JP2021070995A - せん断補強材を埋設した膨張材併用軽量コンクリート製床版 - Google Patents

せん断補強材を埋設した膨張材併用軽量コンクリート製床版 Download PDF

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Hitoshi Tajima
仁志 田嶋
和仁 内海
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和仁 内海
利治 岸
Toshiji Kishi
利治 岸
一郎 岩城
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治郎 中澤
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治郎 中澤
拓海 前田
Takumi Maeda
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慎也 伊藤
Shinya Ito
慎也 伊藤
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数馬 五十嵐
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Abstract

【課題】耐久性向上と軽量化を実現可能な膨張材併用軽量コンクリート製床版等を提供する。【解決手段】道路構造3は、床版31と舗装層35を有する。床版31はコンクリートにより形成される。コンクリートは、軽量骨材およびセメントに加えて膨張材を含有する膨張材併用軽量コンクリートである。床版31には、床版厚さ方向のせん断補強材312が埋設される。また、床版厚さ方向の上部と下部には鉄筋311が埋設され、せん断補強材312の両端部は、上下の鉄筋311に引掛けるように配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、せん断補強材を埋設した膨張材併用軽量コンクリート製床版に関する。
橋脚等により道路構造を支持する道路橋では、道路構造の重量を低減する目的で、軽量骨材を使用した軽量コンクリートによるRC(reinforced concrete:鉄筋コンクリート)床版が用いられることがある。
通常、軽量コンクリートは普通コンクリートと比較して引張強度やせん断強度が小さい。RC床版は、上部を走行する車両からの輪荷重の繰り返し作用により押し抜きせん断破壊し、床版の上面と下面の間を斜め方向のひび割れが貫通して終局に至るが、その耐久性はコンクリートの強度に大きく依存し、軽量コンクリート製のRC床版の耐久性は普通コンクリートを使用した場合に比べて劣ると考えられている。
これに対し、軽量コンクリートの強度を向上させる技術として、軽量コンクリートに緊張材によるプレストレスを導入したものがある。一方、特許文献1、2のようにコンクリートに膨張材を混入することで、膨張材の膨張に伴うケミカルプレストレスによりコンクリートの引張抵抗力を向上させることもでき、機械的にプレストレスを導入する手間を省くことができる。また特許文献3には、膨張材によりケミカルプレストレスを導入するとともに耐水性も向上させた軽量コンクリート製床版について開示されている。
特開2008−44806号公報 特許第3658568号 特許第6082207号
現在、道路構造のRC床版としては、耐久性向上と軽量化をより進めることが期待されており、このようなRC床版の実用化は、補修・補強を含む道路構造の生産性向上とライフサイクルコストの削減に資するものである。
例えば床版のコンクリート中の膨張材の量をより増加させ、強いケミカルプレストレスを導入しコンクリートの強度を高めて耐久性を向上させることも考えられるが、この場合、床版厚さ方向のコンクリートの膨張力が大きく床版のひび割れが発生する懸念がある。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、耐久性向上と軽量化を実現可能な膨張材併用軽量コンクリート製床版等を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための本発明は、コンクリートにより形成した床版であって、軽量骨材およびセメントに加えて膨張材を前記コンクリートに含有し、且つ、前記床版に、床版厚さ方向のせん断補強材が埋設されたことを特徴とする膨張材併用軽量コンクリート製床版である。
