JP2021059043A - 芯材及び複合部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】補強孔による軽量化と構造強化とを高度に両立させた芯材を提供する。更に、この芯材を用いた優れた強度を発揮できる複合部材、及び、この複合部材を用いた乗物用シートを提供する。【解決手段】芯材2は、強化繊維を引き揃えた繊維束211が配列されてなる繊維集積構造21を有するとともに、強化構造を得るための補強孔23を有し、補強孔23の内周縁231は、繊維束211によって構成され、内周縁231を構成する繊維束211は、補強孔23の内周をなす辺23Sに沿って延びるように配列される。複合部材は芯材2と芯材2を埋設するマトリックス樹脂とを有する。乗物用シートは複合部材からなる部位を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、芯材、複合部材及び乗物用シートに関する。更に詳しくは、優れた強度を発揮させることができる芯材、複合部材及び乗物用シートに関する。
従来、繊維強化プラスチックと称される複合部材(複合材料)が知られている。一般に、繊維強化プラスチックは、繊維集合体を芯材とし、この芯材をマトリックス材である樹脂(マトリックス樹脂)で被覆後、硬化して得られている。このような複合部材としては、下記特許文献1〜3が知られている。
特開2016−102279号公報 特開平7−186100号公報 特開平7−242756号公報
上記特許文献1に記載があるように、複合部材の芯材としては、強化繊維製の織物や層毎に繊維方向が異なった繊維配向層を積層した異方性繊維集合体が多く利用される。そして、上記特許文献2及び3に開示されるように、これらの織物や異方性繊維集合体を芯材として用い、何らかの孔を設けようとすると、構成繊維である強化繊維を断ち切る必要がある。しかしながら、強化繊維が切断されると、強化繊維による補強効果が低下するという問題がある。また、孔設時に強化繊維が引っ張られることにより、強化繊維とマトリックス樹脂との乖離を生じ、強化繊維による補強効果が低下してしまうという問題がある。
この点、上記特許文献2及び3では、強化繊維を避けつつ孔を設ける方法が開示されている。しかしながら、この方法では孔設できる孔の大きさが限られるという問題を生じる。即ち、孔設時に本来あるべき位置から強化繊維をずらして孔を設けるため、強化繊維をずらせる限度があるため、大きな孔を設けることは困難である。また、過度に大きな孔を設けようとすると、結果として、強化繊維に負荷をかけることになり、強化繊維とマトリックス樹脂との乖離を生じるという上述の問題を解消することは難しくなってしまう。更に、特許文献2及び3は、強化繊維を本来あるべき箇所から孔周囲へ押しやっているだけであり、孔設箇所をなす材料を除去しているわけではないため、質量軽減を十分に得ることが難しい。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、補強孔による軽量化と構造強化とを高度に両立させた芯材を提供することを目的とする。更に、この芯材を用いた優れた強度を発揮できる複合部材、及び、この複合部材を用いた乗物用シートを提供することを目的とする。
本発明者は、強化繊維で補強された複合部材を製造する際に、孔を設ける方法について検討を行った。具体的には、立体造形を有しつつ全体として板状(薄板状)である立体造形物に孔を設けることで、この立体造形物内にトラス構造、ラーメン構造、アーチ構造等の強化構造を形成することができる。即ち、孔を設けていない立体造形物には複雑な力の負荷を生じるが、補強孔を設けることで力が負荷される箇所を明瞭化できるため強化構造を形成し易くできる。しかしながら、芯材として織物や異方性繊維集合体を用いた立体造形物に対して、孔設によって強化構造を得ようとすると、前述の通り、強化繊維の切断を生じてしまうことになり、強化構造を設けることによる恩恵を受け難くなるという問題を生じた。これらの問題について鋭意検討した結果、孔自体を強化繊維束の配列によって形成することにより、上述の各種問題を統合的に解決できることを見出した。即ち、補強孔の孔自体を強化繊維束の配列により形成することで、同時に必要箇所の強化となり、結果として、軽量化と高強度化とを高度に両立できることを見出した。
即ち、上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
[1]本発明の芯材は、マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
強化繊維を引き揃えた繊維束が配列されてなる繊維集積構造を有するとともに、強化構造を得るための補強孔を有しており、
前記補強孔の内周縁は、前記繊維束によって構成され、
前記内周縁を構成する前記繊維束は、前記補強孔の内周をなす辺に沿って延びるように配列されていることを要旨とする。
[2]上記[1]の芯材では、前記辺は、略直線状に形成された直線辺、及び、略円弧状に形成された円弧辺のうちの少なくとも前記直線辺を含むものとすることができる。
[3]上記[2]の芯材では、前記辺は、互いに非平行に配置された2つの前記直線辺と、前記2つの直線辺同士を接続する前記円弧辺と、を含み、
前記2つの直線辺及び前記円弧辺をなす前記繊維束は、連続する一連の繊維束であるものとすることができる。
[4]上記[2]の芯材では、前記補強孔の前記内周縁の全周が、連続する一連の繊維束で構成されたものとすることができる。
[5]上記[2]の芯材では、前記辺は、互いの延長上で交差するよう非平行に配された第1直線辺及び第2直線辺を含み、
前記第1直線辺を構成する複数の前記繊維束を、第1繊維束群とした場合に、
前記第2直線辺は、前記第1繊維束群と連続されない複数の繊維束を含んだ第2繊維束群を用いて構成されており、
前記第1繊維束群は、前記第1直線辺と前記第2直線辺との交差点を含む交差領域において、前記繊維束ごとに分散されて、前記第2直線辺側へ湾曲して配置され、
前記第2繊維束群は、前記交差領域において、前記繊維束ごとに分散されて、前記第1直線辺側へ湾曲して配置されており、
