JP2021055851A - 熱輸送システム - Google Patents

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宮崎 芳郎
Yoshiro Miyazaki
芳郎 宮崎
真司 尾崎
Shinji Ozaki
真司 尾崎
森 順一
Junichi Mori
順一 森
英之 福家
Hideyuki Fukya
英之 福家
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Abstract

【課題】封入された作動流体の移動を安定化させる。【解決手段】作動流体を用いて熱を輸送する熱輸送システム1に、外部から熱が伝達される加熱部10と、外部に熱を伝達する冷却部11と、内封された作動流体が循環する環状流路2とを設ける。また、環状流路2に、作動流体が循環するときに、加熱部10から冷却部11に向けて流れる蒸気下降流路20と、作動流体が循環するときに、冷却部11から加熱部10に向けて流れる液上昇流路21とを設ける。さらに、熱輸送システム1に、蒸気下降流路20と液上昇流路21との間で熱交換する熱交換部4を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導体に内封された作動流体によって熱を輸送する熱輸送システムの技術に関する。
従来より、内部に作動流体を封入したパイプ(金属などの熱伝導性に優れた物質で構成される。)を用いた熱輸送システムが、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2008−298342号公報
ところが、熱伝導体における流路を環状に形成しただけでは、設計どおりに作業流体が循環しないという問題があった。特に、外部から熱が伝達される加熱部を、外部に熱を伝達する冷却部よりも高い位置に配置して動作させる場合(いわゆる「トップヒート」の場合)に、動作が安定しないという問題があった。すなわち、特許文献1に記載されている技術では、作動流体の動きが不安定になるという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱伝導体内に封入された作動流体の動きを安定化させることを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、作動流体を用いて熱を輸送する熱輸送システムであって、外部から熱が伝達される加熱部と、外部に熱を伝達する冷却部と、内封された前記作動流体が循環する環状の流路とを備え、前記環状の流路は、前記作動流体が循環するときに、前記加熱部から前記冷却部に向けて流れる第1流路と、前記作動流体が循環するときに、前記冷却部から前記加熱部に向けて流れる第2流路とを備え、前記第1流路と前記第2流路との間で熱交換する熱交換部をさらに備える。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱輸送システムであって、前記熱交換部は、前記第1流路と前記第2流路とを熱的に結合する熱伝導部材を備える。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る熱輸送システムであって、前記環状の流路における前記作動流体の移動方向を一方向に規定する逆止弁を備える。
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る熱輸送システムであって、少なくとも前記熱交換部による熱交換が行われている部分以外の部分において、前記第1流路または前記第2流路のうちの少なくとも一方を断熱する断熱部をさらに備える。
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係る熱輸送システムであって、前記加熱部は前記冷却部よりも高い位置に配置されている。
請求項1ないし5の発明は、熱輸送システムであって、外部から熱が伝達される加熱部と、外部に熱を伝達する冷却部と、内封された作動流体が循環する環状の流路とを備え、当該環状の流路は、作動流体が循環するときに、加熱部から冷却部に向けて流れる第1流路と、作動流体が循環するときに、冷却部から加熱部に向けて流れる第2流路とを備え、第1流路と第2流路との間で熱交換する熱交換部をさらに備える。これにより、安定的に動作させることができる。
