包される領域を2つの圧力室17A、17Bに区画すると共に、作動流体が流れるオリフィス18が形成されたピストン12と、このピストンに連結されると共にシリンダを貫通して設けられたピストンロッド13と、を有する粘性ダンパー10において、シリンダ11とピストンロッド13との間に、これらのシリンダとピストンを固定可能とする固定手段25が設けられて構成されたものである。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、振動対象の振動エネルギを吸収可能なダンパーに関する。
発電用プラント等における構造物の耐震性向上対策の一つとして、ダンパーの使用が挙げられる。ダンパーは、振動対象の振動エネルギを吸収することで地震時における振動対象の応答を抑制する。ダンパーには様々なタイプがあるが、作動流体を用いた粘性ダンパーは、図11に示すようなシリンダ・ピストン型のものが代表的である。
シリンダ1内にオイル等の作動流体4が満たされており、また、ピストンロッド3に固定されたピストン2にオリフィス5が設けられている。シリンダ1とピストン2に相対的な動きが生じると、作動流体4がオリフィス5内を流れ、その際に流動抵抗による反力が得られる。この反力は、シリンダ1とピストン2の相対速度に比例し、振動エネルギを吸収して減衰させる効果を有しており、減衰力と呼ばれる。
粘性ダンパーを使用する際の懸念として、ピストンロッド3のシリンダ1に対する摺動箇所に設けられたシール材7の損傷、周囲環境が想定外の高温となること等により、図12に示すように、シリンダ1内の作動流体4が喪失してダンパーとして機能しなくなることが考えられる。例えば、シリンダ1内の作動流体4が全て失われた場合には、抵抗力がほぼゼロとなり、ジョイント6を用いて取り付けられた構造物は全く支持されていない状態に近くなる。
粘性ダンパーの機能喪失を想定した技術として、一般的な粘性ダンパーの構成要素であるシリンダ及びピストンに加え、皿ばねを設けたダンパーがある。この技術では、ダンパーの機能喪失によりピストンが想定以上に変位した際に皿ばねが緩衝材となり、シリンダとピストンの衝突による衝撃力を低減して、ダンパーの損傷を回避することが可能になる。
特開2017−211024号公報
ところが、上述の技術では、皿ばねによりピストンが過大に変位することは抑制できるものの、ピストンそのものを固定する構成ではなく、ピストンは皿ばねが作用する接触変位以下の領域では抵抗なく振動してしまうため、制振対象の構造物に対する耐震性を十分に確保できているとは言えない懸念がある。
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、制振対象の構造物に対するダンパー機能の喪失時においても、剛な支持部材として機能して構造物の耐震性を確保できるダンパーを提供することを目的とする。
本発明の実施形態におけるダンパーは、作動流体が内包されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に収容されて、前記シリンダ内の前記作動流体が内包される領域を2つの圧力室に区画すると共に、前記作動流体が流れる流路が形成されたピストンと、前記ピストンに連結されると共に前記シリンダを貫通して設けられたピストンロッドと、を有するダンパーにおいて、前記シリンダと前記ピストンロッドとの間に、これらのシリンダとピストンロッドを固定可能とする固定手段が設けられて構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、制振対象の構造物に対するダンパー機能の喪失時においても、剛な支持部材として機能して構造物の耐震性を確保できる。
第1実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図。 図1の粘性ダンパーが剛な支持部材として機能する場合の動作を説明する断面図。 (A)は第2実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図、(B)は図3(A)のIII−III線に沿う断面図。 第3実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図。 図4の粘性ダンパーが剛な支持部材として機能する場合の動作を説明する断面図。 第4実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図。 図6の粘性ダンパーが剛な支持部材として機能する場合の動作を説明する断面図。 第5実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図。 第6実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図。 図9の粘性ダンパーの変形形態を示す断面図。 従来の粘性ダンパーの構成を示す断面図。 図11の粘性ダンパーにおいて作動流体喪失時の状態を示す断面図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1、図2)
