JP2021043609A - 映像表示システム - Google Patents
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Abstract
Description
また、発明者らは、非特許文献1に記載される、筋肉の隆起を検出する赤外線センサを複数個装備した新たな電気刺激装置を開発した。
更に、発明者らは、特許文献2に記載される、ユーザの腕に装着した状態や個人差に左右されず、短時間で手指の動きと電極との対応関係を明確にし、誤動作が極めて少なく、高い精度で目的の手指を駆動できる、電気刺激装置と、これを用いる電気刺激システムを開発した。
しかしながら、人の腕の運動を検出するVRスポーツ施設等は未だ市場に現れていない。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る映像表示システム101の、全体構成と使用状態を示す概略図である。
ユーザ102はクッション103の上に座り、ダブルブレードパドル(以下、単に「パドル」と略す)104を両手に持つ。そして、あたかもユーザ102の腰周りに水面があるようなイメージで、パドル104を交互に回転させて、水をユーザ102の後方に掻いて漕ぐ動作(paddling:パドリング)を行う。なお、クッション103はカヤックを模倣する形状のものが望ましいが、市販の座椅子を用いてもよい。
ユーザ102の頭102bにはVRゴーグル106が装着されている。このVRゴーグル106は、周知のスマートフォンよりなる映像表示装置107を収納して、映像表示装置107のタッチパネルディスプレイ107aを利用して、ユーザ102にVR画面を表示する器具である。
また、図1ではVRゴーグル106にはスマートフォンを収納して利用する簡易型のものを例示しているが、液晶ディスプレイを内蔵するスタンドアロン型VRゴーグルを使用してもよい。また、VR環境を実現するには必ずしもVRゴーグル等を使わずとも、ユーザ102を取り囲むドーム型スクリーンとプロジェクタを用いてもよいし、もっと簡易的には一般的な平面液晶ディスプレイを使用してもよい。そして、これらの表示手段を利用する際には、VR画面を表示する手段として、スマートフォンの代わりにパソコンを利用する場合もある。
図2Aは、本発明の実施形態の例である筋肉センサ装置105の表面側の外観斜視図である。図2Bは、本発明の実施形態の例である筋肉センサ装置105の裏面側の外観斜視図である。筋肉センサ装置105は、大まかに本体部201と、表側ベルト202と、裏側ベルト203で構成される。
本体部201には中央に電源スイッチ204が設けられており、内部に後述する近距離無線通信部と回転姿勢センサ512等を含むマイコンと電子回路、そしてリチウム二次電池が収納されている。
裏側ベルト203には円筒形状に形成されている筋変位センサの検出孔207が複数個設けられている。筋変位センサは、近赤外線LEDとフォトトランジスタの組よりなるフォトリフレクタを構成する。詳細は図5にて後述する。
次に、筋肉センサ装置105をユーザ102の腕102aに装着する方法について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、筋肉センサ装置105をユーザ102の腕102aに装着する最初の段階を示す。図4は、筋肉センサ装置105をユーザ102の腕102aに装着した状態を示す。
まず、筋肉センサ装置105を装着するユーザ102は、図3に示すように掌102cを上に向ける。次に、図3に示すように、筋肉センサ装置105の本体部201をユーザ102の手首102dの近傍に載せる。そして、腕時計を腕102aに装着する要領で、表側ベルト202の親側202aの先端に設けられているバックル205に、表側ベルト202の剣先側202bを通して、腕102aに巻き付ける。その後、剣先側202bに設けられている穴206をバックル205に嵌め込むことで、図4に示すように、筋肉センサ装置105をユーザ102の腕102aに固定することができる。
図5は、筋肉センサ装置105のハードウェア構成を示すブロック図である。
バス501に接続されているCPU502、ROM503、RAM504、A/D変換器505、そして第二シリアルインターフェース506(図5中「第二シリアルI/F」と略記)は、周知のワンチップマイコン507を構成する。
筋変位センサ521は、赤外線LEDである赤外線発光素子521aと、光センサである赤外線受光素子521bで構成される。同様に、筋変位センサ522は、赤外線発光素子522aと赤外線受光素子522bで、…筋変位センサ534は、赤外線発光素子534aと赤外線受光素子534bで構成される。
