本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に「前後左右」と言うこともある。
図1、図2には、本発明の実施形態に係る塵芥収集車100を示している。塵芥収集車100では、車台1上に塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが設けられており、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、左右一対の傾動シリンダ(図示省略)によって傾動されるようになっている。
また、塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥G(図8参照)を投入するための略矩形状の塵芥投入口4が開口され、昇降可能なテールゲート5によって、塵芥投入口4が開閉されるようになっている。塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置の作動などの操作のためのスイッチボックス6が設けられている。また、塵芥投入口4の上方には、塵芥投入口4およびその近傍のエリアを撮影するようにカメラユニット7が配設されている。カメラユニット7は、塵芥投入口4より上方に配設された塵芥投入箱3の傾斜後面部(湾曲状の後面部)3bから後方に突出する支持部材80を介して、塵芥投入箱3の上部に固定されている。
より具体的に説明すると、図2〜図6に示すように、支持部材80は、傾斜後面部3bの左右両端部に基端部を有する枠状となっている。カメラユニット7は、支持部材80において塵芥投入箱3の左右中央部となる位置に固定されている。カメラユニット7は、画像取得部としてのカメラ71と、報知部としての検出ランプ73と、第2の報知部としての作動中ランプ72とを有している。
カメラ71は、塵芥投入箱3の後方上部に所定の取付角度で取り付けられている。具体的には、カメラ71は、カメラユニット7の左右中央部に設けられた凹部74の中に取付ブラケット75を介して取り付けられている。カメラ71は、撮像レンズ71aを有しており、この撮像レンズ71aが斜め下方に向くようにしてカメラユニット7の取付ブラケット75に対し水平軸回りに上下回動調整可能に取り付けられている。カメラユニット7の凹部74の左右両側には、水平面に対して後方上傾状の(車両後方に向かうにつれて上方に傾斜する)固定面7aが設けられている。左側の固定面7aには作動中ランプ72が下向きに取り付けられている。また、右側の固定面7aには、検出ランプ73が下向きに取り付けられている。つまり、作動中ランプ72と検出ランプ73は、カメラ71の撮像レンズ71aの近傍となるカメラ71の左右両側に設けられている。
次に、図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥Gを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置が装備されている。この塵芥積込装置によって、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、塵芥投入箱3の前方に連設された塵芥収容箱2へ押し込むようになっている。塵芥収容箱2には、収容された塵芥を排出する図示省略の塵芥排出装置が設けられている。この塵芥排出装置としては、例えば塵芥収容箱2を、車台1と塵芥収容箱2との間に介設されたダンプシリンダによって傾動させて塵芥を排出したり、塵芥収容箱2の内部に設けた排出板を排出シリンダにより塵芥収容箱2の後方に移動させて塵芥を排出したりするものが考えられる。
次に、本実施形態の塵芥積込装置について具体的に説明する。本実施形態の塵芥積込装置は、回転板(積込部材)10の回転によって塵芥Gを掻き上げるとともに、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置として構成されている。塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。
図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。この油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、押込板20には、揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
具体的には、図3に実線で示すように、押込板20が塵芥収容箱2の側に最も揺動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が塵芥投入口4側に最も揺動し、図3に仮想線で示す後退限界位置に達した後も、回転板10の回動は継続される。
このようにして回転する回転板10は、塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き込んで、図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦、停止する。そうすると、今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んでいく。そして、押込板20が再び前進限界位置に達すると、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることによって、塵芥投入箱3に投入された塵芥Gが連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込作動が行われる。このように回転板10および押込板20を作動させるための油圧回路および制御系の構成については後述する。
塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1〜LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、さらに所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっており、スイッチLS3〜LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1〜LS4としては、例えばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。また、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて作動していることを検出するためのセンサである。
さらに、図1、図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート62などが配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側に設けられたスイッチボックス6の側面に緊急停止ボタン60(図6のスイッチSW1に対応)が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61(図6のスイッチSW3に対応)が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW2をオンオフするように配設されている。また、図2に示すように、スイッチボックス6の後面には、停止解除スイッチ63が配設されている。この停止解除スイッチ63は例えばモーメンタリのスイッチSW4をオンオフするように配設されている。停止解除スイッチ63は、後述する塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を解除する際に操作される。
また、図2、図3に示すように、塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bには、取付部品としての投入口テーブル65が車両幅方向に沿って延びる水平軸65a回りに回動可能に設けられている。投入口テーブル65は、緊急停止プレート62の上方に設けられており、図3に実線で示す水平位置と、図3に2点鎖線で示す起立位置との間で回動可能になっている。投入口テーブル65は、走行時には、起立位置に位置している。投入口テーブル65は、塵芥積込作業の際、作業者によって水平位置まで回動され、塵芥投入箱3に投入する前に塵芥Gを投入口テーブル65上に一時的に載せることが可能になっている。投入口テーブル65は、緊急停止プレート62の左右両側に設けられたストッパ66,66によって投入口テーブル65の水平状態が維持されるようになっている。ごみ袋等を投入口テーブル65上に一時的に載せることが可能になっている。投入口テーブル65は、緊急停止プレート62の左右両側に設けられたストッパ66,66によって水平位置に固定されるようになっている。このうち、一方のストッパ66(この場合、左側のストッパ66)には、投入口テーブル65が水平位置にあることを検知する水平状態検知スイッチ(水平状態検知センサ)66aが内蔵されている。水平状態検知スイッチ66aに投入口テーブル65が接触することによって、投入口テーブル65が水平状態であることが検知されると、画像処理ユニット9に検知信号が送られるようになっている。
