JP2021055231A - 偏心芯鞘複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は従来技術の課題を克服し、マイルドな光沢を保持する布帛を提供できる繊維素材に関するものである。【解決手段】 芯成分が鞘成分で完全に覆われている偏心芯鞘型構造の複合繊維において、芯部に無機粒子を0.10〜10質量%含有し、鞘部に無機粒子を0.050〜1.0質量%含有し、かつ鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.0〜70であり、光沢度が2.0〜10である偏心芯鞘複合繊維。【選択図】図1
Description
本発明は、防透け性、光沢、捲縮性に優れた偏心芯鞘複合繊維に関する。詳しくは、芯部と鞘部の無機粒子の含有量および配合バランスを規定することにより、均一で優れた捲縮性が得られ、防透け性、マイルドな光沢に優れた布帛特性を提供できる偏心芯鞘複合繊維に関する。
熱可塑性ポリマーを用いた繊維の用途が多様化するに伴い、その要求特性も多様なものになってきている。特に近年においては着用時の束縛感の抑制や動作の追従性が求められるようになり、はじめにストレッチ性能に関する要求が高く、更なる機能追加として、審美性、風合い、軽量性、嵩高性、発色性等の複合的な機能が要求されている。最近では、ストレッチ性に加えて、防透け性やマイルドな光沢が好まれている。
布帛を構成する原糸にストレッチを付与する方法もこれまでに種々提案され、サイドバイサイド複合を利用した捲縮発現性繊維が種々提案されている。例えば、粘度差のある2成分のポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いれば、熱処理後に繊維が高収縮成分側に大きく湾曲することになるため、これが連続することで3次元的なスパイラル構造をとる。しかしながら、貼り合わせ構造であることから、摩擦や衝撃によって界面に剥離が生じ、部分的に白い筋状の白化現象や毛羽立ちなどで布帛品位が低下する課題がある。
このため、ストレッチ性を阻害しない芯鞘型、海島型など様々な複合断面構造が提案されている。例えば、特許文献1には、一方がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を主体とするポリエステルであり、他方がポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステルであって、該2成分が繊維長さ方向に沿ってサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合された繊維から構成される捲縮発現性を有するポリエステル複合糸が提案されている。
特許文献2には、海島型複合繊維であって、島の配置など特定の断面形状を満足することを特徴とする捲縮性を有する芳香族ポリエステル系複合繊維が提案されている。
特許文献3には、2種のポリマーからなる複合繊維の横断面において、A成分がB成分で完全に覆われており、A成分(芯)を覆っているB成分(鞘)の最小厚み部Sと繊維径Dの比S/Dが0.01〜0.1であり、かつ最小厚み部Sより厚みが1.05倍以内の部分の繊維の周囲長が繊維全体の周囲長の1/3以上であることを特徴とする偏心芯鞘複合繊維が提案されている。
しかしながら、特許文献1記載の偏心芯鞘複合技術には、酸化チタン含有量の比(芯/鞘)は1.0と芯鞘同量であり、芯と鞘での粒子の配合バランスの制御は全くされておらず、マイルドな光沢や防透け性は不十分である。
特許文献2記載の複合繊維は、酸化チタンを島より海に多く含有させる例(実施例18、19、20)と、それとは逆に島の方に酸化チタンを多く含有させる例(実施例16)が開示されている。島の方に酸化チタンを多く含有させる例では、粒子含有量の比(芯/鞘)が6.0であり、海成分を透過した光が島成分で外側に反射されやすく、島と海間の内部反射、島の内部吸収が弱くなり、テカリのある光沢となり、要求されるマイルドな光沢とはならず光沢性に劣る。
特許文献3記載の偏心芯鞘複合繊維は、酸化チタンを含有していないため、繊維表面で光が多く反射され、テカリのある光沢となり、要求されるマイルドな光沢とはならず光沢性に劣る。
本発明は、従来技術の課題を解決し、芯部・鞘部の無機粒子含有量およびその配合バランスを規定することにより、捲縮性が均一な、かつ防透け性、マイルドな光沢に優れた布帛特性を提供できる複合繊維の提供を目的とする。
かかる課題は、下記の構成によって解決できる。
芯成分が鞘成分で完全に覆われている偏心芯鞘型構造の複合繊維において、芯部に無機粒子を0.10〜10質量%含有し、鞘部に無機粒子を0.050〜1.0質量%含有し、かつ無機粒子の鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.0〜70であり、光沢度が2.0〜10である偏心芯鞘複合繊維
本発明によると、均一な捲縮性と防透け性、マイルドな光沢に優れた布帛特性を提供できる偏心芯鞘複合繊維を提供することができる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、2種のポリマーが接合してなる複合断面を有している。2種のポリマーが実質的に分離せず接合された状態で存在し、鞘成分が芯成分を完全に覆っている偏心芯鞘型である。
ここで、本発明で言う偏心とは、複合繊維断面において芯成分ポリマーの重心位置が複合繊維断面中心と異なっていることを指し、図1を用いて説明する。
図1において、水平ハンチングが鞘成分(B成分)であり、30degハンチング(右上がり斜線)が芯成分(A成分)であって、複合繊維断面における芯成分の重心が重心aであり、複合繊維断面の中心が重心Cである。本発明は重心aと複合繊維断面の重心Cが離れていることが重要であり、これにより熱処理後に繊維が一方成分側に大きく湾曲することになる。このため、複合繊維が繊維軸方向に湾曲し続けることにより、3次元的なスパイラル構造をとり、良好な捲縮発現することになる。重心位置が離れているほどより良好な捲縮が発現し、良好なストレッチ性能が得られる。
本発明は、鞘成分が芯成分を完全に覆うことにより、繊維や布帛に、摩擦や衝撃が加わっても白化現象や毛羽立ちなどが生じることがないので布帛品位を保つことができる。加えて、従来の単純貼り合わせ構造サイドバイサイドでは表面露出して複合繊維の欠点となる高分子量ポリマーや高弾性ポリマー等についても複合繊維の一方成分として用いることができる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、2種のポリマーから構成されている。ここで言うポリマーは、繊維形成性の熱可塑性重合体が用いられ、本発明の目的に鑑み、熱処理を施した際に収縮差を生じるポリマーの組み合わせが好適である。組み合わせるポリマーの固有粘度(IV)差が0.40以上となる分子量、または組成が異なるポリマーの組み合わせが好適である。
