JP2021074641A - 家畜糞尿混合排水の浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【目的】産業廃棄物である貝殻を有効利用でき、家畜糞尿混合排水を簡便かつ効率的に水質汚濁防止法の排出基準を満たすレベルまで浄化できる家畜糞尿混合排水の浄化方法を提供する。【手段】家畜糞尿混合排水20に、貝殻微粉末水溶液24を添加して撹拌する貝殻微粉末添加・攪拌工程Aと、攪拌した家畜糞尿混合排水24を所定時間静置して、沈殿汚泥28と微粉貝殻懸濁液33とに分離する汚泥・懸濁液沈降分離工程Bと、微粉貝殻懸濁液33に凝集剤34,35を添加して撹拌して粗大固形分38を生成させる凝集剤添加工程Cと、粗大固形分38を含む凝集剤添加処理水39を振動篩機18に通すことで、粗大固形分38をふるい分けにより除去して清澄水を得る粗大固形分スクリーン除去工程Dとを備えた。【選択図】図3

Description

本発明は、豚、牛といった家畜の糞尿排水(原水)を、活性汚泥処理槽などの従来型の浄化施設で処理することなく、簡便で効率よく環境排出基準を満たす水質まで改善可能な家畜糞尿混合排水の浄化方法に関する。
糞尿混合排水は、その殆どが水分で、BOD濃度は6,000〜10,000mg/Lという非常に高い有機物濃度を示す。従って、そのままでは公共用水域に放出できない。
そこで、一般的な家畜糞尿の処理現場では、まず原水である糞尿混合排水に、無機系及び高分子系凝集剤を添加して大きなフロックを形成させ、その後、このフロックをスクリュープレス型などの脱水機により糞と尿に固液分離する。
分離物の大半を占める排水は、上述したように水質汚濁防止法の規制を超える高濃度の有機物を含んでいるため、例えば、特許文献1および特許文献2などでは、家畜糞尿混合排水に活性汚泥等による二次的な浄化処理を行ってから、これを公共用水域へ放出している。
このような活性汚泥処理については、凝集・沈殿までに比較的長時間を要し、かつ排水処理設備が複雑でラニングコストも高騰するという課題が指摘されていた。
そこで、この課題を解決する従来手段として、例えば、特許文献3などが知られている。特許文献3には、原水の糞尿混合排水に対して強酸性及び強アルカリ性資材を利用した機械的固液分離を行い、分離された糞尿液をさらに糞と尿とに分離した後、この尿から有機物を除去するシステムが開示されている。
特許第6242436号公報 特許第4416972号公報 特許第3979571号公報
しかしながら、特許文献3では、その明細書の段落番号0016に、「この上澄み液(有機物を除去した尿)を測定した結果、BOD(生物化学的酸素要求量)及びSS(浮遊物質量)等が河川の水質基準濃度以下であった。」という記述があるのみで、具体的な実施例および結果については、何ら記載はなかった。
また、強酸性及び強アルカリ性処理剤を使用するため、排水の処理設備が複雑で、容器の材質選定などの問題点も多かった。
このような背景から、近年の家畜糞尿の処理現場では、排泄糞尿汚泥の大部分を占める液体成分(尿)について、BOD、化学的酸素要求量(COD)、SS、大腸菌群数、窒素含有量、リン含有量などが、水質汚濁防止法に規定される排出基準を十分に満たす、簡便で効率的な家畜糞尿混合排水の浄化方法の開発が望まれている。
そこで、本発明者は、鋭意研究の結果、豚又は牛などの家畜を対象に、畜舎から排出される家畜糞尿混合排水(原水)の有機微生物濃度を効率よく低減する方法として、従来、糞尿混合排水に対するBOD、CODなどの排出濃度の改善を目的とした浄水処理では採用されていない、産業廃棄物の一種である貝殻を含む貝殻微粉末水溶液を利用すればよいことに想到した。
すなわち、推定の域を出ないものの、貝殻微粉末水溶液を原水に攪拌混合することで、この有機物質等を、多孔質の貝殻微粉末の表面に吸着させるとともに各細孔に捕獲させ、その後、これを一定時間静置して沈殿汚泥(下層)の上に微粉貝殻懸濁液(上層)を発現させ、次いで、微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加・攪拌して粗大固形分を生成させ、その後は、こうして得られた粗大固形分を含む凝集剤添加処理水を、外圧(プレス等の加圧又はバキューム等による減圧(負圧))をかけずにスクリーンに通すだけで、有機物質等を捕獲した貝殻微粉末を含む粗大固形分が分離・除去され、水質汚濁防止法の排出基準を満たす清澄水が、活性汚泥などの追加処理を行うことなく簡単に得られることを知見し、この発明を完成させた。
本発明は、このような従来技術に鑑みなされたもので、産業廃棄物である貝殻を有効利用することができるとともに、家畜糞尿混合排水を小規模な処理設備で、簡便かつ効率的に水質汚濁防止法の排出基準を満たすレベルまで浄化できる家畜糞尿混合排水の浄化方法を提供すること目的とする。
