JP2021073323A - マイクロカプセル含有組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】毛又は繊維への付着性に優れたマイクロカプセル含有組成物を提供する。【解決手段】シェル材が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと、カチオン性界面活性剤と、を含むマイクロカプセル含有組成物である。【選択図】なし

Description

本開示は、マイクロカプセル含有組成物に関する。
近年、マイクロカプセルは、香料、染料、蓄熱材、医薬品成分などの機能性材料を内包して保護すること、機能性材料を刺激に応答して放出させること等の点で、新たな価値を顧客に提供できる可能性があることから注目されている。
香料をマイクロカプセルに内包する場合には、例えば、香料を内包したマイクロカプセル(以下、香料マイクロカプセルともいう。)を柔軟剤と混合することで、柔軟剤を使用して衣服を洗濯した後、柔軟剤に含まれるマイクロカプセルが衣服に付着し、圧力等によりマイクロカプセルが破壊されると内包されている香料が放出され、香料による香りを継続的に生じさせることができる。
現在、香料マイクロカプセルに用いられているシェル材はアルデヒドとアミンとの反応生成物(例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂)が主体である。
シェルにメラミンホルムアルデヒド樹脂を用いる例として、特許文献1には、コア材料として香料を含み、壁材料(シェル材)としてアルデヒド(例えばホルムアルデヒド)とアミン(例えばメラミン)の反応生成物を含む樹脂を用いたマイクロカプセルが記載されている。
また、シェルとしてポリウレタン又はポリウレアを用いるマイクロカプセルも提案されている。
例えば、特許文献2には、ポリイソシアネートとポリアミンとの重合の反応生成物を含むポリ尿素壁(ポリウレア壁)と、ポリ尿素壁に封入された香料を含むポリ尿素マイクロカプセルが記載されている。
特開2017−122235号公報 特表2013−530825号公報
上記特許文献1に記載されるようなメラミンホルムアルデヒド樹脂をマイクロカプセルのシェル材として用いる場合、原料のホルムアルデヒドの溶出が懸念されていることから置き換えが望まれている。
また、例えば特許文献2に記載されるような、安全性の高いポリウレタン又はポリウレアをシェルとして用いたマイクロカプセルも提案されているが、マイクロカプセルの毛又は繊維への付着性は期待できない。即ち、ポリウレタン又はポリウレアは、毛又は繊維への付着性がメラミンホルムアルデヒド樹脂に比べて劣るため、メラミンホルムアルデヒド樹脂から安全性の高いポリウレタン又はポリウレアへの積極的なシェルの置き換えが進んでいない。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、毛又は繊維への付着性に優れたマイクロカプセル含有組成物を提供することである。
上記課題を解決するための具体的手段は、以下の態様を含む。
<1> シェル材が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと、カチオン性界面活性剤と、を含むマイクロカプセル含有組成物である。
<2> マイクロカプセルが、更にコア材として香料を含む<1>に記載のマイクロカプセル含有組成物である。
<3> マイクロカプセルが、表面の少なくとも一部にアニオン変性ポリビニルアルコールを有する<1>又は<2>に記載のマイクロカプセル含有組成物である。
<4> 脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、15/85〜80/20である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル含有組成物である。
<5> 脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、35/65〜65/35である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル含有組成物である。
<6> マイクロカプセルのゼータ電位が、−80〜−5である<1>〜<5>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル含有組成物である。
<7> 洗濯、デイケア又はヘアケアの用途に用いられる<1>〜<6>のいずれか1つに記載のマイクロカプセル含有組成物である。
本開示の一実施形態によれば、毛又は繊維への付着性に優れたマイクロカプセル含有組成物を提供することができる。
以下、本開示のマイクロカプセル含有組成物の一実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「シェル」とは、マイクロカプセルの壁をいい、「コア」とは、シェルに内包される部分をいう。
本開示において、シェルを形成するための材料を「シェル材」という。また、コアに含まれる成分を総称して「コア材」という。
本開示のマイクロカプセルにおいて、「内包」とは、目的物がマイクロカプセルのシェルに覆われて閉じ込められている状態を指す。
≪マイクロカプセル含有組成物≫
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、シェル材が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと、カチオン性界面活性剤と、を含む。
上述の通り、香料マイクロカプセルの技術分野において、シェルをメラミンホルムアルデヒド樹脂から、安全性の高いポリウレタン又はポリウレアへ置き換えることが望まれているものの、例えば特許文献2に記載されるポリウレタン又はポリウレアは毛又は繊維への付着性がメラミンホルムアルデヒド樹脂に比べて劣るため、メラミンホルムアルデヒド樹脂から安全性の高いポリウレタン又はポリウレアへの積極的なシェル材の置き換えが進んでいない。
本開示は、マイクロカプセル表面にアニオン電荷(負電荷)を付与すること、及びシェル材として芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを混合して用いることにより毛又は繊維(毛髪、コットン等)への優れた付着性を実現した。
即ち、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと併存するカチオン性界面活性剤(正電荷)とが相互作用することで、マイクロカプセルの表面をカチオン性界面活性剤が覆うため、マイクロカプセルの表面はカチオン性となる。毛及び繊維が水中でアニオン電荷を有する場合、洗濯時等の際に、毛又は繊維のアニオン電荷とマイクロカプセルの表面の正電荷とが積極的に相互作用し、毛又は繊維へのカプセルの付着性が向上する。
また、シェル材に芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを組み合わせて用いることで、形成されるマイクロカプセルの壁が柔らかくなる。これによって、マイクロカプセルは、毛又は繊維に接触した際に変形し、毛又は繊維と接触する接触面積が大きくなる。その結果、マイクロカプセルは毛又は繊維から脱離しにくくなるため付着性が向上する。例えば、マイクロカプセルが香料を内包する場合は、香料の香りの強度が高められる。また温度上昇により、単位時間あたりの内包成分の放出量を向上させることもできる。
<マイクロカプセル>
本開示におけるマイクロカプセルは、シェル材が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有する。
