図1〜図11を参照して、本発明に係るガス供給管理システム10の実施形態について、詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態に係るガス供給管理システム10について説明する。
<全体構成>
図1は、本実施形態のガス供給管理システム10の全体構成の一例を模式的に示す概要図である。ガス供給管理システム10は、液化石油(LP)ガスの複数の供給先施設Uにそれぞれ備えられたLPガスメータ21からの情報を収集することにより、LPガスの検針・保安・配送などの業務を効率的に行うものである。ここで供給先施設Uは、例えばLPガスの契約者の居住施設(一般家庭の戸建住宅、集合住宅、事務所等)の敷地内またはその近隣に設けられたLPガス設置施設であり、LPガスの設置場所をいう。
本実施形態のガス供給管理システム10は、LPガスメータ21と、情報送信手段(情報送信装置)11と、管理手段(管理装置)13と、情報の収集手段31と、格納手段(格納装置)30と、携帯端末12と、これらが接続する通信回線(ネットワークNW)などを有する。本実施形態のネットワークNWは、有線および/または無線の通信回線(ネットワーク)NW、NW3の総称である。
ネットワークNW1は例えば無線の移動体通信網(基地局等を含む)や、WiFi(登録商標)のような無線LAN方式による無線データ通信網、近距離無線通信規格(Bluetooth(登録商標)のような無線PAN方式)による無線データ通信網、WiMAX(登録商標)のような無線MAN方式、無線WAN方式などによる無線データ通信網であり、管理装置13と事業者用サーバ装置14とが接続するネットワークNW2は例えば、LAN、インターネット、または専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、及びゲートウェイ等により構築される通信回線である。なお、通信の形態は有線/無線を問わない。
また、ネットワークNW3は例えば、省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術を利用した通信回線である。「省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術」とは、消費電力が低く、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などよりも広い領域を対象にした通信(キロメートル単位の遠距離通信)が可能となる無線通信技術をいう。また、その通信方式(通信規格)の一例としては、LPWA(Low Power Wide Area)や、LPWAN(Low Power Wide Area Network)などが挙げられる。以下具体的に、省電力(低電力)かつ広域(遠距離)の無線通信技術として、LPWAを利用したガス供給管理システム10を例に説明する。
LPWAを利用したガス供給管理システム10は、主に、情報送信装置11からの情報(ガスメータ情報)の取得(収集)において、例えば、免許が不要な通信帯域(920MHz帯域)を利用するLPWA技術で構成されたネットワーク(通信回線)NW3、すなわち、LPWAネットワークを利用する。LPWAネットワークにより低価格・低消費電力・広域(遠距離)の無線通信が可能となる。なお、ネットワークNW3は、少なくとも広域(遠距離)の無線通信が可能な通信網(通信回線)であれば、LPWAネットワークに限らない。
情報送信装置11は、LPガスメータ21に外付け、あるいは内蔵されており、任意のタイミング、あるいは所定のタイミングでLPガスメータ21からの情報(以下、ガスメータ情報という)を取得し、ネットワークNW3を介して収集装置31および/または携帯端末12に送信する。
ここで、「ガスメータ情報」とは、個々のLPガスメータ21(ガスボンベ20)を識別可能な固有番号(例えば、製造番号)と、ガスボンベ20ごとの所定期間におけるガス使用量を示す指針値および保安情報(個々のガスボンベ20の圧力を監視し、ガス漏れ等を検知するための情報)と、これらの情報の取得日(検針日)を少なくとも含む情報である。
情報送信装置11が送信したガスメータ情報は、収集装置31によって自動的且つ任意の、および/または所定のタイミングで収集され、収集装置31が接続するネットワークNWを介して格納装置30に送信される。また、情報送信装置11が送信したガスメータ情報は、ネットワークNW3を介して携帯端末12によって収集され、ネットワークNWを介して格納手段30および/または管理装置13に送信される。
収集手段(収集装置)31は、ネットワークNW3に接続し、情報送信装置11が送信するガスメータ情報を収集する手段であり、例えばLPWA方式の通信に対応した無線基地局、あるいは、当該無線基地局と有線(又は無線)で接続する固定端末である。また、収集手段31は、LPWA方式の通信および/または移動体通信の無線基地局であってもよいし、当該無線基地局と接続する移動体通信端末であってもよい。また、ここでの基地局とは、LPWA通信が可能な基地局を搭載した人工衛星であってもよい。収集装置31は取得したガスメータ情報を、ネットワークNWを介して格納装置30の所定の格納領域に格納・蓄積する。
格納装置30は、ネットワークNW1に接続し、ガスメータ情報を含む各種情報やアプリケーションプログラムなどが格納される装置であり、例えばクラウド環境に設けられたサーバ(クラウドサーバ)である。
管理装置13は、ネットワークNW1と接続し、ネットワークNW1を介して格納装置30に格納された、および/または携帯端末12から送信されたガスメータ情報等を取得する。また、この例では、管理装置13の少なくとも一部の機能は、アプリケーションプログラムとして格納装置30に格納され、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成されている。
さらに、管理装置13は、ガスの事業者用サーバ装置14と接続する。管理装置13と事業者用サーバ装置14は、例えば、ネットワークNWを介して接続する構成であってもよいし、専用回線で接続する構成であってもよい。また、LPガスの契約者の個人情報などのデータや事業者用サーバ装置14の機能を格納装置30に格納し、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成してもよい。
事業者(供給者)用サーバ装置14は、既知のサーバ装置であり、管理装置13と同様のCPU、ROM、RAM、記憶手段、入力手段、表示手段、通信手段(いずれも不図示)などを有し、その記憶手段には、特定の事業者(の特定の権限を有する者)のみがアクセス可能な情報(例えば、当該LPガスメータ21(LPガス)の契約者(消費者)の個人情報など)が格納されている。
本実施形態では、管理装置13のデータベースにガスメータ管理情報が格納されている。このガスメータ管理情報は一例として、取得されたガスメータ情報(およびLPガスメータ21の位置情報)を含む一方、当該LPガスメータ21の契約者(消費者)の個人情報は含まれない。LPガスの契約者(消費者)の個人情報は、必要に応じて事業者用サーバ装置14から取得することで、管理装置13のガスメータ情報と対応付けられる。すなわち、検針者や配送者が携行する携帯端末12においては、LPガスの契約者の個人情報を保持(記憶、表示)することはできないように構成されている。
なお、本実施形態では携帯端末12において、LPガスの契約者の個人情報を保持(記憶、表示)することはできないように構成されていればよく、管理装置13において位置情報と紐付けて当該LPガスメータ21の契約者(消費者)の個人情報を保有してもよい。
また、携帯端末12によるガスメータ情報の取得が行えない状態の場合には、対象のLPガスメータ21のみ、その契約者名等を管理装置13から取得し、あるいは管理装置13を経由して事業者用サーバ装置14から取得して一時的に表示できるようにしてもよい。
管理装置13は、ガスメータ管理情報として例えば、単一の供給元(例えば、各LPガス事業者、各LPガス事業者の支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)に関する情報のみを管理するものであってもよいし、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものであってもよい。管理装置13が、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものである場合、当該管理装置13は、各供給元ごとに複数設けられるものであってもよいし、1つまたは複数の管理装置13で、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものであってもよい。また、管理装置13が、複数の供給元に関する情報を各供給元ごとに管理するものである場合、事業者用サーバ装置14は、各事業者(の特定の権限を有する者)がそれぞれの契約者の情報のみにアクセス可能となるように、一つ又は複数設けられる。以下、各構成について具体的に説明する。
<情報送信手段>
図2を参照して、本実施形態の情報送信手段11について説明する。図2(a)は、本実施形態の情報送信手段11の構成を模式的に示す概略図であり、図2(b)は情報送信手段11の構成を示すブロック図であり、同図(c)は情報送信手段11の機能を示すブロック図である。
図1および図2(a)に示すように、情報送信装置11は、複数のLPガスの供給先施設Uに配置されるガス容器(ガスボンベ)20のそれぞれに対応したLPガスメータ21と接続し、LPガスメータ21からのガスメータ情報を取得して携帯端末12に送信する装置である。
図2(b)、同図(c)に示すように、情報送信装置11は、例えば、LPガス供給管25に取り付けられ、各LPガスメータ21の外部端子22と有線の接続手段23を介して接続する接続部111と、各LPガスメータ21のガスメータ情報を取得し記憶する取得部112と、ネットワークNWを介して携帯端末12や収集装置31と無線通信を行うための通信部113と、電池114と、各種構成を制御する制御部115と、メモリ116等を備える。
情報送信装置11は、内蔵の電池(LPガスメータ21とともにあるいは単独で交換可能な充電池(リチウムイオンバッテリーなど))114を電源とし、制御部115によってメモリ116に記憶されている情報送信装置11全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム等を実行する処理や、制御信号やデータの転送処理を行う処理などを行う。
メモリ116には、情報送信処理などを行うソフトウェアプログラムが格納され、当該プログラムが実行されることにより、情報送信装置11は、情報送信処理を実行する。この情報送信処理により、情報送信装置11は携帯端末12からの情報送信要求を受信する情報送信要求受信手段117および、LPガスメータごとのガスメータ情報を携帯端末12に送信する個別情報送信手段118などとしての機能を実現する(同図(c))。
情報送信装置11(およびLPガスメータ21)は、LPWA方式のネットワーク(通信回線)NW3に対応した構成となっている。すなわち、情報送信装置11は、各LPガスメータ21と接続し、あるいは各LPガスメータ21に内蔵されて各LPガスメータ21からのガスメータ情報を取得するが、情報送信装置11の例えば通信部113は、ネットワークNW3とも接続可能であり、ネットワークNW3上の収集手段31に対してガスメータ情報の送信を行うように構成されている。また通信部113は、ネットワークNWとも接続可能であり、ネットワークNW上の収集手段31や携帯端末12に対してガスメータ情報の送信を行うように構成されている。
具体的に、情報送信要求受信手段(情報送信要求受信処理)117は、通信部113を介して、周期的に(例えば、30秒に1回のタイミングで)携帯端末12や収集手段(収集装置)31からの情報送信要求を受信する。すなわち、例えば情報送信装置11は、情報送信要求受信手段117が機能しない待機モードと情報送信要求受信手段117が機能する受信モードとが周期的に自動で切り替わる。つまり、周期的に情報送信要求受信手段117が機能する。また、個別情報送信手段(個別情報送信処理)118は、情報送信要求受信手段117によって情報送信要求を受信した場合に、接続部111を介してLPガスメータ21からガスメータ情報を取得して、または、予め定期的に取得しメモリ116等に記憶してあるガスメータ情報を、ネットワークNWを介して携帯端末12や収集装置31に送信(無線送信)する。
