JP2021050617A - 真空ポンプおよび制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸受制御性の低下を抑えつつコスト低減を図ることができる磁気浮上式真空ポンプの提供。【解決手段】軸受制御部31は複数のCPUコア(CPU1、CPU2)を備え、目標浮上位置信号X1sと変位センサ5x1およびセンサ回路26で検出された浮上位置とに基づいて、励磁電流の目標電流値Isx1を算出する第1演算処理、および、算出された目標電流値Isx1と電流検出部25aで検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を算出する第2演算処理を、CPU1、CPU2で分担処理する。【選択図】図2

Description

本発明は、真空ポンプおよび制御装置に関する。
磁気浮上式の真空ポンプでは、ポンプロータは磁気軸受により磁気浮上支持される(例えば、特許文献1参照)。真空ポンプにおける磁気軸受では、ポンプロータを4軸のラジアル磁気軸受と1軸のアキシャル磁気軸受で支持する5軸制御が一般的に採用される。磁気軸受制御においては、位置センサで検出したポンプロータの位置情報に基づく磁気軸受の目標電流値演算と、実際の軸受電流値と演算された目標電流値とに基づく制御量演算とが各軸毎に行われる。
軸受制御の制御性を十分確保するためには、各軸の位置情報を同時に取得し、それを素早く磁気軸受電流へ反映させる必要がある。そのため、特許文献1では、デジタル演算器に、製造後に設計者が構成を設定することができるFPGA(Field Programmable Gate Array)を採用している。FPGAを用いると、5軸の制御を並列処理することが可能である。
特開2019−60274号公報
しかしながら、FPGAを用いる場合、FPGAは高価であり、プログラムの変更が面倒であるという欠点を有している。そのため、FPGAに代わる安価なデジタル演算器の採用が望まれている。その場合、単に安価なだけではなく、FPGAと同様の制御性が要求される。
本発明の第1の態様による真空ポンプは、複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受を有し、回転駆動されるポンプロータを磁気浮上支持する磁気軸受装置と、前記複数の磁気軸受へ励磁電流を供給する軸受駆動部と、前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を分担処理する複数のCPUコアと、を備える。
本発明の第2の態様による制御装置は、回転駆動されるポンプロータを複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受で磁気浮上支持する真空ポンプの、制御装置であって、前記磁気軸受の励磁電流を制御する軸受制御部と、前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を分担処理する複数のCPUコアを備える。
本発明によれば、軸受制御性の低下を抑えつつコスト低減を図ることができる。
図1は、磁気軸受装置を備えた真空ポンプの一例を示す図である。 図2は、モータ制御系および磁気軸受制御系の概略構成を示すブロック図である。 図3は、X1軸の制御ブロックを示す図である。 図4は、実施の形態におけるタイミングチャートの一例を示す図である。 図5は、比較例のタイミングチャートを示す図である。 図6は、第1の変形例を説明するためのタイミングチャートである。 図7は、第2の変形例を説明するためのタイミングチャートである。 図8は、第3の変形例を説明するためのタイミングチャートである。 図9は、実施の形態のマルチコアプロセッサを説明する図である。 図10は、実施の形態のマルチコアプロセッサの変形例を説明する図である。 図11は、第1の変形例のマルチコアプロセッサを説明する図である。 図12は、第2の変形例のマルチコアプロセッサを説明する図である。 図13は、第3の変形例のマルチコアプロセッサを説明する図である。 図14は、比較例のシングルコアプロセッサを説明する図である。 図15は、5軸制御型磁気軸受の電磁石の配置を示す模式図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。図1は、磁気軸受装置を備えた真空ポンプの一例を示す図であり、磁気浮上式ターボ分子ポンプのポンプ本体1Aの概略構成を示す断面図である。図1では図示を省略したが、ターボ分子ポンプ1はポンプ本体1Aを駆動制御するコントローラ1B(図2参照)を備えている。
ポンプ本体1Aに採用されている磁気軸受は5軸制御型磁気軸受であって、互いに直交するX1軸,Y1軸に関するラジアル磁気軸受4x1,4y1と、互いに直交するX2軸,Y2軸に関するラジアル磁気軸受4x2,4y2と、Z軸に関するアキシャル磁気軸受4zとを備えている。
図15は、磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4zの電磁石の配置を模式的に示した図である。X1軸の磁気軸受4x1は、ロータ軸3を挟んで対向配置された一対の電磁石41p,41mを備えている。Y1軸の磁気軸受4y1は、ロータ軸3を挟んで対向配置された一対の電磁石42p,42mを備えている。磁気軸受4x2,4y2のX2,Y2軸は、ロータ軸3に対する軸方向支持位置がX1,Y1軸とは異なる。X2軸の磁気軸受4x2は、ロータ軸3を挟んで対向配置された一対の電磁石43p,43mを備えている。Y2軸の磁気軸受4y2は、ロータ軸3を挟んで対向配置された一対の電磁石44p,44mを備えている。Z軸のアキシャル磁気軸受4zは、ロータ軸3に固定されたスラストディスク300を挟んで対向配置された一対の電磁石45u、45lを備えている。
