この発明に係る細隙灯顕微鏡の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
まず方向を定義しておく。装置光学系において最も被検者側に位置する光学素子から被検者に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向とする。また、前方向に直交する水平方向を左右方向とする。更に、前後方向と左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
〔第1実施形態〕
[外観構成]
この実施形態に係る細隙灯顕微鏡の外観構成について、図1を参照しながら説明する。細隙灯顕微鏡1には、コンピュータ100が接続されている。コンピュータ100は、各種の制御処理や演算処理を行う。なお、顕微鏡本体(光学系等を格納する筐体)とは別にコンピュータ100を設ける代わりに、顕微鏡本体に同様のコンピュータを搭載した構成を適用することも可能である。
細隙灯顕微鏡1はテーブル2上に載置される。なお、コンピュータ100は他のテーブル上又はその他の場所に設置されていてもよい。基台4は、移動機構部3を介して水平方向に移動可能に構成されている。基台4は、操作ハンドル5を傾倒操作することにより移動される。
基台4の上面には、観察系6及び照明系8を支持する支持部15が設けられている。支持部15には、観察系6を支持する支持アーム16が左右方向に回動可能に取り付けられている。支持アーム16の上部には、照明系8を支持する支持アーム17が左右方向に回動可能に取り付けられている。支持アーム16、17は、それぞれ独立に同軸で回動可能とされている。
観察系6は、支持アーム16を手動で回動させることで移動される。照明系8は、支持アーム17を手動で回動させることで移動される。なお、各支持アーム16、17は、電気的な機構によって回動されるように構成されていてもよい。その場合、各支持アーム16、17を回動させるための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、たとえばパルスモータにより構成される。伝達機構は、たとえば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。
照明系8は、被検眼Eに照明光を照射する。照明系8は、前述のように、回動軸を中心に左右方向に振ることができる。それにより被検眼Eに対する照明光の照射方向が変更される。照明系8は上下方向にも振れるように構成されていてもよい。つまり、照明光の仰角や俯角を変更できるように構成されていてもよい。
観察系6は、被検眼Eからの照明光の反射光を案内する左右一対の光学系を有する。この光学系は鏡筒本体9内に収納されている。鏡筒本体9の終端は接眼部9aである。検者は接眼部9aをのぞき込むことで被検眼Eを肉眼で観察する。前述のように、支持アーム16を回動させることにより鏡筒本体9を左右方向に回動させることができる。それにより被検眼Eに対する観察系6の向きを変更することができる。なお、照明光の反射光には、たとえば散乱光のように被検眼Eを経由した各種の光が含まれるが、これら各種の光を含めて「戻り光」や「反射光」と呼ぶことにする。
鏡筒本体9に対峙する位置には顎受け台10が配置されている。顎受け台10には、被検者の顔を安定配置させるための顎受部10aと額当て10bが設けられている。
鏡筒本体9の側面には、観察倍率を変更するための観察倍率操作ノブ11が配置されている。更に、鏡筒本体9には、被検眼Eを撮影するための撮像装置13が接続されている。撮像装置13は撮像素子を含んで構成されている。撮像素子は、光を検出して画像信号GS(電気信号)を出力する光電変換素子である。画像信号GSはコンピュータ100に入力される。撮像素子としては、たとえばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが用いられる。照明系8の下方位置には、照明系8から出力される照明光束を被検眼Eに向けて反射するミラー12が配置されている。
[光学系の構成]
細隙灯顕微鏡1の光学系の構成について、図2を参照しながら説明する。細隙灯顕微鏡1は観察系(撮影系)6と照明系8を有する。
〔観察系〕
観察系6は左右一対の光学系を備えている。左右の光学系は、ほぼ同様の構成を有する。検者は、この左右の光学系により被検眼Eを双眼で観察することができる。なお、図2には、観察系6の左右の光学系の一方のみが示されている。符号O1は観察系6の光軸(観察光軸)である。
観察系6の左右の各光学系は、対物レンズ31、変倍光学系32、絞り33、リレーレンズ35、プリズム36及び接眼レンズ37を有する。ビームスプリッタ34は、左右の光学系の一方のみに又は双方に設けられる。接眼レンズ37は接眼部9a内に設けられている。符号Pは、接眼レンズ37に導かれる光の結像位置を示している。符号Ecは被検眼Eの角膜を、符号Epは虹彩を、符号Erは眼底をそれぞれ示している。符号Eoは検者眼を示している。