LPWA方式のネットワークNW3を利用することにより、情報送信装置11は低消費電力での駆動が可能であり、情報送信装置11の内蔵の電池114は、例えば乾電池2本で数年間の使用が可能となる。
<携帯端末>
図3を参照して携帯端末12について説明する。同図(a)は、携帯端末12の構成を示すブロック図であり、同図(b)は、携帯端末12の機能を示すブロック図である。
同図(a)に示すように、携帯端末12は、LPガスメータ21の検針員(検針者)、ガスボンベ20の配送者、あるいはLPガスの供給元の担当者が携行する移動体通信が可能な端末装置、またはガスボンベ20の配送車両等に取り付けられた移動体通信が可能な端末装置であり、情報送信装置11から送信された、および/または収集手段31や格納手段30から送信されたガスメータ情報を受信・収集して、ネットワークNWを介して管理装置13に当該ガスメータ情報を送信(アップロード)する。また、ネットワークNW(NW3)の無線基地局(収集装置)31を介して管理装置13、格納装置30や情報送信装置11などとガスメータ情報を含む情報の送受信が可能に構成されている。
携帯端末12は、例えば従来公知のスマートフォン、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などが好適であるが、ノートパソコン、移動体通信が可能なハンディターミナル(専用端末)、携帯電話などによっても実現することができる。ここで、LPガスの「供給元」とは例えば、各LPガス事業者、各LPガス事業者の支店、充填所、配送センタ、小売事業者など、LPガスの契約者(消費者)に対して、LPガスを供給する者の総称である。
携帯端末12は、CPU(制御手段)120、表示手段(表示部、ディスプレイ)121、入力手段122、メモリ123、通信手段124などを有する。入力手段122は、携帯端末12に文字、画像、音声等の情報を入力する手段の総称であり、例えば、文字を入力するキーボード(タッチパネル)、対象を撮影し画像として入力(記憶)するカメラ、音声を入力(記憶)するマイクなどである。
CPU120は、メモリ123に格納されている携帯端末12全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)やオペレーティングシステム(OS)等を実行する処理や、、プログラムの実行に必要なデータやファイル等をメモリ123等に記憶する処理などを行う。
通信手段124は、情報送信装置11、管理装置13、格納手段30、収集手段31とネットワークNWを介して通信を行う。
メモリ123には、情報収集処理などを行うソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)が格納され、当該プログラムが実行されることにより、携帯端末12は、情報収集処理を実行する。この情報収集処理には、地理情報表示処理、情報送信要求処理、および情報受付送信処理が含まれ、これにより携帯端末12は、地理情報表示手段127、情報送信要求手段128、および情報受付送信手段129などとしての機能を実現する(同図(b))。
地理情報表示手段(地理情報表示処理)127は、電子地図上に少なくともガスボンベ20(およびガス管等)の位置情報を重ねて表示した所謂マッピングシステムを実現するアプリケーションプログラム(これにより実行される処理)である。地理情報表示手段127によって、携帯端末12の位置を中心とした所定範囲(距離)内の電子地図およびそこに存在する同一の供給元(例えば、LPガス事業者(またはその支店や小売事業者等))の保有する(同一ガス事業者と契約している消費者の)ガスボンベ20の位置情報を把握することができる。具体的には、携帯端末12がある情報取得ポイント(検針ポイント)に存在する場合、地理情報表示手段127によって、当該情報取得ポイントから所定範囲(例えば、情報取得ポイントを中心として半径200m〜300m程度の範囲、距離)内の電子地図およびその範囲内に存在する同一の供給元の検針対象となるガスボンベ20(LPガスメータ21)の位置を、携帯端末12の表示手段121に表示させることができる。
情報送信要求手段(情報送信要求処理)128は、情報送信装置11に対して任意のタイミングで所定期間(情報送信要求受信手段117の受信周期(この例では30秒)より長い期間(例えば、1分間など))に亘り、情報送信要求を送信し、情報送信装置11から送信されたガスメータ情報を受信して、ガスボンベ20(供給先施設)の位置情報と紐付けて、管理装置13に対して当該ガスメータ情報を送信する。
つまり、携帯端末12の情報送信要求手段128がある情報取得ポイントにおいて情報送信装置11に情報送信要求を送信すると、地理情報表示手段127が当該情報取得ポイントから所定範囲内の電子地図およびその範囲内に存在する同一の供給元の検針対象となるガスボンベ20(LPガスメータ21)の位置を、携帯端末12の表示手段121に表示する。そして、表示手段121に表示されている全てのLPガスメータ21と接続する情報送信装置11は、ガスメータ情報を携帯端末12に送信する。そして、携帯端末12は、地理情報表示手段127によって対象となるLPガスメータ21の位置情報と、受信したガスメータ情報とを紐付けて、ネットワークNWを介して、管理装置13に送信(アップロード)する。なお、携帯端末12から同日に同一のLPガスメータ21のガスメータ情報が送信された場合は、管理装置13の情報は、最新のガスメータ情報で上書き(更新)される。
このとき、通信状況の悪化などにより携帯端末12が情報送信要求を送信したにもかかわらず、ガスメータ情報が受信できない場合もある。そこで、地理情報表示手段127は、対象となるLPガスメータ21ごとのガスメータ情報の取得の成否を、表示手段121に表示可能に構成されている。これにより、携帯端末12の携行者は、ガスメータ情報の取得が失敗したLPガスメータ21の位置を把握することができる。
ガスメータ情報の取得に失敗したLPガスメータ21が存在する場合、携帯端末12の携行者は必要に応じて情報取得ポイントから移動するなどして再度の情報送信要求を送信し、ガスメータ情報の再取得を試みる。
情報送信要求に基づくガスメータ情報の取得が行えない場合、携帯端末12の携行者は、情報受付送信手段(情報受付送信処理)129によって、ガスメータ情報を取得する。情報受付送信手段129は、携帯端末12の携行者(使用者)によるガスメータ情報の入力を受け付け、管理装置13に当該ガスメータ情報を送信するためのアプリケーションプログラムである。
情報受付送信手段(情報受付送信処理)129は、例えば、ガスメータ情報の取得が行えなかったLPガスメータ21の位置情報(地図や住所など)を携帯端末12の表示手段121に表示する。携帯端末12の使用者は当該位置情報に基づき、ガスメータ情報の取得が行えなかったLPガスメータ21の所在地に赴き、例えば、携帯端末12のカメラ(入力手段122)によりLPガスメータ21を撮影し、情報受付送信手段129に当該画像データを入力する。情報受付送信手段129は、入力されたLPガスメータ21の画像データから、当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などを文字認識し、当該文字情報と地理情報表示手段127から取得した位置情報とを紐付けて、ガスメータ情報の取得日(検針日)とともにガスメータ情報として携帯端末12のメモリ123に記憶する。あるいは、情報受付送信手段129は、携行者の携帯端末12のタッチパネル(入力手段122)の操作による当該LPガスメータ21の固有番号、ガス使用量を示す指針値、および保安情報などの文字情報の入力を受付け、ガスメータ情報として携帯端末12のメモリ123に記憶する。そして、情報受付送信手段129は、ガスメータ情報と地理情報表示手段127から取得したLPガスメータ21の位置情報と紐付けて、ガスメータ情報の取得日(検針日)とともにネットワークNW(例えば、無線の移動体通信回線や無線LANなど)を介して、管理装置13に送信(アップロード)する。
例えば、情報送信装置11の周囲に電波を遮蔽する部材が存在する場合などでは、携帯端末12においてガスメータ情報を取得することができない。なお、この問題はスマートメータにおいても同様に生じる。本実施形態では、携帯端末12が情報送信装置11との無線通信によってガスメータ情報を取得できない場合であっても、補助的な情報受付送信手段129によってガスメータ情報を取得し、管理装置13に当該ガスメータ情報を送信することができる。また、情報受付送信手段129が携帯端末12のカメラにより撮影したLPガスメータ21の画像データからガスメータ情報を取得する構成の場合は、検針実行の証拠を残すこともできる。
なお、「情報送信要求に基づくガスメータ情報の取得が行えない場合」とは、情報送信装置11が未設置であってガスメータ情報の取得が行なえない場合も含む。この場合は、LPガスメータ21の位置情報(地図や住所など)を携帯端末12の表示手段121に表示することはできないが、情報送信装置11が未設置の供給先施設Uについては事業者が把握しているため、その所在地に赴き、直接的にガスメータ情報を取得する。
このように、本実施形態では、電池(充電池)114を内蔵し、携帯端末12と無線通信を行う通信部113を備えた情報送信装置11を既存のLPガスメータ21に有線接続することにより、LPガスメータ21のガスメータ情報を携帯端末12に送信し、携帯端末12からリアルタイムで管理装置13に送信することができる。このようにすることで、永続的な通信用の電源を有さない既存のLPガスメータ21を用いて、必要時に自動でガスメータ情報を取得することができる。また、携帯端末12は、任意のタイミングで所定期間(例えば、1分間)に亘り、情報送信要求を送信し、情報送信装置11では携帯端末12からの情報送信要求を受信する情報送信要求処理を周期的(例えば、30秒に1回)に行うようにすることで、情報送信装置11の電源消費を最小に抑えることができる。
携帯端末12には、管理装置13が予測した配送に関する情報(配送先(供給先施設U、以下同様)、配送ルート、あるいは配送状況に関する情報等)が送信され、表示手段121に表示可能となっている。また、携帯端末12は、配送者の出勤予定や、配送先、配送ルート、配送状況に関する情報、保安点検情報等の登録(更新)を受付け、管理装置13および/または格納装置30にこれらの情報を送信可能に構成されている。また、文字や画像情報の読み込み、バーコードスキャン、配送伝票の表示(および出力)等が可能である。
例えば、ガスボンベ20の配送者は、携帯端末12を介して、管理装置13に自身の出勤予定等を予め登録したり、配送先、配送ルートや配送状況に関する情報の登録・確認・修正(送受信)等を行う。
本実施形態のLPWAを利用したガス供給管理システム10では、既に述べているように、情報送信装置11が送信したガスメータ情報が、収集装置31によって自動的且つ任意のタイミング(所定のタイミングも含む)で収集され、収集装置31が接続するネットワークNWを介して格納装置30に送信される。収集装置31は、例えば、1日のうち定時に1回を毎日(日次で)、など定期的にガスメータ情報を収集することができ、必要に応じて任意のタイミングで(随時に)もガスメータ情報を収集することができる。
格納装置30の格納領域には、供給先施設U(ガスメータ21の固有番号(例えば、ガスメータ21の製造番号))および日付け毎に取得されたガスメータ情報が少なくとも格納される。また、管理装置13は、格納装置30に格納されたガスメータ情報等を取得できる。
