JP2021063608A - 加熱調理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】熟練を要することなく、手軽に美味しく加熱調理できる加熱調理システムを提供する。【解決手段】食材を加熱するヒータ20D、食材の立体的形状を計測する三次元計測装置40、食材の表面温度を計測する表面温度計測装置50、情報記憶装置60b、および制御装置60を備える。制御装置60が、表面温度計測装置50で食材の表面温度を計測するとともに、内部温度推定部で食材の内部温度を推定しながら、ヒータ20Dで食材を加熱し、食材の表面温度および内部温度の経時変化に基づいてヒータ20Dを制御することにより、食材を調理する。【選択図】図3
Description
開示する技術は、例えばオーブンなどに好適な、食品を加熱して調理する加熱調理システムに関し、特に加熱調理の自動化技術に関するものである。
例えばステーキ、ローストチキン、ローストビーフなどの加工度の低い食材は、形状や大きさが様々である。これらを生焼けすることなく美味しく加熱調理するには、その形状や大きさに合わせて、火加減や加熱時間、加熱タイミングなどを微妙に調整する必要がある。
従って、このような食材の場合、一流の料理人が加熱調理するように、表面はパリパリでありながら内部は柔らかく、噛むと肉汁が滴るといったような、優れた風味・食感が得られるように調理するのは、手間がかかるし、素人には難しい。
近年では、オーブンや電子レンジ、これら両機能を合わせ持つオーブンレンジなど、様々な加熱調理器が実用化されている。これら加熱調理器では、様々な自動化技術が導入されていて、ユーザの手間が大幅に簡略化されて便利になってきている。
しかし、現在、実用化されている加熱調理器は、ユーザが行う加熱調理をサポートする程度が一般的であり、高度な加熱調理の自動化は実現できていないのが実情である。そこで、更なる加熱調理の自動化を促進するべく、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
ところが、これまで提案されている自動化技術は、一長一短がある。そのうえ、美味しさの観点からは未だ不十分であり、改善の余地がある。
例えば、特許文献1の電子レンジでは、加熱室に置かれた食品の重量を重量センサで検知する。食品や容器の形状、厚みなどをカメラで撮像し、その画像をデータベースと照合することで、食品を特定する。そして、特定した食品の比熱と熱伝導率、および、検知した食品の重量に基づいて調理シーケンスを生成し、それに基づいて加熱調理している。
特許文献1の電子レンジの場合、食品の重量を正確に検知するためには、食品を加熱室に直置きしなければならない。電子レンジの場合、マイクロ波によって食品を内部から加熱するので、食材を温めることはできても、適度な焼き加減は得られない。更に、食品の重量だけでは、比熱や熱伝導率を用いても、食品の加熱状態を適切に把握することはできない。
特許文献2のオーブンレンジでは、食品の表面温度を赤外線アレイセンサで計測し、その検出温度に基づいて加熱を制御している。特許文献2のオーブンレンジの場合、食品の表面温度に基づいて加熱を制御しているため、食品内部の温度が食品外部よりも高いことを前提としており、マイクロ波加熱で食材を加熱する場合しか利用できない。
特許文献3のオーブンレンジでは、加熱庫に入れられた食品や容器を撮影し、その画像を予め登録されている画像情報と照合することにより、食品や容器の個数および加熱調理内容を特定する。特定ができた場合に、その加熱調理内容に従って加熱調理が行われる。
従って、特許文献3のオーブンレンジの場合、食品が特定できれば、予め設定されている加熱調理内容で加熱調理できるが、その食品の形状や大きさなど、個々の食品に対応した、きめ細かな加熱調理はできない。食品の形状や大きさが異なっても一様に加熱調理するので、美味しさどころか、生焼けや焼き過ぎなどの調理不良も容易に発生し得る。
開示する技術の目的は、熟練を要することなく、手軽に美味しく加熱調理できる加熱調理システムを実現することにある。
開示する技術は、所定の調理位置に配置された食材を自動的に加熱調理する加熱調理システムに関する。
前記加熱調理システムは、前記食材を加熱する加熱装置と、前記食材の立体的形状を計測する三次元計測装置と、前記食材の表面温度を計測する表面温度計測装置と、前記食材の加熱調理に関連する基礎情報を記憶する情報記憶装置と、前記三次元計測装置から入力される形状情報、前記表面温度計測装置から入力される表面温度情報、および前記基礎情報に基づいて、前記加熱装置を制御する制御装置と、を備える。
前記制御装置は、前記形状情報、前記基礎情報、および、前記表面温度情報に基づいて、前記食材の内部温度を推定する内部温度推定部を有している。そして、前記制御装置が、前記表面温度計測装置で前記食材の表面温度を計測するとともに、前記内部温度推定部で前記食材の内部温度を推定しながら、前記加熱装置で前記食材を加熱し、前記食材の表面温度および内部温度の経時変化に基づいて前記加熱装置を制御することにより、前記食材を調理する。
すなわち、この加熱調理システムによれば、加熱調理される食材の立体的形状が計測される。従って、個々の大きさや形状が異なる加工度の低い食材であっても、適切な加熱調理が行える。そして、加熱調理の実行中に、食材の表面温度および内部温度の双方の経時変化に基づいて、食材が自動的に加熱調理される。従って、生焼けや焼き過ぎなどの調理不良は効果的に防止できるし、自動的に高度な加熱調理が行えるので、熟練を要することなく、手軽に美味しく加熱調理できる。
前記加熱調理システムはまた、前記食材を撮影し、その画像情報を前記制御装置に出力する食材撮影装置を更に備え、前記制御装置が、前記画像情報および前記基礎情報に基づいて、前記食材の種類を推定する食材種推定部を更に有し、前記食材種推定部で推定された前記食材の種類に基づいて、前記制御装置が前記食材を加熱調理する、としてもよい。
そうすれば、食材の識別も自動的に行えるので、よりいっそう利便性が向上する。
