JP2021042806A - 車両制御装置 - Google Patents

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【課題】無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いを高い精度で推定できる車両制御装置を提供する。【解決手段】無段変速機を備える車両を制御するように構成される車両制御装置が、判断手段と推定手段とを備える。判断手段は、無段変速機のトルク伝達部材に入力されるトルクが所定範囲内であるか否かを判断するように構成される。推定手段は、トルク伝達部材に入力されるトルクが上記所定範囲内であるときの無段変速機の最大変速比を用いてトルク伝達部材の摩耗度合いを推定するように構成される。【選択図】図12

Description

本開示は、車両制御装置に関し、特に、無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いを推定する技術に関する。
特開2018−25207号公報(特許文献1)には、車速が所定値になった時のエンジン回転速度が予め設定された許容範囲を外れると、無段変速機におけるベルトの摩耗を警告する車両(より特定的には、作業車)が開示されている。無段変速機は入力回転体と出力回転体とを有し、ベルトは入力回転体と出力回転体とにわたって巻回される。ベルトは、無段変速機においてトルクを伝達するトルク伝達部材として機能する。エンジントルクが無段変速機の入力回転体に入力され、入力回転体に入力されたトルクがトルク伝達部材によって出力回転体へ伝達される。
特開2018−25207号公報
ベルト式無段変速機において、ベルトの摩耗が進行すると、摩耗していない状態に比べて、ベルトの幅が小さくなる。ベルトの幅が過剰に小さくなると、ベルトによるトルクの伝達が適切に行なわれなくなることがある。このため、ベルトの摩耗度合いを推定して、適切なタイミングでベルトを交換することが求められる。上記特許文献1に記載の車両では、車速が所定値になった時のエンジン回転速度に基づいてベルトの摩耗度合いを推定している。しかし、無段変速機においてベルトの滑り量が変化すると、ベルトの摩耗度合いが変わらなくとも、車速とエンジン回転速度との関係(ひいては、無段変速機の変速比)が変化し得る。このため、上記特許文献1に記載の技術では、トルク伝達部材(たとえば、ベルト)の摩耗度合いを必ずしも十分な精度で推定できるとは限らない。無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いの推定精度を高めるためには、さらなる改善の余地がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いを高い精度で推定できる車両制御装置を提供することである。
本開示に係る車両制御装置は、無段変速機を備える車両を制御するように構成される。無段変速機は、トルクを伝達するトルク伝達部材を含む。本開示に係る車両制御装置は、トルク伝達部材に入力されるトルクが所定範囲内であるか否かを判断する判断手段と、トルク伝達部材に入力されるトルクが上記所定範囲内であるときの無段変速機の最大変速比を用いてトルク伝達部材の摩耗度合いを推定する推定手段とを備える。
無段変速機の変速比は、トルク伝達部材の摩耗度合いに応じて変化する。しかし、トルク伝達部材の滑り量が変化すると、トルク伝達部材の摩耗度合いが変わらなくとも、無段変速機の変速比は変化し得る。トルク伝達部材に入力されるトルクが大きくなると、トルク伝達部材が滑りやすくなる傾向がある。また、無段変速機の状態によって、トルク伝達部材に加わる力(たとえば、トルク伝達部材を保持する力)が変化し得る。トルク伝達部材に加わる力は、トルク伝達部材の滑り量に影響を与え得る。上記車両制御装置において、無段変速機の最大変速比は、無段変速機が最減速状態であるときの無段変速機の変速比に相当する。以下、無段変速機が最減速状態であり、かつ、トルク伝達部材に入力されるトルクが所定範囲内であるときの無段変速機の変速比を、「推定パラメータ」と記載する場合がある。上記車両制御装置における推定手段は、推定パラメータを用いてトルク伝達部材の摩耗度合いを推定するように構成される。無段変速機が一定の状態(より特定的には、最減速状態)であり、かつ、トルク伝達部材に入力されるトルクが一定の範囲内(より特定的には、所定範囲内)であるときには、トルク伝達部材の滑り量を概ね一定にすることができる。このため、上記推定パラメータは、トルク伝達部材の摩耗度合いに高い精度で相関する。推定手段は、上記推定パラメータを用いることで、無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いを高い精度で推定することができる。無段変速機は、可動シーブ及び固定シーブを含むプライマリプーリを有し、最減速状態であるときに可動シーブがストッパに当接し、プライマリプーリのシーブ間隔がハード的に一定となるように構成されてもよい。プライマリプーリのシーブ間隔がハード的に一定となることで、トルク伝達部材の摩耗度合いを高い精度で推定しやすくなる。無段変速機において、トルク伝達部材はプライマリプーリとセカンダリプーリとにわたって巻回されてもよい。
なお、上記所定範囲は任意に設定できる。上記所定範囲は、0Nm付近(たとえば、0Nm以上かつ所定値以下)であってもよい。上記所定範囲は一点(たとえば、0Nm)であってもよい。
推定手段は、上記推定パラメータが大きいほどトルク伝達部材の摩耗度合いが大きいと推定するように構成されてもよい。推定手段は、現在の推定パラメータを初期状態の推定パラメータと比較することによって、トルク伝達部材の摩耗度合いを推定するように構成されてもよい。推定手段は、推定パラメータの初期状態からの変化量が大きいほどトルク伝達部材の摩耗度合いが大きいと推定するように構成されてもよい。
上記の車両制御装置は、推定手段によって推定されたトルク伝達部材の摩耗度合いが所定の閾値を超える場合に、所定の処理を実行する実行手段をさらに備えてもよい。こうした構成によれば、何らかの対処を要する程度にトルク伝達部材の摩耗度合いが大きくなった場合に、所定の処理(たとえば、トルク伝達部材の摩耗に対する対応処置)を実行することができる。所定の処理は、トルク伝達部材の交換をユーザに促す報知処理であってもよい。
