JP2021042456A - 鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料およびその製造方法 - Google Patents

鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料およびその製造方法 Download PDF

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晋哉 岡本
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信之 岡村
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Kosuke Kuwabara
孝介 桑原
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Abstract

【課題】加工中の割れや欠けを低減することで歩留まりを向上することのできる鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料、およびその製造方法を提供する。【解決手段】チタンを含む鉄−クロム−コバルト系合金であって、欠陥率が0.5%以下、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数密度が10000μm2当たり平均1.0個未満であり、残留磁束密度1.300T以上、保磁力45.0kA/m以上、最大エネルギー積43.0kJ/m3以上、かつ角型比0.70以上である鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料。【選択図】図1

Description

本発明は、加工中の割れや欠けを低減することで歩留まりを向上することのできる鉄−クロム−コバルト系硬質磁性材料およびその製造方法に関するものである。
磁性材料は、硬質磁性材料と軟質磁性材料に区分される。そのうち、硬質磁性材料とは保磁力が大きく、外部磁場に対して減磁しにくい磁性材料を指し、代表的なものとして、フェライト磁石、NdFeB系磁石、SmCo系磁石、金属磁石などがある。中でも、金属磁石は焼結による製造方法を採用することにより、比較的小物や複雑な形状の量産に向いているという利点を有している。そのような利点を有する金属磁石の例としては、鉄、クロム、コバルトを主成分とした磁石(以下、FCC磁石と称す)や、鉄、アルミニウム、ニッケル、コバルトを主成分とした磁石(以下、アルニコ磁石と称す)がある。
FCC磁石は、アルニコ磁石に比べ、高い磁束密度とエネルギー積を持つため、磁気性能に優れ、さらにコバルト含有量が少ないため、価格変動リスクを低減できる。また、FCC磁石は、アルニコ磁石と同様、残留磁束密度の温度係数が小さいため、温度安定性に優れるほか、原料にレアアースを使用していないため、調達安定性に優れ、製品適用し易いメリットがある。なお、FCC磁石は、ステッピングモーターやリレー、トルクリミッター、磁気センサー等に利用されている。
FCC磁石は、従来、主に鋳造によって製造されてきた。鋳造によって製造する場合には製造数量に関わらず鋳造型が必要となるため、特に少量生産品の場合には低コスト化が難しい。また、鋳造のままの磁石製品のバリや変質層となっている鋳肌は加工により除去される必要がある点も低コスト化を難しくしている。
FCC磁石合金は主成分である鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)の他にチタン(Ti)を添加したものである。チタンは原料中に含まれる炭素や、原料の溶解時や鋳造時に空気中から取込まれる窒素と反応して、金属組織内に粗大で硬質なチタン炭化物やチタン窒化物を含む析出相を形成することがある。特に母相を構成する組織の結晶粒界に析出相として硬質なチタン炭化物やチタン窒化物が析出した場合、結晶粒界が脆性的になるため、加工中に割れや欠けが多発し、歩留まりの向上が難しいという問題がある。
析出相へのチタンの濃縮を低減する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている技術によれば、平均粒径が1.0〜500μmの鉄−クロム−コバルト合金粉末を用い、放電プラズマ焼結法により鉄−クロム−コバルト永久磁石を得ることにより、析出相へのチタン濃縮が少なく結晶構造が安定する、とある。また、特許文献2は、0.1〜5%のSiと0.01〜5%のTiを複合的に添加含有せしめたFe−Cr−Co系磁石合金とすることにより、鋳造で良好な磁気特性を与えるとともに、ミクロ組織中にTiNが介在物として微細に分散し、切削性を大幅に改善することのできるFe−Cr−Co系磁石合金を開示する。
特開2005−150355号 特公昭58−9827号
析出相へのチタンの濃縮を避ける方法として特許文献1のような方法もあるが、放電プラズマ焼結は、形状の自由度が低いうえに、チタン濃縮量の低減にも限界があり、加工歩留まり向上のための手段として有力なものではなかった。特許文献2に開示された技術では、ミクロ組織中に分散したTiNの微細化が必ずしも十分ではなく、加工中に割れや欠けが発生することがあった。
そこで、本発明は従来技術の問題を解決するものであり、加工中の割れや欠けの低減に寄与し得る鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本願の発明者は上記課題を解決し歩留まりを向上するためには、チタン炭化物および/またはチタン窒化物を含む析出相の生成を抑制するか、析出相の大きさを小さくして加工時の割れや欠けの原因をできるだけ除去する必要があると考え鋭意検討した結果、本発明に至った。
