上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。尚、本実施例の上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6bは、本発明の「音出力手段」に相当している。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の手前側の縁部には、遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には、遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。さらに、演出ボタン10aの左方には、遊技者による押圧操作が可能な方向ボタン10cが設けられており、方向ボタン10cは上下左右の4方向にそれぞれ対応する4つのボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)を備えている。これらの演出ボタン10a、ジョグシャトル10b、および方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に操作されると、所定の遊技演出が行われる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40は、演出表示装置41を備えている。演出表示装置41は、液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の表示内容については別図を用いて後述する。尚、本実施例の演出表示装置41は、本発明の「演出実行手段」に相当している。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図3参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、第1始動口24が設けられている。第1始動口24は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性が不変(一定)であって、遊技球が常時入球可能になっている。第1始動口24に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化可能な第2始動口25が設けられている。本実施例の第2始動口25は、前方に向けて開口していると共に、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26が前方に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の右方には、前方に向けて略長方形状に大きく開口した大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の左方には、その他入賞口30が2つ設けられている。その他入賞口30は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口30に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー30s(図3参照)によって検知される。
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、多数の遊技釘(図2では図示省略)が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
本実施例のパチンコ機1において、複数の遊技釘の配置などにより、上述した第1始動口24、その他入賞口30には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口25、大入賞口28には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が通過または入球可能である。以下では、中央装置40の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、中央装置40の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が払い出される。
さらに、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。尚、セグメント表示部50の表示内容については別図を用いて後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、その他入賞口30へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー30sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉26を駆動する始動口ソレノイド26mや、大入賞口28の開放状態と閉鎖状態とを切り換え可能な開閉扉29を駆動する大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10bや方向ボタン10c(以下「演出操作部10a,10b,10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作に対応する遊技演出を行う。尚、本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「制御手段」に相当している。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、所望の領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
前述したように第1始動口24には、左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当りか外れかを判定する大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)の変動表示を行う。また、第2始動口25には、右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sによって検知されると、判定乱数を取得して大当り判定を行った後、セグメント表示部50にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)の変動表示を行う。尚、以下では、第1特図と第2特図とを特に区別する必要がない場合には、単に「特別図柄」と称することがある。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示した説明図である。前述したようにセグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。図示されるようにセグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52とが設けられており、それぞれ9個のLEDで構成されている。第1特図および第2特図は、対応する表示部51,52で9個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、所定の組み合わせのLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。
