以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づいて電力変換装置300の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、電力変換装置300、および、モータ400を有する。
また車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
電力変換装置300はバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電力変換装置300はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルの交流電力に変換する。電力変換装置300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルの直流電力に変換する。
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
モータ400は電力変換装置300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置300によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
<電力変換装置>
次に電力変換装置300を説明する。電力変換装置300は第1コンバータ550と、第2コンバータ560と、インバータ600と、を備えている。第1コンバータ550と第2コンバータ560はバッテリ200の直流電力をモータ400の力行に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ600はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力がモータ400に供給される。またインバータ600はモータ400で生成された交流電力を直流電力に変換する。第1コンバータ550と第2コンバータ560はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
これら第1コンバータ550、第2コンバータ560、および、インバータ600のそれぞれには後述のスイッチなどの半導体素子が含まれている。
本実施形態ではスイッチとしてnチャネル型のIGBTを採用している。ただしこれらスイッチとしては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。スイッチとしてMOSFETを採用する場合、ダイオードはなくともよい。
これらスイッチは、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
<コンバータの回路構成>
第1コンバータ550は第1給電バスバ301と第2給電バスバ302を介してバッテリ200と電気的に接続されている。第1給電バスバ301はバッテリ200の正極に接続されている。第2給電バスバ302はバッテリ200の負極に接続されている。そして第1コンバータ550は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302を介してインバータ600と電気的に接続されている。
第1コンバータ550は第1コンデンサ310、第1リアクトル510、および、第1A相レグ530を有する。第1コンデンサ310の有する2つの電極のうち一方が第1給電バスバ301に接続されている。第1コンデンサ310の有する2つの電極のうち他方が第2給電バスバ302に接続されている。第1リアクトル510は第1給電バスバ301に接続されている。第1リアクトル510と第1A相レグ530とが第1連結バスバ511を介して電気的に接続されている。第1A相レグ530は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302との間で直列接続されている。
第2コンバータ560は第4給電バスバ304と第5給電バスバ305を介して第3給電バスバ303と第2給電バスバ302それぞれと電気的に接続されている。第2コンバータ560は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302を介してインバータ600と電気的に接続されている。
第2コンバータ560は第2コンデンサ320、第2リアクトル520、および、第2A相レグ540を有する。第2コンデンサ320の有する2つの電極のうち一方が第4給電バスバ304を介して第3給電バスバ303に接続されている。第2コンデンサ320の有する2つの電極のうち他方が第5給電バスバ305を介して第2給電バスバ302に接続されている。第2リアクトル520は第4給電バスバ304に接続されている。第2リアクトル520と第2A相レグ540とが第2連結バスバ521を介して電気的に接続されている。第2A相レグ540は第6給電バスバ306と第5給電バスバ305との間で直列接続されている。
図1に示すように第1A相レグ530はスイッチとして第1ハイサイドスイッチ531と第1ローサイドスイッチ532を有する。また第1A相レグ530はダイオードとして第1ハイサイドダイオード531aと第1ローサイドダイオード532aを有する。第1ハイサイドスイッチ531と第1ローサイドスイッチ532は第2スイッチに相当する。