ラジアル磁気軸受4x1,4y1の各軸に対応して、ラジアル変位センサ5x1,5y1がそれぞれ設けられている。同様に、ラジアル磁気軸受4x2,4y2の各軸に対応して、ラジアル変位センサ5x2,5y2がそれぞれ設けられている。また、アキシャル磁気軸受4zに対応してアキシャル変位センサ5zが設けられている。ポンプロータ2が固定されているロータ軸3は磁気軸受により磁気浮上支持され、ロータ軸3の浮上位置は、ラジアル変位センサ5x1,5y1,5x2,5y2およびアキシャル変位センサ5zによって検出される。
磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4zによって回転自在に磁気浮上されたロータ軸3はモータ6により回転駆動される。モータ6には、例えば、ブラシレスDCモータ等が用いられる。磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4zが動作していないときには、ロータ軸3は非常用のメカニカルベアリング7a,7bによって支持される。磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4z、変位センサ5x1,5y1,5x2,5y2,5z、モータ6およびメカニカルベアリング7a,7bは、ベース8に配置されている。
ポンプロータ2には、回転側排気機能部を構成する複数段の回転翼2aと円筒部2bとが形成されている。一方、固定側には、固定側排気機能部である固定翼8aとネジステータ8bとが設けられている。複数段の固定翼8aはスペーサ9を介して積層され、軸方向に対して回転翼2aと交互に配置される。ネジステータ8bは、円筒部2bの外周側に所定のギャップを隔てて設けられている。
図2は、ターボ分子ポンプ1のモータ制御系および磁気軸受制御系の概略構成を示すブロック図である。コントローラ1Bは、AC/DCコンバータ20、DC/DCコンバータ21、DC電源23、インバータ24、励磁アンプ25、センサ回路26、モータ制御部30および軸受制御部31を備えている。外部からのAC入力は、AC/DCコンバータ20によってDC出力(DC電圧)に変換される。AC/DCコンバータ20から出力されたDC電圧はDC/DCコンバータ21に入力され、DC/DCコンバータ21によって、モータ駆動用のDC電圧と磁気軸受駆動用のDC電圧とが生成される。
モータ駆動用のDC電圧はインバータ24に入力される。軸受駆動用のDC電圧はDC電源23に入力される。上述したように磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4zは5軸制御型磁気軸受であって、各軸には一対の電磁石がそれぞれ設けられている。各電磁石には、励磁電流を供給する励磁アンプ25がそれぞれ設けられている。すなわち、10個の励磁アンプ25が設けられている。また、5軸の各軸に対応して設けられた5組の変位センサ5x1,5y1,5x2,5y2,5zに対して、センサ回路26がそれぞれ設けられている。
モータ制御部30は、モータ6を駆動制御する。軸受制御部31は、磁気軸受4x1,4y1,4x2,4y2,4zを駆動制御する。モータ制御部30および軸受制御部31には、CPU、メモリ(RAMおよびROM)および周辺回路を備えるプロセッサがそれぞれ用いられる。後述するように、少なくとも軸受制御部31は、いわゆるマルチコアプロセッサである。モータ制御部30は、シングルコアプロセッサ、またはマルチコアプロセッサである。
インバータ24からモータ制御部30へは、モータ6の相電圧および相電流に関する信号302が入力される。モータ制御部30からインバータ24へは、インバータ24に設けられたスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号301が出力される。軸受制御部31は、各センサ回路26に対してセンサキャリア信号(搬送波信号)305を出力する。各センサ回路26から軸受制御部31へは、浮上位置変化により変調された浮上位置信号306が入力される。また、軸受制御部31は、励磁アンプ25に設けられたスイッチング素子をオンオフ制御するためのPWM制御信号303を各励磁アンプ25へ出力する。各励磁アンプ25から軸受制御部31へは、磁気軸受の励磁電流に関する電流信号304が入力される。
図3は、図2の磁気軸受4x1に関するX1軸の制御ブロックを示したものである。図15に示したように、磁気軸受4x1の電磁石41m,41pはロータ軸3を挟むようにX1軸上に配置されている。磁気軸受4x1の近傍に配置された変位センサ5x1も、ロータ軸3を挟むようにX1軸方向に配置されている。変位センサ5x1はロータ軸3のX1軸方向の変位を検出し、センサ回路26からはその変位信号に基づく浮上位置信号306が出力される。
軸受制御部31の目標電流値演算部311には、目標浮上位置信号X1sとセンサ回路からの浮上位置信号306との差分値ε1(すなわち、浮上位置偏差)が入力される。目標電流値演算部311は、差分値ε1に基づいて磁気軸受4x1に供給する励磁電流の目標電流値Isx1を算出する。制御量演算部312には、目標電流値Isx1と励磁アンプ25の電流検出部25aで検出された電流信号304との差分値ε2が入力される。電流検出部25aは、例えば、励磁アンプ25に設けられたシャント抵抗等である。制御量演算部312は、差分値ε2に基づいて励磁アンプ25への制御信号を生成する。励磁アンプ25はその制御信号により駆動され、励磁アンプ25から磁気軸受4x1へ励磁電流が供給される。
