JP2021075701A - 光学フィルム及びフレキシブル表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】黄色度が低く、かつ耐折性に優れた光学フィルムを提供する。【解決手段】引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3.0未満である、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルム、及び該光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置に関する。
液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置は、携帯電話やスマートウォッチといった種々の用途に広く活用されている。このような表示装置の前面板としてガラスが用いられてきたが、ガラスは非常に剛直であり、割れやすいため、フレキシブル表示装置の前面板材料としての利用は難しい。そのため、ガラスに代わる材料の一つとして、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂等のポリマーを用いた光学フィルムが検討されている(特許文献1及び2)。
ポリイミド系樹脂を含む光学フィルムを例えばフレキシブル表示装置において使用する場合、当該光学フィルムには繰り返しの折り曲げによって、光学フィルムの光学特性や機械的強度等に変化が生じない、高い耐折性が要求される。従来種々のポリイミド系樹脂を含む光学フィルムが知られてはいるが、光学フィルムにおける耐折性のさらなる向上が要求されている。
また、フレキシブル表示装置において、中でも前面板として使用されるポリイミド系樹脂を含む光学フィルムには、高い耐折性を有するだけでなく、低い黄色度を有することも求められる。
したがって本発明は、黄色度が低く、かつ耐折性に優れた光学フィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、光学フィルムの耐力が所定の範囲内である場合、耐折性を向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
〔1〕引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3.0未満である、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルム。
〔2〕弾性率が4.8GPa以上である、前記〔1〕に記載の光学フィルム。
〔3〕全光線透過率が85%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルム。
〔4〕ポリイミド系樹脂の重量平均分子量は100,000以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔5〕ポリイミド系樹脂は、式(1):
[式(1)中、Yは4価の有機基を表し、
Xは2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含み、式(1)中のYとして、式(2):
[式(2)中、R1は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、
R2〜R5は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表し、
mは、互いに独立に0〜3の整数を表し、
nは1〜4の整数を表し、
*は結合手を表し、但し、R2〜R5を有する少なくとも1つのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基である]
で表される構造を含む、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔6〕ポリイミド系樹脂はポリアミドイミド樹脂である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔7〕ポリイミド系樹脂は、式(3):
[式(3)中、Z及びXは、互いに独立に、2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔8〕ポリイミド系樹脂は、式(3)中のZとして、式(4):
[式(4)中、Wは、互いに独立に、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RW1)−又は−Si(RW2)2−を表し、RW1及びRW2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R8は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、
pは、互いに独立に0〜4の整数を表し、
qは0〜4の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される構造を含む、前記〔7〕に記載の光学フィルム。
〔9〕フレキシブル表示装置の前面板用のフィルムである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置。
〔11〕タッチセンサをさらに備える、前記〔10〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔12〕偏光板をさらに備える、前記〔10〕又は前記〔11〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔1〕引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3.0未満である、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルム。
〔2〕弾性率が4.8GPa以上である、前記〔1〕に記載の光学フィルム。
〔3〕全光線透過率が85%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルム。
〔4〕ポリイミド系樹脂の重量平均分子量は100,000以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔5〕ポリイミド系樹脂は、式(1):
Xは2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含み、式(1)中のYとして、式(2):
R2〜R5は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表し、
mは、互いに独立に0〜3の整数を表し、
nは1〜4の整数を表し、
*は結合手を表し、但し、R2〜R5を有する少なくとも1つのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基である]
で表される構造を含む、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔6〕ポリイミド系樹脂はポリアミドイミド樹脂である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔7〕ポリイミド系樹脂は、式(3):
*は結合手を表す]
で表される構成単位を含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔8〕ポリイミド系樹脂は、式(3)中のZとして、式(4):
pは、互いに独立に0〜4の整数を表し、
qは0〜4の整数を表し、
*は結合手を表す]
で表される構造を含む、前記〔7〕に記載の光学フィルム。
〔9〕フレキシブル表示装置の前面板用のフィルムである、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の光学フィルム。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置。
〔11〕タッチセンサをさらに備える、前記〔10〕に記載のフレキシブル表示装置。
〔12〕偏光板をさらに備える、前記〔10〕又は前記〔11〕に記載のフレキシブル表示装置。
本発明によれば、黄色度が低く、かつ耐折性に優れた光学フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
〔光学フィルム〕
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルムであって、引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3未満である。
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルムであって、引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3未満である。
本発明の光学フィルムの引張試験における耐力は、81MPa以上である。耐力が81MPa未満である場合、光学フィルムの耐折性を十分に高めることができない。耐力は、好ましくは83MPa以上、より好ましくは85MPa以上、さらに好ましくは88MPa以上、さらにより好ましくは90MPa以上、とりわけ好ましくは93MPa以上、とりわけより好ましくは95MPa以上であり、折り曲げに必要となる応力の観点からは、好ましくは300MPa以下、より好ましくは250MPa以下、さらに好ましくは200MPa以下である。
本明細書において、引張試験における耐力とは、ASTM D638−14により測定されるオフセット法による耐力(yield strength by offset method)を表し、具体的には、応力−ひずみ曲線において、0.2%の永久ひずみに相当するひずみ軸上の点から、試験初期の直線部分に平行線を引き、これが上記曲線と交わる点の示す応力から求めることができる。耐力は、例えば引張試験機を用い、ASTM D638−14セクションA2.6に従い測定することができる。測定方法として、例えば実施例に記載の方法を用いてよい。
光学フィルムの屈曲に対する耐性に影響し得る物性値として、弾性率等の種々の物性値が検討されてはいるが、単に弾性率を向上させるのみでは十分な耐折性が達成されない場合があることがわかった。そこで、耐折性のさらなる向上を目指し、本発明者が種々の物性値について検討した結果、引張試験における耐力が81MPa以上である場合に、耐折性を十分に高めることができることがわかった。耐力を上記の範囲に調整する方法としては、特に限定されないが、後述するようなポリイミド系樹脂を使用する方法が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムの黄色度(以下、YI値と記載することがある)は3.0未満である。YI値が3.0以上である場合、光学フィルムのYI値が高すぎるために、光学フィルムを介して例えば画像等を視認する際の視認性が低下する。本発明の光学フィルムのYI値は、光学フィルムを介した画像等の視認性を向上させやすい観点から、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.6以下、さらに好ましくは2.5以下であり、好ましくは−5以上、より好ましくは−2以上である。光学フィルムのYI値が上記の上限以下であると、透明性が良好となり、表示装置の前面板に使用した場合に、高い視認性に寄与することができる。なお、YI値は紫外可視近赤外分光光度計を用いて300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求め、YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Yの式に基づいて算出できる。光学フィルムのYI値を上記の範囲に調整する方法としては、特に限定されないが、後述するようなポリイミド系樹脂を使用する方法、青色色素を添加する方法、薄膜化する、モノマー主鎖の芳香族環に側鎖を導入する方法等が挙げられる。
本発明の光学フィルムの弾性率は、光学フィルムの耐折性を向上させやすい観点、及び、シワや傷付き等を防止しやすい観点から、好ましくは4.8GPa以上、より好ましくは5.2GPa以上、さらに好ましくは6.0GPa以上であり、通常100GPa以下である。なお、弾性率は、引張試験機(チャック間距離50mm、引張速度10mm/分)を用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。なお、弾性率を高める方法として、剛直な無機フィラーを添加する方法や架橋構造を導入する手法が知られている。しかし、このような手法を用いる場合、弾性率が向上する一方、耐力の向上が見られない場合が多い。しかし、本発明の光学フィルムにおいては、これらを共に高めることが可能であり、耐折性のさらなる向上が達成される。
本発明の光学フィルムは、優れた耐折性を有する。本発明の光学フィルムのASTM規格D2176−16に準拠したMIT耐折疲労試験における耐折回数は、好ましくは80,000回以上、より好ましくは100,000回以上、さらに好ましくは250,000回以上である。耐折回数が上記の下限以上であると、繰り返し折り曲げてもクラック、割れ、折り皺等の発生を有効に抑制できる。なお、MIT耐折疲労試験は、MIT耐折疲労試験機を用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる
本発明の光学フィルムの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは89%以上、とりわけ好ましくは90%以上である。全光線透過率が上記の下限以上であると、光学フィルムを、前面板として、表示装置に組み込んだ際に視認性を高めやすい。本発明の光学フィルムは通常、高い全光線透過率を示すので、例えば、透過率の低いフィルムを用いた場合と比べて、一定の明るさを得るために必要な表示素子等の発光強度を抑えることが可能となる。このため、消費電力を削減することができる。例えば、本発明の光学フィルムを表示装置に組みこむ場合、バックライトの光量を減らしても明るい表示を得られる傾向があり、エネルギーの節約に貢献できる。全光線透過率の上限は、通常100%以下である。なお、全光線透過率は、例えばJIS K 7361−1:1997に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定できる。全光線透過率は、後述する光学フィルムの厚さの範囲における全光線透過率であってよい。なお、本明細書において、光学フィルムが光学特性に優れるとは、全光線透過率が高いこと、及び/又は、へーズが低いこと、及び/又は、YI値が低いことを意味し、透明性が高まる又は向上すると同じ意味で使用することがある。
本発明の光学フィルムのヘーズは、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下、さらにより好ましくは2%以下、とりわけ好ましくは1%以下、とりわけより好ましくは0.8%以下、とりわけさらに好ましくは0.5%以下であり、通常0.01%以上である。光学フィルムのヘーズが上記の範囲にあると、光学フィルムを、特に前面板として、表示装置に組み込んだ際に、視認性を高めやすい。なお、ヘーズは、JIS K 7136:2000に準拠してヘーズコンピュータを用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
本発明の光学フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは25μm以上、とりわけ好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらにより好ましくは80μm以下、とりわけ好ましくは60μm以下であり、これらの上限と下限の組合せであってよい。光学フィルムの厚さが上記の範囲内であると、光学フィルムの耐力及び弾性率をより高めやすい。なお、光学フィルムの厚さは、マイクロメーターを用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
全光線透過率及びヘーズは、光学フィルムの厚さに応じて変化し、厚さが大きくなるほど、全光線透過率は低下し、ヘーズは高くなる。すなわち、厚さが大きいフィルムにおいて、全光線透過率が高く、かつヘーズが低い光学フィルムを作製することは困難である。本発明の好適な実施形態において、本発明の光学フィルムは、高水準の透明性を有するため、厚さが比較的大きくても、高い全光線透過率及び低いヘーズを示すことができる。そのため、本発明の光学フィルムの厚さは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上、さらにより好ましくは25μm以上、とりわけ好ましくは30μm以上、とりわけより好ましくは35μm以上、とりわけさらに好ましくは40μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。光学フィルムの厚さは、膜厚計などで測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
〔ポリイミド系樹脂〕
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂を含む。本発明の光学フィルムは、1種類のポリイミド系樹脂を含んでいてもよいし、2種以上のポリイミド系樹脂を含んでいてもよい。本発明の光学フィルム中におけるポリイミド系樹脂の含有量は、光学フィルム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。ポリイミド系樹脂の含有量が上記範囲内であると、光学フィルムの耐力、光学特性、耐衝撃性及び弾性率を向上させやすい。
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂を含む。本発明の光学フィルムは、1種類のポリイミド系樹脂を含んでいてもよいし、2種以上のポリイミド系樹脂を含んでいてもよい。本発明の光学フィルム中におけるポリイミド系樹脂の含有量は、光学フィルム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、好ましくは99.5質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。ポリイミド系樹脂の含有量が上記範囲内であると、光学フィルムの耐力、光学特性、耐衝撃性及び弾性率を向上させやすい。
本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びポリアミック酸樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であってよい。ポリイミド系樹脂は、1種類のポリイミド系樹脂であってもよいし、2種以上のポリイミド系樹脂であってもよい。ポリイミド系樹脂は、製膜性の観点及び耐力を高めやすい観点から、好ましくはポリアミドイミド樹脂である。ポリイミド系樹脂は、芳香族系のポリイミド系樹脂であることが好ましい。ポリイミド系樹脂が芳香族系であるとは、ポリイミド系樹脂を構成する構成単位の好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは85モル%以上が、芳香族系の構造を含む構成単位であることを表す。
本発明の好ましい一実施形態において、ポリイミド系樹脂は、式(1):
[式(1)中、Yは4価の有機基を表し、Xは2価の有機基を表し、*は結合手を表す]
で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(3):
[式(3)中、Z及びXは、互いに独立に2価の有機基を表し、
*は結合手を表す]
で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。以下において式(1)及び式(3)について説明するが、式(1)についての説明は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の両方に関し、式(3)についての説明は、ポリアミドイミド樹脂に関する。
で表される構成単位を有するポリイミド樹脂であるか、又は、式(1)で表される構成単位及び式(3):
*は結合手を表す]
で表される構成単位を有するポリアミドイミド樹脂であることが好ましい。以下において式(1)及び式(3)について説明するが、式(1)についての説明は、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の両方に関し、式(3)についての説明は、ポリアミドイミド樹脂に関する。
式(1)で表される構成単位は、テトラカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位であり、式(3)で表される構成単位は、ジカルボン酸化合物とジアミン化合物とが反応して形成される構成単位である。ポリイミド系樹脂が、芳香族系のポリイミド系樹脂である本発明の好ましい一態様において、式(1)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位を構成する、テトラカルボン酸化合物、ジアミン化合物及びジカルボン酸化合物の少なくとも1つが、芳香族化合物(芳香族テトラカルボン酸化合物、芳香族ジアミン化合物及び/又は芳香族ジカルボン酸化合物)であることが好ましい。
式(1)中のYは、4価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜80の4価の有機基を表し、より好ましくは環状構造を有する炭素数4〜60の4価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。前記有機基は、有機基中の水素原子が置換基で置換されていてもよい有機基であり、該置換基としては、好ましくはハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、1価の炭化水素基(例えばアルキル基、アリール基等)、アルコキシ基又はアリールオキシ基が挙げられる。該置換基としての、ハロゲン原子を有してもよい、1価の炭化水素基、アルコキシ基又はアリールオキシ基の炭素数は、好ましくは1〜8である。式(1)で表される構成単位は繰り返し単位であり、本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位を複数有する。複数の式(1)で表される構成単位において、Yは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。言い換えると、本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、式(1)中のYとして、1種類の構造を有していてもよいし、2種以上の構造を有していてもよい。
本発明の好ましい一態様において、得られる光学フィルムの耐力を高めやすい観点からは、ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位を有し、ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして、式(2):
[式(2)中、R1は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、R2〜R5は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表し、mは、互いに独立に、0〜3の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、*は結合手を表し、ただし、R2〜R5を有する少なくとも1つのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表す]
で表される構造(4価の有機基)を少なくとも含むか、又は、ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位と、式(3)で表される構成単位とを有し、ポリイミド系樹脂が式(3)中のZとして、式(4”):
[式(4”)中、Wは、互いに独立に、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RC1)−又は−Si(RC2)2−を表し、RC1及びRC2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R8’は、互いに独立に、ハロゲン原子を有してもよいアルキル基、アルコキシ基を表し、p’は、互いに独立に、1〜4の整数を表し、qは0〜4の整数を表し、*は結合手を表す]
で表される構造(2価の有機基)を少なくとも含む。
で表される構造(4価の有機基)を少なくとも含むか、又は、ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位と、式(3)で表される構成単位とを有し、ポリイミド系樹脂が式(3)中のZとして、式(4”):
で表される構造(2価の有機基)を少なくとも含む。
