JP2021076112A - 触媒状態推定装置、触媒の状態を推定する方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
触媒の浄化性能は、触媒の情報に加えてさらに、触媒に流入する排気の情報(例えば、排気の温度、排気の流量、排気中の有害物質の量)の影響を受けて変動する。この構成によれば、推定部は、触媒の浄化性能に影響を及ぼすこれら触媒の情報と、触媒に流入する排気の情報との両方を触媒状態推定モデルに適用することによって、触媒の浄化性能をさらに精度良く推定することができる。
この構成によれば、推定部は、触媒の情報に加えてさらに、添加剤の情報(例えば、添加剤の量)を触媒状態推定モデルに適用することによって、触媒の浄化性能を推定する。このため、例えば、吸蔵還元触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction catalyst)のように、添加剤を用いて有害物質を浄化する触媒の浄化性能を推定する場合において、推定の精度をより向上させることができる。
機械学習モデルは、入出力変数に因果関係さえあれば、複雑な関数近似をしなければ分類や回帰ができない場合(例えば、物理式で明示することが困難な現象が含まれる場合、現象を記述する物理式が複数必要となる場合、数多くの要因の影響が想定されることから物理式に対する入力が多くなる場合)であっても、低演算負荷で出力(推定結果)を得ることができる。この構成によれば、推定部は、機械学習モデルにより構成された第1モデルを用いて、有害物質としての窒素酸化物の浄化率を推定するため、数多くの要因が影響する窒素酸化物の浄化率の推定を、低演算負荷かつ高速に実施できる。また、十分に学習された機械学習モデルを第1のモデルとすることで、推定部は、窒素酸化物の浄化率を高精度で推定できる。
この構成によれば、推定部は、機械学習モデルにより構成された第2モデルを用いて、還元制御における、有害物質としての窒素酸化物の還元量を推定するため、より数多くの要因が影響する窒素酸化物の還元量の推定を、低演算負荷かつ高速に実施できる。また、十分に学習された機械学習モデルを第2のモデルとすることで、推定部は、窒素酸化物の還元量を高精度で推定できる。
この構成によれば、推定部は、機械学習モデルにより構成された第3モデルを用いて、触媒の気相反応で浄化される有害物質としての窒素酸化物の浄化量を推定するため、より数多くの要因が影響する窒素酸化物の浄化量の推定を、低演算負荷かつ高速に実施できる。また、十分に学習された機械学習モデルを第3のモデルとすることで、推定部は、窒素酸化物の浄化量を高精度で推定できる。
物理モデルは、実際の物理則に基づき、相似律の上に成り立つ法則であるため、物理モデルによって得られる出力(推定結果)は、物理則を満たす。一方、機械学習モデルは、膨大なデータの学習の結果構築されたモデルであるため、物理則を満たす出力(推定結果)が得られない場合がある。この構成によれば、推定部は、物理モデルにより構成された第4モデルを用いて、還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量を推定するため、影響する要因の少ない上記添加剤の量の推定を、物理則に則って高精度に推定できる。
この構成によれば、推定部は、機械学習モデルである第1、第2、及び第3モデルによる推定結果(窒素酸化物の浄化率、還元制御における有害物質としての窒素酸化物の還元量、気相反応で浄化される有害物質としての窒素酸化物の浄化量)と、物理モデルである第4モデルによる推定結果(還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量)とを併用し、物理則を用いて、触媒における窒素酸化物の吸蔵量を推定する。このため、本構成によれば、より数多くの要因が影響する窒素酸化物の吸蔵量の推定を、物理則を満たしつつ、高精度、かつ高速に実施できる。また、触媒における窒素酸化物の吸蔵量は、前の時刻の吸蔵量の影響を受けて変動する(換言すれば、時間履歴の影響を受けて変動する)。この構成によれば、推定部は、第1〜第4モデルによる現在の推定結果を用いて、次の時刻における吸蔵量を推定するため、前の時刻の触媒の浄化性能を踏まえて、次の時刻における触媒の浄化性能を高精度に推定できる。
この構成によれば、第1〜第4モデルにおいて、多様な種々の情報を考慮した推定を行うため、触媒の浄化性能をさらに高精度に推定できる。
この構成によれば、第1モデル、第2モデル、及び第3モデルの少なくとも一方は、劣化度の異なる複数の触媒から取得された教師データを用いて作成されているため、触媒の劣化度に合わせて最適な第1モデル、第2モデル、及び第3モデルを採用することができる。この結果、本構成によれば、触媒の浄化性能をさらに高精度に推定できる。
