JP2021059042A - 芯材及び複合部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維の厚さ方向の配向が排された芯材の提供、衝撃吸収力に優れた複合部材の提供。【解決手段】第1形態の芯材2は、基層21と、基層22の少なくとも一面22aに固定された強化繊維層22と、を備え、強化繊維層22は、複数本の強化繊維223が引き揃えられた繊維束221が、基層21の主面211に沿って複数条配列されてなるとともに、繊維束221は厚さ方向にクリンプを有していない。第2形態の芯材2は、複数本の強化繊維が引き揃えられた繊維束が、厚さ方向にクリンプを有さないように、複数条配列されてなる強化繊維層を2層以上有し、強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、強化繊維層のうちの第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なる。複合部材は、第1形態又は第2形態の芯材と、芯材を埋設しているマトリックス樹脂と、を有する。【選択図】図5

Description

本発明は、芯材及び複合部材に関する。更に詳しくは、破壊進展の抑制作用に優れた芯材及び複合部材に関する。
従来、繊維強化プラスチックと称される複合部材(複合材料)が知られている。一般に、繊維強化プラスチックは、繊維集合体を芯材とし、この芯材をマトリックス材である樹脂(マトリックス樹脂)で被覆後、硬化して得られている。このような複合部材としては、下記特許文献1及び2が知られている。
特開2016−102279号公報 特開2005−349826号公報
上記特許文献1に記載があるように、芯材として織物が多用されるが、織物を芯材として用いると、クリンプの存在が問題となる。即ち、図15に示すように、入力された衝撃力Fが、強化繊維のクリンプを介して厚さ方向へも伝搬され、厚さ方向に破壊が進展してしまうことが危惧されている。
この点、例えば、上記特許文献2では、強化繊維である炭素繊維を経糸とし、ナイロン繊維を緯糸とした一方向織物が利用されている。一方向織物は、強化繊維を経糸として用いる一方、この経糸を拘束する緯糸として、強化繊維より低目付の補助繊維(特許文献2ではナイロン繊維)を用いた織物である。しかしながら、一方向織物においても、依然として緯糸を用いることに起因して、クリンプを完全除去するには至らず、芯材を構成する強化繊維のクリンプを介した厚さ方向への力の伝搬を阻止するには至らないと考えられる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、芯材を構成する強化繊維が、厚さ方向へ配向することが実質的に排された芯材を提供することを目的とする。更には、この芯材を用いた衝撃吸収力に優れた複合部材を提供することを目的とする。
即ち、上記問題を解決するために、本発明は以下に示される。
[1]本発明の第1形態の芯材は、マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
基層と、前記基層の少なくとも一面に固定された強化繊維層と、を備え、
前記強化繊維層は、複数本の前記強化繊維が引き揃えられた繊維束が、前記基層の主面に沿って複数条配列されてなるとともに、前記繊維束は厚さ方向にクリンプを有していないことを要旨とする。
[2]上記[1]に記載の芯材において、
前記強化繊維層は、2層以上からなり、
前記強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、前記強化繊維層のうちの第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なるものとすることができる。
[3]上記[1]又は上記[2]に記載の芯材において、
前記基層と、前記基層の一面にのみ固定された前記強化繊維層と、を有する片面強化層を2層有し、
前記片面強化層のうちの第1層の基層と、前記片面強化層のうちの第2層の基層と、を向かい合わせて配置してなるものとすることができる。
[4]上記[1]乃至[3]のうちのいずれかに記載の芯材において、
前記基層は、織編布又は不織布を含むものとすることができる。
[5]上記[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載の芯材において、
前記強化繊維束は、前記基層に縫着されているものとすることができる。
[6]本発明の第2形態の芯材は、マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
複数本の強化繊維が引き揃えられた繊維束が、厚さ方向にクリンプを有さないように、複数条配列されてなる強化繊維層を2層以上有し、
前記強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、前記強化繊維層のうちの第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なることを要旨とする。