本発明の目的を達成するために好適なポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリマー組成が異なる組み合わせは、例えば、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートなどの種々の組み合わせが挙げられる。これらの組み合わせにおいては、スパイラル構造による良好な捲縮性を得ることができる。芯部がポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を99%以上含むポリエステルであり、鞘部がポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするポリエステルであることが、十分な捲縮発現力とストレッチ性能を得ることができ、より好ましい。
本発明の偏心芯鞘複合繊維における芯成分と鞘成分の繊維横断面における複合面積比率は、捲縮発現から鑑みると芯成分の比率を多くすることで微細なスパイラル構造を実現できる。また、偏心芯鞘複合繊維として優れた物理特性を有するため、複合面積比率は、芯成分:鞘成分=70:30〜30:70の範囲が好ましく、65:35〜45:55の範囲がより好ましい。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、芯部に無機粒子を0.10〜10質量%含有し、鞘部に無機粒子を0.050〜1.0質量%含有し、かつ鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が、7.0〜70である。
芯部に含有する無機粒子含有量が0.10質量%以上であると、太陽光の透過を抑制して遮光性および防透け性共に良好となる。また、芯部に含有する無機粒子含有量が10質量%より多いとマイルドな光沢は発現するものの、芯と鞘間の界面の接着性が低下して毛羽や高次加工時のガイドとの擦過で発生するスカムによる糸切れ、ドラムの形態不良が発生するため、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.30〜8.0質量%である。
鞘部に含有する無機粒子含有量が0.050質量%以上であると、繊維表面の反射が抑制され光沢性が良好となる。また、鞘部に含有する無機粒子含有量が1.0質量%以上であると太陽光を繊維表面で反射して白光りする光沢で好ましくない。また高次加工時に表面摩擦低下による交絡抜けを起因とする毛羽や糸切れが発生して品位を損なうため、1.0質量%以下が好ましい。より好ましくは0.10〜0.80質量%である。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、鞘部無機粒子含有量に対する芯部無機粒子含有量の比(芯/鞘)が7.0〜70である。鞘部含有量を少なめにすることで、太陽光を透過させつつ、内部で無機粒子による光反射・吸収する度合いをコントロールでき、マイルドな光沢が得られると共に、芯部含有量を多めにすることで、防透け性の高い繊維を得ることができる。7.0未満であると、鞘部含有量と芯部含有量差が小さく存在粒子が同量になると、太陽光の透過と内部の無機粒子による光の反射・吸収のバランスが悪く、マイルドな光沢、防透け性のどちらか一方、もしくは両方が得られない。70を超えると、芯部含有量が過多となり、内部の無機粒子による光の反射が鈍く、マイルドな光沢が得られない。より好ましくは7.0〜60である。
また、鞘部無機粒子含有量に対する芯部無機粒子含有量比(芯/鞘)が7.0以上であると、芯成分ポリマーと鞘成分のポリマーの比重差が拡大し、熱処理後に繊維が比重の重い芯成分ポリマー側に湾曲しやすくなり、均一な捲縮が得られる。特に、ポリマー組成が異なる組み合わせの場合、芯成分ポリマーと鞘成分ポリマーの収縮差に加えて比重差も加わり、より均一な3次元的なスパイラル構造が得られ、捲縮性が格段に向上する。
本発明の偏心芯鞘複合繊維に用いる無機粒子としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウムから選ばれる1種以上を好ましく用いることができる。鞘成分と芯成分で同じ種類の無機粒子を用いてもよいし、異なる種類の無機粒子を用いてもよい。これらの無機粒子は、太陽光線を吸収・乱反射することができる。
中でも酸化チタンは不透明性に優れ、かつ取扱性のし易さ、太陽光線に対する諸機能等の点でより好ましい。酸化チタンには皮膚に有害な紫外線を吸収・遮蔽、かつ暑さを感じる太陽光の可視および近赤外線領域を効率的に反射するため、日射エネルギーの吸収を抑え、衣服にしたときの衣服内の温度を抑える効果があるので特に好ましく用いることができる。なお、酸化チタンには結晶構造の異なるアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等があるが、いずれを用いても良い。より好ましくはアナターゼ型の酸化チタンである。アナターゼ型であることによって、繊維中での酸化チタンの分散性が良くなり、繊維に優れた光学的特性を与えることができる。
本願発明の偏心芯鞘複合繊維において、無機粒子が酸化チタンの場合、鞘部無機粒子含有量に対する芯部無機粒子含有量の比(芯/鞘)を7.0以上とすることと、光沢度を2.0〜10にすることで、防透け性とマイルドな光沢が相まって真珠のような高級感のある光沢が得られる。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、光沢度が2.0〜10である。光沢度の測定は、検尺機を使用し金属平板に張力20gで繊維を巻きつけ、後述の光沢度測定方法により測定した入射角・受光角が共に60度の光沢度である。光沢度の数値が高いほど光沢が強く、低いほど光沢が弱いことを示している。光沢度が2.0未満では光沢が不十分である。また、光沢度が10を超えると布帛にしたときに光沢感の不均一な部分(テカリ)が発生する。好ましくは光沢度が4.0〜10である。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、単糸繊度が0.10〜2.5dtexであることが好ましい。単糸繊度を0.10dtex以上とすると、3次元的なスパイラル構造の半径が大きくなるため、良好な捲縮が発現し良好なストレッチ性能が得られる。また、無機粒子含有量比(芯/鞘)による捲縮性への効果も最大化することができる。
次に、図2に示した繊維横断面を用いて複合形態を詳細に説明する。
ここで芯鞘複合繊維における鞘成分(B成分)の最薄部が最小厚みSである。図2で示す鞘成分の最小厚みSおよび複合繊維径Dは、以下のように求める。
偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントをエポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、A成分とB成分の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本の外接円径を測定した値が本発明で言う繊維径Dに相当する。ここで、10本以上の観察が不可能の場合は、他の繊維を含めて合計で10本以上を観察すればよい。ここで言う外接円径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径を意味する。
また、繊維径Dを測定した画像を用いて、10本以上の繊維について、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚みSに相当する。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、鞘部の最小厚みSと複合繊維径Dの比S/Dが0.01〜0.1であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.05である。この範囲であれば、毛羽等による布帛品位低下が抑制でき、十分な捲縮発現力とストレッチ性能を得ることができる。比S/Dを0.01〜0.1とすると、鞘成分が芯成分を完全に覆うことができ、捲縮時の剪断力に十分に耐えうることができ、捲縮の均一性の高い偏心芯鞘複合繊維となる。また紡糸時のポリマーの溶融粘度差の変化に十分対応できる為、安定した断面成形を行うことができ、品質が安定する。
本発明の偏心芯鞘複合繊維は、図3に示す鞘厚み1.05S以下の部分の繊維外周長Lが繊維全体の外周長の15〜60%であることが好ましい。より好ましくは、1.03S以下の部分の繊維外周長Lが繊維全体の外周長の30〜50%であると、捲縮の均一性を得るためにより好ましい。
本発明の偏心芯鞘複合繊維の伸縮伸長率Aは、33〜85%とすることが好ましい。これは捲縮の度合いを示す値であり、高ければ高いほどストレッチ性能が良好であることを示している。85%以下とすると繊維形態は嵩高く、仮撚り加工後と同等の捲縮となっており十分なストレッチ性能を有し、シボやスジの無い、形状安定性に優れた均一な布帛品位の良いなめらかで繊細な風合いものが得られる。33%以上とすると、衣料用途で使用した際に適度なストレッチ性を有し、布帛にした際に極端に縮むことがなくなり、形状安定性に優れたものとなる。より好ましくは35〜80%である。
本発明の偏心芯鞘複合繊維に用いられる無機粒子の粒度は、捲縮性、光沢度に大きく影響を及ぼす。特に無機粒子の体積平均粒子径が、捲縮性および光沢度に影響を及ぼしている。
鞘部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(D31)が0.080〜2.0μm、芯部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(D32)が0.020〜1.0μm、鞘部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(D31)を、芯部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(D32)よりも0.050μm以上大きくすることが、捲縮特性をより発揮させるため好ましい。さらに好ましくは、D31が0.15〜1.5μm、D32が0.040〜0.80μmである。(D31−D32)を0.10μm以上にすることがさらに好ましい。これは、鞘部での反射光量よりも芯部での反射光量を多くすることでマイルドな光沢を有するからである。
D31を0.080〜2.0μmとすることで、鞘部の光の反射量が少なくなり、光沢の均一性に優れ、布帛の品位が良好となる。D32を0.020〜1.0μmとすることで、自己凝集による分散不良が起きにくく、捲縮不良を起こしにくくなる。
無機粒子の分散は、通常、ポリエステルの重合時または重合直後、所定の量を投入・撹拌して、その後エクストルーダーで押出ながらチップ化されるか、もしくは溶融状態で紡糸される。この方法では、投入時の温度差が大きいため無機粒子は凝集を起こしやすい。一旦凝集すると通常の撹拌では、その凝集状態をくずすことができない。無機粒子を多く入れれば入れるほど、凝集する傾向が強いことがわかった。
無機粒子をポリマー中に均一分散させる方法としては、重合直後、所定の量を投入してポリマー溶融体を循環させる循環型分散、この場合、無機粒子を予め重合体と同程度の温度に温めておくのがより好ましい。また重合後、ポリマー溶融体の温度を下げてから、予めポリマー溶融体と同程度の温度に温めたものを用いてもかまわない
さらに所定量よりも多めの無機粒子を予め水(または、無機粒子表面の濡れ性を変えるための溶剤)で濡らしておき、オープンまたは加圧ニーダーで、水(または、無機粒子表面の濡れ性を変えるための溶剤)を分離しながら、ポリマーに分散させてゆく、いわゆるマスターバッチ法を適用することが好ましい。マスターバッチ法を用いる場合、無機粒子濃度の上限は40質量%程度にすることが良好な分散を得るために好ましい。
さらに所定量よりも多めの無機粒子を予め水(または、無機粒子表面の濡れ性を変えるための溶剤)で濡らしておき、オープンまたは加圧ニーダーで、水(または、無機粒子表面の濡れ性を変えるための溶剤)を分離しながら、ポリマーに分散させてゆく、いわゆるマスターバッチ法を適用することが好ましい。マスターバッチ法を用いる場合、無機粒子濃度の上限は40質量%程度にすることが良好な分散を得るために好ましい。
循環型の分散方法として、より具体的には、その液循環流路に抵抗板(バッフルプレート)や金網、フィルターなどの抵抗を設ける方法や、流路を部分的に絞る等により仕事率を与え分散させる方法があるが、設備の仕様変更の容易さや、メンテナンス性の観点から金網やフィルターが好ましい。金網やフィルターの種類、枚数、素材、目開きは特に限定されないが、効率よく仕事率を与える観点およびフィルター強度の観点から、目開きは30μm以下、好ましくは15μm以下である。これは、フィルターにより実質的に急激に流路が狭まることで、貯蔵槽での撹拌よりも、還流液に強力な剪断力を与えることができ、その結果十分な分散状態を達成できる。この循環型分散で十分ではあるが、無機粒子を予め重合体と同程度の温度に温めておく方法としては、噴流層、流動層を用いる方法が、無機粒子を均一に温めることができるので好ましい。
