以下に、本発明の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明は、本発明を限定するものではなく、適宜変更して実施可能である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置10の概略構成図である。放射性ダスト連続モニタリング装置10は、図1に示すように、配管30の内部を流れる空気中に含まれる放射性ダストから発生するα線を検出することで、放射性ダストを連続でモニタリングする。以下において、放射性ダストを、適宜、ダストと称する。
放射性ダスト連続モニタリング装置10は、図1に示すように、円板12と、電極14と、電源16と、α線検出器18と、回転軸20と、回転駆動部22と、洗浄液供給部24と、乾燥風供給部26と、供給機構28と、制御部32と、検出信号処理部34と、を含む。
円板12は、捕集されたダストを保持するダスト保持部の1つの形態である。円板12は、ダスト保持部が円周上に連続して形成された形態である。円板12は、金属製の円板、または、金属製の円板と非金属製の円板とを厚み方向に重ねたものが例示される。円板12は、中心部分に、円板12の軸に沿う方向に向けて、回転軸20が設けられている。円板12は、回転軸20により、円板12の軸の周りに回転可能に、すなわち円板12の円周方向に回転可能に、支持されている。円板12は、回転軸20に接続された回転駆動部22により、所定の方向、すなわち図1に示す反時計回りの方向に、回転することができる。円板12は、回転の軌道上に、ダストを捕集する捕集位置と、ダストから発生するα線を検出する検出位置とを含んでいる。すなわち、円板12は、捕集位置と検出位置とが、円板12に沿って同一の円周上に来るように配置している。
回転軸20は、円板12の中心部分に、円板12の中心軸に沿う方向に向けて設けられている。回転軸20は、円板12の軸の周りに回転可能に、すなわち円板12の円周方向に回転可能に、支持している。回転駆動部22は、回転軸20に接続されている。回転駆動部22は、制御部32と電気的に接続されており、制御部32の制御に基づき、回転軸20を介して、円板12を所定の方向、すなわち図1に示す反時計回りの方向に、回転させることができる。回転駆動部22は、円板12を回転させることで、捕集位置にある円板12の一部の領域を検出位置に移動させ、検出位置にある円板12の別の一部の領域を捕集位置に移動させることができる。回転駆動部22は、モータが例示される。このように、回転駆動部22は、ダスト保持部としての円板12を、捕集位置と検出位置との間で移動させる移動機構を構成している。
なお、本発明に係るダスト保持部及び移動機構は、円板12、回転軸20及び回転駆動部22による形態に限定されず、捕集されたダストを保持することができ、ダストを保持したものを捕集位置と検出位置との間で移動させることができる形態であれば、いかなる形態であってもよい。例えば、ダスト保持部が平板上の皿であり、移動機構がこの皿を捕集位置と検出位置との間で移動させる機構である形態であってもよい。
電極14は、円板12の一部の領域、すなわち図1における円板12の左側の部分と、円板12の厚み方向に対向して設けられている。電極14は、点状の電極が例示される。電極14は、円板12よりも円板12の面方向に沿った面積が小さい金属製の板、すなわち後述する囲い部材28dが囲んでいる円板12の面方向に沿った面積よりも面積が小さい金属製の板であってもよい。電源16は、一方の端子が円板12に接続され、他方の端子が電極14に接続されている。電源16は、一方の極が円板12に接続され、他方の極が電極14に接続されている。このため、電源16は、円板12と電極14とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加することができる。詳細には、電源16は、電極14が放電極となるように、ダストが帯びる極性と同じ極性の電圧を電極14に印加し、円板12が集塵極となるように、ダストが帯びる極性と異なる極性の電圧を円板12に印加する。電源16は、電極14に負極の電圧を印加し、円板12に正極の電圧を印加することで、α線源であるために負極を帯びているダストを円板12のこの一部の領域の面上に選択的に吸着させることができる。一方、ダストが帯びる極性が正極である場合、電源16は、電極14に正極の電圧を印加し、円板12に負極の電圧を印加することで、ダストを円板12のこの一部の領域の面上に選択的に吸着させることができる。このように、円板12のこの一部の領域と、電極14と、電源16とは、ダストを捕集する捕集機構を構成している。また、円板12のこの一部の領域は、ダストを捕集する捕集位置となっている。
円板12は、電極14と比較して面方向に沿った面積が大きいので、ダストを吸着することで捕集する面積が大きいため、捕集の効率が良くなり、好ましい。電極14は、円板12と比較して面方向に沿った面積が小さいので、放電圧を高圧にすることができるので、捕集の効率が良くなり、好ましい。電源16は、電圧が調整されることで、ダストの捕集の程度が調整されている。なお、電源16は、制御部32と電気的に接続されていてもよく、この場合、制御部32の制御に基づいて電圧が制御されて、ダストの捕集の程度が制御される。
なお、本発明に係る捕集機構は、円板12の一部の領域と、電極14と、電源16とを含む形態に限定されず、ダストに対してダスト保持部に向けた物理的な力を加えることで、ダストを捕集する機構であればいかなる形態であってもよい。
α線検出器18は、ダストから発生するα線を検出する。α線検出器18は、α線を検出する検出面18aを有する。α線検出器18は、検出面18aが、円板12の一部の領域、すなわち図1における円板の右側の部分と、円板12の厚み方向に対向して設けられている。円板12のこのα線検出器18の検出面18aと対向する一部の領域は、ダストから発生するα線を検出する検出位置となっている。つまり、α線検出器18は、ダスト保持部である円板12に捕集機構によって捕集位置で捕集され、移動機構である回転駆動部22によって検出位置に移動したダストから発生するα線を検出する。
α線検出器18は、制御部32と電気的に接続されており、制御部32によって制御されている。α線検出器18は、検出信号処理部34と電気的に接続されており、α線を検出することで得られた検出信号を検出信号処理部34に送信する。
α線検出器18は、検出面18aが、ダスト保持部である円板12の検出位置に対して接近して設けられている。具体的には、α線検出器18は、検出面18aと円板12の検出位置との間の円板12の中心軸に沿う方向の距離が、α線の飛程以下となるように設けられている。α線の飛程は、α線核種及びα線の経路にある材料によって異なるが、空気中では10cm程度以下である。このため、α線検出器18は、検出面18aと円板12の検出位置との間のこの距離が、10cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好まく、2.5cm以下であることがさらに好ましい。
α線検出器18は、検出面18aが、洗浄液供給部24によって供給される洗浄液に対して腐食されないことが好ましい。また、α線検出器18は、検出面18aが、洗浄液供給部24によって供給される洗浄液に対して腐食されない材料の膜でコーティングされていることが好ましい。具体的には、α線検出器18は、検出面18aが、洗浄液に好適に用いられる強酸に対して腐食されない膜、例えばDLC(Diamond Like Carbon、ダイアモンドライクカーボン)の膜でコーティングされていることが好ましい。
洗浄液供給部24は、ダスト保持部である円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aに向けて、設けられている。洗浄液供給部24は、α線検出器18によりα線を検出した後に、円板12の検出位置及び検出面18aを洗浄する洗浄液を供給する。洗浄液供給部24は、例えば、洗浄液を円板12の検出位置及び検出面18aに向けてノズルから噴射する。洗浄液供給部24は、このように洗浄液を噴射することで、洗浄液の噴射の勢いに従って、または洗浄液でダストを溶解することで、ダストを円板12の検出位置及び検出面18aから除去することができる。洗浄液供給部24は、制御部32と電気的に接続されており、制御部32によって制御されている。円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aの付近には、洗浄液回収部が設けられており、洗浄液回収部は、洗浄液供給部24から噴出されてダストを含んだ洗浄液を、外部に漏れないように回収する。
洗浄液供給部24は、供給する洗浄液として、ダストを洗浄できるものであればいかなるものでも用いることができるが、強酸を用いることが好ましく、例えば、硝酸を用いることが好ましい。洗浄液供給部24が、供給する洗浄液として強酸として硝酸を用いる場合、円板12は、硝酸に対して耐性のあるステンレス製であり、α線検出器18は、検出面18aが硝酸に対して耐性のあるDLCでコーティングされている形態が、好ましいものとして例示される。
乾燥風供給部26は、洗浄液供給部24が向けられている領域と、そのさらに円板12の回転方向の下流側と、に向けて設けられている。すなわち、乾燥風供給部26は、ダスト保持部である円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aと、そのさらに円板12の回転方向の下流側と、に向けて設けられている。乾燥風供給部26は、洗浄液供給部24によって供給された洗浄液を揮発させる乾燥風を供給する。乾燥風供給部26は、例えば、ダスト保持部である円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aと、そのさらに円板12の回転方向の下流側と、に向けて、乾燥風としての熱風を吹き付ける。乾燥風供給部26は、このように熱風を吹き付けることで、熱風の勢いに従って、または熱風の温度により、乾燥風供給部26の向けられた領域から、洗浄液を揮発させることができる。乾燥風供給部26は、制御部32と電気的に接続されており、制御部32によって制御されている。
このように、洗浄液供給部24と乾燥風供給部26とは、ダスト保持部である円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aから、検出位置においてα線検出器18でα線が検出されたダストを除去する除去機構を構成している。なお、本発明に係る除去機構は、検出位置においてα線検出器18でα線が検出されたダストを除去する機構であれば、いかなる形態であってもよい。