変倍光学系32は、複数(たとえば2枚)の変倍レンズ32a、32bを含んで構成される。この実施形態では、観察系6の光路に対して選択的に挿入可能な複数の変倍レンズ群が設けられている。これら変倍レンズ群は、それぞれ異なる倍率を付与するように構成されている。観察系6の光路に配置された変倍レンズ群が変倍レンズ32a、32bとして用いられる。それにより、被検眼Eの肉眼観察像や撮影画像の倍率(画角)を変更できる。倍率の変更、つまり観察系6の光路に配置される変倍レンズ群の切り替えは、観察倍率操作ノブ11を操作することにより行われる。また、図示しないスイッチ等を用いて電動で倍率を変更するように構成してもよい。
ビームスプリッタ34は、観察光軸O1に沿って進む光を二分割する。ビームスプリッタ34を透過した光は、リレーレンズ35、プリズム36及び接眼レンズ37を介して検者眼Eoに導かれる。プリズム36は、2つの光学素子36a、36bを含み、光の進行方向を上方に平行移動させる。
他方、ビームスプリッタ34により反射された光は、リレーレンズ41及びミラー42を介して、撮像装置13の撮像素子43に導かれる。撮像素子43は、この反射光を検出して画像信号GSを生成する。
〔照明系〕
照明系8は、光源51、線形可変フィルタ60、リレーレンズ52、照明絞り56、集光レンズ53、細隙形成部54及び集光レンズ55を有する。符号O2は、照明系8の光軸(照明光軸)を示す。
光源51は照明光を出力する。なお、照明系8に複数の光源を設けてもよい。たとえば、定常光を出力する光源(ハロゲンランプ、LED等)と、フラッシュ光を出力する光源(キセノンランプ、LED等)の双方を光源51として設けることができる。また、角膜観察用の光源と眼底観察用の光源とを別々に設けてもよい。
線形可変フィルタ(Linear Variable Filter:LVF)60は、照明光の入射面において所定の方向に波長選択特性(波長透過特性)が線形的に変化する透過型の光学部材である。線形可変フィルタ60は、光源51と光学的に略共役な位置に配置され、照明光の入射方向に略直交(交差)する方向に照明光の経路に対し相対移動可能に構成されている。線形可変フィルタ60を照明光の経路に対して相対移動可能とし、線形可変フィルタ60の入射面における照明光の入射位置を変更できるようにしたので、線形可変フィルタ60を透過した照明光の波長や色合いを変化させることが可能になる。
線形可変フィルタ60の概要について、図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、光源51側から見たときの線形可変フィルタ60の照明光の入射面を模式的に表したものである。図4及び図5は、線形可変フィルタ60の波長選択特性(波長透過特性)の一例を模式的に表したものである。図4において、横軸は波長を表し、縦軸は光の透過率を表す。図5において、横軸は線形可変フィルタ60の波長選択領域の左端の基準位置(x=0)からの長さを表し、縦軸は透過する光の波長帯の中心波長を表す。
図3に示すように、線形可変フィルタ60には、方向DR2(第1方向)に波長選択特性が線形的に変化する複数の波長選択領域(透過領域)が配列されている。方向DR2は、後述の細隙形成部54により形成された細隙光の向き(スリットの向き)DR1に略直交する方向であってよい。したがって、移動機構60Bにより線形可変フィルタ60を方向DR2に移動させることにより、線形可変フィルタ60に入射する照明光に適用される波長選択特性を変更することができる。
たとえば、図4に示すように、複数の波長選択領域は、透過する光の波長帯の中心波長がλ1からλ2(λ2>λ1>0)に連続的に変化する。すなわち、複数の波長選択領域の配列方向(方向DR2)に所定量だけ位置を変更しても変更後の各位置における透過波長帯の中心波長は一定になることなく変化する。ここで、波長選択領域の左端の位置xを0とし、方向DR2の右端の位置xをL(L>0)とする。たとえば、図5に示すように、波長選択領域では、方向DR2への位置xの変化に応じて、透過する波長帯の中心波長がλc1からλc2(λc2>λ2>λ1>λc2>0)に線形的に変化する。
線形可変フィルタ60は、自動又は手動で移動可能に構成される。自動で移動させる場合、線形可変フィルタ60は、アクチュエータ60Aと移動機構60Bとによって移動される。アクチュエータ60Aは、駆動力を発生するデバイスであり、たとえばパルスモータにより構成される。移動機構60Bは、アクチュエータ60Aにより発生された駆動力により線形可変フィルタ60を移動させる。
手動で移動させる場合、アクチュエータ60Aは、後述の操作部104に対する操作入力に基づいて駆動力を発生する。移動機構60Bは、アクチュエータ60Aにより発生された駆動力により線形可変フィルタ60を移動させる。また、線形可変フィルタ60が搭載された可動ステージを手動で移動させることにより、線形可変フィルタ60を所望の位置に移動させるようにしてもよい。
線形可変フィルタ60は、照明光の入射位置によって波長選択特性が異なる透過型の波長選択部材の一例である。線形可変フィルタ60に代えて、照明光の入射位置によって波長選択特性が異なる反射型の波長選択部材(たとえば、回折格子)が配置されていてもよい。波長選択部材には、照明光の入射位置によって波長選択特性が複数の波長選択領域が設けられていればよい。
