本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に「前後左右」と言うこともある。
図1、図2には、本発明の実施形態に係る塵芥収集車100を示している。塵芥収集車100では、車台1上に塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが連設されており、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸(回動軸部)3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、左右一対の傾動シリンダ(図示省略)によって傾動されるようになっている。傾動シリンダによって、塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に上下方向に回動させることによって、塵芥収容箱2の後方開口部が開閉可能になっており、車両外部へ塵芥を排出することが可能になっている。
また、塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥G(図6参照)を投入するための略矩形状の塵芥投入口4が開口され、昇降可能なテールゲート5によって、塵芥投入口4が開閉されるようになっている。塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置の作動などの操作のためのスイッチボックス6が設けられている。
また、塵芥投入口4の上方には、塵芥投入口4およびその近傍のエリアを撮影するようにカメラユニット7が配設されている。カメラユニット7は、塵芥投入口4より上方に配設された塵芥投入箱3の傾斜後面部(湾曲状の後面部)3bから後方に突出する支持部材80を介して、塵芥投入箱3の上部に固定されている。具体的には、図2、図3に示すように、支持部材80は、傾斜後面部3bの左右両端部に基端部を有する枠状となっている。カメラユニット7は、支持部材80において塵芥投入箱3の左右中央部となる位置に固定されている。カメラユニット7は、第1カメラ71と、報知部としての検出ランプ73と、第2の報知部としての作動中ランプ72とを有している。
第1カメラ71は、撮像レンズ71aを有しており、この撮像レンズ71aが斜め下方に向くようにしてカメラユニット7に対し水平軸回りに上下回動調整可能に取り付けられている。作動中ランプ72と検出ランプ73は、第1カメラ71の撮像レンズ71aの近傍となる第1カメラ71の左右両側に設けられている。また、本実施形態では、第2カメラ75がカメラユニット7(第1カメラ71)とは別の箇所に設置されている。第2カメラ75は、塵芥投入箱3の左右一方の枢軸3aに取り付けられている。
次に、図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥Gを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置が装備されている。この塵芥積込装置によって、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、塵芥投入箱3の前方に連設された塵芥収容箱2へ押し込むようになっている。塵芥収容箱2には、塵芥積込装置の作動により塵芥収容箱2に収容された塵芥を、車両外部へ排出するための塵芥排出装置が設けられている。塵芥排出装置は、例えば塵芥収容箱2を、車台1と塵芥収容箱2との間に介設されたダンプシリンダによって傾動させて塵芥を排出したり、塵芥収容箱2の内部に設けられた排出板を排出シリンダによって塵芥収容箱2の後方に移動させて塵芥を排出したり、上述した傾動シリンダによって塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に上下方向に回動させて(図5に塵芥投入箱3の先端部の回動軌跡を一点鎖線で示す)、塵芥投入箱3を開放して塵芥を排出したりする。
本実施形態の塵芥積込装置は、回転板(積込部材)10の回転によって塵芥Gを掻き上げるとともに、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置として構成されている。塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。
図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。この油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、押込板20には、揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
具体的には、図3に実線で示すように、押込板20が塵芥収容箱2の側に最も揺動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が塵芥投入口4側に最も揺動し、図3に仮想線で示す後退限界位置に達した後も、回転板10の回動は継続される。
このようにして回転する回転板10は、塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き込んで、図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦、停止する。そうすると、今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んでいく。そして、押込板20が再び前進限界位置に達すると、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることによって、塵芥投入箱3に投入された塵芥Gが連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込作動が行われる。
塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1~LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、さらに所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっており、スイッチLS3~LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1~LS4としては、例えばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。また、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて作動していることを検出するためのセンサである。
さらに、図1、図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート62などが配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側に設けられたスイッチボックス6の側面に緊急停止ボタン60(図4のスイッチSW1に対応)が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61(図4のスイッチSW3に対応)が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW2をオンオフするように配設されている。また、図2に示すように、スイッチボックス6の後面には、停止解除スイッチ63が配設されている。この停止解除スイッチ63は例えばモーメンタリのスイッチSW4をオンオフするように配設されている。停止解除スイッチ63は、後述する塵芥積込装置の塵芥積込作動の緊急停止を解除する際に操作される。
