1.偏光板
一般的に、液晶表示装置は液晶セルの両側に偏光板を有する。視認側の偏光板を視認側偏光板、光源側の偏光板を光源側偏光板と称する。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して偏光子保護フィルムが積層されており、前記活性エネルギー線硬化性接着剤が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。これにより、カラーフィルターや偏光子に使用される色素等の紫外線による劣化、及び、液晶セル中に存在する液晶化合物の紫外線による劣化を抑制しつつ、偏光子と偏光子保護フィルムとの密着性に優れた偏光板を提供することができる。
偏光子は、当該技術分野において使用される任意の偏光子(又は偏光フィルム)を適宜選択して使用することができる。代表的な偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム等にヨウ素等の二色性材料を染着させたものを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、公知及び今後開発され得る偏光子を適宜選択して用いることができる。
PVAフィルムは、市販品を用いることができ、例えば、「クラレビニロン((株)クラレ製)」、「トーセロビニロン(東セロ(株)製)]、「日合ビニロン(日本合成化学(株)製)]等を用いることができる。二色性材料としてはヨウ素、ジアゾ化合物、ポリメチン染料等を挙げることができる。
偏光子は、任意の手法で得ることができ、例えば、PVAフィルムを二色性材料で染着させたものをホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄及び乾燥を行うことにより得ることができる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度であるが特に制限されない。他の製造条件等は公知の手法に従って適宜設定することができる。
偏光子保護フィルムの種類は任意であり、従来から保護フィルムとして使用されるフィルムを適宜選択して使用することができる。例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリルフィルム、及び環状オレフィン系フィルム(例えば、ノルボルネン系フィルム)、ポリプロピレンフィルム、及びポリオレフィン系フィルム(例えば、TPX)などが挙げられる。
偏光子保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化性を確保するために、紫外線吸収剤を含まないことが好ましい。
偏光子保護フィルムの厚みは任意であり、例えば、15〜300μmの範囲、好ましくは30〜200μmの範囲で適宜設定できる。
(活性エネルギー線硬化性接着剤)
偏光板は偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層された構成であり、前記偏光子保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して偏光子と積層されることが好ましい。偏光板は、偏光子の片面にのみ偏光子保護フィルムが積層されていてもよいし、偏光子の両側に偏光子保護フィルムが積層されていてもよい。偏光子の両側に偏光子保護フィルムが積層された偏光板の場合、偏光子のいずれの面も活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子保護フィルムを積層したものであってもよいし、偏光子の一方の面のみ活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子保護フィルムを積層し、偏光子のもう一方の面は従来公知の他の接着剤(例えばポリビニルアルコール等の親水性の接着剤)を用いて偏光子保護フィルムを積層したものであってもよい。
活性エネルギー線硬化性接着剤を介して偏光子に積層する側の偏光子保護フィルムが、低透湿性フィルムである場合には、無溶剤の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いることが好ましい。無溶剤の活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を用いることにより、接着剤を乾燥させる工程が不要になるため生産性を向上させることができ、また、密着性を向上させることができる。なお、低透湿性フィルムとはJIS−K7129 B法に準じて測定した場合、水蒸気透過度が150g/m2・24hr以下、好ましくは100g/m2・24hr以下、特には50g/m2・24hr以下のものをいう。
低透湿性フィルムの素材としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。また、透湿性フィルムであっても、酸化ケイ素や酸化アルミニウム、またこれらの混合物などの金属酸化物薄膜を積層させものも低透湿性フィルムの例として挙げられる。
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有される活性エネルギー線硬化性化合物としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、エポキシ化合物、オキセタン化合物の他に、(メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー等を用いることができる。
(エポキシ化合物及びオキセタン化合物)
エポキシ化合物には、脂環式エポキシ化合物、水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物、アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物、およびC−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物等が挙げられる。
ここで、脂環式エポキシ化合物とは、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなるもの、および飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなるものをいう。なお、他のエポキシ基を構造内に有していてもよい。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、C−C二重結合を環に有する環状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を環に有する環状化合物としては、特に限定されるものではないが、シクロペンテン環を有する化合物、シクロヘキセン環を有する化合物、およびそれらの多環式化合物等が挙げられる。C−C二重結合を環に有する環状化合物は、環外にC−C二重結合を有していてもよく、このような化合物としては、たとえば、1−ビニル−3−シクロヘキセンおよび単環式モノテルペンであるリモネン等が挙げられる。
また、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物は、前記によって得られるエポキシ化物を適当な官能基を介して2量化した構造の化合物であってもよい。その官能基からなる結合構造としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エステル結合、エーテル結合、およびアルキル基による結合等が挙げられる。また、前記エポキシ化物の2量化した構造は、これらの結合を複数有していてもよい。
前記飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の製造方法は、個々の化合物に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、たとえば、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法、および、C−C二重結合がエポキシ化された化合物を、さらに前記のように官能基を反応させて目的とする構造へ合成する方法等が採用される。エポキシ基の副反応等を抑制する観点から、通常、C−C二重結合を環に有する環状化合物を合成した後、エポキシ化する方法が好ましく採用される。