[7]本発明の複合部材は、上記[1]乃至上記[6]のうちのいずれかに記載の芯材と、前記芯材を埋設しているマトリックス樹脂と、を有することを要旨とする。
本発明の第1形態の芯材によれば、芯材を構成する各層が広がる面に交差するように方向へ強化繊維が配向(以下、単に「厚さ方向の配向」ともいう)することを実質的に排することができる。これにより、第1形態の芯材を用いた複合部材では、芯材を構成する強化繊維の厚さ方向の配向を介した力の伝搬を抑制できる。その結果、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の芯材において、強化繊維層が2層以上からなり、その強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なる場合には、厚さ方向へ入力された衝撃力を、強化繊維層の層間へ効率よく分散させることができる。これにより、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の芯材において、基層と、その基層の一面にのみ固定された強化繊維層と、を有する片面強化層を2層有し、これら片面強化層のうちの第1層の基層と、片面強化層のうちの第2層の基層と、を向かい合わせて配置した場合には、厚さ方向への力の伝搬を抑制する作用に更に優れた複合部材を得ることができる。加えて、上記構成によって、本発明の芯材は、2層の基層同士が並んで積層された構造を有することができる。この2層の基層同士が並んで積層された構造を有することにより、この構造を有さない場合に比べて、基層同士の層間へ衝撃力を分散させる作用に優れる。その結果、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の芯材において、基層が、織編布又は不織布を含む場合には、強化繊維層に比べて、厚さ方向の力の伝搬を助長する作用を有する。即ち、強化繊維層は、構成繊維の厚さ方向の屈曲を実質的に排した層であるため、厚さ方向の力の伝搬を抑制する作用が強いのに対し、織布、編布、不織布等は、構成繊維の厚さ方向への屈曲や配向を有するため、厚さ方向の力の伝搬を抑制する作用が弱い。即ち、相対的に厚さ方向への力の伝搬を助長する作用を有するといえる。従って、強化繊維層では厚さ方向の力の伝搬を抑制しつつ、基層では厚さ方向の力の伝搬を助長することで、芯材内における力の伝達をより精密にコントロールすることができる。その結果、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の芯材において、強化繊維束が、基層に縫着されている場合には、束化された強化繊維が縫着されるため、強化繊維のクリンプ形成を防止できる。このため、繊維束の厚さ方向への配向をより確実に排して、厚さ方向に割れ難い複合部材や、衝撃吸収力に優れた複合部材等を得ることができる。
本発明の第2形態の芯材によれば、芯材を構成する強化繊維が厚さ方向の配向することを実質的に排しつつ、第1の強化繊維層を構成する繊維束と、第2の強化繊維層を構成する繊維束と、が各層の広がる方向においては、異なる配向を有することができる。これにより、厚さ方向へ入力された衝撃力を、強化繊維層の層間へ効率よく分散させることができる。これにより、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の複合部材によれば、衝撃吸収力に優れた複合部材とすることができる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材とすることができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
本発明の第1形態の芯材の一例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の第1形態の芯材の他例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の第1形態の芯材の他例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の第1形態の芯材の他例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の第1形態の芯材の他例(実施例1)を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の第1形態の芯材の他例(実施例2)を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の芯材に用いる繊維束の配列形態を示す説明図である。 本発明の第2形態の芯材の一例を示す説明図であり、(a)は斜視図であり、(b)は断面図である。 本発明の複合部材の一例を示す説明図であり、第1形態の芯材を用いた例を示す説明図である。 本発明の複合部材の他例(実施例1)を示す説明図であり、第1形態の芯材を用いた例を示す説明図である。 本発明の複合部材の他例(実施例2)を示す説明図であり、第1形態の芯材を用いた例を示す説明図である。 本発明の複合部材の他例を示す説明図であり、第2形態の芯材を用いた例を示す説明図である。 第1形態の芯材を用いた複合部材における破壊を説明する説明図である。 第2形態の芯材を用いた複合部材における破壊を説明する説明図である。 従来の芯材を用いた複合部材における破壊を説明する説明図である。 実施例における三点曲げ試験の結果を示すチャートである。
