JP2021070393A - 車両の操舵反力トルク制御装置 - Google Patents

車両の操舵反力トルク制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵の違和感を生じない操舵反力トルク制御装置を提供する。【解決手段】電動パワーステアリング装置と、電動パワーステアリング装置を制御する制御装置と、を含む車両の操舵反力トルク制御装置であって、制御装置は、実際の操舵角(θ)及び車両が車線に沿って走行するための目標操舵角(θt)の情報を取得し、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルク(Tsf)が減少し(S60、80)、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する(S50、90)ように、電動パワーステアリング装置の操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御する(S100〜130)。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などの車両の操舵反力トルク制御装置に係る。
自動車などの車両における操舵反力の制御の一つとして、車両の適正な走行にとって必要な操舵が行われるときには操舵反力が低減され、車両の適正な走行にとって不必要な操舵が行われるときには操舵反力が増大されるよう、操舵反力を制御することが知られている。
例えば、下記の特許文献1には、自車両及び自車両周囲の走行環境の将来を予測し、予測結果に基づいて将来必要な操舵角(最適操舵角)を推定し、実際の操舵角が必要な操舵角に近づくときには操舵反力が低減され、実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるときには操舵反力が増大されるよう構成された操舵反力制御装置が記載されている。
特許文献1に記載された操舵反力制御装置によれば、実際の操舵角を必要な操舵角に近づける操舵操作は操舵反力の低減によって容易であり、実際の操舵角を必要な操舵角から遠ざける操舵操作は操舵反力の増大によって困難になる。よって、上述のように操舵反力が制御されない場合に比して、実際の操舵角が必要な操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことを促進し、実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することを抑制することができる。
特開2003―63430号公報
〔発明が解決しようとする課題〕
特許文献1に記載された操舵反力制御装置においては、操舵反力は実際の操舵角と必要な操舵角との偏差が大きいほど大きくなるよう制御されるので、操舵反力の特性は操舵角の偏差を変数とするばね特性のような特性になる。よって、実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるときには、操舵角の偏差の増大につれて操舵反力が増大し、運転者の操舵操作を抑制する効果が高くなる。
しかし、例えば保舵時のように運転者に操舵操作の意図がない状況において操舵角の偏差があるときには、後に詳細に説明するように、実際の操舵角を必要な操舵角に近づけようとする不必要な操舵反力が作用する。そのため、運転者は操舵操作しようとしていないにも拘らずステアリングホイールが回転しようとすることに起因して、他者から操舵の介入を受けたような違和感を覚えることが避けられない。
本発明の主要な課題は、操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御することにより、従来の操舵反力の制御における上述の問題が生じないよう改良された操舵反力トルク制御装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段及び発明の効果〕
本発明によれば、運転者によるステアリングホイール(16)の操作時に操舵摩擦補償トルク(Tsf)を発生することができるよう構成された電動パワーステアリング装置(22)と、電動パワーステアリング装置を制御する制御装置(24)と、を含む車両(14)の操舵反力トルク制御装置(10)が提供される。
制御装置(24)は、実際の操舵角(θ)及び車両が車線に沿って走行するための目標操舵角(θt)の情報を取得し、
実際の操舵角(θ)の変化が目標操舵角(θt)に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルク(Tsf)が減少する、及び実際の操舵角(θ)の変化が目標操舵角(θt)から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルク(Tsf)が増大する
の少なくとも一方が達成されるように、電動パワーステアリング装置(22)の操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御するよう構成されている。
上記の構成によれば、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少し、及び/又は実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する。よって、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づくよう行われる操舵操作は容易になり、及び/又は実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかるよう行われる操舵操作は困難になる。従って、実際の操舵角が必要な操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことを促進し、及び/又は実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することを抑制することができる。
なお、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少し、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する場合には、上記両方の効果が得られる。即ち、実際の操舵角が必要な操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことを促進することができると共に、実際の操舵角が必要な操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することを抑制することができる。
