JP2021070679A - 毛髪処理剤 - Google Patents

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中谷 靖章
Yasuaki Nakatani
靖章 中谷
登紀男 一木
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登紀男 一木
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Abstract

【課題】回数を重ねると毛髪が堅くなるグリオキシル酸を用いない毛髪処理剤と毛髪処理方法を提供する。【解決手段】毛髪処理剤が対イオンを有しないレブリン酸を10〜30質量%含有し、かつpHが3.5〜5.5の範囲である。また、毛髪処理方法が、(1)前記毛髪処理剤を毛髪に塗布し、(2)塗布した状態で毛髪を放置して毛髪処理剤を毛髪に十分に作用させ、(3)毛髪を水洗して毛髪処理剤を洗い流し、(4)乾燥及び毛髪をストレート状にする工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、還元剤や酸化剤を含まずに、クセ毛やうねりのある毛髪に対して、毛髪を傷めることなく、回数を重ねても毛髪が堅くならずに伸長(クセを抑制)することができる毛髪処理剤に関する。また、当該毛髪処理剤を用いることにより、毛髪を伸長(クセを抑制)できる毛髪処理方法にも関する。
一般的な縮毛矯正剤は、主成分の還元剤、酸化剤の作用及び高温での機械的処理により毛髪を伸長(クセを抑制)することができる。具体的には、チオグリコール酸又はその塩、システアミン又はその塩等の還元剤と、アンモニア水、モノエタノールアミン、炭酸水素アンモニウム等のアルカリ剤を含有する第1剤を毛髪に塗布することで、ケラチンタンパクに存在するジスルフィド結合を還元開裂し、毛髪を高温での機械的処理によりストレート状に伸ばした上で、過酸化水素あるいは臭素酸ナトリウム等の酸化剤を主成分とする第2剤で処理して、ジスルフィド基を酸化再形成させ、毛髪をストレート状に固定する。
しかし、還元剤、酸化剤の作用は毛髪ダメージを伴うことが多く、処理後の時間経過に伴い毛髪の感触が悪くなるほか、毛髪表面が荒れることにより、毛髪の風合いが低下してしまう。このため還元剤や酸化剤を含まずに、クセ毛やうねりのある毛髪をストレート状にすることができる毛髪処理剤の開発が望まれている。
還元剤や酸化剤を含まない毛髪処理剤としては、毛髪矯正成分としてグリオキシル酸を用いる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、グリオキシル酸を含む溶液を毛髪に塗布して放置し、毛髪を乾燥させた後に、毛髪矯正アイロンで高温での機械的処理により毛髪を矯正する方法が開示されている。この方法では、毛髪のダメージを抑えながら毛髪を半永久的に矯正できるが、回数を重ねると毛髪が堅くなってしまう。さらに、特許文献2には、グリオキシル酸を2.5〜20質量%と、グルコノラクトン及びエルカラクトンから選択される1種以上を0.1〜10質量%を特定比率含むpH2.0〜3.8の毛髪処理剤が開示されている。この毛髪処理剤でも、毛髪を矯正できかつ使用感触に優れているが、回数を重ねると毛髪が若干堅くなってしまう。さらに、特許文献3には、グリオキシル酸を10〜25質量%と、多価アルコールを45質量%以上とを含有し、グリオキシル酸と多価アルコールの含有量の合計量が65質量%以上で、pHが1.0〜3.0の溶液を毛髪に塗布して放置し、水洗、毛髪を乾燥及び毛髪をストレート状にする方法が開示されている。この方法でも、毛髪のダメージを抑えながら毛髪を矯正できるが、回数を重ねると毛髪が堅くなってしまう。さらに、特許文献4には、レブリン酸を13〜30質量%と、グリオキシル酸を1〜2質量%とを含有し、レブリン酸とグリオキシル酸の含有量の合計が15質量%以上で、pHが1.5〜3.0の溶液を毛髪に塗布して放置し、水洗、毛髪を乾燥及び毛髪をストレート状にする方法が開示されている。この方法でも、毛髪のダメージを抑えながら毛髪を矯正できるが、回数を重ねると毛髪が若干堅くなってしまう。
特許第6122942号 特許第6501937号 特開2019−123702号 特開2019−123701号
