JP2021040623A - 容器詰め乳成分入り飲料 - Google Patents

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恭輔 中村
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Abstract

【課題】ペットボトル等の容器詰め乳成分入り飲料を長期間保存した場合であっても、沈殿物の発生を抑制し、壁面や飲み口への沈殿物の付着を抑制できる飲料の提供。【解決手段】(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含み、該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、容器詰め乳成分入り飲料。さらに、シュウ酸の含有量が、0.00075〜0.015質量%である、容器詰め乳成分入り飲料。【選択図】図1

Description

本発明は容器詰め乳成分入り茶飲料又は野菜飲料に関する。更に詳しくは、乳成分と、茶由来成分と又は野菜成分とが共存することにより生じる沈殿物を抑制できる飲料、その生成抑制方法、そのような飲料の製造方法に関する。
ペットボトルや紙パック等の容器に充填された乳成分入りの茶飲料や野菜飲料は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、自動販売機等において、国内外で広く販売されている。このような容器詰め乳製品入り飲料は、工場での充填工程を経たのち、各地に出荷され、運送され、陳列等される各流通段階で時間を要し、消費者の手に届くまでに出荷から数日〜数週間かかってしまう。また、各流通段階では、商品の種類や、気候等によって、高温状態や低温状態等の様々な条件下で保管されることとなる。
例えば、ペットボトル詰めのミルクティーや乳成分入り野菜飲料では、経時的に沈殿物を生成し、陳列の際や消費者が手に取った際に、沈殿物が容器の底や側面、飲み口のノズル部分に沈殿物が付着していることを目にすることがある。更に、沈殿物が生じた状態で当該飲料を飲んだ場合、消費者は、沈殿物により舌や喉へ違和感を覚えることや、沈殿物の生成に伴う飲料組成の変化による風味の変化を感じることがあり得る。このように、容器詰め乳成分入り飲料における保存安定性は、単に商品の外観を損なうだけではなく、商品の風味への影響もあり、重大な問題である。
このような容器詰め乳成分入り飲料の沈殿物の問題を解決するために、これまでに、タンパク質とカテキン類に由来する沈殿に着目した技術や、タンニンとカフェインとの結合による不溶性成分の析出(クリームダウン)に着目した技術が開発されている。
例えば、特許文献1に記載の容器詰乳含有焙じ茶飲料では、タンパク質とカテキン類に由来する沈殿に着目して、カテキン類、没食子酸、タンパク質、及び脂質の含有量、並びに、タンパク質の含有量に対するカテキン類の含有量の比率を調整することにより、タンパク質とカテキン類に由来する沈殿を抑制する技術が提案されている。
また、特許文献2に記載の茶類抽出物では、タンニンがカフェインや蛋白質、多糖類と不溶化し、凝集や沈澱を発生して視覚的に商品価値を損なったり、渋み成分が沈澱したりことに着目して、茶類抽出液にカラギーナンを添加することにより、不溶性成分の生成を抑える技術が提案されている。
特開2016−256272号公報 特開2000−316475号公報
乳成分入り飲料の沈殿物の問題は、様々な原因が予想され、特許文献1及び2のような技術が開発されているが、未だに十分な解決には至っていない。乳成分入り飲料の沈殿物について、本発明者らが更に原因を探求したところ、新たに、原料由来のシュウ酸と、乳由来のカルシウムとが結合してできるシュウ酸カルシウムに原因があることが予測された。
そこで、本発明は、飲食品の分野で安全に用いられ、乳成分入り飲料の沈殿物を抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含み、無機酸塩及び/又は有機酸の含有量を調整した容器詰め乳成分入り飲料であれば、効果的に沈殿物を抑制できることを見出し、かかる知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を含む;
[1]
(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに
(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含み、
該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
容器詰め乳成分入り飲料。
[2]
シュウ酸の含有量が、0.00075〜0.015質量%である、[1]に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
[3]
前記シュウ酸に対する前記無機酸塩及び/又は有機酸の含有比率が、シュウ酸1質量部に対して、0.5〜400質量部である、[2]に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
[4]
前記茶抽出物が、紅茶抽出物、緑茶抽出物、抹茶抽出物、ほうじ茶抽出物、ジャスミン茶抽出物、玄米茶抽出物、及びプーアル茶抽出物からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれか1に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
[5]
前記無機酸塩及び/又は有機酸が、リン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれか1に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
[6]
更に、乳化剤を含有する、[1]〜[5]のいずれか1に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
また、本発明は、下記に掲げる容器詰め乳成分入り飲料に用いられるための製剤を提供する。
[7]
無機酸塩及び/又は有機酸、並びに、乳化剤を含有する、容器詰め乳成分入り飲料に用いられるための製剤。
