第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る基板洗浄装置を有する基板処理装置の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態において、「基板のおもて面側」は図2の上方側を意味し、「基板の裏面側」は図2の下方側を意味し、基板の法線方向を「第一方向」と呼び、基板Wの面内方向を「面内方向」と呼ぶ。なお、「基板のおもて面側」を「一方側」とも呼び、「基板の裏面側」を「他方側」とも呼ぶ。
図1に示すように、基板処理装置は、略矩形状のハウジング110と、多数の基板Wをストックする基板Wカセットが載置されるロードポート112と、を有している。ロードポート112は、ハウジング110に隣接して配置されている。ロードポート112には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板Wカセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板Wとしては、例えば半導体ウェハ等を挙げることができる。
ハウジング110の内部には、複数(図1に示す態様では4つ)の研磨ユニット114a〜114dと、研磨後の基板Wを洗浄する第1洗浄ユニット116及び第2洗浄ユニット118と、洗浄後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット120とが収容されている。研磨ユニット114a〜114dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット116、118及び乾燥ユニット120も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本実施の形態の基板処理装置によれば、直径300mm又は450mmの半導体ウェハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCC
D(Charge Coupled Device)等のイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random
Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板Wを、研磨処理することができる。
ロードポート112、ロードポート112側に位置する研磨ユニット114a及び乾燥ユニット120に囲まれた領域には、第1搬送ロボット122が配置されている。また、研磨ユニット114a〜114d並びに洗浄ユニット116、118及び乾燥ユニット120と平行に、搬送ユニット124が配置されている。第1搬送ロボット122は、研磨前の基板Wをロードポート112から受け取って搬送ユニット124に受け渡したり、乾燥ユニット120から乾燥後の基板Wを受け取ったりする。
第1洗浄ユニット116と第2洗浄ユニット118との間に、これら第1洗浄ユニット116と第2洗浄ユニット118の間で基板Wの受け渡しを行う第2搬送ロボット126が配置され、第2洗浄ユニット118と乾燥ユニット120との間に、これら第2洗浄ユニット118と乾燥ユニット120の間で基板Wの受け渡しを行う第3搬送ロボット128が配置されている。さらに、ハウジング110の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部50が配置されている。本実施の形態では、ハウジング110の内部に制御部50が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング110の外部に制御部50が配置されてもよいし、遠隔地から遠隔操作できるようになってもよい。また、制御部50は複数の装置から構成されてもよく、制御部50が複数の装置から構成される場合には、制御部50を構成する装置は異なる部屋又は異なる場所に設置されてもよく、制御部50の一部と制御部50の残部が遠隔地に配置されてもよい。
第1洗浄ユニット116として、洗浄液の存在下で、基板Wの直径のほぼ全長にわたって直線状に延びるロール洗浄部材を接触させ、基板Wに平行な中心軸周りに自転させながら基板Wの表面をスクラブ洗浄するロール洗浄装置が使用されてもよい。また、第2洗浄ユニット118として、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材の下端接触面を接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板Wの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄装置が使用されてもよい。また、乾燥ユニット120として、水平に回転する基板Wに向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板Wを乾燥させ、さらに基板Wを高速で回転させて遠心力によって基板Wを乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用されてもよい。
なお、第1洗浄ユニット116としてロール洗浄装置ではなく、第2洗浄ユニット118と同様のペンシル洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。また、第2洗浄ユニット118としてペンシル洗浄装置ではなく、第1洗浄ユニット116と同様のロール洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。本発明の態様は、第1洗浄ユニット116にも第2洗浄ユニット118にも適用でき、ロール洗浄装置、ペンシル洗浄装置、及び/又は、二流体ジェット洗浄装置とともに用いることもできる。なお、図2乃至図6に示す態様では、典型的なものを示しており、ペンシル洗浄装置及び二流体ジェット洗浄装置に本発明の態様が用いられている。
本実施の形態の洗浄液には、純水(DIW)等のリンス液と、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸等の薬液が含まれている。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液又は薬液のいずれかを意味している。
図2に示すように、本発明の実施の形態による基板洗浄装置は、筐体5と、筐体5内で基板Wを保持するチャック等からなる保持部60と、保持部60に連結された被回転部30と、被回転部30の周縁外方に設けられ、被回転部30を回転させる回転部35と、保持部60によって保持された基板Wを物理洗浄する洗浄部10,20と、を有してもよい。図2に示すよう態様では、筐体5の内部に被回転部30が設けられ、筐体5の外部に回転部35が設けられているが、これに限られることはく、筐体5の内部に被回転部30と回転部35の両方が設けられてもよい。保持部60は、基板Wを保持していない場合には開又は閉状態となっており、基板Wを保持する場合には閉状態となっている。制御部50からの指令に基づいて保持部60の開閉を制御してもよいし、基板Wを載置することで自動的に保持部60が閉状態となり、基板Wを取り除くときに(一定以上の力が加わることで)自動的に開状態となるようにしてもよい。
図2に示す態様では、保持部60が2つだけ示されているが、上方から見たときに、本実施の形態では4つの保持部60が均等に(回転中心を中心として90°の角度で)配置されてもよい。なお、保持部60の数は、基板Wを安定的に支持できればよく、例えば3つとしてもよい。また、基板Wの周縁全体を保持部60が保持するようになっていてもよい。図2では、水平方向に基板Wを保持した例を示したが、これに限定されず、例えば、縦方向(鉛直方向)に基板Wを保持する構成としてもよいし、水平方向に傾斜するようにして基板Wを保持する構成としてもよい。
回転部35は、被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させてもよい。一例としては、回転部35がステーターとなり、被回転部30がローターとなり、被回転部30が磁力により非接触な状態で回転されてもよい。この場合、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有してもよい。逆に、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有してもよい。なお、回転部35は、筐体5の周縁全体を取り囲むようにして設けられてもよい。ちなみに、コイルへの配線の引き回し等を考慮すると、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様の方が有益である。回転部35と被回転部30は、被回転部30をベアリングで軸支することなく非接触で面内方向における位置を制御しつつ回転させることができるいわゆるベアリングレス・モータを構成する。基板洗浄装置を小型化するために、このベアリングレス・モータは、ローターを空間保持するための別の磁気軸受を有さない。このベアリングレス・モータは公知のものを用いることができる。なお、被回転部30の回転が止まって基板Wの保持、開放動作をする際にも、磁力により被回転部30の第一方向における位置および面内方向における位置および回転位相を所定の位置および位相に維持することができる。