つまり、検針員の検針作業(例えば、携帯端末12によるガスメータ情報の受信・収集処理)によらず、情報送信装置11が送信するガスメータ情報を管理装置13が遠隔で自動取得することができる。これにより、管理装置13はガス消費量を含むガスメータ情報を高頻度で把握することができる。ここで、高頻度とは、月次より多い(高い)頻度であることをいい、例えば、1ヶ月に1度や1週間に1度などの頻度よりも多い頻度で把握することをいう。具体的には、本実施形態では例えば、ガスメータ情報を日次で取得し、ガス使用量等を把握することができる。これにより、管理装置13は取得したガスメータ情報をLPガスの販売事業における月次検針業務に活用するとともに、日次で使用量算出処理および配送予測処理などを行い、LPガスの配送業務の効率化へ活用する。具体的には、ガスボンベ20を配送する上で最適な配送日と効率的な(最適な)配送経路(配送ルート)を予測し、複数の配送車に積載するガスボンベ20の本数を指示するまでのプロセスを自動的に行う。
このように本実施形態においてガスメータ情報は、収集手段(収集装置)31によって任意のタイミングで且つ自動的に収集・取得されるが、通信回線の状況が悪い場合などや情報送信装置11が未設置の場合など、収集装置31による収集・取得が一時的あるいは定常的に不可能な場合(地域)が存在する。このため、収集手段(収集装置)31によるガスメータ情報の収集・取得と並列して携帯端末12による収集・取得も可能であり、管理装置13は、携帯端末12から送信されたガスメータ情報等を取得可能となっている。
また、例えば、日次など高頻度でガスメータ情報を取得し、日次でガスの供給管理(使用量や予測使用量、次回の配送日などの管理)を行なう場合には、携帯端末12によって補助的にガスメータ情報を取得する構成であっても不十分となる場合がある。例えば、通信回線の異常の場合には、携帯端末12で収集した情報を管理装置13に送信することもできず、また、担当者が該当の供給先施設Uにその都度(日次で)赴けない場合もある。そこで、本実施形態では、日次で自動的にガスメータ情報が取得できない場合であっても、日次でガスの供給管理を行なうようにしている。具体的に例えば、格納手段30の格納領域には、ガスメータ情報が取得できた日には当該ガスメータ情報が格納され、取得できなかった日は空欄となる。本実施形態では、ガスメータ情報が取得できなかった日を監視し、その場合には、(対象日当日ではなく)過去に取得したガスメータ情報に基づき、日次でガスの供給管理を行なうようにしている。
<管理手段(管理装置)>
図4を参照して管理装置13の一例について説明する。同図(a)は、管理装置13の構成の概略を示すブロック図であり、同図(b)は、管理装置13の機能の概略を示すブロック図である。
同図(a)に示すように、管理装置13は、格納装置(例えば、クラウドサーバ)30や携帯端末12とネットワークNWを介して接続し、事業者用サーバ装置14とネットワークNW(例えばインターネットや専用回線などのネットワーク)を介して接続する例えばサーバ装置(またはパーソナルコンピュータ(PC))であり、CPU130、ROM131、RAM132、記憶手段(記憶装置)133、入力手段134、表示手段135、通信手段136などを有する。
CPU130は、ROM131や記憶装置133等に格納されている管理装置13全体の動作を実現するための各種のソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)やオペレーティングシステム(OS)等を実行する処理や、プログラムの実行に必要なデータやファイル等をRAM132や記憶装置133等に記憶する処理などを行う。
記憶装置133は、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等を記憶するものであり、例えば、ハードディスク(HDD)等によって実現することができる。入力手段134は例えば、キーボード、ポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル等によって実現することができる。表示手段135は、例えば入力手段134からの入力に対する応答出力等を表示するものであり、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイ等によって実現することができる。
記憶装置133(例えば、ROMなど)には、ガス供給管理処理などを行うソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)が格納される。なお、ソフトウェアプログラムは、DVD−ROMやCD−ROM等のコンピューター読み取り可能な情報記憶媒体に格納されていてもよい。また、記憶装置133内にはデータベースが設けられ、ガスメータ情報とLPガスメータ21の位置情報とが紐付けて記憶される。
通信手段136は、携帯端末12、格納装置30、事業者用サーバ装置14とネットワークNWを介して通信を行う。
また、同図(b)に示すように、管理装置13は、基幹処理手段55や配送管理手段50を備える。配送管理手段50は、第1配送管理手段51(使用量算出手段137、配送予測手段138)と第2配送管理手段52(副使用量算出手段237、副配送予測手段238)と選択手段53と地理情報表示手段139などを有し、ガスメータ情報に基づきガスボンベ20ごとのガス使用量とガスボンベ20の配送の予定を管理可能である。
記憶装置133(例えば、ROMなど)に格納された、ガス供給管理処理を行うソフトウェアプログラム(アプリケーションプログラム)が、RAMのワークエリアに読み出されてCPU130によって当該ソフトウェアプログラムが実行されることにより、管理装置13はガス供給管理処理を実行する。このガス供給管理処理には、選択処理、第1配送管理処理(使用量算出処理、配送予測処理)、第2配送管理処理(副使用量算出処理、配送管理処理)等が含まれ、これにより、管理装置13は、基幹処理手段55や配送管理手段50(第1配送管理手段51(使用量算出手段137、配送予測手段138)、第2配送管理手段52(副使用量算出手段237、副配送予測手段238)、選択手段53)などとして機能する。
この例では、基幹処理手段55や、配送管理手段50(これらの機能を実現するアプリケーションプログラム)は格納装置30に格納され、クラウドコンピューティングシステムによって管理装置13において利用されるように構成されている。しかしこれに限らず、基幹処理手段55や配送管理手段50(これらの機能を実現するアプリケーションプログラム)は、管理装置13の記憶手段133(管理装置13と接続する記憶手段133)に格納されていても良い。
基幹処理手段55は、主に、ガスメータ情報に基づき、月次で(月ごとに)点検情報を反映した保安管理処理、在庫を反映した配送管理(在庫管理)処理、顧客情報などデータベースの更新処理、その他既知の基幹業務処理などを行うものである。
配送管理手段50は、選択手段53を有する。選択手段53は、選択条件に応じて第1配送管理手段51による算出結果と第2配送管理手段52による算出結果のいずれかを選択する手段である。この場合の選択条件は、第1配送管理手段51によるガスメータ情報の取得の成否に関する条件であり、より具体的には、第1配送管理手段51によるガスメータ情報の取得が正常に行えたか否か、およびガスメータ情報の取得が行えなかった期間が判定閾日数(例えば、3日)を超えているか否か、である。
第1配送管理手段51は、第一の頻度でガスメータ情報を取得し、供給先施設U毎に将来の日付けにおける、日別の(日ごとの)ガスの予測される使用量(以下、予測使用量)を算出し、それに基づきガスボンベ20の配送の予定日を算出する。ここで、第一の頻度は、例えば、月に1回よりも高い頻度、あるいは週に1回よりも高い頻度であり、好適には1日に1回(日次)の頻度である。
第1配送管理手段51の使用量算出手段(主使用量算出手段)137は、携帯端末12や格納装置30から取得したガスメータ情報のガス使用量(指針値)や上述のガスメータ管理情報に基づき、所定期間におけるガスボンベ20(LPガスメータ21)ごとの実際のガス使用量(指針値)と、ガスボンベ20内のガス残量を算出し、ガスボンベ20(LPガスメータ21)ごとに記憶手段133あるいは格納装置30に記憶・蓄積する。
第1配送管理手段51の配送予測手段(主配送予測手段)138は、記憶手段133あるいは格納装置30から取得したガスメータ情報(ガスボンベ20の使用量等)やガスメータ管理情報に基づき、予測使用量を算出し、また、供給元(LPガス事業者、支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)ごとにガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送ルートを予測する。
具体的には、配送予測手段138は、将来の日付けにおける日別の予測使用量(日別予測使用量)を算出する。この日別予測使用量は、日数の経過に伴って増加又は減少するように算出される。例えば、過去の所定期間における基準ガス使用量に基づいて、予測すべき日における前日からの使用の増加量または減少量である日毎の単位予測使用変化量を算出し、予測すべき日までの日数分、その単位予測使用変化量を積算して該予測すべき日における予測使用変化量を算出し、その予測使用変化量に基づき予測使用量を算出する。また算出結果を、日付けおよびガスメータ情報と紐付けて記憶手段133あるいは格納装置30に記憶する。
そして、配送予測手段138は、算出した日別予測使用量に基づいてガスボンベ20内の将来の日付けにおけるガス残量の予測値(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。この第1配送管理手段51の処理の詳細については後述するが、日次での使用量の予測が可能となるため、第1配送管理手段51で算出される予測使用量やガスボンベ20の配送の予定日は、精度の高い値となる。
さらに、配送管理手段50は、配送予測手段138で決定した配送の予定日に基づき、最適な配送ルートを予測する。
地理情報表示手段139は、携帯端末12の地理情報表示手段127と同様(共通)のマッピングシステム(これにより実行される処理)であり、これにより、地図情報と合わせて予測された配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示する。また管理装置13は、ガスボンベ20の配送者が所持する携帯端末12にこれらの情報を送信する。
第2配送管理手段52は、第二の頻度でガスメータ情報を取得し、それに基づき供給先施設Uごとに、日次でガスの供給管理を行なう。ここで、第二の頻度は、第一の頻度よりも低い頻度であり、例えば、月に2回または月に1回(月次)の頻度である。具体的には、第2配送管理手段52は、将来の日付けにおけるガスの予測使用量(例えば、日別の(日ごとの)ガスの予測使用量)を算出し、ガスボンベ20の配送の予定日を算出する。
そして第2配送管理手段52は、最適な配送ルートを予測し、地理情報表示手段139によって地図情報と合わせて当該配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示し、携帯端末12に配送ルートを送信する。つまり、第2配送管理手段52のガスメータ情報の取得の頻度は第1配送管理手段51の取得の頻度(第一の頻度)より低い(日次ではない)が、ガスの供給管理(予測使用量の算出やガスボンベ20の配送の予定日の算出)は、第1配送管理手段51と同様に日次で行なう。
具体的に、第2配送管理手段52の副使用量算出手段237は、例えば、過去の所定期間に、携帯端末12や格納装置30から取得したガスメータ情報のガス使用量(指針値)や上述のガスメータ管理情報に基づき、当日(本来、指針値を取得すべき日であるが指針値が取得できない当日)のガスボンベ20ごとのガス使用量(指針値)の推測値(推測使用量)と、ガスボンベ20内の推測されるガス残量(推測残量)を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133あるいは格納装置30に記憶・蓄積する。
