JP2021071627A - 二成分現像剤 - Google Patents

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Takao Shibata
隆穂 柴田
菅原 庸好
Nobuyoshi Sugawara
庸好 菅原
伸 北村
Shin Kitamura
伸 北村
高橋 徹
Toru Takahashi
徹 高橋
大祐 辻本
Daisuke Tsujimoto
大祐 辻本
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Kazunari Oyama
一成 大山
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Yu Nishimura
悠 西村
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Makoto Nakajima
良 中島
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仁思 佐野
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一貴 村田
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Abstract

【課題】 本発明によれば、連続的に高面積の画像を形成した際、更に、その後に低面積の画像を連続形成した際においても、安定したトナーの帯電性が得られる二成分現像剤を提供することができる。【解決手段】 トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子、前記トナー粒子の表面に付着した微粒子A及び微粒子Bを有し、前記微粒子Aが、炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物をその表面に有し、前記微粒子A、微粒子B、磁性キャリアが所定の帯電系列を示すことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、及び、静電印刷方式などに用いられる二成分現像剤に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高速化、高画質化はもちろんのこと、出力画像を長期に安定化させる耐久性能の向上も要求されている。
高画像面積で連続的に出力した場合、トナーに含有する外添剤や離型剤などが磁性キャリア表面を汚染するため、磁性キャリアによる帯電付与性が低下し、その結果、トナーの帯電性が低下する。トナーの帯電量が変化すると、現像工程において形成するトナー像中のトナー個数が変化し、画像濃度が変化してしまう。また、高画像面積で連続的に出力した後、続けて低画像面積の画像を連続出力すると、さらにトナーの帯電性が低下してしまう場合があった。そのため、長期にわたってトナーの帯電が安定した現像剤が求められている。
高画像面積で連続出力時のトナー帯電性低下を抑制する方法として、トナー粒子に特定の2種類の樹脂微粒子の固着率を制御して外添処理したトナーを用いる方法が提案されている。この方法では、磁性キャリアにトナーが移行した場合においても、磁性キャリアの帯電付与性の変化を抑制できる(特許文献1)。
さらに,磁性キャリア表面にあらかじめ樹脂微粒子を添加し、磁性キャリアからトナーに樹脂微粒子が移行することでトナーの帯電性を長期安定化させる方法が提案されている(特許文献2)。
また、トナー粒子の表面に両性界面活性剤を含有したトナーが提案されている(特許文献3)。
特開2018−185465号公報 特開2019−54893号公報 特開2016−224107号公報
特許文献1に記載のトナーは、カチオン系界面活性剤を含有した樹脂微粒子をトナー粒子に高固着し、アニオン系界面活性剤を含有した樹脂微粒子をトナー粒子に低固着したポジ帯電性トナーである。特許文献1記載のポジ帯電性トナーは、高画像面積で連続出力時に、固着強度に由来してトナー表面からアニオン系界面活性剤を含有した樹脂微粒子が磁性キャリア表面へと移行しやすくなる。前記樹脂微粒子は、トナーの帯電性とは逆極性の帯電性を有することから、トナー表面から磁性キャリア表面に移行しても磁性キャリアの帯電付与性が低下しないため、長期耐久時においても帯電性を維持し、画像安定性が良好である。
しかしながら、連続的に高面積の画像を形成した後に低面積の画像を連続形成した際に、トナーの帯電性が変化しやすく、画像濃度が大きく変化してしまう場合があった。
特許文献2に記載のトナーは、カチオン系界面活性剤を含有した樹脂微粒子をあらかじめキャリア表面に付着させ、アニオン系界面活性剤を含有した樹脂微粒子をトナー粒子に付着させたポジ帯電性トナーである。特許文献2の記載のポジ帯電性トナーも特許文献1と同様の技術思想で、高画像面積で連続出力時にトナーの帯電性と逆極性の樹脂微粒子がトナーから磁性キャリアへ、一方で磁性キャリアの帯電性と逆極性の樹脂微粒子が磁性キャリアからトナー移動する。その結果、磁性キャリア汚染が進行しても磁性キャリアの帯電性とトナーの帯電性が低下することなく、長期に安定な画像を得ることができる。
しかしながら、特許文献1記載のトナーと同様に、連続的に高面積の画像を形成した後に低面積の画像を連続形成した際に、トナーの帯電性が変化しやすく、画像濃度が大きく変化してしまう場合があった。
特許文献3のトナーは、トナー表面に第1界面活性剤に由来する陽イオンと第2界面活性剤に由来する陰イオンとがイオン結合した疎水性塩を含有している。その結果、従来の界面活性剤のイオン性由来で帯電性を向上させていたトナーに対し、イオン含有の疎水性塩となることで、帯電保持性が向上する。
しかしながら、特許文献3記載のトナーは、連続的に高面積の画像を形成すると磁性キャリアの帯電付与性が低下する場合があるため、長期使用時における画像安定性は十分ではなかった。
以上のことから、連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性と、その後に低面積の画像を連続形成した際のトナーの帯電安定性とを高いレベルで両立することは困難である。優れた画質性を示した上で、高速機においても、安定性の高い画像を連続的に出力しつづけることができる二成分現像剤の開発が急務となっている。
本発明の二成分現像剤は、
トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
前記トナーは、
結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子、
前記トナー粒子の表面に付着した微粒子A及び微粒子Bを有し、
前記微粒子Aが、炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物をその表面に有し、
前記トナーをテトラヒドロフランに分散して、テトラヒドロフランに抽出されるテトラヒドロフラン可溶分中の結着樹脂成分を用いて作成した樹脂片に対して、測定試料を摺擦したのち、樹脂片から測定試料を除去する試験において、測定試料の除去前後での樹脂片の表面電位の差に関して、測定試料が微粒子A、微粒子B及び磁性キャリアであるときの電位差(V)をそれぞれV、V及びVとしたとき、前記V、V、Vが式(1)及び、(2)又は(3)を満足することを特徴とする。
|V−V|≧70 ・・・式(1)
>V>V ・・・式(2)
<V<V ・・・式(3)
本発明によれば、連続的に高面積の画像を形成した際、更に、その後に低面積の画像を連続形成した際においても、安定したトナーの帯電性が得られる二成分現像剤を提供することができる。
本発明に用いられる熱球形化処理装置の図である。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本願発明者らは、引用文献1に記載のトナーを用いて、連続的に高面積の画像を形成した後に、低面積の画像を連続形成した際に、トナーの帯電性が変化しやすくなる理由について、検討を行った。
その結果、以下のようなメカニズムに起因していると考えた。
(i)連続的に高面積の画像を形成することにより、トナーと逆帯電性の樹脂微粒子が磁性キャリア表面へと移行する。
(ii)その後に低面積の画像を連続形成することにより、磁性キャリア表面に移行していたトナーと逆帯電性の樹脂微粒子が、トナー表面へと移動する。
(iii)トナー表面に戻った樹脂微粒子の帯電性に起因してトナーの帯電量が大きく低下し、画像濃度安定性が低下する。
また、トナーと同極性の帯電性を有する樹脂微粒子を用いた場合は、高面積の画像を連続形成する際にトナーの帯電量が(磁性キャリアへの移行に伴い、磁性キャリアの帯電付与性が低下)低下してしまう。