このように、軸受制御部31では、各軸制御における目標電流値演算と制御量演算とがそれぞれ実行される。5軸制御型磁気軸受の場合には、5個の目標電流値演算と5個の制御量演算とを合わせた10個の演算処理が行われる。本実施の形態では、軸受制御部31として、複数のCPUコアを有するマルチコアプロセッサを使用し、10個の演算処理を複数のCPUコアで分担処理するようにした。
以下の説明において、X1軸の目標電流値演算処理をX1A、Y1軸の目標電流値演算処理をY1A、X1軸の制御量演算処理をX1B、Y1軸の制御量演算処理をY1B、Z軸の目標電流値演算処理をZA、Z軸の制御量演算処理をZBとする。
図9は、実施形態のマルチコアプロセッサMPの構成を示す図である。マルチコアプロセッサMPは、10個のCPUコア1〜10を実装している。磁気軸受4x1,4y1の2軸分(X1軸およびY1軸)の目標電流値演算および制御量演算、すなわち4個の演算処理X1A、Y1A、X1B、Y1Bを4つのCPUコア1〜CPUコア4で分担して処理し、磁気軸受4x2,4y2の2軸分(X1軸およびY1軸)の目標電流値演算処理X2A、Y2Aおよび制御量演算処理X2B、Y2Bを4つのCPUコア5〜CPUコア8で分担して処理し、Z軸の目標電流値演算処理ZAと制御量演算処理ZBを2つのCPUコア9,10で分担して処理する。
なお、マルチコアプロセッサMPは、10個のCPUコア1〜10、RAM、ROM、タイミングジェネレータ、周辺回路などを含んで構成され、これらバスラインで接続されている。CPUコア1〜10はそれぞれ、算術論理演算ユニット(ALU:Arithmetic Logic Unit)、読み出した命令を一時格納する命令レジスタ、インストラクションレジスタに格納した命令を解読し、制御部に送る命令デコーダ、割り込み機能を制御する割り込み制御回路,次に実行する命令のメモリ番地を管理するプログラムカウンタ等で構成されている。
図4は、例えば、図1,2の磁気軸受4x1,4y1の2軸分(X1軸およびY1軸)の目標電流値演算および制御量演算、すなわち4個の演算処理を4つのCPUコア1〜4で分担して処理する場合の、タイミングチャートの一例を示す図である。一方、図5は比較例を示す図であり、2軸分の4個の演算処理を1つのCPUコアで処理する場合の、タイミングチャートの一例を示す図である。
まず、図14および図5により、比較例を詳細に説明する。図14は、比較例のシングルコアプロセッサDPの構成を示す図であり、一つのCPUコアを備えている。CPUコアは、目標電流値演算処理X1A、Y1A、X2A、Y2A、ZAと、制御量演算処理X1B、Y1B、X2B、Y2B、ZBを行う。
図5は、X1軸の目標電流値演算処理X1A、Y1軸の目標電流値演算処理Y1A、X1軸の制御量演算処理X1BおよびY1軸の制御量演算処理Y1Bの、各々のタイミングチャートを示したものである。ここで、目標電流値演算処理はΔt1=100μs程度のインターバルで行われ、制御量演算処理はそれよりも短いインターバル(例えば、Δt2=10μs程度)で行われる。一般に、磁気軸受制御における目標電流値演算は制御量演算よりも複雑であり、演算処理に要する時間は、制御量演算に比べて目標電流値演算の方が長い。
時刻t1にX1軸の変位信号ΔX1およびY1軸の変位信号ΔY1を取得し、取得した変位信号ΔX1に基づいてX1軸の目標電流値演算処理X1Aを開始する。制御量演算処理タイミングである時刻t2になったならば、時刻t1に開始した目標電流値演算処理X1Aを途中で一旦中断して、X1軸の制御量演算処理X1BおよびY1軸の制御量演算処理Y1Bを順に実行する。そして、時刻t3に制御量演算処理Y1Bが終了したならば、中断していた目標電流値演算処理X1Aを再開する。上述したようにΔt2はΔt1の1/10程度であり、また、制御量演算処理は目標電流値演算処理よりも優先度が高い。そのため、目標電流値演算処理X1Aを一時的に中断して制御量演算処理X1B,Y1Bを行うようにしている。
時刻t4に目標電流値演算処理X1Aが終了すると、時刻t4において、制御量演算処理X1Bに使用される目標電流値は時刻t4に得られた演算結果(目標電流値Isx1)により更新される。時刻t4に目標電流値演算処理X1Aが終了したならば、時刻t1に取得した変位信号ΔY1に基づいてY1軸の目標電流値演算処理Y1Aを開始する。その後、時刻t2からインターバルΔt2が経過して時刻t5となったならば、目標電流値演算処理Y1Aを途中で中断して、制御量演算処理X1BおよびY1Bを順に実行する。制御量演算処理X1Bは時刻t4に更新された目標電流値Isx1に基づいて実行されるが、制御量演算処理Y1Bは、時刻t4よりも以前に更新された目標電流値、すなわち前回の目標電流値演算処理Y1Aの演算結果に基づいて実行される。
時刻t6に制御量演算処理Y1Bが終了すると、中断していた目標電流値演算処理Y1Aを再開する。そして、時刻t5からインターバルΔt2が経過した時刻t7において目標電流値演算処理Y1Aを再度中断し、制御量演算処理X1BおよびY1Bを順に実行する。時刻t8に制御量演算処理Y1Bが終了すると、中断していた目標電流値演算処理Y1Aを再開する。時刻t9に目標電流値演算処理Y1Aが終了すると、制御量演算処理Y1Bに使用される目標電流値は時刻t9に得られた演算結果(目標電流値Isy1)により更新される。