回転部35と被回転部30の他の一例としては、回転部35と被回転部30は特開平4-94537に記載されるようにモータとラジアル磁気軸受とスラスト磁気軸受の組み合わせにより構成されてもよい。
なお、回転部35が被回転部30と接触した状態で被回転部30を回転させてもよい。一例としては、被回転部30及び回転部35の各々が歯車を有し、この歯車で互いに物理的に連結されており、回転部35が回転することで被回転部30が回転するようにしても
よい。
洗浄部10,20は、基板Wの第1表面(図2では上面)を物理洗浄する第1洗浄部10と、第1表面の反対側の第2表面(図2では下面)を物理洗浄する第2洗浄部20とを有してもよい。本実施の形態では、「第1表面」を「表面(おもて面)」とも呼び、「第2表面」を「裏面」とも呼ぶ。
保持部60に連結された回転カップ40が設けられてもよい。そして、この回転カップ40に被回転部30が設けられてもよい。一例としては、図2に示すように、回転カップ40の他方側端部に被回転部30が設けられてもよい。
被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、回転カップ40及び被回転部30は筐体5のいずれにも接触せず、宙を浮いた状態で回転されることになる。本実施の形態の態様によれば、基板Wを例えば400rpm〜1250rpm、好ましくは500rpm〜1000rpmで回転させることもできる。ちなみに、回転数が高すぎると、気流の乱れが激しくなり、洗浄液の飛び散りが大きく、基板Wも乾燥しやすくなる。このため、これらの観点からすると、回転数を1250rpmよりも大きくない方が好ましく、1000rpmより大きくない方がより好ましい。但し、本実施の形態の態様によれば3000rpmで回転させることも可能である。
なお、スピンドル等の回転支持部を採用した場合には、回転支持部と基板Wとの間から発生する粉塵を防止するために、最大でも500rpmまでの回転数で回転させるものとなっていた。これに対して、本実施の形態によれば、好ましくは500rpm以上で回転させることもできるので、スピンドル等の回転支持部を採用した場合と比較して洗浄能力を高めることもできる。
また、図2に示すように、回転カップ40の内側に保持部60を支持する支持柱41が設けられており、この支持柱41の一方側端部(基板Wの法線方向に沿った基板W側の端部)に保持部60が設けられてもよい。なお、図2に示す態様では、保持部60の一方側端部よりも回転カップ40の一方側端部の方が、基板Wよりも遠い位置に位置付けられている。また、回転カップ40の他方側端部(基板Wの法線方向に沿った基板Wと反対側の端部)に被回転部30を設け、被回転部30から延びた支持柱41の一方側端部(基板Wの法線方向に沿った基板W側の端部)に保持部60を設ける態様を採用する場合には、より確実に、被回転部30を洗浄液で冷却しつつ、基板Wの周縁外方に回転カップ40を位置付けることができる点で有益である。
回転カップ40の周縁外方には、固定カップ45が設けられてもよい。このような固定カップ45を採用することで、回転カップ40によって生じる気流の乱れを抑制できる点では有益である。
回転カップ40には、回転カップ40で受けた洗浄液を排出するための1つ又は複数の図示しない排出部が設けられてもよい。排出部から排出された洗浄液は、ドレインに導かれ、排液処理がされてもよい。複数の排出部を設ける場合には、円周方向において均等に排出部を設けてもよい。また、図2に示すように、固定カップ45と回転カップ40との間には、間隙が設けられており、固定カップ45で受けた洗浄液は、固定カップ45の内壁を伝ってドレインに導かれ、排液処理がされてもよい。
洗浄部10,20は0.3N以上3N以下で基板Wを物理洗浄してもよい。なお、本実施の形態の「物理洗浄」には、閾値以上(例えば0.3N以上)の力を加える洗浄を意味し、閾値以上の力が加わるのであれば二流体ジェット洗浄のような流体を用いた洗浄も含
まれている。3Nを超える力が加わった場合、例えば、スポンジ部材が基板Wに押し当てられてごみが抜けなくなることも想定される。あるいは、二流体ジェットからの噴流が基板Wにダメージを与えてしまう懸念も想定される。もちろん、3Nを大幅に超える力(例えば、10Nを超えるような力)が基板Wの重心から大きく離れた位置にたまたま加わることで、基板Wが宙を浮いて回転する基板W又は回転カップ40が傾く可能性も場合によってはありうる。このため、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、物理洗浄する際の力は3N以下とすることが好ましい。また、0.3N未満となると基板Wに対する洗浄力が劣ってしまう。このため、物理洗浄する際の力は0.3N以上とすることが好ましい。
図2に示すように、第1洗浄部10は、第1揺動軸16を中心として揺動する第1アーム15と、第1アーム15の先端側に設けられて基板W側に向かって延びた第1洗浄部11,12と、を有してもよい。図2に示す態様では、第1洗浄部11,12が、第1流体ジェット洗浄部12及び第1ペンシル洗浄部11を有している。図示しない第1移動部として例えばアクチュエータ等が設けられ、第1流体ジェット洗浄部12及び第1ペンシル洗浄部11の各々が第1移動部によって、基板Wの第1表面に向かって近接させられたり、第1表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。また、第1アーム15自体が、基板Wの第1表面に向かって近接させられたり、第1表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。なお、流体ジェット洗浄部とは、液体と液体の混合流体を高速で噴出する2流体ジェットノズルを有する。
図2に示すように、第2洗浄部20は、第2揺動軸26を中心として揺動する第2アーム25と、第2アーム25の先端側に設けられて基板W側に向かって延びた第2洗浄部21,22と、を有してもよい。図2に示す態様では、第2洗浄部21,22が、第2流体ジェット洗浄部22及び第2ペンシル洗浄部21を有している。図示しない第2移動部は例えばアクチュエータ等からなり、第2流体ジェット洗浄部22及び第2ペンシル洗浄部21の各々は第2移動部によって、基板Wの第2表面に向かって近接させられたり、第2表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。また、第2アーム25自体が、基板Wの第2表面に向かって近接させられたり、第2表面から離れる方向に向かって離隔させられたりしてもよい。
また、第1表面に対して、薬液を供給する第1薬液供給ノズル91aと、リンス液を供給する第1リンス液供給ノズル91bが設けられてもよい。同様に、第2表面に対して、薬液を供給する第2薬液供給ノズル92aと、リンス液を供給する第2リンス液供給ノズル92bが設けられてもよい。
第1ペンシル洗浄部11は、第1アーム15の先端部で回転可能に設けられ、図示しない駆動機構によってその中心軸を回転軸として回転(自転)してもよい。この回転軸は例えば基板Wの法線方向に沿った軸である。第1ペンシル洗浄部11の先端は、例えばPVAスポンジからなってもよい。第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されると、第1アーム15の先端部に取り付けられた第1ペンシル洗浄部11は、円弧状の軌跡を描いて基板Wの上を移動する。第1ペンシル洗浄部11は、基板Wの中心を通過してもよい。また、第1ペンシル洗浄部11は、基板Wの外周まで移動させられてもよい。また、第1アーム15が揺動することによる第1ペンシル洗浄部11の移動軌跡は、第1アーム15の長さを半径とする円弧状となり、その移動範囲は、基板Wの外周から基板Wの中心を過ぎたところまでとなってもよい。
同様に、第2ペンシル洗浄部21は、第2アーム25の先端部で回転可能に設けられ、図示しない駆動機構によってその中心軸を回転軸として回転(自転)してもよい。この回転軸は例えば基板Wの法線方向に沿った軸である。第2ペンシル洗浄部21は、例えばPVAからなってもよい。第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されると、第2アーム25の先端部に取り付けられた第2ペンシル洗浄部21は、円弧状の軌跡を描いて基板Wの上を移動する。第2ペンシル洗浄部21は、基板Wの中心を通過してもよい。また、第2ペンシル洗浄部21は、基板Wの外周まで移動させられてもよい。また、第2アーム25が揺動することによる第2ペンシル洗浄部21の移動軌跡は、第2アーム25の長さを半径とする円弧状となり、その移動範囲は、基板Wの外周から基板Wの中心を過ぎたところまでとなってもよい。
