JP2018017213A - エンジンの診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クランクセンサとカムセンサの両方の異常を検出する。【解決手段】エンジンの診断装置は、クランク位相を検出するためのクランクセンサ40と、カム位相を検出するためのカムセンサ41と、クランクシャフト17の回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータを取得するための取得部100と、エンジンの燃料噴射停止中に、クランクセンサとカムセンサが周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、取得部がクランクシャフト回転時の値のパラメータを取得したとき、クランクセンサとカムセンサの両方を異常と診断する診断部100とを備える。【選択図】図2
Description
本発明はエンジンの診断装置に係り、特に、クランクセンサとカムセンサの異常の有無を診断可能なエンジンの診断装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)において、クランク位相の検出と位相判別を行うため、クランクセンサとカムセンサを設けることが知られている。また、一方のセンサに異常が発生した場合、一時的に他方のセンサの出力を用いてエンジンを制御し、車両の退避走行等を可能にすることも知られている。
一般に、一方のセンサの異常は他方のセンサの出力を用いて検出される。しかし、両方のセンサに異常が発生した場合にはこれを検出することが相当に困難である。
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創案され、その目的は、クランクセンサとカムセンサの両方に異常が発生した場合に当該異常を検出することができるエンジンの診断装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
エンジンのクランク位相を検出するためのクランクセンサと、
前記エンジンのカム位相を検出するためのカムセンサと、
前記エンジンのクランクシャフトの回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータを取得するための取得部と、
前記エンジンの燃料噴射停止中に、前記クランクセンサと前記カムセンサが周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、前記取得部がクランクシャフト回転時の値の前記パラメータを取得したとき、前記クランクセンサと前記カムセンサの両方を異常と診断する診断部と、
を備えたことを特徴とするエンジンの診断装置が提供される。
エンジンのクランク位相を検出するためのクランクセンサと、
前記エンジンのカム位相を検出するためのカムセンサと、
前記エンジンのクランクシャフトの回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータを取得するための取得部と、
前記エンジンの燃料噴射停止中に、前記クランクセンサと前記カムセンサが周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、前記取得部がクランクシャフト回転時の値の前記パラメータを取得したとき、前記クランクセンサと前記カムセンサの両方を異常と診断する診断部と、
を備えたことを特徴とするエンジンの診断装置が提供される。
好ましくは、前記パラメータが、吸気流量、コモンレール圧、ブースト圧、燃料圧、油圧、排気温、吸気温、インタークーラ出入口温度差、またはクランキング時バッテリ電圧からなる。
本発明によれば、クランクセンサとカムセンサの両方に異常が発生した場合に当該異常を検出することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の概略構成図である。エンジン(内燃機関)1は、車両に搭載された多気筒の圧縮着火式内燃機関、すなわちディーゼルエンジンである。図示例は直列6気筒エンジンを示すが、エンジンのシリンダ配置形式、気筒数等は任意である。
エンジン1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に接続された吸気通路3および排気通路4と、燃料噴射装置5とを備える。エンジン本体2は、シリンダヘッド、シリンダブロック、クランクケース等の構造部品と、その内部に収容されたピストン、クランクシャフト、バルブ等の可動部品とを含む。
燃料噴射装置5は、コモンレール式燃料噴射装置からなり、各気筒に設けられた燃料噴射弁すなわちインジェクタ7と、インジェクタ7に接続されたコモンレール8とを備える。インジェクタ7は、シリンダ9内に燃料を直接噴射する。コモンレール8は、インジェクタ7から噴射される燃料を高圧状態で貯留する。