C−C二重結合を環に有する環状化合物の合成は、目的とするエポキシ化合物の骨格に応じて変わるものであり特に限定されるものではないが、2量化された環状化合物の合成例として、たとえば、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒドから適切な触媒を用いてティシチェンコ反応によりエステル化合物である3−シクロヘキセニルメチル 3−シクロヘキセンカルボキシレートを得る方法を挙げることができる。
さらに、前記エステル化合物と、ジカルボン酸化合物あるいはそのエステル、ジオール化合物あるいはそのエステル、ポリアルキレングリコールあるいはそのエステル、またはヒドロキシカルボン酸化合物あるいはそのエステル等とを、必要に応じて触媒を用いてエステル交換反応させることで、シクロヘキセニル基を両端に有した化合物が得られる。
ジカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、シュウ酸、アジピン酸、およびセバシン酸、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ジオール化合物およびそのエステルとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、およびポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ならびにそれらのジメチルエステル等が挙げられる。また、ヒドロキシカルボン酸化合物およびそのエステルとしては、たとえば、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、およびクエン酸、ならびにそれらのジメチルエステル・酢酸エステル等、およびラクチド、プロピオラクトン、ブチロラクトン、およびカプロラクトン等が挙げられる。
こうして得られるC−C二重結合を環に有する環状化合物を、過酸化物を用いてエポキシ化することにより、飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物を得ることができる。過酸化物は、個々の環状化合物や許容される反応条件等に応じて選択されるものであり、特に限定されるものではないが、たとえば、過酸化水素、過酢酸、およびt−ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接エポキシ基を有してなる脂環式エポキシ化合物の具体例を挙げれば、たとえば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1−メチル−4−(1−メチルエポキシエチル)シクロヘキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル メタアクリレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの4−(1,2−エポキシエチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン付加物、エチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、オキシジエチレン ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、1,4−シクロヘキサンジメチル ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、および3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシカルボニル)プロピル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等が挙げられる。
飽和環状化合物の環に直接グリシジルエーテル基またはグリシジル基を有してなる脂環式エポキシ化合物とは、後記する水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物の芳香環を、触媒の存在下、加圧下で選択的に水素化反応を行なうことにより得られる化合物、水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物、およびビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物をいう。
水添化される水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
水酸基を有する飽和環状化合物のグリシジルエーテル化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−シクロヘキサンジメタノール ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
ビニル基を有する飽和環状化合物のエポキシ化物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、1,3−ビス(エポキシエチル)ヘキサン、1,2,4−トリス(エポキシエチル)ヘキサン、および2,4−ビス(エポキシエチル)−1−ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
上記した脂環式エポキシ化合物の中でも、偏光板の耐久性を向上させる上において良好な硬化物特性を示し、または適度な硬化性を有するとともに、比較的廉価に入手できることから、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびビスフェノールAのグリシジルエーテル化物の水添化物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
また、これらの脂環式エポキシ化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
脂環式エポキシ化合物を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の色相は、硬化前における活性エネルギー線硬化性接着剤組成物のガードナー色度で5以下が好ましく、3以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。色相が5を超えると、接着剤層の着色によって偏光板の色相へ影響が現れる場合がある。
水酸基を有する芳香族化合物および鎖状化合物のグリシジルエーテル化物とは、その水酸基へエピクロルヒドリン等の化合物をアルカリ条件下において付加縮合させることにより得られるものである。たとえば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多芳香環型エポキシ樹脂、およびアルキレングリコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ビスフェノールFのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびに3,3’,5,5’−メチル−4,4’−ビフェノールのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等が挙げられる。
また、多芳香環型エポキシ樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、フェノールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、ナフトールアラルキル樹脂のグリシジルエーテル化物、およびフェノールジシクロペンタジエン樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。さらに、トリヒドロキシフェニルメタンのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体、ならびにトリスフェノールPAのグリシジルエーテル化物およびそのオリゴマー体等も挙げられる。
また、アルキレングリコール型エポキシ樹脂としては、たとえば、エチレングリコールのグリシジルエーテル化物、ジエチレングリコールのグリシジルエーテル化物、1,4−ブタンジオールのグリシジルエーテル化物、および1,6−ヘキサンジオールのグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