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、ダメージを与える還元剤や酸化剤を用いず、さらに、回数を重ねると毛髪が堅くなるグリオキシル酸を用いない毛髪処理剤と毛髪処理方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、対イオンを有しないレブリン酸を特定量含有し、pHを3.5〜5.5の範囲に調整することにより、還元剤や酸化剤によらずに、回数を重ねると毛髪が堅くなるグリオキシル酸の欠点を解消し、クセ毛やうねりのある毛髪に、伸長効果(クセ抑制効果)を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の毛髪処理剤は、
対イオンを有しないレブリン酸を10〜30質量%含有し、かつpHが3.5〜5.5の範囲であることを特徴とする。
また本発明の毛髪処理方法は、
(1)前記毛髪処理剤を毛髪に塗布する工程、
(2)毛髪を放置する工程、
(3)毛髪を水洗する工程、
(4)毛髪を乾燥した後、表面温度が150〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にする、又は、毛髪を表面温度が120〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にしながら乾燥させる、又は、毛髪をドライヤーで乾燥させながらブラシ等でストレート状にし、さらに表面温度が150〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にする工程、
であることを特徴とする。
本発明に係る毛髪処理剤は、回数を重ねると毛髪が堅くなるグリオキシル酸を用いず伸長(クセを抑制)することができる。
<毛髪処理剤>
本発明の毛髪処理剤は、対イオンを有しないレブリン酸を必須に含有する。以下、本発明について詳述する。
対イオンを有しないレブリン酸の配合量は、本発明の毛髪処理剤の全量に対して、10〜30質量%、好ましくは15〜20質量%である。配合量が10質量%未満では十分な毛髪伸長効果を得ることができず、一方、30質量%を超えて配合しても、配合量に見合った毛髪伸長効果の向上は期待できない。
本発明にかかる毛髪処理剤は、レブリン酸以外にも、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えばカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン高分子、両性高分子、多価アルコール、糖類、アミノ酸、ペプチド、プロテイン、金属イオン封鎖剤、油分、粉末成分、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、pH調整剤、増粘剤、粉末成分、香料、粉末成分、色素、水等を含有することができる。
本発明の毛髪処理剤は、pHを3.5〜5.5の範囲、好ましくは4.0〜5.0の範囲に保持することが必要である。pHが3.5未満では、十分な毛髪伸長効果を得ることができず、pHが5.5を超えても、十分な毛髪伸長効果を得ることができない。即ち、毛髪の等電点付近であることが必要である。
毛髪処理剤のpHを上記範囲に調整するための塩基としては、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基、アンモニア水やトリエタノールアミン、塩基性アミノ酸等の有機塩基を用いることができる。又、対イオンを有する塩基としては、グリオキシル酸を除くグリコール酸や乳酸やレブリン酸等のモノカルボン酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、マレイン酸やリンゴ酸等のジカルボン酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、クエン酸等のトリカルボン酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、グルタミン酸やアスパラギン酸である酸性アミノ酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、リン酸やポリリン酸等の無機酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、エチドロン酸、エデト酸、フィチン酸等のキレート効果を特に有する酸のナトリウム塩等の対イオンを有する塩基、等を用いることができる。