その場合、前記形状情報および前記表面温度情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記食材種推定部による推定の適否が判定される、としてもよい。
そうすれば、極めて高い精度で食材の識別が行えるので、誤った加熱調理が効果的に防止できる。
更に、前記食材種推定部で推定された前記食材の種類に基づいて、前記形状情報が補完される、としてもよい。
そうすれば、複雑な形状の食材であっても、食材の立体的形状を精度高く把握することができるので、食材の内部温度の推定精度が向上し、高度な加熱調理を安定して行えるようになる。
前記加熱調理システムはまた、前記三次元計測装置が、前記食材に向けて所定パターンの光線を照射する光照射部と、前記食材に投影された前記光線を撮影するカメラと、前記カメラが撮影した画像に基づいて前記食材の立体的形状を計測する画像処理部と、を有し、画像処理部が、計測した前記食材の立体的形状に関する情報を、前記形状情報として前記制御装置に出力する、としてもよい。
すなわち、食材を3Dモデル化し、その形状情報を利用して加熱調理を行う。従って、食材の立体的形状を、客観的な数値データとして把握できるので、情報として利便性が高まるとともに、高度な加熱調理が容易になる。
前記加熱調理システムはまた、表面温度計測装置が、前記食材から離れた位置に前記食材と対向して延びるように配置されるとともに、両端部が回動可能に支持されているセンサ支持部と、前記センサ支持部が延びる方向に直列に配置された複数の表面温度センサと、を有し、前記センサ支持部を回動しながら複数の前記表面温度センサで計測することにより、前記食材の表面温度を二次元的に計測する、としてもよい。
そうすれば、比較的簡易な構成で、食材に接することなく、食材およびその周辺の表面温度を、万遍無く計測することができる。
前記加熱調理システムはまた、調理室を内部に有するとともに、操作部を外部に有する加熱調理器を更に備え、前記加熱装置、前記三次元計測装置、前記表面温度計測装置、前記情報記憶装置、および前記制御装置が、前記加熱調理器に一体に組み付けられていて、前記調理室の中に前記食材を配置して前記操作部を操作することにより、自動的に前記食材が加熱調理される、としてもよい。
すなわち、後述するオーブン等ように、加熱調理システムを一体型に構成する。そうすれば、利便性に優れ、扱い易い加熱調理システムを実現できる。
その場合、前記情報記憶装置が、前記加熱調理器に設置された副記憶装置と、前記加熱調理器とは別に設置された主記憶装置と、を有し、前記副記憶装置と前記主記憶装置との間で、前記基礎情報の送受信が行われる、としてもよい。
そうすれば、基礎情報が膨大であっても、主記憶装置と副記憶装置とに分散して記憶することができるので、副記憶装置の記憶容量を低減できる。また、主記憶装置に記憶されている基礎情報を、複数の加熱調理器で共用できるので、よりいっそう利便性が向上する。
前記加熱調理システムはまた、前記加熱装置が、前記食材をその外側から加熱する外部加熱手段を含み、前記内部温度推定部が、前記形状情報に基づいて、前記食材の内部温度を推定する温度推定箇所を特定する処理と、所定の熱伝導モデル式に、前記基礎情報に含まれる前記食材の熱伝導率を導入する処理と、を実行し、前記食材の熱伝導率を導入した前記熱伝導モデル式に、前記表面温度情報を適用することにより、前記温度推定箇所において、前記外部加熱手段の加熱によって変化する前記食材の内部温度を演算する、としてもよい。
そうすれば、内部温度を演算する処理負担が軽減される結果、内部温度を食材の加熱に応答性よく反映させることが可能になり、高度な加熱調理が実現できる。
更には、前記温度推定箇所は、前記食材の厚みに基づいて特定され、前記外部加熱手段で加熱することにより、加熱調理の最終段階で前記食材の表面を焼き上げる焼き上げ処理を実行し、前記焼き上げ処理の開始タイミングが、前記食材の厚みに基づいて可変される、とするとよい。
食材の焦げ目は、風味の点で重要であるが、本発明者らが検討した結果によると、食材の表面の焦げ具合は、食材の厚み(縦方向の大きさ)によって決定され、食材の大きさ(横方向の大きさ)によっては、ほとんど影響を受けないことを見出した。
従って、食材の焦げ具合を決定する焼き上げ処理の開始タイミングを、食材の厚みに基づいて可変することで、適度な焦げ目が安定して得られるようになり、よりいっそう適切な加熱調理が行える。
また更には、前記焼き上げ処理の開始タイミングにおける前記温度推定箇所での前記食材の内部温度は、前記食材の厚みが小さい時よりも大きい時の方が低く設定される、とするとよい。
そうすれば、食材の内外ともに適切に焼き上げることができる。
特に、前記外部加熱手段が、個別に加熱制御可能な複数の外部加熱要素を有し、前記制御装置が、前記外部加熱要素の各々の加熱状態を調整しながら前記食材を調理するのが好ましい。
そうすれば、食材に適した熱量およびタイミングで加熱が行えるので、よりいっそう適切な加熱調理が行える。
開示する技術によれば、熟練を要することなく、手軽に美味しく加熱調理できる加熱調理装置を実現できる。
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
<加熱調理システムの概要>
図1に、開示する加熱調理システムの概念図を示す。この加熱調理システムは、加工食品などの加工度の高い食品も利用できるが、例えばステーキ、ローストチキン、ローストビーフ、ミートローフなどの加工度の低い食材の加熱調理に適している。焼き魚や焼き芋などにも好適である。
<加熱調理システムの概要>
図1に、開示する加熱調理システムの概念図を示す。この加熱調理システムは、加工食品などの加工度の高い食品も利用できるが、例えばステーキ、ローストチキン、ローストビーフ、ミートローフなどの加工度の低い食材の加熱調理に適している。焼き魚や焼き芋などにも好適である。
すなわち、この加熱調理システムでは、形状や大きさが個々別々な食材であっても、所定の調理位置に配置された食材を、適切な調理方法に従って、自動的に、加熱調理できるように構成されている。