第1ハイサイドスイッチ531のコレクタ電極が第3給電バスバ303に接続されている。第1ハイサイドスイッチ531のエミッタ電極と第1ローサイドスイッチ532のコレクタ電極とが接続されている。第1ローサイドスイッチ532のエミッタ電極が第2給電バスバ302に接続されている。これにより第1ハイサイドスイッチ531と第1ローサイドスイッチ532は第3給電バスバ303から第2給電バスバ302へ向かって順に直列接続されている。
また、第1ハイサイドスイッチ531のコレクタ電極に第1ハイサイドダイオード531aのカソード電極が接続されている。第1ハイサイドスイッチ531のエミッタ電極に第1ハイサイドダイオード531aのアノード電極が接続されている。これにより第1ハイサイドスイッチ531に第1ハイサイドダイオード531aが逆並列接続されている。
同様にして、第1ローサイドスイッチ532のコレクタ電極に第1ローサイドダイオード532aのカソード電極が接続されている。第1ローサイドスイッチ532のエミッタ電極に第1ローサイドダイオード532aのアノード電極が接続されている。これにより第1ローサイドスイッチ532に第1ローサイドダイオード532aが逆並列接続されている。
第1ハイサイドスイッチ531と第1ローサイドスイッチ532との間の中点に上記した第1リアクトル510が第1連結バスバ511を介して接続される。以上により、第1リアクトル510はバッテリ200の正極と、第1A相レグ530の第1ハイサイドスイッチ531と第1ローサイドスイッチ532との間の中点とに接続されている。
図1に示すように第2A相レグ540はスイッチとして第2ハイサイドスイッチ541と第2ローサイドスイッチ542を有する。また第2A相レグ540はダイオードとして第2ハイサイドダイオード541a、および、第2ローサイドダイオード542aを有する。第2ハイサイドスイッチ541と第2ローサイドスイッチ542は第1スイッチに相当する。
第2ハイサイドスイッチ541のコレクタ電極が第6給電バスバ306に接続されている。第2ハイサイドスイッチ541のエミッタ電極と第2ローサイドスイッチ542のコレクタ電極とが接続されている。第2ローサイドスイッチ542のエミッタ電極が第5給電バスバ305に接続されている。これにより第2ハイサイドスイッチ541と第2ローサイドスイッチ542は第6給電バスバ306から第5給電バスバ305へ向かって順に直列接続されている。
また、第2ハイサイドスイッチ541のコレクタ電極に第2ハイサイドダイオード541aのカソード電極が接続されている。第2ハイサイドスイッチ541のエミッタ電極に第2ハイサイドダイオード541aのアノード電極が接続されている。これにより第2ハイサイドスイッチ541に第2ハイサイドダイオード541aが逆並列接続されている。
同様にして、第2ローサイドスイッチ542のコレクタ電極に第2ローサイドダイオード542aのカソード電極が接続されている。第2ローサイドスイッチ542のエミッタ電極に第2ローサイドダイオード542aのアノード電極が接続されている。これにより第2ローサイドスイッチ542に第2ローサイドダイオード542aが逆並列接続されている。
第2A相レグ540の第2ハイサイドスイッチ541と第2ローサイドスイッチ542との間の中点に上記した第2リアクトル520が第2連結バスバ521を介して接続される。以上により、第2リアクトル520は第3給電バスバ303と第2ハイサイドスイッチ541と第2ローサイドスイッチ542との間の中点とに接続されている。
これまでに示した第1A相レグ530の第1ハイサイドスイッチ531および第1ローサイドスイッチ532と第2A相レグ540の第2ハイサイドスイッチ541および第2ローサイドスイッチ542はECUとゲートドライバによって開閉制御される。
具体的に言えば、バッテリ200の直流電力を昇圧する場合、ECUからの制御信号によって第1A相レグ530および第2A相レグ540それぞれの備えるハイサイドスイッチとローサイドスイッチそれぞれが交互に開閉される。
これとは反対にインバータ600から供給された直流電力を降圧する場合、ECUは第1A相レグ530および第2A相レグ540それぞれの備えるローサイドスイッチに出力する制御信号をローレベルに固定する。それとともにECUは第1A相レグ530および第2A相レグ540それぞれの備えるハイサイドスイッチに出力する制御信号をハイレベルとローレベルに順次切り換える。
<インバータの構成回路>
インバータ600は第3コンデンサ330とスイッチレグ群610を有する。第3コンデンサ330の有する2つの電極のうち一方が第3給電バスバ303に接続されている。第3コンデンサ330の有する2つの電極のうち他方が第2給電バスバ302に接続されている。スイッチレグ群610は第3給電バスバ303と第2給電バスバ302それぞれに接続されている。
スイッチレグ群610はU相レグ620、V相レグ630、および、W相レグ640を有する。これら3相のレグそれぞれは直列接続された2つのスイッチを有する。