前記第1繊維束群をなす前記繊維束と、前記第2繊維束群をなす前記繊維束と、が前記湾曲された領域で互いに交差されたものとすることができる。
[6]上記[1]乃至[5]のうちのいずれかの芯材では、前記繊維束を固定する基層を備えることができる。
[7]上記[6]の芯材では、前記基層は、織編布層又は不織布層を含み、
前記繊維束は、前記基層に縫着されたものとすることができる。
[8]上記[1]乃至[7]の芯材では、前記強化構造は、トラス構造、ラーメン構造及びアーチ構造からなる群から選ばれるものとすることができる。
[9]本発明の複合部材は、上記[1]乃至[8]のうちのいずれかの芯材と、前記芯材を埋設するマトリックス樹脂と、を有することを要旨とする。
[10]本発明の乗物用シートは、上記[9]の複合部材からなる部位を備えることを要旨とする。
本発明の芯材によれば、補強孔による軽量化と構造強化とを高度に両立できる。即ち、補強孔によって、繊維集積構造内に強化構造を設けることができる。そして、補強孔の内周をなす辺に沿って延びるように強化繊維の繊維束を配列することで、この強化構造をなす辺に生じる圧縮方向及び引張方向を繊維束の長手方向に沿わせることができるため、補強孔による軽量化と構造強化とを高度に両立できる。
本発明の芯材において、補強孔の内周をなす辺が、互いに非平行に配置された2つの直線辺と、2つの直線辺同士を接続する円弧辺と、を含み、2つの直線辺及び円弧辺をなす繊維束が、連続する一連の繊維束である場合には、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。即ち、2つの直線辺が直接交差されないために角を生じておらず、尚かつ、これらの辺が共通する連続する一連の繊維束によって形成されることにより、辺の交差領域における応力集中をより大きく軽減できる。その結果、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。また、交差領域における厚みを軽減することができる。
本発明の芯材において、補強孔の内周縁の全周が連続する一連の繊維束で構成されている場合には、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。即ち、全ての辺が共通する連続する一連の繊維束によって形成されることにより、辺の交差領域における応力集中をより大きく軽減できる。その結果、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。また、交差領域における厚みを軽減することができる。
本発明の芯材において、補強孔の内周をなす辺が、互いの延長上で交差するよう非平行に配された第1直線辺及び第2直線辺を含み、第1直線辺を構成する複数の繊維束を、第1繊維束群とした場合に、第2直線辺が、第1繊維束群と連続されない複数の繊維束を含んだ第2繊維束群を用いて構成されており、第1繊維束群が、第1直線辺と第2直線辺との交差点を含む交差領域において、繊維束ごとに分散されて、第2直線辺側へ湾曲して配置され、第2繊維束群が、交差領域において、繊維束ごとに分散されて、第1直線辺側へ湾曲して配置されており、第1繊維束群をなす繊維束と、第2繊維束群をなす繊維束と、が湾曲された領域で互いに交差されている場合には、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立させながら、交差領域の厚みを軽減することができる。即ち、第1直線辺と第2直線辺とをなす各々の繊維束が分離された別の繊維束であっても、湾曲させながら交差させ、その交差ポイントを分散させることにより、辺の交差領域における応力集中をより大きく軽減できる。その結果、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。また、交差領域における厚みを軽減することができる。
本発明の芯材において、繊維束を固定する基層を備える場合には、各繊維束の移動を抑制することができるため、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立できる。
更に、この基層が、織編布層又は不織布層を含み、繊維束が、基層に縫着されている場合には、前述の繊維束の配列を高い自由度で設定できる。このため、補強孔による軽量化と構造強化とをより高度に両立させることができる。
本発明の複合部材及び乗物用シートによれば、前述の芯材を含んでいるため、軽量化と構造強化とが高度に両立させることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の芯材の一例を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例を説明する斜視図(a)及び断面図(b)である。 本発明の複合部材を説明する斜視図(a)及び断面図(b)である。 繊維束の配列形態を示す説明図である。 補強孔の概形を説明する説明図である。 補強孔の概形を説明する説明図である。 補強孔の概形を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例(実施例2)を説明する説明図である。 本発明の芯材の他例(実施例1)を説明する説明図である。 比較品(比較例1)の芯材を説明する説明図である。 機械特性を測定するための試験片形状及び装置を説明する説明図である。 本発明の乗物用シートの一例を説明する説明図である。 各試験片の機械特性を示す多重チャートである。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、本明細書において、図1〜図4、図11では、説明対象の繊維束配列を明瞭化するため、繊維集積構造が有する他の繊維束配列が存在するとしても煩雑なため省略する。実際の繊維集積構造は、図12に例示されるように、その外形線である点線内を繊維束が満たすように配列されたものとなる。また、図5(a)及び図6(a)では縫糸を図示しているが、他図では存在しているとしても煩雑なため省略する。
[1]芯材
本発明の芯材(2)は、強化繊維(213)を引き揃えた繊維束(211)が配列されてなる繊維集積構造(21)を有するとともに、強化構造を得るための補強孔(23)を有しており、補強孔(23)の内周縁(231)は、繊維束(211)によって構成され、内周縁(231)を構成する繊維束(211)は、補強孔(23)の内周縁(231)をなす辺(23)に沿って延びるように配列されている(図1〜図4参照)。