ここで示される事項は、例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
尚、本明細書の図1では縫糸を図示しているが、図2以降では縫糸が存在するとしても煩雑になるため省略している。
[1]芯材
芯材2は、マトリックス樹脂3に埋設されて複合部材1を構成するものである。通常、マトリックス樹脂3が、芯材2の内部にまで含浸された状態で固定(硬化又は固化等)されることで、全体として高い強度を有することとなる。即ち、マトリックス樹脂のみからなる樹脂部材に比べて、樹脂の内部に芯材が加わることで、全体として機械的強度が増強された複合部材1となっている。芯材2の形状は限定されず、例えば、板形状を有する芯材、円筒形状を有する芯材、複雑立体形状を有する芯材等とすることができる。
〔1〕第1形態の芯材
本第1形態の芯材(2)は、基層(21)と、基層(21)の少なくとも一面(21a)に固定された強化繊維層(22)と、を備える。更に、芯材(2)において、強化繊維層(22)は、複数本の強化繊維(223)が引き揃えられた繊維束(221)が、基層(21)の主面(211)に沿って複数条配列されてなるとともに、繊維束(221)は厚さ方向(D)にクリンプを有していないものである(図1〜図6参照)。
強化繊維層22は、1層のみを有してもよいし(図1参照)、2層以上を有してもよい(図2〜図6参照)。また、強化繊維層22は、基層21の少なくとも一面21aに固定されていればよい。即ち、強化繊維層22は、基層21の一面側にのみに固定されてもよいし(図1〜図2参照)、両側面に固定されてもよい(図3〜図6参照)。更に、強化繊維層22と基層21とは、どのように一体化されていてもよく、例えば、縫着、織着、接着、粘着、融着等、及び、これらの接合方法のうちの2つ以上の方法を同時に用いて一体化することができる。
強化繊維層22は、複数本の強化繊維223が引き揃えられた繊維束221によって形成される。この強化繊維層22は、強化繊維223のみからなってもよいし、強化繊維223を主構成とし、強化繊維以外の他繊維(非強化繊維)を含んでもよい。但し、他繊維を含む場合、強化繊維層22を構成する繊維全体を100質量%とした場合に10質量%以下であることが好ましい。
繊維束221は、複数本の強化繊維223が引き揃えられた繊維集合体である。即ち、複数本の強化繊維223からなる強化繊維223の束である。この繊維束221は、撚りを有してもよいし、有さなくてもよい。
繊維束221は、どのように束化されていてもよい。複数の強化繊維が単に引き揃えただけの状態であってもよいし、糸(束化用の糸)を用いて複数の強化繊維が結束されていてもよいし、接着剤、粘着剤、熱融着剤等の他剤を介して強化繊維同士が結着されて束化されていてもよいし、その他の方法によって束化されていてもよい。
1本の繊維束221を構成する強化繊維223の本数は限定されないが、例えば、3000本以上とすることができる。繊維束221を構成する強化繊維223の本数が3000本以上であることにより、柔軟でありながら芯材として優れた強度を発揮させることができる。この本数は限定されないが、例えば、3000本以上100000本以下とすることができ、更に5000本以上70000本以下とすることができ、更に7000本以上50000本以下とすることができ、更に10000本以上30000本以下とすることができる。
また、強化繊維層22を形成する際の作業性を考慮した場合、1本の繊維束221を構成する強化繊維223の本数が多い繊維束(太束)を用いることができる。この場合、1本の繊維束221を構成する強化繊維223の本数は、例えば、30000本以上とすることができ、更に40000本以上とすることができ、更に60000本以上とすることができる。一方、1本の繊維束221を構成する強化繊維223の本数は、例えば、1500000本以下、更に1000000本以下とすることができる。
更に、強化繊維層22は、繊維束221が、基層21の主面211に沿って複数条配列されてなる。即ち、強化繊維層22は、1本の繊維束221のみから構成されてもよいし、複数本の繊維束221から構成されてもよい。
強化繊維層22が1本の繊維束221のみから構成される場合とは、所定面を埋めるように1本の繊維束221を折りたたんで配置すること実現できる。即ち、例えば、1本の繊維束221を蛇腹状に折り畳んで配置することができる(図7(a)参照)。また、螺旋状(円螺旋、多角形螺旋等)に巻回配置することができる(図7(b)参照)。
強化繊維層22が複数本の繊維束221から構成される場合とは、所定面を埋めるように複数本の繊維束221を引き揃えて配置すること実現できる(図7(c)参照)。