U相レグ620〜W相レグ640それぞれはスイッチとして第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652を有する。またU相レグ620〜W相レグ640それぞれはダイオードとして第3ハイサイドダイオード651aと第3ローサイドダイオード652aを有する。第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652は第2スイッチに相当する。
図1に示すように第3ハイサイドスイッチ651のコレクタ電極は第3給電バスバ303に接続されている。第3ハイサイドスイッチ651のエミッタ電極と第3ローサイドスイッチ652のコレクタ電極とが接続されている。第3ローサイドスイッチ652のエミッタ電極が第2給電バスバ302に接続されている。これにより第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652は第3給電バスバ303から第2給電バスバ302へ向かって順に直列接続されている。
そしてU相レグ620の備える第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652との間の中点がモータ400のU相ステータコイルに接続されている。V相レグ630の備える第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652との間の中点がモータ400のV相ステータコイルに接続されている。W相レグ640の備える第3ハイサイドスイッチ651と第3ローサイドスイッチ652との間の中点がモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
また、第3ハイサイドスイッチ651のコレクタ電極に第3ハイサイドダイオード651aのカソード電極が接続されている。第3ハイサイドスイッチ651のエミッタ電極に第3ハイサイドダイオード651aのアノード電極が接続されている。これにより第3ハイサイドスイッチ651に第3ハイサイドダイオード651aが逆並列接続されている。
同様にして、第3ローサイドスイッチ652のコレクタ電極に第3ローサイドダイオード652aのカソード電極が接続されている。第3ローサイドスイッチ652のエミッタ電極に第3ローサイドダイオード652aのアノード電極が接続されている。これにより第3ローサイドスイッチ652に第3ローサイドダイオード652aが逆並列接続されている。
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号によってスイッチレグ群610の備えるハイサイドスイッチとローサイドスイッチそれぞれがPWM制御される。これによりインバータ600で3相交流が生成される。モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力が3相のスイッチレグ群610の備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
<電力変換装置の構成>
次に、電力変換装置300の構成を説明する。以下において直交の関係にある3方向をx方向、y方向、z方向とする。x方向が横方向に相当する。z方向が並び方向に相当する。
電力変換装置300は上記した構成要素の他に複数の基板、複数のコネクタ、ケーブル740、複数のケース、複数のカバー、複数のコンデンサケース、複数のリアクトルケース、冷却器700、および、プレート810を有する。
複数の基板とは制御回路基板340とスイッチ回路基板350である。複数のコネクタとはスイッチ回路基板350に設けられる第1コネクタ720と制御回路基板340に設けられる第2コネクタ730である。複数のケースとは後述する第1電気部品群860を収納する第1ケース800と後述する第2電気部品群870を収納する第2ケース900である。複数のカバーとは第1ケース800に連結される第1カバー840と第2ケース900に連結される第2カバー920である。第1コネクタ720がコネクタに相当する。
複数のコンデンサケースとは具体的に第1コンデンサケース311、第2コンデンサケース321、第3コンデンサケース331である。複数のリアクトルケースとは具体的に第1リアクトルケース512と第2リアクトルケース522である。
第1コンデンサケース311に第1コンデンサ310が収納されている。第2コンデンサケース321に第2コンデンサ320が収納されている。第3コンデンサケース331に第3コンデンサ330が収納されている。第1リアクトルケース512に第1リアクトル510が収納されている。第2リアクトルケース522に第2リアクトル520が収納されている。第2コンデンサケース321と第2リアクトルケース522が電気部品に相当する。冷却器700およびプレート810については後で詳説する。
制御回路基板340に第1コンバータ550とインバータ600を制御するECUおよびゲートドライバが搭載されている。上記したように制御回路基板340に第2コネクタ730に設けられている。第2コネクタ730にケーブル740の一端が電気的に接続されている。
