JP2021053667A - 鋳型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な設備で生産性よく鋳型を製造でき、しかも、必要な可使時間を確保しつつ、抜型時間を短縮できる鋳型の製造方法、及び前記鋳型の製造方法に適した鋳型造型用型とその製造方法の提供。【解決手段】鋳型造型用型に、耐火性粒状材料と酸硬化性粘結剤と硬化剤とを含む鋳型造型用砂組成物を充填し、前記鋳型造型用砂組成物に含まれる酸硬化性粘結剤を硬化させる、鋳型の製造方法であって、前記硬化剤は、リン酸及びカルボン酸を含み、前記鋳型造型用型は、マイクロ波を透過する材料からなり、前記鋳型造型用型に前記鋳型造型用砂組成物を充填した後、マイクロ波を照射して前記酸硬化性粘結剤を硬化させる、鋳型の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、鋳型の製造方法に関する。
従来、鋳造用鋳型の一つとして自硬性鋳型が知られている。自硬性鋳型とは、珪砂等の耐火性粒状材料に、フラン樹脂等を主成分とした粘結剤(酸硬化性粘結剤)と、キシレンスルホン酸等の有機酸や、硫酸、リン酸等の無機酸などの硬化剤とを添加、混練した後、得られた混練砂を鋳型造型用型に充填し、粘結剤を硬化させる方法で製造されているものである。
酸硬化性粘結剤は、酸(硬化剤)により硬化する粘結剤であり、可使時間が短すぎると混練砂を鋳型造型用型へ充填する前に酸硬化性粘結剤が硬化してしまうことがある。そのため、可使時間を充分に確保することが求められる。一方、混練砂を鋳型造型用型へ充填した後は、生産性の観点から酸硬化性粘結剤は速く硬化することが好ましく、抜型時間は短い方が好ましい。
抜型時間を短縮するためには、硬化速度の速い硬化剤を用いればよい。しかし、硬化速度の速い硬化剤を用いると、可使時間を充分に確保できない。対して、硬化速度の遅い硬化剤を用いれば可使時間を充分に確保できるものの、抜型時間も長くなる傾向にある。
このように、可使時間の確保と抜型時間の短縮を両立することは困難である。
近年、マイクロ波の照射により短時間で混練砂を硬化させる方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、サルフィドサルフォン系樹脂材料からなり、通気孔が設けられた鋳型造型用型に、水ガラス等の無機系粘結剤を含む混練砂を充填し、マイクロ波の照射により粘結剤を加熱硬化させて鋳型を製造する方法が開示されている。
特許文献2には、ウレタン樹脂からなる鋳型造型用型に、水ガラス等の無機系粘結剤を含む混練砂を充填し、減圧雰囲気下におけるマイクロ波の照射により粘結剤を加熱硬化させて鋳型を製造する方法が開示されている。
特許文献3には、耐火性粒状材料と硬化剤であるエステルとを含む混合物を積層し、その上に粘結剤であるレゾール樹脂を印刷する操作を繰り返し、粘結剤を一次硬化させた後にマイクロ波を照射して二次硬化させ、非印刷部分の混合物を除去して鋳型を製造する方法が開示されている。
特開平7−195139号公報 特開2004−98160号公報 特表2017−515682号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のように、粘結剤として水ガラス等の無機系粘結剤を用いる場合、マイクロ波の照射により発生する蒸気を鋳型造型用型に設けられた通気孔から排出したり、減圧装置を用いて除去したりする必要がある。
特許文献3に記載の方法では硬化工程を2回行うため、工程が煩雑化して生産性が悪く、コスト高を招く。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、簡便な設備で生産性よく鋳型を製造でき、しかも、必要な可使時間を確保しつつ、抜型時間を短縮できる鋳型の製造方法、及び前記鋳型の製造方法に適した鋳型造型用型とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]鋳型造型用型に、耐火性粒状材料と酸硬化性粘結剤と硬化剤とを含む鋳型造型用砂組成物を充填し、前記鋳型造型用砂組成物に含まれる酸硬化性粘結剤を硬化させる、鋳型の製造方法であって、
前記硬化剤は、リン酸及びカルボン酸を含み、
前記鋳型造型用型は、マイクロ波を透過する材料からなり、
前記鋳型造型用型に前記鋳型造型用砂組成物を充填した後、マイクロ波を照射して前記酸硬化性粘結剤を硬化させることを特徴とする、鋳型の製造方法。
[2]前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記硬化剤の総質量に対して1.5質量%未満である、[1]に記載の鋳型の製造方法。
[3]前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記酸硬化性粘結剤100質量部に対して0.8質量部未満である、[1]又は[2]に記載の鋳型の製造方法。
[4]前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記耐火性粒状材料1000質量部に対して0.07質量部未満である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
[5]前記鋳型造型用砂組成物中の水の含有量が、前記耐火性粒状材料1000質量部に対して0.5〜4質量部である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
[6]前記カルボン酸が、乳酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸及びマレイン酸からなる群から選択される一種以上である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