更に、これら両方の方法を利用し、1本の繊維束221を折りたたんで配置しつつ、それ以外の複数本の繊維束221を引き揃えて配置することによって、所定面を埋めることができる。
このように、所定面を埋めるように繊維束221を配置することで、強化繊維層22を形成できる。そして、この繊維束221を強化繊維層22として、基層21に固定することで、繊維束221は厚さ方向Dにクリンプを有さない形態とすることができる。即ち、芯材2を構成する強化繊維223が、層方向に対して交差する方向へ配向(即ち、厚さ方向へ配向)することを実質的に排することができる。これにより、この芯材2を用いた複合部材1では、芯材2を構成する強化繊維223の厚さ方向の配向を介した力の伝搬(図15に示すF)が抑制される結果、優れた衝撃吸収力を発揮させることができる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止する作用に優れた複合部材とすることができる。
強化繊維223は、無機材料繊維であってもよく、有機材料繊維であってもよく、これらを併用してもよい。
無機材料繊維としては、炭素繊維(PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維)、ガラス繊維、金属繊維などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機材料繊維としては、芳香族ポリアミド(アラミド繊維、商品名「ケブラー」等)、ポリベンズアゾール樹脂繊維(ポリ−パラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、商品名「ザイロン」等)などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
強化繊維223の繊維形態は限定されず、スパンヤーンであってもよく、フィラメントヤーンであってもよく、これらの併用形態であってもよいが、これらのなかでは、フィラメントヤーンであることが好ましい。
更に、強化繊維223は、モノフィラメントであってもよく、マルチフィラメントであってもよく、これらを併用してもよい。
強化繊維層22は、1層のみを有してもよく(図1参照)、2層以上を有してもよい(図2〜図6参照)。2層以上有する場合、1層の基層21に対して2層以上の強化繊維層22が固定されていてもよい(図2、図5及び図6参照)。また、1層の基層21に対して1層の強化繊維層22が固定されたセットが、2セット以上積層されて、全体として2層以上の強化繊維層22を有してもよい(図4参照)。
また、このように2層以上の強化繊維層22を有する場合には、強化繊維層22のうちの第1層22A(第1強化繊維層)を構成する繊維束221Aの配列方向D(図2〜図6におけるD又はD)と、第2層22B(第2強化繊維層)を構成する繊維束221Bの配列方向D(図2〜図6におけるD又はD)と、は平行に配置することができるが、配列方向D及びDが異なるように配置することが好ましい(図2〜図6参照)。
より具体的には、第1強化繊維層22Aを構成する繊維束221Aと、第2強化繊維層22Bを構成する繊維束221Bと、が交差されるように配置することが好ましい。この際の交差角θは90度以下(0度<θ≦90度)であることが好ましい(図2〜図6参照)。
上述のように、強化繊維層22が2層以上からなり、第1強化繊維層22Aを構成する繊維束221Aの配列方向Dと、第2強化繊維層22Bを構成する繊維束221Bの配列方向Dと、が異なる場合(図2〜図6参照)には、厚さ方向へ入力された衝撃力を、強化繊維層22の層間(強化繊維層同士の層間や、強化繊維層と他層との層間)へ効率よく分散させることができる。とりわけ、強化繊維層22同士の層間が形成される形態(図2、図5、図6及び後述する第2形態に関する図8)では、図13及び図14に示すように、入力された衝撃力Fを、強化繊維層22間の層間破壊として効率的に分散Fさせることができる。これにより、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。即ち、例えば、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
基層21は、強化繊維層22を固定するための層である。基層21は、どのような構造を有してもよい。即ち、例えば、繊維集合体(織編物、不織布等)、金属シート(箔、板等)、樹脂シート(フィルム、板等)などが挙げられる。
また、これらの基層21に対して、強化繊維層22はどのように固定されてもよい。例えば、基層21に対して、縫着、接着、融着等の手段によって固定できる。
これらのなかでも、縫着により固定が好ましい。縫着により強化繊維層22を構成する繊維束221にクリンプを生じさせることなく、強化繊維層22を基層21に固定できる。このため、繊維束221の厚さ方向への配向を排した芯材2を得ることができる。これにより、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。
