●[内燃機関システム1の全体の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。まず図1を用いて、内燃機関の制御装置70を有する内燃機関システム1の全体の概略構成の例について説明する。本実施の形態の説明では、内燃機関の例として、車両に搭載された内燃機関10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。また図1に示す内燃機関システム1の例は、第1過給機31と第2過給機32の2機の過給機を並列に配置しているが、吸気バイパス管11CBと吸気バイパス弁61を有することで、第2過給機32と第1過給機31の直列的な過給動作も可能とされている。
以下、内燃機関システム1の全体について、図1を用いて吸気側(図1の上方)から排気側(図1の下方)に向かって順に説明する。吸気管11Aの流入側には、吸気流量検出手段21(例えば、吸気流量センサ)、大気圧検出手段22D(例えば、圧力センサ)、吸気温度検出手段22E(例えば、温度センサ)、が設けられている。吸気流量検出手段21は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置70に出力する。大気圧検出手段22Dは、雰囲気の大気の圧力(大気圧)に応じた検出信号を制御装置70に出力し、吸気温度検出手段22Eは、内燃機関10が吸入した空気の温度(吸気管11A内の空気の温度)に応じた検出信号を制御装置70に出力する。吸気管11Aの流出側は、吸気管11B1、11B2の二股に分岐しており、吸気管11B1の流入側と吸気管11B2の流入側とに接続されている。
吸気管11B1の流出側は、第1過給機31(第1のターボチャージャ)のコンプレッサ31Aの流入側に接続されている。また吸気管11B1の途中には、吸気バイパス管11CBの流出側が接続されている。コンプレッサ31Aの流出側は、吸気管11C1の流入側に接続され、吸気管11C1の流出側は、吸気管11C2の流出側と合流されて吸気管11Dの流入側に接続されている。コンプレッサ31Aは、排気ガスのエネルギーを用いて回転するタービン31Bにて回転駆動され、吸気管11B1から吸入した空気を圧縮して吸気管11C1へ吐出する(過給する)。
吸気管11B2の流出側は、第2過給機32(第2のターボチャージャ)のコンプレッサ32Aの流入側に接続されている。コンプレッサ32Aの流出側は、吸気管11C2と吸気バイパス管11CBの二股に分岐しており、吸気管11C2の流入側と吸気バイパス管11CBの流入側とに接続されている。吸気管11C2の流出側は、吸気管11C1の流出側と合流されて吸気管11Dの流入側に接続されている。また吸気管11C2には、制御装置70からの制御信号に基づいて吸気管11C2を開閉する吸気切替弁62が設けられている。吸気バイパス管11CBの流出側は吸気管11B1に接続されている。また吸気バイパス管11CBには、制御装置70からの制御信号に基づいて吸気バイパス管11CBを開閉する吸気バイパス弁61が設けられている。
コンプレッサ32Aを回転駆動するタービン32Bは、排気切替弁63が開状態とされた場合に、排気ガスのエネルギーにて回転駆動される。排気切替弁63は、制御装置70からの制御信号に基づいて排気管12B2を開閉する。制御装置70は、排気切替弁63を開状態にしてタービン32Bを回転駆動した場合、吸気切替弁62と吸気バイパス弁61のいずれか一方を開状態にして他方を閉状態にする。また制御装置70は、排気切替弁63を閉状態にしている場合、吸気切替弁62と吸気バイパス弁61の双方を閉状態にする。
コンプレッサ32Aは、タービン32Bにて回転駆動された場合、吸気切替弁62が開状態かつ吸気バイパス弁61が閉状態の場合では、吸気管11B2から吸入した空気を圧縮して吸気管11C2へ吐出(過給)する。またコンプレッサ32Aは、タービン32Bにて回転駆動された場合、吸気切替弁62が閉状態かつ吸気バイパス弁61が開状態の場合では、吸気管11B2から吸入した空気を圧縮して吸気バイパス管11CBへ吐出(過給)する。
吸気管11Dの流入側は、吸気管11C1の流出側と吸気管11C2の流出側とが接続され、吸気管11Dの流出側は、吸気マニホルド11Eの流入側に接続されている。なお、第1過給機31のコンプレッサ31Aの下流側となる吸気管11C1、吸気管11D、吸気マニホルド11Eのいずれかには、過給圧を検出する過給圧検出手段22A(例えば、圧力センサ)が設けられている。過給圧検出手段22Aは、過給された吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
吸気マニホルド11Eの流出側は、内燃機関10の各シリンダに接続されている。
内燃機関10は複数のシリンダを有しており、インジェクタ43A〜43Hが、それぞれのシリンダに設けられている。インジェクタ43A〜43Hには、コモンレール42から燃料配管を介して燃料が供給されており、インジェクタ43A〜43Hは、制御装置70からの制御信号によって駆動され、それぞれのシリンダ内に燃料を噴射する。
コモンレール42には、制御装置70からの制御信号に基づいて駆動される燃圧調整ポンプ41から燃料が供給されている。またコモンレール42には、コモンレール42内の燃料の圧力を検出する燃圧検出手段23(例えば、圧力センサ)が設けられている。燃圧検出手段23は、検出した燃料圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、燃圧検出手段23からの検出信号に基づいた燃料圧力が目標燃料圧力となるように燃圧調整ポンプ41を制御する。
内燃機関10には、回転検出手段25(例えば回転センサ)、クーラント温度検出手段24(例えば温度センサ)、油温検出手段22Y(例えば温度センサ)等が設けられている。回転検出手段25は、内燃機関10のクランクシャフトの回転数(すなわち、エンジン回転数)に応じた検出信号を制御装置70に出力する。クーラント温度検出手段24は、内燃機関10内に循環されている冷却用クーラントの温度を検出し、検出した温度に応じた検出信号を制御装置70に出力する。油温検出手段22Yは、内燃機関10内に循環されている潤滑油の温度を検出し、検出した潤滑油の温度に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
内燃機関10には、クランクケース内に溜まったブローバイガスを吸気管11B1(吸気経路)に導くブローバイガス配管13Aが接続されている。内燃機関10のクランクケース内のブローバイガスは、ブローバイガス配管13Aから吸気管11B1へと吸引される。そして、クランクケース内から、ブローバイガス配管13Aと吸気管11B1との接続個所までにて、ブローバイガス経路が形成されており、ブローバイガス経路には圧力検出手段22P(例えば圧力センサ)が設けられている。なお、ブローバイガス経路と圧力検出手段22Pの配置の詳細等については後述する。圧力検出手段22Pは、ブローバイガス経路中のブローバイガスの圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
内燃機関10の排気側には排気マニホルド12A1、12A2の流入側が接続され、排気マニホルド12A1の流出側には排気管12B1の流入側が接続され、排気マニホルド12A2の流出側には排気管12B2の流入側が接続されている。排気管12B1の流出側は第1過給機31のタービン31Bの流入側に接続され、排気管12B2の流出側は第2過給機32のタービン32Bの流入側に接続されている。また排気管12B2には、制御装置70からの制御信号に基づいて排気管12B2を開閉する排気切替弁63が設けられている。また排気管12B1と排気管12B2には、排気切替弁63が閉状態の場合に排気管12B2内の排気を排気管12B1へと導く排気バイパス管12BBが接続されている。
また排気マニホルド12A1には、排気マニホルド12A1内の排気の圧力を検出する排気圧力検出手段22F(例えば、圧力センサ)が設けられている。排気圧力検出手段22Fは、排気マニホルド12A1内の排気の圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力する。同様に、排気マニホルド12A2には、排気マニホルド12A2内の排気の圧力を検出する排気圧力検出手段22G(例えば、圧力センサ)が設けられている。排気圧力検出手段22Gは、排気マニホルド12A2内の排気の圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
第2過給機32のタービン32Bの流出側には、排気管12C2の流入側が接続され、排気管12C2の流出側は、排気管12C1の途中に接続されている。第1過給機31のタービン31Bの流出側には、排気管12C1の流入側が接続され、排気管12C1の流出側は、酸化触媒51の流入側に接続されている。なお、排気管12C1と排気管12C2の接続個所よりも下流となる排気管12Dが酸化触媒51の流入側に接続されている。また排気管12C1には、排気管12C1内の排気の圧力を検出する排気圧力検出手段22B(例えば圧力センサ)、排気管12C1内の排気の温度を検出する排気温度検出手段26(例えば温度センサ)等が設けられている。排気圧力検出手段22Bは、検出した圧力に応じた検出信号を制御装置70に出力し、排気温度検出手段26は、検出した温度に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
第1過給機31のタービン31Bには、タービン31Bを回転駆動する排気の流速を調整可能な(タービン31Bへと排気ガスを導く流路の開度を調整可能な)可変ノズル31Cが設けられている。可変ノズル31Cは、制御装置70からの制御信号に応じて動作するノズル駆動手段31D(例えば電動モータ)にて動作される。またノズル開度検出手段31E(例えば回転角度センサ)は、可変ノズル31Cの開度に応じたノズル駆動手段31Dの動作状態(この場合、電動モータの回転角度)に応じた検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、ノズル開度検出手段31Eからの検出信号に基づいて求めた可変ノズル31Cの開度が、目標ノズル開度となるようにノズル駆動手段31Dを制御する。可変ノズル31Cは、内燃機関10の運転状態に応じて制御装置70から開度が調整される。なお、第2過給機32のタービン32Bの可変ノズル32C、ノズル駆動手段32D、ノズル開度検出手段32Eも同様であり、これらの説明は省略する。
酸化触媒51の流出側は、DPF52(微粒子捕集フィルタ)の流入側に接続されている。酸化触媒51は、内燃機関10の排気中のHC(炭化水素)とCO(一酸化炭素)を酸化して浄化する。
DPF52の流出側は、尿素SCR53の流入側に接続されている。DPF52は、排気中の微粒子を捕集する。またDPF52には、DPF52の流入側と流出側の圧力差を検出する差圧検出手段22C(例えば差圧センサ)が設けられている。差圧検出手段22Cは、DPF52の流入側と流出側の圧力差に応じた検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、差圧検出手段22Cからの検出信号に基づいた差圧から、DPF52に堆積された微粒子の量を推定することができる。
尿素SCR53は、図示省略した尿素水添加弁から噴射された尿素を用いて、排気中のNOx(窒素酸化物)を還元して浄化する。
車両速度検出手段22H(例えば車速センサ)は、例えば車両の車輪の近傍に設けられており、当該車輪の回転速度に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
パーキングブレーキ検出手段22K(例えばパーキングブレーキセンサ)は、パーキングブレーキのON、OFFに応じた検出信号を制御装置70に出力する。
シフトレンジ検出手段22N(例えばシフトレンジセンサ)は、車両のシフトレバーのシフト位置(P、R、N、D、S、Lレンジ等)の各位置に応じた検出信号を制御装置70に出力する。制御装置70は、シフトレンジ検出手段22Nからの検出信号に基づいて、シフトレバーの位置を検出することができる。
異物除去運転指示入力手段22Sは、ユーザ等が、後述する異物除去運転モードの開始の指示を可能とする(実行の指示を入力する)入力スイッチである。
報知手段45は、内燃機関10の状態や制御装置70の状態等をユーザに報知する装置であり、例えば液晶モニタ、ランプ、スピーカ等の情報出力手段であり、本実施の形態では、液晶モニタである例にて説明する。
アクセルペダル踏込量検出手段27(例えばアクセルペダル踏込角度センサ)は、アクセルペダルに設けられており、運転者によるアクセルペダルの踏込量に応じた検出信号を制御装置70に出力する。
制御装置70は、少なくとも、CPU71、記憶手段73を有している。制御装置70は、複数の過給機を有する内燃機関(内燃機関システム)の運転状態を検出し、検出した運転状態に基づいて、内燃機関のシリンダ内へ噴射する燃料量を制御する。制御装置70(CPU71)は、図1に示す上述した各検出手段や各アクチュエータに限定されず、上記の検出手段を含めた各種の検出手段からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出する。そして、制御装置70(CPU71)は、上記のインジェクタ43A〜43Hや、吸気バイパス弁61、吸気切替弁62、排気切替弁63、ノズル駆動手段31D、32D、燃圧調整ポンプ41を含めた各種のアクチュエータを制御する。
なお、制御装置70(CPU71)は、運転状態検出部71A、検出条件判定部71B、第1クランクケース内圧取得部71C、異常検出部71D、再検出条件判定部71E、第2クランクケース内圧取得部71F、異常再検出部71G、異常確定判定部71H、異物除去運転実行部71I、第3クランクケース内圧取得部71J、異物除去確認部71K、異物除去運転結果報知部71L等を有しているが、これらについては後述する。記憶手段73は、例えばFlash−ROM等の記憶装置であり、後述する処理を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。
なお、吸気バイパス弁61、吸気切替弁62、排気切替弁63は、制御装置70によって開状態または閉状態に制御され、内燃機関10の運転状態に応じて複数の過給機(この場合、2つの過給機)の中から動作させる過給機の数を切替可能な切替手段である。
●[ブローバイガス経路と圧力検出手段22Pの配置等(図2〜図5)]
次に図2を用いて、ブローバイガス経路と、ブローバイガスの圧力(すなわち、クランクケース内圧)を検出する圧力検出手段22Pの配置等について説明する。図2は、内燃機関10の断面図を示している。また図3は、ピストン10Fとピストンリング10G1、10G2の外見の例を示し、図4はシリンダ10B内に配置されたピストン10Fの状態を示している。また図5は、図2におけるV部の拡大図である。
図2に示すように、内燃機関10は、シリンダヘッド10A、シリンダ10B、クランクケース10C、オイルパン10D等を有している。シリンダ10Bとシリンダヘッド10Aとの間にはガスケット10Sが挟み込まれている。シリンダヘッド10Aには、吸気通路、排気通路が形成されており、吸気通路には吸気バルブが配置され、排気通路には排気バルブが配置されている。またシリンダヘッド10Aには、先端部がシリンダ10B内に達するようにインジェクタが配置されている。
図2に示すように、シリンダ10B及びクランクケース10Cに設けられたガス通路13Cの一方端は、クランクケース10C内に接続されている。またガス通路13Cの他方端は、シリンダヘッド10Aに設けられたガス通路13Dの一方端に接続されている。そしてガス通路13Dの他方端は、ブローバイガス配管13Aの一方端に接続されている。ブローバイガス配管13Aの他方端は、図1に示すように、吸気管11B1に接続されている。このガス通路13C、ガス通路13D、ブローバイガス配管13Aにて、クランクケース内のブローバイガスを内燃機関の吸気経路へと導くブローバイガス経路13Bが形成されている。そして圧力検出手段22Pは、ブローバイガス経路13B内の圧力を検出可能な位置に設けられており、図2に示す例では、シリンダヘッド10A内のブローバイガス経路13B(ガス通路13D)内の圧力を検出可能な位置に、圧力検出手段22Pが設けられている。この位置にて、圧力検出手段22Pは、全体的なクランクケース内の静的な圧力を検出することができる。
シリンダ10Bは、シリンダ10Bの中心軸線であるシリンダ中心軸線10BJに沿って延びる円筒状の形状を有している。シリンダ10B内には、シリンダ中心軸線10BJに沿って往復移動するピストン10Fが配置されている。
ピストン10Fは、ピストンピン10Hにてコンロッド10Mに接続されており、コンロッド10Mはクランクシャフト10Eに接続されている。またピストン10Fの中心軸線であるピストン中心軸線10FJは、シリンダ中心軸線10BJと、ほぼ一致している。ピストン10Fの外径は、シリンダ10Bの内径よりも小さく設定されており、ピストン10Fの外周面はシリンダ10Bの内壁とは接触しておらず、シリンダ10Bの内壁にはピストンリング10G1、10G2の外周面が接触している。なお、シリンダヘッド10Aとシリンダ10Bとピストン10Fに囲まれた空間が燃焼室10Nである。
図3に示すように、ピストン10Fの外周面には、周方向に沿ってリング溝10F1、10F2が形成されている。またピストンリング10G1、10G2のそれぞれは、合口隙間10GA、10GBを有するCリング状であり、それぞれ拡径されてリング溝10F1、10F2に嵌め込まれている。
図4は、シリンダ10B内にピストン10Fが配置された状態を示している。ピストン10Fは、ピストンリング10G1、10G2を縮径状態にしてシリンダ10B内に配置されている。従って、シリンダ10B内では、ピストンリング10G1、10G2は、縮径状態から径が拡大するように復元する。これにより、図2及び図5に示すように、ピストンリング10G1、10G2は、シリンダ10Bの内壁10BN(図5参照)に接触し、潤滑油による油膜とともに燃焼室10Nを密封する。