この構成によれば、第5モデルを用いることによって、還元制御において消費されずに触媒から流出する添加剤の量(流出添加剤量)を推定することができる。そして、触媒状態推定装置から、還元制御を行う還元制御部に対してフィードバック制御を行い、還元制御部において流出添加剤量を少なくするように還元制御を実施することにより、触媒における有害物質の浄化性能を維持しつつ、余分な添加剤の量を減らすことができる。この結果、本構成によれば、燃料を消費して触媒に吸蔵されている有害物質を還元する還元制御における、燃料消費量を低減できる。
この構成によれば、推定部は、機械学習モデルにより構成された第5モデルを用いて流出添加剤量を推定するため、数多くの要因が影響する流出添加剤量の推定を、低演算負荷かつ高速に実施できる。また、十分に学習された機械学習モデルを第5モデルとすることで、推定部は、流出添加剤量を高精度で推定できる。
この構成によれば、推定部は、触媒の浄化性能に影響を及ぼす触媒の情報と、触媒に流入する排気の情報との両方を触媒状態推定モデル(第5モデル)に適用することによって、触媒の浄化性能をさらに精度良く推定することができる。
この構成によれば、推定部は、触媒の浄化性能に影響を及ぼす触媒の情報と、添加剤の情報との両方を触媒状態推定モデル(第5モデル)に適用することによって、触媒の浄化性能をさらに精度良く推定することができる。
この構成によれば、推定部は、機械学習モデルである第5モデルによる推定結果(流出添加剤量)から、還元制御における有害物質としての窒素酸化物の還元量を求めることができる。また、推定部は、求めた有害物質の還元量と、機械学習モデルである第1及び第3モデルによる推定結果(窒素酸化物の浄化率、気相反応で浄化される有害物質としての窒素酸化物の浄化量)と、物理モデルである第4モデルによる推定結果(還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量)とを併用し、物理則を用いて、触媒における窒素酸化物の吸蔵量を推定する。このため、本構成によれば、より数多くの要因が影響する窒素酸化物の吸蔵量の推定を、物理則を満たしつつ、高精度、かつ高速に実施できる。また、触媒における窒素酸化物の吸蔵量は、前の時刻の吸蔵量の影響を受けて変動する。この構成によれば、推定部は、第1、第3〜第5モデルによる現在の推定結果を用いて、次の時刻における吸蔵量を推定するため、前の時刻の触媒の浄化性能を踏まえて、次の時刻における触媒の浄化性能を高精度に推定できる。
この構成によれば、第5モデルは、劣化度の異なる複数の触媒から取得された教師データを用いて作成されているため、触媒の劣化度に合わせて最適な第5モデルを採用することができる。この結果、本構成によれば、触媒の浄化性能をさらに高精度に推定できる。
この構成によれば、主流路状の複数の触媒を1つの触媒とみなして浄化性能を推定できるため、各触媒の浄化性能をそれぞれ推定する場合と比較して、触媒の情報の取得部(センサ等)の数や、予め準備する触媒状態推定モデルの数を減らすことができると共に、触媒状態推定装置における演算負荷を低減できる。また、推定部は、主流路に設けられた複数の触媒が同種の触媒である場合に、これらを1つの触媒とみなして浄化性能を推定する。同種の触媒であれば、浄化性能を左右する触媒の情報項目に相違がないため、推定部は、浄化性能を精度良く推定することができる。
この構成によれば、主流路状の複数の触媒を1つの触媒とみなして浄化性能を推定できるため、各触媒の浄化性能をそれぞれ推定する場合と比較して、触媒の情報の取得部(センサ等)の数や、予め準備する触媒状態推定モデルの数を減らすことができると共に、触媒状態推定装置における演算負荷を低減できる。また、第5モデルを用いることによって、還元制御において消費されずに触媒から流出する添加剤の量(流出添加剤量)を推定することができるため、複数の触媒における有害物質の浄化性能を維持しつつ、余分な添加剤の量を減らすことができ、燃料消費量を低減できる。
図1は、本発明の一実施形態としての排気浄化システム1のブロック図である。本実施形態の排気浄化システム1は、燃焼状態制御部91及び内燃機関92と、排気浄化装置20と、触媒状態推定装置10を備える。本実施形態の排気浄化装置20は、内燃機関92の排気中における有害物質(窒素酸化物:NOx)を浄化する装置であり、触媒としてNOx吸蔵還元触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction catalyst)70を備える。NSR触媒70は、内燃機関92の主としてリーン燃焼時に排出されるNOxを、NSR触媒70内に吸蔵して溜め込むことで、排気中のNOxを浄化する。本実施形態の触媒状態推定装置10は、排気浄化装置20に搭載されたNSR触媒70の状態、具体的には、NSR触媒70の浄化性能を推定できる。