なお、第1流体ジェット洗浄部12及び第2流体ジェット洗浄部22の各々は、液体及び気体を混合した2つの流体によって基板Wを洗浄するためのものである。
図3に示すように、第1洗浄部10は、待機時に、基板Wの上方には位置しないようにしてもよい。このような態様を採用することで、待機時において、基板Wに第1洗浄部10から洗浄液が垂れてしまうことを未然に防止できる。また、第1洗浄部10が、待機時に、基板Wの法線方向(図3では上方向)に位置しないようにすることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第1洗浄部10が障害になることを防止できる。さらに、基板Wの法線方向において固定カップ45の先端(図3の上端)よりも基板Wから離れた位置であって固定カップ45の先端の周縁外方の位置に位置付けられてもよい。この位置に第1洗浄部10を位置付けることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第1洗浄部10が障害になることをより確実に防止できる。
図3に示すように、第2洗浄部20は、待機時に、基板Wの法線方向(図3では下方向)において被回転部30よりも基板Wから離れた位置(図3では被回転部30よりも下方の位置)に位置付けられてもよい。この位置に第2洗浄部20を位置付けることで、基板Wを筐体5内に搬入する際に第2洗浄部20が障害になることをより確実に防止できる。ちなみに、基板Wを筐体5内に搬入する際に第2洗浄部20が障害とならないことがある。この場合には、図3のような待機位置に第2洗浄部20を位置付けなくてもよい。
《方法》
本実施の形態の基板洗浄装置を用いた基板Wの洗浄方法(基板処理方法)の一例は、以下のようになる。なお、上記と重複することになるので簡単に説明するに留めるが、上記「構成」で述べた全ての態様を「方法」において適用することができる。また、逆に、「方法」において述べた全ての態様を「構成」において適用することができる。また、本実施の形態の方法を実施させるためのプログラムは記録媒体に記録されてもよく、この記録媒体をコンピュータ(図示せず)で読み取ることで、本実施の形態の方法が基板処理装置で実施されてもよい。
まず、搬送ユニット124又は第2搬送ロボット126によって筐体5内に搬送された基板Wがチャック等の保持部60によって保持される。このとき、第1洗浄部10及び第2洗浄部20は図3に示す待機位置に位置付けられている。
次に、回転部35によって被回転部30が回転させられ、その結果、回転カップ40と一体となって保持部60によって保持された基板Wが回転される。このように基板Wを保持部60によって保持させる際には、後述する第2の実施の形態以降の態様を採用してもよい。
基板Wが回転されている間に、基板Wの第1表面には第1薬液供給ノズル91aから薬液が供給され、基板Wの第2表面には第2薬液供給ノズル92aから薬液が供給される。このようの薬液が供給されている間に、第1ペンシル洗浄部11によって基板Wの第1表面が物理洗浄され、第2ペンシル洗浄部21によって基板Wの第2表面が物理洗浄される。より具体的には、第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されて、第1ペンシル洗浄部11が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。同様に、第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されて、第2ペンシル洗浄部21が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。この間、第1ペンシル洗浄部11及び第2ペンシル洗浄部21の各々は、0.3N以上3N以下(例えば2N)で基板Wに押し付けられつつ、回転されてもよい。
第1ペンシル洗浄部11及び第2ペンシル洗浄部21による洗浄が終了すると、第1ペンシル洗浄部11及び第2ペンシル洗浄部21の各々を基板Wから離隔させる。そして、薬液の供給を停止させると同時又は直前に、第1流体ジェット洗浄部12及び第2流体ジェット洗浄部22の各々を基板Wに対して近接位置に位置付け、基板Wの第1表面には第1流体ジェット洗浄部12から二流体を噴射し、基板Wの第2表面には第2流体ジェット洗浄部22から二流体を噴射する。なお、薬液の供給を停止させると同時又はその前に二流体が基板Wに噴射されるのが好ましい。なお、二流体ノズルは、液体と気体とを二流体ノズルのケーシング外で混合させて液体の液滴を形成する外部混合型のノズルとすることができる。あるいは、これに代えて、液体と気体とをノズル内部で混合させて液体の液滴を形成する内部混合型のノズルを二流体ノズルとして使用することも可能である。
このように二流体が噴射されている間に、第1アーム15が第1揺動軸16を中心として揺動されて、第1流体ジェット洗浄部12が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。同様に、第2アーム25が第2揺動軸26を中心として揺動されて、第2流体ジェット洗浄部22が、基板Wの中心を通過して、基板Wの外周まで移動させられる。このような二流体を用いた洗浄でも基板Wには一定の圧力が働く。この圧力は0.3N以上3N以下となってもよく、一例として1.5Nとなっている。
二流体ジェット洗浄を停止させると同時又は直前に、基板Wの第1表面に第1薬液供給ノズル91aから薬液が供給され、基板Wの第2表面に第2薬液供給ノズル92aから薬液が供給される。このように薬液が供給されている間に、第1洗浄部10及び第2洗浄部20は図3に示す待機位置に位置付けられる。
次に、基板Wの第1表面に第1リンス液供給ノズル91bからリンス液が供給され、基板Wの第2表面に第2リンス液供給ノズル92bからリンス液が供給される。リンス液が基板Wに到達するだけの時間又は十分な時間が経過した後で、第1薬液供給ノズル91a及び第2薬液供給ノズル92aの各々からの薬液の供給を停止させる。リンス液が基板Wに到達するだけの時間が経過したかは、予め測定された時間が用いられてもよい。この場合には、例えば、制御部50が図示しない記憶部に記憶されたレシピを読み出すことで、予定のタイミングで薬液の供給を停止させてもよい。
所定の時間だけリンス液で基板Wの第1表面及び第2表面の各々を洗浄した後で、基板Wの回転を停止させる。より具体的には、回転部35による被回転部30の回転が停止され、その結果、回転カップ40と一体となって保持部60によって保持された基板Wの回転が停止される。
基板Wを濡れた状態で、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128によって筐体5から取り出される。このように基板Wを取り出す際には、後述する第2の実施の形態以降の態様を採用して、保持部60から基板Wから取り外されてもよい。
仕上げ洗浄であり、第2洗浄ユニット118で基板Wの洗浄が行われている場合には、第3搬送ロボット128によって筐体5から取り出されて、乾燥ユニット120内に基板Wが搬送されてもよい。そして、このように乾燥ユニット120内に基板Wが搬送されると、乾燥ユニット120によって基板Wが乾燥されることになる。
なお、リンスによる洗浄の後、第1リンス液供給ノズル91b及び第2リンス液供給ノズル92bからのリンス液の供給を停止させ、保持部60によって保持された基板Wを高速で回転させることで、リンス液を振り切って乾燥させてもよい。本実施の形態では、例えば3000rpmまでの回転数で基板Wを回転させることができるので、このように乾燥させることも可能となる。この態様を採用した場合には、仕上げ洗浄から乾燥までを1つのユニット内で行える点で有益である。
上述したように、基板Wの第1表面及び第2表面の両方を同時に、ペンシル洗浄部11,21を用いつつ薬液で洗浄したり、二流体ジェット洗浄したりすることで、第1表面又は第2表面の一方だけを洗浄し反転させる態様と比較して、短時間で基板Wを洗浄できる点で有益である。
《作用・効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による作用・効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。なお、「作用・効果」で記載された態様を、上記「構成」において適用することもできる。
