JP2021070974A - くさび緊結式足場における緊結装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンロック状態のくさびが適正な位置に保持されるようにして、緊結および緊結解除の作業ならびに梱包時の結束作業をスムーズに行うことが可能である、くさび緊結式足場における緊結装置として、アンロック状態のくさびをより確実に適正位置に保持しうるものを提供する。【解決手段】緊結装置は、支柱1の外側面11に固着されたソケット金具2と、布材3の端面31に垂下状に固着されたくさび5付きインサート金具4と、布材3の端部に設けられた取付ベース6に取り付けられて、くさび5を前方に向かって付勢する圧縮コイルばね7とを備えている。非緊結時には、くさび5前面の第3圧接部59が、圧縮コイルばね7のばね弾性力によって、インサート金具2の垂直壁41内面に押し付けられる。【選択図】図3

Description

この発明は、くさび緊結式足場における緊結装置に関する。
くさび緊結式足場における緊結装置として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。
この緊結装置は、支柱の所定高さの外周に固着された受け金具(ソケット金具)と、2つの支柱間に渡される腕木材(布材)の端部に設けられた係止金具(くさび付きインサート金具)とよりなる。受け金具は、平面からみてコ字形で中央壁が前下がりに傾斜させられている。係止金具は、くさびと、くさび案内部材(インサート金具)とよりなる。くさびは、垂直部と、垂直部の上端に形成された後向き水平突出部と、垂直部から下方に逆くの字状にのびその下半が受け金具の中央壁と略同じ斜度で前下がりに傾斜した逆くの字部と、逆くの字部より後下がりに傾斜した下端部とを有する縦長板状のものである。くさび案内部材は、横断面が支柱の外周面に沿う垂直壁に、くさび嵌め入れ用後方開口凹部を上縁に有する後方突出状周縁が設けられ、この周縁の高さの上方寄り部分が腕木材の外周に沿うように弧状に突出させられて腕木材の外周両側に固着され、さらにその下方において受け金具の中央壁に引っ掛けられる下向き段部が形成されるとともに、これより下部分が受け金具を挿通してその下方に突出する長さの受け金具挿通部となされたものであり、くさびが、その上端の後向き水平突出部を上縁の上方に残して上下動自在に嵌め入れられるとともに、その下端部が周縁下端の後面に接し得るようになされている。
上記の緊結装置にあっては、くさび上端の後向き水平突出部をハンマーで叩いてくさびを押し下げると、くさびの垂直部がくさび案内部材の垂直壁に密接するとともに、くさびの逆くの字部下半が受け金具の中央壁に密接し、さらにこれより後下がりに傾斜した下端部が受け金具の後方突出状周縁の後面に接することにより、くさびが降下状態に保たれる。その結果、くさびの緊結作用により腕木材がぐらつくことがないので、腕木材はしっかりと水平に保たれ、しかも、例えば薄鋼板製の床付布枠を使用してこれに風圧が下から加わったとしても、係止金具が受け金具から上に抜ける危険性はない。
また、支柱に緊結された腕木材を外す場合、くさびの下端部をハンマーで叩き上げて、くさびを上方に移動させれば、くさびが緩んだアンロック状態となるので、支柱の受け金具から腕木材端部の係止金具を上方へ抜いて、腕木材を取り外せばよい。
しかしながら、上記特許文献1の緊結装置の場合、アンロック状態のくさびは、くさび案内部材に対して一定範囲で上下方向および前後方向に相対移動可能であるため、腕木材を取り外す際の振動等により、くさびの下端部がくさび案内部材の周縁下端から下方にずれ落ちて受け金具の中央壁に引っ掛かり、係止金具が受け金具からスムーズに外れないことがあった。
また、上記緊結装置にあっては、支柱の受け金具に腕木材の係止金具を差し込む際にも、アンロック状態のくさびの下端部が下方にずれ落ちていることがあり、そうすると同下端部が受け金具の中央壁に当たるため、係止金具の差し込みがスムーズに行われないおそれがあった。
さらに、上記緊結装置の場合、アンロック状態のくさびの上端部の位置、すなわち、くさび受け金具の周縁上端からのくさびの突出長さが揃わないため、梱包に際して、効率よく複数の腕木材を結束するのが容易でなかった。
