図1乃至図4は本発明に係る照明装置の光源装置の第1実施形態を示すものである。なお、背景技術の欄で説明した照明装置及び光源装置の構成と同一構成部分は同一符号を用いて説明する。
本実施形態に係る照明装置100は背景技術(図15を参照)と同様であり、画像処理用或いは検査用として使用するもので、例えば帯状の被検査対象物をカメラにより撮影し被検査対象物に付いた傷や汚れを検出するようになっている。
照明装置100の光源装置10は、青色の光を発する青色LED11及び緑色の光を発する緑色LED12を有し、各LED11,12に対して光量を調整する調光回路を備えた基板13,14を有している。各LED11,12の間には光透過・反射体15として特定の波長の光を反射しその他の波長の光を透過するダイクロイックミラーが配置されている。このダイクロイックミラーは、例えば誘電体の多層膜より構成される薄膜(図示しない)をコーティングして鏡面形成したものである。
各LED11,12は、図2に示すように、一方の壁(左壁)16には青色LED11が前後に複数配置される一方、他方の壁(右壁)17には緑色LED12が同じく前後に複数配置され、各LED11,12は互いに対向するよう設置されている。また、緑色LED12の表面には、図4に示すように、青色の光を受けたとき緑色が主波長となるよう励起する薄膜の蛍光体12aがコーティングされている。
光透過・反射体15は、図2に示すように、左右の壁16,17の間に配置されたもので、各LED11,12から投射された光が光透過・反射体15の各面に約45°で入光するよう配置されている。ここで、光透過・反射体15の特性を光透過・反射率をグラフで表すならば図3に示すとおりである。
すなわち、透過率或いは反射率が大きく変化しない、400〜470nmに対応する第1の波長帯域、500〜560nmに対応する第2の波長帯域及び610〜700nmに対応する第3の波長帯域を有している。第1の波長帯域にある光は90%以上が透過され、第2の波長帯域にある光は90%以上が反射され、第3の波長帯域にある光は90%以上が透過されようになっている。ここで、青色の光量が高くなる波長は455nm付近であり、第1の波長帯域の範囲内にあるため、青色の光のほとんどが透過される。また、緑色の光量が高くなる波長は510〜545nmであり、第2の波長帯域の範囲内にあるため、緑色の光はほとんど反射される。
本実施形態によれば、図4に示すように、青色LEDから投射された青色の光は左側(図4に向かって)の入光側から光透過・反射体15に入る。ここで、青色の光は透過する構造となっているため、光透過・反射体15を通過し緑色LED12に向かって照射される。緑色LED12の蛍光体12aに青色の光が到達すると、青色の光が蛍光体12aにより励起し緑色が主波長となる、例えば緑色の光を発する。この緑色の光は光透過・反射体15に向かって照射される。ここで、光透過・反射体15は緑色の光を反射する構造となっているため、出光側に向かって反射する。
一方、緑色LED12から直接に投射された緑色の光は、同じく、光透過・反射体15で反射し、出光側に向かって反射する。
以上のように、本実施形態に係る光源装置10において、青色LED11の光が蛍光体12aで励起して発した緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体15の出光側に共に緑色の光として照射されるため、照明装置100に供給される光の照度が高くなり、検査用の照明として好適な光を提供することができる。
また、ダイクロイックミラーで形成された光透過・反射体15は一枚板であり、従来のダイクロイッククロスプリズムの如く交差する部位がないため、各LED11,12から投射された光が光透過・反射体15の出光側に全て照射され、照明装置100の照度の低下を防止することができる。
なお、青色LED11の光路長の伸長により光強度が低下し、また、照明の光の色彩が変化(白色から緑色に変化)するものの、検査速度は照度に依存するため、特に、白黒カメラにより撮影・検査する場合は検査等の阻害要因となることはない。
図5乃至図7は本発明に係る照明装置の光源装置の第2実施形態を示すものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を付しその説明を省略する。
前記第1実施形態では光透過・反射体としてダイクロイックミラーを用いた例を示しているが、本実施形態では光透過・反射体として特定の波長の光を反射しその他の波長の光を透過するダイクロイックプリズムを用いている。
この光透過・反射体20は一対の直角三角柱形状のプリズムを組み合わせて全体として四角柱形状となっている。また、各プリズムの境界面には誘電体の多層膜で形成された薄膜状の光透過・反射膜20aが形成されている。
また、光透過・反射体20は、図5に示すように、左右の壁16,17の間に配置されたもので、各LED11,12から投射された光が光透過・反射体20の各面に約45°で入光するよう配置されている。ここで、光透過・反射体20の特性について光透過・反射率をグラフで表示するならば図6に示すとおりである。
すなわち、透過率或いは反射率が大きく変化しない、波長帯域は410〜470nmに対応する第1の波長帯域、500〜550nmに対応する第2の波長帯域及び610〜640nmに対応する第3の波長帯域を有している。第1の波長帯域にある光は略90%が透過され、第2の波長帯域にある光は略90%が反射され、第3の波長帯域にある光は略90%が透過されようになっている。ここで、青色の光量が高くなる波長は455nm付近であり、第1の波長帯域の範囲内にあるため、青色の光はほとんど透過される。また、緑色の光量が高くなる波長は510〜545nmであり、第2の波長帯域の範囲内にあるため、緑色の光はほとんど反射される。
