JP2021063987A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明では、R,G,Bの各波長領域にピークトップを持ち、各ピークの半値幅が比較的狭い発光スペクトルを有する白色光源を用いた液晶表示装置において、偏光板の構成部材である偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合でも、虹斑の発生が抑制された液晶表示装置を提供することを課題とする。【解決手段】バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上750nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、各ピークの半値幅が5nm以上であり、前記2つの偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介してポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記接着剤層の屈折率と、前記偏光子の透過軸と平行な方向における前記ポリエステルフィルムの屈折率との差が0.13以下である、液晶表示装置。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に関する。詳しくは、虹状の色斑の発生が改善された液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)に使用される偏光板は、通常ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成であり、偏光子保護フィルムとしては通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。近年、LCDの薄型化に伴い、偏光板の薄層化が求められるようになっている。しかし、このために保護フィルムとして用いられているTACフィルムの厚みを薄くすると、充分な機械強度を得ることが出来ず、また透湿性が悪化するという問題が発生する。また、TACフィルムは非常に高価であり、安価な代替素材としてポリエステルフィルムが提案されているが(特許文献1〜3)、虹状の色斑が観察されるという問題があった。
偏光子の片側に複屈折性を有する配向ポリエステルフィルムを配した場合、バックライトユニット、または、偏光子から出射した直線偏光はポリエステルフィルムを通過する際に偏光状態が変化する。透過した光は配向ポリエステルフィルムの複屈折と厚さの積であるリタデーションに特有の干渉色を示す。そのため、光源として冷陰極管や熱陰極管など不連続な発光スペクトルを用いると、波長によって異なる透過光強度を示し、虹状の色斑となる(参照:第15回マイクロオプティカルカンファレンス予稿集、第30〜31項)。
上記の問題を解決する手段として、バックライト光源として白色発光ダイオードのような連続的で幅広い発光スペクトルを有する白色光源を用い、更に偏光子保護フィルムとして一定のリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムを用いることが提案されている(特許文献4)。白色発光ダイオードは、可視光領域において連続的で幅広い発光スペクトルを有する。そのため、複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状に着目すると、配向ポリエステルフィルムのリタデーションを制御することで、光源の発光スペクトルと相似なスペクトルを得ることが可能となり、これにより虹斑を抑制することを可能とした。
加えて、配向ポリエステルフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向を直交、あるいは平行にすることにより、偏光子から出射した直線偏光は配向ポリエステルフィルムを通過しても偏光状態を維持したまま通過するようになる。また、配向ポリエステルフィルムの複屈折を制御して一軸配向性を高めることにより、斜め方向から入射する光も偏光状態を維持したまま通過するようになる。配向ポリエステルフィルムを斜めから見ると、真上から見たときと比較して配向主軸方向にズレが生じるが、一軸配向性が高いと斜めから見たときの配向主軸方向のズレが小さくなる。このため、直線偏光の方向と配向主軸方向のズレが小さくなり、偏光状態の変化が生じにくくなっていると考えられる。このように、光源の発光スペクトルと複屈折体の配向状態、配向主軸方向を制御することにより、偏光状態の変化が抑制され、虹状の色斑が発生せずに、視認性が顕著に改善すると考えられた。
特開2002−116320号公報 特開2004−219620号公報 特開2004−205773号公報 WO2011/162198
液晶表示装置のバックライト光源として、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体(YAG系黄色蛍光体)とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオード(白色LED)が、従来から広く用いられている。この白色光源の発光スペクトルは、可視光領域で幅広いスペクトルを有しているともに、発光効率にも優れるため、バックライト光源として汎用されている。しかし、この白色LEDをバックライト光源とした液晶表示装置では、人間の目が認識可能なスペクトルの20%程度しか色を再現することが出来ない。
一方、近年の色域拡大要求の高まりから、白色光源の発光スペクトルが、R(赤)、G(緑)、B(青)の各波長領域に、それぞれ明確なピーク形状を有する液晶表示装置が開発されている。例えば、量子ドット技術を利用した白色光源、励起光によりR(赤)、G(緑)の領域に明確な発光ピークを有する蛍光体と青色LEDを用いた蛍光体方式の白色LED光源、3波長方式の白色LED光源、赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源等、様々な種類の光源を用いた、広色域化対応の液晶表示装置が開発されている。量子ドット技術を利用した白色光源をバックライト光源とする液晶表示装置の場合、人間の目が認識可能なスペクトルの60%以上の色を再現することが可能になると言われている。これらの白色光源は、いずれも従来のYAG系黄色蛍光体を用いた白色発光ダイオードからなる光源と比較してピークの半値幅が比較的狭く、リタデーションを有する配向ポリエステルフィルムを偏光板の構成部材である偏光子保護フィルムとして用いた場合に、光源の種類によっては虹斑が発生する場合があることが新たにわかった。
本発明では、R,G,Bの各波長領域にピークトップを持ち、各ピークの半値幅が比較的狭い発光スペクトルを有する白色光源を用いた液晶表示装置において、偏光板の構成部材である偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合でも、虹斑の発生が抑制された液晶表示装置を提供することを課題とする。
代表的な本発明は、以下の通りである。
項1.
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上750nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、各ピークの半値幅が5nm以上であり、
前記2つの偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介してポリエステルフィルムが積層されたものであり、
前記接着剤層の屈折率と、前記偏光子の透過軸と平行な方向における前記ポリエステルフィルムの屈折率との差が0.13以下である、
液晶表示装置。
項2.
前記バックライト光源が、励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源である、項1に記載の液晶表示装置。
項3.