請求項1に記載の発明は、家畜糞尿混合排水に、貝殻微粉末と水とを混ぜ合わせた貝殻微粉末水溶液を添加して撹拌する貝殻微粉末添加・攪拌工程と、この攪拌した家畜糞尿混合排水を所定時間静置して、下層の沈殿汚泥と、前記家畜糞尿混合排水中の少なくとも有機物質を捕獲した前記貝殻微粉末が浮遊する、上層の微粉貝殻懸濁液とに沈降分離する汚泥・懸濁液沈降分離工程と、この微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加して撹拌することにより、前記少なくとも有機物質を捕獲した貝殻微粉末を含む粗大固形分を生成させる凝集剤添加工程と、得られた前記粗大固形分を含む凝集剤添加処理水をスクリーンに通すことで、前記粗大固形分をふるい分けにより除去して清澄水を得る粗大固形分スクリーン除去工程とを備えたことを特徴とする家畜糞尿混合排水の浄化方法である。
家畜としては、例えば、牛、豚、馬、鶏などを採用することができる。
家畜糞尿混合排水とは、畜舎などから排出される洗浄水を含む家畜の糞と尿とが混ざり合った排水である。
<貝殻微粉末添加・攪拌工程>
貝殻微粉末水溶液とは、水(水道水等)と所定量の貝殻を湿式粉砕して得られる微粉末が混合した水溶液である。
貝殻微粉末の原料となる貝殻の種類は限定されない。例えば、牡蠣殻、ホタテ貝殻、アサリ殻、赤貝殻などを採用することができる。これらは単独で使用しても、複数を併用してもよい。これらの貝殻は貝肉の採取、加工後に多量に廃棄処分されており、その入手は容易である。
貝殻微粉末水溶液としては、例えば、主成分が炭酸カルシウム(CaCO)である貝殻を生のまま湿式粉砕したものを採用することができる。しかしながら、この生の貝殻を高温(例えば、600℃〜1,000℃)で加熱することで、炭酸カルシウムの全部又は一部を酸化カルシウム(CaO)とし、これを湿式粉砕したものの方が好ましい。その理由は、酸化カルシウムを含む貝殻を水中で湿式粉砕することにより、家畜糞尿混合排水の殺菌剤となる強アルカリの水酸化カルシウム(Ca(OH))の生成量が増加するためである。
貝殻微粉末の平均粒径(メジアン径)は、家畜糞尿混合排水に貝殻微粉末水溶液を添加して撹拌した後、所定時間静置して沈殿汚泥の上に微粉貝殻懸濁液が現出する値であれば限定されない。例えば、0.8μm以下である。
平均粒径が0.8μmを超えれば(例えば、5μm〜100μmなど)、貝殻微粉末が大きく(重く)なりすぎて、有機物質等の一部を捕獲した貝殻微粉末が水中で浮遊することができず、沈殿汚泥の上には微粉貝殻懸濁液でなく透明な上澄み液が発生し、水質汚濁防止法に規定される項目のうち、SS値を除いて排出基準を改善する効果が低減してくる。
特に、貝殻微粉末の好ましい平均粒径は、0.5μm以下である。この範囲であれば、処理排水のBOD,COD値が排出基準の20〜30%以下に抑えられる。例えば、平均粒径が0.2μm〜0.4μmの貝殻微粉末の場合、BET比表面積は40〜55m/g、細孔体積は0.3〜0.5cc/gの多孔質の微粒子となる。これにより、原水中に溶解している微小な有機物質等を、浮遊する貝殻微粉末の表面に吸着およびその細孔にトラップすることができる。
貝殻微粉末水溶液における貝殻微粉末の濃度は限定されない。例えば、40〜250g/リットルを採用することができる。この場合、40g/リットル未満では、原水が過度に希釈され反応槽の設備容量が大きくなる。また、250g/リットルを超えれば、水溶液の粘度が高くなり、輸送・貯蔵面でのトラブルが生じ易くなる。特に好ましい貝殻微粉末の濃度量は、55〜200g/リットルである。この範囲であれば、混合撹拌、輸送および貯蔵を行う上で適切な粘度が得られる。
家畜糞尿混合排水に含まれる貝殻微粉末水溶液の添加量は限定されない。例えば、家畜糞尿混合排水100質量部に対して、貝殻微粉末の固形分換算で0.5〜3.0質量部となる量を採用することができる。
この場合、0.5質量部未満では、家畜糞尿混合排水に対しての貝殻微粉末の添加量が少なすぎて、微粉貝殻懸濁液が発現し難い。また、3.0質量部を超えれば、家畜糞尿混合排水に対しての貝殻微粉末の添加量が多すぎて、懸濁液沈降分離および凝集剤添加工程における過度の凝集剤使用の原因となり、凝集処理が煩雑になる。特に、貝殻微粉末水溶液の好ましい添加量は、家畜糞尿混合排水100質量部に対して、貝殻微粉末の固形分換算で1.0〜2.0質量部である。この範囲であれば、限定された添加量で十分な排出基準値の達成ができる。
家畜糞尿混合排水と貝殻微粉末水溶液との攪拌混合は、反応槽で行うことができる。もちろん、家畜糞尿混合排水(原水)を溜める貯留槽内で行ってもよい。
また、貝殻微粉末水溶液が添加された家畜糞尿混合排水を攪拌する方法は任意である。例えば、棒・板・プロペラ状の攪拌子を回転させる撹拌子式攪拌機などを使用してもよい。