筋変位センサ521、522、…534を構成する赤外線LEDである赤外線発光素子521a、522a、…534aのアノードは電源電圧ノード+Vccに接続されている。赤外線発光素子521a、522a、…534aのカソードは第一マルチプレクサ508を通じて電流制限抵抗R509の一端に接続されている。電流制限抵抗R509の他端は接地されている。
なお、これ以降、筋変位センサ521、522、…534を区別せず、一纏めに呼ぶ場合には、筋変位センサ群540と総称する。
この第一マルチプレクサ508及び第二マルチプレクサ510は、複数の筋変位センサ521、522、…534のうちの1個を選択する。なお、第一マルチプレクサ508及び第二マルチプレクサ510を総称して、センサ用マルチプレクサと呼ぶ。
ワンチップマイコン507のバス501には更に、第一シリアルインターフェース514(図5中「第一シリアルI/F」と略記)が接続されている。なお、この第一シリアルインターフェース514は、ROM503に格納されているファームウェアをアップデートする際に用いられる他に、不図示の蓄電池に電力を供給するためにも用いられる。
四元数(quaternion:クォータニオン)は、近年の回転姿勢センサ512において標準的な、物品の回転と姿勢を表すデータ形式である。
六軸センサの場合は、三次元加速度センサが出力する三次元加速度データと、三次元角速度センサが出力する三次元角速度データをマイコン701(図7参照)が読み込み、演算して、四元数データを出力する。
九軸センサの場合は、三次元加速度センサが出力する三次元加速度データと、三次元角速度センサが出力する三次元角速度データに加えて、三次元地磁気センサが出力する三次元姿勢データをマイコン701が読み込み、演算して、四元数データを出力する。
筋肉が収縮すると、筋肉が存在する皮膚の部分に生じる隆起によって、フォトリフレクタと筋肉の表面部分との距離が変動する。フォトリフレクタはこの距離の変動によって生じる近赤外線反射光の強弱を、フォトトランジスタで検出する。近赤外線は皮膚表面を透過する性質を有するので、筋肉の隆起状態を検出することに適している。
図6は、映像表示装置107のハードウェア構成を示すブロック図である。
周知のスマートフォン等の情報処理装置よりなる映像表示装置107は、バス601に接続された、CPU602、ROM603、RAM604、表示部605、透明電極を有する静電式位置検出装置を含む操作部606を備える。表示部605は例えばLCDディスプレイであり、表示部605と操作部606は、周知のタッチパネルディスプレイ107aを構成する。
また、バス601には、電気的に書き換え可能なフラッシュメモリ等の不揮発性ストレージ607と、近距離無線通信部608が接続されている。
不揮発性ストレージ607には、ネットワークOSと、情報処理装置を映像表示装置107として機能させるためのプログラムが格納されている。
図7は、本発明の第一の実施形態に係る映像表示システム101のソフトウェア機能を示すブロック図である。
筋肉センサ装置105の筋変位センサ群540から出力される信号は、A/D変換器505によってデジタルの筋変位データに変換される。
回転姿勢センサ512はマイコン701を内蔵しており、マイコン701は四元数データと三次元の加速度データを出力する。
筋変位データと四元数データと加速度データは、近距離無線送信部702によって変調され、映像表示装置107へ送信される。
腕回転検査部704は、近距離無線受信部703から入力される四元数データと、腕回転テーブル708を読み込む。そして腕回転検査部704は、四元数データが腕回転テーブル708に記録されている各レコードの値の範囲内にあるか否かを検査した上で、ユーザ102の腕102aが正しく回転軌跡をなぞっているのか否かを判定する。
ユーザ102がパドリングを行うと、ユーザ102の腕102aは概ね円弧状の軌跡を描く。腕回転検査部704は、ユーザ102の腕102aが円弧状の軌跡をなぞっている状態を、ユーザ102が持つパドル104が水を掻いている状態であるものとみなす。
腕回転テーブル708は、順番フィールド、X軸フィールド、X軸誤差フィールド、Y軸フィールド、Y軸誤差フィールド、Z軸フィールド、Z軸誤差フィールド、W軸フィールド、W軸誤差フィールドを有する。
順番フィールドには、レコードの順番を示す正の整数あるいは自然数が格納される。