マスターバッチ法を適用する場合においては、無機粒子を水(または、無機粒子表面の濡れ性を変えるための溶剤)に濡らしたあと、メッシュ等で、軽く水切りをして固形分濃度を測定し、所定量よりも多めの無機粒子を投入する。マスターバッチ樹脂の溶融温度が100℃以上のときは、加圧ニ−ダーを用い、樹脂を溶融させながら、水分の蒸発を抑制しながら、無機粒子の表面の濡れ性を保ちつつ、樹脂に分散させてゆくことが重要である。樹脂に無機粒子が取り込まれ分散されると、水分は同時に樹脂から分離してくる。ニーダーの蓋を開け、分離した水分を棄てる。このあと、ニーダーの蓋を開けたまま、残りの水分を撹拌しながら飛ばすことで、無機粒子が均一に分散された高濃度のマスターバッチを得ることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明の偏心芯鞘複合繊維について具体的に説明する。実施例および比較例については、下記の評価を行った。
(1)固有粘度(IV)
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に、試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度、η0:o−クロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm3)、t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)、d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm3)。
25℃の温度の純度98%以上のo−クロロフェノール10mL中に、試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃の温度にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により求めた。この相対粘度ηrを用いて、次式により固有粘度(IV)を算出した。
ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
固有粘度(IV)=0.0242ηr+0.2634
ここで、η:ポリマー溶液の粘度、η0:o−クロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)、d:溶液の密度(g/cm3)、t0:o−クロロフェノールの落下時間(秒)、d0:o−クロロフェノールの密度(g/cm3)。
(2)繊度
枠周1.0mの検尺機を用いて100mのカセを作製し、下記式に従って繊度を測定した。
繊度(dtex)=100mのカセ重量(g)×100
単糸繊度(dtex)=繊度(dtex)/フィラメント数(本)。
枠周1.0mの検尺機を用いて100mのカセを作製し、下記式に従って繊度を測定した。
繊度(dtex)=100mのカセ重量(g)×100
単糸繊度(dtex)=繊度(dtex)/フィラメント数(本)。
(3)光沢度
検尺機を使用し金属平板に1dtexあたり張力が2.8gになるように繊維を100m巻きつけ、スガ試験機(株)製光沢度計UGV−5Dを用いて、入射角60°、受光角60°での光沢度を測定した。
検尺機を使用し金属平板に1dtexあたり張力が2.8gになるように繊維を100m巻きつけ、スガ試験機(株)製光沢度計UGV−5Dを用いて、入射角60°、受光角60°での光沢度を測定した。
(4)鞘部最小厚みSと複合繊維径Dの比S/D
偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントを、エポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、A成分(芯部)とB成分(鞘部)の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本の外接円径を測定した値が本発明で言う繊維径Dに相当する。ここで、10本以上の観察が不可能の場合は、他の繊維を含めて合計で10本以上を観察すれば良い。ここで言う外接円径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径を意味する。
偏心芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントを、エポキシ樹脂などの包埋剤にて包埋し、この横断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で10本以上の繊維が観察できる倍率として画像を撮影する。この際、金属染色を施すとポリマー間の染め差を利用して、A成分(芯部)とB成分(鞘部)の接合部のコントラストを明確にすることができる。撮影された各画像から同一画像内で無作為に抽出した10本の外接円径を測定した値が本発明で言う繊維径Dに相当する。ここで、10本以上の観察が不可能の場合は、他の繊維を含めて合計で10本以上を観察すれば良い。ここで言う外接円径とは、2次元的に撮影された画像から繊維軸に対して垂直方向の断面を切断面とし、この切断面に2点以上で最も多く外接する真円の径を意味する。
また繊維径Dを測定した画像を用いて、10本以上の繊維について、A成分を覆っているB成分の最小となる厚みを測定した値が、本発明で言う最小厚み部Sに相当する。さらには、これら繊維径Dと最小厚み部Sについては、単位をμmとして測定し、少数第3位以下を四捨五入する。以上の操作を撮影した10画像について、測定した値およびその比(S/D)の単純な数平均値を求める。
(5)伸縮伸長率A
JIS L1013(2018)8.11項C法(簡便法)に従い、伸縮伸長率Aを求めた。
JIS L1013(2018)8.11項C法(簡便法)に従い、伸縮伸長率Aを求めた。
(6)無機粒子径
無機粒子の粒度は、市販の無機粒子を日鉄鉱業社製エルボジェット分級機で分級し、HORIBA製粒子径測定装置(LA−950V2)で測定し、所望の粒度に調整した。繊維中における分散粒度および粒度分布は表5に示した通りである。この粒度・粒度分布は、10以上の繊維断面をSEMにて1000〜3000倍で観察し、凝集した部分1つの粒子径として測定し、粒子径測定数(ni)における最大粒子径(di)を求め、次式から得られた値を平均粒子径とした。
体積平均粒子径=Σnidi4/Σnidi3
個数平均粒子径=Σnidi/Σni
粒度分布=体積平均粒子径/個数平粒粒子径
ここで、粒子径測定数(ni)は200とした。
無機粒子の粒度は、市販の無機粒子を日鉄鉱業社製エルボジェット分級機で分級し、HORIBA製粒子径測定装置(LA−950V2)で測定し、所望の粒度に調整した。繊維中における分散粒度および粒度分布は表5に示した通りである。この粒度・粒度分布は、10以上の繊維断面をSEMにて1000〜3000倍で観察し、凝集した部分1つの粒子径として測定し、粒子径測定数(ni)における最大粒子径(di)を求め、次式から得られた値を平均粒子径とした。