貝殻微粉末水溶液を含む家畜糞尿混合排水の攪拌時間は限定されないものの、例えば、30分間以上である。攪拌時間が30分間未満では、家畜糞尿混合排水中に貝殻微粉末水溶液を均質化できないおそれがある。好ましい攪拌時間は、30分間〜60分間である。この範囲であれば、比較的短時間での均質化が可能であり、且つ複数の反応槽を連続的に稼働させることによる効率的な施設の運転が可能となる。
攪拌により均質化した貝殻微粉末水溶液を含む家畜糞尿混合排水のPH値は、PH9〜PH12である。PH9未満では、貝殻由来のアルカリ成分(水酸化カルシウムなど)による、家畜糞尿混合排水中の大腸菌等に対する殺菌力が十分に得られない。また、PH10を超えれば、水素イオン濃度が高すぎて、凝集剤の添加量が不必要に増えてくる。なお、好ましいPH値は、PH9〜PH10である。この範囲であれば、大腸菌等に対する殺菌力を保持しつつ、適量の凝集剤で粗大固形分を生成させることができる。
<汚泥・懸濁液沈降分離工程>
攪拌した家畜糞尿混合排水の静置時間は、攪拌されたこの混合排水が、沈殿汚泥と微粉貝殻懸濁液とに沈降分離できれば任意である。例えば、0.5時間〜24時間でもよい。この場合、0.5時間未満では、攪拌後の混合排水を、沈殿汚泥と微粉貝殻懸濁液とに十分に沈降分離できない。また、24時間を超えれば静置時間が不要に長くなる。特に、攪拌した家畜糞尿混合排水の好ましい静置時間は、6時間〜12時間である。この範囲であれば、複数の汚泥・懸濁液沈殿槽の連続的で効率的な運転が可能となる。
ここでいう「少なくとも有機物質」とは、家畜糞尿混合排水に含まれた各種の有害物質(水質汚染物質)のうち、貝殻微粉末が捕獲するものとして、必ず有機物質が含まれていることを意味する。
ここでいう沈殿汚泥とは、家畜糞尿混合排水に含まれる糞等の固形成分である。
また、ここでいう微粉貝殻懸濁液とは、少なくとも有機物(以下、有機物質等という場合がある)を捕獲した多量の貝殻微粉末が水中に浮遊(ブラウン運動)しているコロイド状のものである。
<凝集剤添加工程>
微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加・攪拌するにあたっては、微粉貝殻懸濁液が生成された反応槽などから、例えば、懸濁液凝集槽などに微粉貝殻懸濁液のみを移送して行った方が、攪拌時などに沈降汚泥の影響がないために好ましい。もちろん、反応槽で行ってもよい。
凝集剤の種類は限定されない。例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸鉄(III)、ポリ塩化鉄(III)などの無機系凝集剤を採用することができる。その他、高分子凝集剤を採用することができる。高分子凝集剤としては、例えば、ノニオン系のポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、尿素−ホルマリン樹脂などを採用することができる。また、カチオン系の高分子凝集剤である、例えば、ポリアミノメチルアクリルアミド、ポリビニルイミダゾリン、キトサン、アイオネン系共重合体、エポキシアミン系共重合体を採用してもよい。さらには、両性高分子凝集剤である、例えば、レシチン系両性界面活性剤、カゼイン分解物系両性界面活性剤などでもよい。
なお、凝集剤は、例えば、貝殻微粉末水溶液に対して無機系凝集剤を添加し、その後、高分子凝集剤を添加してもよい。
微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加することで、添加後に回収される清澄水の水素イオン濃度は、環境省が規定する水質汚泥防止法の排出基準をクリアする値まで低下できる。
微粉貝殻懸濁液に対する凝集剤の添加量は、添加される凝集剤の種類などにより適宜異なる。例えば、無機系凝集剤の添加後、高分子凝集剤を添加する場合にあっては、無機系凝集剤は0.5〜1.5g/リットルである。0.5g/リットル未満では、凝集が不十分である。また、1.5g/リットルを超えれば、微粉貝殻懸濁液が酸性になる。一方、高分子系凝集剤は0.05〜0.2g/リットルである。0.05g/リットル未満では、凝集が不完全となる。また、0.2g/リットルを超えれば、微粉貝殻懸濁液の粘度が高くなり、また過剰量の凝集剤使用に起因する経済性の問題と排水中のBOD,COD値が増加してくる。
ここでいう粗大固形分とは、有機物質等を捕獲した貝殻微粉末が凝集剤によりかたまり状となったものである。
粗大固形分の大きさは任意である。例えば、0.5mm以上である。0.5mm未満では、スクリーン通過後の排水中に含有する捕獲されない有機物質量が多くなる。
<粗大固形分スクリーン除去工程>
スクリーン(篩)の種類は、外圧(プレス等の加圧又はバキューム等による減圧(負圧))をかけずに(自重のみで)粗大固形分を含んだ凝集剤添加処理水をふるい分け可能なものであれば限定されない。例えば、金網、振動篩を採用することができる。外圧を作用させて粗大固形分の分離除去を行った場合、粗大固形分が壊れて、清澄水に有機物質等が混入してしまう。
