JP2021059817A - 男性用パンツ - Google Patents

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純永 奥野
Junei Okuno
純永 奥野
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Abstract

【課題】股間の局部が蒸れにくく、フィット性に優れた男性用パンツを提供する。【解決手段】着用者の下半身の股間前側の中央部に沿う膨出形状の前カップ身頃1と、その両側に順次連なり着用者の腰部両脇を経て尻部に沿う前脇身頃2及び後身頃3と、これらの下縁に連なり着用者の股下に沿う股下襠4とから縫製され、前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4は、伸縮性を有する生地から成り、前カップ身頃1は、前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4よりも伸縮性が小さい生地又は伸縮性が無い生地から成り、前脇身頃2及び後身頃3の伸縮方向は、着用者の下半身の周方向に向けられ、股下襠4の伸縮方向は、着用者の股下の前後方向へ向けられているものとする。【選択図】図1

Description

この発明は、男性用の下着であって、通常、ボクサーパンツ又はボクサーブリーフと呼ばれるものに関する。
この種の男性用パンツとして、下記特許文献1には、図8に示すように、着用者の下半身の股間前側中央部に沿う膨出形状の前カップ身頃51と、前カップ身頃51の両側にそれぞれ順次連なり着用者の腰部両脇を経て尻部に沿う前脇身頃52及び後身頃53とを縫製したものが記載されている。また、下記特許文献2乃至4にも、同様の男性用パンツが記載されている。
このような男性用パンツは、着用時の姿勢変化に伴うフィット性を向上させるため、ゴム状の性質を有する化学繊維のポリウレタンを使用した伸縮性が大きい編物(ニット)の生地を縫製して製品化される場合が多い。
ところが、ポリウレタンを使用した生地は、通気性に乏しいことから、その製品である男性用パンツは、股間の局部が蒸れやすいものとなる。そのため、股間の蒸れを嫌い、フィット性はないが、通気性に優れた綿織物(布帛)の生地を縫製したトランクスの愛用者も相当数存在している。
特開2018−178312号公報 意匠登録第1431600号公報 意匠登録第1431601号公報 意匠登録第1292873号公報
しかしながら、綿織物から成るトランクスの愛用者の中にも、フィット性の高い製品を要望する者もいる。
そこで、この発明は、股間の局部が蒸れにくく、フィット性に優れた男性用パンツを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、この発明に係る男性用パンツは、着用者の下半身の股間前側の中央部に沿う膨出形状の前カップ身頃と、その両側に順次連なり着用者の腰部両脇を経て尻部に沿う前脇身頃及び後身頃と、これらの下縁に連なり着用者の股下に沿う股下襠とから縫製され、
前脇身頃、後身頃及び股下襠は、伸縮性を有する生地から成り、前カップ身頃は、前脇身頃、後身頃及び股下襠よりも伸縮性が小さい生地又は伸縮性が無い生地から成り、
前脇身頃及び後身頃の伸縮方向は、着用者の下半身の周方向に向けられ、股下襠の伸縮方向は、着用者の股下の前後方向へ向けられているものとしたのである。
また、前カップ身頃の生地は織物(布帛)とされ、前脇身頃、後身頃及び股下襠の生地は、編物(ニット)とされているものとしたのである。
また、前カップ身頃は、中央下部に縦方向に延びる直線状のダーツ縫製が施され、その上部付近から両側方へ延びる上向き凸弧状の接ぎ縫製が施されて、膨出形状とされているものとしたのである。
また、前カップ身頃の伸縮率は、20%未満とされ、前脇身頃、後身頃及び股下襠の伸縮率は、20%以上とされているものとしたのである。
そのほか、前カップ身頃と前脇身頃の縫合部には、二本針ロックが施され、さらに平三本針ロックによるステッチが施されているものとしたのである。
この発明に係る男性用パンツでは、膨出形状の前カップ身頃を前脇身頃、後身頃及び股下襠よりも伸縮性が小さい生地又は伸縮性が無い生地から成るものとしたので、前カップ身頃と股間の局部の間に適度な隙間を常に確保して、股間の局部の蒸れを防止することができ、快適な着用感を得ることができる。
また、前脇身頃、後身頃及び股下襠は、伸縮性を有する生地から成るので、優れたフィット性を得ることができる。
そして、日常生活の動作時や運動時に瞬発的に大きな引張力が作用する股下襠の伸縮方向は、前脇身頃及び後身頃の伸縮方向と交差して、着用者の股下の前後方向へ向けられているので、股下襠及びその周辺が伸縮性の乏しい前カップ身頃に引っ張られて破れる現象が防止され、耐久性が向上する。
この発明の実施形態に係る男性用パンツの着用状態を正面側から示す斜視図 同上の(2A)正面図、(2B)側面図 同上の平面図 同上の底面図 同上の構成部材のパターン図 同上の構成部材の立体配置イメージを底面側から示す斜視図 同上の股下襠とその周囲の着用状態を底面側から示す部分斜視図 特許文献1に記載の男性用パンツを正面側から示す斜視図
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1乃至図4に示す男性用パンツは、着用者の下半身の股間前側の中央部に沿う膨出形状の前カップ身頃1と、その両側に順次連なり着用者の腰部両脇を経て尻部に沿う左右一対の前脇身頃2及び後身頃3と、これらの下縁に連なり着用者の股下に沿う左右一対の股下襠4と、前カップ身頃1から左右一対の前脇身頃2及び後身頃3の上端に連なり着用者の腰部の周囲に沿う腰ゴム5とから縫製されている。
この実施形態の場合、前カップ身頃1の生地は、織物(布帛)とされ、前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4の生地は、綿天竺等の編物(ニット)とされている。
生地の選定に際しては、前カップ身頃1には、伸縮率が20%未満のものを使用し、伸縮性が無いものを使用してもよい。前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4には、伸縮率が20%以上のものを使用する。