尚、図1〜図4において、各図内の(a)は、補強孔23とその内周縁231を構成する繊維束211の配列を説明する説明図である。また、各図内の(b)は、内周縁231を構成する辺23の構成を説明する説明図である。
芯材2は、マトリックス樹脂3に埋設されて複合部材1を構成するものである。通常、マトリックス樹脂3が、芯材2の内部にまで含浸された状態で固定(硬化又は固化等)されることで、全体として高い強度を有することとなる。即ち、マトリックス樹脂のみからなる樹脂部材に比べて、樹脂の内部に芯材が加わることで、全体として機械的強度が増強された複合部材1となっている。芯材2の形状は限定されず、例えば、板形状を有する芯材、円筒形状を有する芯材、複雑立体形状を有する芯材等とすることができる。
強化繊維213は、芯材2を構成でき、マトリックス樹脂3に埋設されてマトリックス樹脂3を強化する繊維である。この強化繊維213は、無機材料繊維であってもよく、有機材料繊維であってもよく、これらを併用してもよい。
無機材料繊維としては、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、ガラス繊維、金属繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機材料繊維としては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維、商品名「ケブラー」等)、ポリベンズアゾール樹脂繊維(ポリ−パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名「ザイロン」等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、強化繊維213の表面は、マトリックス樹脂との親和性が向上されるよう表面処理がなされてもよい。
強化繊維213の繊維形態は限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよい。
強化繊維213がフィラメントヤーンである場合、モノフィラメントとして用いてもよいし、マルチフィラメントとして用いてもよいし、これらを併用してもよい。
繊維束211は、複数本の強化繊維213が引き揃えられた繊維集合体である。即ち、複数本の強化繊維213からなる強化繊維213の束である。この繊維束211は、撚りを有してもよいし、有さなくてもよい。
繊維束211は、どのように束化されていてもよい。複数の強化繊維が単に引き揃えただけの状態であってもよいし、糸(束化用の糸)を用いて複数の強化繊維が結束されていてもよいし、接着剤、粘着剤、熱融着剤等の他剤を介して強化繊維同士が結着されて束化されていてもよいし、その他の方法によって束化されていてもよい。
1本の繊維束211を構成する強化繊維213の本数は限定されないが、例えば、3000本以上とすることができる。繊維束211を構成する強化繊維213の本数が3000本以上であることにより、柔軟でありながら芯材として優れた強度を発揮させることができる。この本数は限定されないが、例えば、3000本以上100000本以下とすることができ、更に5000本以上70000本以下とすることができ、更に7000本以上50000本以下とすることができ、更に10000本以上30000本以下とすることができる。
また、繊維集積構造21を形成する際の作業性を考慮した場合、1本の繊維束211を構成する強化繊維213の本数が多い繊維束(太束)を用いることができる。この場合、1本の繊維束211を構成する強化繊維213の本数は、例えば、30000本以上とすることができ、更に40000本以上とすることができ、更に60000本以上とすることができる。一方、1本の繊維束211を構成する強化繊維213の本数は、例えば、1500000本以下、更に1000000本以下とすることができる。
繊維集積構造21は、繊維束211が配列されてなる構造である(図5参照)。この繊維集積構造21の形態は限定されないが、例えば、繊維束211が層状に配列された繊維集積層であってもよいし、必要な部位に繊維束211を配列して集積した不定形な構造であってもよい。繊維集積構造21が、繊維集積層である場合、繊維集積層は、繊維束211が1層にのみ配列されていてもよいし、複層に配列されていてもよい。
また、繊維集積構造21は、1本の繊維束211のみから構成されてもよいし、複数本の繊維束211から構成されてもよい。
繊維集積構造21が1本の繊維束211から構成されるとは、所定面を埋めるように1本の繊維束211を折りたたんで配置することで実現できる。即ち、例えば、1本の繊維束211を蛇腹状に折り畳んで配置することができる(図7(a)参照)。また、螺旋状(円螺旋、多角形螺旋等)に巻回配置することができる(図7(b)参照)。一方、繊維集積構造21が複数本の繊維束211から構成されるとは、所定面を埋めるように複数本の繊維束211を引き揃えて配置することで実現できる(図7(c)参照)。更に、これら両方の方法を利用し、1本の繊維束211を折りたたんで配置しつつ、それ以外の複数本の繊維束211を引き揃えて配置することによって、所定面を埋めることもできる。
このように、所定面を埋めるように繊維束211を配置した場合には、特に層状に繊維束211を集積することができる。即ち、繊維集積構造21として繊維集積層(図5参照)を形成できる。この場合、繊維束211を製織や製編することによって繊維集積構造21(この場合は、繊維集積層ともいえる)を形成するものではないため、クリンプを設けることなく、繊維束211を平面的に配置できる。このため、得られる芯材2内における繊維束211の厚さ方向の配向を抑え、芯材2内における繊維束211の平坦性を高くすることができる。その結果、繊維束211の厚さ方向の配向を介した力の伝搬が抑制されて、優れた衝撃吸収力を発揮できる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止する作用に優れた複合部材を得ることができる。