スクリーンの目開きは、例えば、0.1mm〜2.0mmである。0.1mm未満では、排水に長時間を要する。また、2.0mmを超えれば、生成した粗大固形分の一部が排水中に混入し、清澄水に含まれる有機物質等の濃度が高まる。スクリーンの好ましい目開きは、0.5mm〜1.0mmである。この範囲であれば、比較的短時間で粗大固形分の混入しない排水が可能である。
また、請求項2に記載の発明は、前記貝殻微粉末は、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60%以上のものであることを特徴とする請求項1記載の家畜糞尿混合排水の浄化方法である。
レーザー回折・散乱法とは、粒子に光を照射した時、各粒子径により散乱される散乱光量とパターンが異なることを利用した粒子径分布(粒度分布)測定方法である。
貝殻微粉末の粒度が0.1μm未満では、貝殻仕込み量、粉砕時間など粉砕に係わる製造技術上の問題がある。また、1.0μmを超えれば、貝殻微粉末が大きすぎて、家畜糞尿混合排水に貝殻微粉末水溶液を添加・撹拌後に所定時間静置しても、沈殿汚泥の上に微粉貝殻懸濁液を現出することができない。特に、貝殻微粉末の好ましい粒度は、0.2μm〜0.4μmである。この範囲であれば、既存の湿式粉砕技術で容易に製造できる貝殻粉末水溶液を使った効率的な微粉貝殻懸濁液の発現が可能となる。
また、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60%未満では、静置後の沈殿汚泥の上には清澄な上澄み液が得られるものの、SS値以外の水質基準濃度の改善は限定的である。平均粒径が3〜10μmで、1.0μm以下の粒子の積算分布がゼロ、あるいは、ほとんど測定されない貝殻粒子からなる貝殻微粉末水溶液を用いた場合も同様である。
特に、この範囲の粒子の好ましい積算分布は、80%〜100%である。この範囲であれば、より少ない添加量でBOD,CODなど排出基準値を十分に下回る結果が得られる。
請求項3に記載の発明は、前記貝殻微粉末は、牡蠣殻、ホタテ貝殻を含む貝殻のうち、少なくとも1種を微粉砕したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家畜糞尿混合排水の浄化方法である。
貝殻微粉末は、牡蠣殻、ホタテ貝殻といった貝殻のうち、1種類のみを微粉砕したものでも、複数種類を混合して微粉砕したものでもよい。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、まず、貝殻微粉末添加・攪拌工程において、例えば、反応槽に貯留された家畜糞尿混合排水に、所定量の貝殻微粉末水溶液を添加し、これらを攪拌して混合する。これにより、家畜糞尿混合排水に含まれた有害物質のうち、少なくとも有機物質が、多孔質の貝殻微粉末の表面に吸着し、かつ各細孔に捕獲される。また、貝殻微粉末水溶液は強アルカリ性を有しているため、これを家畜糞尿混合排水に攪拌混合した際に、家畜糞尿混合排水に含まれた大腸菌等を殺菌することができる。
その後、汚泥・懸濁液沈降分離工程において、この貝殻微粉末水溶液を添加した家畜糞尿混合排水を、反応槽内で一定時間静置する。これにより、反応槽の底部に沈殿汚泥(下層)が溜まり、その上に、家畜糞尿混合排水中の少なくとも有機物質を捕獲した貝殻微粉末が浮遊している微粉貝殻懸濁液(上層)が発現する。
次いで、凝集剤添加工程において、微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加して攪拌する。これにより、有機物質等を含む貝殻微粉末が凝集剤の凝集作用で集まり、粗大固形分が生成される。
その後、粗大固形分スクリーン除去工程において、こうして得られた粗大固形分を含む凝集剤添加処理水を、粗大固形分が壊れやすくなる外圧(プレス等の加圧又はバキューム等による減圧)をかけずに、スクリーンを使用したふるい分けを行う。これにより、有機物質等を捕獲した貝殻微粉末を含む粗大固形分が分離・除去され、水質汚濁防止法の排出基準を満たす清澄水が、活性汚泥などの追加処理を行うことなく、簡便かつ効率的に得ることができる。よって、設備コストおよび運転コストの面で有利な小規模の処理設備を使用する中小の畜産業者でも、比較的採用が容易となる。
また、貝殻微粉末の原料である貝殻は産業廃棄物であるため、この不要な貝殻を有効利用することもできる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、貝殻微粉末として、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60%以上のものを採用したため、家畜糞尿混合排水に貝殻微粉末水溶液を添加・撹拌後に所定時間静置することで、沈殿汚泥の上方に微粉貝殻懸濁液を良好に現出することができる。