また、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、第1始動口24への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、特別図柄(第1特図または第2特図)の新たな変動表示の開始条件が満たされると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定を行い、対応する特別図柄の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。
加えて、本実施例のパチンコ機1では、第1特図保留や第2特図保留を記憶すると、未だ特別図柄の変動表示を開始することができなくても(変動表示の開始条件が成立していなくても)、記憶した第1特図保留や第2特図保留に基づいて事前に大当りか外れかを判定することが可能になっている。この判定は、「事前判定」と呼ばれるものであり、当然ながら事前判定の結果は、特別図柄の変動表示を開始する際に行われる大当り判定の結果と一致する。そして、後述するように事前判定の結果を反映させた遊技演出を、特別図柄の変動表示の開始前に行うことが可能である。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)を表示する第1特図保留表示部53と、第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)を表示する第2特図保留表示部54とが設けられており、それぞれ2個のLEDで構成されている。これらの保留表示部53,54では、保留数が0個であればLEDが2個とも消灯し、保留数が1個であれば1個のLEDが点灯し、保留数が2個であれば2個のLEDが点灯し、保留数が3個であれば1個のLEDが点滅し、保留数が4個であれば、2個のLEDが点滅する。
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、4回、8回、16回)。前述したように大入賞口28には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が払い出されることから、ラウンド遊技の回数(ラウンド回数)が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行った後、セグメント表示部50にて普通図柄の変動表示を行う。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、左右2個のLEDで構成されている。普通図柄は、普図表示部56で2個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、一方のLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左側のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右側のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が所定時間だけ開放状態となった後に閉鎖状態に戻る普図当り遊技が行われるので、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
また、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普通図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。図4に示されるようにセグメント表示部50には、2個のLEDで構成された普図保留表示部57が設けられており、普図保留の記憶数(普図保留数)は普図保留表示部57に表示される。
普図当り遊技における第2始動口25の開放時間は、「電サポ状態」であるか「非電サポ状態」であるかで異なる。電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り判定の結果が普図当りとなる確率(普図当り確率)が高く、且つ、普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まり、電サポ状態中は、遊技者にとって右打ちが有利である。図4に示されるようにセグメント表示部50には、3個のLEDで構成された電サポ表示部58が設けられており、電サポ表示部58で3個のLEDを点灯することで電サポ状態中であることを表す。
本実施例のパチンコ機1では、複数設けられた大当り図柄が「通常当り図柄」と「確変当り図柄」とに大別されており、特別図柄が何れの大当り図柄で停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後に電サポ状態が設定される。そして、通常当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に、大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が所定の通常確率(低確率)に設定され、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態に設定される。一方、確変当り図柄である場合は、大当り遊技の終了後に大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、電サポ状態と共に次回の大当り遊技まで継続される。以下では、大当り確率が高確率に設定された状態を「確変状態」と称することがある。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも特別図柄の変動時間が短く設定され易いことから、電サポ状態であって、且つ大当り確率が通常確率に設定された状態を「時短状態」と称することがある。
また、前述した特別図柄(第1特図および第2特図)の変動表示と連動して、演出表示装置41では、演出用の種々の画像が表示される。図5は、演出表示装置41における表示の一態様を例示した説明図である。演出表示装置41の表示画面上には、演出用の図柄として3つの識別図柄41a,41b,41cや、その背景となる背景画像41dなどを表示可能である。セグメント表示部50の第1特図表示部51あるいは第2特図表示部52で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置41においても、識別図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」〜「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。尚、識別図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が種類を識別できる形態であればよい。
図5(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄41aが「1」〜「9」の何れかで停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。そして、3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄(第1特図または第2特図)が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。特に、特別図柄が遊技者にとって通常当り図柄よりも有利な確変当り図柄で停止表示される場合は、識別図柄41a,41b,41cが同じ奇数の数字で揃って停止表示される。