図1は、第1実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図である。この図1に示す粘性ダンパー10は、シリンダ11と、このシリンダ11内に摺動可能に収容されるピストン12と、このピストン12に連結されると共にシリンダ11に貫通して設けられたピストンロッド13と、を有して構成される。
シリンダ11の内部は、隔壁19によって、オイル等の作動流体14が内包されると共にピストン12が収容される第1領域15と、ピストンロッド13の先端部13Aが位置する第2領域16とに区画される。ピストン12が、シリンダ11の第1領域15を2つの圧力室17Aと17Bに更に区画する。また、ピストン12には、作動流体14が流れる流路としてのオリフィス18が貫通して形成されている。
シリンダ11とピストンロッド13との摺動部にシール材20が設けられて、シリンダ11の密閉性が保持される。また、シリンダ11とピストンロッド13には、それぞれジョイント21が装着されている。一方のジョイント21が制振対象としての構造物22に、他方のジョイント21が壁23等に、それぞれ固定して取り付けられる。
構造物22が振動すると、粘性ダンパー10のピストン12がシリンダ11に対して相対的に移動し、ピストン12のオリフィス18に作動流体14が流れる。このときの流動抵抗により減衰力が発生する。この減衰力は、シリンダ11とピストン12との相対速度に比例し、制振対象の構造物22の振動エネルギを吸収して減衰力を発生させることで、構造物22の振動応答を抑制する。
上述の通常運転時のピストン12の作動域は、作動流体14がシリンダ11内に一部または全部充填されている状態でピストン12が移動した際に、ピストン12の移動によって作動流体14に流動抵抗を生じさせて作動流体14による反力を生じさせながらピストン12がシリンダ11内を往復運動できる変位量の最大値である。例えば、通常運転時のピストン12の作動域は、通常の作動時でピストン12が最大移動するピストンの変位量のみならず、通常想定される地震などが発生しても故障などが発生しない時にピストン12が最大移動するピストンの変位量である。
ところで、シール材20の損傷や周囲環境が想定外の高温になること等により、例えば図2に示すように、シリンダ11内の作動流体14が喪失した場合には、粘性ダンパー10に減衰力が生じず、構造物22は支持されていない(フリーな)状態となって、耐震性が極めて低下する。このような場合、ダンパーとしての機能の回復は困難であるため、粘性ダンパー10を単純な剛な支持部材として機能させる。
つまり、粘性ダンパー10は、シリンダ11内のシリンダ11とピストンロッド13との間に、これらのシリンダ11とピストンロッド13を固定可能とする固定手段25を備える。この固定手段25は、ピストンロッド13に形成された溝26と、シリンダ11の穴としてのスリット24に外部から挿入されて溝26に嵌合可能に設けられた嵌合部材としてのキー27と、を有して構成される。上述のピストンロッド13の溝26とシリンダ11のスリット24は、シリンダ11の第2領域16に設けられている。
粘性ダンパー10のシリンダ11内から作動流体14が喪失した際に、作業員がシリンダ11のスリット24にキー27を挿入し、このキー27をピストンロッド13の溝26に嵌合させることで、ピストンロッド13がシリンダ11に固定される。これにより、ピストン12のシリンダ11に対する相対移動が阻止されて、粘性ダンパー10は構造物22に対して剛な支持部材として機能する。
なお、キー27は手動で溝27に嵌合されることを想定している。その際、作業員はキー27の嵌合の要否を判断するために、作動流体14の喪失の有無を把握する必要がある。粘性ダンパー10の外部から一見して作動流体14の喪失を確認できればよいが、そうでない場合を想定し、粘性ダンパー10にはシリンダ11の内部状態を示すセンサ(不図示)等が付設されることが望ましい。作業員は、このセンサ等の信号または表示に基づいて、シリンダ11内の作動流体14の喪失を認識する。