細隙形成部54は、光源51からの照明光から細隙光を生成するために用いられる。細隙形成部54は、一対のスリット刃を有する。これらスリット刃の間隔を変更することによりスリット幅が変更される。
スリット刃は、アクチュエータ54Aと移動機構54Bとによって移動される。アクチュエータ54Aは、駆動力を発生するデバイスであり、たとえばパルスモータにより構成される。移動機構54Bは、アクチュエータ54Aにより発生された駆動力に基づいてスリット刃の間隔を変更する。
照明絞り56は、その透光部のサイズを変更可能に構成されている。照明絞り56は、特に眼底観察において有効である。たとえば、照明絞り56には、角膜Ecや水晶体による照明光の反射を低減させたり、照明光の明るさを調整したりといった用途がある。
[制御系の構成]
細隙灯顕微鏡1の制御系について、図6を参照しながら説明する。細隙灯顕微鏡1の制御系は、制御部101を中心に構成されている。なお、図6には、この実施形態で特に注目する構成部位のみが記載されており、それ以外の構成部位は省略されている。
〔制御部〕
制御部101は、細隙灯顕微鏡1の各部を制御する。たとえば、制御部101は、観察系6の制御や照明系8の制御などを行う。観察系6の制御としては、変倍光学系32の制御、絞り33の制御、撮像素子43の露光時間(電荷蓄積時間)、感度、フレームレート等の制御などがある。照明系8の制御としては、光源51の制御、線形可変フィルタ60の制御、照明絞り56の制御、細隙形成部54の制御などがある。
線形可変フィルタ60の制御は、アクチュエータ60Aを制御することにより行われる。アクチュエータ60Aによって駆動された移動機構60Bが、線形可変フィルタ60を移動させる。アクチュエータ60Aがパルスモータである場合、制御部101は、アクチュエータ60Aにパルス信号を送信する。
細隙形成部54の制御は、アクチュエータ54Aを制御することにより行われる。アクチュエータ54Aによって駆動された移動機構54Bが、細隙形成部54が有する一対のスリット刃の間隔を変更する。アクチュエータ54Aがパルスモータである場合、制御部101は、アクチュエータ54Aにパルス信号を送信する。
また、制御部101は、記憶部102に記憶されたデータの読み出し処理や、記憶部102に対するデータの書き込み処理を行う。
制御部101は、解析部101Aを含む。解析部101Aは、操作部104に対する検者等のユーザの操作内容を解析する。制御部101は、記憶部102にあらかじめ記憶された複数の制御情報102Aの中から解析部101Aによる解析結果に対応した制御情報102Aを読み出し、読み出された制御情報102Aに基づいて細隙灯顕微鏡1の各部を制御する。
操作部104は、コンタクトレンズフィッティングモードなどの複数の観察モードのいずれかを指定するための操作入力が可能に構成される。細隙灯顕微鏡1では、操作部104を用いて指定された観察モードに応じて線形可変フィルタ60の移動が制御される。それにより、観察モードに対応した波長、色合いの照明光で被検眼Eを照明することが可能になる。観察部位の例として、前眼部全体、角膜、強膜、虹彩、水晶体、結膜、眼房、隅角、硝子体、網膜などがある。観察手法の例として、拡散照明法、直接照明法、背景照明法、蛍光造影撮影、接線照明法、徹照法、隅角鏡による撮影、補助レンズによる撮影などがある。なお、指定された観察モードに応じて、細隙灯顕微鏡1の他の光学系や撮像装置13の設定が自動で行われてもよい。
たとえば、制御部101は、指定された観察モードに対応した制御情報に基づいて、少なくとも線形可変フィルタ60を自動で移動させることが可能である。制御情報は、後述の記憶部102にあらかじめ記憶されている。したがって、ユーザが操作部104を用いて観察モードを指定することにより、制御部101は、当該観察モードに対応した制御情報に基づいて線形可変フィルタ60を移動させることが可能になる。それにより、指定された観察モードに適した波長、色合いで被検眼を観察することができる。
制御部101は、制御情報に基づいて移動機構60Bを制御することにより、指定された観察モードに対応した波長選択特性を有する(1以上の)波長選択領域が照明光の入射位置となるように線形可変フィルタ60を配置させる。たとえば、制御部101は、制御情報により特定された目標位置に線形可変フィルタ60を移動させるように制御する。また、制御部101は、図示しないセンサにより線形可変フィルタ60の現在位置を検出し、検出された現在位置から目標位置に線形可変フィルタ60を移動させるように制御してもよい。線形可変フィルタ60の現在位置は、過去の制御内容(制御履歴、移動履歴)から特定してもよい。
また、蛍光造影観察などを行うための観察モードが指定されたとき、線形可変フィルタ60が、エキサイタフィルタに対応する波長選択特性を有する波長選択領域に照明光の入射位置が配置されるように移動されてもよい。この場合、線形可変フィルタ60に連動して、エキサイタフィルタに対応したバリアフィルタが図示しない移動機構により観察系6の所定の光路に挿入可能に構成されていてもよい。
細隙光は、複数の波長選択領域に跨って入射してもよい。制御部101は、制御情報に基づいて移動機構60Bを制御することにより、複数の波長選択領域に照明光が入射するように線形可変フィルタ60を配置させることが可能である。