体積平均粒子径=Σnidi4/Σnidi3
個数平均粒子径=Σnidi/Σni
粒度分布=体積平均粒子径/個数平粒粒子径
ここで、粒子径測定数(ni)は200とした。
(7)強度、伸度
JIS L1013(2010、化学繊維フィラメント糸試験方法)に従い測定した。
JIS L1013(2010、化学繊維フィラメント糸試験方法)に従い測定した。
(8)製品風合い評価方法
偏心芯鞘複合繊維で10×10cm2の筒編みを作製して、酸化チタンを0.30質量%含むポリエチレンテレフタレート繊維を基準とし、光沢感、防透け性について、それぞれ熟練者5名による官能評価で4段階判定法で評価した。判定基準としては3名以上が同じ評価した結果を記載した。◎○は合格、△×は不合格とした。
偏心芯鞘複合繊維で10×10cm2の筒編みを作製して、酸化チタンを0.30質量%含むポリエチレンテレフタレート繊維を基準とし、光沢感、防透け性について、それぞれ熟練者5名による官能評価で4段階判定法で評価した。判定基準としては3名以上が同じ評価した結果を記載した。◎○は合格、△×は不合格とした。
[実施例1]
芯成分としてIV1.05、酸化チタン2.2質量%含むポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、鞘成分としてIV0.504、酸化チタン0.30質量%含むポリエチレンテレフタレート(PET)とし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.3となるようにマスターバッチ法により分散させた。芯成分のポリマーと鞘成分のポリマーをいずれもエクストルーダーを用いてそれぞれ芯成分250℃、鞘成分280℃で溶融後、ポンプによる計量を行い、紡糸温度を290℃として、温度を保持したまま口金に流入させた。芯成分と鞘成分の面積複合比は50/50とし、吐出孔数24の偏心芯鞘複合繊維用紡糸口金に流入させた。各ポリマーは、口金内部で合流し、鞘成分ポリマー中に芯成分ポリマーが包含された偏心芯鞘複合形態を形成し、口金から吐出した。口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、ワインダーにより紡糸速度1200m/minの速度で巻き取り、延伸温度70℃で伸度20〜40%程度となるように延伸倍率3倍で延伸した後、150℃で熱セットし、紡糸、延伸工程を通じて安定的に強度3.1cN/dtex、伸度33%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.5となった。
芯成分としてIV1.05、酸化チタン2.2質量%含むポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、鞘成分としてIV0.504、酸化チタン0.30質量%含むポリエチレンテレフタレート(PET)とし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.3となるようにマスターバッチ法により分散させた。芯成分のポリマーと鞘成分のポリマーをいずれもエクストルーダーを用いてそれぞれ芯成分250℃、鞘成分280℃で溶融後、ポンプによる計量を行い、紡糸温度を290℃として、温度を保持したまま口金に流入させた。芯成分と鞘成分の面積複合比は50/50とし、吐出孔数24の偏心芯鞘複合繊維用紡糸口金に流入させた。各ポリマーは、口金内部で合流し、鞘成分ポリマー中に芯成分ポリマーが包含された偏心芯鞘複合形態を形成し、口金から吐出した。口金から吐出された糸条は、空冷装置により冷却、油剤付与後、ワインダーにより紡糸速度1200m/minの速度で巻き取り、延伸温度70℃で伸度20〜40%程度となるように延伸倍率3倍で延伸した後、150℃で熱セットし、紡糸、延伸工程を通じて安定的に強度3.1cN/dtex、伸度33%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.5となった。
得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。繊維断面におけるS/Dは0.02であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の45%を占めていた。該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率Aが70%であり、繊維形態は嵩高く、仮撚り加工を施したごとくの捲縮となっており十分なストレッチ性能を有し、マイルドな光沢、防透性を有していた。
[実施例2]
芯成分として、IV1.04、酸化チタン6.0質量%含むPTT、鞘成分として、酸化チタン0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が60となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度28%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は2.0となった。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、IV1.04、酸化チタン6.0質量%含むPTT、鞘成分として、酸化チタン0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が60となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度28%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は2.0となった。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例3]
芯成分として、酸化チタン1.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.050質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が30となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度28%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は2.0となった。鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン1.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.050質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が30となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度28%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は2.0となった。鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例4]