詳細は後述するが、この加熱調理システムには、食材を加熱する加熱装置、食材の立体的形状を計測する三次元計測装置、食材の表面温度を計測する表面温度計測装置、食材の加熱調理に関連する情報(基礎情報)を記憶する情報記憶装置、制御装置などが備えられている。
そして、制御装置は、三次元計測装置から入力される食材の形状に関する情報(形状情報)、表面温度計測装置から入力される食材の表面温度の情報(表面温度情報)、および基礎情報に基づいて、加熱装置を制御する。
具体的には、制御装置は、形状情報、表面温度情報、および基礎情報に基づいて、食材の内部温度を推定する内部温度推定部を有しており、表面温度計測装置で食材の表面温度を計測するとともに、その内部温度推定部で食材の内部温度を推定しながら、加熱装置で食材を加熱する。そうして、制御装置は、食材の表面温度および内部温度の経時変化に基づいて加熱装置を制御することにより、食材を加熱調理する。
従って、この加熱調理システムでは、図1に示すように、加熱調理に先だって、食材の識別および食材の形状推定が行われる。
食材の識別は、ユーザが直接、加熱調理システムに入力してもよいが、食材の種類を推定することによって、自動的に識別するようにしてもよい。この加熱調理システムの食材の形状推定は、三次元計測装置により、食材を3Dモデル化することによって行う。
加熱調理システムでは、食材の加熱調理に関連する様々な情報を利用する。例えば、様々な食材に応じた最適な加熱処理の手順、食材の識別に利用される様々な食材の情報、様々な食材の物理的な情報、熱伝導モデル式などの基礎情報を、加熱調理システムでは利用する。制御装置は、これら膨大な基礎情報を情報記憶装置から取得する。
食材を生焼けすることなく美味しく加熱調理するには、食材の表面温度および内部温度を常にチェックしながら、食材を加熱し、適切なタイミングで加熱温度を上げたり下げたりする必要がある。
そのため、この加熱調理システムでは、食材の種類および形状が決まると、表面温度計測装置で食材の表面温度の計測を開始するとともに、食材の内部温度の演算も開始する。食材の内部温度の演算は、推定した食材の形状に基づいて温度推定を行う箇所(温度推定箇所)を特定し(例えば、最も温度が上がり難い食材の最深部)、その食材に対応した熱伝導モデル式に、温度推定箇所の表面温度を導入することによって行う。
食材を加熱しているときには、表面温度の計測および内部温度の演算は継続して行われる。そうすることにより、加熱調理システムは、加熱に伴う食材の表面温度および内部温度の経時変化を随時チェックし、それに応じてその食材に最適な調理手順となるように、加熱を制御する。
従って、この加熱調理システムによれば、一流の料理人のような加熱調理を自動的に行うことができる。その結果、表面はパリパリでありながら内部は柔らかく、噛むと肉汁が滴るといったような、食材の外側と内側とで焼き加減が異なる加熱調理が可能になり、誰でも、優れた風味・食感が得られるようになる。
<加熱調理システムの具体例>
図2、図3に、上述した加熱調理システムの一例(加熱調理システム1)を示す。この加熱調理システム1は、加熱調理器2(一体型の加熱調理システムの一例)、加熱調理器2とは別に設置されたサーバ3(主記憶装置)などで構成されている。なお、この具体例では、ローストチキンを調理する場合を例示している。
図2、図3に、上述した加熱調理システムの一例(加熱調理システム1)を示す。この加熱調理システム1は、加熱調理器2(一体型の加熱調理システムの一例)、加熱調理器2とは別に設置されたサーバ3(主記憶装置)などで構成されている。なお、この具体例では、ローストチキンを調理する場合を例示している。
加熱調理器2は、いわゆるオーブンである。加熱調理器2は、箱形の筐体10を備え、その内部に、前面が開口する調理室11が形成されている。筐体10の内部にはまた、ヒータ20(加熱装置の一例)、食材撮影装置30、三次元計測装置40、表面温度計測装置50、制御装置60などが組み付けられている。筐体10の前面上部には、スイッチやモニターなど、ユーザが加熱調理器2を操作する操作部12が設置されている。
調理室11の前面は、筐体10に揺動可能に取り付けられたドア13で開閉自在となっている。調理室11の天井面の一部(窓部14)は、透明な耐熱ガラスで構成されている。
調理室11の後部には、ダクト15a、ファン15bを有する空気循環装置15が設置されている。ダクト15aは、調理室11の上部と下部とに連通するように設置されている。ファン15bは、ダクト15aの上部に設置されており、制御装置60によって駆動制御される。ファン15bの駆動により、調理室11の内部の空気が循環する。空気循環装置15は、加熱装置を構成している。空気循環装置15の構造は、一例であり、仕様に応じて変更できる。
調理室11の内部には、金網状または格子状の部材からなる調理台16が設置されている。調理台16は、調理室11の左右の側面に支持されている。調理室11の内部にはまた、食材を、その外側から加熱する複数のヒータ20(上部ヒータ20U、後部ヒータ20M、および下部ヒータ20D)が設置されている(外部加熱手段の一例)。これらヒータ20U,20M,20Dは、個別に加熱制御可能となっている(外部加熱要素の一例)。
具体的には、上部ヒータ20Uは、調理室11の上部に配置されており、食材を上方から加熱する。後部ヒータ20Mは、調理室11の後部に開口しているダクト15aの前方に配置されており、食材を後方から加熱すると共に、調理室11の内部全体を加熱する。下部ヒータ20Dは、調理室11の下部に配置されており、食材を下方から加熱する。
加熱調理器2には、食材を載置するトレイ17が付属されている。トレイ17は、熱伝導に優れた金属素材で形成されている。加熱調理する際、調理台16の上にトレイ17を載置することで、食材は所定の調理位置に配置される。なお、加熱調理に際して、付属のトレイ17は必須でない。食材を所定の調理位置に配置できればよい。