また、例えば保舵時のように運転者に操舵操作の意図がない状況において操舵角の偏差があっても、実際の操舵角が変化しない限り操舵摩擦補償トルクは発生しない。よって、不必要な操舵反力トルクに起因して運転者が他者から操舵の介入を受けたような違和感を覚えることを回避することができる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いられた符号が括弧書きで添えられている。しかし、本発明の各構成要素は、括弧書きで添えられた符号に対応する実施形態の構成要素に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の実施形態にかかる車両の操舵反力トルク制御装置を示す概略構成図である。 実施形態による操舵摩擦補償トルクの制御を含む操舵アシストトルクの制御ルーチンを示すフローチャートである。 操舵トルクTs及び車速Vに基づいて車両全体の目標操舵アシストトルクTstを演算するためのマップである。 上段は、操舵角θが正の範囲にて増大する状況において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示し、下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。 上段は、操舵角θが正の範囲にて減少する状況において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示し、下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。 上段は、目標操舵角θt(一点鎖線)が一定で、運転者により保舵操作が行われる状況において、操舵角θが目標操舵角θtに対し増減する例を示し、下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。 操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者が質量体に操作力Fdを与える状況を示す説明図である。 操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者が質量体に操作力Fdを与える状況を示す説明図である。 操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体を操作する意思が運転者にはない状況を示す説明図である。 操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体を操作する意思が運転者にはない状況を示す説明図である。 操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう運転者が質量体を過剰に操作する状況を示す説明図である。 操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう運転者が質量体を過剰に操作する状況を示す説明図である。 操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置に留まるよう運転者が質量体を保持する状況を示す説明図である。 操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合において、質量体が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置に留まるよう運転者が質量体を保持する状況を示す説明図である。 運転者の操舵操作の方向が運転支援の操舵方向と同一の切り込み操舵が行われる場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。 運転者に運転支援の操舵と同様の操舵操作の意思がない場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。 運転者の操舵操作の方向が運転支援の操舵方向と同一の切り戻し操舵が行われる場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。 操舵角θが目標操舵角θtである状況において、運転者が所定の範囲内にて操舵トルクを変化させる場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。 操舵摩擦補償トルクTsfが増減されない従来のパワーステアリング装置において、運転者が操舵トルクを変化させる場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。 操舵角θが目標操舵角θtである状況にて、運転者が所定の範囲を越えて操舵トルクを変化させる場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係の具体例を示す操舵ヒステリシス線図である。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1において、本発明の実施形態にかかる操舵反力トルク制御装置10は、操舵装置12を備えた車両14に適用されている。操舵装置12は、運転者により操作されるステアリングホイール16と、操舵輪である前輪18L及び18Rと、ステアリングホイール16と前輪18L及び18Rとの間に操舵に関する力及び変位の伝達を行う伝達装置20と、を含んでいる。操舵反力トルク制御装置10は、操舵アシストトルクTaを発生し伝達装置20に操舵アシストトルクTaを付与する電動パワーステアリング装置22と、電動パワーステアリング装置22を制御する電子制御装置24と、を有している。
図示の実施形態においては、電動パワーステアリング装置22は、コラムアシスト型の電動パワーステアリング装置(EPS)である。なお、電動パワーステアリング装置は、操舵アシストトルクTaを制御し得る限り、例えばピニオンアシスト型又はラックアシスト型の電動パワーステアリング装置のように、他の型式の電動パワーステアリング装置であってもよい。
図1に示されているように、伝達装置20は、ステアリングホイール16と共に回転するアッパステアリングシャフト26と、インタミディエットシャフト28と、操舵機構30とを含んでいる。インタミディエットシャフト28は、上端にてユニバーサルジョイント32を介してアッパステアリングシャフト26の下端に連結され、下端にてユニバーサルジョイント34を介して操舵機構30のピニオンシャフト36に連結されている。