供給機構28は、図1に示すように、給気管28aと、排気管28bと、吸引ポンプ28cと、囲い部材28dと、を含む。給気管28aは、一端が配管30に接続され、他端が捕集位置に向けて囲い部材28dに接続されている。排気管28bは、一端が配管30に接続され、他端が捕集位置に向けて囲い部材28dに接続されている。給気管28aは、排気管28bが接続されている位置よりも配管30における空気の流れの上流側に接続されている。すなわち、排気管28bは、給気管28aが接続されている位置よりも配管30における空気の流れの下流側に接続されている。吸引ポンプ28cは、排気管28bの途中に設けられ、吸引動作をすることで、給気管28a及び排気管28bの内部に、図1に示す矢印の方向に向けて空気を流すことができる。吸引ポンプ28cは、制御部32と電気的に接続されており、制御部32によって制御されている。吸引ポンプ28cは、制御部32の制御に基づいて吸引圧及び吸引時間が制御されることで、ダストの捕集の程度が制御される。
囲い部材28dは、捕集位置の付近の空間を囲う部材である。囲い部材28dは、円板12の捕集位置と、電極14とが内部に配置されるように、設けられている。囲い部材28dは、円板12が設けられている側が開口している。囲い部材28dと円板12との間には、円板12の回転運動及び捕集位置における円板12の面上に捕集されたダストの移動に支障がない程度の隙間が設けられている。囲い部材28dは、円板12が設けられている側以外の方向を、隙間なく囲っており、覆っている。囲い部材28dは、図1に示す左側において、給気管28a及び排気管28bと隙間なく接続されている。このように、供給機構28は、配管30から、配管30内を流れている空気を捕集位置に供給する。
制御部32は、α線検出器18と、回転駆動部22と、洗浄液供給部24と、乾燥風供給部26と、吸引ポンプ28cと、それぞれ電気的に接続されている。制御部32は、α線検出器18と、回転駆動部22と、洗浄液供給部24と、乾燥風供給部26と、吸引ポンプ28cと、をそれぞれ制御する。
制御部32は、処理部と、記憶部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に本実施形態の放射性ダスト連続モニタリング方法を実行させるための、放射性ダスト連続モニタリングプログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された放射性ダスト連続モニタリングプログラムを読み出して処理することで、α線検出器18、回転駆動部22、洗浄液供給部24、乾燥風供給部26及び吸引ポンプ28cを適切に制御して、本実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を実行する。制御部32は、コンピュータが例示される。
検出信号処理部34は、α線検出器18と電気的に接続されており、α線検出器18がα線を検出することで得られた検出信号をα線検出器18から受信する。検出信号処理部34は、α線検出器18から受信した検出信号に基づいて、一定時間ごとに、検出されたα線量に関する情報を取得する。検出信号処理部34は、電気的に接続された表示部等に、このα線量に関する情報を一定時間ごとに表示させることができる。検出信号処理部34は、このα線量に関する情報を監視し、α線量が所定の閾値を超えたときに、警報機に警報を発信させることができる。
検出信号処理部34は、記憶部が接続されている。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、検出信号処理部34により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、検出信号処理部34に本実施形態の放射性ダスト連続モニタリング方法における検出信号処理を実行させるための、検出信号処理プログラムを記憶する。また、記憶部は、検出信号処理部34が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。検出信号処理部34は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、検出信号処理部34は、記憶部に記憶された検出信号処理プログラムを読み出して処理することで、本発明の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法に含まれる検出信号処理を実行する。検出信号処理部34は、コンピュータが例示される。
制御部32に含まれる処理部と、検出信号処理部34とは、一体であってもよい。また、制御部32に含まれる記憶部と、検出信号処理部34に接続されている記憶部とは、一体であってもよい。制御部32と、検出信号処理部34とは、一台のコンピュータであってもよい。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を示すフローチャートである。図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を説明する。本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置10の動作の一例である。本発明の第1の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、図2に示すように、空気供給ステップ(ステップS12)と、ダスト捕集ステップ(ステップS14)と、ダスト移動ステップ(ステップS16)と、α線検出ステップ(ステップS18)と、ダスト除去ステップ(ステップS20)と、を含む。
まず、供給機構28は、吸引ポンプ28cが制御部32の制御を受けて吸引動作をすることで、給気管28a及び排気管28bの内部に、図1に示す矢印の方向に向けて空気を流す。これにより、供給機構28は、配管30の内部を流れており、α線を発生させるダストを含む空気を、囲い部材28dに囲まれた空間に供給する。このように、供給機構28は、α線を発生させるダストを含む空気を捕集位置に供給する(ステップS12)。
次に、捕集機構は、ステップS12によりα線を発生させるダストを含む空気が捕集位置に供給されている状態で、電源16が、電極14にダストが帯びる極性と同じ極性の電圧を印加して電極14を放電極とし、円板12にダストが帯びる極性と異なる極性の電圧を印加して円板12を集塵極とする。これにより、捕集機構は、ダストを捕集位置における円板12の面上に選択的に吸着させる。このように、捕集機構は、α線を発生させるダストを捕集位置における円板12の面上に捕集する(ステップS14)。
そして、移動機構は、ステップS14によりα線を発生させるダストが捕集位置における円板12の面上に捕集された状態で、回転駆動部22が制御部32の制御を受けて、回転軸20を介して、円板12を、図1に示す矢印の反時計回りの方向に回転させる。これにより、移動機構は、捕集位置にあった、円板12のα線を発生させるダストが捕集された部分を、α線検出器18の検出面18aと円板12の厚み方向に対向した位置である検出位置に移動させる(ステップS16)。
その後、α線検出器18は、制御部32の制御を受けて、ステップS16により検出位置に移動させたダストから発生するα線を検出する(ステップS18)。α線検出器18は、α線を検出することで、検出信号を得て、得られた検出信号を検出信号処理部34に送信する。検出信号処理部34は、α線検出器18から受信した検出信号に基づいて、検出されたα線量に関する情報を取得する。
その後、洗浄液供給部24は、制御部32の制御を受けて、α線検出器18によってα線が検出されたダストが捕集されている検出位置における円板12の面上と、ダストが付着している可能性があるα線検出器18の検出面18aとに向けて、洗浄液を供給する。具体的には、洗浄液供給部24は、これらの場所に向けて、洗浄液をノズルから噴射することで、洗浄液の噴射の勢いに従って、または洗浄液でダストを溶解することで、ダストを円板12の検出位置及び検出面18aから除去する。さらに、乾燥風供給部26は、制御部32の制御を受けて、円板12の検出位置及び検出面18aと、そのさらに円板12の回転方向の下流側と、に向けて乾燥風を供給する。具体的には、乾燥風供給部26は、これらの場所に向けて、乾燥風を吹き付けることで、乾燥風の勢いに従って、または乾燥風の温度により、乾燥風供給部26の向けられた領域から、洗浄液を揮発させる。このように、洗浄液供給部24と乾燥風供給部26とは、ダスト保持部である円板12の検出位置及びα線検出器18の検出面18aから、検出位置においてα線検出器18でα線が検出されたダストを除去する(ステップS20)。
ステップS12からステップS20までの処理が施された円板12の領域は、移動機構により、再び捕集位置に戻ってくる。このため、ステップS12からステップS20までの処理を何度も繰り返すことで、一定時間ごとに、α線を発生させるダストを連続してモニタリングすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、以上のような構成を有するので、移動機構によりα線検出器18の検出面18aとダストとを接近させることができ、かつ、除去機構によりダスト保持部である円板12とα線検出器18の検出面18aとからダストを除去することができる。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去機構によりダストを除去した領域を再びダストの捕集及びα線の検出に用いることができるので、ダスト保持部である円板12を交換する必要がない。このように、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、α線検出器18の検出面18aの汚染を低減しつつ、α線を十分な強度で検出することができる。また、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、従来技術のように濾紙を使用しては処分したりフィルタを定期的に交換したりする必要がないので、放射性ダストの連続モニタリングにかかる手間及びコストを低減することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダスト保持部が円周上に連続して形成された円板12であり、捕集位置と検出位置とが円板12に沿って共に配置され、移動機構が円板12を軸の周りに回転させる回転駆動部22を含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、捕集位置となっていた円板12の部分を検出位置に移動させるとともに、検出位置となっていた円板12の部分を捕集位置に移動させることができるので、効率よく、放射性ダストの連続モニタリングをすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、さらに、捕集機構が円板12と円板12に対向して捕集位置に設けられた電極14とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加する電源16を含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダスト保持部の捕集位置に、選択的に、かつ、効率よく、ダストを捕集することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去機構がダスト保持部及びα線検出器18の検出面18aを洗浄する洗浄液を供給する洗浄液供給部24と、洗浄液を揮発させる乾燥風を供給する乾燥風供給部26と、を含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、より確実に、ダスト保持部及びα線検出器18の検出面18aからダストを除去することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、さらに、α線検出器18の検出面18aがDLCでコーティングされており、洗浄液供給部24が強酸を供給する。