熱輸送システムを示す図である。 逆止弁の断面図である。 比較システムにおける作動流体の蒸気と液の温度変化を示す図である。 比較システムにおける作動流体の蒸気圧の変化を示す図である。 比較システムにおいて100Wで加熱しているときの蒸気温度、液温度および蒸気圧を示す図である。 熱輸送システムにおける作動流体の蒸気と液の温度変化を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。ただし、以下の説明において特に断らない限り、方向や向きに関する記述、図示されたサイズや比率などは、当該説明の便宜上、図面に対応するものであり、例えば実施品、製品または権利範囲等を限定するものではない。
図1は、熱輸送システム1を示す図である。
なお、図1は、熱輸送システム1の設置姿勢(動作するときの姿勢)を例示するものである。ただし、熱輸送システム1の姿勢は、図1に示す姿勢に限定されるものではない。以下の説明においても同様である。
また、図1に示すX軸およびY軸は水平面に平行な軸であり、Z軸は鉛直方向を示す。さらに、重力は(−Z)方向に働くものとする。以下の図においても同様である。
また、図示を省略するが、熱輸送システム1には、作動流体(難凝縮性ガスや各種の液体など、流路内で移動することが可能な物質)が内封されている。
さらに、詳細は後述するが、熱輸送システム1では、動作時の作動流体の移動方向は、それぞれの位置において一方向に規定される。この作動流体の移動方向を、以下の説明では、「規制方向」と称する。
熱輸送システム1は、環状流路2、加熱部10、冷却部11、断熱部12、逆止弁30,31,32および熱交換部4を備える。熱輸送システム1は、作動流体の移動によって、熱を加熱部10から冷却部11に向けて輸送する。
環状流路2は、蒸気下降流路20と、液上昇流路21と、第1曲流路22と、第2曲流路23と、外周流路24とを備えている。
環状流路2を構成する蒸気下降流路20、液上昇流路21、第1曲流路22、第2曲流路23、および、外周流路24は、熱伝導性に優れた金属製(例えば、銅やステンレス、あるいはアルミニウムなどが想定される。)の管である。ただし、素材は、金属に限定されるものではなく、例えば、樹脂などであってもよい。また、これらの構成は、異なる素材で構成されていてもよい。
蒸気下降流路20、液上昇流路21、第1曲流路22、第2曲流路23、および、外周流路24は、いずれも断面形状が円の管で構成されており、作動流体を内封する空間が形成されている。そして、当該空間は、作動流体が移動するための通り道(流路)となっている。
蒸気下降流路20は、規制方向において、作動流体が加熱部10から冷却部11に向けて流れる流路(第1流路)を構成している。すなわち、蒸気下降流路20は、作動流体の主に蒸気を、冷却部11に向けて輸送するための配管となる。
液上昇流路21は、規制方向において、作動流体が冷却部11から加熱部10に向けて流れる流路(第2流路)を構成している。すなわち、液上昇流路21は、作動流体の主に液体を、加熱部10に向けて輸送するための配管となる。
なお、図1には、12本の蒸気下降流路20と、12本の液上昇流路21とを図示している。すなわち、熱輸送システム1における環状流路2のターン数は「12」であるが、ターン数はこれに限定されるものではない。
第1曲流路22および第2曲流路23は、いずれも蒸気下降流路20と液上昇流路21とを連通接続するためのU字状の曲管である。第1曲流路22は、(+Z)側において、蒸気下降流路20と液上昇流路21とを連通接続する。第2曲流路23は、(−Z)側において、蒸気下降流路20と液上昇流路21とを連通接続する。これによって、作動流体の流路は、(+Z)側および(−Z)側のいずれにおいても、180°折り返される。したがって、熱輸送システム1では、環状流路2の一部が蛇行状の流路を形成している。
外周流路24は、最も(−X)側に配置される液上昇流路21の(−Z)側の端部に連通接続されるとともに、最も(+X)側に配置される蒸気下降流路20の(−Z)側の端部に連通接続される。すなわち、外周流路24は、蛇行状の流路の両端部を連通接続する。このように、蛇行状の流路と外周流路24とが連通接続されることにより、作動流体が循環する環状の流路(環状流路2)が形成される。
