JP2021054371A - 制動制御装置 - Google Patents

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正雄 矢野
Masao Yano
正雄 矢野
壮太 鵜飼
Sota Ukai
壮太 鵜飼
健介 上田
Kensuke Ueda
健介 上田
拓人 鈴木
Takuto Suzuki
拓人 鈴木
佐藤 卓
Taku Sato
卓 佐藤
正勝 執行
Masakatsu Shigyo
正勝 執行
好隆 藤田
Yoshitaka Fujita
好隆 藤田
山下 智弘
Toshihiro Yamashita
智弘 山下
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Abstract

【課題】前輪に回生ジェネレータを備えた車両に適用され、車両が減速且つ旋回される場合における旋回性能の向上が可能な制動制御装置を提供する。【解決手段】制動制御装置SCは、前輪WHfに回生ジェネレータGNを備える車両に適用される。制動制御装置SCは、前記車両の後輪WHrに摩擦制動力Fmrを付与するアクチュエータHUと、前記車両の操舵操作部材SWの操舵状態量Sa、dSを取得する操舵センサSA、DSと、前記回生ジェネレータGNを介して前記前輪WHfの回生制動力Fgを制御し、前記アクチュエータHUを介して前記後輪WHrの摩擦制動力Fmrを制御するコントローラECUと、を備える。前記コントローラECUは、前記車両が旋回、且つ、減速する場合に、前記操舵状態量Sa、dSに基づいて、前記前輪WHfの回生制動力Fgを減少させ、前記後輪WHrの摩擦制動力Fmrを増加させる。【選択図】図4

Description

本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1は、車両の状態に応じて回生制動トルクまたは摩擦制動トルクを車輪に加えることによってアンチロックブレーキ制御を実行する車両用制動装置に関するものであって、車両の状態に応じて適切な制動力およびコーナーリングフォースを得ることができ、車両の制動距離を可能な限り短くすることができるとともに、運転者が要求する旋回を実現することを目的にしている。特許文献1には、「第2車輪(前輪)に対しては、ブレーキ操作に応じて、スリップ率が第2車輪のロックを防止する摩擦制動目標スリップ率となるように、摩擦制動部を介して摩擦制動トルクを加え、第1車輪(後輪)に対しては、ブレーキ操作に応じて、スリップ率が第1車輪のロックを防止する回生制動目標スリップ率となるように、駆動/回生制動部を介して回生制動トルクを加えるとともに、操舵状態検出部により検出された操舵状態に応じて、回生制動目標スリップ率を変更する。操舵状態検出部により検出された操舵状態に応じて、検出値が大きいほど回生制動目標スリップ率が小さくなるように変更する」ことが記載されている。つまり、特許文献1に記載の装置は、後輪に駆動/回生制動部(「回生ジェネレータ」ともいう)が設けられた車両に適用され、アンチロックブレーキ制御(単に、「アンチロック制御」ともいう)における性能向上(制動距離の短縮と旋回性能の向上)を達成するものである。
特開2015−30280号公報
ところで、一般的に、例えば電気自動車又はハイブリッド自動車では、室内スペースの確保等のため、前輪が駆動車輪とされる車両が多い。また、制動制御装置には、アンチロック制御時の性能向上のみならず、常用制動(「サービスブレーキ」ともいう)の際における、車両の旋回性の向上も求められている。
本発明の目的は、前輪に回生ジェネレータを備えた車両に適用され、車両が減速且つ旋回される場合における旋回性能の向上が可能な制動制御装置を提供することである。
車両の制動制御装置は、前輪に回生ジェネレータを備える車両に適用される。車両の制動制御装置は、前記車両の後輪に摩擦制動力を付与するアクチュエータと、前記車両の操舵操作部材の操舵状態量を取得する操舵センサと、前記回生ジェネレータを介して前記前輪の回生制動力を制御し、前記アクチュエータを介して前記後輪の摩擦制動力を制御するコントローラと、を備える。そして、前記コントローラは、前記車両が旋回、且つ、減速する場合に、前記操舵状態量に基づいて、前記前輪の回生制動力を減少させ、前記後輪の摩擦制動力を増加させる。
車輪(タイヤ)にて発生する制動力と、横力との間には、トレードオフ関係が存在する。制動力が小さい場合には、横力の発生は相対的に大きいが、制動力が大きい場合には、横力の発生は相対的に小さい。上記構成によれば、操舵状態量に基づいて、前輪に作用する回生制動力が小さくされるため、前輪横力の発生が増加される。同時に、後輪の摩擦制動力の増加によって、後輪の横力の増加が抑制される。前輪横力と後輪横力との差によって、車両を曲げ易くするヨーモーメントが発生し、車両の旋回性能の向上が可能となる。加えて、前輪に作用する回生制動力の減少が、後輪の摩擦制動力の増加によって補償され、車両の減速度の維持が可能となる。
制動制御装置SCを搭載した車両の全体構成図である。 回生協調制御を説明するためのフロー図である。 旋回性向上制御を説明するためのフロー図である。 旋回性向上制御の作動を説明するための時系列線図である。