芯成分として、酸化チタン1.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が15となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は4.0となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン1.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が15となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は4.0となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例5]
鞘成分として、IV0.504のPETとなるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.3cN/dtex、伸度33%の56dtex−72フィラメント(単糸繊度0.78dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は6.0となった。鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
鞘成分として、IV0.504のPETとなるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.3cN/dtex、伸度33%の56dtex−72フィラメント(単糸繊度0.78dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は6.0となった。鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例6]
芯成分として、IV1.09、酸化チタン8.0質量%含むポリブチレンテレフタレート(PBT)、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.80質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が10となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は8.0となった。繊維断面におけるS/Dは0.1であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の60%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、IV1.09、酸化チタン8.0質量%含むポリブチレンテレフタレート(PBT)、鞘成分として、IV0.505、酸化チタン0.80質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が10となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は8.0となった。繊維断面におけるS/Dは0.1であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の60%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例7]
芯成分として、IV1.20、酸化チタン0.70質量%含むPET、鞘成分として、IV0.503、酸化チタンを0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.2cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.5となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の15%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、IV1.20、酸化チタン0.70質量%含むPET、鞘成分として、IV0.503、酸化チタンを0.10質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.2cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.5となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の15%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例8]
面積複合比(芯/鞘)を60/40となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.3cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.8となった。繊維断面におけるS/Dは0.03であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の45%を占めていた。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
面積複合比(芯/鞘)を60/40となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.3cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は9.8となった。繊維断面におけるS/Dは0.03であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の45%を占めていた。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例9]