前記ポリエステルフィルムが、1500〜30000nmのリタデーションを有する、項1又は2に記載の液晶表示装置。
本発明の液晶表示装置は、広い色域を有するとともに、いずれの観察角度においても虹状の色斑の発生が有意に抑制された良好な視認性を確保することができる。
(液晶表示装置)
一般に、液晶表示装置は、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。バックライトの構成としては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わない。また、液晶表示装置は、バックライト光源、偏光板、液晶セル以外に他の構成、例えばカラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。光源側偏光板とバックライト光源の間に、輝度向上フィルムを設けてもよい。輝度向上フィルムとしては、例えば、一方の直線偏光を透過し、それと直交する直線偏光を反射する反射型偏光板が挙げられる。反射型偏光板としては、例えば、住友スリーエム株式会社製のDBEF(登録商標)(Dual Brightness Enhancement Film)シリーズの輝度向上フィルムが好適に用いられる。なお、反射型偏光板は、通常、反射型偏光板の吸収軸と光源側偏光板の吸収軸とが平行になるように配置される。
(バックライト光源)
本発明の液晶表示装置は少なくとも、バックライト光源と、2つの偏光板の間に配された液晶セルとを構成部材とする。前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満、及び600nm以上750nm以下の各波長領域にそれぞれピークトップを有し、各ピークの半値幅が5nm以上である発光スペクトルを有する白色光源が好ましい。
前記400nm以上495nm未満の波長領域は、より好ましくは430nm以上470nm以下である。前記495nm以上600nm未満の波長領域は、より好ましくは510nm以上560nm以下である。前記600nm以上750nm以下の波長領域は、より好ましくは630nm以上700nm以下であり、さらにより好ましくは630nm以上680mn以下である。各ピークの半値幅が5nm未満であると、虹状の色斑が発生し易くなることから好ましくない。各ピークの半値幅の好ましい下限値は10nm以上であり、より好ましくは15nm以上であり、更に好ましくは20nm以上である。適正な色域を確保する観点から、各ピークの半値幅の上限は、好ましくは140nm以下であり、好ましくは120nm以下であり、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは60nm以下であり、よりさらに好ましくは45nm以下である。なお、ここで半値幅とは、ピークトップの波長におけるピーク強度の、1/2の強度におけるピーク幅(nm)のことである。
なお、400nm以上495nm未満の波長領域、495nm以上600nm未満の波長領域、又は600nm以上750nm以下の波長領域のいずれかの波長領域において、複数のピークが存在する場合は以下の様に考える。
複数のピークが、それぞれ独立したピークである場合、最もピーク強度の高いピークの半値幅が上記範囲であることが好ましい。さらに、最も高いピーク強度の70%以上の強度を有する他のピークについても、同様に半値幅が上記範囲になることがより好ましい態様である。ここで、独立したピークとは、ピークの短波長側、長波長側の両方にピーク強度の1/2になる強度の領域を有するものである。すなわち、複数のピークが重なり、個々のピークがピーク強度の1/2になる強度の領域を有さない場合は、その複数のピークを全体として一個のピークと見なす。この様な、複数のピークが重なった形状を有する一個のピークは、その中の最も高いピーク強度の、1/2の強度におけるピークの幅(nm)を半値幅とする。
なお、複数のピークのうち、最もピーク強度の高いピークをピークトップとする。
なお、400nm以上495nm未満の波長領域、495nm以上600nm未満の波長領域、又は600nm以上750nm以下の波長領域の最も高いピーク強度を持つピークは他の波長領域のピークとはお互い独立した関係にあることが好ましい。特に、495nm以上600nm未満の波長領域で最も高いピーク強度を持つピークと、又は600nm以上750nm以下の領域で最も高いピーク強度を持つピークとの間の波長領域には、強度が600nm以上750nm以下の波長領域の最も高いピーク強度を持つピークのピーク強度の1/3になる領域が存在することが色彩の鮮明性の面で好ましい。
バックライト光源の発光スペクトルは、浜松ホトニクス製 マルチチャンネル分光器 PMA−12等の分光器を用いることにより測定が可能である。
上述したバックライト光源として、具体的には、励起光を出射する光源と量子ドットを少なくとも含むバックライト光源が挙げられる。その他、励起光によりR(赤)、G(緑)の領域にそれぞれ発光ピークを有する蛍光体と青色LEDを用いた蛍光体方式の白色LED光源、3波長方式の白色LED光源、赤色レーザーを組み合わせた白色LED光源等を例示することができる。前記蛍光体のうち赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu等を基本組成とする窒化物系蛍光体、CaS:Eu等を基本組成とする硫化物系蛍光体、CaSiO:Eu 等を基本組成とするシリケート系蛍光体、その他が例示される。また、前記蛍光体のうち緑色蛍光体としては、例えばβ−SiAlON:Eu等を基本組成とするサイアロン系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu等を基本組成とするシリケート系蛍光体、その他が例示される。
量子ドット技術のLCDへの適用は、近年の色域拡大要求の高まりから注目されている技術である。通常の白色LEDをバックライト光源として使用するLEDでは、人間の目が認識可能なスペクトルの20%程度しか色を再現することが出来ない。これに対し、励起光を出射する光源と量子ドットを含む発光層からなるバックライト光源を用いた場合、60%以上の色を再現することが可能になると言われている。実用化されている量子ドット技術は、ナノシス社のQDEFTMやQD Vision社のColor IQTM等がある。
量子ドットは、例えば、量子ドットを多く含む層を設け、これを発光層としてバックライトに用いることができる。量子ドットを含む発光層は、例えばポリスチレン等の樹脂材料などに量子ドットを含んで構成されており、光源から出射される励起光に基づいて、画素単位で各色の発光光を出射する層である。この発光層は例えば赤色画素に配設された赤色発光層、緑色画素に配設された緑色発光層、青色画素に配設された青色発光層からなり、これら複数色の発光層における量子ドットでは、励起光に基づいて互いに異なる波長(色)の発光光を生成するようになっている。
このような量子ドットの材料としては、例えばCdSe、CdS、ZnS:Mn、InN、InP、CuCl、CuBr、Siなどが挙げられ、それらの量子ドットの粒径(一辺方向のサイズ)は、例えば2〜20nm程度である。また上記の量子ドット材料のうち、赤色発光材料としてはInPが挙げられ、緑色発光材料としては例えばCdScが挙げられ、青色発光材料としては例えばCdS等が挙げられる。このような発光層では、量子ドットにおけるサイズ(粒径)や材料の組成を変化させることにより、発光波長が変化することが確認されている。量子ドットのサイズ(粒径)や材料を制御し、樹脂材料に混ぜて、画素毎に塗り分けて塗布し使用される。
励起光を発光する光源としては、青色LEDが利用されるが、半導体レーザーなどのレーザー光が用いられることもある。光源から出た励起光が発光層を通過することにより、400nm以上495nm未満、495nm以上〜600nm未満及び600nm以上750nm以下の各波長領域にそれぞれピークトップを有する発光スペクトルが生じる。この時に各波長領域のピークの半値幅が狭いほど色域が広がるが、ピークの半値幅が狭くなると発光効率が低下することから、要求される色域と発光効率のバランスから発光スペクトルの形状が設計される。
(偏光板)
液晶表示装置内に配置される2つの偏光板のうち、少なくとも一方の偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介してポリエステルフィルムが積層されたものである。なお、以下、単に、接着剤層と記載するときは、偏光子とポリエステルフィルムの間に存在する接着剤層のことを指すものとする。偏光子の他方の面には、TACフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムが積層されることが好ましいが(3層構成の偏光板)、必ずしも偏光子の他方の面にフィルムが積層される必要はない(2層構成の偏光板)。なお、偏光子の両側の保護フィルムとしてポリエステルフィルムが用いられる場合、両方のポリエステルフィルムの遅相軸は互いに略平行であることが好ましい。
本発明らは鋭意検討した結果、上述した励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源に代表されるように、発光スペクトルの各ピークの半値幅が比較的狭いバックライト光源を有する液晶表示装置において、偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた偏光板を使用した場合でも、接着剤層の屈折率と、偏光子の透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率との差が0.13以下であれば、有為に虹斑を抑制できることを見出した。上記態様により虹状の色斑の発生が抑制される機構としては、次のように考えている。
偏光子の片側に配向ポリエステルフィルムを配した場合、バックライトユニット、または、偏光子から出射した直線偏光はポリエステルフィルムを通過する際に偏光状態が変化する。バックライトユニット、または、偏光子から出射した直線偏光が配向ポリエステルフィルムを通過する際に偏光状態が変化する要因の一つに、接着剤層と配向ポリエステルフィルムとの界面の屈折率差が影響している可能性を見出した。斜め方向から入射した直線偏光が、各界面を通過する際に、界面間の屈折率差により光の一部が反射される。この時に出射光、反射光とも偏光状態が変化することが考えられることから、虹状の色斑が発生する要因の一つとなっていると考えられる。このため、入射する直線偏光の偏光方向(透過軸方向)における、接着剤と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差を小さくすることで、各界面での反射が抑制されて、虹状の色斑が抑制されると考えられる。
以上のように、本発明では励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源に代表されるように、発光スペクトルの各ピークの半値幅が比較的狭いバックライト光源からなる液晶表示装置において、偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを使用した偏光板を用いても、虹状の色斑が発生せずに、良好な視認性を有することが可能となる。