次に、図4を参照して、塵芥積込装置を作動させるための制御系について説明する。この制御系は、塵芥積込装置の油圧モータ13や押込シリンダ24(図3参照)などに供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁に制御信号を出力する制御装置PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)と、第1カメラ71および第2カメラ75からの画像データに基づいて人物認識処理を行う人物検出部としての画像処理ユニット9とを備えている。油圧モータ13、押込シリンダ24は、図示しない油圧ポンプからの作動油が供給されることによって駆動されるようになっている。油圧ポンプには、車両走行駆動源としてのエンジン(図示省略)の動力を取り出すPTO(パワー テイク オフ)によって駆動力が伝達されるようになっている。
制御装置PLCは、塵芥積込装置の駆動だけでなく塵芥排出装置の駆動も制御するようになっている。塵芥排出装置の駆動制御としては、上述した傾動シリンダの駆動による塵芥投入箱3の開閉(塵芥収容箱2の後方開口部の開閉)の制御、上述したダンプシリンダによる塵芥収容箱2の上下動の制御、上述した排出シリンダによる塵芥収容箱2の排出板の前後動の制御などがある。
次に、図4に示すように、制御装置PLCへの電力供給はバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図4の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、塵芥収集車100のイグニッションスイッチSWK、PTOスイッチSWP、リレーコイルR1などが介設されている。
また、イグニッションスイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)にはリレーコイルR1の接点(リレースイッチ)r1が介設されている。この通電ラインK3には電源ランプLが介設されており、リレーコイルR1が励磁されて接点r1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。
また、リレーコイルR1の接点r1および電源ランプLの中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されており、これにより制御装置PLCの信号用電力供給部(図示省略)に電力が供給されるようになっている。つまり、接点r1が閉じられると、通電ラインK3,K4を介して制御装置PLCに電力が供給される。
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置の塵芥積込作動中には必ず制御装置PLCに通電されるようになっている。つまり、通電ラインK5は、いわゆる積込継続信号を入力するラインであり、ここには、上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1~SW3などが介設されている。これらのスイッチSW1~SW3によって通電(つまり、積込継続信号の入力)が遮断されると、塵芥積込装置の作動が停止されるようになっている。
また、通電ラインK4にはその途中から分岐する複数の分岐ラインが接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに、上述したスイッチLS1~LS4が介設されている。スイッチLS1~LS4からの信号は制御装置PLCに入力されるようになっており、これらの信号に基づいて塵芥積込装置の回転板10および押込板20の位置、言い換えれば作動状況が検出される。
さらに、スイッチLS1~LS4の他にも制御装置PLCへの入力側には、塵芥積込装置をサイクル作動させるための積込スイッチ(積込ボタン)SW5、塵芥積込装置の塵芥積込作動または塵芥排出装置の塵芥排出作動を切り替えるための切替スイッチSW6、上述した塵芥排出装置の塵芥排出作動の傾動シリンダを駆動して、塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に傾動させて開閉(ホッパ開閉)するためのホッパ開閉スイッチSW7、上述した塵芥排出装置の塵芥排出作動のダンプシリンダによる塵芥収容箱2の上下動(ダンプ)させるためのダンプスイッチSW8、塵芥積込作動の単動または連続の選択スイッチ(図示省略)、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ(図示省略)なども電気的に接続されている。切替スイッチSW6は、通電ラインK4から通電ラインK5が分岐する分岐位置に設けられており、通電ラインK5は、切替スイッチSW6の積込側に接続されている。切替スイッチSW6の排出側には、通電ラインK14が接続されており、通電ラインK14にホッパ開閉スイッチSW7、ダンプスイッチSW8が設けられている。なお、これらのスイッチSW5~SW8は運転席周辺に配設されている。
ホッパ開閉スイッチSW7は、例えばモーメンタリのトグルスイッチであり、中立位置(オフ)から上方へ傾けると開オンとなり、中立位置から下方へ傾けると閉オンとなるようになっている。
上述のように各種スイッチが制御装置PLCの入力側に接続されている一方、制御装置PLCの出力側には、上述した油圧モータ13、押込シリンダ24、排出シリンダ、傾動シリンダ、ダンプシリンダなどを駆動するための電磁制御弁のソレノイドが接続されている。そして、制御装置PLCは、スイッチSW1~SW8,LS1~LS4などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い、上述した油圧モータ13、押込シリンダ24、排出シリンダ、傾動シリンダ、ダンプシリンダなどを作動させるべく、対応するソレノイドに制御信号を出力するようにプログラムされている。
具体的には、塵芥積込装置が塵芥積込作動するときには、通電ラインK2上のイグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれもオンになると、リレーコイルR1が励磁される。これにより、リレーコイルR1の接点r1が閉じられるので、通電ラインK3およびK4によって制御装置PLCに電力供給されることにより、制御装置PLCが作動可能な状態になって適宜ソレノイドに制御信号を出力するようになる。
この制御信号を受けてソレノイドが励磁され、電磁制御弁の位置が適宜切り替えられることで、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油が供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、上述したように、回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
そして、切替スイッチSW6が排出側に切り替えられると、塵芥排出装置の塵芥排出作動が行われる。制御装置PLCからの制御信号を受けてソレノイドが励磁され、電磁制御弁の位置が適宜切り替えられることで、上述した排出シリンダ、傾動シリンダ、ダンプシリンダなどに作動油が供給される。これにより、排出シリンダ、傾動シリンダ、ダンプシリンダなどがそれぞれ作動し、排出シリンダ、傾動シリンダ、ダンプシリンダなどによって塵芥排出作動が行われる。