加熱部10は、環状流路2のうち、(+Z)側に配置される部分によって構成されている。熱輸送システム1では、第1曲流路22が加熱部10を構成している。なお、図1では、第1曲流路22の(+Z)側の一部が加熱部10に含まれていないが、第1曲流路22の全部を加熱部10に含めてもよい。
加熱部10は、図示しない外部の熱源との間で熱交換が可能であり、外部の熱源から熱が伝達される。外部の熱源と加熱部10との間の熱交換は、加熱部10を直接熱源に接触させた状態で行われてもよいし、空気や他の熱伝導体を介して行われてもよい。
冷却部11は、環状流路2のうち、(−Z)側に配置される部分によって構成されている。熱輸送システム1では、第2曲流路23が冷却部11を構成している。なお、図1では、第2曲流路23の(−Z)側の一部が冷却部11に含まれていないが、第2曲流路23の全部を冷却部11に含めてもよい。冷却部11は、外部との間で熱交換が可能であり、外部に熱が伝達される。外部と冷却部11との間の熱交換は、図示しない水を介して行われる。すなわち、熱輸送システム1の冷却部11は水冷式である。ただし、水冷式に限定されるものでなく、空気や他の冷媒を用いてもよい。
図1に示すように、熱輸送システム1では、加熱部10が(+Z)側に配置され、冷却部11が(−Z)側に配置される。すなわち、熱輸送システム1の加熱部10は冷却部11よりも高い位置に配置されている。これにより、熱輸送システム1は、いわゆるトップヒートと呼ばれる状態で動作するように設置されている。
断熱部12は、熱伝導性が低い素材で構成される部材である。断熱部12は、環状流路2の一部分(図1に示す部分)を覆っており、当該部分において、環状流路2と外部との熱交換を抑制する。断熱部12は、少なくとも熱交換部4による熱交換が行われている部分以外の部分において、蒸気下降流路20または液上昇流路21のうちの少なくとも一方を断熱する。
ただし、ここに示す例における断熱部12は、蒸気下降流路20および液上昇流路21の両方を覆っており、蒸気下降流路20からの放熱と、液上昇流路21への伝熱の両方を抑制する。また、断熱部12は、外部と熱輸送システム1との間の熱交換を抑制するだけでなく、蒸気下降流路20から液上昇流路21への熱の伝達も抑制する。すなわち、詳細は図示していないが、本実施の形態における断熱部12は、蒸気下降流路20および液上昇流路21を、それぞれ個別に覆って断熱している。
環状流路2では、図1に示すように、加熱部10と冷却部11との間において、蒸気下降流路20および液上昇流路21は互いに離間している。しかし、地上には大気が存在し、大気が熱伝導性を有している。したがって、加熱部10と冷却部11との間において、大気中だけでなく、蒸気下降流路20と液上昇流路21との間でも大気を介して熱交換が行われてしまう。小型化等によって、蒸気下降流路20と液上昇流路21とが近接する場合には、当該熱交換も無視できなくなる。断熱部12は、これらの熱交換を抑制するために設けられる。
蒸気下降流路20と液上昇流路21との間で熱交換が行われると、蒸気の熱が冷却部11まで輸送されることなく、液上昇流路21を介して加熱部10に還流する。すなわち、作動流体による熱輸送効率が低下する。しかし、断熱部12は、蒸気下降流路20と液上昇流路21との間の熱交換を抑制するため、熱輸送効率が向上する。
また、装置レイアウトなどによっては、冷却部11以外の場所での熱の発生を抑制したい場合があり得る。あるいは、冷却部11において熱を有効利用する場合などにおいては、熱が冷却部11に届かず、途中で失われると有効利用の効果が低下する。すなわち、断熱部12を設けることにより、熱の輸送を制御することができる。
なお、例えば、宇宙空間のように空間中に熱伝導性の物質が乏しい状況では、特に断熱部材を設けなくても、蒸気下降流路20と液上昇流路21とを離間して配置するだけで断熱部12を構成することができる。逆に、完全な断熱性を備えた部材は困難であり、断熱部12を蒸気下降流路20と液上昇流路21とを接続する部材で構成すれば、宇宙空間などでは逆に熱交換を促進することにもなりかねない。すなわち、断熱部12は、必ず何らかの部材で形成されなければならないものではなく、周囲の環境によっては、環状流路2の配管形状(例えば、蒸気下降流路20と液上昇流路21とを互いに離間させただけの形状)によって達成することもできる。