本発明の家畜糞尿排水の浄化方法が適用された家畜糞尿処理システムの全体図である。 本発明の家畜糞尿排水の浄化方法における貝殻微粉末への有機物質等の捕獲状態を模式的に示す要部拡大正面図である。 本発明の家畜糞尿排水の浄化方法のフローシートである。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。但し、下記実施例は本発明の一例を示すもので、本発明はこれに限定されるものではない。
図1において、10は本発明の実施例1に係る家畜糞尿排水の浄化方法が適用される家家畜糞尿処理システムで、この家畜糞尿処理システム10は、主に、原水貯留槽11と、反応槽12と、貝殻微粉末水供給槽13と、脱水機14と、懸濁液凝集槽15と、無機系凝集剤供給槽16と、高分子系凝集剤供給槽17と、振動篩機(スクリーン)18とを備えている。
このうち、原水貯留槽11は、畜舎19から排出された牛や豚などの家畜の糞尿を含む家畜糞尿混合排水(原水)20を一定期間貯留する容器である。
反応槽12は、第1のスラリーポンプ21および第1のパイプ22を介して、原水貯留槽11の底部から圧送された家畜糞尿混合排水20と、第2のパイプ23を介して、貝殻微粉末水供給槽13から添加された所定量の貝殻微粉末水溶液24とを貯留するとともに、貯留されたこれらを攪拌する第1の撹拌機25を搭載した沈降分離用の容器である。
貝殻微粉末水溶液24とは、主成分が炭酸カルシウム(CaCO)の生の牡蠣殻(貝殻)を高温(600℃〜1,000℃)で加熱して、炭酸カルシウムの一部を酸化カルシウム(CaO)とし、これを湿式粉砕したものである。
牡蠣殻の微粉末である貝殻微粉末50のサイズは、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60%以上のものである。
なお、貝殻微粉末水供給槽13には、貝殻微粉末水溶液24の均質性を維持するために、この水溶液24を攪拌する第2の撹拌機26が搭載されている。なお、第1,2の撹拌機25,26は、いずれも電動モータMにより攪拌羽根Fの回転軸Sを所定速度で回転させる回転羽根式のものである(後述する第3の撹拌機も同じ)。
脱水機14は、第3のパイプ27を介して、反応槽12の底部と原料供給部が連結されて、反応槽12の下部に溜まった沈殿汚泥28を加圧脱水する装置である。脱水汚泥は、脱水機14から取り出されて再利用され、脱水により発生した排水は排水パイプ29から外部排出される。排水パイプ29の途中部には、排水の一部又は全部を反応槽12に戻すために、先端が反応槽12の上部空間に配されたバイパス管30の基端部が連結されている。
懸濁液凝集槽15は、第2のスラリーポンプ31および第4のパイプ32を介して、反応槽12の底部付近から圧送された微粉貝殻懸濁液33と、無機系凝集剤供給槽16から添加された無機系凝集剤34と、高分子系凝集剤供給槽17から添加された高分子凝集剤35とを貯留するとともに、貯留されたこれらを攪拌する第3の撹拌機36を搭載した、粗大固形分の生成容器である。
振動篩機18は、懸濁液凝集槽15の底部に連結された処理水排出パイプ37から取り出された粗大固形分38を含む凝集剤添加処理水39を、図示しないバイブレータにより振動する篩にかけることで、粗大固形分38と清澄水aとにふるい分ける装置である。網面に残った粗大固形分38は、取り出されて外部排出され、また網下の清澄水aは、清澄水a排出パイプ40を通って河川又は海へ放流される。
次に、図3のフローシートを参照して、この家畜糞尿処理システム10を利用した家畜糞尿排水の浄化方法を説明する。
図2に示すように、この家畜糞尿排水の浄化方法は、順に施される貝殻微粉末添加・攪拌工程Aと、汚泥・懸濁液沈降分離工程Bと、凝集剤添加工程Cと、粗大固形分スクリーン除去工程Dとを備えている。
以下、これらの工程を具体的に説明する。
貝殻微粉末添加・攪拌工程Aでは、まず、第1のスラリーポンプ21および第1のパイプ22を介して、原水貯留槽11の底部から家畜糞尿混合排水20を反応槽12に圧送して貯留する一方、貝殻微粉末水供給槽13からは、第2のパイプ23を介して、所定量の貝殻微粉末水溶液24を反応槽12に投下する。その後、これらの液体20,24は、第1の撹拌機25を使用して所定の時間だけ攪拌されることで、均一に混合される。
これにより、推測ではあるものの、家畜糞尿混合排水20に含まれた有機物質X等(少なくとも有機物質)が、多孔質の貝殻微粉末50の表面に吸着し、かつ各細孔50aに捕獲される(図3を参照)。