更に、縫着という手段によれば、縫糸23のテンションによって、繊維束221の拘束の程度を自在に制御できる。従って、例えば、基層21に対して強化繊維層22を強固に固定しながらも、繊維束221の可動性(基層21に対する可動性、及び/又は、繊維束221同士の間の可動性)を確保することができる。その結果、基層21と強化繊維層22との全体層として柔軟性を得ることができる。
また、前述の通り、基層21はどのような材料から形成されてもよいが、上述のなかでは、繊維集合体が好ましい。基層21として繊維集合体を用いることで、縫着し易く、尚且つ、層全体の柔軟性を得ることができる。また、マトリックス樹脂を層内に含浸させることができる。
基層21として繊維集合体を用いる場合、繊維集合体は、織物、編物、不織布のいずれであってもよい。これら織物、編物及び不織布は、1つの構成繊維が、他の複数の繊維との交絡を有しているため、強化繊維層22に比べて、厚さ方向の力の伝搬を助長する作用に優れている。即ち、強化繊維層22は、構成繊維の厚さ方向の屈曲を実質的に排した層であるため、厚さ方向の力の伝搬を抑制する作用が強いのに対し、織布、編布、不織布等は、構成繊維の厚さ方向への屈曲や配向を有するため、厚さ方向の力の伝搬を抑制する作用が弱い。即ち、相対的に厚さ方向への力の伝搬を助長する作用を有するといえる。従って、強化繊維層22では厚さ方向の力の伝搬を抑制しつつ、基層21では厚さ方向の力の伝搬を助長することで、芯材2内における力の伝達をより精密にコントロールすることができる。その結果、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。
基層21としては、上述のなかでも、織物が好ましい。基層21として織物を用いることで、繊維束221を縫着し易いというメリット、及び、縫着した際の縫糸23の拘束力が高いというメリットがある。
基層21として織物を用いる場合、この織物の構成は限定されないが、固定される繊維束221よりも、繊度が小さい構成糸によって織られた織物であることが好ましい。
また、基層21として織物を用いる場合、この織物はどのような組織を有してもよいが、1×1、2×2、3×3等の平組織を有することが好ましい。この平組織は5×5よりも細かい組織が好ましく、4×4又はそれより細かい組織がより好ましく、3×3又はそれより細かい組織が更に好ましく、2×2又はそれより細かい組織が特に好ましい。
更に、基層21を構成する構成糸には、強化繊維層22を構成する強化繊維223と同じ繊維を用いてもよいが、異なる繊維にすることができる。具体的には、各種の樹脂繊維及び植物性繊維等を用いることができる。具体的には、樹脂繊維を構成する樹脂としては、ポリアミド(脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド等)、ポリエステル(芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を有するポリエステル等)等を利用できる。また、植物繊維としては、綿繊維及び麻繊維等を用いることができる。
また、強化繊維層22が基層21の片面にのみ固定された片面強化層25を用いる場合(図4〜図6参照)には、第1片面強化層251のうちの基層21と第2片面強化層252の強化繊維層22とを向かい合わせて配置してもよいが、第1片面強化層251の基層21Aと第2片面強化層252の基層21Bとを向かい合わせて配置することができる。
このように、第1片面強化層251の基層21Aと第2片面強化層252の基層21Bとを向かい合わせて配置する場合には、芯材2の厚さ方向への力の伝搬をより高度に制御できる。即ち、強化繊維層22はクリンプを有さないことに起因して、厚さ方向への力の伝搬を高度に抑制できる。一方で、基層21同士を向かい合わせて配置した層及び層間では、2層の基層21同士が並んだ構造を有するため、基層21同士の層及び層間においてその層方向へ力の伝搬を大きくする作用を有する。即ち、層方向へクラックを形成し易くでき、これにより、厚さ方向へ向けて加わった衝撃力を効率よく層方向へ分散Fさせ、厚さ方向への衝撃力の大きさを弱めることができる(図13参照)。
〔2〕第2形態の芯材
本第2形態の芯材(2)は、複数本の強化繊維が引き揃えられた繊維束(221)が、厚さ方向にクリンプを有さないように、複数条配列されてなる強化繊維層(22)を2層以上有し、
強化繊維層(22)のうちの第1層(22A)を構成する繊維束(221A)の配列方向(D)と、強化繊維層(22)のうちの第2層(22B)を構成する繊維束(221B)の配列方向(D)と、が異なっている(図8参照)。
本第2形態の芯材2は、基層21を備えないこと以外、第1形態の芯材2と同様である。即ち、2層以上の強化繊維層22を有し、強化繊維層22のうちの第1層22A(第1強化繊維層)を構成する繊維束221の配列方向D(図8におけるD又はD)と、第2層22B(第2強化繊維層)を構成する繊維束221の配列方向D(図8におけるD又はD)と、が異なる配置となっている。具体的には、第1強化繊維層22Aを構成する繊維束221Aと、第2強化繊維層22Bを構成する繊維束221Bと、が交差されるように、第1強化繊維層22Aと第2強化繊維層22Bとが配置されることが好ましい。この際の交差角θは90度以下(0度<θ≦90度)となることが好ましい(図8参照)。