<構成部材等の記号、及び、記号末尾の添字>
以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、演算処理、信号、特性、及び、値は、同一機能のものである。各車輪に係る記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、「f」は前輪に係るもの、「r」は後輪に係るものを示す包括記号である。例えば、車輪速度センサにおいて、前輪車輪速度センサVWf、及び、後輪車輪速度センサVWrと表記される。更に、記号末尾の添字「f」、「r」は省略され得る。添字「f」、「r」が省略された場合には、各記号は、その総称を表す。例えば、「VW」は、各車輪速度センサを表す。
加えて、記号末尾の添字「s」、「u」は、車両の旋回方向Daに対して外側、内側の何れに位置(対応)するかを表す記号である。例えば、車両の旋回方向外側に位置する後輪WHrは「WHrs」、旋回方向内側に位置する後輪WHrは「WHru」と表記される。同様に、後輪摩擦制動力Fmrにおいて、旋回方向外側の摩擦制動力は「Fmrs」、旋回方向内側の摩擦制動力は「Fmru」と表記される。
<制動制御装置SCを備えた車両の全体構成>
図1の全体構成図を参照して、制動制御装置SCの実施形態について説明する。車両は、駆動用の電気モータGNを備えたハイブリッド車両、又は、電気自動車である。駆動用の電気モータGNは、エネルギ回生用のジェネレータ(発電機)としても機能する。駆動用電気モータ(以下「回生ジェネレータ」又は「ジェネレータ」という)GNは、駆動シャフトKSを介して、前輪WHfに接続される。つまり、車両では、少なくとも前輪WHfが駆動車輪とされる。回生ジェネレータGNには、回転数Ngを検出するよう、回転センサNGが設けられる。そして、ジェネレータGNは、駆動コントローラECD(ECUの一部)によって制御される。
車両には、制動操作部材BP、ホイールシリンダCW、マスタシリンダCM、制動制御装置SC、操舵操作部材SW、操舵センサSA、及び、モード選択スイッチMDが備えられる。
制動操作部材(例えば、ブレーキペダル)BPは、運転者が車両を減速させるために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHに対する制動トルクTqが調整され、車輪WHに制動力(回生制動力+摩擦制動力)が発生する。具体的には、車両の車輪WHには、回転部材(例えば、ブレーキディスク)KTが固定される。そして、回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパCPが配置される。
ブレーキキャリパCPには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(制動液圧)Pwが増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)MSが、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体的に回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルク(即ち、摩擦制動力Fm)が発生する。
マスタシリンダCMは、制動操作部材BPに、ブレーキロッド等を介して、機械的に接続されている。例えば、マスタシリンダCMとして、タンデム型のものが採用される。制動操作部材BPが操作されると、マスタシリンダCM内のピストンが押され、マスタシリンダ内の液圧室から、制動液BFが圧送される。
操舵操作部材(例えば、ステアリングホイール)SWは、運転者が車両を旋回させるために操作する部材である。操舵操作部材SWが操作されることによって、操向車輪(例えば、前輪WHf)に操舵角Saが付与され、車輪WHに横力が発生し、車両が旋回する。
運転者による操舵操作部材(ステアリングホイール)SWの操舵状態量を検出するよう、操舵センサSAが設けられる。例えば、操舵センサSAによって、操舵状態量として、操舵角Saが検出される。この場合、操舵センサは、操舵操作部材SWの回転角度(操舵角)Saを検出する操舵角センサSAである。更に、操舵センサによって、操舵状態量として、操舵速度dSが検出されてもよい。この場合、操舵センサは、操舵操作部材SWの操舵速度(回転角度速度)dSを検出する操舵速度センサDSである。ここで、操舵速度dSは、操舵角Saが時間微分されて演算されてもよい。操舵角Sa、操舵速度dSは、制動コントローラECB(コントローラECUの一部)に入力される。
モード選択スイッチMD(単に、「スイッチ」ともいう)は、運転者によって操作される部材である。スイッチMDによって、運転者が所望する特性が選択される。例えば、スイッチMDでは、「スポーツモード」と「ノーマルモード」とが選択可能であり、その選択結果(信号)Mdに基づいて、後述する旋回性向上制御の特性(演算マップ)が調整される。また、スイッチMDには、「スノーモード/ノーマルモード」が設けられ、選択信号Mdに応じて、上記の特性変更が行われる。
<制動制御装置SC>