本実施形態によれば、図7に示すように、青色LED11から投射された青色の光は左側(図7に向かって)の入光側から光透過・反射体20に入る。ここで、青色の光は透過する構造となっているため、光透過・反射体20を通過し緑色LED12に向かって照射される。緑色LED12の蛍光体12aに青色の光が到達すると、青色の光が蛍光体12aにより励起し緑色が主波長となる、例えば緑色の光を発する。この緑色の光は光透過・反射体20に向かって照射される。ここで、光透過・反射体20は緑色の光を反射する構造となっているため、出光側に向かって反射する。
一方、緑色LED12から直接に投射された緑色の光は、同じく、光透過・反射体20で反射し、出光側に向かって反射する。
以上のように、第2実施形態に係る光源装置10においても、青色LED11の光が蛍光体12aで励起して発した緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体20の出光側に共に緑色の光として照射されるため、照明装置100に供給される光の照度が高くなり、検査用の照明として好適な光を提供することができる。
また、ダイクロイックプリズムで形成された光透過・反射膜20aは一面で構成され、従来のダイクロイッククロスプリズムの如く交差する部位がないため、第2実施形態に係る光源装置10においても、各LED11,12から投射された光が光透過・反射体20の出光側に全て照射され、照明装置100の照度の低下を防止することができる。
なお、青色LED11の光路長の伸長により光強度が低下し、また、照明の光の色彩が変化(白色から緑色に変化)するものの、検査速度は照度に依存するため、第2実施形態に係る光源装置10においても、白黒カメラにより撮影・検査する場合は検査等の阻害要因となることはない。
図8乃至図10は本発明に係る照明装置の光源装置の第3実施形態を示すものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を付しその説明を省略する。
前記第1実施形態では青色LED11及び緑色LED12から投射される光を用いて光透過・反射体から照度の高い光を出光したが、本実施形態では赤色LED30の光も出光するよう構成されている。
すなわち、光源装置10は、図8に示すように、赤色LED30及び赤色LED30に対して光量を調整する調光回路を備えた基板31を有している。また、赤色LED30は、図9に示すように、上壁18に多数並んで配置されており、赤色LED30の光が光透過・反射体15に向かって投射されるようになっている。
以上のように構成された第3実施形態に係る光源装置10において、図10に示すように、青色LED11及び緑色LED12から光透過・反射体15に向かって投射された光は、前記第1実施形態と同様の光経路で照射され、光透過・反射体15の出光側に緑色の光が照射される。
一方、図10に示すように、赤色LED30から投射された赤色の光において、赤色の光量が高くなる波長が625nm付近であり、第3の波長帯域の範囲内にある(図3参照)。このため、赤色の光のほとんどが光透過・反射体15を透過して出光側に照射される。
以上のように、本実施形態に係る光源装置10において、青色LED11の光が蛍光体12aで励起して発した緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体15の出光側に共に緑色の光として照射されるとともに、赤色LED30から投射された光が光透過・反射体15の出光側に照射される。
本実施形態によれば、赤色LEDの光も利用しているため、赤色LED30を有する既存の光源装置(背景技術に記載された光源装置)にも容易に転用することができる。なお、その他の構成及び作用は前記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図11及び図12は本発明に係る照明装置の光源装置の第4実施形態を示すものである。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号を付しその説明を省略する。
前記第2実施形態ではダイクロイックプリズムで構成された光透過・反射体20を用いて、青色LED11及び緑色LED12から投射される光を共に緑色で照射している。これに対して、本実施形態では赤色LED30の光も出光するよう構成されている。
すなわち、赤色LED30は、図11に示すように、上壁18に多数並んで配置されており、赤色LED30の光が光透過・反射体20に向かって投射されるようになっている。
以上のように構成された第4実施形態に係る光源装置10において、図12に示すように、青色LED11及び緑色LED12から光透過・反射体20に向かって投射された光は、前記第2実施形態と同様の光経路で照射され、光透過・反射体20の出光側に緑色の光が照射される。
一方、図12に示すように、赤色LED30から投射された赤色の光において、赤色の光量が高くなる波長が625nm付近であり、第3の波長帯域の範囲内にある(図6参照)。このため、赤色の光のほとんどが光透過・反射体20を透過して出光側に照射される。
以上のように、本実施形態に係る光源装置10において、青色LED11の光が蛍光体12aで励起して発した緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体20の出光側に共に緑色の光として照射されるとともに、赤色LED30から投射された光が光透過・反射体20の出光側に照射される。