以上の要因解析から、トナーから磁性キャリアへの微粒子の移行時(高面積の画像を連続形成時)、磁性キャリアからトナーへの微粒子の移行時(低面積の画像を連続形成時)に、それぞれ帯電性を制御することができれば、安定した帯電性が得られるということが分かった。
[微粒子A、微粒子B]
本発明で用いられるトナーは、トナー粒子の表面に、炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物を有する微粒子Aを有する。
本発明における両性イオン化合物は、炭素数6以上の炭化水素構造を有し、1分子内にアニオン性基とカチオン性基とを有する中性化合物である。このような両性イオン化合物は、分子内にアニオン性基とカチオン性基とを有するために、摩擦帯電する相手によって帯電極性を容易に変化させることができる。
微粒子Aは、トナー表面に存在する際は、磁性キャリアの帯電性と逆の極性、つまりトナーと同極性に帯電する。一方で、トナー表面に有する微粒子Aがトナーから磁性キャリア表面に移行すると、トナー表面に有する微粒子B(トナーと同極性の帯電性)と摩擦帯電し、微粒子Bとは反対の極性に電荷が反転する(すなわち、トナーと逆極性になる)。
その結果、磁性キャリア表面の帯電付与性の低下が抑制され、高面積の画像を連続形成する際において、トナーの帯電量が安定化する。
続けて、磁性キャリア表面に有する微粒子Aが磁性キャリア表面からトナー表面に移行すると、微粒子Aは再度磁性キャリア表面と摩擦帯電し、電荷が反転する(すなわち、トナーと同極性になる)。その結果、連続的に高面積の画像を形成した後、低面積の画像を連続形成した際においても、安定したトナーの帯電性が得られる。
両性イオン化合物は、炭素数6以上の炭化水素構造を有することで、変化後の帯電性を保持することができる。さらに好ましくは、炭素数10以上の炭化水素構造である。尚、両性イオン化合物は、1種類で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明における炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物としては、ベタイン構造を有する化合物が好ましい。例えば、下記一般式(1)で表されるベタイン構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2021071627
式(1)中、Rとしては、炭素数6以上の炭化水素基、アルキルアミド(R−CONH−)で置換された炭化水素基、アルキルエステル(R−COO−)で置換された炭化水素基、アルキルエーテル(R−O−)で置換された炭化水素基、アルキルスルフィド(R−S−)で置換された炭化水素基、アルキルケトン(R−CO−)で置換された炭化水素基を例示できる。置換された炭化水素基である場合には、末端のアルキル基の炭素数が6以上であればよい。これらの基は、更に、ハロゲン、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、炭化水素基としては、直鎖または枝分かれ構造を有す炭化水素基、または、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンの如き芳香環の炭化水素基が例示される。
式(1)中のR及びRとしては、直鎖または枝分かれ構造を有する鎖状炭化水素基、または、フェニル基、ナフチル基、アントリル基の如き芳香族炭化水素基である。なお、R、R、Rはそれぞれ必要に応じてそれぞれ結合し、芳香族あるいは非芳香族の環状構造をとっていてもよい。
式(1)中のAは、炭化水素基であり、炭素数1乃至6のアルキレン基が好ましい。炭化水素基は、ヒドロキシ基、ハロゲンで置換されていてもよい。
式(1)中のX は、カルボン酸アニオン(−COO)、スルホン酸アニオン(−SO )、リン酸アニオン(−PO )が挙げられる。式(1)中のX は、カルボン酸アニオンが高湿度環境下における帯電安定性の観点から好ましい。
本発明における炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、コカミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルスルホベタイン、ラウリルスルホベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、コカミドプロピルヒドロキシホスファトベタインが挙げられる。以下に市販されている両性イオン化合物を例示する。NIKKOLAM−301、NIKKOLAM−3130N(以上日本サーファクタント株式会社);アモーゲンCB−C、アモーゲンCB−H、アモーゲンS、アモーゲンS−H、アモーゲンLB−C(以上第一工業製薬株式会社);アンホレックスLB−2、アンホレックス35N、アンホレックス50、アンホレックスDB−2(以上ミヨシ油脂株式会社);エナジコールCNS、エナジコールC−40H、エナジコールL−30B、エナジコールC−30B(以上ライオン株式会社);オバゾリン662N、オバゾリン662N−SF、オバゾリンBC、オバゾリンCAB−30、オバゾリンCS−65、オバゾリンLB−SF(以上東邦化学工業株式会社);ゲナゲン B 1566、ゲナゲン B 3267、ゲナゲン CAB 818J、ゲナゲン DAB−J(以上クラリアントジャパン株式会社);タイポールソフト AMP−100、タイポールソフト AMP−300、タイポールソフト CDB−30、タイポールソフト CB−30N、タイポールソフト CMZ−30(以上泰光油脂化学工業株式会社);デヒトンAB−30、デヒトンK(以上コグニスジャパン株式会社);マーポビスターCAP、マーポビスターLAP、マーポビスターMAP、マーポビスターML(以上松本油脂製薬株式会社);リカビオン A−100、リカビオン A−200、リカビオン B−200、リカビオンB−300(以上新日本理化株式会社);ソフダゾリンLSB(川研ファインケミカル株式会社);アンヒトール 20AB、アンヒトール 20BS、アンヒトール 24B、アンヒトール 55AB、アンヒトール 86B、アンヒトール 20Y−B(以上花王株式会社)。
両性イオン化合物の量は、微粒子Aの質量を基準として、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.5質量%以上15質量%以下である。両性イオン化合物を0.1質量部以上有することで、摩擦帯電する相手によって帯電極性を迅速に変化させることができるため、連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性と、その後に低面積の画像を連続形成した際においてもトナーの帯電性安定性とを高いレベルで安定化できる。15質量部以下にすることで、両性イオン化合物の親水性に由来した高湿度環境下における帯電性の変化を抑制することができる。
微粒子A、微粒子B、磁性キャリアは帯電特性に関して、以下の関係を有する。
トナーをテトラヒドロフランに分散して、テトラヒドロフランに抽出されるテトラヒドロフラン可溶分中の結着樹脂成分を用いて作成した樹脂片に対して、測定試料を摺擦したのち、樹脂片から測定試料を除去する試験において、測定試料の除去前後での樹脂片の表面電位の差に関して、測定試料が微粒子A、微粒子B及び磁性キャリアであるときの電位差(V)をそれぞれV、V及びVとしたとき、前記V、V、Vが式(1)及び、(2)或いは(3)を満足する。
|V−V|≧70 ・・・式(1)
>V>V ・・・式(2)
<V<V ・・・式(3)
樹脂片は以下のようにして作成される。樹脂の軟化点より高温(結着樹脂の軟化点+20℃が好ましい)に熱せられたホットプレート上で、厚さ40μmのPTFEシートで樹脂(テトラヒドロフラン可溶分中の結着樹脂成分)を挟み込み、ハンマーなど平らなもので圧力をかけることにより作製する。樹脂片の寸法は、縦2cm横2cm高さ0.5cm程度である。
次いで、作製された樹脂片の表面を除電装置により除電する。X線発生装置(浜松ホトニクス社製Photoionizer)により微弱X線(管電圧15kV、照射角130°)を30秒照射させることによって除電する。
樹脂片に電位が残っていないことを、表面電位計(トレックジャパン製 model347)によって電位が−50V〜+50Vであることで確認する。ここで、表面電位計と樹脂片との距離は1cmとする。
次いで、樹脂片上に微粒子Aを乗せ、もう一つ同様にして作製した樹脂片で微粒子Aを挟み、30往復こすり合わせる。
ここで、微粒子Aが樹脂片に付着した状態で測定した樹脂片の表面電位を表面電位Vとする。この外添剤を、摩擦帯電を発生させないように、エアブローにより除去した樹脂片を用いて測定した表面電位を表面電位Vとする。これらの表面電位Vと表面電位Vとの差分を算出することにより、微粒子Aが持っていた電荷の量を見積もることが可能となる。