[2]複合材部
本発明の複合部材(1)は、前述した芯材(2)と、芯材(2)を埋設しているマトリックス樹脂(3)と、を有する(図9〜図12参照)。
マトリックス樹脂3は、芯材2を埋設している樹脂である。より具体的には、芯材2の内部に行きわたるように含浸されて固定(硬化性樹脂である場合には硬化、熱可塑性樹脂である場合には固化)された樹脂である。このマトリックス樹脂3は、複合部材1内では、層間破壊の助長作用を発揮させることができる。のこのマトリックス樹脂3は、芯材2の表面を覆うように存在してもよい。マトリックス樹脂3の含浸方法及び固定方法は、従来公知の各種方法を利用できる。
マトリックス樹脂3の種類は限定されず、種々の樹脂を利用できる。即ち、硬化性樹脂を用いてもよく、熱可塑性樹脂を用いてもよく、これらを併用してもよい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂(硬化性ポリエステル樹脂)、ウレタン樹脂等が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂)、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
本発明の複合部材1は、第1形態の芯材2及び/又は第2形態の芯材2を有している。この芯材2は、芯材2を構成する強化繊維223の厚さ方向の配向が実質的に排されている。このため、厚さ方向の配向を介した力の伝搬を抑制できる。その結果、衝撃吸収力に優れた複合部材が得られる。とりわけ、厚さ方向の一面側から他面側へ向かって加えられる衝撃力によって、一面側から他面側まで連通して破壊される現象を制止できる複合部材を得ることができる。
本発明の複合部材1の形状、大きさ及び厚さ等の寸法は特に限定されず、その用途も特に限定されない。この複合部材は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の外装材、内装材、構造材(ボディシェル、車体、航空機用胴体)及び衝撃吸収材等として用いることができる。これらのうち自動車用品としては、自動車用外装材、自動車用内装材、自動車用構造材、自動車用衝撃吸収材、エンジンルーム内部品等が挙げられる。
具体的には、バンパー、スポイラー、カウリング、フロントグリル、ガーニッシュ、ボンネット、トランクリッド、カウルルーバー、フェンダーパネル、ロッカーモール、ドアパネル、ルーフパネル、インストルメントパネル、センタークラスター、ドアトリム、クオータートリム、ルーフライニング、ピラーガーニッシュ、デッキトリム、トノボード、パッケージトレイ、ダッシュボード、コンソールボックス、キッキングプレート、スイッチベース、シートバックボード、シートフレーム、アームレスト、サンバイザ、インテークマニホールド、エンジンヘッドカバー、エンジンアンダーカバー、オイルフィルターハウジング、車載用電子部品(ECU、TVモニター等)のハウジング、エアフィルターボックス、ラッシュボックス等のエネルギー吸収体、フロントエンドモジュール等のボディシェル構成部品などが挙げられる。
更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材等が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥等)の表装材、構造材、更には、ユニットバス、浄化槽などとすることができる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等として用いることもできる。また、家電製品(薄型TV、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、携帯電話、携帯ゲーム機、ノート型パソコン等)の筐体及び構造体などの成形体とすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]複合部材の作製
〈1〉実施例1の複合部材
(1)使用材料について
下記の基層21、繊維束221及び縫糸23を用意した。
基層21:植物繊維布(紡績綿繊維を製織した織布)。
繊維束221:炭素繊維を12000本引き揃えた繊維束(12Kのマルチフィラメント)。
縫糸23:樹脂繊維(ポリエステル製単繊維を用いたマルチフィラメント)。
(2)片面強化芯層251の作製
繊維束221Bを縫糸23により1.7mmピッチで基層21Aに縫着して、1層の基層21Aに対して1層の強化繊維層22(強化繊維層22B)を設けた積層体を得た。尚、この際、1本の繊維束223を蛇腹状に折り畳みながら基層21Aの表面21aを埋めるように縫着を行った。
更に、得られた積層体に対して、縫着された繊維束221Bの配向方向が略直交されるように、先に縫着した強化繊維層22B上に、更に、繊維束221Aを縫糸により1.7mmピッチで基層21Aに縫着して、1層の基層21Aに対して2層の強化繊維層22(強化繊維層22A及び22B)を設けた片面強化芯層251を得た。尚、この際も、1本の繊維束221Aを蛇腹状に折り畳みながら基層21A表面を埋めるように縫着を行った(図5参照)。