(a1)触媒の情報:NSR触媒70の前端の温度と、NSR触媒70の温度と、1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量と、NSR触媒70におけるNOxの飽和吸蔵量に対する吸蔵量(実吸蔵量)の比と、のうちの少なくとも1つ
(a2)排気の情報:内燃機関92からの排気の温度と、排気の流量と、排気に含まれるNOxの量と、のうちの少なくとも1つ
(b1)触媒の情報:NSR触媒70の前端の温度と、NSR触媒70の温度と、1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量(実吸蔵量)と、のうちの少なくとも1つ
(b2)排気の情報:内燃機関92からの排気の温度と、排気の流量と、のうちの少なくとも1つ
(b3)添加剤の情報:NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量と、リッチスパイク制御において還元反応に寄与しない添加剤の量と、のうちの少なくとも1つ
(c1)触媒の情報:NSR触媒70の前端の温度と、NSR触媒70の温度と、のうちの少なくとも1つ
(c2)排気の情報:内燃機関92からの排気の温度と、排気の流量と、排気に含まれるNOxの量と、のうちの少なくとも1つ
(d1)触媒の情報:NSR触媒70の前端の温度と、NSR触媒70の温度と、のうちの少なくとも1つ
(d2)排気の情報:内燃機関92からの排気の温度と、NSR触媒70に流入する排気の空燃比と、のうちの少なくとも1つ
(d3)添加剤の情報:NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量
(a1)触媒の情報:
・NSR触媒70の温度(床温)T[k](ステップS16)
・1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量(実吸蔵量)NOxSt[k](前回の推定処理の結果)
・NSR触媒70におけるNOxの飽和吸蔵量に対する吸蔵量(実吸蔵量)の比r[k](ステップS24)
(a2)排気の情報:
・内燃機関92からの排気の温度T_NSRin[k](ステップS20)
・排気の流量Q[k](ステップS12)
・排気に含まれるNOxの量NOx_NSRin[k](ステップS14)
(c1)触媒の情報:
・NSR触媒70の温度(床温)T[k](ステップS16)
(c2)排気の情報:
・内燃機関92からの排気の温度T_NSRin[k](ステップS20)
・排気の流量Q[k](ステップS12)
・排気に含まれるNOxの量NOx_NSRin[k](ステップS14)
(d1)触媒の情報:
・NSR触媒70の温度(床温)T[k](ステップS16)
(d2)排気の情報:
・内燃機関92からの排気の温度T_NSRin[k](ステップS20)
(d3)添加剤の情報:
・NSR触媒70に流入する添加剤の量RDCT_NSRin[k](ステップS18)
(b1)触媒の情報:
・NSR触媒70の温度(床温)T[k](ステップS16)
・1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量(実吸蔵量)NOxSt[k](前回の推定処理の結果)
(b2)排気の情報:
・内燃機関92からの排気の温度T_NSRin[k](ステップS20)
・排気の流量Q[k](ステップS12)
(b3)添加剤の情報:
・NSR触媒70に流入する添加剤の量RDCT_NSRin[k](ステップS18)
・リッチスパイク制御において、還元反応に寄与しない添加剤の量Ad_thrmlytc[k](ステップS28)
図6は、第2実施形態における排気浄化システム1aのブロック図である。図1に示す第1実施形態では、推定部110は、第1〜4モデル121〜124の推定結果を利用して、NSR触媒70の浄化性能として、1時刻後(時刻t=(k+1)Δt)において、NSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量を推定した。しかし、第2実施形態の推定部110aは、第1モデル121を利用して、NSR触媒70の浄化性能として、現在(時刻t=kΔt)のNSR触媒70のNOx浄化率NOxConv[k]を推定する。
図7は、第3実施形態における排気浄化システム1bのブロック図である。図1に示す第1実施形態では、単一の第1〜3モデル121〜123を使用してNSR触媒70の浄化性能を推定していた。しかし、第3実施形態の排気浄化システム1bでは、複数の第1〜3モデル121b,122b,123bを使い分けて、NSR触媒70の浄化性能を推定する。
図8は、第4実施形態における排気浄化システム1cのブロック図である。第4実施形態の排気浄化システム1cでは、リッチスパイク制御時にNSR触媒70から流出する添加剤の量(より具体的には還元剤の量、以降、単に「流出添加剤量」とも呼ぶ)を推定できる。推定された流出添加剤量は、リッチスパイク制御において消費されなかった添加剤の量(換言すれば、余分であった添加剤の量)と捉えることができる。このため、本実施形態の排気浄化システム1cでは、流出添加剤量を少なくするようにリッチスパイク制御を実施することにより、燃料消費量を低減できる。