すなわち、結着樹脂と微粒子Aとの間での電位差Vは、下記式により算出することができる。
電位差V=(樹脂片と微粒子Aとをこすり合わせた後、微粒子Aが樹脂片に付着した状態で測定した樹脂片の表面電位V)−(樹脂片と微粒子Aとをこすり合わせた後、微粒子Aをエアブローで除去した樹脂片を用いて測定した表面電位V
上記と同様にして、微粒子Aの代わりに微粒子B、磁性キャリアを使用して帯電系列試験を行い、結着樹脂と微粒子Bとの間での電位差V、結着樹脂と磁性キャリアとの間での電位差Vを算出する。
上記の測定で求められた電位差Vと電位差Vとの差の絶対値が70V以上であることを特徴とする(式1)。
前記式(1)中の表面電位差は、例えば微粒子Bの表面処理によって制御することが可能である。微粒子Aと微粒子Bの帯電系列試験における電位差が大きいほど、トナーから磁性キャリアに微粒子Aが移行する際に、微粒子Aの帯電性を迅速に反転させ、磁性キャリアの帯電性低下を抑制することができる。
本発明の微粒子A、微粒子B、および磁性キャリアの関係式は、前記式(2)または(3)を満足することを特徴とする。
>V>V ・・・式(2)
<V<V ・・・式(3)
例えば二成分現像剤におけるトナーが負帯電性である場合、磁性キャリアはその反対電荷である正帯電性を有し、微粒子Bはトナーに負帯電性を付与するべく、負帯電性を有している。本発明の微粒子Aは、トナー表面に存在する際はトナーと同帯電性、すなわち負帯電性を有しており、磁性キャリアに移行した際は、微粒子Bとの摩擦帯電によりトナーと逆帯電に変化することを特徴とする。その際、式(1)の関係式および上記思想の観点から、微粒子Aは微粒子Bと摩擦した際に一定量以上負帯電性が低いことが言える(従ってV>Vなる)。磁性キャリアからトナーに再度移動して戻ってくる際に、微粒子Aが磁性キャリアと帯電して再度負帯電性となるためには、V>Vである必要がある。すなわち、V>V>Vを満たす必要がある。
二成分現像剤におけるトナーが正帯電性である場合も同様に、V<V<Vを満たすことが本発明の作用効果を発現する上で重要となる。
微粒子Aおよび微粒子Bは、無機微粒子であっても、有機微粒子であっても良い。無機微粒子としては、例えば、酸化ケイ素(シリカ)や、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン(チタニア)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの金属酸化物の微粒子が挙げられる。また、無機微粒子としては、例えば、無定形炭素(カーボンブラックなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(チタン酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)などの微粒子も挙げられる。微粒子A、微粒子Bおよびキャリアによる帯電系列制御性の観点から、微粒子Aおよび微粒子Bは帯電量が漏洩しない体積抵抗にすることが好ましい。具体的には、微粒子Aおよび微粒子Bの体積抵抗は1.0×1012Ω・cm以上であることが好ましい。従って、無機微粒子であれば、具体的にはシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の製造方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
・ケイ素化合物をガス状にして、火炎中において分解・溶融させる火炎溶融法。
・金属ケイ素粉末を酸素−水素からなる化学炎で直接酸化させてシリカ微粉末を得る気相酸化法。水が存在する有機溶媒中で、触媒を用いてアルコキシシランを加水分解し、縮合反応させた後、得られたシリカゾル懸濁液から、溶媒除去し、乾燥させる湿式法(ゾルゲルシリカ)。
・四塩化ケイ素を、酸素、水素、希釈ガス(例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素など)の混合ガスとともに、高温で燃焼させる気相法(乾式法シリカ、ヒュームドシリカ)。
また、有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、及びポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロロアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、及び石油系樹脂などから構成される樹脂微粒子が挙げられる。後述する乳化重合法により微粒子の分子量や架橋制御が容易であり機械的強度の高い微粒子を設計できることから、スチレン系共重合体が好ましい。
樹脂微粒子の製造方法として、例えば、以下の公知の方法が挙げられる。
公知の方法としては、例えば、乳化重合法、自己乳化法、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液に水系媒体を添加していくことで樹脂を乳化する転相乳化法、又は有機溶剤を用いず、水系媒体中で高温処理することで強制的に樹脂を乳化する強制乳化法などが挙げられる。より具体的には、乳化重合法では、界面活性剤を含有した水系媒体と重合性単量体とをホモミキサーやホモジナイザー等を使用して混合撹拌し、重合性単量体の油滴を所望の大きさに分散させる。その後、一定の撹拌下において、加熱し、重合開始剤を添加することで重合反応を進行させる。十分に重合反応が進行した後、洗浄乾燥することで、樹脂微粒子を得ることができる。
微粒子Aの個数平均粒径(Ra)は、磁性キャリアや微粒子Bと効率よく摩擦帯電する観点から15nm以上500nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、30nm以上200nm以下である。
微粒子Bの個数平均粒径(Rb)は、磁性キャリアや微粒子Aと効率よく摩擦帯電する観点から15nm以上500nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、30nm以上200nm以下である。
また、微粒子Aの粒径(Ra)と微粒子Bの粒径(Rb)との比(Ra/Rb)は、微粒子Aが磁性キャリアへ移動した際に効率よく微粒子Bと摩擦帯電し、帯電極性を反転させる観点から、0.50以上1.50以下であることが好ましく、0.75以上1.25以下であることがより好ましい。
微粒子Aに両性イオン化合物を含有させる方法としては、微粒子を製造後に両性イオン化合物を吸着させる方法や、微粒子製造工程内において両性イオン化合物を含有させる工程を含む方法などが挙げられる。微粒子を製造後に両性イオン化合物を吸着させる方法として、具体的には、両性イオン化合物を水系媒体と混合し、溶解させた後、上記で得られた微粒子とを混合することで、微粒子の表面に両性イオン化合物が吸着した水系混合物が得られる。両性イオン化合物は、炭素数6以上の炭化水素構造を有しており、炭素数が大きくなるほど微粒子表面への吸着量が大きくなることから、炭素数10以上の炭化水素構造を有することが好ましい。前記のように微粒子Aに両性イオン化合物を吸着させた後、微粒子として取り出す乾燥方法としては、スプレードライ法等に代表される気槽中への噴霧乾燥法や、混合物を凍結固化させ、溶媒である氷を昇華させて乾燥させる凍結乾燥法(フリーズドライ)が挙げられる。微粒子Aが無機微粒子の場合は、上記のいずれの乾燥方法であっても良いが、樹脂微粒子の場合は、微粒子同士の凝集を抑制する観点から凍結乾燥法が好ましく用いられる。
また、微粒子製造工程内において両性イオン化合物を含有させる工程を含む方法として具体的には、微粒子の製造過程の水系媒体中に前記両性イオン化合物を溶解させておけば良い。
微粒子Bは、帯電制御の観点からシラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような表面処理剤により表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤は特に限定はされないが、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーン化合物又はシランカップリング剤が挙げられる。
ジシリルアミン化合物は、ジシリルアミン(Si−N−Si)部位を有する化合物である。ジシリルアミン化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチル−N−プロピルジシラザンが挙げられる。ハロゲン化シラン化合物の例としては、ジメチルジクロロシランが挙げられる。
