JP2021066707A - 環状化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に簡便な環状化合物の製造方法を提供する。【解決手段】芳香族化合物(A):5員環、6員環および上記5員環または上記6員環と他の6員環との縮合環からなる群から選択される1以上の環構造を有し、環構造中にヘテロ原子を含んでもよく、環構造に結合する1つまたは2つの側鎖を有してもよく、側鎖中に炭素−炭素三重結合を有しない、芳香族化合物またはその塩を、常圧下、パラジウム炭素を触媒として接触水素化することにより、芳香族化合物(A)の環構造中の不飽和結合を還元して還元体(B)を得る工程を含む、環状化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、環状化合物の製造方法に関する。
多くの医薬品化合物や天然有機化合物は、5員環、6員環、縮合環等の環構造を分子構造中に含んでいる。たとえば、抗マラリア剤であるメフロキン塩酸塩、抗アレルギー薬であるビラスチンは、分子構造中にピペリジン骨格を有し、タンパク質同化薬およびアンドロゲン受容体作動薬であるナンドロロンシクロヘキシルプロピオン酸エステルは、分子構造中にシクロヘキサン骨格を有する。
環構造を有する化合物の製造方法として、非特許文献1〜3には、芳香族化合物または複素芳香族化合物の還元を用いる技術が記載されている。
非特許文献1には、調製した炭素ナノ線維担持型Ruナノ粒子を触媒として用いた芳香族化合物の水素添加反応に関する技術が記載されている。同文献においては、トルエン等のベンゼン誘導体を基質とし、シクロヘキサン誘導体を生成物とする反応を、温度100℃、水素圧30気圧で実施したことが記載されている。
非特許文献2には、Rh錯体から調製した特定のナノ粒子触媒を用いて芳香族化合物を接触水素化する技術が記載されており、反応基質としてベンゼン誘導体およびアニリンが記載されている。そして、水素化は、60℃および1気圧の水素圧力にておこなわれることが記載されている。
また、非特許文献3には、調製したNiPdB−PEG(800)を用いて芳香族化合物を接触水素化する技術が記載されており、水素化は、150℃および5MPaの水素圧力にておこなわれることが記載されている。
Mikihiro Takasaki他5名、Chemistry - An Asian Journal、2007年、2号、p.1524〜1533 Maria L. Buil他6名、Organometallics、2010年、29巻、p.4375〜4383 Guoyi Bai他5名、ChemCatChem、2014年、6号、p.655〜662
しかし、非特許文献1〜3に記載の製造方法は、いずれも、反応基質に対して、高活性な特定の金属触媒存在下、高圧または高温条件で反応させて目的とする環状化合物へと誘導するものであり、触媒活性の高さへの要求または反応条件が非常に厳しいという点で、改善の余地があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、工業的に簡便な環状化合物の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、
以下の芳香族化合物(A)またはその塩を、常圧下、パラジウム炭素を触媒として接触水素化することにより、前記芳香族化合物(A)の環構造中の不飽和結合を還元して還元体(B)を得る工程を含む、環状化合物の製造方法が提供される。
(A)5員環、6員環および前記5員環または前記6員環と他の6員環との縮合環からなる群から選択される1以上の環構造を有し、前記環構造中にヘテロ原子を含んでもよく、前記環構造に結合する1つまたは2つの側鎖を有してもよく、前記側鎖中に炭素−炭素三重結合を有しない、芳香族化合物
なお、これらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を化合物、方法、用途などの間で変換したものもまた本発明の態様として有効である。
たとえば、本発明によれば、前記本発明における製造方法により得られる前記還元体(B)が提供される。
また、本発明によれば、前記芳香族化合物(A)またはその塩を、常圧下、パラジウム炭素を触媒として接触水素化することにより、前記芳香族化合物(A)の環構造中の不飽和結合を還元することを含む、還元方法が提供される。
本発明によれば、工業的に簡便な環状化合物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を具体例に基づいて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本明細書において、数値範囲を示す「〜」は、以上、以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。