[7]前記硬化剤中のリン酸含有量が前記硬化剤の総質量に対して50〜80質量%であり、前記硬化剤中のカルボン酸含有量が前記硬化剤の総質量に対して15〜50質量%である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の鋳型の製造方法。
本発明によれば、簡便な設備で生産性よく鋳型を製造でき、しかも、必要な可使時間を確保しつつ、抜型時間を短縮できる鋳型の製造方法、及び前記鋳型の製造方法に適した鋳型造型用型とその製造方法を提供できる。
[鋳型造型用砂組成物]
本発明に用いる鋳型造型用砂組成物(以下、単に「砂組成物」という。)は、耐火性粒状材料と酸硬化性粘結剤と硬化剤とを含む。
<耐火性粒状材料>
耐火性粒状材料としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用できる。また、使用済みの耐火性粒状材料を回収したもの(回収砂)や再生処理をしたもの(再生砂)なども使用できる。これらの耐火性粒状材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、マイクロ波を透過しやすい点で、珪砂が好ましい。
<酸硬化性粘結剤>
酸硬化性粘結剤は、耐火性粒状材料の粘結剤の役割を果たす。
酸硬化性粘結剤としては、フルフリルアルコール、フラン樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。これら酸硬化性粘結剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、フルフリルアルコール、フラン樹脂が好ましい。フラン樹脂には18質量%以上の水を含むものもあり、これは、消防法に基づく非危険物樹脂として扱える反応生成物として、容易に入手できる点でも好ましい。
フラン樹脂は、フルフリルアルコール、尿素、ホルムアルデヒド等を主原料としている樹脂で、酸触媒により脱水反応しながら重縮合し、硬化するものである。
フラン樹脂としては、フルフリルアルコールまたはフルフリルアルコールと尿素のいずれかとアルデヒド類との縮合物または共縮合物の1種または2種以上、並びにフルフリルアルコールとの混合物を主成分とし、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方とを含むものを用いることが好ましい。
フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシン、ノニルフェノール、カシューナッツ殻液(CNSL)などが挙げられる。これらフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZなどが挙げられる。これらビスフェノール類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルジアルデヒド、フタル酸ジアルデヒドなどが挙げられる。これらアルデヒド類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、縮合物の種類によっては、アルデヒド類としてグリオキザールやフルフラールを単独で使用した際には、酸硬化が進行しない場合もある。そのような場合には、アルデヒド類として少なくともホルムアルデヒドを使用すればよい。
フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物または共縮合物を製造する場合には、フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類を0.1〜1モル使用することが好ましい。アルデヒド類の使用量が上記下限値以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間の設定がより容易となる。一方、アルデヒド類の使用量が上記上限値以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、最終鋳型強度発現がより良好となる。
尿素とアルデヒド類の縮合物または共縮合物を製造する場合には、尿素1モルに対して、アルデヒド類を1〜3モル使用することが好ましく、より好ましくは1.3〜2.5モルであり、さらに好ましくは1.5〜2モルである。
尿素等を由来とする窒素原子含有量は、フラン樹脂の総質量に対して、0.1〜6質量%の範囲となるようにすることが好ましく、0.1〜4.5質量%であることがより好ましい。
窒素原子含有量は鋳型の初期強度および最終強度に影響を与えるものであり、窒素原子含有量が低い場合には鋳型の初期強度が高くなる傾向にあり、窒素原子含有量が高い場合には鋳型の最終強度が高くなる傾向にある。
従って、必要に応じて窒素原子含有量を適宜調節することが好ましく、窒素原子含有量が上記範囲内であれば、初期強度と最終強度が共に好ましい鋳型を得ることが可能である。
フラン樹脂の特に好ましい態様として以下の2つが挙げられる。なお、以下における(共)縮合物とは、縮合物および共縮合物の少なくとも一方を意味する。
i)尿素、フルフリルアルコールおよびアルデヒド類を縮合させて得られる(共)縮合物(a)と、フルフリルアルコールと、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方との混合物。
ii)尿素とアルデヒド類の縮合物と、フルフリルアルコールと、必要に応じてフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方との混合物。
フラン樹脂がこのようなi)〜ii)の態様であると、可使時間の設定がより容易で、かつ鋳型強度をより向上させることができる。