また、本発明は、下記に掲げる容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法を提供する。
[8]
乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法。
また、本発明は、下記に掲げるシュウ酸カルシウムの生成が抑制された容器詰め乳成分入り飲料の製造方法を提供する。
[9]
乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
シュウ酸カルシウムの生成が抑制された容器詰め乳成分入り飲料の製造方法。
本発明によれば、乳成分入り飲料の沈殿物として新たに見出されたシュウ酸カルシウムの生成を、効果的に抑制し、飲料を充填する容器への付着を低減させることが可能となる。
試験例1における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例2における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例3における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例4における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例5における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例6における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例7−1における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例7−2における、容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。 試験例8における、容器詰め乳成分入り野菜飲料における沈殿物の抑制試験の結果を示した写真像図である。
本発明は容器詰め乳成分入り飲料に関する。以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[容器詰め乳成分入り飲料]
本発明の容器詰め乳成分入り飲料は、(A)成分として、茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)成分として、無機酸塩及び/又は有機酸を含有する。
[(A)成分]
(茶抽出物)
本明細書において、茶抽出物は、チャノキ(Camellia sinensis)の葉、茎等を主原料として製造された茶原料から抽出されたものであればよく、抽出量や抽出方法について限定される物でなく、公知の方法にて調製される。
ここで、茶原料とは、抽出に供する茶葉等をいい、乾燥品であることが好ましい。茶原料は、一般的な乾燥品であれば特に水分含量は限定されないが、例えば、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、12質量%以下が更に好ましく、10質量%以下が特に好ましく、8質量%以下が最も好ましい。
茶原料としては、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、後発酵茶等の何れであってもよく、紅茶、緑茶、抹茶、ほうじ茶、ジャスミン茶、玉露、煎茶、番茶、ウーロン茶、紅茶等が例示できる。茶原料は、これらのうち二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
茶原料としては、荒茶であってもよく、切断、破砕、細砕、粉砕等の処理を行った茶原料であってもよい。
また、茶原料には、主原料となるチャノキ(Camellia sinensis)の葉、茎等に加えて、他の原料を含有していてもよい。他の原料としては、大麦、小麦、ライ麦、ハトムギ、エン麦、イネ、トウモロコシ、モロコシ、アワ、ヒエ、キビ、ゴマ、紅花、アシタバ、陳皮、グァバ、アロエ、ギムネマ、杜仲、ドクダミ、チコリ、月見草、ビワ、アマランサス、キヌア、ナンバンキビ、モズク、甘草、ハス、シソ、マツ、オオバコ、ローズマリー、桑、ケツメイシ、大豆、昆布、霊芝、クマザサ、柿、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、コーヒー等が挙げられる。これらの他の原料を1種又は併用して配合することにより、種々のミックス茶を調製するための茶抽出物を得ることが可能となる。また、これらの他の原料は、主原料による抽出物とは別に抽出物を得た後、それぞれの抽出物を混合して飲料を調製してもよい。
茶抽出物は、上記の茶原料に水性溶媒を添加し、茶由来成分を抽出することで得られる。
抽出方法は、水性溶媒を用いて、茶原料から茶由来成分を抽出できれば特に限定されない。
水性溶媒としては、水(例えば、硬水、軟水、イオン交換水、及び、天然水)が好ましく、無機塩、エタノール等を含有する溶媒であってもよい。水性溶媒と茶原料との比率は特に限定されないが、例えば、水性溶媒が水の場合は、その量は、茶原料の1〜100倍量(質量)である。
抽出温度は茶由来成分が抽出できる温度であれば、加熱抽出、常温抽出、低温抽出であっても特に限定されない。抽出温度は、例えば、4〜110℃が好ましく、20〜105℃がより好ましく、50〜100℃が更に好ましく、60〜90℃が最も好ましい。抽出時間は、例えば、1分間〜12時間が好ましく、2分間〜6時間がより好ましく、5分間〜3時間が更に好ましい。
抽出は、常圧条件下、加圧条件下の何れであってもよい。抽出後に固液分離してもよく、不織布や金属フィルター等によるろ過、遠心分離等により茶原料を含む混合物から茶抽出物を回収できる。市販の茶抽出物を使用してもよく、抽出後に濃縮工程を行った濃縮エキスを使用してもよい。
茶抽出物は、直接茶原料から抽出した抽出物でもよいし、一旦通常の茶抽出物を得た後、その抽出物を常法にしたがって、濃縮して濃縮エキス化したもの(茶抽出物の濃縮エキス)や噴霧乾燥などして得た乾燥茶粉末(茶パウダー)を水性溶媒に再溶解して用いてもよい。抽出にあたっては、アスコルビン酸添加など、通常の飲料製造の際に使用する方法はいずれも使用可能である。また、茶抽出物の濃縮エキスや茶パウダーは、食品原料として販売されているものを利用してもよい。