(e1)触媒の情報:NSR触媒70の前端の温度と、NSR触媒70の温度と、1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量(実吸蔵量)と、のうちの少なくとも1つ
(e2)排気の情報:内燃機関92からの排気の温度と、排気の流量と、のうちの少なくとも1つ
(e3)添加剤の情報:NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量と、リッチスパイク制御において還元反応に寄与しない添加剤(CO,H2,未燃ガス)の量と、のうちの少なくとも1つ
(e1)触媒の情報:
・NSR触媒70の温度(床温)T[k](ステップS16)
・1時刻前においてNSR触媒70に吸蔵されているNOxの吸蔵量(実吸蔵量)NOxSt[k](前回の推定処理の結果)
(e2)排気の情報:
・内燃機関92からの排気の温度T_NSRin[k](ステップS20)
・排気の流量Q[k](ステップS12)
(e3)添加剤の情報:
・NSR触媒70に流入する添加剤の量RDCT_NSRin[k](ステップS18)
・ステップS28において求めた、リッチスパイク制御において還元反応に寄与しない添加剤の量Ad_thrmlytc[k]
図10は、第5実施形態における排気浄化システム1dのブロック図である。第5実施形態の排気浄化システム1dは、複数のNSR触媒が搭載された排気浄化装置20dに用いられ、複数のNSR触媒全体としての浄化性能を推定することができる。排気浄化システム1dは、図1で説明した第1実施形態の構成において、触媒状態推定装置10に代えて触媒状態推定装置10dを備え、排気浄化装置20に代えて排気浄化装置20dを備える。
(a11)触媒の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70の前端の温度と、第1及び第2NSR触媒70,71の各温度と、1時刻前において複数の触媒70,71に吸蔵されているNOxの実吸蔵量の合計値と、複数の触媒70,71におけるNOxの飽和吸蔵量の合計値に対する実吸蔵量の合計値の比と、のうちの少なくとも1つ
(a12)排気の情報:内燃機関92から最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する排気の温度と、当該排気の流量と、当該排気に含まれるNOxの量と、のうちの少なくとも1つ
(b11)触媒の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70の前端の温度と、第1及び第2NSR触媒70,71の各温度と、1時刻前において複数の触媒70,71に吸蔵されているNOxの実吸蔵量の合計値と、のうちの少なくとも1つ
(b12)排気の情報:内燃機関92から最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する排気の温度と、当該排気の流量と、のうちの少なくとも1つ
(b13)添加剤の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量と、複数の触媒70,71それぞれに対するリッチスパイク制御において還元反応に寄与しない添加剤の量の合計値と、のうちの少なくとも1つ
(c11)触媒の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70の前端の温度と、第1及び第2NSR触媒70,71の各温度と、のうちの少なくとも1つ
(c12)排気の情報:内燃機関92から最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する排気の温度と、当該排気の流量と、当該排気に含まれるNOxの量と、のうちの少なくとも1つ
(d11)触媒の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70の前端の温度と、第1及び第2NSR触媒70,71の各温度と、のうちの少なくとも1つ
(d12)排気の情報:内燃機関92から最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する排気の温度と、当該排気の空燃比と、のうちの少なくとも1つ
(d13)添加剤の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量