操舵機構30は、ラック・アンド・ピニオン型のステアリングユニット38と、タイロッド40L及び40Rとを含み、ステアリングユニット38はピニオンシャフト36の回転をラックバー42の車両横方向の直線運動に変換し、またこの逆の変換を行う。タイロッド40L及び40Rは、内端にてラックバー42の先端に枢着されており、タイロッド40L及び40Rの外端は、それぞれ左右の前輪18L及び18Rのキャリア(図示せず)に設けられたナックルアーム44L及び44Rに枢着されている。
よって、ステアリングホイール16の回転変位及び回転トルクは、伝達装置20により、前輪18及び18Rのキングピン軸(図示せず)の周りの枢動及び回転トルクに変換されて前輪18L及び18Rへ伝達される。また、左右の前輪18L及び18Rが路面46から受けるキングピン軸の周りの枢動及び回転トルクは、伝達装置20により、ステアリングホイール16へそれぞれ回転変位及び回転トルクとして伝達される。
電動パワーステアリング装置22は、電動機48及び変換装置50を有し、図1には示されていないが、変換装置50は電動機48の回転軸に固定されたウオームギヤ及びアッパステアリングシャフト26に固定されたウオームホイールを含んでいる。電動機48の回転トルクは変換装置50によってアッパステアリングシャフト26の回転トルクに変換されてアッパステアリングシャフトへ伝達される。
電子制御装置24は、電動機48の回転トルクを制御することにより、後に詳細に説明するように、電動パワーステアリング装置22がアッパステアリングシャフト26に付与する操舵アシストトルクTaを制御する制御装置として機能する。電子制御装置24には、アッパステアリングシャフト26に設けられた操舵角センサ52及びトルクセンサ54からそれぞれ操舵角θ及び操舵トルクTを示す信号が入力される。また、電子制御装置24には、車速センサ56から車速Vを示す信号が入力され、CCDカメラ58から車両前方の情報が入力される。なお、車両の前方の情報は、CCDカメラ58以外の手段により取得されてもよく、CCDカメラ58と他の手段との組合せにより取得されてもよい。
なお、電子制御装置24は、CPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続されたマイクロコンピュータを含み、ROMは後述の制御プログラム、数式などを記憶していてよい。また、操舵角センサ52及びトルクセンサ54は、それぞれ車両が直進状態にあるときの値を0とし、左旋回方向へ操舵されるときの値を正として操舵角θ及び操舵トルクTを検出する。よって、ステアリングホイール16が反時計周り方向へ回転するときに、操舵角θの時間微分値θdが正の値になる。
電子制御装置24は、図2に示されたフローチャートに従って、走行軌跡制御(「LKA(レーンキープピングアシスト)制御」とも呼ばれる)などの運転支援制御の目標操舵角θtを演算する。例えば、電子制御装置24は、CCDカメラ58により取得された車両前方の情報に基づいて、当技術分野において公知の要領にて走行車線を特定し、車両を走行車線に沿って走行させるための目標操舵角θtを演算する。
なお、目標操舵角θtの演算自体は、本発明の要旨をなすものではないので、例えば特許第5737197号公報に記載された要領のように、当技術分野において公知の任意の要領にて実行されてよい。また、目標操舵角θtの演算は、運転支援制御を行う他の電子制御装置により行われ、目標操舵角θtを示す信号が他の電子制御装置から電子制御装置24へ入力されてもよい。
電子制御装置24は、操舵トルクT及び車速Vに基づいて基本目標操舵アシストトルクTabを演算し、操舵アシストトルクTaが基本目標操舵アシストトルクTabと操舵摩擦補償トルクTsfとの和である最終目標操舵アシストトルクTatになるように、電動パワーステアリング装置22を制御する。
特に、電子制御装置24は、実際の操舵角θの時間微分値θdに基づいて実際の操舵角の変化を判定し、車両の運転支援制御の目標操舵角θtと実際の操舵角θとの大小関係に基づいて、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるか否かを判定する。更に、電子制御装置24は、実際の操舵方向が要求操舵方向と一致するときには操舵反力トルクが減少し、実際の操舵方向が要求操舵方向と異なるときには操舵反力トルクが増大するように、電動パワーステアリング装置22を制御する。
次に、図2に示されたフローチャートを参照して、実施形態の操舵摩擦補償トルクの制御を含む操舵アシストトルクの制御ルーチンについて説明する。図2に示されたフローチャートによる制御は、図には示されていないイグニッションスイッチがオンであるときに、所定の時間毎に繰返し実行される。なお、下記の説明においては、図2に示されたフローチャートによる操舵アシストトルクの制御を単に「制御」と指称する。
まず、ステップ10においては、トルクセンサ54により検出された操舵トルクTを示す信号及び車速センサ56により検出された車速Vを示す信号などが読み込まれる。更に、操舵トルクT及び車速Vに基づいて、図3に示されたマップから、基本目標操舵アシストトルクTabが演算される。図3に示されているように、基本目標操舵アシストトルクTabは、操舵トルクTの大きさが大きいほど、大きさが大きくなると共に、車速Vが高いほど、大きさが小さくなるよう、演算される。
ステップ20においては、CCDカメラ58により取得された車両前方の情報に基づいて、当技術分野において公知の要領にて走行車線が特定され、車両を走行車線に沿って走行させるための目標操舵角θtが演算される。
ステップ30においては、操舵角θの時間微分値θdが正であるか否かの判別、即ち運転者によりステアリングホイール16が反時計回り方向へ操作されているか否かの判別が行われる。否定判別が行われたときには制御はステップ70へ進み、肯定判別が行われたときには制御はステップ40へ進む。
ステップ40においては、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいか否かの判別、即ち運転者による反時計回り方向へのステアリングホイール16の操作量が過剰であるか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ50においてフラグFsが1にセットされ、否定判別が行われたときには、ステップ60においてフラグFsが−1にセットされる。
ステップ70においては、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいか否かの判別、即ち運転者による時計回り方向へのステアリングホイール16の操作量が不足しているか否かの判別が行われる。肯定判別が行われたときには、ステップ80においてフラグFsが−1にセットされ、否定判別が行われたときには、ステップ90においてフラグFsが1にセットされる。