−塵芥積込装置の制御系−
次に、図5、図6を参照して、塵芥積込装置を作動させるための制御系について説明する。この制御系は、塵芥積込装置の油圧モータ13や、押込シリンダ24などに供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁V1,V2に制御信号を出力する制御装置PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)と、カメラ71からの画像データに基づいて人物認識処理を行う人物検出部としての画像処理ユニット9とを備えている。なお、制御装置PLCは、塵芥積込装置の駆動だけでなく塵芥排出装置の駆動も制御するようになっている。
まず、図5を参照して油圧回路について説明する。この油圧回路は、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、押込シリンダ24を制御するための電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための電磁制御弁V2とを備えている。なお、油圧ポンプPには、車両走行駆動源としてのエンジン(図示省略)の動力を取り出すPTO(パワー テイク オフ)によって駆動力が伝達されるようになっている。
一例として、電磁制御弁V1,V2は、いずれも6ポート3位置の電磁式の方向切替弁からなる。電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図5の上位置)に切り替わって、油圧ポンプPからの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する。一方、電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図5の下位置)に切り替わって、作動油をヘッド側油室に供給する。
そして、電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長作動して押込板20を前方に揺動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮作動して、押込板20を後方に揺動させる。また、いずれのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときに、電磁制御弁V1は中立位置(図5の中央位置)に復帰するようになる。
電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図5の下位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、当該油圧モータ13を正転作動させるほか、押込シリンダ24も伸縮作動させることができる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると電磁制御弁V2は第2連通位置(図5の上位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、当該油圧モータ13を逆転作動させる。
また、いずれのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、電磁制御弁V2は中立位置(図5の中央位置)に復帰するようになる。電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバTへ還流するようになる。なお、図示の油圧回路において、符号V3はチェック弁であり、また、符号V4は、油圧ポンプPの吐出圧の上限を設定するためのリリーフ弁である。
次に、図6を参照して制御装置PLCおよび画像処理ユニット9の信号の入出力状態について説明する。まず、制御装置PLCへの電力供給はバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図6の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、塵芥収集車100のイグニッションスイッチSWK、PTOスイッチ(動力源メインスイッチ)SWP、リレーコイルR1などが介設されている。
また、イグニッションスイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)にはリレーコイルR1の接点(リレースイッチ)r1が介設されている。この通電ラインK3には電源ランプLが介設されており、リレーコイルR1が励磁されて接点r1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。
また、リレーコイルR1の接点r1および電源ランプLの中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されており、これにより制御装置PLCの信号用電力供給部(図示省略)に電力が供給されるようになっている。つまり、接点r1が閉じられると、通電ラインK3,K4を介して制御装置PLCに電力が供給される。
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置の塵芥積込作動中には必ず制御装置PLCに通電されるようになっている。つまり、通電ラインK5は、いわゆる積込継続信号を入力するラインであり、ここには、上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1〜SW3などが介設されている。これらのスイッチSW1〜SW3によって通電(つまり、積込継続信号の入力)が遮断されると、制御装置PLCは、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa〜SOLdを励磁させるための制御信号の出力をオフするようになっている。これにより、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰するようになり、塵芥積込装置の作動が停止されるようになっている。
また、通電ラインK4にはその途中から分岐する複数の分岐ラインが接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに、上述したスイッチLS1〜LS4が介設されている。スイッチLS1〜LS4からの信号は制御装置PLCに入力されるようになっており、これらの信号に基づいて塵芥積込装置の回転板10および押込板20の位置、言い換えれば作動状況が検出される。
さらに、スイッチLS1〜LS4の他にも制御装置PLCへの入力側には、塵芥積込装置をサイクル作動させるための積込スイッチ(積込ボタン)SW5、塵芥積込装置の塵芥積込動作または塵芥排出装置の塵芥排出動作を切り替えるための切替スイッチSW6、塵芥投入箱3を傾動させて開放するためのスイッチSW7、塵芥積込動作の単動または連続の選択スイッチ(図示省略)、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ(図示省略)なども電気的に接続されている。切替スイッチSW6は、通電ラインK4から通電ラインK5が分岐する分岐位置に設けられており、通電ラインK5は、切替スイッチSW6の積込側に接続されている。
上述のように各種スイッチが入力側に接続されている一方、制御装置PLCの出力側には、上述した電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa〜SOLdなどが接続されている。そして、制御装置PLCは、スイッチSW1〜SW3,LS1〜LS4などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い、油圧モータ13や押込シリンダ24などを作動させるべく、対応するソレノイドSOLa〜SOLdに出力するようにプログラムされている。
具体的には、塵芥積込装置が塵芥積込作動するときには、通電ラインK2上のイグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれもオンになると、リレーコイルR1が励磁される。これにより、リレーコイルR1の接点r1が閉じられるので、通電ラインK3およびK4によって制御装置PLCに電力供給されることにより、制御装置PLCが作動可能な状態になって適宜、ソレノイドSOLa〜SOLdに制御信号を出力するようになる。
この制御信号を受けてソレノイドSOLa〜SOLdが励磁され、電磁制御弁V1,V2の位置が適宜、切り替えられることで、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油圧が供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、上述したように、回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