こうして演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの表示内容を、特別図柄の表示内容と対応させることにより、図5(b)に示されるように3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字であると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字で揃うのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、リーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、こうしたリーチ演出には、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ演出)と、ノーマルリーチ演出よりも長期間に亘るリーチ演出(スーパーリーチ演出)とが設けられており、スーパーリーチ演出に発展することによって、識別図柄41a,41b,41cがゾロ目で停止表示される可能性(大当り信頼度)が高いことを示唆する。
また、演出表示装置41の表示画面の下部には、特図保留(第1特図保留や第2特図保留)に対応する保留シンボルを表示するための保留表示領域42(図中の破線で囲まれた部分)が設けられている。本実施例の保留表示領域42では、保留シンボル(図中の小円形)として、特別図柄の変動表示を未実行である特図保留に対応する未実行シンボル43と、既に変動表示を開始した特別図柄の実行契機となった特図保留に対応する実行中シンボル44とを表示するようになっており、非電サポ状態(左打ち時)であれば、第1特図保留に対応する保留シンボルを表示し、電サポ状態(右打ち時)であれば、第2特図保留に対応する保留シンボルを表示する。前述したように第1特図保留および第2特図保留をそれぞれ最大4つまで記憶可能であることと対応して、保留表示領域42には未実行シンボル43を図5の例のように最大4つまで表示可能である。そして、本実施例の保留表示領域42では、前述した事前判定の結果を未実行シンボル43の表示態様に反映させる保留変化演出を実行可能となっている。保留変化演出の詳細については別図を用いて後述する。
C.本実施例のパチンコ機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図6は、主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、所定周期で(例えば、4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて図6の遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、まず、出力処理(S10)を行う。本実施例の主制御基板200では、後述する各処理においてサブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて送信する各種コマンドを、RAM203に確保された出力バッファに一旦記憶するようになっており、出力処理(S10)では、出力バッファに記憶されている各種コマンドを各種制御基板に向けて送信する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、払出制御基板240では、遊技球の払い出しが行われることになる。
主制御基板200のCPU201は、出力処理(S10)に続いて、入力処理(S20)を行う。前述したように、第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球すると、賞球として遊技球を払い出すようになっている。そこで、入力処理(S20)では、入球を検知する各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s、その他入賞口センサー30sなど)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球を検知した場合は、遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを、上述した出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは、次回の出力処理(S10)で払出制御基板240に向けて送信される。コマンドを受信した払出制御基板240は、前述したように遊技球の入球が第1始動口24、第2始動口25、その他入賞口30の何れかであれば、3個の遊技球を払出し、大入賞口28であれば、13個の遊技球を払い出す。
入力処理(S20)を終了すると、次に、乱数更新処理(S30)を行う。前述したように、普図当り判定や特別図柄の大当り判定は、所定の判定乱数の値に基づいて行われる。また、これ以外にも、後述する各種の決定が専用の乱数の値に基づいて行われる。乱数更新処理(S30)では、これらの乱数の更新を行う。尚、乱数の更新は、遊技制御処理の中の乱数更新処理(S30)においてだけでなく、遊技制御処理を一旦終了してから次回の遊技制御処理を開始する(タイマ割り込みが発生する)までの間に行うこととしてもよい。また、乱数更新のための専用回路を設けて、この専用回路で乱数を更新してもよい。
乱数更新処理(S30)を終了したら、ゲートセンサー検知処理(S40)を行う。ゲートセンサー検知処理(S40)では、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球をゲートセンサー27sで検知すると、普図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、普図当り判定乱数などを取得し、取得した乱数値を普図保留としてRAM203に記憶する。
ゲートセンサー検知処理(S40)に続いて、始動口センサー検知処理(S50)を行う。始動口センサー検知処理(S50)では、第1始動口24に入球した遊技球を第1始動口センサー24sで検知すると、第1特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第1特図保留としてRAM203に記憶する。また、第2始動口25に入球した遊技球を第2始動口センサー25sで検知すると、第2特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第2特図保留としてRAM203に記憶する。ここで、判定乱数としては、大当り判定を行うための大当り判定乱数や、大当りの場合に特別図柄で停止表示する大当り図柄の種類を決定するための図柄決定乱数や、特別図柄の変動表示の開始から停止表示までの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。
また、始動口センサー検知処理(S50)では、前述した事前判定を行う。すなわち、第1特図保留または第2特図保留として記憶した大当り判定乱数の値に基づいて事前に大当りか外れかを判定するようになっている。この事前判定は、特別図柄の変動表示を開始する際に行う後述の大当り判定と基本的には同様であるため、詳細については後ほど説明する。
さらに、第1特図保留や第2特図保留の記憶に伴って、特図保留(第1特図保留または第2特図保留)の追加を示す保留追加コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。この保留追加コマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信され、サブ制御基板220のCPU221は、コマンドを受信すると、演出表示装置41の保留表示領域42に未実行シンボル43を追加する。また、本実施例の保留追加コマンドには、事前判定の結果についての情報が含まれており、サブ制御基板220のCPU221は、事前判定の結果に基づいて後述の保留変化演出を実行可能である。