i)の態様においては、フラン樹脂に占める(共)縮合物(a)の比率は5〜90質量%であると好ましく、10〜80質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は10〜95質量%であると好ましく、20〜90質量%であるとより好ましい。
ii)の態様においては、フラン樹脂に占める尿素とアルデヒド類の縮合物の比率は3〜30質量%であると好ましく、5〜20質量%であるとより好ましい。フルフリルアルコールの比率は70〜97質量%であると好ましく、80〜95質量%であるとより好ましい。
i)〜ii)の態様においては、フラン樹脂に占めるフェノール類およびビスフェノール類の少なくとも一方の比率は、40質量%以下であると好ましく、1〜30質量%であるとより好ましい。
なお、フラン樹脂として、上述した以外にも、例えば2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フラン、フェノール類およびビスフェノール類からなる群より選ばれる1種以上と、フルフリルアルコールとの混合物;尿素とアルデヒド類との縮合物と、フルフリルアルコールと、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)フランとの混合物などを用いることもできる。
フラン樹脂は、一般的な製法で得ることができる。その一例を以下に示す。
まず、フラン樹脂の原料(フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素及びフェノール類等)を混合し、塩基性触媒の水溶液を添加し、混合物のpHを9〜11に調整してアルカリ性とする。次いで、混合物を昇温して尿素とアルデヒド類とを付加反応させ、反応生成物を生成する(第1工程)。得られた反応液に酸性触媒を添加し、反応液のpHを2〜5に調整して酸性とし、尿素とアルデヒド類の付加反応物等の縮合反応を進行させる(第2工程)。その後、反応液に塩基性触媒の水溶液を添加し、反応液のpHを7〜10に調整してアルカリ性とし、添加剤を混合して反応させ(第3工程)、必要に応じて添加剤をさらに添加して、フラン樹脂を含む反応生成物を得る。
塩基性触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
酸性触媒としては、例えば塩酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸などが挙げられる。
なお、酸性触媒の添加量は少ないため、硬化反応まで進行しない。
尿素とアルデヒド類の縮合物を製造する場合には、尿素1モルに対して、アルデヒド類を1〜3モル使用することが好ましい。アルデヒド類の使用量が1モル以上であれば、重合度の低い縮合物となるため、可使時間の設定がより容易となる。一方、アルデヒド類の使用量が3モル以下であれば、重合度の高い縮合物となるため、鋳型強度の発現がより良好となる。
添加剤としては、シランカップリング剤、ホルムアルデヒド低減剤などが挙げられる。
添加剤としてシランカップリング剤を用いれば、鋳型の強度がさらに向上する。シランカップリング剤としては、例えばN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのシランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホルムアルデヒド低減剤は、鋳型造型時に発生するホルムアルデヒドを低減するためのものである。ホルムアルデヒド低減剤としては、尿素、レゾルシノール、没食子酸、ピロガロールなどが挙げられる。これらのホルムアルデヒド低減剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このようにして得られる反応生成物には、フラン樹脂と、水と、任意でシランカップリング剤とが含まれる。
反応生成物には、水およびシランカップリング以外の反応に用いた成分が含まれ、具体的には、フルフリルアルコール、フェノール類及び尿素からなる群より選ばれる1種又は2種以上とアルデヒド類との縮合物又は共縮合物の1種又は2種以上と、フルフリルアルコールと、フルフリルアルコールの縮合物とが含まれる。また、フラン樹脂の製造において、添加剤としてホルムアルデヒド低減剤を用いた場合は、該ホルムアルデヒド低減剤も反応生成物に含まれる。なお、未反応のフルフリルアルコールは反応生成物全体を低粘度にさせるための希釈剤の役割を果たし、硬化反応においては樹脂化して硬化物となる。
水は、縮合物又は共縮合物を生成する際に生じる結合水由来の水や、水溶液状の原料(例えばホルマリンなど)によって供給される水である。また、必要に応じて添加される水も含まれる。
シランカップリング剤は、フラン樹脂の製造において、添加剤として用いたシランカップリング剤である。また、フラン樹脂の製造後に、必要に応じて添加されるシランカップリング剤も含まれる。
反応生成物中の各成分の含有量は、製法の条件、フラン樹脂の分子量、添加剤の添加量などによって変わるが、例えば、以下の通りである。
フラン樹脂の含有量は、反応生成物の総質量に対して、70〜95質量%が好ましく、75〜90質量%がより好ましく、75〜85質量%がさらに好ましく、80〜85質量%が特に好ましい。
水の含有量は、反応生成物の総質量に対して、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましく、15〜20質量%が特に好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、反応生成物の総質量に対して、10質量%以下が好ましく、0.1〜9量%がより好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
