JP2021073465A - 被分析物の抽出、濃縮及び検出を一体化するためのデバイス - Google Patents

被分析物の抽出、濃縮及び検出を一体化するためのデバイス Download PDF

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Abstract

【課題】被分析物の抽出、濃縮及び検出を一体化するためのデバイスを提供する。【解決手段】水性二相系及びラテラルフローアッセイを用いて、試料中の目的とする被分析物を検出するデバイス並びに方法が開示される。これらのデバイス及び方法は、血液若しくは血清などの生物学的試料中の疾患または疾病を診断するために用いることができる。また、これらのデバイス及び方法は、食品試料中のアレルゲンまたは環境中の毒素などの、水中の汚染物質を検出するために用いることができる。デバイス及びキットの構成要素を利便性よく携帯型の容器中で組み立てることができ、これらは殆どの環境における作動に適する。本デバイスは使用が簡単であり、訓練を受けていない操作者が単にデバイスに試料を添加することを必要とする。利便性がよいことには、目的とする被分析物を検出するための時間は非常に短い。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月7日出願の米国仮出願第61/949,887号及び2014年3月16日出願の米国仮出願第61/953,870日号の優先権を主張し、該出願は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
一方では物質及び材料、他方では疾患及び疾病を始めとして、未知なるものの同定は種々の多くの工業にとって最優先の重要性をもつ。酵素及び抗体が、医療診断、食品試験、及び環境汚染(例えば、毒素、病原体)を始めとする、但しそれらに限定されない、多種多様な状況において使用される。
本明細書においては、医療用、民生用、及びその他の用途向けの有用なツールとしての、方法、デバイス、キット、及びポイントオブケア(POC)または使用現場で行われる試験を含むシステムが記載される。ある特定の用途におけるポイントオブケアまたは使用現場の場所としては、医療施設、移動診療所、職場、工場、農場及び家庭を挙げることができる。本明細書に記載の主題は、限定されない例として、大気汚染物質、毒素、食品及び医薬中の成分の同定並びに工業、軍事、及び宇宙関連用途を始めとする、種々の他の用途にも有用である。多くの他の態様がある中でも、本明細書においては、使用が迅速、簡単且つ容易である試験が提供される。上記試験は、受けていたとしても多少の臨床診断の訓練を受けた個人によって実施され得る。本明細書においては、コスト効率及び時間効率の高い形態で試験結果を得る方法も記載される。これらの試験は、特に少量の生体分子に対して信頼性があり且つ高感度である必要がある。更に、本明細書に記載の試験は、多くの異なる環境、例えば、温度及び/または湿度が大きく変動する環境に対応可能である。このように、本明細書に記載のポイントオブケアまたは使用現場向けのデバイスは、最小量の機器だけを必要とすることができ、且つ多種多様な環境条件で安定している。
本明細書においては、目的とする被分析物の検出のためのラテラルフローアッセイ(LFA)技術及び水性多相系を含むデバイス及び方法も開示される。ある特定の実施形態において、これらのデバイス及び方法は、水性多相系の濃縮性能をLFAとの併用で利用して、以前のLFAアッセイの検出限界に対して、少なくとも約100倍〜約1000倍の向上を与え、これは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの実験室におけるアッセイの感度に近づくまたは匹敵する、またある場合にはこれを凌駕する。
概括的には、ある特定の用途において、目的とする被分析物を含有する対象の試料を水性二相系(ATPS)に印加する。本明細書に記載のように、ATPSの単一相または界面から目的とする被分析物を濃縮及び抽出し、その後目的とする被分析物をLFA上で検出するための方法及びデバイスが開発され、ここでは該被分析物の存在を検出及び/または定量することができる。あるいはまたはそれに加えて、上記目的とする被分析物を、一体化したATPS−LFAシステム上で濃縮並びに検出及び/または定量することができる。従って、ATPSを下流のLFA検出と継ぎ目なく一体化することによって、抽出を迂回することができる。本明細書に記載のある特定の用途においては、これらのデバイスでは、ユーザーは対象とする試料を添加するだけでよい。種々の実施形態において、これらのデバイスを用いて、血清、唾液、尿、血液または綿棒試料などの生物学的試料中の目的とする被分析物を検出することができる。
ある特定の実施形態において、本明細書に開示されるデバイスは、利便性よく組み立てられて携帯型診断デバイスを形成する。本明細書に記載の様々なデバイス及び方法は、堅牢であり、汎用性が高く、拡張可能であり、安価であり、高感度であり、簡単且つ正確であり、最小限の訓練、動力、及び機器しか必要としないことが判る。なお、以下の説明は概括的には水性二相系(ATPS)に関するものであるが、三相または四相系、及び更により多相の系も同様に実施することができることに留意されたい。
これらの概念が如何にして機能するかを例示するために、これらの技術の実施例が本明細書に記載される。これらの実施例は例示のためのものであり、非限定的であることが意図される。本明細書において提供される教示を用いて、ATPS及びラテラルフロー検知を一体化した多数の他のシステムを容易に実現することができる。本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示することのみを目的とすること、並びにこれらの実施例及び実施形態を考慮した種々の修正及び変更が当業者に対して示唆されることとなり、該修正及び変更は本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に包含されるべきものであることが理解される。本明細書において引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、本明細書によって、全ての目的のために、参照によりそれらの全体が援用される。
本明細書に記載の方法、デバイス、キット、及びシステムを含む本明細書に記載の主題の一つの態様は、試料中の目的とする被分析物の検出及び/または定量のためのデバイスであって、該デバイスは、(a)ラテラルフローアッセイ(LFA)と、(b)水性二相系(ATPS)とを備える。ある特定の用途において、上記ATPSは、第1の相溶液及び第2の相溶液中に分配される混合相溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液中への上記分配は、上記LFA内で起こる。ある特定の実施形態において、混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液中への分配は、LFA内で起こらない。ある特定の用途において、目的とする被分析物は混合相溶液と接触し、第1の相溶液または第2の相溶液が分離するとき/その後に、目的とする被分析物は第1の相溶液または第2の相溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は混合相溶液と接触し、第1の相溶液または第2の相溶液が分離するとき/その後に、目的とする被分析物が第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は分配時に濃縮される。
ある特定の実施形態において、第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液はポリマーを含む。ある特定の実施形態において、第1の相溶液はポリマーを含み、第2の相溶液はミセル溶液を含む。ある特定の用途において、第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液は塩を含む。ある特定の用途において、第1の相溶液は塩を含み、第2の相溶液はミセル溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記ミセル溶液は非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、上記非イオン性界面活性剤は、セトマクロゴール、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コカミド、デシルグルコシド、IGEPAL、イソセテス、ラウリルグルコシド、モノラウリン、ノニデット、ノノキシノール、NP−40、オクチルグルコシド、オレイルアルコール、ポロキサマー、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリソルベート、ポリグリセロール、ソルビタン、ステアリルアルコール、Triton−X、及びTweenからなる群より選択される。ある特定の用途において、ミセル溶液はTriton−X溶液である。いくつかの実施形態において、Triton−X溶液はTriton−X−100溶液及びTriton−X−114溶液から選択される。
いくつかの実施形態において、第1の相溶液は第1のポリマーを含み、第2の相溶液は第2のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1/第2のポリマーは、ポリエチレングリコール及びデキストランから選択される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はポリマーを含み、第2の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は塩を含み、第2の相溶液はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はポリエチレングリコールを含み、第2の相溶液はリン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態において第1の相溶液はリン酸カリウムを含み、第2の相溶液はポリエチレングリコールを含む。ある特定の実施形態において、本明細書に記載のように、第1の相溶液は表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液は表1の構成成分2から選択される。ある特定の実施形態において、本明細書に記載のように、第2の相溶液は表1の構成成分1から選択され、第1の相溶液は表1の構成成分2から選択される。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は、タンパク質、抗原、生体分子、糖部分、脂質、核酸、ステロール、及びそれらの組み合わせから選択される。ある特定の用途において、目的とする被分析物は、植物、動物、ウィルス、真菌、原生動物、及び細菌からなる群より選択される生物に由来する。一実施形態において、本デバイスは、目的とする被分析物と相互作用するプローブを更に備える。
本明細書に記載の方法、デバイス、キット、及びシステムの別の態様は、少なくとも1種の目的とする被分析物、若しくは少なくとも2種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも3種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも4種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも5種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも7種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも10種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも15種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも20種の異なる目的とする被分析物、またはそれを超える数の目的とする被分析物と相互作用する1種または複数種のプローブを備えるLFAデバイスである。いくつかの実施形態において、少なくとも2種の異なるプローブ、または少なくとも3種の異なるプローブ、または少なくとも4種の異なるプローブ、または少なくとも5種の異なるプローブ、または少なくとも7種の異なるプローブ、または少なくとも10種の異なるプローブ、または少なくとも15種の異なるプローブ、または少なくとも20種の異なるプローブが本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、本明細書においては、合成ポリマー、金属、鉱物、ガラス、石英、セラミック、生物学的ポリマー、プラスチック、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含むプローブが提供される。ある特定の実施形態において、本明細書においては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、キチン、ナイロン、ポリオキシメチレン(デルリン(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含むプローブが提供される。いくつかの実施形態において、上記ポリプロピレンはポリプロピレングリコールである。いくつかの実施形態において、上記ポリエチレンはポリエチレングリコールである。ある特定の実施形態において、デキストラン及びポリエチレングリコール、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される生物学的ポリマーを含むプローブが提供される。ある特定の実施形態において、金属(例えば、金、銀、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、白金、及び/またはそれらの合金からなる群より選択される金属)を含むプローブが提供される。
本明細書に記載の方法、デバイス、キット、及びシステムの特定の態様において、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)を含むプローブが提供される。ある特定の実施形態において、上記プローブはコーティングを含む。種々の実施形態において、上記コーティングは、ポリエチレングリコール若しくは他のポリマー(例えば、ポリプロピレングリコール)、またはグラフトコポリマー、例えば、ポリ(L−リジン)−グラフト−デキストラン(PLL−g−dex、ポリ(L−リジン)骨格上にデキストラン側鎖を有するグラフトコポリマー等)を含むことができる。一つの例示的な、但し非限定的な実施形態において、コーティングはデキストランを含む。別の実施形態において、コーティングは親水性タンパク質を含む。ある特定の用途において、コーティングは血清アルブミンを含む。ある特定の実施形態において、コーティングは第1の相溶液または第2の相溶液に対する親和性を有する。ある特定の実施形態において、上記プローブは、目的とする被分析物に結合する結合部分を含む。ある特定の実施形態において、上記結合部分は、抗体、レクチン、タンパク質、糖タンパク質、核酸、低分子、ポリマー、及び脂質、並びに/またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。一実施形態において、結合部分は抗体または抗体フラグメントである。ある特定の実施形態において、上記プローブは磁性粒子を含む。ある特定の実施形態において、本方法、デバイス、キット、及びシステムは磁石を備える。ある特定の実施形態において、上記磁石は、第1の相溶液または第2の相溶液中への目的とする被分析物の分配を促進する及び/または増加させるように構成される。一実施形態において、磁石は、LFAを通る目的とする被分析物の流動を促進する及び/または増加させるように構成される。ある特定の実施形態において、磁石は、本デバイスへの取り付け及び/または該デバイスからの取り外しが可能である。本明細書において提供される方法、デバイス、キット、及びシステムのある特定の用途において、ATPSと接触して配置されるように構成される捕集器が提供され、ここで、該捕集器と第1の相溶液及び/または第2の相溶液との界面において、目的とする被分析物が分配される。いくつかの実施形態において、上記捕集器は、プラスチック、メソポーラス材料、シリカ、ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン(デルリン(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等)、磁石、細孔を有する材料、溝を有する材料、及びそれらの任意の組み合わせから選択される材料を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法、デバイス、キット、及びシステムは、検出可能な標識を含むプローブを備える。いくつかの実施形態において、上記検出可能な標識は、発色標識、蛍光標識、酵素標識、発熱標識、放射性標識、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記LFAは多孔質マトリクスを備える。ある特定の用途において、上記多孔質マトリクスは、上記混合相溶液、第1の相溶液、第2の相溶液、及び/または目的とする被分析物がLFAを通って流れることが可能なように十分に多孔質である。ある特定の実施形態において、本明細書においては、混合相溶液、第1の相溶液、第2の相溶液、及び/または目的とする被分析物が、LFAを通って垂直方向及び/または水平方向、並びにそれらの任意の組み合わせで流れるために、十分に長い及び/または深い多孔質マトリクスが提供される。いくつかの実施形態において、方法、デバイス、キット、またはシステムであって、第1の相溶液が第1の速度で多孔質マトリクスを通って流れ、第2の相溶液が第2の速度で多孔質マトリクスを通って流れ、第1の速度と第2の速度が異なる、上記方法、デバイス、キット、またはシステムが提供される。ある特定の実施形態において、多孔質マトリクスは、セルロース、繊維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン、及びそれらの組み合わせから選択される材料を含む。いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物と相互作用する、目的とする被分析物の捕捉部分を含むLFAが提供される。ある特定の実施形態において、競合アッセイを含むLFAが提供される。ある特定の実施形態において、目的とする被分析物を含むLFAが提供される。ある特定の実施形態において、サンドイッチアッセイを含むLFAを利用する、方法、デバイス、キット及び/またはシステムが提供される。ある特定の実施形態において、LFAはプローブまたはその構成成分と相互作用するプローブ捕捉部分を含む。ある特定の実施形態において、混合相溶液が上記LFAストリップ上及び/または該ストリップ中で脱水され、試料を添加すると、該混合相溶液が第1の相溶液及び第2の相溶液中に分配される。
本明細書に記載の方法、デバイス、キット、及び/またはシステムのある特定の実施形態において、溶液を収容するために十分な体積を有するウェルを備えるLFAが提供される。ある特定の用途において、上記溶液は、上記ATPSの少なくとも一部、第1の相溶液の少なくとも一部、第2の相溶液の少なくとも一部、目的とする被分析物の再懸濁溶液、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。更なる、すなわち追加の実施形態において、角部、端部、中央部、接続部、中心を外れた部位、及び屈曲部から選択されるLFAの位置に配置されたウェルを備えるLFAが提供される。いくつかの実施形態において、上記ウェルは、フィルターパッド、緩衝剤パッド、界面活性剤パッド、塩パッド、プローブパッド、ポリマーパッド、及びそれらの組み合わせから選択される1種または複数種のパッドを備える。ある特定の実施形態において、ストリップを備えるLFAが提供される。更なる、すなわち追加の実施形態において、図16、20及び62〜70に示す構造から選択される構造に従って構成されるストリップが提供される。更なる、すなわち追加の実施形態において、上記ストリップが複数の経路を備えるLFAが提供される。ある特定の用途において、上記LFAは乾燥した受入れ紙を更に備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ラニングバッファ(running buffer)を備える。いくつかの実施形態において、デバイスであって、本デバイスへの試料(例えば、生物学的試料)の投入のためのポートを備える上記デバイスが提供される。ある特定の用途において、ATPSに接続されたポートが提供される。いくつかの実施形態において、ATPS及びLFAが一体化され、ポートが該LFAに接続されたLFAが提供される。ある特定の実施形態において、上記ポートは、管、ロート、弁、シリンジ、ストロー、流路、プランジャ、ピストン、重力供給、ポンプ、及びそれらの組み合わせから選択される構造体を備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは動力源を必要としない。ある特定の実施形態において、ATPS及びLFAは、当該デバイスの使用前に一体化される。一層更なる、すなわち追加の実施形態において、ATPS及びLFAは、当該デバイスの使用前には分離されている。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPSにLFAを挿入するように構成される。
特定の態様において、本明細書に記載の方法、デバイス、システム、及び/またはキットは、(a)ATPSを収容するためのチャンバを備える第1の構成要素と、(b)LFAを備える第2の構成要素とを備えるデバイスを備えるまたは利用する。この態様の一実施形態において、ATPS中に上記試料及び/若しくは目的とする被分析物、またはその両方を送達するアクチュエータを備えるデバイスが提供される。ある特定の実施形態において、LFAに溶液を送達するアクチュエータを更に備えるデバイスが提供される。ある特定の用途において、混合相溶液、第1の相溶液、及び第2の相溶液、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される溶液を含むLFAが提供される。ある特定の実施形態において、ATPS及びLFAは単一の筐体内に収容される。ある特定の用途において、携帯型LFAデバイスが提供される。
特定の態様において、試料中の目的とする被分析物を検出及び/または定量するための方法、デバイス、システム、及び/またはキットが提供され、該検出及び/または定量は、(a)本明細書に記載のデバイスに試料を印加すること、及び(b)LFA上で目的とする被分析物の有無を検出することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、ATPSに試料を印加することを含む。ある特定の用途において、本方法は、LFAとATPSとが一体化されているLFAに試料を印加することを含む。ある特定の実施形態において、本方法は、ATPS中の目的とする被分析物を濃縮することを含む。一実施形態において、本方法は、LFA中で目的とする被分析物を濃縮することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、生物学的有機体(例えば、植物、動物、藻類、真菌類等)由来の組織/流体、食品試料、化学試料、薬物試料、環境上の試料(例えば、水試料、土壌試料等)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1種または複数種の試料を利用する。いくつかの実施形態において、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、唾液試料、気管支肺胞洗浄液、鼻試料、糞便試料、創傷または手術部位由来の試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される試料が提供される。ある特定の実施形態において、目的とする被分析物は、生物学的分子を含む。ある特定の実施形態において、上記生物学的分子は、核酸、タンパク質、脂質、低分子、糖、抗体、抗原、酵素及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。ある特定の実施形態において、試料は、脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類等)、細菌、ウィルス、原生動物、藻類、真菌類、原生動物、薬物、病原体、毒素、環境汚染物質、及びそれらの構成成分、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される供給源に由来する。
特定の態様において、試料中の目的とする被分析物の検出のためのペーパー流体デバイスを利用する、方法、デバイス、キット、及び/またはシステムが提供され、上記ペーパー流体デバイスは、水性二相系(ATPS)と組み合わせて用いられる。ある特定の実施形態において、本デバイスは、ATPSまたはその構成成分が中に配置された多孔質マトリクスを備え、該多孔質マトリクスは、ATPSまたはその構成成分が流体相中にある場合に、該ATPSまたはその構成成分が該多孔質マトリクスを通って流れることが可能なように構成され、且つそのように流れることが可能であるために十分な多孔性を有する。
ある特定の実施形態において、上記ペーパー流体デバイスは、上記ATPSまたはその構成成分を含む。ある特定の実施形態において、ATPSまたはその成分は、第1の相溶液、第2の相溶液、及び第1の相溶液と第2の相溶液との混合物を含む混合相溶液、及び/またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。ある特定の実施形態において、ATPS及び/またはその構成成分は、多孔質マトリクスの少なくとも第1の部分上及び/またはその中で脱水される。ある特定の用途において、多孔質マトリクスの第1の部分が、該多孔質マトリクスの第2の部分の幅と異なる幅を有する、ペーパー流体デバイス、方法、システム、及び/またはキットが提供される。更なる、すなわち追加の実施形態において、試料を利用してATPSに加水し、それによって流体相中にあるATPSまたはその構成成分を与えるペーパー流体デバイス、方法、システム及び/またはキットが提供される。いくつかの実施形態において、ペーパー流体デバイスは、混合相溶液、第1の相溶液、第2の相溶液、試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される内容物を収容するためのウェルを更に備える。ある特定の用途において、ペーパー流体デバイスは、ウェルの内容物を多孔質マトリクス中及び/または該マトリクス上に放出するためのアクチュエータを備える。ある特定の実施形態において、上記ウェルは、フィルターパッド、緩衝液パッド、界面活性剤パッド、塩パッド、プローブパッド、ポリマーパッド、及びそれらの組み合わせから選択される1種または複数種のパッドを備える。いくつかの実施形態において、第1の相溶液及び第2の相溶液は、異なる速度で多孔質マトリクスを通って流れる。一実施形態において、第1の相溶液及び第2の相溶液は、異なる方向に多孔質マトリクスを通って流れる。ある特定の実施形態において、第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液はポリマーを含む。更にある特定の実施形態において、第第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液は塩を含む。ある特定の用途において、Triton−X(または他の界面活性剤)ミセル溶液を含むペーパー流体デバイスが提供される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はポリマーを含み、第2の相溶液はポリマーを含む。ある特定の実施形態において、第1の相溶液はポリマーを含み、第2の相溶液は塩を含む。ある特定の実施形態において、第1の相溶液がポリエチレングリコールを含み、第2の相溶液がリン酸カリウムを含む、ペーパー流体組成物が提供される。
一態様において、第1の相溶液が表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液が表1の構成成分2から選択されるペーパー流体デバイスを備える、デバイス、方法、システム及び/またはキットが提供される。ある特定の用途において、図16、20及び62〜70に示す構造に従って構成されるデバイス、方法、システム、及び/またはキットが提供される。ある特定の用途において、第1の経路及び第2の経路を備える多孔質マトリクスが提供される。
別の態様において、第1の相溶液が第1の経路を優先的に通って流れ、第2の相溶液が第2の経路を優先的に通って流れるペーパー流体デバイスを備えるまたは利用する、方法、デバイス、システム、及び/またはキットが提供される。いくつかの実施形態において、上記組成物/デバイスが、目的とする被分析物に結合して、プローブ−被分析物複合体を生成するプローブを含むペーパー流体デバイスが提供される。ある特定の実施形態において、使用中に、目的とする被分析物がプローブ−被分析物複合体中のプローブに結合している、ペーパー流体組成物が提供される。いくつかの実施形態において、磁性粒子を含むプローブが提供される。ある特定の実施形態において、本デバイスは、磁性粒子を多孔質マトリクスの一部に引き付けるように配向した磁場であって、該磁性粒子にかかる該磁場の力が、プローブ−被分析物複合体の多孔質マトリクスの一部に向かう流動を高める上記磁場を備え、及び/または本本法は該磁場を利用する。ある特定の実施形態において、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリオキシメチレン(デルリン(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、デキストラン、及びポリ塩化ビニル、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含むプローブが提供される。いくつかの実施形態において、上記ポリエチレンはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、上記ポリプロピレンはポリプロピレングリコールである。一実施形態において、コラーゲン、セルロース、及びキチンからなる群より選択される生物学的ポリマーを含むプローブが提供される。ある特定の用途において、上記プローブが、金、銀、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、白金、これらの合金、及び/またはそれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む、ペーパー流体デバイスが提供される。一実施形態において、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)を含むプローブが提供される。ある特定の用途において、プローブはコーティングを含む。ある特定の実施形態において、上記コーティングはポリエチレングリコールを含む。一実施形態において、コーティングはデキストランを含む。一実施形態において、コーティングはポリプロピレンを含む。一実施形態において、コーティングはポリプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態において、コーティングは親水性タンパク質を含む。ある特定の実施形態において、コーティングは血清アルブミンを含む。ある特定の用途において、プローブが第1の相溶液または第2の相溶液に対する親和性をもつコーティングを有する、ペーパー流体組成物/デバイスが提供される。
本明細書に記載の方法、デバイス、システム、及び/またはキットの特定の態様において、上記目的とする被分析物に結合する結合部分を更に含むプローブを含むペーパー流体組成物/デバイスが提供される。いくつかの実施形態において、抗体、レクチン、タンパク質、糖タンパク質、核酸、低分子、ポリマー、脂質、及び/またはそれらの組み合わせからなる群より選択される結合部分を含むペーパー流体デバイスが提供される。ある特定の実施形態において、抗体または抗体フラグメントを含む結合部分を含むプローブが提供される。ある特定の実施形態において、検出可能な標識を含むプローブを備えるペーパー流体デバイスが提供される。一実施形態において、上記検出可能な標識は、発色標識、蛍光標識、酵素標識、発熱標識、放射性標識、及びそれらの組み合わせからからなる群より選択される。ある特定の用途において、乾燥した受入れ紙を更に備え、第1の相溶液または第2の相溶液が、優先的に、多孔質マトリクスを通って該乾燥した受入れ紙に向かって流れる、ペーパー流体組成物が提供される。
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の方法、デバイス、システム、及び/またはキットは、使用中にラニングバッファを備え、第1の相溶液及び/または第2の相溶液が、該ラニングバッファと接触すると、多孔質マトリクスを通ってより速く流れる、ペーパー流体デバイス/組成物を備える。本明細書に記載の主題のある特定の用途において、セルロース、繊維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン、及び/またはそれらの組み合わせから選択される材料を含む多孔質マトリクスを備えるペーパー流体デバイスが提供される。一実施形態において、目的とする被分析物またはその構成成分と相互作用する、目的とする被分析物の捕捉部分を含む多孔質マトリクスを備える、ペーパー流体デバイスが提供される。一実施形態において、上記ペーパー流体デバイスは目的とする被分析物を更に含む。一実施形態において、多孔質マトリクスは、プローブまたはその構成成分と相互作用するプローブ捕捉部分を含む。ある特定の実施形態において、競合アッセイを含むか、またはこれを容易にするLFAが提供される。ある特定の実施形態において、LFAはサンドイッチアッセイを含む。ある特定の実施形態において、多孔質マトリクスが、目的とする被分析物が当該多孔質マトリクス通って流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮するように構成される、ペーパー流体組成物が提供される。ある特定の用途において、ペーパー流体デバイスは対照被分析物を含み、多孔質マトリクス上での該対照被分析物と目的とする被分析物との比較によって、目的とする被分析物の定量が行われる。
ある特定の態様において、試料中の目的とする被分析物の検出方法が提供され、該方法は、(a)上記試料を本明細書に記載及び/または権利請求されるデバイスに印加することと、(b)上記目的とする被分析物の有無を検出することとを含む。
上述の発明の概要、並びに後述の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解することができる。該図面は例示であって限定的なものではないことが意図される。本開示は、図面に示す詳細な配置、例及び手段に限定されないことが理解されよう。
(上の図)一般的なラテラルフローイムノアッセイ試験ストリップの概略図である。LFAが利用する2つの機構の例、すなわちサンドイッチアッセイ(左下の図)及び競合アッセイ(右下の図)を示す。 ATPSと共に捕捉プローブを用いた、被分析物濃縮に関する概略図である。プローブは目的とする被分析物を捕捉し、極度に一方の相に分配される。次いで濃縮されたプローブを含有する相が回収され、その後LFAによる分析を行うことができる。 ATPSと共に磁性捕捉プローブを用いた被分析物濃縮に関する概略図である。プローブは目的とする被分析物を捕捉し、一方の相に分配される。磁石が印加され、これが磁気プローブをより小さな体積に更に濃縮する。 ピストン及びプランジャを利用して、濃縮された被分析物をATPSからLFA試験ストリップに移送する、携帯型デバイスの例示的な、但し非限定的な一設計を示す図である。このデバイスは濃縮チャンバ及び検出チャンバで構成される。この例においては、被分析物はATPSの下部バルク相に濃縮される。試料を採取するには、(1)プランジャを押し下げる。試料がATPS溶液と混合される。続いて(2)溶液を吸い込むために、デバイスの先端を試料中に挿入し、続いて(3)プランジャを放し、(4)キャップでPENデバイスを密封する。(5)被分析物が下部バルク相に濃縮された後、(6)プランジャを「試験」位置に回転させ、これによりピストンを下げ、(7)濃縮された被分析物を、逆止弁を介して検出チャンバに導入することによって検出ステップが開始される。(8)留め具が溝に嵌り込み、ピストンの動きが確実に制御され、制御された体積のみが検出チャンバ内に導入される。 濃縮された被分析物を含有する上部相中にLFA試験ストリップを機械的に挿入する、携帯型デバイスの設計の例示的な、但し非限定的な一設計を示す図である。ATPS溶液と予め混合されている試料を吸い込むために、(1)デバイスの側方のボタンを押す。相分離が完了し、被分析物が上部バルク相中に濃縮された後、(2)検出ボタンを押し、これによってLFA試験ストリップが降下し、該ストリップの試料パッドを濃縮された被分析物と接触させることによって検出ステップが開始される。最後に、(3)結果表示窓によって結果を把握することができる。 図6A〜Dは、密封されたウェルを組み入れた携帯型デバイスの、例示的な、但し非限定的な設計を示す図である(A)。ATPS溶液をウェルに混ぜ入れる。相分離が完了した後、ウェルの下部のシールを穿刺することによってウェルの流動を始動させることができ、濃縮された被分析物を含有する下部相が検出に向けて流れる。この手法は、被分析物を上部相または下部相のいずれかに濃縮するデバイスに組み込むことができる。被分析物が下部相に濃縮される場合は、ウェルをデバイスチャンバ中に押し下げ、これにより検出に向けた下部相の流動を始動させる。あるいは、ウェルを下から装着し、デバイス上に組み込まれたウェルにボタンを付けることができる。このボタンを押すと、それによって試験ストリップをウェルと接触させることができる。図6B及び図6Cは、試験ストリップ上の1:1体積のPEG:塩ATPS及び9:1体積のPEG:塩ATPSの結果を示す。図6Dは、ウェルの穿刺及びATPS溶液(複数可)のLFAを通る流動の始動の例示的な機構、すなわち、ウェルに接触しているボタンを押す(下の図)、またはウェル自体を押す(上の図)を図解する。 図6A参照。 図6A参照。 図6A参照。 携帯型デバイスの、例示的な、但し非限定的な一設計を示す図である。このデバイスは図4に示すデバイスと類似するが、磁気プローブを利用している。下部相の形成の間、ペンのキャップに近い磁石が磁気プローブをより小さな体積に更に濃縮する。ペンのボタンが押されると、磁性粒子が逆止弁を通って一気に流れて検出を開始する。 界面における濃縮の現象を示す概略図である。プローブ及びATPSの特定の特性に起因して、プローブが界面に分配されて高濃縮の状態になる。次いで該界面を捕集し、次のLFAによる分析を行うことができる。 固液界面での濃縮の観察を示す図である。プローブは、PEG−塩ATPSを収容する管のポリプロピレン壁に存在することが判った。 図10A〜B:(A)はPEG−塩ATPS中でのポリプロピレンスティックを用いた被分析物−プローブ複合体の実験的な捕集を示す図である。(B)は固液界面での濃縮の概略図である。プローブは、均一溶液中の目的とする被分析物に結合する。管壁がガラスであるため、プローブはATPS中に挿入されたポリプロピレン捕集器に優先的に付着する。濃縮されたプローブを含む捕集器を取り出し、プローブを再懸濁して、その後LFAによる検出を行うことができる。これらの粒子は、当該の二相系が存在する場合にのみ、固体プロピレンに付着することに留意されたい。 図10A参照。 固液界面の濃縮を利用する携帯型デバイスの概略図である。ATPS試料を濃縮ウェルに添加し、捕集スティックを挿入してプローブを捕集する。プローブが捕集棒に付着した後にこれを検出ウェルに移動させ、ここでプローブを再懸濁させ、LFAに向けた流動を始動させて検出を行う。 図12A〜Cは以下を示す。(a)当該のペーパーによって、ATPSが流れる際にATPSの相分離を起こすことができる。この例ではポリマー−塩ATPSが用いられる。疎水性且つより粘性の相の嵩高い構成成分は遅延する一方、濃縮された目的とする被分析物を含有する親水性且つより低粘性の相は、ペーパーを通って早く流れる。(b)1:1のポリマー−塩ATPS相がペーパー中で分離し、5分以内にペーパーを通って流れる。(c)9:1のPEG−塩ATPSも5分以内にペーパーを通って流れるが、ポリマーの乏しい相中の捕捉プローブは、体積がより少ないことに起因して容易に見ることができない。 図12A参照。 図12A参照。 図13A〜Cは以下を示す。(A)ペーパーウェルはより効率的なATPS相分離を可能にする。疎水性且つより粘性の相の嵩高い構成成分は、ペーパーによって保持されて当該ウェルの上部層に残存する一方、目的とする被分析物を含有する親水性且つより低粘性の相は、下部層へと早く流れる。被分析物の捕集を改善するために、ラニングバッファの添加を利用して、相の完全性を維持しながら、試料をペーパーウェルの外、且つ上記膜上に一気に流すことができる。図13Bは、1:1のPEG−塩ATPS相は上記ペーパーの層中で分離し、膜を通って流れて検出されることを示す。図13Cは、9:1のPEG−塩ATPSは、大きなPEG分子を高い濃度で含有するPEGに富む相に起因して、上記膜をよりゆっくりと流れることを示す。次いで、濃縮された塩相は前縁となる。 図13A参照。 図13A参照。 図14A〜Dは以下を例示する。(A)本発明者らが濃縮ウェル及び混合ウェルの両方を用いる、三次元ペーパーウェルの変化形。アッセイを開始するために、ATPS溶液と混合した試料を上記濃縮ウェルに印加する。(B)次いで緩衝剤を該濃縮ウェルに添加して、相分離を促進する。(C)濃縮された被分析物が混合ウェルに到達すると、(D)別な緩衝剤を該混合ウェルに添加して流動を容易にし、濃縮された被分析物を下流のLFA試験ストリップに到達させる。 図14B〜Dを示す。 図15A〜Bは、ATPSにとって必要な構成成分をペーパーストリップ内で脱水することが、該構成成分が試料溶液によって再加水された後の相分離に繋がる機構を示す図である(A)。この実験において、試料溶液は、ポリマーに富む相を好む青色色素及び、ポリマーに乏しい相を好むLFA用の赤色発色ナノ粒子指示薬から構成される。FGは繊維ガラス紙を指す。(B)脱水されたATPSの構成成分を用いない対照条件。 図15A参照。 図16A〜Eは、脱水されたPEG−塩ATPSの構成成分を用いた種々のペーパーデバイスの構造を例示する。(a)別個のPEG及び塩セグメントを用いた簡単な構造。(b)組み合わせたPEG及び塩セグメントを用いた簡単な構造。(c)濃縮効率を高めるために複数の繰返しセグメントを組み入れた例。(d)当該PEGセグメントがデバイスの直接の流路内にない、例cの繰返し。(e)上記流路の終端に相分離部位を配置した構造の例。この概略図には示されていないLFA試験ストリップは、このデバイスの下流の領域に配置される。 図16A参照。 図16A参照。 図16A参照。 図16A参照。 図17A〜Bは以下を示す。(A)脱水されたPEGセグメント中へ溶液を吸い込んでPEGに富む相を形成し、これがサイズ排除に基づいて対象とする被分析物を排除することによって、PEG−塩ペーパーのみの診断装置内の脱水されたPEGセグメントを埋め合わせることを用いて、先行流体を更に濃縮する方法、及び(B)濃縮効果を検証する実験。 