また、貝殻微粉末水溶液24が均一に混合された家畜糞尿混合排水20のPH値は、PH9〜PH10に調整されている。このように、貝殻微粉末水溶液24は強アルカリ性を有しているため、これを家畜糞尿混合排水20と攪拌混合した際に、家畜糞尿混合排水20に含まれた大腸菌等を殺菌することができる。
次に、汚泥・懸濁液沈降分離工程Bでは、攪拌によってヘドロ状となった家畜糞尿混合排水20と貝殻微粉末水溶液24との混合液体を、反応槽12内で所定時間だけ静置する。これにより、反応槽12の底部に、家畜糞尿混合排水20に含まれた糞等からなる沈殿汚泥28が沈下する。一方、沈殿汚泥28の上には、微粉貝殻懸濁液33が現出する。ここでいう微粉貝殻懸濁液33とは、家畜糞尿混合排水20に含まれる有機物質X等を捕獲した多量の貝殻微粉末50が、水中で浮遊するコロイド状の液体である。
このうち、沈殿汚泥28は、後に第3のパイプ27を介して、反応槽12の底部から脱水機14に移送され、ここで加圧脱水されて脱水汚泥と排水とに分離される。脱水汚泥は脱水機14から取り出され、汚泥として処理される。一方、排水は排水パイプ29により外部に排出されるものの、これをバイパス管30により反応槽12に戻してもよい。こうすれば、その後の排水の無害化処理等が不要となる。
次に、凝集剤添加工程Cでは、まず、反応槽12の底部付近から、第2のスラリーポンプ31および第4のパイプ32を介して、微粉貝殻懸濁液33を懸濁液凝集槽15に圧送する。
次いで、第5のパイプ41を介して、無機系凝集剤供給槽16から所定量の無機系凝集剤(ポリ塩化アルミニウムなど)34を、微粉貝殻懸濁液33に所定量だけ添加し、その後、第3の撹拌機36を使用してこれらを所定時間攪拌することで、1回目の凝集を行う。
次に、第6のパイプ42を介して、高分子系凝集剤供給槽17から所定量の高分子系凝集剤(ポリアクリルアミドなど)35を、1回目の凝集が完了したものに添加し、その後、同様に第3の撹拌機36によりこれらを所定時間攪拌する。この2回目の撹拌により固形分が成長して粗大化し、粗大固形分38が生成される。このようにして、有機物質X等をトラップした貝殻微粉末50を含む粗大固形分38を得ることで、粗大固形分スクリーン除去工程Dにおいて、汎用の振動篩機18を利用した、自重による粗大固形分(有機物質X等)38の除去が可能となる。
このとき、強アルカリである微粉貝殻懸濁液33に対する各凝集剤34,35の添加により、得られた粗大固形分38を含む凝集剤添加処理水39の水素イオン濃度はほぼ中性域となり、河川又は海へと放流可能な水質基準を満たす。
なお、ここでいう粗大固形分38とは、家畜糞尿混合排水20に含まれる有機物質X等を捕獲した貝殻微粉末50が、各凝集剤34,35の凝集作用によってかたまり状となったものである。
次いで、粗大固形分スクリーン除去工程Dでは、処理水排出パイプ37を介して、懸濁液凝集槽15の底部から粗大固形分38を含む凝集剤添加処理水39が振動篩機18に移送される。ここでは、プレス等による加圧、バキューム等による負圧といった粗大固形分38が壊れやすくなる外圧をかけずに、バイブレータで振動する目開き0.1〜2.0mmの篩に、凝集剤添加処理水39を通して(供給して)ふるい分ける。これにより、凝集剤添加処理水39から粗大固形分38が除去されて、清澄水aが得られる。
このように、予め有機物質X等を捕獲した貝殻微粉末50を含む粗大固形分38を生成させ、その後、得られた粗大固形分38を、外圧をかけずにふるい分けによって分離・除去するようにしたため、水質汚濁防止法の排出基準を満たす清澄水aが、活性汚泥などの追加処理を行うことなく、簡便かつ効率的に得ることができる。その結果、例えば、設備コストおよび運転コスト面で有利な小規模の処理設備を利用する中小畜産業者でも、本発明が適用された家畜糞尿排水の浄化システム10の採用が容易となる。
なお、貝殻微粉末水溶液24の使用により、排水基準値の著しい改善がなされる理由については、詳細は不明であるものの、微細貝殻粉(貝殻微粉末50)の細孔構造に起因するものと思われる。代表的な貝殻微粉末水溶液に含まれる貝殻微粉末50の平均粒径(メジアン径)は、0.2〜0.4μmで、BET比表面積および細孔体積の測定値は、それぞれ40〜55m/gおよび0.3〜0.5cc/gであり、多孔質である。そのため、家畜糞尿混合排水20に溶解している微小な有機物質X等が、微粉貝殻懸濁液33の中で浮遊する貝殻微粉末50に吸着又はその細孔50a内にトラップされ、さらに、2種類の凝集剤34,35の添加によって微粉貝殻懸濁物が粗大化したものを分離除去することで、清澄水aが得られると考えられる。
また、清澄水aの水素イオン濃度はほぼ中性域となり、PH値において水質基準を満たすため、清澄水排水パイプ40を介して河川又は海へと放流することができる。
さらに、貝殻微粉末50の原料である牡蠣殻(貝殻)は産業廃棄物であるため、この不要な貝殻を有効利用することもできる。
なお、分離された粗大固形分38は、汚泥として処理される。