更に、繊維集積構造21を構成する繊維束211は、繊維集積構造21内において互いに固定されていなくてもよいが、互いに固定されていることが好ましい。固定はどのようになされてもよく、例えば、繊維束211同士を接合することにより固定することができる。また、繊維束211を製織することや、製編することにより固定することができる。更には、他の構成を用いて、当該他の構成に対して固定することができる。他の構成を用いる場合としては、基層22を利用する態様が挙げられる(図5参照)。即ち、基層22に対して繊維束211を固定することができる(芯材2は、繊維集積構造21に加えて基層22を備えることができる)。具体的には、基層22の主面22a(表面及び/又は裏面)に沿って繊維束211を配列し、固定することができる。基層22に対して繊維束211を固定する方法は限定されないが、縫着、織着、接着、粘着、融着等の固定方法を利用できる。これらの固定方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、繊維集積構造21は、強化繊維213のみから構成されてもよいが、強化繊維以外の他繊維(非強化繊維)を含んでもよい。即ち、例えば、繊維束211が強化繊維213以外の繊維を含んでもよいし、上述のように繊維束211を固定するために強化繊維213以外の繊維を用いることによって他繊維が含まれてもよい。但し、他繊維を含む場合、繊維集積構造を構成する繊維全体を100質量%とした場合に10質量%以下であることが好ましい。
芯材2が、基層22を備える場合、基層22はどのような構造を有してもよい。具体的には、基層22としては、繊維集合体(織物、編物、不織布等)、金属シート(箔、板等)、樹脂シート(フィルム、板等)などを用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、繊維集合体が好ましく、更には、織物が好ましい。柔軟性と剛性とのバランスを得やすく、マトリックス樹脂を含浸させ易いという性質を有利に活用できる。
基層22として織物を利用する場合、この織物の構成は限定されないが、固定される繊維束211よりも、繊度が小さい構成糸によって織られた織物であることが好ましい。
また、基層22として織物を用いる場合、この織物はどのような組織を有してもよいが、1×1、2×2、3×3等の平組織を有することが好ましい。この平組織は5×5よりも細かい組織が好ましく、4×4又はそれより細かい組織がより好ましく、3×3又はそれより細かい組織が更に好ましく、2×2又はそれより細かい組織が特に好ましい。
更に、基層22を構成する構成糸として強化繊維を用いることもできるし、非強化繊維を用いることもできる。非強化繊維としては、各種の樹脂繊維及び植物性繊維等が挙げられ、樹脂繊維を構成する樹脂としては、ポリアミド(脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等)、ポリエステル(芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステル等)等を利用できる。また、植物繊維としては、綿繊維及び麻繊維等を用いることができる。
補強孔23は、繊維集積構造21に設けられた孔である(図1〜図4、図11〜図13、図16参照)。また、補強孔23は、強化構造を得るための孔である。
強化構造は、補強孔23の孔設によって繊維集積構造21内に生じさせることができる補強構造である。具体的には、トラス構造、ラーメン構造、及びアーチ構造等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、補強孔23は、その内周縁231が、繊維束211によって構成されており、尚かつ、この内周縁231を構成する繊維束211は、補強孔23の内周縁231をなす辺23に沿って延びるように配列されている(図1〜図4参照)。この構成を有することにより、強化構造を得るために孔設された補強孔23の内周縁231が辺方向へ強化繊維によって強化されることとなる。このため、芯材2の面が伸びる方向に沿って加えられる衝撃に対して抗する作用をとりわけ向上させることができる。即ち、芯材2の面が伸びる方向への耐衝撃性を向上させることができる。
この点、例えば、強化繊維を製織した基布に対して、補強孔のような大きな孔を設けようとすると、強化繊維を切断する必要があり、その箇所では、強化繊維の高い引張強度を享受できなくなる。また、基布を構成する強化繊維の配向方向は、経糸方向及び緯糸方向の2方向に限定されるため、経糸方向及び緯糸方向に沿った四角形の孔を設ける場合のみしか、孔の内周縁をなす辺に沿った繊維方向を形成することができない。従って、経糸方向及び緯糸方向に沿わない孔を設けると、孔の周囲では、荷重を生じない方向への繊維配向を生じることとになり、強化繊維の性能を十分に発揮させることができない。
これに対して、本発明の芯材2では、繊維束211が、補強孔23の内周縁231をなす辺23に沿って延びるように配列させて補強孔23を設けるため、基布による制約を受けず、自在な形状の補強孔23を形成できる。また、どのような形状の補強孔23であっても、繊維束211は、強化繊維213を束ねて形成されたものであるため、形状の自由度が高く、孔形状に制約を受けずに、補強孔23の内周縁231をなす辺23に沿って延びるように配列できる。即ち、補強孔23の内周縁231に強度補強を施すことができる。従って、孔設による軽量化を得ることができ、更に、補強孔23による強化構造及び補強孔23の強度補強による高強度化を得ることができ、軽量化と高強度化を高度に両立させることができる。
補強孔23の形状は限定されず、強化構造を得ることができればよい。強化構造としては、前述の通り、トラス構造、ラーメン構造、及びアーチ構造等が挙げられる。
このうち、トラス構造は、略三角形状の補強孔の孔設によって形成される構造である。即ち、略三角形状の補強孔を設けると、この補強孔の内周をなす辺23によってトラス構造に相当する強化構造が得られる。具体的には、図8(a)〜図8(c)に示す形態が挙げられる。このうち、図8(a)は、3つの直線辺23SLから形成された三角形の補強孔である。また、図8(b)及び(c)は、円弧辺23SAを含んだ三角形の補強孔であり、3つの直線辺23SLと、隣り合った2つの直線辺23SL同士を接続する円弧辺23SAとから形成されている。このうち、図8(b)は、円弧辺23SAよりも直線辺23SLが長い形態であり、図8(c)は、直線辺23SLより長い円弧辺23SAを含んだ形態である。