また、図4に示すように、イグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPの中間において、通電ラインK6の上流端が接続されており、この通電ラインK6には、画像処理ユニット9が接続されている。イグニッションスイッチSWKがオンになると、この通電ラインK6を介して、画像処理ユニット9に電力が供給される。画像処理ユニット9は、通電ラインK7を介してカメラユニット7の第1カメラ71に接続されるとともに、通電ラインK18を介して第2カメラ75に接続されている。また、画像処理ユニット9には、通電ラインK8を介して、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されるようになっている。
画像処理ユニット9には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPU、第1カメラ71および第2カメラ75からの画像データを取得し画像処理を行う画像処理部DSP、中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶する記憶部としてのメモリM、中央処理部CPUの指令を受けて監視用のモニタ93(図1参照)に画像処理の結果などを表示させる画像出力部VOP、データログの時刻を計時する計時部C、第1カメラ71および第2カメラ75の制御を行うカメラ制御部(図示省略)などが設けられている。画像処理部DSPは、画像処理ロジックを高速で行う集積回路であり、例えば図9のフローチャートに示すような人物認識処理のルーチンを実行する。なお、リレーコイルR1の接点r1よりも上流側において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK9の上流端が接続されており、この通電ラインK9を介して計時部Cへの電力供給が行われる。このため、イグニッションスイッチSWKがオフの場合にも、計時部Cへの通電が常時行われるようになっている。
また、画像処理ユニット9には、通電ラインK5から分岐する通電ラインK10が接続されている。この通電ラインK10は、画像処理ユニット9による人物認識処理について、塵芥排出装置の塵芥排出作動の際は機能せず、塵芥積込装置の塵芥積込作動の際に機能するための積込信号ラインになっている。通電ラインK10は、切替スイッチSW6の積込側に接続されており、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されるようになっている。
画像処理ユニット9と、制御装置PLCとの間には、作動スイッチSWSが介在されている。画像処理ユニット9には、人物安全信号の出力ポートが設けられており、この出力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK16により接続されている。また、画像処理ユニット9には、データログ開始信号の入力ポートが設けられており、この入力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK17により接続されている。また、作動スイッチSWSには、通電ラインK10から分岐された通電ラインK15が接続されている。
作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK16と通電ラインK12とを介して、画像処理ユニット9の人物安全信号の出力ポートと制御装置PLCとが接続される。
ここで、画像処理ユニット9から出力される人物安全信号は、通電ラインK16と通電ラインK12とを通って制御装置PLCに入力されるようになっている。しかし、塵芥積込装置の塵芥積込作動の際に人物が侵入禁止エリアY12に入ると、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されない。制御装置PLCは、人物安全信号の入力がないことを条件の1つとして、塵芥積込装置の塵芥積込作動の緊急停止を行うようになっている。
また、作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK6から分岐された通電ラインK11が通電ラインK17と接続される。この場合、イグニッションスイッチSWKがオンになると、通電ラインK6に通電が行われることにより、通電ラインK11と通電ラインK17を通じて、データログ開始信号が画像処理ユニット9に送られる。そして、それをトリガとしてデータログが実行される。
一方、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK15と通電ラインK12とを介して、通電ラインK10と制御装置PLCとが接続される。この場合、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、人物安全信号の代わりに制御装置PLCに入力される。このため、画像処理ユニット9が侵入禁止エリアで人物を認識したか否かにかかわらず、制御装置PLCは、人物安全信号の入力が常時あると認識するようになっている。
なお、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK17への通電は行われず、データログは開始されないようになっている。
また、画像処理ユニット9と、制御装置PLCとの間には、停止解除スイッチ63に対応するスイッチSW4が介在されている。スイッチSW4は、通電ラインK10から分岐された通電ラインK13に介設されている。停止解除スイッチ63がオン操作されていない場合には、スイッチSW4がオフ状態になっており、制御装置PLCには、信号が入力されないようになっている。一方、停止解除スイッチ63がオン操作された場合には、スイッチSW4がオン状態になり、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、停止解除のオン信号として制御装置PLCに入力されるようになっている。なお、塵芥積込装置の塵芥排出作動の際には、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されないため、停止解除スイッチ63の機能が無効になる。
制御装置PLCは、停止解除スイッチ63のオン信号を認識した場合、画像処理ユニット9からの人物安全信号の入力がなくなったとしてもそれを条件として塵芥積込装置の塵芥積込作動の緊急停止を行わないようになっている。
画像処理ユニット9には、運転席周辺に配設されているパイロットランプ(図示省略)、塵芥投入口4の近傍に配設されている報知部としての作動中ランプ72および検出ランプ73が電気的に接続されており、これらの点灯制御が中央処理部CPUにより行われる。また、画像処理ユニット9には、後退警告音を出力するブザー91や、排出警告音を出力するブザー92が接続されており、これらの制御についても中央処理部CPUにより行われる。作動中ランプ72、検出ランプ73およびブザー91の低電位側は、通電ラインK13を介してグランドラインK1に接続されている。
