JP2021057977A - ケーブルトレイ防火装置及びケーブルトレイ防火施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
防炎シートによる防炎性能を維持するためには、防炎シートのずれを防ぐための冶具を設けることが望ましい。防炎シートのずれは特に地震発生時に想定される。しかしながら、特許文献1では、防炎シートによる防火装置や防火シートの抑え冶具については何ら考慮されていない。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
先ず、本発明に至った経緯について説明する。
ケーブルとケーブルトレイの双方を不燃材料の防炎シートで巻いた場合、防炎シートにずれが生じると、火災発生時に十分な防炎性能を得ることが難しくなるので防炎シートを固定する冶具が必要となる。従来は、特許文献1に記載のように、防炎シートを用いるものではなく、ケーブルトレイに耐火プレートのようなカバーを被せて、カバーをケーブルトレイに固定する構造である。本発明者等の検討によれば、防炎シートの場合、カバーの取り付けとは異なり、様々な配慮が必要である。
本実施例は、特に、ケーブルトレイ内に上方にスペースが生じているようなケーブル収容状況のケーブルトレイの防火装置に好適なものである。このような収容状況では、ケーブルトレイの外周に単に固定バンドのようなもので囲って固定する方法では、ケーブルトレイ内の上方に空間が生じるため、防炎シートとケーブルとの間に空気層が形成されることになる。ケーブルを押える上下位置調節可能なケーブル押え部材により防炎シートを押えたとしてもケーブルトレイの内側側面部に空間が形成され、防炎シートをしっかりと固定することができない可能性がある。特に、ケーブルトレイの側面部が内側に折り曲げられている場合には、ケーブルトレイの内側側面部において防炎シートとの間に大きな空間が形成され、防炎シートの固定が不十分となり、防炎シートのずれの原因になり得る。
(1)上フレーム6に押付け手段9を構成するスペーサ93を装着する。すなわち、上フレーム6の下面の端部近傍には押付け手段取付け部64が固着されており、押付け手段取付け部64のスペーサ収納部64bにスペーサ93を装着する。
(2)同様にスペーサ収納部64bにばね92を装着する。
(3)ばね92を介してスペーサ93の貫通孔に押し棒91の押し棒軸91bを挿入させて押し棒91を装着する。なお、押し棒軸91bにばね92及びスペーサ93を装着させ、押し棒91、ばね92、スペーサ93を一体化した後にこれらをスペーサ収納部64bに装着するようにしても良い。
(4)固定具(押付け力調整ボルト95、押付け力調整ボルト位置固定用ナット94)を装着する。押付け力調整ボルト95は押付け手段取付け部64に形成されたが雌ねじ部64aに螺合する。
(5)下フレーム7を装着する。下フレーム7の挿し込み用突起71及び仮固定用ボルト72を、それぞれ上フレーム6のボス部63の孔部63b及び上フレーム6の貫通穴62と位置合わせして挿入させる。
(6)貫通穴62を貫通した仮固定用ボルト72の先端に蝶ナット72aを螺合させて上下フレーム6,7を仮固定(仮止め)する。
(7)仮固定した上下フレーム6,7を、防炎シート3を巻いたケーブルトレイ1に装着する。装着は、仮固定した上下フレーム6,7を、ケーブルトレイ1に対して斜めになるように回転させて、下フレーム7をケーブルトレイ1内に挿入し、その後、仮固定した上下フレーム6,7を、ケーブルトレイ1に対して直交するように回転させることにより行う。これらにより、上フレーム6の端部がケーブルトレイ1のケーブルトレイ折り曲げ端部1aに載置され、下フレーム7及び押付け手段9がケーブルトレイ1内の上方空間に位置する。
(8)ボルト5が取り付けられたバンドフレーム4を下方からケーブルトレイ1に装着する。
(9)固定座8を上方からバンドフレーム4のボルト5及び上フレーム6のボルト61に装着し、ナット5a,61aで固定する。これらによりケーブルトレイ1の外周が上フレーム6とバンドフレーム4により固定される。
(10)固定具(押付け力調整ボルト71a、押付け力調整ボルト位置固定用ナット71b)を上フレーム6のボス部63に装着し、下フレーム7のケーブルトレイ1内の位置を固定する。すなわち、押付け力調整ボルト71aをボス部63の雌ねじ部63aに螺合し、そのねじ込み量を調節する。押付け力調整ボルト71aにより挿し込み用突起71を介して下フレーム7を押し込む。押付け力調整ボルト71aのねじ込み量を調整することにより、ケーブルトレイ1内のケーブル2の量に合わせて下フレーム7の位置を容易に調整することができる。また、下フレーム(ケーブル押え板)7によるケーブル2の押付け圧力を所定の範囲に容易に調節することができる。