上記により得られる茶抽出物は、特に限定されないが、沈殿物の原因となるシュウ酸の含有量が多く、本発明の効果が顕著に奏される観点から、紅茶抽出物、緑茶抽出物、抹茶抽出物、ほうじ茶抽出物、ジャスミン茶抽出物、玄米茶抽出物、及びプーアル茶抽出物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、紅茶抽出物、緑茶抽出物、及び抹茶抽出物からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、紅茶抽出物であることが更に好ましい。
本明細書において、紅茶抽出物は、紅茶葉を抽出処理に付することにより得られる、抽出物を意味する。本発明に用いられる紅茶抽出物は、紅茶葉からの抽出液それ自体や、その加工品類(例えば、濃縮液体エキス、粉末エキスなど)などが挙げられ、従来、紅茶飲料の製造に用いられている紅茶抽出原料であれば、特に限定されない。紅茶抽出物は、本発明の茶飲料全体の香味設計に合せて適宜選択することができる。
ここで、紅茶葉とは、チャノキの芽、葉、又は、茎を萎凋させ、揉捻を行い、発酵させた後に乾燥させたものを意味する。
紅茶葉は、採取する茶期や、茶葉の形状、産地、品種や種類、及び、等級などは特に限定されず、一般に飲用で市販されている乾燥茶葉を使用することができる。茶葉の種類は、好ましくは、スリランカ産茶葉(例えば、ウバ、ディンブラ、キャンディ、ラトナプラ、ギャル、ルフナ)、インド産茶葉(例えば、アッサム、ダージリン、ニルギリ)、ケニア、キーマン、ジャワであり、より好ましくは、ダージリン、ディンブラである。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
容器詰め乳成分入り飲料には、茶由来の粒子を含有していてもよい。このような粒子は、茶に由来し、0.1〜300μm程度の微粒子である。茶抽出物を調製する際に、茶原料から流出するものであってもよく、別途茶原料の粉砕物を添加してもよい。茶由来の粒子の含有量は、飲料の商品形態により適宜設定され、特に限定されない。
容器詰め乳成分入り飲料における茶抽出物のBrix値は、特に限定されないが、本発明の効果を奏する観点から、好ましくは0.1〜2であり、より好ましくは0.12〜1.9であり、更に好ましくは0.15〜1.8である。
容器詰め乳成分入り飲料における茶抽出物のpHは、特に限定されないが、本発明の効果を奏する観点から、好ましくは3.5〜6であり、より好ましくは3.8〜5.5であり、更に好ましくは4〜5である。
容器詰め乳成分入り飲料における茶抽出物の含有量は、茶抽出物の種類や、他の原料の種類や含有量等により適宜設定され限定はされないが、例えば、茶飲料全量に対して、固形分含量として、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.005〜4質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%、特に好ましくは0.05〜2質量%、最も好ましくは0.1〜1質量%である。
(野菜含有成分)
本明細書において、野菜含有成分とは、野菜汁などの野菜由来原料を含有する成分をいう。限定はされないが、野菜含有成分には、例えば、野菜汁、野菜果汁混合汁等が挙げられる。
野菜汁は、公知の製法で得られるものであれば限定はされないが、例えば、野菜を搾汁することにより得られる成分が挙げられる。また、野菜果汁混合汁は、上記野菜汁と果汁とが混合されているものをいう。例えば、飲料形態において、野菜汁と果汁とが共存していれば、原料において野菜果汁混合汁を用いていることを示している。
野菜汁の原料となる野菜は、野菜ジュース等で用いられるものであれば限定はされないが、例えば、ほうれん草、たけのこ、サツマイモ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー、茄子、ピーナッツ、大根、小松菜、チンゲン菜、明日葉、大麦若葉、春菊、白菜、カラシ菜、サラダ菜、ニンジン、タマネギ、カブ大根、キャベツ、芽キャベツ、芽キャベツの葉、セロリ、ピーマン、アスパラガス、甘藷、馬鈴薯、トマト、モロヘイヤ、パプリカ、クレソン、パセリ、セロリ、三つ葉、ラディッシュ、ケール、紫蘇、インゲン、カボチャ、牛蒡、ネギ、生姜、大蒜、ニラ、高菜、トウモロコシ、さやえんどう、グリーンピース、インゲン豆、オクラ、かぶ、きゅうり、コールラビ、ウリ、ズッキーニ、へちま、もやし、各種スプラウト類等が挙げられる。野菜汁の原料として、上記野菜を1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。原料となる野菜にシュウ酸が含有されている観点から、限定はされないが、ほうれん草、たけのこ、サツマイモ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー、茄子、ピーナッツ、大根、小松菜、チンゲン菜、明日葉、大麦若葉、春菊、白菜、カラシ菜、及び、サラダ菜からなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明において、飲料には果汁が含まれていてもよい。本明細書において、果汁とは、果実を搾汁することにより得られるものをいう。
果汁の原料となる果実は、野菜ジュース、果汁入り飲料、フルーツジュース等で用いられるものであれば限定はされないが、例えば、柑橘類(オレンジ、みかん、ネーブル、ポンカン、レモン、グレープフルーツ、ライム、ハッサク、イヨカン、ユズ、カムカム、シイクワシャー、かぼす、マンダリン、タンジェリン、テンプルオレンジ、タンジェロ、カラマンシー等)、いちご、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリー、カシス、さくらんぼ、リンゴ、ブドウ、ザクロ、キウイ、マスカット、モモ、パイナップル、グアバ、バナナ、パッションフルーツ、マンゴー、アセロラ、プルーン、パパイヤ、パッションフルーツ、ウメ、ナシ、アンズ、ライチ、メロン、スイカ、西洋ナシ、柿、びわ、イチジク、スモモ類等が挙げられる。果汁の原料として、上記果実を1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。原料となる果実にシュウ酸が含有されている観点から、限定はされないが、バナナ、キウイ、パイナップル、及び、ブドウからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましい
限定はされないが、野菜汁又は果汁は、例えば、必要により洗浄、殺菌、剥皮、皮や種子等の除去、プランチング、破砕、裏ごし等の前処理を行った原料となる野菜又は果実を、油圧プレス機、ローラー圧搾機、インライン搾汁機等を用いて圧搾し搾汁する方法、パルパー・フィニッシャー等を用いて破砕し搾汁する方法、並びにクラッシャー等を用いて破砕した後、エクストラクター等を用いて搾汁する方法等が挙げられる。
さらに、これらの方法に従って圧搾(搾汁)されたものを、所望により、ペクチナーゼ、セルラーゼ等の酵素処理、ジューサーに供したり、殺菌を行ってもよい。
野菜汁又は果汁は濃縮されていてもよく、濃縮方法としては、例えば、通常の加熱による濃縮、減圧濃縮、低温濃縮、真空濃縮、凍結濃縮、及び逆浸透濃縮等が挙げられる。
野菜汁又は果汁の性状は、特に限定されず、例えば、液状、ゲル状、ペースト状(擬固体状)、半固体状、固体状等が挙げられる。野菜汁又は果汁には、必要に応じて、さらに他の成分(例えば、少量の食塩や香辛料、食品添加物等)を含有していてもよい。
野菜汁又は果汁としては、市販品を用いることも可能である。市販品としては、ストレート野菜汁、ミックス野菜汁、ストレートジュース、ストレート果汁、濃縮還元果汁、ペースト、ピューレ、濃縮ピューレ等が挙げられる。
容器詰め乳成分入り飲料における野菜含有成分のBrix値は、特に限定されないが、本発明の効果を奏する観点から、好ましくは3〜60であり、より好ましくは5〜30であり、更に好ましくは8〜15である。
容器詰め乳成分入り飲料における野菜含有成分のpHは、特に限定されないが、本発明の効果を奏する観点から、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2.5〜5.5であり、更に好ましくは3〜5である。
容器詰め乳成分入り飲料における野菜含有成分の含有量は、野菜の種類や、他の原料の種類や含有量等により適宜設定され限定はされないが、例えば、飲料全量に対して、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜75質量%、更に好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは15〜65質量%、最も好ましくは20〜60質量%である。
[(B)無機酸塩及び/又は有機酸]
容器詰め乳成分入り飲料に含有される無機酸塩としては、飲食品に適用が可能であり、シュウ酸に起因する沈殿物を抑制できる成分であれば特に限定はされない。無機酸塩としては、例えば、リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、硝酸、又は硫酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、若しくはアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、無機酸塩は、リン酸塩及び/又は縮合リン酸塩(重合リン酸塩)が好ましく、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、及びメタリン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、リン酸水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく、ピロリン酸四ナトリウム及び/又はトリポリリン酸ナトリウムがより更に好ましい。
容器詰め乳成分入り飲料に含有される有機酸としては、飲食品に適用が可能であり、シュウ酸に起因する沈殿物を抑制できる成分であれば特に限定はされない。有機酸としては、例えば、フィチン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、コハク酸、フマル酸、酢酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸又はエリソルビン酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、有機酸は、フィチン酸が好ましい。
無機酸塩及び/又は有機酸の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、容器詰め乳成分入り飲料全量に対して、0.01〜0.3質量%であり、好ましくは0.02〜0.3質量%、より好ましくは0.03〜0.3質量%、更に好ましくは0.04〜0.3質量%、特に好ましくは0.05〜0.3質量%である。別の実施態様において、無機酸塩及び/又は有機酸の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点と、無機酸塩及び有機酸自体が有する風味が飲料に与える影響の観点から、容器詰め乳成分入り飲料全量に対して、好ましくは0.02〜0.2質量%、より好ましくは0.03〜0.2質量%、更に好ましくは0.04〜0.15質量%、特に好ましくは0.05〜0.15質量%である。
容器詰め乳成分入り飲料の沈殿物は、茶、野菜、果実由来のシュウ酸と、乳由来のカルシウムとが結合してできるシュウ酸カルシウムが原因である可能性が新たに見いだされた。本発明においては、無機酸塩及び/又は有機酸を適量共存させることにより、このような沈殿物を抑制することが可能となる。よって、本発明の容器詰め乳成分入り飲料は、シュウ酸カルシウムの生成(による沈殿)が抑制されてなる。
容器詰め乳成分入り飲料におけるシュウ酸の含有量は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、例えば、0.00075〜0.015質量%であることが好ましく、0.001〜0.01質量%であることがより好ましく、0.002〜0.009質量%であることが更に好ましい。