より詳細には、推測使用量は、例えば、過去の所定の期間における総使用量を当該所定期間の日数で除した平均値である。過去の所定期間とは例えば、前年同月(1ヶ月)の期間、前回の請求基準日と前々回の請求基準日(約1ヶ月)の期間、前回の請求基準日と前回の配送日の期間、のいずれかである。ここで請求基準日とは、顧客に対するガス代の請求のために月次(月に1日)で設けられた基準の日(例えば、毎月1日など)であり、携帯端末12または実際に検針員が供給先施設Uに出向くなどして、あるいは収集手段31によって、当日のガスメータ情報が必ず取得されている日である。
また、ガスボンベ20の前回の配送日も、携帯端末12または配送担当者など、あるいは収集手段31によって当日のガスメータ情報が必ず取得されている日である。
副配送予測手段238は、推測残量や推測使用量およびガスメータ管理情報等に基づき、将来の日付けにおける日ごとの予測使用量(日別予測使用量)と、推測されるガス残量(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。供給元(LPガス事業者、支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)ごとにガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送ルートを予測する。この第2配送管理手段52の処理(第2配送管理処理)の詳細については後述するが、第2配送管理手段52によって日別予測使用量やガスボンベ20の配送の予定日を算出することで、第1配送管理手段51での算出ができない場合(日次でのガスメータ情報の取得ができない場合)であっても確実に、日次で予測使用量や配送の予定日を得ることができる。
さらに、配送管理手段50は、決定した配送の予定日に基づき、最適な配送ルートを予測し、当該配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示し、またガスボンベ20の配送者が所持する携帯端末12に送信する。
既に述べているように、本実施形態のガス供給管理システム10において、ガスメータ情報は、収集手段(収集装置)31によって定期的に(例えば、日次で)且つ自動的に収集・取得される。しかしながら、回線の状況が悪かったり、(LPWAに対応した)情報送信装置11が設置できない場合など、収集装置31による収集・取得が一時的あるいは定常的に不可能な場合(地域)が存在する。このため、収集手段(収集装置)31によるガスメータ情報の収集・取得と並列して携帯端末12によるガスメータ情報等を取得可能となっている。
さらに、ガス供給管理システム10は、選択手段53によって、例えば収集手段31や携帯端末12による高頻度の(例えば日次での)ガスメータ情報の収集・取得が行なえていない場合には、日次で取得するガスメータ情報によらずに、過去に取得したガスメータ情報を用いて、日次での使用量の予測や配送日の予測を行なう。
具体的に、選択手段53は、例えば日次のガスメータ情報の取得の有無を検出し、正常に行なえていない場合(例えば、当日取得したガスメータ情報が存在しない場合)は、所定の判定閾日数(例えば、3日間)は、直近で算出された第1配送管理手段51による日別予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日の算出結果を選択し、これを据え置いて利用する。例えば、前日は日次のガスメータ情報が取得できたが、当日は取得できなかった場合、当日(取得不可1日目)、翌日(取得不可2日目)、翌々日(取得不可3日目)までは、前日(取得不可1日目の前日)の日別予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日の算出結果を選択し、これを据え置いて利用する。
一方、第一の頻度(例えば、日次の)ガスメータ情報の取得が行なえない期間が連続して所定期間(例えば、3日)を超えた場合には、第2配送管理手段52による日別予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日の算出結果を選択する。
また、日次のガスメータ情報が取得できなかった場合も、その翌日には取得できた場合、当該翌日は取得したガスメータ情報を用いて第1配送管理手段51によって日別予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日を算出し、その結果を選択して利用する。
なお、一例として、第1配送管理手段51では、ガスボンベ20の全量交換を前提とし、第2配送管理手段52では、ガスボンベ20の交互交換を前提とする。全量交換は例えば、50kgのガスボンベ20を2本設置する供給先施設Uの場合、全量を100kgとしガス残量、日別予測使用量、配送の予定日を算出し、交換は2本同時に行なう交換方法である。一方、交互交換は例えば、50kgのガスボンベ20を2本設置する供給先施設Uの場合、一方は常時予備用のガスボンベ20とする。つまり全量を50kgとし、ガス残量、日別予測使用量、配送の予定日を算出して、交換は1本ずつ行なう交換方法である。
従って、第2配送管理手段52による日別予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日の算出結果を選択した場合には、交換方法も全量交換から交互交換に切り替わる。
図5を参照して、ガス供給管理システム10の主に配送管理処理について説明する。同図(a)は配送管理処理の全体の内容を示すフロー図であり、同図(b)は、そのうちの使用量・配送予測処理の流れの一例を示すフロー図である。
図5(a)に示すように、配送管理処理S19には、使用量・配送予測処理S03と配送ルート確定処理S05が含まれる。使用量・配送予測処理S03では、日別予測使用量や配送日の算出を行なう。詳細は同図(b)にて説明する。
また、配送ルート確定処理S05では、後述する配送計画データに基づき、配送の対象となる供給先施設Uの抽出や最適な配送ルートを決定し、地理情報と併せて配送ルートを管理装置13の表示手段135に表示し、携帯端末12に配送ルートを送信する。配送ルート確定処理S05は、既知の方法(例えば、特許第6364571号明細書に記載の方法)が採用できる。詳細な説明は省略するが、例えば、携帯端末12から送信された配送者のシフト(配送者の直近7日間の出勤予定や、労働可能時間などを含む情報)の登録を受付け、LPガスの供給元の担当者(配送管理者)による、配送車の車輌種別毎の稼働台数の登録を受け付ける。配送管理者は、ガスボンベ20の積載量が異なる配送車の車輌種別毎に、日別で稼動が可能な台数を予め登録する。
また、配送計画データや、当日の配送可能回転数などに基づき、配送車毎に最適な(効率のよい)配送ルート、最適な積載容量などを決定し、配送指示として出力する。
なお、必要に応じて、配送者のシフト、配送車の稼働台数や回転数などの入力(修正)を受付け、配送対象となる供給先施設グループの再グループ化(抽出も含む)を行ってもよい。
最適な配送ルートは、複数の位置情報を入力することで各位置情報を経由する最適なルートを導き出すことができる、既存の配送計画システム(最適ルート抽出システム)等を使用して抽出する。
抽出された最適な積載容量(配送車)と最適な配送ルートは、各配送者が所持する携帯端末12および/または、配送管理者の所持する携帯端末12に送信され、携帯端末12の表示手段121に表示される。
また、携帯端末12における最適な配送ルートの表示は、既知のナビゲーションシステムと連係させる。ナビゲーションシステムは、ある供給先施設Uへの配送が完了すると、最適な配送ルートに従って次の供給先施設Uへのナビゲーションを順次行う。
各配送者は、配送対象となる供給先施設Uへの配送が完了し、その旨を携帯端末12から登録すると、携帯端末12から次回の配送対象となる供給先施設Uに関する情報を取得することができるようになる。
次に、図5(b)を参照して、使用量・配送予測処理S03のガスメータ情報取得処理S11は、格納装置30に格納されたガスメータ情報を取得する。本実施形態では、ネットワークNW3(LPWAネットワーク)を利用することで、検針員等による検針作業によることなく、従来よりも高頻度で(例えば、月次(1ヶ月に1度)や週次(1週間に1度)などの頻度よりも多い頻度で)、管理装置13が情報送信装置11からガスメータ情報を自動で取得することができる。具体的には、管理装置13(配送管理手段50)は、2〜3日に1度のペース、より好適には1日に1度のペース、あるいはそれよりも短期間の頻度で、対象となる各ガスボンベ20のガスメータ情報を自動で取得することができる。
以下の説明では、一例として、ガスメータ情報取得処理S11において、収集手段31が一日に一度のペースで(日次で)取得し格納装置30の所定の格納領域に格納したガスメータ情報を、当日(一日に一度のペースで(日次で))取得する場合について説明する。
ガスメータ情報取得処理S11では、ガスメータ情報を取得する対象となるLPガスの契約者の抽出を行い、例えば、(供給元識別番号及び)LPガスの固有番号をキーとして、事業者用サーバ装置14で保持する各契約者の個人情報に紐付けを行う。そして、契約者ごとに、供給元識別番号、LPガスの固有番号、取得したガスメータ情報、日付け及び個人情報等を入力データとして準備する。ここで、ガスメータ情報が取得できていない場合には、ガスメータ情報(指針値)欄は空欄となっている。
選択処理S13では、第一判定処理S15において、処理対象当日のガスメータ情報が取得できているか否か(空欄でないか否か)を判定し、取得できている場合には、ガスメータ情報取得不可カウンタNDの初期化処理S18を行う。なお、対象となる契約者についての本ガス供給管理処理の初回の開始時においては、ガスメータ情報取得不可カウンタNDには例えば、判定閾日数を超える値を設定しておく。一例として判定閾日数が3日の場合、ガスメータ情報取得不可カウンタNDの初期値として「4」を設定しておく。そして、処理対象当日のガスメータ情報が取得できている場合には、この初期化処理S18でガスメータ情報取得不可カウンタNDに「0」がセットされる。その後、第1配送管理処理S19に進み、第1配送管理処理S19の算出結果を選択する。
第1配送管理処理S19では、携帯端末12や格納装置30から取得した日次の(当日の)ガスメータ情報のガス使用量(指針値)やガスメータ管理情報に基づき、所定期間におけるガスボンベ20ごとの実際のガス使用量(指針値)と、ガスボンベ20内のガス残量を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133あるいは格納装置30に記憶・蓄積する。
また、将来の日付けにおける日別のガスの予測使用量と、供給先施設U毎のガスボンベ20の配送の予定日を予測(算出)する。具体的には例えば、過去の所定期間における基準ガス使用量に基づいて、予測すべき日における前日からの使用の増加量または減少量である日毎の単位予測使用変化量を算出し、予測すべき日までの日数分、その単位予測使用変化量を積算して該予測すべき日における予測使用変化量を算出し、その予測使用変化量に基づき予測使用量を算出する。
そして、算出した日別予測使用量に基づいてガスボンベ20内の将来の日付けにおける日別のガス残量の予測値(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。
一方、ガスメータ情報が取得できていない場合には、ガスメータ情報取得不可カウンタNDの加算(インクリメント)処理S16を行う。その後、第二判定処理S17に進み、ガスメータ情報が取得できなかった期間(日数)を判定する。
第二判定処理S17では、ガスメータ情報が取得できなかった連続期間(日数)が判定閾日数(例えば、3日)を超えているか否かを判定し、超えていない場合(ガスメータ情報取得不可カウンタND=<3)には、据え置き値取得処理S21に進み、既に算出されている過去(直近)の第1配送管理処理S19の算出結果を選択する。
据え置き値取得処理S21では、記憶装置133または格納装置30に格納されている、過去の、すなわち直近でガスメータ情報が取得された日付けにおける第1配送管理処理S19の算出結果(日別予測使用量と配送の予定日)を取得する。つまり、ガスメータ情報が取得できなかった連続期間(日数)が所定日数(例えば、3日)以内の場合は、第1配送管理処理S19の直近の算出結果(日別予測使用量と配送の予定日)を据え置いて利用する。