スイッチ回路基板350に第2コンバータ560を制御するECUおよびゲートドライバが搭載されている。上記したようにスイッチ回路基板350に第1コネクタ720が設けられている。第1コネクタ720にケーブル740の他端が電気的に接続されている。制御回路基板340とスイッチ回路基板350とがケーブル740を介して電気的に接続されている。なお、図2〜図4においては、これまでに説明した構成要素間を電気的に接続する給電バスバの記載は省略されている。
<第1スイッチモジュール>
第1コンバータ550およびインバータ600の備える第1A相レグ530およびU相レグ620〜W相レグ640それぞれは、第1樹脂部材701に被覆され第1スイッチモジュール702を構成している。図1に示すように第1スイッチモジュール702はx方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第1スイッチモジュール702が冷却器700に収納されてパワーモジュール710が構成されている。
第1樹脂部材701の内部の複数のスイッチそれぞれのエミッタ電極とコレクタ電極に接続された端子の一部が第1樹脂部材701からz方向に露出されている。これら複数の端子が給電バスバを介して第1コンデンサ310と第1リアクトル510に接続されている。
また第1樹脂部材701の内部の複数のスイッチそれぞれのゲート電極に接続された端子の一部が第1樹脂部材701からz方向に露出されている。これら複数の端子が第1スイッチモジュール702を制御する制御回路基板340に接続されている。
<第2スイッチモジュール>
第2コンバータ560の備える第2A相レグ540は第2樹脂部材561に被覆され、第2スイッチモジュール562を構成している。第2樹脂部材561はz方向に並ぶ第1樹脂面561aと第2樹脂面561bを備えたz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。
第2樹脂部材561の内部の複数のスイッチそれぞれのゲート電極に接続されたスイッチ制御端子563の一部が第2樹脂面561bからz方向に露出されている。第2樹脂面561bから露出された複数のスイッチ制御端子563が、第2スイッチモジュール562を制御するスイッチ回路基板350に接続されている。これらスイッチ制御端子563とスイッチ回路基板350との接続形態については後で詳しく説明する。第2樹脂部材561が被覆樹脂に相当する。
<第1ケース>
図3に示すように第1ケース800はz方向の回りの周方向に延びる第1枠部820と、第1枠部820の外側の第1枠外面820aに連結された第1締結部825と、第1枠部820の内側の第1枠内面820bに連結された支持部830と、を有する。支持部830は第1枠内面820bからx方向に離れるように突出している。第1枠部820と後述する第2枠部910が外壁部に相当する。第1枠内面820bは内壁面に相当する。
第1枠部820はx方向で互いに離間して対向する第1側壁821と第3側壁823、および、y方向で互いに離間して対向する第2側壁822と第4側壁824を有する。第1側壁821、第2側壁822、第3側壁823、第4側壁824は周方向で順に環状に連結されている。
図2に示すように第1締結部825は第1側壁821の第1枠外面820aに連結される第1フランジ部821aおよび第2フランジ部821bと、第3側壁823の第1枠外面820aに連結される第3フランジ部823aと第4フランジ部823bを有する。
第1フランジ部821aと第3フランジ部823aは第1枠部820のz方向の一端の第1端面820c側の第1枠外面820aに連結されている。第2フランジ部821bと第4フランジ部823bは第1枠部820のz方向の他端の第2端面820d側の第1枠外面820aに連結されている。第1フランジ部821aと第2フランジ部821bは第1側壁821の第1枠外面820aからx方向に離れるように延びている。第3フランジ部823aと第4フランジ部823bは第3側壁823の第1枠外面820aからx方向に離れるように延びている。図2において第1端面820cおよび第2端面820dを破線で示している。
支持部830は第1側壁821の第1枠内面820bに連結されている。支持部830はz方向に厚さの薄い第1支持壁部831および第2支持壁部832と、第1支持壁部831と第2支持壁部832とをz方向に連結する連結部833と、を有する。第1支持壁部831と第2支持壁部832とがz方向で離間して並んでいる。連結部833と第3側壁823とがx方向で離間している。図3において第1枠外面820aを一点鎖線で示している。
第1支持壁部831はz方向に並ぶ第1端面820c側の第1支持面831aと第2端面820d側の第2支持面831bを有する。第1支持壁部831には第1支持面831aと第2支持面831bを貫く貫通孔が形成されている。第1支持壁部831の第2支持面831b側にz方向に厚さの薄いプレート810が溶接されている。支持部830とプレート810が搭載部に相当する。
第1支持壁部831、連結部833、第2支持壁部832、およびプレート810によって区画される空間に冷却流路874が形成されている。冷却流路874には外部から冷媒が流されている。そのために冷却流路874を区画するプレート810などが積極的に冷却されている。
<第2ケース>
図2および図4に示すように第2ケース900はz方向に環状に連結された第2枠部910と、第2枠部910の外側の第2枠外面910aに連結された第2締結部915と、を有する。