逆止弁30は、環状流路2に設置される。
図2は、逆止弁30の断面図である。なお、逆止弁31,32は、逆止弁30と同一の構造を適宜採用可能である。したがって、以下の説明では、主に逆止弁30について説明し、逆止弁31,32については、適宜説明を省略する場合がある。ただし、逆止弁30,31,32は、必ず同一の構造でなくてもよい。
逆止弁30は、一体的な構造物を形成する筐体300、弁座301およびストッパー302を備えている。また、逆止弁30は、移動可能な球状の弁体303を備えている。
筐体300の内部は空洞となっており、制御流路304を形成している。制御流路304は、作動流体を(+Z)方向に導く機能を有している。
弁座301は、弁体303に当接することによって、弁体303の(−Z)方向への終点を規定する。また、弁座301に弁体303が当接する(嵌り込む)と、制御流路304が弁体303によって遮断される。
すなわち、作動流体が(−Z)方向に移動すると、弁体303が作動流体によって(−Z)方向に移動し、弁座301に当接して制御流路304を遮断する。したがって、逆止弁30は、作動流体の(−Z)方向への移動を禁止する機能を有する。
ストッパー302は、制御流路304内に固設された部材である。ストッパー302は、弁体303に当接することによって、弁体303の(+Z)方向への終点を規定する。すなわち、ストッパー302は、弁体303が制御流路304から外部に出て行かないように止めておく機能を有する。ただし、弁体303がストッパー302に当接した状態でも、制御流路304は遮断されない(ストッパー302によって2つに分けられた制御流路304の両方を同時に塞ぐことはできない。)。
これにより、作動流体が(+Z)方向に移動すると、弁体303が作動流体によって(+Z)方向に移動し、ストッパー302に当接して停止する。しかし、制御流路304は遮断されることはないので、作動流体の移動は停止しない。このように、逆止弁30は、作動流体の(+Z)方向への移動を禁止することはない。
すなわち、逆止弁30は、作動流体の移動方向を一方向(弁座301からストッパー302に向かう方向)に規定する。
このように、熱輸送システム1は、環状流路2における作動流体の移動方向を一方向に規定する逆止弁30,31,32を備える。したがって、逆止弁30,31,32の位置および向きによって作動流体の移動方向をコントロールできる。したがって、作動流体の移動(循環移動)をさらに安定化させることができる。
逆止弁30は、液上昇流路21の(+Z)側に設けられる。また、逆止弁30の向きは、すでに図2に示すように、作動流体を(+Z)方向に規定する向きである。すなわち、逆止弁30は、液上昇流路21から加熱部10への入口付近に設置されており、加熱部10で発生する蒸気圧による作動流体の逆流を防止する。
逆止弁31は、液上昇流路21の(−Z)側に設けられる。また、逆止弁31の向きは、逆止弁30と同様に作動流体を(+Z)方向に規制する向きである。すなわち、逆止弁31は、冷却部11から液上昇流路21への出口付近に設置されており、重力による液(作動流体の液相)の逆流を防止する。
逆止弁32は、外周流路24内に設けられる。また、逆止弁32の向きは、作動流体を(−X)方向に規制する向きである。すなわち、逆止弁32は、蛇行状の流路の両端部を連結する外周流路24内に設置されており、蛇行状の流路の両端部における逆流を防止する。
熱交換部4は、伝熱板40を備えている。伝熱板40は、熱伝導性に優れた金属製(例えば、銅やステンレス、あるいはアルミニウムなどが想定される。)の熱伝導部材である。ただし、伝熱板40の素材は、金属に限定されるものではなく、例えば、樹脂などであってもよい。伝熱板40は、蒸気下降流路20および液上昇流路21とに接触しており、蒸気下降流路20と液上昇流路21とを熱的に結合する。
このように、伝熱板40を備えることにより、熱交換部4は、第1流路(蒸気下降流路20)と第2流路(液上昇流路21)との間で熱交換する機能を有している。なお、図1では省略しているが、熱輸送システム1では、伝熱板40が逆止弁30と重なる部分については、伝熱板40に窓を設けてある。