本実施形態において、環状化合物の製造方法は、以下の芳香族化合物(A)またはその塩を、常圧下、パラジウム炭素を触媒として接触水素化することにより、芳香族化合物(A)の環構造中の不飽和結合を還元して還元体(B)を得る工程を含む。
(A)5員環、6員環および上記5員環または上記6員環と他の6員環との縮合環からなる群から選択される1以上の環構造を有し、環構造中にヘテロ原子を含んでもよく、環構造に結合する1つまたは2つの側鎖を有してもよく、側鎖中に炭素−炭素三重結合を有しない、芳香族化合物
芳香族化合物(A)(以下、適宜単に「化合物(A)」ともよぶ。)および還元体(B)の具体例については後述する。
還元体(B)を得る工程においては、化合物(A)またはその塩を出発物質とし、これを常圧下、パラジウム触媒の存在下で水素に接触して還元することにより、還元体(B)を得る。
ここで、常圧下とは、水素の供給時に生じる微加圧の状態を含み、たとえば0.09〜0.13MPa(0.9atm〜1.3atm)程度の範囲であり、好ましくは0.095〜0.11MPa(0.95atm〜1.1atm)である。化合物(A)またはその塩を常圧下で接触水素化することにより、工業的に簡便な方法で還元体(B)を得ることができる。
また、工業的に簡便な方法で還元体(B)を得る観点から、接触水素化における反応温度は、たとえば0℃以上であり、好ましくは10℃以上、さらに好ましくは15℃以上であり、また、たとえば60℃以下であり、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。また、同様の観点から、室温(25℃、以下同じ。)にて接触水素化反応をおこなうことがよりいっそう好ましい。
接触水素化反応に用いる触媒は、具体的には、パラジウム炭素(Pd/C)すなわち活性炭等の炭素材料に担持されたパラジウム(Pd)である。
触媒の使用量は、還元体(B)の収率を向上する観点から、化合物(A)またはその塩に対してたとえば0.01モル当量以上であり、好ましくは0.02モル当量以上、より好ましくは0.05モル当量以上であり、また、たとえば2モル当量以下であってもよく、好ましくは1モル当量以下、より好ましくは0.8モル当量以下、さらに好ましくは0.5モル当量以下、さらにより好ましくは0.2モル当量以下である。
接触水素化反応は、たとえば反応溶媒中でおこなわれる。
反応溶媒は、反応条件下で安定であり目的とする反応を妨げないものであれば制限はないが、たとえば、メタノール、エタノール等の炭素数1以上5以下のアルコール;
酢酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等の酸;
アセトン等の上記以外の有機溶媒;および
水が挙げられる。
反応溶媒として、化合物(A)またはその塩が溶解するものを選択することが好ましい。
また、還元体(B)の収率を向上する観点から、水、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中で接触水素化反応をおこなうことが好ましく、酢酸またはメタノール中で接触水素化反応をおこなうことがより好ましい。同様の観点から、反応溶媒は、より好ましくは酸を含み、さらに好ましくは有機酸を含み、さらにより好ましくは酢酸を含み、よりいっそう好ましくは酢酸である。また、反応溶媒が上記アルコールを含むとき、反応溶媒は好ましくはメタノールである。また、反応溶媒が酸を含むとき、反応溶媒は酸の水溶液であってもよい。
また、化合物(A)が環構造中にNを含むとき、反応溶媒は好ましくは酢酸を含み、より好ましくは酢酸である。
反応溶媒の使用量は、化合物(A)またはその塩1mgに対してたとえば0.01mL以上100mL以下とし、好ましくは0.1mL以上10mL以下とする。
本実施形態においては、パラジウム炭素を用いて常圧下で化合物(A)またはその塩の還元反応をおこなうことにより、簡便な方法で安定的に還元体(B)を得ることができる。
なお、各工程における詳細な反応条件については、実施例の項において後述する。
次に、化合物(A)および還元体(B)について説明する。
(化合物(A))
化合物(A)は、環構造中にヘテロ原子を含んでもよい芳香族化合物である。ヘテロ原子の具体例として、窒素原子および酸素原子が挙げられる。
ここで、本明細書において、「芳香族化合物」は、環構造が炭素原子から構成される芳香族化合物および環構造中にヘテロ原子を含む複素芳香族化合物をいずれも含む。