制御部101は、操作部104を用いてユーザにより指定された観察モードに対応した制御情報に基づいて、細隙灯顕微鏡1の光学系の設定や撮像装置13の設定などを変更することが可能である。たとえば、制御部101は、制御情報に基づいて、観察系6や照明系8の位置、光源51による照明光の特性(波長、光量等)、線形可変フィルタ60の状態、照明絞り56の絞り状態、細隙形成部54による細隙光の形態、変倍光学系32による観察倍率などを変更する。細隙形成部54による細隙光の形態の制御には、細隙光のスリット幅を変更する制御や、スリットの向きを変更する制御などが含まれる。たとえば、制御部101は、制御情報に基づいて、撮像素子43の電荷蓄積時間、感度、フレームレートなどを制御する。
また、制御部101は、任意のタイミングで、細隙灯顕微鏡1の光学系や撮像装置13の設定状態を示す情報を含む設定情報102Bを記憶部102に保存することが可能である。たとえば、制御部101は、被検眼の検査開始タイミングや検査終了タイミング、撮像装置13による被検眼の撮影タイミング、操作部104に対する操作入力タイミングで設定情報102Bを記憶部102に保存する。また、制御部101は、細隙灯顕微鏡1の光学系や撮像装置13の設定変更タイミング、所定の時刻又は所定の時間間隔で設定情報102Bを記憶部102に保存するようにしてもよい。制御部101は、記憶部102に保存された設定情報102Bを読み出し、読み出された設定情報に基づいて細隙灯顕微鏡1の各部を制御することが可能である。それにより、過去の観察条件と同じ条件で当該被検眼を再び観察したり、ユーザ等の好みの色合いを再現して被検眼を観察したりすることが可能となる。
制御部101は、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ等のハードウェアを含んで構成される。このハードディスクドライブには、制御プログラムがあらかじめ記憶されている。制御部101の動作は、この制御プログラムと上記ハードウェアとが協働することによって実現される。
制御部101は、細隙灯顕微鏡1の装置本体(たとえば基台4内)やコンピュータ100に配置される。
〔記憶部〕
記憶部102には各種の情報が記憶される。特に、記憶部102には、制御情報102Aと、設定情報102Bとがあらかじめ記憶されている。記憶部102は、操作部104に対する操作内容に対応付けられた制御情報102Aをあらかじめ記憶する。記憶部102は、複数の操作内容に対応した複数の制御情報102Aを記憶することが可能である。
制御情報102Aは、細隙灯顕微鏡1の光学系を設定するための情報や、撮像装置13の動作を設定するための情報を含む。たとえば、アクチュエータ54Aがパルスモータである場合、制御情報102Aは、制御部101からパルスモータに送信されるパルス信号のパルス数であってよい。同様に、たとえば、アクチュエータ60Aがパルスモータである場合、制御情報102Aは、制御部101からパルスモータに送信されるパルス信号のパルス数であってよい。
設定情報102Bは、細隙灯顕微鏡1の光学系や撮像装置13の設定状態を示す情報を含む。細隙灯顕微鏡1の光学系の設定状態には、細隙灯顕微鏡1の光学系の位置や状態などが含まれる。撮像装置13の設定状態には、撮像素子43の設定状態などが含まれる。
〔表示部〕
表示部103は、制御部101の制御を受けて各種の情報を表示する。表示部103は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの任意の表示デバイスを含んで構成される。表示部103は、細隙灯顕微鏡1の装置本体に設けられていてもよいし、コンピュータ100に設けられていてもよい。
〔操作部〕
操作部104は、操作デバイスや入力デバイスを含んで構成される。操作部104には、装置本体に設けられたボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル5等)や、コンピュータ100のマウス、キーボードなどが含まれる。また、トラックボール、専用の操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを用いることも可能である。
図6では、表示部103と操作部104とを別々に表しているが、これらを一体的に構成することも可能である。その具体例として、タッチパネル式のLCDを用いることができる。操作部104は、「指定部」の一例である。
[動作]
細隙灯顕微鏡1の動作について説明する。細隙灯顕微鏡1の動作の例を図7に示す。
(S1、S2)
まず、ユーザが操作部104を用いて観察モードを指定すると、制御部101は、解析部101Aにより操作部104に対する操作内容を解析し、その解析結果に対応した制御情報を記憶部102から読み出す。制御部101は、記憶部102から読み出された制御情報に基づいて、指定された観察モードに対応した波長選択特性を有する波長選択領域が照明光の入射位置となるように線形可変フィルタ60を移動させる。
(S3)
続いて、制御部101は、S2において記憶部102から読み出された制御情報に基づいて、指定された観察モードに対応したスリット幅となるように細隙形成部54を制御する。