その後、時刻t10から制御量演算処理X1BおよびY1Bが順に実行される。ここの制御量演算処理Y1Bは、時刻t9に更新された目標電流値Isy1に基づいて行われる。時刻t1から目標電流値演算処理のインターバルΔt1が経過した時刻t11において、変位信号ΔX1およびΔY1を取得し、取得した変位信号ΔX1に基づいてX1軸の目標電流値演算処理X1Aを開始する。
このように2軸分の4個の演算処理を1つのCPUコアで処理する場合、二つの演算処理を並行して実行することができないので、図5のように目標電流値演算処理X1Aと目標電流値演算処理Y1Aと異なるタイミングで処理し、目標電流値演算処理X1AおよびY1Aが行われていない時間に、または、目標電流値演算処理X1AおよびY1Aを一時的に中断して、制御量演算処理X1BおよびY1Bを順に行うようにしている。
一般に、ロータ軸3の目標浮上位置からのずれを修正する処理は、複数軸の全てを同時に行うのが好ましい。具体的には、各軸のセンサ変位信号の取得、目標電流値の更新および制御量演算を同一タイミングで行う。しかしながら、1つのCPUコアで4つの演算処理を行う図5の例では、変位信号ΔX1およびΔY1の取得は2軸同時に行っているが、目標電流値演算処理X1AおよびY1Aを並列処理できないので開始タイミングをずらしている。そのため、変位信号ΔX1およびΔY1を取得してから目標電流値Isy1を更新するまでの時間が長くなってしまう。
時刻t1に取得した変位信号ΔX1およびΔY1に基づく目標電流値の更新タイミングは、X1軸が時刻t4であり、Y1軸はさらに遅れて時刻t9である。演算中もロータ軸3の浮上位置は変化しているので、時刻t4および時刻t9に更新された目標電流値Isx1,Isy1は、時刻t4および時刻t9における変位信号に対する目標電流値からずれていることになる。その結果、ロータ軸3の振動低減が十分に行われず、ポンプ振動低減化の阻害要因となる。
一方、図4に示す例では、2軸の4つの演算処理を4つのCPUコアにより並列処理している。すなわち、時刻t1に変位信号ΔX1およびΔY1を取得し、その変位信号ΔX1およびΔY1に基づいて時刻t1に目標電流値演算処理X1AおよびY1Aを同時に開始するとともに、それと同時に制御量演算処理X1BおよびY1Bも開始している。そのため、目標電流値演算処理X1AおよびY1Aで演算された目標電流値Isx1,Isy1は、演算終了直後の時刻t5に開始する制御量演算処理X1BおよびY1Bから反映されることになる。すなわち、浮上位置ずれの検出から制御電流への反映までの時間が図5と比較して短縮され、振動低減の向上を図ることができる。さらに、複数のCPUコア1〜4を備えるマルチコアプロセッサを使用することにより、高価なFPGAを用いる場合に比べてコスト低減を図ることができる。
図4は、X1,Y1の2軸における4つのCPUコアのタイミングチャートを示したものであるが、X2,Y2の2軸については別の4つのCPUコア、Z軸については別の2つのCPUコアが使用される。
図4に示した実施の形態では、2軸に関する4つの演算処理を4つのCPUコアで個別に並列処理する最も好ましい場合について説明した。このような2軸−4コアの構成を5軸制御型磁気軸受に適用した場合には、10個のCPUコアが必要となる。その場合、10個のCPUコアが1つのマルチコアプロセッサに設けられている構成が、10個の演算処理を同時開始するという処理を行う上では好ましい。
もちろん、複数のマルチコアプロセッサに設けられた10個のCPUコアで分担処理するという構成、すなわち、複数の演算処理を複数のマルチコアプロセッサで分担処理する構成も、処理の開始タイミングを合わせる措置をする必要があるが、可能である。例えば、図11のように、CPUコア1〜4,CPUコア5〜8、CPUコア9の各々をマルチコアプロセッサMP1〜MP3に実装してもよい。
上述したように、図4に示した例では1つの演算処理に1つのCPUコアを設けており、このような構成を各軸において採用することで、目標浮上位置からのずれ修正処理を複数軸の全てで同じタイミングで行うことができる。すなわち、処理時間が長い目標電流値演算処理X1A,Y1Aの処理を、制御量演算処理X1B,Y1Bの処理に阻害されることなく短時間にかつ同時に終了させることができる。以下で説明する第1〜第3の変形例では、目標浮上位置からのずれ修正処理を複数軸の全てで同じタイミングで行うことはできないが、より少ないCPUコア数で複数の演算処理を分担する構成について説明する。
(第1の変形例)
第1の変形例では、5軸制御型磁気軸受を例に、5軸における10の演算処理を4つのCPUコアで分担処理する場合について説明する。図6は、その場合のタイミングチャートを示したものである。図11は、4つのCPUコア1〜4をひとつのマルチコアプロセッサMPに実装した例を示している。図1、2のラジアル磁気軸受4x1,4y1の2軸をX1軸およびY1軸、ラジアル磁気軸受4x2,4y2の2軸をX2軸およびY2軸、アキシャル磁気軸受4zをZ軸とする。図6のX1A,Y1A,X2A,Y2AおよびZAは、X1軸,Y1軸,X2軸,Y2軸およびZ軸の目標電流値演算処理を表し、X1B,Y1B,X2B,Y2BおよびZBは、X1軸,Y1軸,X2軸,Y2軸およびZ軸の制御量演算処理を表している。CPUコア1は、X1AとX2Aの演算処理を行い、CPUコア2は、Y1AとY2AとZAの演算処理を行い、CPUコア3は、X1BとX2Bの演算処理を行い、CPUコア4は、Y1BとY2BとZBの演算処理を行う。