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)を奏する。
(1)制振対象としての構造物22に取り付けられた粘性ダンパー10は、振動エネルギを吸収するダンパー機能の喪失時に、シリンダ11とピストンロッド13を固定可能とする固定手段25(溝26及びキー27)によりピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、シリンダ11とピストン12との相対移動が阻止されることで剛な支持部材として機能する。従って、粘性ダンパー10におけるダンパー機能の喪失時においても、この粘性ダンパー10に取り付けられた構造物22の耐震性を確保することができる。
この固定手段25が作用している状態は、粘性ダンパー10が正常に機能している場合に比べて制振性が当然に劣るため、通常の耐震要求を十分に満足することは難しいと考えられる。しかしながら、粘性ダンパー10がダンパー機能を喪失して構造物22に対する支持を完全に失った状態に比べれば、構造物22の耐震性を確保でき、これにより構造物22の損傷を低減できる効果が得られる。
[B]第2実施形態(図3)
図3は、(A)が第2実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図、(B)が図3(A)のIII−III線に沿う断面図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態の粘性ダンパー30が第1実施形態と異なる点は、キー27に形成された貫通孔32にピン33が引き抜き可能に挿入され、このピン33がシリンダ11に係止されることで、キー27がシリンダ11のスリット24に挿入された状態で保持される点である。本第2実施形態でシリンダ11とピストンロッド13を固定可能とする固定手段31は、キー27と、ピン33と、キー27が嵌合可能なピストンロッド13の溝26と、を有してなる。また、シリンダ11の第2領域16には、キー27の一部と、シリンダ11のスリット24と、ピストンロッド13の溝26と、が設けられている。
シリンダ11のスリット24にキー27を挿入状態で保持させるピン33が、例えばロボットなどを用いた遠隔操作により引き抜かれることで、キー27は、シリンダ11のスリット24に挿入された状態で落下して、ピストンロッド13の溝26に嵌合する。これにより、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー30は、シリンダ11とピストン12との相対移動が阻止されて、構造物22に対して剛な支持部材として機能する。
以上のように構成されたことから、本第2実施形態においても、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)を奏する。
(2)キー27の貫通孔32にピン33が引き抜き可能に挿入されることで、キー27は、シリンダ11のスリット24に挿入された状態でシリンダ11に保持される。そして、キー27は、ピン33が引き抜かれることで、シリンダ11のスリット24に挿入された状態でピストンロッド13の溝26に嵌合され、これにより、ピストンロッド13がシリンダに固定される。上述のピン33を引き抜く操作は、第1実施形態のキー27をシリンダ11のスリット24に挿入する操作に比べて単純な作業である。このため、事故時に作業員が粘性ダンパー30にアクセス困難な場合でも、例えばロボット等を用いて遠隔操作によりピン33を引き抜くことで、キー27をピストンロッド13の溝26に嵌合させることができ、粘性ダンパー30を剛な支持部材として確実に機能させることができる。
なお、キー27がシリンダ11のスリット24に挿入された状態でシリンダ11に保持される構成は、ピン33を用いる場合に限らず、糸や針金などを用いるものでもよい。この場合には、これらの糸等を遠隔操作で切断することで、キー27を、シリンダ11のスリット24に挿入させた状態でピストンロッド13の溝26に嵌合させて、ピストンロッド13をシリンダ11に固定させることになる。
[C]第3実施形態(図4、図5)
図4は、第3実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図である。この第3実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