本実施形態によれば、赤色LED30の光も利用しているため、赤色LED30を有する既存の光源装置(背景技術に記載された光源装置)にも容易に転用することができる。なお、その他の構成及び作用は前記第2実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
図13は本発明に係る照明装置の光源装置の第5実施形態を示すものである。なお、前記第3実施形態と同一構成部分は同一符号を付しその説明を省略する。
第5実施形態と第3実施形態は以下の点で共通する。すなわち、光源として、青色LED11、緑色LED12及び赤色LED30の三者を用いる点、また、光透過・反射体40としてダイクロイックミラーを用いる点において共通する。
一方、第5実施形態と第3実施形態は次の点で相違する構成となっている。まず、各LED11,12,30の配置構造が異なっている。すなわち、青色LED11と赤色LED30が互いに対向配置し、緑色LED12は出光側と対向配置している。続いて、光透過・反射体40の光透過・反射特性が異なっている。すなわち、光透過・反射体40は青色及び赤色の光を反射する一方、緑色の光を透過する構成なっている。
本実施形態によれば、青色LED11から投射された青色の光は入光側から光透過・反射体40に入る。ここで、青色の光は反射する構造となっているため、光透過・反射体40で反射し緑色LED12に向かって照射される。緑色LED12の蛍光体12aに青色の光が到達することにより、青色の光が蛍光体12aにより励起し緑色の光を発する。この緑色の光は光透過・反射体40に向かって照射される。ここで、光透過・反射体40は緑色の光を透過する構造となっているため、出光側に向かって透過する。
また、緑色LED12から直接に投射された緑色の光は、同じく、光透過・反射体40を透過し、出光側に向かって照射される。
更に、赤色LED30から投射された赤色の光は光透過・反射体40で反射し、出光側に向かって照射される。
以上のように、本実施形態に係る光源装置10は、前記第3実施形態と同様に、青色LED11の光が励起して緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体40の出光側に共に緑色の光として照射されるとともに、赤色LED30から投射された光が光透過・反射体40の出光側に照射される。
したがって、本実施形態においても第3実施形態と同様の作用・効果を発揮することできる。
図14は本発明に係る照明装置の光源装置の第6実施形態を示すものである。なお、前記第4実施形態と同一構成部分は同一符号を付しその説明を省略する。
第6実施形態と第4実施形態の以下の点で共通する。すなわち、光源として、青色LED11、緑色LED12及び赤色LED30の三者を用いる点、また、光透過・反射体50としてダイクロイックプリズムを用いる点において共通する。
一方、第6実施形態と第4実施形態は次の点で相違する構成となっている。まず、各LED11,12,30の配置構造が異なっている。すなわち、青色LED11と赤色LED30が互いに対向配置し、緑色LED12は出光側と対向配置している。続いて、光透過・反射体50の光透過・反射特性が異なっている。すなわち、光透過・反射体50にコーティングされた光透過・反射膜50aは、青色の光を反射しそれ以外の光を透過する部材及び赤色の光を反射しそれ以外の光を透過する部材の2種類をコーティングしてなり、この結果、青色及び赤色の光を反射する一方、緑色の光を透過する構成となっている。
本実施形態によれば、青色LED11から投射された青色の光は入光側から光透過・反射体50に入る。ここで、青色の光は反射する構造となっているため、光透過・反射体50で反射し緑色LED12に向かって照射される。緑色LED12の蛍光体12aに青色の光が到達することにより、青色の光が蛍光体12aにより励起し緑色の光を発する。この緑色の光は光透過・反射体50に向かって照射される。ここで、光透過・反射体50は緑色の光を透過する構造となっているため、そのまま出光側に向かって透過する。
また、緑色LED12から直接に投射された緑色の光は、同じく、光透過・反射体50を透過し、出光側に向かって照射される。
更に、赤色LED30から投射された赤色の光は光透過・反射体50で反射し、出光側に向かって照射される。
以上のように、本実施形態に係る光源装置10は、前記第4実施形態と同様に、青色LED11の光が励起して発した緑色の光と、緑色LED12から直接に投射された緑色の光が、光透過・反射体50の出光側に共に緑色の光として照射されるとともに、赤色LED30から投射された光が光透過・反射体50の出光側に照射される。
したがって、本実施形態においても第4実施形態と同様の作用・効果を発揮することできる。
なお、本発明に係る光源装置10において、蛍光体12aは青色LED11から照射された光を緑色が主波長となるよう励起するよう構成しており、蛍光体12aにより緑色に発光する例(第1実施形態乃至第6実施形態)を掲げて説明したが、同じく緑色が主波長とした光において白色に発光するよう構成することも可能である。
ここで、蛍光体12aで白色が発光するよう構成するとき、蛍光体12aで発光した白色の光が光透過・反射体15,20,40,50を透過或いは反射して出光側に照射される一方、緑色LED12から直接に緑色の光が光透過・反射体15,20,40,50を透過或いは反射して出光側に照射される(図示しない)。これにより、光透過・反射体15,20,40,50の出光側に白色の光と緑色の光が照射され、照明装置100に供給される光の照度が高くなり、検査用の照明として好適な光を提供することができる。