本願第1の発明に係る鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料は、チタンを含む鉄−クロム−コバルト系合金であって、欠陥率が0.5%以下、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数密度が10000μm当たり平均1.0個未満であり、残留磁束密度1.300T以上、保磁力45.0kA/m以上、最大エネルギー積43.0kJ/m以上、かつ角型比0.70以上であることを特徴とする。
また、本願第2の発明に係る鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料の製造方法は、前記鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料を積層造形法で形成することを特徴とする。
前記鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料の製造方法において、積層造形時に照射するエネルギー密度が40J/mm以上60J/mm以下であることを特徴とする。
本発明により、加工中の割れや欠けを低減することで歩留まりを向上することのできる鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料、およびその製造方法を提供することができる。
実施例1で欠陥率を測定した際に取得した画像である。 実施例1で得られた造形磁石および比較例1で得られた鋳造磁石のSEM像およびTiの分布を示すEDS面分析像である。
本発明は、加工中の割れや欠けを低減することで歩留まりを向上すべく、母相を構成する組織の結晶粒界への粗大な析出物の形成を抑制することのできる硬質磁性材料、およびその製造方法を提供することに関する。積層造形法はレーザ照射や電子ビーム照射による高速溶融・急冷凝固を造形原理とする。本発明によれば、溶解・鋳造工程を経ることなく、積層造形法によって鉄−クロム−コバルト系合金粉末から直接、造形体を作製することにより、母相を構成する組織の結晶粒界への粗大な析出物の形成が抑制された鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料、およびその製造方法を提供することができる。その結果、硬質磁性材料の製造方法として積層造形法を採用することで、所望の部品形状に近いニアネットシェイプにすることができるだけでなく、最終的な仕上げ加工においても、割れや欠けの低減に寄与し得るため、磁石製品の歩留まりを向上することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。実施例における硬質磁性材料の製造方法について、その代表例としてパウダーベッド方式の積層造形法を用いる方法を例示するが、本発明の硬質磁性材料の製造方法は以下に示す実施形態に限定されるものではない。
[原料粉末]
本発明の鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料は、質量比で17〜45%Cr、3〜35%Co、残部はFeおよび不可避不純物からなる鉄−クロム−コバルト系硬質磁性材料において、少なくともTiを添加せしめて、質量比で17〜45%Cr、3〜35%Co、0.1〜0.6%Ti、残部はFeおよび不可避不純物からなる組成とすることが好ましい。更にTi以外の元素を複合的に含有することもできる。例えばTiとSiを複合添加して、質量比で17〜45%Cr、3〜35%Co、0.1〜0.6%Ti、0.1〜0.6%Si、残部はFeおよび不可避不純物からなる組成としても良い。目的とする組成の造形体が得られるように各元素の供給材料を所定量計量し混合してなる原材料をるつぼに装填し、高周波溶解し、るつぼ下のノズルから溶融した合金を落下させ、高圧アルゴンで噴霧してガスアトマイズ粉を作製する。このガスアトマイズ粉を分級して鉄−クロム−コバルト系合金粉末を得る。これを原料粉末とする。
[造形体]
パウダーベッド方式の3次元積層造形機を用い、ベースプレート上に供給した原料粉末をレーザ照射により高速溶融・急冷凝固させて造形体を作製し、ベースプレートから切り離す。得られた造形体が本発明の硬質磁性材料である。積層造形条件は原料粉末の粒径や組成、造形体の大きさ・形状・特性、生産効率等を考慮して適宜定められるが、本発明の硬質磁性材料については、次の範囲から選択することができる。
・1層当たりの積層厚さ/20〜80μm
・レーザビーム径/約0.1mm
・レーザ出力/200〜400W
・レーザ走査速度/500〜2500mm/秒
・走査ピッチ/0.05〜0.15mm
・エネルギー密度/6.7〜800J/mm
[熱処理]
造形後には、造形体の溶体化処理、磁場中での熱処理、時効処理を行う。具体的には、溶体化処理では700〜1000℃、1〜1.5時間で組織をα相とし、磁場中での熱処理は150〜300kA/mの磁界中、600〜700℃、2〜3時間とし、時効処理では600〜700℃、1〜2時間で組織をα強磁性相とα常磁性相とに相分離させる。その後、2〜8℃/分程度で冷却を行う。