接着剤層の屈折率と、偏光子の透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率との差が0.13以下であることが好ましく、好ましくは0.12以下、好ましくは0.11以下、好ましくは0.10以下、好ましくは0.9以下、好ましくは0.08以下、好ましくは0.07以下、好ましくは0.06以下、好ましくは0.05以下である。屈折率差が小さいほど、ポリエステルフィルム界面での反射を抑え、虹斑を抑制できることから好ましい。下限は0である。
偏光子の透過軸と平行な方向における接着剤層の屈折率と、偏光子の透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率との差が、0.13以下であることがより好ましく、より好ましくは0.12以下、より好ましくは0.11以下、より好ましくは0.10以下、より好ましくは0.09以下、より好ましくは0.08以下、より好ましくは0.07以下、より好ましくは0.06以下、より好ましくは0.05以下である。屈折率差が小さいほど、ポリエステルフィルム界面での反射を抑え、虹斑を抑制できることから好ましい。下限は0である。
ポリエステルフィルムと偏光子の積層方法は特に限定されるものではなく、ポリエステルフィルムの進相軸方向と偏光子の透過軸方向を略平行とする、又はポリエステルフィルムの遅相軸方向と偏光子の透過軸方向を略平行とする配置が好ましい。接着剤の屈折率と、偏光子の透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率との差が好ましい範囲になるように注意して積層すればよい。
ここで略平行であるとは、偏光子の透過軸と偏光子保護フィルムの進相軸(又は遅相軸)とがなす角が、好ましくは−15°〜15°、より好ましくは−10°〜10°、さらに好ましく−5°〜5°、よりさらに好ましくは−3°〜3°、一層好ましくは−2°〜2°、特に好ましくは−1°〜1°であることを意味する。好ましい一実施形態において、略平行とは実質的に平行である。ここで実質的に平行であるとは、偏光子と保護フィルムとを張り合わせる際に不可避的に生じるずれを許容する程度に透過軸と進相軸(又は遅相軸)とが平行であることを意味する。遅相軸の方向は、分子配向計(例えば、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定して求めることができる。
(ポリエステルフィルム)
偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムは1500〜30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが上記範囲にあれば、より虹斑が低減しやすくなる傾向にあり好ましい。好ましいリタデーションの下限値は3000nm、次に好ましい下限値は3500nm、より好ましい下限値は4000nm、更に好ましい下限値は6000nm、より更に好ましい下限値は8000nmである。好ましい上限は30000nmであり、これ以上のリタデーションを有するポリエステルフィルムでは厚みが相当大きくなり、工業材料としての取り扱い性が低下する傾向にある。
なお、リタデーションは、2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることもできるし、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることもできる。なお、屈折率は、アッベの屈折率計(測定波長589nm)によって求めることができる。
ポリエステルフィルムのリタデーション(Re:面内リタデーション)と厚さ方向のリタデーション(Rth)との比(Re/Rth)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなる傾向にある。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2.0となることから、上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)の上限は2.0が好ましい。なお、厚さ方向位相差は、フィルムを厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz、△Nyzにそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られる位相差の平均を意味する。
ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率は、1.53以上1.62以下であることが好ましい。屈折率が1.53未満になると、ポリエステルフィルムの結晶化が不十分となり、寸法安定性、力学強度、耐薬品性等の延伸により得られる特性が不十分となることから好ましくない。ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率の上限は、より好ましくは1.61以下であり、さらに好ましくは1.60以下であり、さらにより好ましくは1.59以下であり、特に好ましくは1.58以下である。ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率の下限は、より好ましくは1.54以上であり、さらに好ましくは1.55以上であり、さらにより好ましくは1.56以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率は、1.67以上1.75以下であることが好ましい。ポリエステルフィルムの遅相軸方向の屈折率の上限は、より好ましくは1.74以下であり、さらに好ましくは1.73以下であり、さらにより好ましくは1.72以下であり、特に好ましくは1.71以下である。ポリエステルフィルムの遅相軸の屈折率の下限は、より好ましくは1.68以上である。上記屈折率の調整は、後述する後述する製膜工程における延伸処理により、容易に調整することが可能である。
上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、入射光側(光源側)と出射光側(視認側)の両方の偏光板に用いることができる。入射光側に配される偏光板において、上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、その偏光子を起点として入射光側に配置していても、液晶セル側に配置していても、両側に配置されていても良いが、少なくとも入射光側に配置されていることが好ましい。出射光側に配置される偏光板については、上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、その偏光子を起点として液晶側に配置されても、出射光側に配置されていても、両側に配置されていてもよいが、少なくとも出射光側に配置されていることが好ましい。
ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いることができるが、他の共重合成分を含んでも構わない。
これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、フィルムを延伸することで進相軸(遅相軸方向と垂直)方向の屈折率を低く抑えることができること、及びフィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られることから、最も好適な素材である。
また、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化を抑制することを目的として、ポリエステルフィルムは、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。なお、透過率は、フィルムの平面に対して垂直方法に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
ポリエステルフィルムの波長380nmの透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及びフィルムの厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが上述した吸光度の範囲であれば特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2−[2’−ヒドロキシ−5’ −(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’ −ヒドロキシ−5’ −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’ −ヒドロキシ−5’ −(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールなどが挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンなどが挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外の各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
本発明に用いられる偏光子保護フィルムであるポリエステルフィルムの表面には、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制などを目的として、種々の機能層、すなわちハードコート層、防眩層、反射防止層等を設けることも好ましい様態である。種々の機能層を設けるに際して、ポリエステルフィルムはその表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率とポリエステルフィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやゲルマニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
ポリエステルフィルムには、偏光子との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
本発明においては、偏光子との接着性を改良のために、本発明のフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。本発明の易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
易接着層は、前記塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05〜0.20g/mに管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/mを超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは、単独で易接着層に添加されてもよく、2種以上を組合せて添加することもできる。
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
偏光子保護フィルムとして使用するポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
本発明で使用するポリエステルフィルムは一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもかまわないが、二軸延伸フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合、フィルム面の真上から観察しても虹状の色斑が見られないが、斜め方向から観察した時に虹状の色斑が観察される場合があるので注意が必要である。