(S4)
次に、制御部101は、光源51を点灯させる。このとき、制御部101は、あらかじめ決められた初期点灯条件で光源51を点灯させてもよいし、前回の点灯条件で光源51を点灯させてもよい。光源51の点灯条件には、照明光の光量などがある。照明光の照射方向を自動で変更可能な場合には、光源51の点灯条件に、照明光の照射角度などが含まれてもよい。
たとえばこの段階で、ユーザは、観察系6や照明系8の位置を調整する。また、ユーザは、被検眼Eを観察しつつ図示しないスリット操作ノブを操作することで、スリット幅を調整することが可能である。
(S5)
細隙灯顕微鏡1は、指定した観察モードで細隙光を用いた被検眼Eの観察が可能な状態となり、たとえば、撮像装置13を用いて被検眼Eの画像を取得する。なお、ユーザは、接眼部9aを用いた肉眼観察を行ってもよい。
また、制御部101は、細隙灯顕微鏡1の光学系や撮像装置13の設定状態を示す情報を含む設定情報102Bを記憶部102に保存する。ここで保存された設定情報102Bを用いることにより、その後の任意のタイミングで当該検査と同じ設定状態で細隙灯顕微鏡1による被検眼Eの検査を行うことが可能になる。以上で、この動作例の説明は終了である(エンド)。
[効果]
細隙灯顕微鏡1の効果について説明する。
細隙灯顕微鏡(たとえば、細隙灯顕微鏡1)は、照明系(たとえば、照明系8)と、観察系(たとえば、観察系6)とを含む。照明系は、波長選択部材(たとえば、線形可変フィルタ60)と、細隙形成部(たとえば、細隙形成部54)と、移動機構(たとえば、移動機構60B)とを備える。波長選択部材は、照明光源(たとえば、光源51)からの光(たとえば、照明光)の経路に配置され、波長選択特性が異なる複数の領域が設けられる。細隙形成部は、波長選択部材を通過した光から細隙光を形成する。移動機構は、照明光源からの光の経路に対して波長選択部材を相対移動させる。照明系は、細隙光で被検眼(たとえば、被検眼E)を照明する。観察系は、被検眼からの細隙光の戻り光を撮像装置(たとえば、撮像装置13)に導く。
ここで、「通過」は、「透過」と「反射」の双方を含むものとする。
このような構成では、細隙灯顕微鏡において、波長選択特性が異なる複数の領域が設けられた波長選択部材が照明光源からの光の経路に配置される。この波長選択部材を移動機構により照明光源からの光の経路に対して相対移動させるようにしたので、照明光の入射位置に所望の波長選択特性を有する領域を配置させることができる。それにより、波長選択部材を通過した照明光の波長や色合いを変化させることが可能になり、省スペースで、被検眼の観察機能を向上させることができる。
また、移動機構は、波長選択部材に対する光の入射方向に交差する方向に波長選択部材を移動させてもよい。
このような構成によれば、光の入射方向に波長選択特性が変化する波長選択部材を用いることが可能となり、簡素な構成で、照明光の波長や色合いを微妙に変化させることができる。
また、波長選択部材の複数の領域は、第1方向(たとえば、方向DR2)に配列され、移動機構は、第1方向に波長選択部材を移動させてもよい。
このような構成によれば、少なくとも第1方向に波長選択特性が変化する波長選択部材を用いることにより、簡素な構成で、照明光の波長や色合いを微妙に変化させることができる。
また、波長選択部材は、第1方向に連続的に波長選択特性が変化するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、簡素な構成で、照明光の波長や色合いを微妙に変化させることが可能になる。
また、記憶部(たとえば、記憶部102)と、指定部(たとえば、操作部104)と、制御部(たとえば、制御部101)とを含んでもよい。記憶部は、複数の観察モードに対応した複数の制御情報をあらかじめ記憶する。指定部は、複数の観察モードのいずれか1つを指定するために用いられる。制御部は、指定部により指定された観察モードに対応して記憶部に記憶された制御情報に基づいて、移動機構を移動させる。
このような構成によれば、指定部により観察モードを指定することにより、指定された観察モードに適した波長、色合いで被検眼を観察することが可能な細隙灯顕微鏡を提供することができる。
また、記憶部は、移動機構に対して過去に実行された制御内容を記憶し、制御部は、記憶部に記憶された制御内容に基づいて移動機構を移動させてもよい。
このような構成によれば、過去の観察条件と同じ条件で当該被検眼を再び観察したり、ユーザ等の好みの色合いを再現して被検眼を観察したりすることが可能な細隙灯顕微鏡を提供することができる。
〔第1変形例〕
第1実施形態では、実施形態に係る波長選択部材の一例として線形可変フィルタを例に説明したが、実施形態に係る波長選択部材は、これに限定されるものではない。
図8に、第1実施形態の第1変形例に係る波長選択部材の説明図を示す。図8では、図5と同様に、横軸は第1変形例に係る波長選択部材の波長選択領域の左端の基準位置からの長さを表し、縦軸は透過する光の波長帯の中心波長を表す。図8では、方向DR2への位置xの変化に応じて、透過する波長帯の中心波長がλc1からλc2に段階的に変化している。すなわち、複数の波長選択領域の配列方向(方向DR2)に所定量だけ位置を変更した場合、変更後の各位置における透過波長帯の中心波長は非連続に変化する。第1変形例に係る波長選択部材に設けられた波長選択領域では、たとえば、図8に示すように、入射面において、透過する光の波長帯の中心波長が方向DR2に沿って段階的に変化する。