図17A参照。 図18A〜Bは以下を示す。(A)濃縮された被分析物を含有する遅延相を、LFA試験ストリップに向けて駆動するためのラニングバッファの導入の概略図、及び(B)濃縮された被分析物を含有する先行相を、LFA試験ストリップに向けて駆動するためのラニングバッファの導入に関する、例示的な別な設計。 図18A参照。 種々の紙材による三次元ペーパーウェルを用いた、流動の経路再設定の設計の概略図である。ポリマーに富む相はより疎水性であり、優先的により疎水性の紙へ流れる一方、ポリマーに乏しい相はより優先的に親水性の紙を通って流れる。LFA試験ストリップは、検出のために、このデバイスの下流領域に取り付けることができる。 濃縮性能を高めるために磁気プローブの使用を組み込んだ、ペーパーデバイスの設計の別な例を説明する図である。ここでは、磁石の位置が、目的とする被分析物に結合している粒子に作用する力を与える。これが効果的に、LFAの検出区域を有するペーパーの側方に粒子を濃縮する。 図21A〜Cは以下を示す。GMPは、下部のPEGに乏しい相中に極度に分配されることが判明した(A)。このことから、小さな磁石を用いて(B)、ATPS溶液から殆どのPGMを迅速に回収することが可能となった(C)。 図21A参照。 図21A参照。 事前のATPS濃縮ステップを(上の図)伴わない場合及び(下の図)伴う場合の、Tfを検出するために用いられたLFAストリップを示す画像である。 図23A〜Dは、(A)PEGのみ、(B)塩のみ、または(C)1:1 ATPSを含有する溶液中のPGNP及びPPストローを示す画像である。ATPSの存在下でのみPGNPが極度にPPストローに分配された。(D)PPストローを(C)から引抜き、この図は、ストローを引抜いて濃縮されたPGNPを容易に捕集し、その後検出アッセイを行うことができることを示す。 図23A参照。 図23A参照。 図23A参照。 事前のATPS濃縮ステップを(上の図)伴わない場合及び(下の図)伴う場合の、トランスフェリン(Tf)を検出するために用いられたLFAストリップを示す画像である。 提案された携帯型デバイスを示す概略図である。 ATPSを用いたLFAの検出限界を向上させるための手法における、DGNP及びそれらの役割を示す概略図である。 LFAの競合試験に関する陽性及び陰性の結果を示す概略図である。 図28A〜Cは、種々の%(w/w)のリン酸カリウム溶液における、(a)クエン酸塩でキャップしたまたはそのままの金ナノ粒子、(b)PEG化金ナノ粒子、及び(c)デキストラン被覆金ナノ粒子の、正規化した可視光領域の吸収スペクトル(400〜700nm)を示す。 図28A参照。 図28A参照。 図29A〜Cは、(A)0分時、(B)30分時、及び(C)12時間時における、本発明者らのPEG/塩ATPS中のDGNPの分配挙動を示す。 図29A参照。 図29A参照。 PEG/塩ATPSにおいて、12時間の期間内の様々な時点で実験的に測定されたTfの濃度係数を示す。エラーバーは、3回の測定値からの標準偏差を表す。 図31A〜Bは、PEG/塩ATPSを用いた事前のATPS濃縮ステップを(A)伴わない場合及び(B)伴う場合の、Tfを検出するために用いられたLFAストリップを示す画像である。 図31A参照。 MATLAB(登録商標)を用いたLFA定量の結果を示す。エラーバーは3つのLFA試験ストリップによる測定値からの標準偏差を表わす。 図33A〜Dは、ブリリアントブルーFCF色素及びデキストラン被覆金ナノ粒子がそれぞれ、上部のPEGに富む相及び下部のPEGに乏しい相に極度に分配されることを示す。(A)25℃において、混合された1:1体積比のATPS相は分離して(B)2つの等体積の相を形成した。(C)25℃において、混合された9:1体積比のATPS相は分離して(D)より多いPEGに富む相及びより少ないPEGに乏しい相に分離した。双方のATPSに等量のブリリアントブルーFCF及びデキストラン被覆金ナノ粒子を添加した。9:1体積比のATPSのより濃い紫色は、下部のPEGに乏しい相中の金ナノ粒子の濃度が顕著に増加したことを示す。 図34A〜Bは、ペーパー膜によって、ATPSが流れる際にATPSの相分離を起こすことができることを示す。PEGに富むドメインはペーパー膜の開始点近傍に保持された一方、PEGに乏しいドメインは迅速に先頭部に移動した。(a)1:1体積比のATPS相は分離し、5分以内にペーパー膜を通って流れた。(b)9:1体積比のATPS相もまた分離し、5分以内に膜を通って流れたが、300秒時に先頭部がより明確でなかったことから、相分離はより効率的でなかった。 図34A参照。 図35A〜Bは、三次元ペーパーウェルがATPS相分離を更に向上させることができることを示す。色素を含む混合ATPSの添加後、PEGに富むドメインはウェルの上部の層に保持された一方、濃縮された金ナノ粒子を含有するPEGに乏しいドメインは迅速に底部の層に流れた。(a)1:1体積比のATPSは、三次元ペーパーウェル中で相分離の向上を示し、PEGに乏しい相は5分以内に膜を通って流れた。(b)9:1体積比のATPSも相分離が向上し、PEGに乏しい相は明確に視認可能であった。図34とは対照的に、先頭部は明確であって濃紫色を呈し、デキストラン被覆金ナノ粒子の濃縮を表わしている。 図35A参照。 図36A〜Cは、Tf検出のために、三次元ペーパーウェルがPEG/塩ATPS及びLFAと組み合わされたことを示す。(a)ペーパーウェルデバイスが、ニトロセルロース紙上でのTf競合アッセイと組み合わされた。(b)1:1または(c)9:1体積比のATPS溶液を用いた場合に、目視による試験線及び対照線によって、Tfを含有しない試料が正しく診断された。 図36A参照。 図36A参照。 図37A〜Bは、三次元ペーパーウェルで、1:1体積比のPEG/塩ATPSを用いると、Tfの検出限界を2倍向上させることができる一方、9:1体積比のATPSは10倍向上させることができること示す。(a)従来のLFAはTfを1ng/μLで検出したが、0.5ng/μLではTfを検出できず、偽陰性に繋がった。三次元ペーパーウェルで、1:1体積比のATPSを用いると、Tfを0.5ng/μLで検出することに成功した。(b)従来のLFAはTfを1ng/μLで検出したが、0.1ng/μLではTfを検出できず、偽陰性に繋がった。三次元ペーパーウェルで、9:1体積比のATPSを用いると、Tfを0.1ng/μLで検出することに成功した。 図37A参照。 例示的なATPS−LFAシステムを示す。 LFAサンドイッチアッセイを示す概略図である。陽性の結果(上の図)は試験線及び対照線における2のバンドによって示される一方、陰性の結果(下の図)は対照線における単一のバンドによって示される。 図40A〜Cは、37℃の水浴中での(A)10分間、(B)30分間、及び(C)24時間のインキュベーション後の、水性二相PEG−塩系を示す。白色の紙を文字「X」で埋めて、各相の濁度を視覚化するために役立てた。矢印は巨視的な界面の位置を示す。 様々な時点で、PEG/塩ATPSにおいて実験的に求めたM13の濃度係数を示す。エラーバーは3回の測定値からの標準偏差を表す。 様々な体積比でのPEG/塩ATPSにおいて実験的に求めたM13の濃度係数を示す。記号は測定データに対応し、エラーバーは3回の測定値からの標準偏差を表す。実線は式(6)からの予測に対応する。 図43A〜Fは、PEG/塩ATPSを用いた事前の濃縮ステップを伴わない、M13を検出するためのLFAを示す。図(A)はM13を添加しなかった陰性対照を示す。残りの溶液はM13を、(B)1×1010、(C)3.2×l0、(D)1×10、(E)3.2×l0、及び(F)1×10pfu/mLの濃度で含んでいた。 図44A〜Fは、事前の濃縮ステップを伴う、M13を検出するためのLFAを示す。図(A)はM13を添加しなかった陰性対照を示す。残りの溶液は当初、M13を、(B)1×10、(C)3.2×l0、(D)1×10、(E)3.2×l0、及び(F)1×10pfu/mLの濃度で含んでいた。 事前の濃縮ステップを伴う(
Figure 2021073465
)及び伴わない(
Figure 2021073465
)、M13に対する信号強度を示す。エラーバーは少なくとも3回からの測定値の標準偏差を表す。
PBS中のATPS−LFAシステムの概略図を示す。 競合に基づくLFA並びに陽性及び陰性の結果の解釈を示す概略図である。 図48A〜Dは、ATPS中での分配挙動に影響を与えるためのGNPの表面修飾を示す。(A)GNPの概略図及び各構成成分の機能である。本発明者らのPEG−塩ATPS中でのGNPの分配挙動をカスタマイズ可能であることを実証するために、種々の量のPEGをGNPに結合させて、該GNPの分配挙動を操作した。(B)結合の際に5000:1のモル比のPEG:GNPを用いると、得られたGNPはPEGに富む上部相中に優先的に分配された。(C)結合の際に1000:1のモル比のPEG:GNPを用いると、当該のGNPはPEGに乏しい下部相中に分配されたが、該相が高い塩濃度を有していたために凝集した。これらの凝集したGNPを続く検出アッセイに用いることはできなかった。(D)結合の際に3000:1のモル比のPEG:GNPを用いると、得られたGNPは極度に界面に分配された。(B)、(C)及び(D)に関して、液−空気界面の最上部で観察された赤色は、反射に起因するものでナノプローブの存在によるものではなかった。 図48A参照。 図48A参照。 図48A参照。 PEG/塩ATPS界面抽出ステップを用いた事前の濃縮ステップを伴わない場合(上の図)及び伴う場合(下の図)の、PBS中でのTfの検出のためのLFAの結果を示す。 PEG/塩ATPS界面抽出ステップを用いた事前の濃縮ステップを伴わない場合(上の図)及び伴う場合(下の図)の、FBS中でのTfの検出のためのLFAの結果を示す。 PEG/塩ATPS界面抽出ステップを用いた事前の濃縮ステップを伴わない場合(上の図)及び伴う場合(下の図)の、合成尿中でのTfの検出のためのLFAの結果を示す。 ミセルATPSを用いた、同時に行われる目的とする被分析物の濃縮と検出を示す図である。 図53A〜Bは、PBS中での体積比1:9のTriton X−114システムに関する、相分離に達するのに要する時間の比較を示す。ブリリアントブルーFCF色素及びサクランボ色のBSA−GNは、それぞれ、下部のミセルに富む相用及び上部のミセルに乏しい相用の発色指示薬であった。(a)25℃において、Triton X−114 ATPSは、試験管中、8時間で巨視的な相分離平衡に達した。(b)三次元紙芯を混合ATPSに適用した場合には、ミセルに富むドメインは芯の底部近傍に保持され、ミセルに乏しいドメインはより自由に芯を上に向かって流れることができたことから、30秒時で既に、該芯内で相分離が観察された。芯から外に出ると、別個な相が互いに分離した状態を維持し、ミセルに乏しい相は先頭部における小さな体積内に濃縮された状態を維持し、180秒(3分)時にはより完全な分離を示した。 図53A参照。 図54A〜Bは、紙芯及びTriton X−114ミセルATPSのLFAとの一体化を例示する。(a)一体化された診断ストリップは、相分離が起こる濃縮区域、及びそれに続く固定化された試験線及び対照線成分を含有する検出区域から構成される。(b)pLDHを含有しない溶液を分析する場合において、真の陰性試験を20分以内で確認した。 図54A参照。 ペーパーに基づく1:9体積比のミセルATPSが、25℃、PBS中で、pLDHの検出限界の10倍の向上を達成したことを示す。標準的なLFAはpLDHを10ngμL−1で検出したが、1ngμL−1ではpLDHを正確に検出することはできなかった。上記一体化された診断ストリップは、pLDHを1ngμL−1で検出することに成功した。 ペーパーに基づく9:1体積比のミセルATPSが、25℃、無希釈FBS中で、pLDHの検出限界の10倍の向上を達成したことを示す。標準的なLFAはpLDHを10ngμL−1で検出したが、1ngμL−1ではpLDHを正確に検出することはできなかった。上記一体化された診断ストリップは、pLDHを1ngμL−1で検出することに成功した。 図57A〜Dは、(A)繊維ガラス上のPEG4600及びリン酸カリウム、(B)繊維ガラス上のPPG425及びリン酸カリウム、(C)セルロース上のPEG8000及びデキストラン9000、並びに(D)繊維ガラス上のPEG4600及びデキストラン35000を用いた相分離の結果を示す。 図57A参照。 図57A参照。 図57A参照。 図58A〜Bは、(A)塩相を先行流体とする、または(B)PEG相を先行流体とする、異なる紙の種類上での相分離を示す。 図58A参照。 図59A〜Dは、疎水性ポリマー(例えばPEG)相を、(A)LFAの狭い領域、(B)LFAの広い領域の中心、(C)LFAの狭い領域からLFAの広い領域へと展開するLFAの領域、及び(D)主としてLFAの広い領域、に載置することを含む、ポリマーATPSの構成成分の脱水のための種々の設計を示す。 図59A参照。 図59A参照。 図59A参照。 脱水されたポリマーATPS−LFAシステム上での相分離のこま撮り撮影画像を示す。 脱水されたポリマーATPS−LFAシステム上での相分離のこま撮り撮影画像を示す。 脱水されたナノプローブペーパーセグメントが検出膜の幅よりも広い(幅は、流れの方向に垂直な、但し流れの面内である寸法として定義される)設計を示す。 図63A〜Bは、(A)ATPSなしまたは(B)ATPSありでの、幅広の設計における成功した相分離を示す。 図63A参照。 検出膜内での流動を大幅に緩慢にする、ポリマーATPSのPEGに富む相の粘度に起因して、継続して流れることができなかった実験の画像である。 検出膜内での流動を大幅に緩慢にするPEGに富む相に対して、PEGを含有しない空白のスペーサを残すことによって対処することができることを示す。 後に残るナノプローブの量を低減するための、流体の供給源からLFA膜にかけて一定の勾配を有する脱水されたLFAの設計を示す。 PEG/塩ATPSを用いた、脱水されたATPS−LFAシステムを例示する。 脱水されたポリマーATPSの構成成分を含有する紙パッドを有する三次元ペーパーウェルの設計を例示する。 図69A〜Bは、(A)LFAの開始端及び(B)LFAの開始端ではない箇所に位置する、脱水されたポリマーATPSの構成成分を含有する紙パッドを有する三次元ペーパーウェル上での分離を示す。 図69A参照。 ある長さの水平方向のペーパーによって分離された2の別個の三次元ウェルが存在する、例示的な2ウェル構成の設計を示す。第1のウェルは脱水されたATPSの構成成分を含有する。第2のウェルは相分離のためのより多くの時間及び空間を可能にする。 MF1紙がPEG−塩溶液中の血液試料に適合することを示す。 MF1紙上での血液試料のろ過が遅くなることがあることを示す。 図73A、Bは、ろ紙上の(A)3層三次元ウェルまたは(B)5層三次元ウェルを用いた、血液試料及びPEG−塩溶液の相分離の結果を示す。 図73A参照。 ペーパー上の三次元ウェルを用いた、血液試料及びPEG−塩溶液の相分離の結果を示す。 ろ過及び濃縮用の紙の層を備える三次元ウェルを用いた、血液試料及びPEG−塩溶液の相分離の結果を示す。 サンドイッチ形式LFAを用いた、ウィルス輸送培地(VTM)中のC. trachomatisの検出を示す。 サンドイッチ形式LFA及びミセルATPSを用いた、S. mutansの検出を示す。 サンドイッチ形式LFA及びPEG/塩ATPSを用いた、S. mutansの検出を示す。 競合形式LFA及びPEG/塩ATPSを用いたトロポニンの検出を示す。 図80A〜Cは、混合ATPSのペーパー膜上への添加の概略図(A)及び結果を示し、ここで、ATPSの両方の相がガラスウェル内で完全に分離することができ、その後ペーパーを通って流れた。紫色のデキストラン被覆金ナノ粒子を含有したPEGに乏しい相(中抜きの矢印)はペーパーを通って迅速に流れたことが観測された一方、青色色素を含有したPEGに富む相(塗り潰しの矢印)はペーパー膜の起点に保持された。(B)1:1体積比のATPSまたは(C)9:1体積比のATPSを用いた場合に、ペーパー膜内で起こる相分離の向上が明確であった。 図80A参照。 図80A参照。 9:1体積比のTriton−X−PBS ATPS及び三次元LFAを用いた、0.1ng/mLのFBS試料中のpLDHの検出を示す。 同時に行われる濃縮及び検出用の混合ATPS溶液中、または相分離及び一方の相中のプローブ−被分析物複合体の濃縮後のATPSの一方の相中の、LFAに添加されるプローブ−被分析物複合体の概略図を示す。
本明細書においては、ポイントオブケア(POC)または使用現場で実施することができ、また医療用、民生用、及びその他の用途向けの有用なツールを提供する、方法、デバイス、キット、及びシステムが提供される。本明細書において提供される試験(アッセイデバイス及び/またはシステム)は、使用が迅速、簡単且つ容易であり、受けていたとしても多少の臨床診断の訓練を受けた個人によって容易に実施することができる。上記試験は非常に高感度且つ信頼性がある。ある特定の実施形態において、本デバイス及び方法は、水性多相系の濃縮性能をLFAとの併用で利用して、思いがけなくも驚くべき感度、例えば、以前のLFAアッセイの検出限界に対して、少なくとも約10倍〜約100倍の向上を与え、これは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの実験室におけるアッセイの感度に近づくまたは匹敵する、またある場合にはこれを凌駕する。
I.デバイス
本明細書においては、ラテラルフローアッセイ(LFA)及び水性二相系(ATPS)を利用する(例えば、提供するように構成されている)、試料中の目的とする被分析物の検出及び/または定量のためのデバイスが開示され、上記ATPSは第1の相溶液及び第2の相溶液に分離する混合相溶液を含み、上記LFAは上記目的とする被分析物を検出するための試験線及び対照線を備える。いくつかの実施形態において、上記混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液への上記分離はLDA内で起こる。いくつかの実施形態において、混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液への分離はLDA内で起こらない。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は第2の相溶液よりもより速くLFAを通って流れ、先行流体と呼ばれる一方、第2の相溶液は遅延流体と呼ばれる。いくつかの実施形態において、第2の相溶液は第1の相溶液よりもより速くLFAを通って流れ、先行流体と呼ばれる一方、第1の相溶液は遅延流体と呼ばれる。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、上記先行流体中に分配され/集中する。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、上記遅延流体中に分配され/集中する。
構成及び操作
いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPS及び/または試料の該デバイスへの投入のためのポートを備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPSを備える第1の構成要素、及びLFAを備える第2の構成要素を備える。いくつかの実施形態において、第1の構成要素及び第2の構成要素は、別個の構成要素として設けられる。いくつかの実施形態において、第1の構成要素及び第2の構成要素は、ユーザーによって互いに繋ぎ合わされる。いくつかの実施形態において、第1の構成要素は、ATPSに接続された第1のポートを有する。いくつかの実施形態において、第1の構成要素はATPS用のチャンバを備える。いくつかの実施形態において、第1のポートは上記チャンバに接続されている。いくつかの実施形態において、第1のポートは、試料及び/または目的とする被分析物の第1の構成要素への投入のために構成されている。いくつかの実施形態において、第1のポートは、ATPSまたはその構成成分の第1の構成要素への投入のために構成されている。いくつかの実施形態において、第2のポートは、試料及び/または目的とする被分析物の第2の構成要素への投入のために構成されている。いくつかの実施形態において、第2のポートは、ATPSまたはその構成成分の第2の構成要素への投入のために構成されている。
いくつかの実施形態において、本デバイスは複数のチャンバを備える。いくつかの実施形態において、第1の構成要素は、試料及び/またはATPS溶液を保持する第1のチャンバを備え、相分離を起こさせる。いくつかの実施形態において、第2の構成要素はLFAを収容し、相分離が起きた後の目的とする被分析物のLFAへの印加を容易にする第2のチャンバ(例えば検出チャンバ)を備える。いくつかの実施形態において、追加のチャンバを加えて、圧力差を利用するまたは減圧を生み出すなど、流動を促進してもよい。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPSから目的とする被分析物を捕集し、機械的な構成要素を用いて該被分析物をLFAに移送する。
いくつかの実施形態において、ATPSとLFAとが一体化される(ATPS−LFA)、すなわち、ATPSの構成要素が直接または接続子を介してLFAの構成要素に接続される。ある特定の実施形態において、ATPS及びLFAは別個の構成要素として提供され、例えば、ユーザーによって一つに組み付けられるか、またはATPS及びLFAは単一の一体化されたユニットとして提供される。いくつかの実施形態において、本デバイスはATPSとLFAとの間に接続(例えばATPS−LFA接続子)を備える。ATPS−LFT接続子の例証としての、但し非限定的な例としては、管、ポート、弁、ロート、ゲート、ポンプ、穴、流路、フィルタ、それらの組み合わせなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記一体化されたデバイスは、LFA上に脱水されたATPSの構成成分を備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは、上記ATPS−LFAに接続されている単一のポートを備える。いくつかの実施形態において、上記単一のポートは、試料及び/または目的とする被分析物のATPS−LFAへの投入のために構成されている。いくつかの実施形態において、単一のポートは、ATPSまたはその構成成分のATPS−LFAへの投入のために構成されている。いくつかの実施形態において、ポートは、管、ロート、弁、シリンジ、ストロー、流路、プランジャ、ピストン、ポンプ、それらの組み合わせなどから選択される、但しこれらに限定はされない、構造体を備える。
いくつかの実施形態において、本デバイスはLFAストリップを備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPSに上記LFAストリップを挿入するように構成される。いくつかの実施形態において、ATPS及びLFAは単一の筐体内に収容される。
いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPS中に試料及び/または目的とする被分析物を送達するアクチュエータを備える。いくつかの実施形態において、本デバイスは、LFAに溶液を送達するアクチュエータを更に備える。
携帯性
いくつかの実施形態において、本デバイスは携帯型デバイスである。いくつかの実施形態において、本デバイスは、約100オンス未満、約90オンス未満、約80オンス未満、約70オンス未満、約60オンス未満、約50オンス未満、約40オンス未満、約32オンス未満、約24オンス未満、約16オンス未満、約8オンス未満、約4オンス未満、約2オンス未満、約1オンス未満の重量である。いくつかの実施形態において、複数のデバイスが携帯型容器内に詰められている。いくつかの実施形態において、本デバイスの最大長は約1インチ、約2インチ、約3インチ、約4インチ、約6インチ、約7インチから約8インチ、約9インチ、約10インチ、約12インチ、約14インチ、約16インチ、約18インチ、約19インチ、約20インチ、約24インチ、約26インチ、約28インチまたは約30インチである。いくつかの実施形態において、本デバイスは、利便性よく搬送及び/または保管することができるように、該デバイスが拡げられた場合のその大きさよりも小さい大きさに折り畳まれる。
図4は、ピストン及びプランジャシステムを用いて、ATPSをLFAと組み合わせることができる携帯型デバイスを例示する。例証としての一実施形態において、濃縮チャンバ及び検出チャンバは、確実に、LFAストリップが濃縮されていない試料と時期尚早に接触することがないようにする、逆止弁または同様の機構によって接続される。上記ピストン及びプランジャシステムを用いて、試料を濃縮チャンバ内に吸い込むことができる。濃縮は、被分析物の抽出の前に試料をATPS溶液と事前に混合することによって、本デバイスによる試料採取の前に行われてもよく、または濃縮は、ATPS溶液を液体若しくは脱水された形態のいずれかとして濃縮チャンバ内部に事前に充填することによって、本デバイス内部で行われてもよい。相分離が起きた後、ユーザーは、ピストン/プランジャを用いて、所定の体積の濃縮された被分析物を、濃縮チャンバから逆止弁を介して検出チャンバへと方向を変更して、検出過程を開始することができる。被分析物が存在する所望のバルク相(上部相または下部相)をLFAストリップに移送するために、逆止弁の位置を変更することができる。
図5は、LFAストリップに印加するための上部バルク相の捕集を実証するデバイス設計を図解する。図示する実施形態において、ATPS溶液と事前に混合された試料がデバイス内に吸い込まれる。相分離の後、ユーザーはボタンを押して、LFA試験ストリップ(複数可)をATPSの上部相中の濃縮された被分析物と接触させることによって、検出ステップを開始することができる。種々の実施形態において、ATPS溶液の構成成分を、液体または脱水された形態のいずれかとして、本デバイスに事前に充填することができる。
図6は、携帯型カセット式デバイスの、例証のための、但し非限定的な例を提示する。最初に試料及びATPS溶液を、カセットデバイス上の試料ウェルに充填することができる。該ウェルは、試料を充填した後にカセットに取り付けることができる、着脱式の構成要素として設計されてもよい。相分離が起きた後、LFA試験ストリップまたは試料ウェルのいずれかの機械的な移動によって、検出ステップを開始することができる。
図7は、磁気捕捉プローブが、携帯型デバイスにおけるATPSとLFAとの一体化に対して適用可能な一構成を例示する。図示のデバイスは、4図に示すデバイスと同様に、プランジャ及びピストンシステムを利用して、外部磁石によって捕集された濃縮された被分析物を検出チャンバに移送することができる。いくつかの実施形態において、本デバイスは、動力源(例えば電力)を必要としない。
検出時間
いくつかの実施形態において、本デバイスは検出時間を有する。いくつかの実施形態において、上記検出時間は相分離時間を含む。いくつかの実施形態において、検出時間は流動時間を含む。
いくつかの実施形態において、検出時間(例えば、デバイスへの試料の印加と、対照/試験における目的とする被分析物の検出との間の時間等)は、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満または約0.5時間未満である。いくつかの実施形態において、検出時間は、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満である。いくつかの実施形態において、検出時間は約5分未満、または約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満である。いくつかの実施形態において、検出時間は、約30秒未満、約20秒未満または約10秒未満である。
いくつかの実施形態において、相分離時間(例えば、第1/第2の相溶液がATPSの混合相溶液から分離するために要する時間)は、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満時間または約0.5時間未満である。いくつかの実施形態において、上記検出時間は約30分、または約25分未満、約20分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満である。いくつかの実施形態において、相分離時間は約5分未満、約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満である。いくつかの実施形態において、相分離時間は、約30秒未満、約20秒未満、または約10秒未満である。
いくつかの実施形態において、流動時間(例えば、目的とする被分析物を含有する溶液が、LFAの試料パッドから試験線及び対照線まで進むために要する時間)は、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満または約0.5時間未満である。いくつかの実施形態において、流動時間は、約30分未満、または約25分未満、約20分未満、約15分未満、約10分未満、または約5分未満である。いくつかの実施形態において、上記検出時間は約5分未満、または約4分未満、約3分未満、約2分未満、または約1分未満である。いくつかの実施形態において、流動時間は、約30秒未満、約20秒未満または約10秒未満である。
検出限界
いくつかの実施形態において、本デバイスは、検出されるために試料中に存在する必要がある、目的とする被分析物の最小量である検出限界を有している。
いくつかの実施形態において、上記試料中の目的とする被分析物の最小量は、約0.01ng/ml、約0.05ng/ml、約0.1ng/ml、約0.15ng/ml、約0.20ng/ml、約0.25ng/ml、約0.3ng/ml、約0.35ng/ml、約0.40ng/ml、約0.45ng/ml、約0.5ng/ml、約0.55ng/ml、約0.60ng/ml、約0.65ng/ml、約0.7ng/ml、約0.75ng/ml、約0.80ng/ml、約0.85ng/ml、約0.9ng/ml、約0.95ng/ml、または約1ng/mlである。いくつかの実施形態において、試料中の目的とする被分析物の最小量は、約1ng/ml、約10ng/ml、約20ng/ml、約30ng/ml、約40ng/ml、約50ng/ml、約60ng/ml、約70ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、約100ng/ml、約110ng/ml、約120ng/ml、約130ng/ml、約140ng/ml、約150ng/ml、約160/ml、約170ng/ml、約180ng/ml、約190ng/ml、約200ng/ml、約250ng/ml、約300ng/ml、約350ng/ml、約400ng/ml、約450ng/ml、約500ng/ml、約550ng/ml、約600ng/ml、約650ng/ml、約700ng/ml、約750ng/ml、約800ng/ml、約850ng/ml、約900ng/ml、約980ng/ml、または約1000のng/mlである。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物の最小量は、約1μg/ml、約2μg/ml、約3μg/ml、約4/ml、約5μg/ml、約6μg/ml、約7μg/ml、約8μg/ml、約9μg/ml、約10μg/ml、約11μg/ml、約12μg/ml、約13μg/ml、約14μg/ml、約15/ml、約16μg/ml、約17μg/ml、約18μg/ml、約19μg/ml/mlまたは約20μg/mlである。いくつか実施形態において、目的とする被分析物最小量は、約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/mlまたは約100μg/mlである。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物の最小量は約10μg/mlである。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物の最小量は、1兆部当たり約1部、1兆部当たり約10部または1兆部当たり約100部である。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物の最小量は、10億部当たり約1部、10億部当たり約10部、10億部当たり約100部、10億部当たり約1000部、10億部当たり約10,000部または10億部当たり約100,000部である。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物の最小量は、1000部当たり約1部、1000部当たり約10部または1000部当たり約100部である。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は、細胞上に存在するかまたは細胞に由来する。いくつかの実施形態において、上記試料は、細胞上に存在するかまたは細胞に由来する目的とする被分析物が検出されるための、最小限の濃度の細胞を有する。いくつかの実施形態において、上記細胞の最小濃度は、試料ml当たり約1細胞、試料ml当たり約10個の細胞、試料ml当たり約20細胞、試料ml当たり約30個の細胞、試料ml当たり約40細胞、試料ml当たり約50細胞、試料ml当たり約60細胞、試料ml当たり約70細胞、試料ml当たり約80細胞、試料ml当たり約90細胞または試料ml当たり約100細胞である。
いくつかの実施形態において、上記細胞の最小濃度は、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mL、約1×10細胞/mLまたは約1×10細胞/mLである。いくつかの実施形態において、細胞の最小濃度は約1×10細胞/mLである。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物はウィルス粒子であり、ウィルス上に存在するかまたはウィルスに由来する。いくつかの実施形態において、上記試料は、ウィルス上に存在するかまたはウィルスに由来する目的とする被分析物が検出されるための、最小限の濃度のウィルス粒子を有する。いくつかの実施形態において、試料中のウィルス粒子の最小濃度は、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約1×1010pfu/mL、約1×1011pfu/mL、または約1×1012pfu/mLである。
いくつかの実施形態において、上記試料中のウィルス粒子の最小濃度は、約1×10pfu/mL、2×10pfu/mL、3×10pfu/mL、4×10pfu/mL、5×10pfu/mL、6×10pfu/mL、7×10pfu/mL、8×10pfu/mL、9×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約2×10pfu/mL、約3×10pfu/mL、約4×10pfu/mL、約5×10pfu/mL、約6×10pfu/mL、約7×10pfu/mL、約8×10pfu/mL、約9×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約2×10pfu/mL、約3×10pfu/mL、約4×10pfu/mL、約5×10pfu/mL、約6×10pfu/mL、約7×10pfu/mL、約8×10pfu/mL、約9×10pfu/mL、約1×10pfu/mL、約2×10pfu/mL、約3×10pfu/mL、約4×10pfu/mL、約5×10pfu/mL、約6×10pfu/mL、約7×10pfu/mL、約8×10pfu/mL、約9×10pfu/mL、約1×1010pfu/mL、約2×1010pfu/mL、約3×1010pfu/mL、約4×1010pfu/mL、約5×1010pfu/mL、約6×1010pfu/mL、約7×1010pfu/mL、約8×1010pfu/mL、約9×1010pfu/mL、または約1×1011pfu/mLである。いくつかの実施形態において、試料中のウィルス粒子の最小濃度は、約1×10pfu/mLである。いくつかの実施形態において、試料中のウィルス粒子の最小濃度は、約1×10pfu/mLである。いくつかの実施形態において、試料中のウィルス粒子の最小濃度は、約1×10pfu/mLである。
温度
いくつかの実施形態において、本デバイスは、デバイス周囲の温度に拘わらず作動する。但し当然、温度は、当該デバイスの材料の発火点/融点/引火点を下回り、当該デバイスの構成成分が揮発する、昇華する、または破壊する温度を下回り、且つアッセイの動作時には、当該デバイスの構成成分の凝固点を上回る温度である必要がある。いくつかの実施形態において、本デバイスは室温で動作する。いくつかの実施形態において、本デバイスは、約摂氏−50度〜約摂氏60度の温度で動作する。いくつかの実施形態において、本デバイスは、約摂氏−10度〜約摂氏45度の温度で動作する。いくつかの実施形態において、本デバイスは、約摂氏10度〜約摂氏30度の温度で動作する。
水性二相系(ATPS)
ある特定の実施形態において、本デバイスは、水性二相系(ATPS)法をサポートするように構成され、本明細書において、かかるデバイスを用いるアッセイが提供される。いくつかの実施形態において、ATPSは相溶液を含む。「相溶液」という用語は、概括的には、ATPSの第1の相溶液または第2の相溶液を指す。いくつかの実施形態において、上記相溶液は、(例えば第1/第2の相溶液との)混合溶液中に存在する。いくつかの実施形態において、相溶液は、ATPSの混合溶液から分配された後の第1/第2の相溶液である。いくつかの実施形態において、相溶液は、LFA中の混合溶液から分配された後の第1/第2の相溶液である。相溶液は、それが(例えば第1の相溶液との)混合状態にある間は、第2の相溶液を指すことができる。いくつかの実施形態において、相溶液はLFA中における先行流体である。いくつかの実施形態において、相溶液はLFA中における遅延流体である。
いくつかの実施形態において、上記ATPSは、当初に混合された2種の水溶液、第1の相溶液及び第2の相溶液(例えば混合相溶液)を含む。いくつかの実施形態において、上記混合相溶液は均一な溶液である。いくつかの実施形態において、第1の相溶液と第2の相溶液とは非混和性である。いくつかの実施形態において、該非混和性は、温度の変化、及び/または塩などの異なる構成成分の濃度の変化によって駆動される。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液は、ミセル、塩、及び/またはポリマーなどの構成成分を含む。いくつかの実施形態において、ATPSと接触する目的とする被分析物は、その大きさ、形状、疎水性、及び電荷などの物理的並びに化学的特性に基づいて、第2の相溶液に対して第1の相溶液に優先的に分布し、分配され、並びに/若しくは集中する、あるいはその逆である。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物(例えば、哺乳動物細胞、細菌またはウィルスの成分)は、圧倒的に(若しくは極度に)ATPSの第1の相溶液または第2の相溶液中に分配され、それ故にATSP中に集中する。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、第1の相溶液と第2の相溶液との間の体積比を調整することによって濃縮される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、当該被分析物が分配される相の体積を低減することによって濃縮される。実例として、いくつかの実施形態において、例えば、1:9の第2の相溶液に対する第1の相溶液の体積比を用いることによって、当該被分析物が極度に分配される相の体積は全体積の1/10であるため、目的とする被分析物は第1の相溶液中に10倍濃縮される。
いくつかの実施形態において、他の比率を用いることによって他の濃縮が得られる。このように、いくつかの実施形態において、第1の相溶液の第2の相溶液に対する比率は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、及び約1:10の比率から選択される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液の第2の相溶液に対する比率は、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100の比率から選択される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液の第2の相溶液に対する比率は、約1:200、約1:300、約1:400、約1:500、約1:600、約1:700、約1:800、約1:900、及び約1:1000の比率から選択される。
いくつかの実施形態において、第2の相溶液の第1の相溶液に対する比率は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、及び約1:10の比率から選択される。いくつかの実施形態において、第2の相溶液の第1の相溶液に対する比率は、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、及び約1:100の比率から選択される。いくつかの実施形態において、第2の相溶液の第1の相溶液に対する比率は、約1:200、約1:300、約1:400、約1:500、約1:600、約1:700、約1:800、約1:900、及び約1:1000の比率から選択される。
いくつかの実施形態において、第1の相溶液と第2の相溶液との間で実質的に等分に被分析物が分配され、被分析物の濃縮を妨げる。かかる系においては、当該目的とする被分析物を捕捉するプローブであって、一方の相中に圧倒的に分配され、それによって目的とする被分析物の分配挙動を向上させて濃縮を可能にする、上記プローブなどの追加成分を導入することによって、目的とする被分析物の濃縮が達せられる。いくつかの実施形態において、濃縮された被分析物を含む第1/第2の相溶液が捕集され、LFAに印加される。かかる追加成分の使用は、実質的に等分の分配系に限定されるものではない。被分析物が圧倒的に一方の相中に分配される場合であっても、いくつかの実施形態において、上述の追加成分(例えば、プローブ)の利用によって、かかる分配が向上することが認識されよう。
いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液はミセル溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記ミセル溶液は非イオン性界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、ミセル溶液は洗剤を含む。いくつかの実施形態において、ミセル溶液はTriton−Xを含む。いくつかの実施形態において、ミセル溶液は、非限定的な例として、Igepal CA−630及びNonidet P−40などのTriton−Xと類似のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ミセル溶液は本質的にTriton−Xからなる。
