JP2021049765A - タイヤ用の加硫金型、及びタイヤ製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ベアの発生を抑制する。【解決手段】 サイド成形面23Sを有するサイド金型23は、サイド成形面23Sに配されかつタイヤ周方向に連続してのびるベント溝26と、このベント溝26で一端が開口しかつタイヤ周方向に間隔を隔てて配される複数のベントホール27とを具える。ベント溝26の内面Siを凹凸状の凹凸面30とした。【選択図】図4
Description
本発明は、タイヤの外側面に生じがちなベアの発生を抑制しうるタイヤ用の加硫金型、及びタイヤ製造方法に関する。
加硫金型内で生タイヤを膨張させて加硫成形する際、タイヤの外側面、特にはタイヤ最大幅位置よりもタイヤ半径方向内側の領域に、ベアと呼ばれる凹状の傷が発生しやすい。この原因としては、剛性が大きいビード部近傍において、生タイヤと金型面との接触遅れが生じ、この部分で空気が閉じ込められるためと考えられる。
このベアの発生を抑制するため、例えば下記の特許文献1には、タイヤの外側面に、タイヤ周方向にのびる2本のベントラインと、この2本のベントライン間を継ぐ複数本のリッジからなるセレーションとを設けたタイヤが提案されている。なおベントラインは、ベントホールに接続されている。
このタイヤの場合、加硫金型においては、ベントライン形成用のベント溝とリッジ形成用溝とが互いに導通している。そのため、生タイヤと金型面との間の空気を、ベント溝及びリッジ形成用溝を通ってベントホールから排出することができる。
しかし加硫工程では、ベント溝の一部が、ゴムの流入によって先行して塞がってしまう場合が起こりうる。この場合、塞がった部分で空気が通過できなくなり、その結果、ベント溝内で空気が閉じ込められ、ベントホールからの排気が困難になる。なおリッジ形成用溝は、ベント溝よりも早くゴムが充填されるため、ベント溝内で閉じ込められた空気をベントホールに導くことはできない。又複数のベントホールのうちの幾つかに目詰まりが発生した場合、目詰まりしたベントホールの近傍にてベアが発生する傾向があり、更なる改善が望まれる。
本発明は、ベント溝の内面を凹凸面とすることを基本として、ベント溝内で空気が閉じ込められるのを抑制でき、ベントホールからの排気を確実化してベアの発生を抑制しうるタイヤ用の加硫金型、及びタイヤ製造方法を提供することを課題としている。
本願第1の本発明は、タイヤの外側面を成形するためのサイド成形面を有するサイド金型を含むタイヤ用の加硫金型であって、
前記サイド金型は、前記サイド成形面に配されかつタイヤ周方向に連続してのびるベント溝と、このベント溝で一端が開口しかつタイヤ周方向に間隔を隔てて配される複数のベントホールとを具えるとともに、
前記ベント溝の内面を、凹凸状の凹凸面としている。
前記サイド金型は、前記サイド成形面に配されかつタイヤ周方向に連続してのびるベント溝と、このベント溝で一端が開口しかつタイヤ周方向に間隔を隔てて配される複数のベントホールとを具えるとともに、
前記ベント溝の内面を、凹凸状の凹凸面としている。
本発明に係るタイヤ用の加硫金型では、前記凹凸面は、複数のディンプル及び/又は点状突起によって凹凸状に形成される、或いはタイヤ周方向にのびる細溝によって凹凸状に形成されることが好ましい。
本発明に係るタイヤ用の加硫金型では、タイヤ周方向で隣り合う前記ベントホールの開口部間の間隔は、前記ベント溝の一周長さの0.1〜0.3倍の範囲であるのが好ましい。
本願第2の本発明は、タイヤ製造方法であって、前記第1の発明のタイヤ用の加硫金型を用いて生タイヤを加硫成形する加硫工程を含んでいる。
本発明は叙上の如く、ベント溝の内面を凹凸面としているため、ベント溝内にゴムが充填されるとき、凹凸面の凹凸により、空気を通過させやすい。そのため、ベント溝が途中で塞がって空気が通過できなくなるのを抑制でき、ベントホールからの排気を確実化しうる。
又ベント溝がゴムで塞がり難く、空気が通過しやすいため、ベントホールの幾つかに目詰まりが発生した場合にも、空気を、目詰まりしていないベントホールに分配して送ることができる。そしてこれらの相互作用によって、ベアの発生をより効果的に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明のタイヤ製造方法によって製造された空気入りタイヤ1の一実施例を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内部かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