目的とする組成の造形体が得られるように各元素の供給材料を所定量計量し混合してなる原材料をるつぼに装填し、真空中で高周波溶解し、るつぼ下の直径5mmノズルから溶融した合金を落下させ、高圧アルゴンで噴霧してガスアトマイズ粉を作製した。このガスアトマイズ粉を分級して10〜60μmの鉄−クロム−コバルト系合金粉末を得た。これを原料粉末とした。
パウダーベッド方式の3次元積層造形機(EOS社製 EOS M290)を用い、S45C製ベースプレート上に供給した原料粉末をレーザ照射による高速溶融・急冷凝固させて幅10mm、長さ10mm、積層高さ10mmの造形体を作製した。得られた造形体が本発明の硬質磁性材料である。積層造形条件は次の通りとした。
・1層当たりの積層厚さ/40μm(比較例1を除く実施例および比較例で共通)
・レーザビーム径/約0.1mm(比較例1を除く実施例および比較例で共通)
・レーザ出力/250W
・レーザ走査速度/1500mm/秒
・走査ピッチ/0.09mm
・エネルギー密度/46.3J/mm
造形体の熱処理として、先ず、溶体化処理900℃、1.3時間、次いで、260kA/mの磁界中、620℃、2.5時間、更に、時効処理650℃、1.2時間を施した。その後、5℃/分程度で冷却した。
[欠陥率]
熱処理後の造形体の幅中央で切断した後、その切断面の中央付近をマイクロスコープで観察して析出物の欠陥率を測定した。具体的には、先ず、マイクロスコープの500倍のレンズを用い、切断面の中央付近を視野中心とする1.63mm×1.29mmの範囲を9分割(3×3)し、それぞれを撮影した画像を1枚の画像として取得した。画像における輝度の暗い点状の領域が空孔部(欠陥部)である。9枚の画像全体の面積に占める輝度が暗い領域1の面積の割合を算出したところ欠陥率0.12%であった。取得画像を図1に示す。また、表1に積層造形条件とともに欠陥率を示す。
[衝撃強度特性]
熱処理後の造形体を長さ55mm、幅10mm、奥行き10mmの直方体に加工した後、長さと奥行きがなす面に,長さ方向の中央に幅2mmのV型ノッチをノッチ角度45度として衝撃試験片を作製した。本試験片を用い、JIS Z 2242に則り衝撃試験を行った。衝撃値は2.1J/cmであった。この衝撃強度特性は、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものである。表1に積層造形条件とともに衝撃値を示す。
[磁気特性]
造形体の磁気特性評価はB−Hトレーサーを用いて行った。各造形体のB−H曲線を求め、B−H曲線より、残留磁束密度B1.321[T]、保磁力HcB46.4[kA/m]、最大エネルギー積(BH)max43.9[kJ/m]を求めた。角型比0.72は、(BH)max/(B×HcB)により求めた数値である。一般に、H/HcJを求めるために測定するパラメータであるHは、J(磁化の強さ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、Jが0.9×J(Jは残留磁化、J=B)の値になる位置のH軸の読み値が用いられている。このHを減磁曲線のHcJで除した値(H/HcJ)が角形比として定義される。しかし、鉄−クロム−コバルト系磁石合金については、HがNd−Fe−B磁石やフェライト磁石に比べて低く、またHcJとHcBとがほぼ同値になることからJ−Hカーブの概念を持っておらず、角型性を表す指標として(BH)max/(B×HcB)と定義された角型比がより適している。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供しうる水準を十分に満たすものである。なお、磁気特性評価には、欠陥率の画像解析に用いた試験片を使用した。表1に磁気特性を示す。
[元素分析]
造形体の元素分析は、走査型電子顕微鏡に付随するエネルギー分散型X線分析を用いて行った。分析に用いた試験片は、造形体の一部を小片に切断して樹脂に包埋したのち、包埋した造形体の切断面を鏡面まで研磨仕上げして作製した。分析は走査型電子顕微鏡における加速電圧を15kV、対物レンズから観察表面までの作動距離を10mmとし、観察倍率は1000倍で行った。分析元素は、Al、C、Co、Cr、Fe、Mn、N、O、Si、Tiの10種類とした。表2に元素分析の結果を示す。
[SEM像、EDS面分析像(Ti)]
上記の走査型電子顕微鏡を用いて実施例1で得られた造形体(造形磁石)のSEM像およびTiの分布を示すEDS面分析像を同視野において取得した。用いた試験片は、造形体の一部を小片に切断して樹脂に包埋したのち、包埋した造形体の切断面を鏡面まで研磨仕上げして作製した。分析は走査型電子顕微鏡における加速電圧を15kV、対物レンズから観察表面までの作動距離を10mmとし、観察倍率は1000倍で行った。取得したSEM像およびEDS面分析像を図2に示す。SEM像から、金属原料粉末をレーザ照射によって高速溶融・急冷凝固させてなる3次元積層造形体において、しばしばみられる柱状組織が観察された。EDS面分析像からTiが組織全体に亘って微細かつ均一に存在することを確認した。次いで、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において確認されず、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均0個であった。
[加工性]
硬質で脆性的なTiを含有した最大径3μm以上の濃化相が形成されずに結晶粒中にTiが微細かつ均一に存在しており、また欠陥率が0.12%と低いことから、加工時の割れや欠けを低減し歩留まりを向上することができた。