本発明者らは、ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして、式(2)で表される構造を含む場合、及び、ポリイミド系樹脂が式(1)で表される構成単位と、式(3)で表される構成単位とを有し、式(3)中のZとして、式(4”)で表される構造を含む場合、該ポリイミド系樹脂を用いて得られる光学フィルムのYIを低下させやすく、かつ、耐力を高めやすいことを見出した。上記の場合、ポリイミド系樹脂には、式(2)で表される構造、及び/又は、式(4”)で表される構造が含まれることとなる。これらの構造を含む場合に耐力を高めやすい理由は明らかではないが、式(2)で表される構造及び式(4”)で表される構造は、いずれも、芳香族系の主鎖を有すると共に、置換基を有している。このような構造は、ポリイミド系樹脂骨格において剛直でありながら、側鎖に置換基を有するために分子間パッキンを阻害する構造である。ポリイミド系樹脂がこのような構造を含むことにより、ポリアミド系樹脂が高弾性率となりながら高靭性となり、降伏に至るまでの応力がより高くなると考えられる。また、このような構造を含むことにより高耐力を有するポリイミド系樹脂は、得られる光学フィルムの透明性を高めやすいとともに、YI値を低減させやすい。その結果、高耐力と優れた光学特性とを両立することができる。
式(2)中のR1は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。なお、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基は、ハロゲン原子を有してもよいアルキル基、ハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基、ハロゲン原子を有してもよいアリール基、又はハロゲン原子を有してもよいアリールオキシ基を表す。これは、同様の他の記載にも当てはまる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。アリールオキシ基としては、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げられる。R1は、互いに独立に、好ましくはハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数6〜12のアリールオキシ基を表す。
式(2)中のmは、互いに独立に、0〜3の整数を表し、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を高めやすい観点からは、mは、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0を表す。
式(2)中、R2、R3、R4及びR5は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基としては、芳香族炭化水素基、脂環族炭化水素基、脂肪族炭化水素基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などのアリール基などが挙げられる。脂環族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチル−ブチル基、3−メチルブチル基、2−エチル−プロピル基、n−ヘキシル、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等のアルキル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、上記に記載のものが挙げられる。R2〜R5は、互いに独立に、好ましくは水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい、炭素数6〜12のアリール基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R2〜R5は、樹脂の溶媒への溶解性を高めやすく、光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、互いに独立に、好ましくは水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、より好ましくは水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1〜6のアルキル基を表し、さらに好ましくは水素原子、又はハロゲン原子を有してもよい1〜3のアルキル基を表す。
式(2)中、R2〜R5を有する少なくとも1つのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表すことが、光学フィルムの耐力及び光学特性を共に向上させやすい観点で好ましい。式(2)中、光学フィルムの耐力及び光学特性を共により向上させやすい観点からは、R2〜R5を有する少なくとも1つのベンゼン環において、R2〜R5の好ましくは2〜4つ、より好ましくは3又は4つ、さらに好ましくは3つが、ハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基である。
樹脂の溶媒への溶解性を高めやすく、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性をより向上させやすい観点から、nが2以上の場合、R2〜R5を有する少なくとも2つのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表すことがより好ましく、R2〜R5を有する全てのベンゼン環において、R2〜R5の少なくとも1つがハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基を表すことがさらに好ましい。
式(2)中のnは1〜4の整数を表し、光学フィルムの弾性率及び透明性を向上しやすく、かつ、光学フィルムの耐力を向上しやすい観点から、nは、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは2である。なお、式(1)で表される構成単位は、Yとして、式(2)で表される構造を1種又は複数種含んでいてよい。
本発明の好適な実施形態においては、式(2)は、式(2’):
[式(2’)中、*は結合手を表す]
で表される。すなわち、ポリイミド系樹脂は、式(1)中のYとして、式(2’)で表される構造を含む。ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして、式(2’)で表される構造を含む場合、光学フィルムの耐力、弾性率、及び透明性を向上させやすい。
で表される。すなわち、ポリイミド系樹脂は、式(1)中のYとして、式(2’)で表される構造を含む。ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして、式(2’)で表される構造を含む場合、光学フィルムの耐力、弾性率、及び透明性を向上させやすい。
ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして式(2)で表される構造を含む、本発明の好ましい一実施形態において、式(1)で表される構成単位のうち、式(1)中のYが式(2)(好ましくは式(2’))で表される構造である構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量(100モル%)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上であり、通常100モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。Yが式(2)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐力及び弾性率を高めやすい。また、上記の上限以下であると、光学フィルムの破断歪及び透明性を高めやすい。Yが式(2)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明のポリイミド系樹脂は、上記の式(1)中のYが式(2)で表される構成単位に加えて、又は、かかる構成単位に代えて、式(1)中のYが他の4価の有機基を表す構成単位を有していてよい。例えば、上記の式(1)中のYにおける4価の有機基としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29):
で表される構造が挙げられる。
式(20)〜式(29)中、*は結合手を表し、W1は、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基(例えば−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−)、−Ar−、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RW1)−又は−Si(RW2)2−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arは、フッ素原子を有してもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。RW1及びRW2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表す。なお、式(20)〜式(29)における環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
式(20)〜式(29)で表される基の中でも、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、式(26)、式(28)又は式(29)で表される基が好ましく、式(26)で表される基がより好ましい。また、W1は、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、より好ましくは単結合、−O−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、さらに好ましくは単結合、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、さらにより好ましくは単結合又は−C(CF3)2−、とりわけ好ましくは−C(CF3)2−を表す。ポリイミド系樹脂が式(1)中のYとして式(2)で表される構造を含む上記の好ましい一実施形態においては、ポリイミド系樹脂は、式(1)中のYが式(2)で表される構成単位に加えて、式(1)中のYが式(26)で表される構成単位をさらに有することが、光学フィルムの耐力をより向上させやすい観点から好ましい。
本発明の好適な実施形態において、式(26)は、好ましくは式(5):
[式(5)中、Bは、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−COO−,−PO−、−PO2−、−N(RB1)−又は−Si(RB2)2−を表し、RB1及びRB2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R7は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、tは、互いに独立に、0〜3の整数を表し、*は結合手を表す]
で表される。ポリイミド系樹脂が、式(1)中のYが式(2)で表される構成単位に加えて、式(1)中のYが式(5)で表される構成単位をさらに有する場合、樹脂の溶媒への溶解性ならびに光学フィルムの耐力及び透明性を向上させやすい。
で表される。ポリイミド系樹脂が、式(1)中のYが式(2)で表される構成単位に加えて、式(1)中のYが式(5)で表される構成単位をさらに有する場合、樹脂の溶媒への溶解性ならびに光学フィルムの耐力及び透明性を向上させやすい。
式(5)中のR7は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基としては、それぞれ式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性の向上の観点から、R7は、互いに独立に、好ましくはハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、より好ましくはハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜3のアルキル基を表す。
式(5)中のtは、互いに独立に、0〜3の整数を表し、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは0である。
式(5)中のBは、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−COO−、−PO−、−PO2−、−N(RB1)−又は−Si(RB2)2−を表し、RB1及びRB2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表す。
ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基としては、式(3)中のR2〜R5におけるハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基のうち、水素原子をさらに1つ除いた2価の基が挙げられる。ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基は、その基に含まれる水素原子のうち、2つの水素原子に代わって環を形成、すなわち、該2つの水素原子を結合手に代え、その2つの結合手を連結させて環を形成してもよく、該環としては、例えば炭素数3〜12のシクロアルカン環等が挙げられる。また、式(5)中のBに含まれる−N(RB1)−及び−Si(RB2)2−中のRB1及びRB2におけるハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基としては、式(3)中のR1におけるハロゲン原子を有してもよいアルキル基として上記に例示のものが挙げられる。
式(5)中のBは、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは単結合、又は、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、より好ましくは単結合、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、さらに好ましくは単結合、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、さらにより好ましくは単結合又は−C(CF3)2−、とりわけ好ましくは−C(CF3)2−を表す。
本発明の好適な実施形態においては、式(5)は、式(5’):
[式(5’)中、*は結合手を表す]
で表される。すなわち、ポリイミド系樹脂は、少なくとも一部の式(1)で表される構成単位として、Yが式(5’)で表される構成単位を有することが好ましい。この場合、光学フィルムの耐力、透明性、弾性率及び耐屈曲性を向上させやすい。
で表される。すなわち、ポリイミド系樹脂は、少なくとも一部の式(1)で表される構成単位として、Yが式(5’)で表される構成単位を有することが好ましい。この場合、光学フィルムの耐力、透明性、弾性率及び耐屈曲性を向上させやすい。
ポリイミド系樹脂が、式(1)中のYが式(5)で表される構成単位を含む場合、式(1)で表される構成単位のうち、式(1)中のYが式(5)、好ましくは式(5’)で表される構造である構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量(100モル%)に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。Yが式(5)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、樹脂の溶媒への溶解性、及び光学フィルムの透明性を向上しやすい。また、上記の上限以下であると、光学フィルムの耐力及び弾性率を高めやすい。なお、式(1)中のYが式(5)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂が式(1)中のYが式(2)で表される構成単位及び式(1)中のYが式(5)で表される構成単位を含む場合、Yが式(2)で表される構成単位及びYが式(5)で表される構成単位との合計割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であり、通常100モル%以下である。該合計割合が上記範囲であると、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。なお、該合計割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
式(1)中のXは、2価の有機基を表し、好ましくは炭素数4〜40の2価の有機基を表す。本発明のポリイミド系樹脂は、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、式(1)中のXとして、2価の芳香族基、2価の脂環族基、及び2価の脂肪族基の少なくとも1種を含むことが好ましく、2価の芳香族基を含むことがより好ましい。2価の芳香族基としては、例えば式(2)中のR2〜R5として上記に例示の1価の芳香族炭化水素基中の水素原子のうち、1つの水素原子が結合手に置き換わった2価の芳香族炭化水素基;該2価の芳香族炭化水素基のうち、少なくとも1つ以上を連結基、例えば後述のV1などの連結基により結合させた基が挙げられる。2価の脂環族基としては、例えば式(2)中のR2〜R5として上記に例示の1価の脂環族炭化水素基中の水素原子のうち、1つの水素原子が結合手に置き換わった2価の脂環族炭化水素基;該2価の脂環族炭化水素基のうち、少なくとも1つ以上を連結基、例えば後述のV1等の連結基により結合させた基が挙げられる。2価の脂肪族基としては、例えば式(2)中のR2〜R5として上記に例示の1価の脂肪族炭化水素基中の水素原子のうち、1つの水素原子が結合手に置き換わった2価の脂肪族炭化水素基;該2価の脂肪族炭化水素基のうち、少なくとも1つ以上を連結基、例えば後述のV1等の連結基により結合させた基が挙げられる。
式(1)中のXは、好ましくは環状構造(脂環、芳香環、ヘテロ環構造など)を有する炭素数4〜40の2価の有機基、より好ましくは炭素数4〜40の2価の芳香族基及び炭素数4〜40の2価の脂環族基を表し、さらに好ましくは炭素数4〜40の2価の芳香族基を表す。該有機基は、有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよく、その場合、炭化水素基及びフッ素置換された炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜8である。本発明の一実施形態において、本発明のポリアミドイミド樹脂は、複数種のXを含み得、複数種のXは、互いに同一であっても、異なっていてもよい。Xとしては、式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;それらの式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基が挙げられる。なお、式(10)〜式(18)における環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
式(10)〜式(18)中、*は結合手を表し、V1、V2及びV3は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−、−CO−又は−N(Q)−を表す。ここで、Qはハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。
ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、式(2)のR2〜R5におけるハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基として上記に例示のものが挙げられる。
1つの例としては、V1及びV3が、単結合、−O−又は−S−であり、かつ、V2が−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−である。V1とV2との各環に対する結合位置、及び、V2とV3との各環に対する結合位置は、互いに独立に、各環に対して、好ましくはメタ位又はパラ位、より好ましくはパラ位である。
本発明の好適な実施形態において、本発明のポリイミド系樹脂は、式(1)中のXとして、式(6):
[式(6)中、Aは、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RA1)−又は−Si(RA2)2−を表し、RA1及びRA2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R6は互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、sは、互いに独立に、0〜4の整数を表し、*は結合手を表す]
で表される構造を含み得る。ポリイミド系樹脂が、式(1)中のXが式(6)で表される構成単位を有する場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。本発明において、ポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位中のXとして、式(6)で表される基を1種又は複数種含んでよい。
で表される構造を含み得る。ポリイミド系樹脂が、式(1)中のXが式(6)で表される構成単位を有する場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。本発明において、ポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位中のXとして、式(6)で表される基を1種又は複数種含んでよい。
式(6)中のR6は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、及びアリールオキシ基としては、それぞれ、式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
これらの中でも、R6は、互いに独立に、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のフルオロアルキル基(好ましくはパーフルオロアルキル基)を表す。好適な形態では、R6は、互いに独立に、メチル基、クロロ基又はトリフルオロメチル基を表す。sは、互いに独立に、0〜4の整数を表し、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、さらに好ましくは1である。本発明の好ましい実施形態では、各ベンゼン環において、sが1であり、−A−を基準とするオルト位にR6が置換し、かつR6がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基であることが好ましい。
式(6)において、結合手の位置は、互いに独立に、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、−A−を基準に、好ましくはメタ位又はパラ位、より好ましくはパラ位である。
式(6)中のAは、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RA1)−又は−Si(RA2)2−を表し、RA1及びRA2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表す。
ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基としては、式(3)のR2〜R5におけるハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基のうち、水素原子をさらに1つ除いた2価の基が挙げられる。ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基は、その基に含まれる水素原子のうち、2つの水素原子に代わって環を形成、すなわち、該2つの水素原子を結合手に代え、その2つの結合手を連結させて環を形成してもよく、該環としては、例えば炭素数3〜12のシクロアルカン環等が挙げられる。また、式(4)中のAに含まれる−N(RA1)−及び−Si(RA2)2−のRA1及びRA2におけるハロゲン原子を有してもよいアルキル基としては、式(3)中のR1におけるハロゲン原子を有してもよいアルキル基として上記に例示のものが挙げられる。
式(6)中のAは、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは単結合、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、より好ましくは単結合、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−、さらに好ましくは単結合又は−C(CF3)2−、とりわけ好ましくは単結合を表す。