(シェル)
本開示におけるシェルを形成するシェル材は、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含む。
−芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレア‐
本開示のマイクロカプセルは、コア材を内包するためのシェルを含む。
本開示におけるシェルは、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含むために、壁厚を薄くしても安定であり、必要に応じてマイクロカプセルに応力を掛けてシェルを崩壊させ、コア材(例えば、香料)の効果を発現する際の応答性に優れる。
〜ポリウレタン、ポリウレア〜
シェルに含まれるポリウレタン及びポリウレアについて詳細に説明する。
本開示におけるポリウレタン及びポリウレアは、保存安定性の観点から、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造を有する。即ち、本開示におけるポリウレタン及びポリウレアは、保存安定性の観点から、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを用いて得られるポリマーである。
本開示におけるポリウレタン又はポリウレアには、ポリウレタンポリウレアが含まれる。また、本開示におけるポリウレタン又はポリウレアとしては、ポリウレタンポリウレアがより好ましい。
本開示においてポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレアを形成する材料は、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートである。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
以上では2官能である脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物を例示したが、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネートとしてジイソシアネート化合物から類推される3官能のトリイソシアネート化合物、及び4官能のテトライソシアネート化合物も含まれる。
また、上記ポリイソシアネート化合物と、エチレングリコール系化合物もしくはビスフェノール系化合物等の2官能アルコール、又はフェノールと、の付加物も挙げられる。
ポリイソシアネート化合物を用いた縮合体、重合体又は付加体の例としては、上記の2官能ポリイソシアネート化合物の3量体であるビューレット体もしくはイソシアヌレート体、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能ポリイソシアネート化合物の付加体として多官能とした化合物、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するポリイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物については「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
上記の中でも、マイクロカプセルのシェルは、3官能以上のポリイソシアネートの重合物を含む態様が好ましい。
3官能以上のポリイソシアネートとしては、例えば、3官能以上の芳香族ポリイソシアネート化合物、3官能以上の脂肪族ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。3官能以上のポリイソシアネート化合物の例としては、2官能のポリイソシアネート化合物(分子中に2つのポリイソシアネート基を有する化合物)と分子中に3つ以上の活性水素基を有する化合物(3官能以上の例えばポリオール、ポリアミン、又はポリチオール等)とのアダクト体(付加物)として3官能以上としたポリイソシアネート化合物(アダクト型)、2官能のポリイソシアネート化合物の3量体(ビウレット型又はイソシアヌレート型)も好ましい。
3官能以上のポリイソシアネート化合物の具体的な例としては、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ビウレット体、イソシアヌレート体等であってもよい。
アダクト型の3官能以上のポリイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、市販品の例としては、タケネート(登録商標)D−102、D−103、D−103H、D−103M2、P49−75S、D−110N、D−120N(イソシアネート価=3.5 mmol/g)、D−140N、D−160N(以上、三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)L75、UL57SP(住化バイエルウレタン株式会社製)、コロネート(登録商標)HL、HX、L(日本ポリウレタン株式会社製)、P301−75E(旭化成株式会社製)、バーノック(登録商標)D−750(DIC株式会社製)等が挙げられる。
中でも、アダクト型の3官能以上のポリイソシアネート化合物として、三井化学株式会社製のタケネート(登録商標)D−110N、D−120N、D−140N、D−160N、及びDIC株式会社製のバーノック(登録商標)D−750から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
イソシアヌレート型の3官能以上のポリイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−127N、D−170N、D−170HN、D−172N、D−177N、D−204(三井化学株式会社製)、スミジュールN3300、デスモジュール(登録商標)N3600、N3900、Z4470BA(住化バイエルウレタン)、コロネート(登録商標)HX、HK(日本ポリウレタン株式会社製)、デュラネート(登録商標)TPA−100、TKA−100、TSA−100、TSS−100、TLA−100、TSE−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
ビウレット型の3官能以上のポリイソシアネート化合物は、上市されている市販品を用いてもよく、例えば、タケネート(登録商標)D−165N、NP1100(三井化学株式会社製)、デスモジュール(登録商標)N3200(住化バイエルウレタン)、デュラネート(登録商標)24A−100(旭化成株式会社製)などが挙げられる。
本開示における脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、15/85〜80/20であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、80/20以下であることで、シェルを適度に柔らかくすることができ、シェルが変形してマイクロカプセルの毛又は繊維への付着面積を向上させることができる。結果、付着性を良好にすることができる。 脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、15/85以上であることで、シェルを適度に硬くさせ、マイクロカプセルが割れる前に、コア材がシェルの外に漏れ出てしまうことを回避することができる。
上記と同様の観点から、芳香族ポリイソシアネートの含有量に対する脂肪族ポリイソシアネートの含有量の比率は、35/65〜65/35であることがより好ましい。