吸気通路3は、エンジン本体2(特にシリンダヘッド)に接続された吸気マニホールド10と、吸気マニホールド10の上流端に接続された吸気管11とにより主に画成される。吸気マニホールド10は、吸気管11から送られてきた吸気を各気筒の吸気ポートに分配供給する。吸気管11には、上流側から順に、エアクリーナ12、エアフローメータ13、ターボチャージャ14のコンプレッサ14C、インタークーラ15、および電子制御式の吸気スロットルバルブ16が設けられる。エアフローメータ13は、エンジン1の単位時間当たりの吸入空気量すなわち吸気流量を検出するためのセンサである。
排気通路4は、エンジン本体2(特にシリンダヘッド)に接続された排気マニホールド20と、排気マニホールド20の下流側に配置された排気管21とにより主に画成される。排気マニホールド20は、各気筒の排気ポートから送られてきた排気ガスを集合させる。排気管21、もしくは排気マニホールド20と排気管21の間には、ターボチャージャ14のタービン14Tが設けられる。タービン14Tより下流側の排気管21には、上流側から順に、酸化触媒22、パティキュレートフィルタ(以下「DPF」という)23、NOx触媒24およびアンモニア酸化触媒26が設けられる。
酸化触媒22は、排気ガス中の未燃成分(炭化水素HCおよび一酸化炭素CO)を酸化して浄化すると共に、このときの反応熱で排気ガスを加熱昇温し、また排気中のNOをNO2に酸化する。DPF23は、所謂連続再生式の触媒付きDPFからなり、排気中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集すると共に、捕集したPMを連続的に燃焼除去する。NOx触媒24は選択還元型NOx触媒(SCR)からなり、添加弁25から添加された尿素水に起因するアンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する。アンモニア酸化触媒26は、NOx触媒24から排出された余剰アンモニアを酸化して浄化する。
エンジン1はEGR装置30をも備える。EGR装置30は、排気通路4内(特に排気マニホールド20内)の排気ガスの一部(「EGRガス」という)を吸気通路3内(特に吸気マニホールド10内)に還流させるためのEGR通路31と、EGR通路31を流れるEGRガスを冷却するEGRクーラ32と、EGRガスの流量を調節するためのEGR弁33とを備える。
また本実施形態において、制御ユニットもしくはコントローラをなす電子制御ユニット(以下「ECU」と称す)100が設けられる。ECU100はCPU、ROM、RAM、入出力ポートおよび記憶装置等を含む。ECU100は、インジェクタ7、吸気スロットルバルブ16、添加弁25およびEGR弁33を制御する。
センサ類に関して、上述のエアフローメータ13の他、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ41Aが設けられる。また、酸化触媒22、DPF23およびNOx触媒24の各々の上流側ないし入口近傍の排気温度を検出するための排気温センサ42,43,44が設けられている。また、DPF23の上流側および下流側の排気圧の差圧を検出するための差圧センサ45が設けられている。これらセンサ類の出力信号はECU100に送られる。
また、吸気圧ないしブースト圧を検出するためのブースト圧センサ62、インタークーラ15の入口側の吸気温を検出するための入口側吸気温センサ66、インタークーラ15の出口側の吸気温を検出するための出口側吸気温センサ65も設けられる。これらセンサ類の出力信号もECU100に送られる。
次に、図2を参照して燃料噴射装置5を説明する。燃料噴射装置5は、コモンレール式燃料噴射装置からなり、各インジェクタ7から噴射される燃料をコモンレール8に高圧状態で貯留する。また燃料噴射装置5は、燃料タンク50内の燃料を吸引し吐出するフィードポンプ51と、フィードポンプ51から吐出された燃料を高圧まで加圧してコモンレール8に供給する高圧ポンプ52とを備える。高圧ポンプ52は、周知のように、エンジン1のクランクシャフトと連動するカムシャフトの回転に伴いプランジャが往復移動することで加圧室に吸入した燃料を加圧し、圧送する。高圧ポンプ52には、プランジャの吸入行程で加圧室に吸入される燃料量を調量するための調量弁(図示せず)が設けられている。
サプライポンプ52のカムシャフト53は、図示しない動力伝達機構(ギヤ機構、ベルト機構等)を介してクランクシャフト17により回転駆動される。そしてカムシャフト53は、クランクシャフト17の1/2の回転速度で同期回転される。なおフィードポンプ51もクランクシャフト17により回転駆動される。