一方、ガスメータ情報が取得できなかった連続期間(日数)が所定日数(例えば、3日)を超えている場合(ガスメータ情報取得不可カウンタND>3)には、第2配送管理処理S23に進み、第2配送管理処理S23の算出結果を選択する。
対象となる契約者について(本ガス供給管理処理の初回の開始時等において)据え置き値取得処理S21で使用するデータ(直近でガスメータ情報が取得された日付けにおける第1配送管理処理S19の算出結果)が存在しない場合がある。この例では、ガスメータ情報取得不可カウンタNDの初期値は判定閾日数を超える「4」に設定されているため、そのような契約者については、第2配送管理処理S23の算出結果が選択される。なお、ここでは、ガスメータ情報取得不可カウンタNDの使用の一例を説明しているが、この例に限らない。
第2配送管理処理S23では、過去のガスメータ情報に基づき、供給先施設Uごとに将来の日付けにおけるガスの予測使用量と、ガスボンベ20の配送の予定日を算出する。
第2配送管理処理S23では、第1配送管理処理S19とは別の方法によって、日次での算出(予測使用量およびガスボンベ20の配送の予定日(配送計画等)の算出など)を行なう。当該別の方法とは例えば、従来既知の一般的なガスの配送システム等で実装されている定期検針間の指針値を用いた算出方法などである。
具体的に、第2配送管理処理S23では、過去の所定期間に、携帯端末12や格納装置30から取得したガスメータ情報のガス使用量(指針値)や上述のガスメータ管理情報に基づき、当日のガスボンベ20ごとのガス使用量(指針値)の推測値(推測使用量)と、ガスボンベ20内の推測されるガス残量(推測残量)を算出し、LPガスメータ21ごとに記憶手段133あるいは格納装置30に記憶・蓄積する。
推定使用量は、例えば過去の所定の期間における総使用量を当該所定期間の日数で除した平均値として算出される。過去の所定期間とは例えば、前年同月(1ヶ月)の期間、前回の請求基準日と前々回の請求基準日(約1ヶ月)の期間、前回の請求基準日と前回の配送日の期間、などである。ここで請求基準日とは、顧客に対するガス代の請求のために月次(月に1日)で設けられた基準の日(例えば、毎月1日など)であり、収集手段31、携帯端末12または実際に検針員が供給先施設Uに出向くなどして当日のガスメータ情報が必ず取得されている日である。
また、ガスボンベ20の配送日も、収集手段31、携帯端末12または配送担当者などによって当日のガスメータ情報が必ず取得されている日である。
また、推測使用量や推測残量およびガスメータ管理情報等に基づき、将来の日付けにおける予測使用量(例えば、日別予測使用量)を算出する。この場合、推測使用量は過去の所定期間における使用量の平均値であり、第2配送管理処理S23では、将来の日付けにおいても当該平均値(推測使用量)で使用されると予測する。つまり、日別予測使用量も推測使用量と同じ値となる。そして、日別予測使用量(推測使用量)に基づき、ガスボンベ20内の将来の日付けにおける日別のガス残量の予測値(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。
また、供給元(LPガス事業者、支店、充填所、配送センタ、小売事業者など)ごとにガスボンベ20の配送の予定日と最適な配送ルートを予測する。
このように、本実施形態によれば、第1に、例えばLPWAネットワークを利用して高頻度(例えば、日次)でガスメータ情報を取得し、第1配送管理手段51(第1配送管理処理S19)によって将来の日付けにおける日別予測使用量と次回の配送の予定日を日次処理として算出する。つまり、高頻度(例えば、日次)で将来の日付けにおける日別予測使用量と次回の配送の予定日を更新することができ、低頻度(例えば、月中)の使用量(変化)ではなく高頻度(例えば、日々)の使用量(変化)を把握できる。これにより、実測値との誤差を小さくでき予測の精度を高め、正確な配送予測が可能となり、ひいては、ガスボンベ20の交換時におけるガスボンベ20内のガス残量を低減でき、配送効率を向上させることができる。
また、回線の状況が悪かったり、(LPWAに対応した)情報送信装置11が設置できない場合など、収集装置31による収集・取得が一時的あるいは定常的に不可能な場合(地域)であっても、選択手段53(選択処理S13)によって、第2配送管理手段52(第2配送管理処理S23)による算出結果(将来の日付けにおける別の日別予測使用量と次回の配送の予定日)を選択できる。第2配送管理手段52(第2配送管理処理S23)では、対象日当日の(日次で取得した)ガスメータ情報によらず、過去に確実に取得されたガスメータ情報に基づき、日次処理として日別予測使用量と次回の配送の予定日を算出する。
つまり、ガスメータ情報が取得できない期間が所定期間(判定閾日数)を超えた場合には自動的に、第1配送管理処理S19とは別の方法(第2配送管理処理S23)による日別予測使用量と次回の配送の予定日の算出結果を選択してガス供給管理の日次処理を行えるので、ガスの欠乏を回避して安定して供給することが可能となる。
以下、第1配送管理手段51(第1配送管理処理S19)の処理の一例について説明する。第1配送管理処理S19としては、例えば、既知の処理(例えば、特許第6364571号明細書に記載の処理)が適用でき、以下にその概要を説明する。しかしながら、高頻度(例えば、日次で)ガスメータ情報を取得し、高精度で日別予測使用量やガスボンベ20の配送の予定日を算出できるものであれば以下の例に限らない。
<第1配送管理手段(第1配送管理処理)の処理の一例>
図6は、第1配送管理処理S19の流れの一例を示すフロー図である。
使用量算出処理S101(使用量算出手段137)では、LPガスの固有番号(供給元識別番号を含む場合もある。以下同様)をキーとして、対象者(例えば、日ごとに(日次で)ガスメータ情報を取得する(取得できる)対象となるLPガスの契約者、以下「日次情報取得対象者」という。)ごとに、管理装置13(または格納装置30)に格納されている前回(例えば対象日前日)のガスメータ情報を取得し、前回のガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)と、今回(例えば対象日当日)取得したガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)とによって、前回のガスメータ情報の取得以降のガス使用量、ガス使用量の変化量、ガスボンベ20内のガス残量などを算出する。
従来既知のLPガスの配送予測では、月次またはそれに近いサイクルでガスメータ情報(指針値)を取得しており、誤差が大きい問題があったが、本実施形態では、例えば日次サイクルでガスメータ情報の取得ができるため、月中の使用量(変化)ではなく日々の使用量(変化)を把握でき、正確な配送予測が可能となる。
配送予測処理S103(配送予測手段138)では、指示回転数や、取得したガスメータ情報に基づき、予測使用量算出処理S105、予測計算処理S107、限界日算出処理S109、配送計画データ作成処理S111を行い、LPガスの契約者ごとの日別予測使用量や、配送(交換)が保留できる限界日、配送計画データなどを出力する。ここで指示回転数は、例えば季節ごとに基準となる1台の配送車による1日当りの配送の回転数である。例えば配送予測手段138には、季節等に応じて所定数(例えば、2回、3回)が予め設定されており、また適宜変更も可能となっている。
第1配送管理処理S19は、例えば日次でガスメータ情報が取得できている場合の処理であり、当該ガスメータ情報は管理装置13が自動で格納装置30から取得したデータであるが、第1配送管理処理S19で使用されるガスメータ情報はそれに限らず(それに加え)検針員によって検針時に取得されるガスメータ情報や配送者によって取得される配送時のガスメータ情報も含まれる。
予測使用量算出処理S105は、使用量算出処理S101において得られた日次情報取得対象者のごとのガス残量が予測開始閾値(予測開始残ガス率)に達しているか(予測開始閾値を下回っているか否か)を判定する。そして、予測開始閾値を下回る他、所定の条件が成立する日次情報取得対象者について、当該対象者ごとに予測計算処理S107を実行し、将来の日付けにおける日別予測使用量を算出する。日別予測使用量の算出処理(予測計算処理S107)の詳細については、後述する。なお、閾値等に基づく判定において当該値(閾値)を含むか否かはいずれであってもよい。つまり例えば「閾値を超える」/「閾値以下」は、「閾値に達する(閾値以上)」/「閾値を下回る」に入れ替えてもよい(本実施形態の全ての説明において同様である)。
ここで、図7を参照して本実施形態の配送予測処理S103で使用する閾値について説明する。配送予測処理S103では、例えば、予測開始閾値(予測開始残ガス率)、交換閾値、配送限界閾値(限界率)が設定されている。これらの閾値は、例えば、ガスボンベ20の全量に対するガス残量の割合である。
予測開始閾値は、予測計算処理S107の開始の判断条件であり、ガスボンベ20内の実際のガス残量が予測開始閾値に達した(下回った)場合に予測計算処理S107を開始する。
交換閾値は、後述する配送計画データの作成に際し、交換対象とするガスボンベ20(供給先施設U)に優先順位を付し、配送期間を設定するための閾値である。予測計算処理S107により将来の日付の日別予測使用量およびガス残量を予測し、予測したガス残量(ガス残量予測値)が交換閾値に達した(下回った)場合に交換対象とする。そして、交換閾値に達した日と配送限界閾値に達した日の間の或る期間(配送期間)に配送を行うこととする。配送期間については後述する。
配送限界閾値(限界率)は、後述する配送の限界日を決定するための閾値である。配送限界閾値に達する日が配送の限界日である。
これにより、ガス残量予測値が、交換閾値と配送限界閾値の間に有るガスボンベ20が配送(交換)対象のガスボンベ20となる。例えば、配送対象のガスボンベ20の数が多い場合は問題がないが、配送対象のガスボンベ20の数が少ない場合、配送が非効率になる。このような場合は、適宜、交換閾値を増加させ、配送対象となるガスボンベ20の数を増加させる。
また、これらの閾値は、各LPガスの契約者の過去の利用状況等に応じてそれぞれの契約者毎に設定(適宜調整)される。
限界日算出処理S109は、予測使用量算出処理S105で算出した将来の日付けにおける日別予測使用量に基づき、将来の日付けにおけるガス残量の予測値(ガス残量予測値)を例えば日ごとに算出し、ガス残量予測値が予め定められた配送限界閾値に到達する日付けを予想する。
なお、本実施形態の特に第1配送管理処理S19では、日次サイクルでガスの使用量(変化量)を把握できるため、将来の日付けにおけるガス残量予測値も、日ごとに算出でき、これにより予測の精度を高めることができる。しかしこれに替えてまたはこれに加えて、ガス残量予測値は、例えば、将来の所定期間における総ガス残量を当該所定期間の日数で除すなどして、当該所定期間においては一律の値として算出(予測)してもよいし、将来の所定期間(複数日)における総ガス残量を算出(予測)するものであってもよい。
配送限界閾値(限界率)は、例えば交換閾値よりも低い(小さい)値であり、配送を保留する限界を越える(すぐに配送・交換を行わなければならない)限界の値である。そして、配送限界閾値に到達する日付けを配送の限界日として算出する。
なお、限界日算出処理S109の詳細についても後述するが、交換閾値や配送限界閾値、は、ガスの使用状況等に応じて、各LPガス契約者(供給先施設U、ガスボンベ20)ごとに設定されている。
配送計画データ作成処理S111では、ガスボンベ20毎の基準となる日に基づき、当該ガスボンベ20の配送期間を決定する配送期間決定処理S112を行う。基準となる日は、たとえば交換閾値に達する(下回る)日と、配送限界閾値に達する(下回る)日であり、配送期間は、これらの間の或る期間である(図7参照)。配送期間決定処理S112については後述する。
配送計画データ作成処理S111では、指示回転数を満たし、配送期間が決定された供給先施設Uに関する情報(例えば、ガスボンベ20(供給先施設U)の位置情報(地理情報、住所等)を含む情報、配送の限界日等を含む情報、ガスボンベ20の固有番号等)を抽出し、指示回転数、最優先で配送する供給先施設Uの位置情報とその住所、予備の配送先となる供給先施設Uの位置情報とその住所、供給先施設Uごとの配送の優先順位、ガスボンベ20の固有番号等を配送計画データとして出力する。優先順位は、例えば、配送限界閾値までの日数の多少に基づき判定する。