次に、表1を参照して、実施例1の家畜糞尿排水の浄化方法に則り、実際に試験(試験例、比較例)を実施した結果を報告する。なお、以下の試験例は、本発明の一例を示すものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
表1中に記載された各測定項目の測定値の測定方法は、以下の通りである。
(1)水素イオン濃度:日本薬局方一般試験法のPH測定法
(2)生物化学的酸素要求量(BOD): JIS K 0102 21 隔膜電極法
(3)化学的酸素要求量(COD):JIS K 0102 17 過マンガン酸カリウム酸素消費量
(4)浮遊物質量(SS);JIS K0102 14.1
(5)窒素含有量;JIS K 0102 45.2 紫外線吸収法
(6)燐含有量;JIS K 012 46.1.1 モリブデン青吸光光度法
(7)大腸菌群数:デソキシコーレイト寒天平板培養方法
(試験例1)
家畜糞尿混合排水(原水)20の1リットルを原水貯留槽11から反応槽12に圧送し、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が100%(メジアン径0.2822μm)の貝殻微粉末50を、濃度88g/Lで含む貝殻微粉末水溶液24を、貝殻微粉末水供給槽13から0.160リットル(家畜糞尿混合排水20の100質量部に対して貝殻微粉末50の固形分換算で1.4質量部)を添加した。
その後、この反応槽12において、家畜糞尿混合排水20と貝殻微粉末水溶液24との混合液を第1の撹拌機25により300rpmで30分間撹拌し、この混合液の均質化を促進させてPH9.2のヘドロ状の液体を得た。
次いで、第1の撹拌機25による攪拌を中止し、この状態でヘドロ状の液体を1時間静置した。これにより、反応槽12の底部に、固体成分である沈殿汚泥(下層)28が沈降し、この上に液体成分である微粉貝殻懸濁液(上層)33が現出した。
その後、微粉貝殻懸濁液33を懸濁液凝集槽15に移送し、まず微粉貝殻懸濁液33に対して無機系凝集剤34のポリ塩化アルミニウムを固形分換算で0.9g添加して、これを第1の撹拌機25により300rpm、5分間撹拌した。次いで、攪拌を停止して、微粉貝殻懸濁液33に対してメタアクリレート系のカチオン高分子凝集剤35を固形分換算で0.1g添加した。その後、これを第1の撹拌機25により300rpmで3分間撹拌した。これにより、微粉貝殻懸濁液33中の固形分が粗大化した。
次いで、撹拌により生じた粗大固形分38を、目開き0.5mmの振動篩機18に通して分離除去し、得られた清澄水aについて、水素イオン濃度(PH)、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、遊物質量(SS)、窒素含有量、燐含有量、大腸菌群数をそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、これらの分析値は、水質汚濁防止法による排出基準に比べてはるかに低い数値であり、清澄水aのPHは、河川および海などへの放流が可能な8.2であった。
Figure 2021074641
(試験例2)
貝殻微粉末水溶液24として、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が75.7%の貝殻微粉末50(メジアン径0.5262μm)を含むもの(微粉貝殻懸濁液33が発生)を採用したほかは、試験例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20を浄化処理した。その結果は、表1に示す通りで、試験例1の場合と同じように、得られた分析値は、水質汚濁防止法による一律排出基準値を何れも下回っていた。
(試験例3)
貝殻微粉末水溶液24として、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60.2%の貝殻微粉末(メジアン径0.7505μm)50を含むもの(微粉貝殻懸濁液33が発生)を採用したほかは、試験例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20を浄化処理した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、清澄水aの各分析値は水質汚濁防止法による基準値を何れもクリアしていた。
(比較例1)
貝殻微粉末水溶液24の代わりに、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が52.2%の貝殻微粉末(メジアン径0.9050μm)50を含むもの(微粉貝殻懸濁液33は発生せず)を採用したほかは、実施例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20を浄化処理した。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、清澄水aの各分析値は、水素イオン濃度(PH値)およびSS値を除いて、環境省の一律排出基準を超過する結果が得られた。