コモンレール8には、その内部の燃料圧力であるコモンレール圧を検出するためのコモンレール圧センサ61と、コモンレール8の内部の燃料を燃料タンク50に戻すことでコモンレール圧を減圧する減圧弁(図示せず)とが設けられている。ECU100は、エンジン1の運転状態に基づいて調量弁および減圧弁を制御することで、コモンレール圧センサ61により検出された実際のコモンレール圧が所定の目標圧に近づくようフィードバック制御を行う。
また、フィードポンプ51の出口側の燃料圧を検出するための燃料圧センサ63と、エンジン潤滑油の油圧を検出するための油圧センサ64とが設けられ、ECU100に接続される。油圧センサ64は、クランクシャフト17により回転駆動されるオイルポンプの出口側の油圧を検出する。
また、エンジン1のクランクシャフト17のクランク角もしくはクランク位相を検出するためのクランクセンサ40と、エンジン1のカム角もしくはカム位相を検出するためのカムセンサ41とが設けられる。これらセンサの出力もECU100に送られる。ECU100は、クランクセンサ40の出力に基づきエンジン回転速度(rpm)およびクランクシャフト角速度ω(°CA/s)を検出する(但しエンジン回転速度とクランクシャフト角速度は同義)。
サプライポンプ52のカムシャフト53は、エンジン1の吸排気バルブを駆動する動弁系カムシャフト(図示せず)と同一位相かつ同一速度で回転する。本実施形態ではカムセンサ41が、サプライポンプ52のカムシャフト53のカム位相を検出することにより、動弁系カムシャフトのカム位相を間接的に検出するようになっている。しかしながら、動弁系カムシャフトのカム位相を直接検出するようにしても構わない。
クランクシャフト17には比較的大径の歯付リング18が同軸に取り付けられている。そしてこの歯付リング18の外周面に対向してクランクセンサ40がエンジン本体2に取り付けられている。歯付リング18の外周部には複数の歯19が設けられる。歯19はクランクシャフト17の回転方向(矢示)に等間隔、本実施形態ではα=6°CA毎に等間隔で設けられる。これだけだと歯19は計60(=360/6)個となるが、そのうち4個の歯が除かれて欠歯部27が形成され、結局56個の歯19が歯付リング18に設けられることとなる。クランクセンサ40は非接触式センサ(磁気センサ等)からなり、歯19の通過毎に、ECU100にパルス信号すなわちクランクパルス信号を発生させる。
サプライポンプ52のカムシャフト53には比較的小径の歯付リング54が同軸に取り付けられている。そしてこの歯付リング54の外周面に対向してカムセンサ41がサプライポンプ52に取り付けられている。歯付リング54の外周部には複数の歯55が設けられる。歯55はカムシャフト53の回転方向(矢示)に等間隔、本実施形態ではβ=60°(=120°CA)毎に等間隔で計6個設けられる。この歯55の数は気筒数に等しい。そしてこれら歯55に加え、1個の余分歯56が歯付リング54に設けられる。カムセンサ41も非接触式センサ(磁気センサ等)からなり、歯55,56の通過毎に、ECU100にパルス信号すなわちカムパルス信号を発生させる。
なお、歯付リング18,54等の構成は図2では誇張して描かれており、必ずしも正確な縮尺で描かれていない点に留意されたい。
クランクシャフト17は、いずれも図示しないクラッチおよび変速機等を介して車両の駆動輪に動力伝達可能に連結されている。
図3には、クランクセンサ40およびカムセンサ41の正常時に周期的に発生されるクランクパルス信号CRおよびカムパルス信号CMを示す。
クランクパルス信号CRに関して、56個の歯19に対応して、図中に番号が示される1〜56番のクランクパルス信号CRが発生される。なお56番のクランクパルス信号CRは欠歯部27に対応する信号(欠歯部信号CRY)である。本実施形態では矢印で示すようにクランクパルス信号CRの立ち上がり部でパルス信号発生とし、クランク位相を検出するが、立ち下がり部で発生、検出としてもよい。図では、クランクシャフト17の約1回転(=360°CA)分の信号を示す。これは左右両端部に欠歯部信号CRYがあることから明らかであろう。
カムパルス信号CMについては、カムシャフト53の約1/2回転(=180°=360°CA)分の信号を示す。6個の歯55(図には4個分のみ表示)に対応して、図中に番号が示される1〜6番(図には1〜4番のみ表示)のカムパルス信号CMが発生される。なおX番のカムパルス信号CMは余分歯56に対応する信号(余分歯信号CMX)である。本実施形態では矢印で示すようにカムパルス信号CRの立ち下がり部でパルス信号発生とし、カム位相を検出するが、立ち上がり部で発生、検出としてもよい。