本発明では、床版厚さ方向のせん断補強材を床版内に配置することにより押し抜きせん断破壊に抵抗できるのに加え、膨張材による床版厚さ方向の膨張力に対してもせん断補強材によって抵抗させることができる。そのため、膨張材の量を多くして強いケミカルプレストレスを導入でき、床版厚を薄くしても十分な耐久性が得られ、床版の軽量化と耐久性向上の実現が可能になる。
床版厚さ方向の上部と下部に鉄筋が埋設され、前記せん断補強材の両端部が、上下の鉄筋に引掛けるように配置されることが望ましい。
床版厚さ方向のせん断補強材は、両端部を床版の上下の鉄筋に引掛けるように配置しコンクリート内に定着することで、膨張材による膨張力や床版の押し抜きせん断破壊に対し好適に抵抗させることができる。
前記床版に、平面において直交するように縦横に複数の鉄筋が埋設され、前記せん断補強材は、平面において縦横の前記鉄筋の交差部に配置されることが望ましい。
このようにせん断補強材を配置することで、膨張材による膨張力等に対し好適に抵抗できる。
前記膨張材は、例えば、標準混和量の1.1倍以上の量含有される。
本発明ではせん断補強材により膨張力に抵抗できるので、膨張材を標準混和量の1.1倍以上の量含有させて強いケミカルプレストレスを得ることができる。
前記コンクリートの水結合材比が、15重量%以上38重量%未満であることが望ましい。
水結合材比を38重量%未満とすることで、より高い強度を有する床版が得られる。また水結合材比を15重量%以上とすることにより、床版に必要な施工性の確保が可能になる。
本発明の軽量コンクリート製床版は、プレキャスト床版であることも望ましい。
これによりせん断補強材の追加に係る労務負担を小さくできる。
本発明では、少なくとも粗骨材に、低含水型の軽量骨材を用いることも望ましい。
これにより、床版の耐凍害性を向上させることができ、寒冷地での使用も可能になる。
本発明により、耐久性向上と軽量化を実現可能な膨張材併用軽量コンクリート製床版等を提供することができる。
道路構造3の厚さ方向の断面構成を示す図。 床版31の配筋状態を示す図。 道路構造3を示す図。 供試体30のコンクリートの配合について示す図。 供試体30について示す図。 試験装置10について示す図。 試験結果について示す図。 供試体のコンクリートの配合について示す図。 試験結果について示す図。 床版31’を示す図。
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(1.道路構造3)
図1は、本発明の実施形態に係る床版(膨張材併用軽量コンクリート製床版)31を含む道路構造3を示す図であり、道路構造3の厚さ方向の断面構成を示したものである。
図1に示すように、道路構造3は、床版31、舗装層35等を有する。
床版31は、膨張材、軽量骨材、セメント等を含有したコンクリートにより形成された膨張材併用軽量コンクリート製床版であり、内部に鉄筋311とせん断補強材312が埋設される。また床版31は予め工場で製作したプレキャスト品(プレキャスト床版)である。
コンクリートに用いられる膨張材としては、水和により膨張するものであれば特に限定されない。特許文献1、2にも記載があるが、例えば水酸化カルシウムの生成により水和膨張するもの等、JIS A 6202に適合する膨張材を使用することができる。
なお、本実施形態では、この膨張材として、標準混和量がコンクリート1m3あたり30kgである標準タイプの膨張材を用い、これを標準混和量の1.1倍以上、すなわちコンクリート1m3あたり33kg以上となるように配合する。これにより、膨張材による強いケミカルプレストレスを得て床版31の強度を向上させることができる。ただし膨張材の配合量がこれに限ることはない。また膨張材としては標準混和量がコンクリート1m3あたり20kgである膨張材を用いてもよく、この場合も標準混和量の1.1倍以上となる量を配合すればよい。
軽量骨材は、例えば膨張頁岩を原料とした従来知られている人工の軽量骨材を使用できる。軽量骨材としては、例えば事前吸水させたものを用いることもでき、含水率を0重量%を超える5重量%以下の値とした低含水型の軽量骨材を使用することもできる。特に後者の場合、粗骨材に軽量骨材を用いることで凍結融解に対する抵抗性(耐凍害性)を向上させることができるが、その効果については後述する実施例により説明する。
セメントも特に限定されることなく、公知の様々なポルトランドセメントを用いることができる。また、減水剤や空気量調整剤など、各種の混和剤を含ませることも可能である。