そこで、上記課題を解決する手段として、本発明者は、下記特許文献2,3記載の緊結装置を先に提案した。
これらの緊結装置は、支柱の外側面に固着された平面より見てコ字形のソケット金具と、布材の端面に垂下状に固着されたくさび付きインサート金具と、インサート金具における垂直壁内面の上部に設けられて、くさびの上部を後方に向かって付勢する付勢部材(圧縮コイルばね)とを備えている。
インサート金具は、上下方向にのびる垂直壁と、垂直壁の左右側縁から後方に張り出した左右側壁と、垂直壁の下端縁から後方に張り出した底壁とを有するものであって、左右側壁の後端縁の上部が布材の端面に接合されている。インサート金具の下部は、ソケット金具に上方から差し込まれて、先端部分がソケット金具の下方に突出させられた状態で、ソケット金具に保持される。くさびは、側面より見て前方凸状に屈曲した略く字形の縦長板状体よりなり、その後面の下部に、ソケット金具の中央壁内面に沿いうる前下がり傾斜状の圧接面が設けられている。
そして、下記特許文献2の緊結装置では、付勢部材の付勢力によって、くさび後面の上部が布材の端面に押し付けられることにより、くさびのアンロック状態が保持されるようになっている。また、下記特許文献3の緊結装置では、付勢部材の付勢力によって、くさび後面の長さ中間部に設けられた後方突出部の頂部分が布材の端面の下部に押し付けられるとともに、くさび前面のうち長さ中間部に設けられた屈曲凸部よりも下方部分がインサート金具の垂直壁内面に押し付けられることにより、くさびのアンロック状態が保持されるようになっている。
従って、上記特許文献2,3の緊結装置によれば、布材の端部を支柱に緊結して取り付ける際や、緊結を解除して取り外す際に、くさびがソケット金具の中央壁内面と接触するのが確実に回避され、スムーズに緊結および緊結解除の作業を行うことができる。また、これらの緊結装置によれば、アンロック状態におけるインサート金具の上端からのくさびの突出長さが一定になるため、複数本の布材を結束して梱包する作業が容易となる。
特開2016−75045号公報 特許第6271073号公報 特許第6311063号公報
上記特許文献2,3記載の緊結装置によれば、上記特許文献1記載の緊結装置のようにソケット金具へのくさび付きインサート金具の差込や引抜の作業時にくさびがずれて作業がスムーズに行われないという問題や、複数の布材を結束する際にくさびの突出長さが揃わないといった問題を回避できる。
この発明の目的は、アンロック状態のくさびが適正な位置に保持されるようにして、緊結および緊結解除の作業ならびに梱包時の結束作業をスムーズに行うことが可能である、くさび緊結式足場における緊結装置として、アンロック状態のくさびをより確実に適正位置に保持しうるものを提供することである。
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
なお、この発明を特定するに当たり、支柱と布材との位置関係において、「前」とは支柱のある側(図1,3,6の各左側)をいい、「後」とは布材のある側(図1,3,6の各右側)をいうものとする。また、「布材」には、床付き布枠の一部を構成する布材が含まれるものとする。
1)支柱の外側面に固着されたソケット金具と、布材の端部に垂下状に固着されたくさび付きインサート金具とを備えている、くさび緊結式足場における緊結装置であって、
ソケット金具は、平面より見てコ字形のものであって、その中央壁が前下がり傾斜状となされており、
インサート金具は、上下方向にのびかつ支柱の外側面に沿いうる横断面形状を有する垂直壁と、垂直壁の左右側縁から後方に張り出した左右側壁と、垂直壁の下端縁から後方に張り出した底壁とを有するものであって、左右側壁の後端縁の上部が布材の端部に接合されているとともに、インサート金具の下部が、ソケット金具に上方から差し込まれる差し込み部となされ、差し込み部の先端側部分がソケット金具の下方に突出させられており、
くさびは、所定の側面形状を有する縦長板状体よりなるものであって、その長さの一部がインサート金具の内部に所定範囲で上下方向に移動可能に収容されているとともに、その後面の下部に、ソケット金具の中央壁内面に圧接しうる第1圧接部を有しており、
非緊結時のくさびは、その上部がインサート金具の上方に突出させられ、その下端部がインサート金具の底壁上面に当接または近接させられるとともに、その第1圧接部がソケット金具の中央壁内面から離間させられるアンロック状態となされる一方、