また、トラス構造は、略三角形状の補強孔を組合せて形成することもできる。即ち、補強孔23の概形を略多角形状にすることもできる。具体的には、五角形状、六角形状、七角形状、八角形状等にすることができる。
上述のうち、ラーメン構造は、略四角形状の補強孔の孔設によって形成される構造である。即ち、略四角形状の補強孔を設けると、この補強孔の内周をなす辺23によってラーメン構造に相当する強化構造が得られる。具体的には、図9(a)〜図9(c)に示す形態が挙げられる。このうち、図9(a)は、4つの直線辺23SLから形成された四角形の補強孔である。また、図9(b)及び(c)は、円弧辺23SAを含んだ四角形の補強孔であり、4つの直線辺23SLと、隣り合った2つの直線辺23SL同士を接続する円弧辺23SAとから形成されている。このうち、図9(b)は、円弧辺23SAよりも直線辺23SLが長い形態であり、図9(c)は、直線辺23SLより長い円弧辺23SAを含んだ形態である。
更に、アーチ構造は、略円弧形状を有する補強孔の孔設によって形成される構造である。即ち、略円弧形状の補強孔を設けると、この補強孔の内周をなす辺23によってアーチ構造に相当する強化構造が得られる。具体的には、図10(a)〜図10(b)に示す形態が挙げられる。このうち、図10(a)は、1つの直線辺23SLと1つの円弧辺23SAから形成された円弧形状の補強孔である。また、図10(b)は、3つの円弧辺23SAを含んだ円弧形状の補強孔であり、3つの円弧辺23SAと、1つの直線辺23SLとから形成されている。
上述の通り、補強孔23の内周縁231をなす辺23の形状は限定されないが、略直線状に形成された直線辺23SL、及び、略円弧状に形成された円弧辺23SA、の2種を挙げることができる。本発明に用いる補強孔23では、これら辺のうちの少なくとも直線辺23SLが含まれることが好ましい。即ち、本発明による構成は、補強孔23が円弧辺23SAのみから形成される場合よりも、直線辺23SLが含まれる補強孔23である場合に、特に優れた効果を発揮できる。これは、直線辺23SLが伸びる方向に沿って繊維束211が配列されることにより、強化繊維が有する高い引張特性を効果的に活用できるからであると考えられる。
補強孔23において、補強孔23の内周縁231をなす辺23は、通常、2辺以上から構成される。2つの辺23が隣り合っている場合、(1)各辺23毎に異なる(連続されていない)繊維束211を用いることができる(図1及び図4参照)。また、(2)これら2辺23に共通する連続した一連の繊維束211を用いることもできる(図2及び図3参照)。
上述した(1)のように、隣り合った2つの辺23毎に異なる(連続されていない)繊維束211を用いる場合、各辺23を構成する繊維束211は、互いの延長上で交差させなくてもよいが、交差させることができる。そして、交差させる場合は、各繊維束211を互いの辺23の方向へ湾曲させつつ、分散させて交差させることができる(図4参照)。
具体的には、補強孔23の内周縁231をなす辺23として、互いの延長上で交差するよう非平行に配された第1直線辺23SL1及び第2直線辺23SL2を含む形態において、第1直線辺23SL1を構成する複数の繊維束211を、第1繊維束群211B1とした場合に、第2直線辺23SL2が、第1繊維束群211B1と連続されてない繊維束211を複数含んだ第2繊維束群211B2を用いて構成された形態である場合に、第1繊維束群211B1を、第1直線辺23SL1と第2直線辺23SL2との交差点を含む交差領域CAにおいて、繊維束211ごとに分散させて、第2直線辺23SL2側へ湾曲して配置することができる。更に、第2繊維束群211B2を、交差領域CAにおいて、繊維束211ごとに分散させて、第1直線辺23SL1側へ湾曲して配置することができる。
この場合、第1繊維束群211B1をなす繊維束211と、第2繊維束群211B2をなす繊維束211と、はこれらの繊維束211が湾曲された領域において、互いに分散して交差させることが好ましい(図4参照)
このように、各辺23毎に異なる(連続されていない)繊維束211を用い、これらの繊維束211を互いの延長上で交差させる場合に、繊維束211を相対する他の辺23の方向へ湾曲させつつ分散させて交差させることで、交差させない場合に比べて、芯材2の面が伸びる方向に沿って加えられる衝撃に対して抗する作用を向上させることができる。更に、交差領域CAにおいて繊維束211を湾曲させることにより、湾曲させない場合に比べて、繊維束211同士の交差角度を大きくすることができる。これにより、より優れた耐衝撃性を得ることができる。加えて、交差領域CAにおいて、繊維束211同士の交差ポイントを、分散させることにより、交差ポイントにおける応力集中を抑制するとともに、交差領域CAにおける芯材2の厚みを小さく抑えることができる。
尚、本発明では、繊維束211として、繊維束211を構成する強化繊維213の本数が異なった2種以上の繊維束を利用することができる。
そして、上記(1)の場合において、構成本数の異なる2種以上の繊維束211を利用する場合、繊維束211のうち、構成本数が相対的に多い繊維束211を太束とし、太束よりも構成本数が少ない繊維束211を細束とした場合に、これらのうちの細束のみを交差させ、太束は交差させないようにすることができる。このように細束のみを交差させることにより、交差ポイントにおける応力集中を抑制するとともに、交差領域CAにおける芯材2の厚みを更に小さく抑えることができる。
一方、上述した(2)のように、隣り合った2つの辺23に共通する連続した一連の繊維束211を用いる場合としては、下記(2−1)及び(2−2)の形態を具体的に挙げることができる。
形態(2−1)は、辺23が、互いに非平行に配置された2つの直線辺23SLと、2つの直線辺23SL同士を接続する円弧辺23SAと、を含む場合に、2つの直線辺23SL及び円弧辺23SAが、連続した一連の繊維束211によって形成された形態である(図2参照)。