図6に示す例では、X1軸の目標電流値演算処理X1AおよびX2軸の目標電流値演算処理X2Aは第1のCPUコア1でタイミングをずらして行い、Y1軸の目標電流値演算処理Y1A、Y2軸の目標電流値演算処理Y2AおよびZ軸の目標電流値演算処理ZAは第2のCPUコア2でタイミングをずらして行い、X1軸の制御量演算処理X1BおよびX2軸の制御量演算処理X2Bは第3のCPUコア3でタイミングをずらして行い、Y1軸の制御量演算処理Y1B、Y2軸の制御量演算処理Y2BおよびZ軸の制御量演算処理ZBは第4のCPUコア4でタイミングをずらして行う。
図6では、目標電流値演算処理X2A,Y2Aおよび制御量演算処理X2B,Y2Bの処理タイミングを、目標電流値演算処理X1A,Y1Aおよび制御量演算処理X1B,Y1Bの処理タイミングに対してずらすことで、8つの処理を4つのCPUコア1〜4で行わせるようにしている。さらに、Z軸の目標電流値演算処理ZAおよび制御量演算処理ZBについては、CPUコア2における目標電流値演算処理Y1Aの処理タイミングと制御量演算処理Y2Bの処理タイミングとの間の空き時間において目標電流値演算処理ZAを行い、CPUコア4における制御量演算処理Y2Bの処理タイミングと制御量演算処理Y1Bとの空き時間において制御量演算処理ZBを行うようにした。
このように、第1の変形例では、X1軸とY1軸、および、X2軸とY2軸のように軸方向の支持位置が同一な2軸間においては、制御タイミングのずれを防止するために、センサ変位信号の取得、目標電流値の更新および制御量演算を同一タイミングで行うようにしている。一方、軸方向の支持位置の異なる制御軸の間では演算処理タイミングをずらすことで、より少ないCPUコアで処理を行うようにした。具体的には、目標電流値演算処理に関してはX1軸およびY1軸、Z軸、X2軸およびY2軸の順にタイミングをずらして行い、制御量演算処理に関してはX1軸およびY1軸、X2軸およびY2軸、Z軸の順にタイミングをずらして行うようにした。その結果、軸方向の支持位置が同一な2軸間においては、処理時間が長い2つの目標電流値演算処理を、制御量演算処理に阻害されることなく短時間かつ同時に終わらせることができる。
時刻t1に、変位信号ΔX1およびΔY1を取得し、その変位信号ΔX1およびΔY1に基づいて第1のCPUコア1におけるX1軸の目標電流値演算処理X1Aと、第2のCPUコア2におけるY1軸の目標電流値演算処理Y1Aとを開始する。目標電流値演算処理X1A,Y1Aは時刻t4に終了し、X1軸およびY1軸の目標電流値が算出されたIsx1,Isy1にそれぞれ更新される。時刻t5に開始される第3のCPUコア3における制御量演算処理X1Bと第4のCPUコア4における制御量演算処理Y1bとは、時刻t4に更新された目標電流値に基づいて制御量演算が行われる。
次いで、時刻t20に変位信号ΔZを取得し、その変位信号ΔZに基づいて第2のCPUコア2におけるZ軸の目標電流値演算処理ZAを開始する。目標電流値演算処理ZAが終了するとZ軸の目標電流値がIszに更新され、時刻t22に開始される第4のCPUコア4における制御量演算処理ZBから、更新された目標電流値Iszに基づく制御量演算が行われる。目標電流値演算処理ZAが終了した後の時刻t21には、X2軸およびY2軸の変位信号ΔX2およびΔY2を取得し、その変位信号ΔX1およびΔY1に基づいて第1のCPUコア1におけるX2軸の目標電流値演算処理X2Aと、第2のCPUコア2におけるY2軸の目標電流値演算処理Y2Aとを開始する。目標電流値演算処理X2A,Y2Aが終了すると、X2軸およびY2軸の目標電流値はそれぞれIsx2,Isy2に更新される。時刻t23には、更新された目標電流値Isx2,Isy2に基づく制御量演算処理X2B,Y2Bが、第3のCPUコア3および第4のCPUコア4によって開始される。
(第2の変形例)
第2の変形例では、5軸制御型磁気軸受を例に、5軸における10の演算処理を3つのCPUコアで分担処理する場合について説明する。図7は、第2の変形例を説明するタイミングチャートである。図12は、3つのCPUコア1〜3をひとつのマルチコアプロセッサMPに実装した例を示している。CPUコア1は、X1AとX2Aの演算処理を行い、CPUコア2は、Y1AとY2AとZAの演算処理を行い、CPUコア3は、X1BとX2BとY1BとY2BとZBの演算処理を行う。
図7に示す例では、X1軸の目標電流値演算処理X1AおよびX2軸の目標電流値演算処理X2Aは第1のCPUコア1でタイミングをずらして行い、Y1軸の目標電流値演算処理Y1A、Y2軸の目標電流値演算処理Y2AおよびZ軸の目標電流値演算処理ZAは第2のCPUコア2でタイミングをずらして行い、X1軸,Y1軸,X2軸,Y2軸およびZ軸の目標電流値演算処理X1B,Y1B,X2B,Y2BおよびZBの全てを第3のCPUコア3でタイミングをずらして行う。
図7では、図6の場合と同様に、目標電流値演算処理X2A,Y2Aの処理タイミングを目標電流値演算処理X1A,Y1Aの処理タイミングに対してずらすと共に、Z軸の目標電流値演算処理ZAを、CPU2における目標電流値演算処理Y1Aの処理タイミングと制御量演算処理Y2Bの処理タイミングとの間の空き時間に行うことで、5つの演算処理を2つのCPUコア1および2で行わせるようにしている。さらに、5つの制御量演算処理X1B,Y1B,X2B,Y2B,ZBを、1つのCPUコア3で順に行うようにした。その結果、第2の変形例においても、軸方向の支持位置が同一な2軸間においては、処理時間が長い2つの目標電流値演算処理を、制御量演算処理に阻害されることなく短時間かつ同時に終わらせることができる。また、第2の変形例は、5つの制御量演算処理X1B,Y1B,X2B,Y2B,ZBを1つのCPUコアで順に行う点が第1の変形例と異なり、それにより5軸間の制御量演算処理のずれが大きくなるが、CPUコアの数を3から2に減らすことができる。
