JP2021071141A - 枝管接続部材、枝管接続構造、及び枝管接続工法 - Google Patents

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【課題】枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入しないように主管に対して枝管を接続するための枝管接続部材、枝管接続部材を用いて構成される枝管接続構造、及び枝管接続工法の提供を目的とする。【解決手段】枝管接続部材10は、筒状の本管3、及び当該本管3の内周面3aに固定された筒状の内管5を含む多重構造の主管1の中途において、主管1の周面に開口すると共に本管3及び内管5に亘って連通するように形成された穿孔7に対して枝管9を接続するためのものである。枝管接続部材10は、穿孔7に対して挿入される挿入部44と、主管1の周面に沿って取り付けられる取付部16とを有し、挿入部44が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状とされている。【選択図】図1

Description

本発明は、主管に対して枝管を接続するための枝管接続部材、枝管接続部材を用いて構成される枝管接続構造、及び枝管接続工法に関するものである。
従来、下記特許文献1に開示されているように、既設の下水道等の主管に対して枝管を接続することにより形成された管路の分岐部構造や、分岐部構造を構成するための工法が提供されている。特許文献1に開示されている分岐部構造は、管路内に合成樹脂製内管が形成された主管に形成された透孔に、硬質合成樹脂製補強部材を嵌合すると共に、補強部材を内管の表面に固着したものとされると共に、補強部材と内管の壁面とを貫いて穿設された分岐孔に分岐管が接続されたものとされている。
特許第3631273号
ここで、上記特許文献1に開示されているように、主管が、例えばいわゆる更生管等のように、筒状の本管の内周面に筒状の内管の外周面を固定することにより形成された多重構造のものである場合がある。このような多重構造の主管に対して上述した枝管接続部材を用いて枝管を接続する場合について、本発明者らが鋭意検討したところ、例えば、枝管接続部材において主管に形成された穿孔に挿入される部分(以下「挿入部」とも称す)が、穿孔の形成された部分において露出する本管と内管との接合部分の近傍を排水が流れるような位置に配されたり、内管に形成された穿孔(内管穿孔)に到達していなかったりすると、枝管から主管に流入する排水が、本管と内管との間等の予期せぬ部分に浸入するなどの不具合が発生する可能性があるとの知見を得た。
また、主管が更生管のような多重構造のものによって構成されている場合、枝管の接続用として主管に形成される穿孔は、本管に形成される穿孔(本管穿孔)と内管に形成される穿孔(内管穿孔)とが連通したものとされる。主管に形成される穿孔は、本管穿孔及び内管穿孔の開口領域の大きさが略同一のものである場合もあるが、本管穿孔よりも内管穿孔の方が開口領域が小さいものである場合もある。特に、主管に対して接続されている既設の枝管を撤去し、新たに枝管を接続する枝管の更新作業を行う場合には、本管穿孔よりも内管穿孔の方が開口領域の小さいものであることが多い。本発明者らが鋭意検討したところ、このような構造の場合には、挿入部が内管穿孔に収まらず、引っかかった状態で枝管接続部材が取り付けられてしまう等して、枝管から主管に流入する排水が、本管と内管との間等の予期せぬ部分に浸入する可能性があるとの知見を得た。
そこで本発明は、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入しないように主管に対して枝管を接続するための枝管接続部材、枝管接続部材を用いて構成される枝管接続構造、及び枝管接続工法の提供を目的とした。
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明の枝管接続部材は、筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対して枝管を接続するためのものであって、前記穿孔に対して挿入される挿入部と、前記主管の周面に沿って取り付けられる取付部とを有し、前記挿入部が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状とされていることを特徴とするものである。
本発明の枝管接続部材は、穿孔に対して挿入される挿入部が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状とされている。そのため、本発明の枝管接続部材では、挿入部を介して枝管から主管に流れ込む排水は、挿入部の軸心側に案内されて流れることになり、穿孔の内縁側に排水が流れるのを抑制できる。従って、本発明の枝管接続部材によれば、穿孔が形成された部分において露出する本管と内管との接合部分の近傍において、排水が流れる可能性を最小限に抑制できる。また、本発明の枝管接続部材は、挿入部が先細り形状とされている。そのため、本発明の枝管接続部材は、挿入部の先端を内管に形成された穿孔(内管穿孔)の内側に収まる配置及び大きさとして取り付けることにより、枝管を流れる排水を挿入部を介して確実に主管に流入させることができる。これにより、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制できる。
上述した課題を解決すべく、枝管接続部材は、筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対して枝管を接続するためのものであって、前記穿孔に対して挿入される挿入部と、前記主管の周面に沿って取り付けられる取付部とを有し、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成されたものであり、前記挿入部が、前記本管穿孔を介して前記内管穿孔の内側に到達するように挿入可能なものとすることができる。