制動制御装置SCによって、車輪WHに制動力が発生する。制動制御装置SCは、制動操作量センサBA、車輪速度センサVW、ストロークシミュレータSS、流体ユニットHU、及び、コントローラECUを備えている。
運転者による制動操作部材(ブレーキペダル)BPの操作量である制動操作量Baを検出するように、制動操作量センサBAが設けられる。具体的には、制動操作量センサBAとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pmを検出するマスタシリンダ液圧センサ、制動操作部材BPの操作変位Spを検出する操作変位センサ、及び、制動操作部材BPの操作力Fpを検出する操作力センサのうちの少なくとも1つが採用される。つまり、制動操作量センサBAによって、制動操作量Baとして、マスタシリンダCM内の液圧(マスタシリンダ液圧)Pm、制動操作部材BPの操作変位Sp、及び、制動操作部材BPの操作力Fpのうちの少なくとも1つが検出される。
各車輪WHには、車輪WHの回転速度である車輪速度Vwを検出するよう、車輪速度センサVWが備えられる。車輪速度Vwは、車輪WHのロック傾向を抑制するアンチロック制御等に採用される。車輪速度センサVWによって検出された車輪速度Vwは、コントローラECU(例えば、ECB)に入力される。コントローラECUでは、車輪速度Vwに基づいて、車体速度Vsが演算される。
例えば、車両の減速時には、4つの車輪速度Vwのうちの最も速いもの(最速の車輪速度)に基づいて、車体速度Vsが演算される。更に、車体速度Vsの演算において、その時間変化量において制限が設けられ得る。具体的には、車体速度Vsの増加勾配の上限値αup、及び、減少勾配の下限値αdnが設定され、車体速度Vsの変化が、上下限値αup、αdnによって制約される。
ストロークシミュレータ(単に、「シミュレータ」ともいう)SSが、制動操作部材BPに操作力Fpを発生させるために設けられる。シミュレータSSの内部には、ピストン、及び、弾性体(例えば、圧縮ばね)が備えられる。マスタシリンダCMから制動液BFがシミュレータSSに移動され、流入する制動液BFによりピストンが押される。ピストンには、弾性体によって制動液BFの流入を阻止する方向に力が加えられる。この弾性体によって、制動操作部材BPが操作される場合の操作力Fpが形成される。
流体ユニットHU(「アクチュエータ」に相当)は、制動流体路HWを介して、ホイールシリンダCWに接続される。流体ユニットHUとして、電動ポンプ、複数の電磁弁、及び、ダンパ等を含む、公知の構成が利用される。流体ユニットHUの構成として、例えば、特開2010−280383号公報(図1)、特開2016−37160号公報(図1、2)、特開2012−131263号公報(図2)等を参照することができる。流体ユニットHUによって、制動液圧Pwは、制動操作部材BPの操作とは独立に、且つ、各輪で個別に調整される。
コントローラ(「電子制御ユニット」ともいう)ECUは、マイクロプロセッサMC等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMCにプログラムされた制御アルゴリズムにて構成されている。コントローラECU内には、流体ユニットHU(アクチュエータ)を制御する制動コントローラECB、及び、ジェネレータGNを制御する駆動コントローラECDが含まれる。これらは、信号(検出値、演算値等)を共有するよう、車載の通信バスBSを通してネットワーク接続されている。つまり、通信バスBSを介して接続されたコントローラが、総称して「コントローラECU」と称呼される。例えば、検出された(又は、演算された)、操舵角Sa、操舵速度dS、制動操作量Ba、及び、車輪速度Vwは、制動コントローラECBに入力される。制動コントローラECBによって、流体ユニットHU(特に、電動ポンプの電気モータ、及び、電磁弁)が制御され、制動液圧Pw(即ち、摩擦制動力Fm)が調整される。また、後述する回生量Rgが、通信バスBSを介して、制動コントローラECBから駆動コントローラECDに送信され、回生協調制御が実行される。
<回生協調制御の演算処理>
図2のフロー図を参照して、回生協調制御の演算処理について説明する。回生協調制御では、ジェネレータGNによる回生制動力と、制動液圧Pwによる摩擦制動力(摩擦材MSと回転部材KTとの摩擦によって発生する制動力)とが協調して発生する。回生協調制御によって、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換され、蓄電池に回収される。例えば、該制御のアルゴリズムは、コントローラECU内の制動コントローラECBにプログラムされている。
ステップS110にて、各種信号(Ba、Vs、Ng等)が読み込まれる。制動操作量Baは、制動操作量センサBA(マスタシリンダ液圧センサ、操作変位センサ、操作力センサ等)によって検出される。車体速度Vsは、車輪速度Vwに基づいて演算される。ジェネレータ回転数Ngは、回転数センサNGによって検出され、コントローラECUに入力される。