クランクセンサ40およびカムセンサ41の正常時、ECU100は、次の方法でクランクセンサ40とカムセンサ41の同期を取り、かつエンジンの位相判別を行う。すなわち、何等かのカムパルス信号CMが発生し、その後3つ目のクランクパルス信号CRが欠歯部信号CRYであることを認識し(つまりこのクランクパルス信号CRが56番クランクパルス信号CRであることを認識し)、かつ56番クランクパルス信号CRの発生から1番クランクパルス信号CRの発生までの間(30°CAの間)に何等かのカムパルス信号CMが発生したとき、ECU100は、先のカムパルス信号CMを余分歯信号CMX(X番カムパルス信号CM)、後のカムパルス信号CMを1番カムパルス信号CMと確定し、両センサの同期を取る。そして次に13番クランクパルス信号CRが発生したタイミングを#1気筒圧縮上死点(#1TDC)のタイミングと確定する。本実施形態のエンジンの燃焼順序は、#1,#5,#3,#6,#2,#4である。よって、その後33番クランクパルス信号CRが発生したタイミングを#5気筒圧縮上死点(#5TDC)のタイミングと確定し、その後53番クランクパルス信号CRが発生したタイミングを#3気筒圧縮上死点(#3TDC)のタイミングと確定する(以下同様)。こうしてエンジンの位相判別が完了する。こうした同期と位相判別を終了するには、通常、エンジンのクランキング時にクランクシャフト17が2回転する必要がある。同期と位相判別の終了前は燃料噴射が行われない。
同期と位相判別の終了後、ECU100は、検出されたクランク位相に基づき、ある特定気筒の圧縮上死点近傍の燃料噴射時期(°CA)が到来したと判断した時に、その特定気筒のインジェクタ7に燃料噴射を開始させ、エンジンを始動、運転させる。燃料噴射時期は、エンジン運転状態(例えばエンジン回転速度とアクセル開度)に基づいて、燃料噴射間隔(120°CA)毎もしくは一定の時間間隔毎に、ECU100が設定する。
なおクランク位相=0°CAとなる基準クランク位相は、任意に設定できるが、本実施形態では便宜上、#1TDCのクランク位相を基準クランク位相に設定する。またカム位相の単位は便宜上、クランク位相と同じ°CAとする。
また、本実施形態においてECU100は、クランクセンサ40の異常の有無を診断する。例えばクランクセンサ40に断線やショートが生じると、エンジン運転中にカムパルス信号CMは次々と発生するのに、クランクパルス信号CRは全く発生しなくなるか、または1つのみが継続的に発生し続ける(所謂張り付きが生じる)。よってECU100はそのようなカムパルス信号CMとクランクパルス信号CRの挙動を検出したとき、クランクセンサ40の異常を検出する。
同様にECU100は、カムセンサ41の異常の有無をも診断する。例えばカムセンサ41に断線やショートが生じると、エンジン運転中にクランクパルス信号CRは次々と発生するのに、カムパルス信号CMは全く発生しなくなるか、または1つのみが継続的に発生し続ける。よってECU100はそのようなカムパルス信号CMとクランクパルス信号CRの挙動を検出したとき、カムセンサ41の異常を検出する。
このようにECU100は、クランクセンサ40とカムセンサ41の一方の異常を他方の出力信号を用いて検出する。なおECU100は、一方の異常を検出した場合、車室内の警告灯を点灯させ、運転者に点検修理を促す。
またECU100は、一方の異常を検出した場合、他方の出力信号を用いてエンジンを制御し、車両の退避走行等を可能にする。例えばECU100は、エンジン運転中にクランクセンサ40の異常を検出した場合、カムセンサ41のカムパルス信号CMに基づき燃料噴射時期の到来を判断し、エンジン運転を継続する。
ここでは図4を参照して、1番カムパルス信号CMに基づいて#1気筒の燃料噴射時期θ#1が到来したか否かを判断する例を説明する。1番カムパルス信号CMが発生した時点t0(現時点とする)で、ECU100は現時点t0のクランク位相θ0を把握する。こうした把握は、既にクランクセンサ40とカムセンサ41の同期が取れているので、可能である。そして現時点t0から、予め設定された燃料噴射時期θ#1までの時間、すなわち噴射待ち時間Δt(s)を計算する。噴射待ち時間Δt(s)は、現時点t0のクランク位相θ0から燃料噴射時期θ#1のクランク位相までのクランク位相差(°CA)を、クランクシャフト角速度ω(°CA/s)で除することにより計算される。そしてECU100は、現時点t0からの経過時間をカウントし、経過時間が噴射待ち時間Δtに等しくなった時点t1で、燃料噴射時期θ#1が到来したと判断し、#1気筒のインジェクタ7に燃料噴射を開始させる。
他方、ECU100は、エンジン運転中にカムセンサ41の異常を検出した場合、異常検出前と同じようにクランクセンサ40のクランクパルス信号CRに基づき燃料噴射時期の到来を判断し、エンジン運転を継続する。