面積複合比(芯/鞘)を70/30となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.4cN/dtex、伸度29%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は10となった。繊維断面におけるS/Dは0.05であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の50%を占めていた。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
面積複合比(芯/鞘)を70/30となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.4cN/dtex、伸度29%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は10となった。繊維断面におけるS/Dは0.05であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の50%を占めていた。得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[実施例10〜13]
基本条件は実施例1と同様とし、表1に示すとおり無機粒子の組み合わせ、量と表2に示すとおりポリマー種の組み合わせを変更した。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
基本条件は実施例1と同様とし、表1に示すとおり無機粒子の組み合わせ、量と表2に示すとおりポリマー種の組み合わせを変更した。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
[比較例1]
芯成分として、酸化チタン0.30質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が1.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度40%の56dtex−12フィラメント(単糸繊度4.7dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は28となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン0.30質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.505のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が1.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度40%の56dtex−12フィラメント(単糸繊度4.7dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は28となった。繊維断面におけるS/Dは0.01であり、鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の40%を占めていた。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率Aが90%であり、繊維形態は嵩高く、仮撚り加工を施したごとくの捲縮となっており十分なストレッチ性能を有していたが、光沢が強くマイルドな光沢が得られず、防透性にも劣っていた。
[比較例2]
芯成分として、酸化チタン6.5質量%含むPTT、鞘成分として、酸化チタン0.050質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が130となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.1cN/dtex、伸度33%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は12となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン6.5質量%含むPTT、鞘成分として、酸化チタン0.050質量%含むPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が130となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.1cN/dtex、伸度33%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は12となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率Aが90%であり、繊維形態は嵩高く、仮撚り加工を施したごとくの捲縮となっており十分なストレッチ性能と防透け性を有していたが、光沢が強くマイルドな光沢が得られなかった。
[比較例3]
芯成分として、無機粒子を含まないPTT、鞘成分として、無機粒子を含まないPETとした。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3cN/dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は50となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維から10×10cm2の筒編みを作製して風合い評価を実施した。評価結果を表3に示す。
芯成分として、無機粒子を含まないPTT、鞘成分として、無機粒子を含まないPETとした。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度30%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3cN/dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は50となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維から10×10cm2の筒編みを作製して風合い評価を実施した。評価結果を表3に示す。
[比較例4]