X軸フィールドには、順番フィールドに格納されている時間における、ユーザ102の腕102aの位置情報のうち、四元数のX軸における標準的な値が格納される。
X軸誤差フィールドには、順番フィールドに格納されている時間における、ユーザ102の腕102aの位置情報のうち、四元数のX軸における標準的な値に許される誤差範囲が格納される。
以下、Y軸フィールド、Y軸誤差フィールド、Z軸フィールド、Z軸誤差フィールド、W軸フィールド、W軸誤差フィールドも同様の値が格納される。
腕回転検査部704は、各時間で測定された計測結果が誤差範囲内であるかどうかの判定を行い、誤差範囲内であれば、順番フィールドの値をバッファに記憶する。
例えば図8において、(X,Y,Z,W)が(0.29,0.1,0.1,0.1)であれば、3番目のレコードの誤差範囲内であるので、順番フィールドの値である「2」をバッファに記憶する。
一方、例えば(X,Y,Z,W)が(0.2,0.13,0.1,0.1)であれば、どのレコードとも誤差範囲外であるので、順番フィールドの値をバッファに記憶しない。
ケース1[5->2->1]:映像再生を進める。
ケース2[2->3->5]:映像再生は進めない。
ケース3[2->3->4->1]:映像再生を進める。
特にケース3のように、途中にノイズが介在していたとしても、間に正解シーケンスの数字がその順番で含まれていれば、映像再生を進めるように構成する。
腕回転検査部704は、ユーザ102の腕102aが円弧状の軌跡をなぞっていると判断した時に、3D仮想空間においてカヤックが予め定められた所定の距離だけ移動するものと定め、後続の再生制御部705にトリガ信号を出力する。
再生制御部705は、腕回転検査部704からトリガ信号を受けると、動画ファイル706を所定の時間だけ再生し、一時停止する。例えば2秒間、再生を進めて、一時停止を行う。動画ファイル706には河川や海辺等でカヤックを漕いで進む動画が収録されており、動画ファイル706の再生を進めると、動画を見るユーザ102はあたかも河川や海辺をカヤックで進んでいるような擬似的感覚を得ることができる。
動画ファイル706から再生制御部705によって出力される動画データは、表示処理部707によって周知のデコード処理等が施され、表示部605に表示される。
第一の実施形態に係る映像表示システム101は、筋肉センサ装置105をユーザ102の腕102aに装着して、VR空間内におけるカヤックのパドリングを再現するシステムであった。ユーザ102はパドル104あるいはパドル104に類する棒を持って、パドリングを行う。この時、映像表示装置107は筋肉センサ装置105から得られるデータのうち、ユーザ102の腕102aの四元数データ、つまり座標情報のみを使用する。
そこで、発明者らが開発した、特許文献2に示される電気刺激装置を使用して、ユーザ102の腕102aに、水をかき分ける際に生じる負荷の感覚を擬似的に生じさせることが考えられる。
図9に示す本発明の第二の実施形態に係る映像表示システム901の、図1に示す本発明の第一の実施形態に係る映像表示システム101との相違点は、ユーザ102が両腕に電気刺激装置を装着している点である。
ユーザ102の右腕102eには、第一電気刺激装置902aが装着されている。ユーザ102の左腕102fには、第二電気刺激装置902bが装着されている。第一電気刺激装置902aと第二電気刺激装置902bは、同一の装置構成である。これ以降、第一電気刺激装置902aと第二電気刺激装置902bを区別しない場合には、単に電気刺激装置902と称する。
ユーザ102の頭102bには、VRゴーグル106が装着されている。このVRゴーグル106は、周知のスマートフォンである映像表示装置903を収納して、映像表示装置903のタッチパネルディスプレイ107aを利用して、ユーザ102にVR画面を表示する器具である。
図10は、電気刺激装置902の外観斜視図である。
電気刺激装置902はV字形状のバンド1001を備える。このバンド1001はシリコーンゴム等の柔軟性を有する樹脂シートで構成されている。バンド1001の両翼部分は、水平線L1005から等しい傾斜角度θ1及びθ2だけ傾斜した形状である。傾斜角度θ1及びθ2は例えば32°である。バンド1001の表面側の中心部分には長方形形状の回路収納ボックス1003が設けられている。回路収納ボックス1003には、後述するワンチップマイコン507(図14参照)や回転姿勢センサ512、二次電池などが内蔵されている。