本発明の好適な実施形態では、光学フィルムの破断歪、弾性率及び透明性を向上しやすく、かつ、光学フィルムの耐力を向上しやすい観点から、式(6)中、R6は、互いに独立に、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、sは1又は2、Aは単結合、−C(CH3)2−又は−C(CF3)2−を表す。
本発明の好適な形態においては、式(6)は、式(6’):
で表される。すなわち、式(1)中の複数のXの少なくとも一部は、式(6’)で表されることが好ましい。このような形態であると、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。
式(1)で表される構成単位のうち、式(1)中のXが式(6)で表される構造である構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位の総モル量(100モル%)に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であり、通常100モル%以下である。Xが式(4)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの透明性をより高めやすい。また、上記の上限以下であると、光学フィルムの耐力をより高めやすい。なお、式(1)中のXが式(6)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、上記の通り、式(1)で表される構成単位に加えて、式(3):
で表される構成単位を有していてもよい。ポリイミド系樹脂が式(3)で表される構成単位を有する場合、該樹脂をポリアミドイミド系樹脂とも称する。
で表される構成単位を有していてもよい。ポリイミド系樹脂が式(3)で表される構成単位を有する場合、該樹脂をポリアミドイミド系樹脂とも称する。
式(3)中のZは、2価の有機基を表し、好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基又はフッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基を有してもよい、炭素数4〜40の2価の有機基、より好ましくは炭素数1〜8の炭化水素基又はフッ素置換された炭素数1〜8の炭化水素基を有してもよい、環状構造を有する炭素数4〜40の2価の有機基を表す。環状構造としては、脂環、芳香環、ヘテロ環構造が挙げられる。脂環及び芳香環を有する2価の有機基としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29):
[式(20)〜式(29)中、
W1は、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基(例えば−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−)、−Ar−、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RW1)−又は−Si(RW2)2−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表し、ここで、Arは、互いに独立に、フッ素原子を有してもよい炭素数6〜20のアリーレン基、例えばフェニレン基を表し、RW1及びRW2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基をし、*は結合手を表す]
で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が挙げられる。ヘテロ環構造を有する2価の有機基としてはチオフェン環骨格を有する基が挙げられる。光学フィルムのYI値を低減しやすい観点から、式(20)〜式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基、及び、チオフェン環骨格を有する基が好ましい。
W1は、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基(例えば−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−)、−Ar−、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RW1)−又は−Si(RW2)2−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表し、ここで、Arは、互いに独立に、フッ素原子を有してもよい炭素数6〜20のアリーレン基、例えばフェニレン基を表し、RW1及びRW2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基をし、*は結合手を表す]
で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基及び炭素数6以下の2価の鎖式炭化水素基が挙げられる。ヘテロ環構造を有する2価の有機基としてはチオフェン環骨格を有する基が挙げられる。光学フィルムのYI値を低減しやすい観点から、式(20)〜式(29)で表される基の結合手のうち、隣接しない2つが水素原子に置き換わった基、及び、チオフェン環骨格を有する基が好ましい。
式(3)中のZとしては、式(20’)、式(21’)、式(22’)、式(23’)、式(24’)、式(25’)、式(26’)、式(27’)、式(28’)及び式(29’):
[式(20’)〜式(29’)中、W1及び*は、式(20)〜式(29)において定義した通りである]
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(3)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
で表される2価の有機基がより好ましい。なお、式(20)〜式(29)及び式(20’)〜式(29’)における環上の水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい。炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(3)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
本発明の好適な実施形態において、本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、式(3)中のZとして、式(4):
[式(4)中、Wは、互いに独立に、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RC1)−又は−Si(RC2)2−を表し、RC1及びRC2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R8は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表し、pは、互いに独立に、0〜4の整数を表し、qは0〜4の整数を表し、*は結合手を表す]
で表される構造を含み得る。ポリイミド系樹脂が、Zが式(4)で表される式(3)で表される構成単位を有する場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。なお、式(3)で表される構成単位は、Zとして式(4)で表される基を1種又は複数種含んでいてもよい。
で表される構造を含み得る。ポリイミド系樹脂が、Zが式(4)で表される式(3)で表される構成単位を有する場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。なお、式(3)で表される構成単位は、Zとして式(4)で表される基を1種又は複数種含んでいてもよい。
式(3)において、Wの結合位置は、互いに独立に、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、結合手を基準に、好ましくはメタ位又はパラ位、より好ましくはパラ位である。
本発明の好適な形態においては、式(4)は、式(4’):
[式(4’)中、W、R8、p及びqは式(4)において定義した通りである]
で表される。言い換えると、ポリイミド系樹脂に場合により含まれる式(3)で表される構成単位の少なくとも一部において、式(3)中のZが式(4’)で表されることが好ましい。この場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。
で表される。言い換えると、ポリイミド系樹脂に場合により含まれる式(3)で表される構成単位の少なくとも一部において、式(3)中のZが式(4’)で表されることが好ましい。この場合、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。
式(4)及び式(4’)において、R8は、互いに独立に、ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアリールオキシ基を表す。ハロゲン原子、ハロゲン原子を有してもよい、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、及びアリールオキシ基としては、それぞれ、式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。
これらの中でも、R8は、互いに独立に、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくはハロゲン原子を有してもよい、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表す。pは、互いに独立に、0〜4の整数を表し、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは0〜2の整数である。
式(4)及び式(4’)中のWは、互いに独立に、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RC1)−又は−Si(RC2)2−を表し、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくは−O−又は−S−を表し、より好ましくは−O−を表す。RC1及びRC2は、互いに独立に、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、式(2)のR2〜R5におけるハロゲン原子を有してもよい1価の炭化水素基として上記に例示のものが挙げられる。
式(4)及び式(4’)中のqは、0〜4の範囲の整数であり、qがこの範囲内であると、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。式(4)及び式(4’)中のqは、好ましくは0〜3の範囲の整数、より好ましくは0〜2の範囲の整数である。
qが0である式(4)又は式(4’)で表される構成単位は、例えばテレフタル酸又はイソフタル酸に由来する構成単位であり、該構成単位は、式(4)又は式(4’)中のp及びqがそれぞれ0、又は、qが0及びpが1若しくは2(好ましくはR8が炭素数1〜3のアルキル基又はフッ素化アルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基)である構成単位であることが好ましい。光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、ポリアミドイミド樹脂はテレフタル酸に由来する構成単位を含むことが好ましい。ポリアミドイミド樹脂はZにおいて、式(4)又は式(4’)で表される構成単位を1種又は2種類以上含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において、式(3)中のZとして、式(4)で表される構造を含む場合、式(3)で表される構成単位のうち、Xが式(4)で表される構成単位の割合は、式(3)で表される構成単位の総モル量に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、通常100モル%以下である。式(3)中のZが式(4)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの破断歪、弾性率及び透明性を向上しやすく、かつ、光学フィルムの耐力を向上しやすい。該割合が上記の上限以下であると、式(4)由来のアミド結合間水素結合による樹脂ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上しやすい。なお、式(3)中のZが式(4)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。上記の好ましい割合に関する記載は、式(4’)で表される構造、及び、式(4”)で表される構造にも同様に当てはまる。
本発明の一実施形態において、ポリイミド系樹脂が、式(3)中のZとして式(4)で表される構造を含む場合、式(3)で表される構成単位のうち、Xが式(4)で表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位と式(3)で表される構成単位との総モル量に対して、好ましくは5モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上、とりわけ好ましくは50モル%以上であり、通常100モル%以下である。式(3)中のZが式(4)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。該割合が上記の上限以下であると、式(4)由来のアミド結合間水素結合による樹脂ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上させやすい。なお、式(3)中のZが式(4)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。上記の好ましい割合に関する記載は、式(4’)で表される構造、及び、式(4”)で表される構造にも同様に当てはまる。
ポリアミドイミド樹脂が、式(3)中のZが上記の式(20’)〜式(29’)のいずれかで表される構成単位を有する場合、及び、式(3)中のZが式(4’)で表される構成単位を有する場合、ポリアミドイミド樹脂は、式(1)及び式(3)で表される構成単位に加えて、次の式(d1):
[式(d1)中、R24は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、R25は、R24又は−C(=O)−*を表し、*は結合手を表す]
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、アミド結合間水素結合による樹脂ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルム加工性の観点から好ましい。
で表されるカルボン酸由来の構成単位をさらに有することが、アミド結合間水素結合による樹脂ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルム加工性の観点から好ましい。
R24において、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数6〜12のアリール基としては、それぞれ、式(2)のR1として上記に例示のものが挙げられる。構成単位(d1)としては、具体的には、R24及びR25がいずれも水素原子である構成単位(ジカルボン酸化合物に由来する構成単位)、R24がいずれも水素原子であり、R25が−C(=O)−*を表す構成単位(トリカルボン酸化合物に由来する構成単位)などが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂が、式(d1)で表される構成単位を含む場合、式(d1)で表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位と式(3)で表される構成単位との総モル量に対して、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、さらに好ましくは1モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。該割合が上記範囲内であると、アミド結合間水素結合による樹脂ワニスの粘度上昇を抑制し、フィルムの加工性を向上させやすい。なお、該割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂は、式(1)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位を有し、式(3)中のZとして、式(4”):
[式(4”)中、Wは、互いに独立に、単結合、−O−、ジフェニルメチレン基、ハロゲン原子を有してもよい2価の炭化水素基、−SO2−、−S−、−CO−、−PO−、−PO2−、−N(RC1)−又は−Si(RC2)2−を表し、RC1及びRC2は、互いに独立に、水素原子、又はハロゲン原子を有してもよいアルキル基を表し、R8’は、互いに独立に、ハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基を表し、p’は、互いに独立に、1〜4の整数を表し、qは0〜4の整数を表し、*は結合手を表す]
で表される構造を少なくとも含む。ポリイミド系樹脂が上記の式(4”)で表される構造を含む場合、ポリイミド系樹脂の耐力を向上させやすい。また、得られる光学フィルムの光学特性を向上させやすい。
で表される構造を少なくとも含む。ポリイミド系樹脂が上記の式(4”)で表される構造を含む場合、ポリイミド系樹脂の耐力を向上させやすい。また、得られる光学フィルムの光学特性を向上させやすい。
式(4”)中のW及びqについては、上記式(4)中のW及びqに関する記載が同様に当てはまる。式(4”)中のR8’は、互いに独立に、ハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。式(4”)中のp’は、互いに独立に、1〜4の整数を表し、好ましくは1〜2の整数を表す。
式(3)中のXとしては、式(1)中のXとして上記に例示したものが挙げられ、好ましい形態も同じである。また、式(1)中のXと式(3)中のXは、同一であっても、異なっていてもよい。本発明の一実施形態では、式(1)で表される構成単位及び/又は式(3)で表される構成単位は、Xとして式(5)で表される構造(又は基)を1種又は複数種含んでいてもよい。
本発明の一実施形態において、式(1)及び式(3)中のXとして、式(5)で表される構造を含む場合、Xが式(5)で表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の総モル量に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上であり、通常100モル%以下である。Xが式(5)で表される構成単位の割合が上記の範囲内であると、光学フィルムの耐力、破断歪、弾性率及び透明性を向上させやすい。なお、Xが式(5)で表される構成単位の割合は、例えば1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明のポリイミド樹脂は、式(1)で表される構成単位、場合により含まれる式(3)で表される構成単位に加えて、さらに、式(30)で表される構成単位及び/又は式(31)で表される構成単位を含んでいてもよい。
式(30)において、Y1は4価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Y1としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基、該式(20)〜式(29)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基、並びに4価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。本発明の一実施形態において、式(30)で表される構成単位は、複数種のY1で表される構造を含み得、複数種のY1は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
式(31)において、Y2は3価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。Y2としては、上記の式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)、式(27)、式(28)及び式(29)で表される基の結合手のいずれか1つが水素原子に置き換わった基、及び3価の炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。本発明の一実施形態において、式(31)で表される構成単位は、複数種のY2で表される構造を含み得、複数種のY2は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。
式(30)及び式(31)において、X1及びX2は、互いに独立に、2価の有機基であり、好ましくは有機基中の水素原子が炭化水素基又はフッ素置換された炭化水素基で置換されていてもよい有機基である。X1及びX2としては、上記の式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)及び式(18)で表される基;該式(10)〜式(18)で表される基中の水素原子がメチル基、フルオロ基、クロロ基又はトリフルオロメチル基で置換された基;並びに炭素数6以下の鎖式炭化水素基が例示される。
ポリイミド系樹脂が、式(30)で表される構成単位、及び/又は式(31)で表される構成単位を含む場合、式(30)で表される構成単位及び式(31)で表される構成単位の合計割合は、式(1)で表される構成単位と式(3)で表される構成単位との総モル量に対して、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、さらに好ましくは1モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。該合計割合が上記範囲内であると、高弾性率の光学フィルムを得やすい。なお、該割合は、例えば、1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
ポリイミド系樹脂が、式(1)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位を有する場合、式(1)で表される構成単位の割合は、式(1)で表される構成単位及び式(3)で表される構成単位の総モル量(100モル%)に対して、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、とりわけ好ましくは25モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下、とりわけ好ましくは50モル%以下である。ポリアミドイミド樹脂において、式(1)で表される構成単位の割合が上記の下限以上であると、式(2)中のアミド結合間の水素結合による増粘を抑制し、ポリアミドイミドワニスの粘度を低減することができ、光学部材の製造が容易である。ポリアミドイミド樹脂において、式(1)で表される構成単位の割合が上記の上限以下であると、該ポリアミドイミド樹脂を含んでなる光学フィルムは、高い表面硬度を発揮する。なお、上記割合は、例えば、1H−NMRを用いて測定することができ、又は原料の仕込み比から算出することもできる。
本発明の光学フィルムに含まれるポリイミド系樹脂の重量平均分子量(以下、Mwと称する場合がある)は、好ましくは100,000以上、より好ましくは150,000以上、さらに好ましくは200,000以上、さらにより好ましくは300,000以上、とりわけさらにより好ましくは400,000以上、とりわけより好ましくは500,000以上、ことさらとりわけより好ましくは600,000以上であり、好ましくは1,500,000以下、より好ましくは1,200,000以下、さらに好ましくは1,000,000以下、とりわけ好ましくは800,000以下である。ポリイミド系樹脂のMwが上記の下限以上であると、得られる光学フィルムの耐力、破断歪及び弾性率を向上させやすい。また、Mwが上記の上限以下であると、樹脂ワニスのゲル化を抑制しやすく、得られる光学フィルムの光学特性を向上しやすい。ここで、本発明のポリイミド系樹脂が、式(1)中のYとして式(2)で表される構造を含む場合、該構造を有するポリイミド系樹脂の溶液の粘度は高くなる傾向があることがわかった。ポリイミド系樹脂のMwが大きくなることによっても樹脂溶液の粘度が高くなる傾向があるため、このような構造を含むポリイミド系樹脂を高分子量化することは非常に困難であった。本発明者は種々の検討を行った結果、後述する製造条件でポリイミド系樹脂を製造することにより、Mwを高めることができることを見出した。Mwは、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと記載することがある)測定を行い、標準ポリスチレン換算によって求めることができ、例えば実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の好適な一実施形態において、本発明におけるポリイミド系樹脂は、例えば上記の含フッ素置換基等によって導入することができる、フッ素原子等のハロゲン原子を含んでよい。ポリイミド系樹脂がハロゲン原子を含む場合、光学フィルムのYI値を低減しやすく、かつ破断歪及び弾性率を高めやすい。光学フィルムの弾性率が高いと、傷及びシワ等の発生を抑制しやすい。また、光学フィルムのYI値が低いと、該フィルムの透明性及び視認性を向上させやすくなる。ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。ポリイミド系樹脂にフッ素原子を含有させるために好ましい含フッ素置換基としては、例えばフルオロ基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。