この形態では、互いに非平行に配置された2つの直線辺23SLに沿って繊維束211を配列させながら、これらの辺23に沿わせた各繊維束211が、円弧辺23SAを介して連続されているため、繊維束211同士を交差させる必要がない。このため、強化繊維の性質を十分に発揮させながら、補強孔23の内周縁231の強度を高くすることができる。
また、形態(2−1)においても、構成本数が異なる2種以上の繊維束211を利用できる。そして、この場合、2つの直線辺23SLに沿って構成本数が相対的に多い太束は、円弧辺23SAにおいて連続させず、構成本数が相対的に少ない細束のみを、円弧辺23SAにおいて連続させた構成とすることができる。これにより、交差ポイントにおける応力集中を抑制しつつ、交差領域CAにおける芯材2の厚みを小さく抑えることができる。
形態(2−2)は、補強孔23の内周縁231の全周が連続した一連の繊維束211によって構成された形態である(図3参照)。即ち、全周に連続された繊維束211によって、内周縁231が構成された形態である。具体的には、図3に示すように繊維束211を用いることにより実現できるが、特に図7(b)に示すように周回させることにより、より高い強度を得ることができる。
この形態では、内周縁231を構成する全ての辺において、繊維束211が連続されているため、繊維束211同士を交差させる必要がない。このため、強化繊維の性質を十分に発揮させながら、補強孔23の内周縁231の強度を高くすることができる。
これまでに説明した各種の補強孔23と、その内周縁231を構成する繊維束211の形態は、各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。併用する場合には、各補強孔23毎に異なる形態を用いてもよいし、各形態をレイヤーとして複層化して利用することもできる(図11及び図12参照)。例えば、図11は、図3に示すレイヤーと、図4に示すレイヤーと、を重ね合わせて形成された補強孔23とその周囲の繊維束211の配列を例示している。更に、図12は、図11に示す構成に加えて、他部を繊維束211で埋めるように満たした状態を例示している。このような複層化によれば、互いのレイヤーの有利点が補強しあうことで、とりわけ優れた繊維集積構造21を得ることができる。
[2]複合材部
本発明の複合部材(1)は、前述した芯材(2)と、芯材(2)を埋設しているマトリックス樹脂(3)と、を有する(図6参照)。
尚、図6は、図5で例示された芯材2を2層利用した複合部材1を例示している。即ち、図6に示す複合部材1は、基層22Aの一方の主面22aに、繊維束211Aを配列して縫着した繊維集積構造21Aを備えた芯材2Aと、基層22Bの一方の主面に、繊維束211Bを配列して縫着した繊維集積構造21Bを備えた芯材2Bと、を用い、これらの芯材2A及び2Bの基層22の他方の主面同士を向かい合わせにして積層してなる芯材2がマトリックス樹脂3に内包された複合部材1である。
マトリックス樹脂3は、芯材2を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材2の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂3は、芯材2の表面を覆うように存在してもよい。マトリックス樹脂3の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
マトリックス樹脂3の種類は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
本発明の複合部材1は、前述した本発明の芯材2を有している。この芯材2は、補強孔23による軽量化と構造強化とが高度に両立されている。即ち、補強孔23を設けることによって、繊維集積構造21内に強化構造が形成されており、更に、補強孔23の内周縁231をなす辺23に沿って延びるように強化繊維213の繊維束211が配列されている。従って、繊維束211の長手方向が、強化構造をなす辺23に生じる圧縮方向及び引張方向に沿うことになり、軽量でありながら、高強度な芯材2となっている。そして、複合部材1には、この芯材2が含まれているため、複合部材1においても芯材2による効果を同様に享受することができる。
本発明の複合部材1の形状、大きさ及び厚さ等の寸法は特に限定されず、その用途も特に限定されない。この複合部材は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材、構造材(ボディシェル、車体、航空機用胴体)及び衝撃吸収材等として用いることができる。これらのうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃吸収材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。
具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、カウルルーバー、フェンダーパネル、ロッカーモール、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス、ラッシュボックス等のエネルギー吸収体、フロントエンドモジュール等のボディシェル構成部品などが挙げられる。
更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材、更には、ユニットバス、浄化槽などとすることができる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。また、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体などの成形体とすることもできる。
[3]乗物用シート
本発明の乗物用シート(5)は、前述した複合部材(1)からなる部位を備えることを特徴とする(図16参照)。即ち、乗物用シート5は、複数の補強孔23を備えた複合部材1から構成される。