アミノ基を有する化合物のグリシジルアミノ化物とは、そのアミノ基へエピクロルヒドリン等の化合物を塩基性条件下において付加縮合させることにより得られるものである。アミノ基を有する化合物は、同時に水酸基を有していてもよい。たとえば、1,3−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、1,4−フェニレンジアミンのグリシジルアミノ化物およびそのオリゴマー体、3−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体、および、4−アミノフェノールのグリシジルアミノ化およびグリジシジルエーテル化物ならびにそのオリゴマー体等が挙げられる。
C−C二重結合を有する鎖状化合物のエポキシ化物とは、C−C二重結合を有する鎖状化合物のC−C二重結合を、過酸化物を用いて塩基性条件下においてエポキシ化させることにより得られるものである。
C−C二重結合を有する鎖状化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ブタジエン、ポリブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、およびヘキサジエン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物およびそのオリゴマー等は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
このようなエポキシ化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「セロキサイド」、「サイクロマー」(以上、ダイセル化学工業株式会社製)および「サイラキュア」(ダウケミカル社製)、「エピコート」(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、「エピクロン」(DIC株式会社製)、「エポトート」(東都化成株式会社製)、「アデカレジン」(株式会社ADEKA製)、「デナコール」(ナガセケムテックス株式会社製)、「ダウエポキシ」(ダウケミカル社製)および「テピック」(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物のエポキシ当量は、通常、30〜2000g/eqであり、50〜1500g/eqであることが好ましく、70〜1000g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が30g/eqを下回ると、第一の接着剤層の可撓性が低下したり、接着強度が低下したりする場合がある。一方、2000g/eqを超えると、硬化速度が低下したり、硬化した接着剤層に必要な剛性や強度が不足したりする場合がある。なお、このエポキシ当量は、JIS K 7236(ISO 3001)に準拠して測定する値である。また、エポキシ化合物が高純度単量体であれば、その分子量より理論量を算出することができる。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、複数のエポキシ化合物、例えば、脂環式エポキシ化合物と、脂環式エポキシ化合物以外のエポキシ化合物とを併用することにより、偏光フィルムと偏光子保護フィルムとの密着性を向上させることができる。
活性エネルギー線硬化性化合物としては、オキセタン化合物を用いることができる。オキセタン化合物は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の硬化速度を向上させることができる。オキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物であって、活性エネルギー線硬化性であれば特に限定されるものではないが、たとえば、1,4−ビス{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシメチル)オキセタン、フェノールノボラックオキセタン、および1,3−ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
このようなオキセタン化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「アロンオキセタン」(東亞合成株式会社製)、および「ETERNACOLL」(宇部興産株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ化合物やオキセタン化合物を含む活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、活性エネルギー線によって硬化するために、カチオン重合開始剤を配合するのが好ましい。カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線、X線、および電子線等の活性エネルギー線の照射によってカチオン種またはルイス酸を発生し、エポキシ基、オキセタンの重合反応を開始させるものである。
このカチオン重合開始剤は、潜在性が付与されていることが好ましい。潜在性の付与によって本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の可使時間が長くなり、作業性も良好になる。
活性エネルギー線の照射によりカチオン種やルイス酸を生じる化合物としては、特に限定されるものではないが、たとえば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩のようなオニウム塩、および鉄−アレン錯体等を挙げることができる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、たとえば、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロホスフェート、およびベンゼンジアゾニウム ヘキサフルオロボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、たとえば、ジフェニルヨードニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、およびジ(4−ノニルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス〔ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン ヘキサフルオロアンチモネート、7−〔ジ(p−トルイル)スルホニオ〕−2−イソプロピルチオキサントン テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−フェニルカルボニル−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロホスフェート、4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジフェニルスルホニオ−ジフェニルスルフィド ヘキサフルオロアンチモネート、および4−(p−tert−ブチルフェニルカルボニル)−4’−ジ(p−トルイル)スルホニオ−ジフェニルスルフィド テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
鉄−アレン錯体としては、たとえば、キシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロアンチモネート、クメン−シクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、およびキシレン−シクロペンタジエニル鉄(II)−トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタナイド等が挙げられる。
これらのカチオン重合開始剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、特に芳香族スルホニウム塩は、300nm以上の波長領域でも紫外線吸収特性を有することから、硬化性に優れ、良好な機械強度や接着強度を有する硬化物層を与えることができるため、好ましく用いられる。
カチオン重合開始剤の配合量は、活性エネルギー線硬化性化合物の合計100重量部に対して、通常、0.5〜20重量部であり、1〜15重量部が好ましい。その量が0.5重量部を下回ると、硬化が不十分になり、硬化物層の機械強度や接着強度が低下する場合がある。また、その量が20重量部を超えると、硬化物層中のイオン性物質が増加することで硬化物層の吸湿性が高くなり、得られる偏光板の耐久性能が低下する場合がある。