尿素等を由来とする窒素原子含有量は、反応生成物の総質量に対して、0.1〜6質量%が好ましく、0.1〜4.5質量%がより好ましい。
窒素原子含有量は鋳型の初期強度及び最終強度に影響を与えるものであり、窒素原子含有量が低い場合には鋳型の初期強度が高くなる傾向にあり、窒素原子含有量が高い場合には鋳型の最終強度が高くなる傾向にある。
よって、必要に応じて窒素原子含有量を適宜調節することが好ましく、窒素原子含有量が上記範囲内であれば、初期強度と最終強度のバランスに優れた鋳型が得られやすくなる。
<硬化剤>
硬化剤はリン酸及びカルボン酸を含む。
カルボン酸としては、乳酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、安息香酸などが挙げられる。カルボン酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、水への溶解度と造型作業者の安全性の観点から、乳酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸、及びマレイン酸からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。
硬化剤中のリン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して50〜80質量%であり、硬化剤中のカルボン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して15〜50質量%であることが好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、硬化剤中の各成分の質量及び硬化剤の総質量は、いずれも純分換算である。したがって、上記のリン酸含有量及びカルボン酸含有量は、いずれも純分換算の質量に基づく含有量である。
硬化剤中のリン酸含有量と硬化剤中の乳酸含有量が上記好ましい範囲内であれば、必要な可使時間を確保しつつ、抜型時間を短縮しやすい。
硬化剤中のリン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して55〜75質量%であり、硬化剤中のカルボン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して20〜45質量%であることがより好ましい。
硬化剤中のリン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して60〜70質量%であり、硬化剤中のカルボン酸含有量は、硬化剤の総質量に対して30〜40質量%であることがさらに好ましい。
硬化剤中のリン酸とカルボン酸の質量比[リン酸:カルボン酸]は、4:1〜11:9であることが好ましく、7:3〜2:1であることがより好ましく、3:2〜15:7であることがさらに好ましい。
リン酸の割合が高いほど抜型時間を短縮しやすい。また、カルボン酸の割合が高い程必要な可使時間を確保しやすい。
硬化剤中のリン酸とカルボン酸の質量比は、砂組成物の調製時や鋳型造型用型への砂組成物の充填時等の作業環境の温度に応じて、選択して用いることができる。
作業環境の温度が高い場合は、可使時間を確保しやすい点から、リン酸の割合を低めにして、カルボン酸の割合を高めにすることが好ましい。作業環境の温度が低い場合は、抜型時間の短縮を図りやすい点から、リン酸の割合を高めにして、カルボン酸の割合を低めにすることが好ましい。
硬化剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機酸や有機酸が含まれていてもよい。
本発明の効果を発揮しやすいことから、硬化剤中のリン酸含有量とカルボン酸含有量の合計は、硬化剤の総質量に対して85〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量であることがより好ましく、95〜100質量であることがさらに好ましい。
併用できる他の無機酸としては、硫酸、塩酸が挙げられる。また、他の有機酸としては、有機スルホン酸が挙げられる。
有機スルホン酸は、スルホ基が炭素骨格に置換した有機化合物である。有機スルホン酸としては、例えばキシレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。
ただし、硫酸及び有機スルホン酸のように、硫黄原子を含む硬化剤は、硬化剤に含まれないことが好ましく、含む場合も少量であることが好ましい。
なお、不可避的に微量の硫黄原子が混入する場合も、硫黄原子を含まないとみなす。
具体的には、硬化剤中の硫黄原子含有量は、硬化剤の総質量に対して1.5質量%未満であることが好ましく、1.0質量%未満であることがより好ましく、0.5質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
硬化剤中の硫黄原子含有量は、酸硬化性粘結剤100質量部に対して0.8質量部未満であることが好ましく、0.5質量部未満であることがより好ましく、0.27質量部未満であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
硬化剤中の硫黄原子含有量は、耐火性粒状材料1000質量部に対して0.07質量部未満あることが好ましく、0.047質量部未満であることがより好ましく、0.023質量部未満であることがさらに好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
硬化剤中の硫黄原子含有量を抑制すべき理由の一つは、硬化剤中の硫黄原子含有量が高いと、得られる鋳型中の硫黄原子含有量も高くなり、鋳物欠陥を招くからである。