ステップS120にて、制動操作量(以下、単に「操作量」ともいう)Baに基づいて、「制動中であるか、否か」が判定される。例えば、操作量Baが、所定値boよりも大きい場合には、ステップS120は肯定され、処理はステップS130に進められる。一方、操作量Baが所定値bo以下である場合には、ステップS120は否定され、処理はステップS110に戻される。ここで、所定値boは、制動操作部材BPの遊びに相当する、予め設定された定数である。
ステップS130にて、ブロックX130に示す特性にて、操作量Ba(マスタシリンダ液圧Pm、操作変位Sp、及び操作力Fpのうちの少なくとも1つ)に基づいて、要求制動力Fdが演算される。要求制動力Fdは、車両に作用する総制動力Fの目標値であり、「制動制御装置SCによる摩擦制動力Fm」と「ジェネレータGNによる回生制動力Fg」とを合わせた制動力である。要求制動力Fdは、演算マップZfdに従って、操作量Baが「0」から所定値boの範囲では、「0」に決定され、操作量Baが所定値bo以上では、操作量Baが増加するに伴い、「0」から単調増加するよう演算される。
ステップS140にて、ブロックX140に示す特性にて、車体速度Vs、及び、演算マップZfsに基づいて、回生制動力の最大値(「最大回生力」という)Fsが演算される。最大回生力Fs用の演算マップZfsでは、車体速度Vsが「0」以上で第1所定速度vo未満の範囲にある場合、車体速度Vsの増加に従って、最大回生力Fsが増加するように設定される。また、車体速度Vsが第1所定速度vo以上で第2所定速度vp未満の範囲にある場合、最大回生力Fsは、上限値fsに決定される。そして、車体速度Vsが第2所定速度vp以上である場合、車体速度Vsが増加するに従って、最大回生力Fsが減少するように設定されている。例えば、最大回生力Fsの減少特性(「Vs≧vp」の特性)では、車体速度Vsと最大回生力Fsとの関係は双曲線で表される(即ち、回生電力が一定)。ここで、各所定値vo、vpは予め設定された定数である。なお、演算マップZfsでは、車体速度Vsに代えて、ジェネレータGNの回転数Ngが採用され得る。
回生ジェネレータGNの回生量は、駆動コントローラECDのパワートランジスタ(IGBT等)の定格、及び、バッテリの充電受入性によって制限される。電力(仕事率)が一定である場合、ジェネレータGNによる車輪軸まわりの回生トルクは、車輪WHの回転数(つまり、車体速度Vs)に反比例する。また、ジェネレータGNの回転数Ngが低下すると、回生量は減少する。演算マップZfsの特性では、ジェネレータGNの回生量が、所定の電力(単位時間当りの電気エネルギ)に制限されるよう、設定される。
ステップS150にて、要求制動力Fd、及び、最大回生力Fsに基づいて、「要求制動力Fdが、最大回生力Fs以下であるか、否か」が判定される。つまり、運転者によって要求されている制動力Fdが、回生制動力Fgのみによって達成可能か、否かが判定される。「Fd≦Fs」であり、ステップS150が肯定される場合には、処理はステップS160に進められる。一方、「Fd>Fs」であり、ステップS150が否定される場合には、処理はステップS170に進められる。
ステップS160にて、要求制動力Fdが、回生制動力Fgに決定される(即ち、「Fg=Fd」)。ステップS160では、回生制動力Fgが十分に足りているため、目標摩擦制動力Fmは「0」に演算される。目標摩擦制動力Fmは、回転部材KTと摩擦部材MSとの摩擦によって達成されるべき制動力の目標値である。この場合、車両減速には、摩擦制動力Fmが採用されず、回生制動力Fgのみによって、要求制動力Fdが達成される。
ステップS170にて、回生制動力Fgが、最大回生力Fsに決定される。また、ステップS170では、目標摩擦制動力Fmが、要求制動力Fd、及び、最大回生力Fsに基づいて演算される。具体的には、目標摩擦制動力Fmは、要求制動力Fdから、最大回生力Fsが減算されて決定される(即ち、「Fm=Fd−Fs」)。つまり、要求制動力Fdにおいて、回生制動力Fg(=Fs)では不足する分が、目標摩擦制動力Fmによって補われる。
ステップS180にて、回生制動力Fgに基づいて、回生量Rgが演算される。回生量Rgは、ジェネレータGNの回生量の目標値である。回生量Rgは、通信バスBSを介して、制動コントローラECBから駆動コントローラECDに送信される。
ステップS190にて、摩擦制動力の目標値Fmに基づいて、制動液圧Pwの目標値である目標液圧Ptが演算される。つまり、目標摩擦制動力Fmが液圧に換算されて、目標液圧Ptが決定される。具体的には、制動装置の諸元(ホイールシリンダCWの受圧面積、摩擦材MSの摩擦係数、回転部材KTの制動有効半径等)に基づいて、目標摩擦制動力Fmが「0」から増加するに従って、目標液圧Ptは「0」から増加するように決定される。
ステップS200にて、制動液圧Pwが、目標液圧Ptに一致するよう、コントローラECUによって流体ユニットHUが制御される。例えば、流体ユニットHUに含まれる、電気モータが駆動され、調圧弁がサーボ制御される。これにより、車輪WHに摩擦制動力Fmが発生する。
<旋回性向上制御の演算処理>