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、DLCコーティングが強酸に対して溶解しないので、α線検出器18の検出面18aを洗浄液から保護することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、空気が流れる配管30から、空気を捕集位置に供給する供給機構をさらに含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置10及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、配管30から空気を供給してダストを捕集することができるので、空気の供給が可能な、いかなる配管30の場所においても、放射性ダストの連続モニタリングをすることができる。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置40の概略構成図である。放射性ダスト連続モニタリング装置40は、図3に示すように、配管60の内部を流れる空気中に含まれる放射性ダストから発生するα線を検出することで、放射性ダストを連続でモニタリングする。
放射性ダスト連続モニタリング装置40は、図3に示すように、点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bと、電源46と、α線検出器48と、金属薄膜48bと、金属部材50と、電源52と、空気ブロー噴出部54と、制御部56と、検出信号処理部58と、を含む。
点状電極42は、配管60の内部の断面における中央領域に設けられている。点状電極42は、配管60の内部における空気の流れを必要以上に妨げない支持部材で、配管60の内部に支持されている。板状電極44a及び板状電極44bは、点状電極42を覆うように、配管60の内面に沿って設けられている。板状電極44a及び板状電極44bは、2枚の電極に分けて設けられているが、1枚の円筒状の電極であってもよく、3枚以上の電極に分けて設けられていてもよい。点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bとは、配管60の断面方向に沿って対向して配置されている。電源46は、一方の極が点状電極42に接続され、他方の極が板状電極44a及び板状電極44bに接続されている。このため、電源46は、点状電極42と板状電極44a及び板状電極44bとにそれぞれ異なる極性の電圧を印加することができる。詳細には、電源46は、ダストを帯電させたい極性と同じ極性の電圧を点状電極42に印加し、ダストを帯電させたい極性と異なる極性の電圧を板状電極44a及び板状電極44bに印加する。電源46は、点状電極42に負極の電圧を印加し、板状電極44a及び板状電極44bに正極の電圧を印加することで、空気の流れに伴って通過するダストを負極に帯電させることができる。一方、電源46は、点状電極42に正極の電圧を印加し、板状電極44a及び板状電極44bに負極の電圧を印加することで、空気の流れに伴って通過するダストを正極に帯電させることができる。このように、点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bと、電源46とは、ダストを帯電させる帯電機構を構成している。
本実施形態では、電源46は、配管60の内部に設けられても外部に設けられてもよいが、点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bとは、いずれも内部に設けられている。このことから、本実施形態では、帯電機構は、実質的に配管60の内部に設けられており、配管60の内部を流れる空気に含まれるダストを配管60の内部で帯電させる。
点状電極42は、板状電極44a及び板状電極44bと比較して、互いに対向する面積が小さいので、放電圧を高圧にすることができるので、ダストの帯電の効率が良くなり、好ましい。電源46は、電圧が調整されることで、ダストの帯電の程度、すなわち単位時間当たりに帯電するダストの量が調整されている。なお、電源46は、制御部56と電気的に接続されていてもよく、この場合、制御部56の制御に基づいて電圧が制御されて、ダストの帯電の程度が制御される。
α線検出器48は、ダストから発生するα線を検出する。α線検出器48は、α線を検出する検出面48aを有する。α線検出器48は、検出面48aに金属薄膜48bがコーティングされている。金属薄膜48bは、α線を発生させない金属であればどのような金属であってもよく、α線の検出を妨げない程度に薄く形成されている。
α線検出器48は、検出面48a及び金属薄膜48bが配管60の内部に向けて、帯電機構よりも配管60における空気の流れの下流側に設けられている。このため、α線検出器48は、帯電機構によって帯電し、空気の流れに伴って検出面48a及び金属薄膜48bが設けられている位置に移動したダストを、金属薄膜48bの表面に吸着させて、ダストから発生するα線を検出する。
α線の飛程は、上記したように、α線核種及びα線の経路にある材料によって異なるが、空気中では10cm程度以下と短い。また、α線検出器48の検出面48aに金属薄膜48bがコーティングされているので、α線は、検出面48aに到達するまでに金属薄膜48bによって減衰する。このため、α線検出器48は、金属薄膜48bから離間しているダストから発生するα線を検出することは難しい。そのため、α線検出器48は、配管60の内部を流れている状態のダストから発生するα線を検出することは難しい。一方、α線検出器48は、検出面48aと金属薄膜48bの表面との距離がα線の飛程と比較して十分に短いので、金属薄膜48bの表面に吸着されたダストから発生するα線を検出することができる。このことから、α線検出器48は、検出面48a及び金属薄膜48bが、配管60の延びる方向に沿って設けられていることが好ましく、この場合、検出面48aで効率よく、帯電したダストを吸着して、ダストから発生するα線を検出することができる。
α線検出器48は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56によって制御されている。α線検出器48は、検出信号処理部58と電気的に接続されており、α線を検出することで得られた検出信号を検出信号処理部58に送信する。
金属部材50は、金属薄膜48bに対向して設けられている。電源52は、一方の極が金属薄膜48bに接続され、他方の極が金属部材50に接続されている。このため、電源52は、金属薄膜48bと金属部材50とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加することができる。
電源52は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56によって制御されている。電源52は、オンオフの切り替え、及び、金属薄膜48bと金属部材50とに印加する電圧の極性の切り替えをすることができる。電源52は、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属薄膜48bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属部材50に印加する。これにより、電源52は、ダストに対して金属薄膜48bに向けた静電力を加えて、ダストを金属薄膜48bの表面に吸着させることができる。
電源52は、オフに切り替えることで、すなわち切ることで、金属薄膜48b及び金属部材50に電圧を印加していない状態とし、ダストに対して金属薄膜48bに向けた静電力を加えていない状態とすることができる。また、電源52は、ダストを金属薄膜48bの表面に吸着させる時とは逆に切り替えることで、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属薄膜48bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属部材50に印加する。これにより、電源52は、ダストに対して金属部材50に向けた静電力を加えて、金属薄膜48bに吸着しているダストを金属部材50に向けて剥離させることができる。
金属部材50は、電源52によって、金属薄膜48bと異なる極性の電圧が印加されることで、金属薄膜48bとの間に静電力場を作り出す。金属部材50は、配管60の内部の面に沿って設けられているか、もしくは、配管60を構成する金属の部分の一部であることが好ましく、この場合、金属薄膜48bとの間の空間が広くなるため、配管60の内部における金属薄膜48bと対向する広い空間に、静電力場を作り出すことができる。金属部材50を有することで、より安定した電位と電界を供給維持することができる。なお、金属部材50は、必須の構成でなくてもよく、この場合は配管60を接地させ、接地電位を基準にして金属薄膜48bに所定の極性の電圧を印加することで、金属薄膜48bと配管60の内面との間に静電力場を作り出すことができる。
空気ブロー噴出部54は、金属薄膜48bに向けて設けられている。すなわち、空気ブロー噴出部54は、空気ブローを噴出する空気ブロー噴出口が、金属薄膜48bに向けて設けられている。空気ブロー噴出部54は、空気ブローを噴出する空気ブロー噴出口が、配管60の内部に設けられている。空気ブロー噴出部54は、制御部56と電気的に接続されており、制御部56によって制御されている。空気ブロー噴出部54は、電源52がオフに切り替えられて、金属薄膜48bに電圧を印加していない状態であり、ダストに対して金属薄膜48bに向けた静電力が加えられていない状態のときに、金属薄膜48bに向けて空気ブローを噴出することで、α線検出器48でα線が検出されたダストを金属薄膜48bから除去することができる。また、空気ブロー噴出部54は、電源52が逆に切り替えられて、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属薄膜48bに印加した状態であり、ダストに対して金属部材50に向けた静電力が加えられた状態のときに、金属薄膜48bに向けて空気ブローを噴出することで、α線検出器48でα線が検出されたダストを金属薄膜48bから除去することができる。金属薄膜48bから除去されたダストは、配管60の内部を流れて、金属薄膜48bに吸着されなかったダストとともに、外部に漏れないように回収される。