詳細には、まず図3に実線で示すように押込板20が前進限界位置にあって、スイッチLS1からオン信号が出力されるとともに、回転板10が設定停止位置にあって、スイッチLS3からもオン信号が出力されるときに、積込スイッチSW5の信号を受けた制御装置PLCから制御信号が出力され、電磁制御弁V2が第1連通位置に切り替えられて、油圧モータ13が正転作動を開始する。これにより、回転板10は上方に回動し始める。
そして、所定の期間が経過すると制御装置PLCから電磁制御弁V1のソレノイドSOLaへ制御信号が出力されて、電磁制御弁V1が第1連通位置に切り替えられ、押込シリンダ24が収縮作動を開始する。これにより押込板20は後方の塵芥投入口4側へ揺動するようになり、この押込板20が後退限界位置に達すると、スイッチLS2からオン信号が出力される。
これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLaへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込板20の揺動が停止する。また、そうして押込板20が揺動している間も回転板10の回動は継続しており、塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き込んでゆくが、こうして回動する回転板10が設定停止位置に至り、スイッチLS3からオン信号が出力される。
これを受けて制御装置PLCが、電磁制御弁V2のソレノイドSOLcへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V2が中立位置に復帰し、油圧モータ13の回動が停止する。また、制御装置PLCは、電磁制御弁V1のソレノイドSOLbへ制御信号を出力し、電磁制御弁V1が第2連通位置に切り替えられて、押込シリンダ24が伸長作動を開始することで、押込板20が前方へ揺動し始める。
こうして前方の塵芥収容箱2側に揺動する押込板20が、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んでいき、前進限界位置に達すれば、スイッチLS1からオン信号が出力される。これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLbへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込シリンダ24の伸長作動、つまり、押込板20の前方への揺動が停止し、一連の動作が終了する。
また、図6に示すように、イグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPの中間において、通電ラインK6の上流端が接続されており、この通電ラインK6には、画像処理ユニット9が接続されている。イグニッションスイッチSWKがオンになると、この通電ラインK6を介して、画像処理ユニット9に電力が供給される。画像処理ユニット9は、通電ラインK7を介してカメラユニット7のカメラ71に接続されている。また、画像処理ユニット9には、通電ラインK8を介して、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されるようになっている。
画像処理ユニット9には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPU、カメラ71からの画像データを取得し画像処理を行う画像処理部DSP、中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶する記憶部としてのメモリM、中央処理部CPUの指令を受けて監視用のモニタ93(図1参照)に画像処理の結果などを表示させる画像出力部VOP、データログの時刻を計時する計時部C、カメラ71の制御を行うカメラ制御部(図示省略)などが設けられている。画像処理部DSPは、画像処理ロジックを高速で行う集積回路であり、例えば図11のフローチャートに示すような人物認識処理のルーチンを実行する。なお、リレーコイルR1の接点r1よりも上流側において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK9の上流端が接続されており、この通電ラインK9を介して計時部Cへの電力供給が行われる。このため、イグニッションスイッチSWKがオフの場合にも、計時部Cへの通電が常時行われるようになっている。
また、画像処理ユニット9には、通電ラインK5から分岐する通電ラインK10が接続されている。この通電ラインK10は、画像処理ユニット9による人物認識処理について、塵芥積込装置の塵芥排出動作の際は機能せず、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に機能するための積込信号ラインになっている。通電ラインK10は、切替スイッチSW6の積込側に接続されており、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されるようになっている。また、画像処理ユニット9には、通電ラインK6から分岐する通電ラインK18が接続されており、この通電ラインK18には、カメラ角度調整スイッチSW8が介在されている。さらに、画像処理ユニット9には、通電ラインK10から分岐する通電ラインK19が接続されており、この通電ラインK19には、水平状態検知スイッチ66aが介在されている。
画像処理ユニット9と、制御装置PLCとの間には、作動スイッチSWSが介在されている。画像処理ユニット9には、人物安全信号の出力ポートが設けられており、この出力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK16により接続されている。また、画像処理ユニット9には、データログ開始信号の入力ポートが設けられており、この入力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK17により接続されている。また、作動スイッチSWSには、通電ラインK10から分岐された通電ラインK15が接続されている。
作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK16と通電ラインK12とを介して、画像処理ユニット9の人物安全信号の出力ポートと制御装置PLCとが接続される。
ここで、画像処理ユニット9から出力される人物安全信号は、通電ラインK16と通電ラインK12とを通って制御装置PLCに入力されるようになっている。しかし、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に人物が侵入禁止エリア(後述の第2の検知エリアA12)に入ると、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されない。制御装置PLCは、人物安全信号の入力がないことを条件の1つとして、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行うようになっている。
また、作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK6から分岐された通電ラインK11が通電ラインK17と接続される。この場合、イグニッションスイッチSWKがオンになると、通電ラインK6に通電が行われることにより、通電ラインK11と通電ラインK17を通じて、データログ開始信号が画像処理ユニット9に送られる。そして、それをトリガとしてデータログが実行される。
一方、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK15と通電ラインK12とを介して、通電ラインK10と制御装置PLCとが接続される。この場合、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、人物安全信号の代わりに制御装置PLCに入力される。このため、画像処理ユニット9が侵入禁止エリアで人物を認識したか否かにかかわらず、制御装置PLCは、人物安全信号の入力が常時あると認識するようになっている。
なお、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK17への通電は行われず、データログは開始されないようになっている。