(3)片面強化芯層252の作製
繊維束221Cを縫糸23により1.7mmピッチで基層21Bに縫着して、1層の基層21Bに対して1層の強化繊維層22(強化繊維層22C)を設けた積層体を得た。尚、この際、1本の繊維束223を蛇腹状に折り畳みながら基層21Bの表面21aを埋めるように縫着を行った。
更に、得られた積層体に対して、縫着された繊維束221Cの配向方向が略直交されるように、先に縫着した強化繊維層22C上に、更に、繊維束221Dを縫糸により1.7mmピッチで基層21Bに縫着して、1層の基層21Bに対して2層の強化繊維層22(強化繊維層22C及び22D)を設けた片面強化芯層252を得た。尚、この際も、1本の繊維束221Dを蛇腹状に折り畳みながら基層21B表面を埋めるように縫着を行った(図5参照)。
(4)芯材の作製
上記(2)で得られた片面強化芯層251の基層21Aと、上記(3)で得られた片面強化芯層252の基層21Bと、を対面させて貼り合わせて、実施例1の芯材2(図5参照)を得た。
(5)複合部材の作製
上記(4)までに得られた実施例1の芯材2に対して、マトリックス樹脂となる未硬化エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製、品番「XNR6830」)を減圧下においてプレスしながら含浸させた後、硬化させて(RTM工法)、実施例1の複合部材1を得た(図10参照)。
尚、実施例1の複合部材1(図10参照)の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%である。この体積含有率Vfは、以下の式により算出される(以下同様)。Vf=強化繊維の体積/(強化繊維の体積+樹脂の体積)
〈2〉実施例2の複合部材
(1)使用材料について
実施例1と同じ、基層21、繊維束221及び縫糸23を用いた。
(2)片面強化芯層251の作製
実施例1と同様に、1層の基層21Aに対して1層の強化繊維層22(強化繊維層22B)を設けた積層体を得た。この積層体に対し、縫着された繊維束221Bの配向方向が略平行になるように、先に縫着した強化繊維層22B上に、更に、繊維束221Aを縫着した以外、実施例1と同様にして片面強化芯層251を得た(図6参照)。
(3)片面強化芯層252の作製
実施例1と同様に、繊維束221Cを縫糸23により1.7mmピッチで基層21Bに縫着して、1層の基層21Bに対して1層の強化繊維層22(強化繊維層22C)を設けた積層体を得た。この積層体に対し、縫着された繊維束221Cの配向方向が略平行になるように、先に縫着した強化繊維層22C上に、更に、繊維束221Dを縫着した以外、実施例1と同様にして片面強化芯層252を得た(図6参照)。
(4)芯材の作製
上記(2)で得られた片面強化芯層251の基層22Aと、上記(3)で得られた片面強化芯層252の基層22Bと、を対面させて貼り合わせて、実施例2の芯材2(図6参照)を得た。
(5)複合部材の作製
上記(4)までに得られた実施例2の芯材2に対して、実施例1と同様の操作を行い、実施例2の複合部材1を得た(図11参照)。実施例2の複合部材1(図11参照)の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%であり、実施例1と同じである。
〈3〉比較例1の複合部材
炭素繊維を平織りに製織した織物を積層した基材に対して、実施例1及び実施例2と同様の操作を行って、比較例1の複合部材を得た。比較例1の複合部材の炭素繊維(強化繊維)の体積含有率(Vf)は50%であり、実施例1及び実施例2と同じである。
[2]繊維強化材料の評価
(1)曲げ強度試験
JIS K7074に準拠して、実施例1、実施例2及び比較例1の複合材料を用いて、3点曲げ試験を行った。尚、実施例1及び2の試験片は、強化繊維層22Aが支点側となり、強化繊維層22Dが作用点側となるように配置した。更に、実施例2の試験片は、全ての強化繊維が長手方向へ向いた状態で試験を行った。この結果、得られた曲げ強度(5回の試験結果の平均値)を図16に示した。
尚、試験条件は以下の通りである。
試験片形状:100mm(長さ)×15mm(幅)×2mm(厚さ)
支点間距離:80mm
支点の曲率半径:2mm
作用点の曲率半径:5mm
荷重速度:5mm/分
[3]実施例の効果
上記試験の結果、図16に示すように、比較例1の曲げ強度は294MPaであった。これに対して、実施例1の曲げ強度は450MPaであった。即ち、同じ体積含有率Vfであるが、実施例1は比較例1に対して1.53倍の曲げ強度が得られた。同様に、実施例2の曲げ強度は732MPaであった。即ち、同じ体積含有率Vfであるが、実施例2は比較例1に対して2.49倍の曲げ強度が得られた。この結果から、同じ強化繊維を用いた複合材料であって、更には、同じ体積含有率Vfを有しても、内部構造の差異により、大幅は強度向上が得られることが分かる。