上記車両は、当該車両に搭載された動力源(たとえば、エンジン)で生成される動力を複数種の経路で当該車両の駆動輪に伝達可能に構成されてもよい。複数種の経路は、無段変速機を経由しない第1経路と、無段変速機を経由する第2経路とを含んでもよい。
本開示によれば、無段変速機におけるトルク伝達部材の摩耗度合いを高い精度で推定できる車両制御装置を提供することができる。
本開示の実施の形態に係る車両制御装置が適用される車両の構成を示す図である。 図1に示した動力伝達装置の機械的な構造を示す図である。 図2に示した動力伝達装置の無段変速機(CVT)におけるプライマリプーリ及びベルトの構成の詳細を示す断面図である。 本開示の実施の形態に係る車両のGDモードにおける動力伝達経路(第1経路)を示す図である。 本開示の実施の形態に係る車両のBDモードにおける動力伝達経路(第2経路)を示す図である。 本開示の実施の形態に係る車両がBDモードで走行しているときのNin制御を説明するための図である。 本開示の実施の形態に係る車両について走行距離とベルトの摩耗量との関係を示すグラフである。 図3に示したCVTにおけるベルトの幅が過剰に小さくなった状態の一例を示す図である。 本開示の実施の形態に係る車両において、初期状態のCVTの最大変速比と入力トルクとの関係を示すグラフである。 本開示の実施の形態に係る車両について、走行距離と、CVTの入力トルクが0であるときの最大変速比との関係を示すグラフである。 摩耗量マップの一例を示す図である。 本開示の実施の形態に係る車両制御装置によって実行されるベルト摩耗診断に係る処理を説明するためのフローチャートである。
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下では、電子制御ユニット(Electronic Control Unit)を、「ECU」と称する。
図1は、この実施の形態に係る車両制御装置が適用される車両の構成を示す図である。図1を参照して、車両1は、エンジン100と、動力伝達装置200と、ECU500と、入力装置600と、報知装置700とを備える。エンジン100は、車両1が走行するための動力を生成するように構成される。動力伝達装置200は、エンジン100から出力される動力を車両1の駆動輪に伝達するように構成される。ECU500は、車両1を制御するように構成される。車両1は、エンジン100の出力と蓄電装置(図示せず)に蓄えられた電力との両方を用いて走行可能なハイブリッド車(HV)であってもよいし、エンジン100のみを走行用の動力源とする自動車(一般に「コンベ車」とも称される)であってもよい。車両1の駆動方式は、前輪駆動、後輪駆動、及び4輪駆動のいずれであってもよい。この実施の形態に係るECU500は、本開示に係る「車両制御装置」の一例に相当する。
ECU500は、プロセッサ510、RAM(Random Access Memory)520、及び記憶装置530を含んで構成される。プロセッサ510としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM520は、プロセッサ510によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置530は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置530は、たとえば、ROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置530に記憶されているプログラムをプロセッサ510が実行することで、車両1の各種制御が実行される。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。また、ECU500が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
入力装置600は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置600は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をECU500へ出力する。通信方式は有線でも無線でもよい。入力装置600の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。入力装置600は、スマートスピーカであってもよいし、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよい。
報知装置700は、ECU500から要求があったときに、ユーザ(たとえば、車両1の乗員)へ所定の報知処理を行なうように構成される。報知装置700は、表示装置(たとえば、タッチパネルディスプレイ)、スピーカ(たとえば、スマートスピーカ)、及びランプ(たとえば、MIL(故障警告灯))の少なくとも1つを含んでもよい。報知装置700は、メータパネル、ヘッドアップディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムであってもよい。
車両1は、アクセルセンサ511と、ブレーキセンサ512と、シフトレバー513aと、シフトポジションセンサ513と、車速センサ514とをさらに備える。アクセルセンサ511は、アクセル操作量(たとえば、図示しないアクセルペダルの踏込み量)に応じた信号をECU500へ出力する。アクセル操作量は、運転者が車両1に要求する加速の程度を示す。ブレーキセンサ512は、ブレーキ操作量(たとえば、図示しないブレーキペダルの踏込み量)に応じた信号をECU500へ出力する。ブレーキ操作量は、運転者が車両1に要求する制動の強さを示す。シフトポジションセンサ513は、車両1のシフトレバー513aのポジション(たとえば、N(ニュートラル)、R(リバース)、D(ドライブ)、及びP(パーキング)のいずれか)に応じた信号をECU500へ出力する。車速センサ514は、車速(すなわち、車両1の走行速度)に応じた信号をECU500へ出力する。
エンジン100としては、任意の内燃機関を採用可能であるが、この実施の形態ではレシプロエンジンを採用する。エンジン100が備える気筒(図示せず)内で混合気の燃焼が行なわれることにより燃焼エネルギーが生じる。この燃焼エネルギーが気筒内のピストン(図示せず)により運動エネルギーに変換され、エンジン100のクランクシャフト(図示せず)が回転する。