化合物(A)は、分子構造中に、5員環、6員環および上記5員環または上記6員環と他の6員環との縮合環からなる群から選択される1以上の環構造を含む。還元体(B)の収率を向上する観点から、化合物(A)は、好ましくは1つまたは2つの上記環構造を有し、より好ましくは1つの上記環構造を有する。
5員環の具体例として、フラン等のヘテロ元素として1つのOを含む複素5員環;およびピロール等のヘテロ元素として1つのNを含む複素5員環が挙げられる。
6員環の具体例として、ベンゼン;ピリジン、ジアジン(ピラジン、ピリミジン、ピリダジン)等の分子構造中に1つまたは2つのNを含む複素6員環が挙げられる。
上記5員環または6員環と他の6員環との縮合環の具体例として、ピリジン、ピリミジンまたはピロールとベンゼンとの縮合環が挙げられ、さらに具体的には、インドール、キノリン、イソキノリン、キナゾリンが挙げられる。
還元体(B)の収率を向上する観点から、環構造は、好ましくは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、フラン、インドール、キノリンおよびキナゾリンからなる群から選択される。
また、化合物(A)は、環構造に結合する1つまたは2つの側鎖を有してもよい。ここで、側鎖中には炭素−炭素三重結合が含まれない。
側鎖は、具体的には1価の基であり、たとえば、
フルオロ基等のハロゲン;
メチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化されてもよい炭素数1以上3以下の直鎖アルキル基;
ベンジル基等の炭素数1以上8以下の芳香族アルキル基;
アミノ基;
ヒドロキシ基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1以上3以下のアルコキシ基;
カルボキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルキル部分の炭素数が1以上3以下のアルコキシカルボニル基;
カルボキサミド基;
ベンゾイル基等の炭素数1以上8以下のアシル基;
−C=C−C(=O)OCH3基等の炭素−炭素二重結合を含む基が挙げられる。
化合物(A)は、還元体(B)の収率を向上する観点から、好ましくは1つまたは2つの側鎖を有するベンゼン誘導体、1つまたは2つの側鎖を有してもよいピリジン誘導体、1つの側鎖を有してもよいピリミジン誘導体、インドール、キノリン、キナゾリン、ピロールおよびフランからなる群から選択される化合物である。
ここで、ベンゼン誘導体の側鎖は、独立して、好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化されてもよい炭素数1以上3以下の直鎖アルキル基;
アミノ基;
ヒドロキシ基;
カルボキサミド基;および
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルキル部分の炭素数が1以上3以下のアルコキシカルボニル基からなる群から選択される基であり、より好ましくはメチル基、トリフルオロメチル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキサミド基またはメトキシカルボニル基である。
ピリジン誘導体の側鎖は、独立して、好ましくはフルオロ基等のハロゲン;
メチル基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化されてもよい炭素数1以上3以下の直鎖アルキル基;
ベンジル基等の炭素数1以上8以下の芳香族アルキル基;
アミノ基;
ヒドロキシ基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1以上3以下のアルコキシ基;
ベンゾイル基等の炭素数1以上8以下のアシル基;および
−C=C−C(=O)OCH3基等の炭素−炭素二重結合を含む基からなる群から選択される基であり、より好ましくはフルオロ基、メチル基、ベンジル基、アミノ基、ヒドロキシ基、メトキシ基、ベンゾイル基または−C=C−C(=O)OCH3基である。
また、ピリミジン誘導体の側鎖は、好ましくはアミノ基である。
本実施形態において、化合物(A)の塩を出発物質とするとき、塩として、たとえば塩酸塩が挙げられる。
また化合物(A)は、好ましくは下記一般式(1)または(2)に示される化合物である。
Figure 2021066707
(上記一般式(1)中、X1はCHまたはNであり、Y1は、X1がCHであるときCR2であり、X1がNであるときCR2またはNである。R1〜R5は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ基または有機基である。)