ここで、コンクリート調製時の水結合材比は、15重量%以上38重量%未満とすることが望ましい。なお、結合材はセメントと膨張材を指すものとし、結合材の重量は、これらセメントと膨張材の重量を合わせたものである。
水結合材比を38重量%未満とすることで、より高い強度を有する床版31を得ることができる。また水結合材比が15重量%以上あればプレキャスト品である床版31に必要な施工性の確保が可能になる。ただし水結合材比の範囲がこれに限定されることはない。
鉄筋311は床版31の上部と下部に設けられ、平面において直交するように縦横に複数配置される。
せん断補強材312は床版厚さ方向に設けられる。せん断補強材312としては例えば鉄筋(せん断補強筋)が用いられる。しかしながら、せん断補強材312がこれに限ることはない。
せん断補強材312の両端部は、床版厚さ方向の中心に向かって折り曲げられる。この折曲部は床版31の上下の鉄筋311に引掛けるように配置され、コンクリート内に定着される。
せん断補強材312は、床版31の押し抜きせん断破壊に抵抗するとともに、膨張材による床版厚さ方向の膨張力に抵抗してコンクリートのひび割れを防止する。このように、本実施形態では膨張力に抵抗する手段を確保したうえで、前記のように膨張材の量を多くして強いケミカルプレストレスを導入する。
床版31の厚さは、鉄筋311の端部をループ継手とする場合を考慮し、一般的なループ継手の必要曲げ径とこれに対するかぶり厚を考慮した下限値である22cmとする。こうして床版31を薄厚化し、単位面積1m2あたりの床版重量を減らして床版31を軽量化する。また床版31を薄厚化することは、膨張材の床版厚さ方向の膨張力を低減することにもつながる。ただし床版31の厚さはこれに限ることはなく、22cmより大きくしてもよいし、上記のような継手条件を考慮しなければ22cmより薄くすることも可能である。
図2(a)は床版31の配筋状態を示す図であり、床版31内に配置される鉄筋311とせん断補強材312を上から見たものである。
前記したように鉄筋311は平面において直交するように格子状に配置され、せん断補強材312は縦横の鉄筋311の交差部に配置される。これにより、膨張材による膨張力や床版31の押し抜きせん断破壊に対しせん断補強材312によって好適に抵抗できる。またせん断補強材312はこれらの交差部に千鳥状に配置される。すなわち、縦横に隣り合うせん断補強材312の間には、せん断補強材312の配置されない交差部が存在する。ただし、具体的な配筋手法がこれに限ることはない。
本実施形態では、図2(b)に示すように、縦横の鉄筋311で区画され、縦方向の長さを横方向の鉄筋311の複数ピッチ分(図の例では4ピッチ分)とし、横方向の長さを縦方向の鉄筋311の複数ピッチ分(図の例では4ピッチ分)とした格子Dであって、格子D内に存在するせん断補強材312の断面積の総和の格子Dの面積に対する割合が百分率で0.28%以上となるような格子Dが存在するようにし、せん断補強材312の密度を十分に確保することで膨張材の膨張力や床版31の押し抜きせん断破壊に対し高い抵抗力を得るようにしている。
ここで、上記したせん断補強材312の断面積は、せん断補強材312である鉄筋の長手方向(床版厚さ方向)と直交する断面の面積であり、また格子Dの頂点に位置するせん断補強材312(図2(b)のa参照)については、その断面積の1/4が格子D内に存在し、格子Dの辺に位置するせん断補強材312(図2(b)のb参照)については、その断面積の1/2が格子D内に存在するものとする。
舗装層35は車両等が走行する路面を構成する。舗装層35は従来知られたものとでき、例えばアスファルト等により形成できる。床版31と舗装層35の間に防水層を設けることも可能である。
本実施形態の道路構造3は、例えば図3(a)に示すように橋脚1a上に配置することもできるし、図3(b)に示すようにボックスカルバート1b上に配置することもできる。また、図3(c)に示すようにシールドトンネル1c内で配置される場合もある。その他、種々の道路に適用することができる。また、床版31は新設の道路に適用するだけでなく、既設の床版の打ち替えにも使用できる。
以下、実施例を挙げて本実施形態の床版の効果について説明する。ただし、本発明がこれに限られることはない。
[耐久性]