ポリエステルフィルムの製膜条件を具体的に説明すると、縦延伸温度、横延伸温度は80〜135℃が好ましく、より好ましくは80〜130℃、特に好ましくは90〜120℃である。遅相軸がTD方向になるようにフィルムを配向させるには、縦延伸倍率は1.0〜3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍〜3.0倍である。また、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0〜5.5倍である。遅相軸がMD方向となるようにフィルムを配向させるには、縦延伸倍率は2.5倍〜6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0〜5.5倍である。また、横延伸倍率は1.0倍〜3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍〜3.0倍である。
ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率又はリタデーションを上記範囲に制御するためには、縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎると、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.62を超える傾向にあり、また、リタデーション高くすることが難しくなるため、好ましくない。また、延伸温度を低く設定することは、リタデーションを高くする上では好ましい対応である。続く熱処理においては、処理温度は100〜250℃が好ましく、特に好ましくは180〜245℃である。
リタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。延伸温度、延伸倍率はフィルムの厚み斑に大きな影響を与えることから、厚み斑の観点からも製膜条件の最適化を行う必要がある。特にリタデーションを高くするために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑が悪くなることがある。縦厚み斑は延伸倍率のある特定の範囲で非常に悪くなる領域があることから、この範囲を外したところで製膜条件を設定することが望ましい。
ポリエステルフィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。
前述のように、ポリエステルフィルムのリタデーションを特定範囲に制御する為には、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより行なうことができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。但し、フィルムの厚みを厚くすると、厚さ方向位相差が大きくなりやすい。そのため、フィルム厚みは後述の範囲に適宜設定することが望ましい。また、リタデーションの制御に加えて、加工に必要な物性等を勘案して最終的な製膜条件を設定する必要がある。
ポリエステルフィルムの厚みは任意であるが、15〜300μmの範囲が好ましく、より好ましくは15〜200μmの範囲である。15μmを下回る厚みのフィルムでも、原理的には1500nm以上のリタデーションを得ることは可能である。しかし、その場合にはフィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点からは厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。上記厚み範囲においてもリタデーションを本発明の範囲に制御するために、フィルム基材として用いるポリエステルはポリエチレンタレフタレートが好適である。
また、ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する方法としては、公知の方法を組み合わせて採用し得るが、例えば予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法などによって配合することができる。
この時マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5〜30質量%の濃度にするのが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1〜15分間で押し出すのが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し温度1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
また、ポリエステルフィルムを少なくとも3層以上の多層構造とし、フィルムの中間層に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含む3層構造のフィルムは、具体的には次のように作製することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。なお、発明では、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
(接着剤層)
ポリエステルフィルムと偏光子を貼り合わせるための接着剤としては、従来公知のものを使用することができる。接着剤層の屈折率の下限は、好ましくは1.46以上、より好ましくは1.47以上、さらに好ましくは1.48以上である。接着剤層の屈折率の上限は、好ましくは1.59以下、より好ましくは1.56以下、さらに好ましくは1.54以下である。
接着剤としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール系接着剤や、ポリブチルアクリレートなどビニル系ラテックス等の従来公知の水系接着剤があげられる。ポリビニルアルコール系接着剤としては、ポリビニルアルコール、部分けん化処理したポリ酢酸ビニル、カルボキシル基やアセトアセチル基で変性したポリビニルアルコール、ホルマル化処理したポリビニルアルコール等が含まれる。
前記水系接着剤には、架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、特に限定されず、公知の架橋剤を用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものを特に制限なく使用することができる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;グリオキシル酸金属塩(金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅などの遷移金属、亜鉛、アルミニウムなどが挙げられる。)、グリオキシル酸アミン塩(アミンとしては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどが挙げられる。)などのグリオキシル酸塩;1つ以上の塩基性基と1つ以上の酸性基とを有するアミノ酸又は含硫アミノ酸;ジメトキシエタナール、ジエトキシエタナール、ジアルコキシエタナール等のアセタール化合物;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物等を例示することができる。これらは一種単独用いてもよいし、二種以上を併用することができる。これらのなかでも1つ以上の塩基性基と1つ以上の酸性基とを有するアミノ酸又は含硫アミノ酸を用いることが好ましい。塩基性基としてはアミノ基が好ましく、酸性基としてはカルボキシル基又はスルホ基が好ましい。前記アミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リシン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、チロシン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アスパルテーム、グルタミン、グルタミン酸、及びこれらアミノ酸と(メタ)アクリル酸との共重合体などを例示することができる。前記含硫アミノ酸としては、例えば、メチオニン、システイン、シスチン、及びタウリンなどを例示することができる。これらのなかでも特に、タウリンなどのスルホ基を有する含硫アミノ酸を用いることが好ましい。金属塩を使用したものは、接着剤層の屈折率を高くすることができる。また、架橋剤として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を用いることができる。前記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール系樹脂や、ポリブチルアクリレートなどビニル系ラテックスを100質量部とした場合、例えば、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部である。
その他、近年活性エネルギー線硬化性の接着剤も好ましい。偏光板は偏光子の両側に偏光子保護フィルムが積層された構成であり、少なくとも一方の偏光子保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して偏光子と積層されることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物を用いることにより、低透湿性フィルムを用いた場合でも接着することができ、また密着性を向上させることができる。さらに、偏光板の耐湿熱性等の耐環境性を向上させることができる。特に、無溶剤の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることにより、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため、生産性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、エポキシ化合物、オキセタン化合物の他に、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー等を用いることができる。
(エポキシ化合物及びオキセタン化合物)
エポキシ化合物には、脂環式エポキシ化合物、水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物、アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物、およびC−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物等が挙げられる。
ここで、脂環式エポキシ化合物とは、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなるもの、および飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなるものをいう。なお、他のエポキシ基を構造内に有していてもよい。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、C−C二重結合を環に有する環状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を環に有する環状化合物としては、特に限定されるものではないが、シクロペンテン環を有する化合物、シクロヘキセン環を有する化合物、およびそれらの多環式化合物等が挙げられる。C−C二重結合を環に有する環状化合物は、環外にC−C二重結合を有していてもよく、このような化合物としては、たとえば、1−ビニル−3−シクロヘキセンおよび単環式モノテルペンであるリモネン等が挙げられる。