容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸含有量は、公知の方法によって測定でき、その測定方法は限定されないが、一例としては、後述の実施例に記載の比色法により測定される。
容器詰め乳成分入り飲料におけるシュウ酸に対する無機酸塩及び/又は有機酸の含有比率は、特に制限されないが、例えば、シュウ酸1質量部に対して、0.5〜400質量部であることが好ましく、0.8〜200質量部であることがより好ましく、1〜100質量部であることが更に好ましい。
[乳成分]
容器詰め乳成分入り飲料に含有される乳成分は、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されない。例えば、生乳又はその加工品(例えば、濃厚牛乳、低脂肪乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全脂粉乳、調製粉乳、脱脂粉乳、練乳、発酵乳、クリーム、チーズ、バター、ホエイパウダー、バターミルクパウダー等)が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明の課題が顕著に生じる観点から、生乳又はその加工品が好ましく用いられ、生乳の加工品がより好ましく用いられ、牛乳、低脂肪乳、及び、濃縮乳からなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましく用いられる。
乳成分の含有量は、茶原料や野菜含有成分の種類や含有量、他の成分の種類や含有量等により適宜設定され、特に制限されない。乳成分の含有量は、例えば、無脂乳固形分換算で0.4〜10質量%が好ましく、0.5〜9.5質量%がより好ましく、0.6〜9質量%が更に好ましい。
容器詰め乳成分入り飲料におけるカルシウムの含有量は、シュウ酸カルシウムの生成(沈殿)を生じる量であれば特に制限されないが、例えば、0.0005〜0.5質量%であることが好ましく、0.001〜0.3質量%であることがより好ましく、0.005〜0.1質量%であることが更に好ましい。
容器詰め乳成分入り飲料におけるカルシウムに対する無機酸塩及び/又は有機酸の含有比率は、特に制限されないが、例えば、カルシウム1質量部に対して、0.5〜400質量部であることが好ましく、0.8〜200質量部であることがより好ましく、1〜100質量部であることが更に好ましい。
[乳化剤]
容器詰め乳成分入り飲料は、乳化剤を更に含有することが好ましい。乳化剤としては、飲食品に利用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ユッカ抽出物、サポニン、レシチン、ポリソルベート、カゼインナトリウム、アラビアガム、ガティガム、オクテニルコハク酸化澱粉等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの乳化剤のなかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
乳化剤の含有量は、茶原料の種類や含有量、乳成分、他の成分の種類や含有量等により適宜設定され、特に制限されない。乳化剤の含有量は、例えば、0.005〜0.3質量%が好ましく、0.01〜0.15質量%がより好ましく、0.03〜0.1質量%が更に好ましい。
[他の成分]
容器詰め乳成分入り飲料に用いられる各種成分として、上記以外にも、例えば、甘味料、香料、着色料、pH調製剤、可食性金属塩、賦形剤、アミノ酸、ビタミン類、ミネラル、抗酸化剤、保存料、抗菌剤、静菌剤、植物抽出物、果汁等が挙げられる。
甘味料の種類は、特に限定されないが、例えば、糖類(単糖、二糖、三糖等)、糖アルコール(キシリトール、エリスリトール等)、高甘味度甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア抽出物、ネオテーム、ソーマチン等)等が挙げられる。
容器詰め乳成分入り飲料のpHは、特に制限されないが、本発明の効果を顕著に奏する観点から、好ましくは6〜8、より好ましくは6〜7、更に好ましくは6.1〜6.9、特に好ましくは6.5〜6.8である。
pH調製剤の種類は、本発明の効果を奏する限り、特に限定されないが、例えば、公知のpH調整剤を1種以上使用することにより適宜調整することが可能である。
[容器]
上述した乳成分入り茶飲料に用いられる容器は、特に制限されず、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、ガラス瓶、紙容器、缶容器(アルミ缶、スチール缶等)等が用いられる。沈殿物の抑制効果が目視しやすい観点から、透明容器又は半透明容器であることが好ましく、PETボトル及び/又はガラス瓶であることがより好ましく、PETボトルが更に好ましい。
容器の容量は特に限定されないが、内容量が多く、本発明の効果が顕著に奏されることにより外観に与える影響が大きい観点から、500〜2000mLとすることが好ましい。
[容器詰め乳成分入り飲料に用いられるための製剤]
また、本発明は、無機酸塩及び/又は有機酸、並びに、乳化剤を含有する、容器詰め乳成分入り飲料に用いられるための製剤に関する。
上述の[容器詰め乳成分入り飲料]の項目で記載した、無機酸塩及び/又は有機酸、並びに、乳化剤を含有する製剤を、容器詰め乳成分入り飲料に用いることにより、茶、野菜、又は、果実由来のシュウ酸と、乳由来のカルシウムとが結合してできるシュウ酸カルシウムの容器への付着を抑制でき、外観に優れた飲料を提供することが可能となる。
無機酸塩及び/又は有機酸、乳化剤、その他の成分等の種類や含有量等は、上述の[容器詰め乳成分入り飲料]の項目の記載に準じる。
[容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法]
また、本発明は、乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法に関する。
茶抽出物、野菜含有成分、無機酸塩及び/又は有機酸、その他の成分やそれらの含有量等は、上述の[容器詰め乳成分入り飲料]の項目の記載に準じる。
当該方法における各成分の混合工程、均質化工程、及び、加熱殺菌工程等の方法及び条件は、公知の方法により適宜選択することが可能であり、特に限定されない。