本実施の形態では、基板Wが保持部60で保持され、この保持部60自体を、被回転部30を回転部35によって回転させることで回転させる。このため、スピンドルのような基板Wとの間にこすれが発生する機構を用いないので、粉塵を生じにくくすることができ、基板Wに対する逆汚染を少なくすることができる。また、本実施の形態によれば、基板Wの裏面(第2表面)側に、特許文献1の図1に示されるようなチャックを支持するような機構が設けられないので、気流の乱れを少なくすることもできるし、基板Wの裏面(第2表面)側の物理洗浄も比較的容易に行うことができる。
とりわけ、図2乃至図6に示すように、回転部35が中空形状となっている態様を採用した場合には、第2表面側から問題なく第2洗浄部21,22がアクセスできる。このため、第2表面についてもより容易に物理洗浄が可能となる。さらに、回転部35が中空形状となっている態様を採用した場合には、回転する部材の中央部に部材が設けられていない(羽根として機能するものが設けられていない)。このため、気流が乱れたり負圧が発生したりすることをより確実に防止できる。なお、気流が乱れたり負圧が発生したりすると、雰囲気中の洗浄液が舞い戻って基板Wに付着してしまい、最終的には汚れとなる可能性がある。この点、回転部35が中空形状となっている態様を採用することで、このような不都合が発生してしまうことを防止できる。
また、本実施の形態によれば、基板Wの第1表面及び第2表面の両方を同時に洗浄することも容易にできるので、第1表面又は第2表面の一方だけを洗浄し反転させる態様と比較して、短時間で基板Wを洗浄できる点でも有益である。また、基板Wを反転させると装置構成が大きくなってしまうのに対して、本実施の形態によれば、装置構成が大きくなることを極力避けることができる。
また、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、被回転部30及び回転部35から一定程度の発熱が生じることがある。しかしながら、図2乃至図6に示すように被回転部30を洗浄液で冷却できる態様を採用することで、被回転部30による発熱によって不都合が発生する可能性を未然になくすことができる。回転部35が筐体5の内方に設けられている場合には洗浄液で回転部35を冷却でき、逆に、回転部35が筐体5の外方に設けられている場合には空冷によって回転部35を冷却することができる。回転部35が筐体5の外方に設けられている場合、回転部35を金属等のベース部材(例えばアルミベース部材)、又は放熱ジャケットもしくは水冷ジャケットに取り付けて冷却してもよい。
回転部35が、被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させる態様を採用した場合には、回転部35と被回転部30からゴミが発生してしまうことを防止することができる点で有益である。つまり、被回転部30及び回転部35の各々が歯車を有し、この歯車で互いに物理的に連結され、回転部35が回転することで被回転部30が回転するような態様では、歯車に塗られるグリス等に起因して、ゴミが発生してしまうことがある。この点、前述した態様によれば、このようなゴミが発生してしまうことを未然に防止できる。
なお、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、コイルに電流が供給されていないときに、回転部35の磁石と被回転部30としての磁石とが引き寄せられ、回転カップ40が筐体5のいずれかの内面と接触することになる。一般に、回転カップ40と筐体5とが接触しない方が好ましいことから、図6に示すように、被回転部30としての磁石は回転カップ40よりも周縁外方に突出する突出部30aを有している態様を採用してもよい。このような突出部30aを設けることで、突出部30aと筐体5とが接触し、回転カップ40が筐体5と接触することを未然に防止できる。突出部30aは、周縁全体にわたって設けられてもよいし、断続的に設けられてもよいし、均等に数か所(例えば4か所〜12か所)で設けられてもよい。
本実施の形態によれば粉塵を生じにくくすることができるので、仕上げ洗浄に向いている。一例としては、第1洗浄ユニット116で採用されたロール洗浄部材によって、基板Wの第1表面及び第2表面を比較的荒く洗浄し、第2洗浄ユニット118のペンシル洗浄部11,21及び流体ジェット洗浄部12,22によって、第1表面及び第2表面の仕上げ洗浄を行ってもよい。なお、ペンシル洗浄部11,21よりも流体ジェット洗浄部12,22の方が洗浄部に起因する汚れが付きにくいことから、ペンシル洗浄部11,21による洗浄を行った後で流体ジェット洗浄部12,22による洗浄を行う方が有益である。
なお、従来であれば、裏面である第2表面について高い洗浄度が求められていないこともあり、装置構成が大型化したり時間がかかったりすることから、第2表面については高い洗浄度による洗浄を行っていなかった。この点、本実施の形態によれば、これらのデメリットが存在しないことから、裏面である第2表面についても高い洗浄度を容易に実現できる点で有益である。
回転カップ40を採用した場合には、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことを防止できる。つまり、回転カップ40が存在せず固定カップ45だけが存在する態様であれば、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことがあるが、回転カップ40を採用することで、そのような不都合が生じることを防止できる。
とりわけ、回転カップ40に、保持部60に連結された被回転部30が設けられている態様を採用した場合には、基板Wと回転カップ40とを同じ回転数で回転させることができる。このため、基板Wから飛び散った洗浄液等が再び基板Wに跳ね返ってしまうことをより確実に防止できる。なお、回転カップ40を採用した場合には重みが重くなることから、通常の当業者であれば、回転部35が被回転部30と非接触な状態で被回転部30を回転させる態様を採用しようとは思わない。この点、回転部35と被回転部30からゴミが発生してしまうことを優先させ、基板Wへの影響を最小限に抑えることを目指した結果として、本実施の形態では、このような態様を採用することを示している。
第1洗浄部11,12によって力が加わる箇所と第2洗浄部21,22によって力が加わる箇所とが、平面図において点対称となるように制御部50が制御してもよい(図4参照)。このような態様を採用することで、基板Wの第1表面側から加わる力と第2表面側から加わる力を点対称とすることができ、ひいてはバランスよく相殺することを期待できる。よって、第1洗浄部11,12及び第2洗浄部21,22によって加わる力で、基板Wの回転が妨げられることを防止できる。とりわけ、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、基板Wが宙を浮いて回転することから、このような態様を採用することで、基板Wが傾くことを防止できる点で有益である。なお、この態様を採用する場合には、力を相殺するという観点からは、同じタイミングで加わる、第1洗浄部11,12によって加わる力と第2洗浄部21,22によって加わる力とを同一又は略同一とすることが有益である。なお、「略同一」とは、その差が両者の力の平均の5%以内であることを意味し、第1洗浄部11,12によって加わる力F1とし、第2洗浄部21,22によって加わる力F2とし、F1とF2の平均値をFaとした場合に、0.95×Fa≦F1,F2≦1.05×Faとなることを意味する。
また、第1洗浄部11,12によって力が加わる箇所と第2洗浄部21,22によって力が加わる箇所とが、平面図において同じ箇所となるように制御部50が制御してもよい(図5参照)。このような態様を採用することで、基板Wの第1表面側から加わる力と第2表面側から加わる力をより確実に相殺できる。よって、第1洗浄部11,12及び第2洗浄部21,22によって加わる力で、基板Wの回転が妨げられることを防止できる。とりわけ、被回転部30が磁石を有し、回転部35がコイル又はコイルと磁石を有する態様、又は、被回転部30がコイル又はコイルと磁石を有し、回転部35が磁石を有する態様を採用した場合には、基板Wが宙を浮いて回転することから、このような態様を採用することで、基板Wが傾くことをより確実に防止できる点で有益である。なお、この態様を採用する場合には、力を相殺するという観点からは、同じタイミングで加わる、第1洗浄部11,12によって加わる力と第2洗浄部21,22によって加わる力とを同一又は略同一とすることが有益である。
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、図7に示すように、保持部60が、基板Wを保持する保持部材162と、保持部材162に付勢力を付与する弾性部材169(図9参照)とを有する態様となっている。また、弾性部材169による付勢力に対して反対側の力を付与して保持部材162を開状態にする開放装置170(図8参照)が設けられている。なお、開放装置170の制御は制御部50によって行われてもよく、この場合には、基板Wの保持部60による保持や、保持部60で保持された基板Wの取り外しを自動で行える点で有益である。その他の構成については、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。第1の実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