ポリイミド系樹脂がハロゲン原子を含有する場合、その含有量は、それぞれ、ポリイミド系樹脂の質量を基準として、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。ハロゲン原子の含有量が上記の下限以上であると、光学フィルムのYI値を低減しやすく、かつ破断歪及び弾性率を高めやすい。ハロゲン原子の含有量が上記の上限以下であると、合成がしやすくなる
ポリイミド系樹脂のイミド化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、さらに好ましくは96%以上である。光学フィルムの耐力及び光学特性を高めやすい観点から、イミド化率が上記の下限以上であることが好ましい。また、イミド化率の上限は100%以下である。イミド化率は、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値に対する、ポリイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。なお、ポリイミド系樹脂がトリカルボン酸化合物を含む場合には、ポリイミド系樹脂中のテトラカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量の2倍の値と、トリカルボン酸化合物に由来する構成単位のモル量との合計に対する、ポリイミド系樹脂中のイミド結合のモル量の割合を示す。また、イミド化率は、IR法、NMR法などにより求めることができる。
<ポリイミド系樹脂の製造方法>
本発明のポリイミド系樹脂の製造方法は特に限定されない。本発明の一実施形態においては、後述するテトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として、場合によりジカルボン酸化合物を共に用いて、製造することができる。より具体的には、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させてポリアミック酸を得る工程、ポリイミド系樹脂がポリアミドイミド樹脂である場合には、該ポリアミック酸とジカルボン酸とを反応させてポリアミドイミド樹脂前駆体を得る工程、及び該ポリアミック酸又は該ポリアミドイミド樹脂前駆体をイミド化する工程を含む方法により製造できる。なお、テトラカルボン酸化合物やジカルボン酸化合物の他に、トリカルボン酸化合物を反応させてもよい。
本発明のポリイミド系樹脂の製造方法は特に限定されない。本発明の一実施形態においては、後述するテトラカルボン酸化合物及びジアミン化合物を主な原料として、場合によりジカルボン酸化合物を共に用いて、製造することができる。より具体的には、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とを反応させてポリアミック酸を得る工程、ポリイミド系樹脂がポリアミドイミド樹脂である場合には、該ポリアミック酸とジカルボン酸とを反応させてポリアミドイミド樹脂前駆体を得る工程、及び該ポリアミック酸又は該ポリアミドイミド樹脂前駆体をイミド化する工程を含む方法により製造できる。なお、テトラカルボン酸化合物やジカルボン酸化合物の他に、トリカルボン酸化合物を反応させてもよい。
式(1)及び式(30)で表される構成単位は、通常、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物とから誘導される。式(3)で表される構成単位は、通常、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物とから誘導される。式(31)で表される構成単位は、通常、ジアミン化合物とトリカルボン酸化合物とから誘導される。
ポリイミド系樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物は、少なくとも式(X):
[式(X)中、R1〜R5、m及びnは、それぞれ、式(3)中のR1〜R5、m及びnと同じである]
で表される化合物を含むことが好ましい。
で表される化合物を含むことが好ましい。
式(X)で表される化合物は、慣用の方法、例えば無水トリメリット酸又はその誘導体と芳香族ジオールとを反応させることにより得てもよいし、市販品を使用してもよい。
本発明の一実施形態では、ポリイミド系樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物は、式(X)で表される化合物に加えて、さらに式(Y):
[式(Y)中、B、R7及びtは、それぞれ、式(5)中のB、R7及びtと同じである]
で表される化合物を含むことが好ましい。
で表される化合物を含むことが好ましい。
ポリイミド系樹脂の製造に用いられるテトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸化合物;及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸化合物等が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。テトラカルボン酸化合物は、二無水物の他、酸クロリド化合物等のテトラカルボン酸化合物類縁体であってもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物及び縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。非縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水トリメリット酸と2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物(以下、TAHMBPと記載することがある)、無水トリメリット酸と2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物(以下、TA23X−BPと記載することがある)、無水トリメリット酸と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、BPDAと記載することがある)、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(以下、6FDAと記載することがある)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。また、単環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物[ピロメリット酸二無水物ともいう(以下、PMDAと記載することがある)]が挙げられ、縮合多環式の芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
これらの中でも、好ましくはTAHMBP、TA23X−BP、無水トリメリット酸と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物、PMDA、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、6FDA、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、より好ましくはTAHMBP、TA23X−BP、無水トリメリット酸と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、BPDA、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、6FDA、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、環式又は非環式の脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物とは、脂環式炭化水素構造を有するテトラカルボン酸二無水物であり、その具体例としては、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等のシクロアルカンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物及びこれらの位置異性体が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。また、環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物を組合せて用いてもよい。
上記テトラカルボン酸二無水物の中でも、光学フィルムの耐力及び透明性を向上しやすい観点から、TAHMBP、TA23X−BP、無水トリメリット酸と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物、PMDA、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、6FDA、並びにこれらの混合物が好ましく、TAHMBP、TA23X−BP、無水トリメリット酸と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとのエステル化物、6FDA並びにこれらの混合物がより好ましい。
ポリイミド系樹脂がポリアミドイミド樹脂である場合、その合成に用いられるジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。具体例としては、テレフタル酸;2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸;イソフタル酸;2,5−ジメチルテレフタル酸;2,5−ジメトキシテレフタル酸;ナフタレンジカルボン酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸;3,3’−ビフェニルジカルボン酸;2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニルジカルボン酸;炭素数8以下である鎖式炭化水素、のジカルボン酸化合物及び2つの安息香酸が単結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−又はフェニレン基で連結された化合物並びに、それらの酸クロライド化合物が挙げられる。これらのジカルボン酸化合物の中でも、光学フィルムの耐力及び透明性を向上しやすい観点から、4,4’−オキシビス安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−メトキシテレフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、2,5−ジメトキシテレフタル酸、2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェニルジカルボン酸及びそれらの酸クロリドが好ましく、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)、2,5−ジメチルテレフタル酸クロライド(以下、DMTPCと記載することがある)、2,5−ジメトキシテレフタル酸クロライド、2,5−ビス(トリフルオロメチル)テレフタル酸クロライド、2−メトキシテレフタル酸クロライド(以下、OMTPCと記載することがある)、テレフタロイルクロリド(以下、TPCと記載することがある)、イソフタロイルクロリドがより好ましく、TPC、2,5−ジメトキシテレフタル酸クロリド、DMTPC、OMTPCがさらに好ましい。
なお、上記ポリイミド系樹脂は、光学フィルムの各種物性を損なわない範囲で、上記のポリイミド系樹脂合成に用いられるテトラカルボン酸化合物に加えて、他のテトラカルボン酸及びトリカルボン酸並びにそれらの無水物及び誘導体をさらに反応させたものであってもよい。
他のテトラカルボン酸としては、上記テトラカルボン酸化合物の無水物の水付加体が挙げられる。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロリド化合物、酸無水物等が挙げられ、2種以上を組合せて用いてもよい。具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−O−、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−又はフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
ポリイミド系樹脂の合成に用いられるジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。なお、本実施形態において「芳香族ジアミン」とは、アミノ基が芳香環に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に脂肪族基又はその他の置換基を含んでいてもよい。この芳香環は単環でも縮合環でもよく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフルオレン環等が例示されるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、好ましくはベンゼン環である。また「脂肪族ジアミン」とは、アミノ基が脂肪族基に直接結合しているジアミンを表し、その構造の一部に芳香環やその他の置換基を含んでいてもよい。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、ヘキサメチレンジアミン等の非環式脂肪族ジアミン、並びに1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ノルボルナンジアミン及び4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の環式脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
芳香族ジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン等の、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(以下、TFMBと記載することがある)、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジアニリン(以下、6FDAMと記載することがある)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン等の、芳香環を2つ以上有する芳香族ジアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
芳香族ジアミンとしては、好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、TFMB、6FDAM、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられ、より好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、TFMB、6FDAM、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
上記ジアミン化合物の中でも、光学フィルムの耐力及び透明性を向上しやすい観点から、2,2’−ジメチルベンジジン、TFMB、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、6FDAM及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなる群から選ばれる1種以上を用いることがより好ましく、TFMB及び/又は6FDAMを用いることがさらに好ましい。
ポリイミド系樹脂の製造において、ジアミン化合物、テトラカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物の使用量は、所望とする樹脂の各構成単位の比率に応じて適宜選択できる。
本発明の好適な実施形態において、ジアミン化合物の使用量は、テトラカルボン酸化合物及び場合により含まれるジカルボン酸化合物の総モル量を1モルとして、好ましくは0.94モル以上、より好ましくは0.96モル以上、さらに好ましくは0.98モル以上、とりわけ好ましくは0.99モル以上であり、好ましくは1.20モル以下、より好ましくは1.10モル以下、さらに好ましくは1.05モル以下、とりわけ好ましくは1.02モル以下である。テトラカルボン酸化合物及び場合により含まれるジカルボン酸化合物に対するジアミン化合物の使用量が上記の範囲内であると、ポリイミド系樹脂が式(2)で表される構造を有する場合であっても、高分子量のポリイミド系樹脂を得やすく、その結果、得られる光学フィルムの耐力及び透明性を向上しやすい。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応温度は、特に限定されず、例えば5〜200℃であってもよく、反応時間も特に限定されず、例えば30分〜72時間程度であってもよい。本発明の好適な実施形態においては、ポリイミド系樹脂が式(2)で表される構造を有する場合であっても、ポリイミド系樹脂のMwを高めやすい観点からは、反応温度は、好ましくは5〜50℃、より好ましくは5〜40℃、さらに好ましくは5〜25℃であり、反応時間は、好ましくは3〜24時間、より好ましくは5〜20時間である。
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、反応に影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;クロロホルム及びクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと記載することがある)、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記載することがある)等のアミド系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せなどが挙げられる。これらの中でも、溶解性の観点から、アミド系溶媒を好適に使用できる。
本発明の好適な実施形態においては、反応に使用する溶媒は、水分量700ppm以下まで厳密に脱水した溶媒であることが好ましい。水分量を上記の範囲に調整することにより、ポリイミド系樹脂が式(2)で表される構造を有する場合であっても、ポリイミド系樹脂を高分子化させやすい、
ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応は、必要に応じて、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気又は減圧の条件下において行ってもよく、高分子量のポリイミド樹脂を得やすい観点からは、前記と同じ不活性雰囲気下、厳密に制御された脱水溶媒中で撹拌しながら行うことが好ましい。
ポリアミック酸とジカルボン酸との製造条件は、ジアミン化合物とテトラカルボン酸化合物との反応における製造条件から適宜選択すればよい。
イミド化工程で使用するイミド化触媒としては、例えばトリプロピルアミン、ジブチルプロピルアミン、エチルジブチルアミン等の脂肪族アミン;N−エチルピペリジン、N−プロピルピペリジン、N−ブチルピロリジン、N−ブチルピペリジン、及びN−プロピルヘキサヒドロアゼピン等の脂環式アミン(単環式);アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン、及びアザビシクロ[3.2.2]ノナン等の脂環式アミン(多環式);並びにピリジン、2−メチルピリジン(2−ピコリン)、3−メチルピリジン(3−ピコリン)、4−メチルピリジン(4−ピコリン)、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3,4−シクロペンテノピリジン、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン、及びイソキノリン等の芳香族アミンが挙げられる。また、イミド化反応を促進しやすい観点から、イミド化触媒とともに、酸無水物を用いることが好ましい。酸無水物は、イミド化反応に用いられる慣用の酸無水物等が挙げられ、その具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族酸無水物、フタル酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
本発明の好適な実施形態では、イミド化工程を段階的に行い、最適な反応温度まで、昇温することが好ましい。段階的にイミド化することにより、樹脂の分解を抑制し、高分子量のポリイミド系樹脂を得やすい。段階的に行うイミド化工程の昇温させる反応温度は、好ましくは40〜85℃であり、より好ましくは45〜80℃である。反応温度が前記の範囲にあると、十分にイミド化反応が進行する傾向があり、またMwが十分に上がる傾向がある。その反応時間は、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは30分〜5時間である。反応時間が前記の範囲内にあると、樹脂の分解が生じてMwが低下することを抑制しやすく、また、イミド化率が低下してその後の工程で低分子量化することを抑制しやすい。このように既述の合成条件に加えて、イミド化工程を制御することで、高分子量の樹脂を得ることができる。
ポリイミド系樹脂は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せた分離手段により分離精製して単離してもよく、好ましい形態では、樹脂を含む反応液に、多量のメタノール等のアルコールを加え、樹脂を析出させ、濃縮、濾過、乾燥等を行うことにより単離することができる。
<添加剤>
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂に加えて、少なくとも1種のフィラーを含んでよい。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられ、これらの中でも、光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子が挙げられる。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
本発明の光学フィルムは、ポリイミド系樹脂に加えて、少なくとも1種のフィラーを含んでよい。フィラーとしては、例えば有機粒子、無機粒子などが挙げられ、好ましくは無機粒子が挙げられる。無機粒子としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物粒子、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物粒子などが挙げられ、これらの中でも、光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を向上させやすい観点から、好ましくはシリカ粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子が挙げられる。これらのフィラーは単独又は2種以上を組合せて使用できる。
フィラー、好ましくはシリカ粒子の平均一次粒子径は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上、とりわけ好ましくは20nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは90nm以下、さらに好ましくは80nm以下、さらにより好ましくは70nm以下、とりわけ好ましくは60nm以下、とりわけより好ましくは50nm以下、とりわけさらに好ましくは40nm以下である。フィラー、好ましくはシリカ粒子の平均一次粒子径が上記範囲内であると、光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を向上させやすい。また、フィラー、好ましくはシリカ粒子の凝集を抑制し、得られる光学フィルムの透明性を向上しやすい。フィラーの平均一次粒子径は、BET法により測定できる。なお、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡の画像解析により平均一次粒子径を測定してもよい。