前述の通り、本発明の複合部材1は、軽量性と高強度性とを高度に両立させることができるため、乗物用シート5の構造部材として好適である。具体的には、複合部材1(例えば、CFRP)製のバケットシートが挙げられる。このようなバケットシートは、複合部材1から構成された完全一体型のシートであってもよいし、パーツ毎に分離されており、これらのパーツが組み合わされてなるものであってもよい。
また、分割構成型の乗物用シートに対しても、複合部材1からなる部位を用いることができる。分割構成型の乗物用シートは、例えば、フレームと、フレームに装着されるクッションと、を備えて構成される。このうちフレームの全体又は一部として複合部材1を用いることができる。具体的には、シートバックフレーム(左右のバックサイドフレーム、アッパーフレーム、ロアフレーム等を含む)、シートクッションフレーム(左右のクッションサイドフレーム等を含む)などを複合部材1から形成できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]複合部材の作製
〈1〉実施例1の複合部材
(1)使用材料について
下記の基層22、繊維束211及び縫糸24を用意した。
基層22:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)。
繊維束211:炭素繊維を24000本引き揃えた繊維束(24Kマルチフィラメント)。
縫糸24:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)。
繊維束211を縫糸24により1.7mmピッチで基層22に縫着して、1層の基層22に対して1層の繊維集積構造21を設けた積層体を得た。繊維集積構造21は、図13に示す形態とした。即ち、補強孔23の内周縁231を構成する繊維束211が、補強孔23の内周をなす辺に沿って延びるように配列されているが、円弧辺に沿って繊維束211は配列されておらず、また、補強孔23の内周縁に沿って連続した一連の繊維束211を有さない態様である。
(2)複合部材の作製
得られた芯材2に対して、マトリックス樹脂となる未硬化エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、品番「XNR6830」)を減圧下においてプレスしながら含浸させた後、硬化させて(RTM工法)、実施例1の複合部材1を得た。この実施例1の複合部材の外形を図15(a)に示した。即ち、治具に固定する際に利用する4つのボルト孔41を有し、縦175.5mm×横214mmの形状を有する。また、この実施例1の複合部材の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%である。更に、実施例1の複合部材は、補強孔23を有するため、その質量は比較例1より20%少なくなっている。
〈2〉実施例2の複合部材
(1)使用材料について
下記の基層22、繊維束211及び縫糸24を用意した。
基層22:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)。
繊維束211:炭素繊維を24000本引き揃えた繊維束(24Kマルチフィラメント)、及び、炭素繊維を12000本引き揃えた繊維束(12Kマルチフィラメント)。
縫糸24:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)。
繊維束211を縫糸24により1.7mmピッチで基層22に縫着して、1層の基層22に対して1層の繊維集積構造21を設けた積層体を得た。具体的には、図3に示す繊維集積層、図4に示す繊維集積層及びその他の繊維集積層をレイヤーとして積層することにより、図12に示す繊維集積構造21を得た。
また、図4に示す繊維集積層では、補強孔23の内周縁231をなす辺23として、互いの延長上で交差するよう非平行に配された第1直線辺23SL1及び第2直線辺23SL2を含む形態において、第1直線辺23SL1を構成する複数の繊維束211を、第1繊維束群211B1とした場合に、第2直線辺23SL2が、第1繊維束群211B1と連続されてない繊維束211を複数含んだ第2繊維束群211B2を用いて構成された形態である場合に、第1繊維束群211B1を、第1直線辺23SL1と第2直線辺23SL2との交差点を含む交差領域CAにおいて、繊維束211ごとに分散させて、第2直線辺23SL2側へ湾曲して配置させた。更に、第2繊維束群211B2を、交差領域CAにおいて、繊維束211ごとに分散させて、第1直線辺23SL1側へ湾曲して配置させた。更に、第1繊維束群211B1をなす繊維束211と、第2繊維束群211B2をなす繊維束211と、はこれらの繊維束211が湾曲された領域において、互いに分散して交差させた。また、交差領域CAまで延設する繊維束211に12Kマルチフィラメントを利用し、交差領域CAまで延設しない繊維束211に24Kマルチフィラメントを利用した。
(2)複合部材の作製
得られた芯材2に対して、実施例1と同様にして、未硬化エポキシ樹脂を含浸させた後、加熱硬化させて、実施例2の複合部材1を得た。この実施例2の複合部材の外形は、実施例1と同様である。また、実施例2の複合部材の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%であり、実施例1と同じである。更に、実施例2の複合部材は、補強孔23を有するため、その質量は、実施例1と同じであり、比較例1より20%少なくなっている。
〈3〉比較例1の複合部材
炭素繊維を平織りに製織した織物を積層した基材(図14参照)を用い、実施例1及び実施例2と同様の操作を行い、比較例1の複合部材を得た。この比較例1の複合部材の外形は、補強孔23を有さないこと以外は、実施例1及び実施例2と同じである。また、比較例1の複合部材の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%であり、実施例1及び実施例2と同じである。
[2]機械特性の測定
実施例1〜2及び比較例1の各試験片(複合部材)を、固定治具43に対して試験片を固定した。この固定は、各試験片に設けられたボルト孔41と固定治具43に設けられた対応孔とをボルトで共締めすることにより行った。更に、試験片の凹首部42(図15)内径に沿うように、同径を有する円柱状の支持体44を試験片の凹首部42に沿わせて配置し、この支持体44を引上治具45に固定した。そして、引上治具45を上方へ引き上げるように力を負荷し、試験片が破壊されるまでのストローク(mm)及び荷重(N)を測定した。