また、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物は、前記によって得られるエポキシ化物を適当な官能基を介して2量化した構造の化合物であってもよい。その官能基からなる結合構造としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エステル結合、エーテル結合、およびアルキル基による結合等が挙げられる。また、前記エポキシ化物の2量化した構造は、これらの結合を複数有していてもよい。
前記飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の製造方法は、個々の化合物に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、たとえば、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法、および、C−C二重結合がエポキシ化された化合物を、さらに前記のように官能基を反応させて目的とする構造へ合成する方法等が採用される。エポキシ基の副反応等を抑制する観点から、通常、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法が好ましく採用される。
C−C二重結合を環に有する環状化合物の合成は、目的とするエポキシ化合物の骨格に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、2量化された環状化合物の合成例として、たとえば、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドから適切な触媒を用いてティシチェンコ反応によりエステル化合物である3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートを得る方法を挙げることができる。
さらに、前記エステル化合物と、ジカルボン酸化合物あるいはそのエステル、ジオール化合物あるいはそのエステル、ポリアルキレングリコールあるいはそのエステル、またはヒドロキシカルボン酸化合物あるいはそのエステル等とを、必要に応じて触媒を用いてエステル交換反応させることで、シクロヘキセニル基を両端に有した化合物が得られる。
ジカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、シュウ酸、アジピン酸、およびセバシン酸、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ジオール化合物およびそのエステルとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、およびポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、およびクエン酸、ならびにそれらのジメチルエステル・酢酸エステル等、およびラクチド、プロピオラクトン、ブチロラクトン、およびカプロラクトン等が挙げられる。
こうして得られるC−C二重結合を環に有する環状化合物を、過酸化物を用いてエポキシ化することにより、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物を得ることができる。過酸化物は、個々の環状化合物や許容される反応条件等に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、たとえば、過酸化水素、過酢酸、およびt−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の具体例を挙げれば、たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1−メチル−4−(1−メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル メタアクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン付加物、エチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、オキシジエチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4−シクロヘキサンジメチル ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、および3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、後記する水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物の芳香環を、触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行なうことにより得られる化合物、水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物、およびビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物をいう。
水添化される水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−シクロヘキサンジメタノール ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,3−ビス(エポキシエチル)ヘキサン、1,2,4−トリス(エポキシエチル)ヘキサン、および2,4−ビス(エポキシエチル)−1−ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記した脂環式エポキシ化合物の中でも、偏光板の耐久性を向上させる上において良好な硬化物特性を示し、または適度な硬化性を有するとともに、比較的廉価に入手できることから、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビスフェノールAのグリシジルエーテル化物の水添化物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
脂環式エポキシ化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物の色相は、硬化前における活性エネルギー線硬化性組成物のガードナー色度で5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。色相が5を超えると、接着剤層の着色によって偏光板の色相へ影響が現れる場合がある。
水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物とは、その水酸基へエピクロルヒドリン等の化合物をアルカリ条件下において付加縮合させることにより得られるものである。たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多芳香環型エポキシ樹脂、およびアルキレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびに3,3’,5,5’−メチル−4,4’−ビフェノールのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
また、多芳香環型エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、ナフトールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、およびフェノールジシクロペンタジエン樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。さらに、トリヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにトリスフェノールPAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等も挙げられる。
また、アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、たとえば、エチレングリコールのグリシジルエーテル化物、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル化物、1,4−ブタンジオールのグリシジルエーテル化物、および1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物とは、そのアミノ基へエピクロルヒドリン等の化合物を塩基性条件下において付加縮合させることにより得られるものである。アミノ基を有する化合物は、同時に水酸基を有していてもよい。たとえば、1,3−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、1,4−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、3−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体、および、4−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体等が挙げられる。
C−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物とは、C−C二重結合を有する鎖状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を有する鎖状化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、およびヘキサジエン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物およびそのオリゴマー等は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