エンジン100は、スロットル弁531、燃料噴射装置532、及び点火装置533を備える。スロットル弁531は、エンジン100の吸気通路に設けられ、吸気絞り弁として機能する。スロットル弁531は、吸気通路内を流れる空気の流量を調整可能に構成される。燃料噴射装置532は、燃料タンク(図示せず)から供給される燃料を噴射するインジェクタを含んで構成される。燃料噴射方式は、筒内噴射であってもよいし、ポート噴射であってもよいし、筒内噴射とポート噴射との併用であってもよい。点火装置533は、気筒内で混合気に点火を行なう点火プラグを含んで構成される。
エンジン100は、エンジン冷却水温センサ501、エアフローメータ502、及びエンジン回転速度センサ503をさらに備える。エンジン冷却水温センサ501は、エンジン100を冷却する冷却水(たとえば、エンジン100のシリンダブロックに形成されたウォータージャケットを流通する冷却水)の温度に応じた信号をECU500へ出力する。エアフローメータ502は、エンジン100の吸気通路内を流れる空気の流量に応じた信号をECU500へ出力する。エンジン回転速度センサ503は、エンジン100の出力軸(すなわち、前述のクランクシャフト)の回転速度(以下、「エンジン回転速度」とも称する)に応じた信号をECU500へ出力する。
動力伝達装置200は、第1CVT回転速度センサ521と、第2CVT回転速度センサ522と、第1油圧センサ523と、第2油圧センサ524と、油温センサ525と、油圧アクチュエータ540とを備える。
第1CVT回転速度センサ521は、後述するCVT50のプライマリプーリ51(図2参照)の回転速度に応じた信号をECU500へ出力する。第2CVT回転速度センサ522は、後述するCVT50のセカンダリプーリ52(図2参照)の回転速度に応じた信号をECU500へ出力する。
油圧アクチュエータ540は、油圧回路と、油圧回路にオイルを圧送するオイルポンプと、オイルポンプを駆動する電動モータと、油圧回路に設けられた複数の制御弁と(いずれも図示せず)を含む。複数の制御弁は、油路を切り換える切換弁と、油圧を調整する調圧弁(たとえば、リニアソレノイドバルブ)とを含む。油圧アクチュエータ540は、調圧弁によって調整された油圧を、後述するブレーキB1、第1クラッチC1、第2クラッチC2、ロックアップクラッチ10、スリーブ40a、可動シーブ51b、及び可動シーブ52b(図2参照)の各々に供給するように構成される。ECU500は、油圧アクチュエータ540を制御することにより、各装置に供給される油圧を個別に制御することができる。第1油圧センサ523は、可動シーブ51bに供給される油圧に応じた信号をECU500へ出力する。第2油圧センサ524は、可動シーブ52bに供給される油圧に応じた信号をECU500へ出力する。油温センサ525は、油圧回路を流通するオイルの温度に応じた信号をECU500へ出力する。
図2は、動力伝達装置200の機械的な構造を示す図である。図2において、線AX1,AX2,AX3,AX4,AX5は、互いに平行な軸線を示している。
図1とともに図2を参照して、動力伝達装置200は、線AX1上に配置された入力軸11と、プライマリシャフト12と、シャフト13と、第1ドライブギヤ14と、トルクコンバータ20と、プラネタリギヤ30と、シンクロナイザ40と、無段変速機(以下、「CVT」とも称する)50と、ブレーキB1(たとえば、ブレーキバンド)と、第1クラッチC1と、第2クラッチC2とを備える。
動力伝達装置200の入力軸11は、エンジン100のクランクシャフトに連結されている。トルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ10、ポンプインペラ21、タービンランナ22、及びステータ23を備える。入力軸11は、トルクコンバータ20のポンプインペラ21に接続されている。タービンランナ22は、ポンプインペラ21に対向配置され、プライマリシャフト12に接続されている。トルクコンバータ20の内部はオイルが満たされた油密状態になっている。ステータ23は、ケース200aに支持されたワンウェイクラッチ(図示せず)に接続され、ポンプインペラ21とタービンランナ22との間においてオイルの流れを制御するように構成される。ロックアップクラッチ10は、ECU500によって制御される。ロックアップクラッチ10の状態(たとえば、開放/半クラッチ/締結)に応じて入力軸11とプライマリシャフト12との接続状態が変化する。たとえば、ロックアップクラッチ10が締結状態になると、入力軸11とプライマリシャフト12とが直結状態になる。
CVT50は、プライマリプーリ51、セカンダリプーリ52、及び無端状のベルト53を備えるベルト式無段変速機である。プライマリプーリ51は、CVT50の入力側に位置し、プライマリシャフト12と一体的に回転するようにプライマリシャフト12に接続されている。セカンダリプーリ52は、CVT50の出力側に位置し、セカンダリシャフト61と一体的に回転するようにセカンダリシャフト61に接続されている。ベルト53は、プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52に巻き掛けられている。この実施の形態では、ベルト53として金属製のベルト(たとえば、スチールベルト)を採用する。ただしこれに限られず、外側をゴムで覆った乾式複合ベルトなども、ベルト53として採用可能である。この実施の形態に係るベルト53は、本開示に係る「トルク伝達部材」の一例に相当する。トルク伝達部材は、ベルトに限られず、チェーンであってもよい。
プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52の各々は、ベルト53が掛けられるV溝の幅を変更可能に構成される可変溝幅プーリである。V溝の幅が広くなると、ベルト53がプーリの回転中心に近い位置に掛かることになる。これにより、ベルト53の巻き掛け径は小さくなる。V溝の幅が狭くなると、ベルト53がプーリの外周に近い位置に掛かることになる。これにより、ベルト53の巻き掛け径は大きくなる。