なお、ポリウレタン又はポリウレアに、複数種類の、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分又は脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分が含まれる場合、芳香族ポリイソシアネートの含有量及び脂肪族ポリイソシアネートの含有量は、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の合計量である。
マイクロカプセルの壁の厚さ(壁厚)としては、0.01μm〜1μmが好ましい。マイクロカプセルの壁厚が0.01μm以上であることで、マイクロカプセルが割れやすくなることが抑制され、コア材を放出したい時期までコア材をコア内において保護することができる。マイクロカプセルの壁厚が1μm以下であることで、マイクロカプセルの適度な割れやすさを付与することができ、所望の時期にコア材を放出することができる。
上記と同様の観点から、マイクロカプセルの壁厚は、より好ましくは0.05μm〜0.7μmであり、さらに好ましくは0.07μm〜0.2μmである。
壁厚は、5個のマイクロカプセルの個々の壁厚(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めて平均した平均値をいう。
具体的には、マイクロカプセル液を任意の支持体上に塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する。得られた塗布膜の断面切片を作製し、その断面をSEMを用いて観察し、任意の5個のマイクロカプセルを選択して、それら個々のマイクロカプセルの断面を観察して壁厚を測定して平均値を算出することにより求められる。
マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)は、0.1μm〜100μmであることが好ましい。
メジアン径(D50)が0.1μm以上であることで、マイクロカプセルが、付着する対象物(毛、繊維等)が有する微細な空隙に入り込むことで、割れにくくなることを防ぐことができる。メジアン径(D50)が100μm以下であることで、付着性の低下を防ぐことができる。
上記の観点から、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径(D50)は、1μm〜70μmであることがより好ましく、5μm〜50μmであることが更により好ましい。マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、本開示において、分散の条件を変更することなどにより、好ましく制御することができる。
ここで、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径とは、マイクロカプセル全体を体積累計が50%となる粒子径を閾値に2つに分けた場合に、大径側と小径側での粒子の体積の合計が等量となる径をいう。
本開示において、マイクロカプセルの体積標準のメジアン径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて測定される。
本開示のマイクロカプセルについて、「単分散性が高い」とは、粒径分布の範囲が狭い(すなわち、粒径のバラツキが少ない)ことを意味し、「単分散性が低い」とは、粒径分布の範囲が広い(すなわち、粒径のバラツキが多い)ことを意味する。
より具体的には、マイクロカプセルの単分散性の高低は、CV値(coefficient of variation;変動係数)を用いて表すことができる。ここで、CV値とは、下記式で求められる値である。
CV値(%)=(標準偏差/体積平均粒径)×100
CV値が低いほどマイクロカプセルの単分散性が高く、CV値が高いほどマイクロカプセルの単分散性が低いことが表される。
本開示において、体積平均粒径及び標準偏差は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて算出される。
例えば、マイクロカプセルの「単分散性が高い」とは、マイクロカプセルの粒径分布のCV値が、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下、更により好ましくは30%以下、最も好ましくは25%以下であることをいうこともできる。CV値が上記範囲である場合、マイクロカプセルの粒径の単分散性が高いため、マイクロカプセルの取扱い、機能発現の制御などが容易になる。
マイクロカプセルの形態は、例えば、マイクロカプセル分散液、好ましくはマイクロカプセル水分散液の形態であってよい。
本開示のマイクロカプセルは、表面にアニオン電荷を有する。これにより、本開示におけるマイクロカプセルと、マイクロカプセル含有組成物に含まれるカチオン性界面活性剤との相互作用を生じさせることができ、マイクロカプセルの周囲にカチオン性界面活性剤の正電荷を配置できる。その結果、アニオン電荷を有する毛又は繊維への、マイクロカプセルの付着性を向上できる。
本開示のマイクロカプセルが表面にアニオン電荷を有することは、マイクロカプセルを水中に分散させた場合のゼータ電位を測定することで確認できる。ゼータ電位がマイナスである場合、マイクロカプセルの表面がアニオン電荷で覆われていることを指す。
本開示のマイクロカプセルは、水中に分散する場合のゼータ電位が、−80meV〜−5meVであることが好ましく、−80meV〜−11meVであることがより好ましい。
「ゼータ電位」(z)は、特殊な測定技術によって測定される、溶液中の帯電物体によって生成される見掛けの静電位を意味する。ゼータ電位の論理的基本及び実際の関連性の詳細な考察は、例えば、「Colloid Science:Zeta Potential in Colloid Sciences:Principles and Applications」(Hunter Robert J.;Editor.;Publisher(Academic Press,London);1981;p 1988)に記載されている。物体のゼータ電位は、物体の表面からある程度の距離で測定され、一般に表面自体での静電位を超えない。しかしながら、その値は、溶液中にある他の物体、特に複数の結合部位を有する分子との静電的相互作用を確立する物体の能力の好適な尺度となり得る。ゼータ電位は、相対測定値であり、その値は、測定方法に依存する。本開示において、マイクロカプセルのゼータ電位は、ELSZ−2000ZS(大塚電子株
式会社製)によって測定される値である。
具体的には、ゼータ電位は以下の方法により測定される値である。
a.)装置はELSZ−2000ZS(大塚電子株式会社製)を用いる。
b.)試料の調製手順は以下の通りである。
(i)対象とするカプセルを含有するスラリーをカプセル濃度として0.5質量%となるように水に加え、スラリーを希釈する。測定濃度は、必要に応じて計測率が自動検出により好ましい範囲となるように調整する。
(ii)希釈した試料のゼータ電位を、試料を濾過せずに測定する。
(iii)濾過したスラリーを標準セルユニット(大塚電子株式会社製)に注入し、セルを装置に挿入する。試験温度を25℃に設定する。
(iv)温度が安定した後(通常3〜5分後)測定を開始する。それぞれの試料に
ついて、5回の測定を行うように上記装置を設定し、測定する。
c.)本開示におけるゼータ電位は、各スラリーに対して3回の測定値の平均としてmV単位で測定される値である。
マイクロカプセル表面にアニオン電荷を付与する方法としては、特に制限はなく、例えば、アニオン性基付与剤をシェルに結合させる方法、マイクロカプセル表面に表面アニオン化剤を用いてアニオン電荷を付与する方法等が挙げられる。中でも、作業効率の観点から、マイクロカプセル表面に表面アニオン化剤を用いてアニオン電荷を付与する方法が好ましい。