上述した枝管接続部材は、挿入部の先端を内管に形成された内管穿孔の内側に到達するように挿入可能なものとされている。そのため、上述した枝管接続部材を介して枝管を主管に対して取り付ければ、枝管を流れる排水を挿入部を介して主管に流入させることができる。これにより、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制できる。
(2)上述した枝管接続部材は、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通し、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きくなるように形成されたものであり、前記挿入部の先端側に、前記内管穿孔の内側に収まる先端部を有し、前記挿入部において前記先端部よりも基端側に、前記本管穿孔に挿通可能かつ前記内管穿孔に挿通不能な部分を有するものであると良い。
上述した枝管接続部材は、挿入部を本管穿孔を介して挿入し、挿入部の先端部を内管穿孔の内側に到達させることができる。また、上述した枝管接続部材は、挿入部において先端部よりも基端側に、本管穿孔に挿通可能かつ内管穿孔に挿通不能な部分が設けられているため、内管に対する挿入部の挿入位置を精度良く調整できる。
(3)上述した枝管接続部材は、前記挿入部の先端に、前記内管の内周面に沿うように湾曲した湾曲部が設けられているものであると良い。
かかる構成によれば、内管の内周面の延長線上に湾曲部が到達するように配置可能な枝管接続部材を提供できる。従って、上述した構成によれば、挿入部を流れる排水が内管の内周面に沿ってスムーズに流れやすくなるように取り付け可能な枝管接続部材を提供できる。
ここで、例えば主管に対して接続されている既設の枝管を撤去して新たに枝管を接続する場合等においては、主管に形成された穿孔に段差部が形成されたものである場合がある。具体的には、主管に形成された穿孔をなす本管穿孔の開口領域が、内管穿孔の開口領域よりも大きく、本管穿孔と内管穿孔との間に段差部を有するものである場合がある。穿孔がこのような構成のものである場合には、段差部が形成された部分において本管と内管との接合部分が露出する。従って、枝管接続部材の取付対象となる穿孔が前述のような段差部を備えた構造のものである場合には、例えば排水や、地中において本管の破損箇所から浸入して本管と内管との間を伝う等して流れてきた浸入水等の不明水が予期せず段差部に入り込まないように対策を講じることが望ましい。また、段差部が存在している場合には、穿孔内において挿入部が位置ズレ等しないように枝管接続部材を取り付けられるものであることが好ましい。
(4)かかる知見に基づけば、上述した枝管接続部材は、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成され、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きく、前記本管穿孔と前記内管穿孔との間に段差部を有するものであり、前記挿入部と前記段差部との間に介在する介在部材を備えているものであると良い。
上述した枝管接続部材は、穿孔に形成された段差部、及び挿入部の間に、介在部材を介在させた状態で設置可能なものとされている。そのため、上述した枝管接続部材によれば、例えば排水や、地中において本管の破損箇所から浸入して本管と内管との間を伝う等して流れてきた浸入水等の不明水が予期せず段差部に入り込むのを抑制できる。また、上述した枝管接続部材によれば、挿入部と段差部との間に形成される空間に介在部材を介在させることにより、挿入部を位置ズレ等しないように取り付けることができる。
上述した課題を解決すべく、枝管接続構造は、筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対し、枝管接続部材を介して枝管を接続したものであり、前記取付部が、前記主管の周面に沿って取り付けられ、前記枝管接続部材が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状の挿入部と、前記主管に対して取り付けられる取付部とを有するものであり、前記挿入部が、先端側を前記主管の内側に向けた状態で前記穿孔に差し込まれていることを特徴とするものとすると良い。
上述した枝管接続構造は、穿孔に対して挿入される枝管接続部材の挿入部が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状とされている。そのため、上述した枝管接続構造を採用することにより、挿入部を介して枝管から主管に流れ込む排水が、穿孔の形成された部分において露出する本管と内管との接合部分の近傍を流れる可能性を最小限に抑制できる。すなわち、上述した枝管接続構造において用いられる枝管接続部材においては、挿入部が先細り形状とされている。そのため、上述した枝管接続構造によれば、挿入部を介して枝管から主管に流れ込む排水の流れを挿入部の軸心側に向け、穿孔の内縁側に排水が流れるのを抑制できる。従って、上述した枝管接続構造によれば、穿孔が形成された部分において露出する本管と内管との接合部分の近傍において、排水が流れる可能性を最小限に抑制し、排水が例えば主管と内管との間等の予期せぬ部分に浸入するのを抑制できる。
(5)上述した課題を解決すべく提供される本発明の枝管接続構造は、筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対し、枝管接続部材を介して枝管を接続したものであり、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成されたものであり、前記取付部が、前記主管の周面に沿って取り付けられ、前記挿入部が、前記本管穿孔を介して前記内管穿孔の内側に到達するように挿入されていることを特徴とするものである。