第2枠部910はx方向で互いに離間して対向する第5側壁911と第7側壁913およびy方向で互いに離間して対向する第6側壁912と第8側壁914を有する。第5側壁911、第6側壁912、第7側壁913、第8側壁914はz方向に周方向で順に環状に連結されている。
第2締結部915は第5側壁911に連結される第5フランジ部911aおよび第6フランジ部911bと、第7側壁913に連結される第7フランジ部913aおよび第8フランジ部913bと、を有する。第5フランジ部911aは第5側壁911のz方向の一端の第3端面910c側の第2枠外面910aに連結されている。第6フランジ部911bは第5側壁911のz方向の他端の第4端面910d側の第2枠内面910bに連結されている。第7フランジ部913aは第7側壁913の第3端面910c側の第2枠外面910aに連結されている。第8フランジ部913bは第7側壁913の第4端面910d側の第2枠内面910bに連結されている。図2において第3端面910cと第4端面910d破線で示している。図4において第2枠外面910aを一点鎖線で示している。
<第1カバー>
第1カバー840はz方向に厚さの薄い第1底部841と第1底部841の第1内底面841aの端部からz方向に環状に起立した第3枠部850と、第3枠部850の外側の枠外面に連結された第3締結部853と、を有する。第3枠部850はx方向で互いに離間して対向する第9側壁851と第11側壁852およびy方向で互いに離間して対向する第10側壁と第12側壁を有する。第9側壁851、第10側壁、第11側壁852、第12側壁はz方向に周方向で順に環状に連結されている。
第3締結部853はx方向で互いに離間して対向する第9フランジ部851aと第11フランジ部852aおよびy方向で互いに離間して対向する第10フランジ部と第12フランジ部を有する。第9フランジ部851a、第10フランジ部、第11フランジ部852a、第12フランジ部はz方向に周方向で順に環状に連結されている。
上記した第9側壁851の枠外面に第9フランジ部851aが連結されている。上記した第11側壁852の枠外面に第11フランジ部852aが連結されている。第9フランジ部851aと第11フランジ部852aそれぞれは枠外面からx方向に離れるように延びている。
<第2カバー>
第2カバー920はz方向に厚さの薄い第2底部921と第2底部921の第2内底面921aの端部からz方向に環状に起立した第4枠部930と、第4枠部930の外側の枠外面に連結された第4締結部933と、を有する。第4枠部930はx方向で互いに離間して対向する第13側壁931と第15側壁932およびy方向で互いに離間して対向する第14側壁と第16側壁を有する。第13側壁931、第14側壁、第15側壁932、第16側壁はz方向に周方向で順に環状に連結されている。
第4締結部933はx方向で互いに離間して対向する第13フランジ部931aと第15フランジ部932aおよびy方向で互いに離間して対向する第14フランジ部と第15フランジ部932aを有する。第13フランジ部931a、第14フランジ部、第15フランジ部932a、第16フランジ部はz方向に周方向で順に環状に連結されている。
上記した第13側壁931の枠外面に第13フランジ部931aが連結されている。上記した第15側壁932の枠外面に第15フランジ部932aが連結されている。第13フランジ部931aと第15フランジ部932aそれぞれは枠外面からx方向に離れるように延びている。
<収納空間>
上記した第2フランジ部821bと第9フランジ部851aとがz方向で並ぶ。第4フランジ部823bと第11フランジ部852aとがz方向で並ぶ。第2フランジ部821bと第9フランジ部851aとが図示しないボルトなどによって連結されている。第4フランジ部823bと第11フランジ部852aとが図示しないボルトなどによって連結されている。これによって第1ケース800と第1カバー840とが連結されている。
上記した第1フランジ部821aと第5フランジ部911aとがz方向で並ぶ。第3フランジ部823aと第7フランジ部913aとがz方向で並ぶ。第1フランジ部821aと第5フランジ部911aとが図示しないボルトなどによって連結されている。第3フランジ部823aと第7フランジ部913aとが図示しないボルトなどによって連結されている。これによって第1ケース800と第2ケース900とが連結されている。第1ケース800と第2ケース900がケースに相当する。
上記した第6フランジ部911bと第13フランジ部931aとがz方向で並ぶ。第8フランジ部913bと第15フランジ部932aとがz方向で並ぶ。第6フランジ部911bと第13フランジ部931aとが図示しないボルトなどによって連結されている。第8フランジ部913bと第15フランジ部932aとが図示しないボルトなどによって連結されている。これによって第2ケース900と第2カバー920とが連結されている。
以下、支持部830よりもz方向で第1カバー840側の第1ケース800の収納空間を第1収納空間660と示す。支持部830よりもz方向で第2カバー920側の第1ケース800および第2ケース900の収納空間を第2収納空間940と示す。支持部830よりもx方向で第3側壁823および第7側壁913側に位置する空間を連通空間1000と示す。連通空間1000は第1収納空間660と第2収納空間940をz方向で連通している。図2において第1収納空間660と連通空間1000との境界を破線で示す。第2収納空間940と連通空間1000との境界を一点鎖線で示す。