なお、図4に示すように、燃焼室10Nとクランクケース10C内は、ピストンリング10G1、10G2の合口隙間10GA、10GBにて連通している。また図5に示すように、ピストンリング10G1、10G2は、ピストン10Fのリング溝10F1、10F2内で拡径方向に復元しているので、ピストンリング10G1、10G2と、リング溝10F1、10F2と、の隙間にて、燃焼室とクランクケース内は連通している。これらの連通にて、燃焼工程によって燃焼室内で発生した高温高圧のガスが、燃焼室10N(図4参照)からクランクケース内に漏れてブローバイガスとなる。
また、燃焼工程によって潤滑油の一部が炭化してデポジット(異物)となるが、当該デポジット(異物)は種々の個所で生成され、種々の個所に張り付いて堆積する場合がある。例えば図2に示すシリンダ10Bの内壁に生成されたデポジット(異物)は、ピストンリング10G1、10G2に掻き落される。しかし、図5に示すピストンリング10G1、10G2と、リング溝10F1、10F2と、の間の隙間に入ったデポジット(異物)は、掻き落されることなく堆積する場合がある。
ピストン10Fが往復運動をすると、図4に示すピストンリング10G1、10G2は、ピストン10Fに対して少しずつ旋回する場合がある。例えば図4において、ピストンリング10G1、10G2と、リング溝との隙間となる位置DP1、DP2にデポジット(異物)が堆積している場合、デポジット(異物)の位置DP1と、ピストンリング10G1の合口隙間10GAの位置と、が一致すると、燃焼室10Nとクランクケース内との連通状態が変化してブローバイガス量が変化する。同様に、デポジット(異物)の位置DP2と、ピストンリング10G2の合口隙間10GBの位置と、が一致すると、燃焼室10Nとクランクケース内との連通状態が変化してブローバイガス量が変化する。これにより、クランクケース内圧が変化する。
また、ピストンリング10G1、10G2と、リング溝10F1、10F2と、の間の隙間にデポジット(異物)が堆積すると、ピストンリング10G1、10G2がリング溝10F1、10F2に固着して、ピストンリング10G1、10G2の縮径、拡径の動作を阻害する。ピストンリング10G1、10G2が拡径、縮径できなくなると、燃焼室のシール性が低下する可能性がある。燃焼室のシール性が低下すると、燃焼室10Nからクランクケース内へ漏れるブローバイガス量が変化してクランクケース内圧が変化する。
本実施の形態にて説明する制御装置70(内燃機関の制御装置に相当)は、上述したクランクケース内圧に基づいて、後述するように、ピストンリングの周囲への異物(デポジット)の堆積の有無を検出する。
●[第1の実施の形態における、制御装置70の全体処理の処理手順(図6)]
次に図6〜図23を用いて、制御装置70の第1の実施の形態の処理手順等について説明する。第1の実施の形態では、第1所定時間の間、ブローバイガス内圧を検出し、検出したブローバイガス内圧に「段差」が発生した場合に異常を検出する(異物あり、と判定する)。なお、異物あり、と判定した場合は、異物を除去するための異物除去運転モードを実行し、実行した異物除去運転モードの結果、異物が除去されたか否かも行っている。
図6に示す全体処理は、例えば所定時間間隔(例えば、数[ms]〜数10[ms]間隔)で起動され、起動されると、制御装置70(CPU71)は、ステップS010へと処理を進める。なお、制御装置70が起動された場合には、異物検出終了フラグ、(最終)異物ありフラグ、異物除去実施済フラグ、異物除去実行中フラグ、除去後確認済フラグ、除去後確認中フラグ、除去完了フラグ、等の各種のフラグは、初期値としてOFFが設定されている。
ステップS010にて制御装置70は、入力信号処理として、種々の検出手段からの検出信号に基づいた物理量(内燃機関10の運転状態を示す種々の物理量)を取得して記憶し、ステップS015へと処理を進める。例えば、現在の、アクセルペダル踏込量、車両速度、パーキングスイッチ状態、ニュートラルスイッチ状態、異物除去運転指示入力手段の状態、吸気流量、大気圧、吸気温度、過給圧、クーラント温度、潤滑油温度、噴射する燃料量、噴射時間幅、燃料圧力、内燃機関の回転数、排気マニホルド12A1内排気圧力、排気マニホルド12A2内排気圧力、タービン下流排気圧力、排気温度、第1過給機・第2過給機動作状態、第1過給機の可変ノズルの開度、第2過給機の可変ノズルの開度、DPFの差圧等を取得する。そして制御装置70は、今回アクセルペダル踏込量、今回車両速度、今回パーキングスイッチ状態、今回ニュートラルスイッチ状態、今回異物除去運転指示入力手段状態、今回吸気流量、今回大気圧、今回吸気温度、今回過給圧、今回クーラント温度、今回潤滑油温度、今回燃料量、今回噴射時間幅、今回燃料圧力、今回回転数、今回排気マニホルド(12A1)内排気圧力、今回排気マニホルド(12A2)内排気圧力、今回タービン下流排気圧力、今回排気温度、今回過給機動作状態(1ターボ動作または2ターボ動作)、今回第1過給機ノズル開度、今回第2過給機ノズル開度、今回差圧等として記憶する。なお、記憶する物理量等は、これらに限定されるものではなく、制御装置70は、内燃機関の運転状態に基づいた種々の物理量等を取得して記憶する。
ステップS010の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、内燃機関の運転状態を検出する、運転状態検出部71A(図1参照)に相当している。
ステップS015にて制御装置70は、異物検出終了フラグ=ONであるか否かを判定し、異物検出終了フラグ=ONである場合(Yes)はステップS030に処理を進め、異物検出終了フラグ=ONでない場合(No)はステップS020に処理を進める。なお、異物検出終了フラグは、後述する処理SA100(異物検出処理)による異物の検出処理を一通り終了した場合にONとされるフラグである。
ステップS020に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SA100(異物検出処理)を実行してステップS025に処理を進める。なお、処理SA100(異物検出処理)の詳細については後述する。
ステップS025にて制御装置70は、異物検出終了フラグ=ONであるか否かを判定し、異物検出終了フラグ=ONである場合(Yes)はステップS030に処理を進め、異物検出終了フラグ=ONでない場合(No)は図6に示す処理を終了する。
ステップS030に処理を進めた場合、制御装置70は、(最終)異物ありフラグ=ONであるか否かを判定し、(最終)異物フラグ=ONである場合(Yes)はステップS035Bに処理を進め、(最終)異物フラグ=ONでない場合(No)はステップS035Aに処理を進める。
ステップS035Aに処理を進めた場合、制御装置70は、報知手段45(図1参照)に対して、「異物あり」等の報知を出力していた場合では当該表示を停止させる制御信号を出力して、図6に示す処理を終了する。
ステップS035Bに処理を進めた場合、制御装置70は、報知手段45(図1参照)に対して、「異物あり」等の報知を出力させる制御信号を出力してステップS040に処理を進める。なお、制御装置70は、「異物あり」等の報知とともに、「安全な場所に駐車して異物除去運転指示入力手段(図1の符号22S)を押して異物除去運転(約X[分]かかります)を実施してください」等の報知も、報知手段45から出力させるように、報知手段45に制御信号を出力する。
ステップS040にて制御装置70は、異物除去実施済フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実施済フラグ=ONである場合(Yes)はステップS060に処理を進め、異物除去実施済フラグ=ONでない場合(No)はステップS045に処理を進める。なお、異物除去実施済フラグは、後述する処理SB100(異物除去処理)による異物を除去する処理を一通り終了した場合にONとされるフラグである。
ステップS045に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去指示があるか否かを判定し、異物除去指示がある場合(Yes)(異物除去運転指示入力手段22S(図1参照)が操作された場合)はステップS050に処理を進め、異物除去指示が無い場合(No)(異物除去運転指示入力手段22S(図1参照)が操作されなかった場合)は図6に示す処理を終了する。
ステップS050に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB100(異物除去処理)を実行してステップS055に処理を進める。なお、処理SB100(異物除去処理)の詳細については後述する。
ステップS055にて制御装置70は、異物除去実施済フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実施済フラグ=ONである場合(Yes)はステップS060に処理を進め、異物除去実施済フラグ=ONでない場合(No)は図6に示す処理を終了する。
ステップS060に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去実行中フラグをOFFに設定してステップS065に処理を進める。なお、異物除去実行中フラグは、ステップS050の処理SB100(異物除去処理)にてONまたはOFFに設定されるフラグであり、異物除去運転モードを実行中にONとされるフラグである。
ステップS065にて制御装置70は、除去後確認済フラグ=ONであるか否かを判定し、除去後確認済フラグ=ONである場合(Yes)はステップS080に処理を進め、除去後確認済フラグ=ONでない場合(No)はステップS070に処理を進める。なお、除去後確認済フラグは、後述する処理SC100(除去後確認処理)にて、異物除去運転モードを実施した結果、異物が除去されたか否かを確認する処理を終了した場合にONとされるフラグである。
ステップS070に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SC100(除去後確認処理)を実行してステップS075に処理を進める。なお、処理SC100(除去後確認処理)の詳細については後述する。
ステップS075にて制御装置70は、除去後確認済フラグ=ONであるか否かを判定し、除去後確認済フラグ=ONである場合(Yes)はステップS080に処理を進め、除去後確認済フラグ=ONでない場合(No)は図6に示す処理を終了する。
ステップS080に処理を進めた場合、制御装置70は、除去後確認中フラグをOFFに設定してステップS085に処理を進める。なお、除去後確認中フラグは、ステップS070の処理SC100(除去後確認処理)にてONに設定されるフラグであり、異物除去運転モードを実行した結果、異物が除去されたか否かを確認中にONとされるフラグである。
ステップS085にて制御装置70は、除去完了フラグ=ONであるか否かを判定し、除去完了フラグ=ONである場合(Yes)はステップS090Aに処理を進め、除去完了フラグ=ONでない場合(No)はステップS090Bに処理を進める。なお、除去完了フラグは、ステップS070の処理SC100(除去後確認処理)にて、異物除去運転モードを実行した結果、異物が除去されたと確認できた場合にONとされるフラグである。
ステップS090Aに処理を進めた場合、制御装置70は、報知手段45(図1参照)に対して、「異物が除去されたことを確認しました」等の報知を出力させる制御信号を出力して、図6に示す処理を終了する。
ステップS090Bに処理を進めた場合、制御装置70は、報知手段45(図1参照)に対して、「異物の除去を試みましたが除去しきれませんでした。この車両の取扱店(ディーラ)へ持ち込みをお願いします」等の報知を出力させる制御信号を出力して、図6に示す処理を終了する。
ステップS085、S090Aの処理を実行している制御装置70(CPU71)は、(異物除去運転モードを実行した結果、)異物除去確認部71K(図1参照)にて内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が無い(異物を除去できた)と検出した場合には報知手段を用いて異物の除去が完了したことを報知する、異物除去運転結果報知部71L(図1参照)に相当している。また、ステップS085、S090Bの処理を実行している制御装置70(CPU71)は、(異物除去運転モードを実行した結果、)異物除去確認部71K(図1参照)にて内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有る(異物を除去できなかった)と検出した場合には報知手段を用いて車両の取扱店への持ち込みの督促を報知する、異物除去運転結果報知部71L(図1参照)に相当している。
●[SA100:異物検出処理(図7)]
次に図7を用いて、図6のフローチャートにおけるステップS020の処理SA100(異物検出処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図6のステップS020にて処理SA100を実行すると、図7に示すステップSA110に処理を進める。
ステップSA110に処理を進めた場合、制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグ=ONであるか否かを判定し、異物検出(仮)終了フラグ=ONである場合(Yes)はステップSA155に処理を進め、異物検出(仮)終了フラグ=ONでない場合(No)はステップSA115に処理を進める。なお制御装置70は、処理SA100にて、異物検出(異常検出)を念のために2回行い、1回目の異物検出(異物検出)が終了した場合に異物検出(仮)終了フラグをONにする。
ステップSA115に処理を進めた場合、制御装置70は、内燃機関の運転状態が第1検出条件を満足(成立)しているか否かを判定し、第1検出条件を満足(成立)している場合(Yes)はステップSA120に処理を進め、第1検出条件を満足(成立)していない場合(No)はステップSA125Bに処理を進める。なお、第1検出条件は、例えば、「内燃機関が暖機後の状態」かつ「内燃機関の負荷(回転数と燃料噴射量に基づいて求められる負荷)の変動量が許容負荷変動範囲内、あるいは、内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動範囲内」を含む条件である。
ステップSA115の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、検出した内燃機関の運転状態に基づいて、内燃機関の負荷の変動量が許容負荷変動範囲内あるいは内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動範囲内であり、かつ、内燃機関が暖機後であることを含む検出条件(第1検出条件)を満足(成立)するか否かを判定する、検出条件判定部71B(図1参照)に相当している。
ステップSA120に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSA130に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSA125Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSA115の第1検出条件が満足(成立)されてからの経過時間を計測する。
ステップSA125Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。また制御装置70は、変数iの値を「1」に初期化してステップSA130に処理を進める。制御装置70は、第1検出条件を満足(成立)する場合、以降の処理にて、第1所定時間の間、所定時間間隔で処理SA100を実行して、クランクケース内圧[i]を計測して記憶する。制御装置70は、以降の処理にて、例えば第1所定時間の間に100回クランクケース内圧を計測した場合、クランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[100]を記憶する。
ステップSA125Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図7に示す処理を終了する。図7の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS025に処理を進める。
ステップSA130に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得して、変数iの値を用いてクランクケース内圧[i]を記憶する。また制御装置70は、次に取得して記憶するクランクケース内圧の準備として変数iの値をカウントアップする。そして制御装置70は、ステップSA135に処理を進める。
ステップSA130の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、(検出条件(第1検出条件)を満足する場合に)内燃機関の運転状態の1つである内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第1所定時間の間取得する、第1クランクケース内圧取得部71C(図1参照)に相当している。
ステップSA135にて制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第1所定時間以上であるか否かを判定し、第1所定時間以上である場合(Yes)はステップSA140に処理を進め、第1所定時間未満である場合(No)は図7に示す処理を終了する。図7の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS025に処理を進める。なお、第1所定時間の値は適宜設定され、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSA140に処理を進めた場合、制御装置70はタイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSA145に処理を進める。