図3のフロー図を参照して、旋回性向上制御について説明する。旋回性向上制御は、回生協調制御において、車両の旋回性能を向上させるものである。ここで、車両の旋回性能は、運転者の意図通りに車両が曲げられる性能であり、「車両の回頭性」ともいう。旋回性向上制御のアルゴリズムは、コントローラECU内の制動コントローラECBにプログラムされている。
ステップS110にて、各種信号(Ba、Sa等)が読み込まれる。操作量Baは、制動操作量センサBA(マスタシリンダ液圧センサ、操作変位センサ、及び/又は操作力センサ等)によって検出される。操舵角Saは、SAによって検出される。Ba、操舵角Saは、コントローラECUに入力される。
ステップS220にて、ステップS120と同様に、操作量Baに基づいて、「制動中であるか、否か」が判定される。操作量Baが、所定値bo(予め設定された定数)よりも大きい場合には、ステップS220は肯定され、処理はステップS230に進められる。一方、操作量Baが所定値bo以下である場合には、ステップS220は否定され、処理はステップS210に戻される。
ステップS220にて、操舵角Saに基づいて、「車両が旋回中であるか、否か」が判定される。操舵角Saの大きさ(絶対値)が、所定角soよりも大きい場合には、ステップS220は肯定され、処理はステップS230に進められる。一方、操舵角Saが所定角so以下である場合には、ステップS220は否定され、処理はステップS210に戻される。ここで、soは、予め設定された定数(所定値)である。
ステップS240にて、操舵角Saに基づいて、操舵速度dSが演算される。具体的には、操舵角Saが時間微分されて、操舵速度dSが決定される。なお、操舵センサとして、操舵速度センサDSが備えられる場合には、この検出結果(操舵速度)dSが用いられてもよい。ここで、操舵角Sa、操舵速度dSが、「操舵状態量」と称呼(総称)される。
ステップS250にて、「旋回性向上制御が実行中か、否か」が判定される。ステップS250が否定される場合には、処理はステップS260に進められる。ステップS250が肯定される場合には、処理はステップS270に進められる。
ステップS260にて、操舵状態量(Sa、dS)に基づいて、「旋回性向上制御の実行が開始されるか、否か」が判定される(制御開始判定)。操舵状態量が所定状態量(予め設定されたしきい値)以上である場合に、旋回性向上制御が開始される。一方、操舵状態量が所定状態量未満では、旋回性向上制御が開始されない。
例えば、旋回性向上制御の開始判定では、操舵角Sa、及び、操舵速度dSの夫々について、制御開始用のしきい値sa、dsが設定されている。開始所定角(しきい値)saは、所定角soよりも大きい、予め設定された正符号の定数である。また、開始所定速度(しきい値)dsも、同様に、予め設定された正符号の定数である。ステップS260にて、「操舵角Saの大きさ(絶対値)がsa以上、且つ、操舵速度dSの大きさ(絶対値)が所定速度ds以上」の条件が満足された場合に、旋回性向上制御の実行が開始される。「|Sa|≧sa」、且つ、「|dS|≧ds」の場合(即ち、操舵状態量が所定状態量以上になった場合)に、ステップS260が肯定され、処理は、ステップS280に進められる。開始条件が初めて満足された時点から、旋回性向上制御の実行継続時間Tsが演算される。一方、「|Sa|<sa」、又は、「|dS|<ds」の場合には、ステップS260が否定され、処理は、ステップS210に戻される。
ステップS270にて、操舵速度dS、及び、継続時間Tsのうちの少なくとも1つに基づいて、「旋回性向上制御の実行が終了されるか、否か」が判定される(制御終了判定)。開始判定と同様に、終了判定でも、操舵速度dSについて、制御終了用のしきい値dtが設定される。終了所定速度(しきい値)dtは、開始所定速度dsも小さい、予め設定された正符号の定数である。また、継続時間Tsについて、制御終了用のしきい値tsが設定される。所定時間(しきい値)tsは、予め設定された定数である。
ステップS270にて、「操舵速度dSの大きさ(絶対値)がdt未満」の条件が満足された場合に、旋回性向上制御の実行が終了される。即ち、「|dS|<dt(<ds)」の場合に、ステップS270が肯定され、処理は、ステップS210に戻される。一方、「|dS|≧dt」の場合には、ステップS270は否定され、処理は、ステップS280に進められる。
また、ステップS270にて、「継続時間Tsが所定時間ts以上」の条件が満足された場合に、旋回性向上制御の実行が終了される。即ち、「Ts≧ts」の場合に、ステップS270が肯定され、処理は、処理は、ステップS210に戻される。一方、「Ts<ts」の場合には、ステップS270は否定され、処理は、ステップS280に進められる。
ステップS280では、操舵角Sa(絶対値)、及び、操舵速度dS(絶対値)のうちの少なくとも1つに基づいて、減少量Faが演算される。減少量Faは、回生制動力Fgを減少させるための状態量(変数)である。従って、ステップS280では、ステップS160、又は、ステップS170にて演算された回生制動力Fgが、減少量Faだけ減少される。