本実施の形態では、一例として、図13に示すように4つの保持部60(60a−60d)が設けられている態様を用いて説明する。あくまでも一例であり、保持部60は、2つ、3つ又は5つ以上設けられてもよい。
開放装置170は、基板Wのおもて面側で保持部材162に当接し保持部材162を開状態にしてもよい。開放装置170は保持部60に対応して配置され、保持部60と同じ数だけ設けられてもよい。このような態様を採用することで、複数の保持部材162を同じタイミングで開状態にすることができる。なお、複数の開放装置170から開放機構が構成されてもよい。図14に示すような態様では、第一保持部60aを開放するための開放装置170と第二保持部60bを開放するための開放装置170が一つの開放機構を構成し、第三保持部60cを開放するための開放装置170と第四保持部60dを開放するための開放装置170が別の一つの開放機構を構成してもよい。
開放装置170は、基板Wのおもて面側から保持部60に近接して保持部材162を開状態にする態様となってもよい(図15参照)。但し、これに限られることはなく、開放装置170は、基板Wの裏面側から保持部60に近接してもよいし、基板Wの側方から保持部60に近接してもよい。なお、開放装置170が基板Wのおもて面側から保持部60に近接して保持部材162を開状態にする態様を採用した場合には、裏面側に開放機構に関する装置を設ける必要がなくなることから、基板Wの裏面を洗浄を容易に行える点で有益である。
図8に示すように、開放装置170は、開放本体部171と、開放本体部171を第一方向に沿って移動させる第一方向移動部172と、を有してもよい。第一方向移動部172は例えばエアシリンダ等であってもよい。開放装置170は、基板洗浄装置の筐体5の一方側部分の内周面に取り付けられてもよく、例えば筐体5が一方側と他方側で分離可能となっている場合において、筐体5の一方側の内周面に開放装置170が取り付けられてもよい。
後述する支持部材180及び押圧部材190を第一方向で移動させる第一方向移動部172を採用した場合には、基板Wを洗浄している間等、開放装置170を利用しないときには、支持部材180及び押圧部材190を退避位置(例えば基板Wよりも一方側の位置)に位置づけることができる点で有益である。
図7に示すように、保持部60は、保持本体部161と、保持本体部161の先端側に設けられた保持部材162と、保持本体部161の先端及び基端の間に設けられ、保持部材162を揺動させるための揺動軸163と、保持部材162の先端側を周縁内方に押し付けるための弾性部材169(図9参照)と、を有してもよい。揺動軸163は保持部材162を面内方向で揺動させてもよいが、これに限られることはなく、揺動軸163は保持部材162を面内方向に対して傾斜して揺動させるようになってもよいし、第一方向に沿って揺動させるようになってもよい。なお、本実施の形態では、保持部材162が設けられている側を保持部60の「先端側」と呼び、その反対側を「基端側」と呼ぶ。
弾性部材169は保持本体部161と被回転部30に当接するようにして設けられてもよい。一例として、弾性部材169は、図9に示すように保持本体部161内及び被回転部30に設けられた捻じりバネであってもよい。この場合には、被回転部30に設けられた溝39に捻じりバネの一端側が当接し、保持本体部161内に設けられた溝39に捻じりバネの他端側が当接してもよい。保持部60は、被回転部30に対して揺動軸163を中心に揺動可能に取り付けられている。捻じりバネは弾性部材169として、揺動軸163を中心として保持本体部161を図7の矢印Aの方向に回転させるように、保持本体部163を付勢している。弾性部材169により、保持部材162の先端は基板の周縁部を保持する方向に付勢されている。保持部材162が基板の周縁部を保持している状態を「閉状態」、基板の周縁部の保持を開放した状態を「開状態」と称する。
なお、保持部材162の矢印A方向側の先端(つまり、保持部材162のうち基板Wを保持する部分)は、図15等に示すように断面V字の爪形状になっていてもよい。
図8に示すように、開放装置170は、保持部材162が開状態になったときに基板Wの裏面を支持する支持部材180を有してもよい。支持部材180は、開放本体部171から他方側に延びた支持延在部181の他方側端部に設けられてもよい。支持部材180は基板Wのおもて面側から近接して基板Wの裏面側に移動し、保持部材162が開状態になる前に基板Wの裏面側に位置づけられ、保持部材162が開状態になったときに基板Wの裏面を支持するようになってもよい(図15(b)(c)参照)。この場合には、支持延在部181が回転されて、支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけられるようになってもよい。このように支持延在部181を回転させる態様を採用した場合には、基板Wを洗浄している間等、開放装置170を利用しないときに基板Wのおもて面側(又は第一方向)に支持部材180が位置づけられないようにし、かつ、(後述する変形例2で示すような態様と比較しても)基板Wの径方向で大きさが大きくなることを防止できる点で有益である。なお、支持部材180の基板支持面は、基板Wの面内方向に対して傾斜する傾斜面であってもよいし、基板Wの裏面に向かった凸部を有してもよい。これらの態様を採用した場合には、基板Wの裏面との接触面積を少なくすることができ、ひいては、接触汚染を抑制できる点で有益である。
回転カップ40が設けられている態様においては、支持部材180は、回転カップ40の周縁内方であって基板Wの周縁外方を通過して、基板Wの裏面側に位置づけられるようになってもよい(図15(b)参照)。
図8に示すように、開放装置170は基板Wの面内方向に沿って移動する押圧部材190を有してもよい。図7に示すように、保持部60は押圧部材190で押圧される被押圧部材165を有してもよい。そして、被押圧部材165が押圧部材190で押圧されることで、保持部材162が開状態になってもよい。本実施の形態における「面内方向に沿って」とは、面内方向に沿った成分を有することを意味し、面内方向に対して傾斜する態様も含まれている。押圧部190の他方側に伸びる先端が被押圧部165をひっかけるようにして図7の矢印Aと逆方向、すなわち矢印B方向に押圧すると、保持部60(保持本体部161)は弾性部材169の付勢力に逆らって矢印B方向に揺動する。
回転カップ40が設けられている態様においては、基板Wのおもて面側から見たときに、被押圧部材165は回転カップ40の内周縁と基板Wの外周縁との間に設けられてもよい(図15参照)。
押圧部材190は、図8に示すように、開放本体部171から他方側に延びた押圧延在部191の他方側端部に設けられてもよい。押圧部材190は、支持部材180と同様、基板Wのおもて面側から近接してもよい。この場合には、押圧延在部191が回転されて押圧部材190が被押圧部材165に当接し、被押圧部材165を押圧することで、保持部材162が開くようになってもよい(図15(d)参照)。このように押圧延在部191を回転させる態様を採用した場合にも、基板Wを洗浄している間等、開放装置170を利用しないときに基板Wのおもて面側(又は第一方向)に押圧部材190が位置づけられないようにし、かつ、(後述する変形例3で示すような態様と比較しても)基板Wの径方向で大きさが大きくなることを防止できる点で有益である。
開放本体部171は、押圧延在部191を軸として押圧部190を回転させる第1のアクチュエータと、支持延在部181を軸として支持部材180を回転させるための第2のアクチュエータを有していてもよい。第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータは例えばモータである。図7及び図8に示す例においては、押圧部190が矢印Cの方向に回転して被押圧部165を押圧すると、保持部60は矢印Bの方向に回転する。すると、保持部材162の先端が基板Wの周縁部から離れて、基板Wの保持を開放する。基板Wの保持を開放する際又は当該開放に先立ち、支持部材180がFの方向に回転して、基板Wの裏面を支持する。また、押圧部190が矢印Cの方向に回転して保持部60を矢印Bの方向に揺動させて基板の保持を開放した状態から、押圧部190が矢印Dの方向に回転すると、保持部60は弾性部材169の付勢力により矢印Aの方向に揺動し、保持部材162の先端が基板Wの周縁部を保持する。保持部60が基板Wを保持すると、支持部材180は矢印Eの方向に回転して基板Wの周縁部よりも外側に位置する。
保持された基板Wを開放する態様の一例について、図15を用いて説明する。