すなわち、鋳鉄は黒鉛を含んでおり、鋳物が冷える際に黒鉛が晶出する。鋳型中の硫黄原子含有量が高いと、表面に晶出した黒鉛は硫黄の影響を受けて形状が崩れやすい。その場合、鋳物の延伸性や強度が低下する傾向にある。そのため、硫黄の影響を受けた鋳物の表面を削らなければならない場合もあり、歩留りが低下する。
硬化剤中の硫黄原子含有量は、可使時間の確保の点からも抑制すべきである。硫酸等の硫黄を含有する硬化剤は硬化速度が速いことから、特に夏場などの気温が高い場合には可使時間を充分に確保することが困難となる傾向にある。
硬化剤は、水溶液の状態で、すなわち硬化剤水溶液として用いることができる。
硬化剤水溶液の総質量に対する硬化剤の含有量は、80〜90質量%が好ましく、83〜87質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液の総質量に対する水の含有量は、10〜20質量%が好ましく、13〜17質量%がより好ましい。
硬化剤水溶液には、水以外の溶媒(他の溶媒)が含まれていてもよく、他の溶媒としてはメタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。
<任意成分>
砂組成物は、上述した耐火性粒状材料、酸硬化性粘結剤及び硬化剤以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
任意成分としては、シランカップリング剤、水、他の溶媒などが挙げられる。
シランカップリング剤には、酸硬化性粘結剤の製造の際に用いる添加剤由来のシランカップリング剤、必要に応じて別途添加されるシランカップリング剤の全てが含まれる。
水には、酸硬化性粘結剤の製造の際に生じる縮合水由来の水、水溶液状の原料(例えばホルマリンなど)によって供給される水、硬化剤水溶液由来の水、必要に応じて別途添加される水の全てが含まれる。
他の溶媒には、硬化剤水溶液由来の他の溶媒、必要に応じて別途添加される他の溶媒の全てが含まれる。
<含有量>
砂組成物中の各成分の含有量は以下の通りである。
酸硬化性粘結剤の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.1〜2質量部が好ましく、0.2〜1質量部がより好ましい。酸硬化性粘結剤の含有量が上記下限値以上であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。酸硬化性粘結剤の含有量が上記上限値以下であれば、注湯後の鋳型を解体しやすくなる。
硬化剤の含有量は、耐火性粒状材料100質量部に対して0.06〜1.2質量部が好ましく、0.08〜1質量部がより好ましい。硬化剤の含有量が上記範囲内であれば、強度がより高い鋳型が得られやすい。
水の含有量は、耐火性粒状材料1000質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜3.5質量部であることがより好ましく、1.5〜3.3質量部であることがさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、マイクロ波を照射した際に充分に発熱するため、粘結剤組成物の硬化が進行しやすくなる。水の含有量が上記上限値以下であれば、抜型時間をより短縮できる。
[鋳型造型用型]
本発明に用いる鋳型造型用型は、マイクロ波を透過する材料からなる。
マイクロ波を透過するとは、鋳型造型用型に充填された砂組成物の硬化促進に必要な発熱が生じる程度に、マイクロ波の少なくとも一部が鋳型造型用型を通過することを意味し、具体的には材料の比誘電率(εr)が7以下であることを意味する。比誘電率は6以下が好ましく、5以下がより好ましい。比誘電率の下限値については特に制限されない。
比誘電率は、空洞共振摂動法により求められる。具体的には、例えば常温下で材料を幅50.0mm×長さ50.0mm×厚さ1.5mmの大きさに成形し、得られた成形物について空洞共振摂動法により比誘電率(εr)を測定する。
マイクロ波を透過する材料としては、例えばガラス、好ましくはソーダ石灰ガラス(εr=6.0〜8.0)、ポリアミド(εr=3.5〜5.0)、エポキシ樹脂(εr=2.5〜6.0)、ポリスチレン(εr=2.4〜2.6)、シリコン樹脂(εr=3.5〜5.0)、ポリウレタン(εr=5.0〜5.3)、ポリ乳酸(εr=約3)などが挙げられる。これらの材料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、三次元積層造形により鋳型造型用型を製造する場合は、ガラス(好ましくはソーダ石灰ガラス)とポリアミドとを併用することが好ましい。
鋳型造型用型の製造方法としては特に制限されず、射出成形、三次元積層造形などが挙げられる。また、上述した材料を所望の厚さになるように板状に成形した後、板状の成形体を所望の形状になるように切削加工することで鋳型造型用型を製造してもよい。特に、形状の自由度が高く、複雑な形状であっても容易に製造できる点で、三次元積層造形により鋳型造型用型を製造することが好ましい。
以下、三次元積層造形による鋳型造型用型の製造方法の一例を説明する。
三次元積層造形としては、選択的レーザー焼結法(SLS法:Selective Laser Sintering法)が好適である。
まず、目的とする鋳型造型用型の一定間隔の断面形状の三次元データを予め作成し、この三次元データに基づいて、前記材料の粉末からなる薄層を作業台に積層する。この薄層にレーザーを走査照射して加熱することにより前記材料の粉末を焼結する。次いで、焼結後の薄層上に、前記材料の粉末からなる別の薄層を積層し、レーザーを走査照射するという操作を繰り返すことにより、溶融接着された前記材料からなる鋳型造型用型が得られる。
[鋳型の製造方法]