減少量演算ブロックFAに示す演算マップZfaに従って、減少量Faが演算される。具体的には、減少量Faは、操舵速度dSの大きさが所定速度ds未満では、「0」に演算される。そして、「|dS|≧ds」では、操舵速度dSが増加するに従って、減少量Faが単調増加するように演算される。また、操舵角Saの大きさがsa未満では、「0」に演算される。そして、「|Sa|≧sa」では、操舵角Saが増加するに従って、減少量Faが単調増加するように演算される。
更に、減少量Faは、操舵角Saと操舵速度dSとの相互関係に基づいて決定されてもよい。具体的には、以下の式(1)にて、減少量Faが演算される。ここで、係数K1、及び、係数K2は、予め設定された定数である。
Fa=K1×(|Sa|−sa)+K2×(|dS|−ds) …(1)
何れにしても、操舵状態量Sa、dSが大きいほど、回生制動力Fgの減少量Faが大きく演算される。
車輪(タイヤ)にて発生する制動力(「前後力」ともいう)と、横力との間には、トレードオフの関係が存在する。つまり、車輪制動力が小さい場合には、車輪横力の発生は相対的に大きくされ得る。一方、車輪制動力が大きい場合には、車輪横力の発生は相対的に小さい。操舵状態量Sa、dSが大きいほど、前輪WHfに作用する回生制動力Fgが小さくされるため、前輪WHfの横力Fyfの発生が増加される。このため、車両の旋回性能(即ち、回頭性能)が向上する。
ステップS290では、操舵角Sa(絶対値)、及び、操舵速度dS(絶対値)のうちの少なくとも1つに基づいて、増加量Fbが演算される。増加量Fbは、後輪摩擦制動力Fmrを増加させるための状態量(変数)である。従って、ステップS290では、ステップS160、又は、ステップS170にて演算された後輪摩擦制動力Fmrが、増加量Fbだけ増加される。
増加量演算ブロックFBに示す演算マップZfb(上段の特性図)に従って、増加量Fbが演算される。具体的には、増加量Fbは、操舵速度dSの大きさが所定速度ds未満では、「0」に演算される。そして、「|dS|≧ds」では、操舵速度dSが増加するに従って、増加量Fbが単調増加するように演算される。また、操舵角Saの大きさがsa未満では、「0」に演算される。そして、「|Sa|≧sa」では、操舵角Saが増加するに従って、増加量Fbが単調増加するように演算される。
更に、増加量Fbは、操舵角Saと操舵速度dSとの相互関係に基づいて決定されてもよい。具体的には、以下の式(2)にて、増加量Fbが演算される。ここで、係数K3、及び、係数K4は、予め設定された定数である。
Fb=K3×(|Sa|−sa)+K4×(|dS|−ds) …(2)
何れにしても、操舵状態量Sa、dSが大きいほど、後輪WHrの摩擦制動力Fmrの増加量Fbが大きく演算される。
操舵状態量Sa、dSの増加に応じて、前輪WHfに作用する回生制動力Fgが小さくされるが、その際に、後輪WHrの摩擦制動力Fmrが増加される。このため、回生制動力Fgの減少に伴う車両減速度の低下が、後輪摩擦制動力Fmrの増加によって補償される。加えて、制動力−横力間のトレードオフ関係に応じて、後輪WHrの横力Fyrの増加が抑制されるため、更に、車両の旋回性能(即ち、回頭性能)が向上する。
更に、ステップS290では、操舵角Saに基づいて、旋回方向Daが判定される。例えば、操舵角Saの中立位置(車両の直進走行に対応)が「0(基準)」とされ、操舵角Saの符号に基づいて旋回方向Daが決定される。そして、旋回方向Daに基づいて、旋回内側車輪WHu(=WHfu、WHru)と、旋回外側車輪WHs(=WHfs、WHrs)とが識別される。
そして、旋回内側後輪WHruと旋回外側後輪WHrsとで個別に増加量Fbが演算される。すなわち、旋回内側増加量Fbu及び外側増加量Fbsが演算される。ここで、旋回内側増加量Fbuは、旋回内側後輪WHruの摩擦制動力Fmruを増加させるための状態量(変数)であり、旋回外側増加量Fbsは、旋回外側後輪WHrsの摩擦制動力Fmrsを増加させるための状態量である。つまり、ステップS290では、ステップS160、又は、ステップS170にて演算された旋回内側後輪摩擦制動力Fmruが旋回内側増加量Fbuだけ増加され、旋回外側後輪摩擦制動力Fmrsが外側増加量Fbsだけ増加される。
旋回内側、外側増加量Fbu、Fbsは、増加量演算ブロックFBに示す演算マップZfu、Zfs(下段の特性図)に従って、操舵速度dSの大きさに基づいて演算される。具体的には、「|dS|≧ds」において、操舵速度dSが増加するに従って、旋回内側、外側増加量Fbu、Fbsが単調増加するように演算される。上記と同様に、同一の操舵速度dSにおいて、旋回内側増加量Fbuは、常に、旋回外側増加量Fbsよりも大きい。例えば、旋回外側増加量Fbsは、「0」に決定され、旋回内側増加量Fbuのみが増加されてもよい。つまり、回生制動力Fgが減少される際には、旋回外側後輪摩擦制動力Fmrsは増加されず、そのままの状態に維持され、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruのみが増加されてもよい。