この変形例においても、波長選択部材に互いに波長選択特性が異なる複数の波長選択領域が設けられる。したがって、各波長選択領域の位置(たとえば、領域の中心位置)に移動させるための制御情報をあらかじめ記憶部102に記憶させることで、第1実施形態と同様に、指定された観察モードに応じて波長選択部材を自動で移動させることが可能である。なお、上記したように、波長選択部材を手動で移動させるようにしてもよい。
[効果]
細隙灯顕微鏡の効果について説明する。
波長選択部材は、第1方向に段階的に波長選択特性が変化するように構成されていてもよい。
このような構成によれば、簡素な構成で、照明光の波長や色合いを微妙に変化させることが可能になる。
〔第2変形例〕
第1実施形態とその変形例では、光の入射方向(照明光の光路)に交差する方向に2次元的に移動させることにより線形可変フィルタ60を移動させる場合について説明したが、実施形態に係る波長選択部材は、これに限定されるものではない。
図9に、第1実施形態の第2変形例に係る線形可変フィルタの説明図を示す。図9は、図3と同様に、光源51側から見たときの線形可変フィルタの照明光の入射面を模式的に表したものである。
第2変形例に係る線形可変フィルタ60aは、たとえば、照明系8の光軸(照明光路)と平行な回動軸Gを中心に回動可能に構成される。たとえば、移動機構60Bは、回動軸Gを中心に線形可変フィルタ60aを回動させる。線形可変フィルタ60aは、図9に示すように、回動軸Gを中心とする円周方向DR3に波長選択特性が線形的に変化する複数の波長選択領域が配列されている。円周方向DR3は、回動軸Gを中心とする径方向に直交(交差)する方向である。すなわち、線形可変フィルタ60aは、回動軸Gを中心とする円周方向の位置によって波長選択特性が異なる波長選択部材である。各波長選択領域は、回動軸Gを中心とする所定の角度単位で分割され、回動軸Gを中心とする径方向に延びる所定形状(矩形形状、円弧形状など)を有する。細隙形成部54により形成される細隙光のスリットの向きは、回動軸Gを中心とする径方向であってもよいし、当該径方向と交差する方向であってもよい。
なお、線形可変フィルタ60aは、回動軸Gを中心とする円周方向DR3に波長選択特性が段階的に変化する波長選択領域(図8参照)が設けられていてもよい。
この変形例においても、線形可変フィルタ60aに設けられた各波長選択領域の位置に対応した制御情報(回動軸Gを中心とした角度)をあらかじめ記憶部102に記憶させる。それにより、第1実施形態と同様に、指定された観察モードに応じて波長選択部材を自動で移動させることが可能である。なお、上記したように、波長選択部材を手動で移動させるようにしてもよい。
[効果]
細隙灯顕微鏡の効果について説明する。
第1方向は、所定の回動軸(たとえば、回動軸G)を中心とする径方向に交差する方向(たとえば、方向DR3)であってもよい。移動機構(たとえば、移動機構60B)は、回動軸を中心に第1方向に波長選択部材(たとえば、線形可変フィルタ60a)を回動させてもよい。
このような構成によれば、回動軸を中心とする円周方向に波長選択特性が変化する波長選択部材を用いることにより、簡素な構成で、照明光の波長や色合いを微妙に変化させることが可能になる。
〔その他の変形例〕
第1実施形態では、波長選択部材としての線形可変フィルタ60の波長選択特性として図4に示す特性を例に説明したが、実施形態に係る波長選択部材は、これに限定されるものではない。中心波長から所定の波長幅だけ同一の透過率となるような波長選択特性を有していてもよい。波長幅は、細隙形成部54により形成された細隙光のスリット幅より広い幅であってよい。この場合、細隙光の光束は、同一の波長選択特性により波長選択された光束となる。
波長選択部材に設けられた複数の波長選択領域は、透過する光の中心波長が所定の方向に単調増加又は単調減少するものでなくてよい。互いに波長選択特性が異なる複数の波長選択領域のそれぞれについて、波長選択部材における位置があらかじめ認識されていればよい。自動で波長選択部材を移動させる場合、各波長選択領域の位置が制御情報に含まれ、当該制御情報に基づき波長選択部材を移動させることができればよい。
線形可変フィルタ60に入射する照明光の幅を変更するようにしてもよい。この場合、照明系8は、光源51と線形可変フィルタ60との間に配置された可変絞りを含んで構成される。自動又は手動で可変絞りによる照明光の絞りを制御することにより線形可変フィルタ60に入射する照明光の幅を変更することが可能になる。これにより、より多様な波長選択特性で選択された波長成分を有する照明光を生成することが可能になる。
〔第2実施形態〕
実施形態に係る細隙灯顕微鏡の構成は、第1実施形態又はその変形例に係る細隙灯顕微鏡1の構成に限定されるものではない。
