JP6744622B2 - ピペリジン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1(特表2013−533866号公報)には、3−アミノピペリジンジヒドロクロリドの単一鏡像異性体の製造方法に関する技術が記載されており、かかる製造方法が、水素および固体支持体上に堆積されたパラジウム触媒の存在下でのN−アセチル−3−アミノピリジンまたはその塩の還元工程を含むことが記載されている。そして、上記還元工程は、大気圧を上回って、典型的には約2バールから約500バールの範囲で実施されることが記載されている。
下記一般式(II)に示される化合物またはその塩を、接触水素化反応により前記一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する工程を含み、
一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、常圧下、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中、パラジウム炭素(Pd/C)の存在下で、前記接触水素化反応をおこなう、製造方法が提供される。
このうち、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキル基は、一般式(I)に示した化合物の製造安定性を向上させる観点から、たとえば置換基を有してもよい炭素数1以上10以下のアルキル基であり、好ましくは置換基を有してもよい炭素数1以上5以下のアルキル基、さらに好ましくは置換基を有してもよい炭素数1以上3以下のアルキル基である。
上記置換基が保護されているとき、保護基としては、接触水素化反応にて除去されない基が好ましい。
アミノ基に対する保護基は、たとえばtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基である。
また、カルボキシル基に対する保護基は、たとえばtert−ブチル(tBu)基、メチル基またはエチル基であり、好ましくはtBu基である。
また、水酸基の保護基は、たとえばtBu基である。
また、R1がアミノ基を有するとき、一般式(I)に示した化合物の塩の具体例として、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;酢酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
一般式(I)に示した化合物を塩とすることにより、たとえば水溶性を高めることができる。
本実施形態における製造方法は、以下の工程1を含む。
(工程1)下記一般式(II)に示される化合物またはその塩を、接触水素化反応により一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程
(工程2)下記一般式(III)に示される化合物またはその塩と下記一般式(IV)に示される化合物またはその塩とを反応させて、一般式(II)に示した化合物またはその塩を形成する工程
以下各工程についてさらに具体的に説明する。
工程1は、一般式(II)に示した化合物またはその塩を、接触水素化反応により一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程である。
まず、工程1の出発物質として用いる一般式(II)に示した化合物またはその塩について説明する。
また、一般式(II)において、R1が保護された置換基を有するとき、保護基の具体例として、一般式(I)について前述したもの、および、他の保護基が挙げられる。他の保護基は、たとえば工程1における接触水素化反応により除去される基である。
一般式(II)において、R1が保護された置換基を有するとき、アミノ基に対する保護基は、たとえばtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基またはベンジルオキシカルボニル(Cbz)基であり、好ましくはBoc基である。
また、カルボキシル基に対する保護基は、たとえばtert−ブチル(tBu)基、ベンジル(Bn)基、メチル基またはエチル基であり、好ましくはtBu基である。
また、水酸基に対する保護基は、たとえばtBu基またはBnであり、好ましくはtBu基である。
また、一般式(II)のR1が水酸基もしくはカルボキシル基またはアミノ基を有するとき、塩の具体例として、一般式(I)のR1が水酸基もしくはカルボキシル基またはアミノ基を有する際の塩としてそれぞれ例示したものが挙げられる。
ここで、常圧下とは、水素の供給時に生じる微加圧の状態を含み、0.09〜0.13MPa程度の範囲である。
一般式(II)に示した化合物またはその塩を常圧下で接触水素化することにより、工業的に簡便な方法で一般式(I)に示した化合物を得ることができる。
また、同様の観点から、工程1において、室温にて接触水素化反応をおこなうことが好ましく、常圧下、室温(25℃、以下同じ。)にて接触水素化反応をおこなうことがさらに好ましい。
また、触媒は、活性炭、アルミナ等の担体に担持されていてもよい。
触媒の入手容易性および取扱容易性を向上させる観点からは、触媒は、好ましくはパラジウム炭素(Pd/C)または白金炭素(Pt/C)であり、さらに好ましくはPd/Cである。
反応溶媒は、反応条件下で安定であり目的とする反応を妨げないものであれば制限はないが、たとえば、メタノール、エタノール等の炭素数1以上5以下のアルコール;
酢酸等の有機酸、塩酸等の無機酸等の酸;
アセトン等の上記以外の有機溶媒;および