まず、支持部材180及び押圧部材190が基板Wのおもて面側から近づいて回転カップ40と基板Wの間を通過して、基板Wの裏面側に位置づけられる(図15(a)(b)参照)。なお、回転カップ40と基板Wの間は例えば20〜30mm程であってもよい。支持部材180及び押圧部材190が基板Wのおもて面側から近づいて基板Wの裏面側に位置づけられる動作は、開放装置170の第一方向移動部172が開放本体部171を第一方向に沿って移動させることによって行われる。
次に、支持延在部181が回転されて、支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけられる(図15(c)参照)。
次に、押圧延在部191が回転されて、被押圧部材165が押圧部材190によって押圧され、保持部材162が開状態になる(図15(d)参照)。このように保持部材162が開状態になることで、基板Wの裏面が支持部材180によって支持されることになる。
次に、支持部材180で支持された基板Wは開放装置170によって一方側に移動され、保持部材162の一方側端部よりも一方側に基板Wが移動された後で停止する。その後で、押圧延在部191が前述したのとは逆方向に回転されて、保持部材162が元の位置に戻る。このような態様を採用することで、押圧部材190が被押圧部材165から抜けて、保持部材162が急に閉じてしまうことを防止できる。
次に、支持部材180で支持された基板Wが開放装置170によってさらに一方側に移動され、その後、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128が開放装置170から基板Wを受け取る。基板Wが回転カップ40及び固定カップ45よりも高い位置まで移動することが望ましい。なお、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128が開放装置170から基板Wを受け取るときには、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128のハンドが基板Wの第2表面を支持する。その後、支持部材180が基板Wを支持する位置から基板Wの外周外方に揺動する。そして、ハンドは基板Wを所定の距離だけ他方側に移動させてから、さらに基板Wを筐体5の外部に搬送する。このように第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128のハンドが基板Wを搬送することにより、基板Wと支持延在部181が干渉することなく、基板を搬送することが可能となる。
開放装置170が基板Wを一方側に移動させる動作は、開放装置170の第一方向移動部172が開放本体部171を第一方向に沿って移動させることによって行われる。
第一方向移動部172は、支持部材180及び押圧部材190を第一方向に沿って移動させるものであるから、第一方向移動部172を開放装置移動部と称することもできる。また、特に押圧部材190を移動させることに注目して、第一方向移動部172を押圧部材移動部と称することもできる。
なお、基板Wを保持部材162によって保持させる工程は、前述した工程と逆の工程を行えばよい。
このような態様を採用することで、回転カップ40を利用しつつ基板Wの裏面側に開放装置170を設ける必要がなくなる点で有益である。また、このような態様を採用することで、支持部材180又は押圧部材190を通過させるための穴を回転カップ40に設ける必要もない点で有益である。なお、回転カップ40に穴を設けると気流が乱れたり、洗浄液が外方に漏れ出したりする等の不都合が生じてしまう。
一方側が基板Wの上方側に対応し、開放装置170が基板Wの上方側に位置づけられている場合には、開放装置170の防水構成を簡易なものにすることができる点で有益である。
図10に示すように、保持部60は、揺動軸163よりも基端側に設けられた錘部材167を有してもよい。保持部60が回転した際に錘部材167に働く遠心力により、保持部材162が基板の周縁内方に向かう方向に力を受けるため、基板の保持力を強めることができる。
図13に示す態様では、保持部60が、第一保持部60a、第二保持部60b、第三保持部60c及び第四保持部60dを有している。保持部60(60a−60d)の各々が、保持本体部161と、保持本体部161の先端側に設けられた保持部材162と、保持本体部161の基端側に設けられた錘部材167と、保持本体部161の先端及び基端の間に設けられ、保持部材162を揺動させるための揺動軸163と、保持本体部161の基端側を周縁内方に押し付けるための弾性部材169と、を有してもよい。また、保持部60(60a−60d)の一部は他と異なる態様となってもよく、例えば保持部60(60a−60d)の一部では錘部材167が設けられなくてもよいし、錘部材167の重さが保持部60(60a−60d)の間で異なるようになってもよい。
図13に示す態様では、第一保持部60aは、第一保持本体部161a、第一保持部材162a、第一錘部材167a、第一揺動軸163a及び第一弾性部材169aを有している。第二保持部60bは、第二保持本体部161b、第二保持部材162b、第二錘部材167b、第二揺動軸163b及び第二弾性部材169bを有している。第三保持部60cは、第三保持本体部161c、第三保持部材162c、第三錘部材167c、第三揺動軸163c及び第三弾性部材169cを有している。第四保持部60dは、第四保持本体部161d、第四保持部材162d、第四錘部材167d、第四揺動軸163d及び第四弾性部材169dを有している。なお、各保持部60は基板Wの回転方向(例えば図13における時計回り方向)に沿ってみたときに同じ態様で配置されている必要はなく、図14に示すように、基板Wの回転方向に対して異なる方向を向いていてもよい。図14に示す態様では、第一保持部60aと第三保持部60cが基板Wの回転方向に対して同じ方向を向いており、第二保持部60bと第四保持部60dが基板Wの回転方向に対して同じ方向を向いており、第一保持部60a及び第三保持部60cと第二保持部60b及び第四保持部60dは基板Wの回転方向に対して異なる方向を向いている。
各錘部材167としてはステンレス板等の金属板を利用してもよい。錘部材167は保持本体部161の一方側に設けられてもよいし他方側に設けられてもよい。但し、被回転部30の一方側の面に保持部60が設けられる場合には、被回転部30との間で無用な摩擦を生じさせない観点からすると、錘部材167は保持本体部161の一方側の面に設けられている方がよい。金属板を利用することで厚みを薄くすることができ、回転する際の気流の乱れを抑止できる。金属板の大きさは、例えば幅10mm×長さ30mm×厚み1.5mmであってもよく、その重さは例えば2〜12g程度であってもよい。なお、錘部材167を金属にした場合、錘部材167の表面を樹脂(PFAあるいはPTFE等)でコーティングして、金属の腐食防止や基板Wへの金属汚染を防止することが望ましい。
錘部材167は保持本体部161に対して取り外し可能となり、錘部材167は回転速度、取り扱う基板Wの種類等によって適宜交換できるようになってもよい。このような態様を採用した場合には、状況に応じて錘部材167の重みを変えることができ、場合によっては錘部材167を利用しないことを選択できるようになる点で有益である。
保持本体部161に錘部材167を設けることで、保持部60の重さが10%〜60%程度重くなるようにしてもよい。なお、錘部材167が設けられていないときの各保持部60の重さは例えば20g程度であってもよい。
図10に示すように、保持本体部161には、先端側で一方側に突出した保持突出部164が設けられてもよい。保持部材162は保持突出部164に対して取り外し可能となってもよい。このような態様を採用した場合には保持部材162を適宜交換できるようになり、保持部材162が汚染してしまうことを未然に防止したり、保持部材162が汚染したとしても直に取り換えたりできる点で有益である。なお、保持部材162と基板Wとが当接する部分は摩擦係数が閾値以上となり、基板Wが滑り難くなってもよい。
各保持部材162は保持突出部164に設けられてもよい。各保持部材162は、基板Wを挟持するための爪形状となってもよい。爪形状の突出は1mm程度であってもよく、このように突出を短くすることで基板Wの限りなく周縁端部まで洗浄でき、逆汚染を極力防止できる点で有益である。
図10に示すような保持突出部164を設けることで、保持本体部161から離間した位置に保持部材162を位置づけることができ、保持本体部161や保持本体部161に設けられた錘部材167のような部材と基板Wとが誤って触れてしまう可能性を低減できる点で有益である。
被押圧部材165は保持突出部164の側面に設けられてもよい。被押圧部材165は面内方向に延在した棒部材であってもよい。棒部材は円柱形状であってもよいし角柱形状であってもよく、あらゆる形状を採用できる。