このようなエポキシ化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「セロキサイド」、「サイクロマー」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)および「サイラキュア」(ダウケミカル社製)、「エピコート」(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、「エピクロン」(DIC株式会社製)、「エポトート」(東都化成株式会社製)、「アデカレジン」(株式会社ADEKA製)、「デナコール」(ナガセケムテックス株式会社製)、「ダウエポキシ」(ダウケミカル社製)および「テピック」(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜2000g/eqであり、50〜1500g/eqであることが好ましく、70〜1000g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、第一の接着剤層の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、2000g/eqを超えると、硬化速度が低下したり、硬化した接着剤層に必要な剛性や強度が不足したりする場合がある。なお、このエポキシ当量は、JIS K 7236(ISO 3001)に準拠して測定する値である。また、エポキシ化合物が高純度単量体であれば、その分子量より理論量を算出することができる。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、複数のエポキシ化合物、例えば、脂環式エポキシ化合物と、脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物とを併用することにより、偏光フィルムと延伸ポリエステルフィルムとの密着性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、オキセタン化合物を用いることができる。オキセタン化合物は、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化速度を向上させることができる。オキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物であって、活性エネルギー線硬化性であれば特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、および1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
このようなオキセタン化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「アロンオキセタン」(東亞合成株式会社製)、および「ETERNACOLL」(宇部興産株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線によって硬化するために、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射によってカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基、オキセタンの重合反応を開始させるものである。
このカチオン重合開始剤は、潜在性が付与されていることが好ましい。潜在性の付与によって本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性組成物の可使時間が長くなり、作業性も良好になる。
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、および鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、およびベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、およびジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、および4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、およびキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物層を与えることができるため、好ましく用いられる。
カチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性化合物の合計100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1〜15重量部が好ましい。その量が0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、硬化物層の機械強度や接着強度が低下する場合がある。また、その量が20重量部を超えると、硬化物層中のイオン性物質が増加することで硬化物層の吸湿性が高くなり、得られる偏光板の耐久性能が低下する場合がある。
これらのカチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド」(日本化薬株式会社製)、「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)、光酸発生剤「CPI」(サンアプロ株式会社製)、光酸発生剤「TAZ」、「BBI」、「DTS」(以上、ミドリ化学株式会社製)、「アデカオプトマー」(株式会社ADEKA製)、および「RHODORSIL」(ローディア社製)等が挙げられる。
((メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーとしては、例えばアクリレート化合物、メタクリレート化合物(以下、アクリレートとメタアクリレートとの両方を含む意味で(メタ)アクリレートとも記載する)、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物が挙げられる。入手がしやすく扱いやすい点で(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリレート、その他の(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の(メタ)アクリレート化合物として例示したエポキシ(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上のエポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸(以下、両方を含む意味で(メタ)アクリル酸とも記載する)とのエステル化合物である。ここでエステルを誘導するエポキシ樹脂は特に制限されず、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂等、分子中に1個または2個以上のエポキシ基を有するものを用いることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である水酸基含有(メタ)アクリレートと1種または2種以上の(ポリ)イソシアネート化合物とを反応させて得ることができる(メタ)アクリレート;1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと水酸基含有(メタ)アクリレートとイソシアネート類とを反応させて得られる(メタ)アクリレート等の、ウレタン結合を有するエステル化合物である。
(ポリ)エステルポリオールを誘導する多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。(ポリ)エステルポリオールを誘導するポリカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸等が挙げられる。
(ポリ)エーテルポリオールとしては、前述した多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたものが挙げられる。(ポリ)イソシアネート化合物としては、1価または2価以上のイソシアネートが挙げられ、2価以上のイソシアネートが好ましい。
2価以上のイソシアネートとしては、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランスおよび/またはシス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4および/または(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
また、(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルとしては、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上のモノカルボン酸またはポリカルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルを誘導する多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられ、モノカルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸等が挙げられる。ポリカルボン酸としては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。
また、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルとしては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるもの等が挙げられる。
多価アルコールおよびアルキレンオキサイドとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アルコール類の(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有するアルコール(特に、脂肪族アルコールまたは芳香族アルコール)類と(メタ)アクリレートとのエステル化合物である。例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のアクリレートとしては、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、フルオレン誘導体ジ(メタ)アクリレート、カルバゾール誘導体ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のラジカル重合性モノマーは、硬化速度を調節するために使用することができる。
なお、ラジカル重合性モノマーを用いる場合、光ラジカル重合開始剤を少なくとも用いる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、べンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物を挙げることができる。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、P−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられ、ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられ、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられ、チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができ、ラジカル重合性モノマーに対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%配合される。ラジカル重合性モノマーに対する光ラジカル重合開始剤の配合量が0.05質量%以上である場合、光硬化性接着剤の硬化をより良好に進行させることができ、10質量%以下である場合、光硬化性接着剤を硬化させて形成した接着剤層の物理的強度が良好である。