図1、図5、図6に示すように、塵芥投入箱3の背面の上部、言い換えれば、塵芥投入口4の上方には第1カメラ71が配設され、その撮像レンズ71aが後方の斜め下に向けられている。図5、図6に示すように、塵芥投入箱3の枢軸3aには、第2カメラ75が配設され、その撮像レンズが後方の斜め下に向けられている。第2カメラ75の光軸の角度は、第1カメラ71の光軸の角度に比べて若干水平方向寄りになっている。図5、図6には、塵芥投入口4の近傍に立った人物H(作業者)が両腕を前方に伸ばして、塵芥G(図5、図6では、ごみ袋)を積み込む様子が示されている。第1カメラ71は本来、塵芥収集車100の運転者が後方を監視するためのバックカメラとして用いられるものであり、図5、図6に一例を示すように塵芥投入口4およびその後方(外方)の所定範囲を撮影するようになっている。
第1カメラ71および第2カメラ75の光軸は、塵芥投入口4の後方を撮影するために、鉛直下向きから後方に振り向けられて、塵芥投入口4の近傍の人物Hおよび塵芥Gを上方から撮影するようになっている。そして、第1カメラ71および第2カメラ75によって撮影され、画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づいて、画像処理ユニット9は、作業者などの人物Hが塵芥投入口4およびその後方の人物検出用エリアにいるか否かを判定するようにしている。
具体的には、積込用の人物検出用エリアである第1の検知エリアY11(図6に破線で示す)は、例えば、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアであり、塵芥投入口4の近傍の矩形のエリアに設定される。この第1の検知エリアY11のうち、最も塵芥投入口4の近傍のエリアが、侵入禁止エリアY12(図6に実線で示す)として設定されている。侵入禁止エリアY12は、例えば、塵芥投入口4の前縁部4aと後縁部4b近傍との間の矩形のエリアに設定される。この侵入禁止エリアY12は、少なくとも塵芥投入口4の前縁部4a、後縁部4b、左縁部4c、および右縁部4dで囲まれた領域の一部を含むように設定される。
塵芥積込装置の作動時、第1カメラ71によって撮影され、画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づいて、画像処理ユニット9は、第1の検知エリアY11に人物Hがいるか否かを判定する。第1の検知エリアY11に人物Hがいると判定され、さらに、その人物Hが侵入禁止エリアY12にいると判定されれば停止信号を制御装置PLCに送り、制御装置PLCが塵芥積込装置の作動を停止させるようにしている。
また、本実施形態では、塵芥排出装置の作動時、第2カメラ75によって撮影され、画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づいて、人物Hが塵芥投入口4の後方の排出用の人物検出用エリアである第2の検知エリアY2(図5、図6に1点鎖線で示す)にいるか否かが画像処理ユニット9により判定される。そして、第2の検知エリアY2に人物Hがいると判定すれば停止信号を制御装置PLCに送り、制御装置PLCが塵芥排出装置の作動を停止させるようにしている。第2の検知エリアY2は、第1の検知エリアY11、およびその後方のエリアを含む矩形のエリアに設定される。また、第2の検知エリアY2は、塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に上下方向に回動させたときの塵芥投入箱3の先端部の回動軌跡(図5に一点鎖線で示す)を含むエリアに設定される。なお、モニタ93上には、第1カメラ71の画像とともに、積込用の第1の検知エリアY11の外縁に対応するライン(図6に破線で示す)、侵入禁止エリアY12の外縁に対応するライン(図6に実線で示す)、排出用の第2の検知エリアY2の外縁に対応するライン(図6に1点鎖線で示す)が表示されている。
なお、本実施形態では、積込用の第1の検知エリアY11および排出用の第2の検知エリアY2に加えて、後退用の人物検出用エリアである第3の検知エリア(図示省略)が設定されている。第3の検知エリアは、第2の検知エリアY2(第1の検知エリアY11も含む)、およびその後方のエリアを含む矩形のエリアに設定される。
次に、図7、図8のフローチャートを参照して、塵芥収集車100で行われる画像処理に基づく制御のルーチンについて説明する。図7、図8では、便宜上、図7に示す制御装置PLCが実行する制御と、図8に示す画像処理ユニット9が実行する制御とに分けて示している。
まず、制御装置PLCが実行する制御の流れについて、図7のフローチャートを参照して説明する。図7に示すように、スタート後のステップS1において、イグニッションスイッチをオフからオンに切り替える操作が作業者により行われ、さらに、ステップS2において、PTOスイッチSWPをオフからオンに切り替える操作が作業者により行われると、制御装置PLCの電源がオンになる。次に、ステップS3において、制御装置PLCは、停止解除をリセットする。ここでは、停止解除フラグを0にリセットする。このように、PTOスイッチSWPのオンに伴って、停止解除フラグをリセットするようにしている。停止解除フラグは、停止解除スイッチ63の操作状況に基づいて設定されるもので、停止解除スイッチ63のオフからオンへの操作に伴って、停止解除フラグが1にセットされる。
次に、ステップS4において、制御装置PLCは、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられているか否かを判定する。そして、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合(YES)、ステップS5に進み、切替スイッチSW6が積込側ではなく排出側に切り替えられている場合(NO)、ステップS20に進む。
ステップS5において、制御装置PLCは、停止解除フラグが1であるか否かを判定し、停止解除フラグが1である場合(YES)、ステップS8に進む。一方、停止解除フラグが0である場合(NO)、ステップS6に進み、制御装置PLCは、停止解除スイッチ63をオフからオンに切り替える操作が作業者により行われたか否かを判定する。そして、停止解除スイッチ63がオフからオンに切り替えられた場合(YES)、ステップS7において、制御装置PLCは、停止解除フラグを1にセットしてステップS8に進む。停止解除スイッチ63がオフからオンに切り替えられていない場合(NO)、ステップS10に進む。
ステップS8において、制御装置PLCは、リレーコイルR2を励磁して、リレースイッチr2をオフに切り替える。これにより、ステップS9において、検出ランプ73および作動中ランプ72が消灯される。
次に、ステップS10において、制御装置PLCは、積込スイッチSW5がオンになったか否かを判定する。積込スイッチSW5がオンになった場合(YES)、ステップS11に進み、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込作動を実行する。一方、積込スイッチSW5がオフである場合(NO)、制御装置PLCは、積込スイッチSW5がオンになるまで待機する。
次に、ステップS12において、制御装置PLCは、緊急停止ボタン60,61がオンになったか否かを判定する。緊急停止ボタン60,61がオンになった場合(YES)、ステップS13に進み、緊急停止ボタン60,61がオフである場合(NO)、ステップS15に進む。
ステップS13において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込作動の緊急停止を実行する。そして、ステップS14において、制御装置PLCは、制御装置PLCの電源がオンのままである場合(NO)、ステップS4に戻り、再度ステップS4以降の処理を実行する。一方、ステップS14において、制御装置PLCの電源がオフになった場合(YES)、このルーチンは終了される(エンド)。