制御部56は、α線検出器48と、電源52と、空気ブロー噴出部54と、それぞれ電気的に接続されている。制御部56は、α線検出器48と、電源52と、空気ブロー噴出部54と、をそれぞれ制御する。
制御部56は、処理部と、記憶部とを含む。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、処理部に本実施形態の放射性ダスト連続モニタリング方法を実行させるための、放射性ダスト連続モニタリングプログラムを記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、処理部は、記憶部に記憶された放射性ダスト連続モニタリングプログラムを読み出して処理することで、α線検出器48、電源52及び空気ブロー噴出部54を適切に制御して、本実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を実行する。制御部56は、コンピュータが例示される。
検出信号処理部58は、α線検出器48と電気的に接続されており、α線検出器48がα線を検出することで得られた検出信号をα線検出器48から受信する。検出信号処理部58は、α線検出器48から受信した検出信号に基づいて、一定時間ごとに、検出されたα線量に関する情報を取得する。検出信号処理部58は、電気的に接続された表示部等に、このα線量に関する情報を一定時間ごとに表示させることができる。検出信号処理部58は、このα線量に関する情報を監視し、α線量が所定の閾値を超えたときに、警報機に警報を発信させることができる。
検出信号処理部58は、記憶部が接続されている。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、検出信号処理部58により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。具体的には、記憶部は、検出信号処理部58に本実施形態の放射性ダスト連続モニタリング方法における検出信号処理を実行させるための、検出信号処理プログラムを記憶する。また、記憶部は、検出信号処理部58が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。検出信号処理部58は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能を発揮する。具体的には、検出信号処理部58は、記憶部に記憶された検出信号処理プログラムを読み出して処理することで、本発明の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法に含まれる検出信号処理を実行する。検出信号処理部58は、コンピュータが例示される。
制御部56に含まれる処理部と、検出信号処理部58とは、一体であってもよい。また、制御部56に含まれる記憶部と、検出信号処理部58に接続されている記憶部とは、一体であってもよい。制御部56と、検出信号処理部58とは、一台のコンピュータであってもよい。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を示すフローチャートである。図4を用いて、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を説明する。本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置40の動作の一例である。本発明の第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、図4に示すように、ダスト帯電ステップ(ステップS22)と、ダスト吸着ステップ(ステップS24)と、α線検出ステップ(ステップS26)と、ダスト除去ステップ(ステップS28)と、を含む。
まず、配管60の内部に設けられた帯電機構は、電源46が、ダストを帯電させたい極性と同じ極性の電圧を点状電極42に印加し、ダストを帯電させたい極性と異なる極性の電圧を板状電極44a及び板状電極44bに印加する。そして、配管60の内部を流れる空気に含まれるダストが、この帯電機構の付近を通過する。これにより、帯電機構は、配管60の内部を流れる空気に含まれるダストを、点状電極42に印加された電圧の極性と同じ極性に帯電させる(ステップS22)。
次に、電源52は、制御部56の制御を受けて、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属薄膜48bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属部材50に印加することで、ダストに対して金属薄膜48bに向けた静電力を加える。これにより、電源52は、ダストを金属薄膜48bの表面に吸着させる(ステップS24)。
その後、α線検出器48は、制御部56の制御を受けて、ステップS24により金属薄膜48bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する(ステップS26)。α線検出器48は、α線を検出することで、検出信号を得て、得られた検出信号を検出信号処理部58に送信する。検出信号処理部58は、α線検出器48から受信した検出信号に基づいて、検出されたα線量に関する情報を取得する。
その後、電源52は、制御部56の制御を受けて、オフに切り替えることで、すなわち切ることで、金属薄膜48b及び金属部材50に電圧を印加していない状態とし、ダストに対して金属薄膜48bに向けた静電力を加えていない状態とする。もしくは、電源52は、制御部56の制御を受けて、ダストを金属薄膜48bの表面に吸着させる時とは逆に切り替えることで、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属薄膜48bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属部材50に印加することで、ダストに対して金属部材50に向けた静電力を加える。これにより、電源52は、金属薄膜48bに吸着しているダストを金属部材50に向けて剥離させる。
空気ブロー噴出部54は、金属薄膜48b及び金属部材50に電圧を印加していない状態か、もしくは、ダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属薄膜48bに印加した状態で、金属薄膜48bに向けて空気ブローを噴き出す。これにより、空気ブロー噴出部54は、α線検出器48でα線が検出されたダストを、金属薄膜48bから除去する(ステップS28)。
ステップS22からステップS28までの処理が施された金属薄膜48bは、表面からダストが除去されているので、これらの処理が施される前の状態と同じである。このため、ステップS22からステップS28までの処理を何度も繰り返すことで、一定時間ごとに、α線を発生させるダストを連続してモニタリングすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、以上のような構成を有するので、電源52及び金属部材50により、金属薄膜48bにダストを吸着させることで、α線検出器48の検出面48aとダストとを接近させることができる。また、放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、電源52及び金属部材50により、金属薄膜48bに対し、ダストを吸着しない状態とした上で、空気ブロー噴出部54により、空気ブローを噴出することで、α線検出器48の検出面48aからダストを除去することができる。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、α線検出器48の検出面48aの汚染を低減しつつ、α線を十分な強度で検出することができる。また、放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、従来技術のように濾紙を使用しては処分したりフィルタを定期的に交換したりする必要がないので、放射性ダストの連続モニタリングにかかる手間及びコストを低減することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、帯電機構、検出面48a、金属薄膜48b、及び空気ブロー噴出部54の空気ブロー噴出口が、いずれも空気が流れる配管60の内部に設けられており、検出面48aが、配管60の延びる方向に沿って設けられており、金属部材50が、配管60の内部に設けられているか、もしくは、配管60を構成する金属の部分の一部である。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、放射性ダストを含む空気が流れる配管60の内部を、配管60の外部とは完全に切り離した状態として、配管60の内部を流れる空気に含まれる放射性ダストの連続モニタリングをすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、さらに、帯電機構が、配管60の内部の断面における中央領域に設けられた点状電極42と、点状電極42を覆うように配管60の内面に沿って設けられた板状電極44a及び板状電極44bと、点状電極42と板状電極44a及び板状電極44bとにそれぞれ異なる極性の電圧を印加する電源46と、を含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置40及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダストを効率よく帯電することができるので、金属薄膜48bがダストを効率よく吸着することを可能にする。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置70の概略構成図である。放射性ダスト連続モニタリング装置70は、図5に示すように、放射性ダスト連続モニタリング装置40と同様に、配管60の内部を流れる空気中に含まれる放射性ダストから発生するα線を検出することで、放射性ダストを連続でモニタリングする。放射性ダスト連続モニタリング装置70は、放射性ダスト連続モニタリング装置40において、様々な変更を加えたものである。1つ目の変更は、α線検出器48の数を増やして、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の2個を有する形態に変更したことである。2つ目の変更は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の移動機構として、円板76、回転軸78及び回転駆動部80を新たに設けたことである。3つ目の変更は、空気ブロー噴出部54の位置を変更して、空気ブロー噴出部86としたことである。4つ目の変更は、金属部材82及び電源84を新たに設けたことである。第3の実施形態の説明では、第2の実施形態と同様の構成に第2の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