緊結時のくさびは、前記アンロック状態から下方に打ち込まれることにより、その第1圧接部がソケット金具の中央壁内面に圧接させられるとともに、くさびの下端部がインサート金具の下方に突出させられて同下端部の前面部分よりなる第2圧接部がインサート金具の底壁の先端縁に圧接させられるロック状態となされ、
前記緊結装置は、さらに、布材の端部またはインサート金具における左右側壁の後端縁の上部にくさび後面と向かい合うように設けられた取付ベースに取り付けられて、くさびを前方に向かって付勢する付勢部材を備えており、
非緊結時には、くさび前面の所定部分よりなる第3圧接部が、付勢部材の付勢力によって、インサート金具の垂直壁内面に押し付けられるようになっている、くさび緊結式足場における緊結装置。
2)付勢部材が圧縮コイルばねよりなり、くさび後面の上部に、くさびがアンロック状態のときにインサート金具の垂直壁内面とほぼ平行をなす平坦面部分よりなりかつ圧縮コイルばねの前端部と面接触させられるアンロック時用ばね受け部が設けられている、上記1)のくさび緊結式足場における緊結装置。
3)くさび後面におけるアンロック時用ばね受け部の上方部分が、アンロック時用ばね受け部と0〜20°の角度をなすほぼ面一の平坦面となされている、上記2)のくさび緊結式足場における緊結装置。
4)くさび後面の長さ中間部に、取付ベースの下端部と当接させられることにより、くさびの上方への移動を阻止しうる抜け止め用上向き段差部が形成されている、上記1)〜3)のいずれか1つのくさび緊結式足場における緊結装置。
上記1)のくさび緊結式足場における緊結装置は、くさびを前方に向かって付勢する付勢部材を備えており、非緊結時には、付勢部材の付勢力によって、くさび前面の第3圧接部がインサート金具の垂直壁内面に押し付けられるようになっているので、くさびを後方に向かって付勢する付勢部材を備えた上記特許文献2,3の緊結装置と比べて、くさびのアンロック状態が保持され易くなる。
従って、上記1)の緊結装置によれば、布材の端部を支柱に緊結して取り付ける際や、緊結を解除して支柱から取り外す際に、くさびがソケット金具の中央壁内面と接触するのが確実に回避され、スムーズに緊結および緊結解除の作業を行うことができ、また、アンロック状態におけるインサート金具の上端からのくさびの突出長さが一定になるため、複数本の布材を結束して梱包する作業が容易となるという効果が、より確実に奏される。
上記2)の緊結装置によれば、非緊結時のくさびに対して、くさび後面のアンロック時用ばね受け部に前端部が面接触した圧縮コイルばねのばね弾性力が、インサート金具の垂直壁内面とほぼ直角をなす方向に作用するため、くさびのアンロック状態をより一層確実に保持することができる。
上記3)の緊結装置によれば、くさびの上下移動に伴い圧縮コイルばねの前端部と接触させられるくさび後面部分が、平坦面部よりなるアンロック時用ばね受け部およびこれとほぼ面一をなす平坦な上方部分よりなるので、くさびの上下移動がスムーズに行われ、また、くさびの上下移動に伴って圧縮コイルばねが取付ベースから外れ難い。
上記4)の緊結装置によれば、くさび後面の長さ中間部に形成された抜け止め用上向き段差部が取付ベースの下端部と当接させられることによって、くさびが不用意に上方へ移動してインサート金具から抜けるのを防止することができる。
この発明によるくさび緊結式足場における緊結装置の実施形態を示すものであって、支柱側のソケット金具と布材側のくさび付きインサート金具とを分離した状態の部分切欠き側面図である。 くさび付きインサート金具の分解斜視図である。 ソケット金具にくさび付きインサート金具が差し込まれ、くさびがアンロック状態にあるときの部分切欠き側面図である。 同平面図である。 図3のV−V線に沿う垂直断面図である。 くさびがロック状態にあるときの部分切欠き側面図である。 図6の状態からくさび下端部に上向きの外力が作用して、くさびが上方に移動した状態を示す部分切欠き側面図である。
この発明の実施形態を、図1〜7を参照して以下に説明する。
これらの図に示すとおり、この実施形態のくさび緊結式足場における緊結装置は、金属パイプ製支柱(1)の外側面(11)に固着されたソケット金具(2)と、金属パイプ製布材(3)の端面(31)に垂下状に固着されたくさび(5)付きインサート金具(4)とを備えてなる。