電気刺激装置902は、後述する図12A及び図12Bの装着例で説明するように、バンド1001の裏面である電極配置面1001aをユーザ102の前腕に巻き付けることで、ユーザ102の腕102aに装着される。すなわち、バンド1001はユーザ102の体表面に密着される。
電極配置面1001aには、ユーザ102の前腕の筋肉に電気刺激信号を与えるための電極1101〜1108と、その電極1101〜1108とペアで使用される接地電極である電極1111〜1113,1116,1117とを備える。但し、接地電極については対向する複数の電極について共通で使用するため、電極1101〜1108と電極1111〜1113,1116,1117の数は一致しない。
加えて、電極配置面1001aは、ユーザ102の前腕の筋肉の動きを検出する筋変位センサ1121〜1128を備える。
電極1102と電極1112も前腕の筋肉に刺激を与える電極であり、周方向Hに対して傾斜角度θ2で、傾斜した状態で配置されたほぼ長方形の電極である。電極1102と電極1112とは、腕の長手方向Lに隣接して配置される。
電極1108は、腕の周方向Hに長く伸びた長方形の電極であり、電極1113に隣接して配置される。電極1113は、電極1108の接地電位としても使用される。なお、電極1108は予備に使用される電極であり、この電極1108は腕の周方向Hに長く伸びているため、腕の複数の筋肉に同時に刺激を与えることができる。
電極1107と電極1117は前腕の筋肉に刺激を与える電極であり、装着時に腕の長手方向Lに隣接して配置される。
図12Aは、電気刺激装置902を前腕に装着する直前の状態を示す図である。
図12Bは、電気刺激装置902を前腕に装着した直後の状態を示す図である。
図12Aに示すように、ユーザ102の右腕102eの前腕RAの手首寄りの個所に、バンド1001の電極配置面1001a(図11)の中央部分が触れた状態とする。このときには、図12Aに示すように手のひらが上側となった位置とする。また、ほぼV字形状をしたバンド1001の中央にある回路収納ボックス1003が、手のひら側を向くようにする。
このようにして、図12Bに示すように、電気刺激装置902が前腕RAに巻き付いた状態で装着される。このときには、電極配置面1001aに配置した粘着性を有する樹脂材の粘着性で、前腕RAに巻き付いた状態が維持される。
なお、樹脂材の粘着性だけで前腕RAに巻き付いた状態とするのは一例であり、例えばバンド1001の両端に何らかのクリップ機構を設けて、両者が重なった状態で装着されるようにしてもよい。
この「ズレ」を解消するため、発明者らは特許文献2に記載される電極確率行列を作成し、この電極確率行列を更新することで、電気刺激装置902における電極と手指の動きとの対応関係を較正する技術を発明した。
図13は、本発明の実施形態に係る映像表示システム901を示す模式図である。
第一電気刺激装置902a及び第二電気刺激装置902bは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を有する。
これら第一電気刺激装置902a及び第二電気刺激装置902bは映像表示装置903に接続されて、映像表示装置903との接続を確立することが可能である。
図13中、映像表示装置903には近距離無線通信部402が接続されており、電気刺激装置902との間で双方向通信が確立される。
第二電気刺激装置902bも同様に、内蔵する回転姿勢センサ512から第二の四元数データを取得して、映像表示装置903に送信する。映像表示装置903は、第二電気刺激装置902bから受信した第二の四元数データに基づいて第二の電気刺激データを生成し、第二電気刺激装置902bに送信する。そして第二電気刺激装置902bは、第二の電気刺激データに基づいて、指定された電極に電気刺激電圧を印加する。
映像表示装置903のハードウェア構成は、図6で説明した第一の実施形態における映像表示装置903と全く同一であるので、説明を省略する。
図14は、電気刺激装置902のハードウェア構成を示すブロック図である。
バス1401に接続されているCPU1402、ROM1403、RAM1404、A/D変換器1405、そして第二シリアルインターフェース1406(「第二シリアルI/F」と略記)は、周知のワンチップマイコン1407を構成する。
筋変位センサ1121、1122、…1128を構成する赤外線LEDである赤外線発光素子1121a、1122a、…1128aのアノードは電源電圧ノード+Vccに接続されている。赤外線発光素子1121a、1122a、…1128aのカソードは第一マルチプレクサ1408を通じて電流制限抵抗R1409の一端に接続されている。電流制限抵抗R1409の他端は接地されている。