アニオン性基付与剤を用いてシェルの表面にアニオン性基を結合させる方法としては、具体的には、以下の方法が一例として挙げられる。
溶媒、並びにシェル材である芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを撹拌混合して油相溶液を得る。また、アニオン性基付与剤(例えば、リシン)を含む水溶液に油相溶液を加えて分散した後、生成した乳化液を加温し、撹拌し冷却した後、塩基(例えば水酸化ナトリウム)の水溶液を添加し、表面にアニオン性基を有するマイクロカプセルの水分散液を得る。上記アニオン性基付与材剤を含む水溶液は乳化液を生成後に添加してもよいし、塩基の水溶液を事前に水相に加えてもよい。
なお、上記の各成分の含有量は適宜変更することができる。
〜アニオン性基付与剤〜
アニオン性基付与剤としては、特に制限はなく、例えば、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸(以上、和光純薬工業株式会社製)等が挙げられる。
マイクロカプセル表面に表面アニオン化剤を用いてアニオン電荷を付与する方法としては、特に制限はなく、例えば、表面アニオン化剤を用いてマイクロカプセル表面に保護コロイドを形成する方法が好ましい。
本開示における保護コロイドとは、マイクロカプセル表面に存在することでマイクロカプセル表面にアニオン電荷を付与できるコロイドをいう。
〜表面アニオン化剤〜
表面アニオン化剤としては、マイクロカプセル表面にアニオン電荷を付与できれば特に制限はなく、アニオン性水溶性ポリマー(アニオン変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、カラギーナンなどのアニオン性多糖類、ポリアクリル酸ナトリウムおよび他のモノマーとの共重合体、ポリマレイン酸ナトリウムおよび他のモノマーとの共重合体等)、アニオン性界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等)などが挙げられる。中でもマイクロカプセル表面へのアニオン電荷付与の点から、アニオン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
表面アニオン化剤を用いてマイクロカプセル表面に保護コロイドを形成する方法としては、例えば以下の方法が一例として挙げられるが、以下の方法に限定されるものではない。
溶媒、並びにシェル材である芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを撹拌混合して油相溶液を得る。また、表面アニオン化剤(例えば、アニオン変性ポリビニルアルコール)を含む水溶液に油相溶液を加えて分散した後、生成した乳化液を加温、撹拌し、冷却した後、塩基(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を添加し、表面に保護コロイドを含むマイクロカプセルの水分散液を得る。
なお、上記の各成分の含有量は適宜変更することができる。
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、市販品を用いることができる。具体的には、クラレポバールKM−618(株式会社クラレ製)、クラレポバールKL−318(株式会社クラレ製)、ゴーセノールL−3266(日本合成化学株式会社製)、ゴーセノールT−330(日本合成化学株式会社製)等が挙げられる。中でも、付与できるアニオン性の点から、アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、クラレポバールKM−618、ゴーセノールL−3266が好ましく、クラレポバールKM−618がより好ましい。
(コア)
本開示におけるマイクロカプセルは、コアを含むことができる。
(香料)
本開示におけるマイクロカプセルは、コア材として香料を含むことが好ましい。
本開示におけるマイクロカプセルは、衣服の繊維又は毛(毛髪等)に対して付着性に優れているため、コア材として香料を含むことにより、衣服の擦れ、毛髪の擦れ等によりマイクロカプセルが崩壊する際、より放出される香料の量を多くすることができる。
香料としては、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第III部香粧品香料、頁49−103頁、平成13年6月15日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、動植物エキスなどから、適するものを適宜選択し、用いることができる。
具体的な香料としては、ピネン、ミルセン、カンフェン、Rリモネンなどのモノテルペン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエン、α−アミルシンナミルアルデヒド、ジヒドロジャスモン、メチルイオノン、α−ダマスコン、アセチルセドレン、ジヒドロジャスモン酸メチル、シクロペンタデカノリドなど合成香料、オレンジ精油、レモン精油、ベルガモット精油、マンダリン精油などの天然精油が挙げられる。
コア材の全質量に対する香料の含有量としては、100〜20質量%が好ましく、95〜30質量%がより好ましく、85〜40質量%が最も好ましい。
(溶媒)
コア材は、オイル成分として溶媒を含有してもよい。
溶媒の例としては、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル系化合物、ジイソプロピルナフタレン等のアルキルナフタレン系化合物、1−フェニル−1−キシリルエタン等のジアリールアルカン系化合物、イソプロピルビフェニル等のアルキルビフェニル系化合物、トリアリールメタン系化合物、アルキルベンゼン系化合物、ベンジルナフタレン系化合物、ジアリールアルキレン系化合物、アリールインダン系化合物等の芳香族炭化水素;フタル酸ジブチル、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素;ツバキ油、大豆油、コーン油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油、ひまし油、魚油等の天然動植物油;鉱物油等の天然物高沸点留分などが挙げられる。
コア材中の溶媒の含有量は、コア材の全質量に対して、50質量%未満が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が最も好ましい。
(補助溶媒)
コア材は、必要に応じて、マイクロカプセルを製造する際の壁材の油相中への溶解性を高めるための油相成分として補助溶媒を含有してもよい。補助溶媒には、上記の溶媒は含まれない。
補助溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系化合物、酢酸エチル等のエステル系化合物、イソプロピルアルコール等のアルコール系化合物等が挙げられる。好ましくは、補助溶媒は、沸点が130℃以下である。
コア材における補助溶媒の含有量は、コア材の全質量に対して、50質量%未満が好ましく、30質量%未満がより好ましく、20質量%未満がさらに好ましい。
(添加剤)
例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、ワックス、臭気抑制剤などの添加剤は、必要に応じて、マイクロカプセルに内包することができる。
添加剤は、コア材の全質量に対し、例えば、0質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜15質量%、より好ましくは5質量%〜10質量%含有することができる。