他の好ましい成分として、スルホン化ケラチン、カルボキシメチルシステインリシン、分子量が2万〜5万の特定の加水分解ケラチンから選択される1種以上を加えてもよく、配合量は、本発明の毛髪処理剤の全量に対して、1〜10質量%、好ましくは3〜6質量%である。配合量が1質量%未満では毛髪伸長効果の向上を得ることができず、一方、10質量%を超えて配合しても、配合量に見合った毛髪伸長効果の向上は期待できない。
スルホン化ケラチンの市販品としては、CRODA社のKereffectTM SDが挙げられる。カルボキシメチルシステインリシンの市販品としては、Sinerga S.p.A社のHair APPが挙げられる。分子量が2万〜5万の特定の加水分解ケラチンの市販品としては、一丸ファルコス株式会社のプロティキュートHガンマやプロティキュートUアルファ等が挙げられる。
本発明にかかる毛髪処理剤の剤型は、所望の効果が充分に発揮されるのであれば特に限定されないが、例えば、液状、乳液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状などの剤型を採りうる。
<毛髪処理方法>
本発明の毛髪処理方法は、(1)前記毛髪処理剤を毛髪に塗布し、(2)塗布した状態で毛髪を放置して毛髪処理剤を毛髪に十分に作用させ、(3)毛髪を水洗して毛髪処理剤を洗い流し、(4)乾燥及び毛髪をストレート状にする工程を必須に含む。
<(1)塗布工程>
本発明の毛髪処理剤は、整髪又は毛髪矯正アイロンやブローにてストレート状に整えたドライ毛に適用することも可能であるが、毛髪処理剤が毛髪に浸透しやすいことから、ヘアカラー処理直後のウェット毛、シャンプーで予め洗浄し水分を切ったウェット毛、付着した水分をタオルで取り除いたタオルドライ毛、水や高還元アルカリ水を塗布したウェット毛や、スチーム、ミスト、過熱水蒸気、加圧過熱水蒸気等で処理した毛髪、に適用することが好ましい。
<(2)放置工程>
毛髪処理剤の塗布後、室温(約25℃)或いは加温にて10〜40分間、より好ましくは15〜20分間放置し、毛髪処理剤を毛髪に作用させる。放置時間が10分間未満では、毛髪の十分な伸長効果を得ることができず、一方、放置時間が40分間を超えても、放置時間に見合った毛髪伸長効果のさらなる向上は期待できない。
<(3)水洗工程>
毛髪をお湯ですすぎ、毛髪処理剤を毛髪から十分に洗い流す。毛髪から毛髪処理剤を洗い流すことにより、その後の毛髪の乾燥や、取り扱いが容易になる。
<(4)乾燥及び毛髪をストレート状にする工程>
水洗後、水分をタオルで拭き取った後に、毛髪をヘアドライヤーで乾燥した後、表面温度が150〜230℃、好ましくは180〜210℃の整髪又は毛髪矯正アイロンで毛髪に機械力及び熱を加えながらストレート状にする、又は、毛髪を表面温度が120〜230℃、好ましくは130〜180℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にしながら乾燥させる、又は、毛髪をドライヤーで乾燥させながらブラシ等でストレート状にし、さらに表面温度が150〜230℃、好ましくは180〜210℃に熱した整髪又は毛髪矯正アイロンで毛髪に機械力及び熱を加えながらストレート状にする工程。
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
(実施例1〜8及び比較例1〜2)
下記の表1に掲げた組成を有する毛髪処理剤を、精製水に各成分を均一になるまで撹拌混合することにより調製した。
得られた毛髪処理剤の毛髪伸長効果及び回数を重ねた時の堅さ抑制効果の評価を、以下の方法により評価した。
<試験毛束の作成>
天然クセ毛(インド人黒毛)を伸長時の長さが15cmになるように切りそろえ、重さ1gの毛束を作成した。ついで、各毛束を市販のシャンプーにて2回洗浄し、試験毛束とした。
<毛髪伸長効果の評価>
試験毛束に調整した毛髪処理剤を1g塗布し、40℃で20分間放置する。その後、お湯で十分に毛髪処理剤を洗い流す。タオルで毛束の水を拭き取ってからドライヤーで乾燥させ、190℃に熱した毛髪矯正アイロンを2秒間押し当てて毛髪をストレート状にした。この毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置した後、下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が毛髪伸長効果を評価した。
<評価基準>
1.クセが残っており、まとまりが悪い。
2.クセが少し残っており、まとまりがやや悪い。
3.クセはわずかに残っているが、まとまりが良い。
4.クセがほぼ伸びていて、まとまりが良い。
5.クセが伸びていて、ツヤとまとまりが良い。