ステップ50、60、80又は90が完了すると、制御はステップ100へ進む。ステップ100においては、Ssを下記の式(1)にて表される値(正の定数)として、下記の式(2)に従って操舵摩擦補償トルクTsfを徐変させるための徐変係数Gsが演算される。ただし、演算された徐変係数Gsが1よりも大きいときには、徐変係数Gsは1に設定され、演算された徐変係数Gsが−1よりも小さいときには、徐変係数Gsは−1に設定される。
Ss=Tg/Tc …(1)
Gs=2・Fs/Ss+Gsf …(2)
なお、上記式(1)において、Tgは徐変時間(予め設定された0.1sec程度の正の定数)であり、Tcは図2に示されたフローチャートのサイクルタイム(例えば1msecの正の定数)である。更に、上記式(2)において、Gsfは徐変係数Gsの前回値であり、2は徐変係数Gsを−1から1まで変化させるための係数である。操作量が不足している状況から操作量が過剰である状況へ変化すると、フラグFsが−1から1へ変化し、上記変化とは逆の変化が生じると、フラグFsが1から−1へ変化し、よって徐変係数Gsは−1と1との間に変化する。
ステップ110においては、下記の式(3)に従って、予め設定された増減の操舵摩擦補償トルクをTsfbase(正の定数)として、操舵摩擦補償トルクTsfが増減の操舵摩擦補償トルクTsfbaseと徐変係数Gsとの積になるように演算される。
Tsf=Tsfbase・Gs …(3)
ステップ120においては、下記の式(4)に従って、最終目標操舵アシストトルクTatが、ステップ10において演算された基本目標操舵アシストトルクTabと、ステップ110において演算された操舵摩擦補償トルクTsfとの和になるように演算される。
Tat=Tab+Tsf …(4)
ステップ130においては、アッパステアリングシャフト26に付与される操舵アシストトルクTaの制御が実行される。即ち、操舵アシストトルクTaが最終目標操舵アシストトルクTatになるように、電動パワーステアリング装置22の電動機48へ供給される制御電流の電流値が制御される。
運転者によりステアリングホイール16が回転されて操舵操作が行われる際には、伝達装置20及び電動パワーステアリング装置22内の相対的に運動する部材間の摩擦に起因して実質的に一定の物理的操舵摩擦トルクTsf0が発生する。また、操舵角θの大きさの増大に連れてセルフアライニングトルクに起因する操舵トルクTsaが増大する。よって、運転者が操舵操作時に感じる操舵摩擦トルクTsffは、操舵トルクTsaと物理的操舵摩擦トルクTsf0と操舵摩擦補償トルクTsfとの和Tsa+Tsf0+Tsfである。
操舵摩擦補償トルクTsfは操舵アシストトルクの制御によってTsfbaseと−Tsfbaseとの間に増減される。従って、操舵摩擦トルクTsffは、Tsf0+TsfbaseとTsf0−Tsfbaseとの間に変化する。更に、操舵摩擦補償トルクTsfが増減される際には、増減の開始時及び終了時に徐変時間Tgに亘り操舵摩擦補償トルクTsfが徐々に変化し、段差的な急変が防止される。
なお、増減の操舵摩擦補償トルクTsfbaseは、操舵摩擦補償トルクTsfの増減が効果的に行われると共に、物理的操舵摩擦トルクTsf0に対し過大にならないよう、下記の不等式(5)を充足する値であることが好ましい。
0<2Tsfbase≦Tsf0 …(5)
図2に示されたフローチャートによれば、操舵摩擦補償トルクTsfの増減は、操舵角θの時間微分値θdの符号及び操舵角θと目標操舵角θtとの大小関係に応じて、下記の表1の通り制御される。
Figure 2021070393
<切り込み操舵の例>
例えば、図4の上段は、操舵角θが正の範囲にて増大する状況(θd>0で左旋回方向への切り込み操舵)において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示している。図4の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
<A>操舵角θが実線にて示された例
時点tp以前はθ<θtであり、時点tp以降はθ>θtである。よって、時点tp以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り込みの操舵操作がやり易くなる。逆に、時点tp以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて大きくなるよう行われる切り込みの操舵操作がやり難くなる。
<B>操舵角θが破線にて示された例
上記Aの場合とは逆に、時点tp以前はθ>θtであり、時点tp以降はθ<θtである。よって、時点tp以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて大きくなるよう行われる切り込みの操舵操作がやり難くなる。逆に、時点tp以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り込みの操舵操作がやり易くなる。
なお、図には示されていないが、操舵角θが負の範囲にて減少する状況(θd<0で右旋回方向への切り込み操舵)においては、操舵角θと目標操舵角θtとの大小関係は、上述の操舵角θが正の範囲にて増大する状況とは逆になる。
<切り戻し操舵の例>
図5の上段は、操舵角θが正の範囲にて減少する状況(θd>0で左旋回方向からの切り戻し操舵)において、操舵角θと目標操舵角θt(一点鎖線)との大小関係が変化する例を示している。図5の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
<C>操舵角θが実線にて示された例
時点tq以前はθ>θtであり、時点tp以降はθ<θtである。よって、時点tq以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り戻しの操舵操作がやり易くなる。逆に、時点tq以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて過小になるよう行われる切り戻しの操舵操作がやり難くなる。
<D>操舵角θが破線にて示された例
上記Cの場合とは逆に、時点tq以前はθ<θtであり、時点tp以降はθ>θtである。よって、時点tq以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増加によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて過小になるよう行われる切り戻しの操舵操作がやり難くなる。逆に、時点tq以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り戻しの操舵操作がやり易くなる。