図12は、第6実施形態における排気浄化システム1eのブロック図である。図10で説明した第5実施形態では、排気浄化装置20dに設けられた各触媒の温度(床温)は、各触媒に対してそれぞれ設けられた第1及び第2温度取得部78,79によってそれぞれ取得した。しかし、第6実施形態の排気浄化システム1eでは、触媒状態推定装置10eは、第2温度取得部79に代えて、温度推定部159を備える。温度推定部159は、最上流に位置する第1NSR触媒70以外の、他の触媒(図12の例では、第2NSR触媒71)の温度を推定する。
図13は、第7実施形態の排気浄化システム1fのブロック図である。第7実施形態の排気浄化システム1fは、複数のNSR触媒が搭載された排気浄化装置20dに用いられ、リッチスパイク制御時に複数のNSR触媒から流出する添加剤の量(より具体的には還元剤の量、流出添加剤量)を推定できる。排気浄化システム1fは、第1実施形態で説明した触媒状態推定装置10に代えて触媒状態推定装置10fを備え、排気浄化装置20に代えて排気浄化装置20dを備える。
(e11)触媒の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70の前端の温度と、第1及び第2NSR触媒70,71の各温度と、1時刻前において複数の触媒70,71に吸蔵されているNOxの実吸蔵量の合計値と、のうちの少なくとも1つ
(e12)排気の情報:内燃機関92から最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する排気の温度と、当該排気の流量と、のうちの少なくとも1つ
(e13)添加剤の情報:最上流に位置する第1NSR触媒70に流入する添加剤(CO、H2、及びその他の未燃ガス)の量と、複数の触媒70,71それぞれに対するリッチスパイク制御において還元反応に寄与しない添加剤の量の合計値と、のうちの少なくとも1つ
・ステップS40f:推定部110fは、第5モデル125fを用いて、リッチスパイク制御において消費されずに、最下流に位置する触媒(第2NSR触媒71)から流出する添加剤の量(流出添加剤量)RDCT_NSRout[k]を推定する。
・ステップS42f:推定部110fは、第4実施形態(図9)で説明した数式6を用いて、複数の触媒(第1及び第2NSR触媒70,71)でのリッチスパイク制御により還元されるNOxの還元量の合計値NOx_rdct[k]を求める。
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、排気浄化システムの構成の一例を示した。しかし、排気浄化システムの構成は種々の変形が可能である。例えば、排気浄化システムは、内燃機関の排気を浄化する以外の用途に用いられてもよい。例えば、排気浄化システムは、工業施設、商業施設、家庭等からの排気を浄化するために用いられてもよい。
上記実施形態では、推定部における推定処理の一例を示した(図4,図9,図11)。しかし、推定処理の内容は種々の変形が可能である。例えば、図4,図9,図11に示す推定処理において、ステップS12〜S24の実行順序を変更してもよく、ステップS26〜S30,S40,S42の実行順序を変更してもよい。また、ステップS12〜S32,S40,S42のうち、少なくとも一部のステップは省略してもよく、説明しない他のステップを実行してもよい。
・ステップS100:リッチスパイク制御部は、リッチスパイク制御を行う時間を十分に長く設定して、NSR触媒に吸蔵されているNOxを十分に(飽和吸蔵量に対する実吸蔵量が0とみなせる程度まで)還元させる。この状態で、推定部は、1時刻後(時刻t=(k+1)Δt)において、NSR触媒に吸蔵されているNOxの吸蔵量の推定値NOxSt[k+1]を0にリセットする。
・ステップS102:リッチスパイク制御部は、リッチスパイク制御を停止させた状態で、NSR触媒にNOxを十分に(飽和吸蔵量に対する実吸蔵量の割合が100%となみせる程度まで)吸蔵させる。この状態で、推定部は、1時刻後(時刻t=(k+1)Δt)において、NSR触媒に吸蔵されているNOxの吸蔵量の推定値NOxSt[k+1]を飽和吸蔵量にリセットする。
このようなステップS100,S102によれば、図4,図9,図11に示した推定処理を繰り返すことによって誤差が蓄積され、推定値が実際の値と乖離した場合に、これをリセットすることができる。
第1〜第7実施形態の排気浄化システム及び触媒状態推定装置の構成、及び上記変形例1,2の排気浄化システム及び触媒状態推定装置の構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第4,第5,第6,第7の各実施形態で説明した触媒状態推定装置において、第2実施形態で説明した一部のモデルを有する触媒状態推定モデルを用いてもよく、第3実施形態で説明した複数の第1モデル、複数の第2モデル、複数の第3モデル、複数の第4モデル、及び複数の第5モデルのいずれか1つ以上を含む触媒状態推定モデルを用いてもよい。
10,10a〜10f…触媒状態推定装置
11…CPU
12…記憶部
20…排気浄化装置
30…排気管
52…流量取得部
53…排気温度取得部