一般式(1)において、X1がCHであるとき、Y1はCR2であり、R3〜R5は好ましくはHであり、R1およびR2は、好ましくは、独立して、水素、ハロゲン化されていてもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基、ヒドロキシ基、−NH2基、−CONH2基、あるいは、−C(=O)OR6基(R6は炭素数1以上3以下の炭化水素基である。)である。ここで、X1がCHであり、Y1がCR2であり、R3〜R5がいずれもHであるとき、R1およびR2の両方が水素ではないことが好ましい。
また、X1がCH、Y1はCR2であるとき、R3〜R5がいずれもHであって、R1およびR2は、R1およびR2に隣接する炭素原子とともに、異種原子としてNを含む複素芳香環を形成していてもよい。かかる複素芳香環は好ましくは5員環または6員環であり、また、複素芳香環中に含まれる窒素原子数は好ましくは1または2である。
一般式(1)において、X1がN、Y1がNであるとき、R1は好ましくはHまたは−NH2基であり、R3〜R5は好ましくはHである。
また、X1がN、Y1がNであるとき、R1およびR3がHであって、R4およびR5が、R4およびR5に隣接する炭素原子とともにベンゼン環を形成していることも好ましい。
一般式(1)において、X1がN、Y1がCR2であるとき、好ましくはR1〜R5のすべてまたはR1〜R5のうちのいずれか4つがHである。このうち、R1〜R5のうちのいずれか4つがHであるとき、残りの1つは、好ましくはハロゲン、ハロゲン化されていてもよい炭素数1以上3以下の炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1以上3以下のアルコキシ基、−C(=O)−R7基(R7は炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基またはフェニル基である。)、あるいは、−C=C−C(=O)OCH3基である。
また、X1がN、Y1がCR2であるとき、R2およびR4が炭素数1以上3以下の炭化水素基であり、R1、R3およびR5がいずれもHであることも好ましい。
また、X1がN、Y1がCR2であるとき、R1〜R3がいずれもHであって、R4およびR5は、R4およびRに隣接する炭素原子とともにベンゼン環を形成していてもよい。
Figure 2021066707
(上記一般式(2)中、ZはOまたはNHである。)
(還元体(B))
還元体(B)は、化合物(A)の構造中の1または2以上の不飽和結合が還元された構造の化合物である。ここで、化合物(A)の環構造が2以上の不飽和結合を有するとき、還元体(B)において、すべての不飽和結合が還元されていてもよいし、一部の不飽和結合が還元されていてもよい。
6員環を有する化合物では、たとえば化合物(A)がベンゼン誘導体であるとき、還元体(B)は、好ましくはシクロヘキサン誘導体であり、化合物(A)がピリジン誘導体であるとき、還元体(B)は、好ましくはピペリジン誘導体である。
5員環を有する化合物では、たとえば化合物(A)がピロールであるとき、還元体(B)は好ましくはピロリジンであり、化合物(A)がフランであるとき、還元体(B)は好ましくはテトラヒドロフランである。
また、複素環を有する化合物では、たとえば化合物(A)がインドール、キノリンおよびキナゾリンであるとき、それぞれ、化合物(B)は、好ましくはオクタヒドロ−1H−インドール、デカヒドロキノリンおよび3,4−ジヒドロキナゾリンである。
還元体(B)の側鎖は、化合物(A)と同一であってもよいし、化合物(A)の側鎖の一部が酸化または還元されたものであってもよい。
たとえば、化合物(A)が2−ベンゾイルピリジンであるとき、還元体(B)は好ましくは2−ベンジルピペリジンである。
また、化合物(A)が2−ヒドロキシピリジンおよび2−メトキシピリジンであるとき、還元体(B)はいずれも好ましくはピペリジン−2−オンである。
また、化合物(A)の側鎖がフルオロ基等のハロゲンであるとき、水素化反応においてかかる側鎖が脱離し、還元体(B)がハロゲン側鎖を有しない化合物であってもよい。たとえば化合物(A)が3−フルオロピリジンであるとき、還元体(B)は好ましくはピペリジンである。
還元体(B)は、その収率を向上する観点から、好ましくは1つまたは2つの上記側鎖を有するシクロヘキサン誘導体、1つまたは2つの上記側鎖を有してもよいピペリジンまたはその誘導体、1つの上記側鎖を有してもよい1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンまたはその誘導体、オクタヒドロ−1H−インドール、デカヒドロキノリン、3,4−ジヒドロキナゾリン、ピロリジンおよびテトラヒドロフランからなる群から選択される化合物である。