これらのカチオン重合開始剤は、市販品を容易に入手することが可能であり、たとえば、それぞれ商品名で、「カヤラッド」(日本化薬株式会社製)、「サイラキュア」(ユニオンカーバイド社製)、光酸発生剤「CPI」(サンアプロ株式会社製)、光酸発生剤「TAZ」、「BBI」、「DTS」(以上、ミドリ化学株式会社製)、「アデカオプトマー」(株式会社ADEKA製)、および「RHODORSIL」(ローディア社製)等が挙げられる。
((メタ)アクリレート化合物等のラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーとしては、例えばアクリレート化合物、メタクリレート化合物(以下、アクリレートとメタアクリレートとの両方を含む意味で(メタ)アクリレートとも記載する)、アリルウレタン化合物、不飽和ポリエステル化合物、スチレン系化合物が挙げられる。入手がしやすく扱いやすい点で(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、(ポリ)エステル(メタ)アクリレート、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレート、アルコール類の(メタ)アクリレート、その他の(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の(メタ)アクリレート化合物として例示したエポキシ(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上のエポキシ樹脂とアクリル酸またはメタクリル酸(以下、両方を含む意味で(メタ)アクリル酸とも記載する)とのエステル化合物である。ここでエステルを誘導するエポキシ樹脂は特に制限されず、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂等、分子中に1個または2個以上のエポキシ基を有するものを用いることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとは、1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である水酸基含有(メタ)アクリレートと1種または2種以上の(ポリ)イソシアネート化合物とを反応させて得ることができる(メタ)アクリレート;1種または2種以上の(ポリ)エステルポリオール、(ポリ)エーテルポリオール、多価アルコール等のポリオールと水酸基含有(メタ)アクリレートとイソシアネート類とを反応させて得られる(メタ)アクリレート等の、ウレタン結合を有するエステル化合物である。
(ポリ)エステルポリオールを誘導する多価アルコールとしては、例えば1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。(ポリ)エステルポリオールを誘導するポリカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸等が挙げられる。
(ポリ)エーテルポリオールとしては、前述した多価アルコールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたものが挙げられる。(ポリ)イソシアネート化合物としては、1価または2価以上のイソシアネートが挙げられ、2価以上のイソシアネートが好ましい。
2価以上のイソシアネートとしては、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランスおよび/またはシス−1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4および/または(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネートが挙げられる。
また、(ポリ)エステル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルとしては、1種または2種以上の多価アルコールと、1種または2種以上のモノカルボン酸またはポリカルボン酸とのエステル化合物が挙げられる。
分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エステルを誘導する多価アルコールとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられ、モノカルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸等が挙げられる。ポリカルボン酸としては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。
また、(ポリ)エーテル(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。分子中に1個または2個以上の水酸基を有する(ポリ)エーテルとしては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるもの等が挙げられる。多価アルコールおよびアルキレンオキサイドとしては、前述した化合物と同様のものが挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、アルコール類の(メタ)アクリレートとは、分子中に1個または2個以上の水酸基を有するアルコール(特に、脂肪族アルコールまたは芳香族アルコール)類と(メタ)アクリレートとのエステル化合物である。例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他のアクリレートとしては、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、フルオレン誘導体ジ(メタ)アクリレート、カルバゾール誘導体ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記のラジカル重合性モノマーは、硬化速度を調節するために使用することができる。なお、ラジカル重合性モノマーを用いる場合、光ラジカル重合開始剤を少なくとも用いる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン系化合物、ベンジル系化合物、べンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等のケトン系化合物を挙げることができる。
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、P−ターシャリブチルジクロロアセトフェノン、p−ターシャリブチルトリクロロアセトフェノン、p−アジドベンザルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられ、ベンジル系化合物としては、ベンジル、アニシル等が挙げられ、ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ミヒラーケトン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等が挙げられ、チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
これらの光ラジカル重合開始剤は、1種あるいは2種以上のものを所望の性能に応じて配合して使用することができ、ラジカル重合性モノマーに対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜10質量%配合される。ラジカル重合性モノマーに対する光ラジカル重合開始剤の配合量が0.05質量%以上である場合、光硬化性接着剤の硬化をより良好に進行させることができ、10質量%以下である場合、光硬化性接着剤を硬化させて形成した接着剤層の物理的強度が良好である。
活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有される全塩素量は、0.1ppm〜15000ppmの範囲が好ましく、0.5ppm〜2000ppmの範囲がより好ましく、1.0〜1000ppmの範囲がさらに好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物に含有される全塩素量が0.1ppmを下回ると、その組成物の硬化速度が極端に遅くなる場合がある。また、15000ppmを超えると、その塩素の影響により、塗工装置が腐食したり、液晶パネルの金属部品が腐食したりする場合がある。なお、この全塩素量は、JIS K 7243−3(ISO 21627−3)に準拠して測定する値である。