54…NOx濃度取得部
70…NSR触媒
76…前端温度取得部
78…温度取得部
91…燃焼状態制御部
92…内燃機関
93…リッチスパイク制御部
110,110a〜110f…推定部
120,120a〜110d,110f…触媒状態推定モデル
121,121b,121d,121f…第1モデル
122,122b,122d,122f…第2モデル
123,123b,123d,123f…第3モデル
124,124b,124d,124f…第4モデル
125,125f…第5モデル
159…温度推定部
Claims (20)
- 触媒状態推定装置であって、
排気が流通する主流路に設けられた触媒であって、前記排気中の有害物質を吸蔵することにより浄化する触媒の情報を取得する第1取得部と、
触媒状態推定モデルを予め記憶する記憶部と、
前記第1取得部により取得された前記触媒の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定する推定部と、
を備え、
前記触媒状態推定モデルは、
前記触媒における前記有害物質の浄化率を推定する第1モデルと、
前記触媒に吸蔵されている前記有害物質を還元する還元制御における、前記有害物質の還元量を推定する第2モデルと、
前記触媒の気相反応で浄化される前記有害物質の浄化量を推定する第3モデルと、
前記還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量を推定する第4モデルと、
のうちの少なくとも一つ以上の数理モデルを含む、触媒状態推定装置。 - 請求項1に記載の触媒状態推定装置であって、さらに、
前記触媒へと流入する前記排気の情報を取得する第2取得部を備え、
前記推定部は、前記触媒の情報に加えてさらに、前記第2取得部により取得された前記排気の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1または請求項2に記載の触媒状態推定装置であって、さらに、
前記触媒へと供給される前記添加剤の情報を取得する第3取得部を備え、
前記推定部は、前記触媒の情報に加えてさらに、前記第3取得部により取得された前記添加剤の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第1モデルは、
機械学習モデルにより構成され、
前記触媒の情報として、前記主流路における前記触媒の前端の温度と、前記触媒の温度と、1時刻前において前記触媒に吸蔵されている前記有害物質としての窒素酸化物の吸蔵量と、前記触媒における前記窒素酸化物の飽和吸蔵量に対する前記吸蔵量の比と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記触媒における前記窒素酸化物の浄化率を出力とし、
前記推定部は、前記第1モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての前記窒素酸化物の浄化率を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第2モデルは、
機械学習モデルにより構成され、
前記触媒の情報として、前記主流路における前記触媒の前端の温度と、前記触媒の温度と、1時刻前において前記触媒に吸蔵されている前記有害物質としての窒素酸化物の吸蔵量と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記触媒に吸蔵されている前記窒素酸化物の還元量を出力とし、
前記推定部は、前記第2モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての前記窒素酸化物の還元量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第3モデルは、
機械学習モデルにより構成され、
前記触媒の情報として、前記主流路における前記触媒の前端の温度と、前記触媒の温度と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記触媒の気相反応で浄化される前記有害物質としての窒素酸化物の浄化量を出力とし、
前記推定部は、前記第3モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての前記窒素酸化物の浄化量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第4モデルは、
物理モデルにより構成され、
前記触媒の情報として、前記主流路における前記触媒の前端の温度と、前記触媒の温度と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記還元制御において前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量を出力とし、