<カチオン性界面活性剤>
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、カチオン性界面活性剤を含む。これによって、マイクロカプセルのマイナス電荷とカチオン性界面活性剤のプラス電荷が相互作用によって引き合い、マイクロカプセルをカチオン性界面活性剤のプラス電荷が覆い、全体として、プラス電荷を生じさせることができる。その結果、マイクロカプセルのプラス電荷と、マイクロカプセルが付着する対象(繊維等)が有するマイナス電荷とが引き合い、マイクロカプセルが付着する対象へのマイクロカプセルの付着性が向上する。
カチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、カチオンEQ−01D(日油株式会社)、カチオンSF−10(三洋化成工業株式会社製)、カチオンSF−75PA(三洋化成工業株式会社製)、アデカミンSF−108(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
<分散媒>
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、さらに、マイクロカプセルの分散媒を含むことが好ましい。
マイクロカプセルの分散媒をさらに含むことで、マイクロカプセル含有組成物は種々の用途に用いる際に、容易に配合することができる。
マイクロカプセル含有組成物における分散媒は、組成物の使用目的に応じて適宜選択される。分散媒としては、マイクロカプセルの壁材に影響を与えない液状成分であることが好ましい。
好ましい分散媒としては、水系溶媒、粘度調整剤、安定化剤などが挙げられる。
水系溶媒としては、水、水及びアルコール等が挙げられ、イオン交換水等を用いることができる。
なお、本開示のマイクロカプセル含有組成物における分散媒の含有量は、用途に応じて適宜選択すればよい。
<その他の成分>
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、マイクロカプセル、併用成分である分散媒に加え、さらにその他の成分を含有することができる。
その他の成分には、特に制限はなく、目的又は必要に応じて適宜選択すればよい。
その他の成分としては、例えば、界面活性剤、架橋剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
<マイクロカプセルの製造方法>
本開示のマイクロカプセルは、例えば、以下の方法で製造できるが、以下の方法に限定されない。
本開示のマイクロカプセルの製造方法は、溶媒と、シェル材である芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートと、を含む油相を、乳化剤、及び、アニオン性基付与剤又は表面アニオン化剤を含む水相に分散させて乳化液を調製する工程(乳化工程)と、シェル材を油相と水相との界面で重合させてシェルを形成し、溶媒を内包するマイクロカプセルを形成する工程(カプセル化工程)と、を含む。
アニオン性基付与剤は乳化工程後に添加してもよい。
[乳化工程]
本開示のマイクロカプセルの製造方法は、溶媒と、シェル材として含まれる芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートと、を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散させて乳化液を調製する工程を含む。
本開示の油相は、溶媒が含まれることにより、マイクロカプセルの単分散性が高められる。
〜乳化液〜
本開示の乳化液は、溶媒と、シェル材と、を含む油相を、乳化剤を含む水相に分散させることにより形成される。
(油相)
本開示の油相には、溶媒と、シェル材である芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートとが含まれる。
本開示の油相には、本開示の溶媒及びシェル材である芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートが含まれ、必要に応じて、香料、補助溶媒、及び/又は添加剤などの成分が更に含まれてもよい。そのような香料、補助溶媒、及び添加剤は、<マイクロカプセル>の項に記載した通りである。
−溶媒−
本開示の製造方法において使用される溶媒は、<マイクロカプセル>の項に記載した通りである。
−シェル材−
本開示におけるシェル材は、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを含む。
シェル材は、油相の全質量に対し、例えば、0.1質量%超20質量%以下、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より好ましくは1質量%〜5質量%で油相に含有される。
シェル材の濃度は、マイクロカプセルの大きさ、壁厚などに鑑みて、適宜調整することができる。
(水相)
本開示の水相は、マイクロカプセル表面にアニオン電荷を付与するための成分を含ませることが好ましく、水性媒体、アニオン性基付与剤又は表面アニオン化剤、及び乳化剤を含む組成とすることができる。
−水性媒体−
本開示の水性媒体としては、水、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒が挙げられ、好ましくは水である。「水溶性」とは、25℃の水100質量%に対する対象物質の溶解量が5質量%以上であることを意味する。
水性媒体は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対し、好ましくは20質量%〜80質量%、より好ましくは30質量%〜70質量%、更により好ましくは40質量%〜60質量%である。
−アニオン性基付与剤又は表面アニオン化剤−
本開示の水相は、アニオン性基付与剤又は表面アニオン化剤を含むことが好ましい。
本開示のマイクロカプセルの製造方法において使用されるアニオン性基付与剤及び表面アニオン化剤は、<マイクロカプセル>の項に記載した通りである。
なお、一部のアニオン性基付与剤及び表面アニオン化剤(例えば、アニオン変性ポリビニルアルコール)は、後述する乳化剤としても用いることができるため、上記一部のアニオン性基付与剤及び表面アニオン化剤を用いる場合には、後述する乳化剤を添加しなくてもよい。
アニオン性基付与剤の含有量としては、壁材の全質量に対して、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、2.5質量%〜7質量%がさらに好ましい。
表面アニオン化剤の含有量としては、水相の全質量に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、2質量%〜12質量%がより好ましく、4質量%〜10質量%がさらに好ましい。
−乳化剤−
乳化剤には、分散剤、若しくは界面活性剤、又はこれらの組み合わせが含まれる。
分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物(例えば、アニオン変性ポリビニルアルコール)、ポリアクリル酸アミド及びその誘導体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビアゴム及びアルギン酸ナトリウムなどを挙げることができ、ポリビニルアルコールが好ましい。
これらの分散剤は、シェル材と反応しない、又は極めて反応し難いことが好ましく、例えばゼラチンなどの分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは、予め反応性を失わせる処理をしておくことが必要である。