この測定を実施例1〜2及び比較例1の各試験片に対して行い、得られた多重チャートを図17に示した。更に、この測定により得られた最大荷重、及び、剛性(図17の各チャートにおける傾きに相当)を下記の表1に示した。
Figure 2021059043
[3]実施例の効果
複合材料では、同じ炭素繊維を用い、同じ体積含有率(Vf)の芯材を用いても、炭素繊維の配置により得られる機械特性が変化することが分かる。
具体的には、比較例1(炭素繊維の織布を芯材として用いている)に対し、実施例1(補強孔を有し、その内周に沿って延びるよう繊維束に配列されている)は、質量が20%小さいにも関わらず、比較例1に対して、最大荷重が4.2%増加されていることが分かる。更に、剛性が77.3%増加されていることが分かる。
更に、比較例1(炭素繊維の織布を芯材として用いている)に対し、実施例2(補強孔を有し、その内周に沿って延びるよう繊維束に配列され、更に互いに非平行に配置された2つの直線辺と、これら2つの直線辺同士を接続する円弧辺とに沿って、連続する一連の繊維束が配され、更に、補強孔の内周縁の全周が、連続する一連の繊維束で構成されている)は、質量が20%小さいにも関わらず、比較例1に対して、最大荷重が54.2%増加されていることが分かる。更に、剛性が185.5%増加されていることが分かる。
即ち、本実施例の芯材2によれば、補強孔23による軽量化と構造強化とを高度に両立できる。そして、補強孔23によって、繊維集積構造21内に強化構造を設けることができる。そして、補強孔23の内周をなす辺23に沿って延びるように強化繊維213の繊維束211を配列することで、この強化構造をなす辺に生じる圧縮方向及び引張方向を繊維束211の長手方向に沿わせることができるため、補強孔23による軽量化と構造強化とを高度に両立できる。更に、補強孔23の周囲に図3に示す繊維集積層(レイヤー)を有することにより、補強孔23の内周縁231の全周が連続する一連の繊維束211で構成されていることにより、辺23の交差領域CAにおける応力集中を軽減できる。加えて、補強孔23の周囲に図4に示す繊維集積層(レイヤー)を有することにより、交差領域CAにおいて、繊維束211ごとに分散されて各対向された直線辺23SL側へ湾曲して、繊維束211ごとに分散されて交差されるため、交差領域CAの厚みを軽減できる。更に、交差ポイントが分散されるため、交差領域CAにおける応力集中を軽減できる。そして、本実施例の複合部材1は、この芯材2を含むため、軽量化と構造強化とが高度に両立させることができる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1;複合部材、
2;芯材、21;繊維集積構造、
211;繊維束、211B1;第1繊維束群、211B2;第2繊維束群、
213;強化繊維、
22;基層、22a;表面、
23;補強孔、231;内周縁、
23;辺、
23SA;円弧辺、
23SL;直線辺、23SL1;第1直線辺、23SL2;第2直線辺、
24;縫糸、
3;マトリックス樹脂、
5;乗物用シート、
CA;交差領域。

Claims (10)

  1. マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
    強化繊維を引き揃えた繊維束が配列されてなる繊維集積構造を有するとともに、強化構造を得るための補強孔を有しており、
    前記補強孔の内周縁は、前記繊維束によって構成され、
    前記内周縁を構成する前記繊維束は、前記補強孔の内周をなす辺に沿って延びるように配列されていることを特徴とする芯材。
  2. 前記辺は、略直線状に形成された直線辺、及び、略円弧状に形成された円弧辺のうちの少なくとも前記直線辺を含む請求項1に記載の芯材。
  3. 前記辺は、互いに非平行に配置された2つの前記直線辺と、前記2つの直線辺同士を接続する前記円弧辺と、を含み、
    前記2つの直線辺及び前記円弧辺をなす前記繊維束は、連続する一連の繊維束である請求項2に記載の芯材。
  4. 前記補強孔の前記内周縁の全周が、連続する一連の繊維束で構成されている請求項2に記載の芯材。
  5. 前記辺は、互いの延長上で交差するよう非平行に配された第1直線辺及び第2直線辺を含み、
    前記第1直線辺を構成する複数の前記繊維束を、第1繊維束群とした場合に、
    前記第2直線辺は、前記第1繊維束群と連続されない複数の繊維束を含んだ第2繊維束群を用いて構成されており、
    前記第1繊維束群は、前記第1直線辺と前記第2直線辺との交差点を含む交差領域において、前記繊維束ごとに分散されて、前記第2直線辺側へ湾曲して配置され、
    前記第2繊維束群は、前記交差領域において、前記繊維束ごとに分散されて、前記第1直線辺側へ湾曲して配置されており、
    前記第1繊維束群をなす前記繊維束と、前記第2繊維束群をなす前記繊維束と、が前記湾曲された領域で互いに交差されている請求項2に記載の芯材。
  6. 前記繊維束を固定する基層を備える請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の芯材。
  7. 前記基層は、織編布層又は不織布層を含み、
    前記繊維束は、前記基層に縫着されている請求項6に記載の芯材。
  8. 前記強化構造は、トラス構造、ラーメン構造及びアーチ構造からなる群から選ばれる請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の芯材。
  9. 請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の芯材と、前記芯材を埋設するマトリックス樹脂と、を有することを特徴とする複合部材。
  10. 請求項9に記載の複合部材からなる部位を備えることを特徴とする乗物用シート。
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