始動口センサー検知処理(S50)を終了すると、次に、普通動作処理(S60)を行う。普通動作処理(S60)では、主に次のような処理を行う。まず、普通図柄の変動表示中または普図当り遊技の実行中であるか否かを判断する。普通図柄の変動表示中および普図当り遊技の実行中の何れでもない場合は、普通図柄の停止表示から所定の確定時間が経過していることを確認した後、普図保留数が「0」であるか否かを判断する。普図保留数が「0」でなければ(普図保留が記憶されていれば)、最先に記憶された普図保留を読み出し、その読み出した普図保留(普図当り判定乱数の値)に基づいて普図当り判定を行う。この普図当り判定では、普図保留として読み出した普図当り判定乱数の値が所定の当り値であれば、普図当りと判定し、当り値以外の外れ値であれば、外れと判定する。尚、前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り確率が高く(当り値が多く)設定され、例えば、非電サポ状態では普図当り確率が100分の1に設定されるのに対して、電サポ状態では普図当り確率が100分の99に設定される。
そして、普図当り判定の結果に基づき、普通図柄を普図当り図柄で停止表示するか、外れ図柄で停止表示するかを決定する。さらに普通図柄の変動時間を設定して、普通図柄の変動表示を開始すると共に、普図保留数から「1」を減算する。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定され、例えば、非電サポ状態では変動時間が20秒に設定されるのに対して、電サポ状態では変動時間が1秒に設定される。
普通図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断して、変動時間が経過すると、決定しておいた普図当り図柄または外れ図柄で普通図柄を停止表示する。そして、確定時間の経過を待って、停止表示された普通図柄が外れ図柄である場合は、再び普通図柄の変動表示を開始する処理を行う。一方、停止表示された普通図柄が普図当り図柄である場合は、普図当り遊技を開始する。
普図当り遊技中は、始動口ソレノイド26mを駆動して第2始動口25を開放状態とした後、開放時間が経過したら閉鎖状態に戻す処理を行う。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定され、例えば、非電サポ状態では開放時間が0.3秒(0.1秒×3回開放)に設定されるのに対して、電サポ状態では開放時間が4.5秒(1.5秒×3回開放)に設定される。
普通動作処理(S60)を終了したら、続いて、特別動作処理(S70)を行う。特別動作処理(S70)では、主に次のような処理を行う。まず、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示中、特別図柄の確定表示中、大当り遊技中の何れかであるか否かを判断する。これらの何れでもない場合は、第1特図保留および第2特図保留数が「0」であるか否かを判断し、第1特図保留または第2特図保留数が「0」でなければ、特図保留として記憶されている前述した各種の判定乱数(大当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数)の値を読み出す。本実施例のパチンコ機1では、まず第2特図保留が記憶されていれば、最先に記憶された第2特図保留を読み出し、第2特図保留が記憶されていなければ、最先に記憶された第1特図保留を読み出すようになっている。
こうして第2特図保留または第1特図保留として読み出した大当り判定乱数の値に基づいて大当り判定を行う。大当り判定では、読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)であれば、大当りと判定し、「外れ」に対応する値(外れ値)であれば、外れと判定する。前述したように確変状態では、非確変状態よりも大当り確率が高く(大当り値が多く)設定され、例えば、非確変状態では大当り確率が約300分の1に設定されるのに対して、確変状態では大当り確率が約100分の1に設定される。尚、前述した事前判定でも同様に、第1特図保留または第2特図保留として記憶した大当り判定乱数の値を用いて、大当りか外れかを判定する。
そして、大当り判定の結果が大当りであれば、停止表示する大当り図柄を決定する。前述したように大当り図柄は複数設けられており、通常当り図柄と確変当り図柄とに大別され、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数の値に基づいて何れかの大当り図柄を決定する。これに対して、大当り判定の結果が外れであれば、停止表示する図柄(停止図柄)として外れ図柄を決定する。
こうして特別図柄の停止図柄を決定したら、特別図柄の変動パターンを決定する。変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)を識別するためのものであり、複数設けられた変動パターンは、互いに設定されている変動時間が異なっている。変動パターンの決定は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値に基づいて行われ、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて変動時間が短めの変動パターンが決定され易くなっている。
変動パターンを決定すると、特別図柄の変動表示を開始すると共に、第2特図であれば第2特図保留数から「1」を減算し、第1特図であれば第1特図保留数から「1」を減算する。また、特別図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドや、停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。これらのコマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信される。サブ制御基板220のCPU221は、これらのコマンドを受信することで、特別図柄の変動表示に合わせて演出表示装置41で図柄変動演出を実行すると共に、演出表示装置41の保留表示領域42における未実行シンボル43の1つ(図5の例では左端)を実行中シンボル44の位置へと移動させる。
特別図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断する。前述したように特別図柄の変動時間は、変動パターンに設定されており、変動時間が経過すると、決定しておいた停止図柄(大当り図柄または外れ図柄)で特別図柄を停止表示する。また、停止表示した特別図柄を確定表示しておく時間(確定時間)を設定する。さらに、特別図柄の停止表示を示す変動停止コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると、演出表示装置41での図柄変動演出を終了し、保留表示領域42における実行中シンボル44を削除する。
特別図柄の確定表示中は、確定時間が経過したか否かを判断し、確定時間が経過したら、確定表示された特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れであるかを判断する。その結果、外れ図柄であった場合は、時短状態であるか否かを判断し、時短状態であれば、時短状態中の特別図柄の変動回数を計数する。そして、計数した変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると、電サポ状態を終了して非電サポ状態である通常状態に設定する。また、遊技状態の変更に伴い、遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