活性エネルギー線硬化性組成物に含有される全塩素量は、0.1ppm〜15000ppmの範囲が好ましく、0.5ppm〜2000ppmの範囲がより好ましく、1.0〜1000ppmの範囲がさらに好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物に含有される全塩素量が0.1ppmを下回ると、その組成物の硬化速度が極端に遅くなる場合がある。また、15000ppmを超えると、その塩素の影響により、塗工装置が腐食したり、液晶パネルの金属部品が腐食したりする場合がある。なお、この全塩素量は、JIS K 7243−3(ISO 21627−3)に準拠して測定する値である。
用いられる活性エネルギー線としては、たとえば、波長が1pm〜10nmのX線、10〜400nmの紫外線、および400〜800nmの可視光線等が挙げられる。中でも、利用の容易さ、活性エネルギー線硬化性組成物の調整の容易さおよびその安定性、ならびにその硬化性能の点で紫外線が好ましく用いられる。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって固化(硬化)し、該硬化物層を狭持するフィルム同士に接着力を与える硬化性組成物である。
用いる光源は、特に限定されるものではないが、たとえば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。
照射強度は、活性エネルギー線硬化性組成物や照射時間によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜1000mW/cmであることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物への光照射強度が0.1mW/cm未満であると、硬化反応時間が長くなる、すなわち長い照射時間をかけなければ硬化せず、生産性向上に不利となる場合がある。また、1000mW/cmを超えると、ランプから輻射される熱、および活性エネルギー線硬化性組成物の重合時の発熱により、活性エネルギー線硬化性組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。
照射時間は、活性エネルギー線硬化性組成物や照射強度によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物への積算光量が10mJ/cm未満であると、開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる場合がある。また、5,000mJ/cmを超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上に不利となる場合がある。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物層の機械強度や接着強度を向上させることができる。
光増感剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。
カルボニル化合物としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体; 9,10−ジブトキシアントラセンのようなアントラセン化合物; ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体; 2−クロロアントラキノンおよび2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体; N−メチルアクリドンおよびN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体; α,α−ジエトキシアセトフェノンのようなアセトフェノン誘導体; キサントン誘導体; ならびにフルオレノン誘導体等が挙げられる。
有機硫黄化合物としては、たとえば、2−クロロチオキサントンおよび2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体が挙げられる。その他には、ベンジル化合物およびウラニル化合物等も挙げられる。
光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性組成物を100重量部とした場合に、0.1〜20重量部の範囲で含有するのが好ましい。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、各種の添加剤を配合することができる。各種の添加剤としては、たとえば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、および消泡剤等が挙げられる。
イオントラップ剤としては、たとえば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系、およびこれらの混合系等の無機化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
以上に示される活性エネルギー線硬化性組成物からなる層(硬化前の接着剤層)を偏光フィルムまたは偏光子保護フィルム上に形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、偏光フィルムもしくは偏光子保護フィルム上に該組成物を塗工する方法、該組成物を吹き付ける方法、またはあらかじめフィルム状に形成した該組成物を貼合する方法等が採用される。中でも、組成物を塗工する方法またはフィルム状組成物を貼合する方法が比較的塗膜の均質性の高いことから好ましく、組成物を塗工する方法が比較的生産性が高いことからより好ましい。
塗工する方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等の、種々の塗工方式が採用される。
塗工された硬化前の接着剤層の厚さは、通常、0.1〜20μmであり、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。厚みが0.1μmを下回ると、硬化させた接着剤層による偏光フィルムと偏光子保護フィルムとの間の密着力が不足する場合がある。また、厚みが20μmを超えると、接着剤層の硬化が十分進行しなかったり、硬化してもその厚みによりフィルムの屈曲性が悪化したり、薄肉化の効果が得られなかったりする場合がある。
接着剤層の厚みは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。下限は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)ポリエステルフィルムの屈折率
分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いて、フィルムの遅相軸方向を求め、遅相軸方向が測定用サンプル長辺と平行になるように、4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率:Ny、進相軸(遅相軸方向と直交する方向の屈折率):Nx)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求めた。
(2)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)を用いて、フィルムの遅相軸方向を求め、遅相軸方向が測定用サンプル長辺と平行になるように、4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率:Ny,遅相軸方向と直交する方向の屈折率:Nx)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
(3)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx−Nz|)、△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
(4)バックライト光源の発光スペクトルの測定
各実施例で使用する液晶表示装置には、SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)を用いた。この液晶表示装置のバックライト光源の発光スペクトルを、浜松ホトニクス製 マルチチャンネル分光器 PMA−12を用いて測定したところ、450nm、528nm、630nm付近にピークトップを有する発光スペクトルが観察され、各ピークトップの半値幅は17nm〜34nmであった。なお、スペクトル測定の際の露光時間は20msecとした。
(5)虹斑観察
各実施例で得られた液晶表示装置を、正面、及び斜め方向から暗所で目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
○: 虹斑が観察されない
△: 虹斑が僅かに観察される
×: 虹斑が観察される
××: 虹斑が著しく観察される
(6)接着剤層の屈折率
ガラス板に接着剤を塗布した後、実加工と同条件にて固化させ、数μm程度の塗膜を作製した。ガラス板から塗膜を剥がし、アッベ屈折計(アタゴ社製、NAR−1T SOLID、測定波長589nm)にて屈折率を測定した。
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
(製造例2−ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
(製造例3−接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
(偏光子保護フィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/mになるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、10秒間で処理し、さらに幅方向に3.0%の緩和処理を行い、フィルム厚み約100μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは10300nm、Rthは12350nm、Re/Rthは0.83、Nx=1.588、Ny=1.691であった。
(偏光子保護フィルム2)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約80μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは8080nm、Rthは9960nm、Re/Rthは0.81、Nx=1.589、Ny=1.690であった。
(偏光子保護フィルム3)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約60μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは6060nm、Rthは7470nm、Re/Rthは0.81、Nx=1.589、Ny=1.690であった。
(偏光子保護フィルム4)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約40μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは4160nm、Rthは4920nm、Re/Rthは0.85、Nx=1.587、Ny=1.691であった。