本発明の光学フィルムがフィラー、好ましくはシリカ粒子を含有する場合、フィラーの含有量は、光学フィルムの質量に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらによりに好ましくは20質量%以上、とりわけ好ましくは30質量%以上であり、好ましくは60質量%以下である。フィラーの含有量が上記の下限以上であると、光学フィルムの耐力、弾性率及び透明性を向上させやすい。また、フィラーの含有量が上記の上限以下であると、光学フィルムの光学特性を向上しやすい。
本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤をさらに含有してもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。紫外線吸収剤は単独又は二種以上を組合せて使用できる。光学フィルムが紫外線吸収剤を含有することにより、樹脂の劣化が抑制されるため、光学フィルムを画像表示装置等に適用した場合に視認性を高めることができる。本明細書において、「系化合物」とは、当該「系化合物」が付される化合物の誘導体を指す。例えば、「ベンゾフェノン系化合物」とは、母体骨格としてのベンゾフェノンと、ベンゾフェノンに結合している置換基とを有する化合物を指す。
光学フィルムが紫外線吸収剤を含有する場合、紫外線吸収剤の含有量は、光学フィルムの質量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。好適な含有量は用いる紫外線吸収剤により異なるが、400nmの光線透過率が20〜60%程度になるように紫外線吸収剤の含有量を調節すると、光学フィルムの耐光性が高められるとともに、透明性を高めやすい。
本発明の光学フィルムは、フィラー及び紫外線吸収剤以外の他の添加剤をさらに含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、及びレベリング剤等が挙げられる。他の添加剤を含有する場合、その含有量は、光学フィルムの質量に対して、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%であってよい。
本発明の光学フィルムの用途は特に限定されず、種々の用途に使用してよい。本発明の光学フィルムは、単層であっても、積層体であってもよく、本発明の光学フィルムをそのまま使用してもよいし、さらに他のフィルムとの積層体として使用してもよい。なお、光学フィルムが積層体である場合、光学フィルムの片面又は両面に積層された全ての層を含めて光学フィルムと称する。
本発明の光学フィルムが積層体である場合、光学フィルムの少なくとも一方の面に1以上の機能層を有することが好ましい。機能層としては、例えばハードコート層、プライマー層、ガスバリア層、紫外線吸収層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などが挙げられる。機能層は単独又は二種以上組合せて使用できる。
ハードコート層の厚さは特に限定されず、例えば、2〜100μmであってもよい。前記ハードコート層の厚さが前記の範囲にあると、耐衝撃性を高めることができると共に、耐屈曲性が低下しにくく、硬化収縮によるカール発生の問題が発生し難い傾向がある。ハードコート層は、活性エネルギー線照射、或いは熱エネルギー付与により架橋構造を形成し得る反応性材料を含むハードコート組成物を硬化させて形成することができ、活性エネルギー線照射によるものが好ましい。活性エネルギー線は、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることができるエネルギー線と定義され、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線及び電子線などが挙げられ、好ましくは紫外線が挙げられる。前記ハードコート組成物は、ラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有する。
前記ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合性基を有する化合物である。前記ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性基としては、ラジカル重合反応を生じ得る官能基であればよく、炭素‐炭素不飽和二重結合を含む基などが挙げられ、具体的には、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。なお、前記ラジカル重合性化合物が2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。前記ラジカル重合性化合物が1分子中に有するラジカル重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上である。前記ラジカル重合性化合物としては、反応性の高さの点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられ、具体的には1分子中に2〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートと称される分子内に数個の(メタ)アクリロイル基を有する分子量が数百から数千のオリゴマーが挙げられ、好ましくはエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートから選択された1種以上が挙げられる。
前記カチオン重合性化合物は、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基等のカチオン重合性基を有する化合物である。前記カチオン重合性化合物が1分子中に有するカチオン重合性基の数は、ハードコート層の硬度を向上する点から、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、前記カチオン重合性化合物としては、中でも、カチオン重合性基としてエポキシ基及びオキセタニル基の少なくとも1種を有する化合物が好ましい。エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基は、重合反応に伴う収縮が小さいという点から好ましい。また、環状エーテル基のうちエポキシ基を有する化合物は多様な構造の化合物が入手し易く、得られたハードコート層の耐久性に悪影響を与えず、ラジカル重合性化合物との相溶性もコントロールし易いという利点がある。また、環状エーテル基のうちオキセタニル基は、エポキシ基と比較して重合度が高くなりやすく、得られたハードコート層のカチオン重合性化合物から得られるネットワーク形成速度を早め、ラジカル重合性化合物と混在する領域でも未反応のモノマーを膜中に残さずに独立したネットワークを形成する等の利点がある。
エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又は、シクロヘキセン環、シクロペンテン環含有化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化する事によって得られる脂環族エポキシ樹脂;脂肪族多価アルコール、又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー、コポリマーなどの脂肪族エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールFや水添ビスフェノールA等のビスフェノール類、又はそれらのアルキレンオキサイド付加体、カプロラクトン付加体等の誘導体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるグリシジルエーテル、及びノボラックエポキシ樹脂等でありビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記ハードコート組成物は重合開始剤をさらに含むことができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独で又は併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱のいずれかあるいはいずれでもカチオン重合を開始することができる。
ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりラジカル重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、過酸化水素、過安息香酸等の有機過酸化物、アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物等があげられる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤としては、分子の分解でラジカルが生成されるType1型ラジカル重合開始剤と、3級アミンと共存して水素引き抜き型反応でラジカルを生成するType2型ラジカル重合開始剤があり、それらは単独で又は併用して使用される。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくともいずれかによりカチオン重合を開始させる物質を放出することが可能であればよい。カチオン重合開始剤としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、シクロペンタジエニル鉄(II)錯体等が使用できる。これらは、構造の違いによって活性エネルギー線照射又は加熱のいずれかあるいはいずれでもカチオン重合を開始することができる。
前記重合開始剤は、前記ハードコート組成物全体100質量%に対して好ましくは0.1〜10質量%を含むことができる。前記重合開始剤の含量が前記の範囲にあると、硬化を十分に進行させることができ、最終的に得られる塗膜の機械的物性や密着力を良好な範囲とすることができ、また、硬化収縮による接着力不良や割れ現象及びカール現象が発生し難くなる傾向がある。
前記ハードコート組成物は、溶剤及び添加剤からなる群から選択される一つ以上をさらに含むことができる。
前記溶剤は、前記重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。
前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
前記溶剤は、前記重合性化合物及び重合開始剤を溶解又は分散させることができるもので、本技術分野のハードコート組成物の溶剤として知られている溶剤であれば、本発明の効果を阻害しない範囲で、使用することができる。
前記添加剤は、無機粒子、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、潤滑剤、防汚剤などをさらに含むことができる。
紫外線吸収層は、紫外線吸収の機能を有する層であり、例えば、紫外線硬化型の透明樹脂、電子線硬化型の透明樹脂、及び熱硬化型の透明樹脂から選ばれる主材と、この主材に分散した紫外線吸収剤とから構成される。
粘着層は、粘着性の機能を有する層であり、光学フィルムを他の部材に接着させる機能を有する。粘着層の形成材料としては、通常知られたものを用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を用いることができる。この場合、事後的にエネルギーを供給することで熱硬化性樹脂組成物又は光硬化性樹脂組成物を高分子化し硬化させることができる。
粘着層は、感圧型接着剤(Pressure Sensitive Adhesive、PSA)と呼ばれる、押圧により対象物に貼着される層であってもよい。感圧型接着剤は、「常温で粘着性を有し、軽い圧力で被着材に接着する物質」(JIS K 6800)である粘着剤であってもよく、「特定成分を保護被膜(マイクロカプセル)に内容し、適当な手段(圧力、熱等)によって被膜を破壊するまでは安定性を保持できる接着剤」(JIS K 6800)であるカプセル型接着剤であってもよい。
色相調整層は、色相調整の機能を有する層であり、光学フィルムを目的の色相に調整することができる層である。色相調整層は、例えば、樹脂及び着色剤を含有する層である。この着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄、チタニウムオキサイド系焼成顔料、群青、アルミン酸コバルト、及びカーボンブラック等の無機顔料;アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、アンスラキノン系化合物、ペリレン系化合物、イソインドリノン系化合物、フタロシアニン系化合物、キノフタロン系化合物、スレン系化合物、及びジケトピロロピロール系化合物等の有機顔料;硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等の体質顔料;並びに塩基性染料、酸性染料、及び媒染染料等の染料を挙げることができる。
屈折率調整層は、屈折率調整の機能を有する層であり、例えば単層の光学フィルムとは異なる屈折率を有し、光学フィルムに所定の屈折率を付与することができる層である。屈折率調整層は、例えば、適宜選択された樹脂、及び場合によりさらに顔料を含有する樹脂層であってもよいし、金属の薄膜であってもよい。屈折率を調整する顔料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化タンタルが挙げられる。該顔料の平均一次粒子径は、0.1μm以下であってもよい。顔料の平均一次粒子径を0.1μm以下とすることにより、屈折率調整層を透過する光の乱反射を防止し、透明度の低下を防止することができる。屈折率調整層に用いられる金属としては、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化インジウム、酸窒化チタン、窒化チタン、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素等の金属酸化物又は金属窒化物が挙げられる。
本発明の一実施形態において、光学フィルムは、少なくとも一方の面(片面又は両面)に保護フィルムを有していてもよい。例えば光学フィルムの片面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、光学フィルム側の表面又は機能層側の表面に積層されていてもよく、光学フィルム側と機能層側の両方に積層されていてもよい。光学フィルムの両面に機能層を有する場合には、保護フィルムは、片方の機能層側の表面に積層されていてもよく、両方の機能層側の表面に積層されていてもよい。保護フィルムは、光学フィルム又は機能層の表面を一時的に保護するためのフィルムであり、光学フィルム又は機能層の表面を保護できる剥離可能なフィルムである限り特に限定されない。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム及びアクリル系樹脂フィルムからなる群から選択されることが好ましい。光学フィルムが保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムは同一又は異なっていてもよい。
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、通常、10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。光学フィルムが保護フィルムを2つ有する場合、各保護フィルムの厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
〔光学フィルムの製造方法〕
本発明の光学フィルムは、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)前記ポリイミド系樹脂を含む液(樹脂ワニスと称する場合がある)を調製する工程(ワニス調製工程)、
(b)樹脂ワニスを基材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、光学フィルムを形成する工程(光学フィルム形成工程)
を含む方法によって製造することができる。
本発明の光学フィルムは、特に限定されないが、例えば以下の工程:
(a)前記ポリイミド系樹脂を含む液(樹脂ワニスと称する場合がある)を調製する工程(ワニス調製工程)、
(b)樹脂ワニスを基材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(c)塗布された液(塗膜)を乾燥させて、光学フィルムを形成する工程(光学フィルム形成工程)
を含む方法によって製造することができる。
ワニス調製工程において、前記ポリイミド系樹脂を溶媒に溶解し、必要に応じて前記添加剤を添加して撹拌混合することにより樹脂ワニスを調製する。
樹脂ワニスの調製に用いられる溶媒は、前記樹脂を溶解可能であれば特に限定されない。かかる溶媒としては、例えばDMAc、DMF等のアミド系溶媒;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒;及びそれらの組合せが挙げられる。これらの中でも、アミド系溶媒又はラクトン系溶媒が好ましい。これらの溶媒は単独又は二種以上組合せて使用できる。また、樹脂ワニスには水、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非環状エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが含まれてもよい。ワニスの固形分濃度は、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは5〜15質量%である。なお、本明細書において、ワニスの固形分とは、ワニスから溶媒を除いた成分の合計量を示す。
塗布工程において、公知の塗布方法により、基材上にワニスを塗布して塗膜を形成する。公知の塗布方法としては、例えばワイヤーバーコーティング法、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、ダイコート法、カンマコート法、リップコート法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法、流涎成形法等が挙げられる。
光学フィルム形成工程において、塗膜を乾燥し、基材から剥離することによって、光学フィルムを形成することができる。剥離後にさらに光学フィルムを乾燥する乾燥工程を行ってもよい。塗膜の乾燥は、通常50〜350℃、好ましくは50〜230℃の温度にて行うことができる。本発明の好適な実施形態において、段階的に乾燥を行うことが好ましい。高分子量樹脂を含むワニスは高粘度になりやすく、一般的に均一なフィルムを得ることが困難となり、透明性に優れるフィルムを得にくくなる。そこで、段階的に乾燥を行うことにより、高分子量樹脂を含むワニスを均一に乾燥することができる。必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。また、光学フィルムの乾燥を真空条件下で行うと、フィルム中に微小な気泡が発生、残存することがあり、透明性が低下する要因となるため大気圧下で行うことが好ましい。
基材の例としては、PETフィルム、PENフィルム、他のポリイミド系樹脂又はポリアミド系樹脂フィルム等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れる観点から、PETフィルム、PENフィルム等が好ましく、さらに光学フィルムとの密着性及びコストの観点から、PETフィルムがより好ましい。
本発明の光学フィルムは、表示装置、中でもフレキシブル表示装置の前面板(ウインドウフィルムということがある)、特にローラブルディスプレイやフォルダブルディスプレイの前面板として好適に使用できる。すなわち、本発明の光学フィルムは、フレキシブル表示装置の前面板用フィルムであることが好ましい。該前面板は、フレキシブル表示装置の表示素子を保護する機能を有する。なお、フレキシブル表示装置とは、画像表示装置を繰り返し折り曲げる、繰り返し巻く等の操作を伴い使用される表示装置である。このような繰り返しの折り曲げ操作等を伴い使用されるフレキシブル表示装置の前面板には高い耐屈曲性、特に高い耐折性が求められる。また、前面板には、高い視認性も求められる。画像表示装置の内部で使用される画像表示装置の基板用のフィルムと比較して、画像表示装置の前面板、特にフレキシブル表示装置の前面板用のフィルムには、高い視認性が求められると共に、高い耐屈曲性が求められる。例えば、本発明のフィルムは、フレキシブル表示装置の前面板用に用いる場合の視認性を高めやすい観点から、上記に記載したような全光線透過率、ヘーズ及び/又はYI値を有することが好ましく、また、フレキシブル表示装置の前面板として用いる場合の耐屈曲性、特に耐折性を高めやすい観点から、上記に記載したようなMIT耐折疲労試験における耐折回数を満たすことが好ましい。表示装置としては、テレビ、スマートフォン、携帯電話、カーナビゲーション、タブレットPC、携帯ゲーム機、電子ペーパー、インジケーター、掲示板、時計、及びスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス等が挙げられる。フレキシブルディスプレイとしては、フレキシブル特性を有する表示装置、例えばテレビ、スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ等が挙げられる。フレキシブル表示装置としては、フレキシブル特性を有する全ての画像表示装置が挙げられ、例えば上記のようなローラブルディスプレイやフォルダブルディスプレイが挙げられる。ローラブルディスプレイとは、前面板を含む画像表示部分がロール状に巻き取られており、該画像表示部分を引き出して平面又は曲面にした状態で使用される画像表示装置であり、ロール状に巻き取る等の操作が使用の度に行われるような画像表示装置である。また、フォルダブルディスプレイとは、前面板を含む画像表示部分が折り曲げられており、該画像表示部分を開いて平面又は曲面にした状態で使用される画像表示装置であり、折り曲げ等の操作が使用の度に行われるような画像表示装置である。このような巻き取り、折り曲げ等の操作が繰り返し行われる画像表示装置をフレキシブル画像表示装置と称する。
〔フレキシブル表示装置〕
本発明は、本発明の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置も提供する。本発明の光学フィルムは、好ましくはフレキシブル表示装置において前面板として用いられ、該前面板はウインドウフィルムと称されることがある。該フレキシブル表示装置は、フレキシブル表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル表示装置用積層体としては、さらに偏光板、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサ又はウインドウフィルム、タッチセンサ、偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサよりも視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前記ウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
本発明は、本発明の光学フィルムを備える、フレキシブル表示装置も提供する。本発明の光学フィルムは、好ましくはフレキシブル表示装置において前面板として用いられ、該前面板はウインドウフィルムと称されることがある。該フレキシブル表示装置は、フレキシブル表示装置用積層体と、有機EL表示パネルとからなり、有機EL表示パネルに対して視認側にフレキシブル表示装置用積層体が配置され、折り曲げ可能に構成されている。フレキシブル表示装置用積層体としては、さらに偏光板、タッチセンサを含有していてもよく、それらの積層順は任意であるが、視認側からウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサ又はウインドウフィルム、タッチセンサ、偏光板の順に積層されていることが好ましい。タッチセンサよりも視認側に偏光板が存在すると、タッチセンサのパターンが視認されにくくなり表示画像の視認性が良くなるので好ましい。それぞれの部材は接着剤、粘着剤等を用いて積層することができる。また、前記ウインドウフィルム、偏光板、タッチセンサのいずれかの層の少なくとも一面に形成された遮光パターンを具備することができる。
<偏光板>
本発明のフレキシブル表示装置は、上記の通り、偏光板、中でも円偏光板をさらに備えることが好ましい。円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右円偏光成分又は左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。例えば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板は必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