本実施形態の床版31は、前記したように軽量骨材およびセメントに加えて膨張材をコンクリートに含有し、且つ、床版厚さ方向のせん断補強材によって膨張材による膨張力に抵抗させる。これにより膨張材の量を増やしてより積極的にケミカルプレストレスを導入し、床版の耐久性を向上させることが可能になる。そこでまず、係る床版について輪荷重走行試験を行い、その耐久性について検討を行った結果を実施例1として以下説明する。
(実施例1)
水、セメント、膨張材、骨材(細骨材および粗骨材)、および混和剤である高性能AE減水剤として以下の材料を使用し、これらを図4に示す配合により混合して実施例1のコンクリートを調製した。なお図4に示す高性能AE減水剤の量は結合材の重量に対する重量比(重量%)である。
水;水道水
セメント;普通ポルトランドセメント 太平洋セメント株式会社製
膨張材;CSA#20 デンカ株式会社製
細骨材;人工軽量骨材 メサライト細骨材 日本メサライト工業株式会社製
粗骨材;人工軽量骨材 メサライト粗骨材 日本メサライト工業株式会社製
高性能AE減水剤;マスターグレニウムSP8SV BASFジャパン株式会社製
ここで、膨張材は標準混和量が1m3あたり30kgの標準タイプのものである。また軽量骨材は細骨材、粗骨材ともに事前吸水させたものとし、内部養生効果により長期にわたり膨張量を維持できることを期待して表乾状態の骨材を使用した。
(輪荷重走行試験)
図4の配合により調製したコンクリートを用いて床版である供試体を作成し、輪荷重走行試験を行った。
図5はこの供試体30を示す図である。図5は供試体30の平面であり、内部の配筋状態も図2(a)と同様に図示した。図5に示すように、供試体30は矩形平面を有する平板体であり、その寸法は縦2,800mm×横4,500mm×厚さ220mmである。供試体30の内部には、前記した鉄筋311およびせん断補強材312と同様の配置で鉄筋301およびせん断補強材302を埋設した。
供試体30のコンクリートの材齢は37日とした。また供試体30の中央のせん断補強材302には引張りひずみが発生しており、せん断補強材302が膨張材によるコンクリートの膨張に抵抗していることが確認できた。
輪荷重走行試験は、図6(a)に示す試験装置10を用いて行った。この試験装置10は、門型のフレーム11の上辺から支持したレール12に負荷部13を設け、この負荷部13から供試体30に輪荷重を付加するものである。
負荷部13にはクランクロッド14の一端が取付けられ、クランクロッド14の他端はフライホイール15に取付けられる。このフライホイール15が回転することにより、負荷部13がレール12に沿って図の矢印Aに示すように往復する。
供試体30は架台16上に設けられた支持部17、18により支持される。図6(b)は供試体30の平面における支持部17、18の配置を示す図である。供試体30は、長辺のそれぞれに沿った支持部17、17によって単純支持され、短辺のそれぞれに沿った支持部18、18によって弾性支持される。
負荷部13の下端には車輪が設けられる。この車輪は負荷部13の往復移動に伴い供試体30上を往復移動する。負荷部13は、この車輪により供試体30に輪荷重を負荷するようになっている。
輪荷重は載荷板19を介して供試体30に載荷される。図6(b)の鎖線Cは載荷板19上の車輪の移動範囲を示し、ここでは供試体30の中央部の縦500mm×横3000mmの範囲に設定した。
試験装置10を用いて供試体30(実施例1)に対し行った輪荷重走行試験の結果を図7に示す。輪荷重走行試験では、走行時の輪荷重について、走行開始時の初期荷重を157kN(16tf)とし、走行回数40,000回ごとに19.6kN(2tf)ずつ荷重を増加させた。なお、走行回数は、試験装置10の負荷部13の車輪が移動範囲の一端から他端まで移動した場合を1回として数えている。
図7は横軸を等価走行回数(回)とし、縦軸を供試体30中央のたわみ量(mm)としたグラフである。等価走行回数は実走行回数を輪荷重157kNの一定載荷条件での走行回数に換算した結果であり、以下に示す算出式によって等価走行回数Neqが算出できる。
Neq=Σ(Pi/157)m×Ni
上記算出式において、Pi(kN)は実際に載荷した荷重であり、Ni(回)は荷重Piでの走行回数である。mは等価換算のための係数であり、ここでは12.76を用いている。
図7に示すように、実施例1の供試体30では、等価走行回数約1.25×1010万回で上面の載荷板19付近にひび割れが発生した。この時点で明確な押し抜きせん断破壊状態には至らなかったが、変位が大きく増加したため試験を終了した。