前記推定部は、前記第4モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記触媒状態推定モデルは、
前記第1モデルによって推定される現在の前記有害物質の浄化率と、
前記第2モデルによって推定される現在の前記有害物質の還元量と、
前記第3モデルによって推定される現在の前記有害物質の浄化量と、
前記第4モデルによって推定される現在の前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量と、を入力とし、
次の時刻における前記触媒の前記有害物質の吸蔵量を、物理則を用いて求めるモデルであり、
前記推定部は、前記触媒状態推定モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての次の時刻における前記有害物質の吸蔵量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第1モデルと前記第3モデルとの少なくとも一方は、さらに、
前記排気の情報として、前記排気の温度と、前記排気の流量と、前記排気に含まれる前記有害物質の量と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記第2モデルは、さらに、
前記排気の情報として、前記排気の温度と、前記排気の流量と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記添加剤の情報として、前記触媒に流入する前記添加剤の流入量と、前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記第4モデルは、さらに、
前記排気の情報として、前記排気の温度と、前記排気の空燃比と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記添加剤の情報として、前記触媒に流入する前記添加剤の流入量を入力とする、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第1モデル、前記第2モデル、及び前記第3モデルのうちの少なくとも一部は、劣化度の異なる複数の前記触媒から取得された教師データを用いて作成されている、触媒状態推定装置。 - 触媒の状態を推定する方法であって、
触媒状態推定モデルであって、排気中の有害物質を吸蔵することにより浄化する触媒における前記有害物質の浄化率を推定する第1モデルと、前記触媒に吸蔵されている前記有害物質を還元する還元制御における、前記有害物質の還元量を推定する第2モデルと、前記触媒の気相反応で浄化される前記有害物質の浄化量を推定する第3モデルと、前記還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量を推定する第4モデルと、のうちの少なくとも一つ以上の数理モデルを含む触媒状態推定モデルを予め記憶する記憶部を備える情報処理装置が、
前記触媒の情報を取得する工程と、
取得された前記触媒の情報を、前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定する工程と、
を備える、方法。 - コンピュータプログラムであって、
触媒状態推定モデルであって、排気中の有害物質を吸蔵することにより浄化する触媒における前記有害物質の浄化率を推定する第1モデルと、前記触媒に吸蔵されている前記有害物質を還元する還元制御における、前記有害物質の還元量を推定する第2モデルと、前記触媒の気相反応で浄化される前記有害物質の浄化量を推定する第3モデルと、前記還元制御において還元反応に寄与しない添加剤の量を推定する第4モデルと、のうちの少なくとも一つ以上の数理モデルを含む触媒状態推定モデルを予め記憶する記憶部を備える情報処理装置に、
前記触媒の情報を取得する機能と、
取得された前記触媒の情報を、前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定する機能と、
を実行させる、コンピュータプログラム。 - 請求項1に記載の触媒状態推定装置であって、
前記触媒状態推定モデルは、
前記第2モデルに代えて、前記還元制御において消費されずに前記触媒から流出する前記添加剤の量である流出添加剤量を推定する第5モデルを含む、触媒状態推定装置。 - 請求項13に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第5モデルは、
機械学習モデルにより構成され、
前記触媒の情報として、前記主流路における前記触媒の前端の温度と、前記触媒の温度と、1時刻前において前記触媒に吸蔵されている前記有害物質としての窒素酸化物の吸蔵量と、のうちの少なくとも一つを入力とし、
前記流出添加剤量を出力とし、