図3は、プライマリプーリ51及びベルト53の構成の詳細を示す断面図である。図3を参照して、プライマリプーリ51は、固定シーブ51aと可動シーブ51b(たとえば、スライドプーリ)とを備え、固定シーブ51aと可動シーブ51bとの間にはV溝51cが形成されている。ベルト53はプライマリプーリ51のV溝51cに掛かっている。可動シーブ51bの外側には油圧室51dが形成されている。油圧アクチュエータ540(図1)によって油圧室51dの油圧が高められると、可動シーブ51bが内側(矢印D1側)へ移動してV溝51cの幅が狭くなる。他方、油圧室51dの油圧が低下すると、ベルト53の張力によって可動シーブ51bが外側(矢印D2側)へ移動してV溝51cの幅が広くなる。可動シーブ51bがストッパーに当たるまで外側(矢印D2側)へ移動することによって、V溝51cの幅は最大になる。可動シーブ51bがストッパーに当接した状態では、プライマリプーリ51のシーブ間隔(すなわち、V溝51cの幅)がハード的に一定となる。
ベルト53は、2本のリング状のバンド53a及び53bと、エレメント53cとを備える。バンド53a及び53bの各々は、たとえば薄い鋼板が積層されて構成される。エレメント53cは、バンド53a及び53bを保持する。エレメント53cの両側面は、V溝51c内において固定シーブ51a及び可動シーブ51bに接触している。
再び図1とともに図2を参照して、セカンダリプーリ52も、基本的には、上述したプライマリプーリ51と同様の構成を有する。セカンダリプーリ52は、固定シーブ52aと可動シーブ52b(たとえば、スライドスプーリ)とを備え、固定シーブ52aと可動シーブ52bとの間にはV溝が形成されている。可動シーブ52bには、図示しないスプリングによってV溝の幅を狭くする方向への力が作用している。プライマリプーリ51の溝幅の変化によってベルト53の張力が変化すると、セカンダリプーリ52の溝幅も、ベルト53の張力に応じた大きさに調整される。セカンダリプーリ52とベルト53との摩擦を最適な状態に保つために、油圧アクチュエータ540によってセカンダリプーリ52の溝幅が調整されてもよい。
図2に示すプラネタリギヤ30は、キャリヤCR、リングギヤR、及びサンギヤSを備えるダブルピニオンプラネタリギヤである。キャリヤCRは、サンギヤSに噛合するピニオンP1と、リングギヤRに噛合するピニオンP2との各々を回転自在に支持する。ブレーキB1は、ケース200aに対するリングギヤRの回転を係止可能に構成される。サンギヤSには、中空状のシャフト13が連結されている。シャフト13の内側にはプライマリシャフト12が配置されている。プライマリシャフト12及びシャフト13の各々は線AX1上に配置されている。プライマリシャフト12は、プラネタリギヤ30のキャリヤCRに接続されている。
シャフト13は、第1クラッチC1を備えるクラッチ装置に連結されている。キャリヤCRは、第1クラッチC1を介してシャフト13に接続されている。シャフト13には、第1ドライブギヤ14が取り付けられている。第1クラッチC1は、ギヤドライブ用クラッチであり、後述するギヤドライブモードで車両1が走行する場合に締結状態になる。
シンクロナイザ40は、スリーブ40aと、第1ドリブンギヤ41と、入力シャフト42と、第1ギヤ43と、第2ギヤ44と、出力シャフト45と、第2ドライブギヤ46とを備える。入力シャフト42と出力シャフト45とは線AX2上に配置され、中空状の出力シャフト45の内側に入力シャフト42が配置されている。第1ドリブンギヤ41及び第1ギヤ43の各々は、入力シャフト42に取り付けられている。第2ギヤ44及び第2ドライブギヤ46の各々は、出力シャフト45に取り付けられている。第1ドリブンギヤ41は、第1ドライブギヤ14に噛み合っている。
スリーブ40aは、軸線方向に沿って移動可能に構成される。スリーブ40aを移動させることによって、第1ギヤ43と第2ギヤ44との接続状態を切り替えることができる。スリーブ40aを第1ギヤ43及び第2ギヤ44の両方に噛合する位置に移動させることで、第1ギヤ43と第2ギヤ44とが連結される。スリーブ40aを第1ギヤ43のみに噛合する位置に移動させることで、第1ギヤ43と第2ギヤ44とが切り離される。
セカンダリプーリ52の可動シーブ52bは第2クラッチC2を介して中空状の入力シャフト62に接続されている。セカンダリシャフト61は入力シャフト62の内側に配置されている。セカンダリシャフト61及び入力シャフト62の各々は線AX3上に配置されている。第2クラッチC2は、ベルトドライブ用クラッチであり、後述するベルトドライブモードで車両1が走行する場合に締結状態になる。第2クラッチC2が締結状態になると、セカンダリプーリ52のトルクが入力シャフト62に伝達されるようになる。第2ドリブンギヤ63は、入力シャフト62に取り付けられ、第2ドライブギヤ46に噛み合っている。
リダクションギヤ装置70は、入力シャフト62に取り付けられた出力ギヤ71と、出力ギヤ71に噛み合っているドリブンギヤ72と、ドリブンギヤ72に取り付けられたカウンタシャフト73とを備える。カウンタシャフト73は、線AX4上に配置されている。
カウンタシャフト73には、ファイナルドライブギヤ81が取り付けられている。ファイナルドライブギヤ81は、リングギヤ82に噛み合っている。リングギヤ82は、デファレンシャルギヤ80のケース外側に配置され、ファイナルドリブンギヤとして機能する。デファレンシャルギヤ80は、線AX5上に配置されたドライブシャフト83L,83Rにリングギヤ82のトルクを伝達するように構成される。デファレンシャルギヤ80は、ドライブシャフト83L,83Rを適切な速度で回転させる。ドライブシャフト83L,83Rが回転することにより、ドライブシャフト83L及び83Rの各々の先端に取り付けられた駆動輪(図示せず)が回転する。
この実施の形態では、ECU500が、複数種の走行モードで車両1を走行させるように構成される。より具体的には、ECU500は、状況に応じて、以下に説明するギヤドライブモード及びベルトドライブモードを切り換えるように構成される。
車両1のシフトレバー513aのポジションがD(ドライブ)であり、かつ、車速が所定値(以下、「Th1」と表記する)未満である場合には、ECU500が動力伝達装置200を制御して車両1の走行モードをギヤドライブモード(以下、「GDモード」とも称する)にする。図4は、GDモードにおける動力伝達経路を示す図である。図4を参照して、GDモードでは、ブレーキB1及び第2クラッチC2が開放状態になり、第1クラッチC1が締結状態になり、スリーブ40aが第1ギヤ43及び第2ギヤ44の両方に噛合する。これにより、動力伝達装置200は、図4中に矢印P11で示すようにCVT50を含まない経路(以下、「第1経路」とも称する)で動力を伝達するようになる。たとえば、車両1の発進時には、エンジン100の動力が、トルクコンバータ20、プライマリシャフト12、及び第1経路(矢印P11)を経て、カウンタシャフト73に伝達される。すなわち、エンジン100の動力はCVT50を経由せずに車両1の駆動輪に伝達される。