また、(4)で装着した押付け力調整ボルト95のねじ込み量を調整し、ばね92を所定量圧縮することにより、ばね力を発生させ押付け手段9により防炎シート3をケーブルトレイ1の内側側面に押付け固定する。例えば、1箇所当たりのばね押し力65Kgとし、合計2箇所にてばね力により防炎シート3を押圧することにより、防炎シートのずれを十分に抑制することができる。ばね力を用いて押付けているので、防炎シート3を押す荷重を容易に管理することができ、防炎シート3の損傷を防ぎながら、防炎シート3のずれをより確実に防ぐことが可能となる。
本実施例は、特に、ケーブルトレイに上面を超えるケーブルが収容されているケーブルトレイの防火装置に好適なものである。このような収容状況では、防炎シートをケーブルトレイの内側側面にばね力を用いて押し付ける押付け手段を設けることはできない。
(1)下押え部材を用意する。下押え部材は、下面フレーム140、後面フレーム150、押えフレーム170、押付け手段が予め一体化されたもの(以下、下押え部材アッセンブリと称する)と、前面フレーム160とに分離されている。既設のケーブルトレイ間に下押え部材アッセンブリを挿入する。図面上、下押え部材アッセンブリを立てた状態で挿入している。隣接するケーブルトレイ1には既に防炎シートずれ抑制冶具が装着されている。(2)下押え部材アッセンブリを90度回転させる(図面上、横に倒した状態となる。)。壁面とケーブルトレイ1との間には後面フレーム150が回転するスペースが確保されている。
(3)下押え部材アッセンブリを手前側(図面上、右側)に引き寄せて、ケーブルトレイ1に装着する。
(4)壁面側(図面上、左側)の固定部200のボルト部200bを軽く締め付け、下押え部材アッセンブリをケーブルトレイ1に仮止めする。
(5)前面フレーム160を下押え部材アッセンブリに対してナット142b(六角ナットとロックナット)を用いて固定する。
(6)壁面側(図面上、左側)の固定部200のボルト部200b及び手前側(図面上、右側)の固定部200のボルト部200bをソケットレンチなどで締め切り、下押え部材をケーブルトレイ1にしっかりと固定する。この状態で押付け手段のばね190に所定のばね力が発生し、押えフレーム170を介して防炎シート3をケーブルトレイ1に押す荷重が適切な大きさに管理される。
(7)上押え部材を用意する。上押え部材は、上面フレーム210、ケーブル押え板220、ケーブル押え板の高さ調整及びケーブル加圧調整を行う手段が予め一体化されている。下押え部材の両端(後面フレーム150及び前面フレーム160の上端)の連結部204のフック204aに、上押え部材(上面フレーム210)の連結部の連結ピン240を挿入し、下押え部材と上押え部材とを連結する。なお、この状態では、ケーブル押え板高さ調整ボルト232、ケーブル加圧調整ボルト233及び上面フレーム高さ調整ボルト242はそれぞれ上限位置まで引き上げた状態である。
(8)壁面側(図面上、左側)及び手前側(図面上、右側)の上面フレーム高さ調整ボルト242をねじ込み、上面フレーム210及びケーブル押え板220を下方に移動させ、ケーブル押え板220をセラミックウール10に接触させる。
(9)壁面側(図面上、左側)及び手前側(図面上、右側)のケーブル押え板高さ調整ボルト232をねじ込み、ケーブル押え板220をさらに下方に移動させ、ケーブル押え板220によりセラミックウール10を圧縮する。本実施例では二つのケーブル押え板220を設けている。ケーブルトレイ1へのケーブル2の収容状況に応じて、独立してケーブル押え板高さ調整ボルト232のねじ込み量を調整する。
(10)壁面側(図面上、左側)及び手前側(図面上、右側)のケーブル加圧調整ボルト233をねじ込み、ケーブル押え板220に圧力を加えて、セラミックウール10をさらに圧縮すると共に、ケーブルトレイ1に収容されているケーブル2をケーブル加圧ばね235に発生したばね力により加圧固定する。ケーブルに必要以上の加圧力が加わらないように、ケーブル加圧ばね235を構成する。例えば、1箇所あたりの最大加圧力が25Kgとなるように、ばね常数や変位量を設定する。本実施例では、このケーブル加圧力は、押付け手段のばね190による下押え部材のケーブルトレイ1へ押し付ける圧力とは、独立して行われるので、それぞれ適切な圧力とすることができる。押付け手段のばね190による下押え部材のケーブルトレイ1へ押し付ける圧力は、ケーブル加圧力よりも大きくしている(例えば、1箇所当たりのばね押し力を60Kg程度)。
Claims (10)
- ケーブルを収容したケーブルトレイを防炎シートで巻いたケーブルトレイ防火装置であって、
前記防炎シートのずれを抑制する防炎シートずれ抑制冶具を備え、
前記防炎シートずれ抑制冶具は、
