JP2021042154A - ビナフタレン骨格を有する化合物の製造方法 - Google Patents

ビナフタレン骨格を有する化合物の製造方法 Download PDF

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【課題】高純度かつ色相に優れるビナフタレン化合物を収率良く製造する方法を提供する。【解決手段】下記式(1)で表される化合物と芳香族ボロン酸類とを反応溶媒中、パラジウムをシリカに担持した粉末触媒および塩基の存在下で反応させる、反応後に活性炭処理をすることなく、光学特性に優れるビナフタレン化合物を製造する方法。(式中、R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、X1およびX2はハロゲン原子、L1およびL2は炭素数1〜12のアルキレン基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ビナフタレン骨格を有する化合物の製造方法に関する。
2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンなどのビナフタレン類を原料モノマーとするポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、エポキシなどの樹脂材料は、光学特性、耐熱性等に優れることから、近年、光学レンズや光学シートなどの新たな光学材料として注目されている。また、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−1,1’−ビナフタレンの6,6’位を置換した化合物は光学特性がさらに優れることが記載されている(先行文献1)。先行文献1には2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレンの合成方法が開示されている。該文献に記載の合成方法から得られた2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレンは、高純度であることが記されているが、反応後に活性炭処理による触媒除去が必要なため、生産効率が悪いことや生産収率が低いことに課題があった。
国際公開第2019/043060号
本発明は、反応後に活性炭処理をすることなく、高純度かつ色相に優れるビナフタレン化合物を収率良く製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
下記式(1)で表される化合物と芳香族ボロン酸類とを反応溶媒中、パラジウムをシリカに担持した粉末触媒および塩基の存在下で反応させ、式(2)で表される化合物を製造する方法。
Figure 2021042154
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、XおよびXはハロゲン原子、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
Figure 2021042154
(式中、R、R、L、L、j、k、m1、m2、n1、n2は上記式(1)と同様である。ArおよびArは炭素数が6〜14の置換基を有してもよい芳香族基である。)
《態様2》
芳香族ボロン酸類が下記式(3)または(4)である態様1に記載の製造方法。
Figure 2021042154
Figure 2021042154
(式中、Yは芳香族基、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。lは0、1または2であり、l=2の場合、Rは同一でもあるいは異なっていてもよい。)
《態様3》
上記式(3)および(4)の中のYがフェニル基またはナフチル基である態様1または2に記載の製造方法。
《態様4》
反応溶媒として、トルエンとエタノールの混合溶媒を使用する態様1〜3のいずれかに記載の製造方法。
《態様5》
トルエンとエタノールの混合溶媒中のエタノールの使用比率が、30〜90体積%である態様4に記載の製造方法。
《態様6》
下記式(2)で表される化合物0.5gをジメチルホルムアミド10mlに溶解させた溶液のAPHAが100以下である式(2)で表される化合物。
Figure 2021042154
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、ArおよびArは炭素数が6〜10の置換基を有してもよい芳香族基、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
《態様7》
式(2)で表される化合物中のパラジウム元素の含有量が10ppm以下である態様6に記載の化合物。
本発明によれば、反応後に活性炭処理をすることなく、ろ過のみで触媒の分離が可能なため、非常に効率良く、高純度かつ色相に優れるビナフタレン化合物を収率良く得ることができる。
《ビナフタレン化合物の製造方法》
本発明のビナフタレン化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物と芳香族ボロン酸類とを反応溶媒中、パラジウムをシリカに担持した粉末触媒および塩基の存在下で反応させ、式(2)で表される化合物を製造する方法である。
Figure 2021042154
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、XおよびXはハロゲン原子、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
Figure 2021042154
(式中、R、R、L、L、j、k、m1、m2、n1、n2は上記式(1)と同様である。ArおよびArは炭素数が6〜14の置換基を有してもよい芳香族基である。)
上記式(1)において、XおよびXはハロゲン原子であり、塩素原子または臭素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
上記式(1)および(2)において、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基を示し、水素原子、メチル基またはフェニル基が好ましい。
上記式(1)および(2)において、RおよびRで表される炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ナフチル基、アラルキル基などが例示できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基が好ましく、C1−4アルキル基がより好ましく、C1−3アルキル基がさらに好ましく、その中でメチル基またはエチル基が特に好ましい。
また、シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC5−8シクロアルキル基が好ましく、C5−6シクロアルキル基がより好ましい。