本発明の枝管接続構造では、挿入部が先端側を主管の内側に向けた状態で本管穿孔から内管穿孔に到達するように差し込まれた状態で、枝管接続部材が主管に対して取り付けられている。そのため、本発明の枝管接続構造によれば、枝管を流れる排水を挿入部を介して確実に主管に流入させることができる。これにより、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制できる。
(6)上述した枝管接続構造は、前記挿入部の先端が、前記内管の内周面に沿うように湾曲した湾曲部を有し、前記内管の内周面に対応する位置に前記湾曲部が配置されているものであると良い。
上述した構成によれば、内管の内周面に対応する位置に湾曲部が配置されているため、挿入部を流れる排水が内管の内周面に沿ってスムーズに流れやすい枝管接続構造を提供できる。
(7)上述した枝管接続構造は、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成され、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きく、前記本管穿孔と前記内管穿孔との間に段差部を有するものであり、前記挿入部と前記段差部との間にシール性を有する介在部材を介在させているものであると良い。
上述した枝管接続構造は、穿孔に形成された段差部と挿入部との間に、シール性を有する介在部材を介在させたものであるため、例えば排水や、地中において本管の破損箇所から浸入して本管と内管との間を伝う等して流れてきた浸入水等の不明水が予期せず段差部を介して本管と内管との間等に入り込むのを抑制できる。また、上述した枝管接続構造を採用すれば、挿入部と段差部との間に形成される空間に存在する介在部材により、挿入部の位置ズレを抑制できる。
(8)上述した課題を解決すべく提供される本発明の枝管接続工法は、筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において接続された既設の枝管を取り外した後、新たに枝管を接続するものであって、既設の前記枝管を撤去することに伴い、前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔が前記主管の周面に開口した状態にする既設枝管撤去工程と、前記穿孔に対し、枝管接続部材を取り付ける接続部材設置工程と、前記枝管接続部材に対して、新たに枝管を接続する枝管接続工程とを有し、前記枝管接続部材として、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状の挿入部と、前記主管に対して取り付けられる取付部とを有するものを用い、前記接続部材設置工程において、前記挿入部の先端側を前記主管の内側に向けた状態で前記挿入部を前記穿孔に差し込み、前記取付部を前記主管の周面に沿って取り付けることを特徴とするものである。
本発明の枝管接続工法では、既設枝管撤去工程における既設の枝管の撤去に伴い、主管の周面に開口した穿孔に対し、枝管接続部材を用いて枝管が接続される。本発明の枝管接続工法では、接続部材設置工程において、枝管接続部材に設けられた挿入部を、その先端側を主管の内側に向けた状態として穿孔に差し込み、取付部を主管の周面に沿って取り付ける作業が行われる。ここで、本発明において用いられる枝管接続部材は、先細り状の形状とされている。そのため、本発明の枝管接続工法により施工すれば、挿入部を介して枝管から主管に流れ込む排水が、穿孔の形成された部分において露出する本管と内管との接合部分の近傍を流れる可能性を最小限に抑制できる。
上述した枝管接続工法は、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成されたものであり、前記接続部材設置工程において、前記挿入部が前記本管穿孔を介して前記内管穿孔の内側に到達するように前記挿入部を挿入することを特徴とするものであると良い。
上述したように、接続部材設置工程において、挿入部が本管穿孔を介して内管穿孔の内側に到達するように挿入部を挿入することとすれば、枝管を流れる排水を挿入部を介して主管に確実に流入させることができる枝管接続構造を形成できる。従って、上述した枝管接続工法によれば、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制可能な枝管接続構造を構築可能となる。
上述した枝管接続工法は、前記挿入部が、先端に湾曲部を有するものであり、前記湾曲部が前記内管の内周面に沿って湾曲するように、前記挿入部を前記穿孔に差し込むことを特徴とするものであると良い。
上述した枝管接続工法によれば、内管の内周面に対応する位置に湾曲部が配置された構成の枝管接続構造を構築できる。これにより、挿入部を流れる排水が内管の内周面に沿ってスムーズに流れやすい枝管接続構造を提供できる。
上述した枝管接続工法は、前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成され、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きく、前記本管穿孔と前記内管穿孔との間に段差部を有するものであり、前記接続部材設置工程において、前記段差部に、シール性を有する部材を配するものであると良い。
上述した枝管接続工法によれば、穿孔に形成された段差部と挿入部との間にシール性を有する介在部材を介在させた枝管接続構造を構築できる。これにより、例えば排水や、地中において本管の破損箇所から浸入して本管と内管との間を伝う等して流れてきた浸入水等の不明水が予期せず段差部を介して本管と内管との間等に入り込むのを抑制しつつ、挿入部の位置ズレを抑制可能な枝管接続構造を提供できる。