均質化工程の方法及び条件としては、例えば、4〜30MPa・sでの高圧ホモジナイザー処理が挙げられる。
加熱殺菌工程の方法及び条件としては、例えば、110〜130℃で2〜60分間のレトルト殺菌、及び120〜150℃で2〜60秒間のUHT殺菌、低温殺菌、HTST殺菌等が挙げられる。加熱殺菌工程は容器への充填前であっても充填後であってもよい。
[シュウ酸カルシウムの生成が抑制された容器詰め乳成分入り飲料の製造方法]
また、本発明は、乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
シュウ酸カルシウムの生成が抑制された容器詰め乳成分入り飲料の製造方法に関する。
茶抽出物、野菜含有成分、無機酸塩及び/又は有機酸、その他の成分やそれらの含有量等は、上述の[容器詰め乳成分入り飲料]の項目の記載に準じる。
容器詰め乳成分入り飲料の製造方法における各種工程については、上述の[容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法]の項目の記載に準じる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
[試験例1.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験1]
表1の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り茶飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。
(紅茶抽出物の調製)
紅茶葉(TM−2)に約30倍の熱湯(95℃)を加え、5分間浸漬抽出した後、ろ紙にてろ過を行い20℃以下に冷却したものを紅茶抽出物とした。紅茶抽出物のBrix値は1.6、pHは4.81であった。
(乳化剤溶液の調製)
ショ糖脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルの1質量部に対して、20質量部のイオン交換水で80℃にて10分間撹拌溶解後、冷却して、乳化剤溶液を調製した。
(容器詰め乳成分入り茶飲料の調製)
1)紅茶抽出物、砂糖、乳化剤溶液、牛乳、塩類(表2に別記)、L−アスコルビン酸Na、重曹を混合した。
2)上記1)をイオン交換水で全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
3)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
(試験方法)
ペットボトル容器詰め乳成分入り茶飲料を縦置きにして、37℃、2週間後の沈澱物の生成を目視にて判定した。
(評価方法)
「−」を沈殿物無しとして、
沈殿物が少ない − < −↑ < ± < + < ++ < +++ 沈殿物が多いの順で、
6段階評価を行った。結果を表2及び図1に示す。
表2及び図1に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例1−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩を添加した各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。
[試験例2.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験2]
試験方法において、60℃、2週間後の沈澱物の生成を判定したこと、及び、塩類の添加量を表3の記載に従ったことを除いて、試験例1と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表3及び図2に示す。
表3及び図2に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例2−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩を添加した各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。
[試験例3.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験3]
図3の記載に従い、塩類に代えて、有機酸としてフィチン酸を用いたこと、及び、37℃、4週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表4及び図3に示す。
表4及び図3に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例3−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、有機酸を添加した各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。
[試験例4.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験4]
表5の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り茶飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。
(紅茶抽出物の調製)
紅茶葉(TM−2)に、約30倍の熱湯(95℃)を加え、5分間浸漬抽出した後、ろ紙にてろ過を行い20℃以下に冷却したものを紅茶抽出物とした。紅茶抽出物のBrix値は1.6、pHは4.79であった。
(乳化剤溶液の調製)
ショ糖脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルの1質量部に対して、20質量部のイオン交換水で80℃にて10分間撹拌溶解後、冷却して、乳化剤溶液を調製した。
(容器詰め乳成分入り茶飲料の調製)
1)紅茶抽出物、砂糖、乳化剤溶液、牛乳、塩類(図4に別記)、L−アスコルビン酸Naを混合した。
2)上記1)をイオン交換水にて全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