(第3の変形例)
図8は、第3の変形例を説明するタイミングチャートである。図13は、3つのCPUコア1〜3をひとつのマルチコアプロセッサMPに実装した例を示している。CPUコア1は、X1AとZAの演算処理を行い、CPUコア2は、Y1Aの演算処理を行い、CPUコア3は、X1bとY1BとZBの演算処理を行う。第3の変形例では、2軸のラジアル磁気軸受と1軸のアキシャル磁気軸受とを備える3軸制御型磁気軸受に本発明を適用した場合について説明する。図8に示す例は、3軸制御型磁気軸受の6個の演算処理を3つのCPUコア1〜3で分担処理するものである。
3軸制御型磁気軸受の場合、ラジアル方向のX1軸およびY1軸とアキシャル方向のZ軸との3軸で構成され、3つの目標電流値演算処理X1A,Y1A,ZAと3つの制御量演算処理X1B,Y1B,ZBとの6つの演算処理が行われる。目標電流値演算処理X1Aは第1のCPUコア1で行い、目標電流値演算処理Y1AおよびZAは処理タイミングをずらして第2のCPUコア2で行い、3つの制御量演算処理X1B,Y1B,ZBは処理タイミングをずらして第3のCPUコア3で行うことで、6つの演算処理を3つのCPUコアで分担処理するようにした。
時刻t1に、変位信号ΔX1およびΔY1を取得し、その変位信号ΔX1およびΔY1に基づいて第1のCPUコア1におけるX1軸の目標電流値演算処理X1Aと、第2のCPUコア2におけるY1軸の目標電流値演算処理Y1Aとを開始する。目標電流値演算処理X1A,Y1Aは時刻t4に終了し、X1軸およびY1軸の目標電流値がそれぞれIsx1,Isy1に更新される。第3のCPUコア3は、時刻t5に目標電流値Isx1に基づく制御量演算処理X1Bを開始し、時刻t24に制御量演算処理X1Bが終了すると目標電流値Isy1に基づく制御量演算処理Y1Bを開始する。
時刻t20には第2のCPUコア2においてZ軸の目標電流値演算処理ZAが開始され、目標電流値演算処理ZAが終了するとZ軸の目標電流値がIsz1に更新される。その後、時刻t21において、第3のCPUコア3は、目標電流値Isz1に基づく制御量演算処理ZBを行う。
3軸制御型磁気軸受の場合、各軸の目標電流値演算処理および制御量演算処理の各々を図4の場合のように個別のCPUコアで処理すると6つのCPUコアが必要となる。第3の変形例では、2つの目標電流値演算処理Y1A,ZAを第2のCPUコア2で行い、3つの制御量演算処理X1B,Y1B,ZBを第3のCPUコア3で行うようにした。その結果、処理時間が長い目標電流値演算処理X1A,Y1Aの処理を、制御量演算処理X1B,Y1B,ZBの処理に阻害されることなく短時間かつ同時に終了させるようにしつつ、CPUコアの数を3つに減らすことができる。
上述した複数の例示的な実施の形態および変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
[1]一態様に係る真空ポンプは、複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受を有し、回転駆動されるポンプロータを磁気浮上支持する磁気軸受装置と、前記磁気軸受へ励磁電流を制御する軸受制御部と、前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を分担処理する複数のCPUコアを備える。
例えば、図4に示すように、2つの制御軸X1,Y1の目標電流値Isx1,Isy1を算出する2つの第1演算処理(目標電流値演算処理X1A,Y1A)と、励磁電流制御信号である2つの制御量を算出する2つの第2演算処理(制御量演算処理X1B,Y1B)とを、4つのCPUコア(CPU1〜CPU4)で分担処理する。その結果、変位ΔX1,ΔY1の検出結果を、「(目標電流値演算時間)〜(目標電流値演算時間)+Δt2」程度の時間遅れで励磁電流に反映させることができ、コストダウンが図れると共に、FPGAにより並列処理した場合と同定度の制御性を得ることができる。
[2]上記[1]に記載の真空ポンプにおいて、前記磁気軸受装置は、前記ポンプロータの軸方向第1位置における径方向支持を行う第1ラジアル磁気軸受および第2ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向第2位置における径方向支持を行う第3ラジアル磁気軸受および第4ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向支持を行うアキシャル磁気軸受とを有する5軸制御型の磁気軸受装置であって、前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、前記第1ラジアル磁気軸受および前記第3ラジアル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第1のCPUコアと、前記第2ラジアル磁気軸受、前記第4ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第2のCPUコアと、前記第1ラジアル磁気軸受および前記第3ラジアル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第3のCPUコアと、前記第2ラジアル磁気軸受、前記第4ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第4のCPUコアと、を備える。