また、画像処理ユニット9と、制御装置PLCとの間には、停止解除スイッチ63に対応するスイッチSW4が介在されている。スイッチSW4は、通電ラインK10から分岐された通電ラインK13に介設されている。停止解除スイッチ63がオン操作されていない場合には、スイッチSW4がオフ状態になっており、制御装置PLCには、信号が入力されないようになっている。一方、停止解除スイッチ63がオン操作された場合には、スイッチSW4がオン状態になり、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、停止解除のオン信号として制御装置PLCに入力されるようになっている。なお、塵芥積込装置の塵芥排出動作の際には、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されないため、停止解除スイッチ63の機能が無効になる。
制御装置PLCは、停止解除スイッチ63のオン信号を認識した場合、画像処理ユニット9からの人物安全信号の入力がなくなったとしてもそれを条件として塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行わないようになっている。
画像処理ユニット9には、運転席周辺に配設されているパイロットランプ(図示省略)、塵芥投入口4の近傍に配設されている報知部としての作動中ランプ72、検出ランプ73、認識エラー警告ランプ81、およびカメラ角度異常警告ランプ82が電気的に接続されており、それらの点灯制御が中央処理部CPUにより行われる。また、画像処理ユニット9には、後退警告音を出力するブザー91が接続されており、この制御についても中央処理部CPUにより行われる。作動中ランプ72、検出ランプ73、認識エラー警告ランプ81、カメラ角度異常警告ランプ82、およびブザー91の低電位側は、通電ラインK12を介してグランドラインK1に接続されている。
本実施形態では、カメラ71の撮像レンズ71aの左右両側に、作動中ランプ72および検出ランプ73が配設されている(図4参照)。作動中ランプ72は、原則として画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されている場合にオンされる(点灯される)。検出ランプ73は、原則として画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力され、かつ、後述する人物認識処理によって塵芥投入口4近傍の人物検出用エリアに人物が入っていると判定された場合にオンされる(点灯される)。
また、図1、図7、図8に示すように、塵芥投入箱3の背面の上部、言い換えれば、塵芥投入口4の上方にはカメラ71が所定の取付角度で取り付けられ、その撮像レンズ71aが後方の斜め下に向けられている。図7、図8には、塵芥投入口4の近傍に立った人物H(作業者)が両腕を前方に伸ばして、塵芥G(図7、図8では、ごみ袋)を積み込む様子が示されている。カメラ71は本来、塵芥収集車100の運転者が後方を監視するためのバックカメラとして用いられるものであり、図7、図8に一例を示すように塵芥投入口4およびその後方の所定範囲を撮影する。
カメラ71の撮像レンズ71aの光軸は、図3のX1線に沿う方向に延びており、塵芥投入口4の後方を撮影するために、鉛直下向きから後方に振り向けられて、塵芥投入口4の近傍の人物Hおよび塵芥Gを上方から撮影するようになっている。そして、カメラ71によって撮影(取得)され、画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づいて、画像処理ユニット9は、作業者などの人物Hが塵芥投入口4およびその後方の人物検出用エリア(図8において破線で囲まれたエリアと実線で囲まれたエリア)にいるか否かを判定するようにしている。また、画像処理ユニット9が人物検出用エリアに人物Hがいると判定すれば、制御装置PLCは、塵芥積込装置の作動を停止させるか否かを判定するようにしている。
具体的に説明すると、積込用の人物検出用エリアは、第1の検知エリアA11(図8に破線で示す)と第2の検知エリアA12(図8に実線で示す)とに分かれている。第2の検知エリアA12は、第1の検知エリアA11よりも塵芥投入口4の近傍に設けられ、侵入禁止エリアとしての機能を有している。画像処理ユニット9は、第1の検知エリアA11または第2の検知エリアA12に人物Hがいるか否かを判定し、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアA12に人物Hがいると判定すれば停止信号を制御装置PLCに送り、制御装置PLCが塵芥積込装置の作動を停止させるようにしている。例えば、第1の検知エリアA11は、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアであり、塵芥投入口4の近傍の矩形のエリアに設定される。第2の検知エリアA12は、塵芥投入口4の前縁部4aと後縁部4b近傍との間の矩形のエリアに設定される。この第2の検知エリアA12は、少なくとも塵芥投入口4の前縁部4a、後縁部4b、左縁部4c、および右縁部4dで囲まれた領域の一部を含むように設定される。
これに加え、車両の後退時、人物Hが塵芥投入口4の後方の第3の検知エリアA2(図7、図8に1点鎖線で示す)にいるか否かが画像処理ユニット9により判定される。そして、第3の検知エリアA2に人物Hがいると判定すれば、画像処理ユニット9が運転者に報知して注意を喚起するようにしている。第3の検知エリアA2は、第2の検知エリアA12、第1の検知エリアA11、およびその後方のエリアを含む矩形のエリアに設定される。なお、モニタ93上には、カメラ71の画像とともに、第1の検知エリアA11の外縁に対応するライン(図8に破線で示す)、第2の検知エリア(侵入禁止エリア)Y12の外縁に対応するライン(図8に実線で示す)、第3の検知エリアA2の外縁に対応するライン(図8に1点鎖線で示す)が表示されている。
−画像処理のルーチン−
次に、図9、図10のフローチャートを参照して、塵芥収集車100で行われる画像処理に基づく制御のルーチンについて説明する。図9、図10では、便宜上、図9に示す制御装置PLCが実行する制御と、図10に示す画像処理ユニット9が実行する制御とに分けて示している。
まず、制御装置PLCが実行する制御の流れについて、図9のフローチャートを参照して説明する。図9に示すように、スタート後のステップS1において、イグニッションスイッチ(ACC電源)をオフからオンに切り換える操作が作業者により行われ、さらに、ステップS2において、PTOスイッチSWPをオフからオンに切り換える操作が作業者により行われると、制御装置PLCの電源がオンになる。次に、ステップS3において、制御装置PLCは、停止解除をリセットする。ここでは、停止解除フラグを0にリセットする。このように、PTOスイッチSWPのオンに伴って、停止解除フラグをリセットするようにしている。停止解除フラグは、停止解除スイッチ63の操作状況に基づいて設定されるもので、停止解除スイッチ63のオフからオンへの操作に伴って、停止解除フラグが1にセットされる。
次に、ステップS4において、制御装置PLCは、切替スイッチSW6が積込側に切り換えられているか否かを判定する。そして、切替スイッチSW6が積込側に切り換えられている場合(YES)、ステップS5に進み、切替スイッチSW6が積込側ではなく排出側に切り換えられている場合(NO)、ステップS14に進む。
ステップS5において、制御装置PLCは、停止解除フラグが1であるか否かを判定し、停止解除フラグが1である場合(YES)、ステップS8に進む。一方、停止解除フラグが0である場合(NO)、ステップS6に進み、制御装置PLCは、停止解除スイッチ63をオフからオンに切り換える操作が作業者により行われたか否かを判定する。そして、停止解除スイッチ63がオフからオンに切り換えられた場合(YES)、ステップS7において、制御装置PLCは、停止解除フラグを1にセットしてステップS8に進む。停止解除スイッチ63がオフからオンに切り換えられていない場合(NO)、ステップS10に進む。
ステップS8において、制御装置PLCは、リレーコイルR2を励磁して、リレースイッチr2をオフに切り替える。これにより、ステップS9において、検出ランプ73および作動中ランプ72が消灯される。
次に、ステップS10において、制御装置PLCは、積込スイッチSW5がオンになったか否かを判定する。積込スイッチSW5がオンになった場合(YES)、ステップS11に進み、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込動作を実行する。一方、積込スイッチSW5がオフである場合(NO)、制御装置PLCは、積込スイッチSW5がオンになるまで待機する。
次に、ステップS12において、制御装置PLCは、緊急停止ボタン60,61がオンになったか否かを判定する。緊急停止ボタン60,61がオンになった場合(YES)、ステップS13に進み、緊急停止ボタン60,61がオフである場合(NO)、ステップS15に進む。