一方、確定表示された特別図柄が大当り図柄であった場合は、大当り遊技における大入賞口28の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定して、大当り遊技を開始する。前述したように停止表示(確定表示)された大当り図柄の種類に応じてラウンド回数が異なっている。また、大当り遊技の開始を示す大当り遊技開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
大当り遊技中は、大入賞口ソレノイド29mを駆動して大入賞口28を開放状態とすることでラウンド遊技を開始する。その後、大入賞口28に規定個数の遊技球が入球するか、あるいは開放時間が経過すると、大入賞口28を閉鎖状態としてラウンド遊技を終了し、閉鎖時間の経過を待って次のラウンド遊技を開始する。そして、設定されたラウンド回数を全て消化したら、大当り遊技を終了する。また、大当り遊技の終了を示す大当り遊技終了コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
さらに、停止表示(確定表示)された大当り図柄の種類に応じて大当り遊技の終了後の遊技状態を設定する。すなわち、大当り図柄が確変当り図柄であれば、確変状態(大当り確率が高確率に設定された電サポ状態)に設定し、大当り図柄が通常当り図柄であれば、時短状態(大当り確率が通常確率に設定された電サポ状態)に設定する。また、遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
こうして特別動作処理(S70)を終了したら、図6の遊技制御処理を一旦終了し、4msec毎のタイマ割り込みが発生すると、再び図6の遊技制御処理を実行する。主制御基板200のCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を実行する中で各種コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づいて具体的な演出の内容を決定し、画像音声制御基板230やランプ制御基板226に表示内容や音声内容を指定することにより、演出表示装置41、各種スピーカー6a,6b、各種ランプ5a〜5cを用いた様々な遊技演出を実行している。
図7は、演出表示装置41の保留表示領域42で保留変化演出が行われる例を示した説明図である。前述したように本実施例の保留表示領域42では、特図保留に対応する保留シンボルとして、未実行シンボル43を最大4つまで表示可能であると共に、実行中シンボル44を表示するようになっている。図7(a)では、未実行シンボル43が4つ表示された状態が示されている。また、特図保留を記憶する際には、事前判定が行われ、記憶した大当り判定乱数の値に基づいて事前に大当りか外れかを判定する。本実施例のパチンコ機1では、事前判定の結果が大当りである場合に、高い確率で保留変化演出が行われるようになっており、ここでは、図7(a)の右端の未実行シンボル43に対応する特図保留の事前判定の結果が大当りであるものとする。尚、保留変化演出は、事前判定の結果が大当りの場合だけでなく、外れの場合にも確率は高くないものの行われることがある。
そして、変動表示中の特別図柄が停止表示される(変動表示が終了する)と、実行中シンボル44が削除され、その後、新たな変動表示が開始されるのに伴い、左端の未実行シンボル43が実行中シンボル44の位置へと移動すると共に、他の未実行シンボル43も左詰めに1つずつ移動する。このとき、図7(b)に示されるように保留変化演出として、事前判定の結果が大当りである特図保留に対応する未実行シンボル43aの形状が小円形からハート形に変化する。尚、新たに追加される未実行シンボル43は、保留表示領域42の右端に表示されるが、図7では、図示が煩雑になるのを避けるために、新たな未実行シンボル43の追加を省略する。
また、保留変化演出では、ハート形の未実行シンボル43a(以下、特定シンボル43a)の色彩によって、事前判定の結果が大当りである可能性(特別図柄が大当り図柄で停止表示される可能性)である「大当り信頼度」を表すようになっており、白色、青色、赤色の順に大当り信頼度が高くなって遊技者にとって有利となる。図7(c)では、特別図柄の新たな変動表示が開始されるのに伴い、特定シンボル43aが左に1つ移動するタイミングで白色よりも大当り信頼度が高い青色に変化している。
さらに、図7(d)では、特定シンボル43aが左端に移動するタイミングで赤色に変化し、青色よりも大当り信頼度が高いことを示唆する。そして、図7(e)に示されるように、赤色の特定シンボル43aが実行中シンボル44の位置に移動すると、特別図柄の変動表示と連動した演出表示装置41の図柄変動演出がスーパーリーチ演出へと発展し、特別図柄が大当り図柄で停止表示されるのに伴い、演出表示装置41の識別図柄41a,41b,41cがゾロ目で停止表示される。
このように事前判定の結果を未実行シンボル43の表示態様に反映させる保留変化演出を実行することで、保留表示領域42に表示される未実行シンボル43(特定シンボル43a)に遊技者の注目を集めることができ、遊技者の期待感に変化を付けて遊技興趣を高めることが可能となる。尚、事前判定の結果が外れの場合の保留変化演出では、特定シンボル43aの色彩の変化が青色で止まることがあり、赤色に変化したとしても、当然ながら実行中シンボル44へと移動した際の特別図柄の変動表示が外れ図柄で停止表示されるのに伴い、演出表示装置41の識別図柄41a,41b,41cがバラケ目で停止表示されることになる。
また、本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置41を用いた視覚的な遊技演出に加えて、各種スピーカー6a,6bから楽曲の出力を継続するようになっている。そして、遊技者が楽曲に飽きてしまうことを抑制するために、サブ制御基板220のCPU221は以下のような楽曲出力制御処理を実行している。
C−2.楽曲出力制御処理 :
図8は、サブ制御基板220のCPU221が実行する本実施例の楽曲出力制御処理を示したフローチャートである。この楽曲出力制御処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
サブ制御基板220のCPU221は、楽曲出力制御処理を開始すると、まず、楽曲の切り換え条件が成立したか否かを判断する(S100)。本実施例のパチンコ機1では、予め複数の楽曲が用意されており、所定の切り換え条件が成立すると、出力する楽曲を切り換えるようになっている。また、切り換え条件として、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達した場合と、所定の選択可能期間中に遊技者が方向ボタン10cを操作して複数の楽曲の中から何れかを選択した場合とが設定されている。
そして、楽曲の切り換え条件が成立した場合は(S100:yes)、出力する楽曲を切り換える(S101)。このとき、特別図柄の変動回数が所定回数に達したことを契機とする場合は、予め定められた順序に従って楽曲を切り換え、遊技者が方向ボタン10cの操作で選択したことを契機とする場合は、選択された楽曲に切り換える。このように出力する楽曲を切り換えることにより、遊技者が受ける印象を異ならせて飽き易さを抑制することが可能である。また、本実施例のパチンコ機1では、複数の演奏パートを統合して楽曲を出力するようになっており、初期設定では4種類の演奏パート(ボーカル、ギター、ベース、ドラム)で楽曲を出力する。