用いられる活性エネルギー線としては、たとえば、波長が1pm〜10nmのX線、10〜400nmの紫外線、および400〜800nmの可視光線等が挙げられる。中でも、利用の容易さ、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の調整の容易さおよびその安定性、ならびにその硬化性能の点で紫外線が好ましく用いられる。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、活性エネルギー線の照射によって固化(硬化)し、該硬化物層を狭持するフィルム同士に接着力を与える硬化性組成物である。
用いる光源は、特に限定されるものではないが、たとえば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、およびメタルハライドランプ等が挙げられる。
照射強度は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物や照射時間によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜1000mW/cm2であることが好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物への光照射強度が0.1mW/cm2未満であると、硬化反応時間が長くなる、すなわち長い照射時間をかけなければ硬化せず、生産性向上に不利となる場合がある。また、1000mW/cm2を超えると、ランプから輻射される熱、および活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の重合時の発熱により、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物の黄変や偏光フィルムの劣化を生じる場合がある。
照射時間は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物や照射強度によって決定されるものであり、特に制限されるものではないが、たとえば、照射強度と照射時間の積として表される積算光量が10〜5,000mJ/cm2となるように設定されることが好ましい。活性エネルギー線硬化性接着剤組成物への積算光量が10mJ/cm2未満であると、開始剤由来の活性種の発生が十分でなく、得られる接着剤層の硬化が不十分となる場合がある。また、5,000mJ/cm2を超えると、照射時間が非常に長くなり、生産性向上に不利となる場合がある。
本発明で用いられる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物は、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤を使用することで、反応性が向上し、硬化物層の機械強度や接着強度を向上させることができる。
光増感剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、ならびに光還元性色素等が挙げられる。
カルボニル化合物としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびα,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体; 9,10−ジブトキシアントラセンのようなアントラセン化合物; ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、および4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体; 2−クロロアントラキノンおよび2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体; N−メチルアクリドンおよびN−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体; α,α−ジエトキシアセトフェノンのようなアセトフェノン誘導体; キサントン誘導体; ならびにフルオレノン誘導体等が挙げられる。
有機硫黄化合物としては、たとえば、2−クロロチオキサントンおよび2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体が挙げられる。その他には、ベンジル化合物およびウラニル化合物等も挙げられる。
光増感剤は、それぞれ単独で使用してもよいし、混合して使用してもよい。光増感剤は、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を100重量部とした場合に、0.1〜20重量部の範囲で含有するのが好ましい。
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性接着剤組成物には、本発明の効果を損なわない限り、その他の各種の添加剤を配合することができる。各種の添加剤としては、たとえば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、および消泡剤等が挙げられる。
イオントラップ剤としては、たとえば、粉末状のビスマス系、アンチモン系、マグネシウム系、アルミニウム系、カルシウム系、チタン系、およびこれらの混合系等の無機化合物が挙げられる。酸化防止剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
以上に示される活性エネルギー線硬化性接着剤組成物からなる層(硬化前の接着剤層)を偏光フィルムまたは偏光子保護フィルム上に形成する方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、偏光フィルムもしくは偏光子保護フィルム上に該組成物を塗工する方法、該組成物を吹き付ける方法、またはあらかじめフィルム状に形成した該組成物を貼合する方法等が採用される。中でも、組成物を塗工する方法またはフィルム状組成物を貼合する方法が比較的塗膜の均質性の高いことから好ましく、組成物を塗工する方法が比較的生産性が高いことからより好ましい。
塗工する方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、およびグラビアコーター等の、種々の塗工方式が採用される。
塗工された硬化前の接着剤層の厚さは、通常、0.1〜20μmであり、0.2〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。厚みが0.1μmを下回ると、硬化させた接着剤層による偏光フィルムと偏光子保護フィルムとの間の密着力が不足する場合がある。また、厚みが20μmを超えると、接着剤層の硬化が十分進行しなかったり、硬化してもその厚みによりフィルムの屈曲性が悪化したり、薄肉化の効果が得られなかったりする場合がある。
接着剤層の厚みは10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
(紫外線吸収剤)
前記活性エネルギー線硬化性接着剤は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
カラーフィルターや偏光子に使用される色素等の紫外線による劣化、液晶セル中に存在する液晶化合物の紫外線による劣化を抑制することを目的として、偏光板の波長380nmの光線透過率が20%以下となるように、紫外線吸収剤を活性エネルギー線硬化性接着剤に添加することが好ましい。偏光板の波長380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。なお、光線透過率は、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。偏光板の波長380nmの透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及び活性エネルギー線硬化性接着剤の厚みを適宜調節することが望ましい。紫外線吸収剤は、活性エネルギー線硬化性接着剤の固形分に対して1〜25質量%含有させることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、環状イミノエステル系など、周知のものを用いることができる。耐久性の観点からはベンゾトアゾール系、環状イミノエステル系が好ましいが、特に限定されるものではない。
ベンゾトリアゾール系としては2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’ −ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等を挙げることができる。