3)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
試験方法は、60℃、2週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1の試験方法及び評価方法と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表6及び図4に示す。
表6及び図4に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例4−1(ブランク)、及び、無機酸塩の含有量が、0.01質量%未満の比較例4−2、比較例4−3では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。
[試験例5.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験5]
表7の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り茶飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。
紅茶抽出物の調製、及び、乳化剤溶液の調製は、試験例4と同じである。
(容器詰め乳成分入り茶飲料の調製)
1)紅茶抽出物、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、乳化剤溶液、脱脂粉乳、全粉乳、ピロリン酸4Naを混合した。
2)上記1)をイオン交換水にて全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
3)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
試験方法は、60℃、2週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1の試験方法及び評価方法と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表8及び図5に示す。
表8及び図5に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例5−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。試験例1や試験例4に対して、容器詰め乳成分入り茶飲料の処方変更を行った場合であっても、本発明の効果が同様に認められた。
[試験例6.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験6]
表9の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り茶飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。
紅茶抽出物の調製、及び、乳化剤溶液の調製は、試験例4と同じである。
(容器詰め乳成分入り茶飲料の調製)
1)紅茶抽出物、乳化剤溶液、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、クエン酸3Na、L−アスコルビン酸Na、ピロリン酸4Na、重曹を混合した。
2)上記1)をイオン交換水で全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
3)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
試験方法は、60℃、2週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1の試験方法及び評価方法と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表10及び図6に示す。
表10及び図6に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例6−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。試験例1、試験例4、試験例5に対して、容器詰め乳成分入り茶飲料の処方変更を行った場合であっても、本発明の効果が同様に認められた。
[試験例7−1.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験7−1]
表11の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り茶飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。
(紅茶抽出物の調製)
紅茶葉(TM−2)に、約30倍の熱湯(95℃)を加え、5分間浸漬抽出した後、ろ紙にてろ過を行い20℃以下に冷却したものを紅茶抽出物とした。紅茶抽出物のBrix値は1.7、pHは4.79であった。
(乳化剤溶液の調製)
ショ糖脂肪酸エステル、及び、グリセリン脂肪酸エステルの1質量部に対して、20質量部のイオン交換水で80℃にて10分間撹拌溶解後、冷却して、乳化剤溶液を調製した。
(容器詰め乳成分入り茶飲料の調製)
1)紅茶抽出物、砂糖、乳化剤溶液、牛乳、ピロリン酸4Na、重曹を混合した。
2)上記1)をイオン交換水にて全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
3)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
(飲料中に含まれる紅茶抽出物シュウ酸量)
使用した紅茶抽出物中に含まれるシュウ酸量より、飲料中のシュウ酸量を算出した。
紅茶抽出物のシュウ酸含量は「E−キット シュウ酸」(株式会社 J.K.インターナショナル社製)を使用し比色法によって測定した。
飲料中に含まれるシュウ酸量を表12に合わせて示す。
(飲料中に含まれるカルシウム量)
日本食品標準成分表2015年版(七訂)を参照し、牛乳100gあたりに含まれるカルシウム量は110mgとして、各飲料中に含まれるカルシウム量を算出した。
各飲料中に含まれるカルシウム量を表12に合わせて示す。