ステップS13において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を実行する。そして、ステップS14において、制御装置PLCは、制御装置PLCの電源がオンのままである場合(NO)、ステップS4に戻り、再度ステップS4以降の処理を実行する。一方、ステップS14において、制御装置PLCの電源がオフになった場合(YES)、このルーチンは終了される(エンド)。
上述したステップS12の判定で緊急停止ボタン60,61がオフである場合(NO)、ステップS15において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の回転板10が、危険な角度範囲Z1(図3参照)にあるか否かを判定する。この判定は、スイッチLS4からの信号の有無に基づいて行われる。そして、スイッチLS4からの信号がオンであり、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1にある場合(YES)、ステップS16に進む。一方、スイッチLS4からの信号がオフであり、回転板10が危険な角度範囲Z1にない場合(NO)、ステップS18に進む。
次に、ステップS16において、制御装置PLCは、画像処理ユニット9から人物安全信号の入力が無かったか否かを判定する。人物安全信号は、後述するステップT8〜T14、T16〜T19の画像処理ユニット9の処理に基づいて、画像処理ユニット9から制御装置PLCに出力される。具体的には、作動スイッチSWSがオンであって、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に人物が第2の検知エリアA12に入っている場合には、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されない(ステップT14)。
一方、作動スイッチSWSがオフの場合と、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に人物が第1の検知エリアA11および第2の検知エリアA12で検出されなかった場合と、第1の検知エリアA11のみで人物が検出された場合には、制御装置PLCに人物安全信号が入力される(ステップT17、T19)。そして、人物安全信号の入力が無かった場合(YES)、ステップS17に進み、人物安全信号の入力が有った場合(NO)、ステップS18に進む。
ステップS17において、制御装置PLCは、停止解除フラグが0であるか否かを判定し、停止解除フラグが0である場合(YES)、ステップS13に進み、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を実行する。一方、停止解除フラグが1である場合(NO)、ステップS18に進む。
ステップS18において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の回転板10が、塵芥積込動作を停止する際の停止位置(1サイクル停止位置)にあるか否かを判定する。そして、塵芥積込装置の回転板10が、1サイクル停止位置にある場合(YES)、ステップS19に進み、塵芥積込装置の塵芥積込動作を通常停止する。一方、塵芥積込装置の回転板10が、1サイクル停止位置にない場合(NO)、ステップS11に戻り、再度ステップS11以降の処理を実行する。
続いて、画像処理ユニット9が実行する制御の流れについて、図10のフローチャートを参照して説明する。図10に示すように、スタート後のステップT1において、イグニッションスイッチSWKをオフからオンに切り換える操作が作業者により行われると、画像処理ユニット9の電源がオフからオンになる。ステップT2において、画像処理ユニット9の初期化処理(起動処理)が行われる。この際、作動中ランプ72および検出ランプ73が消灯される。また、投入口テーブル認識フラグが0にリセットされ、認識エラー警告ランプ81およびカメラ角度異常警告ランプ82が消灯される。
この初期化処理(起動処理)は、少なくとも数秒の時間がかかるものである。この初期化処理が終了するまで、すなわち起動中において、画像処理ユニット9は人物安全信号を出力することがなく、また、作動中ランプ72、検出ランプ73、認識エラー警告ランプ81およびカメラ角度異常警告ランプ82へのオン信号を出力することがない(画像処理ユニット9が作動中ランプ72、検出ランプ73、認識エラー警告ランプ81およびカメラ角度異常警告ランプ82を作動させないように制御する)。
仮に、この画像処理ユニット9の起動中に作業者がPTOスイッチSWPをオンにした場合には、制御装置PLCが画像処理ユニット9から人物安全信号の入力がないと認識することができ、作業者がPTOスイッチSWPのオンに引き続き積込ボタン64を押したとしても、制御装置PLCは人物安全信号の入力がないことに基づき塵芥積込装置を駆動させないように制御する。
ステップT3において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、画像処理ユニット9全体が正常に作動しているか否かを判定する。そして、画像処理ユニット9が正常に作動している場合(YES)、ステップT4に進み、画像処理ユニット9が正常に作動していない場合(NO)、ステップT42に進む。ステップT42〜T44において、画像処理ユニット9は、作動中ランプ72および検出ランプ73を点灯させない一方、基板上に設けられたエラー表示灯を点灯させ、ステップT22に進む。
次に、ステップT4において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されていないか否かを判定する。後退信号は、車両の後退操作が有った場合に通電ラインK8を介して画像処理ユニット9に入力され、この後退信号の有無に基づいて、ステップT4の判定が行われる。そして、後退信号の入力が無かった場合(YES)、ステップT5に進み、後退信号の入力が有った場合(NO)、ステップT35に進む。
次に、ステップT5において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、積込ライン信号が入力されたか否かを判定する。積込ライン信号は、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、通電ラインK10を介して画像処理ユニット9に入力される。この積込ライン信号の有無に基づいて、ステップT5の判定が行われる。そして、積込ライン信号の入力が有った場合(YES)、ステップT6に進み、積込ライン信号の入力が無かった場合(NO)、ステップT4に戻り、再度ステップT4、T5の判定を行う。
次に、ステップT6において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、投入口テーブル65が水平状態にあるか否かを判定する。この判定は、通電ラインK19を介して入力される水平状態検知スイッチ66aからの検知信号に基づいて行われる。そして、水平状態検知スイッチ66aからの信号が入力されて、投入口テーブル65が水平状態にある場合(YES)、ステップT7に進み、水平状態検知スイッチ66aからの信号が入力されず、投入口テーブル65が水平状態にない場合(NO)、ステップT29に進む。投入口テーブル65が起立状態にあって水平状態にない場合、後述する投入口テーブル認識処理等が行えないため、投入口テーブル65が水平状態にないといった状況を除外するようにしている。
次に、ステップT7において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、作動中ランプ72を点灯させる。そして、ステップT8において、中央処理部CPUは、投入口テーブル認識フラグが0であるか否かを判定し、投入口テーブル認識フラグが0である場合(YES)、ステップT9に進む。一方、投入口テーブル認識フラグが1である場合(NO)、ステップT22に進む。
次に、ステップT9において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、画像処理部DSPに投入口テーブル認識処理を実行させる。画像処理ユニット9の画像処理部DSPが実行する投入口テーブル認識処理の詳細について、図11のフローチャートを参照して説明する。
まず、スタート後のステップT91において、カメラ71によって撮影され、画像処理ユニット9に入力される画像のデータ(入力画像データ)に対する二値化処理が、画像処理部DSPによって行われる。この二値化処理は、例えば、入力画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
次に、ステップT92において、画像処理部DSPによってラベリング処理が行われる。このラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として抽出される。