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ノニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル系化合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル系化合物、グリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、ソルビタン脂肪酸部分エステル系化合物、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル系化合物、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル系化合物、ショ糖脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル系化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル系化合物、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、ポリオキシエチレン化ひまし油系化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル系化合物、脂肪酸ジエタノールアミド系化合物、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン系化合物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体が挙げられる。
アニオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、脂肪酸塩、アビエチン酸塩、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分けん化物、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルポリオキシアルキレンスルホアルキルエーテルの塩、アルケニルポリオキシアルキレンスルホアルキルエーテルの塩などが挙げられる。
カチオン界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩(例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩、ポリエチレンポリアミン誘導体が挙げられる。
両性界面活性剤は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、カルボキシベタイン、アミノカルボン酸、スルホベタイン、アミノ硫酸エステル、イミタゾリンが挙げられる。
乳化剤の濃度は、油相と水相との混合物である乳化液の全質量に対し、0質量%超20質量%以下が好ましく、0.005質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上10質量%以下が更により好ましく、1質量%以上5質量%以下が最も好ましい。
水相は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤などの他の成分を含有してもよい。そのような他の成分は、水相の全質量に対し、例えば、0質量%超20質量%以下、好ましくは0.1質量%超15質量%以下、より好ましくは1質量%超10質量%以下含有されてよい。
(分散)
分散は、本開示の油相を油滴として本開示の水相に分散させること(乳化)をいう。分散は、油相と水相との分散に通常用いられる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル、又はその他の公知の分散装置を用いて行なうことができる。
油相の水相に対する混合比(油相質量/水相質量)は、0.1〜1.5が好ましく、0.2〜1.2がより好ましく、0.4〜1.0がさらに好ましい。混合比が0.1〜1.5の範囲内であると、適度の粘度に保持でき、製造適性に優れ、乳化液の安定性に優れる。
[カプセル化工程]
本開示のマイクロカプセルの製造方法は、シェル材を油相と水相との界面で重合させてシェルを形成し、溶媒を内包するマイクロカプセルを形成する工程を含む。これにより、本開示の溶媒がシェルに内包されたマイクロカプセルが形成される。
(重合)
重合は、乳化液中の油相に含まれるシェル材を水相との界面で重合させる工程であり、これによりシェルが形成される。重合は、好ましくは加熱下で行われる。重合における反応温度は、通常は40℃〜100℃が好ましく、50℃〜80℃がより好ましい。また、重合の反応時間は、通常は0.5時間〜10時間程度が好ましく、1時間〜5時間程度がより好ましい。重合温度が高い程、重合時間は短くなるが、高温で分解するおそれのある内包物やシェル材を使用する場合には、低温で作用する重合開始剤を選択して、比較的低温で重合させるのが望ましい。
重合工程中に、マイクロカプセル同士の凝集を防止するためには、水性溶液(例えば、水、酢酸水溶液など)を更に加えてマイクロカプセル同士の衝突確率を下げることが好ましく、充分な攪拌を行うことも好ましい。重合工程中に改めて凝集防止用の分散剤を添加してもよい。更に、必要に応じて、ニグロシン等の荷電調節剤、又はその他任意の補助剤を添加することができる。これらの補助剤は、シェルの形成時、又は任意の時点で添加することができる。
<マイクロカプセル含有組成物の用途>
本開示のマイクロカプセル含有組成物は種々の用途に使用することができる。
マイクロカプセル含有組成物は、例えば、洗濯、ヘアケア、デイケア等の用途を挙げることができる。
−洗濯−
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、例えば、コア材として香料を含むことで衣料用柔軟剤とすることができる。これによって、本開示のマイクロカプセル含有組成物は、洗濯の用途に適用することができる。
本開示の衣料用柔軟剤であるマイクロカプセル含有組成物は、衣料をマイクロカプセル含有組成物に浸漬し、脱水、乾燥することで、カチオン性界面活性剤とマイクロカプセル含有組成物に含まれるマイクロカプセルとが衣料の繊維に吸着したり、繊維間の微細な空隙に入り込んだりして、衣料に保持される。このため、衣類にたいし、柔軟化、帯電防止性などが付与され、さらに、コア材を含むマイクロカプセルを含むことで、所望の時期にコア材を放出することができる。
本開示の衣料用柔軟剤により処理した衣料を着用した場合、柔らかな着心地に加え、マイクロカプセル内にコア材が安定に含まれるため、経時後であっても、衣服を擦るなどして応力を与え、マイクロカプセルを崩壊させることでコア材を放出させることができる。また、特に応力を付与しなくても、衣服を着用し、行動することにより、徐々にマイクロカプセルが崩壊され、徐々にコア材を放出させることができる。
衣料用柔軟剤としては、マイクロカプセル含有組成物全量中、マイクロカプセルを0.3質量%〜3質量%、カチオン性界面活性剤を10質量%〜30質量%を含むことが好ましい。
その他、衣料用柔軟剤に含まれる公知の成分、例えば、消泡剤、色材、香料などをさらに含むことができる。衣料用柔軟剤に用いられる分散媒としては、イオン交換水等の水が好ましい。
−ヘアケア−
本開示におけるマイクロカプセルと、マイクロカプセルの分散媒とを含むマイクロカプセル含有組成物は、そのままヘアケアの用途に適用することができる。
ヘアケアの用途としては、リンス、コンディショナー、整髪料等の毛髪化粧料等に任意に適用することができる。