また、アリール基の具体例としては、フェニル基、アルキルフェニル基(モノまたはジメチルフェニル基、トリル基、2−メチルフェニル基、キシリル基など)などが好ましく、フェニル基がより好ましい。
また、アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基などが好ましく例示できる。
上記式(1)および(2)において、RおよびRの置換基数n1およびn2は、n1が0〜4であればよく、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、n2が0〜2であればよく、好ましくは0〜1である。なお、n1およびn2はそれぞれのナフタレン環において、同一または異なる数であってもよく、また、異なるナフタレン環において同一または異なる数であってもよい。また、置換基RおよびRは、前記と同じであり、同一のナフタレン環および異なるナフタレン環においてそれぞれ、同一または異なる置換基であってもよい。
上記式(1)および(2)において、LおよびLはそれぞれ独立に2価の連結基を示し、炭素数1〜12のアルキレン基であり、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。LおよびLはビナフタレン環において、同一のアルキレン基であってもよい。また、LおよびLは、異なるナフタレン環において、互いに同一又は異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
オキシアルキレン基(OL)および(OL)の数(付加モル数)jおよびkは、それぞれ0〜5の範囲から選択でき、下限は好ましくは0以上であり、上限は好ましくは4以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。特に好ましくは0または1であり、もっとも好ましくは1である。なお、jおよびkは、整数でも平均値であってもよく、異なるナフタレン環において、同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(1)および(2)において、m1およびm2はm1+m2≧1であればよく、例えば、m1は0〜4であればよく、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、m2は0〜2であればよく、好ましくは0〜1である。なお、m1およびm2は、それぞれのナフタレン環において同一または異なる数であってもよく、また異なるナフタレン環において同一または異なる数であってもよい。
上記式(2)において、ArおよびArは、それぞれ独立に炭素原子数6〜14の芳香族基を示し、フェニル基またはナフチル基が好ましい。ArおよびArはたがいに異なっていてもよく同一であってもよいが、通常、同一である。また、ArおよびArのそれぞれの結合位置はビナフタレン環の3位と3’位、4位と4’位、5位と5’位、6位と6’位、7位と7’位または8位と8’位であると好ましく、4位と4’位、6位と6’位または7位と7’位であるとより好ましく、4位と4’位または6位と6’位であるとさらに好ましく、6位と6’位であると特に好ましい。
以下に前記式(2)で表されるジオール成分の代表例を示すが、本発明の前記式(2)に用いられる原料としては、それらによって限定されるものではない。
ジフェニルビナフタレンタイプとしては、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−5,5’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−8,8’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン等が好ましく挙げられる。なかでも、下記式(2−a)に示す2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレンが好ましい。
ジナフチルビナフタレンタイプとしては、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−4,4’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−5,5’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−8,8’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−4,4’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−5,5’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−7,7’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−8,8’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレン等が好ましく挙げられる。なかでも、下記式(2−b)および(2−c)に示す下記式(2−b)2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジ−2−ナフチル−1,1’−ビナフタレンおよび下記式(2−c)2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジ−1−ナフチル−1,1’−ビナフタレンが好ましい。
Figure 2021042154
Figure 2021042154
Figure 2021042154
本発明で使用する芳香族ボロン酸類は、下記式(3)または(4)であると好ましい。
Figure 2021042154
Figure 2021042154
(式中、Yは芳香族基、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。lは0、1または2であり、l=2の場合、Rは同一でもあるいは異なっていてもよい。)
上記式(3)および(4)において、Yは前記式(2)において基Ar1およびAr2に対応しており、対応のボロン酸類が例示できる。また、前記式(3)および(4)において、基Rの好ましい態様は前記式(2)のRおよびRの好ましい態様と同様であり、lの好ましい態様は前記式(2)のn1およびn2の好ましい態様と同様である。
本発明で使用するボロン酸類の純度は、特に限定されないが、通常、95%以上が好ましく、より好ましくは99%以上である。なお、ボロン酸類は、市販品を用いてもよく、合成したものを使用してもよい。ボロン酸類を製造する方法としては、例えば特許文献(特開2002−47292号公報)に記載の方法、すなわち、フェニルグリニヤール試薬と非エーテル系芳香族溶剤に溶解されたホウ酸エステル類とを反応させる方法などが挙げられる。