本発明のフレキシブル表示装置は、上記の通り、偏光板、中でも円偏光板をさらに備えることが好ましい。円偏光板は、直線偏光板にλ/4位相差板を積層することにより右円偏光成分又は左円偏光成分のみを透過させる機能を有する機能層である。例えば外光を右円偏光に変換して有機ELパネルで反射されて左円偏光となった外光を遮断し、有機ELの発光成分のみを透過させることで反射光の影響を抑制して画像を見やすくするために用いられる。円偏光機能を達成するためには、直線偏光板の吸収軸とλ/4位相差板の遅相軸は理論上45°である必要があるが、実用的には45±10°である。直線偏光板とλ/4位相差板は必ずしも隣接して積層される必要はなく、吸収軸と遅相軸の関係が前述の範囲を満足していればよい。全波長において完全な円偏光を達成することが好ましいが実用上は必ずしもその必要はないので本発明における円偏光板は楕円偏光板をも包含する。直線偏光板の視認側にさらにλ/4位相差フィルムを積層して、出射光を円偏光とすることで偏光サングラスをかけた状態での視認性を向上させることも好ましい。
直線偏光板は、透過軸方向に振動している光は通すが、それとは垂直な振動成分の偏光を遮断する機能を有する機能層である。前記直線偏光板は、直線偏光子単独又は直線偏光子及びその少なくとも一面に貼り付けられた保護フィルムを備えた構成であってもよい。前記直線偏光板の厚さは、200μm以下であってもよく、好ましくは0.5〜100μmである。直線偏光板の厚さが前記の範囲にあると直線偏光板の柔軟性が低下し難い傾向にある。
前記直線偏光子は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略すことがある)系フィルムを染色、延伸することで製造されるフィルム型偏光子であってもよい。延伸によって配向したPVA系フィルムに、ヨウ素等の二色性色素が吸着、又はPVAに吸着した状態で延伸されることで二色性色素が配向し、偏光性能を発揮する。前記フィルム型偏光子の製造においては、他に膨潤、ホウ酸による架橋、水溶液による洗浄、乾燥等の工程を有していてもよい。延伸や染色工程はPVA系フィルム単独で行ってもよいし、ポリエチレンテレフタレートのような他のフィルムと積層された状態で行うこともできる。用いられるPVA系フィルムの厚さは好ましくは10〜100μmであり、前記延伸倍率は好ましくは2〜10倍である。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子が挙げられる。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は、液晶状態を示す性質を有していればよく、中でもスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は、重合性官能基を有することが好ましい。
前記二色性色素化合物は、前記液晶化合物とともに配向して二色性を示す色素であって、重合性官能基を有していてもよく、また、二色性色素自身が液晶性を有していてもよい。
液晶偏光組成物に含まれる化合物のいずれかは重合性官能基を有する。前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができ、その厚さは好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
さらに前記偏光子の他の一例としては、液晶偏光組成物を塗布して形成する液晶塗布型偏光子が挙げられる。前記液晶偏光組成物は、液晶性化合物及び二色性色素化合物を含むことができる。前記液晶性化合物は、液晶状態を示す性質を有していればよく、中でもスメクチック相等の高次の配向状態を有していると高い偏光性能を発揮することができるため好ましい。また、液晶性化合物は、重合性官能基を有することが好ましい。
前記二色性色素化合物は、前記液晶化合物とともに配向して二色性を示す色素であって、重合性官能基を有していてもよく、また、二色性色素自身が液晶性を有していてもよい。
液晶偏光組成物に含まれる化合物のいずれかは重合性官能基を有する。前記液晶偏光組成物はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶偏光層は、配向膜上に液晶偏光組成物を塗布して液晶偏光層を形成することにより製造される。液晶偏光層は、フィルム型偏光子に比べて厚さを薄く形成することができ、その厚さは好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
前記配向膜は、例えば基材上に配向膜形成組成物を塗布し、ラビング、偏光照射等により配向性を付与することにより製造される。前記配向膜形成組成物は、配向剤を含み、さらに溶剤、架橋剤、開始剤、分散剤、レベリング剤、シランカップリング剤等を含んでいてもよい。前記配向剤としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリアクリレート類、ポリアミック酸類、ポリイミド類が挙げられる。偏光照射により配向性を付与する配向剤を用いる場合、シンナメート基を含む配向剤を使用することが好ましい。前記配向剤として使用される高分子のMwは、例えば、10,000〜1,000,000程度である。前記配向膜の厚さは、好ましくは5〜10,000nmであり、配向規制力が十分に発現される点で、より好ましくは10〜500nmである。
前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記液晶偏光層は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記保護フィルムとしては、透明な高分子フィルムであればよく前記ウインドウフィルムの透明基材に使用される材料や添加剤と同じものが使用できる。また、エポキシ樹脂等のカチオン硬化組成物やアクリレート等のラジカル硬化組成物を塗布して硬化して得られるコーティング型の保護フィルムであってもよい。該保護フィルムは、必要により可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。該保護フィルムの厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは1〜100μmである。保護フィルムの厚さが前記の範囲にあると、該フィルムの柔軟性が低下し難い傾向にある。
前記λ/4位相差板は、入射光の進行方向に直行する方向(フィルムの面内方向)にλ/4の位相差を与えるフィルムである。前記λ/4位相差板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。前記λ/4位相差板は、必要により位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。
前記延伸型位相差板の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは1〜100μmである。延伸型位相差板の厚さが前記の範囲にあると、該延伸型位相差板の柔軟性が低下し難い傾向にある。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板が挙げられる。
前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す液晶性化合物を含む。前記液晶性化合物は、重合性官能基を有する。
前記液晶組成物は、さらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層と同様に、液晶組成物を下地上に塗布、硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
前記延伸型位相差板の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは1〜100μmである。延伸型位相差板の厚さが前記の範囲にあると、該延伸型位相差板の柔軟性が低下し難い傾向にある。
さらに前記λ/4位相差板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型位相差板が挙げられる。
前記液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す液晶性化合物を含む。前記液晶性化合物は、重合性官能基を有する。
前記液晶組成物は、さらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。
前記液晶塗布型位相差板は、前記液晶偏光層と同様に、液晶組成物を下地上に塗布、硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型位相差板は、延伸型位相差板に比べて厚さを薄く形成することができる。前記液晶偏光層の厚さは、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。
前記液晶塗布型位相差板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。前記基材が、保護フィルムや位相差板、ウインドウフィルムの透明基材としての役割を担うことも好ましい。
一般的には、短波長ほど複屈折が大きく長波長になるほど小さな複屈折を示す材料が多い。この場合には全可視光領域でλ/4の位相差を達成することはできないので、視感度の高い560nm付近に対してλ/4となるように、面内位相差は、好ましくは100〜180nm、より好ましくは130〜150nmとなるように設計される。通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4位相差板は、視認性が良好となる点で好ましい。このような材料としては、例えば延伸型位相差板は特開2007−232873号公報等に、液晶塗布型位相差板は特開2010−30979号公報等に記載されているものを用いることができる。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(例えば、特開平10−90521号公報など)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板の組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることにより厚さを薄くすることができる。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法が知られている(例えば、特開2014−224837号公報など)。正のCプレートは、液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。該位相差板の厚み方向の位相差は、好ましくは−200〜−20nm、より好ましくは−140〜−40nmである。
また、他の方法としてはλ/2位相差板と組合せることで広帯域λ/4位相差板を得る技術も知られている(例えば、特開平10−90521号公報など)。λ/2位相差板もλ/4位相差板と同様の材料方法で製造される。延伸型位相差板と液晶塗布型位相差板の組合せは任意であるが、どちらも液晶塗布型位相差板を用いることにより厚さを薄くすることができる。
前記円偏光板には斜め方向の視認性を高めるために、正のCプレートを積層する方法が知られている(例えば、特開2014−224837号公報など)。正のCプレートは、液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。該位相差板の厚み方向の位相差は、好ましくは−200〜−20nm、より好ましくは−140〜−40nmである。
〔タッチセンサ〕
本発明のフレキシブル表示装置は、上記の通り、タッチセンサをさらに備えることが好ましい。タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が挙げられ、好ましくは静電容量方式が挙げられる。
静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と、前記基板の活性領域に形成された感知パターンと、前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記ウインドウフィルムの透明基板と同様の材料が使用できる。
本発明のフレキシブル表示装置は、上記の通り、タッチセンサをさらに備えることが好ましい。タッチセンサは入力手段として用いられる。タッチセンサとしては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式等様々な様式が挙げられ、好ましくは静電容量方式が挙げられる。
静電容量方式タッチセンサは活性領域及び前記活性領域の外郭部に位置する非活性領域に区分される。活性領域は表示パネルで画面が表示される領域(表示部)に対応する領域であって、使用者のタッチが感知される領域であり、非活性領域は表示装置で画面が表示されない領域(非表示部)に対応する領域である。タッチセンサはフレキシブルな特性を有する基板と、前記基板の活性領域に形成された感知パターンと、前記基板の非活性領域に形成され、前記感知パターンとパッド部を介して外部の駆動回路と接続するための各センシングラインを含むことができる。フレキシブルな特性を有する基板としては、前記ウインドウフィルムの透明基板と同様の材料が使用できる。
前記感知パターンは、第1方向に形成された第1パターン及び第2方向に形成された第2パターンを備えることができる。第1パターンと第2パターンとは互いに異なる方向に配置される。第1パターン及び第2パターンは、同一層に形成され、タッチされる地点を感知するためには、それぞれのパターンが電気的に接続されなければならない。第1パターンは複数の単位パターンが継ぎ手を介して互いに接続された形態であるが、第2パターンは複数の単位パターンがアイランド形態に互いに分離された構造になっているので、第2パターンを電気的に接続するためには別途のブリッジ電極が必要である。第2パターンの接続のための電極には、周知の透明電極を適用することができる。該透明電極の素材としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛酸化物(ZnO)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、カドミウムスズ酸化物(CTO)、PEDOT(poly(3,4−ethylenedioxythiophene))、炭素ナノチューブ(CNT)、グラフェン及び金属ワイヤなどが挙げられ、好ましくはITOが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用できる。金属ワイヤに使用される金属は特に限定されず、例えば、銀、金、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、セレニウム及びクロムなどが挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して前記絶縁層上部に形成されることができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。前記ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン又はこれらのうちの2種以上の合金で形成することもできる。
第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。該絶縁層は、第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極との間にのみ形成することや、感知パターン全体を覆う層として形成することもできる。感知パターン全体を覆う層の場合、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。
ブリッジ電極は感知パターン上部に絶縁層を介して前記絶縁層上部に形成されることができ、基板上にブリッジ電極が形成されており、その上に絶縁層及び感知パターンを形成することができる。前記ブリッジ電極は感知パターンと同じ素材で形成することもでき、モリブデン、銀、アルミニウム、銅、パラジウム、金、白金、亜鉛、スズ、チタン又はこれらのうちの2種以上の合金で形成することもできる。
第1パターンと第2パターンは電気的に絶縁されなければならないので、感知パターンとブリッジ電極の間には絶縁層が形成される。該絶縁層は、第1パターンの継ぎ手とブリッジ電極との間にのみ形成することや、感知パターン全体を覆う層として形成することもできる。感知パターン全体を覆う層の場合、ブリッジ電極は絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して第2パターンを接続することができる。
前記タッチセンサは、感知パターンが形成されたパターン領域と、感知パターンが形成されていない非パターン領域との間の透過率の差、具体的には、これらの領域における屈折率の差によって誘発される光透過率の差を適切に補償するための手段として基板と電極の間に光学調節層をさらに含むことができる。該光学調節層は、無機絶縁物質又は有機絶縁物質を含むことができる。光学調節層は光硬化性有機バインダー及び溶剤を含む光硬化組成物を基板上にコーティングして形成することができる。前記光硬化組成物は無機粒子をさらに含むことができる。前記無機粒子によって光学調節層の屈折率を高くすることができる。
前記光硬化性有機バインダーは、本発明の効果を損ねない範囲で、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子としては、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などが挙げられる。
前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
前記光硬化性有機バインダーは、本発明の効果を損ねない範囲で、例えば、アクリレート系単量体、スチレン系単量体、カルボン酸系単量体などの各単量体の共重合体を含むことができる。前記光硬化性有機バインダーは、例えば、エポキシ基含有繰り返し単位、アクリレート繰り返し単位、カルボン酸繰り返し単位などの互いに異なる各繰り返し単位を含む共重合体であってもよい。
前記無機粒子としては、例えば、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子などが挙げられる。
前記光硬化組成物は、光重合開始剤、重合性モノマー、硬化補助剤などの各添加剤をさらに含むこともできる。
〔接着層〕
前記フレキシブル表示装置用積層体を形成する各層(ウインドウフィルム、円偏光板、タッチセンサ)並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって接合することができる。該接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、水系溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等、通常使用されている接着剤等が使用でき、好ましくは水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤を使用できる。接着剤層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、好ましくは0.01〜500μm、より好ましくは0.1〜300μmである。前記フレキシブル表示装置用積層体には、複数の接着層が存在するが、それぞれの厚さや種類は、同じであっても異なっていてもよい。
前記フレキシブル表示装置用積層体を形成する各層(ウインドウフィルム、円偏光板、タッチセンサ)並びに各層を構成するフィルム部材(直線偏光板、λ/4位相差板等)は接着剤によって接合することができる。該接着剤としては、水系接着剤、有機溶剤系、無溶剤系接着剤、固体接着剤、溶剤揮散型接着剤、水系溶剤揮散型接着剤、湿気硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤、嫌気硬化型、活性エネルギー線硬化型接着剤、硬化剤混合型接着剤、熱溶融型接着剤、感圧型接着剤(粘着剤)、再湿型接着剤等、通常使用されている接着剤等が使用でき、好ましくは水系溶剤揮散型接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤、粘着剤を使用できる。接着剤層の厚さは、求められる接着力等に応じて適宜調節することができ、好ましくは0.01〜500μm、より好ましくは0.1〜300μmである。前記フレキシブル表示装置用積層体には、複数の接着層が存在するが、それぞれの厚さや種類は、同じであっても異なっていてもよい。
前記水系溶剤揮散型接着剤としては、ポリビニルアルコール系ポリマー、でんぷん等の水溶性ポリマー、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系エマルジョン等水分散状態のポリマーを主剤ポリマーとして使用することができる。前記主剤ポリマーと水とに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、染料、顔料、無機フィラー、有機溶剤等を配合してもよい。前記水系溶剤揮散型接着剤によって接着する場合、前記水系溶剤揮散型接着剤を被接着層間に注入して被着層を貼合した後、乾燥させることで接着性を付与することができる。前記水系溶剤揮散型接着剤を用いる場合、その接着層の厚さは、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜1μmである。前記水系溶剤揮散型接着剤を複数層に用いる場合、それぞれの層の厚さや種類は同じであっても異なっていてもよい。
前記活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射して接着剤層を形成する反応性材料を含む活性エネルギー線硬化組成物の硬化により形成することができる。前記活性エネルギー線硬化組成物は、ハードコート組成物に含まれるものと同様のラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物の少なくとも1種の重合物を含有することができる。前記ラジカル重合性化合物は、ハードコート組成物におけるラジカル重合性化合物と同じ化合物を用いることができる。
前記カチオン重合性化合物は、ハードコート組成物におけるカチオン重合性化合物と同じ化合物を用いることができる。
活性エネルギー線硬化組成物に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことも好ましい。
前記カチオン重合性化合物は、ハードコート組成物におけるカチオン重合性化合物と同じ化合物を用いることができる。
活性エネルギー線硬化組成物に用いられるカチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物が好ましい。接着剤組成物としての粘度を下げるために単官能の化合物を反応性希釈剤として含むことも好ましい。
活性エネルギー線組成物は、粘度を低下させるために、単官能の化合物を含むことができる。該単官能の化合物としては、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系単量体や、1分子中に1個のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
活性エネルギー線組成物は、さらに重合開始剤を含むことができる。該重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、これらは適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合又はカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化組成物はさらに、イオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって2つの被接着層を接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のいずれか一方又は両方に塗布後、貼合し、いずれかの被着層又は両方の被接着層に活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、で接着することができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、その接着層の厚さは、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmである。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数の接着層形成に用いる場合、それぞれの層の厚さや種類は同じであっても異なっていてもよい。
活性エネルギー線組成物は、さらに重合開始剤を含むことができる。該重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、ラジカル及びカチオン重合開始剤等が挙げられ、これらは適宜選択して用いられる。これらの重合開始剤は、活性エネルギー線照射及び加熱の少なくとも一種により分解されて、ラジカル又はカチオンを発生してラジカル重合とカチオン重合を進行させるものである。ハードコート組成物の記載の中で活性エネルギー線照射によりラジカル重合又はカチオン重合の内の少なくともいずれか開始することができる開始剤を使用することができる。