<第1収納空間>
第1収納空間660に第2スイッチモジュール562と、第2コンデンサケース321と、第2リアクトルケース522と、スイッチ回路基板350と、第3コンデンサケース331の一部が収納されている。図2および図3に示すようにプレート810の第1カバー840側のプレート面810a側に第2スイッチモジュール562と第2コンデンサケース321と第2リアクトルケース522が搭載されている。プレート面810aが第1搭載面に相当する。
図3に示すように第2スイッチモジュール562と第2コンデンサケース321とがy方向に並んでいる。第2スイッチモジュール562は第2コンデンサケース321よりも第4側壁824側に位置している。
第2リアクトルケース522はy方向に並ぶ第2スイッチモジュール562と第2コンデンサケース321それぞれとx方向で並んでいる。第2リアクトルケース522は第2スイッチモジュール562と第2コンデンサケース321それぞれよりもx方向で第1側壁821側に位置している。
プレート810に搭載された第2スイッチモジュール562、第2コンデンサケース321、第2リアクトルケース522それぞれよりもx方向で第3側壁823側に第3コンデンサケース331の一部が位置している。第3コンデンサケース331の残りの一部は連通空間1000と第2収納空間940それぞれに位置している。
図2に示すようにプレート面810aからz方向に第1カバー840側に離れた位置にスイッチ回路基板350が位置している。スイッチ回路基板350はz方向に並ぶ第1主面350aと第2主面350bを備えたz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。スイッチ回路基板350はプレート810に形成された締結部位と図示しないボルトなどによって固定されている。第1主面350aが主面に相当する。
スイッチ回路基板350はプレート810に搭載された第2スイッチモジュール562の第2樹脂部材561よりもz方向で第1カバー840側に位置している。第2樹脂部材561がz方向でプレート810とスイッチ回路基板350との間に位置している。
スイッチ回路基板350の第1主面350aと第2樹脂部材561の第2樹脂面561bとがz方向で離間して対向している。スイッチ回路基板350の第2主面350bが第1カバー840側に位置している。
図2に示すように第2樹脂面561bから露出された複数のスイッチ制御端子563はスイッチ回路基板350に向かってz方向に延びている。スイッチ回路基板350には第1主面350aと第2主面350bをz方向に貫く複数の貫通孔が形成されている。これらの貫通孔に第2樹脂面561bから露出された複数スイッチ制御端子563が通される。貫通孔に通されたスイッチ制御端子563とスイッチ回路基板350とがはんだなどによって接続されている。なお、図3においてはスイッチ回路基板350の貫通孔と、貫通孔に通されたスイッチ制御端子563の記載は省略されている。
これまでに示したようにプレート810のプレート面810a側には第2スイッチモジュール562のほかに第2コンデンサケース321と第2リアクトルケース522とが搭載されている。以下、第2コンデンサケース321の第1カバー840側の主面を第3主面321aと示す。第2リアクトルケース522の第1カバー840側の主面を第4主面522aと示す。第3主面321aと第4主面522aが並び面に相当する。
プレート面810aとスイッチ回路基板350の第2主面350bとのz方向の離間距離L1は、プレート面810aと第3主面321aとのz方向の離間距離L2よりも短くなっている。プレート面810aと第2主面350bとのz方向の離間距離L1は、プレート面810aと第4主面522aとのz方向の離間距離L3よりも短くなっている。
プレート面810aと第2主面350bの裏側の第1主面350aとのz方向の離間距離L4は、プレート面810aと第3主面321aとのz方向の離間距離L2よりも短くなっている。プレート面810aと第1主面350aとのz方向の離間距離L4はプレート面810aと第4主面522aとのz方向の離間距離L3よりも短くなっている。
第2主面350bに上記した第1コネクタ720が設けられている。第1コネクタ720は第2主面350bの第3側壁823側に位置している。さらに第1コネクタ720の第3側壁823側にケーブル740の他端が接続されている。
ケーブル740はz方向に延びて第1収納空間660から連通空間1000を通って第2収納空間940に向かって延びている。z方向に延びるケーブル740の一部がプレート面810aと第1主面350aとの間の空間とx方向で対向している。
<第2収納空間>