原料として用いる前記式(3)で表される化合物の使用比率は、前記式(1)で表される化合物1モルに対して好ましくは2.0〜5.0モル、より好ましくは、2.05〜3.0モル、さらに好ましくは2.1〜2.5モルである。該ボロン酸類が2.0モル未満であると前記式(2)で表される生成物の収率が低くなることがある。また、5.0モルを超えると、製造コストが上がることがある。
また、前記式(4)で表される化合物の使用比率は、前記式(1)で表される化合物1モルに対して好ましくは0.6〜5モル、より好ましくは0.7〜3モル、さらに好ましくは0.7〜1モル程度であってもよい。該ボロン酸類が0.6モル未満であると前記式(2)で表される生成物の収率が低くなることがある。また、5モルを超えると、製造コストが上がることがある。
本発明で使用する塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸セシウム(CsCO)などの炭酸塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸カリウム(KPO)などのリン酸塩などの無機塩、トリエチルアミン類、ピリジン、モルホリン、キノリン、ピペリジン、アニリン類、テトラnブチルアンモニウムアセテートなどのアンモニウム塩などの有機塩などが挙げられる。なかでも、炭酸塩が好ましく用いられ、炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムが好ましい。このような塩基は、単独で用いてもよく、また、2種類以上併用して用いることもできる。
また、上述した塩基の使用量は特に限定されないが、ボロン酸類1モルに対して好ましくは1〜30当量、より好ましくは1〜10当量添加される。
本発明では、パラジウムをシリカに担持した粉末触媒(Pd/SiOで表されるパラジウム触媒)を使用する。触媒の使用量は特に限定されないが、前記式(1)で示される化合物1モルに対して、パラジウム原子換算で好ましくは1×10−4〜1×10−2モルであり、より好ましくは3×10−4〜5×10−3、さらに好ましくは5×10−4〜3×10−3である。パラジウム触媒の使用量が1×10−4モル未満の場合、反応時間が長くなったり、反応が完結しにくくなることがある。また、パラジウム触媒の使用量が1×10−2モルを超えると、ボロン酸類同士のホモカップリング反応(副反応)が起きたり、製造コストが上がることがある。
また、パラジウム触媒の添加方法は反応仕込み時に全量を一括添加してもよいし、反応中、適宜、分割添加してもよい。
本発明で使用する反応溶媒として、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール類を単独または併用して用いることができる。芳香族炭化水素系溶媒は高沸点溶媒であるため反応温度を高く設定できるし、アルコールを用いることで水との親和性がよく反応性が良好になるため好適に用いられる。このような溶媒は単独で用いてもよく、または2種以上を併用して用いることもできる。さらには、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性溶媒、o−ジクロロベンゼン等のハロベンゼン類も使用できる。このような溶媒も単独で用いても良く、また、2種以上併用して用いることもできる。本発明においては、トルエンまたはトルエンとエタノールの混合溶媒を用いることが好ましい。
前記反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、前記式(1)で示される化合物に対して好ましくは0.1〜100重量倍であり、より好ましくは0.5〜50重量倍であり、さらに好ましくは1〜20重量倍である。溶媒の使用量が0.1重量倍未満の場合、生成物が析出して撹拌が困難になる可能性がある。また、溶媒の使用量が100重量倍を超える場合、使用量に見合う効果がなく容積効率も悪化し製造コストが上がることがある。
本発明で使用する溶媒は、トルエンとエタノールとの混合溶媒であることが好ましく、トルエンとエタノールの混合溶媒中のエタノールの使用比率が30〜90体積%であるとより好ましく、40〜70体積%であるとさらに好ましい。エタノールの使用比率が30体積%より小さいと、反応時間が長くなったり、反応が完結しにくくなることがある。エタノールの使用比率が90体積%より大きいと、基質が溶解しないことやパラジウムが溶出しろ過のみで触媒の分離ができなくなることがある。
本発明において、反応温度は使用する原料、溶媒の種類により異なるが、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは70〜120℃である。反応は液体クロマトグラフィーなどの分析手段で追跡することができる。
反応終了後の反応混合物には、通常、生成した前記式(2)で表される化合物以外に、未反応のボロン酸類、塩基、触媒、副反応生成物などが含まれていることがある。そのため、慣用の方法、例えば、ろ過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて水溶性の複合体を形成させる方法など)によりボロン酸類を除去し、ろ過によりパラジウム化合物を除去したのち、再結晶により精製してもよい。
《ビナフタレン化合物》
本発明においては、下記式(2)で表される高純度で且つ色相に優れるビナフタレン化合物を得ることができる。
Figure 2021042154
(式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、ArおよびArは炭素数が6〜10の置換基を有してもよい芳香族基、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
、R、Ar、Ar、L、L、j、k、m1、m2、n1、n2の好ましい態様は、上述したものと同様である。
前記式(2)で表される化合物の純度は、80〜100%の広い範囲から選択でき、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上である。本発明の純度について、%は高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定における溶媒を除いた面積百分率値である。
前記式(2)で表される化合物の溶液APHAは100以下であると好ましく、90以下であるとより好ましく、80以下であるとさらに好ましく、70以下であると特に好ましく、50以下であるともっとも好ましい。溶液APHAが100より高いと光学用樹脂原料として色相に劣る場合がある。