毛髪化粧料である本開示のマイクロカプセル含有組成物は、毛髪に適用した場合、マイクロカプセルが毛髪に付着し、毛髪を擦る、櫛でとく等した場合、応力によりマイクロカプセルが崩壊し、コア材を放出することができる。
液状の毛髪化粧料の場合、スプレー容器に充填することで、より長時間に亘り、マイクロカプセルを安定に保存することができ、好ましい。
スプレーにより毛髪化粧料を毛髪に付与した場合、分散媒とマイクロカプセルとが、毛髪に付着する。その後、頭皮をマッサージするなどを行なうことにより、マイクロカプセルに応力が掛かることでマイクロカプセルが崩壊し、コア材を毛髪に付着させることができる。
毛髪化粧料である本開示のマイクロカプセル含有組成物には、毛髪化粧料に含まれ得る公知の成分を任意に含有することができる。
毛髪化粧料の含まれ得る公知の成分としては、アルコールなどの水性媒体、油剤、洗浄成分或いは分散成分としての界面活性剤、皮膚に浸透する有効成分、色材、香料などが挙げられる。
−デイケア−
本開示のマイクロカプセル含有組成物は、例えば、支持体と、支持体に含浸された既述の本開示の分散媒を含むマイクロカプセル含有組成物とを含む化粧用シート、おむつ等のデイケアの用途に適用することができる。
支持体としては、液状成分を保持することができれば特に制限はない。支持体としては、不織布、織布などの内部に水分を保持する空隙を有する繊維集合体、スポンジシートなどの多孔質体等が好ましい。
支持体に、本開示のマイクロカプセル含有組成物を含浸させることで、支持体を皮膚に押しつけて擦ることで、マイクロカプセルが崩壊し、任意の時期コア材を放出することができる。また、マイクロカプセル含有組成物が、界面活性剤等の洗浄成分を含むことで、皮膚清拭用のシートとすることができる。
化粧用シート、おむつ等は、マイクロカプセル含有組成物を安定に保持するため、水不透過性の包装材料により包装されることが、効果の持続性の観点から好ましい。
既述のように、本開示のマイクロカプセル含有組成物は、必要なタイミングで任意の時期にコア材を放出しうるため、種々の用途に適用することができる。既述の用途は、その一例であり、本開示のマイクロカプセル含有組成物の用途は、上記記載には限定されない。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
なお、本実施例において、体積基準のメジアン径、標準偏差、体積平均粒径は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装株式会社製)により測定した。壁厚は、マイクロカプセルの断面を走査型電子顕微鏡JSM−7800F(日本電子株式会社製)により観察することで測定した。
ゼータ電位はELSZ−2000ZS(大塚電子株式会社製)により測定した。具体的
には以下の通りである。
(i)対象とするカプセルを含有するスラリーをカプセル濃度として0.5質量%となるように水に加え、スラリーを希釈する。測定濃度は、必要に応じて計測率が自動検出により好ましい範囲となるように調整した。
(ii)希釈した試料のゼータ電位を、試料を濾過せずに測定した。
(iii)濾過したスラリーを標準セルユニット(大塚電子株式会社製)に注入し、セルを装置に挿入した。試験温度を25℃に設定した。
(iv)温度が安定した後(通常3〜5分後)測定を開始する。それぞれの試料に
ついて、5回の測定を行うように上記装置を設定し、測定した。
なお、本開示におけるゼータ電位は、各スラリーに対して3回の測定値の平均としてmV単位で測定される値である。
(実施例1)
溶媒としてサラコス(登録商標)HG−8(日清オイリオグループ株式会社製)を18.2部、香料としてD−リモネン(ヤスハラケミカル株式会社製、香料)を54.7部、シェル材として芳香族ポリイソシアネートであるバーノック(登録商標)D−750(DIC
株式会社製、トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体)2.3部、
脂肪族ポリイソシアネートであるタケネート(登録商標)D−160N(三井化学株式会社製、ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体)2.3部を撹拌混合して油相溶液を得た。また、アニオン変性ポリビニルアルコールであるクラレポバール(登録商標)PVA−KM618(株式会社クラレ製、アニオン変性PVA)の5.8質量%水溶液157部に油相溶液を加えて分散した後、生成した乳化液を70℃まで加温し、1時間撹拌し、冷却した後10質量%水酸化ナトリウム水溶液を3.8部添加し、マイクロカプセル水分散液を得た。得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径(D50)は18μmであった。また、粒径分布のCV値[=(標準偏差/体積平均粒径)×100]は35%であった。マイクロカプセル水分散液のゼータ電位は−18mVであった。壁厚は0.13μmであった。
<評価サンプルの作成>
上記で作製したマイクロカプセルの香料換算1.0質量%と、カチオン性界面活性剤としてジアルキルエステル型アンモニウム塩を含んだ無香料柔軟剤(ULTRA Down
y、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社製)の99質量%と、を混合し
マイクロカプセル含有組成物とした。マイクロカプセル含有組成物5部と水995部を混合し、これに木綿タオル(35cm×35cm)を20分浸漬し、絞ったあと24時間乾燥し、官能評価及び抽出量測定用のサンプルとした。
(実施例2〜実施例4)
使用したアニオン変性PVAを表1に示すアニオン変性PVAに変更した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は、表1に記載した通りである。
(実施例5〜実施例7)
アニオン変性PVAを含む水溶液に、表1に示すようにポリビニルアルコール(PVA)を追加した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は、表1に記載した通りである。
(実施例8〜実施例19)
芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを、表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は、表1に記載した通りである。
(実施例20〜実施例22)
アニオン変性PVAをクラレポバールPVA―217E(株式会社クラレ製、部分ケン化PVA)に変更し、さらに、表1に記載の通りのアニオン性基付与剤を、シェル材の全質量に対して4質量%を乳化液に添加した以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は、表1に記載した通りである。
(比較例1〜4)
PVA、アニオン変性PVA及びポリイソシアネートとして、表1に記載のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は、表1に記載した通りである。
(実施例23〜34)
芳香族ポリイソシアネートを、表2に記載の2種類の芳香族ポリイソシアネートA及び芳香族ポリイソシアネートBに変更し、芳香族ポリイソシアネートA/芳香族ポリイソシアネートB/脂肪族ポリイソシアネートの混合比を、表2に記載の通りとした以外は、実施例1と同様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
得られたマイクロカプセルの体積基準のメジアン径、粒径分布のCV値、ゼータ電位、壁厚は表2に記載したとおりである。