以上が熱輸送システム1の構造および機能についての説明である。次に、熱輸送システム1の効果を示すための実験結果について説明する。
実験では、熱輸送システム1の熱交換部4(伝熱板40)を取り除いて、伝熱板40で覆われていた流路部分も断熱部とした比較システムを作成した。この比較システムでは、X軸方向のサイズは230mm、加熱部および冷却部のZ軸方向のサイズはいずれも100mm、断熱部のZ軸方向のサイズは700mmである。また、環状流路の内径は、1mmとした。
さらに、作動流体の封入率は0.8としている。自励振動式ヒートパイプにおいて、作動流体の封入率は、通常、0.5程度とされる。しかし、熱輸送システム1をトップヒートの状態で動作させる場合、0.6以下では起動せず、0.7〜0.9程度で安定して動作し、0.8程度が最適であると発明者達の実験により明らかになった。なお、封入率とは、環状流路2の容積に対する作動流体の液相の体積である。
この比較システムの加熱部を、50Wで加熱を開始し、30分後と、50分後とにおいて、それぞれ50Wずつ加える熱量を増加させる実験を行った。
図3は、比較システムにおける作動流体の蒸気と液の温度変化を示す図である。図4は、比較システムにおける作動流体の蒸気圧の変化を示す図である。
50Wの加熱で起動した後、50Wの加熱状態を継続すると、蒸気温度、液温度および蒸気圧は、いずれも大きな変化を繰り返す。すなわち、起動直後には、比較システムの状態は安定しない。この期間、作動流体の蒸気の冷却部への到達は、液により阻害されており、循環する作動流体の量が少ないと考えられる。
しかし、起動後20分を過ぎる頃には、加熱が継続しているにもかかわらず、蒸気温度、液温度および蒸気圧は、いずれも安定し、高い熱輸送性能が伺える。このとき、蒸気温度はおよそ40℃であり、液温度はおよそ20℃である。
実験を開始してから30分経過したときに、加熱部への加熱を100Wに上昇させるが、蒸気温度、液温度および蒸気圧は、いずれもわずかに上昇しただけで安定していることがわかる。
図5は、比較システムにおいて100Wで加熱しているときの蒸気温度、液温度および蒸気圧を示す図である。図5では、図2および図3に比べて、短いタイムスケールで、一部期間のみ表示している。
図5によれば、比較システムが安定して動作しているときには、蒸気温度が上昇して液温度が低下する過程と、蒸気温度が低下して液温度が上昇する過程が交互に現れることがわかる。
蒸気温度が上昇して液温度が低下する過程では、規制方向とは逆方向の圧力であるため、逆止弁は閉じている。そして、この間、加熱部での蒸発と冷却部の凝縮による作動流体の流れが蒸気下降流路で起こっているものと思われる。一方、蒸気温度が低下して液温度が上昇する過程では、規制方向の圧力が発生しており、逆止弁は開いている。そして、作動流体の液が、重力に抗して液上昇流路を流れ、加熱部に流入すると考えられる。
しかし、実験を開始してから50分経過したときに、加熱部への加熱を150Wに上昇させると、蒸気温度、液温度および蒸気圧は、しばらくしてオーバーシュートを起こすことがわかる。これは、加熱部においてドライアウトが発生し、それ以上、作動流体による熱輸送が不可能な状態になったことを意味する。逆に言えば、熱交換部を備えていない比較システムは、加熱される熱量が100Wの状況までにしか適用できないシステムであることがわかる。なお、実験では、オーバーシュートが起きたときに、速やかに、加熱部への加熱を停止した。
比較システムをトップヒートの状態に配置すると、液上昇流路に作動流体の液柱が形成される。そして、作動流体の液注には重力が働く。比較システムのように加熱部と冷却部との距離が大きい場合(加熱部と冷却部とが大きく離間している場合)、作動流体の液注の高さは増大し、当該液注にかかる重力の影響も大きくなる。すなわち、作動流体の液は、重力によって、加熱部への帰還を妨げられる。このような状況では、作動流体の脈動(逆止弁によって流れは脈動流となる。)は抑制されると考えられる。
図6は、熱輸送システム1における作動流体の蒸気と液の温度変化を示す図である。
なお、熱輸送システム1において、X軸方向のサイズは230mm、加熱部10および冷却部11のZ軸方向のサイズは100mm、熱交換部4のZ軸方向のサイズは200mm、断熱部12のZ軸方向のサイズは500mmである。また、環状流路の内径は1mm、作動流体の封入率は0.8としている。