本発明において、溶液APHAは、式(2)で表される化合物0.5gをジメチルホルムアミド10mlに溶解させた溶液を、JIS K0071−1に定めるAPHA標準液と目視で比較することで測定する。もしくは、測色計を用いて測定試料の透過測定を行うことにより測定する。
前記式(2)で表される化合物中のパラジウム元素の含有量は10ppm以下であると好ましく、8ppm以下であるとより好ましく、5ppm以下であるとよりいっそう好ましい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のように行った。
(1)高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定
日立製高速液体クロマトグラフL−2350を用い、表1の測定条件で測定した。実施例中、特に断らない限り%はHPLCにおける溶媒を除いて補正した面積百分率値である。
Figure 2021042154
(2)APHA測定
測定試料0.5gをジメチルホルムアミド10mlに溶解させた溶液をφ25mmの試験管に入れ、日本電色製工業(株)製TZ6000を用いて測定した。
(3)パラジウム(以下、Pdと省略することがある)量測定
実施例で得られた化合物を下記の装置にて測定した。
使用機器:Agilent Technologies
装置:Agilent5100 ICP−OES
[実施例1]
撹拌機、冷却器、温度計を備え付けたフラスコに2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジブロモ−1,1’−ビナフタレン(以下、BN2EO−6Brと略記することがある)50.00g(0.094モル)、フェニルボロン酸25.20g(0.207モル)、2M炭酸カリウム水溶液114ml、トルエン250ml、エタノール250ml、エヌ・イーケムキャット社製PL触媒(パラジウムをシリカに担持した粉末触媒)715mgを仕込み、80℃で12時間反応した。反応終了後、反応液をろ過しPL触媒を取り除き、ろ液を1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、中性になるまで蒸留水で洗浄した。その後、メチルエチルケトンで再結晶し、回収した結晶を90℃で7時間真空乾燥し、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−6,6’−ジフェニル−1,1’−ビナフタレン(以下、BN2EO−6Phと略記することがある)の白色結晶を46g得た。(収率:94%、純度:98.7%、APHA:50、Pd:0.1ppm)。
[実施例2]
撹拌機、冷却器、温度計を備え付けたフラスコに6,6’−ジブロモ−1,1’−ビ−2−ナフトール(以下、BN−6Brと略記することがある)50.00g(0.113モル)、フェニルボロン酸30.20g(0.248モル)、2M炭酸カリウム水溶液136ml、トルエン300ml、エタノール300ml、エヌ・イーケムキャット社製PL触媒715mgを仕込み、80℃で15時間反応した。反応終了後、反応液をろ過しPL触媒を取り除き、ろ液を1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、中性になるまで蒸留水で洗浄した。その後、トルエンで再結晶し、回収した結晶を90℃で7時間真空乾燥し、6,6’−ジフェニル−1,1’−ビ−2−ナフトール(以下、BN−6Phと略記することがある)の白色結晶を48g得た。(収率:97%、純度:98.1%、APHA:90、Pd:2ppm)。
[比較例1]
PL触媒を使用せず、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.53gに変更した以外は実施例1と同様の方法で反応した。反応終了後の処理も実施例1と同様の方法で行いBN2EO−6Phの黄色結晶を43.1g得た。(収率:91%、純度:98.5%、APHA:>500、Pd:70ppm)。
本発明により、高純度かつ色相に優れるビナフタレン化合物が収率良く得られるため、光学用樹脂原料として好適に使用される。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される化合物と芳香族ボロン酸類とを反応溶媒中、パラジウムをシリカに担持した粉末触媒および塩基の存在下で反応させ、式(2)で表される化合物を製造する方法。
    Figure 2021042154
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、XおよびXはハロゲン原子、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
    Figure 2021042154
    (式中、R、R、L、L、j、k、m1、m2、n1、n2は上記式(1)と同様である。ArおよびArは炭素数が6〜10の置換基を有してもよい芳香族基である。)
  2. 芳香族ボロン酸類が下記式(3)または(4)である請求項1に記載の製造方法。
    Figure 2021042154
    Figure 2021042154
    (式中、Yは芳香族基、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を示す。lは0、1または2であり、l=2の場合、Rは同一でもあるいは異なっていてもよい。)
  3. 上記式(3)および(4)の中のYがフェニル基またはナフチル基である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 反応溶媒として、トルエンとエタノールの混合溶媒を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. トルエンとエタノールの混合溶媒中のエタノールの使用比率が、30〜90体積%である請求項4に記載の製造方法。
  6. 下記式(2)で表される化合物0.5gをジメチルホルムアミド10mlに溶解させた溶液のAPHAが100以下である式(2)で表される化合物。
    Figure 2021042154
    (式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の芳香族基を含んでいてもよい炭化水素基、ArおよびArは炭素数が6〜10の置換基を有してもよい芳香族基、LおよびLは炭素数1〜12のアルキレン基、jおよびkはそれぞれ独立に0〜5の整数、m1、n1はそれぞれ独立に0〜4の整数を示し、m2、n2はそれぞれ独立に0〜2の整数を示し、m1+m2≧1である。ただし、m1+n1は4以下の整数であり、m2+n2は2以下の整数である。)
  7. 式(2)で表される化合物中のパラジウム元素の含有量が10ppm以下である請求項6に記載の化合物。
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