第2実施形態に係る細隙灯顕微鏡の構成は、第1実施形態とほぼ同様である。以下では、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図10に、第2実施形態に係る細隙灯顕微鏡の光学系の構成例を示す。図10において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2実施形態に係る細隙灯顕微鏡の構成が第1実施形態に係る細隙灯顕微鏡1の構成と異なる点は、照明系にリレーレンズが追加されている点である。すなわち、第2実施形態に係る細隙灯顕微鏡は、観察系6と照明系8bとを有する。照明系8bは、光源51、リレーレンズ61、線形可変フィルタ60、リレーレンズ52、照明絞り56、集光レンズ53、細隙形成部54及び集光レンズ55を有する。リレーレンズ61は、光源51と線形可変フィルタ60との間に配置されている。リレーレンズ61は、光源51からの照明光をリレーする。
この実施形態においても、線形可変フィルタ60に入射する照明光の幅を変更するようにしてもよい。この場合、照明系8bでは、光源51とリレーレンズ61との間又はリレーレンズ61と線形可変フィルタ60との間に可変絞りが配置される。
この実施形態に係る細隙灯顕微鏡についても、上記の第1実施形態の変形例を適用することが可能である。
〔第3実施形態〕
上記の実施形態又はその変形例では、光源51から出力された照明光から細隙形成部54により細隙光を生成する場合について説明したが、実施形態に係る細隙灯顕微鏡は、これに限定されるものではない。たとえば、光源51、細隙形成部54、及び線形可変フィルタ60の順序で照明光路に配置され、細隙光を線形可変フィルタ60に入射させるようにしてもよい。以下、プロジェクタにより細隙光を生成し、生成された細隙光を線形可変フィルタ60に入射させる場合について説明する。
第3実施形態に係る細隙灯顕微鏡の構成は、第1実施形態とほぼ同様である。以下では、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図11に、第3実施形態に係る細隙灯顕微鏡の光学系の構成例を示す。図11において、図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第3実施形態に係る細隙灯顕微鏡の構成が第1実施形態に係る細隙灯顕微鏡1の構成と異なる点は、照明系において、光源51や細隙形成部54に代えてプロジェクタ70が設けられている点である。すなわち、第3実施形態に係る細隙灯顕微鏡は、観察系6と照明系8cとを有する。照明系8cは、プロジェクタ70、線形可変フィルタ60、及び集光レンズ55を有する。
プロジェクタ70は、制御部101からの制御に基づく照明パターンを線形可変フィルタ60に照射する。プロジェクタ70は、スリット幅やスリットの向きを任意に変更可能な細隙光を出力することが可能である。また、プロジェクタ70は、照明パターンの位置を変更することにより線形可変フィルタ60における細隙光の入射位置を任意に変更することが可能である。
照明パターンは、たとえば、操作部104を用いてユーザが設定可能である。ユーザが操作部104を用いて、たとえば、形状パターン、外形、サイズなどを指定すると、制御部101cは、指定された形状パターンなどに基づいて照明パターンを特定し、特定された照明パターンに基づいてプロジェクタ70を制御することが可能である。
プロジェクタ70は、デジタルマイクロミラーデバイスを用いた公知のプロジェクタであってよい。プロジェクタ70は、更に、光源を含んで構成されていてもよい。光源には、LED光源やRGBの各色成分の光を出力可能な光源などがある。プロジェクタ70は、更に、リレー光学系や、コリメータレンズや、投影レンズなどを含んで構成されてもよい。
また、プロジェクタ70は、LCoS(Liquid Crystal on Silicon)や、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や、1次元的に又は2次元的に走査が可能な光スキャナ(ガルバノスキャナ)を用いたものであってもよい。更に、プロジェクタ70は、液晶ディスプレイ(透過型、反射型)を用いたものであってもよい。このような構成は公知であるため、詳細な説明を省略する。プロジェクタ70は、形状や照射位置を任意に変更可能な照明パターンに対応した照明光を出力可能なものであればよい。プロジェクタ70は、「細隙光生成部」の一例である。
移動機構60Bは、細隙光の経路に対して線形可変フィルタ60を相対移動させる。
図12に、第3実施形態に係る細隙灯顕微鏡の制御系の構成例のブロック図を示す。図12においても、図6と同様に、この実施形態で特に注目する構成部位のみが記載されており、それ以外の構成部位は省略されている。図12において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
〔制御部〕
制御部101cは、この実施形態に係る細隙灯顕微鏡の各部を制御する。たとえば、制御部101cは、観察系6の制御や照明系8cの制御などを行う。照明系8cの制御としては、プロジェクタ70の制御、線形可変フィルタ60の制御などがある。