ところで、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方に異常が発生した場合、一般的にはこれを検出することが相当に困難である。クランクセンサ40とカムセンサ41のパルス信号が、全く発生しなくなるかまたは1つのみが継続的に発生し続ける状況となり、ECU100側ではエンジンが停止していると判断するからである。従って、ECU100は燃料噴射を停止し、エンジン運転中だった場合にはそのエンジン運転を継続することができない。また一旦エンジンが停止されると、両センサの同期と位相判別が終了できないので、新たにエンジンを始動することもできない。
しかしながら本実施形態によれば、以下の如く、両方のセンサの異常を好適に検出することができる。
本実施形態の診断装置は取得部と診断部を備え、これら取得部と診断部は主にECU100により構成される。取得部は、クランクシャフト17の回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータを取得するためのものである。ここで取得には、検出と推定の両者が含まれる。診断部は、エンジンの燃料噴射停止中に、クランクセンサ40とカムセンサ41が周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、取得部がクランクシャフト回転時の値のパラメータを取得したとき、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方を異常と診断する。
この診断装置の作動を図5を参照して説明する。図5中、(A)はカムセンサ41により発生されたカムパルス信号CM、(B)はクランクセンサ40により発生されたクランクパルス信号CR、(C)はエアフローメータ13により検出された吸気流量Ga、(D)はコモンレール圧センサ61により検出されたコモンレール圧Pcr、(E)は最も上流側に位置する排気温センサ42(43,44でもよい)により検出された排気温Teの時間的推移を示す。
図示例は、カムセンサ41およびクランクセンサ40がいずれも異常であり、正常時に発生するような周期的なカムパルス信号CMおよびクランクパルス信号CRを発生しておらず、これに伴いECU100がエンジン停止中と判断して燃料噴射を停止し、しかしながら車両は惰性で走行中(速度低下中)であり、クランクシャフト17は駆動輪側から逆駆動されて回転している(回転低下中である)場合を示す。
このとき、燃料噴射停止中でありながら、クランクシャフト17の回転により吸排気が繰り返されるため、吸気流量Gaは、燃料噴射実行中と同じように、クランクシャフト17の無回転時の値G0(=0、破線で示す)より大きな値を取り、かつその値は変動する。
よって吸気流量Gaが、G0付近の所定のしきい値G1を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。しきい値G1は、G0に対し測定誤差を考慮した僅かに大きい値に予め設定される。
この説明で分かるように、吸気流量Gaは前記パラメータをなす。診断部は、エンジンの燃料噴射停止中に、クランクセンサ40とカムセンサ41が周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、取得部がクランクシャフト回転時の値の吸気流量Gaを取得したとき(Ga>G1)、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方を異常と診断する。
これにより、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方の異常を好適に検出できる。この異常情報はECU100に記憶され、これにより後の修理段階で異常原因を早期に特定できる。なおECU100は、両方の異常を検出した場合にも車室内の警告灯を点灯させ、運転者に点検修理を促す。
かかるパラメータとしては他にも、コモンレール圧、ブースト圧、燃料圧、油圧、排気温、吸気温、インタークーラ出入口温度差、クランキング時バッテリ電圧を例示することができる。取得部は、これら複数種類のパラメータのうち少なくとも1種類を取得する。診断部は、取得した少なくとも1種類のパラメータのうち少なくとも1種類が、クランクシャフト回転時の値であるとき、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方を異常と診断する。
図5(D)はコモンレール圧をパラメータとした例を示す。図示するように、燃料噴射停止中でも、クランクシャフト17の回転により高圧ポンプ52の燃料吸入と圧送が繰り返されるため、コモンレール圧Pcrは、燃料噴射実行中と同じように、クランクシャフト17の無回転時の値P0(破線で示す)より大きな値を取り、かつその値は変動する。