いくつかの実施形態において、上記ミセル溶液は、約0.01センチポアズ〜約5000センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約4500センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約4000センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約3500センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約3000センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約2500センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約2000センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約1500センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約1000センチポアズ、または、約0.01センチポアズ〜約500センチポアズの粘度(室温、約摂氏25度)を有する。いくつかの実施形態において、ミセル溶液は、約0.01センチポアズ〜約450センチポアズ、約0.01センチポアズ〜約400センチポイズ、約0.01センチポアズ〜約350センチポアズ、約0.01センチポイズ〜約300センチポアズ、約0.01センチポイズ〜約250センチポイズ、約0.01センチポイズ〜約200センチポアズ、約0.01センチポイズ〜約150センチポイズ、または約0.01センチポイズ〜約100センチポイズの粘度(室温、約摂氏25度)を有する。
いくつかの実施形態において、上記第1/第2の相溶液はポリマーを含む(例えば、ポリマー溶液)。ある特定の実施形態において、上記ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)である。種々の実施形態において、上記PEGは1000〜100,000の分子量を有していてもよい。ある特定の実施形態において、PEGは、PEG−4600、PEG−8000、及びPEG−20,000、PEGから選択される。ある特定の実施形態において、上記ポリマーは、ポリプロピレングリコール(PPG)である。種々の実施形態において、上記PPGは、100〜10,000の分子量を有していてもよい。ある特定の実施形態において、PPGはPPG425から選択される。ある特定の実施形態において、上記ポリマーはデキストランである。種々の実施形態において、上記デキストランは1000〜1,000,000の分子量を有していてもよい。ある特定の実施形態において、デキストランは、デキストラン6000、デキストラン9000、デキストラン35,000、及びデキストラン200,000から選択される。
いくつかの実施形態において、上記ポリマー溶液は、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.15%w/w、約0.2%w/w、約0.25%w/w、約0.3%w/w、約0.35%w/w、約0.4%w/w、約0.45%w/w、約0.5%w/w、約0.55%w/w、約0.6%w/w、約0.65%w/w、約0.7%w/w、約0.75%w/w、約0.8%w/w、約0.85%w/w、約0.9%w/w、約0.95%w/w、または約1%w/wであるポリマー溶液から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、約21%w/w、約22%w/w、約23%w/w、約24%w/w、約25%w/w、約26%w/w、約27%w/w、約28%w/w、約29%w/w、約30%w/w、約31%w/w、約32%w/w、約33%w/w、約34%w/w、約35%w/w、約36%w/w、約37%w/w、約38%w/w、約39%w/w、約40%w/w、約41%w/w、約42%w/w、約43%w/w、約44%w/w、約45%w/w、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、及び約50%w/wであるポリマー溶液から選択される。いくつか実施形態において、ポリマー溶液は、約10%w/w、約20%w/w、約30%w/w、約40%w/w、約50%w/w、約60%w/w、約70%w/w、約80%w/w、または約90%w/wであるポリマー溶液から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、約10%w/w〜約80%w/wのポリマー溶液から選択される。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、約10%w/w〜約25%w/wであるポリマー溶液から選択される。
いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液は塩を含む(例えば、第1/第2の相溶液は塩溶液である)。いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物及び/またはプローブ−被分析物複合体は、上記塩溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物及び/またはプローブ−被分析物複合体は、コスモトロピック塩を含む塩溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物及び/またはプローブ−被分析物複合体は、カオトロピック塩を含む塩溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、上記塩は、マグネシウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、亜鉛塩及びアルミニウム塩から選択される。いくつかの実施形態において、塩は、臭化塩、ヨウ化塩、フッ化塩、炭酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、カルボン酸塩、ホウ酸塩、及びリン酸塩から選択される。いくつかの実施形態において、塩はリン酸カリウムである。いくつかの実施形態において、塩は硫酸アンモニウムである。
いくつかの実施形態において、上記塩溶液は、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.15%w/w、約0.2%w/w、約0.25%w/w、約0.3%w/w、約0.35%w/w、約0.4%w/w、約0.45%w/w、約0.5%w/w、約0.55%w/w、約0.6%w/w、約0.65%w/w、約0.7%w/w、約0.75%w/w、約0.8%w/w、約0.85%w/w、約0.9%w/w、約0.95%w/w、または約1%w/wである塩溶液から選択される。いくつかの実施形態において、塩溶液は、約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、約21%w/w、約22%w/w、約23%w/w、約24%w/w、約25%w/w、約26%w/w、約27%w/w、約28%w/w、約29%w/w、約30%w/w、約31%w/w、約32%w/w、約33%w/w、約34%w/w、約35%w/w、約36%w/w、約37%w/w、約38%w/w、約39%w/w、約40%w/w、約41%w/w、約42%w/w、約43%w/w、約44%w/w、約45%w/w、約46%w/w、約47%w/w、約48%w/w、約49%w/w、及び約50%w/wである塩溶液から選択される。いくつかの実施形態において、塩溶液は、約0.1%w/w〜約10%である塩溶液から選択される。いくつかの実施形態において、塩溶液は、約1%w/w〜約10%の塩溶液から選択される。
いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液は水と混和しない溶媒を含む。いくつかの実施形態において、上記溶媒は非極性有機溶媒を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は油を含む。いくつかの実施形態において、溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、ベンゼン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン及びヘキサンから選択される。
いくつかの実施形態において、第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第2の相溶液はミセル溶液を含み、第1の相溶液はポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はミセル溶液を含み、第2の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の相溶液はミセル溶液を含み、第1の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、上記ミセル溶液はTriton−X溶液である。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は第1のポリマーを含み、第2の相溶液は第2のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、第1/第2のポリマーは、ポリエチレングリコール及びデキストランから選択される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はポリマーを含み、第2の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の相溶液はポリマーを含み、第1の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はポリエチレングリコールを含み、第2の相溶液はリン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態において、第2の相溶液はポリエチレングリコールを含み、第1の相溶液はリン酸カリウムを含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は塩を含み、第2の相溶液は塩を含む。いくつかの実施形態において、第1の相溶液はコスモトロピック塩を含み、第2の相溶液はカオトロピック塩を含む。いくつかの実施形態において、第2の相溶液はコスモトロピック塩を含み、第1の相溶液はカオトロピック塩を含む。
いくつかの実施形態において、第1の相溶液は表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液は表1の構成成分2から選択される。いくつかの実施形態において、第2の相溶液は表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液は表1の構成成分2から選択される。
いくつかの実施形態において、表1の構成成分は緩衝液中に懸濁または溶解される。いくつかの実施形態において、表1の構成成分は、試料が由来する生物系に適合する緩衝液中に溶解/懸濁される。いくつかの実施形態において、表1の構成成分は生理食塩水に溶解/懸濁される。いくつかの実施形態において、表1の構成成分はPBS中に溶解/懸濁される。いくつかの実施形態において、表1の構成成分は水中に溶解/懸濁される。
Figure 2021073465
いくつかの実施形態において、本デバイスは、ATPSと接触して配置されるように構成される捕集器を更に備え、目的とする被分析物が該捕集器と第1の相溶液及び/または第2の相溶液との界面に分配される。いくつかの実施形態において、上記捕集器は、プラスチック、メソポーラス材料、シリカ、ポリプロピレン、磁石、磁性粒子、常磁性粒子、細孔を有する材料、溝を有する材料、及びそれらの任意の組み合わせから選択される材料を含む。いくつかの実施形態において、捕集器はポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態において、捕集器は、目的とする被分析物の捕集を増大させるために最適化される。いくつかの実施形態において、捕集器は、表面積を最大にする細孔を備える。いくつかの実施形態において、上記細孔の幅は、約1μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、または約100μmである。いくつかの実施形態において、細孔の幅は、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、または約1mmである。いくつかの実施形態において、細孔の深さは、約1μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約75μm、約80μm、約85μm、約90μm、約95μm、または約100μmである。いくつかの実施形態において、細孔の深さは、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、または約1mmである。
ラテラルフローアッセイ(LFA)
ある特定の実施形態において、本明細書に記載のデバイス及びシステムは、試料中の目的とする被分析物の検出のためのラテラルフローアッセイ(LFA)を提供するように構成されており、該LFAは水性二相系(ATPS)と組み合わせて用いられる。いくつかの実施形態において、上記LFAは、ATPSまたはその構成成分が中に配置された多孔質マトリクスを備え、該多孔質マトリクスは、ATPSまたはその構成成分が流体相の状態にある場合に、該ATPSまたはその構成成分が当該多孔質マトリクスを通って流れることが可能なように構成され、且つそのように流れることが可能であるために十分な多孔性を有する。かかる多孔質LFAデバイスは、本明細書において、ペーパーデバイスまたはペーパー流体デバイスと呼び、これらの用語は同義で用いられる。上記のように、本明細書で用いられるペーパーは、木材のパルプまたは他の繊維質植物物質由来の薄いシートに限定されない。但し、ある特定の実施形態において、本明細書に記載のLFAデバイス中でのかかるペーパーの使用が企図される。
いくつかの実施形態において、上記多孔質マトリクスは、混合相溶液、ATPSの第1の相溶液及び/または第2の相溶液、及び/または目的とする被分析物が、LFAを通って流れることを可能にするために十分に多孔質である。いくつかの実施形態において、多孔質マトリクスは、混合相溶液、第1の相溶液並びに/または第2の相溶液、並びに/または目的とする被分析物が、LFAを通って垂直及び/若しくは水平に流れるために十分に長い並びに/または深い。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は第1の速度で多孔質マトリクスを通って流れ、第2の相溶液は第2の速度で多孔質マトリクスを通って流れ、第1の速度と第2の速度は異なる。いくつかの実施形態において、多孔質マトリクスは、焼結ガラスセラミックス、鉱物、セルロース、繊維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン、及びそれらの組み合わせから選択される材料を含む。
流動時に集中する
以前は、ATPSにおける相分離は流動のない条件下で行われてきた。しかしながら、本発明者らは最近、ATPSが紙を通って流れる際に相分離することを見出し、本発明者らはこれを「流動時に集中する」と命名した。上記の紙は濃縮過程を大幅に時間短縮することが判ったことから、この知見は刺激的且つ興味深いものとなっている。この基本となる現象に基づいて、本発明者らはペーパー流体デバイスを設計し、ATPSとLFAとを組み合わせた診断のために必要な構成要素を完全に一体化した。異なる条件で異なる種類の紙を通って流れる際のATPSを検討したことが、本発明者らがより複雑なペーパー流動検出デバイスを開発することができたことに関して重要であった。本発明者らは、ポリマー−塩ATPS及びミセルATPSなどの異なるATPSを用いた本発明者らの実験データから、均一なATPS溶液を特定の紙材に印加した場合に、該溶液が流れる際に相分離及び被分析物の濃縮が起こることとなることに気が付いた。本発明者らはまた、変化する体積比、例えば、上部相の体積を下部相の体積で除した値、を有したATPSを作製した場合であっても、この現象が維持されることも実証した(例えば、図12を参照)。
いくつかの実施形態において、上記LFAはペーパーを備える。いくつかの実施形態において、上記ペーパーは、流体がそれを通って流れることができる複数の多孔質材料のシートを備える。いくつかの実施形態において、ペーパーは、セルロース、繊維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン等から選択される材料を含む。いくつかの実施形態において、ペーパーはHI−FLOW PLUS(登録商標)膜である。
いくつかの実施形態において、上記ペーパーはウーブ紙である。いくつかの実施形態において、ペーパーはワットマン紙である。いくつかの実施形態において、上記ワットマン紙は、ワットマンS17、ワットマンMF1、ワットマンVF1、ワットマン フュージョン5、ワットマンGF/DVA、ワットマンLF1、ワットマンCF1、及びワットマンCF4から選択される。
いくつかの実施形態において、上記ペーパーは、目的とする被分析物がLFA(例えば「流動時に集中する」に基づくデバイス)を通って流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、ペーパーは、目的とする被分析物がLFAを通って水平に流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、ペーパーは、目的とする被分析物がLFAを通って垂直に流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、ペーパーは、目的とする被分析物が重力によってLFAを通って垂直に流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、ペーパーは、目的とする被分析物が毛管作用によってLFAを通って垂直に流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、ペーパーは、いずれの相溶液が先行流体になるかに影響を与える特性を有する。非限定的な例として、PEG−塩ATPSを用いる場合には、該溶液を繊維ガラスペーパーに添加することにより、塩相が先行溶液になることとなる一方、セルロースペーパーを用いることにより、PEG相が先行溶液になることとなる。いくつかの実施形態において、ペーパー内の相分離は相分離を促進する。これも非限定的な例として、ミセルATPSは、流動のないATPS中では一般的に、相分離するためには数時間を要するが、ペーパーストリップに印加すると、この相分離は数分で起こる。これは、従来診断過程における律速段階であるATPSを、本発明者らの迅速なペーパー診断アッセイにとって実行可能な選択とすることによって、上記診断過程を時間短縮する。いくつかの実施形態において、「流動時に集中する」デバイスはPEG−塩ATPSを含む。いくつかの実施形態において、「流動時に集中する」デバイスはミセルATPSを含む。いくつかの実施形態において、「流動時に集中する」デバイスのLFAは繊維ガラスペーパーを備える。いくつかの実施形態において、「流動時に集中する」デバイスのLFAはニトロセルロースペーパーを備える。
いくつかの実施形態において、上記LFAは、血液細胞または他の粒子を除去するフィルタ、そこで目的とする被分析物を含む試料が当該LFAに印加される試料パッド、そこで目的とする被分析物が結合し且つ検出される検出ゾーン(例えば、試験線及び対照線)、及びLFAに印加される過剰な試料及び/または溶液を吸収する吸収パッド(例えば乾燥した受入れ紙)を備える(例えば、図1上の図を参照)。いくつかの実施形態において、対照線及び/または試験線は、正確な意味では線ではなく領域またはスポットである。
いくつかの実施形態において、上記LFAはLFAストリップを含む。「LFA」及び「LFAストリップ」という用語は本明細書において同義で用いられる。いくつかの実施形態において、LFAストリップは、その幅及び深さよりも大きな長さを有する。いくつかの実施形態において、LFAは長方形である。いくつかの実施形態において、LFAは、円形、卵形、正方形、多角形、及び不規則な形状からなる群より選択される形状を有する。いくつかの実施形態において、LFAは複数の経路及び/または接続部を備える。いくつかの実施形態において、LFAストリップは試料パッド、検出区域及び吸収パッドを備える。いくつかの実施形態において、上記検出区域は上記試料パッドと吸収パッドとの間に位置し、該吸収パッドは目的とする被分析物を含む試料を、試料パッドから検出ゾーンに向けて吸収し排出する。
サンドイッチアッセイ
いくつかの実施形態において、上記LFAは、サンドイッチアッセイを提供する、すなわち実行するように構成される(例えば、図1左下の図を参照)。いくつかの実施形態において、上記サンドイッチアッセイは、目的とする被分析物に結合する捕捉部分を含む。いくつかの実施形態において、本デバイスはプローブを備える。いくつかの実施形態において、上記プローブは検出可能な特性(発色性、蛍光性、放射性等)を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、目的とする被分析物と相互作用する結合部分(例えば、抗体)を含む。いくつかの実施形態において、プローブが試料に添加され、プローブが目的とする被分析物に結合してプローブ−被分析物複合体を形成する。いくつかの実施形態において、上記プローブ−被分析物複合体が試料パッドに印加され、吸収パッドに向かってLFAを通って流れる。いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体の目的とする被分析物が上記捕捉部分に結合する。いくつかの実施形態において、捕捉部分が試験線上に固定化され、プローブ−被分析物複合体が試験線上に固定化された状態となる。いくつかの実施形態において、プローブは発色性であり、プローブ−被分析物複合体が試験線に蓄積すると、試験線が強い色(例えば、検出可能な信号)を示すこととなり、これが陽性の結果を示す。いくつかの実施形態において、試料中に目的とする被分析物が存在せず、プローブ−被分析物複合体のプローブが捕捉部分と相互作用せず、試験線が存在しないことが陰性の結果を示す。いくつかの実施形態において、LFAは、プローブ及び/または上記結合部分と直接相互作用するプローブ捕捉部分を対照線上に含み、従って、試料中の目的とする被分析物の存在に拘わらず、プローブ/結合部分は上記プローブ捕捉部分と結合し、対照線上に蓄積する。いくつかの実施形態において、プローブ捕捉部分は結合部分と結合する二次抗体であり、該結合部分は当該の目的とする被分析物に結合する一次抗体である。いくつかの実施形態において、プローブは対照線上で固定化及び検出された状態となり、これが、試験が有効であることを示す。いくつかの実施形態において、試験線及び対照線における検出可能な信号によって陽性の結果(例えば、目的とする被分析物が試料中に存在する)が示される。いくつかの実施形態において、対照線における検出可能な信号によって陰性の結果が示される。
競合アッセイ
いくつかの実施形態において、上記LFAは競合アッセイを提供するように構成される(例えば、図1右下の図を参照)。いくつかの実施形態において、プローブが試料に添加され、該プローブが目的とする被分析物に結合してプローブ−被分析物複合体を形成する。いくつかの実施形態において、LFAは、試験線に固定化された目的とする被分析物を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、試料中の目的とする被分析物によって飽和され、該プローブは、試験線に固定化された目的とする被分析物に結合しないこととなる。いくつかの実施形態において、試験線上に検出可能な信号が存在しないことは、陽性の結果を示す。いくつかの実施形態において、試料中に目的とする被分析物が存在せず、プローブは試験線上の目的とする被分析物に結合し、これは陰性の結果を示す。いくつかの実施形態において、LFAは、プローブと直接相互作用する対照線上のプローブ捕捉部分を含み、試料中の目的とする被分析物の存在に拘わらず、当該プローブは当該プローブ捕捉部分に結合し、対照線上に蓄積する。いくつかの実施形態において、プローブは対照線上で固定化及び検出された状態となり、これが、試験が有効であることを示す。いくつかの実施形態において、試験線において検出可能な信号が存在しないが、対照線において検出可能な信号が存在することによって、陽性の結果(例えば、目的とする被分析物が試料中に存在する)が示される。いくつかの実施形態において、試験線及び対照線の両方における検出可能な信号によって、陰性の結果が示される。
ウェル
いくつかの実施形態において、試料パッドはウェルを備える。いくつかの実施形態において、上記ウェルは、ATPSの少なくとも一部、第1の相溶液の少なくとも一部、第2の相溶液の少なくとも一部、目的とする被分析物の再懸濁溶液、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される溶液を収容するために十分な容積を有する。
ある特定の実施形態において、上記ウェルの容積は約1μL〜約10μLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1μL〜約100μLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1μL〜約1000μLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1μL〜約5000μLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1mL〜約10mLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1mL〜約100mLの範囲である。ある特定の実施形態において、ウェルの容積は約1mL〜約1000mLの範囲である。
いくつかの実施形態において、上記再懸濁溶液は、ATPSからの濃縮/抽出された目的とする被分析物を再懸濁するための緩衝液を含む。
いくつかの実施形態において、上記ウェルは、LFAの角部、端部、中央部、接続部、中心を外れた部位、及び屈曲部から選択されるLFAの位置に配置される。いくつかの実施形態において、ウェルは、塩パッド、プローブパッド、ポリマーパッド、及びそれらの組み合わせから選択される1種または複数種のパッドを備える。いくつかの実施形態において、ウェルは複数のパッドを備える。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液が、上記複数のパッドを通って流れる際に分離し、且つ/または目的とする被分析物が集中する。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液が、複数のパッドを通って垂直に流れる際に分離し、且つ/または目的とする被分析物が集中する。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液が、重力によって複数のパッドを通って垂直に流れる際に分離し、且つ/または目的とする被分析物が集中する。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液が、毛管作用によって複数のパッドを通って垂直に流れる際に分離し、且つ/または目的とする被分析物が集中する。いくつかの実施形態において、ウェルはペーパーウェルである。いくつかの実施形態において、上記ペーパーウェルは三次元の紙構造体であり、LFAで用いられる一般的なペーパーストリップに比較してより大容量の試料を保持する。いくつかの実施形態において、ペーパーウェルは、相分離を起こすことができ、その後の先行流体中での被分析物の濃縮を可能にする紙材からなる。いくつかの実施形態において、上記先行流体の流動は、被分析物の検出を可能にする吸収パッドに誘導される(例えば、図13を参照)。
いくつかの実施形態において、上記デバイスは、上記ウェル中で重力を利用して流動及び巨視的な相分離を更に促進しながら、「流動時の濃縮」機構を利用する。いくつかの実施形態において、第1の相溶液と第2の相溶液とは、当該相溶液の粘度の差並びに当該紙材に対する親和性の差に起因して、異なる速度で流れ得ることから、ウェルは、相分離を促進するために十分な断面積を与える。いくつかの実施形態において、相溶液(複数可)がウェルを通って移動して先行流体中に現れる際に、ウェルは相分離及び/または目的とする被分析物の濃縮を向上すなわち促進する。いくつかの実施形態において、上記LFA試験ストリップはウェルに下流位置で直接接続されているので、先行流体中の濃縮された被分析物が最初にLFAストリップに接触することになり、検出ステップが濃縮過程と同時に起こり、全体としてのアッセイ時間を更に短縮する。
いくつかの実施形態において、上記LFAは複数のウェルを備える。いくつかの実施形態において、LFAは混合ウェルを備える。いくつかの実施形態において、LFAは濃縮ウェルを備える。いくつかの実施形態において、上記ATPSは、相分離及び/または目的とする被分析物の濃縮が起こる濃縮ウェルに印加される。いくつかの実施形態において、濃縮された被分析物は相分離後に混合ウェルから取り出され、濃縮ウェルに印加される。いくつかの実施形態において、濃縮ウェルは、濃縮ウェル及び/またはLFA中で相分離を向上/促進するラニングバッファを含む(例えば、図14参照)。
いくつかの実施形態において、本デバイスは、上記ウェルの内容物を上記多孔質マトリクス中及び/または該マトリクス上に放出するためのアクチュエータを備える。いくつかの実施形態において、上記アクチュエータはウェルを穿刺するための機構を備える。
LFA中の脱水されたATPS
いくつかの実施形態において、上記ATPSまたはその構成成分は、上記多孔質マトリクスの少なくとも第1の部分上及び/またはその中で脱水される。いくつかの実施形態において、本デバイスへの試料の印加はATPSに加水し、それによってATPSまたはその構成成分を流体相に転換する。脱水は本デバイスの取り扱いをより容易にすることができるが、それは、ユーザーが単に試料(例えば、唾液)を本デバイスに添加することのみを必要とすることによる。いくつかの実施形態において、ユーザーは、目的とする被分析物の存在/非存在を検出するためのストリップに試料の溶液を印加するだけでよい。いくつかの実施形態において、試料の溶液はLFAを通って流れ、ATPSが再可溶化され、LFA内での相分離及びその後の目的とする被分析物の濃縮を始動させる(例えば、図15を参照)。
いくつかの実施形態において、所与のATPSに対して必要な全ての構成成分が混合されて均一な溶液を形成し、上記ペーパーに印加され、次いで脱水される。試料溶液が脱水されたペーパーストリップに添加されると、試料が流れる際にATPS構成成分が再加水されることとなり、結果として相分離が起こる。濃縮された被分析物を含有する相がより低粘性であり、可能性としてより少量のポリマーまたはミセルを含有する一部のATPSにおいては、当該の相はより速く流れることとなり、濃縮された被分析物が先行流体中に現れ、LFAに到達して検出を開始する。また、脱水されたATPSの構成成分セグメントの長さ及び濃度は、異なる用途に対して調整することができる。
いくつかの実施形態において、上記ATPSは上記LFA上で脱水される。いくつかの実施形態において、第1のATPSの構成成分はLFAで脱水される。いくつかの実施形態において、第2のATPS成分はLFA上で脱水される。いくつかの実施形態において、混合相溶液はLFA上で脱水される。いくつかの実施形態において、第1の相溶液の構成成分及び/または第1のATPSの構成成分は、LFAの第1の部分上で脱水される。いくつかの実施形態において、第2の相溶液の構成成分及び/または第2のATPSの構成成分は、LFAの第2の部分上で脱水される。いくつかの実施形態において、上記第1の部分と第2の部分とは同一である。いくつかの実施形態において、第1の部分と第2の部分とは異なる。非限定的な例として、PEG−塩ATPSにおいて、PEG及び塩溶液は、ペーパーの異なる部分またはセグメント中で別個に脱水される(例えば、図16参照)。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液及び/またはATPSの構成成分をLFAの異なる部分上で脱水することにより、より均一な濃度の第1/第2の相溶液の構成成分及び/またはATPSの構成成分が与えられる。いくつかの実施形態において、第1/第2の相溶液の構成成分及び/またはATPSの構成成分を異なる部分上で脱水することにより、加水後に第1の相溶液またはATPSの構成成分を第1の方向に流し、且つ加水後に第2の相溶液及び/またはATPSの構成成分を第2の方向に流すことができ、但し、第1の方向と第2の方向とは異なる。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、第1の方向に濃縮されるが、第2の方向では濃縮されない。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、第2の方向に濃縮されるが、第1の方向では濃縮されない。いくつかの実施形態において、第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分を異なる部分で脱水することにより、試料が第1/第2の方向に流れることを必要とすることなく、目的とする被分析物を第1/第2の方向に流すことができる(例えば、図16D、16E、及び17を参照)。いくつかの実施形態において、第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分を異なる部分で脱水することにより、目的とする被分析物をより速く流し、結果としてより早く検出することができる。いくつかの実施形態において、第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分を異なる部分で脱水することにより、結果の信頼性の向上を可能にする。いくつかの実施形態において、第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分を異なる部分で脱水することにより、第1/第2の相溶液の構成成分及び/またはATPSの構成成分(例えばPEG−塩ATPS)の凝集が防止される。いくつかの実施形態において、塩溶液を含む第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分が、複数のセグメントにおいて脱水される。いくつかの実施形態において、疎水性ポリマー(例えばPEG)を含まない第1/第2の相の構成成分及び/またはATPSの構成成分が、複数のセグメントにおいて脱水される。いくつかの実施形態において、PEGに富む相は検出膜内の流れを遅延させるために、脱水されたPEGは検出区域の近傍に位置しない(例えば、図64を参照)。いくつかの実施形態において、LFAストリップは、PEGまたは塩を含有しない空白スペーサを検出ゾーン近傍に備える(例えば、図65を参照)。
いくつかの実施形態において、上記プローブはプローブ緩衝液中で提供される。いくつかの実施形態において、上記プローブ緩衝液はLFA上で脱水される。いくつかの実施形態において、上記LFAはプローブ及び脱水されたプローブ緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、プローブ緩衝液は、プローブ−被分析物複合体のLFAを通る流動を向上させる。
いくつかの実施形態において、ATPSの構成成分の脱水が、ATPSの構成成分が液体の形態で添加されたデバイスと比較して、検出限界を向上させる。いくつかの実施形態において、液状のATPSの構成成分を添加すると、患者由来の試料溶液が希釈される。いくつかの実施形態において、ATPSの構成成分の脱水により、流動の間に、識別可能な第1の相溶液及び/または識別可能な第2の相溶液を展開させ、試験線及び対照線に到達することとなる目的とする被分析物またはプローブ−被分析物複合体を、先行流体の前部の小さな体積中に濃縮することができる。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物及びまたはプローブ−被分析物複合体を先行流体の前部に濃縮することによって、検出に必要な時間が減少することとなる。
LFAの設計/構造
いくつかの実施形態において、上記LFAストリップは第1の端部から第2の端部まで変化しない幅を有している。いくつかの実施形態において、上記幅は、LFA内の流れの方向に垂直であり、且つ長さの面内の寸法として定義される。いくつかの実施形態において、LFAストリップの第1の部分が第1の幅を有し、LFAストリップの第2の部分が第2の幅を有し、第1の幅と第2の幅とは異なる。いくつかの実施形態において、第1の幅は第2の幅よりも大きく、一方他の実施形態においては、第1の幅は第2の幅よりも小さい。ある特定の実施形態において、LFAストリップは、2よりも多い幅を備えることが企図され、例えば、ストリップは連続的に狭くなってもよく、または3以上の位置で累進的に狭くなってもよい。いくつかの実施形態において、第1の部分は試料パッドを備え、第2の部分は検出区域を備える。いくつかの実施形態において、第1の部分は脱水されたプローブ緩衝液を備え、第2の部分は検出区域を備える(例えば、図62を参照)。第1の部分が脱水されたプローブ緩衝液を備え、第2の部分が検出区域を備えるいくつかの実施形態においては、試料パッドを備える部分の幅が検出区域を備える部分の幅と同一であるLFAストリップと比較して検出限界が向上する。いくつかの実施形態において、より広い試料パッドセグメントによって、幅が変化しないLFAストリップに比較して、より多くの試料中の目的とする被分析物がプローブに結合することが可能になる。いくつかの実施形態において、より広い試料パッドセグメントによって、幅が変化しないLFAストリップに比較して、より大きな体積の試料が可能となり、従って、より多くの目的とする被分析物がプローブに結合することが可能になる(例えば、図63を参照)。
いくつかの実施形態において、上記LFAは勾配(例えば、LFAの長さに沿ったLFAの深さの変化)を備える。LFAが勾配を備えていないいくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体の一部が試料パッドに残存する。LFAが勾配を備えるいくつかの実施形態において、勾配なしのLFAよりも、より多くのプローブ−被分析物複合体がLFAを通って流れる(例えば、図66を参照)。
いくつかの実施形態において、上記LFAは、相対的に遅い速度で再可溶化され、プローブが、プローブ/プローブ緩衝液を相対的に速い速度で再可溶化する場合に比較して、プローブ上の結合部位をより完全に飽和させる、より大きな体積を有する試料を可能にすることを可能にする、脱水されたプローブ及び/またはプローブ緩衝液を含む部分を備え、結果として、競合アッセイにおける検出限界が向上する。いくつかの実施形態において、脱水されたATPSまたはその構成成分は、プローブ及び目的とする被分析物に、それらがATPSまたはその構成成分に到達する前に、互いに結合する時間を与えるために、脱水されたプローブ及び/またはプローブ緩衝液を含む部分の下流に配置される。いくつかの実施形態において、ATPS(構成成分)は、より小さな体積中にプローブ−被分析物複合体を濃縮する。いくつかの実施形態において、上記より小さい体積は、より大きな体積にわたって分布することに起因して、全てのプローブ−被分析物複合体が試験線及び対照線に到達することとはならない他の実施形態よりも、試験線及び対照線を通過するより多くのプローブ−被分析物複合体を含有する。いくつかの実施形態において、より小さな先行相中にプローブ−被分析物複合体を濃縮することによって、デバイスの感度及び/または信頼性が増加する。いくつかの実施形態において、より小さな先行相中にプローブ−被分析物複合体を濃縮することによって、検出時間が減少する。例えば、図67を参照されたく、該図はPEG/塩ATPSを用いた1つの可能な設計の略図を示す。
いくつかの実施形態において、上記LFAは図16に示す構造に従って構成される。いくつかの実施形態において、LFAは図20に示す構造に従って構成される。いくつかの実施形態において、LFAは図62〜70に示す構造に従って構成される。
いくつかの実施形態において、上記LFAは、磁性/常磁性粒子を含むまたは該粒子と複合体を形成するプローブと共に使用するように設計される。いくつかの実施形態において、LFAは、ペーパーストリップの端部に、ATPSの第1及び第2の相溶液の流動を分割するために用いられるフォーク状物を有するペーパーストリップを備える。いくつかの実施形態において、LFAの検出区域は、上記フォーク状物の尖った先端部上に配置され、磁石が該尖った先端部の近傍または該尖った先端部に配置される(例えば、図20を参照)。上記磁石は、LFA検出区域に流入する流体中にプローブ/プローブ−被分析物複合体を濃縮し、これによって診断の感度の増加がもたらされる。逆に、いくつかの実施形態において、上記プローブは磁石または磁場を含み、本デバイスは、上記尖った先端部の近傍または該尖った先端部に配置される磁性粒子または常磁性粒子を備える。
いくつかの実施形態において、上記LFAは三次元構造を備える。いくつかの実施形態において、LFAは三次元構造をもたらす多孔質マトリクスの層を備える。いくつかの実施形態において、上記三次元構造がLFAとATPSとを一体化する。いくつかの実施形態において、ATPSは長い相分離時間を有し(例えばミセルATPS)、相分離時間は三次元構造を用いる(例えばLFAストリップの高さを増加させる)ことによって改善される。いくつかの実施形態において、相溶液がLFAを通って(例えば、多孔質マトリクスの層を通って)垂直に流れる際に、該混合相溶液は第1の相溶液と第2の相溶液とに分離する。
いくつかの実施形態において、上記LFAは厚さ(例えば、高さ、深さまたは垂直方向の寸法)を有する。いくつかの実施形態において、上記厚さは約0.1mm〜約30cmである。いくつかの実施形態において、厚さは約0.1mm〜約1mm、約0.1mm〜約10mm、または約0.1mm〜約1cmである。いくつかの実施形態において、厚さは約1mm〜10mm、約1mm〜約1cm、約1mm〜約1.5cm、約1mm〜約3cm、約1mm〜約3.5cm、約1mm〜約4cm、約1mm〜約4.5cm、約1mm〜約5cm、約1mm〜約5.5cm、約1mm〜約6cm、約1mm〜約6.5cm、約1mm〜約7cm、約1mm〜約7.5cm、約1mm〜約8cm、約1mm〜約8.5cm、約1mm〜約9cm、約1mm〜約9.5cm、または約1mm〜約10cmである。いくつかの実施形態において、厚さは約0.5cm〜約5cmである。
複数の経路
いくつかの実施形態において、上記LFAは、第1の経路及び第2の経路、または少なくとも第1の経路及び第2の経路を備える。いくつかの実施形態において、第1の相溶液は第1の経路を優先的通って流れ、第2の相溶液は第2の経路を優先的通って流れる。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が、ペーパーを通る流動中に先行流体中に濃縮されない場合もある。いくつかの実施形態において、LFAは、先行流体が適時に検出ゾーンを通過する第1の流体となるように流動の方向を変更するように設計される。いくつかの実施形態において、流動の方向変更は新しい流路の導入を含む。いくつかの実施形態において、流動の方向変更は三次元ペーパー構造の組み込みを含む。いくつかの実施形態において、流動の方向変更は、当該の流動の相に依存する優先的な流動が存在する複数の経路を提供するまたは一体化することを含む。いくつかの実施形態において、流動の方向変更は、上記の流動の方向変更のための複数の方法を組み合わせることを含む。いくつかの実施形態において、流動の方向変更によって、相分離が向上し且つ/または目的とする被分析物が検出ゾーンを通って流れるように誘導される。