制御装置60は、筐体10の内部上方に設置されている。制御装置60は、加熱調理器2の動作を総合的に制御する。制御装置60は、CPU60a、メモリ60b、インターフェース60cなどのハードウエアと、制御プログラムや各種データなどのソフトウエアとで構成されている。
特にこの制御装置60の場合、メモリ60bが、サーバ3と協働する副記憶装置を構成している。すなわち、制御装置60は、無線LANなどの無線通信により、インターネットを介してサーバ3とアクセス可能に構成されている。それにより、メモリ60bとサーバ3との間で、データの送受信が行われる。メモリ60bおよびサーバ3は、情報記憶装置に相当する。
従って、この加熱調理システム1では、上述した基礎情報が、メモリ60bとサーバ3とに分散して記憶されている。情報量の多い基礎情報はサーバ3に記憶し、必要に応じてメモリ60bに送信することで、メモリ60bの容量を低減している。
サーバ3は、加熱調理システム1の提供者が管理するのが好ましい。そうすれば、サーバ3に記憶されている基礎情報を、適宜更新することができる。その場合、複数の加熱調理器2でサーバ3を共用するとよい。そうすれば、随時更新される基礎情報を、個々の加熱調理器2で利用できる。
図4に、制御装置60とその主な関連機器との関係を示す。制御装置60は、サーバ3の他、操作部12、三次元計測装置40、表面温度計測装置50、食材撮影装置30、ヒータ20、ファン15bなどと電気的に接続されている。それにより、制御装置60は、操作部12、三次元計測装置40、表面温度計測装置50、食材撮影装置30などとの間で、情報を入出力するとともに、ヒータ20およびファン15bの動作を制御する。制御装置60には、食材種推定部61、内部温度推定部62などが設けられているが、これらについては後述する。
図3に示すように、食材撮影装置30、三次元計測装置40、および表面温度計測装置50の各々は、窓部14を介して調理室11の内部に臨むように、筐体10の内部上方に設置されている。
(食材撮影装置30)
食材撮影装置30は、調理位置に配置された食材を撮影する小型カメラ31を有している。食材撮影装置30は、小型カメラ31が撮影した食材の画像情報を制御装置60に出力する。
食材撮影装置30は、調理位置に配置された食材を撮影する小型カメラ31を有している。食材撮影装置30は、小型カメラ31が撮影した食材の画像情報を制御装置60に出力する。
(三次元計測装置40)
三次元計測装置40は、図5に示すように、光照射部41、カメラ42、画像処理部43などで構成されている。本実施形態の三次元計測装置40の場合、いわゆる光切断法によって食材の立体的形状を計測する。
三次元計測装置40は、図5に示すように、光照射部41、カメラ42、画像処理部43などで構成されている。本実施形態の三次元計測装置40の場合、いわゆる光切断法によって食材の立体的形状を計測する。
具体的には、光照射部41は、調理位置に配置された食材に対して斜め上方から、食材に向けて、所定パターンのレーザ光線Lbを照射する。この三次元計測装置40の場合、光照射部41は、前後方向から見ると扇状に広がる薄膜状のレーザ光線Lbを照射する。光照射部41はまた、前後方向に揺動可能に筐体10に支持されており、調理位置に配置された食材の全体が、レーザ光線Lbでスキャンされるように構成されている。
そして、カメラ42は、光照射部41と指向方向が異なる位置に配置されており、断続的に、食材の表面に線状に投影されたレーザ光線Lbを撮影する。画像処理部43は、カメラ42が撮影した画像に基づいて、食材を3Dモデル化し、食材の立体的形状を計測する。そうして、計測した食材の立体的形状に関する情報を、画像処理部43が、形状情報として制御装置60に出力する。
(表面温度計測装置50)
図6に示すように、本実施形態の表面温度計測装置50は、センサ本体51、センサ支持部52、複数の表面温度センサ53などによって構成されている。
図6に示すように、本実施形態の表面温度計測装置50は、センサ本体51、センサ支持部52、複数の表面温度センサ53などによって構成されている。
センサ本体51は、上述したように、筐体10の内部上方に設置されている。センサ支持部52は、略円柱状の部材からなり、その両端部が、センサ本体51および筐体10に回動可能に支持されている。センサ支持部52は、窓部14を通じて調理室11を外側から臨むとともに、調理位置に配置された食材と対向して左右方向に延びるように配置されている。
表面温度センサ53の各々は、非接触の温度センサからなり、センサ支持部52に設置されている。表面温度センサ53の各々は、センサ支持部52が延びる左右方向に直列に配置されている。これら表面温度センサ53は、図7に示すように、センサ支持部52が回動することにより、食材を含む、調理台16の上に載置されたトレイ17の上面の略全域をスキャンし、これらの表面温度を、断続的に計測する。
計測される表面温度は、各表面温度センサ53によって、図7に細線で示すように、格子状に区画された状態で計測される。各表面温度センサ53によって得られる温度情報は断片的であるが、センサ本体51が、線形補間などの統計処理を行うことにより、二次元的な表面温度情報を取得する。
そうすることにより、表面温度計測装置50は、食材およびトレイ17の表面温度を二次元的に計測し、制御装置60にその表面温度情報を出力する。
(食材種推定部61)
食材種推定部61は、上述したように、画像情報に基づいて調理位置に配置された食材の種類を推定する。
食材種推定部61は、上述したように、画像情報に基づいて調理位置に配置された食材の種類を推定する。
具体的には、情報記憶装置(サーバ3およびメモリ60b)には、基礎情報として、調理位置に配置された様々な食材の画像情報が予め記憶されている。これら画像情報は、情報量が大きいため、サーバ3に記憶されている。画像情報は、適宜、メモリ60bに取り入れられる。食材種推定部61は、これら画像情報と、食材撮影装置30が撮影した画像情報とを照合し、比較する。それにより、これらの類似性を確率的に判定する。その結果、食材種推定部61は、類似性が最も高く認められた食材を、その食材の種類であると推定する。