本発明の鋳型の製造方法は、前記鋳型造型用型に前記砂組成物を充填し、マイクロ波を照射して、前記砂組成物に含まれる酸硬化性粘結剤を硬化させる工程を有する。
マイクロ波の照射条件は、得られる鋳型の大きさ、砂組成物の配合組成に応じて設定されるが、例えば、鋳型造型用型に充填された砂組成物の表面温度が50〜70℃となるように、出力と照射時間を制御することが好ましい。
出力が高すぎると、砂組成物や得られる鋳型造型用型が溶けるおそれがある。よって、出力は600W以下が好ましく、500W以下がより好ましい。また、照射時間を短縮できる観点から、200W以上が好ましく、400W以上がより好ましい。
照射時間が長すぎると、砂組成物や得られる鋳型造型用型が溶けるおそれがある。よって、出力に応じて照射時間を設定することが好ましい。
また、出力及び照射時間の少なくとも一方を変更して、複数回に分けてマイクロ波を照射してもよい。
本発明の鋳型の製造方法では、粘結剤として酸硬化性粘結剤を用いるので、水ガラス等の無機系粘結剤に比べて砂組成物中の水の含有量が少ない。砂組成物中の水は、マイクロ波の照射時の発熱に使われるが、無機系粘結剤を用いてマイクロ波を照射する場合に比べて蒸気の発生量が少ない。そのため、蒸気の排出を促す減圧装置を用いる必要がなく、簡便な設備で鋳型を製造できる。
しかも、酸硬化性粘結剤の硬化を2回行う必要がないので、生産性よく鋳型を製造できる。
また、本発明の鋳型の製造方法では、硫酸等と比較して弱い酸であるリン酸及びカルボン酸を含む硬化剤を使用する。そのため、可使時間を確保しやすい。また、リン酸よりもさらに弱い酸であるカルボン酸をリン酸と併用することによって、容易に所望の可使時間を確保できる。
硫酸の様に強い酸を用いて可使時間を確保するためには、水で希釈する必要があるが、リン酸を希釈する場合には、水ではなく、カルボン酸を用いて充分に希釈できる。そのため、砂組成物に含まれる水の量を一層少なくすることが可能である。
水の量を少なくすれば、抜型時間を短くしやすくなると共に、強度を向上させやすい。
さらに、本発明の鋳型の製造方法では、鋳型造型用型に砂組成物を充填した後、マイクロ波を照射する。このマイクロ波の照射により粘結剤である酸硬化性粘結剤を硬化促進させるので、硫酸等よりも硬化速度が遅いリン酸やカルボン酸を硬化剤として使用しても、短時間で酸硬化性粘結剤が硬化し、抜型時間を短縮できる。
そのため、硫酸等の硬化速度の速い硫黄原子を含む硬化剤をあえて用いる必要がない。硫酸原子を含まない又は含まれていても含有量が低い硬化剤を用いれば、長い可使時間が得られる。加えて、鋳型中の硫黄原子含有量を充分に低減できるので、鋳物への硫黄の影響を軽減できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各種測定及び評価方法と、酸硬化性粘結剤の調製は以下の通りである。
(水の含有量の測定)
水の含有量は、カール・フィッシャー(K.F)滴定法に基づき、以下のようにして測定した。
スポイトに約2mLの試料を採取し、秤量した。次いで、約50mLのメタノールが入った自動水分測定装置(平沼産業株式会社製、「AQV−2200」)に秤量後の試料を注入した。なお、予めメタノールにK.F試薬を滴下して無水の状態であることを確認した。試料注入後のスポイトを秤量し、試料注入前後のスポイトの質量差を試料採取量として、自動水分測定装置に入力した。試料注入後、1分間撹拌し、K.F試薬を滴下して水分量を定量した。K.F試薬としては、林純薬工業株式会社製の「ハイドラナール−コンポジット5」を用いた。
(窒素原子含有量の測定)
窒素原子含有量は、JIS K 0102の工場排水試験方法の滴定法によって求めた。
(可使時間の測定)
可使時間は、JACT試験法HM−2によって求めた。可使時間が30分以上であれば実用上、問題なしと判断した。
(抜型の評価)
耐火性粒状材料と酸硬化性粘結剤と硬化剤とを混練して所定時間経過した後のテストピースを鋳型造型用型から取り出したときの取り出しやすさ、及びテストピースの形状を保持できていたか否かについて、以下の評価基準にて評価した。
抜型可:取り出し時に形状を容易に保つことができ、卓上抗圧力試験機で圧縮強度を測定できる。
抜型不可:取り出し時に形状が崩れ、卓上抗圧力試験機で圧縮強度を測定できない。
(圧縮強度の測定)
抜型の評価において抜型可の評価だったテストピースについて、圧縮強度の測定を行った。当該圧縮強度は、JIS Z 2601の鋳物砂の試験方法に準じて、卓上抗圧力試験機(高千穂機械株式会社製)を用いることで測定した。
(酸硬化性粘結剤(a)の調製)
温度計、冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、フルフリルアルコール70.4質量部と、尿素4.0質量部と、92質量%ホルムアルデヒド水溶液8.4質量部と、15質量%水酸化ナトリウム水溶液0.1質量部とを投入し、80℃で1時間反応させた(第1工程:第1の付加反応)。その後、10質量%塩酸0.3質量部添加して、さらに80℃で3時間反応させた(第2工程:縮合反応)。その後、反応液に15質量%水酸化ナトリウム水溶液0.2質量部と、ホルムアルデヒド低減剤として尿素2.4質量部を添加して、さらに80℃で30分間反応させて(第3工程:第2の付加反応)、反応混合物を得た。
得られた反応混合物に、ホルムアルデヒド低減剤としてレゾルシノール1.0質量部、没食子酸0.2質量部、シランカップリング剤としてN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.2質量部、水12.8質量部を添加し、酸硬化性粘結剤(a)を含む反応生成物(a)100質量部を得た。