次に、ステップT93において、予め設定されているテーブル認識用特徴データ(テーブル認識用辞書)を参照し、ラベリング処理後の物体像の中にテーブル認識用特徴データの条件を満たすような物体像があるか否かが判定される。テーブル認識用特徴データは、予め多くの種類の投入口テーブル65の画像を撮影して、投入口テーブル65の大きさや形状などの特徴を抽出したものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。本実施形態では、塵芥投入口4の上方にカメラ71を配設し、下方の塵芥投入口4近傍をほぼ真上から撮影するようにしている。このため、その画像には、図12に一例を示すように投入口テーブル65が投入口テーブル検知エリアA3内に位置する(収まる)ように表示される。そこで、ステップT93では、予め設定されているテーブル認識用特徴データを参照し、このテーブル認識用特徴データの条件を満たすような物体像を、投入口テーブル65と判定する。投入口テーブル検知エリアA3は、例えば上述した積込用の人物検出用エリアと略同じエリアに設定され、メモリMに格納されている。具体的には、投入口テーブル検知エリアA3は、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアとして設定された第1の検知エリアA11と、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアA12とを合わせたエリアになっている。
図10のフローチャートに戻って、ステップT10において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT9の投入口テーブル認識処理によって投入口テーブル65が認識されたか否かを判定する。この場合、投入口テーブル検知エリアA3内にテーブル認識用特徴データの条件を満たすような物体像が認識されたか否かが判定される。そして、投入口テーブル検知エリアA3内に投入口テーブル65が認識された場合(YES)、ステップT11に進み、投入口テーブル検知エリアA3内に投入口テーブル65が認識されなかった場合(NO)、ステップT31に進む。
ステップT11において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、角度記憶スイッチ信号が入力されたか否かを判定する。この判定は、通電ラインK18を介して入力されるカメラ角度調整スイッチSW8からの信号に基づいて行われる。そして、カメラ角度調整スイッチSW8からの信号が入力された場合(YES)、ステップT25に進み、カメラ角度調整モードを開始する。一方、カメラ角度調整スイッチSW8からの信号が入力されなかった場合(NO)、ステップT12に進む。
ステップT25において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、投入口テーブル65の後端位置の基準座標(Y0)を初期化する。ステップT26において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT9の投入口テーブル認識処理で投入口テーブル65と認識された画像(物体像)の後端位置の座標(Y0)を計算する。ステップT27において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT26で得られた投入口テーブル65の後端位置の座標(Y0)を基準座標として記憶する。ステップT28において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT25〜T27のカメラ角度調整モードを終了し、ステップT9に戻って、再度、投入口テーブル認識処理を行う。なお、投入口テーブル65の後端位置の座標として、車両前後方向の座標(Y座標)を用いている。また、投入口テーブル65の後端位置として、より詳細には、投入口テーブル65の車両幅方向の中央位置の後端位置を用いている。
そして、ステップT12において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT9の投入口テーブル認識処理で投入口テーブル65と認識された画像(物体像)の後端位置の座標(Y1)を計算する。ステップT13において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT12で得られた投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)と、上述したステップT25〜T27のカメラ角度調整モードで得られた基準座標(Y0)とを比較する。そして、両者が一致する場合(Y0=Y1)、ステップT13に進み、両者が一致しない場合(Y0≠Y1)、ステップT32に進む。
このステップT13では、投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)と、基準座標(Y0)とのずれが予め設定された許容値の範囲内である場合には、両者が一致する(Y0=Y1)と判定することが可能である。一方、投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)と、基準座標(Y0)とのずれが予め設定された許容値以上である場合には、両者が一致しない(Y0≠Y1)と判定することが可能である。このように、カメラ71で撮影された画像中の投入口テーブル65の形状を予め学習しておき、カメラ71の画像中の基準座標(Y0)に投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)がないことに基づいて、カメラ71の角度が変化したことを認識できる。一方、カメラ71の画像中の基準座標(Y0)に投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)があることに基づいて、カメラ71の角度が変化していないことを認識できる。
次に、ステップT14において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、投入口テーブル認識フラグを1にセットする。投入口テーブル認識フラグは、投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)と、基準座標(Y0)とが一致した場合に(Y0=Y1)、1にセットされるようになっている。投入口テーブル認識フラグが1にセットされると、投入口テーブル65が起立状態に戻されない限りステップT8で否定判定されるため、その後、投入口テーブル認識処理は行われないようになっている。その理由は、投入口テーブル65が水平状態にある場合に、塵芥積込作業の間、投入口テーブル認識処理が繰り返し行われると、投入されるごみによって投入口テーブル65が塞がれて認識エラーが頻発する恐れがあるからである。
そして、ステップT15において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、カメラ71の角度が変化していないとして、認識エラー警告ランプ81およびカメラ角度異常警告ランプ82にオン信号を出力せずに、ステップT16に進む。
次に、ステップT16において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を積込用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを積込用の人物検出用エリアに設定する。積込用特徴データは、後述する人物認識処理(ステップT17)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。積込用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。積込用特徴データとして抽出される特徴については、人物を上方から見たときの頭部形状を主体としている。積込用の人物検出用エリアは、人物検出判定の際に用いられるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。上述したように、積込用の人物検出用エリアは、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアとして設定された第1の検知エリアA11と、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアA12とに分かれており、それぞれのエリアがメモリMに格納されている。
次に、ステップT17において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、画像処理部DSPに人物認識処理を実行させる。画像処理ユニット9の画像処理部DSPが実行する人物認識処理の詳細について、図13のフローチャートを参照して説明する。まず、スタート後のステップT171において、カメラ71によって撮影され、画像処理ユニット9に入力される画像のデータ(入力画像データ)に対する二値化処理が、画像処理部DSPによって行われる。この二値化処理は、例えば、入力画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