水が挙げられる。
また、一般式(I)に示した化合物または塩の収率を向上させる観点から、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中で接触水素化反応をおこなうことが好ましく、酸を含む反応溶媒中で接触水素化反応をおこなうことがさらに好ましく、有機酸を含む反応溶媒中で接触水素化反応をおこなうことがよりいっそう好ましい。
工程2は、一般式(III)またはその塩に示した化合物と一般式(IV)に示した化合物またはその塩とを反応させて、一般式(II)に示した化合物またはその塩を形成する工程である。
はじめに、工程2の主発物質として用いる一般式(III)に示した化合物またはその塩および一般式(IV)に示した化合物またはその塩について説明する。
一般式(III)におけるXはハロゲン原子である。ハロゲンとして、具体的には、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素が挙げられ、好ましくはヨウ素である。
また、一般式(III)に示したピリジン化合物の塩の具体例として、塩酸塩が挙げられる。
一般式(IV)において、R1は、一般式(II)におけるR1と同じであり、具体例として、一般式(II)について前述したものが挙げられる。一般式(IV)においても、一般式(II)と同様に、R1が保護された置換基を有するときの保護基は、一般式(I)について前述したものであってもよいし、および、工程1における接触水素化反応により除去される基等の他の保護基であってもよい。
薗頭クロスカップリングは、常法に従っておこなうことができ、具体的には、PdCl2(PPh3)2等のパラジウム触媒、および、ハロゲン化銅等の銅触媒の存在下、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の塩基中で一般式(III)に示した化合物またはその塩と一般式(IV)に示した化合物またはその塩とを反応させる。
なお、各工程における詳細な反応条件については、実施例の項において後述する。
たとえば、本実施形態においては、一般式(II)に示した化合物またはその塩を一般式(I)に示した化合物またはその塩に変換する工程を、圧力容器等を用いることなく常圧下でおこなうことができるため、従来のピペリジン化合物の製造方法に比べて装置構成を簡素化することができ、操作性にも優れており、また、経済的である。
また、本実施形態によれば、たとえば、工程2および工程1を含む一連の製造工程を好ましくは常圧下、さらに好ましくは室温中および常圧下でおこなうこともできるため、ピペリジン化合物を簡便に得ることも可能となる。
(試薬)
非水系の反応は、すべて、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーを用いておこない、とくに記載のない場合には蒸留した新鮮な溶媒を用いた。Dimethylformamide (DMF) はMgSO4 により蒸留し、活性化したモレキュラーシーブ上で保存した。脱水したmethanol (MeOH) および ethanol (EtOH) は関東化学社より購入し、活性化したモレキュラーシーブ上で保存した。すべての試薬を製造業者より入手し、特に記載のない場合にはさらに精製することなく用いた。
薄層クロマトグラフィー(Thin Layer Chromatography:TLC)分析にはメルク社製のSilica gel 60 F254プレートを用いた。
カラムクロマトグラフィーには、酸性 Silica gel 60 (spherical, 40-50 μm)を用いた(関東化学社製)。
旋光度の測定には、JASCO P-2200 デジタル旋光計(日本分光社製)およびナトリウムランプ (λ= 589 nm) D線を用いた。測定結果を「[α]D T (c g/100 mL, solvent)」と表記する。
赤外線(IR)スペクトル測定には、JASCO FT-IR 4100分光計(日本分光社製)を用いた。測定結果を波数(cm-1) で示す。
1Hおよび13C NMRスペクトル測定には、JEOL JNM-EXC 300 スペクトロメータ (日本電子社製、300 MHz)を用いた。
1H NMRデータは、以下のように示す:化学シフト (δ, ppm)、積分値、多重度 (s, singlet; d, doublet; t, triplet; q, quartet; m, multiplet), カップリング定数 (J) in Hz、帰属。
13C NMR データは、化学シフト (δ, ppm)により示す。
FAB-MSまたはFAB-HRMS スペクトル測定には、JEOL JMS-700(日本電子社製)を用いた。ESI-MSまたはESI-HRMSスペクトル測定は、JEOL JMS-T100LC 装置(日本電子社製)を用いた。
本実施例では、以下の手順で2−ペンチル−ピペリジン(2-Pentyl-piperidine:化合物27)を合成した。