6.クセが伸びていて、ツヤとまとまりがとても良い。
<回数を重ねた時の堅さ抑制効果の評価>
試験毛束に調整した毛髪処理剤を1g塗布し、40℃で20分間放置する。その後、お湯で十分に毛髪処理剤を洗い流す。タオルで毛束の水を拭き取ってからドライヤーで乾燥させ、190℃に熱した毛髪矯正アイロンを2秒間押し当てて毛髪をストレート状にした。この毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。
この毛束を市販のシャンプーにて2回洗浄し、調整した毛髪処理剤を1g塗布し、40℃で20分間放置する。その後、お湯で十分に毛髪処理剤を洗い流す。タオルで毛束の水を拭き取ってからドライヤーで乾燥させ、190℃に熱した毛髪矯正アイロンを2秒間押し当てて毛髪をストレート状にした。この毛束の一端を固定して垂直方向に吊し、24時間室温放置する。この工程をさらに2回繰り返す。
乾燥させた試験毛束と比較して、下記の評価基準により、10年以上の美容師経験を有する3名が回数を重ねた時の堅さ抑制効果を評価した。
<評価基準>
1.堅さがあり、手触りが悪い。
2.堅さがややあり、手触りが悪い。
3.堅さがなく、手触りがいい。。
4.しなやかさがあり、手触りがいい。
5.しなやかさがあり、とても手触りがいい。
Figure 2021070679
実施例1〜8に示されるように、対イオンを有しないレブリン酸を10〜30質量%を含有した場合に、十分な毛髪伸長効果及び回数を重ねた時の堅さ抑制効果が得られた。これに対し、比較例1〜2に示されるように、対イオンを有しないレブリン酸の配合量が上記範囲外である場合には、毛髪伸長効果が不十分であった。
(実施例9〜14及び比較例3〜6)
下記の表2に掲げた組成を有する毛髪処理剤を、精製水に各成分を均一になるまで撹拌混合することにより調製した。得られた毛髪処理剤の毛髪伸長効果及び回数を重ねた時の堅さ抑制効果の評価を、上記の基準に従って評価した。
Figure 2021070679
実施例9〜14に示されるように、pHを3.5〜5.5の範囲に調節した毛髪処理剤を用いた場合に、十分な毛髪伸長効果及び回数を重ねた時の堅さ抑制効果が得られた。これに対し、比較例3〜6に示されるように、pHが上記範囲外である場合には、毛髪伸長効果が不十分であった。
(実施例15〜26及び比較例7〜9)
下記の表3に掲げた組成を有する毛髪処理剤を、精製水に各成分を均一になるまで撹拌混合することにより調製した。得られた毛髪処理剤の毛髪伸長効果及び回数を重ねた時の堅さ抑制効果の評価を、上記の基準に従って評価した。
Figure 2021070679
実施例15〜26に示されるように、実施例4にスルホン化ケラチン、カルボキシメチルシステインリシン、分子量が2万〜5万の特定の加水分解ケラチンから選択される1種以上を1〜10質量%追加した毛髪処理剤を用いた場合に、毛髪伸長効果の向上が得られた。これに対し、比較例7〜9に示されるように、スルホン化ケラチン、カルボキシメチルシステインリシン、分子量が2万〜5万の特定の加水分解ケラチンの追加した含有量が上記範囲外である場合には、毛髪伸長効果の向上は見られなかった。

Claims (3)

  1. 対イオンを有しないレブリン酸を10〜30質量%含有し、かつpHが3.5〜5.5の範囲であることを特徴とする毛髪処理剤。
  2. スルホン化ケラチン、カルボキシメチルシステインリシン、分子量が2万〜5万を有する特定の加水分解ケラチンから選択される1種以上を1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪処理剤。
  3. (1)請求項1又は2に記載の毛髪処理剤を毛髪に塗布する工程、
    (2)毛髪を放置する工程、
    (3)毛髪を水洗する工程、
    (4)毛髪を乾燥した後、表面温度が150〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にする、又は、毛髪を表面温度が120〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にしながら乾燥させる、又は、毛髪をドライヤーで乾燥させながらブラシ等でストレート状にし、さらに表面温度が150〜230℃の整髪又は毛髪矯正アイロンでストレート状にする工程、
    であることを特徴とする毛髪処理方法。
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