レーザ出力250W、レーザ走査速度1250mm/秒としたことを除いて実施例1と同様にして積層造形法により鉄−クロム−コバルト系合金からなる造形体を作製し、熱処理して鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料からなる造形体を得た。この造形体について実施例1と同様に欠陥率の測定、衝撃強度特性の評価、磁気特性の評価、元素分析、SEM像・EDS面分析像取得および加工性評価を実施した。欠陥率は0.07%、衝撃値は2.1J/cmであり、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものである。磁気特性は、残留磁束密度1.353[T]、保磁力45.4[kA/m]、最大エネルギー積44.2[kJ/m]、角型比0.72であった。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供しうる水準を十分に満たすものである。取得したSEM像から実施例1の硬質磁性材料と同様の金属組織であることが確認できた。EDS面分析像からTiが組織全体に亘って微細かつ均一に存在することを確認した。次いで、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において確認されず、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均0個であった。硬質で脆性的なTiを含有した最大径3μm以上の濃化相が形成されずに結晶粒中にTiが微細かつ均一に存在しており、また欠陥率が低いことから、加工時の割れや欠けを低減し歩留まりを向上することができた。
レーザ出力200W、レーザ走査速度1000mm/秒、エネルギー密度55.6J/mmとしたことを除いて実施例1と同様にして積層造形法により鉄−クロム−コバルト系合金からなる造形体を作製し、熱処理して鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料からなる造形体を得た。この造形体について実施例1と同様に欠陥率の測定、衝撃強度特性の評価、磁気特性の評価、元素分析、SEM像・EDS面分析像取得および加工性評価を実施した。欠陥率は0.06%、衝撃値は2.1J/cmであり、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものである。磁気特性は、残留磁束密度1.342[T]、保磁力45.7[kA/m]、最大エネルギー積44.0[kJ/m]、角型比0.72であった。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供しうる水準を十分に満たすものである。取得したSEM像から実施例1の硬質磁性材料と同様の金属組織であることが確認できた。EDS面分析像からTiが組織全体に亘って微細かつ均一に存在することを確認した。次いで、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において確認されず、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均0個であった。硬質で脆性的なTiを含有した最大径3μm以上の濃化相が形成されずに結晶粒中にTiが微細かつ均一に存在しており、また欠陥率が低いことから、加工時の割れや欠けを低減し歩留まりを向上することができた。
比較例1
本比較例では、鋳造によって鉄−クロム−コバルト系合金からなる硬質磁性材料を作製した。具体的には、溶解炉で実施例1と同様に作製した原料粉末を溶解したのち、砂型に流し込んで作製した。冷却後、砂型から硬質磁性材料を取り出し、湯口部分の除去およびバリの除去が必要な状態であったため、それを目的とした粗加工を行った。その後、実施例1と同様の条件で熱処理(溶体化処理、磁場中熱処理、時効処理)を行って、鉄−クロム−コバルト系硬質磁性材料を得た。
この硬質磁性材料(鋳造磁石)について実施例1と同様に欠陥率の測定、衝撃強度特性の評価、磁気特性の評価、元素分析、SEM像・EDS面分析像取得および加工性評価を実施した。鋳造により作製した硬質磁性材料は、欠陥率0.66%、衝撃値は1.9J/cmであり、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものではないことが判った。一方、磁気特性は、残留磁束密度1.350[T]、保磁力49.5[kA/m]、最大エネルギー積47.8[kJ/m]、角型比0.72であった。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供しうる水準を十分に満たすものである。
取得したSEM像およびEDS面分析像を図2に示す。SEM像から、結晶粒界に点々と析出物が認められるとともに、金属組織内には最大径約5μmの四角形に近い形状の析出物が観察された。これらの析出物はEDS面分析像から、Tiの偏在によって形成されたTi濃化相であることが確認された。Ti濃化相からはCやNも検出されていることから、主にTiC等のチタン炭化物やTiN等のチタン窒化物の形でチタンを含むことが確認された。次いで、EDS面分析像から断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において4個確認され、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均1.23個であった。視野全体のTi濃化相を含む金属組織に存在するTi濃度は1.07mass%であり、Ti濃化相の中央(#002)におけるTi濃度は87.88mass%であり、母相の中央(#004)におけるTi濃度は0.14mass%であった。原材料中のTi濃度が0.55mass%であるのに対し視野全体の金属組織に存在するTi濃度が1.07%と高くなったのは、Ti濃化相が不均一に存在することによるものと考えられる。このような最大径の大きなTi濃化相が存在する金属組織を持つ鉄−クロム−コバルト系硬質磁性材料の場合、加工時に、欠陥を起点として割れや欠けが発生し易いため、磁石製品の製造に鋳造を用いた場合には歩留まりを向上することが困難であった。