なお、図には示されていないが、操舵角θが負の範囲にて増大する状況(θd<0で右旋回方向からの切り戻し操舵)においては、操舵角θと目標操舵角θtとの大小関係は、上述の操舵角θが正の範囲にて減少する状況とは逆になる。
<E><保舵時の例>
図6の上段は、目標操舵角θt(一点鎖線)が正の一定で、運転者により保舵操作が行われる状況において、操舵角θが目標操舵角θtに対し増減する例を示し、図6の下段は、操舵摩擦補償トルクTsfの変化を示している。
時点t1以前はθ>θtであり、時点t1以降で時点t2以前はθ<θtであり、時点t2以降はθ>θtである。よって、時点tq以前及び時点t2以降においては、操舵摩擦補償トルクTsfの減少によって操舵摩擦トルクTsffが低減されるので、操舵角θが目標操舵角θtへ近づくよう行われる切り戻しの操舵操作がやり易くなる。逆に、時点t1以降で時点t2以前においては、操舵摩擦補償トルクTsfの増大によって操舵摩擦トルクTsffが増大されるので、操舵角θが目標操舵角θtから離れて増大するよう行われる操舵操作がやり難くなる。従って、操舵角θが目標操舵角θtから離れることが抑制され、操舵角θが目標操舵角θtに近づくことが抑制され、これにより保舵が安定的に行われることが促進される。
<増減反転時の徐変>
図4及び図5の上段に示された例においては、それぞれ図4及び図5の下段に示されているように、時点tp及びtqにおいて操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が開始する。図6の上段に示された例においては、図6の下段に示されているように、時点t1及びt2において操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が開始する。
実施形態によれば、ステップ100及び110の処理により、操舵摩擦補償トルクTsfが減少と増大との間にて変化する際に、徐変時間Tgに亘り徐変係数Gsが−1と1との間に徐々に変化される。よって、図4及び図5の下段において誇張して図示されているように、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の開始時及び終了時の変化が穏やかになる。よって、ステップ100及び110の処理が行われず、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転の開始及び終了が段差的に行われる場合に比して、運転者が操舵摩擦トルクの急変に起因して違和感を覚える虞を低減することができる。
また、運転者が操舵摩擦トルクの急変に起因して違和感を覚える虞を低減すべく、図4及び図5の下段において二点鎖線にて示されているように、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転を穏やかにすることが考えられる。しかし、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が穏やかにされると、運転者が操舵摩擦トルクを感じ難くなるため、運転者が適正に操舵操作するよう操舵摩擦トルクによって操舵操作の促進及び抑制を効果的に行わせることができなくなる。
実施形態によれば、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転自体が穏やかになるのではなく、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の開始時及び終了時の変化が穏やかになる。よって、運転者が適正に操舵操作するよう操舵摩擦トルクによって操舵操作の促進及び抑制を効果的に行わせつつ、運転者が操舵摩擦トルクの急変に起因して違和感を覚える虞を低減することができる。
なお、ステップ100及び110の処理により操舵摩擦補償トルクTsfの増減の開始時及び終了時の変化が穏やかにされると、操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転が遅れるように思われる。しかし、徐変時間Tgは前述のように0.1sec程度の非常に短い時間であるので、運転者が操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転に遅れを感じることはない。運転者が操舵摩擦補償トルクTsfの増減の反転に遅れを感じることなく、運転者が操舵摩擦トルクの急変に起因して違和感を覚える虞を低減するためには、徐変時間Tgは0.05〜1.0sec、操舵反力トルクTSreの大きさにもよるが、特に0.1〜0.5secであることが好ましい。
また、徐変係数Gsは上述のように−1と1との間に変化するので、ステップ100において増減の操舵摩擦補償トルクTsfbaseと徐変係数Gsとの積として演算される操舵摩擦補償トルクTsfは、図4乃至図6の下段に示されているように、−TsfbaseとTsfbaseとの間に変化する。よって、操舵摩擦補償トルクTsfは下記の不等式(6)を充足する値である。
−Tsfbase≦Tsf≦Tsfbase …(6)
<ばね力と摩擦力との対比>
次に、図7乃至図14を参照して、前述の特許文献1に記載されているように、操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合と、本発明に従って、操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合とを対比して説明する。なお、理解が容易になるよう、運転者100がステアリングシャフトなどに対応する質量体102を摩擦平面104に沿って移動操作するモデルについて説明する。図7などにおける摩擦力Fsf0は、上述の物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力であり、摩擦力Fsfは、操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力である。
<運転者の移動操作の方向が運転支援の移動方向と同一の場合>
<P1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図7に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者100が質量体102に操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を促進する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsの補助を受けて容易に質量体102を目標位置へ移動することができる。
<P2>操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合