よってコモンレール圧Pcrが、P0付近の所定のしきい値P1を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。しきい値P1は、P0に対し測定誤差を考慮した僅かに大きい値に予め設定される。
図5(E)は排気温をパラメータとした例を示す。燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転により吸排気が繰り返されるため、排気通路4には排気ガスが流れるが、かかる排気ガスは実質的には吸気であり、吸気はシリンダ9内で温められた後、排気通路4に排出される。燃料噴射が停止されているため、シリンダ9内温度が徐々に低下し、これに伴って排気ガスの温度も次第に低下する。従って、排気温センサ42により検出された排気温度Teの所定時間ts当たりの低下量ΔTe(排気温低下率)が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値γを超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。しきい値γは、クランクシャフト無回転時の値(=0)に対し測定誤差を考慮した僅かに大きい値に予め設定される。
図示しないが、ブースト圧をパラメータとした場合、燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転により吸排気が繰り返されるため、タービン14Tおよびコンプレッサ14Cが回転駆動され、ブースト圧が上昇する。よってブースト圧センサ62により検出されたブースト圧が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。
燃料圧をパラメータとした場合、燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転によりフィードポンプ51が駆動されるため、燃料圧が上昇する。よって燃料圧センサ63により検出された燃料圧が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。
油圧をパラメータとした場合、燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転によりオイルポンプが駆動されるため、油圧が上昇する。よって油圧センサ64により検出された油圧が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。
吸気温をパラメータとした場合、燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転により吸排気が繰り返されるため、タービン14Tおよびコンプレッサ14Cが回転駆動され、吸気温が上昇する。よって入口側吸気温センサ66により検出された吸気温が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。
インタークーラ出入口温度差をパラメータとした場合、燃料噴射停止中でもクランクシャフト17の回転により吸排気が繰り返されるため、タービン14Tおよびコンプレッサ14Cが回転駆動され、コンプレッサ14Cの出口の吸気温が上昇する。しかし、この温度上昇した吸気は、インタークーラ15を通過することにより冷却され、その温度が低下する。入口側吸気温センサ66により検出されるインタークーラ入口温から、出口側吸気温センサ65により検出されるインタークーラ出口温を差し引いてなるインタークーラ出入口温度差は、クランクシャフト無回転時よりも大きくなる。よってこのインタークーラ出入口温度差が、クランクシャフト無回転時相当の所定のしきい値を超えている場合に、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方が異常と診断される。
ところで、(1)エンジンの燃料噴射停止中、(2)クランクセンサ40とカムセンサ41が周期的なパルス信号を発生していない、(3)クランクシャフト回転時の値のパラメータが取得されているという、両センサを異常と診断するための3条件は、車両の惰性走行中且つクランクシャフト17の逆駆動回転中でなくても成立する。例えば、両センサが異常な状態においてエンジン始動のためクランキングが行われたときにも成立する。よって、このクランキング時にも上述のパラメータに基づいて両センサを異常と診断することができる。
特に、このクランキング時におけるバッテリ電圧を前記パラメータとすることができる。燃料噴射停止状態でクランキングを行うと、燃料噴射状態よりもセルモータの消費電流が大きく変動し、これに伴いバッテリ電圧も大きく変動する。よってクランキング時バッテリ電圧が大きく変動した場合に両センサを異常と診断できる。例えば、クランキング時バッテリ電圧の変動特性値(周波数等)を算出し、この値が燃料噴射時の値よりも所定値以上乖離している場合に、両センサを異常と診断できる。