図1は、本発明のタイヤ製造方法によって製造された空気入りタイヤ1の一実施例を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内部かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば75〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスプライ6Aは、ビードコア5、5間に跨る本体部6aの両端に、ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返される折返し部6bを具える。なお前記本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。
ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。各ベルトコードは、ベルトプライ間相互で交差する。これによりベルト剛性が高められ、トレッド部2の略全巾が補強される。
ベルト層7の半径方向外側には、高速耐久性を高める目的で、バンドコードを螺旋状に巻回したバンド層(図示省略)を設けることができる。
又タイヤ1の外側面Sには、タイヤ周方向に連続してのびる少なくとも1本のベントライン9が配される。前記外側面Sには、サイドウォール部3の外側面部SAと、ビード部4の外側面部SBとが含まれる。前記ベントライン9は、加硫金型20(図2に示す)に設けるベント溝26が転写したものであり、小高さの周方向リブとして形成される。このベントライン9は、ベアが発生しやすい位置、特にはタイヤ1の外側面Sのうち、タイヤ最大幅位置Pよりもタイヤ半径方向内側の領域Yに形成されるのが好ましい。
次に、前記空気入りタイヤ1の製造方法を示す。この製造方法は、図2に示すように、加硫金型20を用いて生タイヤを加硫成形する加硫工程を含む。前記製造方法では、加硫工程以外は、従来と同様の工程が採用できる。又加硫工程自体も、加硫金型20以外、従来と同様に行いうる。従って、以下に、加硫金型20を中心に説明する。
加硫金型20は、トレッド金型22と、サイド金型23とを含む。トレッド金型22は、タイヤ1のトレッド部2の外表面を成形するためのトレッド成形面22Sを有する。トレッド金型22は、タイヤ周方向に分割される複数のセグメント22Aからなり、各セグメント22Aが半径方向内外に移動することで、拡縮径しうる。
又サイド金型23は、タイヤ1の外側面Sを成形するためのサイド成形面23Sを有する。本例のサイド金型23は、前記外側面部SAを成形するためのサイドウォール成形面部24Sを有するサイドモールド24と、前記外側面部SBを成形するためのビード成形面部25Sを有するビードモールド25(ビードリングと呼ぶ場合がある。)とから構成される。
そして、前記サイド金型23には、少なくとも1本のベント溝26と、このベント溝26で一端が開口する排気用の複数のベントホール27とが配される。本例では、ベント溝26とベントホール27とが、前記サイドモールド24に設けられる場合が示されるが、ビードモールド25に設けることもできる。
図2、3に示すように、ベント溝26は、サイド成形面23S(本例ではサイドウォール成形面部24S)に凹設され、タイヤ周方向に連続してのびる。
図4、5に示すように、ベント溝26の内面Siは、凹凸状の凹凸面30として形成される。前記内面Siとして、ベント溝26の側面Si1と底面Si2とが挙げられ、側面Si1及び底面Si2の一方又は双方が、凹凸面30として形成される。好ましくは、少なくとも底面Si2を凹凸面30とすることが好ましい。
図4に示すように、凹凸面30の凹凸は、複数のディンプル28、及び/又は点状突起(図示省略)によって形成することができる。又図5に示すように、凹凸面30の凹凸は、タイヤ周方向にのびる細溝29によって形成することができる。
何れの場合にも、図6(A)、(B)に誇張して示すように、ベント溝26内にゴムが充填されるとき、凹凸(ディンプル28や細溝29など)によって、空気が通過可能な微少な隙間Gが形成される。そのため、ベント溝26が途中で塞がって空気が通過できなくなるのを抑制でき、ベントホール27からの排気を確実化しうる。又ベントホール27の幾つかに目詰まりが発生した場合にも、空気を、目詰まりしていないベントホール27に分配して送ることができる。その結果、ベアの発生をより効果的に抑制することが可能となる。