図8に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう、運転者100が質量体102に操作力Fdを与える場合には、低減された操舵摩擦補償トルクTsfに対応する低減された摩擦力Fsfが作用する。よって、ばね力Fsのような補助力は作用しないが、操舵摩擦補償トルクTsfが低減されず摩擦力Fsfが低減されない場合に比して、運転者は容易に質量体102を目標位置へ移動することができる。
<運転者に運転支援の移動と同様の操作意思がない場合>
<Q1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図9に示されているように、運転者100は、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体102に操作力Fdを与えないが、質量体102の移動を促進する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsと摩擦力Fsf0との差に対応する力Fs’によって引っ張られるので、他者による操作介入の違和感を覚えることが避けられない。
<Q2>操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合
図10に示されているように、運転者100は、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置へ移動するよう質量体102に操作力Fdを与えないので、物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0も操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力Fsfも作用しない。また、質量体102の移動を促進する方向のばね力Fsも作用しない。よって、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることはない。
<運転者が過剰な操作をしようとする場合>
<R1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図11に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう、運転者100が質量体102に過剰な操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を阻害する方向にばね力Fsが作用する。よって、運転者はばね力Fsの抵抗を受けるので、目標位置を越えて質量体102を移動することが抑制される。
<R2>操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合
図12に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えて移動するよう、運転者100が質量体102に過剰な操作力Fdを与える場合には、質量体102の移動を阻害する方向に物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0及び増大された操舵摩擦補償トルクTsfに対応する増大された摩擦力Fsfが作用する。よって、運転者は高い抗力Fsf0+Fsfを受けるので、目標位置を越えて質量体102を移動することが抑制される。
<運転者が操舵支援に抗して保持する場合>
<S1>操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合
図13に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置に留まるよう、運転者100が質量体102を保持する場合には、質量体102を目標位置へ戻そうとするばね力Fsが作用する。よって、運転者は、質量体102を移動させようとしないにも拘らず、ばね力Fsと摩擦力Fsf0との差である力Fs’に対抗する力を質量体102に及ぼさなければならないので、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることが避けられない。
<S2>操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合
図14に示されているように、質量体102が二点鎖線にて示された目標位置を越えた位置にあっても、運転者100が質量体102を移動しようとしない場合には、物理的操舵摩擦トルクTsf0に対応する摩擦力Fsf0及び操舵摩擦補償トルクTsfに対応する摩擦力Fsfは作用しない。また、質量体102を目標位置へ戻そうとするばね力Fsも作用しない。よって、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることはない。
以上の説明から解るように、操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合には、状況によってはばね力に起因して運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることがある。これに対し、本発明に従って操舵支援の反力が摩擦力にて与えられる場合には、運転者が不必要な力を感じることがないので、運転者が他者による操作介入の違和感を覚えることを回避することができる。
<操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreの関係の具体例>
次に、図15乃至図20を参照して、実施形態において運転者により種々の操舵操作が行われるが、基本目標操舵アシストトルクTabが与えられない場合について、操舵角θと運転者が感じる操舵反力トルクTsreとの関係について説明する。なお、図15乃至図20において、一点鎖線は、セルフアライニングトルクに起因する操舵トルクTsaを示し、二点鎖線は、セルフアライニングトルクに起因する操舵トルクTsa及び物理的操舵摩擦トルクTsf0が作用する場合(操舵摩擦補償トルクTsfが0である場合)の操舵反力トルクTsre0fを示している。更に、細い実線及び細い破線は、それぞれ操舵摩擦補償トルクTsfがTsfbase及び−Tsfbaseである場合の操舵反力トルクTsreを示している。
<1>運転者の操舵操作の方向が運転支援の操舵方向と同一の切り込み操舵の場合(図15)