一般にダンパーは、シリンダ内の作動流体が喪失した場合に減衰力が全く発生しなくなるため、このダンパーに取り付けられた制振対象の構造物は非常に大きく振動し、この結果、ダンパーにおけるピストン及びピストンロッドの変位は、通常想定される変位を上回ると予想される。
本第3実施形態の粘性ダンパー40が第1実施形態と異なる点は、シリンダ11内の作動流体14の喪失時にピストンロッド13に想定を上回る過大な変位が生じた場合に、その変位に応じてキー43がピストンロッド13の溝44A、44Bに自動的に嵌合するよう構成された固定手段41を有する点である。
つまり、固定手段41は、弾性部材としてのばね42を介してシリンダ11内に固定して設置された嵌合部材としてのキー43と、ピストンロッド13に形成されてキー43が嵌合可能に設けられた溝44A、44Bと、を有して構成される。この固定手段41では、シリンダ11に固定して設置されたキー43がピストンロンドン13の溝44Aまたは44Bに嵌合されることで、ピストンロッド13がシリンダ11に固定される。上述のばね42、キー43並びに溝44A及び44Bは、シリンダ11の第2領域16内に設けられている。
キー43は、更に、ばね42の弾性力によりピストンロッド13に押し付けられた状態で、ピストンロンドン13に対しその軸方向に摺動可能に構成される。この場合、キー43の先端に例えばころ等の転動部材が配置されることで、キー43とピストンロッド13との間の摩擦の影響を小さくする構造が好ましい。また、ばね42は、キー43がピストンロッド13に摺動する場合にも変形することがないように十分な剛性を有する構造、例えば板ばね構造が好ましい。
また、ピストンロッド13には、その軸方向に沿うガイド溝45が形成されている。このガイド溝45は、キー43がピストンロッド13の軸方向に沿って摺動する際に、キー43の先端部を上記ころ等と共に案内することで、キー43をピストンロッド13の周方向へ移動させることでなく拘束して、溝44Aまたは44Bに案内して嵌合させる。
溝44A及び44Bは、ピストン12の静止時におけるピストンロッド13のキー43との対応位置から、ピストンロッド13の軸方向に一定距離Lだけ離れて両側(例えば図4の左右両側)に位置づけられる。上記一定距離Lは、ピストン12の静止時におけるピストンロッド13のキー43との対応位置と、シリンダ11内の作動流体14の喪失時にピストンロッド13が想定を上回る過大な変位をしたときにおけるピストンロッド13のキー43との対応位置との距離である。従って、シリンダ11内に作動流体14が確保されて粘性ダンパー40がダンパー機能を発揮する通常時には、キー43が溝44Aまたは44Bに到達しない範囲で粘性ダンパー40は動作する。
図5に示すように、シリンダ11内の作動流体14が喪失してピストン12及びピストンロッド13が例えば左側に想定を上回る過大な変位をしたとき、ばね42を介してシリンダ11に固定して設置されたキー43は、ばね42の弾性力によりピストンロッド13の溝44Bに嵌合する。これにより、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー40は剛な支持部材として機能する。ピストン12及びピストンロッド13が静止時の位置から例えば右側に過大に変位したときも同様である。
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)を奏する。
(3)シリンダ11には、ばね42を介してキー43が固定して設置され、ピストンロッド13には、ピストン12の静止時におけるピストンロッド13のキー43との対応位置からピストンロッド13の軸方向に一定距離Lだけ離れて溝44A及び44Bが形成されている。そして、シリンダ11内の作動流体14が喪失してピストン12及びピストンロッド13がシリンダ11に対し想定を上回るほど過大に変位したとき、キー43が溝44Aまたは44Bに自動的に嵌合するように構成されている。このため、キー43を手動または遠隔操作で溝44Aまたは44Bに嵌合させる必要がない。例えば、粘性ダンパー40から作動流体14が喪失した直後に地震が発生した場合において、キー43が溝44Aまたは44Bに嵌合することで、粘性ダンパー40は人手を介することなく剛な支持部材として機能して、制振対象の構造物22の耐震性を確実に向上させることができる。
[D]第4実施形態(図6、図7)
図6は、第4実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図である。この第4実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態とを同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第4実施形態の粘性ダンパー50が第1実施形態と異なる点は、粘性ダンパー50のシリンダ11内の作動流体14が喪失した時点で、キー54がピストンロッド13の溝55に自動的に嵌合するよう構成された固定手段51を有する点である。