更に、比較例1、実施例1及び実施例2の各試験後の試験片を観察した結果、いずれも上述の3点曲げ試験により破壊させているものの差異があることが分かった。具体的には、比較例1では裏面側へ達する割れが確認されたが、実施例1及び実施例2では裏面側へ達する割れが確認されなかった。即ち、実施例1及び実施例2では、力を表側から作用させても、裏面にまで割れを進展させることができないという特異な性質を有していることが分かった。
この点を、更に観察すべく、試験片を厚さ方向へ切断し、その切断面を観察した。その結果、実施例1の試験片では、強化繊維層22Cと強化繊維層22Dとの間(図5b参照)で層間剥離(層間破壊)を生じているものの、その他の層間では層間剥離を生じていないことが分かった。また、実施例2の試験片では、強化繊維層22Cと基層21Bとの間(図6b参照)で層間剥離(層間破壊)を生じているものの、その他の層間では層間剥離を生じていないことが分かった。これらの結果から、比較例1では、繊維束が厚さ方向に配向したクリンプを有していることにより、このクリンプの配向が、作用点側から支点側への力の伝搬を行って、裏面側まで破壊が進展するのに対して、実施例1及び実施例2では、繊維束が厚さ方向に配向せず、クリンプを有さないため、作用点側から支点側への力の伝搬が行われず、その結果、裏面側まで破壊が進展してないのではないかと考えられる。即ち、芯材を構成する強化繊維を、厚さ方向へ配向しない構成にすることで、裏面にまで割れを進展させずに、衝撃吸収性に優れるという性能を発揮させることができると分かる。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述及び図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的及び例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料及び実施例を参照したが、本発明をここに掲げる開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
1;複合部材、
2;芯材、
21;基層、
211;基層の主面、
21a;一面、
22;強化繊維層、
22A;第1強化繊維層(第1層)、
22B;第2強化繊維層(第2層)、
221;繊維束、
221A;第1強化繊維層を構成する繊維束、
221B;第2強化繊維層を構成する繊維束、
223;強化繊維、
23;縫糸
25;片面強化層、
251;第1片面強化層、
252;第2片面強化層、
3;マトリックス樹脂、
;繊維束の配列方向の一例(D又はD)、
;繊維束の配列方向の一例(D又はD)、
;厚さ方向、
θ;交差角、
;入力された衝撃力、
;衝撃力の強化繊維層間での分散、
;衝撃力の基層間での分散、
;厚さ方向の配向を介した力の伝搬。

Claims (7)

  1. マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
    基層と、前記基層の少なくとも一面に固定された強化繊維層と、を備え、
    前記強化繊維層は、複数本の強化繊維が引き揃えられた繊維束が、前記基層の主面に沿って複数条配列されてなるとともに、前記繊維束は厚さ方向にクリンプを有していないことを特徴とする芯材。
  2. 前記強化繊維層は、2層以上からなり、
    前記強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、前記強化繊維層のうちの第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なる請求項1に記載の芯材。
  3. 前記基層と、前記基層の一面にのみ固定された前記強化繊維層と、を有する片面強化芯層を2層有し、
    前記片面強化層のうちの第1層の基層と、前記片面強化層のうちの第2層の基層と、を向かい合わせて配置してなる請求項1又は2に記載の芯材。
  4. 前記基層は、織編布又は不織布を含む請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の芯材。
  5. 前記強化繊維束は、前記基層に縫着されている請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の芯材。
  6. マトリックス樹脂に埋設されて複合部材を構成する芯材であって、
    複数本の強化繊維が引き揃えられた繊維束が、厚さ方向にクリンプを有さないように、複数条配列されてなる強化繊維層を2層以上有し、
    前記強化繊維層のうちの第1層を構成する繊維束の配列方向と、前記強化繊維層のうちの第2層を構成する繊維束の配列方向と、が異なることを特徴とする芯材。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の芯材と、前記芯材を埋設しているマトリックス樹脂と、を有することを特徴とする複合部材。
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