放射性ダスト連続モニタリング装置70は、図5に示すように、点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bと、電源46と、第1α線検出器72及び第2α線検出器74と、第1金属薄膜72b及び第2金属薄膜74bと、円板76と、回転軸78と、回転駆動部80と、金属部材50と、電源52と、金属部材82と、電源84と、空気ブロー噴出部86と、制御部88と、検出信号処理部90と、を含む。点状電極42と、板状電極44a及び板状電極44bと、電源46とは、第2の実施形態と同様に、帯電機構を構成している。なお、電源46は、制御部88と電気的に接続されていてもよく、この場合、制御部88の制御に基づいて電圧が制御されて、ダストの帯電の程度が制御される。
第1α線検出器72及び第2α線検出器74は、いずれも、ダストから発生するα線を検出する。第1α線検出器72は、α線を検出する第1検出面72aを有する。第1α線検出器72は、第1検出面72aに第1金属薄膜72bがコーティングされている。第2α線検出器74は、α線を検出する第2検出面74aを有する。第2α線検出器74は、第2検出面74aに第2金属薄膜74bがコーティングされている。第1金属薄膜72b及び第2金属薄膜74bは、α線を発生させない金属であればどのような金属であってもよく、α線の検出を妨げない程度に薄く形成されている。
第1α線検出器72及び第2α線検出器74は、いずれも、ダストから発生するα線を検出する検出位置とα線を検出したダストを除去する除去位置との間で移動可能に設けられている。図5では、第1α線検出器72は検出位置に描かれており、第2α線検出器74は除去位置に描かれている。第1α線検出器72及び第2α線検出器74に接続されている配線は、検出位置と除去位置との間の移動によって巻きつかないように、接続先が切り替わり可能な構成となっている。
配管60は、検出位置において、開閉機構を含む。開閉機構は、第1α線検出器72または第2α線検出器74が検出位置に配置される場合、開くことで、第1検出面72a及び第1金属薄膜72b、または、第2検出面74a及び第2金属薄膜74bを、配管60の内部に受け入れる。開閉機構は、開いている場合、配管60と、検出位置に配置されている第1α線検出器72または第2α線検出器74との間が密閉された状態となっている。開閉機構は、第1α線検出器72または第2α線検出器74が検出位置に配置されていない場合、例えば、第1α線検出器72または第2α線検出器74が検出位置と除去位置との間を移動中の場合、閉じることで、配管60の内部の密閉状態を保持する。開閉機構は、物理的な機構で、第1α線検出器72または第2α線検出器74の有無に基づいて自動的に開閉するものであってもよいし、制御部88と電気的に接続されていて制御部88の制御に基づいて開閉するものであってもよい。
第1α線検出器72は、検出位置にある場合、第1検出面72a及び第1金属薄膜72bが配管60の内部に向けて、帯電機構よりも配管60における空気の流れの下流側に設けられている。このため、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、帯電機構によって帯電し、空気の流れに伴って第1検出面72a及び第1金属薄膜72bが設けられている位置に移動したダストを、後述する吸着機構によって第1金属薄膜72bの表面に吸着させることを可能にする。また、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、第1金属薄膜72bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する。
第2α線検出器74は、検出位置にある場合、第2検出面74a及び第2金属薄膜74bが配管60の内部に向けて、帯電機構よりも配管60における空気の流れの下流側に設けられている。このため、第2α線検出器74は、検出位置にある場合、帯電機構によって帯電し、空気の流れに伴って第2検出面74a及び第2金属薄膜74bが設けられている位置に移動したダストを、後述する吸着機構によって第2金属薄膜74bの表面に吸着させることを可能にする。また、第2α線検出器74は、検出位置にある場合、第2金属薄膜74bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する。
α線の飛程は、上記したように、α線核種及びα線の経路にある材料によって異なるが、空気中では10cm程度以下と短い。また、第1α線検出器72の第1検出面72aに第1金属薄膜72bがコーティングされているので、第1α線検出器72が検出位置にある場合、α線は、第1検出面72aに到達するまでに第1金属薄膜72bによって減衰する。このため、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、第1金属薄膜72bから離間しているダストから発生するα線を検出することは難しい。そのため、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、配管60の内部を流れている状態のダストから発生するα線を検出することは難しい。一方、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、第1検出面72aと第1金属薄膜72bの表面との距離がα線の飛程と比較して十分に短いので、第1金属薄膜72bの表面に吸着されたダストから発生するα線を検出することができる。このことから、第1α線検出器72は、検出位置にある場合、第1検出面72a及び第1金属薄膜72bが、配管60の延びる方向に沿って設けられていることが好ましく、この場合、第1検出面72aで効率よく、帯電したダストを吸着して、ダストから発生するα線を検出することができる。また、第2α線検出器74は、検出位置にある場合、第1α線検出器72と同様に、第2金属薄膜74bの表面に吸着されたダストから発生するα線を検出することができる。このことから、第2α線検出器74は、検出位置にある場合、第2検出面74a及び第2金属薄膜74bが、配管60の延びる方向に沿って設けられていることが好ましく、この場合、第2検出面74aで効率よく、帯電したダストを吸着して、ダストから発生するα線を検出することができる。
第1α線検出器72は、除去位置にある場合、第1検出面72a及び第1金属薄膜72bが配管60の外部に設けられている。このため、第1α線検出器72は、除去位置にある場合、検出位置を含む検出系とは切り離された状態で、後述する除去機構によって、α線を検出したダストを除去することを可能にする。第2α線検出器74は、除去位置にある場合、第2検出面74a及び第2金属薄膜74bが配管60の外部に設けられている。このため、第2α線検出器74は、除去位置にある場合、検出位置を含む検出系とは切り離された状態で、後述する除去機構によって、α線を検出したダストを除去することを可能にする。
第1α線検出器72及び第2α線検出器74は、いずれも、制御部88と電気的に接続されており、制御部88によって制御されている。第1α線検出器72及び第2α線検出器74は、いずれも、検出信号処理部90と電気的に接続されており、α線を検出することで得られた検出信号を検出信号処理部90に送信する。
円板76は、一方の面側に、中心の軸に対し180度回転対称となる位置に、それぞれ、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を保持する。このため、円板76は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方が検出位置に配置されるとき、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方が除去位置に配置されるように、指示することができる。円板76は、中心部分に、円板76の軸に沿う方向に向けて、回転軸78が設けられている。円板76は、回転軸78により、円板76の軸の周りに回転可能に、すなわち円板76の円周方向に回転可能に、支持されている。このため、円板76は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を、円板76の軸の周りに回転移動可能に保持している。円板76は、回転軸78に接続された回転駆動部80により、所定の方向、すなわち図5に示す反時計回りの方向に、回転することができる。円板76は、回転の軌道上に、ダストから発生するα線を検出する検出位置と、α線を検出したダストを除去する除去位置とを含んでいる。すなわち、円板76は、検出位置と除去位置とが、円板76に沿って同一の円周上に来るように配置している。
回転軸78は、円板76の中心部分に、円板76の中心軸に沿う方向に向けて設けられている。回転軸78は、円板76の軸の周りに回転可能に、すなわち円板76の円周方向に回転可能に、支持している。回転駆動部80は、回転軸78に接続されている。回転駆動部80は、制御部88と電気的に接続されており、制御部88の制御に基づき、回転軸78を介して、円板76を所定の方向、すなわち図5に示す反時計回りの方向に、回転させることができる。回転駆動部80は、円板76を回転させることで、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方を検出位置から除去位置に移動させると同時に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方を除去位置から検出位置に移動させることができる。回転駆動部80は、モータが例示される。このように、円板76と、回転軸78と、回転駆動部80とは、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を、それぞれ検出位置と除去位置との間で移動させる移動機構を構成している。
なお、本発明に係る移動機構は、円板76、回転軸78及び回転駆動部80による形態に限定されず、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を、それぞれ検出位置と除去位置との間で移動させることができる形態であれば、いかなる形態であってもよい。例えば、移動機構は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を、それぞれ保持する保持部を有し、これらの保持部が検出位置と除去位置との間で移動させる形態であってもよい。
金属部材50は、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対向して設けられている。電源52は、一方の極が検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに接続され、他方の極が金属部材50に接続されている。このため、電源52は、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと金属部材50とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加することができる。