上記P2に対応する操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り込み操舵する場合である。図15において、太い実線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtよりも小さいときには、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0−Tsfbaseであるので、運転者は切り込み操舵し易い。これに対し、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きくなると、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0+Tsfbaseになるので、運転者は切り込み操舵し難くなる。
なお、図15において、太い破線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtから離れるよう運転者が切り戻し操舵しようとすると、操舵反力トルクTsreはTsa−Tsf0−Tsfbaseとなって負の値になり、切り戻し操舵に対する抗力トルクとなるので、運転者は切り戻し操舵し難くい。よって、運転者が不必要な操舵をする虞を低減することができる。
<2>運転者に運転支援の操舵と同様の操舵操作の意思がない場合(図16)
上記Q2に対応する操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り込み操舵する意思がない場合である。図16において、黒丸にて示されているように、操舵反力トルクTsreはTsa+Tsf0であり、操舵角θ及び操舵反力トルクTsreは変化しないので、運転者が他者の操舵介入の違和感を覚えることはない。
なお、図16において、太い破線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り込み操舵しようとすると、操舵反力トルクTsreは上記<1>の場合と同様に変化する。このことは、図16において、太い二点鎖線にて示されているように、目標操舵角θtが変化しても同様である。
また、図には示されていないが、上記<Q1>のように操舵支援の反力がばね力にて与えられる場合には、運転者に操舵操作の意思がなくステアリングホイールを保持していても、操舵角θを目標操舵角θtに近づけるばね力がステアリングホイールに作用する。よって、運転者は自らの意思に反するステアリングホイールの回転に起因して他者による操作介入の違和感を覚えることが避けられない。更に、運転者がステアリングホイールの回転を阻止するよう保持すると、操舵反力トルクが低下するので、この場合にも運転者が違和感を覚えることが避けられない。
<3>運転者の操舵操作の方向が運転支援の操舵方向と同一の切り戻し操舵の場合(図17)
上記<1>とは逆の操舵操作であり、操舵角θが目標操舵角θtに近づくよう運転者が切り戻し操舵する場合である。図17において、太い実線の矢印にて示されているように、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいときには、操舵摩擦補償トルクTsfは−Tsfbaseであり低減されるので、運転者は切り戻し操舵し易い。これに対し、操舵角θが目標操舵角θtよりも小さくなると、操舵摩擦補償トルクTsfはTsfbaseになり増大されるので、運転者は切り戻し操舵し難くなる。
<4>操舵角θが目標操舵角θtである状況において、運転者が所定の範囲内にて操舵トルクを変化させる場合(図18)
操舵角θが目標操舵角θtである状況において、運転者が所定の範囲内にて操舵操作を行うと、操舵反力トルクTsreは図18において双頭の矢印Xにて示された範囲にて変動する。この場合、操舵角θは変化しないので操舵角速度θdは0であり、図2に示されたフローチャートのステップ30において否定判別が行われる。また、操舵角θは目標操舵角θtと同一であるので、ステップ70において否定判別が行われ、ステップ90においてフラグFsが1にセットされる。よって、操舵摩擦補償トルクTsfはTsfbaseになり増大されるので、操舵反力トルクTsreがTsa−Tsf0−TsfbaseからTsa+Tsf0+Tsfbaseの範囲(所定の範囲)を越えない限り、運転者が無意識に操舵トルクを変動させても操舵角θが目標操舵角θt以外の値に変化しない。
これに対し、操舵摩擦補償トルクTsfが増減されない従来のパワーステアリング装置の場合には、図19に示されているように、操舵反力トルクTsreがTsa−Tsf0からTsa+Tsf0の範囲を越えると、操舵角θが双頭の矢印Yにて示されたブレの範囲にて変化する。なお、この操舵角θの変動は、操舵角θが目標操舵角θtと一致している状況での保舵に限らず、運転者が操舵角θを所望の操舵角に維持しようとする保舵の場合にも発生する。
図18と図19との比較から、実施形態によれば、保舵時における運転者の操舵トルク(保舵トルク)のブレに起因して操舵角θが不必要に変動する虞を低減することができることが解る。
<5>操舵角θが目標操舵角θtである状況にて、運転者が所定の範囲を越えて操舵トルクを変化させる場合(図20)
操舵角θが目標操舵角θtである状況において、操舵反力トルクTsreが図20において例えば所定の範囲Xを越える範囲Zにて変化するよう運転者が操舵トルクを変化させると、操舵角θが太線の矢印にて示されているように目標操舵角θt以外の値に変化する。即ち、運転者は操舵角θを変化させようとしなくても操舵角が変化してしまう。
実施形態によれば、操舵角θが目標操舵角θtよりも大きくなる状況においては、操舵摩擦補償トルクTsfはTsfbaseに増大されるので、運転者は操舵角θが増大する方向への操舵を行い難く感じる。更に、操舵方向が切り戻し方向へ変化すると、操舵角θが目標操舵角θtに近づく操舵になり、操舵摩擦補償トルクTsfは−Tsfbaseに低減されるので、運転者は操舵角θが減少する方向への操舵を行い易く感じる。よって、保舵時における運転者の操舵トルク(保舵トルク)のブレが大きく、操舵角θが不必要に変動しても、操舵角θの不必要な変動を抑制することができると共に、操舵角θが目標操舵角θtに戻るよう運転者が操舵操作することを行い易くすることができる。
<実施形態の効果>
以上の説明から解るように、実施形態によれば、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少し、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する。よって、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づくよう行われる操舵操作は容易になり、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかるよう行われる操舵操作は困難になる。従って、実際の操舵角が目標操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことを促進し、実際の操舵角が目標操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することを抑制することができる。