いくつかの実施形態において、上記LFAは、試料がLFAに印加された後に導入される、ラニングバッファを含むLFAセグメント及び乾燥した受入れ紙を含むLFAセグメントを備えることによって、流動の方向を変更するように構成される。いくつかの実施形態において、上記LFAは、試料がLFAを通って流れ始めた後に導入される、ラニングバッファを含むLFAセグメント及び乾燥した受入れ紙を含むLFAセグメントを備えることによって、流動の方向を変更するように構成される。いくつかの実施形態において、標的は遅延流体中で濃縮され、この場合には、ラニングバッファが該遅延流体を(それを先行流体として)検出区域へと経路変更することとなる(例えば図を参照。エラー! 参照元が見つからず。A)。いくつかの実施形態において、ラニングバッファ及び乾燥した受入れ紙セグメントが、濃縮された被分析物を含有する先行流体を検出区域へと押出す(図18B)。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が複数存在し、本デバイスは、第1の目的とする被分析物を第1の相溶液中に分配し、第2の目的とする被分析物を第2の相溶液中に分配するように構成され、LFAは、第1の相溶液を第1の検出区域へと導く第1の経路を備え、LFAは、第2の相溶液を第2の検出区域へと導く第2の経路を備える。いくつかの実施形態において、第1の経路は第1の種類の多孔質マトリクスからなり、第2の経路は第2の種類の多孔質マトリクスからなり、第1の種類の多孔質マトリクスと第2の種類の多孔質マトリクスとは異なる(例えば、異なる多孔性、電荷、疎水性、三次元構造等)。いくつかの実施形態において、第1の種類の多孔質マトリクスは第2の種類の多孔質マトリクスよりもより疎水性/親水性である(例えば、図19を参照)。いくつかの実施形態において、ポリマーに富む相溶液はより疎水性のストリップを優先的に通って流れ得る一方、濃縮された被分析物を含有するポリマーに乏しい相溶液はより親水性のペーパーを通って流れ得る。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、下流のLFAの性能に影響を与える可能性がある汚染物質を含有する場合があるポリマーに富む相を、「精製」することによって濃縮される。いくつかの実施形態において、複数の目的とする被分析物の1種または複数種の目的とする被分析物が、ATPSの異なる相中へと分配される。
いくつかの実施形態において、上記プローブは磁性粒子を含み、1または複数の磁石によってプローブ−被分析物複合体の方向が変更される。いくつかの実施形態において、上記1または複数の磁石はペーパーストリップに沿って配置され、LFAの特定の位置(例えば検出区域)で/該位置に向けてプローブを濃縮する。あるいは、いくつかの実施形態において、プローブは磁石を含み、1種または複数種の磁性/常磁性粒子によってプローブ−被分析物複合体の方向が変更される。いくつかの実施形態において、上記1種または複数種の磁性/常磁性粒子はペーパーストリップに沿って配置され、LFAの特定の位置(例えば検出区域)で/該位置に向けてプローブを濃縮する。
プローブ
ある特定の実施形態において、本明細書に記載のシステム及び/またはデバイスはプローブを含み、及び/または本明細書に記載される方法はプローブを利用し、該プローブは、目的とする被分析物と結合してプローブ−被分析物複合体を形成する結合部分を含む。本明細書で用いられる「目的とする被分析物」及び「プローブ−被分析物複合体」という用語は、別段の明示がない限りにおいて同義で用いられる。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が単独で、優先的に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が単独で、極度に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が単独で、優先的に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配されない。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物が単独で、極度に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配されない。
いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体が、優先的に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配され、それによって(プローブ−被分析物複合体の)目的とする被分析物が優先的に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。
いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体が、極度に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配され、それによって(プローブ−被分析物複合体の)目的とする被分析物が極度に第1の相溶液または第2の相溶液または第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物(またはプローブ−被分析物複合体)のATPSの第1/第2の相溶液への分配に関して用いられる場合に、「優先的に分配される」という表現は、ATPSの別の相溶液よりも好ましい相溶液中に、より多くの量の目的とする被分析物が配置された状態となることを指す。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物(またはプローブ−被分析物複合体)のATPSの第1/第2の相溶液への分配に関して用いられる場合に、「極度に分配される」という表現は、ATPSの別の相溶液よりも好ましい相溶液中に、約90%以上の目的とする被分析物が配置された状態となることを指す。
いくつかの実施形態において、より多くの量の目的とする被分析物が第1の相溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、約50%を超える、または約55%を超える、または約60%を超える、または約65%を超える、または約70%を超える、または約75%を超える、または約80%を超える、または約85%を超える、または約90%を超える、または約95%を超える、または約98%を超える、または約99%を超える目的とする被分析物が、第1の相溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、約99%を超える、または約99.1%を超える、または約99.2%を超える、または約99.3%を超える、または約99.4%を超える、または約99.5%を超える、または99.6%を超える、または約99.7%を超える、または約99.8%を超える、または約99.9%を超える目的とする被分析物が、第1の相溶液中に分配される。
いくつかの実施形態において、より多くの量の被分析物が第2の相溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、約50%を超える、または約55%を超える、または約60%を超える、または約65%を超える、または約70%を超える、または約75%を超える、または約80%を超える、または約85%を超える、または約90%を超える、または約95%を超える、または約98%を超える、または約99%を超える目的とする被分析物が、第2の相溶液中に分配される。いくつかの実施形態において、約99%を超える、または約99.1%を超える、または約99.2%を超える、または約99.3%を超える、または約99.4%を超える、または約99.5%を超える、または99.6%を超える、または約99.7%を超える、または約99.8%を超える、または約99.9%を超える目的とする被分析物が、第2の相溶液中に分配される。
いくつかの実施形態において、より多くの量の被分析物が第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される。いくつかの実施形態において、約50%を超える、または約55%を超える、または約60%を超える、または約65%を超える、または約70%を超える、または約75%を超える、または約80%を超える、または約85%を超える、または約90%を超える、または約95%を超える、または約98%を超える、または約99%を超える目的とする被分析物が、上記界面中に分配される。いくつかの実施形態において、約99%を超える、または約99.1%を超える、または約99.2%を超える、または約99.3%を超える、または約99.4%を超える、または約99.5%を超える、または99.6%を超える、または約99.7%を超える、または約99.8%を超える、または約99.9%を超える目的とする被分析物が、上記界面中に分配される。
いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体がLFAに抽出及び/または捕集される(例えば、図2を参照)。
いくつかの実施形態において、プローブ及び/またはプローブ−被分析物複合体が、溶液中に再懸濁される(例えば再懸濁溶液)。いくつかの実施形態において、上記再懸濁溶液は水を含む。いくつかの実施形態において、再懸濁溶液は生理食塩水溶液を含む。いくつかの実施形態において、再懸濁溶液は緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、再懸濁溶液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液を含む。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は酢酸を含む。いくつかの実施形態において、緩衝液はトリスを含む。いくつかの実施形態において、緩衝液はエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含む。いくつかの実施形態において、緩衝剤はホウ酸を含む。いくつかの実施形態において、緩衝液はホウ酸緩衝液である。いくつかの実施形態において、緩衝液はホウ酸リチウム緩衝液である。いくつかの実施形態において、緩衝液はホウ酸ナトリウム緩衝液である。
いくつかの実施形態において、上記再懸濁溶液は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5または約12のpHを有する。いくつかの実施形態において、再懸濁溶液は約9のpHを有する。
いくつかの実施形態において、本デバイスは1種のプローブを備える、若しくは利用するように構成される、及び/または該デバイス上でのアッセイの実行は1種のプローブを利用する。いくつかの実施形態において、本デバイスは少なくとも2種の異なるプローブ、若しくは少なくとも3種の異なるプローブ、若しくは少なくとも4種の異なるプローブ、若しくは少なくとも5種の異なるプローブ、若しくは少なくとも7種の異なるプローブ、若しくは少なくとも10種の異なるプローブ、若しくは少なくとも15種の異なるプローブ、若しくは少なくとも20種の異なるプローブを備える、または利用するように構成される、及び/あるいは該デバイス上でのアッセイの実行は上記の複数の異なるプローブを利用する。
いくつかの実施形態において、上記プローブは、合成ポリマー、金属、鉱物、ガラス、石英、セラミック、生物学的ポリマー、プラスチック、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン(デルリン(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、デキストラン、及びポリ塩化ビニルからなる群より選択されるポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記ポリエチレンはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、上記ポリプロピレンはポリプロピレングリコールである。いくつかの実施形態において、プローブは、コラーゲン、セルロース、及びキチンからなる群より選択される生物学的ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、プローブは、金、銀、白金、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、及びこれらの合金からなる群より選択される金属を含む。いくつかの実施形態において、プローブは、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子、銀ナノ粒子等)を含む。
いくつかの実施形態において、上記プローブはコーティングを更に含む。いくつかの実施形態において、上記コーティングはポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、コーティングはポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態において、コーティングはポリプロピレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、コーティングはデキストランを含む。いくつかの実施形態において、コーティングは親水性タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、コーティングは血清アルブミンを含む。いくつかの実施形態において、コーティングは、第1の相溶液または第2の相溶液に対して親和性を有する。
いくつかの実施形態において、試料中の目的とする被分析物の量は非常に低く、その結果、当該被分析物は、LFAによる検出を可能にするために実質的に濃縮される必要がある。ある特定の実施形態において、実質的な濃縮は界面で達成される。それというのも、被分析物の濃縮の程度は、当該被分析物が分配される、または集中する相の体積に依存し、上記界面における「体積」はバルク相に比較して非常に小さくいことによる。
いくつかの実施形態において、目的とする被分析物を界面に向けて駆動するために、上記プローブは該界面に優先的に(または極度に)分配される。いくつかの実施形態において、上記プローブは、その表面化学に起因して、界面に優先的に(または極度に)分配される。非限定的な例として、ポリエチレングリコール−リン酸カリウム(PEG/塩)系などのポリマー−塩ATPS系の界面にプローブ−被分析物複合体を駆動するために、プローブは、PEG(またはPEG化物)に結合されて、PEGに富む相とのPEG−PEG相互作用を促進し、及び/または親水性タンパク質で修飾されて、PEGに乏しい相との親水性相互作用を促進する。特異的な抗体または標的に結合することができる他の分子で修飾された、かかる最適化されたプローブを用いて、目的とする被分析物が界面で捕捉及び捕集される。上記界面の体積は非常に小さいことから、被分析物は高度に濃縮され、その後のLFAに印加される(図8)。
いくつかの実施形態において、PEG/塩ATPSの界面に分配され得る金ナノプローブ(GNP)が調製され、動作条件が最適化されて、非常に高いGNP/被分析物の回収率での迅速な相分離時間が可能になる。非限定的な例として、LFAを用いてATPSからの界面抽出との組み合わせの後で、トランスフェリン(Tf)の検出が100倍向上することが実証された(実施例5を参照)。
いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体が、ATPS中で固液界面へ分配される。いくつかの実施形態において、上記固体はATPSを収容するチャンバの壁である。いくつかの実施形態において、固体は捕集器である。いくつかの実施形態において、固体は固体ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、上記固体ポリマーは、ポリエチレン、セルロース、キチン、ナイロン、ポリオキシメチレン(デルリン(登録商標))、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、固体ポリマーがポリプロピレンを含む(例えば、図9を参照)。いくつかの実施形態において、プローブ−被分析物複合体は固体に付着し、高度に濃縮される。というのは、該複合体が固液界面における小さな体積中に存在し、バルク相の溶液によって希釈されないことによる。いくつかの実施形態において、濃縮された被分析物を攪乱することなく上記バルク相が除去され、洗浄によって回収され、その後LFAに印加される(図10)。いくつかの実施形態において、この手法は被分析物を大幅に濃縮し、且つ外力(例えば磁石)を用いることなく捕集を可能にする。あるいは、プローブは磁性材料を含み、磁石を用いてこの方法が用いられる。いくつかの実施形態において、これらのプローブは、極度の被分析物濃縮に向けて、界面において濃縮されるように修飾される。上述のように、この手法は磁石を使用することにより、ATPSにより非特異的に濃縮されるその他の汚染物質から、目的とする被分析物を更に分離することができる。いくつかの実施形態において、磁気プローブは、特定の場所(界面)において最初に非常に小さな体積中に濃縮されるので、ATPS濃縮によって、磁気プローブがより効率的に作用することができる。従って、濃縮された被分析物を捕集するために、より小さい磁石またはより弱い磁場しか必要とされない。いくつかの実施形態において、ATPS界面濃縮と磁気プローブとの組み合わせによって、現在の最先端に比較して、より効果的、迅速、かつ安価なデバイスの開発が可能になる。
結合部分
いくつかの実施形態において、上記結合部分は、目的とする被分析物に結合する分子である。いくつかの実施形態において、結合部分は目的とする被分析物に特異的に結合する分子である。いくつかの実施形態において、「特異的に結合する」とは、当該分子が、他の分子に対するよりも目的とする被分析物に対して優先的に結合する、または目的とする被分析物に対してより大きな親和性をもって結合することを指す。非限定的な例として、抗体は該抗体に対して生じた抗原に選択的に結合することとなる。また、非限定的な例として、DNA分子は、ストリンジェントな条件下で、実質的に相補的な配列に結合し、無関係な配列には結合しない。いくつかの実施形態において、「特異的結合」とは、分子(例えば、タンパク質及び他の生物学的物質)の異種集団中の、目的とする被分析物の存在を判定する能力をもつ結合反応を指すことができる。いくつかの実施形態において、結合部分は、特定の目的とする被分析物に結合し、試料中に存在する他の分子に対しては、有意な量では結合しない。
いくつかの実施形態において、上記結合部分は、抗体、レクチン、タンパク質、糖タンパク質、核酸、単量体の核酸、多量体の核酸、アプタマー、アプタザイム、小分子、ポリマー、レクチン、炭水化物、多糖、糖、脂質、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、結合部分は、対目的とする被分析物分子と結合が可能な分子である。
いくつかの実施形態において、上記結合部分は抗体または抗体フラグメントである。抗体フラグメントとしては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、Fab’−SHフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fvフラグメント、Fv’フラグメント、Fdフラグメント、Fd’フラグメント、scFvフラグメント、hsFvフラグメント、カメロイド抗体、二重特異性抗体、及び後述する他のフラグメントが挙げられるが、これらに限定はされない。
いくつかの実施形態において、「抗体」とは、実質的に免疫グロブリン遺伝子または免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによってコードされる、1種または複数種のポリペプチドからなるタンパク質を指す。別段の明示がない限りにおいて、本明細書で用いられる「抗体」と「免疫グロブリン」という用語は同義で用いられる。いくつかの実施形態において、上記免疫グロブリン遺伝子は、免疫グロブリン定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態において、免疫グロブリン遺伝子は、非限定的な例として、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロンまたはミュー定常領域遺伝子である。いくつかの実施形態において、免疫グロブリン遺伝子は免疫グロブリン可変領域遺伝子である。いくつかの実施形態において、免疫グロブリン遺伝子は軽鎖を含む。いくつかの実施形態において、軽鎖は、カッパ軽鎖、ラムダ軽鎖またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、免疫グロブリン遺伝子は重鎖を含む。いくつかの実施形態において、上記重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、これらは、順に免疫グロブリンの種別、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEにそれぞれ対応する。
いくつかの実施形態において、上記免疫グロブリンは四量体を含む。いくつかの実施形態において、上記四量体は同一の2対のポリペプチド鎖からなり、各対は1の「軽」(約25kDa)鎖及び1の「重」(約50〜70kDa)鎖を有する。いくつかの実施形態において、各連鎖のN末端が、主として抗原認識を担う約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を特徴付ける。可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)という用語はそれぞれ、これらの軽鎖及び重鎖を指す。
いくつかの実施形態において、上記抗体は完全な免疫グロブリンを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、様々なペプチダーゼを用いた消化によって生成された、特徴が明確化された多くのフラグメントから選択される。いくつかの実施形態において、上記ペプチダーゼはペプシンである。いくつかの実施形態において、上記ペプシンは、ヒンジ領域のジスルフィド結合を消化して、それ自体がジスルフィド結合によってV−C1に結合する軽鎖であり、Fabの二量体であるF(ab)’を生成する。いくつかの実施形態において、上記F(ab)’は温和な条件下で還元されて、上記ヒンジ領域のジスルフィド結合を切断し、それによってF(ab)’二量体をFab’単量体に転化する。いくつかの実施形態において、Fab’単量体は、実質的にヒンジ領域の一部を含むFabからなる。いくつかの実施形態において、上記Fab’フラグメントは、化学的にまたは組換えDNA手法を利用することによるかの何れかによって新規に合成される。いくつかの実施形態において、上記抗体フラグメントは完全な抗体の改変によって生成される。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは組換えDNA手法を用いて新規に合成される。いくつかの態様において、上記抗体は単鎖抗体(単一のポリペプチド鎖として存在する抗体)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、可変重鎖及び可変軽鎖が(直接またはペプチド結合子を介して)互いに結合して連続したポリペプチドを形成する単鎖Fv抗体(sFvまたはscFv)を含む。いくつかの実施形態において、抗体は単鎖Fv抗体を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、直接結合したかまたはペプチドをコードする結合子によって結合したかのいずれかの、V−及びV−コード配列を含む核酸から発現させることができる、共有結合によって結合したV−V−ヘテロ二量体を含む。いくつかの実施形態において、V及びVは単一のペプチド鎖として互いに接続され、V及びVドメインは非共有結合的に会合する。いくつかの実施形態において、Fabがファージ上に提示され、ここで一方の連鎖(重鎖または軽鎖)がg3キャプシドタンパク質及び可溶性分子として周辺質に搬出される相補鎖に融合される。いくつかの実施形態において、上記2の連鎖は、同一または異なるレプリコン上にコードされ得る。いくつかの実施形態において、各Fab分子における2の抗体鎖が翻訳後に会合し、該ダイマーは、一方の連鎖の例えばg3pへの結合を介してファージ粒子中に組み込まれる。いくつかの実施形態において、抗体はファージ上に提示される。
いくつかの実施形態において、上記結合部分はアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、上記アプタマーは核酸から形成される抗体類似体を含む。いくつかの実施形態において、アプタマーは、ナノ−CHEM−FETなどの、再配置が直接検出されることとなる、いくつかのアッセイにおいて検出される標識の結合を必要としない。いくつかの実施形態において、結合部分はアプタザイムを含む。いくつかの実施形態において、上記アプタザイムは核酸から形成される抗体類似体を含む。いくつかの実施形態において、アプタザイムは、第2の特定の被分析物の存在下においてのみ、配置を変更するように作用して、特定の分子を捕捉する。
「小分子」または「有機小分子」という用語は、一般的に医薬品に用いられる有機分子に匹敵する大きさの分子をいう。この用語は、生物学的高分子(例えば、タンパク質、核酸等)を含まない。好ましい小分子は、約5000Daまで、より好ましくは2000Daまで、最も好ましくは約1000Daまでの大きさの範囲である。
いくつかの実施形態において、上記抗体フラグメントは、完全な抗体のタンパク分解性消化を介して誘導される。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは組換え宿主細胞によって直接産生される。いくつかの実施形態において、上記Fab、FvまたはScFv抗体フラグメントはE. coli中で発現し、且つE. coliから分泌され、従って、大量のこれらフラグメントを容易に製造することが可能になる。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは抗体ファージライブラリから単離される。いくつかの実施形態において、上記Fab’−SHフラグメントをE. coliから直接回収し、化学的にカップリングしてF(ab’)フラグメントを形成することができる。いくつかの実施形態において、F(ab’)フラグメントは組換え宿主細胞培養から直接単離される。いくつかの実施形態において、Fab及びF(ab’)フラグメントはインビボ半減期が増加する。いくつかの実施形態において、Fab及びF(ab’)フラグメントは、サルベージレセプタ結合エピトープ残基を含む。抗体フラグメントの産生のための他の技法は当業者には明らかであろう。ある特定の実施形態において、最適な抗体は単鎖Fvフラグメントである。いくつかの実施形態において、上記FvまたはsFvは、定常領域を欠く完全な結合部位を有し、従って、該FvまたはsFvはインビボでの使用中における非特異的結合の低減に好適である。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは「直鎖状抗体」である。いくつかの実施形態において、上記直鎖状抗体フラグメントは単一特異性である。いくつかの実施形態において、直鎖状抗体フラグメントは二重特異性である。
いくつかの実施形態において、上記抗体フラグメントは二重特異性抗体(diabody)である。いくつかの実施形態において、上記二重特異性抗体は、二価または二重特異性であってよい2の抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。
いくつかの実施形態において、上記抗体フラグメントは単一ドメイン抗体である。いくつかの実施形態において、上記単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部または軽鎖可変領域の全て若しくは一部含む抗体フラグメントである。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体はヒト単一ドメイン抗体である。
いくつかの実施形態において、上記プローブは検出可能な標識を含む。いくつかの実施形態において、プローブは検出可能な特性を有する。検出可能な標識/検出可能な特性としては、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的手段によって検出可能な任意の組成物が挙げられる。例示的な有用な標識としては、蛍光ナノ粒子(例えば、量子ドット(Qドット))、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質等、例えば、モレキュラー・プローブス社(米国オレゴン州ユージーン)を参照のこと)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、32P、99Tc、203Pb、67Ga、68Ga、72As、111In、113mIn、97Ru、62Cu、641Cu、52Fe、52mMn、51Cr、186Re、188Re、77As、90Y、67Cu、169Er、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、198Au、199Au、161Tb、109Pd、165Dy、149Pm、151Pm、153Sm、157Gd、159Gd、166Ho、172Tm、169Yb、175Yb、177Lu、105Rh、111Ag等)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAにおいて一般的に用いられるその他のもの)、様々な発色標識、磁性または常磁性標識(例えば、磁性及び/または常磁性ナノ粒子)、スピン標識、放射線不透過性標識などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
あるいはまたは更に、上記プローブは、検出可能な標識を含む別の粒子に結合する。あるいはまたは更に、プローブは、検出可能な特性を有する他の粒子に結合する。いくつかの実施形態において、プローブは検出区域で検出可能な信号(例えば、試験線、対照線)を与える。いくつかの実施形態において、上記検出可能な標識/特性は、発色標識/特性、蛍光標識/特性、酵素標識/特性、発熱標識/特性及び放射性標識/特性からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、プローブは金ナノ粒子であり、検出可能な特性が色である。いくつかの実施形態において、上記色は橙色、赤色及び紫色から選択される。
いくつかの実施形態において、上記プローブは、磁性及び/または常磁性粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記磁性粒子は、鉄、ニッケル、コバルト、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、アルニコ、アルミニウム−ニッケル−コバルト合金を含む。いくつかの実施形態において、磁性粒子は希土類金属の合金を含む。いくつかの実施形態において、上記希土類金属は、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、またはそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、上記磁性成分は希土類鉱物を含む。いくつかの実施形態において、上記希土類鉱物は天然磁石を含む。いくつかの実施形態において、上記磁性粒子は鉄を含む。いくつかの実施形態において、磁性粒子は強磁性材料を含む。いくつかの実施形態において、上記強磁性材料は軟強磁性材料である。いくつかの実施形態において、上記軟強磁性材料は焼鈍鉄を含む。いくつかの実施形態において、軟強磁性材料は、亜鉛、ニッケル、マンガンまたはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、軟強磁性材料は、マンガン−亜鉛フェライト(MnZn(l−A)Fe)及びニッケル−亜鉛フェライト(NiZn(l−a)Fe)から選択される。いくつかの実施形態において、強磁性材料は硬強磁性材料である。いくつかの実施形態において、上記硬強磁性材料は、アルニコまたはフェライトを含む。いくつかの実施形態において、硬強磁性材料は、ストロンチウムフェライト、SrFe1219(SrO・6Fe)、バリウムフェライト、BaFe1219(BaO・6Fe)及びコバルトフェライト、CoFe(CoO・Fe)から選択される。いくつかの実施形態において、上記磁性成分はフェライトを含む。いくつかの実施形態において、上記フェライトはヘマタイト(Fe)から選択される。いくつかの実施形態において、磁性成分はフェライトを含む。いくつかの実施形態において、上記フェライトはマグネタイト(Fe)から選択される。いくつかの実施形態において、上記磁性粒子はFeを含む。いくつかの実施形態において、磁性粒子はFeを含む。いくつかの実施形態において、磁性粒子はFe3O4から本質的になる。いくつかの実施形態において、磁性粒子はFeから本質的になる。
いくつかの実施形態において、上記磁性粒子は、球体、立方体、楕円体、棒体、カプセル形状、錠剤形状、特徴のない無秩序な形状から選択される形状であるが、これらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態において、上記磁性粒子は、約1nm〜約100μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約20nm〜約1μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約10nm〜約50nmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約100nm〜約750nmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約500nmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約1μm〜約15μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約2μm〜約10μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約1μm〜約5μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、約1μmの平均径を有する。いくつかの実施形態において、磁性粒子は、その最も広い点で約0.5μm〜約20μmの平均径を有する。
図21は、ATPS中で被分析物を濃縮するために磁気プローブを用いる方法の、例証としての、但し非限定的な一例を示す。目的とする被分析物に対して特異的な抗体(または他の結合部分)を用いて、ATPS中のバルク相の1つの中で、磁気プローブによって標的が捕捉及び濃縮される。多様な分子を含有する複雑な試料において、ATPSは、目的とする被分析物またはプローブに対して類似した物理化学的特性を有する分子を非特異的に濃縮する場合がある。しかしながら、磁石または外部磁場の使用により、磁気捕捉プローブに結合した、目的とする被分析物の更なる濃縮及び単離が検出の前に達成される。
いくつかの実施形態において、本デバイスは磁性材料を備える。いくつかの実施形態において、上記磁性材料は磁場の発生源である。いくつかの実施形態において、上記磁石は、マグネタイト、天然磁石、コバルト、ニッケル、マンガン、アルミニウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、セラミック(例えば、フェライト)及びアルニコから選択される物質を含む。いくつかの実施形態において、磁石は鉱石を含む。いくつかの実施形態において、磁石は鉄鉱石を含む。いくつかの実施形態において、磁石は希土類磁石を含む。いくつかの実施形態において、上記希土類磁石は、サマリウム−コバルト磁石及びネオジム−鉄−ホウ素磁石(NIB)から選択される。いくつかの実施形態において、磁石は、約0.1ガウス、約0.2ガウス、約0.3ガウス、約0.4ガウス、約0.5ガウス、約0.6ガウス、約0.7ガウス、約0.8ガウス、約0.9ガウスまたは約1ガウスの磁界強度を有する。いくつかの実施形態において、磁石は、約1ガウス、約2ガウス、約3ガウス、約4ガウス、約5ガウス、約6ガウス、約7ガウス、約8ガウス、約9ガウス、または約10ガウスの磁界強度を有する。いくつかの実施形態において、磁石は、約10ガウス、約20ガウス、約30ガウス、約40ガウス、約50ガウス、約60ガウス、約70ガウス、約80ガウス、約90ガウス、約100ガウス、約110ガウス、約120ガウス、約130ガウス、約140ガウス、約150ガウス、約160ガウス、約170ガウス、約180ガウス、約190ガウス、約200ガウス、約250ガウス、約300ガウス、約350ガウス、約400ガウス、約450ガウス、または約500ガウスの磁界強度を有する。いくつかの実施形態において、磁石は約100ガウスの磁界強度を有する。
いくつかの実施形態において、上記磁石は、目的とする被分析物の第1の相溶液または第2の相溶液中への分配を促進する及び/または増加させるように構成される。いくつかの実施形態において、磁石は、LFAを通る目的とする被分析物の流動を促進する及び/または増加させるように構成される。いくつかの実施形態において、磁石は、本デバイスへの取り付け及び/または該デバイスからの取り外しが可能である。いくつかの実施形態において、磁石は捕集器中/上に設けられる。
いくつかの実施形態において、本デバイスは、少なくとも1種の目的とする被分析物、若しくは少なくとも2種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも3種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも4種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも5種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも7種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも10種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも15種の異なる目的とする被分析物、若しくは少なくとも20種の異なる目的とする被分析物と相互作用する1種または複数種のプローブを利用する及び/または備えるように構成される。
目的とする被分析物/試料
様々な実施形態において、本明細書に記載のデバイス、システム及び/または方法は、1種または複数種の目的とする被分析物(複数可)を検出及び/または定量する。いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は、タンパク質、抗原、生体分子、糖部分、脂質、核酸、ステロール、有機小分子、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、植物、動物、ウィルス、真菌、原生動物、及び細菌からなる群より選択される生物に由来する。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は生物学的分子を含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的分子は、核酸、タンパク質、脂質、小分子、代謝産物、糖、抗体、抗原、酵素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記糖はラクトースである。
「タンパク質」、「ペプチド」及び「ポリペプチド」という用語は、本明細書において同義で用いられる。いくつかの実施形態において、上記タンパク質はアミノ酸残基のポリマーを指す。いくつかの実施形態において、タンパク質は、1種または複数種のアミノ酸残基が、対応する天然アミノ酸の人工的な化学類似体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然アミノ酸ポリマーをいう。
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書において同義で用いられる。いくつかの実施形態において、上記核酸は、少なくとも2の互いに共有結合したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明の核酸は一本鎖である。いくつかの実施形態において、核酸は二本鎖である。いくつかの実施形態において、核酸は三本鎖である。いくつかの実施形態において、核酸はホスホジエステル結合を含む。いくつかの実施形態において、核酸は核酸類似体を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸類似体は、ホスホジエステル結合以外の及び/またはホスホジエステル結合に加えて、それらに限定されないが、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートまたはO−メチルホスホラミダイト結合などの結合を含む骨格を有する。いくつかの実施形態において、核酸類似体は陽性の骨格、非イオン性骨格及び非リボース骨格ら選択される骨格を有する核酸類似体から選択される。いくつかの実施形態において、核酸は、1種または複数種の炭素環式糖を含有する。いくつかの実施形態において、核酸は、そのリボース−リン酸骨格の修飾を含む。いくつかの実施形態において、これらの修飾は、標識などの追加部分の付加を容易にするために行われる。いくつかの実施形態において、これらの修飾は、生理的環境におけるかかる分子の安定性及び半減期を増加させるために行われる。
いくつかの実施形態において、上記生物学的分子はウィルスに由来する。いくつかの実施形態において、生物学的分子はウィルス粒子である。いくつかの実施形態において、上記ウィルス粒子は、インフルエンザウィルス、免疫不全ウィルス、呼吸器系ウィルスからなる群より選択されるウィルスに由来する。いくつかの実施形態において、上記ウィルスは、アデノウィルス、ヘルペスウィルス、パピローマウィルス、ポックスウィルス、パルボウィルス、アストロウィルス、カリシウィルス、ピコルナウィルス、コロナウィルス、フラビウィルス、トガウィルス、ヘペウィルス、レトロウィルス、オルトミクソウィルス、アレナウィルス、ブンヤウィルス、フィロウィルス、パラミクソウィルス、ラブドウィルス及びレオウィルスから選択される。いくつかの実施形態において、ウィルスは、ロタウィルス、オルビウィルス、コルティウィルス、マールブルグウィルス、風疹ウィルス、ノーウォークウィルス、ライノウィルス、エプスタイン・バーウィルス、及びサイトメガロウィルスから選択される。いくつかの実施形態において、ウィルスは天然痘ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは肝炎ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは狂犬病ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは呼吸器合胞体ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは流行性耳下腺炎ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは麻疹ウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスはエボラウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスはポリオウィルスである。いくつかの実施形態において、ウィルスは季節性H1N1、ブタH1N1、H3N2インフルエンザから選択される。いくつかの実施形態において、ウィルスはバクテリオファージである。いくつかの実施形態において、上記バクテリオファージはM13バクテリオファージである。