また、旋回内側、外側増加量Fbu、Fbsは、操舵角Saの大きさに基づいて演算される。つまり、「|Sa|≧sa」において、操舵角Saが増加するに従って、旋回内側、外側増加量Fbu、Fbsが単調増加するように決定される。このとき、同一の操舵角Saにおいて、旋回内側増加量Fbuは、常に、旋回外側増加量Fbsよりも大きい。例えば、上記同様、旋回外側増加量Fbsは「0」に決定され、旋回内側増加量Fbuのみが増加されてもよい。つまり、回生制動力Fgが減少される際には、旋回外側後輪摩擦制動力Fmrsは増加されず、そのままの状態に維持され、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruのみが増加されてもよい。
更に、旋回内側、外側増加量Fbu、Fbsは、式(1)、(2)と同様の演算方法(操舵状態量Sa、dSの各しきい値sa、dsからの偏差に係数を乗じたものを加算する演算)によって、操舵角Saと操舵速度dSとの相互関係に基づいて決定されてもよい。この場合においても、旋回内側増加量Fbuは、常に、旋回外側増加量Fbsよりも大きい(例えば、「Fbu>Fbs=0」)。このため、旋回外側後輪WHrsの摩擦制動力Fmrsよりも、旋回内側後輪WHruの摩擦制動力Fmruが大きく決定される。
後輪WHrの摩擦制動力Fmrの左右差(「Fmru>Fmrs」の関係)によって、車両には、旋回運動を助長する旋回内向きヨーモーメントが作用する。旋回外側後輪摩擦制動力Fmrsよりも、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruが大きくされることによって、アンチロック制御時だけではなく、常用制動時においても、以下の効果が達成される。
(a)後輪摩擦制動力Fmr(Fmru、Fmrs)の増加によって、回生制動力Fgの減少に起因する減速度の減少分が補償される。
(b)後輪横力Fyr(Fyru、Fyrs)の増加抑制、及び、後輪摩擦制動力Fmrの左右差(Fmru<Fmrs)に起因する旋回内向きモーメントの発生によって、車両の旋回性能(即ち、回頭性能)が向上する。
スイッチMDからの選択信号Mdに基づいて、演算マップZfa、及び、演算マップZfbのうちの少なくとも1つが調整され得る。例えば、スイッチMDを介してスポーツモードとノーマルモードとのうちの何れかが選択される場合において、スポーツモードが選択された場合には、ノーマルモードが選択された場合に比較して、より旋回性能が向上するように、演算マップZfa、Zfbが調整される。具体的には、スポーツモードの場合には、ノーマルモードの場合に比較して、減少量Fa、増加量Fbが大きくなるように演算される。
また、スイッチMDを介してスノーモードとノーマルモードとのうちの何れかが選択される場合において、スノーモードが選択された場合には、ノーマルモードが選択された場合に比較して、旋回性能よりも車両安定性が向上するように、演算マップZfa、Zfbが調整される。具体的には、スノーモードの場合には、ノーマルモードの場合に比較して、減少量Fa、増加量Fbが小さくなるように演算される。
<旋回性向上制御の作動のまとめ>
制動制御装置SCは、前輪WHfに回生ジェネレータGN(駆動用の電気モータでもある)を備える車両に搭載される。制動制御装置SCは、「後輪WHrに摩擦制動力Fmrを付与するアクチュエータHU」と、「操舵操作部材SWの操舵状態量Sa(操舵角)、dS(操舵速度)を取得する操舵センサSA(操舵角センサ)、DS(操舵速度センサ)」と、「回生ジェネレータGNを介して前輪WHfの回生制動力Fgを制御し、アクチュエータHUを介して後輪WHrの摩擦制動力Fmrを制御するコントローラECU(ECB、ECDの総称)」と、を含んで構成される。車両が旋回、且つ、減速する場合に、操舵状態量Sa、dSに基づいて、前輪WHfの回生制動力Fgが減少されるとともに、後輪WHrの摩擦制動力Fmrが増加される。
この構成によれば、操舵状態量Sa、dSに基づいて、前輪WHfに作用する回生制動力Fgが小さくされるため、前輪横力Fyfの発生が増加される。同時に、後輪WHrの摩擦制動力Fmrの増加によって、後輪WHrの横力Fyrの増加が抑制される。前輪横力Fyfと後輪横力Fyrとの差によって、車両を曲げ易くするヨーモーメントが発生し、車両の旋回性能の向上が可能となる。加えて、前輪WHfに作用する回生制動力Fgの減少が、後輪WHrの摩擦制動力Fmrの増加によって補償され、車両の減速度の維持が可能となる。
ここで、本実施形態では、操舵状態量Sa、dSが大きいほど、前輪WHfの回生制動力Fgの減少量Faが大きくされる。また、操舵状態量Sa、dSが大きいほど、後輪WHrの摩擦制動力Fmrの増加量Fbが大きくされる。更に、本実施形態の制動制御装置SCは、車両の旋回方向が判別され、車両の旋回外側後輪WHrsの摩擦制動力Fmrsよりも、車両の旋回内側後輪WHruの摩擦制動力Fmruが大きくなるように構成されている。
この構成では、操舵状態量Sa、dSが大きいほど、前輪WHfの回生制動力Fgが小さく、前輪横力Fyfの発生が増加される。前輪回生制動力Fgの減少に伴う車両減速度の低下を補償するよう、後輪摩擦制動力Fmrが増加される。結果、車両減速を略一定に維持することが可能になるとともに、前輪横力Fyfの増加、及び、後輪横力Fyrの減少によって、車両の旋回性能が向上する。また、内外後輪WHru、WHrsの摩擦制動力Fmru、Fmrsの差(即ち、「Fmru>Fmrs」)によって、旋回内向きモーメントが発生し、更に、車両の回頭性能が向上する。