5軸制御型の磁気軸受装置の場合には、図6に示すように第1演算処理である目標電流値演算処理X1A,Y1A,X2A,Y2A,ZAと第2演算処理である制御量演算処理X1B,Y1B,X2B,Y2B,ZBとの合計数は10である。この場合、図6に示すように、目標電流値演算処理X1A,X2Aを第1のCPUコア1で行い、目標電流値演算処理Y1A,Y2A,ZAを第2のCPUコア2で行い、制御量演算処理X1B,X2Bを第3のCPUコア3で行い、制御量演算処理Y1B,Y2B,ZBを第4のCPUコア4で行うことで、CPUコアの数を4に減らすことができる。
この構成の場合、軸方向支持位置が同じX1軸、Y1軸の目標電流値演算および制御量演算は、それぞれ異なるCPUコアによって同一タイミングで処理される。同様に、軸方向支持位置が同じX2軸、Y2軸の目標電流値演算および制御量演算についても、それぞれ異なるCPUコアによって同一タイミングで処理される。その結果、軸方向支持位置が同じ制御軸に関しては制御軸間のタイミングずれが無く、かつ、検出された変位の制御への反映を可能な限り短くすることができる。よって、軸受制御性の低下を抑えつつコスト低減を図ることができる。
[3]上記[1]に記載の真空ポンプにおいて、前記磁気軸受装置は、前記ポンプロータの径方向支持を行う第1ラジアル磁気軸受および第2ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向支持を行うアキシャル磁気軸受とを有する3軸制御型の磁気軸受装置であって、前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、前記第1ラジアル磁気軸受に関する前記第1演算処理を行う第1のCPUコアと、前記第2ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第2のCPUコアと、前記第1ラジアル磁気軸受、前記第2ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第3のCPUコアと、を備える。
3軸制御型の磁気軸受装置の場合には、図8に示すように第1演算処理である目標電流値演算処理X1A,Y1A,ZAと第2演算処理である制御量演算処理X1B,Y1B,ZBとの合計数は6である。この場合、図8に示すように、目標電流値演算処理X1A,X2Aを第1のCPUコア1で行い、目標電流値演算処理ZAを第2のCPUコア2で行い、制御量演算処理X1B,Y1B,ZBを第3のCPUコア3で行うことで、CPUコアの数を3に減らすことができる。
この構成の場合、軸方向支持位置が同じX1軸、Y1軸に関しては、目標電流値演算はそれぞれ異なるCPUコア1および2によって同一タイミングで処理され、制御量演算は別のCPUコア3で処理される。その結果、X1軸、Y1軸に関しては制御軸間のタイミングズレが無く、かつ、検出された変位の制御への反映を可能な限り短くすることができる。よって、軸受制御性の低下を抑えつつコスト低減を図ることができる。
[4]一態様に係る軸受制御装置は、回転駆動されるポンプロータを複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受で磁気浮上支持する真空ポンプの、制御装置であって、前記磁気軸受の励磁電流を制御する軸受け制御部と、前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、前記軸受け制御部はマルチコアプロセッサであり、目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を、分担処理する複数のCPUコアと、を備える。
例えば、図2のように、ターボ分子ポンプ1のポンプロータを磁気浮上支持する複数の磁気軸受4x1,4y1、4x2,4y2,4zは、コントローラ1Bによって制御される。図4に示すように、2つの制御軸X1,Y1の目標電流値Isx1,Isy1を算出する2つの第1演算処理(目標電流値演算処理X1A,Y1A)と、励磁電流制御信号である2つの制御量を算出する2つの第2演算処理(制御量演算処理X1B,Y1B)とを、4つのCPUコア1〜4で分担処理する。その結果、変位ΔX1,ΔY1の検出結果を、「(目標電流値演算時間)〜(目標電流値演算時間)+Δt2」程度の時間遅れで励磁電流に反映させることができ、コストダウンが図れると共に、FPGAにより並列処理した場合と同定度の制御性を得ることができる。
上述した実施の形態では各制御軸の各演算処理に対してCPUコアをそれぞれ設け、第1〜第3の変形例では5軸4コア、5軸3コア、3軸3コアの場合について説明したが、磁気軸受装置の制御軸の数、各制御軸の各演算処理に対するCPUコアのコア数、および、同一CPUコアで処理する演算処理の組み合わせは上述した例に限定されない。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上述した実施の形態ではターボ分子ポンプを例に説明したが、磁気軸受により支持される真空ポンプであればターボ分子に限定されない。また、磁気軸受に関しても、上述したような独立した変位センサを用いる磁気軸受に限らず、ロータ変位検出方法が異なるセンサレス方式(セルフセンシング方式とも呼ばれる)の磁気軸受を備える真空ポンプにも、本発明は同様に適用することができる。センサレス方式の磁気軸受の場合には励磁電流にセンシング用電流成分が重畳され、ロータ変位によるセンシング用電流成分の変調を検出することで、ロータ変位を検出している。このように変位検出方法は異なるが、検出されたロータ変位に基づく目標電流値演算、および、制御量演算は上述した実施の形態と同様に行われる。