いくつかの実施形態において、上記生物学的分子は細菌に由来する。いくつかの実施形態において、生物学的分子は細菌粒子である。いくつかの実施形態において、上記細菌は、Streptococcus、Chlamydia、Mycobacterium、及びNeisseriaから選択される属のものである。いくつかの実施形態において、細菌はStreptococcus mutansである。いくつかの実施形態において、細菌は、Bacillus、Bordetella、Borrelia、Brucella、Campylobacter、Chlamydophila、Clostridium、Corynebacterium、Enterococcus、Escherichia、Francisella、Haemophilus、Helicobacter、Legionella、Leptospira、Listeria、Mycobacterium、Mycoplasma、Neisseria、Pseudomonas、Rickettsia、Salmonella、Shigella、Staphylococcus、Treponema、Vibrio、及びYersiniaからなる群より選択される属のものである。いくつかの実施形態において、細菌はStreptococcus pneumoiaeである。いくつかの実施形態において、細菌はChlamydia trachomatisである。いくつかの実施形態において、細菌はNeisseria gonorrhoeaeである。いくつかの実施形態において、細菌はMycobacterium tuberculosisである。
いくつかの実施形態において、細菌はStaphylococcus aureusである。いくつかの実施形態において、細菌はStaphylococcus saprophyticusである。いくつかの実施形態において、細菌はEscherichia coliである。いくつかの実施形態において、細菌はBacillus anthracisである。いくつかの実施形態において、細菌はClostridium botulinumである。いくつかの実施形態において、細菌はHelicobacter pyloriである。
いくつかの実施形態において、上記細菌は口腔細菌である。いくつかの実施形態において、上記口腔細菌は歯周病を引き起こす。いくつかの実施形態において、口腔細菌は、Porphyromonas gingivalis、Bacteroides forsythus、Treponema denticola、Prevotella intermedia、Fusobacterium nucleatum、Microaerophile bacteria Actinomyces actinomycetemcomitans、Campylobacter rectus、Eikenella corrodens及びEubacterium speciesから選択される。
いくつかの実施形態において、上記試料または目的とする被分析物は原生動物に由来する。いくつかの実施形態において、上記原生動物はアメーバ症、ジアルジア症、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、トリコモナス症、シャーガス病、リーシュマニア症、睡眠病、アメーバ赤痢、アカントアメーバ角膜炎及び原発性アメーバ性髄膜脳炎からなる群より選択される疾患を引き起こす。いくつかの実施形態において、原生動物はマラリアを引き起こすことが知られているPlasmodium属である。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、Plasmodium lactate dehydrogenzse(pLDH)である。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は食物アレルゲンである。いくつかの実施形態において、上記食物アレルゲンは植物生体分子である。いくつかの実施形態において、上記植物生体分子は植物タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記植物タンパク質はグルテンである。いくつかの実施形態において、上記食物アレルゲンは植物生体分子である。いくつかの実施形態において、上記植物生体分子は植物タンパク質である。いくつかの実施形態において、上記植物タンパク質はグルテンである。いくつかの実施形態において、食物アレルゲンは動物生体分子である。いくつかの実施形態において、上記動物生体分子は多糖である。いくつかの実施形態において、上記多糖類はラクトースである。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物はタンパク質である。いくつかの実施形態において、上記タンパク質は生物学的試料(例えば血液、血漿、血清、尿、唾液、涙/眼液、綿棒により採取された体液)中に存在する及び/また該試料に由来する。いくつかの実施形態において、タンパク質はバイオマーカーである。いくつかの実施形態において、タンパク質は疾患または疾病のバイオマーカーである。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物はトロポニンまたはそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物はトランスフェリンまたはそのフラグメントである。
いくつかの実施形態において、本デバイスは、試料中の複数の被分析物を検出する/定量するように構成される。いくつかの実施形態において、上記ATPSは、類似した物理化学的特性をもつ複数の被分析物を濃縮する。いくつかの実施形態において、上記LFAは、複数の目的とする被分析物を試験することができる。いくつかの実施形態において、LFAは複数の試験線を備える。いくつかの実施形態において、LFAは、第1の目的とする被分析物に対して特異的である第1の捕捉部分を有する第1の試験線及び、第2の目的とする被分析物に対して特異的である第2の捕捉部分を有する第2の試験線を備え、第1の捕捉部分と第2の捕捉部分とは異なる。本デバイスは、約1の試験線について約2の試験線、約3の試験線、約4の試験線、約5の試験線、約6の試験線、約7の試験線、約8の試験線、約9の試験線または約10の試験線を備えることができる。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は試料中に存在する。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は試料に由来する。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は試料から単離される。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は試料から精製される。
いくつかの実施形態において、上記試料は、生物学的有機体由来の組織/流体、食品試料、化学的試料、薬物試料、環境試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、上記食品試料は、ナッツ、乳製品、小麦製品、大豆製品、及び卵製品から選択される。いくつかの実施形態において、上記食品試料は豆である。いくつかの実施形態において、上記食品は果実である。
いくつかの実施形態において、上記試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、尿試料、唾液試料、涙/眼液試料、綿棒採取試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、上記試料は、細菌、ウィルス、原生動物、藻類、真菌、薬物、病原体、毒素、環境汚染物質、及びそれら構成成分、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される供給源に由来する。いくつかの実施形態において、試料は生物兵器剤である。いくつかの実施形態において、試料は水試料である。いくつかの実施形態において、上記水試料は水試験施設由来のものである。いくつかの実施形態において、水試料は浄水施設由来のものである。
いくつかの実施形態において、上記試料は、建物、無生物の構造物または化学溶液に由来する。いくつかの実施形態において、試料は、カーペット、塗料、防腐処理木材、消臭剤、洗浄製品、化粧品、衣類、昆虫忌避剤、消臭剤、床、壁、天井、リノリウム、プラスチック、昆虫スプレー、及び歯科ゲル/ペーストに由来する。
II.方法
本明細書においては、試料中の1種または複数種の目的とする被分析物(複数可)の検出方法が開示される。試料中の1種または複数種の目的とする被分析物(複数可)の定量方法であって、本明細書に開示のデバイスのいずれかの1に該試料を印加すること、及びラテラルフローアッセイ上で該目的とする被分析物(複数可)を定量することを含む、上記定量方法もまた提供される。試料中の目的とする被分析物の濃縮方法もまた提供される。様々な実施形態において、本方法は、本明細書に開示のデバイスのいずれかの1に試料を印加すること、及びラテラルフローアッセイ上で該目的とする被分析物の有無を検出することを含む。様々な実施形態において、本方法は、本明細書に開示のデバイスのいずれかの1に試料を印加すること、及び水性二相系中及び/またはラテラルフローアッセイ上で目的とする被分析物(複数可)を濃縮することを含む。本明細書において、試料中の1種または複数種の目的とする被分析物(複数可)の分配/分離方法が開示される。様々な実施形態において、本方法は、本明細書に開示のデバイスのいずれかの1に試料を印加すること、及び水性二相系中及び/またはラテラルフローアッセイ上で目的とする被分析物を分配/分離することを含む。いくつかの実施形態において、本方法(複数可)は、ATPSに試料を印加することを含む。いくつかの実施形態において、本方法(複数可)は、LFAに試料を印加することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ATPSと一体化されたLFAに試料を印加することを含む。
いくつかの実施形態において、本方法はATPSに試料を印加することを含む。いくつかの実施形態において、本方法はLFAに試料を印加することを含み、ここでは該LFA上でATPSが脱水される。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は、ATPSの相溶液または界面に集中する。いくつかの実施形態において、本方法は、上記相溶液または相間から濃縮された目的とする被分析物を抽出すること、及び該被分析物をLFAに印加することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、ATPSを、例えば本明細書に記載されるような捕集器に接触させることを含み、ここで、目的とする被分析物、プローブ及び/またはプローブ−被分析物複合体は、捕集器に対する親和性を有し、捕集器と相互作用する。いくつかの実施形態において、本方法は、捕集器が検出ウェルに挿入される際に、捕集器上で目的とする被分析物を検出することを含む(図11)。
いくつかの実施形態において、本方法は、試料から目的とする被分析物を抽出することを含む。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物の抽出はATPSの使用を更に含んでもよい。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物の抽出は、試料の破砕、溶解、摩砕、配合、切り刻み、撹拌、遠心分離または切断を含んでもよい。いくつかの実施形態において、固体食物由来の食物アレルゲンを試験するためには、試料は最初に摩砕される。いくつかの実施形態において、抽出緩衝液によって、粉砕試料から目的とする被分析物が抽出される。いくつかの実施形態において、摩砕試料は、試料から目的とする被分析物を抽出するためのATPS液と混合される。
いくつかの実施形態において、本方法は、試料及び/または目的とする被分析物をプローブと混合することを更に含む。いくつかの実施形態において、本方法は、試料及び/または目的とする被分析物をATPS及び/またはLFAに印加する前に、試料及び/または目的とする被分析物をプローブと混合して、プローブ−被分析物複合体を生成させることを更に含む。いくつかの実施形態において、本方法は、試料及び/または目的とする被分析物をATPS及び/またはLFAに印加する前に、プローブ−被分析物複合体を洗浄することを更に含む。
III.使用
いくつかの態様において、本明細書に記載の方法及びデバイスは、試料中の目的とする被分析物を検出するために用いられる。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法及びデバイスは、試料中の目的とする被分析物を定量するために用いられる。いくつかの態様において、本明細書に記載の方法及びデバイスは、試料中の目的とする被分析物を検出及び定量するために用いられる。
いくつかの態様において、本明細書に記載の方法は、疾病または疾患の診断を含む。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に開示のデバイスのLFA上の結果を観察すること、及び該結果に基づいて診断を決定することを含んでもよい。特定の場合において、上記アッセイの結果は診断の方向を決定する一方、他の文脈においては、上記アッセイ結果は鑑別診断の文脈で評価されてもよい。いくつかの実施形態において、疾病または疾患の診断には、更なるデバイスによる更なる試験を必要とする。
感染症
いくつかの実施形態において、上記疾病または疾患は感染症である。いくつかの実施形態において、上記感染症は呼吸器感染症である。いくつかの実施形態において、感染症はインフルエンザである。いくつかの実施形態において、感染症は熱帯病である。
いくつかの実施形態において、上記感染症は感冒、子宮頸癌、ヘルペス、天然痘、水痘、帯状疱疹、肝炎、狂犬病、流行性耳下腺炎、及びポリオから選択される。いくつかの実施形態において、感染症は結核である。いくつかの実施形態において、感染症はエボラである。いくつかの実施形態において、感染症はマラリアである。いくつかの実施形態において、感染症は麻疹である。いくつかの実施形態において、感染症は百日咳である。いくつかの実施形態において、感染症は破傷風ある。いくつかの実施形態において、感染症は髄膜炎である。いくつかの実施形態において、感染症は梅毒である。いくつかの実施形態において、感染症はB型肝炎である。
性感染症
いくつかの実施形態において、上記疾病または疾患は性感染症である。いくつかの実施形態において、上記性感染症は、クラミジア、淋病、ヘルペス(HSV−1、HSV−2)、ヒトパピローマウィルス感染症、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、A型肝炎、細菌性膣炎、ケジラミ、疥癬、トリコモナス症、アメーバ症、クリプトスポリジウム、ジアルジア症、カンジダ症、及び細菌性赤痢から選択される。
歯周病
いくつかの実施形態において、上記疾病または疾患は歯周病である。いくつかの実施形態において、上記歯周病は歯肉炎である。いくつかの実施形態において、歯周病は歯周炎である。いくつかの実施形態において、歯周病は口腔内の細菌Streptococcus mutansの存在によって引き起こされる。
アレルゲン/毒素
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は、液体または食品試料中の汚染物質である。いくつかの実施形態において、目的とする被分析物は、液体または食品試料中のアレルゲンである。いくつかの実施形態において、上記アレルゲンは、乳製品アレルギー、卵アレルギー、大豆アレルギー、小麦アレルギー、貝アレルギー、及びナッツアレルギーから選択される。いくつかの実施形態において、上記ナッツアレルギーはピーナッツアレルギーである。いくつかの実施形態において、上記疾病または疾患は、食品または食品成分に対する不耐性または感受性である。いくつかの実施形態において、上記疾病または疾患はグルテン不耐症である。
いくつかの実施形態において、上記目的とする被分析物は環境毒素である。上記環境毒素は農薬及び除草剤から選択される。いくつかの実施形態において、上記環境毒素は糸状菌及び真菌から選択される。いくつかの実施形態において、環境毒素はポリ塩化ビフェニル(PCB)及びフタル酸エステルから選択される。いくつかの実施形態において、環境毒素は、揮発性有機化合物、ダイオキシン、アスベスト、重金属、クロロホルム及び塩素から選択される。
本明細書において企図される様々な実施形態としては、下記の1または複数、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定される必要はない。
実施形態1:a.ラテラルフローアッセイ(LFA)と、b.第1の相溶液及び第2の相溶液に分離する混合相溶液を含む水性二相系(ATPS)とを備える、試料中の目的とする被分析物の検出及び/または定量のためのデバイス。
実施形態2:上記混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液への上記分離が上記LFA内で起こる、実施形態1のデバイス。
実施形態3:上記混合相の第1の相溶液及び第2の相溶液への上記分離が上記LFA内で起こらない、実施形態1のデバイス。
実施形態4:上記目的とする被分析物が上記混合相溶液と接触し、該目的とする被分析物が第1の相溶液または第2の相溶液中に分配される、実施形態1〜3のいずれか1のデバイス。
実施形態5:上記目的とする被分析物が上記混合相溶液と接触し、該目的とする被分析物が第1の相溶液と第2の相溶液との界面に分配される、実施形態1〜3のいずれか1のデバイス。
実施形態6:上記目的とする被分析物が分配時に濃縮される、実施形態4または5のデバイス。
実施形態7:第1の相溶液がミセル溶液を含み、第2の相溶液がポリマーを含む、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態8:第1の相溶液がミセル溶液を含み、第2の相溶液が塩を含む、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態9:上記ミセル溶液が界面活性剤を含む、実施形態7または8のデバイス。
実施形態10:上記界面活性剤が、イオン性界面活性剤、双性イオンを含む界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群より選択される、実施形態9のデバイス。
実施形態11:上記ミセル溶液がTriton−Xを含む、実施形態7〜10のいずれか1に記載のデバイス。
実施形態12:第1の相溶液が第1のポリマーを含み、第2の相溶液が第2のポリマーを含む、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態13:第1/第2のポリマーが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びデキストランから選択される、実施形態12のデバイス。
実施形態14:第1の相溶液がポリマーを含み、第2の相溶液が塩を含む、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態15:第1の相溶液がポリエチレングリコールを含み、第2の相溶液がリン酸カリウムを含む、実施形態14のデバイス。
実施形態16:第1の相溶液が表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液が表1の構成成分2から選択される、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態17:上記目的とする被分析物が、タンパク質、抗原、生体分子、有機低分子、糖部分、脂質、核酸、ステロール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態1〜6のいずれか1のデバイス。
実施形態18:上記目的とする被分析物が、植物、動物、ウィルス、原生動物、真菌及び細菌からなる群より選択される生物に由来する、実施形態17のデバイス。
実施形態19:上記目的とする被分析物と相互作用するプローブを更に備える、実施形態1〜17のいずれか1のデバイス。
実施形態20:少なくとも1の目的とする被分析物、または少なくとも2の異なる目的とする被分析物、または少なくとも3の異なる目的とする被分析物、または少なくとも4の異なる目的とする被分析物を含む、または少なくとも5の異なる目的とする被分析物、または少なくとも7の異なる目的とする被分析物、または少なくとも10の異なる目的とする被分析物、または少なくとも15の異なる目的とする被分析物、または少なくとも20の異なる目的とする被分析物と相互作用する1種または複数種のプローブを備える、実施形態19のデバイス。
実施形態21:少なくとも2の異なるプローブ、または少なくとも3の異なるプローブ、または少なくとも4の異なるプローブ、または少なくとも5の異なるプローブ、または少なくとも7の異なるプローブ、または少なくとも10の異なるプローブ、または少なくとも15の異なるプローブ、または少なくとも20の異なるプローブを備える、実施形態19または20のデバイス。
実施形態22:上記プローブが、合成ポリマー、金属、鉱物、ガラス、石英、セラミック、生物学的ポリマー、プラスチック、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される材料を含む、実施形態19のデバイス。
実施形態23:上記プローブが、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、キチン、ナイロン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、実施形態19のデバイス。
実施形態24:上記プローブが、デキストラン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される生物学的ポリマーを含む、実施形態19のデバイス。
実施形態25:上記プローブが、金、銀、白金、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む、実施形態19のデバイス。
実施形態26:上記プローブがナノ粒子を含む、実施形態19のデバイス。
実施形態27:上記ナノ粒子が金ナノ粒子である、請求項19のデバイス。
実施形態28:上記プローブがコーティングを含む、実施形態17〜27のいずれか1のデバイス。
実施形態29:上記コーティングが、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選択されるポリマーを含む、実施形態28のデバイス。
実施形態30:上記コーティングがデキストランを含む、実施形態28のデバイス。
実施形態31:上記コーティングが親水性タンパク質を含む、実施形態28のデバイス。
実施形態32:上記コーティングが血清アルブミンを含む、実施形態28のデバイス。
実施形態33:上記コーティングが、第1の相溶液または第2の相溶液に対して親和性を有する、実施形態28〜32のいずれか1のデバイス。
実施形態34:上記プローブが、上記目的とする被分析物に結合する結合部分を更に含む、実施形態28〜33のいずれか1のデバイス。
実施形態35:上記結合部分が、抗体、レクチン、タンパク質、糖タンパク質、核酸、低分子、ポリマー、脂質、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態34のデバイス。
実施形態36:上記結合部分が抗体または抗体フラグメントである、実施形態34のデバイス。
実施形態37:上記プローブが磁性粒子を含む、実施形態18〜35のいずれか1のデバイス。
実施形態38:磁石を更に備える、実施形態37のデバイス。
実施形態39:上記磁石が、上記目的とする被分析物の第1の相溶液または第2の相溶液中への分配を促進する及び/または増加させるように構成される、実施形態38のデバイス。
実施形態40:上記磁石が、上記LFAを通る上記目的とする被分析物の流動を促進する及び/または増加させるように構成される、実施形態38のデバイス。
実施形態41:実施形態38〜40のいずれか1のデバイスであって、上記磁石が、該デバイスへ取り付け可能及び/または該デバイスから取り外し可能である、上記デバイス。
実施形態42:上記ATPSと接触して配置されるように構成された捕集器を更に備え、該捕集器と第1の相溶液及び/または第2の相溶液との界面で、上記目的とする被分析物が分配される、実施形態1〜41のいずれか1のデバイス。
実施形態43:上記捕集器が、プラスチック、メソポーラス材料、シリカ、ポリプロピレン、磁石、細孔を有する材料、溝を有する材料、及びそれらの組み合わせから選択される材料を含む、実施形態42のデバイス。
実施形態44:上記プローブが検出可能な標識を含む、実施形態19〜43のいずれか1のデバイス。
実施形態45:上記検出可能な標識が、発色標識、蛍光標識、酵素標識、発熱標識、放射性標識、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態44のデバイス。
実施形態46:上記LFAが多孔質マトリクスを備える、実施形態1〜45のいずれか1のデバイス。
実施形態47:上記多孔質マトリクスが、上記混合相溶液、第1の相溶液、第の二相溶液、及び/または目的とする被分析物が上記LFAを通って流れることを可能にするために十分に多孔質である、実施形態46のデバイス。
実施形態48:上記多孔質マトリクスが、上記混合相溶液、第1の相溶液、第の二相溶液並びに/または目的とする被分析物が上記LFAを通って垂直及び/若しくは水平に流れるために十分に長い並びに/または深い、実施形態46または47のデバイス。
実施形態49:第1の相溶液が第1の速度で上記多孔質マトリクスを通って流れ、第2の相溶液が第2の速度で上記多孔質マトリクスを通って流れ、第1の速度と第2の速度が異なる、実施形態46〜48のいずれか1のデバイス。
実施形態50:上記多孔質マトリクスが、セルロース、線維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン、及びそれらの組み合わせから選択される材料を含む、実施形態46〜49のいずれか1のデバイス。
実施形態51:上記LFAが、上記目的とする被分析物と相互作用する、目的とする被分析物の捕捉部分を含む、実施形態1〜50のいずれか1のデバイス。
実施形態52:競合アッセイが用いられる場合に、上記LFAが競合アッセイを提供するように構成される、実施形態1〜51のいずれか1のデバイス。
実施形態53:上記LFAが上記目的とする被分析物を含む、実施形態1〜51のいずれか1のデバイス。
実施形態54:サンドイッチアッセイが用いられる場合に、上記LFAがサンドイッチアッセイを提供するように構成される、実施形態53のデバイス。
実施形態55:上記LFAが、上記プローブまたはその構成成分と相互作用するプローブ捕捉部分を含む、実施形態18〜54のいずれか1のデバイス。
実施形態56:第1の相溶液の構成成分及び/または第2の相溶液の構成成分が、上記LFAストリップ上及び/または該ストリップ中で脱水され、且つ、上記試料の添加の際に、上記混合相溶液が第1の相溶液及び第2の相溶液中に分配される、実施形態1〜55のいずれか1のデバイス。
実施形態57:上記LFAが、上記ATPSの少なくとも一部、第1の相溶液の少なくとも一部、第2の相溶液の少なくとも一部、目的とする上記被分析物の再懸濁溶液、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される溶液を収容するために十分な体積を有するウェルを備える、実施形態1〜56のいずれか1のデバイス。
実施形態58:上記十分な体積が、約1ナノリットル〜約5ミリリットルである、実施形態57のデバイス。
実施形態59:上記ウェルが、角部、端部、中央部、接続部、中心を外れた部位、及び屈曲部から選択されるLFAの位置に配置される、実施形態57のデバイス。
実施形態60:上記ウェルがパッドを備える、実施形態56〜58のいずれか1のデバイス。
実施形態61:上記パッドが、塩パッド、緩衝液パッド、フィルターパッド、界面活性剤パッド、プローブパッド、ポリマーパッド、及びそれらの組み合わせからなる群いり選択される、実施形態60のデバイス。
実施形態62:上記LFAが、図16、20及び62〜70に示される構造より選択される構造に従って構成される、実施形態1〜61のいずれか1のデバイス。
実施形態63:上記LFAが複数の経路を備える、実施形態1〜62のいずれか1のデバイス。
実施形態64:上記LFAが乾燥した受入れ紙を備える、実施形態1〜63のいずれか1のデバイス。
実施形態65:ラニングバッファを備える、実施形態1〜64のいずれか1のデバイス。
実施形態66:実施形態1〜65のいずれか1のデバイスであって、該デバイスへの試料の投入のためのポートを備える、上記デバイス。
実施形態67:上記ポートがATPSに接続される、実施形態66のデバイス。
実施形態68:上記ATPSと上記LFAが一体化され、上記ポートがLFAに接続される、実施形態66のデバイス。
実施形態69:上記ポートが、管、ロート、弁、シリンジ、ストロー、流路、プランジャ、ピストン、ポンプ、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される構造体を備える、実施形態66〜68のいずれか1のデバイス。
実施形態70:動力源を必要としない、実施形態1〜69のいずれか1のデバイス。
実施形態71:実施形態1〜70のいずれか1のデバイスであって、上記ATPS及び上記LFAが該デバイスの使用前に一体化される、上記デバイス。
実施形態72:実施形態1〜70のいずれか1のデバイスであって、上記ATPS及び上記LFAが該デバイスの使用前に分離されている、上記デバイス。
実施形態73:上記ATPSに上記LFAを挿入するように構成されている、実施形態72のデバイス。
実施形態74:a:上記ATPSを収容するためのチャンバを備える第1の構成要素と、b:上記LFAを備える第2の構成要素とを備える、実施形態72または73のデバイス。
実施形態75:上記ATPS中に上記試料及び/または目的とする被分析物を送達するアクチュエータを備える、実施形態1〜74のいずれか1のデバイス。
実施形態76:上記LFAに溶液を送達するアクチュエータを備える、実施形態1〜75のいずれか1のデバイス。
実施形態77:上記溶液が、上記混合相溶液、第1の相溶液、第2の相溶液、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態76のデバイス。
実施形態78:上記ATPS及び上記LFAが単一の筐体内に収容される、実施形態1〜77のいずれか1のデバイス。
実施形態79:携帯型デバイスである、実施形態1〜78のいずれか1のデバイス。
実施形態80:試料中の目的とする被分析物の検出及び/または定量方法であって、a:上記試料を実施形態1〜78のいずれか1のデバイスに印加することと、b:上記LFA上で有無を検出する及び/または上記目的とする被分析物を定量することとを含む、上記方法。
実施形態81:上記ATPSに上記試料を印加することを含む、実施形態80の方法。
実施形態82:上記ATPSと一体化された上記LFAに上記試料を印加することを含む、実施形態80の方法。
実施形態83:上記ATPS中で上記目的とする被分析物を濃縮すること含む、実施形態80〜82のいずれか1の方法。
実施形態84:上記LFA中で上記目的とする被分析物を濃縮することを含む、実施形態80〜83のいずれか1の方法。
実施形態85:上記試料が、生物学的有機体由来の組織/流体、食品試料、化学試料、薬物試料、環境上の試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態80〜84のいずれか1の方法。
実施形態86:上記試料が、血液試料、綿棒採取試料、血清試料、血漿試料、尿試料、唾液試料、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態80〜85のいずれか1の方法。
実施形態87:上記試料が、細菌、ウィルス、原生動物、藻類、真菌、薬物、病原体、哺乳動物、毒素、環境汚染物質、及びそれらの構成成分、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される供給源に由来する、実施形態80〜86のいずれか1の方法。
実施形態88:上記目的とする被分析物が生物学的分子を含む、実施形態80〜87のいずれか1の方法。
実施形態89:上記生物学的分子が、核酸、タンパク質、代謝産物、脂質、低分子、糖、抗体、抗原、酵素、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態88の方法。
実施形態90:多孔質マトリクスを備える、試料中の目的とする被分析物の検出のためのペーパー流体デバイスであって、上記多孔質マトリクスが、a:ATPSまたはその構成成分を受け入れる及び/または含有するように構成され、b:上記ATPSまたはその構成成分が流体相中にある場合に、該ATPSまたはその構成成分が上記多孔質マトリクスを通って流れることが可能なように構成され、且つそのように流れることが可能であるために十分な多孔性を有する、上記デバイス。
実施形態91:上記ATPSまたはその構成成分を含有する、実施形態90のペーパー流体デバイス。
実施形態92:上記ATPSまたはその構成成分が、第1の相溶液、第2の相溶液、及び、第1の相溶液と第2の相溶液との混合物を含む混合相溶液からなる群より選択される、実施形態90または91のペーパー流体デバイス。
実施形態93:上記ATPSまたはその構成成分が、上記多孔性マトリクスの少なくとも第1の部分上及び/または該部分中で脱水される、実施形態91または92のペーパー流体デバイス。
実施形態94:上記多孔性マトリクスの第1の部分が、該多孔質マトリクスの第2の部分とは異なる幅を有する、実施形態93のペーパー流体デバイス。
実施形態95:実施形態94のペーパー流体デバイスであって、該デバイスへの上記試料の印加によって上記ATPSが加水され、それによって流体相のATPSまたはその構成成分を与えるように構成される、実施形態94のペーパー流体デバイス。
実施形態96:上記混合相溶液、第1の相溶液、第2の相溶液、上記試料、プローブ、及びそれらの組み合わせから選択される溶液を収容するためのウェルを更に備える、実施形態92〜95のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態97:上記ウェルが、該ウェルの内容物を上記多孔質マトリクス中及び/または該マトリクス上に向けて放出するためのアクチュエータを備える、実施形態96のペーパー流体デバイス。
実施形態98:上記ウェルがパッドを備える、実施形態96または97のデバイス。
実施形態99:上記パッドが、塩パッド、緩衝液パッド、フィルターパッド、界面活性剤パッド、プローブパッド、ポリマーパッド、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態98のデバイス。
実施形態100:使用中に、第1の相溶液及び第2の相溶液が異なる速度で上記多孔質マトリクスを通って流れる、実施形態92〜99のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態101:使用中に、第1の相溶液と第2の相溶液が異なる方向に多孔質マトリクスを通って流れる、実施形態92〜100のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態102:第1の相溶液がミセル溶液を含み、第2の相溶液がポリマーを含む、実施形態92〜101のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態103:第1の相溶液がミセル溶液を含み、第2の相溶液が塩を含む、実施形態92〜101のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態104:上記ミセル溶液が界面活性剤を含む、実施形態102または103のペーパー流体デバイス。
実施形態105:上記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、双性イオンを含む界面活性剤、及びイオン性界面活性剤からなる群より選択される、実施形態104のペーパー流体デバイス。
実施形態106:上記ミセル溶液がTriton−Xを含む、実施形態105のペーパー流体デバイス。
実施形態107:第1の相溶液がポリマーを含み、第2の相溶液がポリマーを含む、実施形態93〜101のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態108:第1の相溶液がポリマーを含み、第2の相溶液が塩を含む、実施形態92〜101のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態109:第1の相溶液がポリエチレングリコールを含み、第2の相溶液がリン酸カリウムを含む、実施形態108のペーパー流体デバイス。
実施形態110:第1の相溶液が表1の構成成分1から選択され、第2の相溶液が表1の構成成分2から選択される、実施形態92〜101のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態111:図16、20及び62〜70に示される構造から選択される構造に従って構成される、実施形態90〜110のいずれか1に係るペーパー流体デバイス。
実施形態112:上記多孔性マトリクスが第1の経路及び第2の経路を備える、実施形態90〜111のいずれか1に係るペーパー流体デバイス。
実施形態113:第1の相溶液が優先的に第1の経路を通って流れ、第2の相溶液が優先的に第2の経路を通って流れる、実施形態112のペーパー流体デバイス。
実施形態114:上記目的とする被分析物に結合して、プローブ−被分析物複合体を生成するプローブを備える、実施形態90〜113のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態115:上記目的とする被分析物がプローブ−被分析物複合体中のプローブに結合している、実施形態90〜114のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態116:上記プローブが磁性粒子を含む、実施形態114または115のペーパー流体デバイス。
実施形態117:上記磁性粒子を上記多孔質マトリクスの一部に引き付けるように配向した磁場を更に備え、該磁性粒子にかかる該磁場の力が、上記プローブ−被分析物複合体の上記多孔質マトリクスの一部に向かう流動を高める、実施形態116のペーパー流体デバイス。
実施形態118:上記プローブが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、デキストラン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるポリマーを含む、実施形態114〜117のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態119:上記プローブが、セルロース及びキチンからなる群より選択される生物学的ポリマーを含む、実施形態114〜118のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態120:上記プローブが、金、銀、チタン、ステンレス鋼、アルミニウム、白金、及びそれらの合金、並びにそれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む、実施形態114〜119のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態121:上記プローブがナノ粒子を含む、実施形態114〜120のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態122:上記ナノ粒子が金ナノ粒子である、実施形態121のペーパー流体デバイス。
実施形態123:上記プローブがコーティングを含む、実施形態114〜122のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態124:上記コーティングが、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールから選択されるポリマーを含む、実施形態123のペーパー流体デバイス。
実施形態125:上記コーティングがデキストランを含む、実施形態123のペーパー流体デバイス。
実施形態126:上記コーティングが親水性タンパク質を含む、実施形態123のペーパー流体デバイス。
実施形態127:上記コーティングが血清アルブミンを含む、実施形態123のペーパー流体デバイス。
実施形態128:上記コーティングが、第1の相溶液または第2の相溶液に対して親和性を有する、実施形態123〜127のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態129:上記プローブが、上記目的とする被分析物に結合する結合部分を含む、実施形態114〜128のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態130:上記結合部分が、抗体、レクチン、タンパク質、代謝産物、糖タンパク質、核酸、小分子、ポリマー、及び脂質からなる群より選択される、実施形態129のペーパー流体デバイス。
実施形態131:上記結合部分が抗体または抗体フラグメントである、実施形態129のペーパー流体デバイス。
実施形態132:上記プローブが検出可能な標識を含む、実施形態114〜131のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態133:上記検出可能な標識が、発色標識、蛍光標識、酵素標識、発熱標識、放射性標識、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、実施形態132のペーパー流体デバイス。
実施形態134:乾燥した受入れ紙を備え、第1の相溶液または第2の相溶液が、優先的に上記多孔質マトリクスを通って該乾燥した受入れ紙に向かって流れる、実施形態90〜133のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態135:ラニングバッファを備え、第1の相溶液及び/または第2の相溶液が、該ラニングバッファと接触すると、上記多孔性マトリクスを通ってより速く流れる、実施形態90〜134のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態136:上記多孔質マトリクスが、セルロース、線維ガラス、ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、電荷変性ナイロン、ポリエーテルスルホン、及びそれらの組み合わせから選択される材料を含む、実施形態90〜135のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態137:上記多孔質マトリクスがプローブ捕捉部分を含み、使用中に、該プローブ捕捉部分が上記プローブまたはその構成成分と相互作用する、実施形態90〜136のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態138:上記多孔性マトリクスが目的とする被分析物の捕捉部分を含み、使用時に、該目的とする被分析物の捕捉部分が、当該の目的とする被分析物またはその構成成分と相互作用する、実施形態90〜137のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態139:実施形態138のペーパー流体デバイスであって、該ペーパー流体デバイスが使用中である場合に、上記LFAがサンドイッチアッセイを提供するように構成される、上記デバイス。
