JP2021070393A - 車両の操舵反力トルク制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載された操舵反力制御装置においては、操舵反力は実際の操舵角と必要な操舵角との偏差が大きいほど大きくなるよう制御されるので、操舵反力の特性は操舵角の偏差を変数とするばね特性のような特性になる。よって、実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるときには、操舵角の偏差の増大につれて操舵反力が増大し、運転者の操舵操作を抑制する効果が高くなる。
本発明によれば、運転者によるステアリングホイール(16)の操作時に操舵摩擦補償トルク(Tsf)を発生することができるよう構成された電動パワーステアリング装置(22)と、電動パワーステアリング装置を制御する制御装置(24)と、を含む車両(14)の操舵反力トルク制御装置(10)が提供される。
実際の操舵角(θ)の変化が目標操舵角(θt)に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルク(Tsf)が減少する、及び実際の操舵角(θ)の変化が目標操舵角(θt)から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルク(Tsf)が増大する
の少なくとも一方が達成されるように、電動パワーステアリング装置(22)の操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御するよう構成されている。
Ss=Tg/Tc …(1)
Gs=2・Fs/Ss+Gsf …(2)
Tsf=Tsfbase・Gs …(3)
Tat=Tab+Tsf …(4)
0<2Tsfbase≦Tsf0 …(5)
例えば、図4の上段は、操舵角θが正の範囲にて増大する状況(θd>0で左旋回方向への切り込み操舵)において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示している。図4の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
時点tp以前はθ<θtであり、時点tp以降はθ>θtである。よって、時点tp以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り込みの操舵操作がやり易くなる。逆に、時点tp以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて大きくなるよう行われる切り込みの操舵操作がやり難くなる。
上記Aの場合とは逆に、時点tp以前はθ>θtであり、時点tp以降はθ<θtである。よって、時点tp以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて大きくなるよう行われる切り込みの操舵操作がやり難くなる。逆に、時点tp以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り込みの操舵操作がやり易くなる。
図5の上段は、操舵角θが正の範囲にて減少する状況(θd>0で左旋回方向からの切り戻し操舵)において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示している。図5の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
時点tq以前はθ>θtであり、時点tp以降はθ<θtである。よって、時点tq以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り戻しの操舵操作がやり易くなる。逆に、時点tq以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて過小になるよう行われる切り戻しの操舵操作がやり難くなる。
上記Cの場合とは逆に、時点tq以前はθ<θtであり、時点tp以降はθ>θtである。よって、時点tq以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて過小になるよう行われる切り戻しの操舵操作がやり難くなる。逆に、時点tq以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り戻しの操舵操作がやり易くなる。
図6の上段は、目標操舵角θt(一点鎖線)が正の一定で、運転者により保舵操作が行われる状況において、操舵角θが目標操舵角θtに対し増減する例を示し、図6の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
図4及び図5の上段に示された例においては、それぞれ図4及び図5の下段に示されているように、時点tp及びtqにおいて操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が開始する。図6の上段に示された例においては、図6の下段に示されているように、時点t1及びt2において操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が開始する。
−Tsfbase≦Tsf≦Tsfbase …(6)
次に、図7乃至図14を参照して、前述の特許文献1に記載されているように、操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合と、本発明に従って、操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合とを対比して説明する。なお、理解が容易になるよう、運転者100がステアリングシャフトなどに対応する質量体102を摩擦平面104に沿って移動操作するモデルについて説明する。図7などにおける摩擦力Fsf0は、上述の物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力であり、摩擦力Fsfは、操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力である。
<P1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図7に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者100が質量体102に操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を促進する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsの補助を受けて容易に質量体102を目標位置へ移動することができる。
図8に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者100が質量体102に操作力Fdを与える場合には、低減された操舵摩擦補償トルクTsfに対応する低減された摩擦力Fsfが作用する。よって、ばね力Fsのような補助力は作用しないが、操舵摩擦補償トルクTsfが低減されず摩擦力Fsfが低減されない場合に比して、運転者は容易に質量体102を目標位置へ移動することができる。
<Q1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図9に示されているように、運転者100は、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体102に操作力Fdを与えないが、質量体102の移動を促進する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsと摩擦力Fsf0との差に対応する力Fs’によって引っ張られるので、他者による操作介入の違和感を覚えることが避けられない。
図10に示されているように、運転者100は、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体102に操作力Fdを与えないので、物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0も操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力Fsfも作用しない。また、質量体102の移動を促進する方向のばね力Fsも作用しない。よって、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることはない。