また還元体(B)は、好ましくは下記一般式(3)または(4)に示される化合物である。
Figure 2021066707
(上記一般式(3)中、X2はCH2、NHまたはNであり、Y2は、X1がCH2であるときCHR12であり、X2がNであるときCHR12またはNHである。R11は、H、ハロゲン、ヒドロキシ、=O基、アミノ基または有機基である。R12〜R15は、独立して、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ基または有機基である。破線はπ結合の存在または不存在を示す。)
一般式(3)中、R11、R12、R13、R14およびR15は、具体的には、それぞれ、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4およびR5と同じであるか、あるいは、一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4およびR5の一部が酸化または還元された基である。また、一般式(3)中、実線と点線で表された結合は、具体的には単結合または二重結合を表す。
たとえば、一般式(1)において、R1〜R5のいずれかが−C=C−C(=O)OCH3基であるとき、一般式(3)において対応するR11〜R15が−C−C−C(=O)OCH3基であってもよい。
また、一般式(1)において、R1がヒドロキシ基または炭素数1以上3以下のアルコキシ基であるとき、一般式(3)においてR11が=O基であってもよい。
また、一般式(1)において、R1〜R5のいずれかがハロゲンであるとき、一般式(3)において対応するR11〜R15がHであってもよい。
また、一般式(1)において、R1〜R5のいずれかが−C(=O)−R7基であるとき、一般式(3)において対応するR11〜R15が−CH2−R7基であってもよい。
Figure 2021066707
(上記一般式(4)中、Zは、上記一般式(2)におけるZと同じである。)
還元体(B)は塩であってもよく、塩の具体例として塩酸塩が挙げられる。また、還元体が側鎖にアミノ基を有するとき、塩として、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。還元体を塩とすることにより、たとえば水溶性を高めることができる。
本実施形態においては、パラジウム炭素を触媒とする常圧下での接触水素化により化合物(A)またはその塩を還元体(B)に変換するため、還元体(B)を工業的に簡便な方法で得ることができる。
たとえば、本実施形態においては、化合物(A)またはその塩を還元体(B)に変換する工程を、入手容易性に優れる触媒を用いるとともに、圧力容器等を用いることなく常圧下でおこなうことができるため、従来の環状化合物の製造方法に比べて装置構成を簡素化することができ、操作性にも優れており、また、経済的である。また、還元体(B)を簡便に得ることも可能となる。
本実施例にて用いた試薬、分析装置等は以下の通りである。
(試薬)
すべての試薬を製造業者より入手し、記載のない場合にはさらに精製することなく用いた。
(分析)
1Hスペクトル測定には、JEOL JNM-EXC 300 スペクトロメータ (日本電子社製、300 MHz)を用いた。1H NMRデータは、以下のように示す:化学シフト (δ, ppm)、積分値、多重度 (s, singlet; d, doublet; t, triplet; q, quartet; m, multiplet)、帰属。
(条件A〜C)
以下の例において、反応、解析および収率の計算は以下の条件でおこなった。
条件A:entry7、8、20、21および22
条件B:entry1、2、3、4、5、6、10、11、12、14、15、16および23
条件C:entry9、13、17、18、19
(条件A)
Entry7(表1)では、ピロール(17.2 μL, 248.3 μmol, 1 eq)の酢酸 (1.24 mL)溶液に10% Pd/C (26.4 mg, 24.8 μmol, 0.1 eq) を添加して、バルーン圧の下で水素化してピロリジンを製造した。室温中で15時間撹拌後、反応混合物に99.5% ジオキサン (21.4 μL, 248.9 μmol) を添加し、これをNMR収率計算の初期標準とした。反応収率は77%と計算された; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ3.23 (4H, t, H2/5), 1.95 (4H, m, H3/4)。
(条件B)