(偏光子保護フィルム5)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に1.5倍延伸した後、温度130℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸して、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは7820nm、Rthは13890nm、Re/Rthは0.56、Nx=1.608、Ny=1.686であった。
(偏光子保護フィルム6)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2.0倍延伸した後、温度135℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは6400nm、Rthは14600nm、Re/Rthは0.44、Nx=1.617、Ny=1.681であった。
(偏光子保護フィルム7)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2.8倍延伸した後、温度140℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは5400nm、Rthは15900nm、Re/Rthは0.34、Nx=1.631、Ny=1.685であった。
(偏光子保護フィルム8)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に3.3倍延伸した後、温度140℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは4800nm、Rthは16700nm、Re/Rthは0.29、Nx=1.640、Ny=1.688であった。
偏光子保護フィルム1〜8を用いて後述するように液晶表示装置を作成した。
(実施例1)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム1を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板1を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の視認側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板1に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板1の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(実施例2)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム2を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板2を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板1を偏光板2に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(実施例3)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板1を偏光板3に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(実施例4)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板3に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板3の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(実施例5)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の視認側及び光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板3に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板3の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(実施例6)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム4を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板4を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板1を偏光板4に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(実施例7)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム5を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板5を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板1を偏光板5に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(実施例8)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム6を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板6を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板1を偏光板6に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(比較例1)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム1を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板7を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の視認側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板7に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板7の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(比較例2)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム2を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板8を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板7を偏光板8に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(比較例3)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板7を偏光板9に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(比較例4)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板9に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板9の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(比較例5)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
SONY社製のBRAVIA KDL−40W920A(励起光を出射する光源と量子ドットを含むバックライト光源を有する液晶表示装置)の視認側及び光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板9に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板9の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
(比較例6)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム4を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板10を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板7を偏光板10に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(比較例7)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム7を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板11を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板7を偏光板11に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
(比較例8)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム8を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板12を作成した。偏光子と偏光子保護フィルム、TACフィルムは、ポリビニルアルコール4部、メラミン1部、水95部からなる水溶液(ポリビニルアルコール系接着剤)を介して貼り合せ、60℃で3分乾燥した。このポリビニルアルコール系接着剤の屈折率は、1.490であった。
偏光板7を偏光板12に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
各実施例で得た液晶表示装置について、虹斑観察を測定した結果を以下の表1に示す。
Figure 2021063987
本発明の液晶表示装置及び偏光板は、いずれの観察角度においても虹状の色斑の発生が有意に抑制された良好な視認性を確保することができ、産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (2)

  1. バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
    前記バックライト光源は、励起光を出射する光源と量子ドットを含むものであり、
    前記2つの偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に接着剤層を介してポリエステルフィルムが積層された偏光板であり、
    前記接着剤層の屈折率と、前記偏光子の透過軸と平行な方向における前記ポリエステルフィルムの屈折率との差が0.13以下である、
    液晶表示装置。
  2. 前記ポリエステルフィルムが1500〜30000nmのリタデーションを有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
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