また、例えば保舵時のように運転者に操舵操作の意図がない状況において操舵角の偏差があっても、実際の操舵角が変化しない限り操舵摩擦補償トルクは発生しない。よって、前述の特許文献1に記載された操舵反力制御装置の場合のように実際の操舵角を目標操舵角に近づけようとする不必要な操舵反力トルクは作用しない。従って、不必要な操舵反力トルクに起因して運転者が他者から操舵の介入を受けたような違和感を覚えることを回避することができる。
更に、特許文献1に記載された操舵反力制御装置の場合には、実際の操舵角及び目標操舵角の大小関係が逆転する状況においては、実際の操舵角及び目標操舵角の偏差が大きくならないと効果的な操舵反力が発生しない。従って、実際の操舵角及び目標操舵角の大小関係が逆転した際に、実際の操舵角が目標操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことの促進、及び実際の操舵角が目標操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することの抑制を効果的に行うことができない。
これに対し、実施形態によれば、実際の操舵角及び目標操舵角の大小関係が逆転しても、運転者が操舵操作をしていれば、実際の操舵角及び目標操舵角の偏差が小さくても必要な操舵摩擦補償トルクが発生する。よって、実際の操舵角及び目標操舵角の大小関係が逆転した際に、実際の操舵角が目標操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことの促進、及び実際の操舵角が目標操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することの抑制を効果的に行うことができる。
更に、実施形態によれば、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが低減され、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大される。よって、実際の操舵角が目標操舵角になるよう運転者が操舵操作を行うことの促進、及び実際の操舵角が目標操舵角から遠ざかるよう運転者が操舵操作することの抑制の両者を行うことができる。従って、操舵摩擦補償トルクの低減及び増大の一方しか行われない場合に比して、運転者の操舵操作の促進及び抑制を効果的に行うことができる。
更に、実施形態によれば、操舵摩擦補償トルクの増減が逆転する際には、増減の開始時及び終了時に操舵摩擦補償トルクが徐変するよう操舵摩擦補償トルクの増減が制御される。よって、操舵摩擦補償トルクの徐変制御が行われない場合に比して、操舵摩擦補償トルクの段差的急変に起因して運転者が感じる違和感を低減することができる。更に、増減の開始から終了まで操舵摩擦補償トルクが徐変するよう制御される訳ではないので、運転者が効果的な操舵反力を体感できないことに起因して運転者の操舵操作の促進及び抑制が効果的に行われなくなることを防止することができる。
以上においては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上述の実施形態においては、実際の操舵角の変化が目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが低減され、実際の操舵角の変化が目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大される。しかし、操舵摩擦補償トルクの低減及び増大の一方しか行われないよう修正されてもよい。
また、上述の実施形態においては、操舵摩擦補償トルクの増減が逆転する際には、増減の開始時及び終了時に操舵摩擦補償トルクが徐変するよう操舵摩擦補償トルクの増減が制御される。しかし、操舵摩擦補償トルクの増減が逆転する際における増減の開始時及び終了時の操舵摩擦補償トルクの徐変制御は省略されてもよい。
また、上述の実施形態においては、ステップ30において操舵角θの時間微分値θdが正であるか否かの判別が行われ、ステップ40及び70において操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいか否かの判別が行われるようになっている。しかし、ステップ30において操舵角θが目標操舵角θtよりも大きいか否かの判別が行われ、ステップ40及び70において操舵角θの時間微分値θdが正であるか否かの判別が行われてもよい。
更に、上述の実施形態においては、ステップ120及び130において、操舵アシストトルクTaが基本目標操舵アシストトルクTabと操舵摩擦補償トルクTsfとの和である最終目標操舵アシストトルクTatになるように制御される。しかし、最終目標操舵アシストトルクTatは、当技術分野において公知の減衰補償トルク及び/又は慣性補償トルクを含んでいてもよい。
更に、上述の実施形態においては、ステップ20において、CCDカメラ58により取得された車両前方の情報に基づいて、当技術分野において公知の要領にて走行車線が特定され、車両を走行車線に沿って走行させるための目標操舵角θtが演算される。しかし、目標操舵角θtは他の電子制御装置により演算され、電子制御装置24はその電子制御装置から目標操舵角θtを示す信号を受信することにより目標操舵角θtを取得するようになっていてもよい。
10…操舵反力トルク制御装置、12…操舵装置、14…車両、16…ステアリングホイール、18L,18R…前輪、20…伝達装置、22…電動パワーステアリング装置、24…電子制御装置、52…操舵角センサ、54…トルクセンサ、56…車速センサ、58…CCDカメラ

Claims (1)

  1. 運転者によるステアリングホイールの操作時に操舵反力トルクを発生することができるよう構成された電動パワーステアリング装置と、前記電動パワーステアリング装置を制御する制御装置と、を含む車両の操舵反力トルク制御装置において、
    前記制御装置は、実際の操舵角及び車両が車線に沿って走行するための目標操舵角の情報を取得し、
    前記実際の操舵角の変化が前記目標操舵角に近づく変化であるときには操舵摩擦補償トルクが減少する、及び前記実際の操舵角の変化が前記目標操舵角から遠ざかる変化であるときには操舵摩擦補償トルクが増大する
    の少なくとも一方が達成されるように、前記電動パワーステアリング装置の操舵反力トルクとして操舵摩擦補償トルクを制御するよう構成された車両の操舵反力トルク制御装置。

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