Entry1(表1)では、ピリジン (20.0 μL, 248.3 μmol, 1 eq) の酢酸 (1.24 mL)溶液に 10% Pd/C (26.4 mg, 24.8 μmol, 0.1 eq) を添加して、バルーン圧の下で水素化した。室温中で15時間撹拌後、反応混合物をCeliteにて濾別し、MeOHで溶出した。濾液に1N HCl (273 μL, 1.1 eq) を加えて真空下で濃縮した。濾液よりピペリジン塩酸塩 (30.2 mg, 248.3 μmol, quant.) を無色結晶として得た; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ3.13 (4H, t, H2/6), 1.79 (4H, m, H3/5), 1.70 (2H, m, 4H) 。
(条件C)
Entry13(表2)では、2−ヒドロキシピリジン(23.6 mg, 248.3 μmol, 1 eq) の酢酸 (1.24 mL) 溶液に 10% Pd/C (26.4 mg, 24.8 μmol, 0.1 eq) を添加して、バルーン圧の下で水素化した。室温中で15時間撹拌後、反応混合物をCeliteにて濾別し、MeOHで溶出した。濾液よりピペリジン−2−オン(24.6 mg, 248.3 μmol, quant.) を無色結晶として得た; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ6.55-6.13 (1H, m, NH), 3.30 (2H, m), 2.35 (2H, m), 1.79-1.77 (2H, m)。
(実施例1)
本実施例では、ピリジンを原料として、条件Bによりピペリジンを合成した。生成物の収率を表1に示す(entry1)。
(実施例2〜23)
表1〜表3に記載の条件に従って、芳香族化合物(A)を還元体(B)に変換した。各例(entry)において、出発物質および条件を表1〜表3に記載のものとした他は、条件A〜Cのうち、前述のとおり各例にて用いたものに準じて反応をおこなった。生成物の収率を表1〜表3にあわせて示す(entry2〜23)。
Figure 2021066707
Figure 2021066707
Figure 2021066707
本明細書において、以下の略語を用いた。
Me:メチル
Et:エチル
Ac:アセチル
S.M.:出発物質
rt:室温
h:時間
quant.:定量的収率

Claims (6)

  1. 以下の芳香族化合物(A)またはその塩を、常圧下、パラジウム炭素を触媒として接触水素化することにより、前記芳香族化合物(A)の環構造中の不飽和結合を還元して還元体(B)を得る工程を含む、環状化合物の製造方法。
    (A)5員環、6員環および前記5員環または前記6員環と他の6員環との縮合環からなる群から選択される1以上の環構造を有し、前記環構造中にヘテロ原子を含んでもよく、前記環構造に結合する1つまたは2つの側鎖を有してもよく、前記側鎖中に炭素−炭素三重結合を有しない、芳香族化合物
  2. 前記接触水素化を0℃以上60℃以下の温度でおこなう、請求項1に記載の製造方法。
  3. 還元体(B)を得る前記工程において、前記芳香族化合物(A)に対して0.01モル当量以上1モル当量以下の前記触媒の存在下で前記接触水素化をおこなう、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 還元体(B)を得る前記工程において、水、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中で前記接触水素化をおこなう、請求項1乃至3いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記芳香族化合物(A)が、1つまたは2つの前記側鎖を有するベンゼン誘導体、1つまたは2つの前記側鎖を有してもよいピリジンまたはその誘導体、1つの前記側鎖を有してもよいピリミジンまたはその誘導体、インドール、キノリン、キナゾリン、ピロールおよびフランからなる群から選択される化合物である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記還元体(B)が、1つまたは2つの前記側鎖を有するシクロヘキサン誘導体、1つまたは2つの前記側鎖を有してもよいピペリジンまたはその誘導体、1つの前記側鎖を有してもよい1,4,5,6−テトラヒドロピリミジンまたはその誘導体、オクタヒドロ−1H−インドール、デカヒドロキノリン、3,4−ジヒドロキナゾリン、ピロリジンおよびテトラヒドロフランからなる群から選択される化合物である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の製造方法。
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