本発明によれば、枝管から主管に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入しないように主管に対して枝管を接続するための枝管接続部材、枝管接続部材を用いて構成される枝管接続構造、及び枝管接続工法を提供できる。
(a),(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材の正面図、及び背面図である。 (a),(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材の左側面図、及び右側面図である。 (a),(b)はそれぞれ、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材の平面図、及び底面図である。 本発明の一実施形態に係る枝管接続構造について、主管を軸線方向に交差する平面において断面視した状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る枝管接続構造について、主管の軸線方向に拡がる平面において断面視した状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る枝管接続工法において既設の枝管を取り外す前の状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る枝管接続工法の既設枝管撤去工程において既設の枝管を撤去した状態を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る枝管接続工法の接続部材設置工程において枝管接続部材を設置する状態を示す断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る枝管接続部材10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右等の方向や表裏、前後等の表現については、特に断りのない限り、図4や図5に示すように枝管接続部材10を主管1に対して取り付けた状態を基準として説明する。
図4や図5等に示すように、枝管接続部材10は、例えば下水道管等の既設の主管1に新たに穿孔して形成された穿孔7に対し、枝管9を接続するために用いられるものである。枝管接続構造100は、枝管接続部材10を用いて主管1に対して枝管9を接続することにより構成される。以下、先ず枝管9の接続対象となる主管1の構成について説明した後、枝管接続部材10の構成や、枝管接続部材10を用いて主管1に枝管9を接続する方法(枝管接続工法)、枝管接続構造100の構成について詳細に説明する。
≪主管1の構成について≫
図4〜図8に示すように、主管1は、複数の管を多重に設けた多重構造の管とされている。本実施形態では、筒状の本管3、及び本管3の内周面3aに固定された筒状の内管5からなる2重構造の管とされている。本管3及び内管5は、それぞれ、例えばコンクリート管やヒューム管、塩化ビニル等の樹脂により形成された樹脂管等とすることができる。本実施形態では、本管3がコンクリート管やヒューム管によって構成され、その内周面3aに対し、いわゆるライニング工法等により形成された樹脂管を固定したものとされている。
主管1は、外周面に開口するように形成された穿孔7を有する。穿孔7は、本管3及び内管5に亘って連通するように形成されている。具体的には、穿孔7は、本管3に形成された本管穿孔7aと、内管5に形成された内管穿孔7bとが連通するように形成されたものである。穿孔7は、本管穿孔7a及び内管穿孔7bが同一の開口径を有するものや、本管穿孔7aの方が内管穿孔7bよりも開口径の小さいものとすることができるが、本実施形態では、本管穿孔7aの方が内管穿孔7bよりも開口領域が大きいものとされている。また、本管穿孔7a及び内管穿孔7bは、軸心位置が一致している。そのため、本管穿孔7aと内管穿孔7bとの間には、全周に亘って段差部7cが形成されている。
≪枝管接続部材10について≫
図4、図5、図8等に示すように、枝管接続部材10は、主管1と枝管9とを接続するためのものである。枝管接続部材10は、主管1の周面に取り付けられる。図1〜図3や図5等に示すように、枝管接続部材10は、アダプター部12、受口部14、取付部16、及び筒状部18を備えている。枝管接続部材10は、例えば、アダプター部12をはじめとする各部の一部又は全部を一体的に形成したものとすると良いが、本実施形態では、別々に形成された各部を一体化したものとされている。
アダプター部12は、後に詳述する取付部16に対して枝管9を直接的あるいは間接的に接続する部分である。本実施形態では、アダプター部12は、後述する受口部14を介して間接的に、取付部16と枝管9とを接続するものとされている。
アダプター部12は、上下方向に連通するように形成された筒状に形成された部分を主要部とするものである。図5に示すように、アダプター部12は、軸線方向中間部において、径方向外側に向けて突出したフランジ部20を備えている。アダプター部12は、フランジ部20を境として一端側(図示状態において上端側)に第一接続部22を有する。第一接続部22は、後に詳述する受口部14が接続される部分である。第一接続部22は、凹部24を略全周に亘って備えたものとされている。凹部24は、後に詳述する受口部14と係合可能なものとされている。
また、アダプター部12は、フランジ部20を境として他端側(第一接続部22とは反対側)に第二接続部26を有する。アダプター部12は、第二接続部26において径方向に縮径しており、これにより形成された段部28を有する。第二接続部26は、取付部16に連結される部分である。本実施形態では、第二接続部26は、外径が後に詳述する取付部16のアダプター接続部38の内径と略同一とされている。そのため、アダプター部12は、第二接続部26をアダプター接続部38に差し込むことにより、取付部16と連結可能とされている。また、段部28は、軸線方向一端側(第一接続部22側)から挿入された受口部14のアダプター接続端14aと、アダプター部12の内側において当接可能とされている。アダプター部12は、第二接続部26において後に詳述する筒状部18を挿入して連結可能とされている。