上述したステップS12の判定で緊急停止ボタン60,61がオフである場合(NO)、ステップS15において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の回転板10が、危険な角度範囲Z1(図3参照)にあるか否かを判定する。この判定は、スイッチLS4からの信号の有無に基づいて行われる。そして、スイッチLS4からの信号がオンであり、塵芥積込装置の回転板10が危険な角度範囲Z1にある場合(YES)、ステップS16に進む。一方、スイッチLS4からの信号がオフであり、回転板10が危険な角度範囲Z1にない場合(NO)、ステップS18に進む。
次に、ステップS16において、制御装置PLCは、画像処理ユニット9から人物安全信号の入力がなかったか否かを判定する。人物安全信号は、後述するステップT8~T14、T16~T19の画像処理ユニット9の処理に基づいて、画像処理ユニット9から制御装置PLCに出力される。具体的には、作動スイッチSWSがオンであって、塵芥積込装置の塵芥積込作動の際に人物が侵入禁止エリアY12に入っている場合には、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されない(ステップT14)。
一方、作動スイッチSWSがオフの場合と、塵芥積込装置の塵芥積込作動の際に人物が第1の検知エリアY11で検出されなかった場合と、人物が侵入禁止エリアY12で検出されず、第1の検知エリアY11のみで検出された場合には、制御装置PLCに人物安全信号が入力される(ステップT17、T19)。そして、人物安全信号の入力がなかった場合(YES)、ステップS17に進み、人物安全信号の入力があった場合(NO)、ステップS18に進む。
ステップS17において、制御装置PLCは、停止解除フラグが0であるか否かを判定し、停止解除フラグが0である場合(YES)、ステップS13に進み、制御装置PLCは、塵芥積込装置の塵芥積込作動の緊急停止を実行する。一方、停止解除フラグが1である場合(NO)、ステップS18に進む。
ステップS18において、制御装置PLCは、塵芥積込装置の回転板10が、塵芥積込作動を停止する際の停止位置(1サイクル停止位置)にあるか否かを判定する。そして、塵芥積込装置の回転板10が、1サイクル停止位置にある場合(YES)、ステップS19に進み、塵芥積込装置の塵芥積込作動を通常停止する。一方、塵芥積込装置の回転板10が、1サイクル停止位置にない場合(NO)、ステップS11に戻り、再度ステップS11以降の処理を実行する。
上述したステップS4において、切替スイッチSW6が排出側に切り替えられている場合(NO)、ステップS20に進み、制御装置PLCは、ホッパ開閉スイッチSW7がオンされているかどうか判定する。ホッパ開閉スイッチSW7がオンされていれば、ステップS21に進む。
ステップS21において、制御装置PLCは、塵芥投入箱3(ホッパ)を開動作または閉動作させる。具体的には、例えば塵芥投入箱3を全閉状態から開動作させる場合は、ホッパ開閉スイッチSW7の開オン信号が入力されることに伴って、制御装置PLCは塵芥投入箱3を開動作させる。また、例えば塵芥投入箱3を全開状態から閉動作させる場合は、ホッパ開閉スイッチSW7の閉オン信号が入力されることに伴って、制御装置PLCは塵芥投入箱3を閉動作させる。そしてステップS22に進む。
次に、ステップS22において、制御装置PLCは、画像処理ユニット9からホッパ回動規制信号の入力があったか否かを判定する。ホッパ回動規制信号は、後述するステップT31~T39の画像処理ユニット9の処理に基づいて、画像処理ユニット9から制御装置PLCに出力される。具体的には、塵芥排出装置の塵芥排出作動の際、人物が第1カメラ71または第2カメラ75によって撮影された第2の検知エリアY2に入っている場合には、画像処理ユニット9からホッパ回動規制信号が出力され、制御装置PLCにホッパ回動規制信号が入力される(ステップT36)。一方、塵芥排出装置の塵芥排出作動の際に人物が第2の検知エリアY2で検出されなかった場合には、制御装置PLCにホッパ回動規制信号が入力されない(ステップT38)。そして、ホッパ回動規制信号の入力があった場合(YES)、ステップS23に進み、制御装置PLCは、塵芥排出装置の塵芥排出作動の緊急停止を実行する。ここで、塵芥排出作動の緊急停止としては、塵芥投入箱3を開閉(ホッパ開閉)するためのホッパ開閉スイッチSW7の操作を無効にする。具体的にはホッパ開閉スイッチSW7がオン操作されたとしても塵芥投入箱3を回動させないようにする。また、ホッパ開閉スイッチSW7が既にオン操作されて塵芥投入箱3が回動し始めている場合には塵芥投入箱3の回動を途中で停止させる。その後、ステップS22に戻り、ホッパ回動規制信号が入力されなくなるまで、ホッパ開閉スイッチSW7の操作無効と塵芥投入箱3の作動停止を維持する。
一方、ステップS22において、ホッパ回動規制信号の入力がなかった場合(NO)、ステップS24に進み、制御装置PLCは、塵芥投入箱3(ホッパ)が全開または全閉されたかどうかを判定する。塵芥投入箱3が全開または全閉であると判定されればステップS25に進む。一方、塵芥投入箱3が全開または全閉であると判定されなければステップS20に戻る。
塵芥投入箱3が全開または全閉になれば、ステップS25において、制御装置PLCは塵芥投入箱3の回動動作を停止させる。その後、ステップS14へ進む。
続いて、画像処理ユニット9が実行する制御の流れについて、図8のフローチャートを参照して説明する。図8に示すように、スタート後のステップT1において、イグニッションスイッチSWKをオフからオンに切り替える操作が作業者により行われると、画像処理ユニット9の電源がオフからオンになる。ステップT2において、画像処理ユニット9の初期化処理(起動処理)が行われる。
この初期化処理(起動処理)は、少なくとも数秒の時間がかかるものである。この初期化処理が終了するまで、すなわち起動中において、画像処理ユニット9は人物安全信号を出力することがなく、また、作動中ランプ72および検出ランプ73へのオン信号を出力することがない(画像処理ユニット9が作動中ランプ72および検出ランプ73を作動させないように制御する)。
仮に、この画像処理ユニット9の起動中に作業者がPTOスイッチSWPをオンにした場合には、制御装置PLCが画像処理ユニット9から人物安全信号の入力がないと認識することができ、作業者がPTOスイッチSWPのオンに引き続き積込ボタン64を押したとしても、制御装置PLCは人物安全信号の入力がないことに基づき塵芥積込装置を駆動させないように制御する。
ステップT3において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、画像処理ユニット9全体が正常に作動しているか否かを判定する。そして、画像処理ユニット9が正常に作動している場合(YES)、ステップT4に進み、画像処理ユニット9が正常に作動していない場合(NO)、ステップT20に進む。ステップT20、T21において、画像処理ユニット9は、作動中ランプ72を点灯させない一方、基板上に設けられたエラー表示灯を点灯させ、ステップT15に進む。