本実施形態では、日次サイクルでガスの使用量(変化量)を取得でき、日別予測使用量および、日別のガス残量予測値を計算できるので、配送期間の決定に関わる配送の限界日を実際の配送の限界に極めて近く且つ正確に予測することができる。例えば、配送の限界日は、ガスボンベ20内のガス残量予測値が0%になる日の数日前の日付けとして算出することが可能となる。これにより、ガス残量が例えば全体の50%になる日を予測して配送(交換)を行っていた従来と比較して、格段に配送効率を高めることができる。
配送対象抽出処理S113は、限界日算出処理S109で算出した配送の限界日や、配送計画データ作成処理S111で作成した配送計画データ(これに含まれる優先順位)などに基づき、配送期間にあって配送作業が完了していないLPガス契約者に対応するガスボンベ20(供給先施設U)を配送対象として抽出し、必要に応じて、例えば、優先順位や、限界日が同日(または近い日付けである)などの所定の条件によって複数の供給先施設Uをグループ化する。そして、グループ化した供給先施設U(供給先施設グループ)の位置情報(配送対象位置情報)や、供給先施設グループに関する情報(例えば、ガスメータ情報や日別予測使用量などを含む情報)を、配送計画データの一部として配送ルート確定処理S05(図5(a)参照)に引き継ぐ。
配送ルート確定処理S05は、従来既知の方法(例えば、特許第6364571号の明細書に記載の方法)などが採用できる。詳細な説明は省略するが、例えば、LPガスの供給元の担当者(配送管理者)による、配送車の車輌種別毎の稼働台数の登録を受け付ける。配送管理者は、ガスボンベ20の積載量が異なる配送車の車輌種別毎に、日別で稼動が可能な台数を予め登録する。また、配送計画データや、当日の配送可能回転数などに基づき、配送車毎に最適な配送ルート、最適な積載容量などを決定し、配送指示として出力する。なお、必要に応じて、配送者のシフト、配送車の稼働台数や回転数などの入力(修正)を受付け、配送対象となる供給先施設グループの再グループ化(抽出も含む)を行ってもよい。最適な配送ルートは、複数の位置情報を入力することで各位置情報を経由する最適なルートを導き出すことができる、既存の配送計画システム(最適ルート抽出システム)等を使用して抽出する。
<日別予測使用量の算出方法の一例>
引き続き図6を参照して、配送予測処理S103(予測使用量算出処理S105(予測計算処理S107)および限界日算出処理S109)の処理の一例について説明する。
<予測使用量算出処理(予測計算処理)>
予測使用量算出処理S105では、将来の日付けにおける日別予測使用量を算出する。このとき、配送予測処理S103においては、日別予測使用量を、日数の経過に伴って増加又は減少するように算出する。例えば冬期では月初から月末に向かって日ごとに増加するように日別予測使用量を算出し、夏期では月初から月末に向かって日ごとに減少するように日別予測使用量を算出する。このため、配送予測処理S103では、過去の所定期間における基準ガス使用量に基づいて日毎に単位予測使用変化量(1日当りの増加量または減少量)を算出し、当該単位予測使用変化量に基づいて日別予測使用量を算出する。この場合の基準ガス使用量は、例えば、予測する期間と同時期の過去の所定期間における使用実績量または、予測する期間と同時期の例年のガス使用量の傾向に基づく設定値である、基準ガス使用量は、LPガス契約者の使用傾向に基づき、個別に設定される。
そして、算出した日別予測使用量に基づいてガスボンベ20内の将来の日付けにおける(日別の)ガス残量(ガス残量予測値)を算出し、ガス残量予測値が所定量に減量する日付けを予測して配送の予定日を決定する。
<予測計算処理の具体例>
以下、図8を参照して、予測計算処理S107の一例について更に説明する。図8は、予測計算処理S107の概要を示す図である。
まず、前年同時期の1ヶ月分のガス使用量の差(変化量、同図のドットハッチングの面積)X0に基づき、1日当たりの単位予測使用変化量XAを求め、月初から予測日までの日数分、単位予測使用変化量XAを積算して予測日の(予測日における)予測使用変化量XBを算出する。予測日の予測使用変化量XBの推移が対象期間の予測使用変化量XBLである。
次に、前年当月のベース使用量(前年前月における総使用量)から、前年当月の1日当りの平均使用量(ベース使用予測量(平均)XC)を算出し、予測日の予測使用変化量XBと合算して前年前月を基準とした当月予測日の予測使用量XDを算出する。
次に、前月分の使用量について前年と今年の間で変化した量を求め、当月の月日数で除算して、前年と今年についての前月変化量の1日あたりの平均値(前年→今月前月変化量)XEを求める。
そして、前年前月を基準とした当月予測日の予測使用量XDに、前年→今年前月変化量XEを加算して、当月予測日の日別予測使用量XFを算出する。
ガスの使用量は、実際には季節の変化に応じて、日ごとに増加あるいは減少するものである。本実施形態によれば、予測使用変化量が日ごとに増加又は減少(同図では増加)するように算出しているため、例えば配送の予定日が月末に算出されてしまう場合であっても実情に沿いやすくなり、ガスボンベ20の交換前にガスが欠乏するリスクを回避できる。
また、予測使用変化量に加えて、前年前回使用量と今年前回使用量の変化量の1日当りの平均変化量(前年→今年変化量(平均))も加算するため、より実情に合わせた使用量予測が可能となる。
<限界日算出処理>
次に、限界日算出処理S109(図6)について、説明する。
限界日算出処理S109では、上記の予測計算処理S107によって,直近でガスメータ情報を取得した日以降の日別予測使用量に基づき、直近でガスメータ情報を取得した日(M月D日)以降の合計予測使用量(日別予測使用量の合算値)を算出する。合計予測使用量は、日別予測使用量の合算値であり、M月(D+1)日の日別予測使用量が例えば、1.14立方mで、M月(D+2)日の日別予測使用量が例えば、1.16立方mの場合、M月(D+2)日目の合計予測使用量は、2.3立方mとなる。
また、ガスメータ情報の指針値に基づき、ガスメータ情報取得時の実際のガスの残量(ガス残量)を算出する。ガス残量は、配送(交換)時のガス容量から配送(交換)時以降の毎月のガス使用量の合計値を減算した値である。そして、実際のガス残量から日毎に合計予測使用量を減算し、直近でガスメータ情報を取得した日以降の各日のガス残量予測値を算出する。
そして、ガス残量予測値が、配送限界閾値(限界率)に達する日付け(または下回る日付)を特定し、その日付を配送の限界日として決定する。配送限界閾値は、LPガス契約者(供給先施設U)毎の使用状況により個別に予め設定してある値である。
<第2配送管理手段(第2配送管理処理)の処理の一例>
次に、図9を参照して第2配送管理手段52(第2配送管理処理S23)の処理の一例について説明する。同図は、第2配送管理処理S23の流れの一例を示すフロー図である。
第2配送管理処理S23は例えば、過去のガス使用量の実績に基づいて予測使用量を算出する処理である。具体的に一例を挙げると、第2配送管理処理S23は、過去の所定期間における使用量の平均値によって日別予測使用量を算出する処理であり、以下にその概要を説明する。しかしながら、上述した高頻度(例えば、日次で)取得するガスメータ情報の利用によらずに(日次で取得するガスメータ情報が使用できなくても)、過去の使用量(ガスメータ情報)によって日次での処理(日別予測使用量やガスボンベ20の配送の予定日の算出など)が行なえるものであれば以下の例に限らない。
副使用量算出処理S201(副使用量算出手段237)では、LPガスの固有番号をキーとして、情報取得対象者ごとに、管理装置13(または格納装置30)に格納されている過去の所定期間のガスメータ情報を取得する。この場合、情報取得対象者は日次情報取得対象者以外のLPガスの契約者、および日次情報取得対象者で一時的に(日次の)ガスメータ情報が取得できないLPガスの契約者である。
つまりこの場合のガスメータ情報は、携帯端末12を用いた検針や、検針者あるいはガスボンベ20の配送者による直接的な検針作業などによって検針時あるいはガスボンベ20の配送時に適宜取得される。そして、当該ガスメータ情報に含まれるガス使用量(指針値)の過去の所定期間の合計値を、当該所定期間の日数で除して、1日あたりの平均ガス使用量を算出する。この平均ガス使用量を推測使用量とする。「過去の所定期間」とは例えば、前年同月(1ヶ月)の期間、前回の請求基準日と前々回の請求基準日(約1ヶ月)の期間、前回(直近)の請求基準日と前回(直近)の配送日の期間、のいずれかである。請求基準日およびガスボンベ20お配送日には、携帯端末12による取得、または実際に検針員が供給先施設Uに出向くなどして、あるいは収集手段31によって当日のガスメータ情報が必ず取得されている。例えば、前回(直近)の請求基準日と前回(直近)の配送日の期間が20日ある場合、この期間のガス使用量(指針値)の合計値を20で除した値が推測使用量となる。
また例えば、前回交換時のガス残量を100%とし、前回交換時から対象日までの日数分、平均ガス使用量(推測使用量)を積算して対象日において推測されるガス残量(推測残量)などを算出する。この場合の推測使用量は、予測対象期間中(将来においても)同じ値であり、当該推測使用量が使用量・配送予測処理S03の「将来の日付けにおける日別予測使用量」に対応する。つまり副使用量算出処理S201において日別予測使用量が算出される。
副配送予測処理S203(副配送予測手段238)では、指示回転数や、算出された推測使用量(日別予測使用量)や推測残量などに基づき、限界日算出処理S205、配送計画データ作成処理S207を行い、LPガスの契約者ごとの配送(交換)が保留できる限界日、配送計画データなどを出力する。
副配送予測処理S203では、基準となる日(ここでは交換閾値および配送限界閾値)に基づき、配送日の予測を行う。
配送限界閾値は、配送の限界日を決定するための閾値である。推測残量(ガス残量予測値)が配送限界閾値を下回った場合、その日付を配送の限界日とする。
これにより、ガス残量予測値が、交換閾値と配送限界閾値の間に有るガスボンベ20が配送(交換)対象のガスボンベ20となる。また、これらの閾値は、各LPガスの契約者の過去の利用状況等に応じてそれぞれの契約者毎に設定(適宜調整)される。
図9に戻り、限界日算出処理S205は、推測使用量(将来の日付けにおける日別予測使用量)に基づき、推測残量(ガス残量予測値)が予め定められた配送限界閾値に到達する日付けを予想する。配送限界閾値(限界率)は、例えば交換閾値よりも低い(小さい)値であり、配送を保留する限界を越える(すぐに配送・交換を行わなければならない)限界の値である。そして、配送限界閾値に到達する日付けを配送の限界日として算出する。
配送計画データ作成処理S208では、指示回転数を満たし、配送期間決定処理S208において配送期間が決定された供給先施設Uに関する情報(例えば、ガスボンベ20(供給先施設U)の位置情報(地理情報、住所等)を含む情報、配送の限界日等を含む情報、ガスボンベ20の固有番号等)を抽出し、指示回転数、最優先で配送する供給先施設Uの位置情報とその住所、予備の配送先となる供給先施設Uの位置情報とその住所、供給先施設Uごとの配送の優先順位、ガスボンベ20の固有番号等を配送計画データとして出力する。優先順位は、例えば、配送限界閾値までの日数の多少に基づき判定する。
配送期間決定処理S208では、ガスボンベ20毎の基準となる日に基づき、当該ガスボンベ20の配送期間を決定する配送期間決定処理S208を行う。基準となる日は、たとえば交換閾値に達する(下回る)日と、配送限界閾値に達する(下回る)日であり、配送期間は、これらの間の或る期間である(図7参照)。配送期間決定処理S208については後述する。
配送対象抽出処理S209および配送ルート確定処理S05は、第1配送管理処理S19と同様であるので説明は省略する。