受口部14は、アダプター部12に対して接続される側の端部(アダプター接続端14a)に、アダプター部12の第一接続部22を差し込み可能な溝30を有する。受口部14は、アダプター接続端14aがアダプター部12のフランジ部20や段部28に当接した状態になるまで、溝30に第一接続部22を差し込むと共に、アダプター接続端14aの外周側に帯状の第一バンド32を装着することにより、アダプター部12に対して接続される。受口部14がアダプター部12に接続されると、受口部14の内周面が、アダプター部12の内周面と略連続した状態になる。また、受口部14は、アダプター接続端14aとは軸線方向反対側の端部(枝管接続端14b)に、枝管9を挿入可能とされている。枝管接続端14bに枝管9を挿入して接続することにより、受口部14やアダプター部12と枝管9とを連通させることができる。また、枝管接続端14bの外周に、帯状の第二バンド34を装着することより、受口部14に対する枝管9の固定強度を高めることができる。
取付部16は、枝管接続部材10の取り付けに際して、主管1に取り付けられる部分である。取付部16は、鞍状部36と、アダプター接続部38と、取付部開口40とを有する。図4等に示すように、鞍状部36は、主管1をなす本管3の外周面3bに沿うように湾曲した部分である。アダプター接続部38は、鞍状部36の表面から環状(筒状)に突出した部分である。また、図5に示すように、アダプター接続部38は、上述したようにアダプター部12の第二接続部26が差し込まれる部分である。アダプター接続部38は、鞍状部36を平面視した状態において略中央となる位置に設けられている。取付部開口40は、アダプター接続部38の径方向内側において表裏を貫通するように形成された開口である。
筒状部18は、アダプター部12の第二接続部26に取り付けられる筒状の部分である。筒状部18は、接続部42、及び挿入部44を有する。接続部42は、外径が第二接続部26の内径と略同一とされている。筒状部18は、アダプター部12の第二接続部26に対して接続部42を挿入することにより、アダプター部12に対して接続される。
挿入部44は、主管1に対して枝管接続部材10を取り付ける際に、主管1に形成された穿孔7に差し込まれる部分である。挿入部44は、接続部42に対して軸線方向に連続するように形成されている。挿入部44は、先端側(図中において下端側)に向けて先細りした形状とされている。挿入部44は、先端側に連続的に先細りしたもの、あるいは段階的に先細りしたものとすることができるが、本実施形態では挿入部44の軸線方向中間部から先端側に向かうに連れて連続的に先細り状となる部分を有し、これよりも先端側において開口径が略均一になる部分を備えたものとされている。また、挿入部44は、アダプター部12に対して筒状部18を取り付けた状態において、取付部16の裏面側(図中下方側)に向けて突出している。挿入部44は、取付部16の裏面を基準として、軸線方向に向けて主管1の厚み相当分だけ突出している。
挿入部44の各部における外径は、穿孔7をなす本管穿孔7aの内径以下とされている。そのため、挿入部44は、本管穿孔7aを介して挿入可能とされている。挿入部44の先端部44a(図中における下端部)における外径は、穿孔7をなす内管穿孔7bの内径以下とされている。そのため、挿入部44は、先端部44aが内管穿孔7bの内側に到達するように挿入可能とされている。さらに、挿入部44は、先端部44aよりも基端側において、外径が内管穿孔7bの内径よりも大きくなるように形成されている。そのため、挿入部44は、穿孔7に対して軸線方向に過剰に差し込まれることなく、適正な位置に位置決め可能とされている。
挿入部44は、先端部44aに湾曲部44bを有する。湾曲部44bは、内管5の内周面5aに対応する曲率で湾曲している。また、上述したように、挿入部44の突出量が主管1の厚み相当分とされているため、主管1に対する枝管接続部材10の取り付け状態において、先端部44aは内管5の内周面5aと略面一となる位置まで到達する。そのため、主管1に対して枝管接続部材10を取り付けると、湾曲部44bは、内管5の内周面5aに沿うように湾曲した状態になる。
また、図4や図5に示すように、挿入部44の外周には、介在部材46を配することができる。介在部材46は、主管1に対する枝管接続部材10の取り付け状態において、穿孔7と挿入部44との間に形成される隙間に介在する部材であり、特に段差部7cと挿入部44との間に形成される隙間に配されると良い。介在部材46は、例えば天然ゴムや、ニトリルゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、四フッ化エチレンゴム樹脂等の素材で形成されたOリング等のようにシール性を有する部材(シール部材)を用いると良い。本実施形態では、介在部材46は、段差部7cと挿入部44との間に配置可能とされたシール部材とされている。
≪枝管接続工法について≫
続いて、上述した枝管接続部材10を用いて主管1に枝管9を接続する方法(枝管接続工法)について説明する。なお、枝管接続部材10は、主管1に対して枝管9を新規に接続する際にも利用可能であるが、以下の説明においては、主管1に既設の枝管9が存在している際に、枝管9や枝管接続部材10を新規のものに交換する場合を想定して説明する。
枝管接続工法は、上述した主管1のように、筒状の本管3、及び本管3の内周面に固定された筒状の内管5を含む多重構造の管の中途において接続された既設の枝管9を取り外した後、新たに枝管9を接続するために用いられる工法である。枝管接続工法は、既設枝管撤去工程、接続部材設置工程、枝管接続工程を含む工程を経て行われる。