ステップSA145にて制御装置70は、処理SA200(異常検出処理)を実行してステップSA150に処理を進める。なお、処理SA200(異常検出処理)の詳細については後述する。
ステップSA150にて制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグをONに設定してステップSA155に処理を進める。制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグがONに設定されていることで、ステップSA115〜SA145にて、2回実行する異物検出(異常検出)の1回目が終了したことを認識することができる。
ステップSA155に処理を進めた場合、制御装置70は、(仮)異常ありフラグ=ONであるか否かを判定し、(仮)異常ありフラグ=ONである場合(Yes)はステップSA160に処理を進め、(仮)異常ありフラグ=ONでない場合(No)はステップSA195に処理を進める。なお、(仮)異常ありフラグは、1回目の異物検出(異常検出)の処理である処理SA200(ステップSA145)にて、異常が検出された場合にONとされるフラグである。
ステップSA160に処理を進めた場合、制御装置70は、内燃機関の運転状態が第2検出条件を満足しているか否かを判定し、第2検出条件を満足している場合(Yes)はステップSA165に処理を進め、第2検出条件を満足していない場合(No)はステップSA170Bに処理を進める。なお、第2検出条件は、例えば、「内燃機関の運転状態がアイドリング状態」を含む条件である。
ステップSA160の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異常検出部(処理SA200に相当)にて、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合((仮)異常ありフラグ=ONの場合)、内燃機関の運転状態がアイドリング状態(所定運転状態)であることを含む再検出条件(第2検出条件)を満足するか否かを判定する、再検出条件判定部71E(図1参照)に相当している。なお「所定運転状態」は、アイドリング状態に限定されず、種々の運転状態に設定することができる。
ステップSA165に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSA175に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSA170Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSA160の第2検出条件が満足されてからの経過時間を計測する。
ステップSA170Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。また制御装置70は、変数iの値を「1」に初期化する。制御装置70は、第2検出条件を満足する場合、以降の処理にて、第2所定時間の間、所定時間間隔で処理SA100を実行して、クランクケース内圧[i]を計測して記憶する。制御装置70は、以降の処理にて、例えば第2所定時間の間に100回クランクケース内圧を計測した場合、クランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[100]を記憶する。
ステップSA170Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図7に示す処理を終了する。図7の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS025に処理を進める。
ステップSA175に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得して、変数iの値を用いてクランクケース内圧[i]を記憶する。また制御装置70は、次に取得して記憶するクランクケース内圧の準備として変数iの値をカウントアップする。そして制御装置70は、ステップSA180に処理を進める。
ステップSA175の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異常検出部71D(図1参照)にて内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合に(そして再検出条件(第2検出条件)を満足する場合に)内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第2所定時間の間取得する、第2クランクケース内圧取得部71F(図1参照)に相当している。
ステップSA180にて制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第2所定時間以上であるか否かを判定し、第2所定時間以上である場合(Yes)はステップSA185に処理を進め、第2所定時間未満である場合(No)は図7に示す処理を終了する。図7の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS025に処理を進める。なお、第2所定時間の値は適宜設定され、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSA185に処理を進めた場合、制御装置70はタイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSA190に処理を進める。
ステップSA190にて制御装置70は、処理SA300(異常再検出処理)を実行してステップSA195に処理を進める。なお、処理SA300(異常再検出処理)の詳細については後述する。
ステップSA195にて制御装置70は、異物検出終了フラグをONに設定して図7に示す処理を終了する。図7の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS025に処理を進める。なお制御装置70は、異物検出終了フラグがONに設定されていることで、処理SA100にて、2回実行する異物検出(異常検出)が終了したことを認識することができる。
●[SA200:異常検出処理(図8、図9)]
次に図8を用いて、図7のフローチャートにおけるステップSA145の処理SA200(異常検出処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図7のステップSA145にて処理SA200を実行すると、図8に示すステップSA210に処理を進める。
ステップSA210に処理を進めた場合、制御装置70は、記憶した複数のクランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[n]を、前後で±ΔP内の圧力差、かつ、k個以上連続するデータ群Ad、Bd・・の各データ群に分類し、ステップSA215に処理を進める。なお、ΔP、kの値は適宜設定される。例えば、図9に示す第1所定時間の間のクランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[n]を検出した場合、制御装置70は、複数のクランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[n]を、前後の圧力差が±ΔP内、かつ、k個以上連続するデータ群となる、データ群Ad、Bd、Cdに分類する。
ステップSA215にて制御装置70は、各データ群(図9の例では、データ群Ad、Bd、Cd)の平均圧力を算出してステップSA220に処理を進める。図9の例では、制御装置70は、データ群Adの平均圧力Avp(A)、データ群Bdの平均圧力Avp(B)、データ群Cdの平均圧力Avp(C)を算出する。
ステップSA220にて制御装置70は、隣り合うデータ群の平均圧力の差(ステップ状の変動量である圧力段差に相当)の少なくとも1つが、異常判定の閾値として設定された第1異常段差圧力以上であるか否かを判定し、少なくとも1つが第1異常段差圧力以上である場合(Yes)はステップSA225Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSA225Bに処理を進める。図9の例では、制御装置70は、|データ群Adの平均圧力Avp(A)−データ群Bdの平均圧力Avp(B)|=|Dp(AB)|と、|データ群Bdの平均圧力Avp(B)−データ群Cdの平均圧力Avp(C)|=|Dp(BC)|の、少なくとも一方が、第1異常段差圧力以上であるか否かを判定する。なお、第1異常段差圧力は、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等によって適切な値が選定されている。
ステップSA225Aに処理を進めた場合、制御装置70は、(仮)異常ありフラグをONに設定して、図8に示す処理を終了する。図8の処理を終了すると、制御装置70は図7に示すステップSA150に処理を進める。
ステップSA225Bに処理を進めた場合、制御装置70は、(仮)異常ありフラグをOFFに設定して、図8に示す処理を終了する。図8の処理を終了すると、制御装置70は図7に示すステップSA150に処理を進める。
処理SA200のステップSA210〜SA225A、SA225Bの処理を実行している制御装置70(CPU71)は、取得したクランクケース内圧のステップ状の変動量である圧力段差が検出された場合、異常判定の閾値として設定された異常段差圧力(第1異常段差圧力)よりも大きな圧力段差(または、異常段差圧力以上の圧力段差)の有無に基づいて、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積の有無を検出する、異常検出部71D(図1参照)に相当している。上述したように、制御装置70は、異物の堆積が有ると判定した場合、(仮)異常ありフラグをONに設定する。
●[SA300:異常再検出処理(図10)]
次に図10を用いて、図7のフローチャートにおけるステップSA190の処理SA300(異常再検出処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図7のステップSA190にて処理SA300を実行すると、図10に示すステップSA310に処理を進める。
ステップSA310に処理を進めた場合、制御装置70は、記憶した複数のクランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[m]を、前後で±ΔP内の圧力差、かつ、k個以上連続するデータ群Ad、Bd・・の各データ群に分類し、ステップSA315に処理を進める。なお、ΔP、kの値は適宜設定される。なお、この処理は図8に示すステップSA210の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップSA315にて制御装置70は、各データ群の平均圧力を算出してステップSA320に処理を進める。なお、この処理は図8に示すステップSA215の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップSA320にて制御装置70は、隣り合うデータ群の平均圧力の差(ステップ状の変動量である圧力段差に相当)の少なくとも1つが、異常判定の閾値として設定された第2異常段差圧力以上であるか否かを判定し、少なくとも1つが第2異常段差圧力以上である場合(Yes)はステップSA325Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSA325Bに処理を進める。なお、この処理は図8に示すステップSA220の処理と同様であるので説明を省略する。また、第2異常段差圧力は、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等によって適切な値が選定されている。
ステップSA325Aに処理を進めた場合、制御装置70は、(最終)異常ありフラグをONに設定して、図10に示す処理を終了する。図10の処理を終了すると、制御装置70は図7に示すステップSA195に処理を進める。
ステップSA325Bに処理を進めた場合、制御装置70は、(最終)異常ありフラグをOFFに設定して、図10に示す処理を終了する。図10の処理を終了すると、制御装置70は図7に示すステップSA195に処理を進める。
処理SA300を実行している制御装置70(CPU71)は、第2クランクケース内圧取得部71F(図1参照)によるクランクケース内圧の取得に対応させて異常検出部71D(図1参照)の処理を実行する(異常検出部71Dと同様の異常判定を行う)、異常再検出部71Gに相当している。制御装置70は、1回目の異常検出(異物検出)である異常検出部71Dにて異常を判定((仮)異常ありフラグ=ON)し、さらに、2回目の異常再検出(異物再検出)にて異常を判定した場合、異常を確定する((最終)異常ありフラグ=ONとする)。
また、処理SA300を実行している制御装置70(CPU71)は、異常再検出部71G(図1参照)にて、再度((仮)異常ありフラグ=ONに対して、再度)、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合に、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると確定判定する((最終)異常ありフラグ=ONとする)、異常確定判定部71H(図1参照)に相当している。
●[SB100:異物除去処理(図11)]
次に図11を用いて、図6のフローチャートにおけるステップS050の処理SB100(異物除去処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図6のステップS050にて処理SB100を実行すると、図11に示すステップSB110に処理を進める。なお、セットカウンタCset、第1繰り返しカウンタC1〜第5繰り返しカウンタC5は、初期値として「0」が設定されており、各種のフラグは、初期値として「OFF」が設定されている。
処理SB100(異物除去処理)の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異物除去運転指示入力手段から異物除去運転モードの開始が指示された場合に(そして除去条件を満足した場合に)内燃機関のピストンリングの周囲に堆積した異物を除去する異物除去運転モードを実行可能な(実行する)、異物除去運転実行部71I(図1参照)に相当している。
なお、図11に示す処理SB100(異物除去処理)の実行中は、異物除去実行中フラグ=ONに設定される(図11のステップSB185Aより)。異物除去実行中フラグ=ONに設定されると、図19に示すようにターボ切替モードが2ターボモードに固定され、図20に示すように最終的に出力される燃料噴射量である最終噴射量は除去噴射量Qremvに切り替えられる。また、図21に示すように最終的に出力される可変ノズル閉度である最終可変ノズル閉度は除去可変ノズル閉度Vremvに切り替えられ、図22に示すように最終的に出力される燃料噴射時期である最終噴射時期は除去噴射時期Aremvに切り替えられる。なお、図19〜図22の処理の詳細については後述する。
ステップSB110に処理を進めた場合、制御装置70は、内燃機関の運転状態に基づいて、異物を除去するための異物除去運転モードの実行条件である除去条件が成立しているか否かを判定し、除去条件が成立している場合(Yes)はステップSB115に処理を進め、除去条件が成立していない場合(No)はステップSB190に処理を進める。なお、除去条件は、例えば、「車両が停車状態」を含む条件である。例えば制御装置70は、図1に示すパーキングブレーキ検出手段22K、シフトレンジ検出手段22N、車両速度検出手段22H、のそれぞれからの検出信号に基づいて、パーキングブレーキ=ON、かつ、シフトレバーの位置=「P」、車両速度=0[km/h]が検出された場合に、「車両が停車状態」であると判定する。また除去条件として、油温検出手段22Y(図1参照)を用いて検出した潤滑油温度が90[℃]以上、クーラント温度検出手段24(図1参照)を用いて検出したクーラント温度が90[℃]以上等、を加えてもよい。
ステップSB115に処理を進めた場合、制御装置70は、セットカウンタCsetの値が所定セット回数以上であるか否かを判定し、所定セット回数以上である場合(Yes)はステップSB190に処理を進め、所定セット回数未満である場合(No)はステップSB120に処理を進める。なお、セットカウンタは、異物除去運転モードで実行する、(後述の)燃料スイープ増減制御(1)、燃料スイープ増減制御(2)、過給圧・排気圧ステップ増減制御、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御、燃料ステップ増減制御、が一通り実行された場合に異物除去運転の1セットが終了したと判定されて、セットカウンタCsetがカウントアップされる。制御装置70は、例えば所定セット回数の値が「5」に設定されている場合、(後述の)燃料スイープ増減制御(1)、燃料スイープ増減制御(2)、過給圧・排気圧ステップ増減制御、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御、燃料ステップ増減制御を一通り実行することを、5回繰り返す。なお、所定セット回数の値は、「5」に限定されるものではない。
ステップSB190に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)ステップSB185Bに処理を進める。