ワンチップマイコン1407のバス1401には更に、第一シリアルインターフェース1414(「第一シリアルI/F」と略記)が接続されている。なお、この第一シリアルインターフェース1414は、不図示の蓄電池に電力を供給するために用いられる他、ROM1403に格納されているファームウェアをアップデートする際にも用いられる。
そして、昇圧回路1415によって矩形波パルス信号の電圧は2倍に昇圧される。昇圧回路1415が出力する電気刺激電圧は、PWMスイッチ1416と第三マルチプレクサ1417を通じて電極1101、1102、…1108に供給される。
第三マルチプレクサ1417は、複数の電極1101、1102…1108のうちの1個を選択する、電極用マルチプレクサということもできる。
図15は、本発明の第二の実施形態に係る映像表示システム901のうち、電気刺激装置902のソフトウェア機能を示すブロック図である。
映像表示装置903のソフトウェア機能は図16で詳細を説明するため、図15では簡略化した記載にしている。
8個の筋変位センサ1121〜1128よりなる筋変位センサ群1501が出力するアナログ信号は、A/D変換器1405によって筋変位データに変換され、回転姿勢センサ512が出力する四元数データ及び三次元の加速度データと共に、近距離無線送信部1502を通じて映像表示装置903へ送信される。
情報処理部1504は、第一電気刺激装置902aから受信した四元数データに後述する処理を行い、動画ファイル706の再生制御を行う。情報処理部1504が動画ファイル706から取得した動画データは、表示部605に表示される。
図16は、映像表示装置903のソフトウェア機能を示すブロック図である。
近距離無線受信部1503を通じて第一電気刺激装置902aから受信した第一の四元数データは、第一腕回転検査部1601に入力される。
近距離無線受信部1503を通じて第二電気刺激装置902bから受信した第二の四元数データは、第二腕回転検査部1602に入力される。
第一腕回転検査部1601及び第二腕回転検査部1602は、近距離無線受信部1503から入力される四元数データと、腕回転テーブル708を読み込む。そして第一腕回転検査部1601及び第二腕回転検査部1602は、四元数データが腕回転テーブル708に記録されている各レコードの値の範囲内にあるか否かを検査した上で、ユーザ102の腕102aが正しく回転軌跡をなぞっているのか否かを判定する。
第一腕回転検査部1601及び第二腕回転検査部1602が、腕回転テーブル708を参照して円弧状の軌跡を判定する手順は、第一の実施形態における腕回転検査部704と同様であるので、詳細な説明を割愛する。
そして第一腕回転検査部1601及び第二腕回転検査部1602は、ユーザ102の腕102aが円弧状の軌跡をなぞっていると判定した時に、3D仮想空間においてカヤックが予め定められた所定の距離だけ移動するものと定め、後続の再生制御部1603にトリガ信号を出力する。
動画ファイル706から再生制御部1603によって出力される動画データは、表示処理部707によって周知のデコード処理等が施され、表示部605に表示される。
腕座標算出部1604は、第一の四元数データに基づいて、ユーザ102の右腕102eが円弧状の軌跡の下半分に位置していると判断した時に、第一電気刺激装置902aに対する電気刺激データを出力する。
同様に腕座標算出部1604は、第二の四元数データに基づいて、ユーザ102の左腕102fが円弧状の軌跡の下半分に位置していると判断した時に、第二電気刺激装置902bに対する電気刺激データを出力する。
これに対し、第一の実施形態に係る映像再生システムと同様に、第一電気刺激装置902a及び第二電気刺激装置902bから受信する三次元の加速度データをそれぞれスカラ値に変換した後、再生制御部1603に与えて、動画ファイル706の再生速度及び再生時間を加速度の大小に応じて変化させてもよい。つまり、ユーザ102が速くパドリングを行ったときは、動画ファイル706の再生速度を早くし、動画再生時間を長くする。逆に、ユーザ102が遅くパドリングを行った場合には、動画ファイル706の再生速度を遅くして、動画再生時間を短くする。
図17Aは、ユーザ102がパドル104を持つ左手を前に、右手を後ろに構えた状態を示す概略図である。
図17Bは、ユーザ102がパドル104を持つ左手を下に、右手を上に構えた状態を示す概略図である。
図17Cは、ユーザ102がパドル104を持つ左手を後ろに、右手を前に構えた状態を示す概略図である。