既設枝管撤去工程は、図6に示すように主管1に取り付けられた既設の枝管9を撤去する工程である。既設枝管撤去工程において枝管9を撤去すると、図7に示すように、本管3及び内管5に亘って連通するように形成された穿孔7が主管1の周面に開口した状態になる。
接続部材設置工程は、図8に示すように、穿孔7(主管1)に対し、枝管接続部材10を取り付ける工程である。接続部材設置工程において、上述した枝管接続部材10は、例えば、図8に示すようにアダプター部12、受口部14、取付部16、及び筒状部18等からなる各部(各パーツ)を組み立てた状態とした後、穿孔7に対して取り付ける方法、枝管接続部材10をなす一部のパーツを組み立てた状態で穿孔7に対して取り付けた後、残りのパーツを組み付ける方法等により穿孔7に対して取り付けることができる。
図8において矢印で示すように、枝管接続部材10の取り付けに際し、挿入部44は、その先端側を主管1の内側に向けた状態で穿孔7に差し込まれる。この際、挿入部44は、穿孔7をなす本管穿孔7aを介して内管穿孔7bの内側に到達するように挿入される。また、枝管接続部材10は、取付部16が主管1をなす本管3の外周面3bに沿って湾曲する姿勢として穿孔7(主管1)に対して取り付けられる。このような姿勢で枝管接続部材10を取り付けることにより、図4に示すように、挿入部44の先端部44aに形成された湾曲部44bが内管5の内周面5aに沿って湾曲した状態になる。また、挿入部44は、取付部16の裏面側への突出量が、主管1の厚み(本管3及び内管5の厚みの和)に相当するものとされている。そのため、挿入部44の先端部44aは、内管5の内周面5aをなす湾曲面、あるいは当該湾曲面よりも僅かに径方向外側の位置に到達した状態になる。
また、枝管接続部材10の取り付けに際しては、穿孔7に形成された段差部7cにおいて、穿孔7の内周面において露出している本管3と内管5の継ぎ目等から排水等が予期せず浸入するのを抑制すべく、段差部7cにシール性を有する部材が配されると良い。具体的には、例えば、段差部7cにシール性を有するコーキング材を塗布したり、図4や図5に示すようにパッキン等のシール性を有する介在部材46を配置したりすると良い。また、介在部材46は、挿入部44と段差部7cとの間に形成された空隙を埋めるように配すると良い。例えば、介在部材46としてOリング等を用いる場合には、挿入部44に対して予め介在部材46を装着しておき、挿入部44を穿孔7に差し込むことによって介在部材46が挿入部44と段差部7cとの間に配されるようにすると良い。このようにして介在部材46を配する場合には、挿入部44と段差部7cとの間隔よりも大きな肉厚を有するものを介在部材46として用いることにより、段差部7cに対して介在部材46を圧接させ、段差部7cにおけるシール性を高めることができる。接続部材設置工程は、このようにして枝管接続部材10を取り付けることにより完了する。
枝管接続工程は、上述した接続部材設置工程によって穿孔7(主管1)に取り付けられた枝管接続部材10に対し、新たに枝管9を接続する工程である。枝管接続工程においては、枝管接続部材10の受口部14に対し、枝管接続端14bから枝管9を挿入することにより行われる。また、受口部14に枝管9を挿入した後、第二バンド34を装着することにより、枝管9を枝管接続部材10に対して強固に固定することができる。このようにして枝管9が接続されることにより、枝管接続構造100が形成され、枝管接続工法による主管1に対する枝管9の取付施工が完了する。
≪枝管接続構造100の構成について≫
図4や図5に示すように、枝管接続構造100は、例えば上述した枝管接続工法等により枝管接続部材10を用いて主管1に対して枝管9を接続することにより構成される。枝管接続構造100は、主管1の周面に開口すると共に本管3及び内管5に亘って連通するように形成された穿孔7に対し、枝管接続部材10を介して枝管9を接続したものである。枝管接続構造100は、先端部44aを主管1の内側に向けた状態で挿入部44が穿孔7に差し込まれると共に、取付部16が主管1の周面に沿って取り付けられた構造とされている。また、枝管接続構造100においては、挿入部44が、本管穿孔7aを介して内管穿孔7bの内側に到達するように挿入されている。
枝管接続構造100においては、挿入部44の先端部44aが、内管5の内周面5aをなす湾曲面に到達、あるいは当該湾曲面よりも僅かに径方向外側に退出した位置に到達した構造とされている。先端部44aの位置を内管5の内周面5aをなす湾曲面よりも径方向外側に退出した位置とする場合には、その退出量(長さ)を内周面5aに対して内管5の肉厚以下の範囲内とすると良い。これにより、穿孔7の内側に形成されている段差部7cよりも主管1の外側に挿入部44の先端部44aを到達させることができる。そのため、枝管9から排出された排水等が、穿孔7の内周側に露出している本管3と内管5との継ぎ目等に浸入するのを抑制できる。
また、枝管接続構造100においては、挿入部44の先端部44aに設けられた湾曲部44bが、内管5の内周面5aの延長上において、内周面5aと同等の曲率で湾曲している。これにより、枝管接続構造100は、枝管9から排出された排水が、挿入部44から内管5の内周面5aに向けてスムーズに流れる構造とされている。
枝管接続構造100においては、挿入部44と段差部7cとの間に介在部材46が介在している。ここで、挿入部44の外周面は、上下方向に延びる軸線に対して傾斜した面とされている。また、挿入部44は、先端側(図中下方側)に向けて先細り状の形状とされている。そのため、段差部7cと挿入部44との間に形成される空隙は、挿入部44の基端側(図中上方側)に向かうに連れて狭くなる構造とされている。従って、介在部材46として、例えばゴム製のOリングのような弾性変形しやすいものを用いたとしても、介在部材46は挿入部44の基端側への移動が制限され、段差部7cと挿入部44との間に位置決めされる。また、枝管接続構造100においては、介在部材46として、段差部7cと挿入部44との間隔よりも大きな肉厚のものを用いることにより、段差部7cと挿入部44との間に介在部材46が挟み込んだ構造とされている。これにより、介在部材46が段差部7cに対して圧接され、段差部7cにおけるシール性が高められると共に、介在部材46が挿入部44の基端側に移動しないように位置決めされた構造とされている。