試験方法は、37℃、4週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1の試験方法及び評価方法と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表13及び図7に示す。
表13及び図7に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例7−1〜比較例7−6(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。実施例7−1〜7−9(シュウ酸量0.0044質量%)と、実施例7−10〜7−18(シュウ酸量0.0088質量%)とを比較した場合、容器詰め乳成分入り茶飲料中のシュウ酸量に比例して、無機酸塩の添加必要量が変化したことから、本発明の効果は、紅茶飲料中のシュウ酸量に影響を受けていることが新たに見出された。容器詰め乳成分入り茶飲料中では、シュウ酸が乳成分中のカルシウムと反応することにより、シュウ酸カルシウムとして沈殿物を生成させていることが示唆された。
[試験例7−2.容器詰め乳成分入り茶飲料における沈殿物抑制試験7−2]
60℃、4週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例7−1と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表14及び図8に示す。
表14及び図8に示す通り、紅茶抽出物に対して、無機酸塩及び/又は有機酸を添加しなかった比較例7−1〜比較例7−6(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた。一方、紅茶抽出物に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。試験例7の結果と同じ傾向であるが、実施例7−1〜7−9(シュウ酸量0.0044質量%)と、実施例7−10〜7−18(シュウ酸量0.0088質量%)とを比較した場合、容器詰め乳成分入り茶飲料中のシュウ酸量に比例して、無機酸塩及び/又は有機酸の添加必要量が変化したことから、本発明の効果は、茶飲料中のシュウ酸量に影響を受けていることが認められた。容器詰め乳成分入り茶飲料中では、シュウ酸が乳成分中のカルシウムと反応することにより、シュウ酸カルシウムとして沈殿物を生成させていることが示唆された。
[試験例8.容器詰め乳成分入り野菜飲料における沈殿物抑制試験8]
表15の処方に従って、常法により、容器詰め乳成分入り野菜飲料を調製した。具体的には、以下のとおりである。野菜含有成分として、市販の野菜ジュースを用いた。
(容器詰め乳成分入り野菜飲料の調製)
1)乳化剤、ピロリン酸4Naを80℃にて10分間撹拌し溶解した。
2)濾紙で濾過することにより、不溶性固形分を取り除いた野菜ジュースと牛乳、重曹を上記1)に加えた。なお、濾過後の野菜ジュースのBrix値は8.6、pH 4.1であった。
3)上記2)をイオン交換水にて全量調整後、75℃まで加温し、ホモジナイザーにて均質化した(一段階目14.7MPa、二段階目4.9MPa)。
4)UHTプレート殺菌機にて140℃60秒間殺菌し、PETボトルに無菌的に充填した。
試験方法は、37℃、4週間後の沈澱物の生成を判定したことを除いて、試験例1の試験方法及び評価方法と同じ方法により沈殿物抑制試験を行った。結果を表16及び図9に示す。
表16及び図9に示す通り、野菜含有成分(野菜ジュース)に対して、無機酸塩を添加しなかった比較例8−1(ブランク)では、沈殿物の生成が顕著であり、容器への多量の付着が認められた(図9の囲み部分)。一方、野菜含有成分に対して、無機酸塩の含有量が、0.01質量%以上である各実施例では、沈殿物の生成が抑制され、容器への付着が低減された。

Claims (9)

  1. (A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに
    (B)無機酸塩及び/又は有機酸を含み、
    該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
    容器詰め乳成分入り飲料。
  2. シュウ酸の含有量が、0.00075〜0.015質量%である、請求項1に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
  3. 前記シュウ酸に対する前記無機酸塩及び/又は有機酸の含有比率が、シュウ酸1質量部に対して、0.5〜400質量部である、請求項2に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
  4. 前記茶抽出物が、紅茶抽出物、緑茶抽出物、抹茶抽出物、ほうじ茶抽出物、ジャスミン茶抽出物、玄米茶抽出物、及びプーアル茶抽出物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
  5. 前記無機酸塩及び/又は有機酸が、リン酸塩、縮合リン酸塩、及びフィチン酸からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
  6. 更に、乳化剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器詰め乳成分入り飲料。
  7. 無機酸塩及び/又は有機酸、並びに、乳化剤を含有する、容器詰め乳成分入り飲料に用いられるための製剤。
  8. 乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
    該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
    容器詰め乳成分入り飲料中のシュウ酸カルシウムの生成抑制方法。
  9. 乳成分入り飲料に、(A)茶抽出物及び/又は野菜含有成分、並びに(B)無機酸塩及び/又は有機酸を含有させる工程を含み、
    該無機酸塩及び/又は有機酸の含有量が、0.01〜0.3質量%である、
    シュウ酸カルシウムの生成が抑制された容器詰め乳成分入り飲料の製造方法。
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