なお、前カップ身頃1の伸縮性が前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4の伸縮性よりも小さければ、これらの生地の種類は問わない。例えば、前カップ身頃1の生地は、綿ローンや、タフタ、サテン等のほか、トリコット、天竺、不織布、スムース、その他の伸縮性が抑制された編物であってもよい。また、前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4の生地は、ベア天竺、2WAYトリコット、丸編みニット、パワーネット、その他のものであってもよく、異なる素材を組み合わせてもよい。
そして、前脇身頃2及び後身頃3の伸縮方向は、着用者の下半身の周方向に向けられ、股下襠4の伸縮方向は、着用者の股下の前後方向へ向けられている。この伸縮方向とは、生地の性質上、伸縮性が最も大きい(伸びやすい)方向又はこれに近似する方向をいう。
縫製前の状態では、図5のパターン図に示すように、前カップ身頃1の左右の側縁1aは主要部が凸状に湾曲し、上端縁1bは直線状となっている。前カップ身頃1の下端中央部には、逆V字状をなす切込縁1cが形成され、その両側上方には、上向き凸状に湾曲した逆V字状をなす切込縁1dが形成されている。切込縁1cの開口付近の両側には、前下縁1eが形成されている。
左右一対の前脇身頃2の内側縁2aは凹状に湾曲しており、上端縁2b、脇側縁2c及び下端縁2dは直線状となっている。内側縁2aと下端縁2dの間には、前下縁2eが形成されている。
左右一対の後身頃3の中央縦縁3a、上端縁3b、脇側縁3c及び下端縁3dは直線状とされ、中央縦縁3aと下端縁3dの間には、主要部が凸状に湾曲した後下縁3eが形成されている。
左右一対の股下襠4の中央縦縁4aは直線状とされ、その上端及び下端からそれぞれ斜め下方へ延びるように、主要部が凹状に湾曲した後下縁4b及び前下縁4cが形成されている。後下縁4bと前下縁4cの下端間には、直線状の下端縁4dが形成されている。
上記部材の縫製に際しては、図6に示す立体配置となるように、前カップ身頃1の側縁1aと前脇身頃2の内側縁2a、前脇身頃2の脇側縁2cと後身頃3の脇側縁3c、左右一対の後身頃3の中央縦縁3a同士が周方向に縫合され、それぞれの上端縁1b,2b,3bに腰ゴム5が着用者の腰部を包囲する環状をなすように縫合される。
また、左右一対の股下襠4の中央縦縁4a同士が縫合され、後身頃3の後下縁3eと股下襠4の後下縁4b、前カップ身頃1の前下縁1e及び前脇身頃2の前下縁2eと股下襠4の前下縁4cがそれぞれ縫合される。そして、それぞれの下端縁2d,3d,4dに臨む部分に、図7に示すように、着用者の左右の大腿部を包囲するヘムが形成される。
また、図1乃至図4に示すように、前カップ身頃1には、切込縁1c,1cを引き寄せて、中央下部に縦方向に延びる直線状のダーツ縫製11が施され、切込縁1d,1dを引き寄せて、上向き凸弧状の接ぎ縫製12が施される。このような立体縫製により、前カップ身頃1は、男性の局部を包み込む膨出形状とされている。
ここで、前カップ身頃1と前脇身頃2の縫合部13には、伸縮性を損なうことなく、前脇身頃2よりも伸縮性が低い前カップ身頃1の破損を防止するため、二本針ロックが施され、さらに平三本針ロックによるステッチが施されている。
すなわち、通常の縫合部は、二本針ロック単体の処理とされるのが普通であるが、二本針ロック単体の場合、縫代が立っている状態であり、伸びや引っ張りに対して縫製の針穴部分に鋭角に力が加わるので、針穴の周縁が破損しやすくなるという問題がある。
このため、縫合部13では、平三本針ロックとして、縫代を倒すことで、縫製の針穴部分に鋭角ではなく鈍角に力が加わるようにし、力の分散化を図って、縫合部13を補強すると共に、着用時に肌に当たる面をフラットにして、履き心地を改善している。
なお、このようなステッチは、股下襠4の周囲の縫合部や、後身頃3同士及び股下襠4同士の縫合部にも採用されている。
上記のような男性用パンツでは、膨出形状の前カップ身頃1を前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4よりも伸縮性が小さい生地又は伸縮性が無い生地から成るものとしたので、前カップ身頃1と股間の局部の間に適度な隙間を常に確保して、股間の局部の蒸れを防止することができ、快適な着用感を得ることができる。
また、前脇身頃2、後身頃3及び股下襠4は、伸縮性を有する生地から成るので、優れたフィット性を得ることができる。
そして、日常生活の動作時や運動時に瞬発的に大きな引張力が作用する股下襠4の伸縮方向は、前脇身頃2及び後身頃3の伸縮方向と交差して、着用者の股下の前後方向へ向けられているので、股下襠4及びその周辺が伸縮性の乏しい前カップ身頃1に引っ張られて破れる現象が防止され、耐久性が向上する。
ところで、上記実施形態では、前カップ身頃1に排尿用の開口部がないものを例示したが、前カップ身頃1を打ち合わせ構造として、前開きのパンツにしてもよい。
また、ボクサーパンツ又はボクサーブリーフと呼ばれるものを例示したが、この発明に係る構成は、猿股やズボン下等、種々の男性用下着(パンツ)に適用できる。
そのほか、用途に応じて、前カップ身頃1の生地には、夏用の下着とする場合、目の粗い通気性に優れたものを使用し、冬用の下着とする場合、防風性・保温性を有するものを使用するとよい。また、医療用として、手術後の尿の滲出等に対応するため、タオル地やガーゼ等の吸湿性を有するものを使用してもよい。
さらに、アスリート用として、運動の妨げにならないように、前カップ身頃1の膨出形状をオーダーメイドで調整するようにしてもよい。
1 前カップ身頃
1a 側縁
1b 上端縁
1c,1d 切込縁
1e 前下縁
2 前脇身頃
2a 内側縁
2b 上端縁
2c 脇側縁
2d 下端縁
2e 前下縁
3 後身頃
3a 中央縦縁
3b 上端縁
3c 脇側縁
3d 下端縁
3e 後下縁
4 股下襠
4a 中央縦縁
4b 後下縁
4c 前下縁
4d 下端縁
5 腰ゴム
11 ダーツ縫製
12 接ぎ縫製
13 縫合部