食材種推定部61は、更に、形状情報および表面温度情報に基づいて、その推定の適否を判定する。情報記憶装置にはまた、加熱調理の対象とされる食材の立体的形状に関する情報(モデル情報)も、その食材と関連付けされて記憶されている。これらモデル情報と立体的形状とが、画像情報と同様に、照合、比較されることにより、食材の種類の推定が行われる。それにより、食材種推定部61の推定の適否が判定される。
表面温度情報には、食材の輪郭に関連する情報が含まれている。すなわち、表面温度情報には、食材とトレイ17との境界の位置に関連する情報(食材とトレイ17との温度差に基づく)が含まれている。従って、取得された表面温度情報と、食材の画像情報に含まれている食材の輪郭に関連する情報とを照合、比較することができる。従って、この加熱調理システム1では、表面温度情報を用いて食材の種類の推定が行われ、食材種推定部61の推定の適否が判定される。
このように、この加熱調理システム1では、異なる手法による食材の種類の推定が複数行われる。従って、この加熱調理システム1よれば、極めて高い精度で食材の識別が行えるので、誤った加熱調理が効果的に防止できる。
更にこの加熱調理システム1では、食材種推定部61で推定された食材の種類に基づいて、形状情報が補完されるようになっている。
三次元計測装置40では、食材の裏側の立体的形状、つまりトレイ17と対向している側の立体的形状は計測できない。例えば、加熱調理の対象がステーキのような場合であれば、表裏が略同じ立体的形状であるため、それでも支障はない。しかし、図示のようなローストチキンの場合、食材である丸鶏の表裏とでは、立体的形状は大きく異なる。
一方、丸鶏の腹側の立体的形状は、個々の丸鶏でそれほど大差は無く、丸鶏の大きさに応じて、一般化できる。一般化による立体的形状のばらつきは、加熱調理で内部温度を推定することに対しては、それほど問題にならない(本発明者らによって確認済み)。
従って、この加熱調理システム1では、必要に応じて、推定された食材の種類のモデル情報に基づいて、食材の裏側の立体的形状が補完され、食材の全体的な立体的形状が推定されるようになっている。
(内部温度推定部62)
内部温度推定部62は、上述したように、形状情報、表面温度情報、および基礎情報に基づいて、食材の内部温度を推定する。
内部温度推定部62は、上述したように、形状情報、表面温度情報、および基礎情報に基づいて、食材の内部温度を推定する。
加熱調理の前に、内部温度推定部62は、形状情報に基づいて、食材の内部温度を推定する箇所(温度推定箇所)を特定する処理(計測箇所特定処理)と、熱伝導モデル式に、基礎情報に含まれる食材の熱伝導率を導入する処理(演算式設定処理)と、を実行する。
計測箇所特定処理では、加熱によって温度が最も上昇し難い食材内部の位置を特定する。例えば、取得した食材の立体的形状に基づいて、食材の厚みが大きく、食材の表面からその中心部までの距離が最も大きい位置を特定する。その際、食材の裏側からの距離は、トレイ17の存在を考慮するのが好ましい。
情報記憶装置には、熱伝導率、密度などの物理的な情報が、食材の種類と関連付けされて記憶されている。また、熱伝導モデル式も情報記憶装置に記憶されている。
演算式設定処理では、所定の熱伝導モデル式に、その食材の熱伝導率を導入する。そうすることにより、食材に応じた適切な熱伝導モデル式が設定される。なお、熱伝導モデル式は、対象物の表面温度に基づいて、その対象物の表面から所定距離離れた位置での内部温度を求める演算式である。熱伝導モデル式は1つでもよいが、様々な条件に対応した複数の熱伝導モデル式から選択して使用してもよい。
加熱調理中は、表面温度計測装置50により、食材の表面温度が計測され、その表面温度情報が制御装置60に入力される。内部温度推定部62は、設定された熱伝導モデル式に、特定した温度推定箇所の表面温度情報を適用することにより、ヒータ20の加熱によって経時的に変化する、食材の最も昇温し難い箇所の内部温度を演算する。
<加熱調理システム1の制御例1>
図8に、上述した加熱調理システム1の制御例1を示す。この制御例1では、各ヒータ20U,20M,20Dは同一温度で制御される。従って、これらを単にヒータ20とする。
図8に、上述した加熱調理システム1の制御例1を示す。この制御例1では、各ヒータ20U,20M,20Dは同一温度で制御される。従って、これらを単にヒータ20とする。
図3に示すように、ユーザは、加熱調理する丸鶏を載せたトレイ17を、調理台16の所定位置に配置する。そうして、ユーザがスタートボタンを押すなどして操作部12を操作する。それにより、制御装置60に調理開始指示が入力される(ステップS1)。
調理開始指示があると、制御装置60は、食材撮影装置30、三次元計測装置40、および表面温度計測装置50に制御信号を出力する。それにより、食材撮影装置30は、カメラ31で食材を撮影し、その画像情報を制御装置60に出力する(ステップS2)。三次元計測装置40は、食材の立体的形状を計測し、その形状情報を制御装置60に出力する(ステップS3)。表面温度計測装置50は、食材の表面温度の計測を開始し、その加熱前の表面温度情報を制御装置60に出力する(ステップS4)。
制御装置60(食材種推定部61)は、入力された画像情報と、基礎情報とに基づいて、食材の種類を推定する(ステップS5)。制御装置60は更に、推定した食材の種類を、入力された形状情報および表面温度情報に基づいて適否を判定する(ステップS6)。その結果、食材の識別が適切であると判定されると(ステップS7でYes)、制御装置60は、食材の種類(ここでは丸鶏)を特定する(ステップS9)。
一方、食材の識別が不適切であると判定されると(ステップS7でNo)、ブザー等により、ユーザに食材の種類の手入力を要求し(ステップS8)、それによって、制御装置60は、食材の種類を特定する(ステップS9)。
食材の種類が特定されると、制御装置60は、取得した形状情報を食材の種類に照合する(ステップS10)。その結果、形状補完の必要がある場合には(ステップS11でYes)、形状情報が補完される(ステップS12)。そうして、食材の立体的形状が推定されると、制御装置60(内部温度推定部62)は、その立体的形状に基づいて、最も温度が上がり難い食材内部の位置(温度推定箇所)を特定する(ステップS13)。