図4、5に示すように、前記凹凸の大きさd、深さh、ピッチp等については、適宜設定することができる。前記凹凸の大きさdは、ディンプル28の場合、内面Si上での開口径を意味し、細溝29の場合、内面Siでの溝巾を意味する。又凹凸の深さhは、ディンプル28及び細溝29の場合、内面Siからの深さを意味する。又凹凸のピッチpは、ディンプル28の場合、タイヤ周方向及びタイヤ半径方向に隣り合うディンプル28の中心間距離の平均を意味し、細溝29の場合、隣り合う細溝29の溝中心間の距離平均を意味する。一般的には、凹凸の大きさdは0.1〜0.8mm程度、凹凸の深さhは0.1〜0.5mm程度、凹凸のピッチpは0.3〜2.0mm程度である。
図7に示すように、ベントホール27は、サイド金型23(本例ではサイドモールド24)内をのび、その一端は、前記ベント溝26の底面Si2で開口する。又ベントホール27の他端には、例えばバキュームポンプ等の減圧手段が接続され、空気を金型外に排出する。
ベントホール27は、ホール本体27Aと、このホール本体27A内に装着されるベントピース27Bとから構成される。ベントピース27Bは、中心孔27B1を有す円筒状の金具であって、前記中心孔27B1は、例えば直径0.8mm以下の小径に形成される。これにより、ゴムの流出を妨げつつ排気を行いうる。本例では、ベント溝26の底面Si2の周方向の一部が、ベントピース27Bの端面によって形成される。
図3に示すように、前記ベントホール27はタイヤ周方向に等間隔を隔てて配することが好ましい。このとき、タイヤ周方向で隣り合うベントホール27の開口部27H間の間隔Lは、ベント溝26の一周長さ(図示省略)の0.1〜0.3倍の範囲が好ましい。
本発明では、サイド成形面23Sに複数本のベント溝26を形成することができ、各ベント溝26に、それぞれ複数のベントホール27を連結させるとともに、各ベント溝26の内面Siを凹凸面30とすることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、サイド成形面にベント溝を形成した表1の仕様の加硫金型を試作した。そして各加硫金型を用い、タイヤサイズ185/65R15の乗用車用タイヤを加硫成形したときのベアの発生状況を比較した。なおベント溝の内面以外は、実質的に同仕様である。
テストは、ベント溝に連結された10本のベントホールのうちの3本に、目詰まりを発生させ、この状態にて、それぞれ200本のタイヤを加硫成形しときのベア発生率を比較した。
表に示すように、実施例は、ベント溝の内面を凹凸面とすることで、ベア発生を抑制しうることが確認できる。
1 タイヤ
20 加硫金型
23 サイド金型
23S サイド成形面
26 ベント溝
27 ベントホール
27H 開口部
28 ディンプル
29 細溝
30 凹凸面
S 外側面
20 加硫金型
23 サイド金型
23S サイド成形面
26 ベント溝
27 ベントホール
27H 開口部
28 ディンプル
29 細溝
30 凹凸面
S 外側面
Claims (5)
- タイヤの外側面を成形するためのサイド成形面を有するサイド金型を含むタイヤ用の加硫金型であって、
前記サイド金型は、前記サイド成形面に配されかつタイヤ周方向に連続してのびるベント溝と、このベント溝で一端が開口しかつタイヤ周方向に間隔を隔てて配される複数のベントホールとを具えるとともに、
前記ベント溝の内面を、凹凸状の凹凸面としたタイヤ用の加硫金型。 - 前記凹凸面は、複数のディンプル及び/又は点状突起によって凹凸状に形成された請求項1記載のタイヤ用の加硫金型。
- 前記凹凸面は、タイヤ周方向にのびる細溝によって凹凸状に形成された請求項1記載のタイヤ用の加硫金型。
- タイヤ周方向で隣り合う前記ベントホールの開口部間の間隔は、前記ベント溝の一周長さの0.1〜0.3倍の範囲である請求項1又は2記載のタイヤ用の加硫金型。
- 請求項1〜4の何れかに記載のタイヤ用の加硫金型を用いて生タイヤを加硫成形する加硫工程を含むタイヤ製造方法。
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---|---|---|---|
JP2019176008A JP2021049765A (ja) | 2019-09-26 | 2019-09-26 | タイヤ用の加硫金型、及びタイヤ製造方法 |
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