ステップSB120に処理を進めた場合、制御装置70は、第1繰り返しカウンタC1が第1繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第1繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB130に処理を進め、第1繰り返し回数未満である場合(No)はステップSB125に処理を進める。なお、第1繰り返しカウンタC1は、図23に示す異物除去運転モードの動作波形における時間T10〜時間T20において、燃料噴射量をQL1からQH1へと比較的長時間で緩やかに増量した後、燃料噴射量をQH1からQL1へと比較的長時間で緩やかに減量する、ステップSB125の燃料スイープ増減制御(1)を繰り返した回数を示す。制御装置70は、例えば第1繰り返し回数が「10」に設定されていた場合、燃料噴射量をQL1からQH1へ緩やかに増量した後、燃料噴射量をQH1からQL1へと緩やかに減量する制御(燃料スイープ増減制御(1))を10回繰り返す。なお、第1繰り返し回数は「10」に限定されるものではない。
ステップSB125に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB200(燃料スイープ増減制御(1))を実行してステップSB185Aへ処理を進める。なお、処理SB200(燃料スイープ増減制御(1))の詳細については後述する。
ステップSB130に処理を進めた場合、制御装置70は、第2繰り返しカウンタC2が第2繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第2繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB140に処理を進め、第2繰り返し回数未満である場合(No)はステップSB135に処理を進める。なお、第2繰り返しカウンタC2は、図23に示す異物除去運転モードの動作波形における時間T20〜時間T30において、燃料噴射量をQL1からQH1へと比較的短時間で急激に増量した後、燃料噴射量をQH1からQL1へと比較的短時間で急激に減量する、ステップSB135の燃料スイープ増減制御(2)を繰り返した回数を示す。制御装置70は、例えば第2繰り返し回数が「10」に設定されていた場合、燃料噴射量をQL1からQH1へ急激に増量した後、燃料噴射量をQH1からQL1へと急激に減量する制御(燃料スイープ増減制御(2))を10回繰り返す。なお、第2繰り返し回数は「10」に限定されるものではない。
ステップSB135に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB300(燃料スイープ増減制御(2))を実行してステップSB185Aへ処理を進める。なお、処理SB300(燃料スイープ増減制御(2))の詳細については後述する。
ステップSB140に処理を進めた場合、制御装置70は、第3繰り返しカウンタC3が第3繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第3繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB150に処理を進め、第3繰り返し回数未満である場合(No)はステップSB145に処理を進める。なお、第3繰り返しカウンタC3は、図23に示す異物除去運転モードの動作波形における時間T30〜時間T40において、可変ノズル31C、32C(図1参照)のノズル閉度をVmid――>Vinc――>Vdecへとステップ状に変更する、ステップSB145の過給圧・排気圧ステップ増減制御を繰り返した回数を示す。制御装置70は、例えば第3繰り返し回数が「3」に設定されていた場合、可変ノズル31C、32Cの閉度をVmid――>Vinc――>Vdecへとステップ状に変更する制御(過給圧・排気圧ステップ増減制御)を3回繰り返す。なお、第3繰り返し回数は「3」に限定されるものではない。
ステップSB145に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB400(過給圧・排気圧ステップ増減制御)を実行してステップSB185Aへ処理を進める。なお、処理SB400(過給圧・排気圧ステップ増減制御)の詳細については後述する。
ステップSB150に処理を進めた場合、制御装置70は、第4繰り返しカウンタC4が第4繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第4繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB160に処理を進め、第4繰り返し回数未満である場合(No)はステップSB155に処理を進める。なお、第4繰り返しカウンタC4は、図23に示す異物除去運転モードの動作波形における時間T40〜時間T50において、燃料の噴射時期をAmid――>Adec――>Aincへとステップ状に変更する、ステップSB155の燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御を繰り返した回数を示す。制御装置70は、例えば第4繰り返し回数が「3」に設定されていた場合、燃料の噴射時期をAmid――>Ainc――>Adecへとステップ状に変更する制御(燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御)を3回繰り返す。なお、第4繰り返し回数は「3」に限定されるものではない。
ステップSB155に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB500(燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御)を実行してステップSB185Aへ処理を進める。なお、処理SB500(燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御)の詳細については後述する。
ステップSB160に処理を進めた場合、制御装置70は、第5繰り返しカウンタC5が第5繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第5繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB170に処理を進め、第5繰り返し回数未満である場合(No)はステップSB165に処理を進める。なお、第5繰り返しカウンタC5は、図23に示す異物除去運転モードの動作波形における時間T50〜時間T60において、燃料噴射量をQmid――>Qinc――>Qdecへとステップ状に変更する、ステップSB165の燃料ステップ増減制御を繰り返した回数を示す。制御装置70は、例えば第5繰り返し回数が「3」に設定されていた場合、燃料噴射量をQmid――>Qinc――>Qdecへとステップ状に変更する制御(燃料ステップ増減制御)を3回繰り返す。なお、第5繰り返し回数は「3」に限定されるものではない。
ステップSB165に処理を進めた場合、制御装置70は、処理SB600(燃料ステップ増減制御)を実行してステップSB185Aへ処理を進める。なお、処理SB600(燃料ステップ増減制御)の詳細については後述する。
ステップSB170に処理を進めた場合、制御装置70は、図23における時間T10〜時間T60の異物除去運転を1セット実行したと判断し、セットカウンタCsetをカウントアップし、第1繰り返しカウンタC1〜第5繰り返しカウンタC5を「0」に初期化してステップSB175に処理を進める。
ステップSB175にて制御装置70は、セットカウンタCsetが所定セット回数以上であるか否かを判定し、所定セット回数以上である場合(Yes)はステップSB180に処理を進め、所定セット回数未満である場合(No)はステップSB185Bに処理を進める。
ステップSB180に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去実施済フラグ=ONに設定してステップSB185Bに処理を進める。なお、異物除去実施済フラグは、図6のステップS050の処理SB100(異物除去処理)の実行が終了したことを示すフラグであり、図23に示す時間T10〜時間T60の異物除去運転1セットを、所定セット回数(例えば5回)実行したことを示すフラグである。
ステップSB185Bに処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去実行中フラグ=OFFに設定して、図11に示す処理を終了する。図11の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS055に処理を進める。
●[SB200:燃料スイープ増減制御(1)(図12)]
次に図12を用いて、図11のフローチャートにおけるステップSB125の処理SB200(燃料スイープ増減制御(1))の詳細について説明する。制御装置70は、図11のステップSB125にて処理SB200を実行すると、図12に示すステップSB210に処理を進める。燃料スイープ増減制御(1)は、図23の時間T10〜時間T20に示すように、燃料噴射量を緩やかにQL1からQH1まで徐々に増量した後、緩やかにQH1からQL1へと徐々に減量する制御である。燃料スイープ増減制御(1)では、所定期間の間、燃料噴射量を徐々に増量することでピストンリングの周囲の異物を湿らせることを促進し、所定期間の間、燃料噴射量を徐々に減量することで燃焼温度を昇温させて、湿らせた異物を乾燥させることを促進する。これを所定回数(第1繰り返し回数)繰り返すことで、ピストンリングの周囲の異物の剥離を促進する。なお、燃料噴射量を減量した場合にピストン温度が300[℃]以上となるように下限の燃料噴射量QL1の値が設定されており、ピストンリングの周囲の異物を、より確実かつ適切に乾燥させることができる。
ステップSB210に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去運転中の可変ノズル31C、32C(図1参照)の閉度となる除去可変ノズル閉度Vremvに、中央可変ノズル閉度Vmidを代入することで、燃料スイープ増減制御(1)を実行中の可変ノズルの閉度を中央可変ノズル閉度Vmidに固定する。例えば中央可変ノズル閉度Vmidは、閉度56[%]の値に設定されている。また制御装置70は、異物除去運転中の燃料の噴射時期となる除去噴射時期Aremvに、中央噴射時期Amidを代入することで、燃料スイープ増減制御(1)を実行中の燃料の噴射時期を中央噴射時期Amidに固定する。例えば中央噴射時期Amidは、噴射時期−4[°CA](上死点よりも4[°CA]前の時期)の値に設定されている。そして制御装置70は、ステップSB215に処理を進める。
ステップSB215にて制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSB230に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSB220に処理を進める。なお、タイマは、燃料噴射量が下限のQL1から上限のQH1まで増量するまでの時間(あるいは上限のQH1から下限のQL1まで減量するまでの時間)の計測に使用される。
ステップSB220に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。そして制御装置70は、ステップSB225に処理を進める。
ステップSB225にて制御装置70は、増量スイープフラグ=ONに設定し、異物除去運転中の燃料噴射量となる除去噴射量Qremvに、下限の燃料噴射量(下側初期値)であるQL1を代入し、ステップSB230に処理を進める。なお、増量スイープフラグがONである場合、制御装置70は増量スイープ中であると判断し、増量スイープフラグがOFFである場合、制御装置70は減量スイープ中であると判断する。
ステップSB230に処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=ONであるか否かを判定し、増量スイープフラグ=ONである場合(Yes)はステップSB235Aに処理を進め、増量スイープフラグ=ONでない場合(No)はステップSB235Bに処理を進める。
ステップSB235Aに処理を進めた場合、制御装置70は、(現在の)除去噴射量Qremvに微小噴射量ΔQ1を加算して、除去噴射量Qremvを更新する(微小量だけ増量する)。微小噴射量ΔQ1は、緩やかな増量となるように適切な値が設定されている。そして制御装置70は、ステップSB240に処理を進める。
ステップSB235Bに処理を進めた場合、制御装置70は、(現在の)除去噴射量Qremvから微小噴射量ΔQ1を減算して、除去噴射量Qremvを更新する(微小量だけ減量する)。微小噴射量ΔQ1は、緩やかな減量となるように適切な値が設定されている。そして制御装置70は、ステップSB240に処理を進める。
ステップSB240に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが第1噴射スイープ時間以上であるか否かを判定し、第1噴射スイープ時間以上である場合(Yes)はステップSB245に処理を進め、第1噴射スイープ時間未満である場合(No)は図12に示す処理を終了する。図12の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。第1噴射スープ時間は、例えば60[sec]程度に設定されているが、60[sec]に限定されるものではない。
ステップSB245に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを再起動する(経過時間の計測を再開させる)。そして制御装置70は、ステップSB250に処理を進める。
ステップSB250にて制御装置70は、増量スイープフラグ=ONであるか否かを判定し、増量スイープフラグ=ONである場合(Yes)はステップSB255Aに処理を進め、増量スイープフラグ=ONでない場合(No)はステップSB255Bに処理を進める。
ステップSB255Aに処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=OFFに設定して、除去噴射量Qremvに、上限の燃料噴射量(上側初期値)であるQH1を代入し、図12に示す処理を終了する。図12の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
ステップSB255Bに処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=ONに設定して、除去噴射量Qremvに、下限の燃料噴射量(下側初期値)であるQL1を代入し、ステップSB260に処理を進める。
ステップSB260にて制御装置70は、第1繰り返しカウンタC1をカウントアップしてステップSB265に処理を進める。
ステップSB265にて制御装置70は、第1繰り返しカウンタC1が第1繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第1繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB270に処理を進め、第1繰り返し回数未満である場合(No)は図12に示す処理を終了する。図12の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば第1繰り返し回数は、10[回]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB270に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して図12に示す処理を終了する。図12の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
以上に説明した処理SB200(燃料スイープ増減制御(1))にて、図23における時間T10〜時間T20の、燃料噴射量を徐々に(かつ、緩やかに)増量する制御と燃料噴射量を徐々に(かつ、緩やかに)減量する制御とを繰り返す、燃料スイープ増減制御(1)が実行される。そして処理SB200では、所定期間(第1噴射スイープ時間)の間、燃料噴射量を徐々に増量して(ピストンリングの周囲の)異物を湿らせることを促進する燃料スイープ増量制御と、所定期間(第1噴射スイープ時間)の間、燃料噴射量を徐々に減量して湿らせた(ピストンリングの周囲の)異物を乾燥させることを促進する燃料スイープ減量制御と、を所定回数(第1繰り返し回数)繰り返してピストンリングの周囲の異物の剥離を促進する。
●[SB300:燃料スイープ増減制御(2)(図13)]
次に図13を用いて、図11のフローチャートにおけるステップSB135の処理SB300(燃料スイープ増減制御(2))の詳細について説明する。制御装置70は、図11のステップSB135にて処理SB300を実行すると、図13に示すステップSB310に処理を進める。燃料スイープ増減制御(2)は、図23の時間T20〜時間T30に示すように、燃料噴射量を比較的急激にQL2からQH2まで徐々に増量した後、比較的急激にQH2からQL2へと徐々に減量する制御である。燃料スイープ増減制御(2)では、所定期間の間、燃料噴射量を徐々に増量することでピストンリングの周囲の異物を湿らせることを促進し、所定期間の間、燃料噴射量を徐々に減量することで燃焼温度を昇温させて、湿らせた異物を乾燥させることを促進する。これを所定回数(第2繰り返し回数)繰り返すことで、ピストンリングの周囲の異物の剥離を促進する。なお、燃料噴射量を減量した場合にピストン温度が300[℃]以上となるように下限の燃料噴射量QL2の値が設定されており、ピストンリングの周囲の異物を、より確実かつ適切に乾燥させることができる。