制御装置60はまた、食材の種類が特定されると、情報記憶装置に記憶されている食材(ここでは丸鶏)の最適な加熱手順を選択する(ステップS14)。
そうして、制御装置60は、選択した加熱手順に従って、食材の加熱調理を開始する(ステップS15)。制御装置60は、食材の加熱調理とともに、食材の表面温度を計測する。それと同時に、計測される食材の表面温度に基づいて、その食材に対応した熱伝導モデル式により、温度推定箇所での内部温度を推定する(ステップS16)。
図9に、加熱手順に従ったヒータ20の温度変化と、それに対応した経時的な各部位の温度変化の一例を示す。図9の上側がヒータ20の温度変化であり、図9の下側が各部位の温度変化である。図9の下側において、破線L1はトレイ17の表面温度を、一点鎖線L2は食材の表面温度を、実線L3は食材の内部温度を、それぞれ表している。
加熱調理の実行中、制御装置60は、加熱手順に従いながら、計測される食材の表面温度および演算される食材の内部温度の経時変化に基づいて、適宜加熱状態を変更する(ステップS17)。
例示の加熱手順では、ヒータ20で加熱が開始され、ヒータ20が所定の温度に達すると(t1のタイミング)、その温度で保持される。それにより、トレイ17および食材の表面温度は急速に上昇する。食材の内部温度も徐々に上昇していく。そして、食材の表面温度が所定の温度に達すると(t2のタイミング)、ヒータ20の加熱が弱められ、ヒータ20が所定の温度に達すると(t3のタイミング)、ファン15bの駆動が開始され、ヒータ20の出力を適宜調整しながら、その温度が保持される。
それにより、トレイ17および食材の表面温度は、適度な温度に維持された状態で、食材の内部温度が徐々に上昇していく。そして、食材の内部温度が所定の温度に達する(いわゆる火が通った状態になる)と(t4のタイミング)、ヒータ20の出力を一気に高める。そして、食材の表面温度が所定の温度に達して、所定の時間が経過すると(t5のタイミング)、制御装置60は、加熱調理が完了したと判定し(ステップS18でYes)、ヒータ20の加熱およびファン15bの駆動を停止し、加熱調理を終了する(ステップS19)。
このように、この加熱調理システム1によれば、食材の表面温度および内部温度に基づいて、じっくり食材の表面および内部を加熱したり、食材の表面を高温で一気に焼き上げたりできる。そうすることにより、大きさや形状がまちまちな丸鶏であっても、表面はパリパリでありながら内部は柔らかく、噛むと肉汁が滴るといった状態に加熱調理できる。その結果、風味・食感に優れたローストチキンが得られる。
制御装置60はまた、加熱調理が終了すると、表面温度計測装置50に信号を出力し、表面温度の計測を停止する(ステップS20)。それに伴い、内部温度の推定も終了する。そして、最後に、制御装置60は、ブザーを鳴らすなどして、ユーザに加熱調理の完了を報知する(ステップS21)。
このように、この加熱調理システム1によれば、ボタン操作1つで、大きさや形状が個別に異なる丸鶏を食材とするローストチキンのような加熱調理であっても、熟練を要することなく、手軽に美味しく加熱調理できる。
<加熱調理システム1の制御例2>
上述した加熱調理システム1の制御例2を示す。この制御例2では、よりいっそう適切な加熱調理が行えるように、各ヒータ20U,20M,20Dは、必要に応じて個別に加熱制御される。そして、適度な焦げ目が安定して得られるように、加熱調理の制御が工夫されている。
上述した加熱調理システム1の制御例2を示す。この制御例2では、よりいっそう適切な加熱調理が行えるように、各ヒータ20U,20M,20Dは、必要に応じて個別に加熱制御される。そして、適度な焦げ目が安定して得られるように、加熱調理の制御が工夫されている。
食材の焦げ目は、風味の点で重要である。例えばステーキ、ローストチキン、ローストビーフなどの加熱調理では、表面が焦げ過ぎると、内部の加熱が適切でも、風味は悪化し、最悪の場合、賞味に値しないものとなる。一方、表面が適度に焦げていても、内部の加熱が不足であれば、生焼け状態となり、この場合も風味は悪化する。
本発明者らが検討した結果、食材の表面の焦げ具合は、調理台16に載置される食材の厚み(縦方向の大きさ)によって決定され、食材の大きさ(横方向の大きさ)によっては、ほとんど影響を受けないことを見出した。厚みが比較的一様なステーキはもとより、厚みが一様でないローストチキンの場合も、その表面の焦げ具合は、厚みによって決定されることを見出した。
そこで、制御例2では、食材の厚みに基づいて温度推定箇所を特定し、加熱処理の最終段階で、個別に加熱制御可能な複数のヒータを利用して、食材の表面を焼き上げる焼き上げ処理を実行することにより、内外共に適切な加熱調理が行えるようにしている。
図10A〜図10Cに、制御例2において、厚み別に食材(例えばステーキ)を加熱調理する場合での主な情報を示す。各図の食材の厚みの大小関係は、図10A>図10B>図10Cとなっている。
各図において、上側のグラフは食材の温度の経時変化を表している。Laは、調理室11の内部温度であり、Lbは、食材の表面温度である。Lcは、温度推定箇所(厚みが最も大きい部位の厚み方向の中心位置)での食材の内部温度である。下側のグラフは、上部ヒータ20U、後部ヒータ20M、および下部ヒータ20Dの各々の加熱制御の出力量および出力タイミングを表している。
制御例2における加熱調理での一連の処理は、加熱処理P1、余熱処理P2、および焼き上げ処理P3で構成されている。加熱処理P1では、主に、食材の内部が焼き上がるように加熱する。余熱処理P2では、加熱処理P1での余熱を利用しながら、食材の内部が適度に焼き上がるように加熱する。焼き上げ処理P3では、主に、食品の表面を焼き上げて、適度な焦げ目が得られるように加熱する。