電源52は、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を金属部材50に印加する。これにより、電源52は、ダストに対して、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けた静電力を加えて、ダストを検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bの表面に吸着させることができる。
金属部材50は、電源52によって、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと異なる極性の電圧が印加されることで、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bとの間に静電力場を作り出す。金属部材50は、第2の実施形態と同様に、配管60の内部の面に沿って設けられているか、もしくは、配管60を構成する金属の部分の一部であることが好ましい。この場合、金属部材50は、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bとの間の空間が広くなるため、配管60の内部における、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと対向する広い空間に、静電力場を作り出すことができる。金属部材50を有することで、より安定した電位と電界を供給維持することができる。なお、金属部材50は、必須の構成でなくてもよく、この場合は配管60を接地させ、接地電位を基準にして第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに所定の極性の電圧を印加することで、第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと配管60の内面と間に静電力場を作り出すことができる。
このように、金属部材50と、電源52とは、第1α線検出器72が検出位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2α線検出器74が検出位置にある場合の第2金属薄膜74bに、帯電機構により帯電させたダストを吸着させる吸着機構を構成している。本実施形態では、電源52は、配管60の内部に設けられても外部に設けられてもよいが、金属部材50は、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bとともに、内部に設けられている。このことから、本実施形態では、吸着機構は、実質的に配管60の内部に設けられており、配管60の内部を流れる空気に含まれ、帯電機構により帯電させたダストを、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに吸着させる。
空気ブロー噴出部86は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて設けられている。すなわち、空気ブロー噴出部86は、空気ブローを噴出する空気ブロー噴出口が、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて設けられている。空気ブロー噴出部86は、空気ブローを噴出する空気ブロー噴出口が、配管60の外部に設けられている。空気ブロー噴出部86は、制御部88と電気的に接続されており、制御部88によって制御されている。ここで、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けた静電力は、ダストに加えられていない。このため、空気ブロー噴出部86は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて空気ブローを噴出することで、除去位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74でα線が検出されたダストを、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから除去することができる。
このように、空気ブロー噴出部86は、第1α線検出器72または第2α線検出器74が除去位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから、ダストを除去する除去機構を構成する。
金属部材82は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対向して設けられている。電源84は、一方の極が除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに接続され、他方の極が金属部材82に接続されている。このため、電源84は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと金属部材82とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加することができる。
電源84は、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属部材82に印加する。これにより、電源84は、ダストに対して、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから金属部材82に向けた静電力を加える。これにより、電源52は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに吸着しているダストを金属部材82に向けて剥離させることができる。
このため、金属部材82及び電源84は、空気ブロー噴出部86が、除去位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74でα線が検出されたダストをより確実に除去することを、可能にする。すなわち、除去機構は、金属部材82及び電源84をさらに含むことで、より確実に、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bからダストを除去することができる。
除去機構に含まれる金属部材82、電源84及び空気ブロー噴出部86は、いずれも配管60の外部に設けられている。このため、除去機構は、検出位置を含む検出系とは切り離された状態で、α線を検出したダストを除去することを可能にする。除去機構の付近には、ダスト回収部が設けられており、ダスト回収部は、除去機構によって除去されたダストを外部に漏れないように回収する。
制御部88は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74と、回転駆動部80と、電源52と、電源84と、空気ブロー噴出部86と、それぞれ電気的に接続されている。制御部88は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74と、回転駆動部80と、電源52と、電源84と、空気ブロー噴出部86と、をそれぞれ制御する。
制御部88は、制御部56と同様の構成を有する。制御部88に含まれる処理部は、制御部88に含まれる記憶部に記憶された放射性ダスト連続モニタリングプログラムを読み出して処理することで、第1α線検出器72及び第2α線検出器74、回転駆動部80、電源52、電源84及び空気ブロー噴出部86を適切に制御して、本実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を実行する。制御部88は、コンピュータが例示される。
検出信号処理部90は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74と電気的に接続されており、第1α線検出器72及び第2α線検出器74がα線を検出することで得られた検出信号を第1α線検出器72及び第2α線検出器74から受信する。検出信号処理部90は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74から受信した検出信号に基づいて、一定時間ごとに、検出されたα線量に関する情報を取得する。詳細には、検出信号処理部90は、第1α線検出器72が検出位置にある場合には、第1α線検出器72から受信した検出信号に基づいて検出されたα線量に関する情報を取得し、第2α線検出器74が検出位置にある場合には、第2α線検出器74から受信した検出信号に基づいて検出されたα線量に関する情報を取得する。検出信号処理部90は、電気的に接続された表示部等に、このα線量に関する情報を一定時間ごとに表示させることができる。検出信号処理部90は、このα線量に関する情報を監視し、α線量が所定の閾値を超えたときに、警報機に警報を発信させることができる。
検出信号処理部90は、検出信号処理部58と同様の構成を有する。検出信号処理部90は、コンピュータが例示される。
制御部88に含まれる処理部と、検出信号処理部90とは、一体であってもよい。また、制御部88に含まれる記憶部と、検出信号処理部90に接続されている記憶部とは、一体であってもよい。制御部88と、検出信号処理部90とは、一台のコンピュータであってもよい。
図6は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を示すフローチャートである。図6を用いて、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を説明する。本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置70の動作の一例である。本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、図6に示すように、ダスト帯電ステップ(ステップS22)と、ダスト吸着ステップ(ステップS24)と、α線検出ステップ(ステップS26)と、第1移動ステップ(ステップS32)と、ダスト除去ステップ(ステップS28)と、第2移動ステップ(ステップS34)と、を含む。
第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS22は、第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS22と同様である。第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS24は、第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS24と同様であり、電源52が、制御部88の制御を受けて、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bの表面にダストを吸着させる。すなわち、電源52は、第1α線検出器72が検出位置にある場合、第1金属薄膜72bの表面にダストを吸着させ、第2α線検出器74が検出位置にある場合、第2金属薄膜74bの表面にダストを吸着させる。