ソケット金具(2)は、平面より見てコ字形のものであって、中央壁(21)と、中央壁(21)の左右側縁から前方にのびかつ先端縁が支柱(1)の外側面(11)に溶接されている左右側壁(22)(22)とよりなる。中央壁(21)は、前下がり傾斜状となされている。
インサート金具(4)は、上下方向にのびる垂直壁(41)と、垂直壁(41)の左右側縁から後方に張り出した左右側壁(42)(42)と、垂直壁(41)の下端縁から後方に張り出した底壁(43)とを有している。
垂直壁(41)は、支柱(1)の外側面(11)に沿いうる後方凸弧状の横断面形状を有している。垂直壁(41)の下端部は、正面より見て略半円形となされている。
左右側壁(42)(42)の先端縁(後端縁)の高さ中央部には、下向き段差(421)(421)が形成されている。同先端縁における上端と下向き段差(421)(421)との間には、略縦長方形状の切欠部(422)(422)が形成されており(図2参照)、同切欠部(422)(422)に布材(3)の端面(31)の左右部分が溶接されている。また、左右側壁(42)(42)の先端縁における下向き段差(421)(421)よりも下方部分(423)(423)は前下がり傾斜状となされている。これにより、左右側壁(42)(42)の下部が先細り状となされている。なお、図示は省略したが、インサート金具の左右側壁の上部を、布材(3)の端部に嵌め被せられるように左右方向外方に膨らんだ横断面凸弧状として、布材(3)の端部の外周面に溶接する構成としても構わない。
底壁(43)は、垂直壁(41)の下端部の輪郭形状に合致した正面より見て略半円弧形のリブ状となされており、左右側壁(42)(42)との間には斜め後ろ向きの段差(44)(44)が形成されている。
図3〜図7に示すように、このインサート金具(4)は、ソケット金具(2)に上方から差し込まれ、その左右側壁(42)(42)の下向き段差(421)(421)がソケット金具(2)の中央壁(21)上縁に受けられることにより、ソケット金具(2)に保持されるようになっている。つまり、インサート金具(4)における下向き段差(421)(421)よりも下方部分が、ソケット金具(2)に差し込まれる差し込み部(4a)となされている。また、差し込み部(4a)の先端側部分、つまり、インサート金具(4)の下端部は、ソケット金具(2)の下方に突出させられている。インサート金具(4)の差し込み部(4a)がソケット金具(2)に差し込まれた状態において、インサート金具(4)の左右側壁(42)(42)の先端縁における下向き段差(421)(421)よりも下方部分(423)(423)と、ソケット金具(2)の中央壁(21)内面との間には、隙間が生じている。
くさび(5)は、所定の側面形状、即ち、この実施形態では、前方凸状に屈曲した略く字形の側面形状を有する縦長板状体よりなる。この縦長板状体は、好適には鋼材等の鍛造品よりなる。くさび(5)は、その長さの一部が、インサート金具(4)の内部に、所定範囲で上下方向に移動可能に収容されている。
くさび(5)の上端部には、前後方向の厚さが大きくなされた膨出部(51)が設けられている。膨出部(51)は、好ましくは、図1,2等に示すように後方に膨出させられたものとなされている。この膨出部(51)は、くさび(5)をハンマー等で下方に打ち込む際の打撃部として機能するとともに、くさび(5)が振動等によって下方にずれた場合に、布材(3)の端部の上側部分に当接することによって、くさび(5)がインサート金具(4)から抜け落ちるのを防止する抜け止め部としても機能する。
くさび(5)後面の長さ中間部、より詳細には、同後面における長さ中央付近と下端部との間の部分に、側面より見て略山形の後方突出部(52)が形成されている。後方突出部(52)は、その上端部分が、略帯板状となされ、残りの部分が、側面よりみて三角形の山形となされている。そして、後方突出部(52)の上端面によって、くさび(5)後面に抜け止め用上向き段差部(521)が形成されている。上向き段差部(521)は、後述する取付ベース(6)の下端部(62)と当接させられることにより、くさび(5)の上方への移動を阻止しうるものである(図7参照)。したがって、この上向き段差部(521)により、くさび(5)が不用意に上方へ移動してインサート金具(4)から抜けるのが防止される。