(比較例2)
貝殻微粉末水溶液24の代わりに、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が37.5%の貝殻微粉末(メジアン径1.6093μm)50を含むもの(微粉貝殻懸濁液33は発生せず)を採用したほかは、実施例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20の浄化処理を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、清澄水aの各分析値は、水素イオン濃度(PH値)を除いて、環境省の一律排出基準を超過する結果が得られた。
(比較例3)
貝殻微粉末水溶液24の代わりに、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が2.6%の貝殻微粉末(メジアン径9.7439μm)50を含むもの(微粉貝殻懸濁液33は発生せず)を採用したほかは、実施例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20の浄化処理を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、清澄水aの各分析値は、水素イオン濃度(PH値)を除いて、環境省の一律排出基準を超過する結果が得られた。
(比較例4)
貝殻微粉末水溶液24の代わりに、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が0%の貝殻微粉末(メジアン径20μm)50を含むもの(微粉貝殻懸濁液33は発生せず)を採用したほかは、実施例1と同様にして、家畜糞尿混合排水20の浄化処理を行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、清澄水aの各分析値は、水素イオン濃度(PH値)を除いて、環境省の一律排出基準を超過する結果が得られた。
このように、家畜糞尿混合排水20の排出量、質は排泄する動物の種類、飼料の成分、さらには季節などによって変動するといわれているが、例えば豚の糞尿混合排水(原水)のBOD、SS値はそれぞれ2,500〜4,000mg/リットルおよび4,000〜5,000mg/リットルである。そのため、微粉貝殻懸濁液33が現出する浄化処理により得られた清澄水aの水質は、水質汚濁防止法の排出基準を十分にクリアしていることが示された。従って従来型の活性汚泥法などでの追加処理は不要であり、簡易で効率的な糞尿浄化法を確立することができた。
本発明は、豚、牛、鶏などの家畜の糞尿排水を浄化する技術として有用である。
18 振動篩機(スクリーン)
20 家畜糞尿混合排水
24 貝殻微粉末水溶液
28 沈殿汚泥
33 微粉貝殻懸濁液
34 無機系凝集剤(凝集剤)
35 高分子系凝集剤(凝集剤)
38 粗大固形分
39 凝集剤添加処理水
A 貝殻微粉末添加・攪拌工程
B 汚泥・懸濁液沈降分離工程
C 凝集剤添加工程
D 粗大固形分スクリーン除去工程

Claims (3)

  1. 家畜糞尿混合排水に、貝殻微粉末と水とを混ぜ合わせた貝殻微粉末水溶液を添加して撹拌する貝殻微粉末添加・攪拌工程と、
    この攪拌した家畜糞尿混合排水を所定時間静置して、下層の沈殿汚泥と、前記家畜糞尿混合排水中の少なくとも有機物質を捕獲した前記貝殻微粉末が浮遊する、上層の微粉貝殻懸濁液とに沈降分離する汚泥・懸濁液沈降分離工程と、
    この微粉貝殻懸濁液に凝集剤を添加して撹拌することにより、前記少なくとも有機物質を捕獲した貝殻微粉末を含む粗大固形分を生成させる凝集剤添加工程と、
    得られた前記粗大固形分を含む凝集剤添加処理水をスクリーンに通すことで、前記粗大固形分をふるい分けにより除去して清澄水を得る粗大固形分スクリーン除去工程とを備えたことを特徴とする家畜糞尿混合排水の浄化方法。
  2. 前記貝殻微粉末は、レーザー回折・散乱法により測定する体積基準の粒度分布において、0.1μm〜1.0μmの粒子の積算分布が60%以上のものであることを特徴とする請求項1記載の家畜糞尿混合排水の浄化方法。
  3. 前記貝殻微粉末は、牡蠣殻、ホタテ貝殻を含む貝殻のうち、少なくとも1種を微粉砕したものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の家畜糞尿混合排水の浄化方法。

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