第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS26は、第2の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS26と同様であり、検出位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74が、制御部88の制御を受けて、ステップS24により第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する。すなわち、第1α線検出器72が検出位置にある場合、第1α線検出器72が、第1金属薄膜72bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する。第2α線検出器74が検出位置にある場合、第2α線検出器74が、第2金属薄膜74bの表面に吸着したダストから発生するα線を検出する。
検出位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74は、α線を検出することで、検出信号を得て、得られた検出信号を検出信号処理部90に送信する。検出信号処理部90は、検出位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74から受信した検出信号に基づいて、検出されたα線量に関する情報を取得する。
ステップS26の後に、移動機構は、制御部88の制御を受けて、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方を検出位置から除去位置に移動させると同時に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方を除去位置から検出位置に移動させる(ステップS32)。これにより、第1α線検出器72及び第2α線検出器74のうち、検出位置でステップS22からステップS24の処理が施された方のα線検出器は除去位置に移動し、除去位置で後述するステップS28の処理が施された方のα線検出器は検出位置に移動する。
第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに吸着しているダストは、第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bが検出位置から除去位置に移動することで、第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けた静電力が加えられていない状態となる。この状態下において、除去機構に含まれる空気ブロー噴出部86は、制御部88の制御を受けて、除去位置に移動した第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて空気ブローを噴き出す。これにより、空気ブロー噴出部54は、第1α線検出器72または第2α線検出器74が検出位置にあるときにα線が検出されたダストを、除去位置に移動した第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから除去する(ステップS28)。
さらに、除去機構に含まれる電源84は、制御部88の制御を受けて、帯電機構によりダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を、除去位置に移動した第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに印加し、帯電機構によりダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を金属部材82に印加することで、ダストに対して金属部材82に向けた静電力を加えることが好ましい。これにより、電源84は、除去位置に移動した第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに吸着しているダストを金属部材82に向けて剥離させる。このため、空気ブロー噴出部86が、除去位置にある第1α線検出器72または第2α線検出器74でα線が検出されたダストを、より確実に除去することができる。
ステップS28の後に、移動機構は、制御部88の制御を受けて、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方を除去位置から検出位置に移動させると同時に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方を検出位置から除去位置に移動させる(ステップS34)。これにより、第1α線検出器72及び第2α線検出器74のうち、除去位置でステップS28の処理が施された方のα線検出器は検出位置に移動し、検出位置でステップS22からステップS24の処理が施された方のα線検出器は除去位置に移動する。
以上のように、まず、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方についてステップS22からステップS26の処理が施されている間に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方についてステップS28の処理が施される。次に、ステップS32により、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の位置が検出位置と除去位置との間で入れ替わる。そして、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方についてステップS28の処理が施されている間に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方についてステップS22からステップS26の処理が施される。その後に、ステップS34により、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の位置が検出位置と除去位置との間でもう一度入れ替わり、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の位置が一周して戻ってくる。このように、第1α線検出器72と第2α線検出器74とは、円板76の半周ごとに、交互にダストが発生するα線を検出する。
ステップS22からステップS28までの処理が施された第1金属薄膜72b及び第2金属薄膜74bは、表面からダストが除去されているので、これらの処理が施される前の状態と同じである。このため、ステップS22からステップS28までの処理を何度も繰り返すことで、一定時間ごとに、円板76が半周する時間ごとに、α線を発生させるダストを連続してモニタリングすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、以上のような構成を有するので、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bにダストを吸着機構により吸着させることで、第1検出面72aまたは第2検出面74aとダストとを接近させることができ、かつ、除去機構により、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bからダストを除去することができる。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、第1検出面72aまたは第2検出面74aの汚染を低減しつつ、α線を十分な強度で検出することができる。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダストを吸着するものを交換する必要がないため、放射性ダストの連続モニタリングにかかる手間及びコストを低減することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、帯電機構、第1α線検出器72が検出位置にある場合の第1検出面72aと第1金属薄膜72b、第2α線検出器74が検出位置にある場合の第2検出面74aと第2金属薄膜74b、及び吸着機構が、いずれも空気が流れる配管60の内部に設けられている。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、α線検出器が検出位置にある場合の第1検出面72aまたは第2検出面74aが、配管60の延びる方向に沿って設けられている。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、第1α線検出器72が除去位置にある場合の第1検出面72aと第1金属薄膜72b、第2α線検出器74が除去位置にある場合の第2検出面74aと第2金属薄膜74b、及び除去機構が、いずれも配管60の外部に設けられている。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、放射性ダストを含む空気が流れる配管60の内部を、配管60の外部とは完全に切り離した状態として、配管60の内部を流れる空気に含まれる放射性ダストを連続でモニタリングすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、さらに、吸着機構が、第1α線検出器72または第2α線検出器74が検出位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対向して設けられた金属部材50と、検出位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bと金属部材50とにそれぞれ異なる極性の電圧を印加する電源52と、を含む。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、吸着機構における金属部材50が、配管60の内部に設けられているか、もしくは、配管60を構成する金属の部分の一部である。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダストを帯電させた極性と異なる極性の電圧を検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに印加することで、ダストを検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに吸着させる。