2−ヨードピリジン(50mg、0.244mmol、1.0eq)、CuI(2.3mg、12.2μmol、5mol%)およびPdCl2(PPh3)2(8.6mg、12.2μmol、5mol%)のトリエチルアミン(Et3N:1.6mL)溶液中に、1−ペンチン(72.2μL、0.732mmol、3.0eq)を滴下した。室温中で3時間撹拌後、反応混合物をEtOAc(3mL)で希釈し、飽和NH4Cl溶液(3mL)にて反応停止した。水層をEtOAcにて抽出した。有機層をあわせて食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=8:1)により、化合物23(29.1mg、0.20mmol、収率82%)を黄色油状物として得た; Rf 0.40 (hexane/EtOAc = 4:1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.55-8.53 (1H, d, J = 5.2 Hz, H6), 7.64-7.58 (1H, td, J = 7.8, 1.9 Hz, H4), 7.38-7.36 (1H, d, J = 7.7 Hz, H3), 7.20-7.16 (1H, ddd, J = 6.1, 5.2, 1.3 Hz, H5), 2.45-2.40 (2H, t, J = 7.3 Hz, H9), 1.72-1.60 (2H, tq, J = 7.2 Hz, H10), 1.08-1.03 (3H, t, J = 7.3 Hz, H11); ESI-MS (m/z) calcd for C10H11N [M+H]+ 146.09, found 146.10。
化合物23(12.4mg、85.4μmol、1.0eq)のMeOH(2.1mL)溶液および10%Pd/C(454mg、0.43mmol、5.0eq)を撹拌し、水素雰囲気中、バルーン圧の下、室温にて還元反応をおこなった。室温にて6時間撹拌後、MeOHを用いたセライト溶出により不溶物を除去し、その後、Et2Oにて洗浄した。ろ液から化合物27(5.6mg、37.6μmol、収率44%)を無色油状物として得た; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.37-3.35 (1H, m, H2), 3.07-2.93 (2H, m, H6), 2.03-1.98 (1H, m, H1), 1.91-1.86 (2H, dd, J = 12.4, 2.2 Hz, H3), 1.70-1.54 (4H, m, H4), 1.44-1.37 (8H, m, H7/8/9/10), 0.93 (3H, t, J = 6.7 Hz, H11); ESI-MS (m/z) calcd for C10H21N [M+H]+ 156.17, found 156.17。
本実施例では、以下の手順で2−ピペリジンプロパノール(2-Piperidinepropanol:化合物30)、3−ピペリジンプロパノール(3-piperidinepropanol:化合物40)および4−ピペリジンプロパノール(4-piperidinepropanol:化合物41)の各化合物を合成した。
2−ヨードピリジン(1.0g、4.88mmol、1.2eq)、CuI(38mg、0.204mmol、5mol%)およびPdCl2(PPh3)2(140mg、0.204μmol、5mol%)のEt3N(27mL)溶液中に、2−プロピン−1−オール(240μL、4.06mmol、1.0eq)を滴下した。室温中で3時間撹拌後、反応混合物をEtOAc(30mL)にて希釈し、飽和NH4Cl溶液(30mL)にて反応停止した。
水層をEtOAcにて抽出した。油層をあわせて食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた後、減圧乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=1:2)にて精製し、化合物29(451mg、3.37mmol、収率83%)を黄色粉末として得た。
また、上記手順において、2−ヨードピリジンを3−ヨードピリジンおよび4−ヨードピリジンに変更した他は、上記手順に準じた方法により、それぞれ、化合物31および化合物32を得た。
得られた各化合物の分析結果を以下に示す。
化合物29: Rf 0.20 (hexane/EtOAc = 2:1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.60-8.58 (1H, d, J = 5.7 Hz, H6) 7.71-7.66 (1H, m, H4), 7.46-7.44 (1H, d, J = 7.7 Hz, H5), 7.30-7.25 (1H, m, H3), 4.53 (2H, s, H9); ESI-MS (m/z) calcd for C8H7NO [M+H]+ 134.05, found 134.05; 化合物31: Rf 0.22 (hexane/EtOAc = 2:1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.73 (1H, s, H2) 8.60-8.59 (1H, d, J = 5.3 Hz, H6), 7.98-7.86 (1H, d, J = 7.7 Hz, H4), 7.49 (1H, m, H5), 4.55 (2H, s, H9); ESI-MS (m/z) calcd for C8H7NO [M+H]+ 134.05, found 134.05; 化合物32: Rf 0.20 (hexane/EtOAc = 2:1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.58-8.56 (2H, dd, J = 4.5, 2.90 Hz, H2/6) 7.30-7.28 (2H, dd, J = 4.3, 1.6 Hz, H3/5), 4.53 (2H, d, J = 6.4 Hz, H9); ESI-MS (m/z) calcd for C8H7NO [M+H]+ 134.05, found 134.05