比較例2
レーザ出力250W、レーザ走査速度2000mm/秒、エネルギー密度34.7J/mmとしたことを除いて実施例1と同様にして積層造形法により鉄−クロム−コバルト系合金からなる造形体を作製し、熱処理して鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料を得た。この硬質磁性材料(造形磁石)について実施例1と同様に欠陥率の測定、衝撃特性の評価、磁気特性の評価および元素分析、SEM像・EDS面分析像取得を実施した。欠陥率は1.04%、衝撃値は1.8J/cmであり、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものではないことが判った。また、磁気特性は、残留磁束密度1.267[T]、保磁力43.9[kA/m]、最大エネルギー積36.3[kJ/m]、角型比0.65であった。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供するには不十分である。取得したSEM像から欠陥率を除き実施例1の硬質磁性材料と同様の金属組織であることが確認できた。EDS面分析像からTiが組織全体に亘って微細かつ均一に存在することを確認した。次いで、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において確認されず、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均0個であった。しかし、磁気特性が不十分であったため加工性評価は省略した。
比較例3
レーザ出力300W、レーザ走査速度700mm/秒、走査ピッチ0.11mm、エネルギー密度97.4J/mmとしたことを除いて実施例1と同様にして積層造形法により鉄−クロム−コバルト系合金からなる造形体を作製し、熱処理して鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料を得た。この硬質磁性材料(造形磁石)について実施例1と同様に欠陥率の測定、衝撃強度特性の評価、磁気特性の評価、元素分析、SEM像・EDS面分析像取得および加工性評価を実施した。欠陥率は0.05%、衝撃値は2.1J/cmであり、加工時の割れや欠けを低減できる水準を十分に満たすものである。しかし、磁気特性は、残留磁束密度1.366[T]、保磁力44.3 [kA/m]、最大エネルギー積40.5[kJ/m]、角型比0.67であった。この磁気特性は鉄−クロム−コバルト系永久磁石として実用に供するには必ずしも十分ではない。但し、一部の用途では実用に供しうる場合がある。取得したSEM像から実施例1の硬質磁性材料と同様の金属組織であることが確認できた。EDS面分析像からTiが組織全体に亘って微細かつ均一に存在することを確認した。次いで、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数を測定した。その結果、最大径3μm以上のTi濃化相は90μm×120μm(面積10800μm)の視野3箇所の測定において確認されず、Ti濃化相の個数密度は10000μm当たり平均0個であった。硬質で脆性的なTiを含有した最大径3μm以上の濃化相が形成されずに結晶粒中にTiが微細かつ均一に存在しており、また欠陥率が低いことから、加工時の割れや欠けを低減し歩留まりを向上することができた。
Figure 2021042456
Figure 2021042456

Claims (3)

  1. チタンを含む鉄−クロム−コバルト系合金であって、欠陥率が0.5%以下、断面における最大径3μm以上のTi濃化相の個数密度が10000μm当たり平均1.0個未満であり、残留磁束密度1.300T以上、保磁力45.0kA/m以上、最大エネルギー積43.0kJ/m以上、かつ角型比0.70以上であることを特徴とする鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料。
  2. 前記請求項1の鉄−クロム−コバルト系硬質磁性材料を積層造形法で形成することを特徴とする鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料の製造方法。
  3. 積層造形時に照射するエネルギー密度が40J/mm以上60J/mm以下である請求項2に記載の鉄−クロム−コバルト系積層硬質磁性材料の製造方法。
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WO2022172995A1 (ja) * 2021-02-10 2022-08-18 日立金属株式会社 鉄-クロム-コバルト系合金磁石およびその製造方法

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