前記活性エネルギー線硬化組成物はさらに、イオン捕捉剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、密着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動粘度調整剤、可塑剤、消泡剤溶剤、添加剤、溶剤を含むことができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤によって2つの被接着層を接着する場合、前記活性エネルギー線硬化組成物を被接着層のいずれか一方又は両方に塗布後、貼合し、いずれかの被着層又は両方の被接着層に活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、で接着することができる。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、その接着層の厚さは、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmである。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を複数の接着層形成に用いる場合、それぞれの層の厚さや種類は同じであっても異なっていてもよい。
前記粘着剤としては、主剤ポリマーに応じて、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等に分類され何れを使用することもできる。粘着剤には主剤ポリマーに加えて、架橋剤、シラン系化合物、イオン性化合物、架橋触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、染料、顔料、無機フィラー等を配合してもよい。前記粘着剤を構成する各成分を溶剤に溶解・分散させて粘着剤組成物を得て、該粘着剤組成物を基材上に塗布した後に乾燥させることで、粘着剤層接着層が形成される。粘着層は直接形成されてもよいし、別途基材に形成したものを転写することもできる。接着前の粘着面をカバーするためには離型フィルムを使用することも好ましい。前記活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合、その接着層の厚さは、好ましくは0.1〜500μm、より好ましくは1〜300μmである。前記粘着剤を複数層用いる場合には、それぞれの層の厚さや種類は同じであっても異なっていてもよい。
〔遮光パターン〕
前記遮光パターンは、前記フレキシブル表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンによって前記フレキシブル表示装置の辺縁部に配置される配線が隠されて視認されにくくすることで、画像の視認性が向上する。前記遮光パターンは単層又は複層の形態であってもよい。遮光パターンのカラーは特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などの多様なカラーであってもよい。遮光パターンはカラーを具現するための顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子で形成することができる。これらの単独又は2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜50μmである。また、遮光パターンの厚み方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
前記遮光パターンは、前記フレキシブル表示装置のベゼル又はハウジングの少なくとも一部として適用することができる。遮光パターンによって前記フレキシブル表示装置の辺縁部に配置される配線が隠されて視認されにくくすることで、画像の視認性が向上する。前記遮光パターンは単層又は複層の形態であってもよい。遮光パターンのカラーは特に制限されることはなく、黒色、白色、金属色などの多様なカラーであってもよい。遮光パターンはカラーを具現するための顔料と、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどの高分子で形成することができる。これらの単独又は2種類以上の混合物で使用することもできる。前記遮光パターンは、印刷、リソグラフィ、インクジェットなど各種の方法にて形成することができる。遮光パターンの厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜50μmである。また、遮光パターンの厚み方向に傾斜等の形状を付与することも好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記しない限り、質量%及び質量部を意味する。まず評価方法について説明する。
<耐力の測定>
実施例及び比較例において得られた光学フィルムの耐力を(株)島津製作所製「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。縦横10mm幅のフィルムを作製し、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で応力−歪曲線(S−S曲線)を測定した。
1.S−S曲線のデータ整理
S−S曲線における測定開始点から連続10点をサンプリングし、最小二乗法により二次関数にフィッティングする。その後、サンプリング範囲10点の二次関数フィッティングにより上に凸の形状になるまで、測定開始点の左側から1点を除外し右側の1点を追加する。フィッティング関数が上に凸になった時点でデータ整理を終了とする。
2.S−S曲線の接線方程式の計算
1.のデータのn=i〜j番目(j=2〜50)のデータで最小二乗法により傾きと切片を求める。その後、j−1個の傾きについてk番目(k=1〜48)から49番目のデータを最小二乗法で1次関数にフィッティングし、歪が0の時の傾きを外挿により求める。得られた48点の中央値をとり、歪0のときの直線の傾き(S−S曲線接線)と定義する。切片についても同様に計算し、歪0におけるS−S曲線の接線の方程式を得る。
3.耐力の計算
2.で得られたS−S曲線の歪0における接線を歪方向に0.2%平行移動する。応力の測定データが、平行移動した直線の応力を上回ったデータの応力値を耐力とする。
実施例及び比較例において得られた光学フィルムの耐力を(株)島津製作所製「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。縦横10mm幅のフィルムを作製し、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で応力−歪曲線(S−S曲線)を測定した。
1.S−S曲線のデータ整理
S−S曲線における測定開始点から連続10点をサンプリングし、最小二乗法により二次関数にフィッティングする。その後、サンプリング範囲10点の二次関数フィッティングにより上に凸の形状になるまで、測定開始点の左側から1点を除外し右側の1点を追加する。フィッティング関数が上に凸になった時点でデータ整理を終了とする。
2.S−S曲線の接線方程式の計算
1.のデータのn=i〜j番目(j=2〜50)のデータで最小二乗法により傾きと切片を求める。その後、j−1個の傾きについてk番目(k=1〜48)から49番目のデータを最小二乗法で1次関数にフィッティングし、歪が0の時の傾きを外挿により求める。得られた48点の中央値をとり、歪0のときの直線の傾き(S−S曲線接線)と定義する。切片についても同様に計算し、歪0におけるS−S曲線の接線の方程式を得る。
3.耐力の計算
2.で得られたS−S曲線の歪0における接線を歪方向に0.2%平行移動する。応力の測定データが、平行移動した直線の応力を上回ったデータの応力値を耐力とする。
<全光線透過率>
JIS K 7105:1981に準拠して、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPにより、実施例及び比較例で得られた光学フィルムの全光線透過率(Tt)を測定した。
JIS K 7105:1981に準拠して、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPにより、実施例及び比較例で得られた光学フィルムの全光線透過率(Tt)を測定した。
<ヘーズ>
JIS K 7105:1981に準拠して、実施例及び比較例で得られた光学フィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPにより測定した。
JIS K 7105:1981に準拠して、実施例及び比較例で得られた光学フィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、スガ試験機(株)製の全自動直読ヘーズコンピュータHGM−2DPにより測定した。
<YI値>
実施例及び比較例で得られた光学フィルムについて、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製V−670)を用いて、三刺激値(X,Y,Z)を求め、下記計算式に代入することにより、YI値を算出した。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
実施例及び比較例で得られた光学フィルムについて、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製V−670)を用いて、三刺激値(X,Y,Z)を求め、下記計算式に代入することにより、YI値を算出した。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
<弾性率>
実施例及び比較例において得られた光学フィルムの弾性率を(株)島津製作所製「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。縦横10mm幅のフィルムを作製し、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で応力−歪曲線(S−S曲線)を測定し、その傾きから弾性率を算出した。
実施例及び比較例において得られた光学フィルムの弾性率を(株)島津製作所製「オートグラフAG−IS」を用いて測定した。縦横10mm幅のフィルムを作製し、チャック間距離50mm、引張速度10mm/分の条件で応力−歪曲線(S−S曲線)を測定し、その傾きから弾性率を算出した。
<耐折性の評価>
ASTM規格D2176−16に準拠して、実施例及び比較例における光学フィルムの折り曲げ回数を以下のように求めた。該光学フィルムを、ダンベルカッターを用いて15mm×100mmの短冊状にカットした。カットした光学フィルムをMIT耐折疲労試験機(「型式0530」、(株)東洋精機製作所製)本体にセットして、試験速度175cpm、折り曲げ角度135°、荷重0.75kgf、折り曲げクランプの半径R=1mmの条件で、光学フィルムが破断するまでの裏表方向への往復折曲げ回数を測定し、これを折り曲げ回数(耐折回数ともいう)とした。
ASTM規格D2176−16に準拠して、実施例及び比較例における光学フィルムの折り曲げ回数を以下のように求めた。該光学フィルムを、ダンベルカッターを用いて15mm×100mmの短冊状にカットした。カットした光学フィルムをMIT耐折疲労試験機(「型式0530」、(株)東洋精機製作所製)本体にセットして、試験速度175cpm、折り曲げ角度135°、荷重0.75kgf、折り曲げクランプの半径R=1mmの条件で、光学フィルムが破断するまでの裏表方向への往復折曲げ回数を測定し、これを折り曲げ回数(耐折回数ともいう)とした。
<厚さの測定>
ABSデジマチックインジケーター((株)ミツトヨ製、「ID−C112BS」)を用いて、実施例及び比較例で得られた光学フィルムの厚さを測定した。
ABSデジマチックインジケーター((株)ミツトヨ製、「ID−C112BS」)を用いて、実施例及び比較例で得られた光学フィルムの厚さを測定した。
<Mwの測定>
GPC測定
(1)前処理方法
実施例及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂にDMF溶離液(10mmol/L臭化リチウム添加溶液)を濃度2mg/mLとなるように加え、80℃にて30分間撹拌しながら加熱し、冷却後、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel α−2500((7)7.8mm径×300mm)×1本、α−M((13)7.8mm径×300mm)×2本
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:1.0mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン
GPC測定
(1)前処理方法
実施例及び比較例で得られたポリアミドイミド樹脂にDMF溶離液(10mmol/L臭化リチウム添加溶液)を濃度2mg/mLとなるように加え、80℃にて30分間撹拌しながら加熱し、冷却後、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:東ソー(株)製TSKgel α−2500((7)7.8mm径×300mm)×1本、α−M((13)7.8mm径×300mm)×2本
溶離液:DMF(10mmol/Lの臭化リチウム添加)
流量:1.0mL/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン
<合成例1:ポリアミドイミド樹脂(1)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.13質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、TAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.20mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.27mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.27mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.06mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.61mol%、60.61mol%、282.83mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(1)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(1)のMwは、748,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.13質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、TAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.20mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.27mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.27mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.06mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.61mol%、60.61mol%、282.83mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(1)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(1)のMwは、748,000であった。
<合成例2:ポリアミドイミド樹脂(2)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.27質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及び無水トリメリット酸と4,4’−ビフェノールとのエステル化物をTFMBに対してそれぞれ20.10mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.03mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.30mol%、60.30mol%、281.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(2)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(2)のMwは、139,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.27質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及び無水トリメリット酸と4,4’−ビフェノールとのエステル化物をTFMBに対してそれぞれ20.10mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.03mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.30mol%、60.30mol%、281.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(2)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(2)のMwは、139,000であった。
<合成例3:ポリアミドイミド樹脂(3)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.35質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して41.24mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(3)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(3)のMwは、174,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.35質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して41.24mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(3)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(3)のMwは、174,000であった。
<合成例5:ポリアミドイミド樹脂(5)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.81質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.41mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して36.73mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して36.73mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して8.16mol%になるように加え、2時間撹拌したが、途中で粘度上昇が顕著となり、溶液が寒天状となった。その後の合成操作が困難となったため、樹脂合成を断念した。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.81質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.41mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して36.73mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して36.73mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して8.16mol%になるように加え、2時間撹拌したが、途中で粘度上昇が顕著となり、溶液が寒天状となった。その後の合成操作が困難となったため、樹脂合成を断念した。
<合成例6:ポリアミドイミド樹脂(6)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.44質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して30.15mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して33.08mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して33.08mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して7.04mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して70.35mol%、70.35mol%、211.06mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(6)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(6)のMwは、612,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.44質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して30.15mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して33.08mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して33.08mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して7.04mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して70.35mol%、70.35mol%、211.06mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(6)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(6)のMwは、612,000であった。
<合成例7:ポリアミドイミド樹脂(7)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.63質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.20mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、DMTPCをTFMBに対して36.36mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにDMTPCをTFMBに対して36.36mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、DMTPCをTFMBに対して8.08mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して80.81mol%、80.81mol%、141.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(7)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(7)のMwは、482,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.63質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.20mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、DMTPCをTFMBに対して36.36mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにDMTPCをTFMBに対して36.36mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、DMTPCをTFMBに対して8.08mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して80.81mol%、80.81mol%、141.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(7)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(7)のMwは、482,000であった。