制御例2では、各処理において、上部ヒータ20U、後部ヒータ20M、および下部ヒータ20Dの各々の加熱状態を調整しながら、食材を調理する。図10A、図10B、および図10Cに示すように、加熱処理P1の前半では、後部ヒータ20Mおよび下部ヒータ20Dの各々が加熱される(上部ヒータ20Uは加熱されない)。
そして、加熱処理P1の後半では、食材の厚みに応じて、後部ヒータ20Mおよび下部ヒータ20Dの各々の加熱状態が調整される。例えば、厚みが大きいほど加熱時間は長くされ、各ヒータ20M,20Dの出力も厚みに応じて調整される。
余熱処理P2では、後部ヒータ20Mおよび下部ヒータ20Dの各々が、間隔を隔ててオンオフされる。それにより、食材は断続的に加熱される。
そして、焼き上げ処理P3の開始タイミングは、食材の厚みに基づいて可変され、食材の厚みが小さいほど、調理開始から早いタイミングで焼き上げ処理P3が開始される。焼き上げ処理P3の開始タイミングの設定は、食材の大きさは考慮されない。食材が大きくても、食材の厚みが小さければ、焼き上げ処理P3の開始タイミングは早くなるし、食材が小さくても、食材の厚みが大きければ、焼き上げ処理P3の開始タイミングは遅くなる。
焼き上げ処理P3では、上部ヒータ20Uおよび後部ヒータ20Mの各々が加熱される(下部ヒータ20Dは加熱されない)。焼き上げ処理P3の開始と同時に、上部ヒータ20Uおよび後部ヒータ20Mの双方が加熱される。上部ヒータ20Uよりも先に後部ヒータ20Mの加熱は停止される。
上部ヒータ20Uおよび後部ヒータ20Mの各々の加熱時間は、厚みが異なってもほぼ同じである。食材の表面を一気に焼き上げる。
制御例2では、焼き上げ処理P3の開始タイミングにおける食材の内部温度は、食材の厚みが小さい時よりも大きい時の方が低く設定されている。具体的には、図10A〜図10Cの焼き上げ処理P3の開始タイミングでの各温度T1,T2,T3を比較した場合、これら各温度は、厚みの大、中、小の順に低、中、高に設定される(T1<T2<T3)。
厚みが大きいほど、食材の表面は、上部ヒータ20Uの近くに位置するため、内部温度が低くても焦げ易い。厚みが小さいほど、食材の表面は、上部ヒータ20Uから離れて位置するため、内部温度が高くても焦げ難い。従って、このように温度設定することで、食材の内外ともに適切に焼き上げることができる。なお、これら食材の焼き加減は、官能評価によって適否が判定されている。
このように、制御例2によれば、食材の厚みに基づいて、食材の表面の焦げ具合を適切に調整できるので、簡単な制御により、適切な加熱調理が安定して行える。
なお、開示する技術にかかる加熱調理システムは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
実施形態では、一体型の加熱調理システムとして、オーブンを例示したが、それに限るものではない。オーブンレンジやグリルなど、加熱調理する装置であれば、開示する技術は適用可能である。電子レンジは、食材を内部から加熱するので好ましくはないが、条件によっては電子レンジにも適用できる。
また、分離型の加熱調理システムであってもよい。例えば、加熱装置に一般的なガスコンロやクッキングヒータを適用し、その他の装置を、個別に、ガスコンロ等の周辺に設置することで、開示する加熱調理システムを適用した特定のシステムキッチンを構成してもよい。
加熱調理の実行中に、食材撮影装置30を作動させることによって画像情報を取得し、その画像情報に基づいて、加熱装置を制御してもよい。例えば、画像情報であれば、その色彩等の変化に基づいて、食材の表面の焦げの程度が判定できるので、食材の焼き過ぎの防止や、適度な焦げの形成など、より高度な加熱調理が行える。
形状情報と、基礎情報に含まれる密度とから、食材の重量を推定することができる。推定した食材の重量を、食材の識別や加熱調理の変更などに利用してもよい。
1 加熱調理システム
2 加熱調理器
3 サーバ(主記憶装置)
10 筐体
11 調理室
16 調理台
17 トレイ
20 ヒータ(加熱装置)
30 食材撮影装置
40 三次元計測装置
50 表面温度計測装置
60 制御装置
60b メモリ(副記憶装置)
61 食材種推定部
62 内部温度推定部
2 加熱調理器
3 サーバ(主記憶装置)
10 筐体
11 調理室
16 調理台
17 トレイ
20 ヒータ(加熱装置)
30 食材撮影装置
40 三次元計測装置
50 表面温度計測装置
60 制御装置
60b メモリ(副記憶装置)
61 食材種推定部
62 内部温度推定部
Claims (12)
- 所定の調理位置に配置された食材を自動的に加熱調理する加熱調理システムであって、
前記食材を加熱する加熱装置と、
前記食材の立体的形状を計測する三次元計測装置と、
前記食材の表面温度を計測する表面温度計測装置と、
前記食材の加熱調理に関連する基礎情報を記憶する情報記憶装置と、
前記三次元計測装置から入力される形状情報、前記表面温度計測装置から入力される表面温度情報、および前記基礎情報に基づいて、前記加熱装置を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記形状情報、前記基礎情報、および、前記表面温度情報に基づいて、前記食材の内部温度を推定する内部温度推定部を有し、
前記制御装置が、前記表面温度計測装置で前記食材の表面温度を計測するとともに、前記内部温度推定部で前記食材の内部温度を推定しながら、前記加熱装置で前記食材を加熱し、前記食材の表面温度および内部温度の経時変化に基づいて前記加熱装置を制御することにより、前記食材を調理する、加熱調理システム。 - 請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記食材を撮影し、その画像情報を前記制御装置に出力する食材撮影装置を更に備え、
前記制御装置が、前記画像情報および前記基礎情報に基づいて、前記食材の種類を推定する食材種推定部を更に有し、
前記食材種推定部で推定された前記食材の種類に基づいて、前記制御装置が前記食材を加熱調理する、加熱調理システム。 - 請求項2に記載の加熱調理システムにおいて、