一方、本発明者は膨張材およびせん断補強材を使用しない25cm厚の軽量コンクリート製床版(床版A)、標準混和量が1m3あたり20kgの膨張材をコンクリート1m3あたり30kg配合し、せん断補強材を使用しない25cm厚の軽量コンクリート製床版(床版B)についても同様の試験を実施しており、前者の床版Aでは約2.17×108万回(等価走行回数)走行時、後者の床版Bでは約1.84×109万回(等価走行回数)走行時でひび割れが床版の上面から下面まで斜めに貫通し、押し抜きせん断破壊に至った。
このように、実施例1の供試体30は床版Aに対して50倍以上、床版Bに対して5倍以上の耐久性を有しており、膨張材とせん断補強材を併用した軽量コンクリート床版が、床版厚が薄いにも関わらず高い耐久性を有していることが確認できた。また実施例1の供試体30ではひび割れも床版A、Bより緩やかに進行しており、せん断補強材の配置は脆性的な破壊の抑制にも効果的と考えられる。
[耐凍害性]
軽量骨材として事前吸水させたものを用いる場合、軽量骨材内部の空隙が水で満たされた状態でコンクリートが製作される。ただしこの場合では、コンクリートの硬化後も軽量骨材内部に液相の水が存在するため、コンクリートが凍結融解作用を受けると軽量骨材内部から劣化が進行していく恐れがある。これに対し、前記したように低含水型の軽量骨材を使用することで凍結融解抵抗性(耐凍害性)を向上させることができるので、凍結融解試験を行い耐凍害性について検討を行った結果を実施例2として以下説明する。
(実施例2および比較例1、2)
水、セメント、膨張材、骨材(細骨材および粗骨材A、B)、中空微小球、および混和剤である高性能AE減水剤、AE剤として以下の材料を使用し、これらを図8に示す配合により混合して実施例2および比較例1、2のコンクリートを調製した。なお図8に示す高性能AE減水剤、AE剤の量は結合材の重量に対する重量比(重量%)である。
水;水道水
セメント;普通ポルトランドセメント デンカ株式会社製
膨張材;エトリンガイト系膨張材(30型) デンカ株式会社製
細骨材;人工軽量骨材 メサライト細骨材(プレソーキング(事前吸水)品) 日本メサライト工業株式会社製
粗骨材A;人工軽量骨材 メサライト粗骨材(プレソーキング(事前吸水)品) 日本メサライト工業株式会社製
粗骨材B;人工軽量骨材 メサライト粗骨材(低含水品) 日本メサライト工業株式会社製
中空微小球;KINDエア デンカ株式会社製
高性能AE減水剤;マスターグレニウムSP8SV BASFジャパン株式会社製
AE剤;マスターエア303A BASFジャパン株式会社製
ここで、膨張材は標準混和量が1m3あたり30kgの標準タイプの膨張材である。また実施例2のコンクリートは低含水状態の粗骨材Bを使用することで耐凍害性を向上させることを目的としており、比較例2のコンクリートは外割りで中空微小球を混和することで、軽量骨材自体が包含する空気量相当分を中空微小球にて補い、コンクリート自体の耐凍害性を向上させることを想定している。中空微小球の平均粒径は80μmであり、みかけ密度は0.13g/cm3である。
これら実施例2および比較例1、2のコンクリートのそれぞれを用いて、後述する凍結融解試験に用いる供試体を作製した。供試体は縦100mm×横100mm×高さ400mmの角柱状である。
(凍結融解試験)
凍結融解試験は、JIS A 1148 A法(水中凍結融解試験方法)により行った。JIS A 1148 A法では、全面が水に覆われるように容器内に配置した供試体に対し、凍結融解のサイクルを繰り返し、所定のサイクル時点でJIS A 1127 によるたわみ振動の一次共鳴振動数を測定する。
一次共鳴振動数は相対動弾性係数の算出に用い、本試験では相対動弾性係数の変化により凍結融解抵抗性を評価した。試験の終了時期は、JIS A 1148に準じて300サイクル終了まで、もしくは、相対動弾性係数が60%以下になった時のサイクルとした。
図9は試験結果を示す図である。比較例1では、90サイクルで相対動弾性係数が60%を下回る結果となったが、低含水状態の粗骨材Bを使用した実施例2では300サイクル終了時点においても相対動弾性係数が60%以上を保持しており、凍結融解抵抗性の向上が確認された。中空微小球を混和した比較例2も比較例1よりは凍結融解抵抗性の向上が認められるが、150サイクル経過時には、相対動弾性係数が60%を下回る結果となり、中空微小球を混和した比較例2よりも、低含水状態の粗骨材Bを使用した実施例2の方が耐凍害性に優れていることが確認できた。