なお図13に示す処理SB300は、図12に示す処理SB200に対して、太枠で示すステップSB325、SB335A、SB335B、SB340、SB355A、SB355B、SB360、SB365が、図12に対して変更されているが、他のステップは図12と同様であるので説明を省略する。以下、図12に示す処理SB200との相違点について主に説明する。
ステップSB310〜ステップSB320は、図12に示すステップSB210〜ステップSB220と同等であるので説明を省略する。
ステップSB325に処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=ONに設定し、異物除去運転中の燃料噴射量となる除去噴射量Qremvに、下限の燃料噴射量(下側初期値)であるQL2を代入し、ステップSB330に処理を進める。なお、増量スイープフラグがONである場合、制御装置70は増量スイープ中であると判断し、増量スイープフラグがOFFである場合、制御装置70は減量スイープ中であると判断する。
ステップSB330に処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=ONであるか否かを判定し、増量スイープフラグ=ONである場合(Yes)はステップSB335Aに処理を進め、増量スイープフラグ=ONでない場合(No)はステップSB335Bに処理を進める。
ステップSB335Aに処理を進めた場合、制御装置70は、(現在の)除去噴射量Qremvに微小噴射量ΔQ2を加算して、除去噴射量Qremvを更新する(微小量だけ増量する)。微小噴射量ΔQ2は、比較的急激な増量となるように適切な値が設定されている。そして制御装置70は、ステップSB340に処理を進める。
ステップSB335Bに処理を進めた場合、制御装置70は、(現在の)除去噴射量Qremvから微小噴射量ΔQ2を減算して、除去噴射量Qremvを更新する(微小量だけ減量する)。微小噴射量ΔQ2は、比較的急激な減量となるように適切な値が設定されている。そして制御装置70は、ステップSB340に処理を進める。
ステップSB340に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが第2噴射スイープ時間以上であるか否かを判定し、第2噴射スイープ時間以上である場合(Yes)はステップSB345に処理を進め、第2噴射スイープ時間未満である場合(No)は図13に示す処理を終了する。図13の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。第2噴射スープ時間は、例えば10[sec]程度に設定されているが、10[sec]に限定されるものではない。
ステップSB345に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを再起動する(経過時間の計測を再開させる)。そして制御装置70は、ステップSB350に処理を進める。
ステップSB350にて制御装置70は、増量スイープフラグ=ONであるか否かを判定し、増量スイープフラグ=ONである場合(Yes)はステップSB355Aに処理を進め、増量スイープフラグ=ONでない場合(No)はステップSB355Bに処理を進める。
ステップSB355Aに処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=OFFに設定して、除去噴射量Qremvに、上限の燃料噴射量(上側初期値)であるQH2を代入し、図13に示す処理を終了する。図13の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
ステップSB355Bに処理を進めた場合、制御装置70は、増量スイープフラグ=ONに設定して、除去噴射量Qremvに、下限の燃料噴射量(下側初期値)であるQL2を代入し、ステップSB360に処理を進める。
ステップSB360にて制御装置70は、第2繰り返しカウンタC2をカウントアップしてステップSB365に処理を進める。
ステップSB365にて制御装置70は、第2繰り返しカウンタC2が第2繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第2繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB370に処理を進め、第2繰り返し回数未満である場合(No)は図13に示す処理を終了する。図13の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば第2繰り返し回数は、10[回]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB370に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して図13に示す処理を終了する。図13の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
以上に説明した処理SB300(燃料スイープ増減制御(2))にて、図23における時間T20〜時間T30の、燃料噴射量を徐々に(かつ、急激に)増量する制御と燃料噴射量を徐々に(かつ、急激に)減量する制御とを繰り返す、燃料スイープ増減制御(2)が実行される。そして処理SB300では、所定期間(第2噴射スイープ時間)の間、燃料噴射量を徐々に増量して(ピストンリングの周囲の)異物を湿らせることを促進する燃料スイープ増量制御と、所定期間(第2噴射スイープ時間)の間、燃料噴射量を徐々に減量して湿らせた(ピストンリングの周囲の)異物を乾燥させることを促進する燃料スイープ減量制御と、を所定回数(第2繰り返し回数)繰り返してピストンリングの周囲の異物の剥離を促進する。
●[SB400:過給圧・排気圧ステップ増減制御(図14)]
次に図14を用いて、図11のフローチャートにおけるステップSB145の処理SB400(過給圧・排気圧ステップ増減制御)の詳細について説明する。制御装置70は、図11のステップSB145にて処理SB400を実行すると、図14に示すステップSB410に処理を進める。過給圧・排気圧ステップ増減制御は、図23の時間T30〜時間T40に示すように、可変ノズルの閉度を、中央可変ノズル閉度Vmid――>増側可変ノズル閉度Vinc――>減側可変ノズル閉度Vdecへと、ステップ的に変更することで、シリンダ内のピストンの首振り状態を促進する。ピストン首振り状態とは、図2に示すシリンダ中心軸線10BJに対して、ピストン中心軸線10FJが揺動する状態である。ピストン首振り状態とすることで、燃料スイープ増減制御にて剥離させたピストンリングの周囲の異物を振り落とすことを促進する。過給圧・排気圧ステップ増減制御は、ピストン首振り状態にするためのピストン首振り制御の1つである。
ステップSB410に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去運転中の燃料噴射量となる除去噴射量Qremvに、中央噴射量Qmidを代入することで、過給圧・排気圧ステップ増減制御を実行中の内燃機関の回転数を例えば3000[rpm]にほぼ固定する。例えば中央噴射量Qmidは、26[mm3/ストローク]の値に設定されている。また制御装置70は、異物除去運転中の燃料の噴射時期となる除去噴射時期Aremvに、中央噴射時期Amidを代入することで、過給圧・排気圧ステップ増減制御を実行中の燃料の噴射時期を中央噴射時期Amidに固定する。例えば中央噴射時期Amidは、噴射時期−4[°CA](上死点よりも4[°CA]前の時期)の値に設定されている。そして制御装置70は、ステップSB415に処理を進める。
ステップSB415にて制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSB430に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSB420に処理を進める。なお、タイマは、除去可変ノズル閉度Vremvを、中央可変ノズル閉度Vmidに維持する時間、増側可変ノズル閉度Vincに維持する時間、減側可変ノズル閉度Vdecに維持する時間、の計測に使用される。
ステップSB420に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。そして制御装置70は、ステップSB425に処理を進める。
ステップSB425にて制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、異物除去運転中の可変ノズルの閉度となる除去可変ノズル閉度Vremvに、中央可変ノズル閉度Vmidを代入し、ステップSB430に処理を進める。
ステップSB430に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが首振用過給圧時間以上経過したか否かを判定し、首振用過給圧時間以上経過した場合(Yes)はステップSB435に処理を進め、首振用過給圧時間以上経過していない場合(No)は図14に示す処理を終了する。図14の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば首振用過給圧時間は、5[sec]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB435に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを再起動する(経過時間の計測を再開させる)。そして制御装置70は、ステップSB440に処理を進める。
ステップSB440にて制御装置70は、動作モード=中央Midであるか否かを判定し、動作モード=中央Midである場合(Yes)はステップSB445に処理を進め、動作モード=中央Midでない場合(No)はステップSB450に処理を進める。
ステップSB445に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=増側Hiに設定し、除去可変ノズル閉度Vremvに、増側可変ノズル閉度Vincを代入し、図14に示す処理を終了する。図14の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば増側可変ノズル閉度Vincは、閉度65[%]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB450に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=増側Hiであるか否かを判定し、動作モード=増側Hiである場合(Yes)はステップSB455に処理を進め、動作モード=増側Hiでない場合(No)はステップSB465に処理を進める。
ステップSB455に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=減側Loに設定し、除去可変ノズル閉度Vremvに、減側可変ノズル閉度Vdecを代入し、図14に示す処理を終了する。図14の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば減側可変ノズル閉度Vdecは、閉度45[%]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB465に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、除去可変ノズル閉度Vremvに、中央可変ノズル閉度Vmidを代入し、ステップSB470に処理を進める。例えば中央可変ノズル閉度Vmidは、閉度56[%]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB470にて制御装置70は、第3繰り返しカウンタC3をカウントアップしてステップSB475に処理を進める。
ステップSB475にて制御装置70は、第3繰り返しカウンタC3が第3繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第3繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB480に処理を進め、第3繰り返し回数未満である場合(No)は図14に示す処理を終了する。図14の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば第3繰り返し回数は、3[回]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB480に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して図14に示す処理を終了する。図14の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
以上に説明した処理SB400(過給圧・排気圧ステップ増減制御)にて、図23における時間T30〜時間T40の、可変ノズル閉度を、中央可変ノズル閉度Vmid――>増側可変ノズル閉度Vinc――>減側可変ノズル閉度Vdec、へとステップ状に変更する制御を繰り返す、過給圧・排気圧ステップ増減制御が実行される。そして過給圧・排気圧ステップ増減制御は、可変ノズル閉度をステップ状に変更して内燃機関の過給圧や、排気マニホルド内圧力をステップ状に変更することで、ピストンを首振り状態にする。
●[SB500:燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御(図15)]
次に図15を用いて、図11のフローチャートにおけるステップSB155の処理SB500(燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御)の詳細について説明する。制御装置70は、図11のステップSB155にて処理SB500を実行すると、図15に示すステップSB510に処理を進める。燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御は、図23の時間T40〜時間T50に示すように、燃料の噴射を開始するクランク角度の位置を、中央噴射時期Amid――>減側噴射時期Adec――>増側噴射時期Aincへと、ステップ的に変更することで、シリンダ内のピストンの首振り状態を促進する。ピストン首振り状態とは、図2に示すシリンダ中心軸線10BJに対して、ピストン中心軸線10FJが揺動する状態である。ピストン首振り状態とすることで、燃料スイープ増減制御にて剥離させたピストンリングの周囲の異物を振り落とすことを促進する。燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御は、ピストン首振り状態にするためのピストン首振り制御の1つである。
SB510に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去運転中の燃料噴射量となる除去噴射量Qremvに、中央噴射量Qmidを代入することで、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御を実行中の内燃機関の回転数を例えば3000[rpm]にほぼ固定する。例えば中央噴射量Qmidは、26[mm3/ストローク]の値に設定されている。また制御装置70は、異物除去運転中の可変ノズルの閉度となる除去可変ノズル閉度Vremvに、中央可変ノズル閉度Vmidを代入することで、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御を実行中の可変ノズルの閉度を中央可変ノズル閉度Vmidに固定する。例えば中央可変ノズル閉度Vmidは、閉度56[%]の値に設定されている。そして制御装置70は、ステップSB515に処理を進める。
ステップSB515にて制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSB530に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSB520に処理を進める。なお、タイマは、除去噴射時期Aremvを、中央噴射時期Amidに維持する時間、減側噴射時期Adecに維持する時間、増側噴射時期Aincに維持する時間、の計測に使用される。
ステップSB520に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。そして制御装置70は、ステップSB525に処理を進める。
ステップSB525にて制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、異物除去運転中の燃料噴射の開始時期となる除去噴射時期Aremvに、中央噴射時期Amidを代入し、ステップSB530に処理を進める。
ステップSB530に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが首振用噴射時期時間以上経過したか否かを判定し、首振用噴射時期時間以上経過した場合(Yes)はステップSB535に処理を進め、首振用噴射時期時間以上経過していない場合(No)は図15に示す処理を終了する。図15の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば首振用噴射時期時間は、5[sec]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB535に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを再起動する(経過時間の計測を再開させる)。そして制御装置70は、ステップSB540に処理を進める。
ステップSB540にて制御装置70は、動作モード=中央Midであるか否かを判定し、動作モード=中央Midである場合(Yes)はステップSB545に処理を進め、動作モード=中央Midでない場合(No)はステップSB550に処理を進める。