上記した以外にも、配送管理手段50は、例えば、ガス供給(配送)管理の月次処理、配送実績の管理処理、帳票発行処理、保安点検情報管理処理など、従来既知のガス供給(配送)管理における各種処理を実行する。
<配送期間決定処理>
次に、図10を参照して第1配送管理処理S19における配送期間決定処理(以下、第1配送期間決定処理)S112(図6)と、第2配送管理処理S23における配送期間決定処理(以下、第2配送期間決定処理)S208(図9)について、説明する。
第1配送管理処理S19と第2配送管理処理S23では、主に、日別予測使用量の算出方法が異なるが、第1配送期間決定処理S112(図6)と、第2配送期間決定処理S208(図9)における配送期間の決定方法も異なっている。また、第1配送期間決定処理S112における配送期間(以下、第1配送期間)の決定方法は複数存在し、第2配送期間決定処理S208における配送期間(以下、第2配送期間)の決定方法は、第1配送期間の決定方法に応じて複数存在する。すなわち、第1配送期間で配送するように配送予測をしていた場合において、処理対象当日のガスメータ情報が取得できなくなった場合には、ガスが欠乏する事態を回避するために第2配送管理処理S23(第2配送期間決定処理S208)において別途配送期間(第2配送期間)を決定し直し、第1配送期間を第2配送期間に変更(再設定)している。
そこで、第1配送期間と第2配送期間の決定方法のパターンについて以下にまとめて説明する。なお、本実施形態では、いずれのパターンの場合も、第1配送期間および第2配送期間は、交換閾値に達する日(下回る日)と、配送限界閾値に達する日(下回る日)の間の少なくとも一部の期間である(図7参照)。
<<第1のパターン>>
同図(A)に示す第1のパターンは、基準となる日から遡って第1配送期間を決定するものである。基準となる日は、未来側の日であり一例として配送限界閾値に達する日である。
具体的には、限界日算出処理S109(図6)によって取得した限界日(配送限界閾値(限界率)に達する日付け)から0日以上の所定日数(交換日数D1)遡った(前倒しした)日を配送期間終了日T1とし(1)、配送期間終了日Tから更に所定日数(期間D2)遡った日付けを配送期間開始日F1とする(2)。そして配送期間開始日F1から配送期間終了日T1までの配送期間(第1配送期間)内に、配送を行うこととする。
そしてこの第1配送期間を第2配送期間に変更する場合には、同図(A)に一点鎖線で示すように、少なくとも配送期間終了日T2を更に数日(変更繰上げ日数D3)繰上げる(3)。つまり、配送期間を時系列の過去側にスライドさせる。また、配送期間開始日F2を数日(変更繰上げ日数D4)繰り上げる(4)が、配送期間開始日F2は繰り上げなくても良い。さらに変更繰上げ日数D3と変更繰上げ日数D4は同じでもよいし異なっても良い。
また、交換日数D1、期間D2、変更繰上げ日数D3および変更繰上げ日数D4は、ガスボンベ20毎に予め設定されているがそれぞれ変更可能である。
この第1のパターンは例えば、第1配送管理処理が可能な期間においても、第2配送管理処理を行う期間においてもガスの使用量が比較的少ない場合において採用することができる。より具体的には、1箇所の供給先施設Uに設置されている複数のガスボンベ20(例えば、1本あたり50kgのガスボンベ20を2本)の交換方法として、設置されている全量(2本)のガスボンベ20を一度に交換する全量交換方法と、顧客が使用している側(供給用ガスボンベ20A)の1本を交換し、他方(予備用ガスボンベ20B)を(常に)残す交互交換方法とがあり、いずれの交換方法にするかはガスの使用量に応じて適宜切替可能となっている。そして第1のパターンは、例えば、第1配送管理処理、第2配送管理処理のいずれも、全量交換を行なう場合などに採用できる。
<<第2のパターン>>
同図(B)に示す第2のパターンは、基準となる日から繰り下げて第1配送期間を決定するするものである。基準となる日は、過去側の日であり一例として交換閾値に達する日である。
具体的には、設定された交換閾値に達する日付けから0日以上の所定日数(交換日数D5)繰り下げた(後ろ倒しした)日を配送期間開始日F1とし(1)、配送期間開始日F1から更に所定日数(期間D6)繰り下げた日付けを配送期間終了日T1とする(2)。そして配送期間開始日F1から配送期間終了日T1までの配送期間(第1配送期間)内に、配送を行うこととする。
そしてこの第1配送期間を第2配送期間に変更する場合には、同図(B)に一点鎖線で示すように、まず配送期間終了日T2を決定する(3)。配送期間終了日T2は例えば、限界日算出処理S205(図9)によって取得した限界日(配送限界閾値(限界率)に達する日付け)から0日以上の所定日数(交換日数D7)遡った(前倒しした)日であり、ここでは一例として第1配送期間の配送期間開始日F1と同日(D7=0)にしているが、これと異なる日(D7>0)でも良い。そして、配送期間終了日T2から更に所定日数(期間D8)繰り上げた(前倒しした)日付けを配送期間開始日F2とする(4)。
また、交換日数D5、期間D6、交換日数D7および期間D8は、ガスボンベ20毎に予め設定されているが、それぞれ変更可能である。交換日数D5,D7は同じ日数でも良いし異なる日数でもよい。期間D6、D8は同じ日数でも良いし異なる日数でも良い。
この第2のパターンは例えば、第1配送管理処理が可能な期間においても、第2配送管理処理を行う期間においてもガスの使用量が比較的多い場合において採用することができる。より具体的には、例えば、第1配送管理処理、第2配送管理処理のいずれも、交互交換を行なう場合などに採用できる。
<<第3のパターン>>
同図(C)に示す第3のパターンは、第1配送期間も第2配送期間も基準となる未来側の日から遡って配送期間を設定するものである。
具体的には、限界日算出処理S109(図6)によって取得した限界日(配送限界閾値(限界率)に達する日付け)から0日以上の所定日数(交換日数D9)遡った(前倒しした)日を配送期間終了日T1とし(1)、配送期間終了日T1から更に所定日数(期間D10)遡った日付けを配送期間開始日F1とする(2)。そして配送期間開始日F1から配送期間終了日T1までの配送期間(第1配送期間)内に、配送を行うこととする。
そしてこの第1配送期間を第2配送期間に変更する場合には、同図(C)に一点鎖線で示すように、まず配送期間終了日T2を決定する(3)。配送期間終了日T2は例えば、限界日算出処理S205(図9)によって取得した限界日から0日以上の所定日数(交換日数D11)遡った(前倒しした)日であり、ここでは一例として第1配送期間の配送期間開始日F1と同日にしているが、これと異なる日でも良い。そして、配送期間終了日T2から更に所定日数(期間D12)繰り上げた(前倒しした)日付けを配送期間開始日F2とする(4)。
また、交換日数D9、期間D10、交換日数D11および期間D12は、ガスボンベ20毎に予め設定されているが、それぞれ変更可能である。交換日数D9,D11は同じ日数でも良いし異なる日数でもよい。期間D10、D12は同じ日数でも良いし異なる日数でも良い。
この第3のパターンは例えば、第1配送管理処理が可能な期間ではガスの使用量が比較的少なく、第2配送管理処理を行う期間においてガスの使用量が増加した場合などに採用することができる。より具体的には、例えば、第1配送管理処理では全量交換を行なっていたが、第2配送管理処理で交互交換に変更するような場合などに採用できる。
なお、第3のパターンは、第1配送期間も第2配送期間も基準となる過去側の日から繰り下げて(後ろ倒しして)配送期間を設定するものであってもよい。つまり基準となる日から交換日数D9繰り下げて第1配送期間の配送期間開始日F1を決定し、基準となる日から交換日数D11繰り下げて第2配送期間の配送期間開始日F2を決定するものであってもよい。
図10においてはいずれも、配送期間開始日F1、F2は交換閾値に達する日と一致していてもよい。また、配送期間終了日T1、T2は配送限界閾値に達する日と一致していてもよい。
また、配送伝票の発行を契機として担当者が配送を行うので、交換閾値に達する日を経過した場合に配送伝票を発行する構成にするとよい。
また、第2配送期間で配送している場合であっても、処理対象当日のガスメータ情報が取得できるようになった場合(第1配送管理処理が行える場合)には、第1配送期間での配送に変更する。
<第2配送管理手段(第2配送管理処理)の処理の他の例>
第2配送管理処理S23では、第1配送管理処理S19とは別の方法によって、日次での算出(将来の日付けにおけるガスの予測使用量および、ガスボンベ20の配送の予定日(配送計画等)の算出など)を行なうものであればよい。
図9では、平均ガス使用量(推測使用量)を日別予測使用量とし、また配送の限界日を算出する例を説明したが、以下、将来の日付けにおけるガスの予測使用量および、ガスボンベ20の配送の予定日(配送計画等)の算出などを行う他の例として、第1の方法から第3の方法について説明する。
(第1の方法)前年同時期におけるガス使用量の変動率を数値化した係数を用いて、将来の日付けにおけるガスの予測使用量および、ガスボンベ20の配送の予定日を算出する方法である。
この方法では、将来の日付けにおけるガスの予測使用量を算出する際に、例えば、前年同時期の月ごとの使用量の変動率を数値化した係数(前年変動率係数)を用いる。
具体例を挙げると、予測対象日が例えば5月X日の場合、予測対象日の前年同月(5月)の前年変動率係数(前年同月変動率係数)と、(将来の日付けとして予測が必要な場合には)前年翌月(6月)の前年変動率係数(前年翌月変動率係数)を用いる。
前年同月変動率係数は、前年前月(4月)のガス使用量(実績値)に対する前年同月(5月)のガス使用量(実績値)の変動率であり、前年同月(5月)のガス使用量が、前年前月(4月)のガス使用量に対して例えば、120%であった場合、前年同月変動率係数は1.2となる。
また、前年翌月変動率係数は、前年同月月(5月)のガス使用量(実績値)に対する前年翌月(6月)のガス使用量(実績値)の変動率であり、前年翌月(6月)のガス使用量が、前年同月(5月)のガス使用量に対して例えば、90%であった場合、前年翌月変動率係数は0.9となる。
これら前年同月変動率係数および/または前年翌月変動率係数を用いて、将来の日付けにおける予測使用量を算出し、配送予定日を算出する。
つまり、予測対象日において同月(5月)中の将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する場合には前年同月変動率係数を用い、翌月(6月)中の将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する場合には、前年翌月変動率係数を用いる。
またこの場合、予測対象日(本来、指針値を取得すべき日であるが指針値が取得できない当日)のガス使用量(指針値)は、直近で取得できた指針値を採用する。直近で取得できた指針値とは、直近前回の請求基準日と直近前々回の請求基準日の間で取得できたいずれかの日の指針値、または直近の請求基準日に取得した指針値である。また、この指針値は、予測対象日の月における日別のガス使用量の推測値(当月推測使用量)であり、この場合の当月推測使用量は、当月の予測対象期間中(将来においても)同じ値であると予測する。一方、翌月の日別の指針値(翌月推測使用量)については、当月推測使用量に前年翌月変動率係数を乗じた値で使用されると予測する。
以下、予測対象日が5月31日、前年翌月変動率係数が0.9、直近で取得できた指針値(推測使用量)が0.25立方m(0.5kg)、前回の配送日が5月19日、配送日当日のガス残量が20kgである場合を例に説明する。
この場合、予測対象日である5月31日は、前回の配送日(5月19日)から12日経過しており、日ごとの指針値(当月推測使用量)が0.5kgであるので、予測対象日におけるガスボンベ20内の推測されるガス残量(推測残量)は、以下の式1により算出される。
推測残量=20kg−(12日×0.5kg)=14.0kg (式1)
また、将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量は、この場合6月における日別予測使用量(翌月推測使用量)であり、以下の式2により算出される。