図17Dは、ユーザ102がパドル104を持つ左手を上に、右手を下に構えた状態を示す概略図である。
そして腕座標算出部1604は、第一電気刺激装置902aの三次元座標情報と第二電気刺激装置902bの三次元座標情報を比較して、第二電気刺激装置902bの高さが第一電気刺激装置902aの高さより低いと判断した時に、第二電気刺激装置902bに対して電気刺激データを出力する。
同様に腕座標算出部1604は、第一電気刺激装置902aの三次元座標情報と第二電気刺激装置902bの三次元座標情報を比較して、第一電気刺激装置902aの高さが第二電気刺激装置902bの高さより低いと判断した時に、第一電気刺激装置902aに対して電気刺激データを出力する。
図17Bの状態において、映像表示装置903から第二電気刺激装置902bに電気刺激データが出力される。
図17Dの状態において、映像表示装置903から第一電気刺激装置902aに電気刺激データが出力される。
図16では、再生制御部1603は動画ファイル706の再生、つまり所定時間の再生及び一時停止を制御した。この動画ファイル706は、カヤックが直進することを想定して作成されている。
図16に示す映像表示装置903の機能ブロック図を見ると、第一腕回転検査部1601と、第二腕回転検査部1602と、ユーザ102の腕の座標情報を演算する機能ブロックである腕座標算出部1604が独立して設けられている。
図16中、点線枠で示す3D空間映像出力部1605は、再生制御部1603からカヤックの進行方向を示す座標情報を得て、所定の3D仮想空間映像を再生制御部1603へ出力する。
以上のように再生制御部1603において、ユーザ102の右腕102eと左腕102fの動作に対応する操舵動作を定義すると、例えば、左腕102fだけで6回漕げば、仮想空間内のカヤックは右90°方向に旋回できることがわかる。
再生制御部1603は、トリガ信号に基づいて、3D空間を表現する映像データについて、3D空間内を所定の距離だけ移動する再生制御を実行する。
したがって、第一の実施形態においては、筋肉センサ装置105に代えてユーザ102の腕102aに回転姿勢センサ512と近距離無線通信部を設けることで、筋肉センサ装置105と同等の機能として、動画ファイル706の再生によってカヤックを直進させることができる。
更に、回転姿勢センサ512と映像表示装置903をUSBケーブル等で有線接続すれば、近距離無線通信部が不要になる。
このことから、筋肉センサ装置105は、装着された箇所の回転と姿勢を示す情報を映像表示装置107に送信する、と考えることができる。そして、四元数データ演算機能を内包する回転姿勢センサ512と、四元数データ演算機能を内包しない三次元加速度センサと三次元角速度センサを、装着された箇所の回転と姿勢を示すデータを出力する回転姿勢検出部と総称することができる。
腕回転検査部704がトリガ信号を出力することができれば、回転姿勢検出部は腕に限らず、足や腰等、ユーザ102の体の任意の箇所に取り付けてもよい。この場合、腕回転検査部704は、ユーザ102の体の動きからトリガ信号を出力する動作検出部となる。
ユーザ102は腕等の体表面に筋肉センサ装置105または電気刺激装置902を装着する。
映像表示装置903の動作検出部は、ユーザ102が所定の動作を行うことに呼応して回転姿勢センサ512から出力される四元数データに基づいて、トリガ信号を出力する。
映像表示装置903の再生制御部1603は、トリガ信号に基づいて、3D空間を表現する映像データの再生を制御する。
ユーザ102は3D仮想空間内でカヤックのパドリング等、所定の動作に呼応して表示部605に表示される3D空間の映像の変化を見ることで、3D空間内の移動を疑似体験することができる。
Claims (5)
- ユーザの体の任意の箇所に取り付けられ、前記ユーザの体の動きに伴って変化する、装着された箇所の回転と姿勢を示す回転姿勢データを出力する回転姿勢検出部と、
前記回転姿勢データに基づき、前記ユーザの体が特定の動作を行った時にトリガ信号を出力する動作検出部と、
前記トリガ信号に基づいて、3D空間を表現する映像データの再生を制御する再生制御部と、
前記再生制御部から出力される前記映像データを表示する表示部と
を具備する、映像表示システム。 - 前記回転姿勢検出部は、前記回転姿勢データである四元数データを出力する回転姿勢センサであり、
前記動作検出部は、前記回転姿勢センサが取り付けられている前記ユーザの体が予め定められた動作を示したことを前記四元数データから検出するものであり、