くさび(5)の後面下部には、ソケット金具(2)の中央壁(21)内面に沿いうる前下がり傾斜面よりなる第1圧接部(522)が設けられている。この第1圧接部(522)は、くさび(5)後面における後方突出部(52)の下側の前下がり傾斜面によって構成されている。なお、図示は省略したが、第1圧接部は、くさび(5)後面の下部に形成した側面より見て三角形、ドーム形等の後方突出部の頂部分によって構成することもできる。
くさび(5)後面の上部には、上向き段差部(521)の上方部分に、くさび(5)がアンロック状態のときにインサート金具(4)の垂直壁(41)内面とほぼ平行をなす平坦面部分(53)が設けられている(図1,3参照)。この平坦面部分によって、くさび(5)がアンロック状態のときに後述する圧縮コイルばね(7)の前端部(72)と面接触させられるアンロック時用ばね受け部(53)が構成されている。くさび(5)後面におけるアンロック時用ばね受け部(53)の上方部分は、やや前下がりに傾斜させられた平坦面(54)、より詳細には、アンロック時用ばね受け部(53)と0〜20°(より好ましくは0〜5°)の角度をなすほぼ面一の平坦面(54)となされている。
くさび(5)の下端部(55)は、その上方部分よりもやや後方に角度をつけて傾斜させられている。これに伴い、くさび(5)前面の下端寄り位置に、緩やかな角部(56)が形成されている。
くさび(5)の下端部(55)の先端側部分は、インサート金具(4)の底壁(43)上面に沿いうるように、正面より見て略半円形となされている。
図3,4に示すように、非緊結時のくさび(5)は、その上部がインサート金具(4)の上方に突出させられ、その下端部(55)がインサート金具(4)の底壁(43)上面に当接または近接させられるとともに、その第1圧接部(522)がソケット金具(2)の中央壁(21)内面から離間させられる、アンロック状態となされている。
一方、緊結時のくさび(5)は、前記アンロック状態から下方に打ち込まれる、すなわち、図3に矢印(A)で示すように、くさび(5)上端の膨出部(51)がハンマー等で下向きに叩かれることにより、図6に示すように、その第1圧接部(522)がソケット金具(2)の中央壁(21)内面に圧接させられるとともに、くさび(5)の下端部(55)がインサート金具(4)の下方に突出させられて同下端部(55)の前面部分よりなる第2圧接部(57)がインサート金具(4)の底壁(43)先端縁に圧接させられ、さらに、くさび(5)前面の長さ中間部に設けられた屈曲凸部よりなる第4圧接部(58)がインサート金具(4)の垂直壁(41)内面に圧接させられたロック状態となされている。つまり、ロック状態では、くさび(5)がソケット金具(2)に対して1箇所、インサート金具(4)に対して2箇所で圧接させられており、それによって両金具(2)(4)どうしの緊結、ひいては支柱(1)と布材(3)との緊結が強固に行われるようになっている。なお、第4圧接部は、図示のように、くさび(5)前面の長さ中間部に設けられた屈曲凸部(58)によって構成される他、例えば、くさび前面の上部に設けられた所定形状の凸部によって構成されていてもよい。また、くさび前面に第4圧接部を設けずに、ロック状態において、第1圧接部(522)および第2圧接部(57)のみが上記所定箇所と圧接させられる態様とすることも可能である。
また、図6に示すように、くさび(5)のロック状態において、ソケット金具(2)の下端の前後開口幅(W)に対して、インサート金具(4)の垂直壁(41)内面からのくさび(5)下端部(55)の水平方向突出長さ(L)の方が大きくなされている。従って、例えば、薄鋼板製の床付き布枠を使用してこれに下方から風圧が加わった場合や、クレーンで足場を引っ張り上げる場合のように、布材(3)に対して比較的大きな引抜力が作用してくさび(5)が緩んだとしても、くさび(5)の下端部(55)がソケット金具(2)の中央壁(21)下縁に引っ掛かり、それによって、くさび(5)付きインサート金具(4)がソケット金具(2)から抜けるのが阻止され、ひいては、布材(3)の端部が支柱(1)から外れるのが確実に防止される。