上記GDモードでの車両1の走行中に車速がTh1以上になると、ECU500は動力伝達装置200を制御して車両1の走行モードをベルトドライブモード(以下、「BDモード」とも称する)に切り換える。図5は、BDモードにおける動力伝達経路を示す図である。図5を参照して、BDモードでは、第1クラッチC1が開放状態になり、第2クラッチC2が締結状態になり、スリーブ40aは、第2ギヤ44とは噛合せず、第1ギヤ43のみに噛合する。これにより、動力伝達装置200は、図5中に矢印P12で示すようにCVT50を含む経路(以下、「第2経路」とも称する)で動力を伝達するようになる。たとえば、車両1の高速走行時には、エンジン100の動力が、トルクコンバータ20、プライマリシャフト12、及び第2経路(矢印P12)を経て、カウンタシャフト73に伝達される。すなわち、エンジン100の動力はCVT50を経由して車両1の駆動輪に伝達される。
図1及び図2を参照して、ECU500は、油圧アクチュエータ540を通じて可動シーブ51b及び52bの各々を制御することにより、プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52の各々に対するベルト53の巻き掛け径(ひいては、CVT50の変速比γ)を制御することができる。プライマリプーリ51の回転速度(以下、「Nin」とも表記する)は、エンジン回転速度に応じた大きさになる。セカンダリプーリ52の回転速度(以下、「Nout」とも表記する)は、車速に応じた大きさになる。CVT50の変速比γは、Noutに対するNinの比率(=Nin/Nout)で表わすことができる。ECU500は、CVT50の変速比γを最小変速比(以下、「γmin」とも表記する)から最大変速比(以下、「γmax」とも表記する)までの範囲で連続的に(すなわち、無段階で)変化させることができる。γmaxは、CVT50が最減速状態であるときのCVT50の変速比に相当する。CVT50が最減速状態であるときには、プライマリプーリ51のV溝51c(図3)の幅が最大(すなわち、一定)になっている。γminは、CVT50が最増速状態であるときのCVT50の変速比に相当する。
この実施の形態では、ECU500が、予め記憶装置530に格納されたマップ(以下、「Ninマップ」とも表記する)を参照してNinの目標値(以下、「目標Nin」とも表記する)を決定し、決定した目標NinにNinを制御する。Ninマップは、たとえばアクセル操作量と車速と目標Ninとの関係を示す情報である。
図6は、車両がBDモードで走行しているときのNin制御を説明するための図である。図6を参照して、線L1、線L2は、それぞれ初期状態のCVT50におけるγmax、γminを示している。車両1がBDモードで走行している場合には、目標Ninは領域R10の範囲内で決定される。領域R10は、変速比γが、初期状態のγmin(線L2)以上、かつ、初期状態のγmax(線L1)以下になる範囲に設定される。
ところで、CVT50におけるベルト53は摩耗し得る。特に、ベルト53においてシーブに接触するエレメント53c(図3)の両側面は摩耗しやすい。ベルト53の側面(端面)の摩耗が進行すると、初期状態(すなわち、摩耗していない状態)に比べて、ベルト53の幅が小さくなる。図7は、車両1の使用時間に相関する走行距離と、車両1におけるベルト53の摩耗量との関係を示すグラフである。図7を参照して、このグラフが示すように、車両1の走行距離(ひいては、車両1の使用時間)が長くなるほど、ベルト53の摩耗は進行する。グラフの縦軸が示すベルト53の摩耗量は、ベルト53の幅の初期状態からの減少量に相当する。ベルト53の摩耗量は、ベルト53の摩耗度合いの一例に相当する。
ベルト53の幅が過剰に小さくなると、CVT50においてベルト53によるトルクの伝達が適切に行なわれなくなることがある。図8は、ベルト53の幅が過剰に小さくなった状態の一例を示す図である。図8を参照して、この例では、プライマリプーリ51のV溝51cに掛かったベルト53が摩耗してベルト幅が過剰に小さくなったことで、ベルト53の位置が下がってベルト53がV溝51cの底BMについている。ベルト53がV溝51cの底BMにつくと、ベルト53にたるみができるため、ベルト53によるトルクの伝達が適切に行なわれなくなる。以下、ベルト53がV溝の底につくことを、「ベルト底つき」とも称する。ベルト底つきは、セカンダリプーリ52よりもプライマリプーリ51のほうが生じやすい。
図1とともに図8を参照して、ベルト53の摩耗度合いが小さければ、ECU500は、油圧アクチュエータ540を通じて可動シーブ51bを制御することにより、ベルト53がV溝51cの底BMにつかないようにV溝51cの幅を調整することができる。しかし、こうした制御によって、ベルト53のたるみを抑制することにも限界があるため、ベルト53の摩耗度合いが大きくなった場合には、ベルト53を交換するなどの対応処置を行なうことが望ましい。そこで、この実施の形態に係るECU500は、以下に説明する方法でベルト53の摩耗度合いを推定するとともに、推定されたベルト53の摩耗度合いが閾値を超えたときには、ベルト53の摩耗に対する対応処置(たとえば、ベルト53の交換を促す報知処理)を行なうように構成される。
ECU500は、ベルト53に入力されるトルクが所定範囲内であるときのγmaxを用いて、ベルト53の摩耗度合いを推定するように構成される。CVT50において、ベルト推力(すなわち、ベルト53を挟む力)が大きくなると、ベルト53の滑り量が小さくなる。一方、ベルト53に入力されるトルク(以下、「入力トルク」とも称する)が大きくなると、ベルト53の滑り量が大きくなる。入力トルクは、プライマリプーリ51に加わるトルクに相当する。CVT50を一定の状態(より特定的には、最減速状態)にし、かつ、入力トルクを一定の範囲内(より特定的には、所定範囲内)にすることで、ベルト53の滑り量を概ね一定にすることができる。ベルト53の滑り量が一定である場合には、CVT50の変速比γとベルト53の摩耗度合いとが高い精度で相関する。