これに対して、楽曲の切り換え条件が成立していない場合は(S100:no)、S101の処理を省略し、続いて、保留変化演出を実行しているか否かを判断する(S102)。前述したように保留変化演出は、事前判定の結果を保留表示領域42における未実行シンボル43の表示態様に反映させる演出であり、事前判定の結果が大当りである場合に高い確率で実行され、事前判定の結果が外れである場合にも実行されることがある。そして、保留変化演出を実行していない場合は(S102:no)、そのまま図8の楽曲出力制御処理を終了する。その後、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図8の楽曲出力制御処理を開始する。
一方、保留変化演出を実行している場合は(S102:yes)、特定シンボル43aの色彩が青色に変化したか否かを判断する(S103)。前述したように保留変化演出では、特定シンボル43aの色彩によって大当り信頼度を表すようになっており、白色、青色、赤色の順に大当り信頼度が高くなって遊技者にとって有利となる。そして、特定シンボル43aの色彩が青色に変化した場合は(S103:yes)、演奏パート(ピアノ)を追加して5種類の演奏パートで楽曲を出力する(S104)。
本実施例のパチンコ機1では、出力中の楽曲を構成し得る複数の演奏パートの再生を同時に継続したまま、初期設定の4種類以外の演奏パートについては音量を消音に設定することで出力を留保している。S104の処理では、初期設定の4種類には含まれない演奏パート(ピアノ)の消音を解除して音量を上げることで、出力中の楽曲の演奏パートを5種類に増加する。
これに対して、特定シンボル43aの色彩の青色変化がない場合は(S103:no)、S104の処理を省略して、次に、特定シンボル43aの色彩が赤色に変化したか否かを判断する(S105)。特定シンボル43aの色彩が赤色に変化した場合は(S105:yes)、演奏パート(トランペット)を追加して6種類の演奏パートで楽曲を出力する(S106)。すなわち、消音に設定していた演奏パート(トランペット)の音量を上げることで、出力中の楽曲の演奏パートを6種類に増加する。
一方、特定シンボル43aの色彩の赤色変化がない場合は(S105:no)、S106の処理を省略して、保留変化演出が終了したか否かを判断する(S107)。例えば、事前判定の結果が外れである保留変化演出において、赤色の特定シンボル43aが実行中シンボル44へと移動した際の特別図柄の変動表示が外れ図柄で停止表示される(演出表示装置41の識別図柄41a,41b,41cがバラケ目で停止表示される)のに伴い、実行中シンボル44が削除されると、保留変化演出が終了したと判断し(S107:yes)、出力中の楽曲の演奏パートを初期設定の4種類に戻す(S108)。すなわち、初期設定の4種類以外の演奏パート(ピアノ、トランペット)については音量を下げて消音に設定することで楽曲から削除する。このとき、削減する演奏パート(ピアノ、トランペット)の音量は、いきなり消音に設定してもよいし、緩やかに下げてフェードアウトさせてもよい。
これに対して、保留変化演出が未だ終了していない場合は(S107:no)、S108の処理を省略して、図8の楽曲出力制御処理を一旦終了する。その後、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図8の楽曲出力制御処理を開始する。
図9は、本実施例の保留変化演出の実行に伴い、出力中の楽曲における演奏パートの数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。前述したように本実施例の楽曲は、複数の演奏パートを統合して出力するようになっており、初期設定ではボーカル、ギター、ベース、ドラムの4種類の演奏パートで出力し、それ以外の演奏パート(ピアノ、トランペット)については音量を消音に設定することで出力を留保している。また、特定シンボル43aの形状が変化して保留変化演出を開始しても、出力中の楽曲における演奏パートは初期設定の4種類のままである。
そして、保留変化演出で特定シンボル43aの色彩が白色よりも大当り信頼度が高い青色に変化したのを契機に、ピアノの演奏パートの消音を解除して音量を上げることで、出力中の楽曲にピアノの演奏パートを追加して出力する。さらに、特定シンボル43aの色彩が青色よりも大当り信頼度が高い赤色に変化したのを契機に、トランペットの演奏パートの消音を解除して音量を上げることで、出力中の楽曲にトランペットの演奏パートを追加して出力する。尚、本実施例の保留変化演出における特定シンボル43aの色彩の変化は、本発明の「有利特定演出」に相当している。
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、複数の演奏パートを統合して楽曲を出力するようになっており、保留変化演出で特定シンボル43aの色彩が変化したのを契機として、出力中の楽曲における演奏パートを増加するようになっている。視覚的な遊技演出(保留変化演出)に連動して、単に楽曲の音量を変えるのではなく、統合する演奏パートの数を変えることで、楽曲の迫力に変化を付けることができる。このため、特別図柄の変動回数がなかなか所定回数に達しない場合や、遊技者が楽曲の選択を行っていない場合などで、出力される楽曲が切り換わらなくても、遊技者が受ける印象を異ならせて、遊技者が飽きてしまうことを抑制することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1では、保留変化演出における特定シンボル43aの色彩によって大当り信頼度を表し、特定シンボル43aの色彩の変化が遊技者にとって有利を示唆するようになっている。そして、特定シンボル43aの色彩の変化を契機に演奏パートを追加して楽曲の迫力を増す(豪華にする)ことにより、遊技者にチャンスであることを印象付けて遊技興趣を高めることが可能となる。
特に、本実施例の特定シンボル43aは、白色、青色、赤色の順に変化していき段階的に大当り信頼度が高くなって遊技者にとって有利となる。そして、特定シンボル43aの色彩が変化する毎に、出力中の楽曲に演奏パートを追加していくようになっている。こうして楽曲の迫力を段階的に増すことにより、チャンス(保留変化演出からの大当り)に対する遊技者の期待感を効果的に高めることが可能となる。
さらに、本実施例のパチンコ機1では、出力中の楽曲を構成し得る複数の演奏パートの再生を同時に継続したまま、不用な演奏パートの音量を下げて消音に設定することで楽曲から演奏パートを削減(出力を留保)し、消音を解除して音量を上げることで楽曲に演奏パートを追加するようになっている。このようにすれば、楽曲に演奏パートを追加する際に、既に出力している演奏パート(初期設定の4種類)と、途中から追加する演奏パートとの間で再生位置のずれが生じることはなく、演奏パートの増減を簡便に制御することが可能となる。
D.変形例 :
以上、本実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
変形例のパチンコ機1では、前述した演出表示装置41の図柄変動演出におけるスーパーリーチ演出としてバトル演出を実行することが可能となっている。図10は、演出表示装置41で実行されるバトル演出の一例を示した説明図である。図示したバトル演出は、遊技者側キャラクタ45と、対戦キャラクタ46とが格闘するものであり、遊技者側キャラクタ45に「PLAYER」の表示が付されている。
そして、バトル演出では、遊技者側キャラクタ45の勝敗によって、変動表示中の特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示されるかを示唆するようになっている。すなわち、遊技者側キャラクタ45が対戦キャラクタ46に勝利すれば、特別図柄が大当り図柄で停止表示されるのに対して、遊技者側キャラクタ45が対戦キャラクタ46に敗北すれば、特別図柄が外れ図柄で停止表示される。このようなバトル演出を実行することで、遊技者側キャラクタ45の勝利を遊技者に期待させ、遊技興趣を高めることができる。尚、バトル演出の実行中は、演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの変動表示を継続するものの、表示範囲が縮小されており、図示した例では演出表示装置41の上部左隅に表示されている。これら識別図柄41a,41b、41cは、バトル演出の結果が示されるのに伴って停止表示される。