芯成分として、酸化チタン1.0質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.506のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が3.3となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の36dtex−288フィラメント(単糸繊度0.13cN/dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は12となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維から10×10cm2の筒編みを作製して風合い評価を実施した。評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン1.0質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.506のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が3.3となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度3.0cN/dtex、伸度35%の36dtex−288フィラメント(単糸繊度0.13cN/dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は12となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維から10×10cm2の筒編みを作製して風合い評価を実施した。評価結果を表3に示す。
[比較例5]
芯成分として、酸化チタン6.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.500、無機粒子を含まないPETとした。その他条件は実施例1と同様とした。強度2.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は15となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、酸化チタン6.5質量%含むPTT、鞘成分として、IV0.500、無機粒子を含まないPETとした。その他条件は実施例1と同様とした。強度2.0cN/dtex、伸度35%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は15となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率Aが40%であり、捲縮に優れストレッチ性能を有していたが、光沢が強くテカテカした光沢となり、防透性にも劣っていた。
[比較例6]
芯成分として、IV1.04、無機粒子を含まないPTT、鞘成分として、IV0.505のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が3.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度2.0cN/dtex、伸度31%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は33となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
芯成分として、IV1.04、無機粒子を含まないPTT、鞘成分として、IV0.505のPETとし、鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が3.0となるように調整した。その他条件は実施例1と同様とした。強度2.0cN/dtex、伸度31%の56dtex−24フィラメント(単糸繊度2.3dtex)の延伸糸を採取し、光沢度は33となった。また、得られた偏心芯鞘複合繊維を用いて行った評価結果を表3に示す。
該偏心芯鞘複合繊維のストレッチ性能指標である伸縮伸長率Aが40%であり、捲縮に優れストレッチ性能を有していたが、光沢が強くテカテカした光沢となり、防透性にも劣っていた。
a:複合繊維断面における芯成分の重心
C:複合繊維断面の重心
S:鞘成分の最小厚み
D:複合繊維径
C:複合繊維断面の重心
S:鞘成分の最小厚み
D:複合繊維径
Claims (7)
- 芯成分が鞘成分で完全に覆われている偏心芯鞘型構造の複合繊維において、芯部に無機粒子を0.10〜10質量%含有し、鞘部に無機粒子を0.050〜1.0質量%含有し、かつ鞘部含有量に対する芯部含有量の比(芯/鞘)が7.0〜70であり、光沢度が2.0〜10である偏心芯鞘複合繊維。
- 単糸繊度が0.10〜2.5dtexである請求項1記載の偏心芯鞘複合繊維。
- 鞘部の最小厚みSと複合繊維径Dの比S/Dが0.01〜0.1であり、かつ鞘部厚みがS以上1.05S以下の複合繊維の外周長Lが複合繊維の全外周長の15〜60%である請求項1または2記載の偏心芯鞘複合繊維。
- 伸縮伸長率Aが33〜85%である請求項1〜3のいずれか1項記載の偏心芯鞘複合繊維。
- 芯部がポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルであり、鞘部がポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステルである請求項1〜4のいずれか1項記載の偏心芯鞘複合繊維。
- 複合繊維に含有している無機粒子の体積平均粒子径が、下式(1)〜(3)を満足する請求項1〜5のいずれか1項記載の偏心芯鞘複合繊維。
D31:鞘部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(μm)
D32:芯部に含有している無機粒子の体積平均粒子径(μm)
0.080≦D31(μm)≦2.0 ・・・式(1)
0.020≦D32(μm)≦1.0 ・・・式(2)
D31−D32≧0.050μm ・・・式(3) - 無機粒子が、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウムから選ばれる1種以上である請求項1〜6のいずれか1項記載の偏心芯鞘複合繊維。
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WO2023080184A1 (ja) * | 2021-11-08 | 2023-05-11 | 東レ株式会社 | ポリエステル繊維および織物 |
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2019
- 2019-10-01 JP JP2019181476A patent/JP2021055231A/ja active Pending
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WO2023080184A1 (ja) * | 2021-11-08 | 2023-05-11 | 東レ株式会社 | ポリエステル繊維および織物 |
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