<香りの強度の評価>
上記で得られた木綿タオルを5回擦り合わせた後、発生した香りの強度を10人の評価者によって、実施例7の香りの強度を基準の3点として0点(香り強度弱い)〜5点(香り強度強い)の6段階で香りの強度を評価し、点数を付けた。そして、10個の点数の平均値(整数に四捨五入)を官能評価の結果とした。
<マイクロカプセル付着量の評価>
上記で得られたタオルを6分の1の面積の方形に切り取り、切り取ったタオルをジメチルスルホキシド100gに浸漬し、24時間静置することでマイクロカプセル内部の香料を抽出した。得られたジメチルスルホキシド溶液をガスクロマトグラフ質量分析計(QP2010Ultra、株式会社島津製作所製)にて香料の抽出量(mg)を定量し、マイクロカプセル付着量を得た。
Figure 2021073323
Figure 2021073323
表1及び表2中、アニオン性基付与剤の添加量(質量%)は、芳香族及び脂肪族ポリイソシアネート、並びにアニオン性基付与剤の全添加量に対するアニオン性基付与剤の添加量の比率である。表1中、「−」は成分が含まれていないことを表す。また、表1中のPVAは、ポリビニルアルコールを指す
なお、表2中、芳香族ポリイソシアネートと脂肪族ポリイソシアネートの混合比の計算において、芳香族ポリイソシアネートの含有量は、芳香族ポリイソシアネートA及び芳香族ポリイソシアネートBの合計量として計算した。
表1及び表2中の成分の詳細は、以下の通りである。
・バーノックD−750:トリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(DIC株式会社製)
・タケネートD−110N:キシリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製)
・タケネートD−204:トリレンジイソシアネートイソシアヌレート体(三井化学株式会社製)
・タケネートD−160N:ヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製)
・タケネートD−170N:ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート体(三井化学株式会社製)
・タケネートD−165N:ヘキサメチレンジイソシアネートビウレット体(三井化学株式会社製)
・タケネートD−120N:水素化キシリレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製)
・クラレポバールKM−618:アニオン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)
・クラレポバールKL−318:アニオン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)
・ゴーセノールL−3266:アニオン変性ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製)
・ゴーセノールT−330:アニオン変性ポリビニルアルコール(日本合成化学株式会社製)
・クラレポバールPVA―217E:部分ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)
・クラレポバールCM−618:カチオン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)
・リシン、アスパラギン酸及びグルタミン酸(和光純薬株式会社製)
・MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(和光純薬工業株式会社製)
表1に示す通り、芳香族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと、カチオン性界面活性剤と、を含む実施例1〜22は、官能評価及び香料の抽出量に優れており、付着性が良好であった。
中でも、脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、35/65〜65/35である実施例1は、脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、35/65〜65/35である35/65〜65/35でない実施例8と比較して、香料の抽出量に優れていた。
また、マイクロカプセルのゼータ電位が、−80〜−5である実施例6は、マイクロカプセルのゼータ電位が、−80〜−5でない実施例7と比較して、官能評価及び香料の抽出量に優れており、繊維に対するマイクロカプセルの付着性が良好であった。
マイクロカプセルの表面にアニオン変性PVAを含む実施例1〜3は、マイクロカプセルの表面にアニオン変性PVAを含まない実施例20〜22と比較して香料の抽出量に優れていた。
一方、比較例1〜4は、官能評価及び香料の抽出量に劣っており、繊維に対するマイクロカプセルの付着性が不足していた。
また、表2に示す通り、芳香族ポリイソシアネートを2種類使用し、一方の芳香族ポリイソシアネートとして2官能の芳香族ポリイソシアネートであるMDIを使用した実施例23〜実施例34でも、官能評価及び香料の抽出量が優れていた。
本開示のマイクロカプセルは、コア材として、特に香料を内包する態様で好適に利用でき、香料の保護、刺激応答性などの種々の好ましい機能を発揮することができる。

Claims (7)

  1. シェル材が芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分及び脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分を有するポリウレタン又はポリウレアを含み、かつ、表面にアニオン電荷を有するマイクロカプセルと、
    カチオン性界面活性剤と、
    を含むマイクロカプセル含有組成物。
  2. 前記マイクロカプセルが、更にコア材として香料を含む請求項1に記載のマイクロカプセル含有組成物。
  3. 前記マイクロカプセルが、表面の少なくとも一部にアニオン変性ポリビニルアルコールを有する請求項1又は請求項2に記載のマイクロカプセル含有組成物。
  4. 前記脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、前記芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、15/85〜80/20である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル含有組成物。
  5. 前記脂肪族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量に対する、前記芳香族ポリイソシアネートに由来する構造部分の含有量の比率が、35/65〜65/35である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のマイクロカプセル含有組成物。
  6. 前記マイクロカプセルのゼータ電位が、−80〜−5である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のマイクロカプセル含有組成物。
  7. 洗濯、デイケア又はヘアケアの用途に用いられる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のマイクロカプセル含有組成物。
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