シリコーン化合物の例としては、シリコーンオイル又はシリコーン樹脂(ワニス)が挙げられる。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル又はフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーン樹脂(ワニス)としては、メチルシリコーンワニス、フェニルメチルシリコーンワニスが挙げられる。
シランカップリング剤の例としては、アルキル基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又はアミノ基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又は含フッ素シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としてより具体的には、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキメチルシラン又はγ−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、1,1.1−トリフルオロヘキシルジエトキシシランなどが挙げられる。
特にトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどのフッ素系のシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
微粒子Aの含有量(Wa)は、後述するトナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。微粒子Aの含有量が0.1質量部以上になることで、連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性と、その後に低面積の画像を連続形成した際においてもトナーの帯電性安定性とを高いレベルで安定化できる。微粒子Aの含有量が10.0質量部以下になることで、連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性がより安定化することができる。微粒子Aの含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
微粒子Bの含有量(Wb)は、後述するトナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。微粒子Bの含有量が0.1質量部以上になることで、効率的に微粒子Aの帯電系列制御が可能となるため、連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性をより向上できる。微粒子Bの含有量が10.0質量部以下になることで、微粒子Bの磁性キャリアへの移動量を抑制できる観点から連続的に高面積の画像を形成した際のトナーの帯電安定性がより安定化することができる。微粒子Bの含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.5質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
また、微粒子Aの含有量(Wa)と微粒子B(Wb)の含有量の比(Wa/Wb)は、微粒子Aが磁性キャリアへ移動した際に効率よく微粒子Bと摩擦帯電し、帯電系列を反転させる観点から、0.20以上1.00以下であることが好ましく、0.25以上0.75以下であることがより好ましい。
また、微粒子Aのトナー粒子に対する固着率は、微粒子Bよりも優先的に磁性キャリアへ移動することで、微粒子Bによる磁性キャリアの帯電性低下を抑制できることから、微粒子Bのトナーに対する固着率よりも低いことが好ましい。微粒子Aおよび微粒子Bのトナーに対する固着率は、微粒子Aおよび微粒子Bが無機微粒子であれば以下のように求めることができる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、濃スクロース水溶液を調製する。20mLガラス瓶に前記濃スクロース水溶液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
サンプルの入ったガラス瓶をヤヨイ振とう機にて200rpm、5minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離操作を行い3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と除去された磁性キャリアに移行しやすい微粒子Aおよび微粒子Bが分離する。トナー層と水層とが十分に分離されていることを目視で確認し、トナー層の最上層(水層との界面部)のトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、磁性キャリアに移行しやすい微粒子Aおよび微粒子Bが分離されたトナー粒子を得る。
次に、上記分離工程前のトナー粒子の表面に存在する微粒子Aおよび微粒子Bの定量を行う。まず、X線光電子分光法を用いて、微粒子Aおよび微粒子B単体のX線光電子分光測定を行い、構成元素比率を算出する。その後微粒子Aおよび微粒子Bを含有するトナー粒子のX線光電子分光測定を行い、トナー粒子表層の構成元素比率を算出する。仮に微粒子Aと微粒子Bの化学構造が同じであっても、微粒子Bにおいては、前記両性イオン化合物に由来した構成元素のピークが出ることから、微粒子Aおよび微粒子Bのトナー粒子に対する被覆率を算出できる。その後、上記洗浄工程を経たトナー粒子を同様にX線光電子分光測定することで、微粒子Aと微粒子Bの被覆率の低減率を同定することができる。
従って、微粒子Aの固着率(%)は、
(洗浄後のトナー粒子の微粒子Aの被覆率/トナー粒子の微粒子Aの被覆率)×100
で求められる。
微粒子Bの固着率(%)は、
(洗浄後のトナー粒子の微粒子Bの被覆率/トナー粒子の微粒子Bの被覆率)×100
で求められる。
トナー粒子に対する微粒子Aの固着率(Ma)は、25%以上60%以下であることが好ましい。微粒子Aの固着率を25%以上にすることで、帯電ローラー等の部材汚染を抑制することができる。固着率を60%以下にすることで連続的に高面積の画像を形成した際の帯電安定性がより向上する。微粒子Aの固着率は、微粒子Aをトナー粒子にミキサーなどで被覆させる際に、回転数及び回転時間を変更するなどの手法により制御できる。
トナー粒子に対する微粒子Bの固着率(Mb)は、50%以上100%以下であることが好ましい。微粒子Aの固着率を50%以上にすることで連続的に高面積の画像を形成した際の帯電安定性がより向上し、微粒子Aが磁性キャリアに移行した後、帯電系列を反転させる際により効率が良くなる。微粒子Bの固着率は、微粒子Bをトナー粒子にミキサーなどで被覆させる際に、回転数及び回転時間を変更するなどの手法、さらには後述するトナー粒子に加熱気流を付与して微粒子を固着させる工程を経ることなどにより制御できる。
また、前記微粒子Aの固着率(Ma)と前記微粒子Bの固着率(Mb)の比(Ma/Mb)は、前記微粒子Aが磁性キャリアへ移動した際に効率よく微粒子Bと摩擦帯電し、帯電系列を反転させる観点から、0.25以上1.00以下であることが好ましく、0.30以上0.75以下であることがより好ましい。
[トナー]
二成分現像剤は、前記微粒子A、前記微粒子B、およびトナー粒子を含有したトナーを含む。
トナー粒子は、後述する結着樹脂、着色剤、必要に応じて離型剤を含有した粒子である。
<結着樹脂>
結着樹脂として、下記の重合体などを用いることが可能である。
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン−(メタ)アクリル系共重合体、ポリエステル、ポリエステル樹スチレン−(メタ)アクリル系共重合体が混合、又は両者が一部反応したハイブリッド樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
その中でも、ポリエステル、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、及びポリエステル樹脂とスチレン−(メタ)アクリル系共重合体とが結合(例えば共有結合)したハイブリッド樹脂が好ましい。また、結着樹脂はポリエステルを含むことが好ましく、ポリエステルの含有量が50質量%〜100質量%(好ましくは80質量%〜100質量%)であることが、低温定着性の観点から好ましい。
ポリエステルのポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、「歪み硬化性」を発現させるため、分岐ポリマーを作成するために、非晶性樹脂の分子内において部分架橋させることが好ましい。そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
ポリエステルのポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体:
Figure 2021071627
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類:
Figure 2021071627
が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステルのポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。
これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステルの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステルの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、結着樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステル樹脂がより好ましい。
<ワックス>
トナー粒子には、ワックスを用いてもよい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。
パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、定着分離性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスのような脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
ワックスは、結着樹脂100質量部あたり3質量部以上8質量部以下で使用されることが好ましい。
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
<着色剤>
トナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナー粒子への分散性の点から選択される。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されず、公知の懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法及び粉砕法を採用することができる。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、並びに必要に応じて離型剤、着色剤、及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に材料を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。
例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕する。その後、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級する。
その後、必要に応じて加熱によるトナー粒子の表面処理を行ってもよい。その際、前述のような固着率を満足させるために、得られたトナー粒子に表面処理工程前に所望量の微粒子Aおよび微粒子Bを外添処理することが好ましい。外添処理する方法としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
例えば、図1で表される表面処理装置を用いて、熱風により表面処理を行うこともできる。
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃〜300℃であることが好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子に微粒子Aおよび微粒子Bを固着することが可能となる。
さらに熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8(8−1,8−2,8−3)から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃〜30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m以上15.0g/m以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。
粉体供給口から供給されるトナー粒子の旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナー粒子に強力な遠心力がかかり、トナー粒子の分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナー粒子を得ることができる。
その後、必要に応じて分級を行ってもよい。例えば、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)を用いることができる。
分級された熱処理トナー粒子の表面に、所望量の微粒子A及び微粒子Bを外添処理する。
外添処理する方法としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。その際、必要に応じて、微粒子A及び微粒子B以外の外添剤を外添処理してもよい。
[磁性キャリア]
本発明における二成分現像剤は、磁性キャリアを含有する。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
負帯電性トナーを用いる場合、キャリア表面が正帯電性を強く発現するコート樹脂によるコーティングされていることが好ましい。コート樹脂として、具体的には、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル等の3級アミノ基を含むビニル化合物をスチレンやアクリルモノマー等と共重合して得られるアミノ基含有ビニル樹脂、ポリアミド樹脂やポリアミドイミド樹脂などの窒素含有縮合系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのαメチル基含有ビニル系樹脂などが挙げられる。
また、正帯電性トナーを用いる場合、キャリア表面が負帯電性を強く発現する樹脂によるコーティングされていることが好ましい。前記コート樹脂として、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン―パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素基含有樹脂が挙げられる。
本発明における各種物性の測定法について以下に説明する。
<微粒子A及び微粒子Bの個数平均粒径の測定方法>
トナーに被覆された微粒子A及び微粒子Bの個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。外添剤が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の外添剤の一次粒子の長径を測定して個数平均粒子径(D1)を求める。観察倍率は、外添剤の大きさによって適宜調整する。微粒子Aは、炭素数6以上の炭化水素構造を有し、1分子内にアニオン性基とカチオン性基とを有する中性化合物を含有することから、エネルギー分散型X線分析装置(EDAX)で元素同定(Nやアルカリ金属)することで、微粒子Aと微粒子Bを同定することができる。具体的には以下に記載する。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[1.1kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[4.5mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を80,000(80k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー一粒に対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー25粒子以上について画像を得る。
(5)画像解析
トナー表面上の少なくとも100個の無機微粒子について粒径を測定して、個数平均粒径を求める。本発明では画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0を用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで個数平均径を算出する。