ステップSB545に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=減側Loに設定し、除去噴射時期Aremvに、減側噴射時期Adecを代入し、図15に示す処理を終了する。図15の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば減側噴射時期Adecは、−2[°CA](上死点よりも2[°CA]前の時期)に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB550に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=減側Loであるか否かを判定し、動作モード=減側Loである場合(Yes)はステップSB555に処理を進め、動作モード=減側Loでない場合(No)はステップSB565に処理を進める。
ステップSB555に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=増側Hiに設定し、除去噴射時期Aremvに、増側噴射時期Aincを代入し、図15に示す処理を終了する。図15の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば増側噴射時期Aincは、−6[°CA](上死点よりも6[°CA]前の時期)に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB565に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、除去噴射時期Aremvに、中央噴射時期Amidを代入し、ステップSB570に処理を進める。例えば中央噴射時期Amidは、−4[°CA](上死点よりも4[°CA]前の時期)に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB570にて制御装置70は、第4繰り返しカウンタC4をカウントアップしてステップSB575に処理を進める。
ステップSB575にて制御装置70は、第4繰り返しカウンタC4が第4繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第4繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB580に処理を進め、第4繰り返し回数未満である場合(No)は図15に示す処理を終了する。図15の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば第4繰り返し回数は、3[回]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB580に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して図15に示す処理を終了する。図15の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
以上に説明した処理SB500(燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御)にて、図23における時間T40〜時間T50の、燃料噴射の開始時期を、中央噴射時期Amid――>減側噴射時期Adec――>増側噴射時期Ainc、へとステップ状に遅角と進角を繰り返す、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御が実行される。
●[SB600:燃料ステップ増減制御(図16)]
次に図16を用いて、図11のフローチャートにおけるステップSB165の処理SB600(燃料ステップ増減制御)の詳細について説明する。制御装置70は、図11のステップSB165にて処理SB600を実行すると、図16に示すステップSB610に処理を進める。燃料ステップ増減制御は、図23の時間T50〜時間T60に示すように、燃料噴射量を、中央噴射量Qmid――>増側噴射量Qinc――>減側噴射量Qdecへと、ステップ的に変更することで、シリンダ内のピストンの首振り状態を促進する。ピストン首振り状態とは、図2に示すシリンダ中心軸線10BJに対して、ピストン中心軸線10FJが揺動する状態である。ピストン首振り状態とすることで、燃料スイープ増減制御にて剥離させたピストンリングの周囲の異物を振り落とすことを促進する。燃料ステップ増減制御は、ピストン首振り状態にするためのピストン首振り制御の1つである。
ステップSB610に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去運転中の可変ノズルの閉度となる除去可変ノズル閉度Vremvに、中央可変ノズル閉度Vmidを代入することで、燃料ステップ増減制御を実行中の可変ノズルの閉度を中央可変ノズル閉度Vmidに固定する。例えば中央可変ノズル閉度Vmidは、閉度56[%]の値に設定されている。また制御装置70は、異物除去運転中の燃料の噴射時期となる除去噴射時期Aremvに、中央噴射時期Amidを代入することで、燃料ステップ増減制御を実行中の燃料の噴射時期を中央噴射時期Amidに固定する。例えば中央噴射時期Amidは、噴射時期−4[°CA](上死点よりも4[°CA]前の時期)の値に設定されている。そして制御装置70は、ステップSB615に処理を進める。
ステップSB615にて制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSB630に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSB620に処理を進める。なお、タイマは、除去噴射量Qremvを、中央噴射量Qmidに維持する時間、増側噴射量Qincに維持する時間、減側噴射量Qdecに維持する時間、の計測に使用される。
ステップSB620に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。そして制御装置70は、ステップSB625に処理を進める。
ステップSB625にて制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、異物除去運転中の燃料噴射量となる除去噴射量Qremvに、中央噴射量Qmidを代入し、ステップSB630に処理を進める。
ステップSB630に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが首振用噴射時間以上経過したか否かを判定し、首振用噴射時間以上経過した場合(Yes)はステップSB635に処理を進め、首振用噴射時間以上経過していない場合(No)は図16に示す処理を終了する。図16の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば首振用噴射時間は、5[sec]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB635に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを再起動する(経過時間の計測を再開させる)。そして制御装置70は、ステップSB640に処理を進める。
ステップSB640にて制御装置70は、動作モード=中央Midであるか否かを判定し、動作モード=中央Midである場合(Yes)はステップSB645に処理を進め、動作モード=中央Midでない場合(No)はステップSB650に処理を進める。
ステップSB645に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=増側Hiに設定し、除去噴射量Qremvに、増側噴射量Qincを代入し、図16に示す処理を終了する。図16の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば増側噴射量Qincは、28[mm3/ストローク]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB650に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=増側Hiであるか否かを判定し、動作モード=増側Hiである場合(Yes)はステップSB655に処理を進め、動作モード=増側Hiでない場合(No)はステップSB665に処理を進める。
ステップSB655に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=減側Loに設定し、除去噴射量Qremvに、減側噴射量Qdecを代入し、図16に示す処理を終了する。図16の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば減側噴射量Qdecは、24[mm3/ストローク]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB665に処理を進めた場合、制御装置70は、動作モード=中央Midに設定し、除去噴射量Qremvに、中央噴射量Qmidを代入し、ステップSB670に処理を進める。例えば中央噴射量Qmidは、26[mm3/ストローク]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB670にて制御装置70は、第5繰り返しカウンタC5をカウントアップしてステップSB675に処理を進める。
ステップSB675にて制御装置70は、第5繰り返しカウンタC5が第5繰り返し回数以上であるか否かを判定し、第5繰り返し回数以上である場合(Yes)はステップSB680に処理を進め、第5繰り返し回数未満である場合(No)は図16に示す処理を終了する。図16の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。例えば第5繰り返し回数は、3[回]に設定されているが、この値に限定されるものではない。
ステップSB680に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して図16に示す処理を終了する。図16の処理を終了すると、制御装置70は図11に示すステップSB185Aに処理を進める。
以上に説明した処理SB600(燃料ステップ増減制御)にて、図23における時間T50〜時間T60の、燃料噴射量を、中央噴射量Qmid――>増側噴射量Qinc――>減側噴射量Qdec、へとステップ状に変更する制御を繰り返す、燃料ステップ増減制御が実行される。
●[SC100:除去後確認処理(図17)]
次に図17を用いて、図6のフローチャートにおけるステップS070の処理SC100(除去後確認処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図6のステップS050にて処理SB100(異物除去処理)を実行した後、実行した処理SB100(異物除去処理)にて、実際に異物が除去されたか否か、ステップS070の処理SC100(除去後確認処理)にて確認する。制御装置70は、図6のステップS070にて処理SC100を実行すると、図17に示すステップSC110に処理を進める。なお、除去後確認済フラグ、除去後確認中フラグ、除去完了フラグは、初期値として「OFF」が設定されている。
なお、図17に示す処理SC100(除去後確認処理)の実行中は、除去後確認中フラグ=ONに設定される。除去後確認中フラグ=ONに設定されると、図20に示すように最終的に出力される燃料噴射量である最終噴射量は除去噴射量Qremvに切り替えられる。なお図20の処理の詳細については後述する。
ステップSC110に処理を進めた場合、制御装置70は、異物が除去されたか否かを確認するにあたり、内燃機関をアイドリング状態(例えば、回転数=1000[rpm]の状態)とするために、除去後確認中フラグ=ONに設定し、除去噴射量Qremvに、アイドリング噴射量Qidを代入し、ステップSC115に処理を進める。アイドリング噴射量Qidは、内燃機関をアイドリング状態にするための噴射量が設定されている。
ステップSC115にて制御装置70は、内燃機関の運転状態が第3検出条件を満足(成立)するか否かを判定し、第3検出条件を満足(成立)している場合(Yes)はステップSC120に処理を進め、第3検出条件を満足(成立)していない場合はステップSC125Bに処理を進める。なお、第3検出条件は、例えば「内燃機関の運転状態がアイドリング状態」かつ「内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動量範囲内あるいは内燃機関の負荷の変動量が許容負荷変動量範囲内」を含む条件である。
ステップSC120に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSC130に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSC125Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSC115の第3検出条件が満足(成立)されてからの経過時間を計測する。
ステップSC125Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動する(経過時間の計測を開始させる)。また制御装置70は、変数iの値を「1」に初期化する。制御装置70は、第3検出条件を満足する場合、以降の処理にて、第3所定時間の間、所定時間間隔で処理SC100を実行して、クランクケース内圧[i]を計測して記憶する。制御装置70は、以降の処理にて、例えば第3所定時間の間に100回クランクケース内圧を計測した場合、クランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[100]を記憶する。
ステップSC125Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図17に示す処理を終了する。図17の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS075に処理を進める。
ステップSC130に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得して、変数iの値を用いてクランクケース内圧[i]を記憶する。また制御装置70は、次に取得して記憶するクランクケース内圧の準備として変数iの値をカウントアップする。そして制御装置70は、ステップSC135に処理を進める。
ステップSC130の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異物除去運転実行部71I(図1参照)による異物除去運転モードが終了した後、内燃機関の運転状態を所定運転状態(アイドリング状態)にして内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第3所定時間の間取得する、第3クランクケース内圧取得部71J(図1参照)に相当している。なお、内燃機関を所定運転状態にする際、アイドリング状態以外の運転状態にしてもよい。
ステップSC135にて制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第3所定時間以上であるか否かを判定し、第3所定時間以上である場合(Yes)はステップSC140に処理を進め、第3所定時間未満である場合(No)は図17に示す処理を終了する。図17の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS075に処理を進める。なお、第3所定時間の値は適宜設定され、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSC140に処理を進めた場合、制御装置70はタイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSC145に処理を進める。
ステップSC145にて制御装置70は、処理SC200(異常再検出処理)を実行してステップSC150に処理を進める。なお、処理SC200(異常再検出処理)の詳細については後述する。
ステップSC150にて制御装置70は、除去後確認済フラグをONに設定して図17に示す処理を終了する。図17の処理を終了すると、制御装置70は図6に示すステップS075に処理を進める。なお制御装置70は、除去後確認済フラグがONに設定されていることで、処理SC100にて、異物除去運転モードを実行した結果の確認が終了したことを認識することができる。
●[SC200:異常再検出処理(図18)]
次に図18を用いて、図17のフローチャートにおけるステップSC145の処理SC200(異常再検出処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図17のステップSC145にて処理SC200を実行すると、図18に示すステップSC210に処理を進める。
ステップSC210に処理を進めた場合、制御装置70は、記憶した複数のクランクケース内圧[1]〜クランクケース内圧[p]を、前後で±ΔP内の圧力差、かつ、k個以上連続するデータ群Ad、Bd・・の各データ群に分類し、ステップSC215に処理を進める。なお、ΔP、kの値は適宜設定される。なお、この処理は図8に示すステップSA210の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップSC215にて制御装置70は、各データ群の平均圧力を算出してステップSC220に処理を進める。なお、この処理は図8に示すステップSA215の処理と同様であるので説明を省略する。