また、演出表示装置41における遊技者側キャラクタ45の下方には、遊技者側キャラクタ45の体力を示すライフゲージ45aが表示される。遊技者側キャラクタ45がダメージを受けると、ライフゲージ45aが減少していき、「0」になったら遊技者側キャラクタ45の敗北となる。同様に、対戦キャラクタ46の下方には、対戦キャラクタ46の体力を示すライフゲージ46aが表示される。対戦キャラクタ46がダメージを受けると、ライフゲージ46aが減少していき、「0」になったら対戦キャラクタ46の敗北となる。
そして、遊技者側キャラクタ45のライフゲージ45aが対戦キャラクタ46のライフゲージ46aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ45の劣勢(遊技者にとって不利)を示唆する。反対に、対戦キャラクタ46のライフゲージ46aが遊技者側キャラクタ45のライフゲージ45aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ45の優勢(遊技者にとって有利)を示唆する。図10では、遊技者側キャラクタ45が劣勢である状態が示されている。
図11は、サブ制御基板220のCPU221が実行する変形例の楽曲出力制御処理を示したフローチャートである。変形例の楽曲出力制御処理を開始すると、まず、楽曲の切り換え条件が成立したか否かを判断する(S200)。前述した実施例と同様に楽曲の切り換え条件として、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達した場合と、所定の選択可能期間中に遊技者が方向ボタン10cを操作して複数の楽曲の中から何れかを選択した場合とが設定されている。
そして、楽曲の切り換え条件が成立した場合は(S200:yes)、出力する楽曲を切り換える(S201)。変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、複数の演奏パートを統合して楽曲を出力するようになっており、初期設定では4種類の演奏パート(ボーカル、ギター、ベース、ドラム)で楽曲を出力する。
これに対して、楽曲の切り換え条件が成立していない場合は(S200:no)、S201の処理を省略し、続いて、バトル演出を実行しているか否かを判断する(S202)。前述したようにバトル演出は、遊技者側キャラクタ45の勝敗によって、変動表示中の特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れで停止表示されるかを示唆する演出である。そして、バトル演出を実行していない場合は(S202:no)、そのまま図11の楽曲出力制御処理を終了する。その後、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図11の楽曲出力制御処理を開始する。
一方、バトル演出を実行している場合は(S202:yes)、遊技者側キャラクタ45が劣勢に変化したか否かを判断する(S203)。前述したように遊技者側キャラクタ45のライフゲージ45aが対戦キャラクタ46のライフゲージ46aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ45が劣勢となる。そして、遊技者側キャラクタ45が劣勢に変化した場合は(S203:yes)、初期設定の4種類の演奏パートから2種類の演奏パート(ベース、ドラム)を削減して2種類の演奏パートで楽曲を出力する(S204)。
変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、出力中の楽曲を構成し得る複数の演奏パートの再生を同時に継続したまま、不用な演奏パートの音量を下げて消音に設定することで楽曲から演奏パートを削減(出力を留保)する。S204の処理では、2種類の演奏パート(ベース、ドラム)の音量を消音に設定することで、出力中の楽曲の音声パートを2種類(ボーカル、ギター)に減少する。
これに対して、遊技者側キャラクタ45の劣勢変化がない場合は(S203:no)、S204の処理を省略して、次に、遊技者側キャラクタ45が優勢に変化したか否かを判断する(S205)。前述したように対戦キャラクタ46のライフゲージ46aが遊技者側キャラクタ45のライフゲージ45aよりも減少することによって、遊技者側キャラクタ45が優勢となる。そして、遊技者側キャラクタ45が優勢に変化した場合は(S205:yes)、演奏パートを初期設定の4種類に戻すだけでなく、さらに2種類の演奏パート(ピアノ、トランペット)を追加して6種類の演奏パートで楽曲を出力する(S206)。すなわち、消音に設定していた演奏パート(ベース、ドラム、ピアノ、トランペット)の音量を上げることで、出力中の楽曲の演奏パートを6種類に増加する。
一方、遊技者側キャラクタ45の優勢変化がない場合は(S205:no)、S206の処理を省略して、バトル演出が終了したか否かを判断する(S207)。例えば、遊技者側キャラクタ45が対戦キャラクタ46に敗北し、スーパーリーチ演出の結果として識別図柄41a,41b,41cがバラケ目で停止表示されると、バトル演出が終了したと判断し(S207:yes)、出力中の楽曲の演奏パートを初期設定の4種類に戻す(208)。
これに対して、バトル演出が終了していない場合は(S207:no)、S208の処理を省略して、図11の楽曲出力制御処理を一旦終了する。その後、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図11の楽曲出力制御処理を開始する。
図12は、変形例のバトル演出の実行に伴い、出力中の楽曲における演奏パートの数が変化する例を概念的に示したタイムチャートである。前述した実施例と同様に、変形例の楽曲も、複数の演奏パートを統合して出力するようになっており、初期設定ではボーカル、ギター、ベース、ドラムの4種類の演奏パートで出力し、それ以外の演奏パート(ピアノ、トランペット)については音量を消音に設定することで出力を留保している。また、スーパーリーチ演出に発展してバトル演出を開始しても、出力中の楽曲における演奏パートは初期設定の4種類のままである。
そして、図示した例では、遊技者側キャラクタ45がダメージを受けて劣勢になったのを契機に、ベースおよびドラムの2種類の演奏パートの音量を下げて消音に設定することで、出力中の楽曲からベースおよびドラムの演奏パートを削減して出力する。その後、遊技者側キャラクタ45が対戦キャラクタ46にダメージを与えて逆転し、遊技者側キャラクタ45が優勢になったのを契機に、ベース、ドラム、ピアノ、トランペットの4種類の演奏パートの消音を解除して音量を上げることで、出力中の楽曲にベース、ドラム、ピアノ、トランペットの演奏パートを一挙に追加して出力する。尚、変形例のバトル演出における遊技者側キャラクタ45の劣勢変化は、本発明の「不利特定演出」に相当している。また、変形例のバトル演出における遊技者側キャラクタ45の優勢変化は、本発明の「有利特定演出」に相当している。
以上に説明したように変形例のパチンコ機1では、バトル演出で遊技者側キャラクタ45の形勢が変化したのを契機として、出力中の楽曲における演奏パートを増減するようになっており、統合する演奏パートの数を変えることで、楽曲の迫力に変化を付けることができる。このため、前述した実施例と同様に、出力される楽曲が切り換わらない場合でも、遊技者が受ける印象を異ならせて、遊技者が飽きてしまうことを抑制することが可能となる。