次に、ステップT4において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されていないか否かを判定する。後退信号は、車両の後退操作があった場合に通電ラインK8を介して画像処理ユニット9に入力され、この後退信号の有無に基づいて、ステップT4の判定が行われる。そして、後退信号の入力がなかった場合(YES)、ステップT5に進み、後退信号の入力があった場合(NO)、ステップT22に進む。
次に、ステップT5において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、積込ライン信号が入力されたか否かを判定する。積込ライン信号は、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、通電ラインK10を介して画像処理ユニット9に入力される。この積込ライン信号の有無に基づいて、ステップT5の判定が行われる。そして、積込ライン信号の入力があった場合(YES)、ステップT6に進む。一方、積込ライン信号の入力がなかった場合(NO)、切替スイッチSW6が排出側に切り替えられているとして、ステップT30に進む。
次に、ステップT6において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、作動中ランプ72を点灯させる。そして、ステップT7において、中央処理部CPUは、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を積込用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを積込用の人物検出用エリアである第1の検知エリアY11に設定する。積込用特徴データは、後述する人物認識処理(ステップT8)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。積込用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。積込用特徴データとして抽出される特徴については、人物を上方から見たときの頭部形状を主体としている。積込用の第1の検知エリアY11は、人物検出判定の際に用いられるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。上述したように、積込用の第1の検知エリアY11は、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアとして設定され、第1の検知エリアY11の一部に侵入禁止エリアY12が設定されている。第1の検知エリアY11および侵入禁止エリアY12はメモリMに格納されている。
次に、ステップT8において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、画像処理部DSPに人物認識処理を実行させる。画像処理ユニット9の画像処理部DSPが実行する人物認識処理の詳細について、図9のフローチャートを参照して説明する。まず、スタート後のステップT81において、第1カメラ71によって撮影され、画像処理ユニット9に入力される画像のデータ(入力画像データ)に対する二値化処理が、画像処理部DSPによって行われる。この二値化処理は、例えば、入力画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
次に、ステップT82において、画像処理部DSPによってラベリング処理が行われる。このラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として認識される。
そして、ステップT83~T85において、画像処理部DSPによって、上述した第1の検知エリアY11内で検知されたそれぞれの物体像についての人物識別処理が行われる。本実施形態では、塵芥投入口4の上方に第1カメラ71を配設し、下方の塵芥投入口4近傍をほぼ真上から撮影するようにしている。このため、その画像には、図6に一例を示すように人物Hの頭部が大きく表示されるとともに、上方から見た顔の一部も表示されることになる。そこで、ステップT83では、予め設定されている積込用特徴データを参照し、この積込用特徴データの条件を満たすような物体像を、仮に人物Hの頭部と判定する。
次に、頭部と仮判定した物体像について、それ以外の物体像と識別する処理をステップT84,T85で行う。まず、ステップT84において、第1カメラ71から時系列に入力される複数の画像データの差分処理(各画素毎の輝度値の差を求める処理)によって、物体像の位置の変化を検出する。この位置の変化、つまり、物体像の移動距離を、それに要した時間(画像データを取得する時間間隔)で除算して、物体像の移動速度を算出する。
次に、ステップT85において、ステップT84で算出された移動速度が予め設定した閾値以下であるか否かを判定する。この閾値は、塵芥投入口4に塵芥を投入する作業者の頭部の移動速度と、投入される塵芥の移動速度とを区別できるように、予め実験などによって設定されている。そして、算出された移動速度が閾値よりも高ければ、動作が速すぎるので人物Hの頭部ではないと識別し、否定判定して(NO)、ルーチンを終了する(エンド)。
一方、ステップT85において、算出された移動速度が閾値以下であると肯定判定すれば(YES)、物体像は人物Hの頭部であると判定(本判定)して、ステップT86に進み、人物検出信号を出力する。
次に、ステップT87において、人物Hの頭部であると判定された物体像が、上述した侵入禁止エリアY12に入っているか否かを判定する。ステップT87の判定は、物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標が、侵入禁止エリアY12に一部分でも含まれているか否かによって判定することが可能である。
そして、人物Hの頭部と識別した物体像が、侵入禁止エリアY12に入っていると肯定判定すれば(YES)、ステップT88に進んで塵芥積込装置の作動を停止させるべく、中央処理部CPUへ停止信号を出力し、ルーチンを終了する(エンド)。一方、物体像が侵入禁止エリアY12に入っていないと否定判定すれば(NO)、停止信号は出力せずにルーチンを終了する(エンド)。
図8のフローチャートに戻って、ステップT9において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、作動スイッチSWSがオンか否かを判定する。作動スイッチSWSがオンの場合(YES)、ステップT10に進み、作動スイッチSWSがオフの場合(NO)、ステップT16に進む。
そして、ステップT10において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、上述したステップT8の人物認識処理の処理結果(ログ)をメモリMに保存する。具体的には、人物検出信号の出力の有無(ステップT86)や、停止信号の出力の有無(ステップT88)が、画像処理ユニット9のメモリMに保存される。
次に、ステップT11において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT8の人物認識処理によって第1の検知エリアY11内に人物が検出されたか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、人物検出信号の出力があったか否かが判定される。そして、人物検出信号の出力があった場合(YES)、ステップT12に進み、人物検出信号の出力がなかった場合(NO)、ステップT16に進む。