化合物29(30mg、0.23mmol、1.0eqのAcOH(5.6mL)溶液および10%Pd/C(1.2g、1.13mmol、5.0eq)を撹拌し、水素雰囲気中、バルーン圧の下、室温にて還元反応をおこなった。室温にて6時間撹拌後、MeOHを用いたセライト溶出により不溶物を除去し、その後、Et2Oにて洗浄した。ろ液から化合物30(18.5mg、0.13mmol、収率57%)を白色固体として得た。
また、上記手順において、化合物29を化合物31および化合物32に変更した他は、上記手順に準じた方法により、それぞれ、化合物40および化合物41を得た。
得られた各化合物の分析結果を以下に示す。
化合物30: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.66-3.60 (2H, m, H9), 3.37 (1H, m, H2), 3.07-2.92 (2H, m, H6), 2.03-1.98 (2H, d, J = 13.4 Hz, H5), 1.90-1.86 (2H, d, J = 12.1 Hz, H3), 1.68-1.27 (6H, m, H4/7/8); ESI-MS (m/z) calcd for C8H17NO [M+H]+ 144.13, found 144.13; 化合物40: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.60-3.56 (2H, t, J = 6.2 Hz, H9), 3.37 (2H, s, H2), 2.94-2.86 (1H, t, J = 11.9 Hz, H6), 2.67-2.59 (1H, t, J = 11.9 Hz, H6), 1.97-1.93 (2H, d, J = 12.2 Hz, H3/5), 1.78-1.68 (2H, m, H5), 1.68-1.18 (6H, m, H4/7/8); ESI-MS (m/z) calcd for C8H17NO [M+H]+ 144.13, found 144.13; 化合物41: 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.58-3.54 (2H, t, J = 6.3 Hz, H9), 3.39-3.35 (2H, m, H2), 3.00-2.92 (1H, t, J = 12.5 Hz, H6), 1.97-1.93 (5H, m, H3/5), 1.62-0.91 (6H, m, H4/7/8); ESI-MS (m/z) calcd for C8H17NO [M+H]+ 144.13, found 144.13
実施例2において、化合物29を化合物30に変換する接触水素化反応における反応溶媒を変更した他は、実施例2に準じて化合物30を得た。反応溶媒および反応時間と化合物30の収率との関係を表1に示す。
なお、表1中のentry 5は実施例2に対応する。
本実施例では、以下の手順で2−(S)−[(tert−ブトキシカルボニル]−アミノ]−5−(ピペリジン−6−イル)−ペンタン酸(2-(S)-[(tert-Butoxycarbonyl)-amino]-5-(piperidin-6-yl)-pentanoic acid:化合物42)、2−(S)−[(tert−ブトキシカルボニル]−アミノ]−5−(ピペリジン−7−イル)−ペンタン酸(2-(S)-[(tert-butoxycarbonyl)-amino]-5-(piperidin-7-yl)-pentanoic acid:化合物43)および2−(S)−[(tert−ブトキシカルボニル]−アミノ]−5−(ピペリジン−8−イル)−ペンタン酸(2-(S)-[(tert-butoxycarbonyl)-amino]-5-(piperidin-8-yl)-pentanoic acid:化合物44)の各化合物を合成した。
2−ヨードピリジン(109mg、0.534mmol、1.5eq)、化合物33(108mg、0.356mmol、1.0eq)、Pd2(dba)3(43.5mg、35.6μmol、10mol%)、P(2−fulyl)3(33.0mg、0.142mmol、40mol%)およびCuI(27.0mg、0.142mmol、40mol%)のDMF(17.8mL)溶液を凍結脱気した。得られた溶液に、iPr2NEt(312μL)を加えた。室温にて2時間撹拌後、反応混合物をEtOAcで希釈し、飽和NH4Cl溶液にて反応停止した。水層をEtOAcにて抽出した。有機層をあわせて食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた後、減圧濃縮した。 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=2:1)により、化合物34(114mg、0.299mmol、収率84%)を黄色油状物として得た。
また、上記手順において、2−ヨードピリジンを3−ヨードピリジンおよび4−ヨードピリジンに変更した他は、上記手順に準じた方法により、それぞれ、化合物35および化合物36を得た。
得られた各化合物の分析結果を以下に示す。