つまり、固定手段51は、シリンダ11に連通して形成されて内部に作動流体14が満たされる柱状部52と、この柱状部52内の作動流体からの浮力により柱状部52内に浮遊して設けられた浮体53と、この浮体53の端部に固定して設置された嵌合部材としてのキー54と、ピストンロッド13に形成されてキー54が嵌合可能に設けられる溝55と、を有して構成される。
この固定手段51では、シリンダ11の柱状部52内に浮体53が設けられ、この浮体53に固定して設置されたキー54がピストンロッド13の溝55に嵌合することで、ピストンロッド13がシリンダ11に固定される。また、上述の柱状部52、浮体53、キー54及び溝55は、シリンダ11の第1領域15内に設けられている。
上記浮体53は、柱状部52内の作動流体により浮力を受けやすい構造であり、例えば軽量な中空状の密閉容器などが好ましい。また、ピストンロッド13に形成される溝55は、ピストン12の静止時におけるピストンロッド13のキー54との対応位置に位置づけられる。従って、キー54と溝55とは、ピストン12の静止時にピストンロッド13の軸方向において同一位置に設定されている。
粘性ダンパー50の通常状態においては、柱状部52内の作動流体14の存在により浮体53に浮力が作用して、この浮体53に固定されたキー54は、ピストンロッド13の溝55に嵌合しない状態に保持される。これにより、粘性ダンパー50は、構造物22の振動エネルギを吸収するダンパー機能を発揮する。
これに対し、図7に示すように、シリンダ11内及びこのシリンダ11に連通した柱状部52内から作動流体14が喪失した場合には、浮体53に浮力が作用しなくなり、キー54は重力により落下してピストンロッド13の溝55に嵌合する。この嵌合時には、キー54に固定された浮体53は柱状部52内に存在している。これにより、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー50は剛な支持部材として機能する。
以上のように構成されたことから、本第4実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
(4)シリンダ11の柱状部52には、作動流体14からの浮力により柱状部52内に浮遊する浮体53にキー54が固定して設置され、ピストンロッド13には、キー54の対応位置に溝55が形成されている。そして、シリンダ11内及びこのシリンダ11に連通する柱状部52内の作動流体が喪失したときに、浮体53が浮力を失うことでキー54は重力により落下してピストンロッド13の溝55に嵌合するよう構成されている。このため、粘性ダンパー50は、作動流体14が喪失した段階で直ちに剛な支持部材となり、ピストンロッド13が過大に変位する前に剛な支持部材になる。この結果、例えば地震発生の初期段階から粘性ダンパー50が剛な支持部材として機能することになるので、粘性ダンパー50が取り付けられた構造物22の耐震性を、第3実施形態に比べて更に確実に確保することができる。
[E]第5実施形態(図8)
図8は、第5実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図である。この第5実施形態において第1及び第4実施形態と同様な部分については、これらの第1及び第4実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第5実施形態の粘性ダンパー60が第4実施形態と異なる点は、シリンダ11の第2領域16内にも第1領域15と同様に作動流体14が内包されると共に、シリンダ11の第2領域16に対応する位置に柱状部52が形成され、この柱状部52内に設けられた浮体53、この浮体53に固定して設置されたキー54、及びピストンロッド13に形成された溝55が、第2領域16内に設けられた点である。そして、粘性ダンパー60の固定手段61は、柱状部52、浮体53、キー54及び溝55を有して構成され、キー54が溝55に嵌合することで、ピストンロッド13がシリンダ11に固定される。