上述したように、本実施形態の枝管接続部材10は、穿孔7に対して挿入される挿入部44が先細り形状とされている。そのため、本実施形態の枝管接続部材10や枝管接続構造100では、挿入部44を介して枝管9から主管1に流れ込む排水は、挿入部44の軸心側に案内されて流れることになり、穿孔7の内縁側に排水が流れるのを抑制できる。従って、枝管接続部材10や枝管接続構造100によれば、穿孔7が形成された部分において露出する本管3と内管5との接合部分の近傍において、排水が流れる可能性を最小限に抑制できる。
また、枝管接続部材10は、挿入部44が先細り形状とされており、挿入部44の先端を内管5に形成された穿孔7(内管穿孔7b)の内側に収まる配置及び大きさとされている。そのため、枝管接続構造100では、枝管9を流れる排水を挿入部44を介して確実に主管1に流入させることができる。これにより、枝管接続構造100では。枝管9から主管1に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制できる。
本実施形態の枝管接続部材10は、挿入部44の先端部44aを内管5に形成された内管穿孔7bの内側に到達するように挿入可能な大きさ及び形状のものとされている。そのため、枝管接続部材10を介して枝管9を主管1に対して取り付けることにより構築された枝管接続構造100では、枝管9を流れる排水を挿入部44を介して主管1に流入させることができる。これにより、枝管9から主管1に向けて流れる排水が予期せぬ部分に浸入する不具合をより一層確実に抑制できる。また、本実施形態の枝管接続部材10及び枝管接続構造100においては、挿入部44の先端部44aが内管5の内周面5aと面一、あるいは内周面5aよりも僅かに内管5の径方向外側の位置に到来するように、挿入部44の長さが規定されている。そのため、枝管接続部材10及び枝管接続構造100においては、先端部44aが内管5よりも径方向内側に突出しておらず、検査等のために主管1の内部を通過する部材の邪魔にならない。また、先端部44aが内管5よりも径方向内側に突出していないため、枝管9から流れ込む排水が挿入部44から内管5の内周面5aを伝って流れるように、排水の流れを誘導することができる。
なお、本実施形態で例示した枝管接続部材10は、挿入部44が先端側に向けて連続的に先細りするように形成れたものを例示したが、例えば、先端側に向けて段階的に先細りする形状のものとしても良い。
また、本実施形態では、枝管9の接続対象となる主管1が、主管1及び内管5からなる二重構造のものである例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多重の構造のものであっても良い。
上述した枝管接続部材10は、挿入部44の先端部44aが内管穿孔7bの内側に収まる大きさとされている。これに対し、先端部44aよりも基端側の部分は、先端部44aと比べて拡径されており、本管穿孔7aに挿通可能ではあるものの内管穿孔7bには挿通不能な部分とされている。そのため、上述した枝管接続部材10や枝管接続構造100において、挿入部44は、軸線方向に向けて過剰に穿孔7に差し込まれることなく、位置決め精度良く配置されている。
なお、本実施形態では、挿入部44において先端部44aよりも基端側において拡径された部分が存在していることを利用して、挿入部44の軸線方向への位置決めを行えるようにした例を示したが、例えば、挿入部44の外周部に外側に向けて突出したフランジや突起等の突出部材を設け、当該突出部材が内管穿孔7bに引っかかる位置まで挿入部44を挿入可能なもの等としても同様の効果が期待できる。
上述した枝管接続部材10や枝管接続構造100においては、挿入部44の先端部44aに湾曲部44bが設けられている。また、湾曲部44bは、内管5の内周面5aの延長線上に配されている。従って、上述した構成によれば、挿入部44を流れる排水が内管5の内周面5aに沿ってスムーズに流れるように、排水の流れを誘導することができる。なお、本実施形態では、挿入部44の先端部44aに湾曲部44bを設けた例を示したが、例えば排水の流れを前述のように誘導する必要がない場合や、湾曲部44bを設けなくても同様の効果が期待できる場合等においては、湾曲部44bを設けないこととしても良い。
また、上述した枝管接続部材10や枝管接続構造100においては、穿孔7に形成された段差部7c及び挿入部44の間に、介在部材46を介在させている。これにより、例えば例えば排水や、地中において本管の破損箇所から浸入して本管と内管との間を伝う等して流れてきた浸入水等の不明水が予期せず段差部7cにおいいて入り込む等の不具合を抑制できる。また、上述したように介在部材46を設けることにより、挿入部44を位置ズレ等しないように取り付けることができる。なお、本実施形態では、介在部材46を段差部7c及び挿入部44の間に設ける例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば排水や本管の破損箇所から浸入した浸入水等の不明水が予期せず段差部7cにおいて入り込むことや挿入部44の位置決め精度の向上等の介在部材46による効果を得るための対策を他の構成によって実現できる場合や、介在部材46による効果を期待しない場合には、介在部材46を設けないものであっても良い。また、例えば排水や地中において本管の破損箇所から浸入した浸入水等の不明水が段差部7cへの浸入が問題にならない場合等には、介在部材46は必ずしもシール性を有するものである必要はない。