前記推定部は、前記第5モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての前記流出添加剤量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項14に記載の触媒状態推定装置であって、さらに、
前記触媒へと流入する前記排気の情報を取得する第2取得部を備え、
前記推定部は、前記触媒の情報に加えてさらに、前記第2取得部により取得された前記排気の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定し、
前記第5モデルは、さらに、前記排気の情報として、前記排気の温度と、前記排気の流量と、のうちの少なくとも一つを入力とする、触媒状態推定装置。 - 請求項14または請求項15に記載の触媒状態推定装置であって、さらに、
前記触媒へと供給される前記添加剤の情報を取得する第3取得部を備え、
前記推定部は、前記触媒の情報に加えてさらに、前記第3取得部により取得された前記添加剤の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記触媒の浄化性能を推定し、
前記第5モデルは、さらに、前記添加剤の情報として、前記触媒に流入する前記添加剤の流入量と、前記第4モデルによって推定される前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量と、のうちの少なくとも一つを入力とする、触媒状態推定装置。 - 請求項13から請求項16のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記触媒状態推定モデルは、
前記第1モデルによって推定される現在の前記有害物質の浄化率と、
前記第5モデルによって推定される現在の前記流出添加剤量から求めた、前記還元制御における前記有害物質の還元量と、
前記第3モデルによって推定される現在の前記有害物質の浄化量と、
前記第4モデルによって推定される現在の前記還元反応に寄与しない前記添加剤の量と、を入力とし、
次の時刻における前記触媒の前記有害物質の吸蔵量を、物理則を用いて求めるモデルであり、
前記推定部は、前記触媒状態推定モデルを用いて、前記触媒の浄化性能としての次の時刻における前記有害物質の吸蔵量を推定する、触媒状態推定装置。 - 請求項13から請求項17のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記第5モデルは、劣化度の異なる複数の前記触媒から取得された教師データを用いて作成されている、触媒状態推定装置。 - 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記主流路に同種の複数の前記触媒が設けられている場合に、
前記第1取得部は、前記主流路において最上流に位置する前記触媒の情報を少なくとも取得し、
前記推定部は、前記第1取得部により取得された前記触媒の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記複数の触媒全体としての浄化性能を推定し、
前記触媒状態推定モデルのうち、
前記第1モデルは、前記複数の触媒全体としての前記有害物質の浄化率を推定するモデルであり、
前記第2モデルは、前記複数の触媒それぞれに対する前記還元制御における、前記有害物質の還元量の合計値を推定するモデルであり、
前記第3モデルは、前記複数の触媒それぞれの気相反応における、前記有害物質の浄化量の合計値を推定するモデルであり、
前記第4モデルは、前記複数の触媒それぞれに対する前記還元制御において、還元反応に寄与しない添加剤の量の合計値を推定するモデルである、触媒状態推定装置。 - 請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の触媒状態推定装置であって、
前記主流路に同種の複数の前記触媒が設けられている場合に、
前記第1取得部は、前記主流路において最上流に位置する前記触媒の情報を少なくとも取得し、
前記推定部は、前記第1取得部により取得された前記触媒の情報を前記触媒状態推定モデルに適用することで、前記複数の触媒全体としての浄化性能を推定し、
前記触媒状態推定モデルのうち、
前記第1モデルは、前記複数の触媒全体としての前記有害物質の浄化率を推定するモデルであり、
前記第5モデルは、前記還元制御において消費されずに、最下流に位置する前記触媒から流出する前記添加剤の量である流出添加剤量を推定するモデルであり、
前記第3モデルは、前記複数の触媒それぞれの気相反応における、前記有害物質の浄化量の合計値を推定するモデルであり、
前記第4モデルは、前記複数の触媒それぞれに対する前記還元制御において、還元反応に寄与しない添加剤の量の合計値を推定するモデルである、触媒状態推定装置。
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