Claims (5)

  1. 着用者の下半身の股間前側の中央部に沿う膨出形状の前カップ身頃(1)と、その両側に順次連なり着用者の腰部両脇を経て尻部に沿う前脇身頃(2)及び後身頃(3)と、これらの下縁に連なり着用者の股下に沿う股下襠(4)とから縫製され、
    前脇身頃(2)、後身頃(3)及び股下襠(4)は、伸縮性を有する生地から成り、前カップ身頃(1)は、前脇身頃(2)、後身頃(3)及び股下襠(4)よりも伸縮性が小さい生地又は伸縮性が無い生地から成り、
    前脇身頃(2)及び後身頃(3)の伸縮方向は、着用者の下半身の周方向に向けられ、股下襠(4)の伸縮方向は、着用者の股下の前後方向へ向けられている男性用パンツ。
  2. 請求項1に記載の男性用パンツにおいて、前カップ身頃(1)の生地は織物(布帛)とされ、前脇身頃(2)、後身頃(3)及び股下襠(4)の生地は、編物(ニット)とされていることを特徴とする男性用パンツ。
  3. 請求項1又は2に記載の男性用パンツにおいて、前カップ身頃(1)は、中央下部に縦方向に延びる直線状のダーツ縫製(11)が施され、その上部付近から両側方へ延びる上向き凸弧状の接ぎ縫製(12)が施されて、膨出形状とされていることを特徴とする男性用パンツ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の男性用パンツにおいて、前カップ身頃(1)の伸縮率は、20%未満とされ、前脇身頃(2)、後身頃(3)及び股下襠(4)の伸縮率は、20%以上とされていることを特徴とする男性用パンツ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の男性用パンツにおいて、前カップ身頃(1)と前脇身頃(2)の縫合部(13)には、二本針ロックが施され、さらに平三本針ロックによるステッチが施されていることを特徴とする男性用パンツ。
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