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、より確実に、検出位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bにダストを吸着させることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、移動機構が、第1α線検出器72及び第2α線検出器74を回転移動可能に保持する円板76と、円板76を軸の周りに回転させる回転駆動部80と、を含み、検出位置と除去位置とが、円板76に沿って共に配置されている。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、検出位置となっていた第1α線検出器72または第2α線検出器74を除去位置に移動させるとともに、除去位置となっていた第1α線検出器72または第2α線検出器74を検出位置に移動させるため、効率よく、放射性ダストの連続モニタリングをすることができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去機構が、第1α線検出器72または第2α線検出器74が除去位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて設けられた空気ブロー噴出部86を含む。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去位置にあることでダストを吸着しない状態となった第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対し、空気ブロー噴出部86により空気を噴出することにより、第1検出面72aまたは第2検出面74aからダストを確実に除去することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、さらに、除去機構が、第1α線検出器72または第2α線検出器74が除去位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対向して設けられた金属部材82と、第1α線検出器72または第2α線検出器74が除去位置にある場合の第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bとにそれぞれ異なる極性の電圧を印加する電源84と、をさらに含む。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、ダストを帯電させた極性と同じ極性の電圧を、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに印加することで、ダストを除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから除去する。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに対し、ダストを反発する状態とすることにより、第1検出面72aまたは第2検出面74aからダストをより確実に除去することができる。
放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74という2個のα線検出器を有し、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方が検出位置に配置されるとき、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方が除去位置に配置される。また、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、移動機構が、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方を検出位置から除去位置に移動させると同時に、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の他方を除去位置から検出位置に移動させる。このため、放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、第1α線検出器72及び第2α線検出器74の一方が検出位置にいる時間が長くなるため、より効率よく、放射性ダストの連続モニタリングをすることができる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置は、放射性ダスト連続モニタリング装置70において、除去機構を変更したものである。具体的には、第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置は、放射性ダスト連続モニタリング装置70において、金属部材82、電源84及び空気ブロー噴出部86に代えて、第1の実施形態に係る洗浄液供給部24及び乾燥風供給部26と同様の洗浄液供給部及び乾燥風供給部が設けられたものである。第4の実施形態の説明では、第1の実施形態から第3の実施形態と同様の構成に第1の実施形態から第3の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置は、洗浄液供給部と、乾燥風供給部と、を含む。洗浄液供給部及び乾燥風供給部は、第1の実施形態に係る洗浄液供給部24及び乾燥風供給部26と同様の構成を有する。第4の実施形態では、洗浄液供給部及び乾燥風供給部は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて設けられている。
第4の実施形態では、洗浄液供給部は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて洗浄液を供給することで、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bからダストを除去することができる。洗浄液供給部は、制御部88と電気的に接続されており、制御部88によって制御されている。除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bの付近には、洗浄液回収部が設けられており、洗浄液回収部は、洗浄液供給部から噴出されてダストを含んだ洗浄液を、外部に漏れないように回収する。
第4の実施形態では、第1α線検出器72及び第2α線検出器74にそれぞれコーティングされている第1金属薄膜72b及び第2金属薄膜74bは、いずれも、洗浄液供給部によって供給される洗浄液に対して腐食されない膜であることがこのましい。洗浄液供給部が供給する洗浄液として強酸として硝酸を用いる場合、第1金属薄膜72b及び第2金属薄膜74bは、硝酸に対して耐性のあるステンレス膜でコーティングされている形態が、好ましいものとして例示される。
第4の実施形態では、乾燥風供給部は、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて乾燥風を供給することで、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから洗浄液を揮発させることができる。乾燥風供給部は、制御部88と電気的に接続されており、制御部88によって制御されている。
このように、第4の実施形態では、洗浄液供給部と乾燥風供給部とは、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから、α線が検出されたダストを除去する除去機構を構成している。
本発明の第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法を説明する。本発明の第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、本発明の第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置の動作の一例である。本発明の第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法は、本発明の第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法と同様に、ダスト帯電ステップ(ステップS22)と、ダスト吸着ステップ(ステップS24)と、α線検出ステップ(ステップS26)と、第1移動ステップ(ステップS32)と、ダスト除去ステップ(ステップS28)と、第2移動ステップ(ステップS34)と、を含む。
第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS22、ステップS24、ステップS26、ステップS32及びステップS34は、第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS22、ステップS24、ステップS26、ステップS32及びステップS34と同様である。
第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング方法におけるステップS28では、まず、洗浄液供給部が、制御部88の制御を受けて、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて洗浄液を供給することで、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bからダストを除去する。そして、乾燥風供給部が、制御部88の制御を受けて、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bに向けて乾燥風を供給することで、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから洗浄液を揮発させる。このように、洗浄液供給部と乾燥風供給部とは、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bから、検出位置において第1α線検出器72または第2α線検出器74でα線が検出されたダストを除去する。
第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去機構以外の部分については、第3の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置70及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法と同様であるので、これと同様の作用効果を奏する。
第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、除去機構が、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bを洗浄する洗浄液を供給する洗浄液供給部と、洗浄液を揮発させる乾燥風を供給する乾燥風供給部と、を含む。このため、第4の実施形態に係る放射性ダスト連続モニタリング装置及びこれによる放射性ダスト連続モニタリング方法は、より確実に、除去位置にある第1金属薄膜72bまたは第2金属薄膜74bからダストを除去することができる。