くさび(5)による緊結を解除する場合、図6に矢印(B)で示すように、くさび(5)の下端部(55)をハンマー等で上向きに叩く。すると、くさび(5)は、その下端部(55)がインサート金具(4)内に収まるように上方に移動して、図3に示すアンロック状態となるので、くさび(5)付きインサート金具(4)をソケット金具(2)から簡単に引き抜くことができる。
上記緊結装置は、さらに、布材(3)の端部にくさび(5)後面と向かい合うように設けられた取付ベース(6)に取り付けられて、くさび(5)を前方に向かって付勢する圧縮コイルばね(7)(付勢部材)を備えている。
取付ベース(6)は、金属製の垂直方形板よりなり、布材(3)の端面(31)の上下部分に溶接されている。取付ベース(6)には、その中央部に円形の取付孔(61)があけられている。なお、取付ベースは、インサート金具(4)における左右側壁(42)(42)の後端縁上部にまたがるように設けられていてもよい。
圧縮コイルばね(7)は、図示のように、前端に向かうにつれて次第にコイル径が大きくなる円錐状の圧縮コイルばねであるのが好ましい。このような円錐状の圧縮コイルばね(7)を使用すれば、そのばね弾性力が、くさび(5)上部に伝わりやすく、後述する作用効果がより確実に得られるようになる。圧縮コイルばね(7)は、その小径側の後端部(71)が取付ベース(6)の取付孔(61)に嵌め入れられることにより、取付ベース(6)に前方突出状に取り付けられている。圧縮コイルばね(7)の大径側の前端部(72)は、くさび(5)後面に押し付けられているが、打込時や引抜時のくさび(5)の上下方向の移動を妨げるものではない。特に、この実施形態では、くさび(5)の上下方向の移動に伴い、くさび(5)後面における平坦面部よりなるアンロック時用ばね受け部(53)およびこれとほぼ面一をなす平坦な上方部分(54)が、圧縮コイルばね(7)の前端部(72)と接触させられるようになっているので、くさび(5)の移動がスムーズに行われ、また、くさび(5)の移動に伴って圧縮コイルばね(7)が取付ベース(6)から外れ難くなっている。
なお、くさび(5)を前方に向かって付勢する付勢部材として、圧縮コイルばね(7)以外のもの、例えば板ばね等を使用することも可能である。
非緊結時には、くさび(5)前面における所定の1つの部分、具体的には、長さ中間の第4圧接部(58)と後ろ下がりに傾斜した下端部(55)との間の平坦面部分よりなる第3圧接部(59)が、圧縮コイルばね(7)のばね弾性力によって、インサート金具(4)の垂直壁(41)内面に押し付けられ、それによって、くさび(5)のアンロック状態が保持されるようになっている(図1,3参照)。
この際、圧縮コイルばね(7)の前端部(72)は、くさび(5)後面のアンロック時用ばね受け部(53)と面接触させられるようになっている。ばね受け部(53)は、アンロック状態において、インサート金具(4)の垂直壁(41)内面とほぼ平行をなしており、圧縮コイルばね(7)の中心軸線(C)に対してほぼ直角をなしている。また、ばね受け部(53)は、くさび(5)がアンロック状態のときに正面より見て第3圧接部(59)と少なくとも長さの一部どうしが重なるように設けられている。これにより、圧縮コイルばね(7)のばね弾性力は、くさび(5)に対して、インサート金具(4)の垂直壁(41)内面とほぼ直角をなす方向に作用するため、くさび(5)のアンロック状態をより確実に保持することができる。
なお、第3圧接部は、図示のように、くさび(5)前面における長さ中間の1つの平坦面部分(59)によって構成される他、くさび前面における上下に間隔をおいた2つ以上の平坦面部分および/または凸状部分によって構成されていてもよい。
緊結時には、圧縮コイルばね(7)の前端部(72)は、くさび(5)後面のアンロック時用ばね受け部(53)とその上方の平坦面部分(54)とにまたがって接触させられるようになっている。また、圧縮コイルばね(7)は、その中心軸線がくさび(5)前面の第4圧接部(58)よりも上方に位置するようになっている。