次に、ステップT12において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT8の人物認識処理によって侵入禁止エリアY12内に人物が侵入したか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、停止信号の出力があったか否かが判定される。そして、停止信号の出力があった場合(YES)、ステップT13に進み、停止信号の出力がなかった場合(NO)、ステップT18に進む。
次に、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT13において、検出ランプ73のオン信号を出力し、ステップT14において、人物安全信号を制御装置PLCに出力せず、その後、ステップT15に進む。また、中央処理部CPUは、ステップT16において、検出ランプ73のオン信号を出力せず、ステップT17において、人物安全信号を制御装置PLCに出力し、その後、ステップT15に進む。さらに、中央処理部CPUは、ステップT18において、検出ランプ73のオン信号を出力し、ステップT19において、人物安全信号を制御装置PLCに出力し、その後、ステップT15に進む。
そして、ステップT15において、画像処理ユニット9は、画像処理ユニット9の電源がオンのままである場合(NO)、ステップT3に戻り、再度ステップT3以降の処理を実行する。一方、ステップT15において、画像処理ユニット9の電源がオフになった場合(YES)、このルーチンは終了される(エンド)。
上述したステップT4の判定で後退信号の入力があった場合(NO)、画像処理ユニット9は、ステップT22において、作動中ランプ72のオン信号を出力せず、ステップT23において、人物安全信号を制御装置PLCに出力せず、その後、ステップT24に進む。
そして、ステップT24において、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を後退用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを後退用の第3の検知エリアに設定する。後退用特徴データは、後述する人物認識処理(ステップT25)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。後退用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、頭部の大きさや形状などの特徴を抽出したものである。後退用特徴データとして抽出される特徴については、人物を後述する排出用特徴データよりも前方寄りの斜め上方から見たときの頭部形状を主体としている。第3の検知エリアは画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。
次に、ステップT25において、画像処理部DSPによって人物認識処理が行われる。ステップT25の人物認識処理は、上述したステップT8の人物認識処理(図9参照)と略同様であって、二値化処理、ラベリング処理、人物識別処理等を含んでいる。なお、人物識別処理では、ステップT24で設定された後退用特徴データが用いられる、この後退用特徴データの条件を満たすような物体像を、人物Hと判定する。なお、人物Hの認識については、頭部形状を識別することに限定されず、例えば手や足などを識別するようにしてもよい。
そして、ステップT26において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、上述したステップT25の人物認識処理の処理結果(ログ)をメモリMに保存する。次に、ステップT27において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT25の人物認識処理によって第3の検知エリア内に人物が検出されたか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、人物検出信号の出力があったか否かが判定される。そして、人物検出信号の出力があった場合(YES)、ステップT28において、画像処理ユニット9は、ブザー91を作動させて後退警告音を出力し、その後、ステップT15に進む。一方、人物検出信号の出力がなかった場合(NO)、ステップT29において、画像処理ユニット9は、ブザー91を作動させず、その後、ステップT15に進む。
上述したステップT5の判定で積込ライン信号の入力がなかった場合(NO)、画像処理ユニット9は、ステップT30において、作動中ランプ72のオン信号を出力せず、ステップT31において、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を排出用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを排出用の第2の検知エリアY2に設定する。排出用特徴データは、後述する人物認識処理(ステップT33)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。排出用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、頭部の大きさや形状などの特徴を抽出したものである。排出用特徴データとして抽出される特徴については、人物を上述した積込用特徴データよりも前方寄りの斜め上方から見たときの頭部形状を主体としている。第2の検知エリアY2は画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。
次に、ステップT32において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、第2カメラ75によって撮影された画像のデータを取得する。塵芥排出装置の塵芥排出作動の際、第1カメラ71(カメラユニット7)は、塵芥投入箱3とともに枢軸3aを中心に回動するため、第1の検知エリアY11や第2の検知エリアY2を第1カメラ71によって撮影できない可能性がある。そこで、第2カメラ75を塵芥投入箱3が回動した場合であっても、塵芥投入箱3とともに回動しない位置に設置し、その第2カメラ75によって撮影された画像のデータを画像処理ユニット9に入力するようにいている。
次に、ステップT33において、画像処理部DSPによって人物認識処理が行われる。ステップT33の人物認識処理は、上述したステップT8の人物認識処理(図9参照)と略同様であって、二値化処理、ラベリング処理、人物識別処理等を含んでいる。なお、人物識別処理では、ステップT32で設定された排出用特徴データが用いられる、この排出用特徴データの条件を満たすような物体像を、人物Hと判定する。なお、人物Hの認識については、頭部形状を識別することに限定されず、例えば手や足などを識別するようにしてもよい。
そして、ステップT34において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、上述したステップT34の人物認識処理の処理結果(ログ)をメモリMに保存する。次に、ステップT35において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT33の人物認識処理によって第2の検知エリアY2内に人物が検出されたか否かを判定する。この際、画像処理ユニット9のメモリMを参照して、人物検出信号の出力があったか否かが判定される。