図9は、初期状態(すなわち、ベルト53の摩耗度合いが0である状態)のCVT50におけるγmaxと入力トルクとの関係を示すグラフである。図10は、車両1の使用時間(ひいては、ベルト53の摩耗度合い)に相関する走行距離と、CVT50の入力トルクが0であるときのγmaxとの関係を示すグラフである。なお、図7、図9、及び図10の各々に示すデータは、同一の車両で測定されたデータである。
図9を参照して、このグラフでは、CVT50の入力トルクが大きくなるほどγmaxが大きくなっている。このように、ベルト53の摩耗度合いが一定である場合には、CVT50における入力トルクとγmaxとが一定の相関関係を有する。
図10を参照して、このグラフでは、車両1の走行距離が長くなるほど(すなわち、ベルト53の摩耗度合いが大きくなるほど)γmaxが大きくなっている。このように、ベルト53に入力されるトルク(入力トルク)が一定である場合には、CVT50におけるγmaxとベルト53の摩耗度合いとが一定の相関関係を有する。
再び図1及び図2を参照して、ECU500は、第1CVT回転速度センサ521及び第2CVT回転速度センサ522の各々の出力に基づいて変速比γを求めるように構成される。ECU500は、第1CVT回転速度センサ521の出力に基づいてNinを求めることができる。ECU500は、第2CVT回転速度センサ522の出力に基づいてNoutを求めることができる。ECU500は、これらNin及びNoutに基づいて変速比γ(=Nin/Nout)を算出することができる。
ECU500は、変速比γがγmaxであるか否かを判断するように構成される。CVT50が最減速状態になると、変速比γがγmaxになる。この実施の形態では、ECU500が、可動シーブ51bに供給される油圧と、可動シーブ52bに供給される油圧との比率を用いて、変速比γがγmaxであるか否かを判断する。ただしこれに限られず、ECU500は、変速比γの目標値に基づいて、変速比γがγmaxであるか否かを判断してもよい。また、ECU500は、変速比γの目標値と実測値との乖離度合いに基づいて、変速比γがγmaxであるか否かを判断してもよい。また、ECU500は、車両1の状態(たとえば、車速、アクセル操作量、及び加速度)及び走行環境(たとえば、道路勾配)に基づいて、変速比γがγmaxであるか否かを判断してもよい。
ECU500は、CVT50の入力トルクが所定範囲(以下、「範囲ΔTq」とも称する)内であるか否かを判断するように構成される。範囲ΔTqは、ベルト53の滑り量が大きく変動しない程度に狭ければ任意である。範囲ΔTqは、所定値以下であってもよいし、所定値(すなわち、一点)であってもよい。この実施の形態では、範囲ΔTqを0付近(たとえば、0Nm以上30Nm以下)とする。この実施の形態では、車両1がGDモードで走行しているときには、プライマリプーリ51にトルクがかからない(図4参照)。このため、ECU500は、車両1がGDモードで走行しているときには、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内(すなわち、0付近)であると判断する。一方、車両1がBDモードで走行しているときには、ECU500は、アクセル操作量とエンジン100の回転速度とに基づいてCVT50の入力トルクを求め、得られた入力トルクが範囲ΔTq内であるか否かを判断する。ECU500は、たとえば、アクセル操作量とエンジン100の回転速度とCVT50の入力トルクとの関係を示すマップを用いて、CVT50の入力トルクを求めることができる。ただしこれに限られず、ECU500は、アクセル操作量、車両1の加速度、エンジン100の運転状態(たとえば、エンジン回転速度及び燃料噴射量)、トルクコンバータ20の状態、及び車両1の走行環境(たとえば、道路勾配)の少なくとも1つに基づいて、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内であるか否かを判断してもよい。
ECU500は、変速比γがγmaxであり、かつ、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内であると判断した場合に、第1CVT回転速度センサ521及び第2CVT回転速度センサ522の各々の出力に基づいて変速比γを求めるように構成される。こうして得られる変速比γは、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内であるときのγmaxであり、以下では「ΔTq−γmax」とも表記する。この実施の形態では、ΔTq−γmaxが「推定パラメータ」の一例に相当する。
ECU500は、初期状態のCVT50のΔTq−γmax(以下、「初期ΔTq−γmax」とも称する)と現在のCVT50のΔTq−γmax(以下、「現在ΔTq−γmax」とも称する)との乖離度合いを求めるように構成される。この実施の形態では、初期ΔTq−γmaxと現在ΔTq−γmaxとの乖離度合いを示すパラメータとして、初期ΔTq−γmaxと現在ΔTq−γmaxとの差(以下、「Δγmax」とも表記する)を採用する。初期ΔTq−γmaxは、予め記憶装置530に記憶されている。Δγmaxが大きいほど乖離度合いが大きいことになる。ただしこれに限られず、差に代えて比率を採用してもよい。比率が1に近いほど乖離度合いが小さいことになる。
この実施の形態では、Δγmaxとベルト53の摩耗量との関係を示す情報(以下、「摩耗量マップ」とも称する)が予め記憶装置530に記憶されている。ECU500は、摩耗量マップを参照して、Δγmaxからベルト53の摩耗量(以下、「ベルト摩耗量」とも称する)を推定する。ECU500は、上記のようにして推定したベルト摩耗量が所定の閾値(以下、「閾値X」と表記する)を超える場合には、ベルト53の摩耗に対する対応処置(以下、「摩耗対応処置」とも称する)を実行するように構成される。ベルト摩耗量が大きくなるほど、プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52の各々に対するベルト53の巻き掛け径が小さくなることにより、ベルト底つき(たとえば、図8参照)が生じる可能性が高くなる。この実施の形態では、ベルト底つきが生じないベルト摩耗量と、ベルト底つきが生じる可能性があるベルト摩耗量との境界値を、閾値Xとする。こうした閾値Xは、予め実験又はシミュレーションによって求められて記憶装置530に記憶されている。ただし、閾値Xは上記に限られない。ベルト摩耗量の増加に起因するベルト底つき以外の不具合の発生(たとえば、車両1における性能低下、強度低下、又はドライバビリティの悪化)を考慮して閾値Xが決定されてもよい。閾値Xは、固定値であってもよいし、状況に応じて可変であってもよい。