ステップSC220にて制御装置70は、隣り合うデータ群の平均圧力の差(ステップ状の変動量である圧力段差に相当)の少なくとも1つが、異常判定の閾値として設定された第3異常段差圧力以上であるか否かを判定し、少なくとも1つが第3異常段差圧力以上である場合(Yes)はステップSC225Aに処理を進め、そうでない場合(No)はステップSC225Bに処理を進める。なお、この処理は図8に示すステップSA220の処理と同様であるので説明を省略する。また、第3異常段差圧力は、実際の車両を用いた実験やシミュレーション等によって適切な値が選定されている。
ステップSC225Aに処理を進めた場合、制御装置70は、除去完了フラグをONに設定して、図18に示す処理を終了する。図18の処理を終了すると、制御装置70は図17に示すステップSC150に処理を進める。
ステップSC225Bに処理を進めた場合、制御装置70は、除去完了フラグをOFFに設定して、図18に示す処理を終了する。図18の処理を終了すると、制御装置70は図17に示すステップSC150に処理を進める。
処理SC200を実行している制御装置70(CPU71)は、第3クランクケース内圧取得部71J(図1参照)によるクランクケース内圧の取得に対応させて異常検出部71D(図1参照)の処理を実行し、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積の有無を検出する、異物除去確認部71K(図1参照)に相当している。
●[既存のターボモード切替処理(図19)]
次に図19を用いて、既存のターボモード切替処理(吸気バイパス弁、吸気切替弁、排気切替弁の制御)の変更点について説明する。上述した異物除去運転モードを実行する際には、既存のターボモードの切替処理(1ターボモード<――>2ターボモードの切替処理)を停止して、2ターボモードに固定する。ターボモード切替処理を実行する場合、制御装置70は、ステップSTM010に処理を進める。制御装置70は、1ターボモードの場合、図1に示す吸気バイパス弁61=閉、吸気切替弁62=閉、排気切替弁63=閉に制御し、2ターボモードの場合、吸気バイパス弁61=閉、吸気切替弁62=開、排気切替弁63=開に制御する。
ステップSTM010に処理を進めた場合、制御装置70は、異物除去実行中フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実行中フラグ=ONである場合(Yes)はステップSTM015Bに処理を進め、異物除去実行中フラグ=ONでない場合(No)はステップSTM015Aに処理を進める。
ステップSTM015Aに処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理にて算出した切替モードを、ターボ切替モードに代入してステップSTM020に処理を進める。
ステップSTM015Bに処理を進めた場合、制御装置70は、2ターボモードに固定する情報を、ターボ切替モードに代入してステップSTM020に処理を進める。
ステップSTM020に処理を進めた場合、制御装置70は、ターボ切替モードに基づいて、吸気バイパス弁、吸気切替弁、排気切替弁を制御して処理を終了する。
●[既存の噴射量算出処理(図20)]
次に図20を用いて、既存の噴射量算出処理の変更点について説明する。上述した異物除去運転モードを実行する際、及び除去後確認処理を実行する際には、既存の処理にて求めた噴射量Qstdでなく、除去噴射量Qremvに設定された燃料噴射量を噴射する。噴射量算出処理を実行する場合、制御装置70は、ステップSQ010に処理を進める。
ステップSQ010に処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理にて噴射量Qstdを算出し、ステップSQ015に処理を進める。
ステップSQ015にて制御装置70は、異物除去実行中フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実行中フラグ=ONである場合(Yes)はステップSQ025Bに処理を進め、異物除去実行中フラグ=ONでない場合(No)はステップSQ020に処理を進める。
ステップSQ020に処理を進めた場合、制御装置70は、除去後確認中フラグ=ONであるか否かを判定し、除去後確認中フラグ=ONである場合(Yes)はステップSQ025Bに処理を進め、除去後確認中フラグ=ONでない場合(No)はステップSQ025Aに処理を進める。
ステップSQ025Aに処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理で求めた噴射量Qstdを、噴射の際に使用する最終噴射量Qに代入して処理を終了する。
ステップSQ025Bに処理を進めた場合、制御装置70は、除去噴射量Qremvを、噴射の際に使用する最終噴射量Qに代入して処理を終了する。
●[既存の可変ノズル閉度算出処理(図21)]
次に図21を用いて、既存の可変ノズル閉度算出処理の変更点について説明する。上述した異物除去運転モードを実行する際には、既存の処理にて求めた可変ノズル閉度Vstdでなく、除去可変ノズル閉度Vremvに設定された閉度にて可変ノズルを制御する。可変ノズル閉度算出処理を実行する場合、制御装置70は、ステップSV010に処理を進める。
ステップSV010に処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理にて可変ノズル閉度Vstdを算出し、ステップSV015に処理を進める。
ステップSV015にて制御装置70は、異物除去実行中フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実行中フラグ=ONである場合(Yes)はステップSV020Bに処理を進め、異物除去実行中フラグ=ONでない場合(No)はステップSV020Aに処理を進める。
ステップSV020Aに処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理で求めた可変ノズル閉度Vstdを、可変ノズルの閉度の最終出力に使用する最終可変ノズル閉度Vに代入して処理を終了する。
ステップSV020Bに処理を進めた場合、制御装置70は、除去可変ノズル閉度Vremvを、可変ノズルの閉度の最終出力に使用する最終可変ノズル閉度Vに代入して処理を終了する。
●[既存の噴射時期算出処理(図22)]
次に図22を用いて、既存の噴射時期算出処理の変更点について説明する。上述した異物除去運転モードを実行する際には、既存の処理にて求めた噴射時期Astdでなく、除去噴射時期Aremvに設定された噴射時期にて燃料の噴射を開始する。噴射時期算出処理を実行する場合、制御装置70は、ステップSZ010に処理を進める。
ステップSZ010に処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理にて噴射時期Astdを算出し、ステップSZ015に処理を進める。
ステップSZ015にて制御装置70は、異物除去実行中フラグ=ONであるか否かを判定し、異物除去実行中フラグ=ONである場合(Yes)はステップSZ020Bに処理を進め、異物除去実行中フラグ=ONでない場合(No)はステップSZ020Aに処理を進める。
ステップSZ020Aに処理を進めた場合、制御装置70は、既存の処理で求めた噴射時期Astdを、燃料の噴射開始時期の最終出力に使用する最終噴射時期Aに代入して処理を終了する。
ステップSZ020Bに処理を進めた場合、制御装置70は、除去噴射時期Aremvを、燃料の噴射開始時期の最終出力に使用する最終噴射時期Aに代入して処理を終了する。
●[第2の実施の形態における、制御装置70の全体処理の処理手順(図24)]
次に図24〜図28を用いて、制御装置70の第2の実施の形態の処理手順について説明する。異物を検出する際、第1の実施の形態ではクランクケース内圧の異常段差圧力の有無で異物の有無を検出したが、第2の実施の形態では、実際に検出したクランクケース内圧と、予め設定した基準内圧との偏差が閾値以上であるか否かで異物の有無を検出する点が異なる。なお、異物除去運転モードについては第1の実施の形態と同じであるので説明を省略する。まず図24を用いて、第2の実施の形態の全体処理について、第1の実施の形態の全体処理(図6)との相違点について主に説明する。
なお図6に示す第1の実施の形態と同様、図24に示す第2の実施の形態の全体処理は、例えば所定時間間隔(例えば、数[ms]〜数10[ms]間隔)で起動され、起動されると、制御装置70(CPU71)は、ステップS010へと処理を進める。なお、制御装置70が起動された場合には、異物検出終了フラグ、(最終)異物ありフラグ、異物除去実施済フラグ、異物除去実行中フラグ、除去後確認済フラグ、除去後確認中フラグ、除去完了フラグ、等の各種のフラグは、初期値としてOFFが設定されている点も、第1の実施の形態と同様である。
図24に示す第2の実施の形態の全体処理では、図6に示す第1の実施の形態に対して、ステップS020の処理が、処理SA100(異物検出処理)から処理SD100(異物検出処理)に変更されている。また、図24に示す第2の実施の形態の全体処理では、図6に示す第1の実施の形態に対して、ステップS070の処理が、処理SC100(除去後確認処理)から処理SE100(除去後確認処理)に変更されている。他のステップについては、図24に示す第2の実施の形態と、図6に示す第1の実施の形態とは同じである。以下、処理SD100(異物検出処理)と、処理SE100(除去後確認処理)の詳細について説明する。
●[SD100:異物検出処理(図25〜図27)]
次に図25を用いて、図24のフローチャートにおけるステップS020の処理SD100(異物検出処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図24のステップS020にて処理SD100を実行すると、図25に示すステップSD110に処理を進める。
ステップSD110に処理を進めた場合、制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグ=ONであるか否かを判定し、異物検出(仮)終了フラグ=ONである場合(Yes)はステップSD155に処理を進め、異物検出(仮)終了フラグ=ONでない場合(No)はステップSD115に処理を進める。なお制御装置70は、処理SD100にて、異物検出(異常検出)を念のために2回行い、1回目の異物検出(異常検出)が終了した場合に異物検出(仮)終了フラグをONにする点は、第1の実施の形態と同じである。
ステップSD115に処理を進めた場合、制御装置70は、内燃機関の運転状態が第1検出条件を満足しているか否かを判定し、第1検出条件を満足している場合(Yes)はステップSD120に処理を進め、第1検出条件を満足していない場合(No)はステップSD125Bに処理を進める。なお、第1検出条件は、第1の実施の形態と同様であり、例えば、「内燃機関が暖機後の状態」かつ「内燃機関の負荷(回転数と燃料噴射量に基づいて求められる負荷)の変動量が許容負荷変動範囲内、あるいは、内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動範囲内」を含む条件である。
ステップSD115の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、検出した内燃機関の運転状態に基づいて、内燃機関の負荷の変動量が許容負荷変動範囲内あるいは内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動範囲内であり、かつ、内燃機関が暖機後であることを含む検出条件(第1検出条件)を満足するか否かを判定する、検出条件判定部71B(図1参照)に相当している。
ステップSD120に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSD130に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSD125Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSD115の第1検出条件が満足されてからの経過時間を計測する。
ステップSD125Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動(経過時間の計測を開始)して、念のために(仮)異物ありフラグをOFFに設定し、ステップSD130に処理を進める。制御装置70は、第1検出条件を満足する場合、以降の処理にて、第1所定時間の間、所定時間間隔で処理SD100を実行して、クランクケース内圧を計測し、計測する毎に、計測したクランクケース内圧と基準内圧との偏差に基づいて異常の有無を判定する。
ステップSD125Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図25に示す処理を終了する。図25の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS025に処理を進める。
ステップSD130に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得する。また制御装置70の記憶手段73には、図27に示す基準クランクケース内圧特性が記憶されている。図27に示す基準クランクケース内圧特性は、内燃機関の運転状態(負荷または回転数)に応じて、ピストンリングの周囲に異物が堆積していない正常な場合のクランクケース内の基準となる圧力である基準内圧が設定されており、実際の車両やシミュレーション等に基づいて設定されている。制御装置70は、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)と、基準クランクケース内圧特性と、に基づいて、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)に応じた基準内圧(基準圧力に相当)を求める。そして制御装置70は、取得したクランクケース内圧と基準内圧との偏差である第1圧力偏差(=取得したクランクケース内圧−基準内圧)を求め、ステップSD135に処理を進める。なお、基準クランクケース内圧特性は、内燃機関の運転状態に応じた基準内圧が設定されていればよく、運転状態は負荷または回転数に限定されるものではなく、図27に示すグラフ状(マップ状)でなくてもよい。
ステップSD130の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、(検出条件(第1検出条件)を満足する場合に)内燃機関の運転状態の1つである内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第1所定時間の間取得する、第1クランクケース内圧取得部71C(図1参照)に相当している。
ステップSD135にて制御装置70は、第1圧力偏差が、異常判定の閾値として設定された第1異常判定圧力以上であるか否かを判定し、第1圧力偏差が第1異常判定圧力以上である場合(Yes)はステップSD140に処理を進め、第1圧力偏差が第1異常判定圧力未満である場合(No)はステップSD145に処理を進める。
例えば第1異常判定圧力は、(第1)圧力偏差を求めた際の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)と、基準クランクケース内圧特性と、に基づいて求めた基準内圧(すなわち、ステップSD130にて求めた基準内圧)と、内燃機関がアイドリング状態の運転状態(負荷または回転数)と、基準クランクケース内圧特性と、に基づいて求めた基準内圧と、の圧力差の半分以下に設定された値である。例えば第1異常判定圧力は、図27において、内燃機関のアイドリング回転数Neid(または負荷)から求めた基準内圧Psidと、現在の内燃機関の回転数Ne1(または負荷)から求めた基準内圧Ps1と、の圧力差ΔPsの半分以下の値に設定されている。なお、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)がアイドリング状態またはアイドリング状態の近傍である場合では、第1異常判定圧力は、上記の「圧力差ΔPsの半分以下の値」の代わりに、予め別に設定された値の第1異常判定圧力が利用される。あるいは、ステップSD115の第1検出条件に、「アイドリング状態でない」という条件が含まれていてもよい。なおアイドリング状態での基準内圧Psidは一定であるが、現在の内燃機関の回転数(または負荷)に応じて基準内圧Ps1が変動するので、第1異常判定圧力も変動する。
ステップSD140に処理を進めた場合、制御装置70は、(仮)異常ありフラグをONに設定してステップSD145に処理を進める。例えば図26に示す例では、時間Ta〜時間Tbの間、(仮)異常ありフラグがONに設定される。なお、図25の例では、第1圧力偏差が1回でも第1異常判定圧力以上となった場合に(仮)異常ありフラグをONに設定する例を示しているが、第1圧力偏差が第1異常判定圧力以上と判定された回数を求め、所定回数以上となった場合に(仮)異常ありフラグをONに設定するようにしてもよい。
ステップSD145に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第1所定時間以上であるか否かを判定し、第1所定時間以上である場合(Yes)はステップSD147に処理を進め、第1所定時間未満である場合(No)は図25に示す処理を終了する。図25の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS025に処理を進める。なお、第1所定時間の値は適宜設定され、第1の実施の形態と同様、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSD147に処理を進めた場合、制御装置70はタイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSD150に処理を進める。