実施形態140:上記多孔質マトリクスが上記目的とする被分析物を含む、実施形態90〜137のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態141:実施形態140のペーパー流体デバイスであって、該ペーパー流体デバイスが使用中である場合に、上記LFAが競合アッセイを提供するように構成される、上記デバイス。
実施形態142:上記多孔性マトリクスが、上記目的とする被分析物が該多孔性マトリクスを通って流れる際に、該目的とする被分析物を濃縮するように構成される、実施形態90〜141のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態143:対照被分析物を更に含み、上記多孔性マトリクス上での該対照被分析物と上記目的とする被分析物とを比較することにより、該目的とする被分析物の定量が行われる、実施形態90〜142のいずれか1のペーパー流体デバイス。
実施形態144:試料中の目的とする被分析物の検出または定量方法であって、a:実施形態90〜143のいずれか1のデバイスに上記試料を印加することと、b:有無を検出する及び/または上記目的とする被分析物を定量することとを含む、上記方法。
以下の特定の非限定的実施例は、単なる説明として解釈されるべきであり、本開示を制限するものとしていかようにも解釈されるべきではない。更に詳述することなく、当業者は、本明細書の記載に基づいて本開示を最大限に利用できると考えられる。本明細書に引用されている全ての出版物は、その全体が参照により本明細書に援用される。
実施例1.二相系において磁石または固体により濃縮させるためにPEG化金ナノプローブを用いるATPS
2つの手法を、水性二相系(ATPS)をラテラルフローイムノアッセイ(LFA)と統合して、LFAの感度を改善することについて調査した。第1の手法は、ATPS溶液から標的タンパク質を捕捉し得る磁気ナノプローブを収集するために、磁石を利用した。第2の手法は、ナノプローブをATPSとポリプロピレン表面との固液界面に分配できるように表面化学が操作されて、シリンジまたは磁石を使用することなく迅速で容易な収集を可能する、新たに発見された現象を利用した。
磁気ナノ粒子を効率的に回収するため、磁気ナノ粒子のサイズは、磁場に応答するほど大きい必要があると推測された。しかし、粒子のサイズが大きすぎると、粒子は、LFA試験ストリップの中を移動することに困難を生じ得る。
この問題に対処するため、金被覆磁気ナノプローブ(GMP)と一緒にATPSを使用して、最初に、試料溶液中の標的生体分子を捕捉した。高価な嵩高磁石を使用して、弱い磁場に応答し得る溶液中の粒子または大型のナノプローブを収集することを避けるため、最初にATPSを使用して、最初に、GPMがAPTSの2つの嵩高相のうちの1つに小さい体積に受動的に濃縮するようにした。続いて、安価で移動式の磁石を使用して、GPMを迅速に回収し、生体分子を捕捉した。GMPの金コーティングは、LFAの発色指標としても作用するので、GMPをIFAストリップに直接適用した。
ATPSを使用してGMPの磁気抽出を改善することに加えて、ATPSの相分離は、GMP及び磁場の使用によって利益を得ていることが見出された。PEG塩ATPS相は、数時間のオーダーで完全に分離した。下部PEG不足相のナノプローブの濃度が、巨視的なPEG不足相におけるPEG豊富ドメインの最小限の飛沫同伴の結果として一定のままであるので、濃縮試料の抽出は、系が平衡に達する前に生じる可能性があるが、後に続くLFAのために十分な量の下部相の抽出を達成するために、依然として30分が必要であった。あるいは、ATPSにおけるGMPは、相分離が誘発されると、PEG不足ドメインに極度に、ほぼ瞬時に分配された。GMPを含有するPEG不足ドメインは、おそらくGMPが磁場に応答してPEG不足ドメインを引っ張ることに起因して、磁場の存在下で互いに見つけ合って、より容易に合体することができる。この力は、重力と共に、PEG不足ドメインの合体を更に推進し、したがって、相分離の加速をもたらし、抽出に十分な量の下部相を僅か10分以内に生じる。
この研究では、流動の問題を有することなくLFA試験ストリップの中を移動するのに十分に小さいGMPを、最初に調製した。次にこれらのGMPを使用して、9:1(上部相:下部相)の体積比を生じるPEG塩ATPS溶液において、モデルタンパク質のトランスフェリン(Tf)を捕捉した。小型磁石(直径1/8”×厚さ1/32”)を溶液の中に置いて、相分離を加速させた。GPM及び捕捉されたタンパク質を10分後に回収し、小型磁石を取り出し、GMP−Tf複合体を検出のためにLFAに直接適用した。
前述の手法は、磁気ナノプローブを用いるATPSを使用してTfを効果的に濃縮及び検出するが、小型磁石を依然として必要とした。以下の手法は、外部磁場を使用せず、代わりにPEG化金ナノプローブ(PGNP)の表面化学を操作して、ATPSとポリプロピレン(PP)表面との固液界面に極度に分配させることによって、標的ナノプローブ複合体の抽出の可能性を探った。ポリマーまたは塩のみから構成された水溶液が使用されたとき、PGNPが固液界面に分配されないので、この特有の現象はATPS特異的であることが見出された。更に、PGNPが本発明者たちのATSのポリプロピレン(PP)表面に極度に分配されるが、ガラス表面には分配されないので、この現象は材料特異的であることも見出された。
PP−ATPS固液界面における標的PGNP複合体の収集を推進するため、抗Tf抗体が装飾されたPGNPを、Tfを含有するATPS溶液に加え、続いて市販のPPストローをATPSの中に沈めた。PGNPは、ATPSにおいて標的タンパク質を最初に捕捉し、次に優先的にPP表面に分配された。10分後、PPストローをATPSから取り出し、有意な量のタンパク質GNP複合体が、依然として表面に吸着していた。このことは、シリンジを使用して濃縮Tf−PGNPを手作業で抽出する必要性を、効果的に排除した。
この試験において、PGNPは、ATPSにおいてPP−液界面に分配された。次にこれらのPGNPを使用して、1:1の体積比を生じるPEG塩ATPS溶液においてTfを捕捉した。PPストローをATPS溶液に沈め、PGNP及び捕捉タンパク質を、10分後に、溶液からストローを引き抜くことによって回収した。ストロー上のPGNP−Tf複合体をランニングバッファーで洗浄し、検出のためにLFAに直接適用した。PP−ATPS界面に最小限の体積が関連し、ストローからPGNPを洗い落とすのに小さい体積が必要であるので、PGNPは、極度に濃縮され、LFAにおけるTfの検出限界は、50倍改善した。
LFAストリップを調製するため、競合機構を利用するLFA試験を実施した。競合アッセイでは、対象の標的はニトロセルロース膜に固定化されて、試験線を形成する。ナノプローブ(GMPまたはPGNP)上の一次抗体に対する固定化二次抗体が、対照線を構成する。LFAでは、試料がナノプローブと最初に接触したとき、目的分子が試料中に存在する場合、目的分子は、ナノプローブに装飾された特定の抗体に結合する。試料中に存在する目的分子が、ナノプローブ上の抗体を飽和する場合、これらのナノプローブは、試験ストリップに固定化された目的分子と、もはや結合することができない。その結果、ナノプローブは、試験線において可視バンドを形成せず、このことは陽性の結果を示す。他方、試料がナノ粒子上の抗体を飽和できる濃度で目的分子を含有しない場合、ナノ粒子上のこれらの抗体は、試験ストリップに固定化された標的分子に結合し、試験線に可視バンドを形成することができる。このことは、陰性の結果を示す。更に、試料中の目的分子の存在にかかわらず、ナノプローブ上の抗体は、対照線の固定化二次抗体に結合し、ことのことは、十分な試料が試験線を通って吸収排出されて、対照線に到達したことを示している。可視対照線の存在は、有効な試験であることを示している。
GNPを調製するため、直径50nmの酸化鉄磁石ナノ粒子を金で被覆した。簡潔には、酸化鉄粒子を、0.01Mのクエン酸ナトリウムで希釈し、10分間撹拌した。続いて、1%w/vの塩化金溶液の4回の追加を、10分間の撹拌の間隔を置いて、酸化鉄ナノ粒子溶液に適用した。溶液は、塩化金の添加後に黒色から栗色に変わった。次に金被覆磁気ナノ粒子を、磁石の使用により回収した。
捕集機は、小型ネオジム磁石(直径1/8”×厚さ1/32”、KJ Magnetics、Philadelphia,PA)を、飲用ストローの先端に付けることによって構築した。磁石にパラフィルムを巻いて、溶液中のGMPとの直接的な接触を防止した。
GMPがPEG塩ATPSの下部PEG不足相に極度に分配されるかを確認するため、30μLのGMPを、9:1の体積比を生じる2mLのATPS溶液に加えた。磁石の存在が相分離を加速するかを確認するため、分配実験を、磁気収集子を用いて、または用いることなく実施した。下部相の体積を、それぞれの実験において10分及び30分に測定した。
次にGMPを、ATPS及びLFAに組み込むことができるかを試験した。最初に、様々な濃度のTfを添加した、2mLの9:1のATPS溶液を調製した。30μLのGMPを各溶液に適用し、続いて磁気収集子を加えた。溶液を25℃の水浴中に置き、10分間インキュベートした。インキュベーション時間の後、収集子を溶液から取り出し、50μLのランニングバッファーを含有する管に移した。小型磁石をストローから取り外し、ストローに収集されたGMPを、ストローをランニングバッファー中で数秒間振とうさせることにより洗い落とした。次にストローを取り出し、LFA試験ストリップを、収集されたGMPを含有するランニングバッファーに浸けた。10分後、試験ストリップを管から取り出し、試験ストリップの画像を、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)の使用により撮影した。
そのままの金ナノ粒子を調製して、直径がおよそ25〜30nmの粒径を有する清澄なサクラ色の溶液を生成した。PPGNPを調製するため、320mgのヤギ抗Tf抗体を20mLのコロイド金溶液と共に30分間インキュベートし、続いてPEG:NPの5000:1のモル比を使用してチオール化PEG2000を加え、更に30分間インキュベートした。コロイド金の表面への他のタンパク質の非特異的結合を防止するため、2mLの10%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液を混合物に加え、更に15分間混合した。得られた溶液を、インキュベーションの時間にわたって、振とう器により穏やかに混合した。遊離非結合抗体、PEG及びBSAを除去するため、続いて混合物を4℃及び9,000gで30分間遠心分離した。PGNPのペレットを1%BSA溶液で洗浄し、この洗浄ステップを2回繰り返した。最後に、回収したPGNPを3mLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
1:1体積比を生じ、様々なTf濃度を含有するPEG塩ATPS溶液を、最初にガラス管の中に調製した。5μLのGNP溶液をTf−ATPS溶液に加えて、最終体積を1mLにした。ATPS溶液を十分に混合し、PPストローを、それぞれのATPS溶液に挿入した。次に溶液を25℃で15分間インキュベートした。それぞれの混合物では、PPストローをATPS溶液から注意深く取り出した。PP−ATPS界面の総体積がおよそ1μLであると想定して、49μLの試験緩衝液を使用し、ATPS溶液に浸したストローの部分から、吸着したTf−GNP複合体を洗浄して、総体積の50μLを達成した。ストローの内面及び外面を合計で10秒間洗浄した。次にLFA試験ストリップを、試料パッドが混合物と接触するように、垂直方向に浸けた。試験ストリップを10分後に混合物から取り出し、試験ストリップの画像を、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)の使用により直ぐに撮影した。
この試験において開発されたGMPは、以下の4つの機能を達成した。(1)試料中の目的タンパク質を捕捉すること、(2)ATPSの嵩高相のうちの一方に極度に分配すること、(3)安価な携帯型磁石により収集されること及び(4)抽出され、LFAペーパーストリップに適用された後に、LFAの発色指標として直接的な機能を果たすこと。機能(2)及び(3)は、GMPをPEG塩ATPS溶液の中に入れることによって実証された。図21Aに示されているように、GMPと、PEG豊富相におけるより多数のPEG分子との間に作動する反発的で立体的な排除体積的相互作用に起因して、GMPは下部PEG不足相に極度に分配されることが観察された。このことは、GMPが小さい体積に濃縮することを可能にし、そのことは、より小型で軽量の磁石(図21B)による収集を可能にした。更に、これらのGMPが磁石に近接しているときに高度に応答したので、粒子を、後の検出のために迅速に回収及び移動することができた(図21C)。最後に大事なことは、この手法を使用することによって、GMPを非常に小さな体積に収集することができ、そのことは目的タンパク質の極度の濃縮を可能にした。
GMPが、ATPSと一緒に使用したとき、LFAの感度を改善できたかを確認するため、前濃縮ステップを用いて、または用いないで予備LFA研究を実施した(図22)。
ATPSをLFAと統合する第2の手法は、PEG化金ナノプローブ(PGNP)を、ATPSとポリプロピレン(PP)固体との固液界面に誘導することであった。第1の手法と類似しているが、この手法は、もはや外部磁石を必要としない。この機構はATPSを必要とする。図23A及びBに示されているように、PGNPは、PEGのみ、または塩のみの水溶液が使用されたとき、固液界面に分配されなかった。代わりに、PGNPは、固液界面を優先することなく、各水溶液の全体にわたって均一に分散すると思われた。PGNPが相分離ATPSの存在下でのみ固液界面に分配されることが見出されているので、1:1の体積比を有するATPSをこの試験に使用し、それは、このATPS相が、他の体積比のATPSと比較して最も速く分離するからである。図23Cは、10分後のPPストロー上のPGNPの極度の分配動作を実証した。PPストローは、濃縮目的PGNP複合体の容易な抽出も可能にした。ストローを抜き取った後、収集されたPGNPを、ランニングバッファーの使用により容易に洗い落とし、LFAに直接適用した(図23D)。
LFAの結果を図24に示す。 それぞれの試験は対照線の存在を示し、このことは、流体がストリップの中を通って完全に流れたことを示し、試験の有効性が確認された。Tfが不在である陰性対照では、試験線が現れ、したがって真の陰性結果を示した。高いTf濃度(10ng/μL)では、試験線は現れず、したがって真の陽性結果を示した。しかし、前濃縮ステップを有さない場合の低いTf濃度では、可視試験線が現れ、PGNPに装飾された抗体を飽和するには不十分な量のTfが、試料中に存在することを示唆した。したがって、これらの試験は、偽陰性結果を示した。この手法を使用したLFAの結果を上側パネル(図24、上部)に示す。偽の陰性結果が、前濃縮を用いないLFA研究の1ng/μLにおいて現れたので、このことは、LFAにおけるTfの検出限界が10ng/μLであることを示した。
LFAの性能を改善するため、単一LFA試験に使用した同じ量のPGNPを、Tf濃度が1ng/μLのATPS溶液の中に入れた。このATPS溶液の体積をLFAストリップに使用した体積と比較して50倍増加することによって、PGNPは、50倍多いTfと相互作用することができ、したがってより高度の飽和レベルを達成することができた。しかし、PGNPは、50倍に希釈されてもいるので、検出の前に濃縮及び収集される必要があった。PPストローをATPS溶液に入れることによって、PGNPはストローの表面に極度に分配された。ATPS溶液を室温で10分間インキュベートした後、PPストローを溶液から取り出した。固体表面上の物質が典型的には回収可能ではない他の吸着現象と異なり、PGNPは、ランニングバッファーでストローをすすぐことによって容易に回収された。次に、PGNPを含有するこのバッファーをLFAに直接適用した。この手法を使用したLFAの結果を下部パネル(図24、下部)に示す。0.2ng/μLが、真の陽性結果を実証する最低濃度であるので、LFAにおけるTfの検出限界は、10ng/μLから0.2ng/μLに改善し、50倍の改善があった。携帯型デバイスをこれら2つの手法に使用し、ユーザーが、最小限のステップでアッセイを操作できるようにする(図25)。
実施例2.ATPS及びデキストラン被覆金ナノ粒子
伝統的なクエン酸塩でキャップした、またはそのままの金ナノ粒子は、典型的には、表面クエン酸塩イオンの陰電荷によりもたらされる静電反発相互作用に起因して、水溶液中に凝集しない。しかし、ファンデルワールス引力相互作用が静電反発相互作用よりも大きい、より高いイオン強度の溶液中では凝集する。デキストラン被覆金ナノ粒子は、還元剤でもあり、安定剤でもあるデキストランをクエン酸塩の代わりに使用して、成功裏に作られた。デキストラン被覆金ナノ粒子の安定性を、伝統的なクエン酸塩キャップ金ナノ粒子及び一般的に使用されるPEG被覆金ナノ粒子と比較した。PEG塩ATPSの相分離動作を最適化して、室温でのDGNPの迅速な抽出を可能にした。続いてDGNPの分配動作を、PEG塩ATPSにおいて調査した。鉄輸送のための一般的な血清タンパク質であるトランスフェリン(Tf)を、モデルタンパク質バイオマーカーとして選択した。次にLFAにおけるTfの検出限界を、DGNPを使用する前濃縮ATPSステップを用いて及び用いないで決定した。LFAの定性的な結果を、視覚的に解釈し、コンピューター画像分析も、LFA結果の更なる定量的検証のために実施した。
伝統的なクエン酸塩でキャップした、またはそのままの金ナノ粒子を調製した。簡潔には、10mLのddHOを、撹拌しながら100℃に加熱した。加熱溶液が沸騰し始めると、100μLの1%w/v塩化金(III)溶液を加えた。溶液を撹拌し、1分間沸騰させ、その後、25μLの6%w/vクエン酸ナトリウム溶液を加えた。溶液は、暗紫色から清澄な暗サクラ色に急速に変わり、その後、室温に冷却し、4℃で保存した。
PEG被覆(PEG化)金ナノ粒子を調製する前に、前に調製したそのままの金ナノ粒子溶液の濃度を決定した。任意の所定のPEG:金ナノ粒子のモル比のために必要なPEGの量を決定することに使用されるこの濃度は、1cmの経路長により、ベールの法則を使用して計算した。
Figure 2021073465
ここでCは、金ナノ粒子の濃度(モル単位)であり、Aは、金ナノ粒子のピーク吸光度値であり、εは、モル吸光係数(M−1cm−1)であり、lは、経路長(cm)である。ε値を決定するため、最初にナノ粒子の直径を、Zetasizer Nano ZS粒子分析機(Malvern Instruments Inc、Westborough,Massachusetts)を使用して、動的光散乱法(DLS)により定量した。次にモル吸光係数を、ε値と金ナノ粒子の直径とを相関させる、BBInternational Life Sciences(Madison,WI)により提供されたデータシートから読み取った。次に金ナノ粒子のピーク吸光度値を、UV可視分光光度計(Thermo Fisher Scientific、Madison,Wisconsin)を使用して定量化し、濃度を方程式(1)によって決定した。
メトキシポリエチレングリコール(PEG)チオール(分子量5000、Nanocs Inc.、New York,NY)を使用して、金ナノ粒子表面にPEG層を装飾した。簡潔には、最初に5mLのそのままの金ナノ粒子溶液を、1N NaoH溶液を使用してpH9.0に調整した。メトキシPEGチオールを粒子溶液に50,000:1のPEG:ナノ粒子モル比で加えて、金ナノ粒子の表面が十分に被覆されることを確実にした。次に混合物を室温で30分間反応させて、PEGのチオール基が金ナノ粒子と供与結合を形成することを可能にした。遊離PEGを、9000gで30分間遠心分離して除去した。得られたPEG化金ナノ粒子を500μLのddHOに再懸濁した。
デキストラン被覆金ナノ粒子を調製した。簡潔には、12gのデキストラン(分子量15,000〜25,000)を160mLのUltraPure滅菌水(Rockland Immunochemicals Inc.、Gilbertsville,PA)に溶解し、溶液を、撹拌しながら100℃に加熱した。加熱溶液が沸騰し始めると、2.16mLの1%w/v塩化金(III)溶液を加えた。溶液を撹拌し、溶液の色が青紫色に変わるまで、20分間沸騰させた。次に溶液を室温に冷却し、4℃で保存した。続いて過剰デキストランを、9000gで30分間遠心分離して除去した。
そのままの(すなわち、クエン酸塩でキャップした)、PEG化した及びデキストラン被覆した金ナノ粒子溶液を、様々な濃度の貯蔵リン酸カリウム溶液と別々に混合した。混合溶液を室温で30分間インキュベートした。それぞれの試料の吸光スペクトルを、UV可視分光光度計を使用して決定した。臨界凝固濃度(CCC)を、ピーク吸光波長に近いGNP溶液の吸光スペクトルが強度を有意に減少する塩濃度として特定した。
貯蔵リン酸カリウム溶液(5:1の二塩基:一塩基)を、ダルベッコーリン酸塩緩衝食塩水(PBS)(Invitrogen、pH7.4、1.47mMのKHPO、8.10mMのNaHPO、138mMのNaCl、2.67mMのKCl及び0.495mMのMgClを含有)において調製した。続いて、貯蔵ポリエチレングリコール(MW8000、VWR、Brisbane,CA)溶液をPBSにおいて調製した。貯蔵溶液を使用して、2mLの、PBS中のPEG塩ATPS溶液を、PEG豊富(塩不足):PEG不足(塩豊富)体積比の9:1を生じるPEGと塩の特定の濃度で調製した。この体積比は、ATPS溶液を室温で最低12時間にわたってインキュベートした後に測定した。
ヨウ素−125(125I)を使用して、ヤギ抗Tf抗体(Bethyl Laboratories、Montgomery,TX)のチロシン残基を放射標識した。簡潔には、Na125I(MP Biomedicals、Irvine,CA)を、IODO−BEADS(Pierce Biotechnology、Rockford,IL)により活性化した。続いて、活性化された125Iを、ヤギ抗Tf抗体と15分間反応させた。放射標識された抗体を、Sephadex G15サイズ排除カラムの使用により遊離125Iから精製した。放射標識抗体の特異的な活性及び濃度を、リンタングステン酸アッセイにより決定した。
デキストラン被覆金ナノ粒子(DGNP)を調製するため、最初に10mLの予め調製したデキストラン被覆金ナノ粒子溶液を、1N NaOHを使用してpH9.0に調整した。続いて80μgのヤギ抗Tf抗体を、デキストラン被覆金ナノ粒子溶液に加えた。次に混合物を室温で30分間反応させて、抗体が粒子と供与結合を形成することを可能にした。遊離非結合抗体を、9000gで30分間遠心分離して除去した。回収したDGNPを1%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液により、BSAがDGNPのあらゆる意の自由表面を覆って非特異的結合を防止できるように、更に洗浄した。過剰BSA及び追加非結合抗体を、9000gで30分間遠心分離して除去した。回収したDPGNPを1mLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.0)に再懸濁した。
PEG塩ATPSにおけるDGNPの分配動作を試験するため、ATPS溶液の各相におけるDGNPの濃度を定量した。放射標識DGNPを、放射標識ヤギ抗Tf抗体をデキストラン被覆金ナノ粒子に結合させることによって調製した。それぞれの分配実験では、200μLの放射標識DGNP溶液を、それぞれ最終体積の2mLを有する3つの同一のPBS中PEG塩ATPS溶液に加えた。混合物を、25℃で30分間、2時間、4時間及び12時間インキュベートした。PEG豊富で塩不足の上部相及びPEG不足で塩豊富な下部相を、注意深く抽出し、各相の体積を測定した。各相における放射標識DGNPの量は、Cobra Series Auto−Gamma Counterを使用して、DGNPに結合した放射標識抗体の放射能を測定することによって定量した。
競合的LFAをこの試験に利用した。詳細な図解を図27に見出すことができる。第1には、Tfタンパク質をニトロセルロース膜に固定化して、試験線を形成した。DGNPの一次抗体と結合することができる二次抗IgG抗体も、固定化Tfタンパク質の下流に固定化して、対照線を形成した。Tfタンパク質が試料溶液に中に存在しない場合、DGNPは、ストリップに印刷されたTfと結合し、試験線に可視バンドを形成する。他方、Tfタンパク質が試料中に存在する場合、Tfタンパク質は、最初にDGNPの表面における特定の抗体と結合する。DGNPがTrタンパク質で飽和されている場合、DGNPは、ストリップに印刷されたTfを迂回して、試験線に可視バンドの不在をもたらす。過剰DGNPは、依然として対照線に結合し、流体が実際にストリップの中を流れたこと及び結果が有効であることを示す。まとめると、陰性試験は、1つが試験線のものであり、1つが対照線のものである、2つの可視バンドにより示され、一方、陽性試験は、対照線における1つの可視バンドのみにより示された。
PEG塩ATPS前濃縮ステップを有さないLFAを、ATPSと組み合わせる前に実施した。この試験では、様々な濃度のTfを含有するPBS溶液を調製し、それぞれのTf濃縮物を3重で試験した。各LFAストリップにおいて、10μLの対応するTf溶液を10μLのDGNP溶液及び試験ストリップ中の試料の流動を助けるために使用した30μLの試験緩衝液(0.2%のBSA、0.3%のTween20、0.2%のアジ化ナトリウム、0.1%のポリエチレングリコール、0.1mのTrizma塩基、pH8)と混合した。LFA試験ストリップを、試料パッドが混合物と接触するように、各混合物の中に垂直方向に浸けた。ストリップを10分後に取り出し、結果を視覚的に読み取り、MATLAB(登録商標)を使用して定量した。
続いて、PEG塩ATPS前濃縮ステップを有するLFAを実施した。これらの実験では、様々なTf濃度を含有するPBS溶液を最初に調製し、それぞれのTf濃縮物を3回試験した。下部相の体積がおよそ200μLであったので、100μLのDGNP溶液をTf/ATPS溶液に加え、最終体積をmLにして、ATPSステップを有さないで実施したLFA試験と同様のDGNP濃度を達成した。ATPS溶液を十分に混合し、25℃で30分間インキュベートした。それぞれの混合物において、20μLのPEG不足下部相を抽出し、30μLの試験緩衝液と混合して、ATPSステップを有さない試験に使用された体積と一致させた。LFA試験ストリップを、試料パッドが混合物と接触するように、垂直方向に浸けた。ストリップを10分後に取り出し、結果を視覚的に読み取り、MATLAB(登録商標)を使用して定量化した。
MATLAB(登録商標)カスタムスクリプトを書き込んで、得られた画像を定量的に分析した。LFA試験が完了した直後に、試験ストリップの画像を、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)の使用により撮影した。画像の一貫性を確実にするため、照明を制御し、各ストリップを同じ方向に向けた。これらのイメージをトリミングし、8ビットグレースケールマトリックスに変換した。強度を、流動に垂直、ならびに試験及び対照線に平行な軸にそって平均化し、一次元強度マップを生成した。2つの最大値を、対照及び試験線で特定し、これら2本の線の間の距離を、陰性対照(強力な試験及び対照線を有する)を使用して較正した。
一連の試験データから試験線の強度を得るため、対照線の位置を特定し、試験線の位置は、予め較正された距離を使用して決定した。試験線領域を、この試験線の位置の中央にある15画素幅と設定した。次にこの測定のベースラインは、試験線の両側に位置する2つの25画素幅領域のシグナルを平均することによって決定した。最初のベースライン領域は、試験線の位置の上流の25個の画素から始まり、上流へ25個の画素まで続き、もう一方は試験線位置の下流の25個の画素から始まり、下流に25個の画素まで続いた。次に試験線の強度を、試験線領域の曲線下面積として計算して、試験線に結合した全てのDGNPの効果を捕らえた。
そのままの、PEG化した及びデキストラン被覆した金ナノ粒子試料の臨界凝固濃度(CCC)値を測定して、デキストランコーティングが、PEG塩ATPS溶液中の金ナノ粒子に必要な立体安定性を提供するかを決定した。金ナノ粒子の吸光スペクトルのピーク吸光波長は、およそ535nmであった。したがって、それぞれの種類の金ナノ粒子の535nm近くの吸光スペクトルは、リン酸カリウムがPEG塩ATPSの塩構成成分であるので、リン酸カリウム濃度の範囲にわたって観察された。結果を図28に示す。各プロットにおいて、ピーク吸光値には、1.0の値(または100%正規化吸光度)が割り当てられ、プロットの残りの吸光値は、それに従って調整された。これらのプロットから、そのままの金ナノ粒子のCCCは、0.3〜3.4%w/wのリン酸カリウムであり、PEG化金ナノ粒子のCCCは、7.5〜10%w/wリン酸カリウムであり、デキストラン被覆金ナノ粒子溶液のCCCは、30%w/wを超えるリン酸カリウムであったことが決定された。これらの結果は、デキストラン被覆金ナノ粒子が、リン酸カリウム塩溶液中のPEG化金ナノ粒子よりもさらに安定していたことを示した。更に、30%w/wリン酸カリウムが下部相のリン酸カリウム濃度(約10%w/w)よりも大きいので、デキストラン被覆金ナノ粒子は、本発明者たちのPEG塩ATPS溶液中において安定性及び機能性を保つことが予測された。このことは、本明細書に記載されている試験における使用が成功していることによって確認された。
最初に放射標識DGNPの分配動作を、9:1のPEG豊富:PEG不足の体積比を有するPEG塩ATPSにおいて視覚的に観察した。初めは、DGNPを含有するPEG塩ATPS溶液は、不透明な明紫色を現した(図29A)。次に暗紫色の下部相が現れ、DGNPがPEG不足下部相に極度に分配されたことを示した(図29B)。経時的に、下部相は、DGNP豊富なPEG不足ドメインがATPS溶液の下部に移動したので、体積が増大した。対照的に、DGNPは、上部相には紫色がほとんどないので、上部PEG豊富相には最小限の分配を示したことが見出された。12時間の平衡時間の後、上部及び下部相の体積は、もはや変化せず、上部相は清澄になり、全てのDGNP豊富なPEG不足ドメインがATPS溶液の下部相に達したことを示唆した(図29C)。およそ30分後、下部相の色強度は、経時的に変化せず下部相のDGNP濃度が30分間から12時間にわたって比較的一定のままであったことを示唆した。
次に2つの相への放射標識DGNPの分配動作を、下記に定義される分配係数(KDGNP)により定量化した。
Figure 2021073465
ここで、CDGNP上部及びCDGNP下部は、それぞれ上部及び下部相のDGNP濃度である。KDGNP値は、0.00605±0.00010であると測定され、これは、比較的多いDGNPがPEG不足の下部相に極度に分配されるはずであるという概念と一致していた。
DGNPが予測的にPEG塩ATPSに濃縮され得ることを実証するため、DGNPの濃度係数または濃度倍数(concentration−fold)改善を、9:1のPEG塩ATPS溶液において測定した。濃度係数は、下部相におけるDGNPの濃度、CDGNP下部を初期のDGNP濃度、CDGNP初期で割ったもの、と定義される。
Figure 2021073465
濃度係数の式は、ATPS溶液中のDGNPのモル平衡方程式により開始して誘導することができる。
Figure 2021073465
ここで、V上部及びV下部は、それぞれ上部及び下部相の体積である。方程式(2)と(3)を組み合わせ、方程式(4)を再構成すると、
Figure 2021073465
を生じる。
DGNPの分配係数がV下部/V上部よりはるかに少ないので、濃縮率を、更に簡素化して、下記:
Figure 2021073465
にすることができ、これは、濃度係数が、単に極限KDGNP値の体積比の関数であることを意味している。したがって、9:1の体積比または溶液全体の体積の1/10である下部相体積によって、濃度倍数の10が予測される。このことは、CDGNP下部が12時間のインキュベーションの後で測定された、DGNPの分割実験により確認された。しかし、ATPSが巨視的相分離平衡を達成するまで12時間待つことは、ポイントオブケア(point−of−care)用途において望ましくなく、下部相のDGNP濃度は30分後の時点で無関係であるので、濃度係数を、早い時点で測定した。図30は、ATPS溶液の濃度係数が、30分間から12時間にわたって比較的一定のままであることを示している。その結果、下部相を、LFA適用の30分の時点で抽出した。
DGNPをLFAの発色指標として使用できることを実証するため、LFAを、前濃縮ATPSステップを有さないでTfの検出を実施した。この試験の結果を図31Aに示す。バンドがLAFストリップに観察されたので、DGNPは、発色指標として機能したと結論付けられた。それぞれの試験は対照線の存在を示し、このことは、流体がストリップの中を通って完全に流れたことを示し、試験の有効性が確認された。Tfが存在しない陰性対照では、試験線の出現は、真の陰性結果を示した。高いTf濃度が使用されたとき(3.16ng/μL及び1.0ng/μL)、試験線は不在であり、真の陽性結果を示した。しかし、0.316ng/μLなどの低い濃度では、可視試験線が現れ、したがって、偽の陰性結果を示した。このことは、前濃縮ステップのないLFAにおけるTfの検出限界が、1ng/μLであったことを示唆した。
9:1のPEG塩体積比溶液を利用して、LFAの検出限界が、Tfで飽和されたDGNPを濃縮することによって10倍改善され得ることを実証した。この試験の結果を図31Bに示す。ATPS溶液を室温で30分間インキュベートした後、PEG不足下部相における濃縮DGNPを抽出し、LFAに適用した。前の実験と同様に、対照線と試験線の両方ともTfの不在下で現れ、有効な陰性結果を示した。より高いTf濃度(0.316ng/μL及び0.1ng/μL)で試験線は現れなかったが、可視試験線は、最初に0.0316ng/μLで現れ、前濃縮ステップを有するLFAにおけるTfの検出限界は、0.1ng/μLであることを示した。これは、DGNP及びPEG塩ATPSが使用されたときのLFAの検出限界の10倍の改善に相当する。
LFA結果の視覚的解釈を更に検証するため、試験ストリップの画像を撮影し、試験線の強度を定量した。前濃縮ステップを使用したとき、各LFAの試験線のシグナルは、同じTf濃度を試験したときに弱く、このことは、Tfが濃縮され、DGNPを飽和したことを示し、飽和DGNPは、試験線に結合することができず、陽性の結果を示した。対照線及び試験線の両方のシグナル強度は、ATPSと組み合わせた及び組み合わせない陰性対照において、類似していた。このことは、両方の実験において、LFAストリップを移動したDGNPの量が類似していたことを示した。LFAパネルのMATLAB(登録商標)分析も、検出限界の改善を実証した(図32)。特に、図32の2つの曲線は、ほぼ同じ試験線のシグナルの初期Tf濃度で10倍の差により隔てられている。
実施例3.混合PEG塩ATPSのLFAへの直接的な添加
この実施例では、ATPS相分離及び下流検出能力の両方を有する次世代の一体化デバイスの感度、速度及び使いやすさを、最適化した。ATPSの相分離の後に濃縮試料を適用する代わりに、混合ATPSをペーパーに基づくデバイスに直接添加することが可能であった。溶液は、検出区域に向かって流れながら二相に分離し、このことは、濃縮及び検出ステップが同時に発生すること及び結果を得るまでの全体的な時間が更に低減されることを可能にする。ペーパー膜は、ATPSの巨視的な相分離の速度を速めることを示唆した。この現象を更に活用するため、ペーパーデバイスを垂直方向に広げ、それによって流動の断面積を増大し、巨視的分離における毛細管作用及び/または重力の効果を利用した。相分離の加速に加えて、この三次元構成要素は、より大量の、より希釈された体積の試料を処理する能力も有し、より大きな濃縮倍数改善をもたらす。新規な三次元紙構造内のATPS及びLFAは、結果を得るまでの全体的な時間を低減し、使用しやすさを維持しながら、モデルタンパク質Tfの検出限界に10倍の改善をもたらすことに成功した。このデバイスは、伝統的なLFA試験に対して有意な改善を提供し、特徴的なバイオマーカーのレベルの低い様々な疾患の検出のために変更することができる。この新たなプラットフォーム技術は、高感度であり、低価格であり、迅速であり、機器を使用することがなく、したがって、資源不足の地域内の診断医療の現状に革命を起こす可能性を有する。
ポリマー塩ATPS溶液体積比の決定
全ての材料、化学薬品及び試薬は、特に示されない限り、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。ポリエチレングリコール8000(PEG、VWR、Brisbane,CA)及びリン酸カリウムの塩(5:1の二塩基:一塩基比)を、ダルベッコーリン酸塩緩衝食塩水(PBS)(Invitrogen、Grand Island,NY、pH7.4、1.47mMのKHPO、8.1mMのNaHPO、137.92mMのNaCl、2.67mMのKCl及び0.49mMのMgClを含有)に溶解した。平衡体積比(上部相の体積を下部相の体積で割ったもの)を、PEG及び塩のw/w組成を同じタイラインに沿って変えることによって得た。1:1及び9:1体積比のATPSが見出され、更なる実験に使用した。
抗体装飾デキストラン被覆金ナノプローブ(DGNP)の調製
デキストラン被覆金ナノ粒子を合成した。簡潔には、Leuconostoc(ロイコノストック)種からの6gのデキストラン(Mw.15,000〜25,000)を、80mLの濾過UltraPure滅菌水(Rockland Immunochemicals Inc.、Gilbertsville,PA)に溶解した。溶液を撹拌し、加熱沸騰させ、その後、1080μLの1%w/v塩化金(III)水和物溶液を加えた。反応混合物の色は、赤みを帯びた青紫色に変わり、それを約20分間にわたって、撹拌し、沸騰させた。新たに形成されたデキストラン被覆金ナノ粒子を遠心分離して、遊離デキストランを除去し、70mLの水に再懸濁した。官能化DGNPを形成するため、デキストラン被覆金ナノ粒子溶液のpHを、1.5M NaOHを使用して9.0に調整した。デキストラン被覆金ナノ粒子溶液の1mL毎に、8μgの抗Tf抗体(Bethyl Laboratories、Montgomery,TX)を加えた。反応混合物を振とう器に30分間設置して、抗体とデキストラン被覆金ナノ粒子との供与結合の形成を推進した。遊離抗体を遠心分離により除去した。ペレットを100μLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
ATPSの可視化
ATPSの二相を可視化するため、表面プラスモン共鳴及びブリリアントブルーFCF色素(The Kroger Co.、Cincinnati,OH)に起因して紫色であるデキストラン被覆金ナノ粒子を、予め決定された濃度のPEG及び塩を1:1及び9:1の体積比で含有する合計3gのPBS溶液に加えた。これらの溶液をボルテックスにより十分に混合し、25℃でインキュベートした。溶液の画像を、ATPSが平衡に達したときに撮影した。全ての画像は、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)の使用により撮った。
次にATPSの二相を、ペーパー膜に沿って流れるときに可視化した。2枚の8×30mmストリップのガラス繊維紙を、VersaLASER 3.50(Universal Laser Systems、Scottsdale,AZ)によりレーザー切断した。続いて、ブリリアントブルーFCF色素及びデキストラン被覆金ナノ粒子を含有する50mgの混合ATPS(1:1または9:1平衡体積比に相当)を、ピペットを使用してストリップの一方の端部に滴加した。得られた流動の画像を、0、30、105及び300秒で撮った。ビデオも、市販のスマートフォン(Apple Inc.、Cupertino,CA)の8メガピクセルカメラにより撮影した。
三次元ペーパーウエル内のATPSの相分離を可視化するため、ブリリアントブルーFCF色素及びデキストラン被覆金ナノ粒子を含有する140mgの混合ATPSを、ペーパーウエルに加えた。三次元ペーパーウエルは、ガラス繊維紙の9枚の8×10mmのレーザー切断ストリップを、ガラス繊維の8×60mmのレーザー切断ストリップの一方の縁部に積み重ねることによって形成した。混合ATPSを三次元ペーパーウエルに適用した後、50μLのランニングバッファー(0.2%のウシ血清アルブミン(BSA)、0.3%のTween20、0.1mLのTrizma塩基、pH8)を三次元ペーパーウエルに加えた。ランニングバッファーを加えて、試料がペーパーウエルからデバイスの残りの部分へ流れることを助けた。ビデオを撮影し、画像を、0及び30秒の時点、ランニングバッファーの添加の時点、ならびに流動が完了した後に撮った。
Tfの検出
Tf検出のためのLFA試験
競合アッセイフォーマットを利用するLFA試験ストリップを、組み立てた。簡潔には、抗Tf抗体が装飾されたDGNPを、最初に試料溶液に加え、試料中に存在する任意のTfと結合させて、DGNP/Tf複合体を形成した。LFAによるTfの検出限界を検証するため、30μLのランニングバッファーと、15μLの、PBS中の既知の量のTf及び5μLのDGNPからなる20μLの試料溶液とを、試験管の中で混合した。LFA試験ストリップを、管の中に垂直方向に挿入して、試料の中に試料パッドを沈め、流体が、吸収パッドに向かってストリップにより吸収排出された。Tfが存在する場合、LFAストップの中を進むDGNP/Tf複合体は、試験線に固定化されたTfと結合することができず、対照線での単一バンドの存在により陽性の結果を示す。あるいは、Tfが存在しない場合、DGNP上の抗体は、試験線のTfと結合することができる。これらのプローブが紫色を帯びた赤色を示すので、DGNPが試験線に蓄積して可視バンドを形成し、陰性の結果を示す。Tfの存在にかかわらず、DGNP上の抗体は、対照線に固定化された二次抗体と常に結合する。対照線のバンドは、試料がストリップの中を完全に流れたことを意味し、有効な試験であることを示す。したがって、陰性結果は2本のバンドにより示され、1本は試験線のものであり、1本は対照線のものであ対照的に、陽性結果は、対照線の単一バンドにより示される。各Tf濃縮物を3重で試験した。代表的なLFAストリップを、10分後に、制御照明環境下でCanon EOS 1000Dカメラにより画像化した。
三次元ペーパーウエルによるTfの検出