保持部材162による押し付けを規制するための回転規制機構が設けられてもよい。保持部60は保持部材162の内周側への移動を規制するための被規制部を有し、被回転部30は被規制部の移動を規制するための規制部を有してもよい。より具体的には、図10に示すように、保持本体部161の先端側には被規制部の一例である突出部168が設けられ、被回転部30には突出部168と当接する規制部の一例であるストッパ150が設けられてもよい。ストッパ150は、図12に示すように、突出部168の一方側及び他方側に設けられた一対のストッパ面151と、一対のストッパ面151の間に設けられ突出部168と当接するストッパ当接部152とを有してもよい。このようなストッパ面151が設けられることで、突出部168が誤ってストッパ当接部152よりも周縁内方側まで移動してしまうことを防止できる。
被規制部は保持本体部161の先端側に設けられている必要はなく、例えば、保持本体部161の基端側に設けられ、この被規制部に対応してストッパ等の規制部が設けられてもよい。
第1の実施の形態のような非接触な態様で被回転部30が回転された場合には、基板Wを処理している際に発生する帯電によって基板Wに対して悪影響を及ぼすことがあり、基板Wに回路が形成されている場合には回路が破壊される可能性がなくはない。このため、保持部材162の一部又は全部は導電性樹脂から構成されてもよい。そして、被回転部30のうち保持部材162の近辺に直径が数μmのステンレスを編み込んだ紐、金属めっきされた繊維、カーボンを含んだ繊維等の導電性繊維210(図11参照)を設けてもよい。このような態様を採用した場合には、コロナ放電効果により、導電性繊維210を介して基板Wに溜まった電荷が放電され、帯電によって基板Wに悪影響が出ることを防止できる点で有益である。
(変形例1)
上記では、保持部材162が揺動軸163を中心に揺動する態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、図16に示すように、保持部材162は被回転部30に対してスライド可能となってもよい。この態様の一例として、弾性部材169は保持本体部161内及び被回転部30に設けられたバネであってもよい。この場合には、被回転部30の溝の内周面にバネ等の弾性部材169の一端が当接し、保持本体部161に弾性部材169の他端が当接してもよい。なお、変形例では、遠心力が働くと保持部材162による保持力が低下してしまうことから、この観点からすると、前述したような保持部材162が揺動する態様の方が好ましい。保持力を強くするために弾性部材169の弾性力を強くすることも考えられるが、弾性力を強くしようとすると弾性部材169が大きくなってしまう点で好ましくない。
(変形例2)
上記では、保持部材162が開状態になる前に基板Wの裏面側に支持延在部181が回転されて、支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけられる態様となっていたが(図15(c)参照)、これに限られることはなく、図17に示すように、保持部材162が開状態になる前に基板Wの裏面側で支持延在部181がスライドすることで、支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけられる態様となってもよい。この場合には、支持延在部181が面内方向でスライドすることで支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけられるようになってもよい。
(変形例3)
上記では、押圧延在部191が回転されて押圧部材190が被押圧部材165に当接し、被押圧部材165を押圧することで保持部材162が開く態様となっていたが(図15(d)参照)、これに限られることはなく、図17に示すように、押圧部材190がスライドすることで被押圧部材165を押圧し、保持部材162が開くようにしてもよい。この場合には、押圧延在部191が面内方向でスライドすることで押圧部材190がスライドするようになってもよい。
(変形例4)
上記では、開放装置170が押圧部材190だけでなく支持部材180も有しているが、開放装置170は押圧部材190のみを有し、基板Wの裏面を支持する支持部材180は開放装置170とは別の機構部により基板Wの支持及び離反を行うようにしてもよい。
(変形例5)
上記では、1つの開放装置170が1つの押圧部材190を面内方向で揺動させる第1のアクチュエータと、1つの支持部材180を面内方向で揺動させる第2のアクチュエータを有する形態を示したが、このような態様に限られることはない。一例として、1つの開放装置170が2つの押圧部材190を面内方向で揺動させ、かつ2つの支持部材180を面内方向で揺動させてもよい。図18に示す態様では、図18の左側に示された開放装置170が2つの押圧部材190及び2つの支持部材180を有し、図18の右側に示された開放装置170が2つの押圧部材190及び2つの支持部材180を有している。また、開放装置170は、開放本体部171を一方側及び他方側に揺動させる揺動機構173を有している。第1方向移動部172は、開放本体部171及び揺動機構173を第1方向に沿って移動させることができる。
本変形例では開放本体部171が一方側に揺動されることで筐体5の内側面に沿って位置づけられ、第二退避位置に位置づけられることになる。他方、開放本体部171が他方側に揺動されることで第二退避位置から第一退避位置に位置づけられ、開放本体部171が第一退避位置から他方側に移動することで利用位置に位置づけられることになる。この態様のように開放本体部171を第一退避位置及び第二退避位置を含む退避位置に位置づけることで、開放装置170が洗浄工程等で邪魔になることを防止でき、特に開放本体部171を第二退避位置に位置づけることでより大きな効果を得ることができる。なお、開放本体部171が他方側に揺動された後で、開放本体部171が他方側に移動されることで、押圧部材190が被押圧部材165の側方に位置づけられ、支持部材180が基板Wの裏面側に位置づけ可能となる(この位置が、前述した利用位置になる。)。また、前述した第一退避位置が基板Wの受け渡し位置になっており、第一退避位置において、第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128が開放装置170から基板Wを受け取る、又は第2搬送ロボット126又は第3搬送ロボット128から開放装置170が基板Wを受け取ることになる。
本変形例で1つの開放装置170が2つの押圧部材190を面内方向で揺動させ、かつ2つの支持部材180を面内方向で揺動させる態様となっているが、これに限られることはない。1つの開放装置170が、4つ全ての押圧部材190を面内方向で揺動させ、かつ4つ全ての支持部材180を面内方向で揺動させる態様を採用してもよい。またこの場合にも、開放本体部171を一方側及び他方側に揺動させる揺動機構173が設けられてもよい。但し、4つ全ての押圧部材190を面内方向で揺動させ、かつ4つ全ての支持部材180を面内方向で揺動させる態様を採用した場合に、開放本体部171を一方側及び他方側に揺動させる態様を採用したときには、装置に関して第一方向での大きさが大きくなってしまう。この観点からすると、前述したように、1つの開放装置170が2つの押圧部材190及び2つの支持部材180を面内方向で揺動させる態様において、開放本体部171を一方側及び他方側に揺動させる態様を採用することは、装置の第一方向での大きさが大きくなることを防止できる点で有益である。
第3の実施の形態
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態では、ある保持部材162に付与される第一付勢力が、他の保持部材162に付与される第二付勢力よりも大きくなっている。より具体的には、保持部60はバネ等の弾性部材169を有しており、ある保持部60が有する弾性部材169は、他の保持部60が有する弾性部材169よりも強い付勢力を付与する(例えば高いバネ定数を有している。)。その他の構成については、上記各実施の形態と同様であり、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
一例として、隣接する保持部60(例えば第一保持部60a及び第二保持部60b)の弾性部材169の付勢力は、他の隣接する保持部60(例えば第三保持部60c及び第四保持部60d)の弾性部材169の付勢力よりも大きくなってもよい(図19参照)。このような態様を採用した場合には、付勢力の強い弾性部材169からの力を受けて付勢力の弱い弾性部材169を有する保持部60側へと基板Wが押されることになり、付勢力が釣り合う場所で基板Wの位置が位置づけられることになる。このように弾性部材169の付勢力に差を設けることで、基板Wの位置をある程度定めることができる点で有益である。つまり、弾性部材169の付勢力が同じ大きさとなっている場合には、基板Wを保持した時点での位置が定まらなかったり、基板Wが回転するときの遠心力によって基板Wの中心位置がずれてしまったりすることで、場合によっては保持部材162から基板Wが外れてしまう危険がある。この点、一部の弾性部材169の付勢力を残部の弾性部材169の付勢力よりも大きくすることで、遠心力によって基板Wの中心位置がずれることを抑制でき、ひいては、保持部材162から基板Wが外れてしまう可能性を低減できる。