以上説明したように、本実施形態では、床版厚さ方向のせん断補強材312を床版31内に配置することにより押し抜きせん断破壊に抵抗できるのに加え、膨張材による床版厚さ方向の膨張力に対してもせん断補強材312によって抵抗させることができる。そのため、膨張材の量を多くして強いケミカルプレストレスを導入でき、床版厚を薄くしても十分な耐久性が得られ、床版31の軽量化と耐久性向上の実現が可能になる。
また、せん断補強材312の両端部は、上下の鉄筋311に引掛けるように配置してコンクリート内に定着することで、膨張材による膨張力や床版の押し抜きせん断破壊に対し好適に抵抗させることができる。
また前記したように、せん断補強材312は、平面において縦横の鉄筋311の交差部に配置されることで、膨張材による膨張力や床版31の押し抜きせん断破壊に対し好適に抵抗させることができる。
上記のように、本実施形態ではせん断補強材312により膨張力に抵抗できるので、膨張材を標準混和量の1.1倍以上に当たる量含有させて強いケミカルプレストレスを得ることができる。
また、本実施形態では、床版31のコンクリートの水結合材比を38重量%未満とすることで、より高い強度を有する床版31が得られる。また水結合材比が15重量%以上あれば、プレキャスト品である床版31に必要な施工性の確保が可能になる。また本実施形態の床版31はプレキャスト床版なので、せん断補強材312の追加に係る労務負担も小さい。
さらに、低含水型の軽量骨材を用いることで床版31の耐凍害性を向上させることができ、寒冷地での使用も可能になる。本実施形態では、粗骨材と細骨材の両方、または粗骨材のみ低含水型の軽量骨材とできる。なお、前記のように水結合材比を小さく(単位セメント量を大きく)することは、セメントの水和による自己乾燥効果によって軽量骨材が包含する水を多く消費することで、耐凍害性の面でも有効である。
しかしながら、本発明はこれに限らない。例えばせん断補強材は図1のせん断補強材312に限らず、図10の床版31’に示すように、せん断補強材312’の両端部に拡幅部を設けてコンクリート内に定着し、拡幅部が鉄筋311に引掛るように配置してもよい。
また本実施形態の床版31はプレキャスト品であるが、労務負担を考慮しなければコンクリートの現場打ちによって形成することも可能である。
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
3:道路構造
31、31':床版
35:舗装層
311:鉄筋
312、312':せん断補強材

Claims (7)

  1. コンクリートにより形成した床版であって、
    軽量骨材およびセメントに加えて膨張材を前記コンクリートに含有し、
    且つ、前記床版に、床版厚さ方向のせん断補強材が埋設されたことを特徴とする膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  2. 床版厚さ方向の上部と下部に鉄筋が埋設され、
    前記せん断補強材の両端部が、上下の鉄筋に引掛けるように配置されたことを特徴とする請求項1記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  3. 前記床版に、平面において直交するように縦横に複数の鉄筋が埋設され、
    前記せん断補強材は、平面において縦横の前記鉄筋の交差部に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  4. 前記膨張材は、標準混和量の1.1倍以上の量含有されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  5. 前記コンクリートの水結合材比が、15重量%以上38重量%未満であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  6. プレキャスト床版であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
  7. 少なくとも粗骨材に、低含水型の軽量骨材を用いることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の膨張材併用軽量コンクリート製床版。
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