<合成例8:ポリアミドイミド樹脂(8)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.63質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.10mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して36.18mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して36.18mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して8.04mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して80.40mol%、80.40mol%、140.70mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(8)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(8)のMwは、483,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.63質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAをTFMBに対して20.10mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して36.18mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して36.18mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して8.04mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して80.40mol%、80.40mol%、140.70mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(8)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(8)のMwは、483,000であった。
<合成例9:ポリアミドイミド樹脂(9)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.52質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAとBPDAをTFMBに対してそれぞれ20.10mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して27.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して27.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して6.03mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.30mol%、60.30mol%、281.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(9)を得た。得られたポリアミド系樹脂(9)のMwは、594,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.52質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDAとBPDAをTFMBに対してそれぞれ20.10mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、OMTPCをTFMBに対して27.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにOMTPCをTFMBに対して27.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、OMTPCをTFMBに対して6.03mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して60.30mol%、60.30mol%、281.41mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(9)を得た。得られたポリアミド系樹脂(9)のMwは、594,000であった。
<合成例10:ポリアミドイミド樹脂(10)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.08質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、TAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.62mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(10)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(10)のMwは、486,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.08質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、TAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.62mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(10)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(10)のMwは、486,000であった。
<合成例11:ポリアミドイミド樹脂(11)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.08質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及びTAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.62mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(11)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(11)のMwは、215,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.08質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及びTAHMBPをTFMBに対してそれぞれ20.62mol%ずつになるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.84mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.84mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.19mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.86mol%、61.86mol%、288.66mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(11)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(11)のMwは、215,000であった。
<合成例12:ポリアミドイミド樹脂(12)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.16質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにTAHMBPをTFMBに対して30.61mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して32.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して32.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.14mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して71.43mol%、71.43mol%、214.29mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(12)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(12)のMwは、764,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.16質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコにTAHMBPをTFMBに対して30.61mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して32.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して32.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.14mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して71.43mol%、71.43mol%、214.29mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(12)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(12)のMwは、764,000であった。
<合成例13:ポリアミドイミド樹脂(13)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が4.86質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、TAHMBPをTFMBに対して40.82mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.55mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.55mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.12mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.22mol%、61.22mol%、285.71mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(13)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(13)のMwは、613,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が4.86質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、TAHMBPをTFMBに対して40.82mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して27.55mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して27.55mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して6.12mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して61.22mol%、61.22mol%、285.71mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(13)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(13)のMwは、613,000であった。
<合成例14:ポリアミドイミド樹脂(14)の製造>
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.29質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及びTAHMBPをTFMBに対してそれぞれ10.20mol%、20.41mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して32.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して32.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.14mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して71.43mol%、71.43mol%、214.29mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(14)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(14)のMwは、751,000であった。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、TFMB及び水分量700ppm以下まで厳密に脱水したDMAcをTFMBの固形分が5.29質量%となるように加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAc中に溶解させた。次に、フラスコに6FDA、及びTAHMBPをTFMBに対してそれぞれ10.20mol%、20.41mol%になるように添加し、室温で16時間撹拌した。その後、10℃に冷却した後に、TPCをTFMBに対して32.14mol%になるように加え、10分撹拌後に、さらにTPCをTFMBに対して32.14mоl%になるように加え、30分間撹拌した。その後、はじめに加えたDMAcと同量のDMAcを加え、10分間撹拌した後に、TPCをTFMBに対して7.14mol%になるように加え、2時間撹拌した。次いで、フラスコにジイソプロピルエチルアミンと4−ピコリン、無水酢酸をそれぞれTFMBに対して71.43mol%、71.43mol%、214.29mol%となるように加え、30分間撹拌した後、内温を70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、反応液を得た。
得られた反応液を室温まで冷却し、該反応液を大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノール中に6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、60℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド樹脂(14)を得た。得られたポリアミドイミド樹脂(14)のMwは、751,000であった。
<実施例1>
合成例1で得たポリアミドイミド樹脂(1)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を、ポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥後、得られた塗膜をポリエステル基材から剥離して、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに大気下、200℃で40分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(1)を得た。
合成例1で得たポリアミドイミド樹脂(1)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を、ポリエステル基材(東洋紡(株)製、商品名「A4100」)の平滑面上に自立膜の厚さが55μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、50℃で30分間、次いで140℃で15分間乾燥後、得られた塗膜をポリエステル基材から剥離して、自立膜を得た。自立膜を金枠に固定し、さらに大気下、200℃で40分間乾燥し、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(1)を得た。
<実施例2>
合成例6で得たポリアミドイミド樹脂(6)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ38μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(6)を得た。
合成例6で得たポリアミドイミド樹脂(6)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ38μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(6)を得た。
<実施例3>
合成例7で得たポリアミドイミド樹脂(7)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ42μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(7)を得た。
合成例7で得たポリアミドイミド樹脂(7)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ42μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(7)を得た。
<実施例4>
合成例8で得たポリアミドイミド樹脂(8)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(8)を得た。
合成例8で得たポリアミドイミド樹脂(8)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(8)を得た。
<実施例5>
合成例9で得たポリアミドイミド樹脂(9)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(9)を得た。
合成例9で得たポリアミドイミド樹脂(9)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(9)を得た。
<実施例6>
合成例10で得たポリアミドイミド樹脂(10)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(10)を得た。
合成例10で得たポリアミドイミド樹脂(10)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(10)を得た。
<実施例7>
合成例11で得たポリアミドイミド樹脂(11)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(11)を得た。
合成例11で得たポリアミドイミド樹脂(11)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(11)を得た。
<実施例8>
合成例12で得たポリアミドイミド樹脂(12)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(12)を得た。
合成例12で得たポリアミドイミド樹脂(12)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(12)を得た。
<実施例9>
合成例13で得たポリアミドイミド樹脂(13)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(13)を得た。
合成例13で得たポリアミドイミド樹脂(13)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(13)を得た。
<実施例10>
合成例14で得たポリアミドイミド樹脂(14)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(14)を得た。
合成例14で得たポリアミドイミド樹脂(14)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ40μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(14)を得た。
<比較例1>
合成例2で得たポリアミドイミド樹脂(2)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(2)を得た。
合成例2で得たポリアミドイミド樹脂(2)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(2)を得た。
<比較例2>
合成例3で得たポリアミドイミド樹脂(3)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(3)を得た。
合成例3で得たポリアミドイミド樹脂(3)及びDMAcを、樹脂組成物におけるポリアミドイミド樹脂の含有割合が10質量%となるような量で混合した。得られた樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の操作を行い、厚さ50μmのポリアミドイミド樹脂フィルム(3)を得た。
上記のようにして得た実施例及び比較例のポリアミドイミド樹脂フィルムについて、耐力、弾性率、全光線透過率、ヘーズ、YI値及び耐折回数の測定を行った。得られた結果を表1及び表2に示す。なお、合成例5の樹脂は合成中に不溶となり、ポリアミドイミド樹脂を合成できなかったため、測定及び評価を行えなかった。
表1及び表2に示される通り、実施例1〜10の光学フィルムは、YI値が低く、かつ、耐力が高く、耐折性に優れることが確認された。また、高い透明性を有することも確認された。これに対して、比較例1及び2の光学フィルムは、耐力が低く、耐折れ性が十分でないことが確認された。
Claims (12)
- 引張試験における耐力が81MPa以上であり、かつ、黄色度が3.0未満である、ポリイミド系樹脂を含む光学フィルム。
- 弾性率が4.8GPa以上である、請求項1に記載の光学フィルム。
- 全光線透過率が85%以上である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- ポリイミド系樹脂の重量平均分子量は100,000以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
- ポリイミド系樹脂は、式(1):
で表される構成単位を含み、式(1)中のYとして、式(2):
で表される構造を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。 - ポリイミド系樹脂はポリアミドイミド樹脂である、請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
- ポリイミド系樹脂は、式(3)中のZとして、式(4):
で表される構造を含む、請求項7に記載の光学フィルム。 - フレキシブル表示装置の前面板用のフィルムである、請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の光学フィルムを備えるフレキシブル表示装置。
- タッチセンサをさらに備える、請求項10に記載のフレキシブル表示装置。
- 偏光板をさらに備える、請求項10又は11に記載のフレキシブル表示装置。
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2020
- 2020-10-09 JP JP2020171459A patent/JP2021075701A/ja active Pending
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TW202126728A (zh) | 2021-07-16 |
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