また、上述した本実施形態の枝管接続工法によれば、上述した枝管接続部材10を用いて、主管1に対して既設の枝管9を撤去し、新たな枝管9を設置することによって枝管接続構造100を構築できる。なお、本実施形態では、既設の枝管9を取り外すことを前提として枝管接続工法についての説明を行ったが、枝管接続部材10の用途や枝管接続構造100に係る構造は、上述した枝管接続工法とは異なる工法等によって実現されるものでも良い。例えば、主管1に対して枝管9を新規に取り付ける場合には、上述した既設枝管撤去工程に代えて、穿孔7を形成する工程を設け、当該工程の後に接続部材設置工程、及び枝管接続工程を経て枝管接続構造100を構築するものとすると良い。また、本実施形態で例示した枝管接続工法は、既設枝管撤去工程、接続部材設置工程、及び枝管接続工程の3工程に大別される工程を経て行われるものであるが、これらの工程に加えて別の工程を設ける等しても良い。
本発明は、上述した実施形態や変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
本発明は、水道管、下水管、排水管等の各種の配管において、主管に対して枝管を接続するために好適に利用することが可能である。
1 :主管
3 :本管
3a :内周面
5 :内管
5a :内周面
7 :穿孔
7a :本管穿孔
7b :内管穿孔
7c :段差部
9 :枝管
10 :枝管接続部材
16 :取付部
44 :挿入部
44a :先端部
44b :湾曲部
46 :介在部材
100 :枝管接続構造

Claims (8)

  1. 筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対して枝管を接続するための枝管接続部材であって、
    前記穿孔に対して挿入される挿入部と、
    前記主管の周面に沿って取り付けられる取付部とを有し、
    前記挿入部が、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状とされていることを特徴とする枝管接続部材。
  2. 前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通し、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きくなるように形成されたものであり、
    前記挿入部の先端側に、前記内管穿孔の内側に収まる先端部を有し、
    前記挿入部において前記先端部よりも基端側に、前記本管穿孔に挿通可能かつ前記内管穿孔に挿通不能な部分を有することを特徴とする請求項1に記載の枝管接続部材。
  3. 前記挿入部の先端に、前記内管の内周面に沿うように湾曲した湾曲部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の枝管接続部材。
  4. 前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成され、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きく、前記本管穿孔と前記内管穿孔との間に段差部を有するものであり、
    前記挿入部と前記段差部との間に介在する介在部材を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の枝管接続部材。
  5. 筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において、前記主管の周面に開口すると共に前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔に対し、枝管接続部材を介して枝管を接続したものであり、
    前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成されたものであり、
    前記取付部が、前記主管の周面に沿って取り付けられ、
    前記挿入部が、前記本管穿孔を介して前記内管穿孔の内側に到達するように挿入されていることを特徴とする枝管接続構造。
  6. 前記挿入部の先端が、前記内管の内周面に沿うように湾曲した湾曲部を有し、
    前記内管の内周面に対応する位置に前記湾曲部が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の枝管接続構造。
  7. 前記穿孔が、前記本管に形成された本管穿孔、及び前記内管に形成された内管穿孔が連通するように形成され、前記本管穿孔の開口領域が前記内管穿孔の開口領域よりも大きく、前記本管穿孔と前記内管穿孔との間に段差部を有するものであり、
    前記挿入部と前記段差部との間にシール性を有する介在部材を介在させていることを特徴とする請求項5又は6に記載の枝管接続構造。
  8. 筒状の本管、及び当該本管の内周面に固定された筒状の内管を含む多重構造の主管の中途において接続された既設の枝管を取り外した後、新たに枝管を接続する枝管接続工法であって、
    既設の前記枝管を撤去することに伴い、前記本管及び前記内管に亘って連通するように形成された穿孔が前記主管の周面に開口した状態にする既設枝管撤去工程と、
    前記穿孔に対し、枝管接続部材を取り付ける接続部材設置工程と、
    前記枝管接続部材に対して、新たに枝管を接続する枝管接続工程とを有し、
    前記枝管接続部材として、先端側に向けて連続的あるいは段階的に先細りした形状の挿入部と、前記主管に対して取り付けられる取付部とを有するものを用い、
    前記接続部材設置工程において、前記挿入部の先端側を前記主管の内側に向けた状態で前記挿入部を前記穿孔に差し込み、前記取付部を前記主管の周面に沿って取り付けることを特徴とする枝管接続工法。
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