図2および図4に示すように第2収納空間940にパワーモジュール710と第1リアクトルケース512と第1コンデンサケース311と制御回路基板340と第3コンデンサケース331の一部が収納されている。第2支持壁部832の第2カバー920側の第3支持面832a側に第1リアクトルケース512と第1コンデンサケース311が搭載されている。パワーモジュール710は第3支持面832aからz方向に離間した状態で第2ケース900に固定されている。パワーモジュール710は、x方向において図示しない付勢体と第5側壁911との間で挟持されている。第3支持面832aが第2搭載面に相当する。
第3コンデンサケース331は第1リアクトルケース512と第1コンデンサケース311、パワーモジュール710よりもx方向で第7側壁913側に位置している。第2収納空間940に位置する第3コンデンサケース331の一部に保持部331aが形成されている。
図2および図4に示すようにパワーモジュール710と第1リアクトルケース512とがx方向で並んでいる。第1リアクトルケース512はパワーモジュール710よりもx方向で第7側壁913側に位置している。第1コンデンサケース311はx方向に並ぶパワーモジュール710と第1リアクトルケース512それぞれとy方向に並んでいる。第1コンデンサケース311はパワーモジュール710と第1リアクトルケース512それぞれよりもy方向で第6側壁912側に位置している。
図2に示すように制御回路基板340はz方向に第2カバー920側に位置している。制御回路基板340はz方向に並ぶ第1制御面340aと第2制御面340bを備えたz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。制御回路基板340はパワーモジュール710と第1リアクトルケース512と第1コンデンサケース311それぞれよりもz方向で第2カバー920側に位置している。
第1制御面340aに上記した第2コネクタ730が設けられている。第2コネクタ730は第1制御面340aの第7側壁913側に位置している。第2コネクタ730にケーブル740の一端が接続されている。ケーブル740はz方向に第1収納空間660側へ延びる途中で第3コンデンサケース331に形成された保持部331aによって保持されている。
<連通空間>
図2に示すように連通空間1000によって第1収納空間660と第2収納空間940がz方向で連通している。連通空間1000に第3コンデンサケース331の残りの一部が収納されている。第1コネクタ720に接続されたケーブル740が連通空間1000を通って第2コネクタ730に接続されている。
<冷却流路>
これまでに示したように第1支持壁部831、連結部833、第2支持壁部832、およびプレート810によって区画される冷却流路874に冷媒が流されている。プレート810に第2スイッチモジュール562と第2コンデンサケース321と第2リアクトルケース522を備える第1電気部品群860が搭載されている。第1電気部品群860は冷媒によって積極的に冷却されている。
図3に示すように冷却流路874にx方向に延びる第1冷却流路871および第3冷却流路873と第1冷却流路871と第3冷却流路873を連結する第2冷却流路872が形成されている。
第1冷却流路871は第3冷却流路873よりも第2側壁822側に位置している。第1冷却流路871に外部から供給される冷媒が流される。冷媒は第1冷却流路871を通った後、第2冷却流路872を通り、第3冷却流路873に通される。第3冷却流路873に流された冷媒は図示しない配管を通り、パワーモジュール710の備える冷却器700に流される。
図3においてこれら冷却流路874を破線で示している。第1冷却流路871と第2冷却流路872との境界を一点鎖線で示している。第2冷却流路872と第3冷却流路873との境界を二点鎖線で示している。
<パワーモジュール>
これまでに示したようにパワーモジュール710は冷却器700と第1スイッチモジュール702を有する。冷却器700は図3に示すように供給管703、排出管705、および、供給管703と排出管705を連結する複数の中継管704を有する。供給管703と排出管705はx方向に延びて第5側壁911から露出されている。供給管703と排出管705はy方向で離間している。複数の中継管704それぞれは供給管703から排出管705に向かってy方向に沿って延びている。
上記した冷却流路874から図示しない配管を通して供給された冷媒が供給管703に流される。供給管703に流された冷媒は複数の中継管704を介して排出管705へと流れされる。排出管705に流れついた冷媒は外部へ排出される。
上記したように冷却器700に第1スイッチモジュール702が収納されている。第1スイッチモジュール702はx方向で第5側壁911と図示しない付勢体によって挟持され、中継管704に積極的に接触している。第1スイッチモジュール702で発生した熱が中継管704を介して冷媒に放熱可能になっている。
第2収納空間940に収納されるパワーモジュール710、第1リアクトルケース512、第1コンデンサケース311、制御回路基板340、および、第3コンデンサケース331の一部を適宜第2電気部品群870と示す
<作用効果>
第1収納空間660と第2収納空間940がz方向で支持部830とプレート810を介して並んでいる。第2収納空間940は第1収納空間660よりもz方向で第2カバー920側に位置している。第1収納空間660と第2収納空間940とが連通空間1000を介してz方向で連通している。