上記の通り、この実施形態の緊結装置によれば、非緊結時には、圧縮コイルばね(7)のばね弾性力によって、くさび(5)前面の第3圧接部(59)がインサート金具(4)の垂直壁(41)内面に押し付けられ、くさび(5)のアンロック状態が確実に保持されるようになっているので(図3〜5参照)、布材(3)の端部を支柱(1)に緊結して取り付ける際や、緊結を解除して支柱(1)から取り外す際に、くさび(5)がソケット金具(2)の中央壁(21)内面と接触するのが確実に回避され、スムーズに緊結および緊結解除の作業を行うことができる。また、上記緊結装置によれば、アンロック状態におけるインサート金具(4)上端からのくさび(5)の突出長さが一定になるため、複数本の布材(3)を結束して梱包する作業が容易となる(図1参照)。
この発明は、くさび緊結式足場における緊結装置として好適に用いられるものである。
(1):支柱
(11):外側面
(2):ソケット金具
(21):中央壁
(3):布材
(31):端面(端部)
(4):インサート金具
(4a):差し込み部
(41):垂直壁
(42):左右側壁
(43):底壁
(5):くさび
(521):抜け止め用上向き段差部
(522):第1圧接部
(53):アンロック時用ばね受け部
(54):アンロック時用ばね受け部の上方部分
(55):下端部
(57):第2圧接部
(58):第4圧接部
(59):第3圧接部
(6):取付ベース
(61):取付孔
(62):下端部
(7):圧縮コイルばね
(71):後端部
(72):前端部

Claims (4)

  1. 支柱の外側面に固着されたソケット金具と、布材の端部に垂下状に固着されたくさび付きインサート金具とを備えている、くさび緊結式足場における緊結装置であって、
    ソケット金具は、平面より見てコ字形のものであって、その中央壁が前下がり傾斜状となされており、
    インサート金具は、上下方向にのびかつ支柱の外側面に沿いうる横断面形状を有する垂直壁と、垂直壁の左右側縁から後方に張り出した左右側壁と、垂直壁の下端縁から後方に張り出した底壁とを有するものであって、左右側壁の後端縁の上部が布材の端部に接合されているとともに、インサート金具の下部が、ソケット金具に上方から差し込まれる差し込み部となされ、差し込み部の先端側部分がソケット金具の下方に突出させられており、
    くさびは、所定の側面形状を有する縦長板状体よりなるものであって、その長さの一部がインサート金具の内部に所定範囲で上下方向に移動可能に収容されているとともに、その後面の下部に、ソケット金具の中央壁内面に圧接しうる第1圧接部を有しており、
    非緊結時のくさびは、その上部がインサート金具の上方に突出させられ、その下端部がインサート金具の底壁上面に当接または近接させられるとともに、その第1圧接部がソケット金具の中央壁内面から離間させられるアンロック状態となされる一方、
    緊結時のくさびは、前記アンロック状態から下方に打ち込まれることにより、その第1圧接部がソケット金具の中央壁内面に圧接させられるとともに、くさびの下端部がインサート金具の下方に突出させられて同下端部の前面部分よりなる第2圧接部がインサート金具の底壁の先端縁に圧接させられるロック状態となされ、
    前記緊結装置は、さらに、布材の端部またはインサート金具における左右側壁の後端縁の上部にくさび後面と向かい合うように設けられた取付ベースに取り付けられて、くさびを前方に向かって付勢する付勢部材を備えており、
    非緊結時には、くさび前面の所定部分よりなる第3圧接部が、付勢部材の付勢力によって、インサート金具の垂直壁内面に押し付けられるようになっている、くさび緊結式足場における緊結装置。
  2. 付勢部材が圧縮コイルばねよりなり、くさび後面の上部に、くさびがアンロック状態のときにインサート金具の垂直壁内面とほぼ平行をなす平坦面部分よりなりかつ圧縮コイルばねの前端部と面接触させられるアンロック時用ばね受け部が設けられている、請求項1記載のくさび緊結式足場における緊結装置。
  3. くさび後面におけるアンロック時用ばね受け部の上方部分が、アンロック時用ばね受け部に対して0〜20°の角度をなすほぼ面一の平坦面となされている、請求項2記載のくさび緊結式足場における緊結装置。
  4. くさび後面の長さ中間部に、取付ベースの下端部と当接させられることにより、くさびの上方への移動を阻止しうる抜け止め用上向き段差部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1つに記載のくさび緊結式足場における緊結装置。
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