<トナーからの微粒子Aおよび微粒子Bの分離>
以下の方法で、トナーに含まれる微粒子Aおよび微粒子Bを分離して、こすり試験(樹脂片との摺擦により電位差を求める試験)などを行うことができる。
具体的な方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)トナー5gをサンプル瓶に入れ、メタノールを200ml加える。
(2)超音波洗浄機で5分間試料を分散させて外添剤を分離させる。
(3)吸引ろ過(10μmメンブランフィルター)してトナー粒子と外添剤を分離する。
(4)上記(2)、(3)を所望のサンプル量が得られるまで行う。
回収された水溶液を遠心分離器にかけ、各外添剤を比重ごとに分離、回収する。次いで、溶媒を除去し真空乾燥機で十分に乾燥させることで、微粒子A、微粒子Bが得られる。
また、分離された微粒子A、微粒子Bの質量を測定することで、各微粒子のトナー中における含有量を求めることができる。
<結着樹脂の単離手法>
表面電位の測定に用いられる結着樹脂成分は、トナーからテトラヒドロフランを用いて抽出することによって得られる。トナーより結着樹脂成分を抽出する手法としては例えば下記の方法を用いることができる。
まず、トナーとテトラヒドロフランを混合し、室温又は加熱下において攪拌することで、可溶成分を溶解させる。次いで、得られた溶液に含有される不溶分、例えば、外添剤、離型剤、帯電制御剤、着色剤(顔料等)等を、遠心分離、ろ過、洗浄等により取り除く。不溶分を除去した溶液中に結着樹脂以外の可溶成分が溶解している場合は、例えば分取機構を備えたGPCや高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を用いることにより、結着樹脂成分以外の可溶成分を除去する。結着樹脂以外の可溶成分を除去後、溶液からテトラヒドロフランを除去することによって、電位差測定に用いられる樹脂片を作成するための樹脂が得られる。
溶媒の除去方法としては、溶媒の蒸発によって行うことが好ましく、溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。
<トナーにおける微粒子Aおよび微粒子Bの固着率の測定>
30mLのガラスバイアルに、イオン交換水10.3gにショ糖20.7g(キシダ化学社製)を溶解させたショ糖水溶液と、界面活性剤であるコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤)6mLを入れて十分混合し、分散液を作製する。またガラスバイアルとしては、例えば、日電理化硝子株式会社製、VCV−30、外径:35mm、高さ:70mmを使用することができる。この分散液にトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この処理前分散液を、振とう機(YS−8D型:(株)ヤヨイ製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうし、弱く付着していた無機微粒子をトナー粒子表面から離脱させた。強く付着する無機微粒子が残存したトナーと脱離した無機微粒子との分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30min行った。無機微粒子が残存したトナーを吸引濾過することで採取し、乾燥させ水洗後のトナーを得る。
先ず、XPSを用いて、微粒子Aおよび微粒子Bの表面に存在する元素比率を測定する。次いで、同様にXPSを用いて、水洗前トナー、水洗後トナーの表面に存在する元素比率を測定する。微粒子単体を用いた測定結果を被覆率100%の値とみなして、水洗前のトナーにおける微粒子Aおよび微粒子Bの被覆率(%)(A1、B1)を算出する。同様に、水洗後のトナーにおける微粒子A、微粒子Bの被覆率(%)(A2、B2)を算出する。得られた被覆率を用いて、下式より固着率を算出することができる。
微粒子Aの固着率Ma(%)=A2/A1×100
微粒子Bの固着率Mb(%)=B2/B1×100
XPSの測定条件を以下に記載する。
使用装置:アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeII
照射線:Al−Kα線
ビーム径:100μm
出力:25W15kV
光電子取り込み角度:45°
PassEnergy:58.70eV
Stepsize:0.125eV
XPSピーク:C2p、O2p、Si2p、Ti2p、Sr3d
測定範囲:300μm×200μm
GUNタイプ:GCIB
Time:15min
Interval:1min
SputterSetting:20kV
サンプルは、XPS専用プラテン上に加工されたφ2mm、深さ2mmのサンプルセット孔にセットする。
<トナー粒子の平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定および解析条件で測定した。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37μm×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求めた。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とした。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れた。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加えた。
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却した。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加した。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載したフロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。上記手順に従い調製した分散液をフロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子について計測した。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒径を円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行った。標準ラテックス粒子としては、RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A(Duke Scientific社製)を用いた。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施した。
以下、本発明を実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。なお、実施例および比較例における部数および%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<結着樹脂1;ポリエステル樹脂の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
73.8部(0.19モル部;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
12.5部(0.08モル部;多価カルボン酸総モル数に対して48.0mol%)
・アジピン酸:
7.8部(0.05モル部;多価カルボン酸総モル数に対して34.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
その後、下記材料
・トリメリット酸:
5.9部(0.03モル部;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃の温度に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、(第2反応工程)、結着樹脂1を得た。得られた結着樹脂1は、ピーク分子量Mp10000、軟化点Tm110℃、ガラス転移温度Tg60℃であった。
<微粒子A−1の製造例>
・スチレン 350質量部
・n−ブチルアクリレート 100質量部
・ジビニルベンゼン 30質量部