上記柱状部52内には気体、例えば空気が含まれる。仮に、シリンダ11の第2領域16内を作動流体14のみで満たした密閉空間にすると、ピストン12及びピストンロッド13が変位した際に作動流体14の逃げ場がなく、ピストン12及びピストンロッド13が移動できずに粘性ダンパー60が通常時にダンパー機能を発揮できなくなる。このため、柱状部52内に気体を含む構成としている。柱状部52内に気体を含む代わりに、シリンダ11の第2領域16の一部、例えば柱状部52の天面部に大気開放面を設けてもよい。
粘性ダンパー60の通常状態においては、柱状部52内の作動流体14の存在により浮体53に浮力が作用して、この浮体53に固定して設置されたキー54は、ピストンロッド13の溝55に嵌合しない状態に保持される。これにより、粘性ダンパー60は、構造物22の振動エネルギを吸収するダンパー機能を発揮する。
これに対し、シリンダ11の第1領域15及び第2領域16から作動流体14が喪失すると、浮体53に浮力が作用しなくなり、キー54は、重力により落下してピストンロッド13の溝55に嵌合する。この嵌合時には、キー54に固定された浮体53は柱状部52内に存在している。これにより、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー60は剛な支持部材として機能する。
以上のように構成されたことから、本第5実施形態によれば、第1及び第4実施形態の効果(1)及び(4)を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
(5)柱状部52がシリンダ11の第1領域15側に形成されている場合には、例えばこの柱状部52内に設けられた浮体53の剛性が十分でないと、この浮体53が圧縮変形してシリンダ11の第1領域15の容積が変動することになり、粘性ダンパー60の減衰力に影響を及ぼす恐れがある。これに対し、柱状部52がシリンダ11の第2領域16側に形成され、この第2領域16内に浮体53、キー54及び溝55が設けられることで、例えば浮体53が圧縮変形しても粘性ダンパー60の減衰力に影響を及ぼすことがないので、粘性ダンパー60のダンパー機能を良好に確保できる。
[F]第6実施形態(図9、図10)
図9は、第6実施形態に係る粘性ダンパーの構成を示す断面図である。この第6実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第6実施形態の粘性ダンパー70が第1実施形態と異なる点は、ピストンロッド13の先端部13Aと、この先端部13Aに対向するシリンダ11の内壁面とに、互いに嵌合可能なカプラ72、73がそれぞれ設置され、これらの対をなすカプラ72及び73が固定手段71を構成する点である。これらのカプラ72及び73は、シリンダ11の第2領域16内に設けられている。
粘性ダンパー70におけるシリンダ11の第1領域15に内包された作動流体14が喪失してピストン12及びピストンロッド13が過大に変位し、ピストンロッド13が軸方向に沿って一定の向き(図9の左向き)に移動すると、ピストンロッド13のカプラ72がシリンダ11のカプラ73に嵌合して、ピストンロッド13がシリンダ11に固定される。これにより、粘性ダンパー70が剛な支持部材として機能する。
また、図10は、第6実施形態の変形形態を示す粘性ダンパー80である。この粘性ダンパー80では、ピストンロッド13の先端部13Aにプレート82が固着され、このプレート82の一方の面にカプラ83が、反対側の他方の面にカプラ85がそれぞれ設置される。シリンダ11の内壁面でカプラ83に対向する位置に、このカプラ83に嵌合可能なカプラ84が設置される。また、シリンダ11の第2領域16内に設置された壁部87におけるカプラ85に対向する位置に、このカプラ85に嵌合可能なカプラ86が設置される。上述の対をなすカプラ83及び84と、対をなすカプラ85及び86とが固定手段81を構成する。これらのカプラ83、84、85及び86は、シリンダ11の第2領域16内に設けられている。
粘性ダンパー80におけるシリンダ11の第1領域15に内包された作動流体14が喪失してピストン12及びピストンロッド13が過大に変位し、ピストンロッド13が軸方向に沿っていずれかの向きに移動したとき、例えば図10の左向きへ移動したときに、ピストンロッド13側のカプラ83がシリンダ11のカプラ84に嵌合し、または、図10の右向きへ移動したときに、ピストンロッド13側のカプラ85がシリンダ11側のカプラ86に嵌合する。これらのいずれ場合も、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー80は剛な支持部材として機能する。