1…ターボ分子ポンプ、1A…ポンプ本体、1B…コントローラ、2…ポンプロータ、3…ロータ軸、4x1,4y1,4x2,4y2…ラジアル磁気軸受、4z…アキシャル磁気軸受、5x1,5y1,5x2,5y2…ラジアル変位センサ、5z…アキシャル変位センサ、6…モータ、25a…電流検出部、31…軸受制御部、311…目標電流値演算部、312…制御量演算部

Claims (4)

  1. 複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受を有し、回転駆動されるポンプロータを磁気浮上支持する磁気軸受装置と、
    前記複数の磁気軸受へ励磁電流を制御する軸受制御部と、
    前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、
    前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、
    前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、
    目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を分担処理する複数のCPUコアを備える、真空ポンプ。
  2. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記磁気軸受装置は、前記ポンプロータの軸方向第1位置における径方向支持を行う第1ラジアル磁気軸受および第2ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向第2位置における径方向支持を行う第3ラジアル磁気軸受および第4ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向支持を行うアキシャル磁気軸受とを有する5軸制御型の磁気軸受装置であって、
    前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、
    前記第1ラジアル磁気軸受および前記第3ラジアル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第1のCPUコアと、
    前記第2ラジアル磁気軸受、前記第4ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第2のCPUコアと、
    前記第1ラジアル磁気軸受および前記第3ラジアル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第3のCPUコアと、
    前記第2ラジアル磁気軸受、前記第4ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第4のCPUコアと、を備える、真空ポンプ。
  3. 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
    前記磁気軸受装置は、前記ポンプロータの径方向支持を行う第1ラジアル磁気軸受および第2ラジアル磁気軸受と、前記ポンプロータの軸方向支持を行うアキシャル磁気軸受とを有する3軸制御型の磁気軸受装置であって、
    前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、
    前記第1ラジアル磁気軸受に関する前記第1演算処理を行う第1のCPUコアと、
    前記第2ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第1演算処理をそれぞれ行う第2のCPUコアと、
    前記第1ラジアル磁気軸受、前記第2ラジアル磁気軸受および前記アキシャル磁気軸受に関する前記第2演算処理をそれぞれ行う第3のCPUコアと、を備える、真空ポンプ。
  4. 回転駆動されるポンプロータを複数の制御軸に対応した複数の磁気軸受で磁気浮上支持する真空ポンプの、制御装置であって、
    前記磁気軸受の励磁電流を制御する軸受制御部と、
    前記励磁電流の電流値を検出する電流値検出部と、
    前記ポンプロータの浮上位置を検出する位置検出部と、を備え、
    前記軸受制御部はマルチコアプロセッサであり、
    目標浮上位置と前記位置検出部で検出された浮上位置とに基づいて、前記励磁電流の目標電流値を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第1演算処理、および、算出された前記目標電流値と前記電流値検出部で検出された電流値とに基づいて、励磁電流制御信号を前記複数の制御軸毎に算出する複数の第2演算処理を分担処理する複数のCPUコアを備える、制御装置。
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