上記の各材料を混合してモノマー溶液を調製した。アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK)10質量部をイオン交換水1130質量部に溶解した水溶液と、前記モノマー溶液とを二口フラスコに投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて、回転数10000r/minにて撹拌し、乳化を行った。その後、フラスコ内を窒素置換し、ゆっくり撹拌しながらウォーターバス中で内容物が70℃になるまで加熱した後、過硫酸アンモニウム3質量部を溶解したイオン交換水7質量部を投入し、重合を開始した。8時間反応を継続した後、反応液を室温まで冷却した。得られた微粒子の水分散液に10質量%NaCl水溶液を50質量部混合し、樹脂微粒子を塩析させた後、水で複数回洗浄した。その後、樹脂微粒子をろ過し、乾燥した。
両性イオン化合物としてラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン5質量部をイオン交換水500質量部に溶解した水溶液と前記樹脂微粒子95質量部とを30分間混合分散させ、樹脂微粒子表面に両性イオン化合物を吸着させた。
得られた微粒子の水分散液を凍結真空乾燥機用のガラス器具に投入し、凍結真空乾燥機中に入れた後、ガラス器具温度をドライアイスメタノールに浸漬させて−78℃にまで下げ一旦冷却凍結させた。その後ゆっくり加温することで、溶媒である水を昇華させ、両性イオン化合物であるラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが表面に吸着した微粒子A−1を得た。
<微粒子A−2の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン5質量部を0.5質量部とし、樹脂微粒子の量を99.5質量部とした以外は同様の方法で、微粒子A−2を得た。
<微粒子A−3の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン5質量部を15質量部とし、樹脂微粒子の量を85質量部とした以外は同様の方法で、微粒子A−3を得た。
<微粒子A−4の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをヘキサン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインに変更した以外は同様の方法で、微粒子A−4を得た。
<微粒子A−5の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインに変更した以外は同様の方法で、微粒子A−5を得た。
<微粒子A−6の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをプロパン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインに変更した以外は同様の方法で、微粒子A−6を得た。
<微粒子A−7の製造例>
両性イオン化合物としてラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン5質量部をイオン交換水500質量部に溶解した水溶液と個数平均100nmのヒュームドシリカ粉末95質量部とを30分間混合分散させ、シリカ微粒子表面に両性イオン化合物を吸着させた。
得られた微粒子の水分散液を凍結真空乾燥機用のガラス器具に投入し、凍結真空乾燥機中に入れた後、ガラス器具温度をドライアイスメタノールに浸漬させて−78℃にまで下げ一旦冷却凍結させた。その後ゆっくり加温することで、溶媒である水を昇華させ、両性イオン化合物であるラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインが表面に吸着した微粒子A−7を得た。
<微粒子A−8、A−9の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、樹脂微粒子を塩析する条件を変更して、粒径の異なる樹脂微粒子を得る以外は同様にして、微粒子A−8、A−9を得た。
<微粒子A−10の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをポリジメチルシロキサンに変更した以外は同様の方法で、微粒子A−10を得た。
<微粒子A−11の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをステアリン酸ナトリウムに変更とした以外は同様の方法で、微粒子A−11を得た。
<微粒子A−12の製造例>
前記微粒子A−1の製造例において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインをラウリルトリメチルアンモニウム塩に変更した以外は同様の方法で、微粒子A−12を得た。
<微粒子B−1の製造例>
個数平均粒径100nmのヒュームドシリカ粉末95質量部とポリジメチルシロキサン5質量部とを30分間混合分散させ、シリカ微粒子表面にジメチルシロキサンが吸着した微粒子B−1を得た。
<微粒子B−2の製造例>
個数平均粒径100nmのヒュームドシリカ粉末95質量部とアミノ変性ポリジメチルシロキサン5質量部とを30分間混合分散させ、シリカ微粒子表面にジメチルシロキサンが吸着した微粒子B−2を得た。
得られた微粒子A−1〜A−12およびB−1、B−2の構成、粒子径等を表1に示す。
Figure 2021071627
<トナー1の製造例>
・結着樹脂1 100部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 4部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業(株)製) 0.3部
・カーボンブラック 10部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F−300、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
・トナー粒子1: 100部
・微粒子B−1: 0.5部
得られたトナー粒子1を用い、上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間3minで混合し、トナー粒子1に微粒子B−1を付着させた。
上記工程後、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理トナー粒子を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、熱風温度=160℃、熱風流量=6m/min.、冷風温度=−5℃、冷風流量=4m/min.、ブロワー風量=20m/min.、インジェクションエア流量=1m/min.とした。
得られた熱処理トナー粒子を、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)を用い、運転条件はフィード量=5kg/hrとし、F分級エッジ(微粉分級エッジ)を3〜5mm、G分級エッジ(粗粉分級エッジ)を最大にして閉じ、所望の粒度分布および中心粒径が得られるように調整した。
・熱処理トナー粒子: 100.5部
・微粒子A−1: 0.5部
・微粒子B−1: 0.5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間3minで混合し、トナー1を得た。
<トナー2〜20の製造例>
トナー1の製造例において、微粒子Aの種類、微粒子Bの種類、添加部数、粒子径、固着率(外添条件を適宜調整)を表2のように変更した以外は同様の操作を行い、トナー2〜20を得た。物性を表2に示す。
Figure 2021071627
<磁性キャリアの製造>
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe 62.7部
MnCO 29.5部
Mg(OH) 6.8部
SrCO 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<コート樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<コート樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)
上記の材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散した。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過し、コート樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及びコート樹脂溶液1を投入した(コート樹脂溶液1の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<コート樹脂溶液2の調製>