得られた反応生成物(a)の総質量に対する、酸硬化性粘結剤(a)の含有量は81.3質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.2質量%であり、水の含有量は18.5質量%であり、窒素原子含有量は、3.5質量%であった。
(酸硬化性粘結剤(b)の調製)
フルフリルアルコールの配合量を83.0質量部、水の配合量を0.2質量部に変更した以外は、酸硬化性粘結剤(a)の調製と同様にして、酸硬化性粘結剤(b)を含む反応生成物(b)100質量部を得た。
得られた反応生成物(b)の総質量に対する、酸硬化性粘結剤(b)の含有量は94.8質量%であり、シランカップリング剤の含有量は0.2質量%であり、水の含有量は5質量%であり、窒素原子含有量は、3.5質量%であった。
(鋳型造型用型(α)の製造)
ポリアミド11(εr=4.3)とソーダ石灰ガラス(εr=6.0)とを質量比(ポリアミド11:ソーダ石灰ガラス)=50:50の割合で混合した。得られた混合物を用い、SLS法に基づき、レーザー焼結機(EOS社製、「EOSINT P380」)にて、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が4つ形成されたテストピース作製用の鋳型造型用型(α)を作製した。
[実施例1]
<砂組物の調製>
リン酸と乳酸と水とを質量比(リン酸:乳酸:水)=50:36.1:13.9の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。
珪砂(三菱商事建材株式会社製、フリーマントル新砂)100質量部に、反応生成物(a)0.8質量部と、硬化剤水溶液0.32質量部とを添加し、品川式万能攪拌機(株式会社品川工業所製、MIXER)で混練して、砂組成物を得た。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。
<テストピースの製造>
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度25℃、湿度50%の条件下、鋳型造型用型(α)に充填した。直ちに、砂組成物が充填された鋳型造型用型(α)をマイクロ波発生装置に入れ、出力500Wで2分間マイクロ波(2.45GHz)を照射した後、引き続き200Wで5分間マイクロ波(2.45GHz)を照射し、酸硬化性粘結剤(a)を硬化させた。
照射後、マイクロ波発生装置から鋳型造型用型(α)を取り出し、混練開始から10分経過した時点で鋳型造型用型(α)からテストピースを取り出した(抜型時間10分)。
得られたテストピースについて、混練開始から10分、30分、1時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
リン酸と乳酸と水とを質量比(リン酸:乳酸:水)=55:31.1:13.9の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。得られた硬化剤水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
リン酸と乳酸と水とを質量比(リン酸:乳酸:水)=60:25.9:14.1の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。得られた硬化剤水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
リン酸と乳酸と水とを質量比(リン酸:乳酸:水)=65:20.7:14.3の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。得られた硬化剤水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[参考例A]
キシレンスルホン酸と乳酸とメタノールと水とを質量比(キシレンスルホン酸:乳酸:メタノール:水)=20:20:5:55の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。得られた硬化剤水溶液を用いた以外は実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表1に示す。得られた砂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
硫酸:キシレンスルホン酸と乳酸とメタノールと水とを質量比(硫酸:キシレンスルホン酸:乳酸:メタノール:水)=28.8:22.8:6:8.5:33.9の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。
得られた硬化剤水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表2に示す。
得られた砂組成物の一部を、直ちに温度25℃、湿度50%の条件下、内径50mm、高さ50mmの円柱状の型が4つ形成されたテストピース作製用木型に充填し、そのまま静置させ、混練開始から30分経過した時点で木型からテストピースを取り出した(抜型時間30分)。
得られたテストピースについて、混練開始から30分、1時間、3時間及び24時間経過後の圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例1では、混練開始から10分経過後に木型からテストピースを取り出そうとしたが、抜型できなかった。
[比較例2]
硫酸:キシレンスルホン酸と乳酸とメタノールと水とを質量比(硫酸:キシレンスルホン酸:乳酸:メタノール:水)=35:23.4:3:9.2:29.4の割合で混合し、硬化剤水溶液を調製した。
得られた硬化剤水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表2に示す。