このように本実施形態によれば、クランクセンサ40とカムセンサ41の両方に異常が発生した場合に当該異常を好適に検出することができる。
なお、クランクシャフト17の回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータであれば、任意のパラメータを採用できる。上述の実施形態では主にパラメータの大きさ(絶対値)に基づいて両センサの異常を検出したが、パラメータの変動特性値に基づいて両センサの異常を検出してもよい。この場合、パラメータの変動特性値も本発明にいうパラメータの値に含まれる。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 エンジン
13 エアフローメータ
17 クランクシャフト
40 クランクセンサ
41 カムセンサ
42,43,44 排気温センサ
61 コモンレール圧センサ
62 ブースト圧センサ
63 燃料圧センサ
64 油圧センサ
65 出口側吸気温センサ
66 入口側吸気温センサ
100 電子制御ユニット(ECU)
13 エアフローメータ
17 クランクシャフト
40 クランクセンサ
41 カムセンサ
42,43,44 排気温センサ
61 コモンレール圧センサ
62 ブースト圧センサ
63 燃料圧センサ
64 油圧センサ
65 出口側吸気温センサ
66 入口側吸気温センサ
100 電子制御ユニット(ECU)
Claims (2)
- エンジンのクランク位相を検出するためのクランクセンサと、
前記エンジンのカム位相を検出するためのカムセンサと、
前記エンジンのクランクシャフトの回転時に無回転時と異なる値を示すパラメータを取得するための取得部と、
前記エンジンの燃料噴射停止中に、前記クランクセンサと前記カムセンサが周期的なパルス信号を発生しておらず、且つ、前記取得部がクランクシャフト回転時の値の前記パラメータを取得したとき、前記クランクセンサと前記カムセンサの両方を異常と診断する診断部と、
を備えたことを特徴とするエンジンの診断装置。 - 前記パラメータが、吸気流量、コモンレール圧、ブースト圧、燃料圧、油圧、排気温、吸気温、インタークーラ出入口温度差、またはクランキング時バッテリ電圧からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016149984A JP2018017213A (ja) | 2016-07-29 | 2016-07-29 | エンジンの診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016149984A JP2018017213A (ja) | 2016-07-29 | 2016-07-29 | エンジンの診断装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018017213A true JP2018017213A (ja) | 2018-02-01 |
Family
ID=61081498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016149984A Pending JP2018017213A (ja) | 2016-07-29 | 2016-07-29 | エンジンの診断装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018017213A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112703410A (zh) * | 2018-11-15 | 2021-04-23 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种相位诊断方法及装置 |
-
2016
- 2016-07-29 JP JP2016149984A patent/JP2018017213A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112703410A (zh) * | 2018-11-15 | 2021-04-23 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种相位诊断方法及装置 |
CN112703410B (zh) * | 2018-11-15 | 2023-03-21 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种相位诊断方法及装置 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160729 |