化合物34: Rf 0.47 (hexane/EtOAc = 2:1); 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.55-8.54 (1H, m, H10), 7.64 -7.59 (1H, m, H7), 7.37-7.28 (5H, m, Bn), 7.24-7.20 (2H, m, H8/9), 5.48 (1H, d, J = 8.5 Hz, NH), 5.28-5.18 (2H, dd, J = 19.2, 12.3 Hz, Bn), 4.62 (1H, m, H2), 3.03-2.99 (2H, m, H3), 1.44 (9H, s, Boc); FAB-HRMS (m/z) calcd for C22H25N2O4 [M+H]+ 381.1814, found 381.1800; 化合物35: Rf 0.38 (hexane/EtOAc = 2:1); [α]D 20 -48.2 (c 0.1, CHCl3); IR (neat, cm-1) 3725, 2977, 2339, 1745, 1499, 1366, 1250, 1059, 1024, 911; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.53-8.52 (2H, m, H6/10), 7.68-7.60 (1H, d, J = 8.0 Hz, H8), 7.37-7.28 (6H, m, Bn, H9), 5.40-5.37 (1H, d, J = 9.4 Hz, NH), 5.28-5.18 (2H, dd, J = 32.8, 11.4 Hz, Bn), 4.63-4.60 (1H, m, H2), 3.01-2.99 (2H, m, H3), 1.45 (9H, s, Boc); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ171.2, 170.7, 155.2, 152.2, 148.2, 139.1, 135.3, 123.1, 80.4, 67.7, 60.5, 52.3, 28.4, 24.1, 21.2, 14.3; FAB-HRMS (m/z) calcd for C22H25N2O4 [M+H]+ 381.1814, found 381.1800; 化合物36: Rf 0.33 (hexane/EtOAc = 2:1); [α]D 20 -11.2 (c 0.1, CHCl3); IR (neat, cm-1) 3726, 3624, 2977, 2357, 1715, 1499, 1367, 1170, 1025, 823, 753; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.63-8.54 (2H, m, H6/10), 7.47-7.46 (1H, d, J = 6.7 Hz, H7/9), 7.37-7.28 (5H, m, Bn), 5.40-5.37 (1H, m, NH), 5.32-5.16 (2H, m, Bn), 4.67 (1H, m, H2), 3.09-3.08 (2H, m, H3), 1.45 (9H, s, Boc); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ170.6, 155.2, 149.3, 135.2, 131.7, 128.7, 128.6, 128.4, 128.1, 90.0, 81.2, 80.5, 67.6, 60.5, 52.3, 50.7, 28.4, 24.1, 21.1, 14.2; FAB-HRMS (m/z) calcd for C22H25N2O4 [M+H]+ 381.1814, found 381.1814
化合物34(11.2mg、29.0μmol、1.0eq)のAcOH(0.73mL)溶液および10%Pd/C(156mg、0.15mmol、5.0eq)を撹拌し、水素雰囲気中、バルーン圧の下、室温にて還元反応をおこなった。室温にて6時間撹拌後、MeOHを用いたセライト溶出により不溶物を除去し、その後、Et2Oにて洗浄した。ろ液から化合物42(9.8mg、32.6μmol、quant)を黄色油状物として得た。
また、上記手順において、化合物34を化合物35および化合物36に変更した他は、上記手順に準じた方法により、それぞれ、化合物43および化合物44を得た。
得られた各化合物の分析結果を以下に示す。
化合物42: Rf 0.42 (MeOH); IR (neat, cm-1) 3726, 3624, 3421, 2933, 2522, 1695, 1591, 1394, 1171; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.96 (1H, t, J = 5.8 Hz, H2), 3.35 (1H, m, H6), 3.08-2.91 (2H, m, H10), 2.00-1.69 (6H, m, H3/8/9), 1.67-1.56 (6H, m, H4/5/7) 1.44 (9H, s, Boc); 化合物43: Rf 0.42 (MeOH); IR (neat, cm-1) 3727, 3662, 3421, 2932, 1698, 1587, 1394, 1171, 1050; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ3.98-3.94 (1H, t, J = 6.3 Hz, H2), 3.28-3.23 (2H, m, H6), 2.85-2.78 (1H, td, J = 12.9, 2.7 Hz, H10), 2.57-2.48 (1H, td, J = 12.0, 4.9 Hz, H10), 1.89-1.64 (6H, m, H3/8/9), 1.44 (9H, s, Boc), 1.40-1.12 (7H, m, H4/5/7); 13C NMR (75 MHz, CD3OD) δ80.0, 50.1, 