ペーパーに基づくデバイスのLFA構成要素を、前述の設定から僅かに変更した。具体的には、セルロース試料パッドを、5×20mmのガラス繊維紙に交換し、これを、試験及び対照線を含有するニトロセルロース膜と接続した。試料パッドの起点には、ガラス繊維紙の複数のストリップから構成される三次元ペーパーウエルを使用した。1:1体積比のATPSを使用する実験では、ウエルを、5層(4枚の5×7mmのストリップ+下部試料パッド)のガラス繊維紙から構成した。試験を開始するため、既知の濃度のTfを含有する40μLの1:1体積比の混合ATPSを、ペーパーウエルに加え、続いて50μLのランニングバッファーを加えた。画像を10分後に撮った。9:1体積比のATPSを使用する実験では、20層の紙(19枚の5×7mmのストリップ+下部試料パッド)を使用して、ペーパーウエルを形成した。既知の濃度のTfを含有する200μLの9:1体積比の混合ATPSを、ペーパーウエルに加え、10分間インキュベートして、続いて100μLのランニングバッファーを加えた。更に10分後、画像を制御照明環境下でCanon EOS 1000Dカメラにより撮った。各Tf濃縮物を3重で試験した。
ATPSの可視化
ATPSとLAFの統合は、伝統的なLFA試験の検出限界を、その利点を犠牲にすることなく有意に改善することができた。これを達成するため、最初に、相がペーパー膜の中を通っている間に可視化され得るATPSを、特定する必要があった。具体的には、上部により疎水性のPEG豊富相及び下部により高密度で親水性のPEG不足相を形成する、PEG塩ATPSを使用した。ATPSにおける生体分子の分配は、主に、相対的親水性(生体分子は、最大の引力相互作用を受ける層を優先する傾向があるため)及びサイズ(大型の生体分子は、PEG豊富相において大多数のPEG分子と大きな立体的な排除体積的反発相互作用を受けるので、PEG豊富相には典型的には留まらないため)によって決まる。ブリリアントブルーFCF色素を、混合ATPSに加え、小型で疎水性であるので、色素はPEG豊富相に極度に配分される。紫色のデキストラン被覆金ナノ粒子も、混合ATPSに加え、これらは大型(動的光散乱法により測定して直径が約50nm)であり、親水性であるので、PEG不足相に極度に分配された。1:1体積比のATPS及び9:1体積比のATPSの画像を、相分離の前後に撮影した(図33)。ブリリアントブルーFCF及びデキストラン被覆金ナノ粒子の量を、1:1及び9:1の体積比のATPSにおいて一定に保った。結果として、相分離の後、9:1体積比のATPSの上部相は、1:1体積比のATPSの上部相と比較して体積が大きく、したがってブルー色素の濃縮が少なかった。加えて、9:1体積比のATPSの下部相は、1:1体積比のATPSの下部相より体積がかなり小さく、暗い色彩の紫色を示し、下部相の縮小が、デキストラン被覆金ナノ粒子をATPS内に効果的に濃縮できることを実証した。9:1体積比のATPS試料は、下部相の体積が試料溶液全体の体積の1/10になるので、ナノ粒子を10倍濃縮させることが予測された。体積比が極度になるほど、より大きな濃縮倍数改善を獲得できるが、システムが分離に要する時間も多くなることに留意すること。
紙におけるATPSの可視化
混合ATPSをペーパー膜に加えた後、紫色のデキストラン被覆金ナノ粒子を含有するPEG不足相が、紙の中を急速に流れたことが観察された。その間、ブルー色素を含有するPEG豊富相は、ペーパー膜の起点に保持された(図34)。このことは、ATPSの両方の相が、紙の中に流動が誘発される前に、ガラスウエル内で完全に分離することが可能であった場合(図80)と類似していた。ペーパー膜内で生じる増強された相分離が、1:1体積比のATPSを使用したときに明白であり(図34A)、1:1体積比のATPS相は、紙内でほぼ直後に分離した。図33に示されているように、ATPSを使用して達成された紫色のデキストラン被覆金ナノ粒子の濃縮倍数は、体積比の関数である。具体的には、粒子がPEG不足相に極度に配分されるので、1:1体積比は、流動の先頭部として初期体積の半分が流れるので、粒子の2倍濃縮を生じるはずである。ペーパー膜における相分離動作についての1つの可能な説明は、PEG豊富ドメインが、紙からより多くの相互作用を受け、移動性が少なくなることである。更に、PEG豊富ドメインは、より多くの粘性もあり、したがって蛇行性の紙網状組織の中を移動することがより困難になり得る。対照的に、PEG不足ドメインは、紙との相互作用が少なく、粘性が少なく、紙網状組織の中を急速に移動し、先頭部において合体することが可能である。9:1体積比のATPSでは、PEG不足ドメインは、総体積の10分の1のみを含み、合体すること及びPEG豊富ドメインの先に流れることがより困難になる。具体的には、紙において生じる巨視的相分離に必要な時間は、流体が紙に吸収排出されるのに必要な時間よりも長く、良好な分離は観察されなかった(図34B)。
1:1及び9:1の両方の体積比のATPSを使用すると、一部のPEG不足ドメインが、流動の先頭部に達しないことも観察された。このことは、全てのPEG不足ドメインがPEG豊富ドメインから逃れることができるわけではないことを示し、試験管において測定された平衡体積比が、ペーパー膜の吸収排出距離比と一致しない理由を明らかにした。LFAを改善するため、大部分のPEG不足ドメインは、巨視的なPEG不足相に到達し、検出区域に到達する前に巨視的なPEG不足相から分離される必要があった。したがって、追加の構成要素が、相分離現象を更に改善するために必要であった。
三次元ペーパーウエルデバイスにおけるATPSの可視化
三次元紙構造を利用するペーパーウエルを、相分離動作が更に増強するように設計した。三次元パーパーウエルを使用することは、通常は試験管において相分離を誘導する重力が、紙内のATPS相分離を助けるために作用することも可能にする。三次元紙構造は、また、流動の方向に対して直角に断面積を増加する。したがって、より多くの体積を同時に紙に吸収排出することができ、より多くのPEG豊富素メインが紙との相互作用を妨げられ、PEG不足ドメインがより容易に合体することを可能にする。図35に示されているように、三次元ペーパーウエルは、以前に示された二次元ペーパー膜より大きい相分離効率に寄与した。PEG豊富ドメインは、ペーパーウエルの上部層に保持され、一方、濃縮デキストラン被覆金ナノ粒子を含有するPEG不足ドメインは、ペーパーウエルの下部層に向かって流れた。加えて、PEG不足ドメインは、最初にペーパーウエルから遊離し、PEG豊富ドメインから効果的に分離された。ランニングバッファーも加えて、流体の流動を更に誘発し、あらゆる残留PEG不足ドメインをペーパーウエルから一気に流すことを助け、この添加は、将来的に自動化され得ることが考慮されている。粘性の多いPEG豊富相の大きな体積が存在するので、9:1体積比のATPSを使用したとき、流動はゆっくりであった(溶液は390秒後にストリップの末端に到達しない)ことに留意すること。
三次元ペーパーウエルデバイスを使用したTfの検出
三次元ペーパーウエルデバイス内の改善されたATPS相分離及び流動の動作を可視化した後、LFAがこの技術を組み合わせて、検出限界を改善できるかを検討した。ブリリアントブルーFCF色素はもはや使用せず、官能化抗Tf DGNPを、デキストラン被覆金ナノ粒子の代わりに使用した。DGNPは、ATPSにおいてデキストラン被覆金ナノ粒子と同様に分配されるが、試料中の目的バイオマーカーを捕捉し、LFAの発色指標として作用することもできる。
ATPS及び三次元ペーパーウエルデバイスが組み込まれなかったLFAのみの対照の検出限界を、特定した。競合フォーマットにおいて対照に対してLFAの検出限界を改善するために、DGNPに装飾された抗体は、より多くのTfに結合する必要がある。このことは、同じ数のDGNPをより多数のTf分子に曝露することによって達成することができ、固定濃度のTfでは、溶液の総体積が増加する必要がある。DGNPを総体積の増加により飽和させることができるが、体積の倍増により希釈される。各LFAストリップは20μLの試料しか扱うことができないので、DGNPの希釈のため、不十分なDGNPが対照線に結合するので、無効な試験がもたらされる。しかし、ATPS及び三次元ペーパーウエルデバイスを使用すると、Tf分子で飽和されたDGNPは、PGE不足相に極度に分配され、したがって、紙における流動の先頭部に集し、これにより有効な試験がもたらされる。したがって、試料の体積は、DGNPを2倍濃縮することが予測される1:1体積比のATPSを使用したときに、2倍の40μLに増加され、対照と比較したとき、同じ数のDGNPが検出区域に進入することをもたらした。同様に、試料の体積は、DGNPを10倍濃縮することが予測される9:1体積比のATPSを使用したときに、10倍の200μLに増加された。DGNPを含有する1:1及び9:1体積比のATPSの下部相のみが、検出区域を通過するので、デバイスの体積処理容量は、三次元ペーパーウエルを含む層の数を変えることにより微調整した。この増加を試料体積に対応するため、1:1体積比のATPS溶液内のTfの検出に使用される三次元ペーパーウエルデバイスを、5層の紙から構成し、一方、9:1体積比のATPS溶液では、20層の紙に増加して(図36B及びC)、増加した体積に対応した。層の数の有意な増加にもかかわらず、9:1体積比のATPSの三次元ペーパーウエルデバイスは、依然として10セント硬貨と比較して比較的小型のままであった。
DGNPを含有するATPS溶液がペーパーウエルに添加されたとき、DGNPは、デバイを通して吸収排出されて、溶液の先頭部に急速に集中した。DGNPは、ペーパーウエルに保持された溶液の残部より先に、デバイスの検出領域に到達した。競合アッセイでは、試験線の存在は、陰性の結果を示し、一方、試験線の不在は、陽性の結果を示す。モデルタンパク質Tfを含有しない陰性対照を使用したとき、25分未満に、1:1及び9:1体積比のATPSを使用する設定は、両方とも、試験及び対照線の両方にそれぞれ可視バンドをもたらし、Tfの不在及び有効な試験を示した(図36)。三次元ペーパーウエルをIFAと組み合わせて、陰性対照ATPS試料におけるTfの不在を正確に評価できることを検証した後、Tf濃度を変えて、1:1及び9:1体積比のATPS溶液を使用したときの検出限界を見出した。これらの実験は、従来のLFAよりも、Tfの検出限界において2倍及び10倍の改善それぞれ実証した(図37)。三次元ペーパーウエルを用いる9:1体積比のATPS実験では、試料を、デバイス内で更に10分間インキュベートして、ランニングバッファーを添加する前に、DGNPが目的タンパク質を捕捉し、巨視的に相分離するための十分な時間を与えた。インキュベーション時間は、DGNPが混合ATPSにおいてより濃縮されているので、1:1体積比のATPSでは必要なく、DGNPが溶液全体を探索することを容易にする。これらの実験の結果は、従来のLFAがTfを1ng/μLの濃度(試験線が現れない濃度)で検出したが、この三次元ペーパー診断装置は、1:1体積比のATPSを使用したとき、Tfを0.5ng/μL(検出限界の2倍の改善)で検出できたことを示した。同様に、三次元ペーパー診断装置は、9:1体積比のATPSを使用したとき、Tfを0.1ng/μL(検出限界の10倍の改善)で検出することができた。これらの結果は、望ましい体積比を有するATPS溶液を適切なサイズの三次元ペーパーウエルと組み合わせて、LFAを使用するバイオマーカー検出を、有意に予測性をもって改善できることを示唆している。
実施例4.PEG塩ATPSにおけるM13バクテリオファージの検出
ポイントオブニード(point−of−need)(PON)環境においてATPSをLFAと組み合わせる実現性を増やすため、システムに対して以下の変更を行った。(1)ポリエチレングリコール(PEG)とリン酸カリウム(塩)ATPSを短時間の相分離により調査し、(2)抽出時間に有意な更なる低減をもたらす生体分子分配の動力学的挙動を検査し、(3)LFAに使用した金ナノ粒子指標とPEG塩ATPSの塩豊富相との適合性を、PEGを金表面に装飾することによって確実にし、(4)特別仕様MATLAB(登録商標)スクリプトを生成して、観察されたLFAシグナル強度を定量した。これらの変化をまとめた視覚的表現を図38に示す。
バクテリオファージM13の培養
Escherichia coli(エシェリキア・コリ)(E.coli)細菌株ER2738(American Type Culture Collection、ATCC、Manassas,VA)を、インキュベーター振とう器中の8mLのルリア培地(Sigma Aldrich、St.Louis,MO)において37℃で6時間インキュベートした。モデルウイルスバクテリオファージM13(ATCC)を培養するため、少量の凍結M13を細菌培養物に加えた。次に細菌培養物をインキュベーター振とう器の中に37℃で14時間設置した。溶液を4℃及び6000gで15分間遠心分離して、M13を、ペレット中の細菌から上澄み中に単離した。上澄みを溶液から抽出し、0.22μmのシリンジフィルター(Millipore、Billerica,MA)により濾過した。この貯蔵M13溶液の希釈物を、プラークアッセイにより決定されたM13の濃度を使用して計算した。したがってM13濃度は、1mLあたりのプラーク形成単位(pfu/mL)で報告される。全ての試薬及び材料は、特に示されない限り、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
PEG塩系の体積比の見出し
ポリマー塩ATPSでは、ポリエチレングリコール8000(PEG、VWR、Brisbane,CA)及びリン酸カリウム(5:1の二塩基:一塩基)を、ダルベッコーPBS(Invitrogen、Grand Island,NY、pH7.4、1.47mMのKHPO、8.1mMのNaHPO、137.92mMのNaCl、2.67mMのKCl及び0.49mMのMgClを含有)に溶解した。ルリア培地を含有するM13試料を伴う実験と一致する、2%(w/w)のルリア培地を含有する総質量が5gの最終溶液を、作製した。平衡体積比(巨視的上部相の体積を、巨視的下部相で割ったもの)を、最低12時間後(平衡を十分に過ぎている)に、界面及び溶液の最上部を、管の外側に印を付けることにより測定した。次に管を空にし、乾燥し、秤により計量した。水を印まで加え、両方の相の体積を、1g/mLを使用して、水の密度として測定した。異なる平衡体積比が、初期PEG濃度、初期塩濃度を変え、温度を37℃に一定に保持することによって見出された。これらの体積比が同じタイラインで選択されて、生体分子の類似した分配を確実にしたことに留意するべきであり、使用した特定の操作条件が表2に提示されている。
Figure 2021073465
M13の分配及び濃縮
それぞれの濃縮実験において、4つの同一の5gのPEG塩溶液を調製した。これらの溶液のうち、3つを濃縮ステップに使用し(n=3)、一方、1つを初期M13濃度を表す対照として使用した。各溶液が相分離の前に1つの相であることを確実にするため、全ての溶液を4℃で平衡にし、均質に混合した。次にM13を4つの溶液に加えて、全体的な初期濃度の1×10pfu/mLを生じた。M13濃度が時間によってどのように変わるかを決定するため、9:1体積比の溶液を、37℃の水浴において30分間、1時間、4時間及び24時間インキュベートした。M13濃度が体積比によってどのように変わるかを決定するため、9:1、6:1、3:1及び1:1の体積比の溶液を37℃の水浴において30分間インキュベートした。それぞれの実験において、3つの溶液の下部相を、シリンジの使用により注意深く抜き取った。対照溶液は、試験溶液と同じ条件を模倣するため、同じインキュベーションステップを受けた。しかし、インキュベートした後、ATPSにおけるM13の初期濃度を表すためにアリコートを抜き取る前に、対照を再び4℃に平衡にし、均質に混合した。抽出された下部層及び対照溶液のM13濃度を、プラークアッセイによって決定した。
金ナノ粒子の調製
コロイド金ナノ粒子を調製した。次に金ナノ粒子の直径を、Zetasizer Nano SZ粒子分析機(Malvern Instruments Inc.、Westborough,MA)を用いて、動的光散乱法(DLS)の使用により決定した。続いて金ナノ粒子の濃度を、ベールの法則を使用して決定した。使用された吸光度値は、ピーク吸光度であり、次にモル吸光係数は、BBInternational Life Sciencesにより提供されたデータシートから取った(表3を参照すること)。
Figure 2021073465
金ナノ粒子の定量化の後、M13被覆タンパク質pVIII(Abcam Inc.、Cambridge,MA)に対するマウスモノクローナル抗体を、ナノ粒子溶液に、コロイド金1mLあたり16μgの抗M13の比で加えて、金ナノプローブを形成した。溶液のpHを、0.1M NaoHを使用して9.0に調整して、抗体と金との供与結合を促進し、この溶液を振とう器により30分間混合した。金ナノプローブを、LFAの前にPEG不足塩豊富相に加えるときに立体コロイド安定性を提供するため、PEG−2000−SH(Nanocs、Boston,MA)分子を、金ナノプローブ1個に対して5000個のPEG−2000−SH分子のモル比で金ナノ粒子に結合させた。溶液を更に30分間混合した。非特異的結合を防止するため、100μLの10%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液を1mLのコロイド金溶液に加えて、残りの過剰な表面を遮断し、この溶液を30分間混合した。最後に、溶液を4℃及び8600gで30分間遠心分離して、遊離抗体、PEG及びBSAを除去した。装飾された金ナノプローブを、150μLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
ATPSとLFAの組み合わせ
ATPS前濃縮ステップをLFAと組み合わせるため、様々なM13濃縮物を、9:1体積比のPEG塩溶液に加えた。37℃で30分間インキュベートした後、濃縮下部相を、シリンジの使用により抽出した。前濃縮ステップを用いて及び用いないで実施しるイムノアッセイ間の一貫性のため、M13を、最初はM13を含有しなかった9:1溶液の試料の下部相に加え、それによって対照溶液を形成した。続いて30μLの下部相試料及び10μLの抗M13装飾コロイド金プローブ溶液を、30μLのランニングバッファーと一緒に混合した。試験ストリップの中の試料の流動を助けるランニングバッファーは、ddHO中の0.2%w/vのBSA、0.3%w/vのTween 20、0.2%w/vのアジ化ナトリウム、0.1%のPEG−8000及び0.1MのTrizma塩基からなり、pHは8に調整された。抗体をM13に結合させるため、得られた溶液を混合し、LFAストリップを加える前に5分間インキュベートした。図39に概略的に示されているように、LFAストリップを組み立てて、サンドイッチアッセイを実施した。10分後、LFAストリップを取り出し、結果は、LFAストリップの試験及び対照線を視覚的に検査することによって得た。
LFAの定量的分析
LFAストリップの画像を、試験が終了した直後に、Canon DSLRカメラにより制御照明環境下で撮影した。LFAの結果を定量するため、特別仕様MATLAB(登録商標)スクリプトを書き込んだ。イメージをトリミングし、8ビットグレースケールマトリックスに変換した。続いて、マトリックスを半分に分け、得られたマトリックスの一方は対照線を含有し、他方は試験線を含有していた。マトリックスの各半分において、最小強度(最も暗いスポット)を、対照または試験線に対して垂直なベクトルに沿って位置決めした。これらの最小値の平均の位置を、対照または試験線の長さにおよぶ15高画素長方形領域の中心として使用した。続いて、対照線領域における全ての画素の平均グレースケール強度(I対照)を計算した。同じ手順を、試験線を含有する残りの半分の画像に適用して、試験線領域の平均グレースケール強度(I強度)を生じた。幅が15個の画素であり、試験線の上流の50個の画素まである第3の基準領域の平均グレースケール強度(I基準)を使用して、試験及び対照線の強度を以下のように正規化した。
Figure 2021073465
が対照線の式であり、
Figure 2021073465
が試験線の式である。高い強度値は、白色領域に対応することに留意すること。
生体分子の分配
Triton X−114ミセルATPSをLFAと組み合わせて、LFAウイルス検出限界に10倍の改善を達成することができる。Triton X−114ミセル系は、両方の相の体積が平衡するまで6時間超を費やす。対照的に、この試験のポリマー塩ATPSは、より迅速な相分離を有する。加えて、9:1体積比には早期抽出時間の30分を使用した。
塩及び水素結合相互作用を有意に受けるポリマーであるPEGから構成される水溶液は、巨視的な相分離を受ける。PEG豊富な塩不足相が上部に形成され、一方、PEG不足の塩豊富相が下部に形成される。大型の親水性生体分子は、下部のPEG不足相に極度に分配される。この例では、エボラ及びマールブルグウイルスにサイズ及び形状が類似したモデルウイルスである、バクテリオファージM13を調査した。M13が900nmの長さ及び相対的に親水性のタンパク質シェルを有するので、PEG豊富相と比べてPEGポリマーとの反発的で立体的な排除体積的相互作用をほとんど受けないことに起因して、下部のPEG不足相に極度に分配されると予測された。水性二相ミセル系において、M13は、巨視的なミセル不足相に極度に分配され、そこでも、M13ウイルス粒子は排除体積的相互作用をほとんど受けないことが観察された。
溶液が加熱され、相分離が最初に開始されると、PEG豊富(M13不足)ドメイン及びPEG不足(M13豊富)ドメインが、溶液全体にわたって形成される。これらの微視的なドメインにおけるウイルス濃度は、極めて急速に平衡値に達すると想定され、同様のドメインが互いに合体し始める。これらのドメインが大きくなると、密度の差は、不均一な重力及び浮力を生成し、このことは、PEG豊富ドメインを上昇させ、PEG不足ドメインを沈下させる。このことは、巨視的な上部PEG豊富(M13不足)相及び巨視的な下部PEG不足(M13豊富)相の形成をもたらす。この過程の動力学及び同伴または捕捉ドメインの効果を、下記に更に説明する。
ウイルスは、巨視的な下部相に極度に分配されると予測されるので、唯一の関心事は、抽出時の下部相における生体分子の濃度であった。そのため濃度係数を、巨視的な下部相におけるウイルスの濃度、Cウイルス、下部を初期の全体的な濃度、Cウイルス、初期で割ったもの、と定義する。
Figure 2021073465
濃度係数に否定的な影響を与え得る1つの潜在的な懸念は、巨視的な下部相に同伴されたPEG豊富(M13不足)ドメインの存在である。平衡になる前、全てのドメインが、対応する巨視的な相に移動するのに十分な時間を有していたわけではない。しかし、平衡体積比の9:1を使用したときには、このことは問題とならない。9:1体積比のPEG豊富ドメインに関連する大きな体積に起因して、PEG豊富ドメインは、合体すること及び連続相を形成することが容易である。PEG豊富ドメインは、巨視的下部相が非常に小さいので、巨視的上部相に到達するために移動する距離も小さい。その結果、巨視的下部相におけるPEG豊富(M13不足)ドメインの同伴も最小限であり、生体分子の濃度は、平衡値に近いと予測される。しかし、PEG不足(M13豊富)ドメインは、依然として巨視的上部相にあることが予測される。PEG不足ドメインに関連する小さな体積に起因して、これらのドメインが合体することは、より困難である。巨視的下部相に到達するために、粘性の多いPEG豊富巨視的相の中を更なる距離にわたって移動する必要もある。しかし、主な懸念が下部相における生体分子の濃度であり、LFAに小さい体積しか必要でないので、30分の時点で抽出することが可能であり、依然として、予測される平衡濃度係数を達成することが可能である。
時間の関数としての9:1体積比溶液の相分離を視覚的に検査した。最初に、PEG豊富及びPEG不足ドメインが、溶液全体にわたって形成される。PEG豊富ドメインは、急速に合体し、連続相を形成する。溶液は、同伴されたPEG不足ドメインが光を散乱させるので、混濁して現れる(図40A)。PEG不足ドメインが合体し、高い密度のため下部に沈下するので、巨視的な下部PEG不足相が下部から上に向かって形成される。30分後、清澄な巨視的下部PEG不足相から分離した、混濁した巨視的な上部PEG豊富相が存在する(図40B)。上部相が同伴PEG不足(M13豊富)ドメインを含有するが、主な関心事は、下部相が濃縮生体分子を含有するので、下部相の混濁度である。長時間の後、全ての、または大部分のPEG不足ドメインは、巨視的下部相に移動し、系は、2つの清澄な相により示されているように、ほぼ平衡になる(図40C)。30分の時点での下部相が、有意な量の同伴PEG豊富(M13不足)ドメインの不在に起因して既に清澄であり、その相におけるウイルスの測定濃度が平衡値を既に反映しているはずであることを示唆していることに、留意すること。
30分の時点で下部相を抽出するために、巨視的な下部PEG不足(M13豊富)相が、有意な量のPEG豊富(M13不足)ドメインを含有しないと確認することが、望ましかった。したがって、濃度係数は、下部相におけるM13の測定された濃度が、短時間後でも平衡値と等しいことを示す時間の関数として、決定された。具体的には、M13分配実験は、図40で使用されたものと同じ温度、ならびに初期PEG及び塩濃度(すなわち、9:1平衡体積比を生じる条件)を使用して実施され、30分、1時間、4時間及び24時間(平衡を十分に過ぎている)の時点で下部相から抽出された。図41に示されているように、濃度係数は、30分から24時間の抽出時間の関数として一定のままであり、巨視的な下部PEG不足(M13豊富)相におけるPEG豊富(M13不足)ドメインの同伴が実際に最小限であることを実証した。したがって、続く試験において、30分の抽出時間を、PON用途に必要な短い時間として使用した。
ATPSにおけるM13の分配
方程式(9)の濃度係数は、体積比の関数であることを示すことができる。単一の均質相におけるウイルスの初期モルを、2つの得られた相におけるウイルスの総モルと均等化するモル平衡を使用して、以下の式を得た。
Figure 2021073465
ここで、Cウイルス、上部は、巨視的上部相におけるウイルスの濃度であり、V上部及びV下部は、それぞれ上部相及び下部相の体積である。方程式(10)を再構成すると、濃度係数の以下の式をもたらす。
Figure 2021073465
9:1体積比のATPSを使用して、M13の分配係数を測定し(上部相の平衡濃度を、下部相の平衡濃度で割ったもの)、0.0001未満であった。測定された分配係数がV下部/V上部値の1/9よりかなり小さいので、この式を以下のように近似させることができる。
Figure 2021073465
したがって、線形関係が、体積比の関数としての濃度係数に予測される。濃度係数は、生体分子が下部相に極度に分配されるので、体積比が増大すると増大し、体積比の増大は、M13が極度に分配される相の縮小に対応する。具体的には、9:1体積比が使用される場合、M13が極度に分配される相の体積が初期体積の1/10であるので、M13は、10倍濃縮されることが予測される。続いて、このことを、短い時間がPON用途に必要であるので、30分抽出時間を使用して試験した。M13分配実験を37℃により、9:1、6:1、3:1及び1:1平衡体積比を生じるPEG及び塩の初期濃度を用いて実施した。図42は、体積比の関数として濃度係数を試験した実験の結果を示す。実験データがモデル予測と一致するかを統計的に決定するため、決定係数またはR二乗値を計算した。R二乗値は、0.858であることが見出され、実験データが予測値とほど良く一致していることを示唆し、簡単なモデルが30分抽出時間であっても適切であることが更に確認された。
LFAを介したM13の検出
M13がATPSを介して30分で濃縮され得ることを実証した後、コロイド金プローブ及びLFAストリップを調製した。金プローブの表面に装飾されたPEGは、立体安定性を提供し、抽出された塩豊富相の環境において金プローブの凝集を防止した。図43は、前濃縮ステップを受けなかった試料によるLFAの結果を示す。M13濃度を、対数目盛に沿って等間隔を置いた点で選択した。ポリクローナル抗IgG抗体を含有する対照線または上側バンドの存在は、試料がストリップ全体を流れたことが確認されるので、有効な試験であることを示す。M13コーティングタンパク質pVIIIの抗体を含有する試験線または下側バンドの存在は、M13の存在を示す。図43Aに示されている陰性対照は、M13を含有せず、予測されるように、可視試験線が存在しない。残りのパネルでは、試験線の強度は、図43Bに示されている最高M13濃度において最大であり、線の強度は、M13濃度が減少すると、減少する。試験線は、3.2×10pfu/mL(図43E)においてもはや見えなくなり、検出限界がおよそ1×10pfu/mL(図43D)であることを示している。
LFAに先立つM13の濃縮
1×10pfu/mLに確立された検出限界によって、検出限界の可能性な改善を、ATPSを利用して調査した。方程式(12)に基づいておよそ10倍の濃度係数を生じると予測された、9:1体積比溶液を使用した。37℃で30分間インキュベートした後、下部相を抽出し、試料をLFAのために準備した。図44は、前濃縮ステップを有するLFAの結果を示す。ここでも、試験線は、M13を含有しない陰性対照において、不在であった(図44a)。残りのパネルでは、初期M13濃度は、図6に示されたものより10倍少ないが、LFA試験線の強度は、前濃縮ステップを有さない試料と一致している。試験線の強度は、M13の濃度が減少して、3.2×10pfu/mL(図44E)においてもはや見えなるまで、減少し、検出限界がおよそ1×10pfu/mL(図44d)であることを示している。このことは、ATPS濃縮ステップが適用されたとき、検出限界に10倍の改善があることを示した。
LFAストリップの視覚的解釈からの結論を確認するため、LFA画像をグレースケールに変換し、試験線強度を、本発明者たちの特別仕様MATLAB(登録商標)スクリプトを使用してバックグラウンドに対して検査した。ATPS濃縮ステップを用いた及び用いない結果を、図45に示す。2つの曲線が、ほぼ同じ試験線シグナルでの初期M13濃度では10倍の差により隔てられており、本発明者たちの10倍濃縮改善が更に確認されていることに留意すること。
実施例5.PEG塩ATPSの界面抽出による生物学的血清におけるトランスフェリンの検出
単一ATPSステップを使用する生体分子の濃縮は、目的生体分子を、2つの嵩高相の界面に向けて誘導することによって最適化した。界面領域は、体積比に無関係に形成され得る極めて小さい体積領域を表すので、この新規手法は、標的の濃度が、長い相分離時間を有する極度体積比(1を大きく上回る、または大きく下回る体積比)に依存しないことを可能にする。代わりに、最速で平衡に到達できる体積比が選択され、これは、抽出時間を、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)において10分以内に低減し、以前の手法に対する有意な改善であった。この手法は、界面の体積が2つの巨視的嵩高相よりもかなり小さいので、単一ATPSステップにおいて達成され得る最大濃度倍数に向かっており、したがって、生体分子は、さらにいっそう極度に濃縮され得る。最後に大事なことは、試料体積の増加は、望ましいことに、界面に濃縮され、LFAにより検出され得る目的生体分子の総数を増加する。このことは、極度体積比を使用して嵩高相に目的分子を濃縮することについても当てはまるが、試料体積の増加は、相分離時間も増加する。提案されている界面抽出手法において、極度体積比は、もはや必要ない。図46は、界面抽出を2つの嵩高相のうちの1つの抽出と図解的に比較している。
目的生体分子を界面に向かって誘導するため、GNPを伴う捕捉機構を利用した。粒子表面を装飾する特定の抗体によって、GNPは、最初に、試料中の目的タンパク質を捕捉した。GNPの表面化学を、粒子が相分離のときに界面に分配されるように最適化した。次に、GNPにより捕捉されたタンパク質を界面から抽出した。界面の体積が非常に小さいので、タンパク質は、高度に濃縮されており、続いてLFA検出ストリップに適用された。この例は、PEG塩ATPSの界面に分配する能力のある調製済GNPの要約を提供する。相が最速に分離し、GNPの最大回収も可能にする体積比を、次に調査した。続いて、モデルタンパク質のトランスフェリン(Tf)を使用して、ATPS界面抽出ステップと組み合わせたLFAのTfに対する100倍の改善を実証した。次に研究を拡大して実社会の用途に近づけ、ウシ胎児血清(FAB)及び合成尿、ならびに採血に好ましい小さい体積のためにシステムを再最適化した。データは、より複雑なシステムであっても、ATPS界面抽出は、15〜25分以内に実施することができ、LFAにおけるTfの検出限界に100倍の改善をもたらし得ることを示している。
この例は、界面に局在化することができ、LFAの発色指標としても機能することができるナノプローブの開発を提供する。この手法は、目的生体分子を濃縮及び収集するために官能化された磁気または金粒子を使用する点において、前に研究された抽出方法と異なっており、これらの手法は、ポイントオブケアデバイスに適していない機器を必要とした。本方法は、LFAの検出限界を100倍改善し、実験室用のイムノアッセイとペーパーに基づくイムノアッセイとの感度の差を縮めることに有効であり、なおかつ迅速な手法である。増強された感度を有する改善されたLFAは、診断の分野に有意な影響を与え、現在利用可能ではないポイントオブケア溶液の提供に近づいている。他方、この手法がLFA検出の性能を改善できることが実証されたが、この前濃縮手順を、他の検出不法に適用することもできる。
抗Tf抗体の放射標識
全ての試薬及び材料は、特に示されない限り、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。ヨウ素−125(125I)を使用して、ヤギ抗ヒトTfポリクローナル抗体(カタログ番号A80−128A、Bethyl Laboratories、Montgomery,TX)のチロシン残基を放射標識した。簡潔には、Na125I(MP Biomedicals、Irvine,CA)を、IODO−BEADS(Pierce Biotechnology、Rockford,IL)により活性化した。続いて、活性化された125Iを、ヤギ抗Tf抗体と15分間反応させた。放射標識されたタンパク質を精製し、遊離125Iを、Sephadex G15サイズ排除カラムを使用して除去した。リンタングステン酸アッセイを使用して、放射標識タンパク質の放射能及び濃度を定量した。
GNPの調製
そのままの金ナノ粒子を調製して、直径がおよそ25〜30nmの粒径を有する清澄なサクラ色の溶液をもたらした。GNPを調製するため、320mgのヤギ抗Tf抗体を20mLのコロイド金溶液と共に30分間インキュベートし、続いてPEG:GNPの3000:1のモル比を使用してチオール化PEG5000を加え、更に30分間インキュベートした。コロイド金の表面への他のタンパク質の非特異的結合を防止するため、2mLの10%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液を混合物に加え、更に10分間混合した。得られた溶液を、インキュベーションの時間にわたって、振とう器により穏やかに混合した。遊離(非結合)抗体、PEG及びBSAを除去するため、続いて混合物を4℃及び9,000gで30分間遠心分離した。GNPのペレットを1%BAS溶液で2回洗浄した。最後に、回収したGNPを2mLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
GNPの分配
放射標識抗Tf抗体で装飾されたGNPを、異なる条件でATPSにおいて分配させて、最速及び最高のGNP回収を生じ得る体積比を決定した。それぞれの分配実験において、ダルベッコーリン酸塩緩衝食塩水(PBS、Invitrogen、pH7.4、イオン強度154mM)中の3つの同一のPEG塩溶液を調製して、総体積の5000μLにした。3つの異なる体積比(1:1、6:1及び1:6)のPEG塩ATPS溶液を、PEGとリン酸カリウムの特定の濃度を使用して調製した。続いて、10μLの、放射標識抗Tf抗体が装飾されたGNPを、各ATPS溶液に加えた。溶液を0℃で平衡にして、溶液が均質であること確実にした。0℃で平衡を得ると、溶液を水浴中に37℃でインキュベートして、相分離を誘発し、GNPは2つの共存相に分配されることが見出された。界面のGNPを、ピペットの使用により注意深く抜き取り、30μLの界面溶液を抜き取って、界面における、全部ではないとしても大部分のGNPを収集した。2つの共存相も、ピペットを使用して別々に抜き取った。界面及び2つの共存相におけるGNPの量は、GNPが放射標識抗Tf抗体に結合しているので、Cobra Series Auto−Gamma Counterを使用して、各領域における放射能の量を測定することによって定量化した。3つの領域のそれぞれにおけるGNPの定量化した量を使用して、物質収支を使用して界面におけるGNPの回収率を計算した。
LFA試験ストリップの調製
競合機構を利用するLFA試験をこの研究において実施した(図47)。競合アッセイでは、対象の標的はニトロセルロース膜に固定化されて、試験線を形成する。GMP上の一次抗体に対する固定化二次抗体が、対照線を構成する。LFAを実施すると、試料は最初にGNPと接触し、目的分子が試料中に存在する場合、目的分子は、GNPに装飾された特定の抗体と結合する。試料中に存在する目的分子が、GNP上の抗体を飽和する場合、これらのGNPは、試験ストリップに固定化された目的分子と、もはや結合することができない。その結果、GNPは、試験線において可視バンドを形成せず、このことは陽性の結果を示す。他方、試料がGNP上の抗体を飽和できる濃度で目的分子を含有しない場合、GNP上のこれらの抗体は、試験ストリップに固定化された標的分子に結合し、試験線に可視バンドを形成することができる。このことは、陰性の結果を示す。更に、試料中の目的分子の存在にかかわらず、GNP上の抗体は、対照線の固定化二次抗体に結合し、ことのことは、十分な試料が試験線を通って吸収排出されて、対照線に到達したことを示している。可視対照線の存在は、有効な試験であることを示している。
Tfを用いるが、前濃縮を用いない、LFAの実施
様々な濃度のTfを含有するTf貯蔵溶液をPBSにより調製した。続いて、20μLの各Tf貯蔵溶液を10μLのGNP懸濁液及び試験ストリップ中の試料の流動を助けるために使用した20μLの試験緩衝液(0.2%のBSA、0.3%のTween20、0.2%のアジ化ナトリウム、0.1%のPEG、0.1MのTrizma塩基、pH8)と混合した。様々な濃度のTfを有する合計で5つの試料溶液(それぞれ50μL)を調製した(0(陰性対照)、0.001、0.01、0.1及び1ng/μL)。試験ストリップを、試料パッドが溶液と接触するように、各試料溶液の中に垂直方向に浸けた。10分後、試験ストリップを取り出し、各ストリップの画像を、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)により直ぐに撮影した。
FBS(HyClone、特徴決定済、pH7.4)において実施された実験では、GNPの体積を低体積実験用に適切に縮小できるように、より濃縮されたGNP懸濁液を使用した。FBS貯蔵溶液中のTfの濃度は、5μLのTf貯蔵溶液を5μLのGNP懸濁液に加え、続いて40mLの試験緩衝液に加えることによって、PBS実験に使用した最終Tf濃度と同じになるように調整した。同様に、実験を合成尿の使用によって実施した。
TfのためのATPS界面抽出とLFAとの組み合わせ
体積比の1:1を、GNP分配実験における知見に基づいてPBSにおいて実施された試験に使用した。抗Tf抗体を利用することによって、GNPは最初に試料中のTfを捕捉し、続いて全てのTf−GNPS複合体が界面に濃縮された。様々な濃度のTfもATPS溶液に添加したことを除いて、GNP分配の節に記載されたものと同じプロトコールを使用した。簡潔には、10μLのGNP懸濁液を、1:1体積比を生じ、様々なTf濃度(0(陰性対照)、0.001、0.01及び0.1ng/μL)を含有する、4990μLのTf添加ATPS溶液に加えた。溶液を0℃で平衡にして、溶液が均質であること確実にした。平衡が得られると、溶液を水浴中に37℃で置いて、相分離を誘発した。10分後、濃縮されたGNP及びTfを含有する30μLの界面溶液を抜き取った。この界面溶液を20μLの試験緩衝液と混合して、50μLの試料溶液を形成した。LFA試験ストリップを、試料パッドが溶液と接触するように、各試料溶液の中に垂直方向に浸けた。10分後、試験ストリップを取り出し、各ストリップの画像を、Canon EOS 1000Dカメラにより直ぐに撮影した。
FBS及び合成尿において実施された試験では、PEG及びリン酸カリウムの濃度を最初に調整して、1:1体積比を達成する必要があった。FBSにおけるATPも、さらにゆっくりと相分離し、PBS系に使用して10分インキュベートする代わりに、溶液を37℃の水浴中に25分間保持した。加えて、前述のように、体積を低減した。したがって、5000μL(LFAのみの実験に使用された50μLのTf貯蔵溶液の100倍多い体積)を使用して検出限界の増大を示すのではなく、FBS及び合成尿において実施された試験は、1000μL(LFAのみの実験に使用された10μLのTf貯蔵溶液の100倍多い体積)を使用して同等の改善を示した。PBSにおいて既に記載されたプロトコールを低体積のために変更し、それによって、5μLのより濃縮した金懸濁液を、995μLの、FBSまたは合成尿中のTf添加ATPS溶液に加えた。20μLの界面領域を抽出し、続いて30μLの金緩衝液を加えた。各LFAストリップを、取り出して画像化する前に、懸濁液の中に15分間浸けた。
ATPS界面抽出と、ペーパーに基づいたLFA検出アッセイとを組み合わせるため、この例において開発されたGNPは3つの機能を有した。第1は、GNPの表面の装飾特異的抗体が、試料中に存在する目的タンパク質を捕捉したことである。第2は、GNPの表面におけるPEGとタンパク質の最適化された配合が、GNPを界面に分配させ、嵩高相には分配させなかったことである。最後は、GNPがLFAの発色指標として直接作用し、したがって続く検出アッセイを、余分な洗浄または他の準備ステップなしで直ちに実施できたことである。GNPの概略図を図48Aに示す。GNPは、PEGポリマー、金ナノ粒子及び抗Tf抗体という3つの主な構成成分要素を有する。各構成要素はそれ自体ナノ粒子を2つの嵩高相のうちの1に誘導する。最初に、装飾PEGは、粒子表面のポリマーと、上部相中の豊富なポリマーとの好ましいPEG−PEG相互作用に起因して、ナノ粒子を上部PEG豊富相に誘導する(図48B)。具体的には、PEG:GNPのモル比の増大は、結合PEGの立体構造が「ブラシ」の立体構造に酷似するように変化させ、曝露される表面積の量を拡大して、PEG−PEG相互作用を増加させる。他方、サイズの大きな金ナノ粒子は、ナノ粒子がPEGポリマーとのより少ない反発的な排除体積的相互作用を受ける、下部PEG不足相へのナノ粒子の分配を引き起こす。GNP上の親水性タンパク質(抗Tf AB及びBSA)は、GNPの親水性を増加し、上部PEG豊富相より親水性がある下部PEG不足相へのGNPの分配も引き起こす。しかし、下部PEG不足相も塩が豊富であるので、ナノ粒子は、十分な立体安定性を提供するのに十分なPEGがナノ粒子の表面にないときに凝集する(図48C)。組み合わせると、GNPの3つの構成要素を変え、微妙に均衡を取って、最終的にGNPをATPSの界面に誘導することができる(図48D)。
競合的LFAでは、試料中の目的タンパク質の検出の成功は、GNP上の抗体が標的により飽和されることに依存している。抗体が飽和されない場合、GNPは、LFA上の固定化標的に結合して試験線を形成し得、偽の陰性結果を示す。低濃度の標的を有する試料を検出する1つの方法は、試料体積を増加することである。このことは目的分子の総数を増加し、そのことは、潜在的には、所定の固定量のGNPへの抗体の飽和をもたらす。しかし、小さい体積のみがLFA試験ストリップの中を流れることができ、GNPがこの手法では希釈されるので、十分なGNPが試験ストリップの中を流れない場合、対照線は可視化されず、無効の結果を示す。ATP界面抽出の使用が、少量の目的タンパク質で飽和されるGNPを集める迅速で有効な手段を提供するので、この手法は、より大きな試料体積の分析を可能にすることによって、低濃度の目的タンパク質の検出をもたらすことができる。