サリチル酸系としてはフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどを挙げることができる。
シアノアクリレート系としては2−エチルヘキシル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート等を挙げることができる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンなどが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は1種または2種以上を併用することができる。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
2.偏光子保護フィルム
前述したように、本願発明で使用する偏光子保護フィルムの種類は任意であり、従来から保護フィルムとして使用されるフィルムを適宜選択して使用することができる。例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、それらのブレンド等)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリルフィルム、及び環状オレフィン系フィルム(例えば、ノルボルネン系フィルム)、ポリプロピレンフィルム、及びポリオレフィン系フィルム(例えば、TPX)などが挙げられる。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に偏光子保護フィルムが積層されており、前記偏光子保護フィルムはポリエステルフィルムであることが好ましい。より好ましくは、3000nm〜30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルム(高リタデーションポリエステルフィルム)である。特に、偏光子と活性エネルギー線硬化性接着剤を介して積層する側の偏光子保護フィルムが、高リタデーションポリエステルフィルムであることが好ましい。
高リタデーションポリエステルフィルムのリタデーションの下限値は、好ましくは4500nm以上、好ましくは6000nm以上、好ましくは8000nm以上、好ましくは10000nm以上である。一方、高リタデーションポリエステルフィルムのリタデーションの上限は、それ以上のリタデーションを有するフィルムを用いたとしても更なる視認性の改善効果は実質的に得られず、またリタデーションの高さに応じては配向フィルムの厚みも上昇する傾向があるため、薄型化への要請に反し兼ねないという観点から、30000nmと設定されるが、更に高い値とすることもできる。
虹斑をより効果的に抑制するという観点から、高リタデーションポリエステルフィルムは、そのリタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が、好ましくは0.2以上であり、好ましくは0.5以上、好ましくは0.6以上である。厚さ方向リタデーションは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz及び△Nyzにそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均値を意味する。Re/Rthが大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、画面への虹斑の発生をより効果的に抑制することができる。尚、本書において、単に「リタデーション」と記載する場合は、面内リタデーションを意味する。
Re/Rthの最大値は2.0(即ち、完全な1軸対称性フィルム)であるが、完全な1軸対称性フィルムに近づくにつれて配向方向と直交する方向の機械的強度が低下する傾向がある。よって、ポリエステルフィルムのRe/Rthの上限は、好ましくは1.2以下、好ましくは1.0以下である。上記比率が1.0以下であっても、液晶表示装置に求められる視野角特性(左右180度、上下120度程度)を満足することが可能である。
高リタデーションポリエステルフィルムの製造方法を説明する。ポリエステルフィルムは、任意のジカルボン酸とジオールとを縮合させて得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等を挙げることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができる。
ポリエステルフィルムを構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種又は2種以上を用いても良い。ポリエステルフィルムを構成する具体的なポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられ、好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。ポリエステル樹脂は他の共重合成分を含んでも良く、機械強度の点からは共重合成分の割合は3モル%以下が好ましく、より好ましくは2モル%以下、更に好ましくは1.5モル%以下である。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れる。また、これらの樹脂は、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。
ポリエステルの固有粘度は、0.50以上であることが好ましく、製膜安定性、耐破断性等の観点から、好ましくは0.60dl/g以上、より好ましくは0.65dl/g以上、さらにより好ましくは0.70dl/g以上である。特に、フィルム厚みを薄くしつつフィルムの機械強度を高める観点から固有粘度は高いほうが好ましい。一方、固有粘度が高いと押出性等の問題が生じるおそれがあるので1.0dl/g以下が好ましく、より好ましくは0.90dl/g以下である。
ポリエステルフィルムは、一般的な製造方法に従って得ることができる。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施すことにより配向ポリエステルフィルムが挙げられる。ポリエステルフィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであっても良い。
ポリエステルフィルムを得るための製造条件は、公知の手法に従って適宜設定することが出来る。例えば、縦延伸温度及び横延伸温度は、通常80〜130℃であり、好ましくは90〜120℃である。縦延伸倍率は、通常1.0〜3.5倍であり、好ましくは1.0倍〜3.0倍である。また、横延伸倍率は、通常2.5〜6.0倍であり、好ましくは3.0〜5.5倍である。
リタデーションを特定範囲に制御することは、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより行うことができる。例えば、縦延伸と横延伸の延伸倍率差が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、縦延伸と横延伸の延伸倍率差が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。また、延伸温度が高いほど、トータル延伸倍率が低いほど、リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が低いフィルムが得やすくなる。逆に、延伸温度が低いほど、トータル延伸倍率が高いほど、リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が高いフィルムが得られる。更に、熱処理温度は、通常140〜240℃が好ましく、好ましくは180〜240℃である。
ポリエステルフィルムにおけるリタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。リタデーション差をつけるために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑の値が高くなる場合がある。縦厚み斑の値は延伸倍率のある特定の範囲で非常に高くなる領域があるため、そのような範囲を外すように製膜条件を設定することが望ましい。