ステップSD150にて制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグをONに設定してステップSD155に処理を進める。制御装置70は、異物検出(仮)終了フラグがONに設定されていることで、ステップSD115〜SD147にて、2回実行する異物検出(異常検出)の1回目が終了したことを認識することができる。
処理SD100のステップSD115〜SD150の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、取得したクランクケース内圧と、内燃機関の運転状態(負荷または回転数)と基準クランクケース内圧特性に基づいて求めた基準内圧と、の偏差である圧力偏差(第1圧力偏差)を求め、異常判定の閾値として設定された異常判定圧力(第1異常判定圧力)以上となる圧力偏差(第1圧力偏差)の有無に基づいて、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積の有無を検出する、異常検出部71D(図1参照)に相当している。
ステップSD155に処理を進めた場合、制御装置70は、(仮)異常ありフラグ=ONであるか否かを判定し、(仮)異常ありフラグ=ONである場合(Yes)はステップSD160に処理を進め、(仮)異常ありフラグ=ONでない場合(No)はステップSD195に処理を進める。なお、(仮)異常ありフラグは、1回目の異物検出(異常検出)の処理であるステップSD115〜SD147にて、異常が検出された場合にONとされるフラグである。
ステップSD160に処理を進めた場合、制御装置70は、内燃機関の運転状態が第2検出条件を満足しているか否かを判定し、第2検出条件を満足している場合(Yes)はステップSD165に処理を進め、第2検出条件を満足していない場合(No)はステップSD170Bに処理を進める。なお、第2検出条件は、第1の実施の形態と同様、例えば、「内燃機関の運転状態がアイドリング状態」を含む条件である。
ステップSD160の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異常検出部71D(図1参照、ステップSD115〜SD150に相当)にて、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合((仮)異常ありフラグ=ONの場合)、内燃機関の運転状態がアイドリング状態(所定運転状態)であることを含む再検出条件(第2検出条件)を満足するか否かを判定する、再検出条件判定部71E(図1参照)に相当している。なお「所定運転状態」は、アイドリング状態に限定されず、種々の運転状態に設定することができる。
ステップSD165に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSD175に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSD170Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSD160の第2検出条件が満足されてからの経過時間を計測する。
ステップSD170Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動(経過時間の計測を開始)して、念のために(最終)異物ありフラグをOFFに設定してステップSD175に処理を進める。制御装置70は、第2検出条件を満足する場合、以降の処理にて、第2所定時間の間、所定時間間隔で処理SD100を実行して、クランクケース内圧を計測し、計測する毎に、計測したクランクケース内圧と基準内圧との偏差に基づいて異常の有無を判定する。
ステップSD170Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図25に示す処理を終了する。図25の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS025に処理を進める。
ステップSD175に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得する。また制御装置70は、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数(アイドリング状態の負荷または回転数))と、基準クランクケース内圧特性と、に基づいて、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)に応じた基準内圧を求める。そして制御装置70は、取得したクランクケース内圧と基準内圧との偏差である第2圧力偏差(=取得したクランクケース内圧−基準内圧)を求め、ステップSD185に処理を進める。
ステップSD175の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異常検出部71D(図1参照)にて内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合に(そして再検出条件(第2検出条件)を満足する場合に)内燃機関の運転状態の1つである内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第2所定時間の間取得する、第2クランクケース内圧取得部71F(図1参照)に相当している。
ステップSD180にて制御装置70は、第2圧力偏差が、異常判定の閾値として設定された第2異常判定圧力以上であるか否かを判定し、第2圧力偏差が第2異常判定圧力以上である場合(Yes)はステップSD185に処理を進め、第2圧力偏差が第2異常判定圧力未満である場合(No)はステップSD190に処理を進める。
なお、第2異常判定圧力は、実際の車両やシミュレーション等によって、アイドリング状態にて異常を判定可能となる適切な値に設定されている。
ステップSD185に処理を進めた場合、制御装置70は、(最終)異常ありフラグをONに設定してステップSD190に処理を進める。なお、図25の例では、第2圧力偏差が1回でも第2異常判定圧力以上となった場合に(最終)異常ありフラグをONに設定する例を示しているが、第2圧力偏差が第2異常判定圧力以上と判定された回数を求め、所定回数以上となった場合に(最終)異常ありフラグをONに設定するようにしてもよい。
また、ステップSD155〜SD195の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異常再検出部71G(図1参照)にて、再度((仮)異常ありフラグ=ONに対して、再度)、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると検出した場合に、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積が有ると確定判定する((最終)異常ありフラグ=ONとする)、異常確定判定部71H(図1参照)に相当している。
ステップSD190に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第2所定時間以上であるか否かを判定し、第2所定時間以上である場合(Yes)はステップSD192に処理を進め、第2所定時間未満である場合(No)は図25に示す処理を終了する。図25の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS025に処理を進める。なお、第2所定時間の値は適宜設定され、第1の実施の形態と同様、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSD192に処理を進めた場合、制御装置70はタイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSD195に処理を進める。
ステップSD195に処理進めた場合、制御装置70は、異物検出終了フラグをONに設定して図25に示す処理を終了する。図25の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS025に処理を進める。制御装置70は、異物検出終了フラグがONに設定されていることで、処理SD100(異物検出処理)が終了したことを認識することができる。
なお、ステップSD160〜ステップSD192を実行している制御装置70(CPU71)は、第2クランクケース内圧取得部71F(図1参照)によるクランクケース内圧の取得に対応させて異常検出部71D(図1参照)の処理を実行する(異常検出部71Dと同様の異常判定を行う)、異常再検出部71G(図1参照)に相当している。制御装置70は、1回目の異常検出(異物検出)である異常検出部71Dにて異常を判定((仮)異常ありフラグ=ON)し、さらに、2回目の異常再検出(異物再検出)にて異常を判定した場合、異常を確定する((最終)異常ありフラグ=ONとする)。
●[SE100:除去後確認処理(図28)]
次に図28を用いて、図24のフローチャートにおけるステップS070の処理SE100(除去後確認処理)の詳細について説明する。制御装置70は、図24のステップS050にて処理SB100(異物除去処理)を実行した後、実行した処理SB100(異物除去処理)にて、実際に異物が除去されたか否か、ステップS070の処理SE100(除去後確認処理)にて確認する。制御装置70は、図24のステップS070にて処理SE100を実行すると、図28に示すステップSE110に処理を進める。なお、除去後確認済フラグ、除去後確認中フラグ、除去完了フラグは、初期値として「OFF」が設定されている。
なお、図28に示す処理SE100(除去後確認処理)の実行中は、除去後確認中フラグ=ONに設定される。除去後確認中フラグ=ONに設定されると、第1の実施の形態と同様、図20に示すように最終的に出力される燃料噴射量である最終噴射量は除去噴射量Qremvに切り替えられる。
ステップSE110に処理を進めた場合、制御装置70は、異物が除去されたか否かを確認するにあたり、内燃機関をアイドリング状態(例えば、回転数=1000[rpm]の状態)とするために、除去後確認中フラグ=ONに設定し、除去噴射量Qremvに、アイドリング噴射量Qidを代入し、ステップSE115に処理を進める。アイドリング噴射量Qidは、内燃機関をアイドリング状態にするための噴射量が設定されている。
ステップSE115にて制御装置70は、内燃機関の運転状態が第3検出条件を満足するか否かを判定し、第3検出条件を満足している場合(Yes)はステップSE120に処理を進め、第3検出条件を満足していない場合はステップSE125Bに処理を進める。なお、第3検出条件は、例えば「内燃機関の運転状態がアイドリング状態」かつ「内燃機関の回転数の変動量が許容回転数変動量範囲内あるいは内燃機関の負荷の変動量が許容負荷変動量範囲内」を含む条件である。
ステップSE120に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマが起動中であるか否かを判定し、タイマが起動中である場合(Yes)はステップSE130に処理を進め、タイマが起動中でない場合(No)はステップSE125Aに処理を進める。なお、この場合のタイマは、ステップSE115の第3検出条件が満足されてからの経過時間を計測する。
ステップSE125Aに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを初期化(0にリセット)して、タイマを起動(経過時間の計測を開始)して、念のために除去後異物ありフラグをOFFに設定し、ステップSE130に処理を進める。制御装置70は、第3検出条件を満足する場合、以降の処理にて、第3所定時間の間、所定時間間隔で処理SE100を実行して、クランクケース内圧を計測し、計測する毎に、計測したクランクケース内圧と基準内圧との偏差に基づいて異常の有無を判定する。
ステップSE125Bに処理を進めた場合、制御装置70は、タイマを停止して(経過時間の計測を停止して)図28に示す処理を終了する。図28の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS075に処理を進める。
ステップSE130に処理を進めた場合、制御装置70は、圧力検出手段22P(図1、図2参照)からの検出信号に基づいて、クランクケース内圧を取得する。また制御装置70は、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数(アイドリング状態の負荷または回転数))と、基準クランクケース内圧特性と、に基づいて、現在の内燃機関の運転状態(負荷または回転数)に応じた基準内圧を求める。そして制御装置70は、取得したクランクケース内圧と基準内圧との偏差である第3圧力偏差(=取得したクランクケース内圧−基準内圧)を求め、ステップSE135に処理を進める。
ステップSE130の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、異物除去運転実行部71I(図1参照)による異物除去運転モードが終了した後、内燃機関の運転状態を所定運転状態(アイドリング状態)にして内燃機関のクランクケース内の圧力であるクランクケース内圧を第3所定時間の間取得する、第3クランクケース内圧取得部71J(図1参照)に相当している。なお、内燃機関を所定運転状態にする際、アイドリング状態以外の運転状態にしてもよい。
ステップSE135にて制御装置70は、第3圧力偏差が第3異常判定圧力以上であるか否かを判定し、第3圧力偏差が第3異常判定圧力以上である場合(Yes)はステップSE140に処理を進め、第3圧力偏差が第3異常判定圧力未満である場合(No)はステップSE145に処理を進める。
なお、第3異常判定圧力は、実際の車両やシミュレーション等によって、アイドリング状態にて異常を判定可能となる適切な値に設定されている。
ステップSE140に処理を進めた場合、制御装置70は、除去後異物ありフラグをONに設定してステップSE145に処理を進める。なお、図28の例では、第3圧力偏差が1回でも第3異常判定圧力以上となった場合に除去後異物ありフラグをONに設定する例を示しているが、第3圧力偏差が第3異常判定圧力以上と判定された回数を求め、所定回数以上となった場合に除去後異物ありフラグをONに設定するようにしてもよい。
ステップSE130〜SE140の処理を実行している制御装置70(CPU71)は、第3クランクケース内圧取得部71J(図1参照)によるクランクケース内圧の取得に対応させて異常検出部71D(図1参照)の処理を実行し、内燃機関のピストンリングの周囲への異物の堆積の有無を検出する、異物除去確認部71K(図1参照)に相当している。
ステップSE145に処理を進めた場合、制御装置70は、タイマで計測した経過時間が第3所定時間以上であるか否かを判定し、第3所定時間以上である場合(Yes)はステップSE150に処理を進め、第3所定時間未満である場合(No)は図28に示す処理を終了する。図28の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS075に処理を進める。なお、第3所定時間の値は適宜設定され、第1の実施の形態と同様、例えば数10[sec]〜数[min]程度である。
ステップSE150にて制御装置70は、タイマの動作を停止させて(経過時間の計測を停止させて)ステップSE155に処理を進める。
ステップSE155にて制御装置70は、除去後異物ありフラグ=ONであるか否かを判定し、除去後異物ありフラグ=ONの場合(Yes)はステップSE160Aに処理を進め、除去後異物ありフラグ=ONでない場合(No)はステップSE160Bに処理を進める。
ステップSE160Aに処理を進めた場合、制御装置70は、除去完了フラグをOFFに設定してステップSE165に処理を進める。
ステップSE160Bに処理を進めた場合、制御装置70は、除去完了フラグをONに設定してステップSE165に処理を進める。
ステップSE165に処理を進めた場合、制御装置70は、除去後確認済フラグをONに設定して図28に示す処理を終了する。図28の処理を終了すると、制御装置70は図24に示すステップS075に処理を進める。
第2の実施の形態では、クランクケース内圧をグループに分類して平均を求める第1の実施の形態と比較して、クランクケース内圧を用いた異常の判定を、より簡素化することができる。
本発明の内燃機関の制御装置は、本実施の形態で説明した構成、構造、処理手順、動作等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。また、内燃機関システムについては、図1の例に示すものに限定されず、種々の内燃機関システムに適用することが可能である。
本実施の形態の説明では、第1過給機と第2過給機の2機の過給機を有する内燃機関システムを例として説明したが、1機の過給機を有する内燃機関にも適用可能であるとともに3機以上の過給機を有する内燃機関や、過給機を有していない内燃機関にも適用可能である。また、本実施の形態の説明では、第1過給機と第2過給機が並列的に過給する構成(直列的に過給することも可能な構成)の例を説明したが、複数の過給機が並列的に過給する構成であっても、直列的に過給する構成であっても、本発明を適用することが可能である。
本実施の形態の説明では、燃料スイープ(緩スイープ)増減制御(1)と、燃料スイープ(急スイープ)増減制御(2)と、を行う例を説明したが、少なくとも一方のスイープ制御を行えばよい。また、ピストン首振り制御として、過給圧・排気圧ステップ増減制御と、燃料噴射時期ステップ進角・遅角制御と、燃料ステップ増減制御と、を行う例を説明したが、少なくとも1つを行えばよい。
また、本実施の形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。