図4の時系列線図(時間Tに対する状態量の遷移図)を参照して、旋回性向上制御の作動について説明する。ここでは、ステップS160の状態が想定されており、旋回性向上制御の作動前では、車両は、回生制動力Fgのみによって減速されている。つまり、車両には摩擦制動力Fmが作用していない(即ち、「Fmf=Fmr=0」)。加えて、旋回性向上制御の作動では、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruのみが増加され、旋回外側後輪摩擦制動力Fmrsが「0」に維持される態様が示されている。
時点t0以前では、車両は直進制動中であり、「Sa=0、dS=0」、且つ、「Fg=fg、Fm=0」である。時点t0にて、操舵操作が開始される。このため、操舵状態量Sa(操舵角)、dS(操舵速度)が「0」から増加される。時点t1にて、「Sa≧so」となり、車両が旋回中であることが判定される。
時点t2にて、「dS≧ds」となり、旋回性向上制御の実行が開始される。制御開始に伴い、ステップS280の処理に従って、回生制動力Fgが減少量Faだけ減少される。同時に、ステップS290の処理に従って、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruが増加量Fbだけ増加される。このとき、Fmrsは「0」のままで、後輪摩擦制動力Fmrには左右差が発生する。
旋回性向上制御の実行によって、前輪WHfでは、回生制動力Fgが減少され、前輪横力Fyfの発生が増大される。一方、旋回内側後輪WHruでは、摩擦制動力Fmruが増加され、旋回内側後輪横力Fyruの増大が抑制される。加えて、後輪摩擦制動力Fmrの左右差によって、車両を旋回内側に曲げようとするヨーモーメントが発生される。これにより、車両減速度の減少が補償された状態で、車両の旋回性が向上する。
時点t3にて、「dS<dt」となり、旋回性向上制御の実行が終了する。制御の終了によって、回生制動力Fg、及び、旋回内側後輪摩擦制動力Fmruは、制御開始前の状態に戻される。なお、車両の回頭性能は、特に、操舵開始の初期段階で求められる。従って、制御開始時点t2から、制御の継続時間Tsがカウントされ、「Ts≧ts」が満足された時点で、旋回性向上制御が終了されてもよい。ここで、所定時間tsは、予め設定された所定値(定数)である。
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、操舵状態量Sa、dSと、減少量Fa又は増加量Fbとの関係は、線形に限られず、他の関数(二次曲線等)や階段状で表される関係であってもよい。操舵状態量Sa、dSに対する減少量Fa又は増加量Fbは、自由に設定可能である。
SC…制動制御装置、SW…操舵操作部材(ステアリングホイール)、ECU…コントローラ(電子制御ユニット)、WHf…前輪、WHr…後輪、GN…回生ジェネレータ(駆動用電気モータ)、HU…アクチュエータ(流体ユニット)、Fg…回生制動力、Fmf…前輪摩擦制動力、Fmr…後輪摩擦制動力、Fyf…前輪横力、Fyr…後輪横力、SA…操舵センサ(操舵角センサ)、DS…操舵センサ(操舵速度センサ)、Sa…操舵状態量(操舵角)、dS…操舵状態量(操舵速度)、Da…旋回方向、WHrs…旋回外側後輪、Fmrs…旋回外側後輪摩擦制動力、Fyrs…旋回外側後輪横力、WHru…旋回内側後輪、Fmru…旋回内側後輪摩擦制動力、Fyru…旋回内側後輪横力、Ts…実行継続時間。

Claims (4)

  1. 前輪に回生ジェネレータを備える車両の制動制御装置であって、
    前記車両の後輪に摩擦制動力を付与するアクチュエータと、
    前記車両の操舵操作部材の操舵状態量を取得する操舵センサと、
    前記回生ジェネレータを介して前記前輪の回生制動力を制御し、前記アクチュエータを介して前記後輪の摩擦制動力を制御するコントローラと、
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記車両が旋回、且つ、減速する場合に、前記操舵状態量に基づいて、前記前輪の回生制動力を減少させ、前記後輪の摩擦制動力を増加させる、制動制御装置。
  2. 請求項1に記載の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記操舵状態量が大きいほど、前記前輪の回生制動力の減少量を大きくする、制動制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記操舵状態量が大きいほど、前記後輪の摩擦制動力の増加量を大きくする、制動制御装置。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の制動制御装置において、
    前記コントローラは、
    前記車両が旋回、且つ、減速する場合に、前記車両の旋回外側後輪の摩擦制動力よりも、前記車両の旋回内側後輪の摩擦制動力を大きくする、制動制御装置。
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