前記形状情報および前記表面温度情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記食材種推定部による推定の適否が判定される、加熱調理システム。 - 請求項2または請求項3に記載の加熱調理システムにおいて、
前記食材種推定部で推定された前記食材の種類に基づいて、前記形状情報が補完される、加熱調理システム。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の加熱調理システムにおいて、
前記三次元計測装置が、
前記食材に向けて所定パターンの光線を照射する光照射部と、
前記食材に投影された前記光線を撮影するカメラと、
前記カメラが撮影した画像に基づいて前記食材の立体的形状を計測する画像処理部と、を有し、
画像処理部が、計測した前記食材の立体的形状に関する情報を、前記形状情報として前記制御装置に出力する、加熱調理システム。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の加熱調理システムにおいて、
前記表面温度計測装置が、
前記食材から離れた位置に前記食材と対向して延びるように配置されるとともに、両端部が回動可能に支持されているセンサ支持部と、
前記センサ支持部が延びる方向に直列に配置された複数の表面温度センサと、
を有し、
前記センサ支持部を回動しながら複数の前記表面温度センサで計測することにより、前記食材の表面温度を二次元的に計測する、加熱調理システム。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の加熱調理システムにおいて、
調理室を内部に有するとともに、操作部を外部に有する加熱調理器を更に備え、
前記加熱装置、前記三次元計測装置、前記表面温度計測装置、前記情報記憶装置、および前記制御装置が、前記加熱調理器に一体に組み付けられていて、前記調理室の中に前記食材を配置して前記操作部を操作することにより、自動的に前記食材が加熱調理される、加熱調理システム。 - 請求項7に記載の加熱調理システムにおいて、
前記情報記憶装置が、前記加熱調理器に設置された副記憶装置と、前記加熱調理器とは別に設置された主記憶装置と、を有し、
前記副記憶装置と前記主記憶装置との間で、前記基礎情報の送受信が行われる、加熱調理システム。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱装置が、前記食材をその外側から加熱する外部加熱手段を含み、
前記内部温度推定部が、
前記形状情報に基づいて、前記食材の内部温度を推定する温度推定箇所を特定する処理と、
所定の熱伝導モデル式に、前記基礎情報に含まれる前記食材の熱伝導率を導入する処理と、を実行し、
前記食材の熱伝導率を導入した前記熱伝導モデル式に、前記表面温度情報を適用することにより、前記温度推定箇所において、前記外部加熱手段の加熱によって変化する前記食材の内部温度を演算する、加熱調理システム。 - 請求項9に記載の加熱調理システムにおいて、
前記温度推定箇所は、前記食材の厚みに基づいて特定され、
前記外部加熱手段で加熱することにより、加熱調理の最終段階で前記食材の表面を焼き上げる焼き上げ処理を実行し、
前記焼き上げ処理の開始タイミングが、前記食材の厚みに基づいて可変される、加熱調理システム。 - 請求項10に記載の加熱調理システムにおいて、
前記焼き上げ処理の開始タイミングにおける前記温度推定箇所での前記食材の内部温度は、前記食材の厚みが小さい時よりも大きい時の方が低く設定される、加熱調理システム。 - 請求項10または請求項11に記載の加熱調理システムにおいて、
前記外部加熱手段が、個別に加熱制御可能な複数の外部加熱要素を有し、
前記制御装置が、前記外部加熱要素の各々の加熱状態を調整しながら前記食材を調理する、加熱調理システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019187573A JP2021063608A (ja) | 2019-10-11 | 2019-10-11 | 加熱調理システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019187573A JP2021063608A (ja) | 2019-10-11 | 2019-10-11 | 加熱調理システム |
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JP2021063608A true JP2021063608A (ja) | 2021-04-22 |
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JP (1) | JP2021063608A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114199412A (zh) * | 2021-12-10 | 2022-03-18 | 珠海格力电器股份有限公司 | 一种温度检测装置及烹饪器具 |
CN114224186A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-03-25 | 珠海格力电器股份有限公司 | 一种温度检测装置和烹饪装置 |
KR102445650B1 (ko) * | 2022-04-05 | 2022-09-23 | 주식회사 화인푸드 | 튀김 식품 제조 장치 및 시스템 |
-
2019
- 2019-10-11 JP JP2019187573A patent/JP2021063608A/ja active Pending
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KR102445650B1 (ko) * | 2022-04-05 | 2022-09-23 | 주식회사 화인푸드 | 튀김 식품 제조 장치 및 시스템 |
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