50.0, 45.3, 34.8, 46.7, 34.3, 34.1, 29.9, 29.7, 23.4, 23.3; ESI-HRMS (m/z) calcd for C15H28N2O4 [M+H]+ 301.2127, found 301.2109; 化合物44: Rf 0.42 (MeOH); IR (neat, cm-1) 3750, 3649, 3421, 2930, 1700, 1586, 1457, 1392, 1167, 1025; 1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ4.02-3.99 (1H, t, J = 6.8 Hz, H2), 3.38-3.34 (2H, m, H6), 3.00-2.90 (2H, td, J = 13.1, 2.8 Hz, H10), 2.01-1.57 (6H, m, H3/8/9), 1.44 (9H, s, Boc), 1.39-1.29 (7H, m, H4/5/7); 13C NMR (75 MHz, CD3OD) δ80.0, 45.3, 36.7, 34.7, 34.2, 30.1, 30.0, 28.8, 23.7, 23.4; ESI-HRMS (m/z) calcd for C15H28N2O4 [M+H]+ 301.2127, found 301.2115
また、化合物35から化合物43を得る工程において、反応溶媒としてAcOHに代えてMeOHを用いた他は、上述した方法に準じて接触水素化反応をおこなった際にも、化合物43が収率48%で得られた。
また、化合物36から化合物44を得る工程において、反応溶媒としてAcOHに代えてMeOHを用いた他は、上述した方法に準じて接触水素化反応をおこなった際にも、化合物44が収率42%で得られた。
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
Bu:ブチル
Ac:アセチル
PPh:フェニルフォスフィン
dba:ジベンジリデンアセトン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
rt:室温
h:時間
以下、参考形態の例を付記する。
1. 下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
(上記一般式(I)中、R 1 は水素原子、水酸基、または、置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキル基である。)
下記一般式(II)に示される化合物またはその塩を、接触水素化反応により前記一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する工程を含む、製造方法。
(上記一般式(II)中、R 1 は前記一般式(I)におけるR 1 と同じである。)
2. 1.に記載の製造方法において、一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、常圧下、前記接触水素化反応をおこなう、製造方法。
3. 1.または2.に記載の製造方法において、一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、室温にて、前記接触水素化反応をおこなう、製造方法。
4. 1.乃至3.いずれか一項に記載の製造方法において、一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中で前記接触水素化反応をおこなう、製造方法。
5. 1.乃至4.いずれか1項に記載の製造方法において、下記一般式(III)に示される化合物またはその塩と下記一般式(IV)に示される化合物またはその塩とを反応させて、前記一般式(II)に示した化合物またはその塩を形成する工程をさらに含む、製造方法。
(上記一般式(III)中、Xはハロゲン原子である。)
(上記一般式(IV)中、R 1 は前記一般式(II)におけるR 1 と同じである。)
Claims (4)
- 下記一般式(I)に示される化合物またはその塩の製造方法であって、
下記一般式(II)に示される化合物またはその塩を、接触水素化反応により前記一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する工程を含み、
一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、常圧下、酸および炭素数1以上5以下のアルコールからなる群から選択される1種または2種以上を含む反応溶媒中、パラジウム炭素(Pd/C)の存在下で、前記接触水素化反応をおこなう、製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法において、一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程において、室温にて、前記接触水素化反応をおこなう、製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法において、一般式(I)に示される化合物またはその塩に変換する前記工程が、前記一般式(II)に示した化合物またはその塩に対して0.1モル当量以上20モル当量以下の触媒の存在下において、前記一般式(II)に示した化合物またはその塩を水素に接触させて還元する工程を含む、製造方法。
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