以上のように構成されたことから、本第6実施形態においても第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)を奏する。
(6)粘性ダンパー70のシリンダ11の第1領域15内における作動流体14の喪失時に、ピストンロッド13のカプラ72とシリンダ11のカプラ73とが嵌合し、または、粘性ダンパー80のシリンダ11の第1領域15内における作動流体14の喪失時に、ピストンロッド13側のカプラ83、85がシリンダ11側のカプラ84、86にそれぞれ嵌合する。これにより、ピストンロッド13がシリンダ11に固定されて、粘性ダンパー70、80は剛な支持部材になる。この結果、これらの粘性ダンパー70、80は、取り付けられた構造物22の耐震性を、簡易な構成で確保することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…粘性ダンパー、11…シリンダ、12…ピストン、13…ピストンロッド、13A…ピストンロッドの先端部、14…作動流体、15…第1領域、16…第2領域、17A、17B…圧力室、18…オリフィス(流路)、22…構造物(制振対象)、25…固定手段、26…溝、27…キー(嵌合部材)、30…粘性ダンパー、31…固定手段、33…ピン、40…粘性ダンパー、41…固定手段、42…ばね(弾性部材)、43…キー(嵌合部材)、44A、44B…溝、50…粘性ダンパー、51…固定手段、53…浮体、54…キー(嵌合部材)、55…溝、60…粘性ダンパー、61…固定手段、70…粘性ダンパー、71…固定手段、72、73…カプラ、80…粘性ダンパー、81…固定手段、83、84、85、86…カプラ、L…一定距離

Claims (6)

  1. 作動流体が内包されるシリンダと、
    前記シリンダ内に摺動可能に収容されて、前記シリンダ内の前記作動流体が内包される領域を2つの圧力室に区画すると共に、前記作動流体が流れる流路が形成されたピストンと、
    前記ピストンに連結されると共に前記シリンダを貫通して設けられたピストンロッドと、を有するダンパーにおいて、
    前記シリンダと前記ピストンロッドとの間に、これらのシリンダとピストンロッドを固定可能とする固定手段が設けられて構成されたことを特徴とするダンパー。
  2. 前記固定手段は、ピストンロッドに形成された溝と、シリンダに設けられた穴に挿入されて前記溝に嵌合可能に設けられた嵌合部材と、を有し、
    前記嵌合部材が前記溝に嵌合することで、前記ピストンロッドが前記シリンダに固定されるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
  3. 前記固定手段は、シリンダ内に弾性部材を介して設置されると共に、ピストンロッドに対しその軸方向に摺動可能に設けられた嵌合部材と、
    前記ピストンロッドに形成されて前記嵌合部材が嵌合可能に設けられると共に、ピストンの静止時における前記ピストンロッドの前記嵌合部材との対応位置から前記ピストンロッドの軸方向に一定距離離れて位置づけられた溝と、を有し、
    前記嵌合部材が前記溝に嵌合することで、前記ピストンロッドが前記シリンダに固定されるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
  4. 前記固定手段は、作動流体からの浮力によりシリンダ内に浮遊して設けられた浮体に設置された嵌合部材と、
    ピストンロッドに形成されて前記嵌合部材が嵌合可能に設けられると共に、ピストンの静止時における前記ピストンロッドの前記嵌合部材との対応位置に位置づけられた溝と、を有し、
    前記嵌合部材が前記溝に嵌合することで、前記ピストンロッドが前記シリンダに固定されるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
  5. 前記シリンダ内は、作動流体が内包されると共にピストンが収容される第1領域と、作動流体が内包されると共にピストンロッドの先端が位置する第2領域とを備えてなり、
    前記第2領域内に浮体、嵌合部材及び溝が設けられたことを特徴とする請求項4に記載のダンパー。
  6. 前記固定手段は、シリンダとピストンロッドのそれぞれに設置されて互いに嵌合可能な対をなすカプラであり、
    これらのカプラが結合することで、前記ピストンロッドが前記シリンダに固定されるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のダンパー。
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