翌月推測使用量=0.5kg×0.9(前年翌月変動率係数) (式2)
そして、以下の式3により、6月のガス残量(推定残量)が例えば0になるまでの日数(残日数)を算出し、式4により配送の限界日(次回の配送の予定日)を算出する。
残日数=14.0kg÷翌月推測使用量=31日 (式3)
配送の予定日=5月19日+12日+31日=7月1日 (式4)
なお、配送の予定日は、推定残量が0になる残日数の数日前の日付としてもよい。
上記の例では予測対象日を5月31日としたが、例えば予測対象日が5月20日の場合に将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する際には、5月21日〜5月31日までは前年当月変動率係数を用い、6月以降は前年翌月変動率係数を用いる。
(第2の方法) 前年同時期におけるガス使用量を係数とし、これを用いて将来の日付けにおけるガスの予測使用量および、ガスボンベ20の配送の予定日を算出する方法である。
この方法では、上記の第1の方法における前年同月変動率係数に替えて、前年同月の使用量(前年同月使用量係数)を用い、前年翌月変動率係数に替えて前年翌月の使用量(前年翌月使用量係数)を用いて配送の予定日を算出する。
一例を挙げると、前年同月(5月)の使用量が7.8立方mの場合、前年同月使用量係数は7.8、前年翌月(6月)の使用量が7.0立方mの場合、前年翌月使用量係数は7.0となる。
つまり予測対象日において同月(5月)中の将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する場合には前年同月使用量係数を用い、翌月(6月)中の将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する場合には、前年翌月使用量係数を用いる。
またこの場合、予測対象日(本来、指針値を取得すべき日であるが指針値が取得できない当日)のガス使用量(指針値)は、直近で取得できた指針値を採用する。これについては第1の方法と同様であるので説明は省略する。
以下、具体的に、予測対象日が5月31日、前年翌月使用量係数が7.0、直近で取得できた指針値(推測使用量)が0.25立方m(0.5kg)、前回の配送日が5月19日、配送日当日のガス残量が20kgである場合を例に説明する。
まず日ごとの指針値(当月推測使用量)が0.5kgであるので、予測対象日におけるガスボンベ20内の推測されるガス残量(推測残量)は、以下の式5により算出される。
推測残量=20kg−(12日×0.5kg)=14.0kg (式5)
また、将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量は、この場合6月における日別予測使用量(翌月推測使用量)であり、以下の式6により算出される。
翌月推測使用量=7.0(前年翌月使用量係数)/30日 (式6)
そして、以下の式7により、6月のガス残量(推定残量)が例えば0になるまでの日数(残日数)を算出し、式8により配送の限界日(次回の配送の予定日)を算出する。
残日数=14.0kg÷翌月推測使用量=30日 (式7)
配送の予定日=5月19日+12日+30日=6月30日 (式8)
なお、配送の予定日は、推定残量が0になる残日数の数日前の日付としてもよい。
上記の例では予測対象日を5月31日としたが、例えば予測対象日が5月20日の場合に将来の日付けにおけるガスの日別予測使用量を算出する際には、5月21日〜5月31日までは前年当月使用量係数を用い、6月以降は前年翌月使用量係数を用いる。
(第3の方法) この方法は上記第1の方法と上記第2の方法を任意で設定する方法である。
<第2実施形態>
本発明のガス供給管理システム10は、発信手段付き自動切替調整器80を備えるガスボンベ20を含むガスの供給管理に用いても好適である。
図11は、発信手段付き自動切替調整器80を備えるガスボンベ20の概要図である。1箇所の供給先施設Uに設置されている複数のガスボンベ20(例えば、1本あたり50kgのガスボンベ20を2本)の交換方法としては、設置されている全量(2本)のガスボンベ20を一度に交換する全量交換方法と、顧客が使用している側(供給用ガスボンベ20A)の1本を交換し、他方(予備用ガスボンベ20B)を(常に)残す交互交換方法とがある。そして、発信手段付き自動切替調整器80は一般的に、交互交換方法のガスボンベ20に設置される。
つまり、同図に示すように、第2実施形態のガス供給管理システム10では、供給用ガスボンベ20Aと、予備用ガスボンベ20Bと、両者に接続する自動切替調整器80を含み、自動切替調整器80は更に発信手段81を備えている。
この場合、ガス供給管理システム10の管理装置13は、供給用ガスボンベ20A(顧客が使用中のガスボンベ)についてガスメータ情報を取得し、第1実施形態と同様に配送管理手段50による処理(配送管理処理S19)を行なう。すなわち、第1配送管理手段51によって第一の頻度(例えば、日次)で収集手段31が収集したガスメータ情報を取得し、あるいは、第一の頻度(例えば、日次)でガスメータ情報が取得できない場合には、第2配送管理手段52によって第二の頻度(例えば、月次など)で過去のガスメータ情報を取得し、供給用ガスボンベ20A内の将来の日付けにおけるガス残量を予測し、該ガス残量が所定量に減量する日付けを予測して新たなガス容器について配送の予定日を決定可能である。
発信手段81を備える自動切替調整器80では、顧客が使用中である供給用ガスボンベ20Aの残量が所定量を下回った場合に自動で供給元を予備用ガスボンベ20Bに切替える。自動切替調整器80は、供給用ガスボンベ20Aから予備用ガスボンベ20B切り替わった場合(切り替わった後)にオンするスイッチを監視し、当該スイッチがオンした場合に発信手段81から信号をガスの事業者(の通信センター等)に発信する。これにより事業者は、新たなガスボンベ20を配送し、不要となった元の供給用ガスボンベ20Aを回収する。
このように、発信手段81を備える自動切替調整器80は本来、交互交換方式のガスボンベ20に設置され、発信手段81の信号を受信した場合にガスボンベ20の交換に赴くことで、ガスを欠乏させることなく交換が可能となっている。
しかしながら、この場合であっても、発信手段81の異常によって信号が送信できない(送信されない)場合がある。一例を挙げると、発信手段81付きの自動切替調整器80では、上述のように予備用ガスボンベ20Bに切り替わるとスイッチがオンとなり、当該オンを検知して信号が送信される構成であるため、自動切替調整器80内部の断線等によってスイッチがオンにならない場合には実際には予備用ガスボンベ20Bに切り替わっているにも関わらずそれが検出されず、交換をしないまま予備用ガスボンベ20Bの使用が継続されてガスが欠乏するといった問題が生じる。
そこで、第2実施形態では、発信手段81付きの自動切替調整器80が接続されるガスボンベ20についても、本ガス供給管理システム10で管理する。これにより、発信手段81や、自動切替調整器80等の不具合でガスボンベ20を切り替えた信号が送信できない不具合が生じていても、予測されたガスボンベ20の配送の予定日が到来した場合に配送(交換)に赴くことができ、ガスの欠乏を回避できる。
このように、本発明によれば、検針、保安、配送などの業務の効率化によって、供給・管理のコスト削減が可能となり、ひいては一般消費者により安価で安全なエネルギー絶え間なく提供することができる。
また、第1配送管理手段51では、高頻度(例えば、日次)で自動取得するガスメータ情報により、高頻度(例えば、日次)でのガス供給管理処理(日別予測使用量や配送日の算出)を行うことができるので、高精度に予測が可能となり、配送効率を高めることができる。
また、ガスメータ情報を高頻度(例えば、日次)で自動取得ができない場合であっても、第2配送管理手段52によって過去のガスメータ情報を用いることで、ガスの欠乏等を回避しつつて、高頻度(例えば、日次)でのガス供給管理処理(日別予測使用量や配送日の算出)を行うことができる。
なお、上記の本実施形態では、一台の管理装置13によって、ガス供給管理システム10を構築する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、上述の管理装置13の機能を複数の装置(サーバ装置、PCなど)に分散させて、これらの機能を実現させるようにしても良い。
なお、第1配送管理手段51において、使用量算出手段137と配送予測手段138とを独立して機能させてもよいし、配送予測手段138と使用量算出手段137とを複数の管理装置13に分散して機能させ、配送予測データと使用量データを独立して管理可能としてもよい。第2配送管理手段52においても同様である。
また、管理装置13のガスメータ管理情報を独立して管理可能としてもよい。
さらには、管理装置13で管理(生成、使用)する各種データ(例えば、ガスメータ管理情報や、(副)配送予測手段((副)配送予測処理)で生成(管理)される配送予測データ、(副)使用量算出手段((副)使用量算出処理)で生成(管理)されるデータなど)をガスまたは電気などのスマートメータを用いるシステムにおいて使用するようにしてもよい。
ここまで、第1配送管理処理S19の配送予測処理S103について、具体例を挙げて説明したが、本実施形態の配送予測処理S103は、上記の例に限らない。すなわち、週に1回よりも高頻度(例えば日次)でガスメータ情報を取得し、日ごとに増加または減少するように日別予測使用量を算出し、LPガス契約者にガスの欠乏などのリスクが生じない範囲で可能な限りガス残量予測値が少なくなる配送の限界日を算出するとともに、配送の担当者(配送者)および配送車毎に最適な配送ルートを予測するものであればよい。
本実施形態のLPWAを利用したガス供給管理システム10では、管理装置13(配送管理手段50)がガスメータ情報を遠隔で、任意のタイミングで自動取得することができる。これにより、管理装置13(配送管理手段50)はガスメータ情報を日次で(随時)把握することができ、これをLPガスの配送業務の効率化に活用することができる。具体的には、ガスボンベ20を配送する上で最適な配送日と効率的な配送ルートを予測し、複数の配送車に積載するガスボンベ20の本数を指示するまでのプロセスを自動的に行う。これにより、従来では検針員の検針作業や、ガスボンベの配送員に依存する要素の強かったLPガスの配送業務において、属人化したノウハウの継承を必要とせず、常に効率の良いLPガス配送業務が可能となる。
また、LPWAを用いることにより、安価かつ低消費電力で、広いエリアのユーザ(ガスボンベ20の供給先施設U)をカバーすることができる。
また、ガス供給管理システム10を構成する各装置(ハードウェア)の一部または全てを、当該装置(ハードウェア)と同等の機能を実現するソフトウェアに置き換えてもよい。
また、本発明のガス供給管理システム10等は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、情報送信手段と、収集手段と、管理手段と、通信回線とを備えたガス供給管理システムであって、前記情報送信手段は、複数の供給先施設のガス容器に対応したガスメータとそれぞれ接続し、該ガスメータの情報を取得して前記収集手段に送信し、前記収集手段は、前記情報送信手段から送信された前記情報を収集し、前記管理手段は、第一の配送管理手段と第二の配送管理手段と選択手段とを有し、前記情報に基づき前記ガス容器ごとのガス使用量と該ガス容器の配送の予定を管理可能なものであり、前記第一の配送管理手段は、前記収集手段が収集した前記情報を第一の頻度で取得して前記供給先施設ごとに将来の日付けにおけるガスの予測使用量と、前記ガス容器の配送の予定日を算出するものであり、前記第二の配送管理手段は、前記第一の頻度より低い第二の頻度で取得した前記情報に基づき前記供給先施設ごとに将来の日付けにおけるガスの予測使用量と、前記ガス容器の配送の予定日を算出するものであり、前記選択手段は、前記第一の配送管理手段による前記情報の取得が行えた場合は該第一の配送管理手段による算出結果を選択し、該第一の配送管理手段による該情報の取得が所定期間行えない場合に前記第二の配送管理手段による算出結果を選択する、ことを特徴とするガス供給管理システムである。