第1収納空間660に第1電気部品群860が収納されている。第2収納空間940に第2電気部品群870が収納されている。これまでに示したように第1収納空間660においてプレート面810aと第1主面350aとのz方向の離間距離L4は、プレート面810aと第3主面321aとのz方向の離間距離L2よりも短くなっている。プレート面810aと第1主面350aとのz方向の離間距離L4は、プレート面810aと第4主面522aとのz方向の離間距離L3よりも短くなっている。
そのためにプレート面810aと第1主面350aとの間の空間の通風抵抗がプレート面810aと第3主面321aとの間の通風抵抗よりも大きくなっている。プレート面810aと第1主面350aとの間の空間の通風抵抗がプレート面810aと第4主面522aとの間の通風抵抗よりも大きくなっている。
第2収納空間940に備えられた第2電気部品群870から発生した塵が連通空間1000を通って第1主面350aに付着しにくくなっている。第2電気部品群870から発生した塵が導電性を備えていた場合、スイッチ回路基板350の短絡が抑制されやすくなっている。
これまでに示したようにz方向に延びるケーブル740の一部がプレート面810aと第1主面350aとの間の空間とx方向で対向している。そのためにプレート面810aと第1主面350aとの間の通風抵抗が大きくなりやすくなっている。
第2電気部品群870から発生した塵が連通空間1000を通って第1収納空間660に移動したとしても、ケーブル740によってこれらの塵が第1主面350aへ付着することが阻害されやすくなっている。第1主面350aに塵が付着しにくくなっている。
これまでに示したようにスイッチ回路基板350の第3側壁823側に第1コネクタ720が設けられている。制御回路基板340の第7側壁913側に第2コネクタ730が設けられている。連通空間1000を通ってスイッチ回路基板350と制御回路基板340を接続するケーブル740の長さが短くなりやすくなっている。ノイズのケーブル740への侵入が抑制されやすくなっている。
これまでに示したように第2スイッチモジュール562の第2樹脂部材561がz方向でプレート810とスイッチ回路基板350との間に位置している。スイッチ回路基板350の第1主面350aと第2樹脂部材561の第2樹脂面561b面と間の距離が、第1主面350aとプレート面810aとの間の距離よりも短くなっている。
第1主面350aと第2樹脂面561b面と間の通風抵抗が、第1主面350aとプレート面810aとの間の通風抵抗よりも大きくなりやすくなっている。第2電気部品群870から発生した塵が連通空間1000を通って第1収納空間660に移動したとしても、第1主面350aに塵が付着しにくくなっている。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第1変形例)
図5に示すように第1支持壁部831にはプレート810が連結されていなくてもよい。その場合第1電気部品群860が第1支持壁部831の第2支持面831b側に搭載されていればよい。第2支持面831bと第2主面350bとのz方向の離間距離L5が、第2支持面831bと第3主面321aとのz方向の離間距離L6よりも短くなっている。第2支持面831bと第2主面350bとのz方向の離間距離L5が、第2支持面831bと第4主面522aとのz方向の離間距離L7よりも短くなっている。
第1収納空間660において第2支持面831bと第2主面350bの裏側の第1主面350aとのz方向の離間距離L8は、第2支持面831bと第3主面321aとのz方向の離間距離L6よりも短くなっている。第2支持面831bと第1主面350aとのz方向の離間距離L8は第2支持面831bと第4主面522aとのz方向の離間距離L7よりも短くなっている。
第2支持面831bと第1主面350aとの間の空間の通風抵抗が第2支持面831bと第3主面321aとの間の通風抵抗よりも大きくなっている。第2支持面831bと第1主面350aとの間の空間の通風抵抗が第2支持面831bと第4主面522aとの間の通風抵抗よりも大きくなっている。そのために第2電気部品群870から発生した塵が連通空間1000を通って第1主面350aに付着しにくくなっている。
なお、第1電気部品群860は第1支持壁部831に搭載されることで、第1支持壁部831と第2支持壁部832と連結部833によって区画される空間に形成された冷却流路874に通される冷媒によって積極的に冷却されている。
(その他の変形例)
本実施形態では電力変換装置300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電力変換装置300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータと内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電力変換装置300が含まれる構成を採用することもできる。
本実施形態では電力変換装置300に1つのモータ400の接続される例を示した。しかしながら電力変換装置300に複数のモータ400の接続される構成を採用することもできる。この場合、電力変換装置300はインバータを構成するための3相のスイッチモジュールを複数有する。