比較システムでは、起動直後には、蒸気温度、液温度および蒸気圧において、いずれもが大きな変化を繰り返し、安定しなかった。しかし、図6を見れば、熱輸送システム1は、起動後にも速やかに安定状態に移行している。図6に示す例では、10分後くらいには、すでに安定状態になっている。このように、熱輸送システム1は、熱交換部4を備えることにより、起動が安定する。
また、熱輸送システム1は、150Wで加熱しても、オーバーシュートが起きていない。すなわち、熱交換部4を備えることにより、熱輸送システム1は、比較システムに比べて、大きな熱量が加えられる状況であっても、安定的に動作しつづけることができる。
以上のように、作動流体を用いて熱を輸送する熱輸送システム1は、外部から熱が伝達される加熱部10と、外部に熱を伝達する冷却部11と、内封された作動流体が循環する環状流路2とを備え、環状流路2は、作動流体が循環するときに、加熱部10から冷却部11に向けて流れる蒸気下降流路20と、作動流体が循環するときに、冷却部11から加熱部10に向けて流れる液上昇流路21とを備え、蒸気下降流路と液上昇流路との間で熱交換する熱交換部4をさらに備えることにより、起動が安定するとともに、ドライアウトを抑制することができるため、安定的に動作させることができる。
また、環状流路2における作動流体の移動方向を一方向に規定する逆止弁30,31,32を備えることにより、意図した向きの循環流を安定して生じさせることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明してきたが、上記好適な実施の形態は本質的に例示であって、本発明は上記好適な実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、逆止弁30,31,32の構造は、従来より、様々な構造が提案されており、熱輸送システム1においても、それらを適宜採用することができる。すなわち、逆止弁30,31,32の構造(形状)は、図2に示す例に限定されるものではない。
また、逆止弁30,31,32の数や位置などは、あくまでも例示であって、上記実施の形態に限定されるものではない。
1 熱輸送システム
10 加熱部
11 冷却部
12 断熱部
2 環状流路
20 蒸気下降流路
21 液上昇流路
22 第1曲流路
23 第2曲流路
24 外周流路
30,31,32 逆止弁
300 筐体
301 弁座
302 ストッパー
303 弁体
304 制御流路
4 熱交換部
40 伝熱板

Claims (5)

  1. 作動流体を用いて熱を輸送する熱輸送システムであって、
    外部から熱が伝達される加熱部と、
    外部に熱を伝達する冷却部と、
    内封された前記作動流体が循環する環状の流路と、
    を備え、
    前記環状の流路は、
    前記作動流体が循環するときに、前記加熱部から前記冷却部に向けて流れる第1流路と、
    前記作動流体が循環するときに、前記冷却部から前記加熱部に向けて流れる第2流路と、
    を備え、
    前記第1流路と前記第2流路との間で熱交換する熱交換部をさらに備える熱輸送システム。
  2. 請求項1に記載の熱輸送システムであって、
    前記熱交換部は、前記第1流路と前記第2流路とを熱的に結合する熱伝導部材を備える熱輸送システム。
  3. 請求項1または2に記載の熱輸送システムであって、
    前記環状の流路における前記作動流体の移動方向を一方向に規定する逆止弁を備える熱輸送システム。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の熱輸送システムであって、
    少なくとも前記熱交換部による熱交換が行われている部分以外の部分において、
    前記第1流路または前記第2流路のうちの少なくとも一方を断熱する断熱部をさらに備える熱輸送システム。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の熱輸送システムであって、
    前記加熱部は前記冷却部よりも高い位置に配置されている熱輸送システム。
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