得られた砂組成物を用いた以外は、比較例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例2では、混練開始から10分経過後に木型からテストピースを取り出すことができたので(抜型時間10分)、混練開始から10分経過後の圧縮強度も測定した。
[比較例3]
比較例1と同様にして硬化剤水溶液を調製した。
得られた硬化剤水溶液及び反応生成物(b)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表2に示す。
得られた砂組成物を用いた以外は、比較例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例3では、混練開始から10分経過後に木型からテストピースを取り出そうとしたが、抜型できなかった。
[比較例4]
比較例2と同様にして硬化剤水溶液を調製した。
得られた硬化剤水溶液及び反応生成物(b)を用いた以外は、実施例1と同様にして砂組成物を調製した。
得られた砂組成物について、可使時間を測定した。結果を表2に示す。
得られた砂組成物を用いた以外は、比較例1と同様にしてテストピースを製造し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。なお、比較例4では、混練開始から10分経過後に木型からテストピースを取り出すことができたので(抜型時間10分)、混練開始から10分経過後の圧縮強度も測定した。
Figure 2021053667
Figure 2021053667
表1、表2において、「リン酸/硬化剤[質量%]」は、硬化剤の総質量(純分)に対する硬化剤中のリン酸(純分)の含有量である。「乳酸/硬化剤[質量%]」は、硬化剤の総質量(純分)に対する硬化剤中の乳酸(純分)の含有量である。
「酸硬化性粘結剤の含有量[質量部]」、及び「硬化剤の含有量[質量部]」は、耐火性粒状材料100質量部に対する量(質量部)である。「水の含有量[質量部]」は、耐火性粒状材料1000質量部に対する量(質量部)である。
「S/硬化剤[質量%]」は、硬化剤の総質量に対する硬化剤中の硫黄原子含有量(質量%)である。「S/酸硬化性粘結剤[質量部]」は、酸硬化性粘結剤100質量部に対する硬化剤中の硫黄原子含有量(質量部)である。「S/耐火性粒状材料[質量部]」は、耐火性粒状材料1000質量部に対する量(質量部)である。
表1に示す様に、実施例1〜4では、充分な可使時間が得られた。また、硫黄原子を含む硬化剤を使用していないにもかかわらず、早期抜型が可能であった。また、硫黄原子を含む硬化剤を使用している参考例Aと比較すると、多少圧縮強度が低めとなる傾向は見られたが、実用上問題のない圧縮強度であった。
また、参考例Aでは、硫黄原子を含む硬化剤の量が、表1の比較例と比べて少ないにも変わらず、マイクロ波を照射することによって、早期抜型が可能となり、実用上問題のない圧縮強度が得られることがわかった。
また、硫黄原子を含む硬化剤を使用している参考例Aでも充分な可使時間が得られていることから、リン酸に代えて、又はリン酸に加えて、多少の硫黄原子を含む硬化剤を使用しても、可使時間を確保できることが確認できた。
これに対して、表2に示す比較例1〜4は、いずれも可使時間が短かった。また、比較例1〜4の中でも、可使時間が若干長めの比較例1、3では、早期抜型ができなかった。

Claims (7)

  1. 鋳型造型用型に、耐火性粒状材料と酸硬化性粘結剤と硬化剤とを含む鋳型造型用砂組成物を充填し、前記鋳型造型用砂組成物に含まれる酸硬化性粘結剤を硬化させる、鋳型の製造方法であって、
    前記硬化剤は、リン酸及びカルボン酸を含み、
    前記鋳型造型用型は、マイクロ波を透過する材料からなり、
    前記鋳型造型用型に前記鋳型造型用砂組成物を充填した後、マイクロ波を照射して前記酸硬化性粘結剤を硬化させることを特徴とする、鋳型の製造方法。
  2. 前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記硬化剤の総質量に対して1.5質量%未満である、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
  3. 前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記酸硬化性粘結剤100質量部に対して0.8質量部未満である、請求項1又は2に記載の鋳型の製造方法。
  4. 前記硬化剤中の硫黄原子含有量が、前記耐火性粒状材料1000質量部に対して0.07質量部未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
  5. 前記鋳型造型用砂組成物中の水の含有量が、前記耐火性粒状材料1000質量部に対して0.5〜4質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
  6. 前記カルボン酸が、乳酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸及びマレイン酸からなる群から選択される一種以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
  7. 前記硬化剤中のリン酸含有量が前記硬化剤の総質量に対して50〜80質量%であり、前記硬化剤中のカルボン酸含有量が前記硬化剤の総質量に対して15〜50質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鋳型の製造方法。
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