プロジェクタ70の制御は、プロジェクタ70の光源の色や光量の制御や、照明光の照射面における形状や照射位置の制御などがある。照明光の照射面における形状や照射位置の制御は、制御部101cにより作成された照明パターンに基づいて行うことが可能である。
線形可変フィルタ60の制御は、アクチュエータ60Aを制御することにより行われる。アクチュエータ60Aによって駆動された移動機構60Bが、線形可変フィルタ60を移動させる。アクチュエータ60Aがパルスモータである場合、制御部101cは、アクチュエータ60Aにパルス信号を送信する。
また、制御部101cは、記憶部102cに記憶されたデータの読み出し処理や、記憶部102に対するデータの書き込み処理を行う。
制御部101cは、解析部101Aを含む。解析部101Aは、操作部104に対する検者等のユーザの操作内容を解析する。この実施形態においても、制御部101cは、指定された観察モードに対応した制御情報102Cに基づいて、少なくとも線形可変フィルタ60を自動で移動させることが可能である。制御情報102Cは、後述の記憶部102cにあらかじめ記憶されている。したがって、ユーザが操作部104を用いて観察モードを指定することにより、制御部101cは、当該観察モードに対応した制御情報102Cに基づいて線形可変フィルタ60を移動させることが可能になる。
また、制御部101cは、任意のタイミングで、細隙灯顕微鏡の光学系や撮像装置13の設定状態を示す情報を含む設定情報102Dを記憶部102cに保存することが可能である。
この実施形態によれば、指定された観察モードに応じて線形可変フィルタ60を移動させることができるので、当該観察モードに適した波長、色合いで被検眼を観察することができる。また、プロジェクタ70により照明光の色や色合いを変更することができるので、線形可変フィルタ60の移動と組み合わせることで微妙な波長の調整や色合いの調整が可能となり、簡素な機構で、任意の波長、色合いで被検眼を観察することが可能になる。
この実施形態に係る細隙灯顕微鏡についても、上記の第1実施形態の変形例を適用することが可能である。
なお、この実施形態に係る「細隙光生成部」は、プロジェクタ70に代えて、光源51及び細隙形成部54を少なくとも含んで構成されていてもよい。この場合、細隙形成部54により形成された細隙光が、線形可変フィルタ60に照射される。
[効果]
細隙灯顕微鏡の効果について説明する。
細隙灯顕微鏡は、照明系(たとえば、照明系8c)と、観察系(たとえば、観察系6)とを含む。照明系は、細隙光形成部と、波長選択部材(たとえば、線形可変フィルタ60)と、移動機構(たとえば、移動機構60B)とを備える。細隙光生成部は、細隙光を生成する。波長選択部材は、生成された細隙光の経路に配置され、波長選択特性が異なる複数の領域が設けられる。移動機構は、細隙光の経路に対して波長選択部材を相対移動させる。照明系は、波長選択部材を通過した細隙光で被検眼(たとえば、被検眼E)を照明する。観察系は、被検眼からの細隙光の戻り光を撮像装置(たとえば、撮像装置13)に導く。
このような構成では、細隙灯顕微鏡において、細隙光形成部が設けられ、且つ、波長選択特性が異なる複数の領域が設けられた波長選択部材が細隙光の経路に配置される。この波長選択部材を移動機構により細隙光の経路に対して相対移動させるようにしたので、細隙光の入射位置に所望の波長選択特性の領域を配置させることができる。それにより、波長選択部材を通過した照明光の波長や色合いを変化させることが可能になり、省スペースで、被検眼の観察機能を向上させることができる。
また、細隙光生成部は、照明光源(たとえば、光源51)からの光の経路に配置され、少なくとも幅が可変な細隙を形成する細隙形成部(たとえば、細隙形成部54)を含んでもよい。
このような構成によれば、波長選択部材を移動機構により細隙光の経路に対して相対移動させるようにしたので、細隙光の入射位置に所望の波長選択特性の領域を配置させることができる。それにより、波長選択部材を通過した照明光の波長や色合いを変化させることが可能になり、省スペースで、被検眼の観察機能を向上させることができる。
また、記細隙光生成部は、あらかじめ設定されたパターンの光を出力可能なプロジェクタ(たとえば、プロジェクタ70)を含んでもよい。
このような構成によれば、プロジェクタにより照明光の色や色合いを変更することにより、波長可変フィルタの移動と組み合わせることで微妙な波長の調整や色合いの調整が可能となり、簡素な機構で、任意の波長、色合いで被検眼を観察することが可能になる。
[変形例]
第3実施形態において、たとえば、プロジェクタ70により2以上の光束を出力し、それぞれが異なる波長選択領域を通過させ、その後にこれらの光束を合成することにより細隙光を生成するようにしてもよい。それにより、任意の波長帯を含む細隙光で被検眼を照明することができる。なお、照明系が複数の光源を含み、これら複数の光源から2以上の光束を出力させてもよい。また、照明系が単一の光源を含み、単一の光源からの光路を分割することにより2以上の光束を出力させてもよい。
以上において説明した実施形態は、この発明を実施するための一具体例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。