図11は、摩耗量マップの一例を示す図である。図11を参照して、線L10は摩耗量マップを示している。この摩耗量マップでは、Δγmaxが閾値Yを超えると、ベルト53の摩耗量が閾値Xを超える。
この実施の形態においてECU500が実行する摩耗対応処置は、ユーザにベルト53の交換を促す報知処理である。ECU500は、報知装置700を制御することにより上記報知処理を実行することができる。ユーザへの報知処理は任意であり、表示装置への表示(たとえば、文字又は画像によるインフォメーションの表示)で知らせてもよいし、スピーカーにより音(音声を含む)で知らせてもよいし、所定のランプを点灯(点滅を含む)させてもよい。
摩耗対応処置は、上記報知処理に限られず、上記報知処理に加えて又は代えて、他の摩耗対応処置を採用してもよい。ECU500が実行する摩耗対応処置は、CVT50の制御に用いられるマップ(たとえば、目標Nin又は変速線)をベルト底つきが生じないように変更することであってもよい。ECU500が実行する摩耗対応処置は、プライマリプーリ51及びセカンダリプーリ52の各々が停止しているときの変速比γの目標値(以下、「停止時の目標変速比」とも称する)を小さくすることであってもよい。ECU500は、ベルト53の摩耗量が閾値X以下であるときには停止時の目標変速比をγmaxとし、ベルト53の摩耗量が閾値Xを超えると、停止時の目標変速比をγmaxよりも小さい値にするように構成されてもよい。ECU500が実行する摩耗対応処置は、ECU500がプライマリプーリ51の可動シーブ51bに供給される油圧を通常よりも大きくすることであってもよい。この際、ECU500は、可動シーブ51bの油圧制御を他の油圧制御よりも優先して行なってもよい。ECU500が実行する摩耗対応処置は、油圧回路の異物排出処理の頻度を増加させることであってもよい。ECU500は、油圧回路に設けられた各制御弁を制御することにより油圧回路の異物排出処理を実行するように構成されてもよい。ECU500が実行する摩耗対応処置は、記憶装置530内のダイアグ(自己診断)のフラグの値(初期値はOFF)をONにすることにより、ベルト53に異常が生じていることを記憶装置530に記録することであってもよい。
図12は、この実施の形態に係るECU500によって実行されるベルト53の摩耗診断に係る処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定の診断期間において繰り返し実行され、診断期間においてベルト摩耗量が閾値Xを超えたと判断されると、終了する。上記の診断期間は、CVT50の使用を開始してからCVT50の使用を終了するまでの期間であってもよいし、ユーザが設定した任意の期間であってもよい。
図1及び図2とともに図12を参照して、ステップ(以下、単に「S」とも表記する)11では、車両1の走行モードがBDモードであるか否かを、ECU500が判断する。ECU500は、第1CVT回転速度センサ521及び第2CVT回転速度センサ522の各々の出力に基づいて、車両1の走行モードがBDモードであるか否かを判断してもよい。車両1の走行モードがBDモードである場合(S11にてYES)には、処理はS12に進む。S12では、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内(すなわち、0付近)であるか否かを、ECU500が判断する。ECU500は、たとえば、アクセル操作量とエンジン100の回転速度とに基づいてCVT50の入力トルクを求め、得られた入力トルクが範囲ΔTq内であるか否かを判断する。CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内である場合(S12にてYES)には、処理はS13に進み、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内でない場合(S12にてNO)には、処理はS11に戻る。
この実施の形態では、車両1の走行モードがBDモードでない場合には、車両1の走行モードはGDモードである。車両1がGDモードで走行しているときには、CVT50の入力トルクが範囲ΔTq内(すなわち、0付近)になる。このため、車両1の走行モードがBDモードでない場合(S11にてNO)には、処理はS12を経ることなくS13に進む。
S13では、変速比γがγmaxであるか否かを、ECU500が判断する。ECU500は、たとえば、可動シーブ51bに供給される油圧と、可動シーブ52bに供給される油圧との比率を用いて、変速比γがγmaxであるか否かを判断する。変速比γがγmaxである場合(S13にてYES)には、処理はS14に進み、変速比γがγmaxでない場合(S13にてNO)には、処理はS11に戻る。
S14では、ECU500が、第1CVT回転速度センサ521及び第2CVT回転速度センサ522の各々の出力に基づいて変速比γを取得する。S14でECU500に取得される変速比γは、ΔTq−γmaxに相当する。続けて、ECU500は、S15において、上記S14で得たΔTq−γmaxからΔγmaxを求め、得られたΔγmaxと、記憶装置530内の摩耗量マップとに基づいて、ベルト摩耗量を推定する。続けて、ECU500は、S16において、推定されたベルト摩耗量が閾値Xを超えるか否かを判断する。
上記S15で推定されたベルト摩耗量が閾値Xを超えないと判断された場合(S16にてNO)には、処理はS11に戻る。他方、上記S15で推定されたベルト摩耗量が閾値Xを超えると判断された場合(S16にてYES)には、ECU500は、S17において、所定の摩耗対応処置(たとえば、ユーザにベルト53の交換を促す報知処理)を実行する。S17の処理が行なわれることによって、図12の一連の処理は終了する。
以上説明したように、ECU500は、CVT50のベルト53に入力されるトルクが範囲ΔTq内であるか否かを判断するように構成される(図12のS11及びS12)。ECU500は、ΔTq−γmax(すなわち、ベルト53に入力されるトルクが範囲ΔTq内であるときのγmax)を用いてベルト53の摩耗度合いを推定するように構成される(図12のS14及びS15)。この実施の形態に係るECU500は、本開示に係る「判断手段」及び「推定手段」として機能する。