3つの体積比を試験して、最短のインキュベーション時間内に大部分のGNPを回収できる最適な体積比を決定した。結果を表4に示す。
Figure 2021073465
1:1体積比相は、最速に分離し、GNPの最大の回収を可能にした。相分離が、温度の上昇により誘発されるとき、微視的PEG豊富及びPEG不足ドメインが形成され、類似したドメインは、互いに見つけ合って合体する。ドメインが合体すると、移動し、最終的に、2つの相の界面張力及び密度の差に起因して、巨視的なPEG豊富塩不足相を上部に形成し、巨視的なPEG不足塩豊富相を下部に形成する。1:1体積比相は、それぞれの相が有意な量で存在するとき、ドメインが互いに見つけ合い、合体するのに容易であるので、6:1または1:6体積比よりも速く分離する。より不均一な体積比では、小さな体積の相のドメインは、ドメインにとって合体することが難しいので、大きな連続相に同伴され得る。更に、6:1体積比相は、PEG豊富相が6:1体積比の連続相であり、PEG不足ドメインが互いに見つけ合い、より粘性のあるPEG連続相の対応する巨視的相へ進むことがより困難であるので、1:6体積比よりもゆっくりと分離する。
Figure 2021073465
GNPがいずれのドメインにも分配されないので、GNPは、ドメインが合体するとドメインの間に留まる。最終的に、GNPは、相分離が完了すると、界面に薄い赤色膜として現れる。GNPの回収は、1:1体積比を使用すると有効であり、それは、同伴がこの体積比では最小限であり、したがって少ない量のGNPしか、同伴ドメインと連続相との間に存在する界面において失われないからである。1:1体積比相が、最高のGNP回収を生じながら、最速で分離するので、1:1体積比相を続く実験に使用した。
ATPS界面抽出ステップを組み込むことによるLFAの増強を実証するため、モデルタンパク質のトランスフェリン(Tf)を利用した。Tfは、鉄輸送のための血清タンパク質である。LFAにおいてTfの検出限界を確立するため、任意の前濃縮ステップを用いない様々なTf濃度による一連のLFA試験を実施した。試料が、GNPに装飾された抗Tf抗体を飽和するのに十分なTf分子を含有した場合、これらの抗Tf抗体は、試験線でニトロセルロース膜の固定化Tfに結合せず、したがって試験線に可視バンドを形成しなかった。このことは陽性の結果を示し、これは、1ng/μLのTf濃度を有する試料を試験したときに観察された(図49、上部パネル)。他方、抗Tf抗体を飽和するのに不十分なTfが試料中に存在する、または抗Tf抗体を飽和するTfが試料中に存在しない場合、これらの抗Tf抗体は、ニトロセルロース膜の固定化Tfへの結合に成功し、したがって、試験線に可視バンドを形成した。このことは陰性の結果を示し、これは、1ng/μL未満のTf濃度を有する試料を試験した時に観察された。1ng/μLが、真の陽性結果を示した最低のTf濃度であるので、このことは、前濃縮ステップなしのLFAを実施するとき、Tfの検出限界がおよそ1ng/μLであることを示した。
ATPS界面抽出ステップがLFAを使用したTfの検出限外を100倍改善できるかを実証するため、同じ量のGNPを、LFAの検出限界より100倍低いTf濃度(0.01ng/μL)を有するATPS溶液に適用した。試料体積を50μLから5000μLに100倍増加させて、Tf分子の総数を同数に保った。制限された量の試料(50μL)しかLFA試験ストリップに適用できないので、この大量の試料溶液中の希釈GNPを濃縮して、LFAに適用する必要があった。目的タンパク質により飽和されたこれらのGNPを回収するため、溶液を水浴中に37℃で設置して、GNPを界面で10分以内に収集した。次にGNPを抽出し、LFA試験ストリップに直接適用した。この研究の結果を図49の下部パネルに示す。真の陽性結果を0.01ng/μLで得て、これは、検出限界に100倍の改善を示した。この手法を使用した0.001ng/μLでの偽陰性結果の試験線強度は、同じTf濃度の試料を比較したとき、前濃縮ステップを用いないものより軽く、より多くのTfが捕捉されて、GNPが試験線に結合するのを困難にしていることを示した。試験線強度は、Tf濃度が減少しても増加し、このことは、抗体を飽和するのに利用可能なTfの量が減少したので、予測されたことであった。
ATPS界面濃縮の有効性を研究するため、FBSから作製された低体積のATPS溶液を、患者から採血した少量の血液試料を模倣するかについて試験した。FBSのより複雑な組成に起因して、PBSのATPSを使用した手順を、FBS系のために再最適化した。FBSの高いタンパク質含有量はATPSの体積比を変更するので、1:1体積比を形成するため異なる濃度のPEG及び塩を必要とした。FBSにおいて実施された実験も小さい試料体積を利用したので、GNPの体積を縮小する必要があり、より濃縮されたGNP貯蔵液を作製した。加えて、ATPSのインキュベーション時間を、FBSが相分離過程を遅延させたので、10から25分に延長した。加えて、FBSを含む複合混合物のため、LFA試験の時間を10から15分に延長した。血清が、より複雑なマトリックスを表すにもかかわらず、図50は、ATPS界面抽出と組み合わせたLFAが、前濃縮を用いないLFAと比較して、検出限界に依然として100倍の改善を生じたことを示している。LFAの10μLの試料を使用し、LFAの1000μLの試料を、ATPS界面抽出と組み合わせた。同様の最適化過程を合成尿系において実施し、図51に示されているように、最終的に、検出限界において類似した100倍の改善を実証した。
実施例6.Triton−X−114 ATPS及び三次元LFAを使用したマラリアバイオマーカーの検出
Triton X−114 ATPSを三次元紙構造に適用して、紙設定がこのミセル系の分離過程も増強できるかを決定した。Triton X−114ミセル系の相は、PEGリン酸塩ATPSよりかなりゆっくりと分離し、少なくとも8時間から約3分間に相分離時間のさらに大きな低減をもたらし、紙におけるこの相分離現象の、ミセルATPSへの適用性を拡大する。次に、ペーパーに基づく設計をLFAと一体化して、ユーザーが関与することなく疾患バイオマーカーを同時に濃縮及び検出する、ペーパーに基づく一体型診断ストリップを形成した。これを実証するため、診断ストリップを、リン酸塩緩衝食塩水(PBS)及び無希釈ウシ胎児血清(FBS)の溶液における、マラリアバイオマーカーのPlasmodium falciparum(プラスモディウム・ファルシパルム)乳酸デヒドロゲナーゼ(pLDH)の検出に使用した。堅牢な1ステップ自動化診断ストリップは、pLDHを20分以内に濃縮及び検出し、伝統的なLFA設定と比較したとき、pLDH検出限界に10倍の改善を実証した。このプラットフォーム技術は、前述の限界を克服し、現状の診断アッセイを、資源不足の環境内でマラリア及び他の疾患のために転換することに使用できる。材料及び
金ナノプローブ(抗pLDH GNP)の調製
流体力学的な平均直径の24nmを有する金ナノ粒子の溶液を調製し、暗サクラ色の溶液として現れた。金ナノ粒子の直径を、Zetasizer Nano ZS粒子分析機(Malvern Instruments Inc、Westborough,Massachusetts)を使用して、動的光散乱測定によって得た。
ナノ粒子を形成した後、1mLの金ナノ粒子溶液のpHを、最初に、1.5N NaOHを使用してpH9に調整した。続いて16μLのマウスモノクローナル抗P.falciparum(ファルシパルム)/P.vivax(ビバックス)LDH抗体(BBI溶液、Cardiff,UK)を、0.5mg/mLの濃度で、コロイド金溶液に加え、振とう器により30分間混合した。コロイド金ナノ粒子の表面への他のタンパク質の非特異的結合を防止するため、200μLの10%w/vウシ血清アルブミン(BSA)溶液を混合物に加え、振とう器により20分間混合した。遊離した非結合抗体を除去するため、次に混合物を4℃及び12,000rpmで30分間遠心分離し、続いてコロイド金ナノ粒子のペレットを、200μLの1%w/vBSA溶液に再懸濁した。遠心分離及び再懸濁ステップを更に2回繰り返し、3回目の遠心分離の後、金ナノ粒子のペレットを、100μLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。抗pLDH抗体により機能化された金ナノ粒子を、以降、抗pLDH金ナノプローブ(抗pLDH GNP)と呼ぶ。抗体により官能化されないBSA被覆金ナノ粒子を、可視化の目的に使用し、以降、BSA−GNと呼ぶ。
Triton X−114 ATPSの調製及び可視化
Triton X−114 ATPSの平衡体積比(上部相の体積を、下部相の体積で割ったもの)は、ダルベッコーリン酸塩緩衝食塩水(PBS;Invitrogen、Grand Island,NY、pH7.4、1.47mMのKHPO、8.1mMのNaHPO、137.92mMのNaCl、2.67mMのKCl及び0.49mMのMgClを含有)ならびにFBS(Invitrogen、Grand Island,NY)の溶液における、Triton X−114(Sigma−Aldrich、St.Louis,MO)の初期w/w濃度を変えることによって見出された。これらの溶液を、温度制御水浴において25℃で相分離及び平衡到達させた。Triton X−114/PBS溶液中のBSA−GNは、上部相への好ましい分配を示し、一方、Triton X−114/FBS溶液中のBSA−GNは、下部相に好ましく分配された。したがって、Triton X−114/PBS中の1:9体積比(すなわち、上部相の体積を下部相の体積で割ったもの)及びTriton X−114/FBS中の9:1体積比の条件を見出して、更なる実験に使用した。これらの体積比は、ナノ粒子の10倍濃縮を可能にした。
PBS中のミセルATPSの2つの相を可視化するため、100μLのBSA−GN及び4μLのブリリアントブルーFCF色素(The Kroger Co.、Cincinnati,OH)を、PBS中に1:9体積のために予め決定された濃度のX−114を含有する2.5gの溶液に加えた。これらの溶液をボルテックスにより十分に混合し、25℃でインキュベートした。溶液の画像を、8時間で平衡の達するまで、毎時間撮影した。溶液が混濁の外観を失い、全ての可視ドメインが対応する相に移り、測定された界面高さが安定したままであるとき、平衡が確立された。サクラ色のBSA−GN及び青色の色素は、ミセル不足相及びミセル豊富相それぞれにおける発色指標である。全ての画像は、Canon EOS 1000Dカメラ(Canon U.S.A.,Inc.、Lake Success,NY)を、制御照明環境下で使用して撮った。
三次元ペーパー芯のPBS中のミセルATPSの相分離を可視化するため、2μLのブリリアントブルーFCF色素及び10μLのBSA−GNを含有する200mgの混合均質溶液をボルテックスし、続いて水浴に25℃で設置した。三次元ペーパー芯は、3枚の5×15mmガラス繊維紙シートを5×40mmのガラス繊維ストリップの一方の縁部に重ねることによって形成した。調製した溶液を25℃で5分間インキュベートした後、三次元ペーパー芯を溶液の中に垂直方向に入れ、紙積層に溶液を吸収させた。ペーパーストリップの画像を、0、30、60及び180秒で撮った。
LFAのみによるpLDHの検出
競合アッセイフォーマットを利用するLFA試験ストリップを、組み立てた。固定化されたP.falciparum(ファルシパルム)L−乳酸デヒドロゲナーゼ(pLDH、MyBioSource、San Diego,CA,USA)は、試験線を構成し、一次抗pLDH抗体に特異的な固定化されたヤギ抗マウスIgG二次抗体(Bethyl Laboratories、Montgomery,TX)は、対照線を構成した。試料中にGNPを飽和するのに十分なpLDHが存在する場合、LFAストリップの中を進むpLDH−GNP複合体は、試験線の固定化pLDHに結合せず、試験線に可視着色バンドの不在をもたらす。pLDHが存在しない場合、GNP上の非占有抗体は、固定化pLDHに結合し、着色バンドが試験線領域に形成される。pLDHの存在にかかわらず、GNP上の抗体は、対照線に固定化された二次抗体に結合し、可視線を形成して、ストリップ中の試料流動が成功したことを示す。したがって、陰性結果は、2本の着色バンド(1本は、試験線であり、1本は対照線である)により特定され、一方、陽性結果は、対照線のみにおける1本の着色バンドにより特定される。
LFAのみによるpLDHの検出限界を検証するため、抗pLDH GNPを試料溶液に加え、試料中に存在するpLDHに結合させて、pLDH−GNP複合体を形成した。10μLの抗pLDH GNP及び10μLの、PBSまたはFBS中の既知濃度のpLDHからなる20μLの試料溶液を、試験管中の30μLのランニングバッファー(0.2%のBSA、0.3%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、0.1MのTris緩衝液、pH8)と混合した。LFA試験ストリップを試料溶液の中に垂直方向に挿入し、試料溶液を、ストリップの中を毛細管作用によって吸収パッドに向かって吸収排出させた。PBS及びFBS試料の両方の試験ストリップの画像を、制御照明環境下で、20分後に撮影した。
三次元のペーパーに基づくLFA及びATPSによるpLDHの検出
LFA試験ストリップの設計を、三次元ペーパー芯を加えることによって僅かに変更した。具体的には、ニトロセルロース膜に接続されたセルロース試料パッドを、5×20mmのガラス繊維パッドに交換した。このガラス繊維パッドの上に、5×15mmのガラス繊維シートの3枚の追加のストリップを重ねて、合計で4層のガラス繊維紙を形成した。ガラス繊維層を、Scotchテープ接着剤(3M、St.Paul,MN,USA)できつく巻いた。
PBS試料中のpLDHの検出では、10μLの抗pHDH GNP及び既知濃度のpLDHを含有する200μLの十分に混合した1:9体積比のATPSを、試験管に加えた。溶液を25℃で5分間インキュベートして、溶液が、相分離の開始を示す混濁になることを確実にし、GNPが溶液中のpLDHを捕捉することを可能にした。次に三次元芯変更LFAストリップを混合ATPSの中に入れ、流体を、三次元芯の中を吸収パッドに向かってに通過させた。得られた検出領域の画像を、20分後に撮った。
FBS試料中のpLDHの検出は、200μLの混合9:1体積比ATPSを代わりに調製した以外は、非常に類似したプロトコールに従った。インキュベーション時間及び線が発生する時間を含む試験条件は、PBS試料のものと一致していた。検出領域の画像を、また、20分後に撮った。
試験管中のTriton X−114 ATPSの相分離
特定の温度を超えるPBSの溶液では、Triton X−114ミセルATPSは、上部のミセル不足相及び下部のミセル豊富相を形成する。溶液に存在する分子は、疎水性及びサイズなどの物理的及び化学的特徴に基づいて2つの相に分配される。親水性BSA−GNは、主に、ミセル豊富相におけるナノ粒子と大型でより豊富なミセルとの反発的で立体的な排除体積的相互作用により誘導されて、ミセル不足相に極度に分配された。特定の抗体により官能化されたナノ粒子は、目的分子と複合体を形成することができ、これらの複合体も、ミセル不足相に極度に分配される。表面プラスモン共鳴に起因してサクラ色を現す非機能化BSA−GNを使用して、相分離の後に得られたミセル不足相を可視化した。対照的に、ブリリアントブルーFCF色素は、小型で疎水性であり、したがって、ミセル豊富相に極度に分配された。混合ATPS溶液に加える場合、青色色素は、相分離後に得られたミセル豊富相を可視化するために使用した。
相分離を達成するのに必要な時間は、異なる二相系において様々である。例えば、PEGリン酸塩ATPS相は、大部分の二相系より急速に分離するが、Triton X−114ミセルATPSは、小さい密度差及び二相の界面張力に起因して、巨視的相分離平衡を達成するのに有意に長い時間を必要とする。相分離時間は、1:9または9:1などのより極度な体積比によっても増加し、それは、一方の相が比例してかなり小さくなり、その相の微視的ドメインは合体することが難しいからである。PBS中の1:9体積比のATPSの画像を特定の時点において25℃で撮影し、完全な巨視的相分離平衡は、およそ8時間後まで達成されなかった(図53A)。得られたミセル不足相の体積を測定して、溶液の総体積の10分の1であり、1:9体積比が確証された。
Triton X−114 ATPS相分離を増強するペーパー膜の使用
複数層の紙が紙における相分離を増強する必須の要素であると仮定した。したがって、複数層の薄い強固に結合したペーパーストリップからなる「三次元ペーパー芯」を、Triton X−114 ATPSの相分離過程を増加するように設計した。三次元芯を、PBS中の混合ATPS溶液の中にまっすぐに立てて入れると、溶液はストリップの中を上方へ垂直方向に流れた。ストリップを加えたほぼ直後に、GNPを含有するミセル不足相は、青色色素を含有するゆっくりと進むミセル豊富相の先を流れた(図53B)。分離は、およそ30秒後にストリップの三次元芯部分内において既に観察され、より完全な分離は、流体が既に芯を出た後、180秒(3分)の時点で見られることに留意すること。
これらの実験は、芯の追加の層が流動の方向に対して直角に増加断面積を提供して、微視的相ドメインの合体を助け、所定の時間内により多くの体積が紙の中を吸収排出されることを可能にすることを示す。更に、粘性のより小さいミセル不足ドメインは、多孔質の紙の中を急速に前進して合体すると予測され、一方、ミセル豊富ドメインは、大きな粘性があり、潜在的に紙材料との相互作用を好むので、引き止められて、ゆっくりと進むと予測される。その結果、試験管において数時間台で発生することが示されている2つの相の巨視的な分離は、ペーパー膜では単に数分間で目の当たりにする。三次元ペーパー芯の追加の利益は、大量のATPS溶液が処理されることである。一般に、三次元芯の層の数は、大量の溶液に対応するために増加される。最適化された要素には、ストリップの長さ、幅及びストリップの数が含まれた。設計は、芯の長さにわたって完全な相分離達成すること及び分離されたミセル不足相が芯を出るために移動するのに必要な距離を最小限にすることができる。これらのペーパーに基づいた構造を、潜在的には、分離するのにさらに長い時間を必要とする他の多くの二相系を増強するために使用することができる。
FBSにおけるTriton X−114 ATPS相分離の増強
PBS溶液と対照的に、FBS試料中に形成されたTriton X−114 ATPSは、むしろ、上部のミセル豊富相及び下部のミセル不足相を生じた。これは、FBSにおいて見出された追加のタンパク質及び塩により引き起こされた密度の差に起因する可能性が高い。GNPが、むしろ下部相に極度に分配されたので、総体積の10分の1、換言すると9:1の体積比で濃縮下部相を生じるように、初期Triton X−114濃度を調整する必要があった。
2つの相の配向は、血清では逆転されるので、逆転された配向を試験して、三次元ペーパー芯による相分離の効果を決定した。事実、三次元芯をFBS中の混合ATPSに入れると、結果は、PBS実験で観察されたものと非常に類似していた。したがって、密度の差がFBS中のミセル不足相を試験管の下部に誘導するが、ミセル不足相は、依然として、三次元芯の中を上方に流れる速い方の相のままである。したがって、ミセル不足相は、試験管における相対的相密度によって決まる相配向と無関係に、先頭部にある。したがって、粘性の多いミセル豊富相は、一貫してゆっくりと進み、多孔質膜により引き止められ、粘度効果が、紙に導入されたミセルATPSの流動動作に対する任意の密度効果より優位であることを示している。
PBSにおけるpLDHのLFAに基づいた検出の改善
濃縮GNPを含有するミセル不足相が、三次元ペーパー芯の存在によって先頭部に流れるので、芯を、LFAペーパーストリップにおけるニトロセルロースに基づいた検出領域の上流に取り付けた。そうすることによって、濃縮ステップから検出ステップまでの途切れのない移動を可能にし、シリンジによる抽出の必要性を排除した。ペーパーに基づいた一体化診断ストリップの設計を、図54Aに示す。複数層のガラス繊維ペーパーストリップからなる三次元芯(濃縮区域)は、固定化された対照及び試験線(検出区域)を有するニトロセルロース膜と接続されており、次に、流体の流動を誘導する吸い込み口として使用される吸収パッドに接続されている。全ての構成要素は、接着性裏地により固定されており、三次元芯は、混濁ATPS溶液の中に垂直方向に浸けられる。
pLDH検出試験では、ブリリアントブルーFCF色素はもはや使用せず、機能化抗pLDH GNPを、BSA−GNの代わりに使用した。抗pLDH GNPは、BSA−GNと極めて類似した分配動作を示すが、pLDHを捕捉することができ、LFAの発色指標として作用することができる。
最初に、ATPS及び三次元ペーパー芯が組み込まれないLFAのみの対照の検出限界を、20μLの試料総体積を使用して特定した。LFAのみの対照がpLDHを10ng μL−1で成功裏に検出することができたが、pLDHを1ng μL−1で成功裏に検出することができなかったので、検出限界は、10ng μL−1であると決定した。低濃度のpLDHを検出することによって、検出限界に改善を示すため、LFAのみの対照に使用したGNPと同じ数のGNPを、低濃度のpLDHを含有する溶液の総体積を増加することによって、同じ数のpLDH分子に曝露した。体積の増加は、典型的にはGNPを希釈し、所定の時間で検出区域に入るGNPの量の低減をもたらすが、ATPS及び三次元芯の添加は、GNPを先頭部に小さい体積で集中させると予測される。効果的に、GNPは、低濃度で同じ量のpLDHに曝露されるが、LFAのみの対照により処理されたものに類似した体積に濃縮される。GNPを10倍濃縮することが予測された1:9ATPSを使用すると、試料総体積は、10倍(200μL)に増加して、LFAのみの対照と比較して、同じの量のGNPが検出区域に入ることを確実にした。
図54Bは、溶液中にpLDHを含有しない陰性対照試験における、改変LFAデバイスの使用を実証している。改変LFAストリップを、PBS中の抗pLDH GNPを含有するATPS溶液に浸けたとき、GNPは、60秒での暗赤色による印により明らかなように、三次元芯区分における溶液の先頭部に急速に集中した。溶液は、追加のランニングバッファーを用いることなく、ニトロセルロース膜を容易に横断して流れた。GNPは、検出領域に急速に到達し、その間、多くの溶液は、ペーパー芯に保持された。可視バンドが対照及び試験線領域の両方に20分以内に現れ、有効な陰性試験を示した。
有効な陰性試験が検証されると、pLDH濃度を変えて、1:9体積比溶液中の一体化デバイスの検出限界を決定した。これらの実験の結果は、従来のLFAがpLDHを10ng μL−1の濃度で検出したが(真の陽性結果を生じる)、Triton X−114 ATPS及びLFAを一体化した診断ストリップは、pLDHを1.0ng μL−1で検出することができ、これは、検出限界の10倍の改善であることを実証した(図55)。
FBSにおけるpLDHのLFAに基づいた検出の改善
これらの実験を、9:1体積比を生じるように変更された操作条件を使用して、FBS試料において繰り返した。ここでも、三次元のペーパーに基づいた診断デバイスは、FBS中のpLDHの1.0ng/μLでの検出の成功によって、検出限界の10倍の改善を実証し、一方、LFAのみの対照は、FBS中のpLDHの10ng/μLでの検出に成功したが、1.0ng/μLでは成功しなかった(図56)。FBS試料中に、ペーパーに基づいた一体化デバイスを利用する実験は、ニトロセルロースに基づいた検出領域の中をゆっくりと流れる流体を実証した。これは、試料の全体的な粘度を増加させた、大きな初期濃度のTriton X−114及び他の血清構成成分の存在に起因する可能性があった。対照及び試験線シグナルは、20分以内に完全に展開されたが(図56)、ミセル不足相全体は、更に10分の追加の時間が与えられた後にのみ検出領域を通過して流れ、バックグラウンド暗雑音の低減をもたらした(図81)。PBSにおける上記の試験の場合のように、FBSによる全ての試験は、緩衝液による任意の前希釈、抽出ステップまたは流動を助けるためのランニングバッファーの添加を必要としない。
血清中のマラリアpLDHのLFA検出の改善を実証することによって、デバイスを、潜在的に、マラリア迅速診断検査(RDT)の現状を改善することに使用できる。マラリアRDTの製造及び使用は増加しているが、これらは大部分の場合において、結果を検証するために、血液塗抹標本顕微鏡検査などの追加の方法と一緒に使用することが必要である。限られた感度及び使いやすさにおけるばらつきは、LFAが、隔離されたマラリア感染環境において信頼のおける独立型アッセイとして使用されることを防止する2つの要因である。ペーパーに基づく一体化デバイスは、これらの2つの懸念に対処する潜在性を有する。デバイスの一体化された濃縮構成成分は、感度における有意な改善を可能にする。加えて、これらのRDTの多くが試料緩衝液による希釈または流体の流動を助けるためにランニングバッファーの使用を必要とするので、この診断デバイスは、これらのステップを排除することによってユーザーに優しい改善を実証している。
実施例7.LFAペーパーの比較
粘度は、どちらの相が先頭部に現れるかを決定するのに、役割を果たし得る。
ATPS構成要素と紙材料との相互作用(疎水的、体積排除的、静電的)は、どちらの相が先頭部に現れるかを決定するのに、役割を果たし得る(ガラス繊維では、PPG豊富相がPPG/塩ATPSを先導し、一方、PEG豊富相が、PEG/塩ATPSから遅れる。PPGはPEGより疎水性である)。
ペーパーにおける異なるATPSを調査して、ペーパーがどのように相分離過程を増強させるかについて検討した。最初に、相分離がペーパーにおいて観察されるかを決定した。そうであれば、どの相が先頭部に現れたかを記載した。先頭部は、LFAの試験線に到達する相に対応するので、この相が、濃縮された目的分子及びナノプローブを含有することが望ましい。
Figure 2021073465
ペーパーにおける相分離は、異なるATPSによって変わった(例えば、PEG/塩対PPG/塩)。
異なる紙材料は、相分離動作を変化させた(例えば、ガラス繊維対セルロースにおけるPEG塩)。
幾つかの場合において、粘性の多い相は遅れた(例えば、ガラス繊維材料では、粘性の多いPEG豊富相がPEG/塩系に遅れ、一方、粘性の多いデキストラン豊富相が、PEG/デキストラン系に遅れた)。しかし、このことが常に当てはまるとは限らなかった。
この例では、ATPSにおけるポリマーの濃度を変えることが、どの相が先導するかの順序を変えるとは思われなかった。
この例では、重力がペーパーに流れる相の順序を変えるとは思われなかった(例えば、塩豊富相は、管において相分離すると、PEG/塩ATPSにおいて下部相にあるが、塩豊富相は、紙が垂直または水平に配向されているかに無関係に、ガラス繊維の先頭部になる)。
ペーパーがATPSの相分離をどのように加速及び増強するかを調査するため、同じ型のATPS(PEG/塩)を異なる種類のペーパーに適用した。異なる結果が観察された。
観察
十分に混合されたATPSを様々な種類のペーパーに適用すると、類似した結果を生じなかったことが観察された。むしろ、相分離の速度が大きく変わり、相分離の程度も大きく変わった。更に驚くべきことに、特定の種類のペーパーが、先頭流体に出現する相の順番を変えることができた。結果について図58及び表7を参照すること。
Figure 2021073465
実施例8.LFAペーパーを調製する幾つかの方法
溶媒中の既知の濃度の溶質を、1cm(ほぼ1〜2mmの高さを有するガラス繊維紙)あたり40uL(溶媒)の値でマイクロピペットによりペーパーに加えた。液滴を、ペーパーに均一に分布された点に加えた。添加した後、ペーパーを穏やかに円筒形に巻いて(ピペットの先端を用いて)、流体がペーパーに均一に分布するのを助けた。
溶液をピペットにより、液滴を形成する非吸収性の表面(例えば、ポリプロピレン)に移した。ペーパー区分は、液滴と、紙の区分の点、縁または表面で接触した。この方法は、脱水の独特で特定的な設計をするのに有用である。そのような設計の例は、図59A〜Dを参照すること。
実施例9.PEG豊富相を有する血液試料のLFAペーパーへの適用
第1の実験は、ペーパーを目詰まりさせることなく血液試料を引き止め、ATPSの2つの相が先に流れることを可能にできるペーパーを見つけるために実施した。以下の実験は成功裏に実施され、ATPS濃縮系と、赤血球の濾取に使用されるMF1ペーパーとの一体化を可能にした。
1:1PEG塩溶液を調製した。上部PEG豊富相を除去した。PEG豊富相を、全血試料と共に濾紙ストリップに適用した。
PEG豊富相は、依然として濾紙の中を進むことができた。血液は濾紙を目詰まりさせなかった。MF1はATPSと独特に適合性があった。図71を参照すること。
赤血球を濾過できなかった、またはATPS相が通過できなかった他の種類のペーパーを調査した。LF1及びS17では、血液は濾過されなかった。MF1では、血液は濾過されたが、流動はゆっくりであった。図72を参照すること。
第2の実験を、ペーパーにおける血漿の相分離及び濃縮を可能にし、同時に赤血球を引き止めるペーパーの配置及び種類を得るために実施した。下記は、赤血球を濾過し、同時にATPS相を通過させる、三次元ペーパーウエル設計の能力についての2つの実証である。
第1には、PEG塩ATPSを有する血液試料を、三次元ペーパーウエルを有するペーパーに適用した。9:1PEG塩ATPSを調製し、小さい体積の全血試料をPEG塩溶液に導入した。流動ストリップを、起点の紙構成成分の量を変えながら、三次元ペーパーウエルを調製した。青色色素を使用して、PEG豊富相を可視化し、液体がストリップの中を上に向かって吸収排出されたかを検査した。ここで全血試料を含有しているPEG塩溶液を、三次元ウエルに適用した。分離及び濃縮を観察した。
青色の液体が、先に流れたことが観察された。血液は、三次元ウエルに残ったままであった。図73を参照すること。
第2には、PEG塩ATPSを有する血液試料を、三次元ペーパーウエルを有する濾紙に適用した。9:1PEG塩ATPSを調製し、小さい体積の全血試料をPEG塩溶液に導入した。青色色素を使用して、PEG豊富相を可視化した。金ナノ粒子を使用して、塩豊富相を可視化した。ここで全血試料を含有しているPEG塩溶液を、三次元ウエルに適用し、分離及び濃縮を観察した。
金ナノ粒子の代わりにPBSを加えた条件も、実施した。
青色液体の先頭が、ウエルの中を吸収排出されたことが観察された。対照ストリップと比較して、はっきりと識別された青色相がATPSストリップに存在し、赤血球保持に加えて、相分離を示唆した。図74を参照すること。
試料がATPS構成要素と接触し、先行流体に標的を集中させることを可能にする前に、赤血球の濾過を可能にする配置が、望ましい。この代替的な配置は、赤血球が相分離動作に影響を与えるシナリオにおいて有用である。このような目的にとって成功した1つの実験設定は、三次元ペーパーウエル内に、濾過及び濃縮する種類のペーパーを重ねることであった。血液が引き止められ、一方、PEG層を最初に送り出したことが観察された。図75を参照すること。
実施例10.Chlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)のATPS−LFA検出
ATPS及びLFAを、得られたスワブ試料の貯蔵に使用されるウイルス輸送培地の溶液中にChlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)抗原を検出するために使用された、ペーパーに基づいた単一診断デバイスと一体化した。
抗C.trachomatis(トラコマチス)DGNPの調製
1mLのデキストラン被覆金ナノ粒子(DGNP)溶液のpHを、最初に、1.5N NaOHを使用してpH9に調整した。続いて、16μgのマウスモノクローナルChlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)抗体を、コロイド金溶液に加え、振とう器により30分間混合した。コロイド金ナノ粒子の表面への他のタンパク質の非特異的結合を防止するため、200μLの10%w/vウシ血清アルブミン(BSA)溶液を混合物に加え、振とう器により20分間混合した。遊離した非結合抗体を除去するため、次に混合物を4℃及び9,000rpmで30分間遠心分離し、続いてDGNPのペレットを、200μLの1%w/vBSA溶液に再懸濁した。遠心分離及び再懸濁ステップを更に2回繰り返し、3回目の遠心分離の後、DGNPのペレットを、100μLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
LFAを使用した検出
サンドイッチアッセイフォーマットを利用するLFA試験ストリップを、本発明者たちの以前の試験と同様に組み立てた。このフォーマットにおいて、固定化されたChlamydia trachomatis(クラミジア・トラコマチス)抗体は、試験線を構成し、一次Chlamydia trachomatis抗体に特異的な固定化された二次抗体は、対照線を構成した。
LFAによるC.trachomatis(トラコマチス)の検出限界を検証するため、DGNPを試料溶液に加え、試料中に存在するC.trachomatisと結合させた。ウイルス輸送培地(BD、Franlkin Lakes,NJ)中のDGNP及び既知の濃度のC.trachomatis(トラコマチス)から構成される試料溶液を、試験管の中で混合した。LFA試験ストリップを試料溶液の中に垂直方向に挿入し、試料溶液を、ストリップの中を毛細管作用によって吸収パッドに向かって上方に吸収排出させた。PBS及びFBS試料の両方の試験ストリップの画像を、制御照明環境下で、10分後に撮影した。
C.trachomatis(トラコマチス)抗原が、ウイルス輸送培地の溶液中に検出された。図76を参照すること。使用した複合体は、C.trachomatis(トラコマチス)抗原のリポ多糖(LPS)に対する特異的抗体を有するデキストラン被覆金ナノプローブ(DGNP)であった。従来のLFAサンドイッチフォーマットを使用して、設定の検出限界を、およそ10μg/mLであると決定した。次のステップは、適切なATPSを使用してバイオマーカーを濃縮し、濃縮試料をLFAに適用し、一体化システムの検出限界を確立することである。
PBS中のC.trachomatis(トラコマチス)抗原の検出限界も、同じLFA設定を使用して10μg/mLであると決定した。
Abcamの抗MOMP抗体と複合体形成したDGNPによる抗原の検出についても、試験した。これらは、PBSまたはVTM溶液のいずれにおいても抗原を成功裏に検出したとは思われず、したがって無視した。
実施例11.Streptococcus mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)のATPS−LFA検出
ATPS及びLFAを、う歯(窩洞)もたらし得る優勢な細菌であるStreptococcus mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)の検出に使用された、ペーパーに基づいた単一診断デバイスに組み込んだ。
抗S.mutans(ミュータンス)DGNPの調製
1mLのデキストラン被覆金ナノ粒子(DGNP)溶液のpHを、最初に、1.5NのNaOHを使用してpH9に調整した。続いて、16μgのマウスモノクローナルS.mutans(ミュータンス)抗体を、金溶液に加え、振とう器により30分間混合した。コロイド金ナノ粒子の表面への他のタンパク質の非特異的結合を防止するため、200μLの10%w/vウシ血清アルブミン(BSA)溶液を混合物に加え、振とう器により20分間混合した。遊離した非結合抗体を除去するため、次に混合物を4℃及び9,000rpmで30分間遠心分離し、続いてDGNPのペレットを、200μLの1%w/vBSA溶液に再懸濁した。遠心分離及び再懸濁ステップを更に2回繰り返し、3回目の遠心分離の後、DGNPのペレットを、100μLの0.1Mホウ酸ナトリウム緩衝液、pH9.0に再懸濁した。
LFAを使用した検出
サンドイッチアッセイフォーマットを利用するLFA試験ストリップを、本発明者たちの以前の試験と同様に組み立てた。このフォーマットにおいて、固定化されたS.mutans(ミュータンス)抗体は、試験線を構成し、一次抗体に特異的な固定化された二次抗体は、対照線を構成した。
LFAによるS.mutans(ミュータンス)の検出限界を検証するため、DGNPを試料溶液に加え、試料中に存在するS.mutansと結合させた。DGNP及び既知の濃度のS.mutans(ミュータンス)から構成される試料溶液を、試験管の中で混合した。LFA試験ストリップを試料溶液の中に垂直方向に挿入し、試料溶液を、ストリップの中を毛細管作用によって吸収パッドに向かって上方に吸収排出させた。試験ストリップの画像を、制御照明環境下で、10分後に撮影した。
ATPSを伴うLFAを使用した検出
1:9のTriton X−114ミセルATPS試料溶液を調製し、これは既知の濃度のS.mutans(ミュータンス)から構成された。ATPS試料溶液を25Cで8時間インキュベートして、相分離を生じさせた。濃縮S.mutans(ミュータンス)を含有する上部ミセル不足相を抽出し、抗S.mutansDGNPと共にインキュベートした。LFA試験ストリップを、得られた混合物の中に垂直方向に挿入し、試験ストリップの画像を、制御照明環境下において、10分後に撮影した。
9:1のPEG/リン酸カリウムATPS試料溶液を調製し、これは既知の濃度のS.mutans(ミュータンス)から構成された。ATPS試料溶液を25Cで30分間インキュベートして、相分離を生じさせた。濃縮S.mutans(ミュータンス)を含有する下部PEG不足相を抽出し、抗S.mutansDGNPと共にインキュベートした。LFA試験ストリップを、得られた混合物の中に垂直方向に挿入し、試験ストリップの画像を、制御照明環境下において、10分後に撮影した。
S.mutans(ミュータンス)は、LFAを使用して成功裏に検出された(図77及び78を参照すること)。従来のLFAサンドイッチフォーマットを使用して、設定の検出限界を、およそ1×10個の細胞/mLであると決定した。1×10から1×10個の細胞/mLへの検出限界の10倍改善も、実証された。
次のステップは、ATPS及びペーパーを伴うLFAを、三次元ウエルまたは三次元芯フォーマットのいずれかに組み込んで、同時の、または途切れのない濃縮及び検出を達成することである。
実施例12.トロポニンのATPS−LFA検出
ATPS及びLFAを、心筋梗塞のバイオマーカーであるトロポニンの検出に使用される、ペーパーに基づく単一診断デバイスに組み込んだ。
抗トロポニンDGNPの調製
抗トロポニン抗体以外は、上記の実施例11と同じ手順を使用する。
LFAを使用した検出
競合アッセイフォーマットを利用するLFA試験ストリップを、本発明者たちの以前の試験と同様に組み立てた。このフォーマットにおいて、固定化されたトロポニン抗体は、試験線を構成し、DGNP上の一次抗体に特異的な固定化された二次抗体は、対照線を構成した。
LFAによるトロポニンの検出限界を検証するため、DGNPを試料溶液に加え、試料中に存在するトロポニンに結合させた。DGNP及び既知の濃度のトロポニンを含有する試料溶液を、試験管の中で混合した。LFA試験ストリップを試料溶液の中に垂直方向に挿入し、試料溶液を、ストリップの中を毛細管作用によって吸収パッドに向かって上方に吸収排出させた。PBS試料の試験ストリップの画像を、制御照明環境下で、10分後に撮影した。
ATPSを伴うLFAを使用した検出
9:1のPEG/リン酸カリウムATPS試料溶液を調製し、これは既知の濃度のトロポニンから構成された。ATPS試料溶液を25℃で30分間インキュベートして、相分離を生じさせた。濃縮トロポニンを含有する下部PEG不足相を抽出し、抗トロポニンDGNPと共にインキュベートした。LFA試験ストリップを、得られた混合物の中に垂直方向に挿入し、試験ストリップの画像を、制御照明環境下において、10分後に撮影した。
トロポニンは、LFAを使用して成功裏に検出された(図79を参照すること)。 従来のLFA競合フォーマットを使用して、設定の検出限界を、およそ1ng/μLであると決定した。1から0.1ng/μLへの検出限界の10倍の改善が、成功裏に実証された。
実施例13.脱水方法
液体の適用
この方法は、溶質として脱水される所望の構成成分を含有する液状溶液を、脱水の前にペーパーに適用することを含んだ。
溶媒中の既知の濃度の溶質を、1cm(ほぼ1〜2mmの高さを有するガラス繊維紙)あたり40uL(溶媒)の値でマイクロピペットによりペーパーに加えた。液滴を、ペーパーに均一に分布された点に加えた。添加した後、ペーパーを穏やかに円筒形に巻いて(本発明者たちはピペットの先端を用いた)、流体がペーパーに均一に分布するのを助けた。溶液をピペットにより、液滴を形成する非吸収性の表面(例えば、ポリプロピレン)に移した。ペーパー区分は、液滴と、ペーパー区分の点、縁または表面で接触した。この方法は、脱水の独特で特定的な設計をするときに好ましいものである。そのような設計の例は、図59A〜Dにおいて見られる。
失敗した方法:ペーパー区分の全体を溶媒の中に沈めると、ペーパーを過剰飽和し、恐らく不均一な脱水に起因して、実験の堅牢度の低減をもたらした。更に、1cm(ほぼ1〜2mmの高さを有するガラス繊維紙)あたり60μL超(溶媒)を加えても、ペーパー区分を過剰飽和した。
凍結乾燥
この方法は、構成成分が再可溶化されることが所望の結果であった場合に好ましかった。凍結乾燥器は脱水の前に先に除霜されることが重要であることが、見出された。それをしないと、ペーパー内の構成成分の不均一な脱水の危険性が増加した(例えば、デキストラン被覆金ナノプローブ(DGNP)は、ペーパー縁部の近くにより多く分布される)。
瞬間冷凍及び凍結乾燥
ペーパー区分は、ペーパーを液体窒素に沈めること、または液体窒素をペーパーに注ぐことによって、液体窒素を使用して瞬間冷凍した。次に冷凍されたペーパー区分を急速に凍結乾燥器の中に入れ、そこで冷凍液を昇華させた。この方法を試す論理的根拠は、脱水過程における溶質の移行を低減して、脱水過程に(液体状態の溶液の蒸発の際の溶質の移行に対して)より多くの制御を確実にすることであった。しかし、この過程は、予想外の流動パターン及び相分離挙動をもたらした。下記は、予想外のデータの経時的画像データである(図60を参照すること)。
真空容器
ペーパー区分を凍結乾燥器ではなく真空容器の中に入れた以外は、上記に記載された「凍結乾燥」と類似している。真空容器における圧力の低下は、あまり一定しない実験結果を示し、脱水の最の不均一な溶質分布に起因する可能性が高い。
焼成
ペーパー区分をオーブンチャンバーに、摂氏25度を超える温度(典型的には摂氏60度)で入れた。この方法は、望ましい目標が溶質を加水し、同時に溶質の移動性を妨げることである場合に好ましいことがある。この観察される効果の1つの可能な説明は、焼成方法の際の高温が、溶質と紙との共有結合または強力な相互作用をもたらし得ることである。
不均一な脱水に結果として不均一な相分離もたらした、脱水方法の失敗した試みについては、図61を参照すること。

Claims (1)

  1. a.ラテラルフローアッセイ(LFA)と、
    b.第1の相溶液及び第2の相溶液に分離する混合相溶液を含む水性二相系(ATPS)と
    を備える、試料中の目的とする被分析物の検出及び/または定量のためのデバイス。
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