<R1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図11に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう、運転者100が質量体102に過剰な操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を阻害する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsの抵抗を受けるので、目標位置を越えて質量体102を移動することが抑制される。
図12に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう、運転者100が質量体102に過剰な操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を阻害する方向に物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0及び増大された操舵摩擦補償トルクTsfに対応する増大された摩擦力Fsfが作用する。よって、運転者は高い抗力Fsf0+Fsfを受けるので、目標位置を越えて質量体102を移動することが抑制される。
<S1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図13に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置に留まるよう、運転者100が質量体102を保持する場合には、質量体102を目標位置へ戻そうとするばね力Fsが作用する。よって、運転者は、質量体102を移動させようとしないにも拘らず、ばね力Fsと摩擦力Fsf0との差である力Fs’に対抗する力を質量体102に及ぼさなければならないので、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることが避けられない。
図14に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置にあっても、運転者100が質量体102を移動しようとしない場合には、物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0及び操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力Fsfは作用しない。また、質量体102を目標位置へ戻そうとするばね力Fsも作用しない。よって、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることはない。
次に、図15乃至図20を参照して、実施形態において運転者により種々の操舵操作が行われるが、基本目標操舵アシストトルクTabが与えられない場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係について説明する。なお、図15乃至図20において、一点鎖線は、セルフアライニングトルクに起因する操舵トルクTsaを示し、二点鎖線は、セルフアライニングトルクに起因する操舵トルクTsa及び物理的操舵摩擦トルクTsf0が作用する場合(操舵摩擦補償トルクTsfが0である場合)の操舵反力トルクTsre0fを示している。更に、細い実線及び細い破線は、それぞれ操舵摩擦補償トルクTsfがTsfbase及び−Tsfbaseである場合の操舵反力トルクTsreを示している。
上記P2に対応する操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り込み操舵する場合である。図15において、太い実線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtよりも小さいときには、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0−Tsfbaseであるので、運転者は切り込み操舵し易い。これに対し、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きくなると、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0+Tsfbaseになるので、運転者は切り込み操舵し難くなる。
上記Q2に対応する操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り込み操舵する意思がない場合である。図16において、黒丸にて示されているように、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0であり、操舵角θ及び操舵反力トルクTsreは変化しないので、運転者が他者の操舵介入の違和感を覚えることはない。
上記<1>とは逆の操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り戻し操舵する場合である。図17において、太い実線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいときには、操舵摩擦補償トルクTsfは−Tsfbaseであり低減されるので、運転者は切り戻し操舵し易い。これに対し、操舵角θが目標操舵角θtよりも小さくなると、操舵摩擦補償トルクTsfはTsfbaseになり増大されるので、運転者は切り戻し操舵し難くなる。
操舵角θが目標操舵角θtである状況において、運転者が所定の範囲内にて操舵操作を行うと、操舵反力トルクTsreは図18において双頭の矢印Xにて示された範囲にて変動する。この場合、操舵角θは変化しないので操舵角速度θdは0であり、図2に示されたフローチャートのステップ30において否定判別が行われる。また、操舵角θは目標操舵角θtと同一であるので、ステップ70において否定判別が行われ、ステップ90においてフラグFsが1にセットされる。よって、操舵摩擦補償トルクTsfはTsfbaseになり増大されるので、操舵反力トルクTsreがTsa−Tsf0−TsfbaseからTsa+Tsf0+Tsfbaseの範囲(所定の範囲)を越えない限り、運転者が無意識に操舵トルクを変動させても操舵角θが目標操舵角θt以外の値に変化しない。
操舵角θが目標操舵角θtである状況において、操舵反力トルクTsreが図20において例えば所定の範囲Xを越える範囲Zにて変化するよう運転者が操舵トルクを変化させると、操舵角θが太線の矢印にて示されているように目標操舵角θt以外の値に変化する。即ち、運転者は操舵角θを変化させようとしなくても操舵角が変化してしまう。
以上の説明から解るように、実施形態によれば、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少し、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する。よって、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づくよう行われる操舵操作は容易になり、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかるよう行われる操舵操作は困難になる。従って、実際の操舵角が目標操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことを促進し、実際の操舵角が目標操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することを抑制することができる。
Claims (1)
- 運転者によるステアリングホイールの操作時に操舵反力トルクを発生することができるよう構成された電動パワーステアリング装置と、前記電動パワーステアリング装置を制御する制御装置と、を含む車両の操舵反力トルク制御装置において、
前記制御装置は、実際の操舵角及び車両が車線に沿って走行するための目標操舵角の情報を取得し、
前記実際の操舵角の変化が前記目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少する、及び前記実際の操舵角の変化が前記目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する
の少なくとも一方が達成されるように、前記電動パワーステアリング装置の操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御するよう構成された車両の操舵反力トルク制御装置。
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