前記再生制御部は、前記トリガ信号に基づいて、前記映像データについて、前記3D空間内を所定の距離だけ移動する再生制御を実行する、
請求項1に記載の映像表示システム。 - 前記回転姿勢センサは、前記ユーザの腕に取り付けられ、
前記動作検出部は、前記ユーザの腕が、円弧状の軌跡における所定の位置に存在していることを検出する腕回転検査部である、
請求項2に記載の映像表示システム。 - 前記回転姿勢センサは、
前記ユーザの右腕に取り付けられる第一の回転姿勢センサと、
前記ユーザの左腕に取り付けられる第二の回転姿勢センサと
を有し、
前記動作検出部は、
前記第一の回転姿勢センサから出力される第一の四元数データに基づき、前記ユーザの右腕が円弧状の軌跡の下端の所定の位置に位置している時に、トリガ信号を出力する第一腕回転検査部と、
前記第二の回転姿勢センサから出力される第二の四元数データに基づき、前記ユーザの左腕が円弧状の軌跡の下端の所定の位置に位置している時に、トリガ信号を出力する第二腕回転検査部と、を有し、
前記再生制御部は、前記第一腕回転検査部及び前記第二腕回転検査部からトリガ信号を受けると、前記映像データについて、前記3D空間内を所定の距離だけ移動する再生制御を実行する、
請求項3に記載の映像表示システム。 - 前記映像表示システムは、
前記第一の回転姿勢センサが収納されて前記ユーザの一方の腕に装着される第一電気刺激装置と、
前記第二の回転姿勢センサが収納されて前記ユーザの他方の腕に装着される第二電気刺激装置と、
前記第一電気刺激装置及び前記第二電気刺激装置と近距離無線通信を行い、前記表示部に前記映像データを表示する映像表示装置と、を有し、
前記第一電気刺激装置は、
前記ユーザの体表面に密着される第一のバンドと、
前記バンドによって前記ユーザの体表面近傍に固定される前記第一の回転姿勢センサと、
前記バンドの一方の面に複数個配置されている第一の電極群と、
前記映像表示装置から所望の筋肉を動かすための第一の電気刺激データを受信する第一の近距離無線受信部と、
前記第一の近距離無線受信部を通じて前記映像表示装置から出力される電気刺激データに基づいて、前記第一の電極群のうちの所望の電極に電気刺激電圧を印加する第一の電極駆動制御部と、
前記第一の回転姿勢センサから出力される第一の四元数データを前記映像表示装置に送信する第一の近距離無線送信部と、を具備し、
前記第二電気刺激装置は、
前記ユーザの体表面に密着される第二のバンドと、
前記バンドによって前記ユーザの体表面近傍に固定される前記第二の回転姿勢センサと、
前記バンドの一方の面に複数個配置されている第二の電極群と、
前記映像表示装置から所望の筋肉を動かすための第二の電気刺激データを受信する第二の近距離無線受信部と、
前記第二の近距離無線受信部を通じて前記映像表示装置から出力される電気刺激データに基づいて、前記第二の電極群のうちの所望の電極に電気刺激電圧を印加する第二の電極駆動制御部と、
前記第二の回転姿勢センサから出力される第二の四元数データを前記映像表示装置に送信する第二の近距離無線送信部と、を具備し、
前記映像表示装置は、
前記第一電気刺激装置から前記第一の四元数データを受信すると共に、前記第二電気刺激装置から前記第二の四元数データを受信する第三の近距離無線受信部と、
前記第三の近距離無線受信部を通じて前記第一の回転姿勢センサから出力される第一の四元数データに基づき、前記ユーザの右腕が円弧状の軌跡の下端の、所定の位置に位置している時にトリガ信号を出力する前記第一腕回転検査部と、
前記第三の近距離無線受信部を通じて前記第二の回転姿勢センサから出力される第二の四元数データに基づき、前記ユーザの左腕が円弧状の軌跡の下端の、所定の位置に位置している時にトリガ信号を出力する前記第二腕回転検査部と、
前記再生制御部と、
前記表示部と、
前記第一の四元数データに基づいて、前記ユーザの一方の腕が所定の軌跡の所定の位置に位置していると判断した時に、前記第一電気刺激装置に対する前記第一の電気刺激データを出力すると共に、前記第二の四元数データに基づいて、前記ユーザの他方の腕が所定の軌跡の所定の位置に位置していると判断した時に、前記第二電気刺激装置に対する前記第二の電気刺激データを出力する、腕座標算出部と、
前記第一の電気刺激データを前記第一電気刺激装置に送信すると共に、前記第二の電気刺激データを前記第二電気刺激装置に送信する、第三の近距離無線送信部と、を具備する、
請求項4に記載の映像表示システム。
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