配向ポリエステルフィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。フィルムの厚み斑は、任意の手段で測定することができる。例えば、フィルムの流れ方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、市販される測定器(例えば、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ ミリトロン1240)を用いて、1cmピッチで100点の厚みを測定し、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出することができる。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
高リタデーションポリエステルフィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが形成する角度(高リタデーション配向フィルムと偏光子とが同一平面上にあると仮定する)は、任意である。液晶表示装置の視認性を良好にする(虹斑の発生を抑制する)観点から、略0度または略90度であることが好ましく、特に好ましくは略0度である。
なお、ここで略とはその許容範囲として、好ましくは±20度以下、より好ましくは15度以下、特に好ましくは±10度以下、最も好ましくは±7度以下であることを意味する。
(易接着層)
偏光子保護フィルムは接着剤層との接着性向上の観点から、易接着層を設けることが好ましい。例えば偏光子保護フィルムがポリエステルフィルムの場合であれば、易接着層としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とするものが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50重量%以上である成分という。必要に応じて、架橋剤、有機又は無機フィラー、界面活性剤、および滑剤等を含有することができる。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂のうち、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。
偏光子保護フィルムは、偏光子が積層される面とは反対側の面に、種々の機能層を有していても良い。そのような機能層としては、例えば、ハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防眩層、反射防止防眩層、帯電防止層、シリコーン層、粘着層、防汚層、耐指紋層、撥水層、及びブルーカット層等からなる群より選択される1種以上を用いることができる。この場合も機能層との接着性を向上させる易接着層を設けることが好ましい。
偏光子の高リタデーションポリエステルフィルムが積層される面と反対側の偏光子保護フィルムの種類は任意であり、従来から保護フィルムとして使用されるフィルムを適宜選択して使用することができる。取り扱い性及び入手の容易性といった観点から、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリルフィルム、及び環状オレフィン系フィルム(例えば、ノルボルネン系フィルム)、ポリプロピレンフィルム、及びポリオレフィン系フィルム(例えば、TPX)等から成る群より選択される一種以上の複屈折性を有さないフィルムを用いることが好ましい。これらのフィルムが偏光子と接着剤を介して積層される。接着剤は、従来公知の接着剤を幅広く用いることができ、特に限定されない。前述の活性エネルギー線硬化性接着剤を用いてもよい。
一実施形態において、視認側偏光子の光源側偏光子保護フィルムは、光学補償機能を有する光学補償フィルムであることが好ましい。そのような光学補償フィルムは液晶の各方式に合わせて適宜選択することができ、例えば、トリアセチルセルロース中に液晶化合物(例えば、ディスコティック液晶化合部及び/又は複屈折性化合物)を分散させた樹脂、環状オレフィン樹脂(例えば、ノルボルネン樹脂)、プロピオニルアセテート樹脂、ポリカーボネートフィルム樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリロニトリル共重合体樹脂、ラクトン環含有樹脂、及びイミド基含有ポリオレフィン樹脂等なら成る群より選択される1種以上から得られるものを挙げることができる。光学補償フィルムは、商業的に入手可能であるため、それらを適宜選択して使用することも可能である。例えば、TN方式用の「ワイドビュー−EA」及び「ワイドビュー−T」(富士フイルム社製)、VA方式用の「ワイドビュー−B」(富士フイルム社製)、VA−TAC(コニカミノルタ社製)、「ゼオノアフィルム」(日本ゼオン社製)、「アートン」(JSR社製)、「X−plate」(日東電工社製)、並びにIPS方式用の「Z−TAC」(富士フイルム社製)、「CIG」(日東電工社製)、「P−TAC」(大倉工業社製)等が挙げられる。
3.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、2つの偏光板により挟まれた液晶セルを少なくとも有する。また、これら以外の他の構成、例えば、バックライト光源、カラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。
前記2つの偏光板のうち、少なくとも一方の偏光板は、前述した本発明の偏光板を用いることが好ましい。視認側の偏光板を視認側偏光板、光源側の偏光板を光源側偏光板と称する。また、視認側偏光板の偏光子(視認側偏光子と称する)の視認側の保護フィルムを視認側偏光子の視認側偏光子保護フィルムと称し、視認側偏光子の光源側の保護フィルムを視認側偏光子の光源側偏光子保護フィルムと称する。また、光源側偏光板の偏光子(光源側偏光子と称する)の視認側の保護フィルムを光源偏光子の視認側偏光子保護フィルムと称し、光源側偏光子の光源側の保護フィルムを光源側偏光子の光源側偏光子保護フィルムと称する。
「視認側偏光子」と「視認側偏光子の視認側偏光子保護フィルム」との間、及び/又は、「光源側偏光子」と「光源側偏光子の光源側偏光子保護フィルム」との間に、紫外線吸収剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤が使用されるように、偏光板を配置することが好ましい。これにより、カラーフィルター、偏光子に使用される色素、液晶セル中の液晶化合物の紫外線による劣化を抑制することができる。
また、「視認側偏光子」と「視認側偏光子の光源側偏光子保護フィルム」との間、及び/又は、「光源側偏光子」と「光源側偏光子の視認側偏光子保護フィルム」との間に、紫外線吸収剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤を使用してもよいし、従来公知の他の接着剤(ポリビニルアルコール等の親水性の接着剤)を使用してもよい。紫外線吸収剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤を使用した場合は、液晶化合物の紫外線による劣化を抑制することができる。
視認側偏光子の視認側偏光子保護フィルム及び/又は光源側偏光子の光源側偏光子保護フィルム(すなわち、偏光子を起点として液晶セルとは反対側の偏光子保護フィルム)が、前述の高リタデーションポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムとなるように、本発明の偏光板を配置することが好ましい。
その際、視認側偏光子の光源側偏光子保護フィルム及び/又は光源側偏光子の視認側偏光子保護フィルムの種類は任意であり、従来から保護フィルムとして使用されるフィルムを適宜選択して使用することができるが、取り扱い性及び入手の容易性といった観点から、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリルフィルム、及び環状オレフィン系フィルム(例えば、ノルボルネン系フィルム)、ポリプロピレンフィルム、及びポリオレフィン系フィルム(例えば、TPX)等から成る群より選択される一種以上の複屈折性を有さないフィルムを用いることが好ましい。また、前述した光学補償フィルムであってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によっ
て制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施す
ることも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の
実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx
−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーター
であり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は
、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、フィルムの配向軸方向を求め、配向
軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。こ
のサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(N
z)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め
、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした
。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン
1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフ
ィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
(2)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△N
xz(=|Nx−Nz|)、△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを
掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定
と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と
(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
(高リタデーションポリエステルフィルムの作成)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(IV=0.62)を常法により乾燥して押出機に供給し、285℃で溶解した。このポリマーをステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。
次いで、リバースロール法によりこの未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/m2になるように、下記の接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリ
ップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。
次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅
方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み約100μmの一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得られた一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムのリタデーションは10200nm、Rthは13233nm、Re/Rthは0.771であった。
(接着性改質塗布液)
・共重合ポリエステル樹脂 4.5質量部
テレフタル酸46モル%
イソフタル酸46モル%
5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%
エチレングリコール50モル%
ネオペンチルグリコール50モル
・凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310) 0.5質量部
・水 53質量部
・イソプロピルアルコール 37質量部
・n−ブチルセルソルブ 5質量部
・ノニオン系界面活性剤0.06質量部
一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの水蒸気透過性は6.8g/m2/dであった。なお、水蒸気透過度は、JIS−K7129 B法に準じて水蒸気透過度測定装置(PERMATRAN−W 3/31、Modern Controls社製)により、温度40℃、湿度90%RH、2日パージ後測定した。単位はg/m2・24hrである。
(活性エネルギー線硬化性接着剤組成物)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 40質量部
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 60質量部
・ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルフォニウム ヘキサフルオロアンチモネート(カチオン重合開始剤) 4.0質量部
・ベンゾインメチルエーテル(光増感剤) 1.0質量部
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製,TINUVIN 109)5.0質量部
前記3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートのエポキシ当量は126g/eqであり、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量は187g/eqであった。また、接着剤組成物の全塩素量は840ppmであり、25℃におけるB型粘度計の60rpmで測定した粘度は3000mPa・sであった。なお、接着剤組成物の全塩素量は、JIS K 7243−3(ISO 21627−3)に準拠し、硝酸銀溶液による滴定法で測定した。
(親水系接着剤)
・純水 100部
・カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔クラレポバールKL318(株式会社クラレ製) 3.0部
・水溶性ポリアミドエポキシ樹脂(固形分濃度30%の水溶液)〔スミレーズレジン650(住化ケムテックス株式会社より販売)〕 1.5部
(実施例1)
上記で得られた一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(高リタデーションポリエステルフィルム)の一方の面に、活性エネルギー線硬化性接着剤組成物を、チャンバードクターを備えた塗工装置によって厚さ2μmの厚みに塗工した。また、ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルム(厚さ80μm)に水系接着剤を同様の装置にて厚さ2μmで塗工した。
各フィルムへ接着剤組成物を塗工した後、直ちに、PVAとヨウ素からなる偏光フィルムの片面に一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを、もう一方の面にケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを、各々接着剤組成物の塗工面を介して貼合ロールによって貼合した。その後、メタルハライドランプを320〜400nmの波長における積算光量が600mJ/cm2となるように一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム側から照射した後、さらに70℃に設定した熱風循環式乾燥機に貼合したフィルムを通し、両面の接着剤を硬化させた。
こうして得られた偏光板は、この後、巻き取り装置によってロール状に巻き取られた。なお、偏光子の吸収軸方向と一軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの遅相軸との角度は0±3度内であった。
(実施例2)
市販の液晶テレビ(SONY BRAVIA KD−65X9500B)に使用されている視認側及び光源側の偏光板を剥がし、代わりに、実施例1で作成した偏光板を、トリアセチルセルロースフィルム面が液晶セル側となるように積層し、液晶表示装置を作製した。作製した液晶表示装置は、視認側偏光子の視認側、及び光源側偏光子の光源側に活性エネルギー線硬化性接着剤を介して高リタデーションポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムが積層されており、カラーフィルターや偏光子に使用される色素等の紫外線による劣化、又は、液晶セル中に存在する液晶化合物の紫外線による劣化が抑制され、偏光子と偏光子保護フィルムとの密着性も優れたものであった。