そして、人物検出信号の出力があった場合(YES)、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT36において、ホッパ回動規制信号を制御装置PLCに出力し、ステップT37において、ブザー92を作動させてホッパ回動警告音を出力し、その後、ステップT15に進む。一方、人物検出信号の出力がなかった場合(NO)、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、ステップT38において、ホッパ回動規制信号を制御装置PLCに出力せず、ステップT39において、ブザー92によってホッパ回動警告音を出力せず、その後、ステップT15に進む。
上述したように、本実施形態では、塵芥投入箱3の内部に設けられた塵芥積込装置と、塵芥積込装置の作動により塵芥収容箱2に収容された塵芥を、車両外部へ排出するための塵芥排出装置と、塵芥投入箱3に設けられるとともに塵芥投入口4およびその後方(外方)のエリア(第1の検知エリアY11、第2の検知エリアY2)の物体像を取得する物体像取得部(第1カメラ71および第2カメラ75)と、塵芥積込装置および塵芥排出装置の作動を制御する制御装置PLCとを備え、制御装置PLCは、物体像取得部(第1カメラ71および第2カメラ75)から取得した物体像データに基づき、塵芥積込装置による塵芥積込作動時に人物が第1の検知エリアY11にいるか否かを判定する一方、塵芥排出装置による塵芥排出作動時に人物が第2の検知エリアY2にいるか否かを判定するように構成されている。
本実施形態によれば、塵芥積込装置による塵芥積込作動時だけでなく、塵芥排出装置による塵芥排出作動時にも、第1カメラ71および第2カメラ75によって撮影された画像のデータに基づいて、人物が塵芥投入口4およびその後方のエリア(第1の検知エリアY11、第2の検知エリアY2)にいるか否かを判定するようにしているので、塵芥排出装置による塵芥排出作動時に、車両後部の塵芥投入箱3の周囲を作業者が目視等で確認する場合に比べて、人物認識の精度を高めて安全性を確保することができる。
また、本実施形態では、塵芥収容箱2は後方開口部を有し、この後方開口部の上端部には、塵芥投入箱3が上下回動により後方開口部を開閉可能に軸支され、第2の検知エリアY2は、塵芥投入箱3を上下回動させるときの回動先端軌跡を含む領域に設定されている。この構成によれば、人物が第2の検知エリアY2内にいる場合、塵芥投入箱3を上下回動させると、塵芥投入箱3が人物に接触する危険性があるので、第2の検知エリアY2を塵芥投入箱3を上下回動させるときの回動先端軌跡を含む領域に設定することによって、塵芥排出装置による塵芥排出作動時に、塵芥投入箱3が人物に接触することを未然に防ぐことができ、安全性を確保することができる。
また、制御装置PLCと電気的に接続されるとともに塵芥投入箱3の開閉を行うためのホッパ開閉スイッチSW7が設けられ、制御装置PLCは、塵芥排出作動時に第2の検知エリアY2に人物がいると判定すれば、ホッパ開閉スイッチSW7からの開閉信号(オンオフ信号)の入力有無にかかわらず塵芥投入箱3を回動させないように構成されている。この構成によれば、塵芥排出装置による塵芥排出作動時に、ホッパ開閉スイッチSW7がオン操作されたとしても塵芥投入箱3が回動しないため、塵芥投入箱3が人物に接触することを未然に防ぐことができ、安全性を確保することができる。
また、塵芥投入箱3の背面上部に第1カメラ71が設けられ、開状態の塵芥投入箱3と塵芥収容箱2の後方開口部との間に形成されたエリアの物体像を取得するように、塵芥投入箱3の枢軸(回動軸部)3aに第2カメラ75が設けられている。この構成によれば、塵芥排出装置の塵芥排出作動の際、第2カメラ75が塵芥投入箱3とともに回動しない位置に設置されるので、第2カメラ75によって上記エリアの画像を確実に撮影することができ、上記エリアに人物がいるか否かの人物認識の精度を高めて安全性を確保することができる。
また、第1の検知エリアY11は、人物の検出に基づき塵芥積込装置の塵芥積込作動が停止される侵入禁止エリアY12が設定されている。この構成によれば、塵芥積込装置の塵芥積込作動時に、侵入禁止エリアY12における人物の検出に基づき、塵芥積込装置の塵芥積込作動が停止されるので、塵芥積込装置に人物が巻き込まれる事故の発生を抑制することができ、安全性を確保することができる。
また、塵芥積込装置の塵芥積込作動と塵芥排出装置の塵芥排出作動とを切り替える切替スイッチSW6を備え、切替スイッチSW6を切り替えることにより第1の検知エリアY11と第2の検知エリアY2とを切替制御するように構成されている。この構成によれば、切替スイッチSW6の操作によって、塵芥積込装置の塵芥積込作動と塵芥排出装置の塵芥排出作動との切り替えと同時に、第1の検知エリアY11と第2の検知エリアY2とを切替制御することができる。
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
上記実施形態では、塵芥排出装置の塵芥排出作動の一例として、傾動シリンダによって塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に上方へ回動させる場合について説明したが、これに限らず、その他の塵芥排出装置の塵芥排出作動についても本発明を適用可能である。そのような塵芥排出装置の塵芥排出作動としては、傾動シリンダによって塵芥投入箱3を枢軸3aを中心に下方へ回動させる場合や、ダンプシリンダによって塵芥収容箱2を上下動(ダンプ)させる場合や、排出シリンダによって塵芥収容箱2の排出板を前後動させる場合などがある。
上述した人物検出用エリア(第1の検知エリアY11、侵入禁止エリアY12、第2の検知エリアY2)は一例であって、上記以外のエリアを採用してもよい。例えば、塵芥投入口4の後縁部4bよりも前方側のエリア全体を侵入禁止エリアY12として設定してもよい。この場合、ステップT87の判定で、上述した物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標が、塵芥投入口4の後縁部4bよりも前方側に含まれている場合には、侵入禁止エリアY12に人物であると識別された物体像が検出されたと判定すればよい。なお、積込用の第1の検知エリアY11と、排出用の第2の検知エリアY2とを同じエリアに設定してもよい。
上述した第2カメラ75の設置箇所は一例であって、上記以外の箇所に第2カメラ75を設置してもよい。第2カメラ75は、第2の検知エリアY2を撮影することが可能な箇所であり、塵芥排出装置の塵芥排出作動の際、塵芥投入箱3が回動した場合であっても、塵芥投入箱3とともに回動しない箇所であれば任意の箇所に設置することが可能である。
上記実施形態では、塵芥収集車100における画像処理制御(図7~図9参照)を制御装置PLCおよび画像処理ユニット9が分担して実行したが、単一の制御装置のみによって塵芥収集車100における画像処理制御を実行してもよい。例えば、制御装置PLCに画像処理ユニット9の機能も備えさせ、制御装置PLCのみによって、図7~図9のフローチャートを実行させるようにしてもよい。
上記実施形態では、報知部としての作動中ランプ72および検出ランプ73が画像処理ユニット9と電気的に接続されていたが、これらのランプ(報知部)を、塵芥積込装置の駆動を制御する制御装置PLCに接続してもよい。
上記実施形態では、いわゆる回転式の塵芥積込装置を装備した塵芥収集車100として本発明を具現化した場合について説明しており、塵芥積込装置の主要部は回転板10および押込板20により構成されている。しかし、これに限らず、塵芥積込装置の主要部は昇降板および押込板によって構成されていてもよく、その構造を特に限定するものではない。