CVT50が最減速状態であり、かつ、ベルト53に入力されるトルクが所定範囲(たとえば、範囲ΔTq)内であるときには、ベルト53の滑り量は概ね一定になると考えられる。このため、ΔTq−γmaxは、ベルト53の摩耗度合いに高い精度で相関すると考えられる。ECU500は、こうしたΔTq−γmaxを用いることで、CVT50におけるベルト53の摩耗度合いを高い精度で推定することができる。
ECU500は、上記のようにして推定されたベルト53の摩耗度合いが所定の閾値Xを超える場合に摩耗対応処置を実行するように構成される。こうした構成によれば、ベルト53の摩耗度合いが大きくなった場合に摩耗対応処置を実行することができる。この実施の形態に係るECU500は、「実行手段」として機能する。
上記実施の形態におけるECU500は、Δγmaxが閾値Y(図11)を超えた場合にベルト摩耗量が大きい(より特定的には、閾値Xを超えている)と判断するように構成される。ただしこれに限られず、ECU500は、ΔTq−γmaxが所定値以上である場合にベルト摩耗量が大きいと判断するように構成されてもよい。
上記実施の形態におけるECU500は、ベルト摩耗量が大きいか小さいか(より特定的には、閾値Xを超えるか否か)を推定するように構成される。ただしこれに限られず、ECU500は、複数の閾値を用いてベルト摩耗量の大きさを3段階以上(たとえば、大/中/小)に分けて推定するように構成されてもよい。また、ECU500は、予め作成されたマップを用いてΔγmax又はΔTq−γmaxに応じたベルト摩耗量を推定するように構成されてもよい。
上記図12の処理では、変速比γがγmaxである場合(S13にてYES)にベルト摩耗量の推定(S15)が実行される。ECU500は、ベルト摩耗量の推定頻度(すなわち、単位時間あたりの推定回数)が所定値以下である場合には、意図的に変速比γをγmaxにしてもよい。たとえば、ECU500は、車両1がGDモード(図4)で低速走行するときに、変速比γがγmaxになるように変速比γの目標値を変更にしてもよい。また、ECU500は、車両1がBDモード(図5)で停車する際に、変速比γがγmaxになるように変速比γの目標値を変更してもよい。
車両制御装置が適用される車両の構成は、図2に示した構成に限られない。たとえば、上記実施の形態では、ECU500が、エンジン100の動力を車両1の駆動輪に伝達する経路を変更可能に構成される。上記実施の形態における車両1は、第1経路(図5中の矢印P11参照)及び第2経路(図5中の矢印P12参照)を有する。ECU500は、CVT50を経由しない第1経路と、CVT50を経由する第2経路とのいずれか一方を選択し、選択された経路によりエンジン100の動力を車両1の駆動輪に伝達するように構成される。ただしこれに限られず、車両は第1経路を有しなくてもよい。車両及びその制御装置は、第2経路のみによってエンジン100の動力を車両の駆動輪に伝達するように構成されてもよい。こうした車両では、走行モードが常にベルトドライブモードになるため、図12の処理におけるS11の判断を割愛できる。
車両制御装置が適用される車両は、エンジン(内燃機関)を備えず、モータによって走行する電気自動車(EV)であってもよい。図2に示した動力伝達装置200において、トルクコンバータ20の代わりに電気自動車の走行用モータがプライマリシャフト12に連結されてもよい。
CVT50のトルク伝達部材として、ベルト53の代わりにチェーンを採用してもよい。チェーンにおけるロッカーピンは、エレメント53c(図3)と同様、摩耗し得る。ECU500は、前述したベルト摩耗量を推定する方法に準ずる方法で、チェーンの摩耗度合い(たとえば、ロッカーピンの摩耗量)を推定することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 ロックアップクラッチ、11 入力軸、12 プライマリシャフト、13 シャフト、14 第1ドライブギヤ、20 トルクコンバータ、21 ポンプインペラ、22 タービンランナ、23 ステータ、30 プラネタリギヤ、40 シンクロナイザ、40a スリーブ、41 第1ドリブンギヤ、42 入力シャフト、43 第1ギヤ、44 第2ギヤ、45 出力シャフト、46 第2ドライブギヤ、51 プライマリプーリ、51a 固定シーブ、51b 可動シーブ、51c V溝、51d 油圧室、52 セカンダリプーリ、52a 固定シーブ、52b 可動シーブ、53 ベルト、53a バンド、53c エレメント、61 セカンダリシャフト、62 入力シャフト、63 第2ドリブンギヤ、70 リダクションギヤ装置、71 出力ギヤ、72 ドリブンギヤ、73 カウンタシャフト、80 デファレンシャルギヤ、81 ファイナルドライブギヤ、82 リングギヤ、83L,83R ドライブシャフト、100 エンジン、200 動力伝達装置、200a ケース、500 ECU、501 エンジン冷却水温センサ、502 エアフローメータ、503 エンジン回転速度センサ、510 プロセッサ、511 アクセルセンサ、512 ブレーキセンサ、513 シフトポジションセンサ、513a シフトレバー、514 車速センサ、520 RAM、521 第1CVT回転速度センサ、522 第2CVT回転速度センサ、523 第1油圧センサ、524 第2油圧センサ、525 油温センサ、530 記憶装置、531 スロットル弁、532 燃料噴射装置、533 点火装置、540 油圧アクチュエータ、600 入力装置、700 報知装置、B1 ブレーキ、BM 底、C1 第1クラッチ、C2 第2クラッチ、CR キャリヤ、P1,P2 ピニオン、R リングギヤ、S サンギヤ。

Claims (1)

  1. 無段変速機を備える車両を制御する車両制御装置であって、
    前記無段変速機は、トルクを伝達するトルク伝達部材を含み、
    前記トルク伝達部材に入力されるトルクが所定範囲内であるか否かを判断する判断手段と、
    前記トルク伝達部材に入力されるトルクが前記所定範囲内であるときの前記無段変速機の最大変速比を用いて前記トルク伝達部材の摩耗度合いを推定する推定手段と、
    を備える、車両制御装置。
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