PTFE重合体液(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散した。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過し、コート樹脂溶液2を得た。
<磁性キャリア2の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及びコート樹脂溶液2を投入した(コート樹脂溶液1の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア2を得た。
<二成分現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分現像剤1を得た。
<二成分現像剤2〜20の製造例>
二成分現像剤1の製造例において、表3のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分現像剤2〜20を得た。
<実施例1>
上記二成分現像剤1を下記画像形成装置の現像器に投入し、補給ボトル中に上記トナー1を投入し、後述の評価を行った。
[高画像濃度の連続出力時における帯電安定性および初期現像剤の帯電量]
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560の改造機を用いた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧Vおよびレーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望になるようにVDC、Vおよびレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。出力画像としては、前記ベタ画像の画像面積が50%面積(A4紙)となる画像を連続的に3万枚出力した。
紙:CS−680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
評価画像:上記A4用紙の50面積%にFFh画像
Vback:150V(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧Vおよびレーザーパワーにより調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH)
定着温度:180℃
プロセススピード:377mm/sec
その後、下記記載の測定法にて、耐久現像剤(耐久現像剤Aとする)のトナー帯電量を測定した。尚、上記画像耐久試験前のトナー帯電量も別途測定した。
トナーの帯電量は、ホソカワミクロン(株)のEspartアナライザーを用いて、測定部に試料粒子として二成分現像剤を導入することで測定した。初期現像剤の帯電量は、下記基準で評価した。評価結果を表4に示す。
(評価基準)
A:トナーの帯電量の絶対値が35μC/g以上
B:トナーの帯電量の絶対値が30μC/g以上35μC/g未満
C:トナーの帯電量の絶対値が20μC/g以上30μC/g未満
D:トナーの帯電量の絶対値が20μC/g未満
また、初期現像剤のトナー帯電量と耐久現像剤(耐久現像剤A)のトナー帯電量の値を用いて、下記式よりトナーの帯電量の維持率を算出し、下記基準で帯電安定性について評価した。評価結果を表4に示す。
トナーの帯電量の維持率(%)
=[耐久現像剤Aのトナー帯電量]/[初期現像剤のトナー帯電量]×100
(帯電安定性の評価基準)
A:帯電量の維持率が90%以上
B:帯電量の維持率が80%以上90%未満
C:帯電量の維持率が70%以上80%未満
D:帯電量の維持率が70%未満
[高画像面積の連続出力後の低画像面積の連続出力時における帯電安定性]
上記の高画像面積の連続出力後の現像剤(耐久現像剤Bとする)を用いて、上記と同様の装置を用いて以下の画像評価を連続的に実施した。
紙:CS−680(68.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
評価画像:上記A4用紙の1面積%にFFh画像
Vback:150V(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧Vおよびレーザーパワーにより調整)
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH)
定着温度:180℃
プロセススピード:377mm/sec
出力枚数:3万枚
その後、上記した測定法にて、耐久現像剤(耐久現像剤B)のトナー帯電量を測定し、低画像面積の耐久試験前の耐久現像剤(耐久現像剤A)のトナー帯電量(つまり上記の高画像面積の耐久試験後のトナー帯電量)と比較した。
耐久現像剤Aのトナー帯電量と耐久現像剤Bのトナー帯電量の値を用いて、下記式よりトナーの帯電量の維持率を算出し、下記基準で帯電安定性について評価した。評価結果を表4に示す。
トナーの帯電量の維持率(%)
=[耐久現像剤Bのトナー帯電量]/[耐久現像剤Aのトナー帯電量]×100
(評価基準)
A:帯電量の維持率が95%以上
B:トナーの帯電量の維持率が85%以上95%未満
C:トナーの帯電量の維持率が75%以上85%未満
D:トナーの帯電量の維持率が75%未満
<実施例2〜15、及び、比較例1〜5>
二成分現像剤2〜21を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 2021071627
Figure 2021071627
1 原料定量供給手段
2 圧縮気体流量調整手段
3 導入管
4 突起状部材
5 供給管
6 処理室
7 熱風供給手段
8 冷風供給手段
9 規制手段
10 回収手段
11 熱風供給手段出口
12 分配部材
13 旋回部材
14 粉体粒子供給口

Claims (9)

  1. トナーと磁性キャリアとを含有する二成分現像剤であって、
    前記トナーは、
    結着樹脂と着色剤とを含有するトナー粒子、
    前記トナー粒子の表面に付着した微粒子A及び微粒子Bを有し、
    前記微粒子Aが、炭素数6以上の炭化水素構造を有する両性イオン化合物をその表面に有し、
    前記トナーをテトラヒドロフランに分散して、テトラヒドロフランに抽出されるテトラヒドロフラン可溶分中の結着樹脂成分を用いて作成した樹脂片に対して、測定試料を摺擦したのち、樹脂片から測定試料を除去する試験において、測定試料の除去前後での樹脂片の表面電位の差に関して、測定試料が微粒子A、微粒子B及び磁性キャリアであるときの電位差(V)をそれぞれV、V及びVとしたとき、前記V、V、Vが式(1)及び、(2)又は(3)を満足することを特徴とする二成分現像剤。
    |V−V|≧70 ・・・式(1)
    >V>V ・・・式(2)
    <V<V ・・・式(3)
  2. 該微粒子Aの質量を基準として、前記両性イオン化合物の含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である請求項1に記載の二成分現像剤。
  3. 前記微粒子Aの含有量が、前記トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下である請求項1または2に記載の二成分現像剤。
  4. 前記微粒子Aの個数平均粒径(Ra)が、15nm以上500nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
  5. 前記微粒子Aの固着率(Ma)が、25%以上60%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
  6. 前記微粒子Aの含有量(Wa)と前記微粒子B(Wb)の含有量の比(Wa/Wb)が、0.20以上1.00以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
  7. 前記微粒子Aの個数平均粒径(Ra)と前記微粒子Bの個数平均粒径(Rb)の比(Ra/Rb)が、0.50以上1.50以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
  8. 前記微粒子Aの固着率(Ma)と前記微粒子Bの固着率(Mb)の比(Ma/Mb)が0.25以上1.00以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
  9. 前記両性イオン化合物の構造が、ベタイン構造を有する化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の二成分現像剤。
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