前記ケーブルトレイの下側の外周を覆う下押え部材と、前記ケーブルトレイの上側に位置し、前記下押え部材の両端部にそれぞれ連結された端部を備える上押え部材とを有し、前記下押え部材と前記上押え部材とで前記ケーブルトレイの周囲を押え、
前記上押え部材は、前記ケーブルトレイに収納されたケーブルを押える上下位置調節可能なケーブル押え部材を備えることを特徴とするケーブルトレイ防火装置。 - 請求項1に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記上押え部材は、前記防炎シートを前記ケーブルトレイの内側側面にばね力を用いて押し付ける押付け手段を備えているケーブルトレイ防火装置。 - 請求項1に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記下押え部材は、バンドフレームとその両端に固着されたボルトにより構成され、
前記上押え部材は、上フレームと、前記ケーブル押え部材としてのケーブル押え板と、固定座と、押付け手段を備え、
前記固定座は、前記上フレームの両端に取り付けられ、かつ、前記バンドフレームのボルトが貫通する孔部を備え、前記バンドフレームのボルトにナットを螺合して、前記バンドフレームと前記上フレームと一体化するように構成され、
前記ケーブル押え板は、前記上フレームを基準として上下位置調整可能に前記上フレームに取り付けられ、
前記押付け手段は、押し棒を備え、ばね力により前記ケーブルトレイの内側側面に前記押し棒を押し付けるように構成されているケーブルトレイ防火装置。 - 請求項1に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記下押え部材は、下面フレームと押えフレームとを備え、前記ケーブルトレイの両側の側面部の上下を挟み込んで固定するように構成され、前記下面フレームと前記押えフレームとの間に前記下面フレームの位置を基準として前記ケーブルトレイの下面に前記押えフレームをばね力により押し付ける押付け手段を備え、
前記上押え部材は、上面フレームと前記ケーブル押え部材としてのケーブル押え板を備え、
前記上面フレームの両端は、前記下押え部材の上部端部に連結され、
前記ケーブル押え板は、前記上面フレームの位置を基準として上下位置調節可能に前記上面フレームに取り付けられ、ばね力により前記ケーブルトレイに収容されたケーブルを加圧するように構成されているケーブルトレイ防火装置。 - 請求項4に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記下押え部材は、側面フレームを備え、
前記側面フレームは、下端側が前記下面フレームの端部に固定され、上端側に前記ケーブルトレイの上端を押える上下位置調節可能な固定部が設けられ、前記固定部と前記押付け手段との間で前記ケーブルトレイの側面部の上下を挟み込むように構成されたケーブルトレイ防火装置。 - 請求項4または5に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記上面フレームは、前記下押え部材の上部端部の位置を基準として上下位置調節可能に前記下押え部材の上部端部に取り付けられているケーブルトレイ防火装置。 - 請求項4〜6の何れか一項に記載のケーブルトレイ防火装置において、
前記ケーブル押え部材は、複数のケーブル押え板を備え、前記複数のケーブル押え板は、それぞれ前記上面フレームの位置を基準として独立して上下位置調節可能に前記上面フレームに取り付けられているケーブルトレイ防火装置。 - ケーブルを収容したケーブルトレイの防火施工を行うケーブルトレイ防火施工方法において、
前記ケーブルを収容したケーブルトレイに防炎シートを巻き、
前記防炎シートを巻いた前記ケーブルトレイに、請求項1〜7の何れか一項に記載のケーブルトレイ防火装置を、間隔を置いて複数装着することを特徴とするケーブルトレイ防火施工方法。 - 請求項8に記載のケーブルトレイ防火施工方法において、
請求項2または3に記載のケーブルトレイ防火装置と、請求項4〜7の何れかに記載のケーブルトレイ防火装置を用意し、
前記ケーブルトレイへの前記ケーブルの収容状態に応じて、請求項2または3に記載のケーブルトレイ防火装置と請求項4〜7の何れかに記載のケーブルトレイ防火装置を使い分けるようするケーブルトレイ防火施工方法。 - 請求項9に記載のケーブルトレイ防火施工方法において、
前記ケーブルトレイ内の上方に大きなスペースが生じているケーブルトレイには請求項2または3に記載のケーブルトレイ防火装置を適用し、
前記ケーブルトレイに上面を超えるケーブルが収容されているケーブルトレイには請求項4〜7の何れかに記載のケーブルトレイ防火装置を適用するケーブルトレイ防火施工方法。
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