なお、保持部60が3つしか設けられていない場合には、2つの保持部60の弾性部材169の付勢力が、他の保持部60の弾性部材169の付勢力よりも大きくなってもよい。このような態様によれば、2つの保持部60の付勢力の強い弾性部材169によって基板Wの位置決めを行うことができる。
弾性部材169の付勢力が大きい保持部60だけが錘部材167を有するようにしてもよい。このような態様によれば、基板Wが回転したときに弾性部材169の付勢力の差と錘部材167による遠心力の差の両方によって基板Wを所定の位置に位置づけることができる点で有益である。図19に示す態様では、第一保持部60aは第一錘部材167aを有し、第二保持部60bは第二錘部材167bを有しているが、第三保持部60cは第三錘部材167cを有さず、第四保持部60dは第四錘部材167dを有していない。
また、弾性部材169の付勢力が大きい保持部60の錘部材167の重さを、弾性部材169の付勢力が弱い保持部60の錘部材167の重さよりも重くするようにしてもよい。この態様では、錘部材167による遠心力で保持部60による保持力を強くしつつ、当該遠心力の差によって基板Wの位置決めを行うことができる点で有益である。
なお、弾性部材169の付勢力の大きさに差を設けず、錘部材167を付けるか否か又は錘部材167の重さの差によって遠心力の働き方を調製し、回転する基板Wの位置をある程度位置づけるようにしてもよい。
ストッパ150の位置は均一になっていなくてもよい。一例として、4つの保持部60のうち隣り合う2つに対して、基板Wの基準寸法(例えば直径300mm)までしか保持部材162が閉じないようにストッパ150が位置づけられ、他方、残りの2つについては基準寸法よりも小さな位置(例えば直径295mm)まで保持部材162が閉じるようにストッパ150が位置づけられてもよい。
強い第一付勢力が付与される保持部材は、弱い第二付勢力が付与される保持部材よりも周縁外方で内方側への移動が規制されてもよい。例えば、付勢力の強い保持部60に対応するストッパ150は基板Wの基準寸法(例えば直径300mm)までしか保持部材162が閉じないように位置づけられてもよい。前述した例で言うと、第一保持部60a及び第二保持部60bに対応するストッパ150は基準寸法(例えば直径300mm)までしか保持部材162が閉じないように位置づけられてもよい。付勢力の強い弾性部材150(例えば第一弾性部材150a及び第二弾性部材150b)によって基板Wが面内で押されることになるが、ストッパ150によって規定寸法以上は押されないことになる。この結果、基板Wの基準寸法に合わせて基板Wを保持できる点で有益である。なお、付勢力の強い弾性部材150(例えば第一弾性部材150a及び第二弾性部材150b)と、付勢力の弱い弾性部材150(例えば第三弾性部材150c及び第四弾性部材150d)との間の付勢力の差は、付勢力の強い弾性部材150に対応する保持部材162がストッパ150で当接する程度よりも大きくなっている方がよい。このような態様を採用することで、付勢力の強い弾性部材150に対応する保持部材162によって確実に位置決めすることができるためである。
各保持部材162は基板Wの基準寸法よりも大きな位置(例えば直径305mm)までは開くようにしてもよい。このように基板Wの基準寸法よりも大きな位置まで開くようにすることで、基板Wを保持部材162によって保持させやすくできる。本実施の形態では被回転部30が筐体5のいずれにも接触せず、宙を浮いた状態で回転されることになるので、停止時に被回転部30が本来の中心位置からずれることがある。この点、基板Wの基準寸法よりも大きな位置まで開くようにすることで、被回転部30の位置がずれても保持部材162で基板Wを保持させることができる点で有益である。
第4の実施の形態
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
上記第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、支持部材180が基板Wのおもて面側から近接する態様であったが、本実施の形態では、支持部材180が基板Wの裏面側から近接する態様となっている。その他の構成については、上記各実施の形態と同様であり、上記各実施の形態で説明したあらゆる態様を採用することができる。上記各実施の形態で説明した部材については同じ符号を用いて説明する。
本実施の形態では、図20に示すように、支持部材180が基板Wの他方側(裏面側)に位置し、押圧部材190は被押圧部材165の他方側に位置している。本実施の形態のように基板Wの裏面側から開放装置170が近接する態様によれば、開放装置170を単純な構成にすることができる点で有益である。他方、このように基板Wの裏面側に開放装置170を設けてしまうと、開放装置170によって基板Wの裏面側が占有されることになり、基板Wの裏面側の洗浄の容易さは低下してしまうことには留意が必要である。
なお、本実施の形態では、第2の実施の形態及び第3の実施の形態で用いた開放装置170と同様のものを基板Wの裏面側に位置づける態様を採用することもできる。
本実施の形態では、一例として、開放装置170は、第一方向移動部172と、第一方向移動部172によって第一方向に沿って移動される第一開放本体部171aと、第一開放本体部171aにバネ等の弾性部材178を介して設けられ、支持部材180を支持するための第二開放本体部171bと、第一開放本体部171aにスプラインシャフト等の直動部材179を介して設けられ、押圧部材190を支持するための第三開放本体部171cと、を有してもよい。図20に示すように、第二開放本体部171bは弾性部材178と連結部材177を介して第一開放本体部171aに連結されてもよい。本実施の形態の押圧部材190は、被押圧部材165を案内するための周縁外方に向かって他方側に傾斜した押圧案内面193と、押圧案内面193に設けられ、支持部材180で支持された基板Wの裏面を受ける押圧支持部材194とを有してもよい。
第二開放本体部171bは被回転部30の他方側の面に当接可能となっており、第二開放本体部171bが被回転部30の他方側の面に当接する位置に位置づけられたときには、支持部材180が基板Wの裏面にわずかに触れる又は基板Wの裏面に対して数ミリ程度のわずかな間隙を設けられるようになってもよい(図21参照)。
この態様を採用した場合には、第一方向移動部172で第一開放本体部171aが一方側に移動することで、第二開放本体部171b及び第三開放本体部171cが一方側に移動する。第二開放本体部171bがある程度まで上昇すると、第二開放本体部171bは被回転部30の他方側の面に当接し、それ以上、一方側に移動しないようになる(図21参照)。
第一開放本体部171aが一方側にさらに移動することで、第三開放本体部171cが一方側に移動する(図22参照)。そして、押圧部材190が被押圧部材165と当接し被押圧部材165を面内方向で押圧する。その結果、保持部材162が開状態となり、支持部材180で基板Wの裏面が支持されることになる。
これまで、第1洗浄部10、第2洗浄部20を有する基板洗浄装置を実施の形態として記載したが、基板を洗浄する手段は薬液をノズルから供給する薬液供給ノズルであってもよく、超音波を付与した洗浄液をノズルから供給するノズルであってもよく、任意のものを採用しうる。また、本実施の形態の回転部35、被回転部30、保持部60、開放装置170を主要な要素とする構成は、基板洗浄装置だけでなく、基板乾燥装置、基板エッチング装置、塗布装置、めっき装置等の各種基板処理装置に適用しうる。なお本発明を基板乾燥装置に適用する場合は、基板の乾燥を保持部で保持した基板を高速で回転させて行ってもよく、またIPA蒸気を用いたIPA蒸気乾燥方法によって行ってもよい。
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。例えば、本発明に係る基板洗浄装置を有する基板処理装置には、基板Wの端部を研磨するベベル研磨装置、基板Wの裏面を研磨処理する裏面研磨装置、あるいは、基板Wの表面に金属膜を形成するための基板めっき装置が含まれうる。また、本発明における基板Wには、半導体基板の他にも、液晶表示装置(LCD)用、プラズマディスプレイ(PDP)用、有機発光ダイオード(OLED)用、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)用、真空蛍光ディスプレイ(VFD)用、太陽電池パネル用等のガラス基板、磁気・光ディスク用のガラス、セラミック基板等の各種の基板が含まれる。