そして、変形例のパチンコ機1では、バトル演出で遊技者側キャラクタ45が劣勢となり遊技者にとって不利を示唆すると、それを契機に演奏パートを削減して楽曲の迫力を抑える(質素にする)ことにより、遊技者にピンチであることを印象付けることができる。反対に、バトル演出で遊技者側キャラクタ45が優勢となり遊技者にとって有利を示唆すると、それを契機に演奏パートを追加して楽曲の迫力を増す(豪華にする)ことにより、遊技者にチャンスであることを印象付けることができ、その結果、遊技興趣を高めることが可能となる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例および変形例では、演出表示装置41における遊技演出(保留変化演出、バトル演出)の実行に伴い、出力中の楽曲における演奏パートを増加あるいは減少するようになっていた。しかし、楽曲の演奏パートを増加あるいは減少する契機となる遊技演出は、演出表示装置41を用いたものに限られず、遊技者に対して視覚的に行われるものであればよい。
図13は、出力中の楽曲の演奏パートを増加あるいは減少する契機となる遊技演出の別例を示した説明図である。図示した例では、中央装置40に可動役物47が搭載されており、この可動役物47は、図13(a)に示されるように、基本的には演出表示装置41の上方に位置している。そして、可動役物47が左端側を軸に右端側を下方に向けて回動することにより、図13(b)に示されるように演出表示装置41の前面に移動し、大当り信頼度が高いことを示唆する。例えば、図柄変動演出でスーパーリーチ演出に発展した際などに可動役物47を作動させて、3つの識別図柄41a,41b,41cのうち未だ変動中の中識別図柄41bを可動役物47で覆い隠すことにより、スーパーリーチ演出の結果として識別図柄41a,41b,41cがゾロ目で揃って停止表示されることに対する遊技者の期待感を高めることができる。このように可動役物47を作動させる遊技演出の実行を契機に、出力中の楽曲に演奏パートを追加して楽曲の迫力を増すようにしてもよい。尚、この場合の可動役物47は、本発明の「演出実行手段」に相当している。
また、各種ランプ5a〜5cの発光演出によって大当り信頼度を表す(例えば、各種ランプ5a〜5cを虹色に発光させることで大当り信頼度が高いことを示唆する)場合には、各種ランプ5a〜5cの発光演出の実行を契機として、出力中の楽曲における演奏パートを増加あるいは減少するようにしてもよい。尚、この場合の各種ランプ5a〜5cは、本発明の「演出実行手段」に相当している。
また、前述した実施例では、保留変化演出における特定シンボル43aの色彩が白色、青色、赤色の順に変化していき段階的に大当り信頼度が高くなって遊技者の有利さが上昇していくと共に、特定シンボル43aの色彩が変化する毎に、出力中の楽曲に演奏パートを追加していくようになっていた。しかし、遊技者の有利さが段階的に上昇していく遊技演出は、これに限られない。例えば、複数の段階で構成され、段階が進行するに連れて大当り信頼度が高まるステップアップ演出であってもよく、段階が進行する毎に、出力中の楽曲に演奏パートを追加してもよい。
また、前述した実施例および変形例では、出力中の楽曲を構成し得る複数の演奏パートの再生を同時に継続したまま、消音に設定していた演奏パートの音量を上げることで楽曲に演奏パートを追加するようになっていた。しかし、楽曲の演奏パートを増減する態様は、これに限られず、既に出力している演奏パートの再生位置を検出し、検出した再生位置に合わせて、追加する演奏パートの再生を開始してもよい。また、演奏パートを削減する際には、削減する演奏パートの再生を停止してもよい。ただし、前述した実施例や変形例のように、出力中の楽曲を構成し得る複数の演奏パートの再生を同時に継続しておけば、既に出力している演奏パートの再生位置を検出する必要がなく、簡便に演奏パートを追加することが可能となる。
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
<上述した実施例および変形例から抽出できる遊技機A1〜A5>
上述した実施例および変形例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1〜A5として捉えることができる。
<遊技機A1>
音出力手段を搭載しており、該音出力手段から遊技者に向けて楽曲を出力可能な遊技機において、
前記音出力手段による前記楽曲の出力を制御する制御手段と、
遊技者に対して視覚的な遊技演出を実行可能な演出実行手段と
を備え、
前記音出力手段は、複数の演奏パートを統合して前記楽曲を出力可能であり、
前記制御手段は、前記演出実行手段によって特定演出が実行されたことを契機として、出力中の前記楽曲における前記演奏パートを増加あるいは減少する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A1では、視覚的な遊技演出(特定演出)に連動して、単に楽曲の音量を変えるのではなく、統合する演奏パートの数を変えることで、楽曲の迫力に変化を付けることができる。このため、出力される楽曲が切り換わらなくても、遊技者が受ける印象を異ならせて、遊技者が飽きてしまうことを抑制することが可能となる。
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記特定演出として、遊技者にとって有利を示唆する有利特定演出の実行を契機に、前記制御手段は、出力中の前記楽曲に前記演奏パートを追加する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A2では、有利特定演出の実行を契機に演奏パートを追加して楽曲の迫力を増す(豪華にする)ことにより、遊技者にチャンスであることを印象付けて遊技興趣を高めることが可能となる。
<遊技機A3>
遊技機A2において、
遊技者の有利さが段階的に上昇していく前記有利特定演出が実行される場合には、前記制御手段は、遊技者の有利さが上昇する毎に、出力中の前記楽曲に前記演奏パートを追加していく
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A3では、有利特定演出で遊技者の有利さが上昇する毎に演奏パートを追加して楽曲の迫力を段階的に増すことにより、有利特定演出に対する遊技者の期待感を効果的に高めることが可能となる。
<遊技機A4>
遊技機A1ないし遊技機A3の何れか1つの遊技機において、
前記特定演出として、遊技者にとって不利を示唆する不利特定演出の実行を契機に、前記制御手段は、出力中の前記楽曲から前記演奏パートを削減する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A4では、不利特定演出の実行を契機に演奏パートを削減して楽曲の迫力を抑える(質素にする)ことにより、遊技者にピンチであることを印象付けることができる。
<遊技機A5>
遊技機A1ないし遊技機A4の何れか1つの遊技機において、
前記制御手段は、出力中の前記楽曲を構成し得る複数の前記演奏パートの再生を同時に継続させたまま、何れかの前記演奏パートの音量を下げて消音することで該演奏パートを前記楽曲から削減し、消音から音量を上げることで前記演奏パートを前記楽曲に追加する
ことを特徴とする遊技機。
このような遊技機A5では、楽曲に演奏パートを追加する際に、既に出力している演奏パートと、途中から追加する演奏パートとの間で再生位置のずれが生じることはなく、演奏パートの増減を簡便に制御することが可能となる。