次に、ステップT172において、画像処理部DSPによってラベリング処理が行われる。このラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として抽出される。
そして、ステップT173〜T175において、画像処理部DSPによって、上述した第1の検知エリアA11または第2の検知エリアA12内で検知されたそれぞれの物体像についての人物識別処理が行われる。本実施形態では、塵芥投入口4の上方にカメラ71を配設し、下方の塵芥投入口4近傍をほぼ真上から撮影するようにしている。このため、その画像には、図8に一例を示すように人物Hの頭部が大きく表示されるとともに、上方から見た顔の一部も表示されることになる。そこで、ステップT173では、予め設定されている積込用特徴データを参照し、この積込用特徴データの条件を満たすような物体像を、仮に人物Hの頭部と判定する。
次に、頭部と仮判定した物体像について、それ以外の物体像と識別する処理をステップT174,T175で行う。まず、ステップT174において、カメラ71から時系列に入力される複数の画像データの差分処理(各画素毎の輝度値の差を求める処理)によって、物体像の位置の変化を検出する。この位置の変化、つまり、物体像の移動距離を、それに要した時間(画像データを取得する時間間隔)で除算して、物体像の移動速度を算出する。
次に、ステップT175において、ステップT174で算出された移動速度が予め設定した閾値以下であるか否かを判定する。この閾値は、塵芥投入口4に塵芥を投入する作業者の頭部の移動速度と、投入される塵芥の移動速度とを区別できるように、予め実験などによって設定されている。そして、算出された移動速度が閾値よりも高ければ、動作が速すぎるので人物Hの頭部ではないと識別し、否定判定して(NO)、ルーチンを終了する(エンド)。
一方、ステップT175において、算出された移動速度が閾値以下であると肯定判定すれば(YES)、物体像は人物Hの頭部であると判定(本判定)して、ステップT176に進み、人物検出信号を出力する。
次に、ステップT177において、人物Hの頭部であると判定された物体像が、上述した第2の検知エリアA12に入っているか否かを判定する。ステップT177の判定は、物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標が、第2の検知エリアA12に一部分でも含まれているか否かによって判定することが可能である。
そして、人物Hの頭部と識別した物体像が、第2の検知エリアA12に入っていると肯定判定すれば(YES)、ステップT178に進んで塵芥積込装置の作動を停止させるべく、中央処理部CPUへ停止信号を出力し、ルーチンを終了する(エンド)。一方、物体像が第2の検知エリアA12に入っていないと否定判定すれば(NO)、停止信号は出力せずにルーチンを終了する(エンド)。
図10のフローチャートに戻って、ステップT18において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT17の人物認識処理によって第1の検知エリアA11または第2の検知エリアA12内に人物が検出されたか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、人物検出信号の出力が有ったか否かが判定される。そして、人物検出信号の出力が有った場合(YES)、ステップT19に進み、人物検出信号の出力が無かった場合(NO)、ステップT33に進む。
次に、ステップT19において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT17の人物認識処理によって侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアA12内に人物が侵入したか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、停止信号の出力が有ったか否かが判定される。そして、停止信号の出力が有った場合(YES)、ステップT20に進み、停止信号の出力が無かった場合(NO)、ステップT23に進む。
次に、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT20において、検出ランプ73のオン信号を出力し、ステップT21において、人物安全信号を制御装置PLCに出力せず、その後、ステップT22に進む。また、中央処理部CPUは、ステップT33において、検出ランプ73のオン信号を出力せず、ステップT34において、人物安全信号を制御装置PLCに出力し、その後、ステップT22に進む。さらに、中央処理部CPUは、ステップT23において、検出ランプ73のオン信号を出力し、ステップT24において、人物安全信号を制御装置PLCに出力し、その後、ステップT22に進む。
そして、ステップT22において、画像処理ユニット9は、画像処理ユニット9の電源がオンのままである場合(NO)、ステップT3に戻り、再度ステップT3以降の処理を実行する。一方、ステップT22において、画像処理ユニット9の電源がオフになった場合(YES)、このルーチンは終了される(エンド)。
上述したステップT4の判定で後退信号の入力が有った場合(NO)、画像処理ユニット9は、ステップT35において、作動中ランプ72のオン信号を出力せず、ステップT36において、人物安全信号を制御装置PLCに出力せず、その後、ステップT37に進む。
そして、ステップT37において、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を後退用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを後退用の第3の検知エリアA2に設定する。後退用特徴データは、後述する人物認識処理(ステップT38)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。後退用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、頭部の大きさや形状などの特徴を抽出したものである。後退用特徴データとして抽出される特徴については、人物を上述した積込用特徴データよりも前方寄りの斜め上方から見たときの頭部形状を主体としている。第3の検知エリアA2は、人物検出判定の際に用いられるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。上述したように、第3の検知エリアA2には積込用の第2の検知エリアA12と第1の検知エリアA11、およびその後方のエリアが含まれている。
次に、ステップT38において、画像処理部DSPによって人物認識処理が行われる。ステップT38の人物認識処理は、上述したステップT17の人物認識処理(図13参照)と略同様であって、二値化処理、ラベリング処理、人物識別処理等を含んでいる。なお、人物識別処理では、ステップS37で設定された後退用特徴データが用いられる、この後退用特徴データの条件を満たすような物体像を、人物Hと判定する。なお、人物Hの認識については、頭部形状を識別することに限定されず、例えば手や足などを識別するようにしてもよい。
そして、ステップT39において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT38の人物認識処理によって第3の検知エリアA2内に人物が検出されたか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、人物検出信号の出力が有ったか否かが判定される。そして、人物検出信号の出力が有った場合(YES)、ステップT40において、画像処理ユニット9は、ブザー91を作動させて後退警告音を出力し、その後、ステップT22に進む。一方、人物検出信号の出力が無かった場合(NO)、ステップT41において、画像処理ユニット9は、ブザー91を作動させず、その後、ステップT22に進む。
また、上述したステップT6の判定で投入口テーブル65が水平状態にないと検知された場合(NO)、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT29において、作動中ランプ72のオン信号を出力せず、ステップT30において、投入口テーブル認識フラグを0にリセットし、その後、ステップT33に進む。投入口テーブル65が水平状態にないと検知された場合には、作動中ランプ72および検出ランプ73がオフになり、人物認識が無効状態となる。ただし、この場合にも制御装置PLCに人物安全信号が出力され、塵芥積込作業は可能になっている。
上述したステップT10の判定で投入口テーブル検知エリアA3内に投入口テーブル65が認識されなかった場合(NO)、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT31において、認識エラー警告ランプ81にオン信号を出力し、認識エラー警告ランプ81を点灯させ、その後、ステップT33に進む。この認識エラー警告ランプ81の点灯により、作業者は、投入口テーブル65が検出不可であること、もしくはカメラ71の撮像レンズ71aが異常であることを認識することが可能になる。なお、認識エラー警告ランプ81は、一旦オンになると、異常が解消されるか、あるいは画像処理ユニット9の電源をオフ(ACC電源をオフ)にするまで、点灯状態が継続される。
上述したステップT13の判定で投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)と、基準座標(Y0)とが一致しなかった場合(Y0≠Y1)、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT32において、カメラ角度異常警告ランプ82にオン信号を出力し、カメラ角度異常警告ランプ82を点灯させ、その後、ステップT33に進む。このカメラ角度異常警告ランプ82の点灯により、作業者は、何らかの原因(例えばカメラ71への物の衝突等)によりカメラ71の取付角度が変化したことを認識することが可能になる。なお、カメラ角度異常警告ランプ82は、一旦オンになると、異常が解消されるか、あるいは画像処理ユニット9の電源をオフ(ACC電源をオフ)にするまで、点灯状態が継続される。
上述したように、本実施形態では、カメラ71によって撮影(取得)された画像のデータに基づいて、カメラ71とは別に塵芥投入箱3に取り付けられた取付部品としての投入口テーブル65が、塵芥投入口4近傍における投入口テーブル検知エリアA3に検出された否かを判定する制御部(画像処理ユニット9)を備え、この制御部は、所定の第1タイミングで検出された投入口テーブル65の画像中の第1位置である後端位置の基準座標(Y0)と、第1タイミングより後の所定の第2タイミングで検出された投入口テーブル65の画像中の第2位置である後端位置の座標(Y1)とを比較し、両者のずれが許容値以上である場合には異常を出力するように構成されている。
本実施形態によれば、何らかの原因(例えばカメラ71への物の衝突等)により塵芥投入箱3の後方上部におけるカメラ71の取付角度が変わっていたとしても、そのことを容易に認識することができる。詳細には、第1タイミング(ステップT26)および第2タイミング(ステップT12)において、投入口テーブル認識処理(ステップT9)で投入口テーブル65と認識された画像中の投入口テーブル65の後端位置の座標をそれぞれ計算し、第1タイミングの投入口テーブル65の後端位置の基準座標(Y0;第1位置)と第2タイミングの投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1;第2位置)とを比較するようにしている(ステップT13)。そして、両者のずれが許容値以上である場合、カメラ角度異常警告ランプ82にオン信号を出力し、カメラ角度異常警告ランプ82を点灯させるようにしている(ステップT32)。このように、カメラ71によって撮影された画像のデータに基づいて、投入口テーブル65の後端位置の変化を検出することによって、塵芥投入箱3の後方上部におけるカメラ71の取付角度が変わっていたとしても、塵芥積込作業を行う際、カメラ71の取付角度が変化したことを容易に認識することができる。
本実施形態では、取付部品は、塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bにおいて起立状態と水平状態とに切り替え可能に設けられた投入口テーブル65とされている。この場合、投入口テーブル65が水平状態であることを検知する水平状態検知スイッチ66aを有し、水平状態検知スイッチ66aが投入口テーブル65の水平状態を検知したときが、上述した第1タイミング(ステップT26)または第2タイミング(ステップT12)とされている。これにより、投入口テーブル65が起立状態にある場合、投入口テーブル認識処理が行えないため、水平状態検知スイッチ66aにより投入口テーブル65の水平状態が検知された場合に限り、投入口テーブル認識処理を行って塵芥投入箱3の後方上部におけるカメラ71の取付角度の変化を検出するようにしている。
本実施形態では、塵芥積込装置の動力源をオンオフする動力源メインスイッチであるPTOスイッチSWPを有し、PTOスイッチSWPをオンにしたこと(ステップT5)が第1タイミングまたは第2タイミングの条件とされている。これにより、PTOスイッチSWPのオンにより塵芥積込装置が駆動されるので、塵芥投入箱3の後方上部におけるカメラ71の取付角度が変わっていたとしても、塵芥積込作業を行う際、その取付角度が変化したことを確実に認識することができる。
本実施形態では、制御部としての画像処理ユニット9は、第1タイミングの投入口テーブル65の後端位置を基準座標(Y0)とし、この基準座標(Y0)に対して、第2タイミングの投入口テーブル65の後端位置の座標(Y1)のずれがあるかどうかを判定するように構成され、さらに、画像処理ユニット9には、基準座標(Y0)の変更を可能にするためのカメラ角度調整スイッチSW8が接続されている。塵芥収集車100は仕様が多種多様にあり、カメラ71の取付位置も一定ではないため、カメラ71に映りこむ塵芥投入口4の形状、位置が変動する。このため、カメラ角度調整スイッチSW8を設け、カメラ71の取付位置や、塵芥投入口4の形状、位置等を考慮して、個々の車両ごとに基準座標(Y0)を調整可能にすることが好ましい。なお、上述した許容値についても、カメラ71の取付位置や、塵芥投入口4の形状、位置等を考慮して、個々の車両ごとに許容値を設定することが好ましい。
−その他の実施形態−
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
上記実施形態では、塵芥投入箱3の後方上部におけるカメラ71の取付角度を検出するための取付部品を投入口テーブル65とし、この投入口テーブル65の後端位置の変化を検出するようにした。しかし、これに限らず、塵芥投入箱3に取り付けられた投入口テーブル65以外の取付部品を用いてカメラ71の取付角度を検出してもよい。また、投入口テーブル65の後端位置以外の位置の変化を検出するようにしてもよい。なお、カメラ71の取付角度が変化しない限り、カメラ71の画像中の位置が固定されるものであれば特に部品でなくてもよい。例えば、テールゲート5の後端位置や、ハンドル、ホッパサイドパネル等の位置を検出してもよいし、あるいは、塵芥投入箱3の後部のいずれかの箇所を塗装したマーカーを検出してもよい。
上記実施形態では、画像取得部としてカメラ71を用いたが、画像取得部はカメラ71以外であってもよく、例えば、距離画像センサや、ステレオカメラ、3D−LIDAR等のような画像の取得および距離の計測が可能なものであってもよい。
上記実施形態では、第1タイミング(ステップT26)および第2タイミング(ステップT12)で得られた投入口テーブル65の後端位置の第1位置(Y0)および第2位置(Y1)を用いたが、上記以外のタイミングで第1位置(Y0)および第2位置(Y1)を得てもよい。
上述した人物検出用エリア(第1の検知エリアA11、第2の検知エリアA12)や、投入口テーブル検知エリアA3は一例であって、上記以外のエリアを採用してもよい。例えば、塵芥投入口4の後縁部4bよりも前方側のエリア全体を第2の検知エリアA12(侵入禁止エリア)として設定してもよい。この場合、ステップT177の判定で、上述した物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標が、塵芥投入口4の後縁部4bよりも前方側に含まれている場合には、第2の検知エリアA12に人物であると識別された物体像が検出されたと判定すればよい。
上記実施形態では、塵芥収集車100における画像処理制御(図9〜図11、図13参照)を制御装置PLCおよび画像処理ユニット9が分担して実行したが、単一の制御装置のみによって塵芥収集車100における画像処理制御を実行してもよい。例えば、制御装置PLCに画像処理ユニット9の機能も備えさせ、制御装置PLCのみによって、図9〜図11、図13のフローチャートを実行させるようにしてもよい。
上記実施形態では、報知部としての作動中ランプ72、検出ランプ73、認識エラー警告ランプ81およびカメラ角度異常警告ランプ82が画像処理ユニット9と電気的に接続されていたが、これらのランプ(報知部)を、塵芥積込装置の駆動を制御する制御装置PLCに接続してもよい。
上記実施形態では、いわゆる回転式の塵芥積込装置を装備した塵芥収集車100として本発明を具現化した場合について説明しており、塵芥積込装置の主要部は回転板10および押込板20により構成されている。しかし、これに限らず、塵芥積込装置の主要部は昇降板および押込板によって構成されていてもよく、その構造を特に限定するものではない。